(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147859
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】収納バッグ
(51)【国際特許分類】
A45F 3/04 20060101AFI20241009BHJP
A62B 35/00 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
A45F3/04 300
A62B35/00 A
A62B35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060536
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】717007295
【氏名又は名称】株式会社Liberaware
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】倉持 成隆
(72)【発明者】
【氏名】野平 幸佑
【テーマコード(参考)】
2E181
2E184
【Fターム(参考)】
2E181BD01
2E184JA03
2E184KA02
2E184KA20
(57)【要約】
【課題】フルハーネス型の安全帯を装着した状態でも簡単に、且つ、快適に使用することが可能な収納バッグを提供する。
【解決手段】フルハーネス型安全帯を装着した状態で使用可能なリュックサック型の収納バッグであって、物品を収納するための収納部と、前記収納部に結合される一対の肩ベルトと、前記収納部の背面に着脱可能に設けられ、装着状態で使用者の背中に接触するクッション部と、を備え、前記クッション部は、使用者が装着する前記フルハーネス型安全帯のショックアブソーバに重ならないように、前記収納部の左右両側に配置される一対のクッション要素を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルハーネス型安全帯を装着した状態で使用可能なリュックサック型の収納バッグであって、
物品を収納するための収納部と、
前記収納部に結合される一対の肩ベルトと、
前記収納部の背面に着脱可能に設けられ、装着状態で使用者の背中に接触するクッション部と、を備え、
前記クッション部は、使用者が装着する前記フルハーネス型安全帯のショックアブソーバに重ならないように、前記収納部の左右両側に配置される一対のクッション要素を有する、収納バッグ。
【請求項2】
前記クッション部は、使用者が装着する前記フルハーネス型安全帯のランヤードよりも上側に配置されている、請求項1に記載の収納バッグ。
【請求項3】
前記収納部の一方の面には、前記クッション部を取り付けるための面ファスナが設けられている、請求項1又は2に記載の収納バッグ。
【請求項4】
前記一対のクッション要素は、少なくとも装着状態で使用者の肩甲骨の位置に配置されるよう構成されている、請求項1又は2に記載の収納バッグ。
【請求項5】
前記収納部及び前記クッション部には、取付位置を示す目印が設けられている、請求項1又は2に記載の収納バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収納バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設現場等での高所作業において、作業者の墜落や転落などの労働災害を防止するために、胴ベルト型の安全帯が使用されていた。しかしながら、胴ベルト型の安全帯は、落下時の内蔵損傷や胸部圧迫等の危険性が指摘されている。そこで近年、フルハーネス型の安全帯(墜落制止用器具)を使用することが求められている。
【0003】
ここで特許文献1には、フルハーネス型の安全帯を装着するユーザを想定したリュックサックの一例が開示されている。このリュックサックは、使用者の胴体部分に装着される装着体と、装着体に連結可能な収容部材とを、ベルトを介して着脱自在に連結する連結具と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のリュックサックは、安全帯を付ける前に装着する装着体と、安全帯を付けた後に連結する収納部材とが分かれているため、取付け、取り外しの際に手間がかかる。
【0006】
そこで、本開示は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、フルハーネス型の安全帯を装着した状態でも簡単に、且つ、快適に使用することが可能な収納バッグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、フルハーネス型安全帯を装着した状態で使用可能なリュックサック型の収納バッグであって、
物品を収納するための収納部と、
前記収納部に結合される一対の肩ベルトと、
前記収納部の背面に着脱可能に設けられ、装着状態で使用者の背中に接触するクッション部と、を備え、
前記クッション部は、使用者が装着する前記フルハーネス型安全帯のショックアブソーバに重ならないように、前記収納部の左右両側に配置される一対のクッション要素を有する、収納バッグが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、フルハーネス型の安全帯を装着した状態でも簡単に、且つ、快適に使用することが可能な収納バッグを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る収納バッグを示す斜視図である。
【
図2】同実施形態に係るクッション部の変形例を示す斜視図である。
【
図3】フルハーネス型安全帯を装着した使用者を背面側から見た図である
【
図4】
図3の状態で収納バッグを装着した様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態に係る収納バッグの斜視図である。本例の収納バッグ1は、フルハーネス型安全帯を装着した状態で使用可能なリュックサック型の収納バッグ(バックパック)である。
【0012】
収納バッグ1は、物品を収納するための収納部2と、収納部2に結合される一対の肩ベルト3と、収納部2の背面に着脱可能に設けられ、装着状態で使用者の背中に接触するクッション部4と、を備え、クッション部4は、使用者が装着するフルハーネス型安全帯のショックアブソーバに重ならないように、収納部2の左右両側に配置される一対のクッション要素4a、4bを有する。
【0013】
収納部2は、内部に任意の物品を収納する袋状であれば、形状は特に限定されない。本例の収納部2は、略直方体状であり、形状を維持できる程度の剛性を有している。物品は、例えば無人航空機(ドローン)、操縦装置等とすることができるが、これに限られない。収納部2は、物品を出し入れするための開口部を有し、開口部は、ファスナ、ボタン、面ファスナ等の留め具で開閉可能となっている。収納部2の素材は任意の素材であってよく、例えば布製、プラスチック製等とすることができる。収納部2の背面(使用者の背中に対向する面)に、クッション部4が設けられている。収納部2の上面、正面、左右の側面、下面の少なくとも何れかに、開口部が設けられている。開口部は複数設けられていてもよい。また、収納部2には、各種物品を収納するための複数の収納空間が区画形成されていてもよい。
【0014】
肩ベルト3は、左右一対の帯状部材で構成され、収納部2の前面側の上部と下部に連結されている。肩ベルト3は、長さが調整可能であることが好ましい。
【0015】
クッション部4は、収納部2に対して面ファスナ等の結合部材によって、着脱可能に取り付けられている。本例のクッション部4は、一対のクッション要素4a、4bで構成されている。一対のクッション要素4a、4bは、使用者が収納バッグ1を装着した状態で、少なくとも肩甲骨の位置に接触するように配置される。本例の一対のクッション要素4a、4bは、同一形状の直方体であるが、これに限られない。クッション部4の一方の面(収納部2に対向する面)には、面ファスナが固定されており、収納部2の前面に固定された面ファスナに貼りつくように構成されている。
【0016】
本例において、一対のクッション要素4a、4bは、互いに分離(独立)しているが、これに限られず、例えば
図2に示すように、一体に形成されていてもよい。
図2のクッション部4は、中央部に凹部4cが形成されており、凹部4cを挟む両側がクッション要素4a、4bとなっている。凹部4cは、使用者が装着するフルハーネス型安全帯のショックアブソーバに対応する位置にあり、上下方向に直線状に延びている。一対のクッション要素4a、4bは、例えば帯状、または紐状等の連結部材によって、互いに連結されていてもよい。
【0017】
図3は、使用者Aがフルハーネス型安全帯10を装着した状態を背面側から見た図である。フルハーネス型安全帯10は、背中の中央部で交差する一対の肩ベルト11と、肩ベルト11の交差部分に位置する接続具12(D環等)と、接続具12に連結されるショックアブソーバ13と、ショックアブソーバ13の下端部に連なるランヤード14と、を有する。
【0018】
ショックアブソーバ13は、使用者の墜落時に強く引っ張られると伸びて、衝撃を緩和するための装置(衝撃吸収装置)である。
図3のように、ショックアブソーバ13は、帯状のベルトを重ねて縫製した構造であり、肩ベルト11や接続具12よりも厚みのある長尺形状である。ランヤード14は、ショックアブソーバ13の下端に連なり、左右に延びて使用者の前側に回り込むロープ状の部材であり、その先端には、作業中に足場などに固定するためのフックが設けられている。本例では、左右に延びる2本のランヤード14が図示されているが、1本でも3本以上でもよい。
【0019】
ここで、使用者がフルハーネス型安全帯10を装着した状態で通常のバックパックを背負った場合、ショックアブソーバ13が使用者の背中の中心部付近(背骨部分)と、対向するバックパックの面に挟まれる。そのため、厚みのあるショックアブソーバ13が使用者の背中の背骨部分に押し付けられて、不快である。また、ショックアブソーバ13の機能を阻害する虞もある。
【0020】
これに対して、本実施形態の収納バッグ1にあっては、弾力性のあるクッション部4が、使用者が装着するフルハーネス型安全帯10のショックアブソーバ13に重ならないように配置されているため、ショックアブソーバ13が使用者の背中に押し付けられず、快適に使用することができる。また、通常のバックパック同様に一対の肩ベルト3を肩にかけて背負うだけなので、着脱も簡単である。また、フルハーネス型安全帯10を使用者が装着していないときには、クッション部4を取り外した状態の収納バッグ1を使用することができるので、より快適に使用することができる。なお、クッション部4を取り外した状態の収納部2においても、背中に接触する面(例えばクッション部4を取り付ける位置)にクッション要素が設けられていることが好ましい。
【0021】
本実施形態の収納バッグ1において、クッション部4は、使用者が装着するフルハーネス型安全帯10のランヤード14に重ならないように、ランヤード14よりも上側に配置されていることが好ましい。これによれば、ランヤード14が収納部2と背中に挟まれて押し付けられることを防止することができるので、より快適、且つ安全に使用することができる。
【0022】
本実施形態の収納バッグ1において、収納部2の前面には、クッション部4を取り付けるための面ファスナが設けられていることが好ましい。これによれば、収納部2に対するクッション部4の着脱がより簡単になる。
【0023】
一対のクッション要素は、少なくとも装着状態で使用者の肩甲骨の位置に配置されるよう構成されていることが好ましい。これによれば、より快適に、安定した状態で収納バッグ1を背負うことができる。
【0024】
本実施形態の収納バッグ1において、一対のクッション要素4a、4bの厚さは、ショックアブソーバ13の厚さと同等か、それ以上であることが好ましい。例えば、一対のクッション要素4a、4bの厚さは、50mm以上、80mm以下とすることができ、より好適には、50mm以上、60mm以下とすることができる。
【0025】
本実施形態の収納バッグ1において、一対のクッション要素4a、4bの上下方向の長さは、例えば、300mm以上、800mm以下とすることができ、より好適には、400mm以上、600mm以下とすることができる。
【0026】
本実施形態の収納バッグ1において、収納部2には、取り外したクッション部4を保持する保持部が設けられていることが好ましい。保持部は、収納部2の側面、上面、下面、後面等に設けた面ファスナ等であってもよいし、クッション部4を収容する袋状の収容要素であってもよい。
【0027】
本実施形態の収納バッグ1において、収納部2とクッション部4の取付位置を示す目印が設けられていることが好ましい。これによれば、クッション部4を収納部2に取り付ける際に、適切な位置に取り付けやすくなる。目印は、互いに同一の記号、模様等を収納部2とクッション部4の対応する位置に設けたものとすることができるが、これに限られない。目印は、印刷、塗装、刺繍、凹凸等であってもよいし、収納部2とクッション部4に設けた面ファスナ自体が位置決め用の目印になっていてもよい。
【0028】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0029】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0030】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(項目1)
フルハーネス型安全帯を装着した状態で使用可能なリュックサック型の収納バッグであって、
物品を収納するための収納部と、
前記収納部に結合される一対の肩ベルトと、
前記収納部の背面に着脱可能に設けられ、装着状態で使用者の背中に接触するクッション部と、を備え、
前記クッション部は、使用者が装着する前記フルハーネス型安全帯のショックアブソーバに重ならないように、前記収納部の左右両側に配置される一対のクッション要素を有する、収納バッグ。
(項目2)
前記クッション部は、使用者が装着する前記フルハーネス型安全帯のランヤードよりも上側に配置されている、項目1に記載の収納バッグ。
(項目3)
前記収納部の背面には、前記クッション部を取り付けるための面ファスナが設けられている、項目1又は2に記載の収納バッグ。
(項目4)
前記一対のクッション要素は、少なくとも装着状態で使用者の肩甲骨の位置に配置されるよう構成されている、項目1~3の何れかに記載の収納バッグ。
(項目5)
前記収納部及び前記クッション部には、取付位置を示す目印が設けられている、項目1~4の何れかに記載の収納バッグ。
【符号の説明】
【0031】
1 収納バッグ
2 収納部
3 肩ベルト
4 クッション部