(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147878
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】スラッジ含有固化体の強度推定方法および品質管理方法
(51)【国際特許分類】
G01N 3/00 20060101AFI20241009BHJP
G01N 33/38 20060101ALI20241009BHJP
E02D 3/12 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
G01N3/00 M
G01N33/38
E02D3/12 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060581
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】依田 侑也
(72)【発明者】
【氏名】栗本 悠平
【テーマコード(参考)】
2D040
2G061
【Fターム(参考)】
2D040CA01
2G061AA02
2G061AB03
2G061BA04
2G061CA08
(57)【要約】
【課題】スラッジ含有固化体の強度を精度よく推定することができるスラッジ含有固化体の強度推定方法および品質管理方法を提供する。
【解決手段】供試体の所定の材齢における圧縮強度を求めるステップS1と、圧縮強度における基準スラッジの強度寄与率と、混和材の強度寄与率を求めるステップS2,S3と、基準スラッジと、推定対象のスラッジ含有固化体に用いられるスラッジのそれぞれについて積算発熱量を求め、基準スラッジの積算発熱量とスラッジの積算発熱量の比を求めるステップS4~S6と、求めた積算発熱量の比と、基準スラッジの強度寄与率に基づいて、スラッジの強度寄与率を求めるステップS7と、求めたスラッジの強度寄与率と、混和材の強度寄与率と、スラッジと混和材の混合割合に基づいて、圧縮強度を推定するステップS8とを有するようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラッジおよび混和材を含有するスラッジ含有固化体の強度を推定する方法であって、
所定の基準スラッジと前記混和材とを所定の割合で混合したスラッジ含有固化体の供試体を作製し、この供試体の所定の材齢における圧縮強度を求めるステップと、
前記圧縮強度における前記基準スラッジの強度寄与率と、前記混和材の強度寄与率を求めるステップと、
前記基準スラッジと、推定対象のスラッジ含有固化体に用いられる前記スラッジのそれぞれについて水和発熱量を測定し、前記材齢よりも前の若材齢までの積算発熱量を求めるステップと、
前記基準スラッジの積算発熱量と前記スラッジの積算発熱量の比を求めるステップと、
求めた積算発熱量の比と、前記基準スラッジの強度寄与率に基づいて、前記スラッジの強度寄与率を求めるステップと、
求めた前記スラッジの強度寄与率と、前記混和材の強度寄与率と、前記スラッジと前記混和材の混合割合に基づいて、推定対象のスラッジ含有固化体の前記圧縮強度を推定するステップとを有することを特徴とするスラッジ含有固化体の強度推定方法。
【請求項2】
前記圧縮強度を目的変数とし、前記スラッジと前記混和材の混合割合を説明変数とする重回帰式を用いて前記圧縮強度を推定することを特徴とする請求項1に記載のスラッジ含有固化体の強度推定方法。
【請求項3】
土質材料と、スラッジおよび混和材からなる結合材とを混合してなるスラッジ含有固化体の品質を管理する方法であって、
請求項1または2に記載のスラッジ含有固化体の推定方法により、前記圧縮強度を推定するステップと、
推定した前記圧縮強度が、所定の設計条件を満たすか否かを判定するステップとを有することを特徴とするスラッジ含有固化体の品質管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラッジを用いたソイルセメントなどのスラッジ含有固化体の強度推定方法および品質管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、戻りコンクリートの処理や生コン車の洗浄時等に発生するコンクリートのスラッジを有効に活用する方策として、スラッジを乾燥、粉砕した微粉末をコンクリートやソイルセメントに再利用することが検討されている。例えば、地盤改良工事や山留め工事、埋戻し工事で使用されるソイルセメントを構成するセメントの代替材料としての再利用がある。
【0003】
一方、ソイルセメントの品質を評価する方法として、特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スラッジを乾燥させるまでの材齢により、セメントの水和進行度が異なることや、スラッジに残存する微細な骨材の量によって、同じ量の乾燥スラッジをセメントの代替材料として添加した場合でも強度発現性が異なる場合があり、スラッジを用いたソイルセメントの強度設計が困難となるおそれがあった。また、添加する材料が乾燥スラッジ単体だけでは、強度発現が十分でない場合があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、スラッジ含有固化体の強度を精度よく推定することができるスラッジ含有固化体の強度推定方法および品質管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るスラッジ含有固化体の強度推定方法は、スラッジおよび混和材を含有するスラッジ含有固化体の強度を推定する方法であって、所定の基準スラッジと前記混和材とを所定の割合で混合したスラッジ含有固化体の供試体を作製し、この供試体の所定の材齢における圧縮強度を求めるステップと、前記圧縮強度における前記基準スラッジの強度寄与率と、前記混和材の強度寄与率を求めるステップと、前記基準スラッジと、推定対象のスラッジ含有固化体に用いられる前記スラッジのそれぞれについて水和発熱量を測定し、前記材齢よりも前の若材齢までの積算発熱量を求めるステップと、前記基準スラッジの積算発熱量と前記スラッジの積算発熱量の比を求めるステップと、求めた積算発熱量の比と、前記基準スラッジの強度寄与率に基づいて、前記スラッジの強度寄与率を求めるステップと、求めた前記スラッジの強度寄与率と、前記混和材の強度寄与率と、前記スラッジと前記混和材の混合割合に基づいて、推定対象のスラッジ含有固化体の前記圧縮強度を推定するステップとを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る他のスラッジ含有固化体の強度推定方法は、上述した発明において、前記圧縮強度を目的変数とし、前記スラッジと前記混和材の混合割合を説明変数とする重回帰式を用いて前記圧縮強度を推定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るスラッジ含有固化体の品質管理方法は、土質材料と、スラッジおよび混和材からなる結合材とを混合してなるスラッジ含有固化体の品質を管理する方法であって、上述したスラッジ含有固化体の推定方法により、前記圧縮強度を推定するステップと、推定した前記圧縮強度が、所定の設計条件を満たすか否かを判定するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るスラッジ含有固化体の強度推定方法によれば、スラッジおよび混和材を含有するスラッジ含有固化体の強度を推定する方法であって、所定の基準スラッジと前記混和材とを所定の割合で混合したスラッジ含有固化体の供試体を作製し、この供試体の所定の材齢における圧縮強度を求めるステップと、前記圧縮強度における前記基準スラッジの強度寄与率と、前記混和材の強度寄与率を求めるステップと、前記基準スラッジと、推定対象のスラッジ含有固化体に用いられる前記スラッジのそれぞれについて水和発熱量を測定し、前記材齢よりも前の若材齢までの積算発熱量を求めるステップと、前記基準スラッジの積算発熱量と前記スラッジの積算発熱量の比を求めるステップと、求めた積算発熱量の比と、前記基準スラッジの強度寄与率に基づいて、前記スラッジの強度寄与率を求めるステップと、求めた前記スラッジの強度寄与率と、前記混和材の強度寄与率と、前記スラッジと前記混和材の混合割合に基づいて、推定対象のスラッジ含有固化体の前記圧縮強度を推定するステップとを有するので、スラッジ含有固化体の強度を精度よく推定することができるという効果を奏する。
【0011】
また、本発明に係る他のスラッジ含有固化体の強度推定方法によれば、前記圧縮強度を目的変数とし、前記スラッジと前記混和材の混合割合を説明変数とする重回帰式を用いて前記圧縮強度を推定するので、圧縮強度を簡易に推定することができるという効果を奏する。
【0012】
また、本発明に係るスラッジ含有固化体の品質管理方法によれば、土質材料と、スラッジおよび混和材からなる結合材とを混合してなるスラッジ含有固化体の品質を管理する方法であって、上述したスラッジ含有固化体の推定方法により、前記圧縮強度を推定するステップと、推定した前記圧縮強度が、所定の設計条件を満たすか否かを判定するステップとを有するので、ソイルセメントなどのスラッジ含有固化体の強度設計および品質管理を簡易に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明に係るスラッジ含有固化体の強度推定方法および品質管理方法の実施の形態を示す概略フロー図である。
【
図2】
図2は、配合条件と圧縮強度の一例を示すテーブル図である。
【
図3】
図3は、それぞれの乾燥スラッジの水和発熱量の経時変化の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、乾燥スラッジの積算発熱量の一例を示すテーブル図である。
【
図5】
図5は、ベースと水和活性の異なる乾燥スラッジと高炉スラグ微粉末を使用した際の材齢28日強度および推定強度の一例を示すテーブル図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係るスラッジ含有固化体の強度推定方法および品質管理方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
本実施の形態では、乾燥スラッジと混和材を併用した結合材と土質材料を含有するソイルセメント(スラッジ含有固化体)を実現場で実施工する前の計画段階において、乾燥スラッジの反応性を簡易評価することでソイルセメントの強度を推定する。計画段階で発現強度を精度よく見積もることにより、ソイルセメントの強度設計を適切に行うことができる。混和材は、アルカリ活性粉末(例えば、高炉スラグ微粉末やフライアッシュ等)を想定している。乾燥スラッジとアルカリ活性粉末は建設副産物であるため、材料起源のCO2排出量がゼロとなり、環境負荷の低減にも貢献することができる。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態は、ステップS1~S8の手順で実施される。各ステップの処理内容について以下に説明する。
【0017】
まず、ステップS1において、ベース乾燥スラッジと、アルカリ活性粉末を複数(例えば、少なくとも3つ)の配合割合で混合した配合試験を行う。具体的には、ベース乾燥スラッジとアルカリ活性粉末とからなる結合材と、水と、湿潤土(土質材料)とを混合してソイルセメントの供試体を作製し、所定の材齢における供試体の圧縮強度を求める。圧縮強度は、例えば、JIS A 1108に準拠した圧縮強度試験で材齢28日の圧縮強度を求めることが好ましい。なお、上記のベース乾燥スラッジは、本発明の基準スラッジに相当するものであり、例えば、施工現場で使用する乾燥スラッジを用いることが好ましい。アルカリ活性粉末および湿潤土は、施工現場で実際に使用するものを用いる。
【0018】
次のステップS2、S3において、ベース乾燥スラッジとアルカリ活性粉末それぞれの強度寄与率を重回帰分析により求める。この場合、例えば、材齢28日の圧縮強度を目的変数とし、ベース乾燥スラッジの混合割合と、アルカリ活性粉末の混合割合とを説明変数とする重回帰式を求めた際の説明変数に係る係数が強度寄与率に相当する。
【0019】
次のステップS4において、伝導型熱量計による12時間までの水和熱測定を行う。具体的には、ベース乾燥スラッジと水を所定の重量比(例えば、1:1の割合)で練混ぜた際の水和発熱量を伝導型熱量計で測定し、測定開始から所定時間(例えば、12時間~3日程度)までの積算発熱量を取得する。一方、ステップS5において、別のタイミングまたは別ロットで採取した乾燥スラッジ(以下、別ロット乾燥スラッジという。)についても、同様の方法で測定開始から12時間までの積算発熱量を取得する。
【0020】
次のステップS6において、取得したそれぞれの積算発熱量から、ベース乾燥スラッジの積算発熱量に対する別ロット乾燥スラッジの積算発熱量の比を求める。
【0021】
次のステップS7において、積算発熱量の比をベース乾燥スラッジの強度寄与率に乗じることにより、別ロット乾燥スラッジの強度寄与率を求める。
【0022】
次のステップS8において、別ロット乾燥スラッジの強度寄与率と、アルカリ活性粉末の強度寄与率から、別ロット乾燥スラッジおよびアルカリ活性粉末を用いたソイルセメントの圧縮強度を推定し、これによりソイルセメントの強度設計を行う。具体的には、上記のステップS2、S3の重回帰分析で得られた重回帰式の説明変数(ベース乾燥スラッジの混合割合)の係数として、別ロット乾燥スラッジの強度寄与率を用いて、材齢28日の圧縮強度を推定する。このようにすれば、ソイルセメントの中長期材齢における圧縮強度を、若材齢時の短時間(例えば、12時間~数日程度)で簡易に精度よく推定することができる。これにより、水和活性の異なる乾燥スラッジとアルカリ活性粉末を使用した際のソイルセメントの強度設計が可能である。また、圧縮強度の推定を、乾燥スラッジのロットごとに日常的に行うことでソイルセメント製造の品質管理にも適用可能である。
【0023】
本実施の形態を利用してソイルセメントの品質を評価、管理する場合には、上記の推定方法で圧縮強度を推定し、推定した圧縮強度が設計上必要な強度(設計条件)を満たすか否か等を判定する。この判定は、本施工前までの短時間で行うことができる。この判定の結果、設計上必要な強度を満たしている場合は高品質と評価して、検討した配合で施工し、満たしていない場合には、本施工前までに配合計画の修正を行ってもよい。このようにすることで、ソイルセメントの品質を簡易に管理することができる。
【0024】
(実施例)
本発明の効果を確認するために室内配合試験を行った。アルカリ活性粉末には、高炉スラグ微粉末を用いた。
まず、
図2に示される組成の結合材と現地土を用いて配合試験を行い、材齢28日の圧縮強度を求めた。配合条件は、乾燥スラッジと高炉スラグ微粉末を結合材と考え、水/結合材比を190%とし、土の含有量を質量比で全体の72mass%としたソイルセメントの供試体を作製し、圧縮強度試験を行った。土は土粒子密度2.69g/cm
3、含水比0.6%の砂質土を用いた。
【0025】
次に、ベース乾燥スラッジと高炉スラグ微粉末の強度寄与率を重回帰分析により求めた。その結果、以下の重回帰式が得られた。なお、以下の重回帰式において、係数値0.0187が乾燥スラッジの強度寄与率、係数値0.0731が高炉スラグ微粉末の強度寄与率に相当する。
【0026】
[圧縮強度]=-1.096+0.0187[乾燥スラッジの割合(質量%)]+0.0731[高炉スラグ微粉末の割合(質量%)] ・・・(1)
【0027】
次に、ベース乾燥スラッジ、および、乾燥するまでのタイミングがベース乾燥スラッジよりも長い2種類の乾燥スラッジA、Bの水和熱測定を行った。なお、乾燥時間は、乾燥スラッジA、Bの順で長い。
図3および
図4に、水和発熱量の測定結果および積算発熱量の算定結果を示す。
図4において、積算12時間の欄は、測定開始から12時間までの積算発熱量を示している。同様に、積算1日、積算3日の欄は、測定開始から1日までの積算発熱量、測定開始から3日までの積算発熱量をそれぞれ示している。
図4に示すように、乾燥スラッジの乾燥時間が長いものほど積算発熱量が小さくなることがわかる。
【0028】
次に、測定開始から12時間までの積算発熱量を用いて、ベース乾燥スラッジに対するそれぞれの乾燥スラッジA、Bの積算発熱量の比を求め、この比をベース乾燥スラッジの強度寄与率に掛け、乾燥スラッジA、Bの強度寄与率を求めた。なお、積算発熱量の比は、積算1日もしくは積算3日の値を用いても、ほぼ同じであるため、積算12時間以降のどの材齢の値を用いてもよいことがわかる。上記の重回帰式(1)の係数値0.0187を、乾燥スラッジA(または乾燥スラッジB)の強度寄与率に置き換えた式を使えば、乾燥スラッジA(または乾燥スラッジB)を含有するソイルセメントの圧縮強度を推定することができる。
【0029】
図5に、乾燥スラッジA、Bの強度寄与率を用いて推定した材齢28日の圧縮強度(推定強度)と、実測した材齢28日の圧縮強度(実測強度)の関係を
図5に示す。この図に示すように、推定強度は、実測強度と非常に近い値となっており、実測強度を精度よく推定できていることがわかる。
【0030】
以上説明したように、本発明に係るスラッジ含有固化体の強度推定方法によれば、スラッジおよび混和材を含有するスラッジ含有固化体の強度を推定する方法であって、所定の基準スラッジと前記混和材とを所定の割合で混合したスラッジ含有固化体の供試体を作製し、この供試体の所定の材齢における圧縮強度を求めるステップと、前記圧縮強度における前記基準スラッジの強度寄与率と、前記混和材の強度寄与率を求めるステップと、前記基準スラッジと、推定対象のスラッジ含有固化体に用いられる前記スラッジのそれぞれについて水和発熱量を測定し、前記材齢よりも前の若材齢までの積算発熱量を求めるステップと、前記基準スラッジの積算発熱量と前記スラッジの積算発熱量の比を求めるステップと、求めた積算発熱量の比と、前記基準スラッジの強度寄与率に基づいて、前記スラッジの強度寄与率を求めるステップと、求めた前記スラッジの強度寄与率と、前記混和材の強度寄与率と、前記スラッジと前記混和材の混合割合に基づいて、推定対象のスラッジ含有固化体の前記圧縮強度を推定するステップとを有するので、スラッジ含有固化体の強度を精度よく推定することができる。
【0031】
また、本発明に係る他のスラッジ含有固化体の強度推定方法によれば、前記圧縮強度を目的変数とし、前記スラッジと前記混和材の混合割合を説明変数とする重回帰式を用いて前記圧縮強度を推定するので、圧縮強度を簡易に推定することができる。
【0032】
また、本発明に係るスラッジ含有固化体の品質管理方法によれば、土質材料と、スラッジおよび混和材からなる結合材とを混合してなるスラッジ含有固化体の品質を管理する方法であって、上述したスラッジ含有固化体の推定方法により、前記圧縮強度を推定するステップと、推定した前記圧縮強度が、所定の設計条件を満たすか否かを判定するステップとを有するので、ソイルセメントなどのスラッジ含有固化体の強度設計および品質管理を簡易に行うことができる。
【0033】
なお、2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。本実施の形態に係るスラッジ含有固化体の強度推定方法および品質管理方法は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「11.住み続けられるまちづくりを」の目標などの達成に貢献し得る。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明に係るスラッジ含有固化体の強度推定方法および品質管理方法は、地盤改良工事や山留め工事、埋戻し工事などで使用されるソイルセメントに有用であり、特に、スラッジを含有するソイルセメントの圧縮強度を推定するのに適している。