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特開2024-147906ダクト用継目カバー、ダクト接続構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147906
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】ダクト用継目カバー、ダクト接続構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
F16L57/00 A
F16L57/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060641
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山口 悟史
【テーマコード(参考)】
3H024
【Fターム(参考)】
3H024AA03
3H024AB02
3H024AC04
3H024CA03
(57)【要約】
【課題】構成を単純化したダクト用継目カバーを提供する。
【解決手段】設置対象面に固定されるベース部2と、前記ベース部2に係合により取り付けられるダクト部3と、に適用され、前記ベース部2に対し係合により取り付けられ、長手方向に並ぶ2本の前記ダクト部3,3の継目を外方から覆う、ダクト用継目カバー4である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置対象面に固定されるベース部と、前記ベース部に係合により取り付けられるダクト部と、に適用され、
前記ベース部に対し係合により取り付けられ、長手方向に並ぶ2本の前記ダクト部の継目を外方から覆う、ダクト用継目カバー。
【請求項2】
前記ベース部が、前記設置対象面の反対側に突出した係合爪を有しており、
前記係合爪に対し、内方から係合する内爪部と、外方から係合する外爪部と、を有する、請求項1に記載のダクト用継目カバー。
【請求項3】
前記内爪部及び前記外爪部を支持し、前記継目を外方から覆う覆い部を有し、
前記ベース部と前記ダクト部とにより形成される空間には配管が配置され、
前記内爪部の一部、及び、前記覆い部の一部は、前記継目カバーを前記ベース部に取り付ける際に、前記内爪部が前記配管の外周面に当接して外方に移動するように変形し、その後内方に移動して復帰する弾性を有する、請求項2に記載のダクト用継目カバー。
【請求項4】
前記内爪部及び前記外爪部は、前記継目カバーの前記ベース部への取り付け状態における長手方向で、前記継目カバーにおける全長よりも小さく形成されている、請求項2に記載のダクト用継目カバー。
【請求項5】
設置対象面に固定されるベース部と、
前記ベース部に係合により取り付けられるダクト部と、
前記ベース部に係合により取り付けられ、長手方向に並ぶ2本のダクト部の継目を覆う、ダクト用継目カバーと、を備えるダクト接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調用等の配管を覆うダクトに対して適用される、ダクト用継目カバー及びダクト接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁面等に配管を沿わせて配置するため、例えば、特許文献1に記載された構造が採用されることがある。この構造では、壁面に平らな形状の取付け基材を固定しておき、この取付け基材に断面U字状の蓋部材を嵌合により取り付ける。配管は取付け基材と蓋部材との間に形成される空間に、例えば取付け基材に固定されることで配置される。
【0003】
ここで、長手方向に複数の取付け基材及び蓋部材を接続する場合、特許文献1に記載の構造では、隣り合う2個の取付け基材の間に、取付け基材とは別形状とされた平らな形状の取付け部材を、壁面に固定させて介在させ、この取付け部材に対し、隣り合う2個の蓋部材の端部を外方から覆うようなカバー部材を嵌合により取り付けていた。
【0004】
しかしこのような従来の構造では、壁面に対して形状の異なる取付け基材(蓋部材が嵌合)と取付け部材(カバー部材を嵌合)を別に固定していたため、継目ごとにカバー部材用の取付け部材が必要となることから、配管配置のための構成点数が多くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】意匠登録第1026011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、ダクト接続構造における継目部分の構成を単純化できるダクト用継目カバー、及び、これを備えたダクト接続構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、設置対象面に固定されるベース部と、前記ベース部に係合により取り付けられるダクト部と、に適用され、前記ベース部に対し係合により取り付けられ、長手方向に並ぶ2本の前記ダクト部の継目を外方から覆う、ダクト用継目カバーである。
【0008】
また本発明は、設置対象面に固定されるベース部と、前記ベース部に係合により取り付けられるダクト部と、前記ベース部に係合により取り付けられ、長手方向に並ぶ2本のダクト部の継目を覆う、ダクト用継目カバーと、を備えるダクト接続構造である。
【0009】
これらの構成によれば、ダクト部を取り付けるためのベース部でダクト用継目カバーを支持できる。
【0010】
また前記ダクト用継目カバーでは、前記ベース部が、前記設置対象面の反対側に突出した係合爪を有しており、前記係合爪に対し、内方から係合する内爪部と、外方から係合する外爪部と、を有することもできる。
【0011】
この構成によれば、ベース部の係合爪に対し、ダクト用継目カバーを内外の両方から係合できるので、確実な取り付けが可能である。
【0012】
また前記ダクト用継目カバーでは、前記内爪部及び前記外爪部を支持し、前記継目を外方から覆う覆い部を有し、前記ベース部と前記ダクト部とにより形成される空間には配管が配置され、前記内爪部の一部、及び、前記覆い部の一部は、前記継目カバーを前記ベース部に取り付ける際に、前記内爪部が前記配管の外周面に当接して外方に移動するように変形し、その後内方に移動して復帰する弾性を有することもできる。
【0013】
この構成によれば、配管が配置された状態であっても、問題なくダクト用継目カバーの取り付けが可能である。
【0014】
また前記ダクト用継目カバーでは、前記内爪部及び前記外爪部は、前記継目カバーの前記ベース部への取り付け状態における長手方向で、前記継目カバーにおける全長よりも小さく形成されていることもできる。
【0015】
この構成によれば、ダクト用継目カバーを長手方向に捻るようにすることで、ダクト用継目カバーをベース部に対して回転させられるから、取り外しが必要な場合の作業性が良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、ダクト部を取り付けるためのベース部でダクト用継目カバーも支持できる。よって、ダクト接続構造における継目部分の構成を単純化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るダクト接続構造を示す斜視図である。
図2】前記ダクト接続構造におけるベース部につき、長手方向に2本並べた状態を示す斜視図である。
図3図1におけるIII-III矢視の断面図である。
図4】前記ダクト接続構造におけるダクト用継目カバーを示す斜視図である。
図5図4におけるV-V矢視の断面図である。
図6図1におけるVI-VI矢視の断面図である。
図7図6におけるVII-VII囲み部分の拡大図である。
図8】(a)は継目カバーに側方にずれようとする外力がかかった場合の説明図であり、(b)は継目カバーに先方向にずれようとする外力がかかった場合の説明図である。
図9】継目カバーを取り付ける場合の説明図である。
図10】継目カバーを取り外す場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明につき、実施形態に係るダクト接続構造1の一例を取り上げて説明を行う。なお、以下の説明で用いている内外の方向表現は、ダクト部3の内部空間を基準としたものである。また、長手方向、幅方向の表現は、ダクト接続構造1における方向である。また、ダクト接続構造1において壁面等の設置対象面Fに近い側を「元側」、その反対側を「先側」とする。
【0019】
図1に、本実施形態のダクト接続構造1を示す。このダクト接続構造1は、ベース部2、ダクト部3、ダクト用継目カバー(以下「継目カバー」)4、端部カバー5により構成されている。本実施形態では、前記各部2~4は樹脂製とされている。ベース部2は、従来と同様、家屋等の建物における設置対象面F(図3及び図6参照)に固定される。固定は、例えばねじ止め、接着、両面粘着テープ等の種々の手段で行うことができる。本実施形態における設置対象面Fは平面または平面に近い面である。ダクト部3も、従来と同様、ベース部2に係合(具体的には嵌合)により取り付けられる。本実施形態の継目カバー4は、このダクト接続構造1で用いられる。端部カバー5は、ダクト部3の端部を覆うように設けられ、例えば配管Pが設置対象面Fを貫通して屋内に導入される箇所を隠すためのものである。端部カバー5が有する切欠部51は、端部カバー5の設置箇所に段差が存在した場合、段差に沿うように端部カバー5を配置させるためのものである。
【0020】
ベース部2は、図2に示すように、設置対象面F(図2には示していない)に固定される板状の固定部21と、固定部21の幅方向両端において、設置対象面Fの反対側に対向して突出した一対の係合爪22を有している。係合爪22は、ベース部2が樹脂製の場合、例えば押出成形により形成されることで、ベース部2において、固定部21と一体で長手方向に連続して形成されている。この係合爪22に係合(嵌合)することで、図3に示すように、ベース部2にダクト部3が取り付けられる。係合爪22は、横断面形状が略S字状に湾曲して形成されている。図3に示すように、係合爪22のうち、横断面形状において内側に突出した部分が内側係合部221であり、内側係合部221の先側に連続して設けられていて、外側に突出した部分が外側係合部222である。このように、内側係合部221と外側係合部222は、離れておらず、隣接して存在する。係合爪22は、内側係合部221、外側係合部222の別々の2か所で継目カバー4の係合部42と係合する。係合爪22は、少なくとも内側係合部221よりも先端側の区間で、ベース部2の幅方向に変形可能な弾性を有している。
【0021】
ダクト部3は、詳細には説明しないが、横断面形状がU字形とされていて、このU字形状における開口部付近の位置に形成された係合突起31により係合爪22に係合(嵌合)可能とされている。ベース部2に、断面形状がU字形とされたダクト部3が取り付けられた状態において、ベース部2とダクト部3とにより形成される空間に、空調用配管等、設置対象面Fに沿わせて配置する必要のある配管P(ホース等)が配置される。配管Pは、例えば前記空間に設けられた固定具(図示しない)を介して、ベース部2に固定される。
【0022】
長手方向に複数のダクト部3を並べて配置する際、基本的には図2に示すように、継目を挟んだ一方のベース部2の端部と他方のベース部2の端部とが突き合わされて、両端部が当接するようにして配置される。なお、配管Pの配置に支障が生じない範囲で、多少の隙間を有するように配置されていてもよい。一方、ダクト部3は、図9に示すように、継目を挟んだ一方のダクト部3の端部と他方のダクト部3の端部との間に、長手方向で隙間(空間)3Sを有するよう配置される。本実施形態では隙間3Sの形成は必須であり、この隙間3Sには、継目カバー4における係合部42が入り込むため、隙間3Sの長手寸法が、係合部42の長手寸法以上に設定される必要がある。なお、隙間3Sの長手寸法が、係合部42の長手寸法より大きくても、継目カバー4の覆い部41の長手方向寸法よりも小さい限りは問題ない。また、ベース部2の継目とダクト部3の継目の位置は、必ずしも一致していなくてもよい。
【0023】
継目カバー4は、ベース部2に対し係合(具体的には嵌合)により、図1に示すように取り付けられる。継目カバー4は、長手方向に並ぶ2本のダクト部3の継目を外方から覆う。本実施形態のベース部2には、前述のようにダクト部3も取り付けられる。このため、ベース部2は、ダクト部3の取り付けと継目カバー4の取り付けとを兼用できる。ベース部2を基準とした場合、ベース部2の長手方向中央寄りの区間にダクト部3が取り付けられ、端部に継目カバー4が取り付けられる。前述のように、長手方向における一方のダクト部3の端部と他方のダクト部3の端部との間には隙間3Sが存在し、図9に示すように、この隙間3Sに継目カバー4における係合部42が入り込むから、ベース部2におけるダクト部3の取り付け位置と継目カバー4の取り付け位置は重複せずに異なっている。このように取り付け位置が異なることから、ダクト部3を取り付けるためのベース部2を利用して継目カバー4を支持できる。従って、ダクト接続構造1にて、継目カバー4を係合させるためのベース部2とは異なる別部材を用意する必要がない。
【0024】
継目カバー4は樹脂製であって、図4に示すように、横断面形状がU字形とされた覆い部41と、覆い部41の内面から内方に突出した係合部42とを備える。覆い部41は、前記U字形状における元側が略平板状とされた平板部411で、先側が湾曲部412とされている。覆い部41の内面形状は、ダクト部3の外面形状と略同一とされていて、ダクト部3と覆い部41との間で大きな寸法の隙間が生じないようにされている。継目カバー4がベース部2に取り付けられた際、覆い部41の元側端縁は、ベース部2の固定部21の元側端縁と同じ位置、またはやや先側に位置する。覆い部41の長手方向寸法は、長手方向で隣り合うダクト部3,3間の隙間3S(図9参照)の長手方向寸法よりも大きく形成されている。これにより、図1に示すように、覆い部41が長手方向で隣り合うダクト部3,3の各端部を外から覆って、ダクト接続構造1の内外を隔絶することができる。また、ダクト部3,3の各端部に、現場作業で生じた美観上良くない部分(例えばギザギザ状や、傾斜または湾曲した形状の切断端縁)があっても、覆い部41が覆うことにより、外部に現れないようにできる。
【0025】
係合部42は、覆い部41の内面における元側部分(図4での下部)に設けられている。つまり、係合部42における基端部は覆い部41に支持されている。本実施形態では、覆い部41と係合部42は一体に形成されている。係合部42の長手方向寸法は、覆い部41の長手方向寸法よりも小さく形成されている。このため、長手方向において隣り合うダクト部3,3間の隙間3Sに係合部42を配置させると共に、覆い部41のうち係合部42が突出していない部分が、隣り合うダクト部3,3の各端部を覆うことができる。係合部42は、覆い部41の長手方向で中央に設けられている。
【0026】
係合部42は、図6及び図7に示すように、ベース部2における係合爪22に対し、内方から係合する内爪部421と、外方から係合する外爪部422と、を有する。図2に示すように、内爪部421と外爪部422は別個に形成されている(ただし、リブ424により、両者は部分的につながっている)。内爪部421と外爪部422は、長手方向では継目カバー4の同一位置に形成されている。これにより、ベース部2に対する係合のための構造を、長手方向においてコンパクトにできる。よって、長手方向において隣り合うダクト部3,3間の隙間3Sを最低限の長さとすることができる。本実施形態の内爪部421の長手寸法と外爪部422の長手寸法は同一とされている。覆い部41の内面に接続される部分については、内爪部421の方が外爪部422よりも先側(図上での上方)にある。なお、本実施形態では、内爪部421に連続して設けられたリブ424は、外爪部422とつながっている。また、係合部42の横断面形状は長手方向で同一形状とされている。このため、係合部42をベース部2の係合爪22に係合した状態で、継目カバー4をベース部2に対して長手方向に移動させることができる。よって、継目カバー4の位置調整が容易である。
【0027】
内爪部421は、係合爪22の内側係合部221に対して係合する部分である。内爪部421には、覆い部41(平板部411)の内面に近い位置から先端側に向かって、第1部分4211、第2部分4212、第3部分4213、第4部分4214が連続的に形成されている。各部分は延長方向に同幅とされており、厚み寸法も延長方向でほぼ同じ板状とされている。第1部分4211は、継目カバー4の平板部411から略垂直に延びている。第1部分4211に対して直交して元側から先側に向かって延び、第1部分4211の元側が略台形板状(先側の一部が第1部分4211と略平行に延びて第2部分4212に接続されている)で先側が略直角三角形板状のリブ423が、第1部分4211及び平板部411と一体に設けられている。リブ423,424は、内爪部421の第1部分4211から遠い部分に比べ、近い部分の板厚が拡大するように形成されている。リブ425も同様に、外爪部422から遠い部分に比べ、近い部分の板厚が拡大するように形成されている。さらに、各リブ423~425は、覆い部41(平板部411)から近い部分に比べ、遠い部分の板厚が縮小するように形成されている。この形状は、樹脂成型時に覆い部41の外側面に波打ち等の変形が生じることを抑制するためである。なお、各リブ423~425の形状(板厚変化)はこれに限定されず、例えば均等な板厚とされた平板状であってもよい。第2部分4212は、第1部分4211の延長方向に対して傾斜して設けられており、先端に向かうにつれ元側(図上での下方)に延びている。第3部分4213は継目カバー4を向いた側の面が平板部411の内面と平行になっていて、反対側の面が湾曲面となっている。第4部分4214は、第3部分4213の先端に接続されていて第3部分4213よりも短い、爪状の部分であって、先端に向かうにつれ元側かつ平板部411に近づくように延びている。第4部分4214の先端は横断面視で湾曲形状とされている。第4部分4214の先端につき、長手方向の両端には、図5に示すような面取部4215が形成されている。この面取部4215は、本実施形態では直線状とされているが、湾曲(アール)形状とされていてもよい。
【0028】
内爪部421は、図7の矢印Aで示した部分等に示すように、係合爪22の内側係合部221よりも先端側の範囲に、第1部分4211の一部、第2部分4212、第3部分4213が内側または先側に沿うように位置し、内側係合部221に第3部分4213が当接し、内側係合部221の下方に第4部分4214が位置する状態になることで、係合爪22に対して係合状態(嵌合状態)となる。前記係合状態とすべく、継目カバー4をベース部2に取り付ける際に、内爪部421の一部(本実施形態では、特に第2部分4212)、及び、覆い部41の一部(具体的には湾曲部412)は、ベース部2に沿って既に配置された状態となっている配管P(図6に二点鎖線で示し、図9にも一部が現れている)の外周面に、内爪部421が当接して外方に移動するように変形し、その後内方に移動して復帰する程度の弾性を有する。この構成により、配管P(特に保温材が巻かれたことで径寸法が大きくなっている配管P)が配置された状態であっても、問題なく継目カバー4の取り付けが可能である。なお、第1部分4211については、リブ423,424と一体とされていることから、第2部分4212の変形を受けず不動の状態を保つ。なお、第2部分4212の変形を受けて、樹脂製である覆い部41の平板部411が撓むことはありえる。
【0029】
外爪部422は、係合爪22の外側係合部222に対して係合する部分である。外爪部422は、継目カバー4の平板部411から略垂直に延びていて、先端が元側に向かう鉤爪形状とされている。外爪部422の内側端は横断面視で湾曲形状とされている。内爪部421と同様、外爪部422の元側にも略台形板状のリブ425が形成されている。このリブ425と、外爪部422の先側に設けられたリブ424による補強で、外爪部422は変形しにくくなっている。
【0030】
外爪部422は、図7の矢印Bで示した部分に示すように、係合爪22に対する係合状態で、係合爪22の外側係合部222よりも元側に位置している。継目カバー4をベース部2に取り付ける際に、外爪部422は変形しない。一方、係合爪22の先端部分は、元側に移動する外爪部422に押されて、内方に移動するように変形し、その後外方に移動して復帰する。なおこの際、係合爪22の内側係合部221よりも先端側の範囲と、内爪部421の第2部分4212は変形可能であるから、外爪部422が元側に移動することに支障は生じない。
【0031】
以上のように、係合部42は、ベース部2における係合爪22に対し、内方から係合する内爪部421と、外方から係合する外爪部422と、を有する。この構成により、図8(a)に示すように、継目カバー4に側方(ベース部2の幅方向に沿う方向)にずれようとする外力F1がかかった場合、ベース部2の係合爪22(特に内側係合部221)に内爪部421が引っ掛かることにより、継目カバー4の側方へのずれが防止される。また、図8(b)に示すように、継目カバー4に先方向(ベース部2の固定部21における表面の法線方向)にずれようとする外力F2がかかった場合、ベース部2の係合爪22(特に外側係合部222)に外爪部422が引っ掛かることにより、継目カバー4のずれが防止される。このように、ベース部2の係合爪22に対し、継目カバー4を内外の両方から係合できるので、内外いずれかだけの係合に比べると、継目カバー4のベース部2への確実で継続的な取り付けが可能である。また、ねじ止めや接着を要さずに継目カバー4を取り付けることができるので、取り外しが必要になった場合の作業が容易である。
【0032】
係合部42(内爪部421及び外爪部422)は、長手方向(詳しくは、継目カバー4のベース部2への取り付け状態における長手方向)で、継目カバー4における全長よりも小さく形成されている。この構成により、図10に示すように、継目カバー4を長手方向に捻り、側方から見た場合で元側に対して先側を傾けるようにすること(動作M)で、継目カバー4をベース部2に対して回転させられるから、取り外しが必要な場合の作業性が良い。継目カバー4が捻られる場合、前記回転に係る運動支点は、継目カバー4における湾曲部412の内面の、長手方向端部で最も先側にある運動支点4Pとなる。この運動支点4Pがダクト部3の外面における最も先側の部分に当接する。一方、継目カバー4を取り付ける際には、図9に示すように、ベース部2及びダクト部3の長手方向に対して直交する方向に継目カバー4を移動させればよいので、取り付けの場合の作業性も良い。
【0033】
また、本実施形態では、内爪部421における第4部分4214の先端に面取部4215が形成されているので、第4部分4214の先端隅部が直角であるような角張った形状である場合に比べて、内側係合部221に対して内爪部421を元側から先側に乗り越えるきっかけを作りやすい。なお、前記乗り越えの際には、第2部分4212が撓むように変形する。よって面取部4215が、前記取り外しの作業性を良くすることに貢献できる。また、面取部4215を設けることで、第4部分4214の先端隅部の角の「尖り」が緩和されるため、継目カバー4の取り付け及び取り外しの際、内爪部421が擦れることで配管P(特に、配管Pの外周部に位置する保温材)が傷ついてしまうことを抑制できる。
【0034】
本実施形態の構成は以上の通りであって、この構成によれば、ダクト部3を取り付けるためのベース部2でカバーも支持できる。よって、ダクト接続構造1における継目部分の構成を単純化できる。
【0035】
また、従来では、ベース部2とは別の部材(継目カバー取り付け専用)を設置対象面Fに配置する必要があったため、前記別の部材の長さ分、実際に配管Pを覆うための寸法よりも短いダクト部3を用意しておかなければならないため不便であったが、本実施形態では、実際に配管Pを覆うための寸法にほぼ合わせてダクト部3を用意すればいいので、従来よりも利便性が向上している。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0037】
例えば、前記実施形態では、係合部42が内爪部421と外爪部422とを有していたが、内爪部421または外爪部422の一方だけを有するよう構成することもできる。また、前記実施形態の内爪部421は、第1部分4211~第4部分4214が形成されていたが、各部分の構成はこれに限定されず、4以外の数で部分が分かれていてもよい。
【0038】
また、前記実施形態はダクト用継目カバー4に適用された場合であった。しかし、内爪部と外爪部とを有する構成、または、内爪部の一部、及び、内爪部を支持する部分の一部につき、移動の際に、内爪部が配管Pの外周面に当接して外方に移動するように変形し、その後内方に移動して復帰する弾性を有する構成については、設置対象面Fに沿わせて配置された配管Pに対して適用される他の部材に適用することもできる。例えば、ベース部2とダクト部3またはダクト用継目カバー4との間に設けられ、配管Pをベース部2に固定するために用いられる固定具に対して前記構成を適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 ダクト接続構造
2 ベース部
21 固定部
22 係合爪
221 内側係合部
222 外側係合部
3 ダクト部
31 係合突起
3S ダクト部間の隙間
4 ダクト用継目カバー、継目カバー
41 覆い部
411 平板部
412 湾曲部
42 係合部
421 内爪部
4211 第1部分
4212 第2部分
4213 第3部分
4214 第4部分
4215 面取部
422 外爪部
423 リブ
424 リブ
425 リブ
5 端部カバー
F 設置対象面
P 配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10