(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147908
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】LED照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/06 20060101AFI20241009BHJP
F21S 8/04 20060101ALI20241009BHJP
F21V 21/03 20060101ALI20241009BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20241009BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20241009BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20241009BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20241009BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241009BHJP
F21Y 105/18 20160101ALN20241009BHJP
【FI】
F21S8/06 100
F21S8/04 110
F21S8/04 130
F21V21/03 251
F21V23/00 120
F21V23/00 150
F21V23/00 160
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V29/503 100
F21V29/70
F21Y115:10
F21Y105:18
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060644
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】393001372
【氏名又は名称】瀧住電機工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 英明
【テーマコード(参考)】
3K013
3K014
【Fターム(参考)】
3K013AA06
3K013AA07
3K013BA01
3K013CA05
3K013CA16
3K014AA01
3K014DA03
3K014DA08
(57)【要約】
【課題】LED照明器具のLED基板で発生した熱をLED照明器具内に放出することなく、放熱板やベース板を伝導させて照明器具外へ効率的に放出する。
【解決手段】LED発光素子を固定する基材を約0.2mm程度のPETシートにすることで、LED発光素子から発生する熱をLED発光素子の発光方向とは逆方向となるPETシートを介して放熱板やベース部から放熱する構成とすることでLED照明器具本体から放熱することができるLED照明器具を提供する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面部を備えた金属板で形成されたベース部材と、前記平面部に熱的に密着または接着された絶縁シートと、前記絶縁シートの前記平面部に密着又は接着される面と反対側面に導電性インクで印刷加工により形成された回路パターンと、前記回路パターンに導電性接着剤で接着されて電気回路を形成する複数のLED発光素子と、前記電気回路の一部又は全部を覆う透光性カバーとで構成されたLED照明器具。
【請求項2】
平面部を備えた金属板で形成されたベース部材と、前記平面部に熱的に密着または接着された絶縁シートと、前記絶縁シートの前記平面部に密着又は接着される面と反対側面に導電性インクで印刷加工により形成された回路パターンと、前記導電性インクで回路パターンを印刷加工により形成した後に、前記導電性インクが乾燥する前に前記導電性インクの接着力により回路パターンにLED発光素子を直接接着して形成した電気回路と、前記電気回路の一部又は全部を覆う透光性カバーとで構成されたLED照明器具の製造方法。
【請求項3】
ベース部材上部に電気回路に給電する電源回路を内蔵した収納部を備え、前記収納部は前記電源回路に接続された電源線の下端で機械的に吊り下げられて保持されるとともに前記電源線の上端には接続部が備えられて、前記接続部は造営部材に設けられた被接続部材に電気的にかつ機械的に接続される構成の請求項1に記載のLED照明器具。
【請求項4】
ベース部材の略中央に貫通穴を設け、前記貫通穴を接続アダプタの係止爪に係止し、前記接続アダプタは造営部材に設けられた被接続部材に電気的に接続され、前記接続アダプタに電気的に接続された電源回路を前記ベース部材の下側に備えた請求項1に記載のLED照明器具。
【請求項5】
絶縁シートは少なくとも密着又は接着された面の反対側面が白色に着色された請求項3又は4に記載のLED照明器具。
【請求項6】
絶縁シートは複数層のシートを一体的に密着シート化した請求項3又は4に記載のLED照明器具。
【請求項7】
LED発光素子が略直方体に形成されて、光を発出する面の対面に電極を有する構造で、光を発出する面に対して隣接する面と回路パターン又は絶縁シートを接着剤で接着し、LEDの光を発出する面の対面が導電性接着剤を介さずに回路パターンに直接接触する構成の請求項3又は4に記載のLED照明器具。
【請求項8】
LED発光素子が略直方体に形成されて、光を発出する面の隣接する面に電極を有する構造で、光を発出する面に対して隣接する面と回路パターンを導電性接着剤で接着し、LEDの光を発出する面の対面が絶縁シートに直接接触する構成の請求項3又は4に記載のLED照明器具。
【請求項9】
LEDを導電性接着剤で固定した円弧状の回路パターンを複数個同心円状に配置し、前記回路パターンを電気的に接続することで電気回路を形成した請求項3又は4に記載のLED照明器具。
【請求項10】
回路パターンを、基材が伸縮性を有した導電性の不織布または導電性の織布で構成した導電性テープで電気的に接続して電気回路を形成した請求項9に記載のLED照明器具。
【請求項11】
ベース部材の平面部に周囲より上方に陥没した凹部を形成し、絶縁シートが前記凹部を覆うことで形成される空隙と、前記空隙の範囲内で空隙近傍に設けられた回路パターンの幅よりも小さい幅の回路パターンで前記凹部を覆う前記絶縁シートに印刷するパターンヒューズを構成した請求項3又は4に記載のLED照明器具。
【請求項12】
絶縁シートを複数の個別絶縁シートで構成し、前記個別前記絶縁シートは外周から所定の絶縁距離を設けて個別絶縁シートの外周の一部又は全部に絶縁ゾーンを形成した回路パターンを印刷するとともに、前記個別絶縁シート間の電気接続は前記個別絶縁シートの外周の一部を重ね合わせて部分的な積層を形成し、導電性インクを印刷して形成した回路パターンどうしに導電性テープを貼り付けて接続することで、電気的に接続されるとともに前記絶縁シート外周に設けた前記絶縁ゾーンがベース部との絶縁性能を確保する構成の請求項3又は4に記載のLED照明器具。
【請求項13】
回路パターンと電源回路を、絶縁シートに導電性インクで導電線を形成したリード線で接続する構成とし、前記回路パターンと前記導電線の接続及び前記電源回路と前記導電線の接続には導電性テープを用いる構成の請求項12に記載のLED照明器具。
【請求項14】
中央を上方に凸状に形成した凸部とともに下方を開口した略円形状開口端部を形成したシャーシと、前記シャーシ下部に固定されて略同心円状で開口端部より径方向に大きい平面状の放熱板と、前記シャーシの凸部内方と前記放熱板の上面とで囲まれて形成された収納部に収容される電源基板と、複数のLED発光素子を下面に電気的に接続するとともに前記放熱板の下面に上面を接着剤で密着して貼り付けられた平面状のLED基板と、前記LED基板と空間を介して前記LED基板の下方を覆う透光性カバーとで構成し、前記LED基板を樹脂シートで形成して導電性インクで前記LED基板下面に回路パターンを印刷して形成し、複数個のLED発光素子を導電性接着剤で前記回路パターンに樹脂シート下方から接着して構成したLED照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、LED照明器具のLED発光素子の配線に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、段落0030に、金属配線部13はアルミニウム、金、銀、銅等の金属箔が例示されており、また、段落0031に金属配線部13とLED素子2との接合はハンダ層14を介して接合すると記載がある。さらに、段落0024に樹脂基板11を構成する樹脂フィルムの材料は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂であることが好ましいと記載がある。この従来技術は、フレキシブルな樹脂基板に金属箔を固着させる構成であるが、回路の具体的な作成については段落0037に化学処理を伴うエッチング工程と記載があり、この構成ではフレキシブルなLED回路基板を製造することは可能であるが、エッチング処理工程やLED素子の半田付けなどの工程が必要であるといった経済的な課題があった。
【0003】
また、下記特許文献2に開示されるように、段落0052に、金属配線部32は、基板フィルム31の表面(発光面20a側の面)に金属箔等の導電性基材によって形成される配線パターンであると記載がある。また、段落0055に「ハンダ部36は、金属配線部32とLEDチップ21との接合を行うものである。このハンダによる接合は、リフロー方式、あるいは、レーザー方式の2方式のいずれかによることができる」と記載がある。この従来技術は、具体的表記はないが、フレキシブルな基板フィルム31に金属配線部32をエッチング処理工程などで形成するものと推測でき、半田による接合工程を必要とするものであるといった経済的な課題があった。
【0004】
また、下記特許文献3に開示されるように、段落0011に、フレキシブルLED光源基板の説明はあるが、具体的なLED回路の製造工程などの記載がなく、さらにフレキシブルLED光源基板の材質などの記載もない。従って曲面を成すフレキシブルLED光源基板を具体的に製造する場合の経済的なメリットが不明であるといった課題があった。
【0005】
さらに、下記特許文献4に開示されるように、段落0023に、具体的には、フレキシブルプリント回路基板1に銀ペースト(シリコン系)を多数の点状に塗布し、その上に多数の発光ダイオード素子2を乗せる。そして、適当な加熱処理を施すことにより、銀ペーストが溶けて発光ダイオード素子2とフレキシブルプリント回路基板1とが接着されると記載がある。これはプリント基板のリフロー加工工程と同じであり経済的な効果は同じであるといった課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6888246号公報
【特許文献2】特開2021-174654
【特許文献3】特開2018-170169
【特許文献4】特開2002-083506
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、LED基板の材料をより経済的な材料構成とし、更により経済的で簡便な加工工程にすることができる安価なフレキシブルLED基板を用い、さらにLEDの発生する熱を効率的に放熱するLED照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
平面部を備えた金属板で形成されたベース部材と、前記平面部に熱的に密着または接着された絶縁シートと、前記絶縁シートの前記平面部に密着又は接着される面と反対側面に導電性インクで印刷加工により形成された回路パターンと、前記回路パターンに導電性接着剤で接着されて電気回路を形成する複数のLED発光素子と、前記電気回路の一部又は全部を覆う透光性カバーとで構成されたLED照明器具を提供するものである。
【0009】
即ち、銅箔をエッチング処理加工した後にLED素子をハンダ付けする工程を無くして、銅箔の代わりに導電性インクでパターンを形成しエッチングの代わりに導電性インクの乾燥工程で処理することができる。さらにLED素子も導電接着剤で接着することでリフローやハンダ付け処理加工を無くすことができ、エッチングのように材料を削除するのではなく必要な回路分の材料を使用するので、材料も最小限の消費量にすることができる。さらに加工設備の簡素化と加工時間の短縮も可能であり、ハンダの加熱も不要でエネルギー消費も少なく経済的なLED照明器具を提供する。
【0010】
また、本発明では、平面部を備えた金属板で形成されたベース部材と、前記平面部に熱的に密着または接着された絶縁シートと、前記絶縁シートの前記平面部に密着又は接着される面と反対側面に導電性インクで印刷加工により形成された回路パターンと、前記導電性インクで回路パターンを印刷加工により形成した後に、前記導電性インクが乾燥する前に前記導電性インクの接着力により回路パターンにLED発光素子を直接接着して形成した電気回路と、前記電気回路の一部又は全部を覆う透光性カバーとで構成されたLED照明器具の製造方法を提供するものである。
【0011】
これにより、導電性インクと導電性接着剤の2種類の材料を使うことなく1種類の材料で製造することが可能となり、部材の在庫管理や生産工程が簡単なLED発光素子を備えた電気回路を効率的に生産することができるとともに、発光素子と回路パターンの間に導電性接着剤が存在しないので発光素子からの熱を回路パターンと絶縁シートのみを介して金属板へ効率的に放熱することができる。
【0012】
また、本発明は、ベース部材上部に電気回路に給電する電源回路を内蔵した収納部を備え、前記収納部は前記電源回路に接続された電源線の下端で機械的に吊り下げられて保持されるとともに前記電源線の上端には接続部が備えられて、前記接続部は造営部材に設けられた被接続部材に電気的にかつ機械的に接続される構成のLED照明器具を提供するものである。
【0013】
これにより、天井などから吊り下げる構成のペンダントタイプのLED照明器具を軽量かつ簡単な生産方法で生産することができて経済的であるとともに、天井に吊り下げる作業も軽減できる。
【0014】
また、本発明では、ベース部材の略中央に貫通穴を設け、前記貫通穴を接続アダプタの係止爪に係止し、前記接続アダプタは造営部材に設けられた被接続部材に電気的に接続され、前記接続アダプタに電気的に接続された電源回路を前記ベース部材の下側に備えたLED照明器具を提供するものである。
【0015】
これにより、天井に固定するシーリングタイプのLED照明器具を軽量かつ簡単な生産方法で生産することができて経済的であるとともに、天井に吊り下げる作業も軽減できる。
【0016】
また、本発明では、絶縁シートは少なくとも密着又は接着された面の反対側面が白色に着色されたLED照明器具を提供するものである。
これにより、LED発光素子が上方に向かって照射する光を下方に反射することができ、効率的に光を下方に照射することができるLED照明器具を提供することができる。
【0017】
絶縁シートは複数層のシートを一体的に密着シート化したLED照明器具を提供するものである。
これにより、LED発光素子の発熱を効率的にベース部に伝えることができるとともに、絶縁シートの高い耐電圧性能を保持したLED照明器具を提供することができる。
【0018】
LED発光素子が略直方体に形成されて、光を発出する面の対面に電極を有する構造で、光を発出する面に対して隣接する面と回路パターン又は絶縁シートを接着剤で接着し、LEDの光を発出する面の対面が導電性接着剤を介さずに回路パターンに直接接触する構成のLED照明器具を提供するものである。
【0019】
これにより、LED発光素子から発生する熱が導電性接着剤を介さずに直接回路パターンに伝わることができる放熱効率の良いLED照明器具を提供するとともに、LED発光素子を絶縁シートに接着する接着剤は導電性である必要がなく安価な接着剤を使用することができて経済的なLED照明器具を提供することができる。
【0020】
LED発光素子が略直方体に形成されて、光を発出する面の隣接する面に電極を有する構造で、光を発出する面に対して隣接する面と回路パターンを導電性接着剤で接着し、LEDの光を発出する面の対面が絶縁シートに直接接触する構成のLED照明器具を提供するものである。
【0021】
これにより、LED発光素子で発生した熱が絶縁シートを介すだけで導電性パターンや導電性接着剤を介することなく金属板で形成されたベース部材に放熱することができるので、放熱性能の良いLED照明器具を提供することができる。
【0022】
LEDを導電性接着剤で固定した円弧状の回路パターンを複数個同心円状に配置し、前記回路パターンを電気的に接続することで電気回路を形成したLED照明器具を提供するものである。
【0023】
これにより、同じ円弧状の回路パターンを組合せたLED照明器具で略円環状の光の発出形状を形成することができ、円板状の絶縁シートを打ち抜いて形成するよりも廃棄する絶縁シートの面積が小さく経済的で環境にも良いLED照明器具を提供することができる。
【0024】
回路パターンを、基材が伸縮性を有した導電性の不織布または導電性の織布で構成した導電性テープで電気的に接続して電気回路を形成したLED照明器具を提供するものである。
【0025】
これにより、回路パターンを自由に組み合わせて接続も導電性テープを使うことで、初期投資を最小にすることができ、ハンダごてを使わないので加熱エネルギーも必要なく省エネで経済的なLED照明器具を提供することができる。
【0026】
ベース部材の平面部に周囲より上方に陥没した凹部を形成し、絶縁シートが前記凹部を覆うことで形成される空隙と、前記空隙の範囲内で空隙近傍に設けられた回路パターンの幅よりも小さい幅の回路パターンで前記凹部を覆う前記絶縁シートに印刷するパターンヒューズを構成したLED照明器具を提供するものである。
【0027】
これにより、製品に過剰電流が流れた場合に、抵抗が比較的高くかつ空隙によりベース部へ熱伝導しないのでパターンヒューズとして集中的に発熱してパターンヒューズがより確実に溶断することで安全に通電を停止することができるLED照明器具を提供することができる。
【0028】
絶縁シートを複数の個別絶縁シートで構成し、前記個別前記絶縁シートは外周から所定の絶縁距離を設けて個別絶縁シートの外周の一部又は全部に絶縁ゾーンを形成した回路パターンを印刷するとともに、前記個別絶縁シート間の電気接続は前記個別絶縁シートの外周の一部を重ね合わせて部分的な積層を形成し、導電性インクを印刷して形成した回路パターンどうしに導電性テープを貼り付けて接続することで、電気的に接続されるとともに前記絶縁シート外周に設けた前記絶縁ゾーンがベース部との絶縁性能を確保する構成のLED照明器具を提供するものである。
【0029】
これにより、回路パターンの組合せに自由度があると同時に回路パターン間を導電性テープで接続することで、初期投資の低減と組立性が良く、またハンダごてを使わないので加熱エネルギーも必要なく省エネで経済的なLED照明器具を提供することができる。
【0030】
回路パターンと電源回路を、絶縁シートに導電性インクで導電線を形成したリード線で接続する構成とし、前記回路パターンと前記導電線の接続及び前記電源回路と前記導電線の接続には導電性テープを用いる構成のLED照明器具を提供するものである。
【0031】
これにより、配線をハンダ付けやコネクタを用いた組立でなく、回路パターン間を導電性テープで接続することで組立性が良く、またハンダごてを使わないので加熱エネルギーも必要なく省エネで経済的なLED照明器具を提供することができる。
【0032】
中央を上方に凸状に形成した凸部とともに下方を開口した略円形状開口端部を形成したシャーシと、前記シャーシ下部に固定されて略同心円状で開口端部より径方向に大きい平面状の放熱板と、前記シャーシの凸部内方と前記放熱板の上面とで囲まれて形成された収納部に収容される電源基板と、複数のLED発光素子を下面に電気的に接続するとともに前記放熱板の下面に上面を接着剤で密着して貼り付けられた平面状のLED基板と、前記LED基板と空間を介して前記LED基板の下方を覆う透光性カバーとで構成し、前記LED基板を樹脂シートで形成して導電性インクで前記LED基板下面に回路パターンを印刷して形成し、複数個のLED発光素子を導電性接着剤で前記回路パターンに樹脂シート下方から接着して構成したLED照明器具を提供するものである。
【0033】
これにより、天井などから吊り下げる構成のペンダントタイプのLED照明器具を軽量かつ簡単な生産方法で生産することができ、またハンダごてを使わないので加熱エネルギーも必要なく省エネで経済的なLED照明器具を提供することができる。
【発明の効果】
【0034】
銅箔をエッチング処理加工した後にLED素子をハンダ付けする工程を無くして、銅箔の代わりに導電性インクでパターンを形成しエッチングの代わりに導電性インクの乾燥工程で処理することができる。さらにLED素子も導電接着剤で接着することでリフローやハンダ付け処理加工を無くすことができ、エッチングのように材料を削除するのではなく必要な回路分の材料を使用するので、材料も最小限の消費量にすることができる。さらに加工設備の簡素化と加工時間の短縮も可能であり、ハンダの加熱も不要でエネルギー消費も少なく経済的なLED照明器具を提供する。
【0035】
また、導電性インクと導電性接着剤の2種類の材料を使うことなく1種類の材料で製造することが可能となり、部材の在庫管理や生産工程が簡単なLED発光素子を備えた電気回路を効率的に生産することができるとともに、発光素子と回路パターンの間に導電性接着剤が存在しないので発光素子からの熱を回路パターンと絶縁シートのみを介して金属板へ効率的に放熱することができる。
【0036】
また、天井などから吊り下げる構成のペンダントタイプのLED照明器具を軽量かつ簡単な生産方法で生産することができて経済的であるとともに、天井に吊り下げる作業も軽減できる。
【0037】
また、天井に固定するシーリングタイプのLED照明器具を軽量かつ簡単な生産方法で生産することができて経済的であるとともに、天井に吊り下げる作業も軽減できる。
【0038】
また、LED発光素子が上方に向かって照射する光を下方に反射することができ、効率的に光を下方に照射することができるLED照明器具を提供することができる。
【0039】
また、LED発光素子の発熱を効率的にベース部に伝えることができるとともに、絶縁シートの欠損等に対して高い耐電圧性能を保持したLED照明器具を提供することができる。
【0040】
また、LED発光素子から発生する熱が導電性接着剤を介さずに直接回路パターンに伝わることができる放熱効率の良いLED照明器具を提供するとともに、LED発光素子を絶縁シートに接着する接着剤は導電性である必要がなく安価な接着剤を使用することができて経済的なLED照明器具を提供することができる。
【0041】
また、LED発光素子で発生した熱が絶縁シートを介すだけで導電性パターンや導電性接着剤を介することなく金属板で形成されたベース部材に放熱することができるので、放熱性能の良いLED照明器具を提供することができる。
【0042】
また、同じ円弧状の回路パターンを組合せたLED照明器具で略円環状の光の発出形状を形成することができ、円板状の絶縁シートを打ち抜いて形成するよりも廃棄する絶縁シートの面積が小さく経済的で環境にも良いLED照明器具を提供することができる。
【0043】
また、回路パターンを自由に組み合わせて接続も導電性テープを使うことで、初期投資を最小にすることができ、ハンダごてを使わないので加熱エネルギーも必要なく省エネで経済的なLED照明器具を提供することができる。
【0044】
また、製品に過剰電流が流れた場合に、抵抗が比較的高くかつ空隙によりベース部へ熱伝導しないのでパターンヒューズとして集中的に発熱してパターンヒューズがより確実に溶断することで安全に通電を停止することができるLED照明器具を提供することができる。
【0045】
また、回路パターンの組合せに自由度があると同時に回路パターン間を導電性テープで接続することで、初期投資の低減と組立性が良く、またハンダごてを使わないので加熱エネルギーも必要なく省エネで経済的なLED照明器具を提供することができる。
【0046】
また、配線をハンダ付けやコネクタを用いた組立でなく、回路パターン間を導電性テープで接続することで組立性が良く、またハンダごてを使わないので加熱エネルギーも必要なく省エネで経済的なLED照明器具を提供することができる。
【0047】
さらに、天井などから吊り下げる構成のペンダントタイプのLED照明器具を軽量かつ簡単な生産方法で生産することができ、またハンダごてを使わないので加熱エネルギーも必要なく省エネで経済的なLED照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るLED照明器具の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係るLED照明器具の側面図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係るLED照明器具の分解斜視図である。
【
図4】従来の実施例を示すLED照明器具のLED基板のパターン図である。
【
図5】本発明の一実施の形態に係るLED照明器具を示すLED基板のパターン図である。
【
図6】本発明の一実施の形態に係るLED照明器具のLED発光素子の斜視図である。
【
図7】本発明の一実施の形態に係るLED照明器具(a)と従来の実施例(b)を示すLED基板の部分拡大断面図である。
【
図8】本発明の一実施の形態に係るLED照明器具のLED発光素子と電気回路の接続を示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施の形態に係るLED照明器具を示すLED基板のコネクタ端子(a)とネジ端子金具(b)の電気回路との接続部の部分拡大断面図である。
【
図10】本発明の一実施の形態に係るLED照明器具を示すLED基板の過電流遮断回路の平面図(a)と断面図(b)である。
【
図11】本発明の第四の実施形態に係るLED照明器具を示すLED基板重ね構造と導電性テープによる接続構造の断面図である。
【
図12】本発明の第二の実施形態に係るLED照明器具を示すLED素子接着部の部分断面図である。
【
図13】本発明の第二の実施形態に係るLED照明器具を示すLED素子接着部の斜視図である。
【
図14】本発明の第三の実施形態に係るLED照明器具を示すLED基板の部分断面図である。
【
図15】本発明の第四の実施形態に係るLED照明器具を示す斜視図(a)と側面図(b)である。
【
図16】本発明の第四の実施形態に係るLED照明器具を示す平面図ある。
【
図17】本発明の第四の実施形態に係るLED照明器具を示すLED基板のパターン図である。
【
図18】本発明の第四の実施形態に係るLED照明器具を示すLED基板のパターン接続図である。
【
図19】本発明の第四の実施形態に係るLED照明器具を示すLED基板の電源供給電線(a)と電源供給電線と電源基板との接続部拡大図(b)と電源供給電線とLED基板との接続部拡大図(c)及びLED基板のパターンどうしの接続部拡大図(d)である。
【
図20】本発明の第五の実施形態に係るLED照明器具を示すLED基板のパターン図である。
【
図21】本発明の第五の実施形態に係るLED照明器具を示すLED基板のパターン接続図である。
【
図22】本発明の第五の実施形態に係るLED照明器具を示すLED基板の電源供給電線とLED基板との接続部拡大図(a)及びLED基板のパターンどうしの接続部拡大図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
このLED照明器具は、主に居室や事務所などで使用される天井に取り付けて室内を照明するもので、光の発出元であるLED基板を樹脂製の絶縁シートに導電性インクで回路パターンを印刷したものに複数のLED発光素子を導電性接着剤で接着固定して構成したものである。
【実施例0050】
図1から
図3と
図5から
図6と
図7(a)と
図8から
図10は、本発明の実施例1のLED照明器具を示す。
図4は従来のLED照明器具の例である。
図6から
図10はLED照明器具を設置したときの状態と上下が逆に配置して描いてある。図面を参照しながら詳細を説明する。なお、本実施例は実施形態の一例であり、これに限定されるものではない。
初めに構成要素の概要を説明した後にその動作や操作と作用を説明する。
【0051】
1.LED照明器具
このLED照明器具は、LED照明器具本体1を、主に和室や天井の高い部屋に天井から吊り下げて使用するものである。日本国内では被接続部である引掛けシーリング2のような接続構成が普及しているので、これに合わせる電源接続部3を備えることが互換性や利便性を各段に向上させるものとなる。そして、電源線4は電気的な接続とともに機械的にLED照明器具本体1を吊り下げる機能も併せ持つものである。LED照明器具本体1は主に下方に光を照射し、上方は電源線4で引掛けシーリング2を介して機械的に天井とつながっている。
【0052】
LED照明器具本体1を上から被うように角形や円形のセード5を被せるのが一般的であり、居室に合わせてセード5を取り換えることができるように共通の取り付け形状をしているものもあり、セード5自体はデザイン性が重視されるために、本発明においては角形を例示したが多種多様なデザインのものが存在し好みに合わせて選択できる場合が多い。
【0053】
2.LED照明器具本体1
板金をプレス加工して形成し上部を略円筒状に形成して下方を開口したシャーシ6は、上面外周を上面から一段低くした円環状の係止部7を備えている。係止部7にセード5の上部中央に設けられた係合穴8の縁部下面を載置して保持する構成である。シャーシ6の下方に開口した開口部9を塞ぐように下方には略平面で円板状の放熱板10が水平に取り付けてある。シャーシ6の開口部9を下方から放熱板10で塞ぐことで略密閉された収納部11を形成している。
【0054】
円板状の放熱板10はシャーシ6の外周よりも大きいので、上方からLED照明器具本体1を見ると、円形をしたシャーシ6とほぼ同心円の外周を有する放熱板10が見える。放熱板10下部には乳白色で半透明な樹脂製の透光性カバー12が上部を開口し、下方に凸な形状をして放熱板10下面に取り付けられている。シャーシ6上部略中央には電源線4の下端を収納して電源線4の長さを調整して余剰の電源線4を収納するための調整筒13が備えられている。調整筒13はLED照明器具本体1を居室に取り付けて所望の高さに調整する機能を有している。
外観上は電源線4と、調整筒13と、シャーシ6と、放熱板10と、透光性カバー12とでLED照明器具本体1を構成している。
【0055】
3.電源線4
電源線4は袋打ち電線やケーブル電線で形成されている。電源線4は屋内配線などの商用電源とLED照明器具本体1の電気的接続をするとともに、LED照明器具本体1を天井等から吊り下げる機械的な強度を要求される。そのため、引張強度が大きい袋打ちコードやケーブル電線を用いる。
【0056】
4.シャーシ6
シャーシ6は板厚が0.5mm程度の印刷鋼板をプレス加工して略円筒状に絞り加工したものを下方に開口させた形状をしている。開口部9端から水平面に沿って径方向に外に向かってフランジ14が水平方向に約30mm全周に伸設されている。シャーシ6のフランジ14を放熱板10の上面に密着させて固定することで前述の収納部11を形成している。シャーシ6上面外周を一段下方に位置して設けられた係止部7は、具体的には段差約5mmで幅約10mmの円環状の段差である。
【0057】
係止部7は、角形や丸形で素材が木製や樹脂材料などのさまざまな装飾用のセード5を安定して載せるためのセード5取り付け用の段差で、セード5の位置決めを兼ねて円環状の段差である係止部7を形成している。セード5は概略下方に開口して上側の略中央を略円形に貫通して形成した前述の係合穴8を設け、係合穴8をシャーシ6の係止部7に上から嵌めるように載置して保持される。
【0058】
セード5の上側の係合穴8が係止部7に係止されて、位置決めと同時にLED照明器具本体1のシャーシ6の上面に載置される。つまり係止部7がセード5中央の係合穴8に収まって位置決めしてセード5を支持する機能も兼ねている。この状態でシャーシ6の上面は天井側の居室空間に露出しているとともに、セード5内側において略シャーシ6の高さである係止部7と放熱板10との段差分の空間を確保して放熱板10の外周部42上面はセード5内の空間に露出していることになる。これは後述の放熱板10からセード5内空間への放熱性能を得るための構造である。
【0059】
また、シャーシ6内の収納部11には後述の電源基板15が配置されているので、電源基板15から発生する熱を放出する必要がある。そこでセード5上側を略円形に貫通した係合穴8からシャーシ6上面が居室内の空中に露出することで、シャーシ6を介して収納部11内で発生した電源基板15の熱を放出することとなる。すなわちシャーシ6の上面が熱交換機の役割を果たすこととなる。
【0060】
5.電源基板15
電源基板15は、略長方形に形成されて後述のLED基板16に電力を供給するとともに、LED照明器具本体1の制御回路機能も備えている。電源基板15には天井の引掛けシーリング2を介して商用電力が供給される。電源基板15は収納部11内では略水平に保持され下側面に各種の電気部品が配置されている。上側面は主に銅箔により各電気部品を接続するとともに各電気部品が落下しないように半田付けによって固定している。電源基板15はシャーシ6下方から収納部11に収納されてシャーシ6内面と電源基板15上側面や電気部品とは絶縁距離を約10mm保持してネジ(図示せず)やスペーサ(図示せず)などでシャーシ6に固定されている。
電源基板15には商用電源から電力を供給されてLED基板16の下面側に配置されたLED発光素子17を発光させたり、LED基板16の制御を行ったりする。
【0061】
6.LED基板16
絶縁シートを形成するLED基板16の基材18は略円形で、LED発光素子17が下面側に同心円状に配置されている。基材18は厚みが約0.2mmのポリエチレンテレフタレート(以下PET)シートかポリカーボネート(以下PC)シートなどの耐熱温度が100℃以上の樹脂シートで形成されている。
【0062】
LED基板16下側面には導電性インク19をシルク印刷などによって幅2mmで厚み0.1mmの回路パターン20が形成されている。導電性インク19を溶剤量などで調整することにより導電性インク19の厚みは調整することができる。LED発光素子17は導電性インク19で形成された回路パターン20上に導電性接着剤21でアノード極22とカソード極23を接着することで電気回路24を形成している。つまり、電気回路24は回路パターン20と導電性接着剤21とLED発光素子17とで構成されている。1枚の基材18に形成された電気回路24をLED基板16とする。
【0063】
導電性インク19はその主成分として銀の微粒子または炭素の微粒子を導電物質として50重量パーセント以上含有し、その他に接着用樹脂や安定剤・酸化防止剤などを含むものである。耐熱性や耐酸化性を考慮して主成分は銀、炭素を主成分として使う場合が多い。その他、ニッケル、銅、スズ、アルミニウム等が使用されることがある。
導電性接着剤21はその主成分は導電性インク19と同様であるが、接着機能を高めるために速乾性成分や異種材料との接着性を高めるための接着剤成分の比率を高めている。
【0064】
LED基板16は厚みが約0.2mmで上側面を放熱板10に樹脂接着剤25で全面接着しているので熱が伝わりやすく、LED発光素子17で発生する熱はカソード極23から導電性接着剤21を介してLED基板16の回路パターン20に伝わり、さらにLED基板16の基材18と樹脂接着剤25を介して熱的に密着している放熱板10に伝わり空中に放熱されることとなる。
【0065】
放熱板10から空中に放熱された熱は、セード5内空間に放熱され、やがて室内へと放散される。一部はシャーシ6を伝導して係止部7内周の係合穴8から上方空間に露出したシャーシ6の上側面から天井方向に放熱される。
樹脂接着剤25は通常はアクリル系を主成分とすることが多いが、耐熱性を強化するためにエポキシ系やシリコン系を主成分としても良い。
【0066】
図6はLED発光素子17の斜視図である。略直方体の外観で、大きさは幅2.8mm、長さ3.4mm、高さ0.7mmの大きさで、
図6の上側面から光が発出される。底面には長手方向の一端に比較的面積の小さいアノード底電極26が形成され、他端に比較的面積の大きいカソード底電極27が形成されている。アノード底電極26とカソード底電極27は同一平面上に形成されている。アノード底電極26とカソード底電極27との間には樹脂外郭の一部で絶縁層28が形成されている。アノード底電極26とカソード底電極27は各々亜鉛メッキされていてハンダ34付けできるようにしてある。アノード底電極26は外観として底面であるアノード充電金属底面部29とLED発光素子17の外周の垂直面の一部を形成するアノード充電金属垂直面部30とで構成されている。また、カソード底電極27は外観として底面であるカソード充電金属底面部31とLED発光素子17の外周の垂直面の一部を形成するカソード充電金属垂直面部32とで構成されている。
【0067】
各LED発光素子17は直列と並列の組み合わせによる様々な発光パターンを実現できる。また、LED発光素子17はLED基板16上に概略均一な密度で配置されている。これは光の密度を均一にすると同時に発熱を均等に分散させるためである。
【0068】
LED基板16上側面はアクリル系やエポキシ系またはシリコン系などの樹脂接着剤25を介して放熱板10に熱的かつ機械的に密着して接着されているので、LED発光素子17で発生する熱は放熱板10に熱伝導して放熱板10上側面から主にセード5内の空間に放熱されることとなる。
【0069】
ここで、比較のために
図4と
図7(b)を用いて従来の銅箔によるLED発光素子17の放熱について説明する。LED発光素子17は銅箔パターン33にハンダ34付けされているので、LED
発光素子で発生した熱は、主に金属で形成されたカソード極23から金属であるハンダ34を介して金属である銅箔パターン33に熱伝導する。
図4の銅箔パターン33ではカソード極23をハンダ34付けする銅箔パターン33の面積が圧倒的に広い。その理由は、LED発光素子17で発生した熱のほとんどがカソード極23からハンダ34を介して銅箔パターン33へ熱伝導するからである。カソード極23から伝わった熱をできるだけ広い面積の銅箔パターン33で空中に放熱する必要があるので、カソード極23をハンダ34付けする銅箔パターン33の面積を大きくしている。
【0070】
しかし、従来の構造では銅箔を貼り付けたエポキシ樹脂板やフェノール樹脂板で形成されたプリント基板35であり、しかも機械的強度の制約から板厚が1.0mm以上のものが多い。プリント基板35に密着している放熱板10に熱伝導して放熱できれば構造上は都合が良い。しかし、この樹脂材料で構成されたプリント基板35の素材部分の熱抵抗が大きい。更にはプリント基板35を放熱板10に固定する方法が3点か4点のネジ止め構成である場合が多いので、LED発光素子17をハンダ34付けする銅箔パターン33を備えた面の反対側面であるプリント基板35上側面と放熱板10下側面との密着が不完全で空気層が発生する状態になる。結果としてプリント基板35と放熱板10との間に空隙41が発生するのでなおさらLED発光素子17の発熱を放熱板10に伝達することが困難となる。
【0071】
つまり、従来の構成ではLED発光素子17で発生した熱はカソード極23から銅箔パターン33に移動して銅箔パターン33から空中に放出されていた。構造上、ほこりや虫の侵入防止のために放熱板10と透光性カバー12で密封した空間を形成しているが、この密封した空間にプリント基板35は放熱板10下側面に固定されているので、LED発光素子17で発生した熱を密封した空間に放熱する構造になっていた。前述のように構造上は放熱板10と透光性カバー12で密封された空間に放熱し続けるので、LED照明従来器具本体36を連続して使用する場合には、やがて密封した空間の温度が上昇してくる。LED発光素子17からハンダ34を介して銅箔パターン33に伝導した熱はやがて放熱板10または透光性カバー12から改めて居室へ放出する必要がある。
【0072】
このように、従来構成では銅箔パターン33から密封した空間へ一度放熱した後に、改めて放熱板10または透光性カバー12から居室内へ熱を放出する必要があり、放熱効率の悪い構成であった。この間にLED発光素子17の温度上昇があるのでLED発光素子17に十分な電流を流すことができず、所望の光量を得ることができなかった。所望の光量を得るには高価で発光効率の良いLED発光素子17を使うか取り付け面積を大きくするかまたは耐熱温度の高い高価なLED発光素子17を使う必要があり、経済的ではなくまた大掛かりなLED照明従来
器具本体になってしまっていた。
【0073】
一方、実施例1の構成では、LED発光素子17が発出した熱を主にカソード極23から導電インクによる回路パターン20を介して樹脂接着剤25で放熱板10に密着した絶縁シートであるLED基板16に伝導する。LED基板16は0.2mmと比較的薄いのと全面を樹脂接着剤25で放熱板10に接着されているので、LED発光素子17からの熱を効率的に放熱板10に伝導する。LED基板16は比較的薄くさらには樹脂材料で形成されているので、水平方向への熱伝導は比較的少なく、LED発光素子17の発熱はほとんどが放熱板10へと導かれる。放熱板10はセード5下側に面しているので、程なくセード5下側の空間を介して室内へと放熱される。
【0074】
LED基板16下側面に形成されている導電性インク19による回路パターン20の端部は、従来のリフローハンダ34付けに用いる片面に半田付けする構造のコネクタ端子37か、またはネジ端子金具38を導電性インク19による回路パターン20に導電性接着剤21で接着固定して、回路パターン20と電気的に接続するための電線が接続できるようにする。これにより従来からのコネクタや丸形端子などを用いて電気的に接続する他の電気部品との接続が可能となる。コネクタや丸形端子はハンダ34の代わりに導電性接着剤21を用いて接着するだけなので既製品が使用でき新たな投資などは不要である。
【0075】
過電流による電気回路24の焼損などを防ぐために、
図10に示すようにパターンヒューズ39を形成する。放熱板10にLED基板16側から上方に向かって直径10mmから15mmで深さ約2mmの凹部40を形成する。LED基板16は放熱板10に平面状に貼り付けられているで、放熱板10の凹部40とLED基板16の間に空隙41が発生する。この空隙41をまたいで通る位置にLED基板16に導電性インク19でパターンヒューズ39を形成する。空隙41の範囲内で電気回路24の線幅を約0.5mmに狭めて形成しパターンヒューズ39とする。
【0076】
LED基板16上において空隙41の端から回路パターン20が伸びてきて、空隙41の一端から3mm程度空隙41の中心方向の内側までは近傍の回路パターン20と同じ線幅で伸延し、空隙41の中心方向の内側へ3mm程度入った位置から線幅を急に0.5mmにしてパターンヒューズ39を形成する。そして、空隙41の反対側の端から3mm程度まできたら再度線幅を近傍の回路パターン20と同じ線幅に戻して、空隙41の他端に到達する。これにより、空隙41の約3mm内側にパターンヒューズ39が形成されることとなる。またパターンヒューズ39は確実に凹部40との間に空隙41が存在する範囲で形成されることとなる。パターンヒューズ39の線幅やインク厚みは流す電流により調整する数字である。
【0077】
このパターンヒューズ39に瞬間的に過大な電流が流れた場合に、線幅が小さいので単位長さ当たりの電気抵抗が比較的大きく、結果として発熱が集中しパターンヒューズ39の温度が急激に高くなり、やがて溶断する。また、定格の数倍程度の過電流が比較的長時間流れた場合には、パターンヒューズ39が放熱板10と密着している構成であるならば放熱板10に熱を逃がしながら継続して電流が流れる。しかし本実施例ではパターンヒューズ39と放熱板10の間に空隙41が存在するのでパターンヒューズ39は空中に位置することとなり、放熱板10に放熱することが出来なくなる。そしてパターンヒューズ39の自己発熱による温度上昇が顕著に表れてやがて他の回路パターン20よりも早く温度上昇することとなり確実にパターンヒューズ39が溶断する。
【0078】
パターンヒューズ39は凹部40の外周から約3mm凹部40の中心側の範囲内で形成されているので、自己発熱して溶断する部位は確実に凹部40の範囲内であり、従って放熱板10とは凹部40のへこみの分だけ確実に電気的に絶縁されている。
【0079】
さらに、空隙41があるので、パターンヒューズ39が溶断した後に溶断の熱により樹脂で形成されたLED基板16も溶損して穴が開いたとしても、溶融したLED基板16の基材18は重力により空隙41と反対側に垂れることとなり空隙41から離れるように変形する。パターンヒューズ39が溶断した瞬間からはパターンヒューズ39は発熱しないので、LED基板16の基材18である樹脂材料がやがて固化し、放熱板10との間には確実に絶縁距離が確保されるために溶損した穴の端面に現れた充電部が放熱板10に触れることがなく、従って放熱板10への漏電は発生しない。よってパターンヒューズ39が溶断した後にLED照明器具を手指で触れても感電することはない。
【0080】
7.放熱板10
放熱板10は略円形状で、水平に配置された厚さが約0.5mmの亜鉛メッキ鋼板等でプレス加工して形成されている。シャーシ6と同心円状の外径をしていて、シャーシ6より直径が大きいので放熱板10の外周部42はシャーシ6に隠れることなく外方に露出している。放熱板10のセード5内方空間への放熱はこの外周部42で行われる。
【0081】
LED基板16の上側面は平坦で樹脂接着剤25が一面に均等に塗布されているので、放熱板10に軽く押圧することで密着固定されて熱的にも結合することとなる。LED発光素子17で発生した熱は、温度勾配の高い方から、LED発光素子17、導電性接着剤21、導電性インク19、LED基板16、樹脂接着剤25、放熱板10の下側面の順に伝導した後に、放熱板10内を横切るように伝わって放熱板10上側面からセード5内方の空間に放熱される。
放熱板10は水平方向に平坦な平板で最外周は略円形をしており全外周を下方向に約3mm絞り加工して補強壁43を形成している。
【0082】
8.透光性カバー12
LED照明器具本体1の下部には中空ドーナツ形状の中心軸を垂直にしてこれを水平面で上下に切断した下側の形状をした透光性カバー12が配置されている。透光性カバー12は透明樹脂材料であるアクリル(以下PMMA)樹脂やPC樹脂などに光拡散剤を添加したものを射出成型加工により形成される。
【0083】
透光性カバー12の外周または中央部と放熱板10をネジ(図示せず)で締結することで透光性カバー12を放熱板10に取付けることができ、LED照明器具本体1と一体化することができる。固定方法はネジで締結すること以外でも良いが、経済的にも組立や分解しやすさを考慮するとネジ止めが良い。
【0084】
透光性カバー12には光拡散剤を添加しているが、さらに透光性カバー12下側面はシボ加工や凹凸に加工してあり上側から下側へ透過する光を適度に散乱させる。その目的はLED発光素子17から発出された光をより拡散させて居室全体をより均一に照明することである。透光性カバー12の上側面(内側面)は円滑な鏡面に近い表面状態である。これはLED発光素子17からの光を反射させることで光を減衰することなく乱反射により散乱させるためである。
【0085】
以上のようにLED発光素子17から発出された光は、透光性カバー12上側面で反射されて放熱板10との間で乱反射された後に透光性カバー12を透過する。透光性カバー12を透過する間に添加されている光拡散剤で乱反射され、さらに透光性カバー12の下側面を通過するときにシボ加工により乱反射される。透光性カバー12を通り抜けた光は十分に散乱されているので、居室内を均等に照明することとなる。
【0086】
透光性カバー12はLED発光素子17からの光を減衰することを抑えて透過させるとともに居室全体に散乱させることが主な機能であり、さらにはLED基板16を下方から直接触れることが無いように保護する役割もある。
【0087】
透光性カバー12の外周には、断面形状が下方に凹んで上方を開口した収容溝44が全周にわたって設けてあり、前述の放熱板10外周に設けられた補強壁43が収容溝44に嵌合してほこりや虫等が透光性カバー12と放熱板10との間の空間に侵入することを防止する。
【0088】
これにより、放熱板10と透光性カバー12に挟まれて形成される空間は気密的に保持されることとなり、放熱板10の下面に固定されたLED基板16はこの気密的な空間内に位置することとなる。従って、LED基板16は略密閉空間に内包される構成となり、ほこりや虫の侵入を防ぐことはできるが、LED基板16周囲の空気の流入流出がなくなるので、LED発光素子17で発生する熱を排出するには、放熱板10と透光性カバー12の間の空気対流を介して放熱板10と透光性カバー12を伝わって居室内に放熱するか、またはLED発光素子17で発生した熱がLED基板16を介して放熱板10から空間に放熱するかのどちらかが必要になる。
【0089】
以上の構成要素の動作や操作およびその作用を以下に説明する。
このLED照明器具本体1は天井面に予め設置されている引掛けシーリング2などの配線器具に電気的接続と機械的に吊り下げるための機構的接続が可能な電源接続部3を介して着脱自在に装着される。
【0090】
電源線4の一端は電源接続部3を介して引掛けシーリング2に接続し、他端をLED照明器具本体1上部中央に接続されている。電源線4はLED照明器具本体1に電気を供給するとともに機械的にLED照明器具本体1を天井から吊り下げる。電源線4の長さは通常は約1mであるが、天井の高さや居室の条件また趣向により下端を調整筒13に収納することで調整できるようにしてある。
【0091】
引掛けシーリング2から電源線4を介して電源基板15に商用電力を供給し、電源基板15によりLED基板16に電流を供給すると、LED基板16の電気回路24に電流が流れる。LED基板16上に導電性接着剤21で電気回路24を形成しているLED発光素子17に電流が流れて、各LED発光素子17が光を発出する。発出された光はLED基板16の下方に向かう。透光性カバー12の上側面を通過して透光性カバー12の中を通過した後に透光性カバー12の下側面から室内の下方に向けて放射されるときには、光は乱反射を繰り返しており、LED照明器具本体1から下方に向けて居室を均等に照射することとなる。
【0092】
LED照明器具本体1から下方に向けて光が放射されると、LED発光素子17では電力を光に変換したときの変換ロスである熱が発生する。このLED発光素子17の発熱はLED照明器具本体1の消費電力の約半分に達する。各LED発光素子17で発生した熱はアノード極22とカソード極23を介して導電性接着剤21に伝わる。導電性接着剤21はLED発光素子17と導電性インク19で形成された電気回路24の一部である回路パターン20とを電気的にも熱的にも接続しているので、導電性接着剤21から回路パターン20に熱が伝わることとなる。
【0093】
次に、回路パターン20の厚みは0.1mm程度であるので、熱は回路パターン20を介してLED基板16のPETシートで形成された基材18に伝わる。さらに基材18の厚みが0.2mmであるので基材18を介して熱が放熱板10に伝わり、放熱板10全体に各LED発光素子17の熱が伝わる。放熱板10の下面側に熱が伝わるので、放熱板10の厚さ方向で下側面から上側面に熱は移動する。やがて放熱板10の上側面からセード5内方の空中に対流などにより居室内に放熱される。
【0094】
LED発光素子17の発熱の一部はLED発光素子17から直接にまたは導電性接着剤21を介して回路パターン20からLED基板16下側面方向に空気の対流などにより放熱される。さらに透光性カバー12の上側面(内面側)から厚み方向に移動して下面側(外面側)に移動して居室内に放熱される。前述の放熱板10からの放熱は放熱板10が約60℃に達するのに対して、透光性カバー12は約40℃に達するので、居室の室温が20~30℃の場合、材質の熱伝導度や放熱面積などから、放熱量は透光性カバー12より放熱板10のほうが多いことが明らかである。
【0095】
つまり、LED発光素子17で発生する熱は、導電性接着剤21を介して導電性インク19で形成された回路パターン20からLED基板16に移動する。LED基板16は上側面全面を樹脂接着剤25で放熱板10に機械的に接着されると同時に熱的にも密着しているので、熱は放熱板10に移動し、放熱板10からセード5内方の空間に放熱された後にやがて居室空間に放散されることとなる。
【0096】
電源基板15では交流からLED発光素子17駆動のために直流電流に変換したり制御用電源に変換したりするが、この電力の一部は損失として電源基板15から発熱する。電源基板15の発熱は、収納部11内に対流によって放出され、収納部11内の対流によって主にシャーシ6を介して居室内に放熱される。
【0097】
以上のように、本実施例では、回路パターン20に導電性接着剤21でLED発光素子17のアノード底電極26のアノード充電金属底面部29とカソード底電極27のカソード充電金属底面部31を接着して電気的に接続したが、アノード極22とカソード極23の側方の垂直方向の壁であるアノード充電金属垂直面部30またはカソード充電金属垂直壁部を接着しても良い。電気的に接続できれば良い。
【0098】
また、シャーシ6は印刷鋼板をプレス加工して形成したが、アルミ板などの熱伝導性の良好な材料でも良い。
【0099】
以上、本発明の一実施例を説明したが、本発明はこれらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なし得る各種変形や修正もまた本発明に含まれる。
アノード底電極26とカソード底電極27はLED発光素子17の高さ方向にも各々と一体的に約0.3mm程度垂直方向に伸延してアノード充電金属垂直面部30とカソード充電金属垂直面部32が露出している。従って、電気的な接続については、アノード充電金属底面部29とカソード充電金属底面部31またはアノード充電金属垂直面部30とカソード充電金属垂直面部32のどちらを電気的に接続してもよく、アノード底電極26またはカソード底電極27からLED発光素子17で発生した熱を放熱できれば所望の動作をすることができる。
アノード充電金属垂直面部30とカソード充電金属垂直面部32のごく近傍にはおのおのに電気接続する回路省資源パターン51が配設されているので、導電性接着剤21でアノード充電金属垂直面部30と回路省資源パターン51を接着し、カソード充電金属垂直面部32と回路省資源パターン51を接着すると回路省資源パターン51とLED発光素子17が電気的に接続されて電気省資源回路52を形成することとなる。基材18に電気省資源回路52を形成してLED省資源基板53を形成している。
つまり、導電性インク19で印刷形成した回路省資源パターン51にLED発光素子17のアノード充電金属垂直面部30とカソード充電金属垂直面部32とを導電性接着剤21で電気的に接続することで、同時に機械的にLED発光素子17を回路省資源パターン51に固定することになる。LED発光素子17のカソード充電金属底面部31とアノード充電金属底面部29を直接基材18に接触させて熱的に基材18に熱伝導させる状態にしてあるので、LED発光素子17で発生した熱はカソード充電金属底面部31とアノード充電金属底面部29から基材18を介して放熱板10に熱伝導することとなる。
LED発光素子17はアノード充電金属垂直面部30とカソード充電金属垂直面部32はそれぞれを導電性接着剤21で回路省資源パターン51に接着されて固定されることで、LED発光素子17のアノード充電金属底面部29とカソード充電金属底面部31は基材18の下側面に密着して保持されている。従ってLED発光素子17で発生した熱は主にカソード充電金属底面部31とアノード充電金属底面部29を介して直接基材18に伝わり、基材18の下側面から上側面に厚み方向に熱伝導する。その後に、樹脂接着剤25で放熱板10とLED基板16が全面接着されているので樹脂接着剤25を介して放熱板10に熱が伝わり、そして放熱板10上側面からセード5内方の空間に対流や輻射によって放熱される。
このように、LED発光素子17から放熱板10までの熱伝導経路を最短にすることで、放熱の熱抵抗を小さくすることができる。
カソード底電極27およびアノード底電極26と基材18との密着性の確保について、LED発光素子17のアノード充電金属底面部29とカソード充電金属底面部31を基材18の下側面に直接接触させた状態で、回路省資源パターン51を介してLED発光素子17の両端であるカソード充電金属垂直面部32とアノード充電金属垂直面部30を回路省資源パターン51に導電性接着剤21で接着固定する構成である。またLED省資源基板53の上側面を平面状の鋼鈑である放熱板10の下側面に樹脂接着剤25で全面接着するので、LED発光素子17のアノード充電金属底面部29およびカソード充電金属底面部31と基材18の下側面は密着する。そして放熱板10の平面状態に沿うように平面状態を維持して密着状態が保持されることとなる。
さらに、LED発光素子17をモールドする樹脂はエポキシ樹脂であり、LED基板16はPET樹脂かPC樹脂を用いることが多いが、その線膨張係数の差によるひずみでLED発光素子17とLED基板16の間に隙間が発生することはない。なぜならエポキシ樹脂とPET樹脂の線膨張係数の差は最大でも2掛ける10のマイナス6乗であり、温度上昇によるLED発光素子17が100℃でLED基板16が40℃としても、全長3.4mmにおいて、計算上約1マイクロメートルの熱膨張寸法差となる。この数値は表面粗さより小さいので実用上アノード充電金属底面部29及びカソード充電金属底面部31と基材18との隙間は熱膨張によって変化しない。
つまり、LED省資源基板53に接着されたLED発光素子17のカソード充電金属底面部31およびアノード充電金属底面部29と基材18の下側面との密着した接触は温度上昇によっても、事実上変化しないこととなる。そして熱伝導性能も変化しない。LED発光素子17のカソード充電金属底面部31とアノード充電金属底面部29は常に基材18に密着していることとなる。つまり、LED発光素子17のアノード充電金属垂直面部30とカソード充電金属垂直面部32を両端として回路省資源パターン51に導電性接着剤21で各々接着することで、アノード充電金属底面部29およびカソード充電金属底面部31と基材18の下側面との平面状の密着性は維持できることとなる。
従って、アノード底電極26とカソード底電極27とを基材18に直接接着していないことで隙間が発生して熱抵抗が大きくなるといったことはない。むしろ逆にLED発光素子17で発生する熱を導電性インク19で形成された回路省資源パターン51を介することなく、直接基材18に密着させることにより最短距離で放熱板10に熱を移動させることができる。
LED省資源基板53の下面側である銅箔面から上側面を介して放熱板10に熱を伝えるためには、エポキシ樹脂板やフェノール樹脂板の厚み分の熱抵抗が存在するので、LED発光素子17がハンダ34付けされている銅箔面から放熱するほうが効率的であった。従って、カソード底電極27にハンダ34付けで熱的に接続される回路エッチングパターン54の放熱面積をできるだけ大きくしてカソード底電極27付近で空中に放熱する構成とするものが一般的であった。
やがてLED発光素子17とともにLED省資源基板53も温度上昇して熱膨張するが、LED発光素子17とLED省資源基板53の線膨張係数が近いので、LED発光素子17が100℃に達したとしても、その温度差からくる熱膨張による寸法変化の差はほぼゼロであり、LED発光素子17のアノード底電極26およびカソード底電極27と基材18との密着は維持される。
LED発光素子17の一端のアノード充電金属垂直面部30と他端のカソード充電金属垂直面部32を回路省資源パターン51に導電性接着剤21で固定する構成であるので、LED省資源基板53とアノード充電金属底面部29およびカソード充電金属底面部31と基材18の下側面が機械的に接着固定されていなくても、アノード充電金属垂直面部30とカソード充電金属垂直面部32の間の基材18の熱膨張寸法が、エポキシ樹脂でモールドされたLED発光素子17の熱膨張寸法に近いので、長時間のLED照明器具本体1を通電していても、アノード充電金属垂直面部30とカソード充電金属垂直面部32の間におけるLED発光素子17と基材18の寸法変化が実用上同じであるので、アノード充電金属底面部29およびカソード充電金属底面部31と基材18の位置関係は維持されることとなる。
LED発光素子17で発生した熱はアノード充電金属底面部29とカソード充電金属底面部31から基材18を介して、LED省資源基板53と全面接着されている放熱板10の下側面に伝導し、やがて放熱板10の上側面から居室の空中に対流や放射により放熱されることとなる。
アノード充電金属底面部29とカソード充電金属底面部31が直接基材18に接しているので余分な熱抵抗がなく、最短距離で放熱板10の上側面に達することができるので放熱の効率が良い。
また、LED発光素子17のアノード底電極26とカソード底電極27の投影面まで回路省資源パターン51を延設する必要がないので、導電性インク19の使用量を少なくすることができて経済的な構成にすることができる。