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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147907
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060642
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】山根 康嗣
(72)【発明者】
【氏名】川本 哲裕
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS17
5H730BB13
5H730BB14
5H730DD04
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD31
5H730FD41
5H730FF01
5H730VV01
(57)【要約】
【課題】不要な電力の消費をできるだけ抑制し、かつ、発電の機会損失を抑制できる電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置A1において、一次側から入力される電力を変換して、二次側に出力する降圧コンバータ回路1と、降圧コンバータ回路1を制御する制御回路2とを備えた。制御回路2は、降圧コンバータ回路1の一次側電圧V1を監視する一次側電圧監視回路22と、降圧コンバータ回路1を駆動する駆動制御回路26と、一次側電圧監視回路22以外の監視回路および駆動制御回路26に電力が供給されるオン状態と供給されないオフ状態とで切り替えられるリレー27とを備える。一次側電圧監視回路22は、一次側電圧V1に基づいて、リレー27の切り替えを行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側から入力される電力を変換して、二次側に出力する変換回路と、
前記変換回路を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記変換回路の一次側電圧を監視する一次側電圧監視回路と、
前記変換回路を駆動する駆動制御回路と、
前記一次側電圧監視回路以外の監視回路および前記駆動制御回路に電力が供給されるオン状態と供給されないオフ状態とで切り替えられる切替手段と、
を備え、
前記一次側電圧監視回路は、前記一次側電圧に基づいて、前記切替手段の切り替えを行う、
電力変換装置。
【請求項2】
前記一次側電圧監視回路は、前記一次側電圧が第1閾値以上になると、前記切替手段を前記オン状態に切り替える、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記一次側電圧監視回路は、前記一次側電圧が第2閾値以下になると、前記切替手段を前記オフ状態に切り替える、
請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記一次側電圧監視回路は、前記一次側電圧と、前記変換回路の二次側電圧との差電圧が第3閾値以下になると、前記切替手段を前記オフ状態に切り替える、
請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記変換回路は、降圧コンバータ回路である、
請求項1ないし4のいずれかに記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池が生成した電力を所望の電力に変換する電力変換装置が知られている。特許文献1には、電力変換装置として系統連系インバータを備えた太陽光発電システムが開示されている。当該太陽光発電システムは、太陽電池が生成した直流出力を系統連系インバータにより交流電力に変換して、商用系統へ出力する。また、当該太陽光発電システムは、全日変換効率を高めるために、夜間の消費電力を減らす工夫を行っている。具体的には、当該太陽光発電システムは、太陽電池が発電を行わない夜間において、系統連系インバータなどへの供給電力を遮断することで、夜間の消費電力を減らしている。当該太陽光発電システムは、時刻測定手段によって計測された時刻に基づいて夜間の判定を行って、動作停止時刻から動作開始時刻までの間、供給電力を遮断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-197455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、あらかじめ決められた時刻によって夜間を判定する場合、季節によって、夜間の判定に誤差が生じるという問題がある。また、季節によって動作停止時刻および動作開始時刻を変更する場合でも、天候による日照の違いを反映できない。例えば、雨の日や曇りの日には、動作開始時刻を過ぎても、太陽電池が発電を行わない場合がある。この場合でも、動作開始時刻になると、系統連系インバータなどへ電力が供給されて消費される。また、動作停止時刻から動作開始時刻までの間、系統連系インバータなどへの供給電力を遮断して完全に機能を停止してしまうので、この間で太陽電池が発電可能になっても機能せず、発電の機会を損失してしまう。
【0005】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、不要な電力の消費をできるだけ抑制し、かつ、発電の機会損失を抑制できる電力変換装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明の第1の側面によって提供される電力変換装置は、一次側から入力される電力を変換して、二次側に出力する変換回路と、前記変換回路を制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記変換回路の一次側電圧を監視する一次側電圧監視回路と、前記変換回路を駆動する駆動制御回路と、前記一次側電圧監視回路以外の監視回路および前記駆動制御回路に電力が供給されるオン状態と供給されないオフ状態とで切り替えられる切替手段と、を備え、前記一次側電圧監視回路は、前記一次側電圧に基づいて、前記切替手段の切り替えを行う。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記一次側電圧監視回路は、前記一次側電圧が第1閾値以上になると、前記切替手段を前記オン状態に切り替える。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記一次側電圧監視回路は、前記一次側電圧が第2閾値以下になると、前記切替手段を前記オフ状態に切り替える。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記一次側電圧監視回路は、前記一次側電圧と、前記変換回路の二次側電圧との差電圧が第3閾値以下になると、前記切替手段を前記オフ状態に切り替える。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記変換回路は、降圧コンバータ回路である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、切替手段がオフ状態に切り替えられた場合は、一次側電圧監視回路以外へは電力が供給されないので、電力の消費が抑制される。また、一次側電圧監視回路は、一次側電圧に基づいて切替手段の切り替えを行う。したがって、季節、時間、および天候に関係なく、変換回路が稼働可能な状態のときに、切替手段をオン状態にできる。これにより、本発明に係る電力変換装置は、制御回路での不要な電力の消費をできるだけ抑制し、かつ、発電の機会損失を抑制できる。
【0013】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る電力変換装置の全体構成を示すブロック図である。
図2】一次側電圧監視回路の内部回路の一例を示す回路図である。
図3】一次側電圧監視回路が行う切替制御について説明するためのタイムチャートである。
図4】一次側電圧監視回路が行う切替制御について説明するためのタイムチャートである。
図5】第2実施形態に係る電力変換装置の全体構成を示すブロック図である。
図6】第3実施形態に係る電力変換装置の全体構成を示すブロック図である。
図7】第4実施形態に係る電力変換装置の全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る電力変換装置A1の全体構成を示すブロック図である。
【0017】
電力変換装置A1は、太陽電池3が生成した電力を変換して、蓄電池4に出力する。電力変換装置A1は、蓄電池4の充電を制御する。太陽電池3は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換することで、直流電力を生成する。太陽電池3は、生成した直流電力を、電力変換装置A1に出力する。蓄電池4は、繰り返し充放電を行うことができる二次電池である。蓄電池4は、特に限定されないが、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、または鉛蓄電池などである。なお、蓄電池4は、二次電池ではなく、電気二重層コンデンサなどのコンデンサであってもよい。なお、蓄電池4は複数配置されてもよい。蓄電池4は、電力変換装置A1から入力される直流電力によって充電され、また、蓄電されている電力を放電して、図示しない負荷に供給する。本実施形態では、電力変換装置A1は、降圧コンバータ回路1および制御回路2を備えている。
【0018】
降圧コンバータ回路1は、太陽電池3と蓄電池4との間に、電気的に接続されている。降圧コンバータ回路1は、太陽電池3から入力される直流電力を降圧して、蓄電池4に出力する。降圧コンバータ回路1において、太陽電池3が接続されて電力が入力される側を「一次側」とし、蓄電池4が接続されて電力が出力される側を「二次側」とする。降圧コンバータ回路1は、いわゆる降圧チョッパであり、スイッチング素子SW、コンデンサC1,C2、ダイオードD、およびコイルLを備えている。本実施形態では、スイッチング素子SWは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。なお、スイッチング素子SWは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor : 絶縁ゲート・バイポーラトランジスタ)、バイポーラトランジスタなどであってもよい。降圧コンバータ回路1において、スイッチング素子SWのドレイン端子は、正極側の入力端子に接続されている。スイッチング素子SWのソース端子にはコイルLの一方の端子が接続され、コイルLの他方の端子は正極側の出力端子に接続されている。ダイオードDは、カソード端子がスイッチング素子SWとコイルLとの接続点に接続され、アノード端子が負極側の入力端子および出力端子に接続されている。入力端子間には、コンデンサC1が並列接続され、出力端子間には、コンデンサC2が並列接続されている。なお、降圧コンバータ回路1の回路構成は限定されない。降圧コンバータ回路1は、制御回路2から入力される駆動信号に応じてスイッチング素子SWをオンオフすることで、入力される電圧を降圧して出力する。
【0019】
制御回路2は、電力変換装置A1を制御する。制御回路2は、降圧コンバータ回路1に駆動信号を出力して、降圧コンバータ回路1を駆動させる。夜間など、太陽電池3の出力電圧が低い場合、電力変換装置A1は蓄電池4を充電できないので、制御回路2は、降圧コンバータ回路1の駆動を停止させる。このとき、制御回路2は、ほとんどの機能を停止することで、消費電力(待機電力)を抑制する。制御回路2は、一次側電圧監視回路22、二次側電圧監視回路24、電流監視回路25、駆動制御回路26、DCDC電源21,23、およびリレー27を備えている。
【0020】
一次側電圧監視回路22は、降圧コンバータ回路1の一次側電圧V1を監視する。また、一次側電圧監視回路22は、一次側電圧V1に基づいて、リレー27をオン状態とオフ状態とで切り替える切替制御を行う。切替制御の詳細については、後述する。
【0021】
DCDC電源21は、一次側電圧監視回路22に供給する電圧を生成する。DCDC電源21は、入力端子対が降圧コンバータ回路1の入力端子対に導通接続されている。DCDC電源21は、日中など、太陽電池3が出力する電圧(=一次側電圧V1)が蓄電池4の電圧(=二次側電圧V2)より大きい間は、太陽電池3から電力を供給される。一方、夜間など、二次側電圧V2が一次側電圧V1より大きい間は、電流がスイッチング素子SWの還流ダイオードを流れることで、DCDC電源21は、蓄電池4から電力を供給される。これにより、DCDC電源21は、常時、電力を供給される。DCDC電源21は、入力端子対から入力された電圧を所定の電圧Vx1(例えば24V)に降圧して、一次側電圧監視回路22に出力する。これにより、一次側電圧監視回路22は、常時、電力を供給される。
【0022】
二次側電圧監視回路24は、降圧コンバータ回路1の二次側電圧V2を監視する。電流監視回路25は、降圧コンバータ回路1の入力電流および出力電流を監視する。なお、制御回路2は、その他の監視回路を備えてもよい。駆動制御回路26は、降圧コンバータ回路1を駆動するための駆動信号を生成して、降圧コンバータ回路1のスイッチング素子SWに出力する。
【0023】
DCDC電源23は、二次側電圧監視回路24、電流監視回路25、および駆動制御回路26に供給する電圧を生成する。本実施形態では、DCDC電源23は、制御回路2の、一次側電圧監視回路22以外のすべての回路に電圧を供給する。DCDC電源23は、入力端子対が、リレー27を介して、降圧コンバータ回路1の入力端子対に導通接続されている。DCDC電源23は、入力端子対から入力された電圧を所定の電圧(例えば24V)に降圧して、二次側電圧監視回路24、電流監視回路25、および駆動制御回路26に出力する。
【0024】
リレー27は、電磁接触器であり、一次側電圧監視回路22からの信号により開閉される。リレー27は、閉路されて、DCDC電源23に電力が供給されるオン状態と、開路されて、DCDC電源23に電力が供給されないオフ状態とで切り替えられる。これにより、二次側電圧監視回路24、電流監視回路25、および駆動制御回路26は、リレー27がオン状態の間は電力を供給されるが、リレー27がオフ状態の間は電力を供給されない。
【0025】
次に、一次側電圧監視回路22が行う切替制御について説明する。本実施形態では、一次側電圧監視回路22は、一次側電圧V1が第1閾値Vref1以上になると、リレー27をオン状態に切り替える。また、一次側電圧監視回路22は、一次側電圧V1が第2閾値Vref2以下になると、リレー27をオフ状態に切り替える。本実施形態では、第1閾値Vref1は、第2閾値Vref2より大きい。なお、第1閾値Vref1と第2閾値Vref2との関係は限定されず、第1閾値Vref1が第2閾値Vref2より小さくてもよいし、第1閾値Vref1と第2閾値Vref2とが同じ値であってもよい。
【0026】
図2は、一次側電圧監視回路22の内部回路の一例を示す回路図である。比較器222は、一次側電圧V1と第1閾値Vref1とを比較する。比較器222の非反転入力端子には、一次側電圧V1を抵抗R1,R2で分圧した電圧が、絶縁アンプ221を介して入力される。比較器222の反転入力端子には、DCDC電源21から供給される電圧Vx1(例えば24V)を抵抗R3,R4で分圧した、第1閾値Vref1に対応する電圧が入力される。比較器222には電源として、電圧Vx1を降圧した電圧Vx2(例えば3.3V)が供給される。比較器222は、一次側電圧V1が第1閾値Vref1以上の場合、ハイレベル信号を出力する。一方、比較器222は、一次側電圧V1が第1閾値Vref1未満の場合、ローレベル信号を出力する。オンオフ制御部223は、論理回路が構成された集積回路である。オンオフ制御部223は、比較器222からの入力がローレベル信号からハイレベル信号に切り替わったときに、出力信号をローレベル信号からハイレベル信号に切り替える。また、オンオフ制御部223は、比較器222からの入力がハイレベル信号からローレベル信号に切り替わった後、一次側電圧V1が第2閾値Vref2以下になったときに、出力信号をハイレベル信号からローレベル信号に切り替える。これにより、一次側電圧V1が第1閾値Vref1をまたいで上下動した際の、チャタリングを防止できる。オンオフ制御部223の出力信号はリレー27に出力される。リレー27は、オンオフ制御部223の出力信号がハイレベル信号の場合、閉路されて、DCDC電源23に電力が供給されるオン状態になり、出力信号がローレベル信号の場合、開路されて、DCDC電源23に電力が供給されないオフ状態になる。なお、図2は一例であって、一次側電圧監視回路22の内部回路の回路構成は限定されない。
【0027】
図3および図4は、一次側電圧監視回路22が行う切替制御について説明するためのタイムチャートである。各図(a)は、一次側電圧V1の時間変化を示している。各図(b)は、リレー27の状態を示している。
【0028】
図3は、朝、太陽が出て日射が増加し、太陽電池3の出力電圧が上昇している状態を示している。図3に示すように、時刻t1から太陽電池3の出力電圧が次第に上昇し、一次側電圧V1はこれに応じて上昇している。そして、時刻t2において、一次側電圧V1が第1閾値Vref1以上になったときに、リレー27が閉路されてオン状態に切り替えられている。時刻t2以降では、DCDC電源23に電力が供給されることで、二次側電圧監視回路24、電流監視回路25、および駆動制御回路26に電力が供給される。
【0029】
図4は、夕方、日射が減少して、太陽電池3の出力電圧が次第に下降し、一次側電圧V1がこれに応じて下降している状態を示している。図4に示すように、時刻t3において、一次側電圧V1が第2閾値Vref2以下になったときに、リレー27が開路されてオフ状態に切り替えられている。時刻t3以降では、DCDC電源23に電力が供給されないので、二次側電圧監視回路24、電流監視回路25、および駆動制御回路26に電力が供給されない。
【0030】
図4の時刻t3以降、図3の時刻t2(翌日)までの間が夜間とみなされて、リレー27がオフ状態にされ、DCDC電源23に電力が供給されない。これにより、太陽電池3の出力電圧が小さく、電力変換装置A1が電圧変換動作を行わない期間において、二次側電圧監視回路24、電流監視回路25、および駆動制御回路26に供給される電力が遮断される。これにより、二次側電圧監視回路24、電流監視回路25、および駆動制御回路26での不要な電力の消費を抑制できる。
【0031】
次に、本実施形態に係る電力変換装置A1の作用効果について説明する。
【0032】
本実施形態によると、リレー27がオフ状態に切り替えられた場合は、一次側電圧監視回路22以外へは電力が供給されないので、電力の消費が抑制される。また、一次側電圧監視回路22は、常時、電力を供給され、一次側電圧V1に基づいてリレー27の切り替えを行う。したがって、季節、時間、および天候に関係なく、降圧コンバータ回路1が稼働可能な状態のときに、リレー27をオン状態にできる。これにより、電力変換装置A1は、制御回路2での不要な電力の消費をできるだけ抑制し、かつ、発電の機会損失を抑制できる。このことは、蓄電池4の充電電力量が少ない状態でも、蓄電池4を長期間停止させることなく運用することに貢献する。
【0033】
本実施形態によると、一次側電圧監視回路22は、一次側電圧V1が第1閾値Vref1以上になると、リレー27をオン状態に切り替える。したがって、第1閾値Vref1を適切に設定することで、電力変換装置A1は、降圧コンバータ回路1が稼働するときに、一次側電圧監視回路22以外へも電力供給を行うことができる。また、一次側電圧監視回路22は、一次側電圧V1が第2閾値Vref2以下になると、リレー27をオフ状態に切り替える。したがって、第2閾値Vref2を適切に設定することで、降圧コンバータ回路1が稼働しない期間における、一次側電圧監視回路22以外への電力供給を遮断できる。また、本実施形態によると、第1閾値Vref1が第2閾値Vref2より大きいので、電力変換装置A1は、一次側電圧V1が第1閾値Vref1をまたいで上下動した際の、チャタリングを防止できる。
【0034】
本実施形態によると、DCDC電源21は、入力端子対が降圧コンバータ回路1の入力端子対に導通接続されている。DCDC電源21は、常時、電力を供給されるので、一次側電圧監視回路22に常時、電力を供給できる。
【0035】
なお、本実施形態では、DCDC電源23への電力供給のオン状態とオフ状態とを切り替える切替手段として、リレー27を用いた場合について説明したが、これに限られない。制御回路2は、リレー27の代わりに、半導体スイッチなどの他の切替手段を備えてもよい。
【0036】
また、本実施形態では、DCDC電源21の入力端子対が降圧コンバータ回路1の入力端子対に導通接続されている場合について説明したが、これに限られない。DCDC電源21の入力端子対は、降圧コンバータ回路1の出力端子対に導通接続されてもよい。この場合でも、DCDC電源21は常時、電力を供給されて、一次側電圧監視回路22に常時、電力を供給できる。また、一次側電圧監視回路22は、別の電源から電力を供給されてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、一次側電圧監視回路22が常時、電力を供給されて、切替制御を行う場合について説明したが、これに限られない。一次側電圧監視回路22は、少なくとも切替制御が必要な期間だけ電力を供給されていればよい。例えば、一次側電圧監視回路22は、一次側電圧V1が第1閾値Vref1より小さい電圧以上のときに電力を供給されていればよい。
【0038】
〔第2実施形態〕
図5は、第2実施形態に係る電力変換装置A2の全体構成を示すブロック図である。図5において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。本実施形態に係る電力変換装置A2は、一次側電圧監視回路22が一次側電圧V1と二次側電圧V2との差電圧ΔV(=V1-V2)に基づいてリレー27をオフ状態に切り替える点で、第1実施形態に係る電力変換装置A1と異なる。
【0039】
本実施形態に係る一次側電圧監視回路22は、第1実施形態と同様に、降圧コンバータ回路1の一次側電圧V1を監視し、また、一次側電圧V1に基づいて、リレー27をオン状態とオフ状態とで切り替える切替制御を行う。本実施形態に係る切替制御は、リレー27をオン状態に切り替える方法は第1実施形態の場合と同様であるが、リレー27をオフ状態に切り替える方法が、第1実施形態の場合と異なる。本実施形態に係る一次側電圧監視回路22は、一次側電圧V1と二次側電圧V2との差電圧ΔV(=V1-V2)が第3閾値Vref3以下になると、リレー27をオフ状態に切り替える。本実施形態に係る一次側電圧監視回路22の内部回路は、図2に示す回路図と同様であり、オンオフ制御部223に構成された論理回路が異なる。本実施形態に係るオンオフ制御部223は、比較器222からの入力がハイレベル信号からローレベル信号に切り替わった後、差電圧ΔVが第3閾値Vref3以下になったときに、出力信号をハイレベル信号からローレベル信号に切り替える。
【0040】
本実施形態においても、一次側電圧監視回路22が常時、電力を供給され、一次側電圧V1に基づいてリレー27の切り替えを行うので、電力変換装置A2は、制御回路2での不要な電力の消費をできるだけ抑制し、かつ、発電の機会損失を抑制できる。また、電力変換装置A2は、電力変換装置A1と共通する構成により、電力変換装置A1と同等の効果を奏する。さらに、本実施形態によると、一次側電圧監視回路22は、差電圧ΔVに基づいてリレー27をオフ状態に切り替える。したがって、電力変換装置A2は、二次側電圧V2も考慮して、リレー27をオフ状態に切り替えることができる。
【0041】
なお、第1および第2実施形態においては、一次側電圧監視回路22は、一次側電圧V1が第1閾値Vref1以上になったときにリレー27をオン状態に切り替える場合について説明したが、これに限られない。一次側電圧監視回路22は、差電圧ΔVが第4閾値Vref4以上になったときに、リレー27をオン状態に切り替えてもよい。
【0042】
〔第3実施形態〕
図6は、第3実施形態に係る電力変換装置A3の全体構成を示すブロック図である。図6において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。本実施形態に係る電力変換装置A3は、降圧コンバータ回路1の代わりに、昇圧コンバータ回路5を備えている点で、第1実施形態に係る電力変換装置A1と異なる。
【0043】
昇圧コンバータ回路5は、太陽電池3と蓄電池4との間に、電気的に接続されている。昇圧コンバータ回路5は、太陽電池3から入力される直流電力を昇圧して、蓄電池4に出力する。昇圧コンバータ回路5は、いわゆる昇圧チョッパであり、スイッチング素子SW、コンデンサC1,C2、ダイオードD、およびコイルLを備えている。昇圧コンバータ回路5において、コイルLは、一方の端子が正極側の入力端子に接続され、他方の端子がダイオードDのアノード端子に接続されている。ダイオードDのカソード端子は、正極側の出力端子に接続されている。つまり、正極側の入力端子と出力端との間で、コイルLとダイオードDと互いに直列に接続されている。スイッチング素子SWのドレイン端子は、コイルLとダイオードDとの接続点に接続されている。スイッチング素子SWのソース端子は、負極側の入力端子および出力端子に接続されている。入力端子間には、コンデンサC1が並列接続され、出力端子間には、コンデンサC2が並列接続されている。なお、昇圧コンバータ回路5の回路構成は限定されない。昇圧コンバータ回路5は、制御回路2から入力される駆動信号に応じてスイッチング素子SWをオンオフすることで、入力される電圧を昇圧して出力する。
【0044】
本実施形態に係るDCDC電源21は、入力端子対が昇圧コンバータ回路5の出力端子対に導通接続されている。DCDC電源21は、常時、蓄電池4から電力を供給される。また、DCDC電源23は、入力端子対が、リレー27を介して、昇圧コンバータ回路5の出力端子対に導通接続されている。
【0045】
本実施形態においても、一次側電圧監視回路22が常時、電力を供給され、一次側電圧V1に基づいてリレー27の切り替えを行うので、電力変換装置A3は、制御回路2での不要な電力の消費をできるだけ抑制し、かつ、発電の機会損失を抑制できる。また、電力変換装置A3は、電力変換装置A1と共通する構成により、電力変換装置A1と同等の効果を奏する。さらに、本実施形態によると、DCDC電源21は、入力端子対が昇圧コンバータ回路5の出力端子対に導通接続されている。DCDC電源21は、常時、電力を供給されるので、一次側電圧監視回路22に常時、電力を供給できる。
【0046】
なお、電力変換装置A3は、昇圧コンバータ回路5の代わりに、昇降圧コンバータ回路を備えてもよい。
【0047】
〔第4実施形態〕
図7は、第4実施形態に係る電力変換装置A4の全体構成を示すブロック図である。図7において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。本実施形態に係る電力変換装置A4は、降圧コンバータ回路1の代わりに、インバータ回路6を備えている点で、第1実施形態に係る電力変換装置A1と異なる。
【0048】
本実施形態に係る電力変換装置A4は、太陽電池3が生成した電力を変換して、電力系統7に出力する。インバータ回路6は、太陽電池3と電力系統7との間に、電気的に接続されている。インバータ回路6は、太陽電池3から入力される直流電力を交流電力に変換して、電力系統7に出力する。インバータ回路6は、例えば2組4個のスイッチング素子を備えた単相インバータであり、各スイッチング素子のオンとオフとを切り替えることで、直流電力を交流電力に変換する。なお、インバータ回路6の構成は限定されない。
【0049】
本実施形態においても、一次側電圧監視回路22が常時、電力を供給され、一次側電圧V1に基づいてリレー27の切り替えを行うので、電力変換装置A4は、制御回路2での不要な電力の消費をできるだけ抑制し、かつ、発電の機会損失を抑制できる。また、電力変換装置A4は、電力変換装置A1と共通する構成により、電力変換装置A1と同等の効果を奏する。さらに、本実施形態によると、電力変換装置A4は、インバータ回路6を備えているので、太陽電池3から入力される直流電力を交流電力に変換して、電力系統7に出力できる。
【0050】
なお、電力変換装置A4は、太陽電池3とインバータ回路6との間に、降圧コンバータ回路1、昇圧コンバータ回路5、または昇降圧コンバータ回路が配置されてもよい。
【0051】
本発明に係る電力変換装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る電力変換装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0052】
A1~A4:電力変換装置、1:降圧コンバータ回路、5:昇圧コンバータ回路、6:インバータ回路、2:制御回路、22:一次側電圧監視回路、26:駆動制御回路、27:リレー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7