(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147861
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】身体状態検出システム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/52 20060101AFI20241009BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20241009BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20241009BHJP
【FI】
G01S13/52
F24F7/007 B
F24F11/77
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060540
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】曽我 浩二
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
5J070
【Fターム(参考)】
3L056BD07
3L056BF01
3L260AA02
3L260AB15
3L260BA38
3L260CA03
3L260FC02
3L260FC03
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AE09
5J070AF01
5J070AK14
(57)【要約】
【課題】入浴者の姿勢状態及びバイタル状態の少なくとも一方を含む身体状態の検出精度を向上させることができる身体状態検出システムを提供する。
【解決手段】身体状態検出システム1は、浴室R1内の入浴者P1を指向するように設けられ、送受信動作を実行するレーダセンサ40と、浴室R1内を送受信動作の実行に適した環境に調整する調整換気運転を実行する換気装置70と、レーダセンサ40及び換気装置70を制御する制御部91であって、レーダセンサ40から取得する出力信号に基づいて入浴者P1の姿勢状態及びバイタル状態の少なくとも一方を含む身体状態を検出する検出処理を実行する制御部91と、を備える。制御部91は、換気装置70に調整換気運転を開始させた後、レーダセンサ40に送受信動作を開始させて検出処理を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内の入浴者を指向するように設けられたレーダセンサであって、ミリ波又はマイクロ波を送信し、反射波を受信して出力信号を出力する送受信動作を実行する前記レーダセンサと、
前記浴室内を前記送受信動作の実行に適した環境に調整する調整換気運転を実行する換気装置と、
前記レーダセンサ及び前記換気装置を制御する制御部であって、前記レーダセンサから取得する前記出力信号に基づいて前記入浴者の姿勢状態及びバイタル状態の少なくとも一方を含む身体状態を検出する検出処理を実行する前記制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記換気装置に前記調整換気運転を開始させた後、前記レーダセンサに前記送受信動作を開始させて前記検出処理を実行することを特徴とする身体状態検出システム。
【請求項2】
前記入浴者が浴槽内にいるか否かを検出する入浴検出手段をさらに備え、
前記制御部は、前記入浴者が前記浴槽内にいることを前記入浴検出手段が検出した場合にのみ、前記換気装置に前記調整換気運転を実行させる請求項1記載の身体状態検出システム。
【請求項3】
前記換気装置は、前記調整換気運転以外に、前記送受信動作とは無関係に前記浴室内を換気する通常換気運転も実行し、
前記調整換気運転における換気風量は、前記通常換気運転における換気風量よりも少ない請求項1又は2記載の身体状態検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は身体状態検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の身体状態検出システムの一例が開示されている。この身体状態検出システムは、ミリ波センサ及び制御装置を備えている。
【0003】
ミリ波センサは、サウナ室内の利用者を指向するように設けられている。ミリ波センサは、ミリ波を送信し、反射波を受信して出力信号を出力する送受信動作を実行する。
【0004】
制御装置は、ミリ波センサを制御する。制御装置は、測定部、推定部及び報知処理部を有している。測定部は、ミリ波センサから取得する出力信号に基づいてサウナ室内の利用者の姿勢状態及びバイタル状態の少なくとも一方を含む身体状態を検出する検出処理を実行する。バイタル状態とは、例えば心拍や呼吸の状態である。推定部は、検出した身体状態に基づいて利用者の体調不良を推定する。報知処理部は、体調不良が推定されたことに応じて緊急事態の発生を報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の身体状態検出システムを一般的な浴室に適用して入浴者の身体状態を検出する場合、例えば浴室内に湯気や水蒸気(以下、合わせて湯気等と表記)が充満していると、ミリ波センサの送信波及び反射波が湯気等の水分により減衰してしまうため、ミリ波センサが受信する反射波のSN比が下がり易い。このため、この身体状態検出システムでは、制御部がミリ波センサから取得する出力信号のSN比が低下するおそれがあり、その結果、入浴者の身体状態の検出精度を向上させることが難しい。ミリ波センサの代わりにマイクロ波センサを使用する場合も同様である。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、入浴者の姿勢状態及びバイタル状態の少なくとも一方を含む身体状態の検出精度を向上させることができる身体状態検出システムを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の身体状態検出システムは、浴室内の入浴者を指向するように設けられたレーダセンサであって、ミリ波又はマイクロ波を送信し、反射波を受信して出力信号を出力する送受信動作を実行する前記レーダセンサと、
前記浴室内を前記送受信動作の実行に適した環境に調整する調整換気運転を実行する換気装置と、
前記レーダセンサ及び前記換気装置を制御する制御部であって、前記レーダセンサから取得する前記出力信号に基づいて前記入浴者の姿勢状態及びバイタル状態の少なくとも一方を含む身体状態を検出する検出処理を実行する前記制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記換気装置に前記調整換気運転を開始させた後、前記レーダセンサに前記送受信動作を開始させて前記検出処理を実行することを特徴とする。
【0009】
本発明の身体状態検出システムでは、制御部は、検出処理を実行する前に、換気装置に調整換気運転を開始させる。これにより、換気装置は、浴室内を換気して湯気等を低減させて、浴室内を送受信動作の実行に適した環境に調整する。
【0010】
そして、制御部は、換気装置に調整換気運転を開始させた後、レーダセンサに送受信動作を開始させて検出処理を実行する。これにより、レーダセンサの送信波及び反射波が浴室内の湯気等により減衰することを抑制でき、レーダセンサが受信する反射波のSN比が下がることを抑制できる。
【0011】
その結果、この身体状態検出システムでは、制御部がレーダセンサから取得する出力信号のSN比が低下することを抑制でき、検出処理を精度良く実行できる。
【0012】
したがって、本発明の身体状態検出システムは、入浴者の姿勢状態及びバイタル状態の少なくとも一方を含む身体状態の検出精度を向上させることができる。
【0013】
本発明の身体状態検出システムは、入浴者が浴槽内にいるか否かを検出する入浴検出手段をさらに備えていることが望ましい。そして、制御部は、入浴者が浴槽内にいることを入浴検出手段が検出した場合にのみ、換気装置に調整換気運転を実行させることが望ましい。
【0014】
この場合、入浴者が浴槽内にいない場合に、入浴者に冷風感を与えないようにすることができる。
【0015】
換気装置は、調整換気運転以外に、送受信動作とは無関係に浴室内を換気する通常換気運転も実行することが望ましい。そして、調整換気運転における換気風量は、通常換気運転における換気風量よりも少ないことが望ましい。
【0016】
この場合、制御部が検出処理を実行する前に、換気装置が冷風感を低減した換気を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の身体状態検出システムによれば、入浴者の姿勢状態及びバイタル状態の少なくとも一方を含む身体状態の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施例の身体状態検出システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、実施例の身体状態検出システムに係り、検出処理プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0020】
(実施例)
図1に示すように、実施例の身体状態検出システム1は、本発明の身体状態検出システムの具体的態様の一例であり、住宅H1に適用されている。住宅H1には、浴室R1が設けられている。浴室R1には、浴槽3、浴室照明4、混合水栓5及びシャワー5Aが設置されている。
【0021】
身体状態検出システム1は、給湯装置90、浴室リモコン10、浴室暖房乾燥機50及びレーダセンサ40を備えている。浴室暖房乾燥機50は、暖房装置60及び換気装置70を有している。
【0022】
<給湯装置>
給湯装置90は、住宅H1に設置されている。給湯装置90は、周知の構成であるので説明を簡略するが、図示しないガスバーナ、熱交換器及び循環ポンプ等を有している。ガスバーナは、都市ガス等の燃料ガスを燃焼させて、高温の燃焼ガスを生成する。給湯装置90は、水道等から供給される水を熱交換器内で流通させ、ガスバーナが生成する燃焼ガスとの間で熱交換を行わせることでその水を加熱し、出湯する。
【0023】
給湯装置90は、配管P5を経由して、混合水栓5及びシャワー5Aに湯水を供給する。また、給湯装置90は、浴槽往き配管P3Aを経由して、浴槽3に湯水を供給する。給湯装置90は、浴槽3内に自動で湯はりを行う自動湯はり運転、浴槽3内に足し湯を行う足し湯運転、浴槽3内に足し水を行う足し水運転を実行可能である。
【0024】
さらに、給湯装置90は、図示しない循環ポンプによって、浴槽3と、浴槽戻り配管P3Bと、熱交換器と、浴槽往き配管P3Aとの間で湯水を循環させながらガスバーナによって加熱する追い焚き運転を実行可能である。
【0025】
給湯装置90は、制御部91を有している。制御部91は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成された記憶部91Mと、インターフェース回路等とを含んで構成された電子回路ユニットである。制御部91は、給湯装置90のガスバーナ、熱交換器、循環ポンプ等の動作に関する制御処理を実行する。
【0026】
また、制御部91は、浴室暖房乾燥機50が内蔵する制御部を経由して、浴室暖房乾燥機50の暖房装置60及び換気装置70を制御する。さらに、制御部91は、レーダセンサ40を制御する。
【0027】
記憶部91Mは、給湯装置90等を動作させるための各種プログラム及び設定情報等を記憶している。また、記憶部91Mは、給湯装置90等の動作中において制御部91が取得する各種情報を適宜記憶する。記憶部91Mが記憶するプログラムには、
図2に示す検出処理プログラムが含まれる。
【0028】
図1に示すように、給湯装置90は、水位センサ93を有している。水位センサ93は、本発明の「入浴検出手段」の一例である。
【0029】
水位センサ93は、浴槽往き配管P3A及び浴槽戻り配管P3Bを経由して浴槽3と接続する内部配管内の圧力を測定する圧力センサを含んでいる。水位センサ93は、浴槽3の湯水面が静かな状態で圧力センサが測定する静水圧に基づいて、浴槽3の水位を検出する。入浴者P1が浴槽3内にいる場合の水位は、入浴者P1が浴槽3内にいない場合の水位よりも大幅に高くなる。水位センサ93は、そのような水位の変化に基づいて、入浴者P1が浴槽3内にいるか否かを検出する。
【0030】
<浴室リモコン>
浴室リモコン10は、浴室R1の内壁に設置されている。浴室リモコン10は、周知の構成であるので説明を簡略するが、給湯装置90の制御部91と有線通信可能に接続されている。浴室リモコン10は、入力部11及び表示部12を有している。
【0031】
浴室リモコン10は、入浴者P1が入力部11に対して行う操作を給湯装置90に伝達して給湯装置90を遠隔操作する。また、浴室リモコン10は、給湯装置90から伝達される運転状況や設定情報等の各種情報を表示部12によって表示する。さらに、浴室リモコン10は、制御部91を経由して、浴室暖房乾燥機50を遠隔操作したり、浴室暖房乾燥機50についての各種情報を表示したりすることもできる。
【0032】
<浴室暖房乾燥機>
浴室暖房乾燥機50は、周知の構成であるので説明を簡略するが、暖房装置60及び換気装置70がユニット化されており、浴室R1の天井に設置されている。浴室暖房乾燥機50は、給湯装置90の制御部91と有線通信可能に接続されている。
【0033】
浴室暖房乾燥機50は、浴室リモコン10や、脱衣室に設置された図示しない浴室暖房乾燥機リモコンによって操作される。浴室暖房乾燥機50は、温度センサ53により浴室R1内の温度を検出する。
【0034】
暖房装置60は、図示しない循環ファン、放熱器、熱動弁等を有している。暖房装置60は、暖房往き配管P6A及び暖房戻り配管P6Bによって、給湯装置90に接続されている。
【0035】
暖房装置60は、図示しない循環ファンによって浴室R1の空気を循環させながら、その空気を給湯装置90から供給されて図示しない放熱器内を流れる温水によって加熱することで、浴室R1を暖める暖房運転を実行可能である。
【0036】
換気装置70は、図示しない換気ファン及び可変ダンパによって浴室R1の空気を住宅H1の外部に排出することで、浴室R1内を換気する換気運転を実行可能である。
【0037】
さらに、浴室暖房乾燥機50は、暖房運転による浴室R1の昇温と、換気運転による浴室R1の除湿とを協調的に行って、浴室R1を乾燥させる乾燥運転を実行可能である。
【0038】
本実施例では、換気装置70は、換気運転として、調整換気運転と通常換気運転とを選択的に実行する。
【0039】
換気装置70は、制御部91が
図2に示す検出処理プログラムを実行するときに、調整換気運転を実行する。調整換気運転は、浴室R1内をレーダセンサ40の送受信動作の実行に適した環境に調整する換気運転である。
【0040】
レーダセンサ40の送受信動作の実行に適した環境とは、例えば、浴室R1内の湯気等が少ないことによりレーダセンサ40と測定対象との間で湯気等による送信波及び反射波の減衰が発生し難い環境である。
【0041】
通常換気運転は、レーダセンサ40の送受信動作とは無関係に浴室R1内を換気する換気運転である。例えば、住宅H1の居住者が浴室R1内を清掃した後、浴室R1内を乾燥させたい場合や、入浴者P1が浴室R1内を換気したい場合、浴室リモコン10等を操作して換気装置70に通常換気運転を実行させる。
【0042】
通常換気運転における換気風量W2は、浴室リモコン10等を操作するときの風量設定により、例えば、「弱」、「中」、「強」等の複数段階に調整可能である。調整換気運転における換気風量W1は、通常換気運転における換気風量W2よりも少ない。
【0043】
<レーダセンサ>
図1に示すように、レーダセンサ40は、浴室R1の内壁のうち、浴槽3内にいる入浴者と対面する内壁に設置されている。つまり、レーダセンサ40は、浴室R1内の入浴者P1を指向するように設けられている。レーダセンサ40は、給湯装置90の制御部91と有線通信可能に接続されている。
【0044】
レーダセンサ40は、ミリ波を送信するTxアンテナと、送信したミリ波が測定対象に当たって反射するときにその反射波を受信するRxアンテナと、を備えた公知のミリ波センサである。レーダセンサ40は、測定対象との距離や角度、測定対象の移動速度等を測定可能であり、それらの測定結果を含む出力信号を出力する。
【0045】
レーダセンサ40は、制御部91が
図2に示す検出処理プログラムを実行するときに、浴槽3内にいる入浴者P1の頭部P1Hを測定対象として、ミリ波を送信し、反射波を受信して出力信号を出力する送受信動作を実行する。本実施例では、レーダセンサ40は、入浴者P1の顔面が測定対象に含まれるように取り付けられている。レーダセンサ40の出力信号は、給湯装置90の制御部91に伝達される。
【0046】
<検出処理>
制御部91は、レーダセンサ40から取得する出力信号に基づいて入浴者P1の頭部P1Hの姿勢状態及びバイタル状態を含む身体状態を検出し、身体状態の変化を観察したり、安全上の不具合の有無を判断したりするため、給湯装置90及び浴室リモコン10の電源が投入されたときに、
図2に示す検出処理プログラムを実行する。バイタル状態とは、例えば心拍や呼吸の状態である。なお、入浴者P1の心拍とは、心拍数に加えて心拍の波形も含めることができる。
【0047】
初めに、制御部91はステップS101において、水位センサ93の検出結果に基づき、入浴者P1が浴槽3内にいるか否かを検出する。
【0048】
ステップS101において「No」の場合、制御部91はステップS101を繰り返す。そして、ステップS101において「Yes」になると、制御部91はステップS102に移行し、入浴者P1が浴槽3への入浴を開始したと判断する。
【0049】
次に、制御部91はステップS103に移行し、浴室R1内をレーダセンサ40の送受信動作の実行に適した環境に調整するため、換気装置70に調整換気運転を開始させる。
【0050】
換気装置70が換気風量W1で浴室R1内を換気することにより、浴室R1内の湯気等が少なくなり、レーダセンサ40と測定対象との間で湯気等による送信波及び反射波の減衰が発生し難くなる。
【0051】
次に、制御部91は、ステップS104に移行する。ステップS103からステップS104に移行するときの時間間隔は、換気装置70による調整換気運転によって浴室R1内の換気が終わる程度の長さに設定される。そして、制御部91は、レーダセンサ40に送受信動作を開始させる。レーダセンサ40は、浴槽3内にいる入浴者P1の頭部P1Hの姿勢や、入浴者P1の顔表面の振動等に関係する出力信号を制御部91に伝達する。
【0052】
次に、制御部91はステップS105に移行し、検出処理を実行する。制御部91は、レーダセンサ40から取得する出力信号に基づいて、入浴者P1の姿勢状態及びバイタル状態を含む身体状態を検出する。
【0053】
具体的には、制御部91は、頭部P1Hの傾斜や、入浴者P1の顔表面の血流に伴う振動等を読み取り、入浴者P1の身体状態、例えば入浴者P1の頭部P1Hの姿勢状態や、心拍数、心拍波形、呼吸頻度、意識の明瞭度等のバイタル状態を検出する。制御部91は、検出処理の結果を記憶部91Mによって記憶する。そして、安全上の不具合が生じた場合等において、適宜浴室リモコン10の表示部12により入浴者P1に報知する。
【0054】
つまり、制御部91は、換気装置70に調整換気運転を開始させた後、レーダセンサ40に送受信動作を開始させて検出処理を実行する。
【0055】
次に、制御部91はステップS107に移行し、水位センサ93の検出結果に基づき、入浴者P1が浴槽3内にいるか否かを検出する。
【0056】
ステップS107において「No」の場合、制御部91はステップS108に移行する。ステップS108以降の処理については後述する。
【0057】
その一方、ステップS107において「Yes」の場合、制御部91はステップS111に移行する。そして、制御部91は、温度センサ53の検出結果に基づき、浴室R1内の温度が下限値以上であるか否かを判断する。下限値は、浴室R1内の温度が低過ぎると浴槽3内にいる入浴者P1に感じさせ難い程度の温度に設定されている。
【0058】
ステップS111において「Yes」の場合、制御部91はステップS112に移行し、換気装置70による調整換気運転を継続又は再開し、ステップS105に戻る。換気装置70による調整換気運転の再開は、後述するステップS108、S113の「一時停止」に対応している。
【0059】
その一方、ステップS111において「No」の場合、制御部91はステップS113に移行し、換気装置70による調整換気運転を一時停止した後、ステップS105に戻る。これにより、浴室R1内の温度が低過ぎると浴槽3内にいる入浴者P1が感じることを抑制できる。
【0060】
ステップS107からステップS108に移行すると、制御部91は、換気装置70による調整換気運転を一時停止させる。これにより、入浴者P1が混合水栓5及びシャワー5Aを利用して体を洗うために浴槽3内にいない場合に、入浴者P1に冷風感を与えないようにすることができる。
【0061】
次に、制御部91はステップS109に移行し、混合水栓5及びシャワー5Aが所定時間以上不使用か否かを判断する。例えば、制御部91は、配管P5に供給する湯水の流量を検出する図示しない流量センサにより、ステップS109の判断を行う。
【0062】
ステップS109において「No」の場合、制御部91は入浴者P1が体を洗っていると判断し、ステップS107に戻る。
【0063】
その一方、ステップS109において「Yes」の場合、制御部91はステップS115に移行し、入浴者P1が入浴を終了したと判断する。
【0064】
次に、制御部91はステップS116に移行し、レーダセンサ40による送受信動作を終了する。
【0065】
次に、制御部91はステップS117に移行し、換気装置70による調整換気運転を終了する。そして、制御部91は、このプログラムを終了する。
【0066】
<作用効果>
実施例の身体状態検出システム1において、
図2に示すように、制御部91は、ステップS105において検出処理を実行する前に、ステップS103において換気装置70に調整換気運転を開始させる。
【0067】
これにより、換気装置70は、浴室R1内を換気して湯気等を低減させて、浴室R1内をレーダセンサ40の送受信動作の実行に適した環境に調整する。
【0068】
そして、制御部91は、ステップS103において換気装置70に調整換気運転を開始させた後、ステップS104においてレーダセンサ40に送受信動作を開始させる。これにより、レーダセンサ40の送信波及び反射波が浴室R1内の湯気等により減衰することを抑制でき、レーダセンサ40が受信する反射波のSN比が下がることを抑制できる。
【0069】
その結果、この身体状態検出システム1では、制御部91がレーダセンサ40から取得する出力信号のSN比が低下することを抑制でき、ステップS105において検出処理を精度良く実行できる。
【0070】
したがって、実施例の身体状態検出システム1は、入浴者P1の姿勢状態及びバイタル状態を含む身体状態の検出精度を向上させることができる。
【0071】
また、この身体状態検出システム1において、制御部91は、ステップS101及びステップS107において入浴者P1が浴槽3内にいることを水位センサ93が検出した場合にのみ、換気装置70に調整換気運転を実行させる。この構成により、入浴者P1が混合水栓5及びシャワー5Aを利用して体を洗うために浴槽3内にいない場合に、入浴者P1に冷風感を与えないようにすることができる。
【0072】
さらに、この身体状態検出システム1において、調整換気運転における換気風量W1は、通常換気運転における換気風量W2よりも少ない。この構成により、制御部91がステップS105において検出処理を実行する前に、換気装置70がステップS103において冷風感を低減した換気を行うことができる。
【0073】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0074】
実施例では、制御部91は、給湯装置90及び浴室リモコン10の電源が投入されたときに、
図2に示す検出処理プログラムを実行するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、制御部91は、給湯装置90及び浴室リモコン10の電源が投入されときには
図2に示す検出処理プログラムを実行せず、住宅H1の居住者や入浴者P1が検出処理プログラムの開始を指示する操作を浴室リモコン10の入力部11に対して行ったときに、検出処理プログラムを実行してもよい。
【0075】
実施例では、レーダセンサ40が浴室リモコン10とは別体であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、実施例に係るレーダセンサ40と浴室リモコン10とを一体にした構成も本発明に含まれる。
【0076】
実施例では、レーダセンサ40がミリ波を送信するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、レーダセンサ40は、マイクロ波を送信してもよい。
【0077】
実施例では、レーダセンサ40が入浴者P1の頭部を測定対象としているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、水位センサ93により浴槽3の水位が低いと検出された場合、制御部91は、入浴者P1の胸部をレーダセンサ40の測定対象に含めて検出処理を実行することができる。また、入浴者P1が浴槽3から出ている状態であっても、制御部91がレーダセンサ40から取得する出力信号に基づいて入浴者P1が静止している状態にあることを検出した場合、制御部91は、入浴者P1の全身をレーダセンサ40の測定対象に含めて検出処理を実行することができる。
【0078】
実施例では、制御部91は、入浴者P1の姿勢状態及びバイタル状態を含む身体状態を検出しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、制御部91は、入浴者P1の姿勢状態のみを含む身体状態を検出してもよいし、入浴者P1のバイタル状態のみを含む身体状態を検出してもよい。
【0079】
実施例では、レーダセンサ40による送受信動作を開始する前に換気装置70による調整換気運転を実行していたが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、調整換気運転に加えて、暖房装置60による暖房運転を同時に実行することもできる。調整換気運転のみを実行する場合、特に冬季など浴室R1内を暖かく保ちたい状況において、外部から浴室R1内に流入する空気の影響で浴室R1内の室温が低下して入浴者P1に不快感を与えてしまうおそれがある。この点、調整換気運転及び暖房運転を同時に実行することで、浴室R1内の室温の低下を抑制でき、入浴者P1に不快感を与えることを抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は例えば、浴室が設置された住宅や施設等に利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1…身体状態検出システム
R1…浴室
P1…入浴者
40…レーダセンサ
70…換気装置
91…制御部
3…浴槽
93…入浴検出手段(水位センサ)
W1…調整換気運転における換気風量
W2…通常換気運転における換気風量