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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147889
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】荷役システム及び荷役方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 67/02 20060101AFI20241009BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20241009BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
B65G67/02
B25J5/00 A
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060602
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000211695
【氏名又は名称】中西金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡嵜 吉洋
【テーマコード(参考)】
3C707
3F076
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS10
3C707CS08
3C707DS01
3C707ES03
3C707JS02
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS13
3C707KS18
3C707KT01
3C707KT05
3C707KT09
3C707KV12
3C707KX19
3C707LV20
3C707MS06
3C707MS07
3C707NS19
3C707WA16
3F076BA05
3F076CA03
3F076DA01
3F076DA04
3F076DA28
3F076EA07
3F076FA01
3F076FA02
3F076FA03
(57)【要約】
【課題】ロボットアームを有するロボットを無人搬送車上に搭載した移動ロボットを、コンテナ車のコンテナ内とプラットフォーム上との間における荷役作業に用いる場合において、コンテナ車のコンテナに対する前記移動ロボットの左右方向の位置ずれの修正を効率的に行うことができる荷役システムを提供する。
【解決手段】
コンテナ専用トラックBのコンテナC内とプラットフォームP上との間で荷役作業を行う荷役システム1である。前記荷役作業を行う荷役装置2は、荷物をハンドリング可能なロボットアーム7を有するロボット5を無人搬送車4上に搭載した移動ロボット3を含む。移動ロボット3の外部に設置された、トラックBのコンテナCの位置に対する移動ロボット3の適正位置を表示する適正位置表示手段Aを備える。移動ロボット3を前記適正位置に位置合わせした後に、移動ロボット3が自律走行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ専用トラックのコンテナ内とプラットフォーム上との間で荷役作業を行う荷役システムであって、
前記荷役作業を行う荷役装置は、荷物をハンドリング可能なロボットアームを有するロボットを無人搬送車上に搭載した移動ロボットを含み、
前記移動ロボットの外部に設置された、前記トラックのコンテナの位置に対する前記移動ロボットの適正位置を表示する適正位置表示手段を備え、
前記移動ロボットを前記適正位置に位置合わせした後に、前記移動ロボットが自律走行する、
荷役システム。
【請求項2】
前記適正位置表示手段は、
前記移動ロボットが載る台又は床面に設置され、
前記移動ロボットが前記コンテナに近づく方向に平行な方向を前方として、前記前方に向かって左右方向に移動可能であり、
前記前方へ第1の光を照射して、前記コンテナの背面に前記第1の光が当たった際に、前記背面に当たった前記第1の光の位置を表示する第1表示手段と、
前記台又は前記床面に第2の光を照射して、前記台上又は前記床面上に前記第2の光が当たった位置である、前記適正位置表示手段の位置に対する前記移動ロボットの適正位置を表示する第2表示手段と、
を有する、
請求項1に記載の荷役システム。
【請求項3】
前記適正位置表示手段は、
前記第1表示手段から前記前方へ照射した前記第1の光が当たった前記背面の位置が前記背面の所定位置となるように、前記適正位置表示手段を前記前方に向かって左右方向に移動させた移動量を表示する第3表示手段をさらに有する、
請求項2に記載の荷役システム。
【請求項4】
前記コンテナの位置に対する前記移動ロボットの前記適正位置への位置合わせは、手動操作による前記移動ロボットの移動を含む、
請求項1に記載の荷役システム。
【請求項5】
前記移動ロボットは自動モードの際に機能する障害物センサを備える、
請求項4に記載の荷役システム。
【請求項6】
前記適正位置表示手段は、前記移動ロボットが自動走行する際における基準位置として参照可能なリフレクタとしての機能を有し、
前記コンテナの位置に対する前記適正位置表示手段の位置が、前記移動ロボットが前記コンテナに近づく方向に平行な方向を前方として、前記前方に向かって左右方向に所定位置からずれている場合には、前記適正位置表示手段を前記左右方向へ移動させて前記所定位置に合わせる、
請求項1の記載の荷役システム。
【請求項7】
前記適正位置表示手段は、
前記移動ロボットが載る台又は床面に設置され、
前記移動ロボットが前記コンテナに近づく方向に平行な方向を前方として、前記前方に向かって左右方向に移動可能であり、
前記前方へ第1の光を照射して、前記コンテナの背面に前記第1の光が当たった際に、前記背面に当たった前記第1の光の位置を表示する第1表示手段と、
前記台又は前記床面に第2の光を照射して、前記台上又は前記床面上に前記第2の光が当たった位置である、前記適正位置表示手段の位置に対する前記移動ロボットの適正位置を表示する第2表示手段と、
を有するとともに、
前記移動ロボットが自動走行する際における基準位置として参照可能なリフレクタとしての機能を有する、
請求項1に記載の荷役システム。
【請求項8】
前記適正位置表示手段は、前記移動ロボットが載る移動台に設置され、
前記移動台は、移動不能に固定した状態と、前記移動ロボットが前記コンテナに近づく方向に平行な方向を前方として、前記前方に向かって左右方向に移動可能な状態とを切り替え可能である、
請求項1の記載の荷役システム。
【請求項9】
前記移動台は、ストッパ付きキャスタを備え、
前記ストッパを作動させることで前記移動不能に固定した状態となり、
前記ストッパを解除することで前後方向及び左右方向に自在に移動可能となる、
請求項8に記載の荷役システム。
【請求項10】
コンテナ専用トラックのコンテナ内とプラットフォーム上との間で荷役作業を行う荷役方法であって、
前記荷役作業を行う荷役装置は、荷物をハンドリング可能なロボットアームを有するロボットを無人搬送車上に搭載した移動ロボットを含み、
前記移動ロボットが前記トラックのコンテナに近づく方向に平行な方向を前方として、前記前方に向かって左右方向に移動可能である、前記移動ロボットが載る台又は床面に設置された適正位置表示手段が、前記前方へ第1の光を照射し、前記コンテナの背面の前記第1の光が当たった位置が前記背面の所定位置ではない場合には、前記第1の光が当たった位置が前記背面の所定位置となるように前記適正位置表示手段を前記左右方向に移動させるステップと、
前記適正位置表示手段が、前記台又は前記床面に第2の光を照射して、前記台上又は前記床面上に前記第2の光が当たった位置である、前記適正位置表示手段の位置に対する前記移動ロボットの適正位置を表示するステップと、
前記台上又は前記床面上に表示された前記適正位置に前記移動ロボットを移動させるステップと、
前記移動ロボットが自律走行して前記コンテナ内に進入し、前記移動ロボットが前記荷役作業を行うステップと、
を含む、
荷役方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ専用トラックのコンテナ内とプラットフォーム上との間で荷役作業を行う荷役システム及び荷役方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックバースに停車した、いわゆるコンテナ専用トラック(以下、「コンテナ車」と呼ぶ)のコンテナ内とプラットフォーム上との間で行う荷役作業は、例えば、テーブルリフター部及びスロープ部を備えた搬送用装置とフォークリフトとを用いて、フォークリフトがコンテナ内に進入して行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
物流や生産等の様々な分野において、労働者不足の解消や作業の効率化を企図して、ロボットを用いた作業の自動化が進められている。このようなロボットの例として、無人搬送車上にロボットアームを搭載した移動ロボットがある(例えば、特許文献2参照)。このような構成の移動ロボットを前記荷役作業に用いると、無人搬送車により自動走行をすることができるとともに、ロボットアームにより荷物のハンドリングを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3392523号公報
【特許文献2】特開2002-73171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
荷物をハンドリング可能なロボットアームを有するロボットを無人搬送車上に搭載した移動ロボットを用いて前記荷役作業を行う際に、コンテナ車のコンテナと前記移動ロボットとが、トラックバースに近接するプラットフォームの周縁部に平行な方向(左右方向)へ相対的に位置ずれしている場合がある。
【0006】
その場合には、前記移動ロボットが荷役作業を行う際に、前記移動ロボットのロボットアームの可動範囲から外れたスペースが前記コンテナ内に出来てしまうことで、前記移動ロボットが異常停止してしまう恐れがある。また、前記移動ロボットの無人搬送車が自動走行する際にも異常停止する恐れがある。前記移動ロボットが異常停止した場合、その復旧作業に多くの時間を要することが想定されるので、コンテナ車の運転手を拘束する時間が増大してしまう。
【0007】
また、前記コンテナに対する前記移動ロボットの前記左右方向の位置ずれの大きさを作業者が測定し、その測定結果を用いて前記位置ずれを修正する場合、前記位置ずれの測定作業に多大な時間を要することになり、コンテナ車の運転手を拘束する時間が増大する。さらに、前記左右方向の位置ずれの大きさは、前記移動ロボットに備えたセンサにより精度良く測定することは困難である。
【0008】
本発明は、荷物をハンドリング可能なロボットアームを有するロボットを無人搬送車上に搭載した移動ロボットを、コンテナ車のコンテナ内とプラットフォーム上との間における荷役作業に用いる場合において、コンテナ車のコンテナに対する前記移動ロボットの前記左右方向の位置ずれの修正を効率的に行うことができる荷役システム及び荷役方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1観点に係る荷役システムは、コンテナ専用トラックのコンテナ内とプラットフォーム上との間で荷役作業を行う荷役システムであって、前記荷役作業を行う荷役装置は、荷物をハンドリング可能なロボットアームを有するロボットを無人搬送車上に搭載した移動ロボットを含む。前記移動ロボットの外部に設置された、前記トラックのコンテナの位置に対する前記移動ロボットの適正位置を表示する適正位置表示手段を備え、前記移動ロボットを前記適正位置に位置合わせした後に、前記移動ロボットが自律走行する。
【0010】
本発明の第2観点に係る荷役システムは、第1観点に係る荷役システムにおいて、前記適正位置表示手段は、前記移動ロボットが載る台又は床面に設置され、前記移動ロボットが前記コンテナに近づく方向に平行な方向を前方として、前記前方に向かって左右方向に移動可能である。前記前方へ第1の光を照射して、前記コンテナの背面に前記第1の光が当たった際に、前記背面に当たった前記第1の光の位置を表示する第1表示手段と、前記台又は前記床面に第2の光を照射して、前記台上又は前記床面上に前記第2の光が当たった位置である、前記適正位置表示手段の位置に対する前記移動ロボットの適正位置を表示する第2表示手段とを有する。
【0011】
本発明の第3観点に係る荷役システムは、第2観点に係る荷役システムにおいて、前記適正位置表示手段は、前記第1表示手段から前記前方へ照射した前記第1の光が当たった前記背面の位置が前記背面の所定位置となるように、前記適正位置表示手段を前記前方に向かって左右方向に移動させた移動量を表示する第3表示手段をさらに有する。
【0012】
本発明の第4観点に係る荷役システムは、第1観点に係る荷役システムにおいて、前記コンテナの位置に対する前記移動ロボットの前記適正位置への位置合わせは、手動操作による前記移動ロボットの移動を含む。
【0013】
本発明の第5観点に係る荷役システムは、第4観点に係る荷役システムにおいて、前記移動ロボットは自動モードの際に機能する障害物センサを備える。
【0014】
本発明の第6観点に係る荷役システムは、第1観点に係る荷役システムにおいて、前記適正位置表示手段は、前記移動ロボットが自動走行する際における基準位置として参照可能なリフレクタとしての機能を有する。前記コンテナの位置に対する前記適正位置表示手段の位置が、前記移動ロボットが前記コンテナに近づく方向に平行な方向を前方として、前記前方に向かって左右方向に所定位置からずれている場合には、前記適正位置表示手段を前記左右方向へ移動させて前記所定位置に合わせる。
【0015】
本発明の第7観点に係る荷役システムは、第1観点に係る荷役システムにおいて、前記適正位置表示手段は、前記移動ロボットが載る台又は床面に設置され、前記移動ロボットが前記コンテナに近づく方向に平行な方向を前方として、前記前方に向かって左右方向に移動可能である。前記適正位置表示手段は、前記前方へ第1の光を照射して、前記コンテナの背面に前記第1の光が当たった際に、前記背面に当たった前記第1の光の位置を表示する第1表示手段と、前記台又は前記床面に第2の光を照射して、前記台上又は前記床面上に前記第2の光が当たった位置である、前記適正位置表示手段の位置に対する前記移動ロボットの適正位置を表示する第2表示手段とを有するとともに、前記移動ロボットが自動走行する際における基準位置として参照可能なリフレクタとしての機能を有する。
【0016】
本発明の第8観点に係る荷役システムは、第1観点に係る荷役システムにおいて、前記適正位置表示手段は、前記移動ロボットが載る移動台に設置され、前記移動台は、移動不能に固定した状態と、前記移動ロボットが前記コンテナに近づく方向に平行な方向を前方として、前記前方に向かって左右方向に移動可能な状態とを切り替え可能である。
【0017】
本発明の第9観点に係る荷役システムは、第8観点に係る荷役システムにおいて、前記移動台は、ストッパ付きキャスタを備え、前記ストッパを作動させることで前記移動不能に固定した状態となり、前記ストッパを解除することで前後方向及び左右方向に自在に移動可能となる。
【0018】
本発明の第10観点に係る荷役方法は、コンテナ専用トラックのコンテナ内とプラットフォーム上との間で荷役作業を行う荷役方法であって、前記荷役作業を行う荷役装置は、荷物をハンドリング可能なロボットアームを有するロボットを無人搬送車上に搭載した移動ロボットを含む。前記移動ロボットが前記トラックのコンテナに近づく方向に平行な方向を前方として、前記前方に向かって左右方向に移動可能である、前記移動ロボットが載る台又は床面に設置された適正位置表示手段が、前記前方へ第1の光を照射し、前記コンテナの背面の前記第1の光が当たった位置が前記背面の所定位置ではない場合には、前記第1の光が当たった位置が前記背面の所定位置となるように前記適正位置表示手段を前記左右方向に移動させるステップと、前記適正位置表示手段が、前記台又は前記床面に第2の光を照射して、前記台上又は前記床面上に前記第2の光が当たった位置である、前記適正位置表示手段の位置に対する前記移動ロボットの適正位置を表示するステップと、前記台上又は前記床面上に表示された前記適正位置に前記移動ロボットを移動させるステップと、前記移動ロボットが自律走行して前記コンテナ内に進入し、前記移動ロボットが前記荷役作業を行うステップとを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る荷役システム及び荷役方法は、コンテナ専用トラックのコンテナ内とプラットフォーム上との間で荷役作業を行う荷役装置が、荷物をハンドリング可能なロボットアームを有するロボットを無人搬送車上に搭載した移動ロボットを含む。前記移動ロボットの外部に設置された、コンテナ専用トラックのコンテナの位置に対する前記移動ロボットの適正位置を表示する適正位置表示手段を備え、前記移動ロボットを前記適正位置に位置合わせした後に、前記移動ロボットが自律走行する。
【0020】
トラックバースに停車したコンテナ専用トラックのコンテナと前記移動ロボットとが、トラックバースに近接するプラットフォームの周縁部に平行な方向へ相対的に位置ずれしている場合であっても、前記適正位置表示手段により、前記コンテナの位置に対する適正位置に、前記移動ロボットを迅速に位置合わせすることができる。そして、前記コンテナの位置に対して適正位置に位置合わせされた前記移動ロボットが自律走行して前記コンテナ内に進入し、荷役作業を行う。
【0021】
従って、前記コンテナと前記移動ロボットとが、トラックバースに近接するプラットフォームの周縁部に平行な方向へ相対的に位置ずれしている場合における、自律走行して荷役作業を行う前記移動ロボットの異常停止を抑制できるので、コンテナ車の運転手を拘束する時間が増大しない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る荷役システムがコンテナからの荷物の取り出し作業を行う例の概要を示す斜視図である。
図2】荷物をハンドリング可能なロボットアームを有するロボットを無人搬送車上に搭載した移動ロボットの斜視図である。
図3】移動台の斜視図である。
図4】適正位置表示手段の位置に対する移動台上の適正位置に移動ロボットを移動させた状態を示す斜視図である。
図5】適正位置表示手段を用いてコンテナの位置に対する移動ロボットの適正位置に移動ロボットを移動させた状態を示す斜視図である。
図6】適正位置表示手段まわりの要部拡大図である。
図7】後退落下防止リフレクタの取付方法の一例を示す斜視図である。
図8】適正位置表示手段を固定台に設置した例を示す斜視図である。
図9】適正位置表示手段を床面に設置した例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
以下の実施形態において、プラットフォームPからトラックバースTに停車したコンテナ専用トラックBのコンテナCに向かう方向(移動ロボット3がコンテナCに近づく方向)に平行な方向を前(図中矢印Fが前方)とし、前方Fに向かって左右を定義する。すなわち、左右方向は、トラックバースTに近接するプラットフォームPの周縁部PPに平行な方向となる。
【0025】
<荷役システム及び荷役装置>
図1に示す荷役システム1は、トラックバースTに停車したコンテナ専用トラックBのコンテナC内とプラットフォームP上との間で荷役作業を行う。前記荷役作業を行う荷役装置2は、移動ロボット3、図示しない前後方向に伸縮可能な伸縮コンベア、並びに移動台11等を備える。図1は、コンテナCからの荷物Nの取り出し作業を行う例の概要を示している。
【0026】
<コンテナ>
コンテナCは、国際規格(ISO 668:2020)に準じて製造されたものであり、最も標準的な、いわゆる海上コンテナ(ISOコンテナ)である。コンテナCの幅は、8フィート(2,438mm)である。コンテナCは、背面扉Dを開閉することができる。
【0027】
<移動ロボット>
図1及び図2に示すように、移動ロボット3は、無人搬送車4上にロボット5を搭載したものであり、車載コンベアJを備える。無人搬送車4は、自律移動式であり、環境地図における自己位置を推定する自己位置推定機能を有する。ロボット5は、荷物Nをハンドリング可能なロボットアーム7を有する。
【0028】
<無人搬送車>
図2に示すように、無人搬送車4は、レーザスキャナ10A,10Bを備える。レーザスキャナ10Aは、例えば無人搬送車4の左前方の角付近に取り付けられ、レーザスキャナ10Bは、例えば無人搬送車4の右後方の角付近に取り付けられる。
【0029】
レーザスキャナとしては、例えばLiDAR(Light Detection And Ranging)を用いることができる。このようなレーザスキャナによれば、周囲をレーザ光で走査し、レーザ光が反射されて戻ってくるまでの時間を測定することによって、周囲の物体及び障害物等の形状や距離を取得することが可能となる。従って、レーザスキャナを用いることによって、周囲の障害物を検知することが可能となる。
【0030】
無人搬送車4は、レーザスキャナ10A,10Bで取得されたテータに基づいて、いわゆるSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)走行可能である。すなわち、無人搬送車4は、レーザスキャナ10A,10Bで取得されたデータに基づいて環境地図作成(Mapping)をし、自己位置推定(Localization)することで、自律走行する。このように、レーザスキャナ10A,10Bは、障害物を検知する障害物センサSとしての機能と、SLAM走行用センサとしての機能を兼ね備えている。
【0031】
<ロボット>
図1及び図2に示すように、ロボット5は、旋回軸6、及びロボットアーム7からなる、例えば垂直多関節型であり、荷役作業用のロボットハンド8及びカメラ9等を備える。カメラ9は、ハンドリング対象の荷物Nを撮像する。
【0032】
<車載コンベア>
図1及び図2に示す車載コンベアJは、前後方向に荷物Nを搬送可能なコンベアであり、例えばローラコンベアである。車載コンベアJは、ロボット5により車載コンベアJの前方に載置された荷物Nを、車載コンベアJに接続された、図示しない後方の伸縮コンベアへ搬送する。あるいは、前記伸縮コンベアから送られてきた荷物Nを、ロボットアーム7でハンドリング可能な前方位置まで搬送する。
【0033】
<移動台>
図1及び図3に示す移動台11は、昇降装置14、ストッパ付きキャスタ15、横行車輪16、及び操作ハンドル17等を備える。移動台11は、プラットフォームP上を前後方向及び左右方向等に自在に移動可能であり、所定位置に位置決めした状態で固定される。
【0034】
昇降装置14により移動台11の移動ロボット3が載る部分が昇降する。それにより、コンテナCの床面の高さに移動台11の高さを合わせることができる。昇降装置14を、移動台11の移動ロボット3が載る部分の下方ではなく、前記移動ロボット3が載る部分の左右側方へ配置している。それにより、移動台11の移動ロボット3が載る部分を低床化できるので、前記移動ロボット3が載る部分の高さをコンテナCの床面の高さに合わせやすい。
【0035】
図3に示す移動台11において、ストッパ付きキャスタ15がプラットフォームPに接地し、横行車輪16は浮いている。この状態で、キャスタ15のストッパを解除することで移動台11は前後方向及び左右方向等に自在に移動可能となる。移動台11を移動させた後にストッパを作動させることで移動台11は移動後の位置に固定される。
【0036】
図3に示す操作ハンドル17の操作により、キャスタ15が接地して横行車輪16が浮いた状態と、横行車輪16が接地してキャスタ15が浮いた状態とを切り替えることができる。
【0037】
すなわち、図3の状態から操作ハンドル17を例えば180度回動させて固定すると、キャスタ15が浮いて横行車輪16がプラットフォームPに接地する。その状態では、横行車輪16により移動台11を左右方向に移動させることができる。
【0038】
移動台11を左右方向に移動させた後に、操作ハンドル17を逆方向へ回動させて元の位置に戻して固定すると、横行車輪16が浮いてキャスタ15がプラットフォームPに接地する。キャスタ15のストッパを作動させることで移動台11はその位置に固定される。
【0039】
以上のとおり、移動台11は、横行車輪16を浮かせてストッパ付きキャスタ15を接地させてストッパを解除し、前後方向及び左右方向等に自在に移動可能な状態、ストッパ付きキャスタ15を接地させてストッパを作動させた固定状態、ストッパ付きキャスタ15を浮かせて横行車輪16を接地させた左右方向に移動可能な状態、の3つの状態があり、それらの状態を容易に切り替えることができる。
【0040】
図1及び図3に示すように、移動台11の移動ロボット3が載る部分は水平面であり、移動ロボット3はスロープ18を経て前記水平面上に載る。コンテナC内とプラットフォームP上との間で荷役作業を自律走行で行う移動ロボット3が自律走行を開始する位置は、前記荷役作業に支障をきたす恐れをなくすために、水平面にする必要がある。
【0041】
すなわち、前記荷役作業を自律走行で行う移動ロボット3が自律走行を開始する位置が傾斜面であると、無人搬送車4の車体の傾き角度を検出し、自己位置推定時にその検出結果を考慮する必要がある。例えば前記車体が水平面に位置する場合と前記車体が傾斜面に位置する場合とではリフレクタまでの距離が異なるので補正する必要があり、前記車体の傾きを正しく検出できない等の理由により自己位置推定の精度が悪化する恐れがある。自己位置推定の精度が悪化すると、前記荷役作業に支障が生じる。
【0042】
<適正位置表示手段>
図3図5に示すように、移動台11の移動ロボット3が載る部分の左右には適正位置表示手段Aが設置される。適正位置表示手段Aは、図3図6に示す左右方向のリニアガイドU1により支持される。リニアガイドU1は、移動台11の移動ロボット3が載る部分の左右のフレーム20に取り付けられる。したがって、適正位置表示手段Aは、移動台11の移動ロボット3が載る部分に対して左右方向に移動可能である。
【0043】
適正位置表示手段Aは、移動台11の後部に配置される。その理由は、移動台11の前部は安全エリアに設定されていることから、適正位置表示手段Aを移動台の前部に設置すると、自動モードにした移動ロボット3が自律走行する際に適正位置表示手段Aを障害物と誤検知してしまうためである。また、移動ロボット3が荷役作業を行う際、及びコンテナCの背面扉Dを開閉する際に、適正位置表示手段Aとの干渉を回避するためである。
【0044】
図5及び図6に示すように、適正位置表示手段Aは、第1表示手段H1、第2表示手段H2、及び第3表示手段H3を有する。
【0045】
(第1表示手段)
第1表示手段H1は、例えば半導体レーザによるレーザポインタから前方Fへ第1の光L1を照射して、コンテナCの背面Eに第1の光L1が当たった際に、背面Eに当たった第1の光L1の位置G1を表示する。第1の光L1をレーザポインタで照射してコンテナCの背面Eに当たった位置G1を表示することにより、より迅速かつ正確に、位置G1を高い視認性で表示できる。
【0046】
(第2表示手段)
第2表示手段H2は、例えば半導体レーザによるレーザポインタから移動台11に第2の光L2を照射して、移動台11上に第2の光L2が当たった位置G2である、適正位置表示手段Aの位置に対する移動ロボット3の適正位置を表示する。第2の光L2をレーザポインタで照射して移動台11上に当たった位置G2を表示することにより、より迅速かつ正確に、位置G2を高い視認性で表示できる。
【0047】
(第3表示手段)
第3表示手段H3は、第1表示手段H1から前方Fへ照射した第1の光L1が当たったコンテナCの背面Eの位置G1が背面Eの所定位置Mとなるように、適正位置表示手段Aを左右方向に移動させた移動量を表示する。第3表示手段H3は、図6に示すように、例えばアナログのスケールである。
【0048】
図5は、適正位置表示手段Aを用いて、コンテナCの位置に対する移動ロボット3の適正位置に移動ロボット3を移動させた状態を示している。その状態では、コンテナCの背面Eに当たった第1の光L1の位置G1は、コンテナCの背面Eの所定位置Mと一致している。背面Eの所定位置Mは、本実施形態では、背面扉Dを支持する枠体の左右方向の中央である。
【0049】
(適正位置表示手段に対する移動ロボットの適正位置への配置)
図3に示す状態において、左右の適正位置表示手段Aは、移動台11の移動ロボット3が載る部分に対して位置決めされた基準位置にある。適正位置表示手段Aの位置に対する適正位置に移動ロボット3を配置する必要がある。
【0050】
移動ロボット3を前記適正位置に配置するためには、図3に示す、適正位置表示手段Aの第2表示手段H2による第2の光L2が当たった位置G2、又は所定の線Kやマーク等により示された左右方向の基準位置を目指して移動ロボット3を移動させる。この移動ロボット3の移動は、例えば移動ロボット3を手動モードにして手動操作で移動させる。図4は、移動ロボット3を、適正位置表示手段Aの位置に対する適正位置に配置した状態を示している。
【0051】
(コンテナに対する移動ロボットの適正位置への配置)
図4に示す移動台11及び移動ロボット3に対して、トラックバースTにコンテナ専用トラックBが停車した際には、トラックBのコンテナCと移動ロボット3との、左右方向の相対的な位置ずれが、しばしば発生する。その状態では、適正位置表示手段Aの第1表示手段H1から前方Fへ照射した第1の光L1がコンテナCの背面Eに当たった位置G1は、コンテナCの背面Eの所定位置Mから左右方向へずれている。あるいは、第1の光L1はコンテナCの背面Eから外れている。
【0052】
適正位置表示手段Aは左右方向に移動可能であるので、適正位置表示手段Aを左右方向に移動させることで、第1の光L1がコンテナCの背面Eに当たった位置G1をコンテナCの背面Eの所定位置Mに容易に合わせることができる。
【0053】
適正位置表示手段Aを左右方向に移動させると、適正位置表示手段Aの第2表示手段H2から照射した第2の光L2が移動台11上に当たった位置G2も移動する。これは適正位置表示手段Aと第2の光L2が当たった位置G2との左右方向の距離が常に一定となるように設定されているためである。移動ロボット3を手動モードにし、移動台11上の第2の光L2の位置G2を目指して手動操作で移動ロボット3を移動させる。それにより、コンテナCに対する適正位置に、移動ロボット3を迅速に位置合わせすることができる。
【0054】
なお、移動台11及び移動ロボット3に対して、トラックバースTにコンテナ専用トラックBが停車した際にトラックBのコンテナCと移動ロボット3とは、左右方向へ相対的に位置ずれしていないこともある。その場合は、言うまでもなく適正位置表示手段Aの上記左右方向の移動、及び移動ロボット3の位置合わせは不要である。適正位置表示手段Aは、移動ロボット3が適正位置に合っているかどうかの確認手段として利用できる。
【0055】
コンテナCに対する適正位置への移動ロボット3の移動は、手動モードではなく、第2表示手段H2により表示された第2の光L2が移動台11上に当たった位置G2を移動ロボット3が認識して、自動で前記適正位置へ移動させるようにしてもよい。
【0056】
しかし、移動ロボット3を手動操作で移動させることにより、移動ロボット3を自動モードで移動させる場合における以下の不具合を解消できるので、移動ロボット3を手動操作で移動させるのがより好ましい実施態様である。すなわち、移動ロボット3を自動モードで移動させる場合には、移動ロボット3が位置合わせ動作を行った際に、ふらついて周辺機器に接近した場合、障害物センサSが働いて周辺機器を障害物と認識して停止する恐れがある。
【0057】
<移動ロボットが行う荷役作業前の準備の例>
コンテナCに対する適正位置に移動ロボット3を配置した後、車載コンベアJに前記伸縮コンベアを接続する。次に、コンテナCの背面扉Dを開放し、昇降装置14により移動台11を上昇させる。次に、フラップ19を図5の位置から前方へ回動させてコンテナCの床面に架け渡した後、フラップ19が水平になるように昇降装置14により移動台11の高さを調整する。次に、図7に示すように移動台11の取付穴Iに後退落下防止リフレクタQのピンOを挿入する。それらにより、自動モードにした移動ロボット3が自律走行して荷役作業を行う前の準備が完了する。
【0058】
後退落下防止リフレクタQを移動ロボット3の後方に設置することにより、移動ロボット3の無人搬送車4のレーザスキャナ10Bの検知エリアの検出により、無人搬送車4が後退してスロープ18から落下することを防止できる。
【0059】
以上の説明における、適正位置表示手段Aを用いたコンテナCに対する移動ロボット3の適正位置への配置では、図5に示すコンテナCの背面扉Dを閉じた状態で、適正位置表示手段Aの第1表示手段H1が前方Fへ第1の光L1を照射して、コンテナCの背面Eに光L1の位置G1を表示している。そして、前記荷役作業前の準備の例のように、コンテナCに対する適正位置に移動ロボット3を配置した後に、コンテナCの背面扉Dを開放している。
【0060】
適正位置表示手段Aの第1表示手段H1が前方Fへ第1の光L1を照射する前に、コンテナCの背面扉Dを開放してもよい。その場合においても、適正位置表示手段Aの第1表示手段H1は前方Fへ第1の光L1を照射して、コンテナCの背面Eに当たった第1の光L1の位置G1を表示し、背面Eの所定位置Mは、背面扉Dを支持する枠体の左右方向の中央である。適正位置表示手段Aの第1表示手段H1が前方Fへ第1の光L1を照射する前に、コンテナCの背面扉Dを開放している場合は、移動ロボット3が行う荷役作業前の準備において、コンテナCの背面扉Dを開放する必要はない。
【0061】
<荷役作業>
荷役作業前の準備が完了した後、移動ロボット3を自動モードにし、移動ロボット3がコンテナC内に自律走行して進入し、荷役作業を行う。移動ロボット3が自律走行を開始する位置では、移動ロボット3は、適正位置表示手段Aを用いて、コンテナCの位置に対して適正位置に位置合わせされている。従って、コンテナCと移動ロボット3との左右方向へ相対的に位置ずれに基づく移動ロボット3の異常停止を抑制できる。
【0062】
<適正位置表示手段のリフレクタとしての機能>
適正位置表示手段Aには全方向へ強反射するシールを貼付している。それにより、適正位置表示手段Aは、移動ロボット3が自動走行する際における基準位置として参照可能なリフレクタRとしての機能も有する。
【0063】
すなわち、第1表示手段H1によるコンテナCの背面Eに当たった第1の光L1の位置G1をコンテナCの背面Eの所定位置Mに合わせるように適正位置表示手段Aを左右方向へ移動させた状態では、コンテナCの位置に対して、リフレクタRとして機能する適正位置表示手段Aの左右方向の位置が定まっている。従って、移動ロボット3が自動走行する際における基準位置として適正位置表示手段Aを参照可能である。
【0064】
このように、適正位置表示手段Aは、移動ロボット3が自律走行を開始する位置する、コンテナCの位置に対する適正位置を表示するとともに、移動ロボット3が自動走行する際における基準位置となる。それにより、前記適正位置に移動ロボット3を迅速に位置合わせできるとともに、移動ロボット3の自動走行時には、左右方向は自律走行を開始する位置である前記適正位置を保持したままコンテナCに向かって走行できるので、移動ロボット3はスムーズに荷役作業に移行することができる。
【0065】
リフレクタRとしての機能も有する適正位置表示手段Aの形状は、図6のような四角柱状のポールに限定されるものではなく、円柱状等のポールであってもよい。あるいは、コンテナC側の第1平面と移動台11側の第2平面とを有する、壁が2面ある平面視L字状のもの等であってもよく、その場合には、前記第1平面及び前記第2平面に、全方向へ強反射するシールを貼付する。
【0066】
移動ロボット3はコンテナCの地図を記憶しているが、コンテナCに荷物Nが目いっぱい収容されている場合は、記憶しているコンテナCの壁を頼りに自律走行することができない。そこで、コンテナCの外に設置している左右の適正位置表示手段Aに、前記のとおりリフレクタRとしての機能も持たせ、それらを地図に登録する。リフレクタRは強反射体であるため、目印(他の物体と区別できる)として地図に登録することができる。
【0067】
従って、コンテナCの壁等が見えない状態でも、リフレクタRである適正位置表示手段Aを基準にレーザスキャナ10A,10Bを搭載する移動ロボット3が自律走行できる。具体的には、移動ロボット3が自律走行する際には、前方及び後方のレーザスキャナ10A,10Bが検出範囲に存在するリフレクタRまでの距離を測定し、両レーザスキャナ10A,10Bの距離データを統合して、記憶しているリフレクタRの位置と照合することで、自己位置及び上下軸まわりに回転する方向への姿勢のずれを正確に把握しながら自律走行できる。
【0068】
また、コンテナC内の荷物Nの収容状況により、コンテナCの壁を一定面積以上検出できる状態にある場合は、前方のレーザスキャナ10A及び後方のレーザスキャナ10Bにより、検出範囲内にあるコンテナCの壁までの距離データも取得する。以上の前方のレーザスキャナ10Aによる測定データと、後方のレーザスキャナ10Bによる測定データとを統合し、記憶している壁及びリフレクタRの位置と照合することで、自己位置、及び上下軸まわりに回転する方向への姿勢のずれを正確に把握しながら自律走行できる。
【0069】
<移動ロボットの移動だけでは前記位置ずれ量を修正できない場合>
トラックBのコンテナCと移動ロボット3との左右方向の相対的な位置ずれ量が大きい場合、第1表示手段H1による第1の光L1がコンテナCの背面Eに当たった位置G1をコンテナCの背面Eの所定位置Mに合わせるための、適正位置表示手段Aの左右方向への移動量(その値をXとする)が大きくなる。
【0070】
適正位置表示手段Aを左右方向に移動させると、適正位置表示手段Aの第2表示手段H2から照射した第2の光L2が移動台11上に当たった位置G2も移動するので、前記移動量Xが大きい場合には、移動台11上の移動ロボット3を左右方向に移動させるだけでは、移動ロボット3を位置G2で示された適正位置に移動させることができない。例えば、図4及び図5に示す左右のフレーム20により移動ロボット3の左右方向の移動が規制されるためである。
【0071】
移動ロボット3の左右方向の移動が規制されるか否かは、適正位置表示手段Aの左右方向の移動量Xが図6の第3表示手段H3により表示されるので、移動量Xの正確な値を確認できる。
【0072】
第3表示手段H3により表示された移動量Xの値が所定の値よりも大きく、移動ロボット3の左右方向の移動が規制される場合、前記のとおり移動台11は左右方向に移動可能であるので、例えば位置G2で示された適正位置への移動ロボット3の左方への移動が規制される状況である場合には、操作ハンドル17を操作して横行車輪16を接地させ、移動台11を左方へ移動量Xだけ移動させる。
【0073】
移動台11を左方へ移動量Xだけ移動させた後、操作ハンドル17を操作してストッパ付きキャスタ15を接地させ、ストッパを作動させて移動台11を固定する。その状態で、第1表示手段H1による第1の光L1がコンテナCの背面Eに当たった位置G1をコンテナCの背面Eの所定位置Mに合わせるように、適正位置表示手段Aを左右方向へ移動させる。そして、第2表示手段H2による第2の光L2が移動台11上に当たった位置G2に移動ロボット3を移動させる。それにより、移動ロボット3は、コンテナCに対する適正位置に移動する。
【0074】
なお、移動台11を移動量Xだけ移動させた後に、コンテナCと移動ロボット3とは、左右方向へ相対的に位置ずれしていないこともある。その場合は、言うまでもなく適正位置表示手段Aの上記左右方向の移動、及び移動ロボット3の位置合わせは不要である。適正位置表示手段Aは、移動ロボット3が適正位置に合っているかどうかの確認手段として利用できる。
【0075】
以上の説明においては、図4に示すように、移動台11上に移動ロボット3を載せ、移動台11に設置した適正位置表示手段Aに対する適正位置に移動ロボット3を配置した後に、コンテナ専用トラックBがトラックバースTに停車する場合の例を示した。本発明は、このような例に限定されるものではない。
【0076】
すなわち、コンテナ専用トラックBがトラックバースTに停車した後、その停車位置に合わせて移動台11を移動させ、移動台11を固定した後に、移動ロボット3を適正位置表示手段Aに対する適正位置に配置してもよい。その後、適正位置表示手段Aを用いて、トラックBのコンテナCに対する適正位置に、移動ロボット3を位置合わせする。
【0077】
あるいは、コンテナ専用トラックBがトラックバースTに停車した後、その停車位置に合わせて移動台11を移動させ、移動台11を固定する。その後、適正位置表示手段Aを左右方向に移動させて第1表示手段H1によりコンテナCの背面に表示された位置G1を所定位置Mに合わせる。次に、第2表示手段H2により移動台11上に表示された位置G2を目指して、移動ロボット3をスロープ18から移動台11上に移動させるようにしてもよい。
【0078】
<適正位置表示手段を移動台以外に設置する例>
適正位置表示手段Aは、移動台11ではなく、図8に示すような固定台12に設置してもよい。適正位置表示手段Aは、固体台12上に設けた左右方向のリニアガイドU2により支持されているので、左右方向に移動可能である。
【0079】
適正位置表示手段Aは、移動台11又は固定台12ではなく、図9に示すような床面13に設置してもよい。適正位置表示手段Aは、床面13上に設けた左右方向のリニアガイドU3により支持されているので、左右方向に移動可能である。
【0080】
<複数位置に停車したコンテナ専用トラックに対する荷役作業の例>
図8は、トラックバースTに停車するコンテナ専用トラックBの左右方向の複数の位置(図8の例では2箇所)で、共通の固定台12、適正位置表示手段A及び移動ロボット3を用いる例を示している。
【0081】
適正位置表示手段AをリニアガイドU2に沿って右方へ移動させることで、図8に示すトラックBの右方に停車したトラックBのコンテナCに対しても、適正位置表示手段Aにより、コンテナCの位置に対する移動ロボット3の適正位置を表示できる。
【0082】
移動ロボット3は、図8に示すトラックBの荷役作業が完了した後、移動ロボット3の車載コンベアJから図示しない伸縮コンベアを取り外し、移動ロボット3を固定台12上で右方へ移動させる。
【0083】
図9は、トラックバースTに停車するコンテナ専用トラックBの左右方向の複数の位置(図9の例では2箇所)で、共通の適正位置表示手段A及び移動ロボット3を用いる例を示している。
【0084】
適正位置表示手段AをリニアガイドU3に沿って右方へ移動させることで、図9に示すトラックBの右方に停車したトラックBのコンテナCに対しても、適正位置表示手段Aにより、コンテナCの位置に対する移動ロボット3の適正位置を表示できる。
【0085】
移動ロボット3は、図9に示すトラックBの荷役作業が完了した後、移動ロボット3の車載コンベアJから図示しない伸縮コンベアを取り外し、移動ロボット3を床面13上で右方へ移動させる。
【0086】
図3のような移動台11を用いる場合は、ストッパ付きキャスタ15を接地させた状態で、移動台11がプラットフォームP上を前後方向及び左右方向等に自在に移動可能であることから、トラックバースTの任意の場所に停車したコンテナ専用トラックBに対して移動台11が遠方にある場合であっても、コンテナ専用トラックBのコンテナCの位置まで移動台11を移動させることができる。そして、適宜位置に移動した移動台11に設置された適正位置表示手段Aにより、コンテナCの位置に対する移動ロボット3の適正位置を表示できる。
【0087】
以上の実施形態の記載はすべて例示であり、これに制限されるものではない。本発明の範囲から逸脱することなく種々の改良及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0088】
1 荷役システム
2 荷役装置
3 移動ロボット
4 無人搬送車
5 ロボット
6 旋回軸
7 ロボットアーム
8 ロボットハンド
9 カメラ
10A,10B レーザスキャナ
11 移動台
12 固定台
13 床面
14 昇降装置
15 ストッパ付きキャスタ
16 横行車輪
17 操作ハンドル
18 スロープ
19 フラップ
20 フレーム
A 適正位置表示手段
B コンテナ専用トラック
C コンテナ
D 背面扉
E 背面
F 前方
G1 第1の光が当たった位置
G2 第2の光が当たった位置
H1 第1表示手段
H2 第2表示手段
H3 第3表示手段
I 取付穴
J 車載コンベア
K 適正位置表示手段の位置に対する移動ロボットの適正位置を表示する線
L1 第1の光
L2 第2の光
M 背面の所定位置
N 荷物
O ピン
P プラットフォーム
PP プラットフォームの周縁部
Q 後退落下防止リフレクタ
R リフレクタ
S 障害物センサ
T トラックバース
U1,U2,U3 リニアガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9