(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147924
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20241009BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20241009BHJP
F25D 11/02 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25D23/00 301K
F25D23/00 301B
F25D23/00 301N
F25D11/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060671
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】小池 成彦
(72)【発明者】
【氏名】添田 舞子
(72)【発明者】
【氏名】松本 真理子
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA08
3L045DA02
3L045EA01
3L045LA11
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA16
3L345AA21
3L345BB07
3L345CC01
3L345EE13
3L345EE33
3L345EE45
3L345FF32
3L345HH02
3L345HH12
3L345HH13
3L345JJ02
3L345JJ22
3L345JJ23
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】使用者の情報に基づき、凍結制御のタイミングを制御することで、使用者の利便性を向上させた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本開示にかかる冷蔵庫は、被冷却物が保存される貯蔵室と、貯蔵室内を冷却する冷却部と、冷却部を制御する制御部と、を備え、制御部は、使用者が被冷却物を使用していない場合に、冷却部に、被冷却物の少なくとも表層部を凍結させる第1の処理を実行させるものである。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷却物が保存される貯蔵室と、
前記貯蔵室内を冷却する冷却部と、
前記冷却部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、使用者が前記被冷却物を使用していない場合に、前記冷却部に、前記被冷却物の少なくとも表層部を凍結させる第1の処理を実行させる
冷蔵庫。
【請求項2】
前記使用者に関する情報を取得する使用者情報取得部と、
前記使用者情報取得部により取得された前記使用者に関する情報により、前記使用者が前記被冷却物を使用していないことを判定する判定部と、を備え、
前記制御部は、前記判定部が、前記使用者が前記被冷却物を使用していないと判定した場合に、前記冷却部に前記第1の処理を実行させる
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記制御部は、前記冷却部に、前記第1の処理の後、前記被冷却物の前記表層部を解凍させる第2の処理を実行させる
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記制御部は、前記冷却部に、前記第1の処理と前記第2の処理とを、交互に2回以上繰り返し実行させる
請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記使用者情報取得部は、前記使用者の調理状況を示す情報を取得する
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記貯蔵室内の温度情報、前記貯蔵室内の被冷却物の状態に関する情報、前記制御部が実施している制御情報のうち、少なくとも一つの情報を使用者に通知する通知部を備える
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記貯蔵室内の被冷却物について、被冷却物に関する情報を取得する被冷却物情報取得部を備え、
前記制御部は、前記被冷却物情報取得部により取得された前記情報により、前記第1の処理を行うか否かを判定する
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記使用者の調理終了を予測する調理終了予測部を備え、
前記調理終了予測部は、前記使用者情報取得部により取得された情報により、前記使用者の調理終了を予測し、
前記制御部は、前記調理終了予測部が予測した調理終了の時刻に、前記冷却部に前記第1の処理を開始させる
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記第1の処理あるいは前記第2の処理の、実行前あるいは実行中に、前記制御部に対し制御内容の変更を行う変更部を備える
請求項1または請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記使用者の調理開始を予測する調理開始予測部を備え、
前記制御部は、前記冷却部に、前記調理開始予測部が予測した調理開始時刻において、前記被冷却物の表層部の凍結が解凍しているよう前記冷却部を制御する
請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記制御部は、前記調理開始予測部が予測した調理開始時刻から、前記使用者が所定の時間内に調理を行うことが予測される場合、前記第1の処理を実行せず、
前記使用者が所定の時間内に調理を行うことが予測されない場合、前記第1の処理を実行する
請求項10に記載の冷蔵庫。
【請求項12】
前記第1の処理と前記第2の処理とを交互に実行している場合において、
前記制御部は、前記使用者が所定の時間内に調理を行うことが予測される場合、前記第1の処理と前記第2の処理との交互の実行を前記第2の処理で終了し、前記使用者が所定の時間内に調理を行うことが予測されない場合、前記第1の処理と前記第2の処理との交互の実行を前記第1の処理で終了する
請求項10に記載の冷蔵庫。
【請求項13】
前記使用者情報取得部は、断熱箱体に取り付けられている
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項14】
外部機器と通信可能な通信部を備え、
前記使用者情報取得部は、前記通信部を介して外部機器から前記使用者に関する情報を取得する
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項15】
前記使用者情報取得部は、前記使用者の在不在を示す情報を取得する、在不在情報取得部である
請求項14に記載の冷蔵庫
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、チルド室の温度を、食品の表面が微凍結する第一温度帯と、食品の微凍結が解凍する第二温度帯とに繰り返し制御する冷蔵庫が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の冷蔵庫においては、チルド室内の温度を第一温度帯と第二温度帯とに繰り返し変更する制御を行うことで、食品の保存期間が延びるとしている。しかしながら、特許文献1では、チルド室内の温度を食品の表面が微凍結する第一温度帯に制御するタイミングを考慮していない。結果、使用者が食品を使用したいタイミングで食品の表面が凍結しており、食品が調理に適した状態となっていないため、使用者の利便性が低下してしまう虞があった。
【0005】
本開示はこのような課題を解決するためになされた。その目的は、使用者の情報に基づき、凍結制御のタイミングを制御することで、使用者の利便性を向上させた冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる冷蔵庫は、被冷却物が保存される貯蔵室と、貯蔵室内を冷却する冷却部と、冷却部を制御する制御部と、使用者に関する情報を取得する使用者情報取得部と、情報取得部により取得された使用者に関する情報により、使用者が被冷却物を使用しないことを判定する判定部と、を備え、制御部は、判定部が、使用者が被冷却物を使用しないと判定した場合に、冷却部に被冷却物の少なくとも表層部を凍結させる第1の処理を実行させるものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示の冷蔵庫によれば、使用者が被冷却物を使用しない場合に凍結制御を行う。これにより、使用者が被冷却物を使用する場合に被冷却物が凍結している可能性が低下するので、使用者の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1の冷蔵庫の概略的な構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1の冷蔵庫の概略的な構成を示す縦断面図である。
【
図3】実施の形態1の冷蔵庫の切替室の概略的な構成を示す断面図である。
【
図4】実施の形態1の冷蔵庫の制御構成を示す図である。
【
図5】実施の形態1の冷蔵庫の制御装置の機能を示す図である。
【
図6】実施の形態1の冷蔵庫の調理情報の検知方法を示す図である。
【
図7】実施の形態1の冷蔵庫の温度制御を実施した切替室の設定温度、庫内温度、食品温度の時間変化を示す図である。
【
図8】実施の形態1における温度制御を実施した切替室内の食品の状態を示す模式図である。
【
図9】実施の形態1における食品に付着した菌数の時間変化を示す図である。
【
図10】実施の形態1の冷蔵庫の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】実施の形態1の冷蔵庫の変形例の操作部を示す図である。
【
図12】実施の形態1の冷蔵庫の変形例の調理情報の検知方法を示す図である。
【
図13】実施の形態1の冷蔵庫の変形例の通知部を示す図である。
【
図14】実施の形態1の冷蔵庫の変形例の切替室部分の概略的な構成を示す断面図である。
【
図15】実施の形態1の冷蔵庫の変形例の制御装置の機能を示す図である。
【
図16】実施の形態1の冷蔵庫の変形例の調理終了予測の方法を示す図である。
【
図17】実施の形態1の冷蔵庫の変形例の操作部を示す図である。
【
図18】実施の形態2の冷蔵庫の制御装置の機能を示す図である。
【
図19】実施の形態2の冷蔵庫の調理開始予測の方法を示す図である。
【
図20】実施の形態2の冷蔵庫の温度制御を実施した切替室の設定温度、庫内温度、食品温度の時間変化を示す図である。
【
図21】実施の形態3の冷蔵庫の制御装置の機能を示す図である。
【
図22】実施の形態3の冷蔵庫の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
《1》実施の形態1
《1-1》構成
以下、本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫1について説明する。
図1は、実施の形態1に係る冷蔵庫1の概略的な構成を示す正面図である。
図2は、実施の形態1に係る冷蔵庫1の概略的な構成を示す縦断面図である。なお、
図1及び
図2を含む以下の図面では、各構成部材の寸法の関係、形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、明細書中における各構成部材同士の位置関係(例えば、上下関係等)は、原則として、冷蔵庫を使用可能な状態に設置したときのものである。冷蔵庫1は、実施の形態2、3、及び4において、冷蔵庫1a、1b、及び1cとそれぞれ表記される。
【0010】
図1に示されるように、実施の形態1に係る冷蔵庫1は、被冷却物(食品など)が保存される複数の貯蔵室として、最上段に配置された冷蔵室100と、冷蔵室100の下方に配置された切替室200と、切替室200の側方に隣接して切替室200と並列に配置された製氷室300と、切替室200及び製氷室300の下方に配置された冷凍室400と、冷凍室400の下方に配置された最下段の野菜室500と、を備えている。切替室200は、冷凍温度帯(例えば-18℃程度)、冷蔵温度帯(例えば3℃程度)、チルド温度帯(例えば0℃程度)、ソフト冷凍温度帯(例えば-7℃程度)等の各種温度帯に、保冷温度帯を切替えることができるようになっている。なお冷蔵庫1は冷蔵室100、切替室200、製氷室300、冷凍室400、および野菜室500のいずれかだけを有する構成であってもよく、上記のうちいくつかだけを有する構成であってもよい。また冷蔵室100、切替室200、野菜室500について、それぞれの内部を区画し温度、用途が異なる複数の室を配置してもよい。例えば、冷蔵室100内の下部の一部を区画し、当該区画だけをチルド温度帯のチルド室として、他の部分を冷蔵温度帯の冷蔵室としてもよい。
【0011】
図1に示されるように、冷蔵室100の前面に形成された開口部には、当該開口部を開閉する回転式の扉7が設けられている。本例の扉7は両開き式(観音開き式)であり、右扉7a及び左扉7bにより構成されている。冷蔵庫1の前面となる扉7(例えば、左扉7b)の外側表面には、操作パネル6が設けられている。操作パネル6は、各貯蔵室の保冷温度等の設定を調節するための操作スイッチ(
図4にて後述する操作部6a)と、各貯蔵室の温度及び庫内の在庫情報などを表示する液晶表示部(
図4にて後述する表示部6b)と、を備えている。また、操作パネル6は、操作部と表示部を兼ねるタッチパネルを備えていてもよい。
【0012】
冷蔵室100以外の各貯蔵室(切替室200、製氷室300、冷凍室400、野菜室500)は、それぞれ引出し式の扉によって開閉されるようになっている。これらの引出し式の扉は、扉に固定して設けられたフレームを各貯蔵室の左右の内壁面に水平に形成されたレールに対してスライドさせることにより、冷蔵庫1の奥行方向(前後方向)に開閉できるようになっている。
【0013】
図2に示されるように、冷蔵庫1は、前面(正面)が開口されて内部に貯蔵空間が形成された断熱箱体90を有している。断熱箱体90は、鋼鉄製の外箱と、樹脂製の内箱と、外箱と内箱との間の空間に充填された断熱材と、を有している。断熱箱体90の内部に形成された貯蔵空間は、1つ又は複数の仕切り部材により、食品を保存する複数の貯蔵室に区画されている。
【0014】
図2に示されるように、野菜室500には、食品等を内部に収納できる収納ケース501が引出し自在に格納されている。収納ケース501は、扉7のフレームによって支持されており、扉7の開閉に連動して前後方向にスライドするようになっている。同様に、切替室200及び冷凍室400には、食品等を内部に収納できる収納ケース201、401がそれぞれ引出し自在に格納されている。各貯蔵室に設けられる収納ケースの数はそれぞれ1つであってもよいが、冷蔵庫1全体の容量を考慮して整理性などが向上する場合には2つ以上であっても構わない。
【0015】
図2に示されるように、冷蔵庫1の背面側には、各貯蔵室内部を冷却するための冷却部として、圧縮機2と、冷却器3と、送風ファン4と、風路5と、制御装置8とが備えられる。制御装置8は、例えばマイクロコンピュータを備えており、後述するCPU(Central Processing Unit)8a及びメモリ8bを備えている。制御装置8は、メモリ8bに記憶された機能をCPU8aが実行することにより、予め設定された処理を実行し、冷蔵庫1を制御する。
【0016】
圧縮機2と、冷却器3とにより作り出された冷気は、送風ファン4によって送風され、風路5を通って、冷凍室400、切替室200、製氷室300、冷蔵室100へと送風され各部屋を冷却する。野菜室500は冷蔵室100の戻り冷気を冷蔵室用帰還風路より循環させ冷却され、そして、野菜室用帰還風路より冷却器3に戻される(帰還風路は図示せず)。各部屋の温度は、各部屋に設置されたサーミスタ11(
図3に示される)により検知され、予め設定された温度になるように、風路5に設置された切替室ダンパ12(
図3に示される)の開度又は圧縮機2の出力および送風ファン4の送風量を調整することで制御される。
【0017】
図3は、実施の形態1に係る冷蔵庫1の切替室200部分の概略的な構成を示す断面図である。
図3に示されるように、切替室200内には、切替室200の開閉状態を検知する開閉検知スイッチ10と、切替室200の温度を検知するサーミスタ11とが備えられる。また、切替室200の背面側の風路5には切替室ダンパ12が備えられる。切替室200の温度は、風路5に設置された切替室ダンパ12の開度を調整し、切替室200に送る冷気の量を変化させることにより制御される。なお後述するように、本実施の形態において、開閉検知スイッチ10は使用者に関する情報の一種である、使用者の調理の状況を示す調理情報を取得する使用者情報取得部として機能する。なお開閉検知スイッチ10は切替室200以外に取り付けられていてもよく、例えば冷蔵室100、野菜室500、冷蔵室100の内部で区画された室に取り付けられていてもよい。
【0018】
図4は、実施の形態1に係る冷蔵庫1の制御系の概略的な構成を示すブロック図である。
図4では、
図1から
図3に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付している。
図4に示されるように、冷蔵庫1は、圧縮機2と、送風ファン4と、操作パネル6と、制御部としての制御装置8と、開閉検知スイッチ10と、サーミスタ11と、切替室ダンパ12と、時刻検知部30とを備える。操作パネル6は、操作部6aと表示部6bとを備える。制御装置8は、CPU8aと、メモリ8bとを備える。
【0019】
図4に示されるように、制御装置8は、サーミスタ11から切替室200の温度を取得する。また、制御装置8は、時刻検知部30により計測された時刻を取得する。制御装置8は、切替室200内が設定された温度に維持されるように、メモリ8bに予め記憶された動作プログラムに従って、圧縮機2、送風ファン4、切替室ダンパ12等の運転状態を制御する。
【0020】
図4に示されるように、制御装置8には、操作パネル6の操作部6aから操作信号が入力されるとともに、操作パネル6の表示部6bに表示信号を出力する。また、制御装置8には、開閉検知スイッチ10からの検知信号等も入力される。
【0021】
図5は制御装置8が備える機能の一部を示す図である。本実施の形態において、制御装置8は、使用者情報取得部である開閉検知スイッチ10から、使用者の調理状況を示す調理情報である切替室200の扉開閉検知結果を取得し、使用者が調理を行っているか(被冷却物である食品を使用する)、調理を行っていないか(食品を使用しない)を判定する判定部9aを備える。また、制御装置8は切替室200の温度を制御する制御部9bを備える。なお、制御装置8は切替室200以外に対しても同様の制御を行うことができる。例えば制御装置8は冷蔵室100、野菜室500、冷蔵室100の一部を区画した室に対しても同様の制御を行うことができる。
【0022】
図6は判定部9aが、使用者が調理を行っているか、調理を行っていないかを判定する方法を示す図である。
図6の横軸は時刻、縦軸は開閉検知スイッチ10により検知された切替室200の開閉回数である。
図6に示されるように、切替室200は特定の時刻(6時から7時、12時から13時、18時から20時)で開閉が検知される。切替室200の開閉が検知されることから、当該時刻では冷蔵庫1の使用者が切替室200の中の食品を使用していると推測される。すなわち、判定部9aは使用者が調理を行っていると判定する。
【0023】
一方、上記時刻以外では切替室200の開閉が検知されていない。すなわち、冷蔵庫1の使用者が切替室200内の食品を使用しておらず、判定部9aは使用者が調理を行っていないと判定する。なおここで説明した内容は、使用者情報取得部(開閉検知スイッチ10)により取得された調理情報(開閉回数)により、判定部9aが、使用者が調理を行っていないことを判定する例の一つである。
【0024】
判定部9aが、上記のようにして使用者が調理を行っていないと判定した場合、制御部9bは切替室200内の温度を、切替室200内に収納された食品の少なくとも表層部が凍結する温度まで低下させる凍結制御(第一の処理)を行う。また、冷蔵庫1は凍結制御が終了した後、切替室200内の温度を、切替室200内に収納された食品の表層部の凍結が解凍される温度まで上昇させる解凍制御(第2の処理)を行ってもよく、さらに凍結制御と解凍制御を交互に任意の回数繰り返す、凍結解凍サイクル制御を行ってもよい。以下、
図7を参照して凍結解凍サイクル制御を説明する。
【0025】
図7は、本実施の形態における冷蔵庫1が凍結解凍サイクル制御を行った場合の、切替室200の設定温度、庫内温度、及び切替室200内に保存された食品の表面温度と中心温度の経時変化を示す図である。
図7に示されるように、冷蔵庫1では切替室200において凍結解凍サイクル制御、すなわち凍結制御(第1の処理)と解凍制御(第2の処理)とを繰り返す制御が可能である。なお、
図7では凍結解凍サイクル制御が終了した後、切替室200が通常制御に切り替わる例が示されている。
【0026】
図7において、切替室200内に収納された食品の表面温度は太い実線で示されており、切替室200内に収納された食品の中心温度は細い実線で示されており、切替室200の庫内温度は細い破線で示されており、切替室200の設定温度θsは太い破線で示されている。
【0027】
凍結解凍サイクル制御において、制御装置8の制御部9bは、まず凍結制御を行った後、凍結制御の終了とともに解凍制御を実施し、解凍制御の終了とともに再度凍結制御を開始する。より具体的には、制御部9bは冷却部(例えば、圧縮機2、送風ファン4、切替室ダンパ12等)を制御し、凍結制御と解凍制御を実施する。切替室200の設定温度θsは、凍結制御と解凍制御とでそれぞれ別に設けられている。切替室200の設定温度θsは、凍結制御では、食品の凍結点θfよりも低い低温設定温度θLに設定され、解凍制御では、食品の凍結点θfよりも高い昇温設定温度θHに設定される。
【0028】
低温設定温度θLは、例えば、-20℃であり、昇温設定温度θHは、例えば、5℃である。低温設定温度θLは、-25℃~-5℃の範囲内であることが望ましく、昇温設定温度θHは、0℃~10℃の範囲内であることが望ましい。
【0029】
凍結制御では、切替室200の設定温度θsを低温設定温度θLに設定し、第1所定時間(凍結制御時間ΔTL)が経過したら(時刻TL)、凍結制御を終了し、解凍制御を開始する。凍結制御においては、制御部9bは圧縮機2の回転数を増大させる、送風ファン4の回転数を増大させる、切替室ダンパ12の開度を大きくするなどの制御を行い、切替室200内の温度を低下させる。一方、解凍制御では、切替室200の設定温度θsを昇温設定温度θHに切り換え、第2所定時間(解凍制御時間ΔTH)、昇温設定温度θHに維持する。解凍制御では、制御部9bは圧縮機2の回転数を低下させる、送風ファン4の回転数を低下させる、切替室ダンパ12を閉鎖し冷気の流入を停止するなどの制御を行い、切替室200内の温度を上昇させる。
【0030】
解凍制御時間ΔTHが経過したら(時刻TH)、解凍制御を終了する。凍結制御を開始してから解凍制御を終了するまでを1周期とし、この一連の温度制御を、所定のn回繰り返すまでを凍結解凍サイクル制御とする。nは、1以上の整数であり、2以上であることが望ましい。凍結解凍サイクル制御を終了したら(時刻TR)、通常制御を開始する。通常制御では、食品の凍結点θfよりも高い維持設定温度(第1の温度)θRに設定し、切替室200の温度を維持設定温度θRに維持する。
【0031】
以上の制御を行うことにより、
図7に示されるように、切替室200に保存された食品の表面温度は、凍結制御によって食品の凍結点θfよりも低い温度まで下がり、解凍制御によって昇温設定温度θHまで上がることを繰り返す。一方、切替室200に保存された食品の中心温度は、凍結制御によって食品の凍結点θfに近い温度まで下がり、また、解凍制御によって昇温設定温度θH近くまで上がることを繰り返す。したがって、食品の中心部は凍結までは至らない。結果、食品の品質は維持される一方、食品の表層部は凍解と解凍を繰り返すことで、表層部に付着した菌が死滅する。以下、表層部に付着した菌の状態について説明する。
【0032】
図8は、切替室200内に収納された食品の状態が、時間経過によりどのように変化するかを示した模式図である。
図8において、食品の非凍結状態は濃いハッチングで示されており、食品の凍結状態は薄いハッチングで示されている。また、
図8における時刻T0から時刻TRは、
図7における時刻T0から時刻TRと一致する。
【0033】
図8に示されるように、時刻T0において、切替室200内に収納された食品は非凍結状態であり、制御部9bにより実施される凍結制御で冷却されて温度が降下する。このとき、食品は表面から冷却されるので、表面温度が中心温度よりも早く下がり、凍結点θf以下に到達する。なお食品表面は凍結点θf以下でも凍らない状態である過冷却状態に一時的になる場合があるが、過冷却状態はエネルギー的に不安定な状態であるため、すぐに過冷却状態は解消され、食品の表層部には氷結晶が生成され凍結を開始する。このため、時刻TLでは、食品の表層部が凍結状態で、中心部は非凍結状態である。
【0034】
続いて、予め定められたタイミングで制御部9bは解凍制御を開始し、切替室200内の温度を凍結点θfより高い温度に昇温する。これにより、食品の中心部まで凍結が進行する前に、表層部に生成された氷結晶を解凍させ、非凍結状態に復帰させる。このため、時刻T1では、食品の表層部、内部とも非凍結状態となる。制御部9bが
図7に示される凍結解凍サイクル制御の一連の温度制御を繰り返すことにより、食品の表層部において凍結状態と非凍結状態とが繰り返される(時刻TL1から時刻TRまで)。時刻TRにおいて凍結解凍サイクル制御が終了したら、制御部9bは通常制御に移行し、切替室200内の設定温度θsは食品の凍結点θfより高い維持設定温度θRに維持される。通常制御において、食品の表層部は非凍結状態である。
【0035】
図9は、食品に付着した大腸菌数の経時変化を示す図である。
図9において、縦軸には食品に付着した菌数(log(CFU))が示されており、横軸には時間(h)が示されている。
図9では、大腸菌について、凍結状態で保存する冷凍保存と、非凍結状態で保存する冷蔵保存と、凍結解凍の相変化を繰り返し生じさせた凍結解凍繰り返し保存で20時間食品を保存したときの菌数の変化を比較している。
図9において大腸菌数は、冷凍保存において四角で示されており、冷蔵保存において三角で示されており、凍結解凍繰り返し保存においてひし形で示されている。
【0036】
図9に示されるように、冷凍保存と冷蔵保存では、ほとんど菌数が変化しないのに対し、凍結解凍繰り返し保存では、時間の経過とともに菌数が減少している。これは、氷結晶生成による物理的な変化、細胞液の濃縮による脱水などが起きて細菌の細胞膜などが損傷するため、細菌が死滅し、増殖が抑制されることによると考えられる。したがって、
図9に示される凍結解凍繰り返し保存により、食品の表層部に繰り返し相変化状態を生じさせることで、表層部での菌の増殖を抑制することができる。すなわち、
図7のように凍結解凍サイクル制御を行うことで、食品が凍結解凍を繰り返しつつ保存され、食品の状態が良好に保たれる。
【0037】
食品の腐敗などの要因となる菌は、多くの場合、食品の加工過程で付着するものであり、そのほとんどが食品の表面に存在する。そのため、食品の表層部を凍結解凍処理することで、菌の増殖抑制効果を得ることができ、食品の腐敗などの劣化を抑制することができる。また、食品の表層部のみを凍結解凍処理し、食品の中心部は相変化を生じさせないことにより、氷結晶による食品の細胞へのダメージを最小限にすることができ、食品の成分、食感、風味などの品質を維持することができる。
【0038】
ここで、凍結解凍繰り返し保存は、肉、魚など細胞壁をもたない食品の保存に特に有効である。これは、このような食品は細胞膜が柔軟であるため、表層部の凍結解凍による食品品質への影響が特に小さいためである。このように、食品品質の維持と菌増殖抑制とを両立させることができ、食品の品質保持期間を延長することができる。
【0039】
また菌の低減に必要な回数分だけ相変化を繰り返し、それ以降は維持工程を行うことにより、食品の細胞へのダメージを最小限にすることができる。食品に付着している菌は、市場で販売されている食品であれば、102~106(CFU:Colony Forming Unit)であることが知られている。したがって、この菌数を低減する回数を予め実験等により求めておくことで、冷蔵庫1における凍結解凍サイクル制御の最適な回数を設定することができる。
【0040】
《1-2》動作
以下、本実施の形態における冷蔵庫1の動作について説明する。
図10(a)(b)は、冷蔵庫1の処理の一例を示すフローチャートである。冷蔵庫1においては、
図10(a)のフローがまず実施され、所定の条件が満たされた場合に
図10(b)の制御が行われる。以下ではまず
図10(a)の制御について説明を行う。
【0041】
図10(a)に示すフローチャートでは、冷蔵庫1の使用者の調理状況を示す調理情報を使用者情報取得部が取得し、取得した調理情報により、使用者が調理を行っているかどうかが判定される。本実施の形態においては、使用者情報取得部は開閉検知スイッチ10、調理情報は
図6に示す切替室200の開閉情報である。判定部9aは切替室200の開閉が検知された場合に使用者が調理を行っていると判定し、切替室200の開閉が検知されない場合に使用者は調理を行っていないと判定する。
【0042】
S10において
図10(a)の制御が開始されると、S11において開閉検知スイッチ10が切替室200の開閉情報を取得する。なお
図10(a)の制御のタイミング、すなわちS11で開閉検知スイッチ10が切替室200の開閉状態を検知するタイミングは特に限定されず、例えば所定の時間間隔で検知してよい。
【0043】
続いてS12では、判定部9aは冷蔵庫1の使用者が調理を行っているかどうかを判定する。本実施の形態においては、判定部9aは切替室200の開閉が検知される場合に使用者が調理を行っていると判定し、切替室200の開閉が検知されない場合に使用者が調理を行っていないと判定する。判定部9aが使用者は調理を行っていると判定した場合、フローはS11に戻る。判定部9aが使用者は調理を行っていないと判定した場合、フローはS13に進み、
図10(b)に示される凍結解凍サイクル制御が開始される。
【0044】
続いて
図10(b)に示される凍結解凍サイクル制御について説明する。
図10(b)においてS102からS104が凍結制御に該当し、S105からS107が解凍制御に該当する。S100において
図10(b)の制御が開始されると、S101においてカウンターi=0と設定される。カウンターiは凍結解凍サイクル制御が何周期繰り返されたかをカウントする数値である。
【0045】
続いてS102では時間t=0とし、S103では制御部9bが設定温度θsを低温設定温度θL(例えば-20℃)として、凍結制御(第1のステップ)を開始する。
【0046】
S104においては、S103での凍結制御の開始後ただちに時間t(凍結制御の経過時間)の計測が開始される。S104では時間tが所定の凍結制御時間ΔTL(例えば30分)以上となった場合に、フローをS105に進める(yes)。時間tが所定の時間ΔTL未満の場合は、凍結制御を継続する。
【0047】
S105では制御部9bは凍結制御を終了させ、解凍制御(第2のステップ)を開始する。S105では時間tが再び0に設定される。続いてS106では、制御部9bは設定温度θsを昇温設定温度θH(例えば5℃)に設定する。
【0048】
S107では時間tが所定の解凍制御時間ΔTH(例えば40分)以上となった場合に、フローをS108に進める(yes)。時間tが所定の時間ΔTH未満の場合は、解凍制御を継続する。
【0049】
フローがS108に進んだ時点で、凍結解凍サイクル制御の一周期が完了する。S108ではカウンターiに1が加算される。すなわち、カウンターiの値は凍結解凍サイクル制御が繰り返された周期数を示している。
【0050】
続いてS109ではカウンターiの数値が所定の閾値n以上となっているかが判定される。上述したようにnは1以上の整数であり、2以上であることが望ましい(例えばn=10)。カウンターiの値がn以上となっている場合(yes)、フローはS110に進み、制御部9bは凍結解凍サイクル制御を終了し、通常制御を開始する。通常制御では、制御部9bは設定温度θsを維持設定温度θR(例えば0℃)に設定し、維持する。一方、カウンターiの値がn未満の場合(no)、フローはS102に戻り再び凍結制御が実施され、一連の制御(S102からS108)が繰り返される。
【0051】
なお凍結制御と解凍制御を複数回ずつ繰り返す場合、なるべく短時間で凍結制御と解凍制御を完了させることが望ましい。これは短時間で凍結制御と解凍制御を完了させる方が、食品の表層部での相変化のスピードが大きくなり表層部の菌がより多く死滅すると考えられるためと、使用者が食品を使用しない時間が短くても凍結と融解を行うことができ食品の衛生状態が向上するためである。制御部9bは、圧縮機2の周波数を増大させ空気の温度を低下させる、送風ファン4の回転数を上げ切替室200に流入する空気の量を増加させる、切替室ダンパ12の開度を大きくする、あるいは切替室200以外の貯蔵室へのダンパの開度を小さくして、切替室200に流入する空気の量を増加させる、などの制御のうち、いずれか1つ又はいくつかを行うことで凍結制御を短時間で完了させる。また解凍制御の場合制御部9bは、圧縮機2の周波数を低減し空気の温度を上昇させる、送風ファン4の回転数を下げ切替室200に流入する空気の量を減少させる、切換室ダンパ12の開度を小さくする、あるいは切替室200以外の貯蔵室へのダンパの開度を大きくして、切替室200に流入する空気の量を減少させる、などの制御のうち、いずれか1つ又はいくつかを行う。
【0052】
《1-3》効果
本実施の形態の冷蔵庫1によれば、食品の表層部を凍結する凍結制御と、凍結した表層部を解凍させる解凍制御とを含む凍結解凍サイクル制御を実施する。これにより、食品の表層部に付着した菌を低減し、食品の保存性を向上させることができる。また、凍結解凍サイクル制御では食品の中心部は凍らせないため、食品の品質低下が抑制され、食品の美味しさを保つことができる。
【0053】
また本実施の形態の冷蔵庫1によれば、凍結解凍サイクル制御が終了した後、凍結解凍サイクル制御を実施した庫内の温度を、通常制御における維持設定温度θRに保つ。ここで維持設定温度θRは凍結点θfより高い。したがって、凍結解凍サイクル制御が終了した後の食品は凍結しておらず、食品を取り出してすぐに包丁で切断したり、調理したりできるため、使用者の利便性が向上する。
【0054】
また本実施の形態の冷蔵庫1によれば、凍結解凍サイクル制御は使用者情報取得部である開閉検知スイッチ10が、切替室200の開閉が行われていないことを検知(調理情報)し、判定部9aが、冷蔵庫1の使用者は調理を行っていないと判定した後に開始される。これにより、冷蔵庫1の使用者が調理を行っていないタイミングで凍結解凍サイクル制御が実施されるので、使用者が食品を使用したいタイミングで食品が凍結しているという事態が起こりにくく、使用者の利便性が向上する。
【0055】
《1-4》変形例
《1-4―1》変形例1
以上説明した冷蔵庫1の構成は一例であり、冷蔵庫1の構成は本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。例えば実施の形態1の冷蔵庫1では、切替室200で凍結解凍サイクル制御を実施する例を示したが、凍結解凍サイクル制御は切替室200以外で実施されてもよい。具体的には冷蔵室100、製氷室300、冷凍室400、野菜室500、冷蔵室100の一部を区画した室などにおいて、おのおの開閉センサ10とサーミスタ11を取り付け、それぞれの室において凍結解凍サイクル制御を実施してもよい。
【0056】
《1-4―2》変形例2
また冷蔵庫1の使用者の調理状況を示す調理情報は切替室200の開閉情報であり、当該情報を取得する使用者情報取得部は開閉検知スイッチ10であるが、調理情報および使用者情報取得部の種類は限定されない。調理情報および使用者情報取得部は例えば冷蔵庫1の使用者が直接情報を入力できるインターフェースであってもよい。
【0057】
図11は使用者情報取得部であるインターフェースが、操作パネル6の操作部6aである場合を示す図である。
図11において、操作部6aには調理中および非調理中を選択して操作できる箇所があり、冷蔵庫1の使用者は自身の状況に合致した箇所に触れる。使用者が調理中の箇所に触れた場合、使用者は調理を行っているという調理情報が得られる。一方、使用者が非調理中の個所に触れた場合、使用者は調理を行っていないという調理情報が得られる。したがって、本変形例では冷蔵庫1において使用者情報取得部は操作部6a、調理情報は使用者の選択結果である。
【0058】
あるいは使用者情報取得部はサーミスタ11、調理情報は切替室200内の温度変化であってもよい。
図12は本変形例において、判定部9aが、使用者が調理を行っているか否かを判定する方法を示す図である。
図12の横軸は時刻、縦軸はサーミスタ11により検知される切替室200内の温度である。
図12に示されるように、切替室200は特定の時刻(6時から7時、12時から13時、18時から20時)で庫内温度の急な上昇が検知される。これは冷蔵庫1の使用者が食品を使用するために切替室200を開閉しているためだと考えられる。この場合、判定部9aは使用者が調理を行っていると推測する。一方、上記時間以外では切替室200内の温度は低く一定に保たれている。これは使用者が調理を行っておらず、切替室200を開閉していないためだと考えられる。したがって判定部9aは使用者が調理を行っていないと判定する。
【0059】
あるいは使用者情報取得部は上記説明したものを複数組み合わせたものであってもよい。具体的には、使用者情報取得部は開閉検知センサ10、サーミスタ11、および操作部6aをすべて含み、調理情報として切替室200の開閉情報、切替室200内の温度情報、使用者の操作情報のすべてを取得してもよい。上記情報のうち1種類だけを用いて使用者が調理を行っているか否か判定すると、調理を行っていないと判定できない状況や、誤って調理を行っていないと判定してしまう虞がある。これに対し、複数種類の使用者情報取得部から、複数種類の調理情報を取得して判定部9aが判定することで、使用者のより正確な調理状況を判定することができる。
【0060】
あるいは冷蔵庫1には使用者情報取得部は備えられていなくともよい。その場合、判定部9aも冷蔵庫1に備えられていなくともよい。使用者情報取得部および判定部9aが備えられていない場合、冷蔵庫1では以下のようにして使用者の調理状況を判断する。まず冷蔵庫1のメモリ8bには、冷蔵庫1の使用者に関する想定情報を記憶しておく。この場合、使用者に関する想定情報は、例えば一般的な統計情報等を利用して作成される。一般的な統計情報である国政調査等からは、例えば昼勤務者の典型的な1日のスケジュールが読み取れる。例えば、6時に起床し、8時に仕事を開始し、12時まで仕事をし、13時まで昼休憩を行った後、17時まで仕事をする、という典型例が読み取れる。したがって、上記典型例からは8時から12時、および13時から17時までは使用者が調理を行わないと判断できる。したがってメモリ8bには、8時から12時、および13時から17時までにおいて使用者が調理を行わず、食品を使用しないとの情報が記憶される。制御部9bは、上記メモリに記憶された情報を基に凍結制御、解凍制御、通常制御などを行う。なお、冷蔵庫1は上記のようなメモリ8bに記憶された情報を利用して使用者調理状況を判断する方法と、使用者情報取得部及び判定部9aにより使用者調理状況を判断する方法とを共に備えたものであってもよい。
【0061】
《1-4―3》変形例3
また冷蔵庫1では切替室200に取り付けられた開閉検知スイッチ10が取得した切替室200の開閉情報により、使用者が調理を行っているかを判定し、使用者が調理を行っていない場合に切替室200にて凍結解凍サイクル制御を実施しているが、開閉スイッチ10が取り付けられる室と、冷凍解凍サイクル制御が実施される室とは異なっていてもよい。例えば、開閉スイッチ10が冷蔵室100に取り付けられている場合に、冷蔵室100の開閉情報によって判定部9aが使用者の状況を判定し、切替室200、製氷室300,冷凍室400,野菜室500、冷蔵室100の一部を区画した室で凍結解凍サイクル制御をおこなってもよい。
【0062】
《1-4―4》変形例4
また冷蔵庫1は使用者に対して判定部9aの判定結果および制御部9bの制御情報を通知する通知部を備えていてもよい。
図13は表示部6bが通知部として使用される例を示す図である。
図13に示す変形例では、表示部6bに判定部9aの判定結果(非調理中)および制御部9bの制御情報(凍結中)が明るく表示されている。なおここで凍結中とは凍結解凍サイクル制御において凍結制御が行われていることを意味する。また制御部9bの制御情報の代わりに、食品の状態を表示するようにしてもよい。なお食品の状態は、庫内の温度情報や特定の制御を開始してからの経過時間などから推測される。
【0063】
なお表示部6bに表示される表示の形式は特に限定されず、例えば「凍結中・凍結完了・解凍中・解凍完了」のように、サイクルの中のどの状況かを示してもよい。あるいはバーで視覚的に示したり、色(凍結は青、解凍は赤とし、グラデーションで表示)で示したりしてもよく、音を鳴らす、光を発するなどの方法であってもよい。あるいは現在の制御がどのぐらいで終了するかも表示してもよい。このように判定部9aの判定結果や、制御情報を使用者に表示することで、使用者は冷蔵庫1がどのような判断を行ったか、庫内に収納された食品はどのような状態にあるかを簡単に知ることができる。結果、冷蔵庫1の使用者は冷蔵庫1が正確に動作しているか、調理を開始する予定の時間に食品がどのような状態になるかを知ることができる。また現時点での食品の状態を知ることによって、状況にあわせた行動を自然と選択できるようになる。例えば、突発的に調理をしなければならないとき(例えば平日の夕食後、翌日が休日で、子供の部活のためにお弁当の準備をする)に、状況を視覚的に知ることができ、使用予定の食品が凍結していて無駄な時間を過ごしてしまったり、解凍のために電子レンジ解凍を行うなどの余分なエネルギーを消費したり、などといった無駄を避けることができる。結果、使用者の利便性や、調理における消費エネルギーの低減につながる。
【0064】
《1-4―5》変形例5
また冷蔵庫1は庫内に収納された食品に関する情報を取得し、食品に関する情報を基に凍結解凍サイクル制御を実施するか否か決めてもよい。
図14は食品情報を取得する被冷却物情報取得部として、カメラ13が切替室200に取り付けられた例を示すものである。
【0065】
被冷却物情報取得部であるカメラ13は、切替室200内に収納された食品について、食品の種類、食品の量、食品の消費期限に関する情報のうち、少なくとも一つの情報を取得する。例えばカメラ13は、切替室200に収納された食品の画像を取得し、制御部9bに画像を送信する。制御部9bは画像から食品の種類(肉、魚、野菜、乳製品など)を特定し、食品の種類に応じて凍結解凍サイクル制御を実施するかを決定してもよい。具体的には、切替室200に凍結解凍サイクル制御の効果が高い肉や魚が収納されている場合、制御部9bは凍結解凍サイクル制御を実施すると判定し、切替室200に凍結解凍サイクル制御により品質が劣化する可能性がある野菜や乳製品が収納されている場合、制御部9bは凍結解凍サイクル制御を実施しないと判定する。このように食品の種類に応じて凍結解凍サイクル制御を実施するか否かを決定することで、食品の種類に応じた適切な保存を行うことができ、使用者の利便性が向上する。なお切替室200にカメラ13が備えられていなくとも、例えば冷蔵庫の設計情報から、凍結解凍サイクル制御の効果が高い肉や魚が収納される可能性が高い室が特定できれば、当該室だけで凍結解凍サイクル制御を行ってもよい。つまり、被冷却物情報取得部は必ずしもカメラ13のようなハードウェアでなくともよい。
【0066】
また、制御部9bはカメラ13で取得された画像から、切替室200内に収納された食品の量を判定し、食品の量に応じて凍結解凍サイクル制御を実施するかを決定してもよい。切替室200に多くの食品が収納されていると、ある食品の表層部で菌が繁殖した際に、他の食品に伝染する可能性が高くなる。一方、切替室200に少量の食品しか保存されていない場合は、食品間での伝染の可能性は低い。よって、切替室200に多くの食品が収納されている場合には凍結解凍サイクル制御を実施し、不要な場合には凍結解凍サイクル制御を行わないことで、食品の衛生状態を適切に保ちながら冷蔵庫1での消費エネルギーを低減できる。結果、使用者の利便性が向上する。
【0067】
また、制御部9bはカメラ13で取得された画像から、切替室200内に収納された食品の賞味期限、消費期限を判定し、賞味期限、消費期限に応じて凍結解凍サイクル制御を実施するかを決定してもよい。食品の賞味期限、消費期限が近いほど購入後時間が経過していると考えられ、表層部で菌が繁殖している可能性も高くなる。一方、食品の賞味期限、消費期限が遠ければ菌が繁殖している可能性は低くなる。したがって、切替室200に保存されている賞味期限、消費期限が近い場合には凍結解凍サイクル制御を実施し、不要な場合には凍結解凍サイクル制御を行わないことで、食品の衛生状態を適切に保ちながら冷蔵庫1での消費エネルギーを低減できる。結果、使用者の利便性が向上する。
【0068】
《1-4―6》変形例6
また冷蔵庫1は使用者情報取得部が取得した調理情報に応じて、使用者の調理終了を予測する調理終了予測部を備え、予測された調理終了のタイミングに合わせて、制御部が凍結解凍サイクル制御を開始するようにしてもよい。
図15は本変形例における制御装置8が備える機能の一部を示す図である。本変形例では制御装置8は調理終了予測部9cを備える。
【0069】
図16は調理終了予測部9cが、使用者の調理終了を予測する方法を示す図である。
図16の横軸は時刻、縦軸は所定の期間(例えば1週間)で時刻ごとに加算された切替室200の開閉回数である。なお
図16に示される所定開閉回数とは、例えば切替室200に収納されている食品を確認するなどで調理目的以外で開閉が行われた場合と、調理中に食品を利用するために開閉が行われた場合と、を区別するために設定された開閉回数である。この場合、判定部9aは時間当たりの開閉回数が所定開閉回数未満の場合は調理中でないと判定し、時間当たりの開閉回数が所定開閉回数以上の場合は調理中であると判定する。
【0070】
図16に示されるように、切替室200の開閉回数の平均は、特定の時刻(6時から8時、12時から13時、18時から21時)で所定開閉回数を超えている。この場合、調理終了予測部9cは、遅くとも朝の調理は8時に、昼の調理は13時に、夜の調理は21時には終了していると予測する。したがって、調理終了予測部9cは例えば現在時刻が19時であれば21時に凍結解凍サイクル制御を実施するよう制御部9bに指令を出す。このようにして、調理終了予測部9cは調理情報である切替室200の開閉情報から使用者の調理終了を予測し、予測結果を基に制御部9bは凍結解凍サイクル制御を行う。本変形例によれば、使用者の調理終了を予測して凍結解凍サイクル制御が行われるので、調理を行っていない時間を最大限利用して凍結解凍サイクル制御を実施することができ、食品の衛生状態を良好に保つことができる。結果、使用者の利便性が向上する。
【0071】
《1-4―7》変形例7
また冷凍庫1は、凍結解凍サイクル制御の凍結制御のみを行う、あるいは凍結制御と解凍制御とを1回ずつ行う、という制御を行ってもよい。食品の表層部に付着した菌は凍結した食品が解凍されることで死滅するが、食品の解凍は冷蔵庫1でなく、他の調理器具(例えば電子レンジ)で行われてもよい。この場合、冷蔵庫1で解凍制御を行わないことで、解凍制御で庫内の温度が上昇した後に温度を再び低下させる必要が無くなり、冷蔵庫1で消費されるエネルギーが低減する。結果、使用者の利便性が向上する。
【0072】
また、凍結解凍サイクル制御を行う場合、1回当たりの菌の減少量はサイクルの開始時点の方が大きい。これはサイクル開始時点では多くの菌が食品に付着しているが、凍結解凍サイクル制御を繰り返し行うことで食品に付着している菌がもともと少なくなるためである。したがって凍結制御と解凍制御とを1回ずつ行うことで、菌を効率的に死滅させつつ、少ない消費エネルギーで食品の衛生状態を保つことができる。なお、凍結制御と解凍制御とを1回ずつ行う制御例としては、凍結制御と解凍制御とを1回ずつ行った後所定の時間通常制御を行い、再び凍結制御と解凍制御とを1回ずつ行う制御も含む。
【0073】
また、凍結解凍サイクル制御を実施した後の通常制御において、θRを食品の凍結点θfよりも低い温度に設定してもよい。この場合には、菌が減少した状態で食品が冷凍されるため、より長期間に渡り食品の保存をすることが可能となる。
【0074】
《1-4―8》変形例8
また冷凍庫1は、調理終了後に冷蔵庫1が凍結融解サイクル制御を実施しないように、使用者が制御部9bの制御を変更できる、変更部を備えていてもよい。
図17は操作部6aが変更部として使用される例を示す図である。使用者は調理終了後に凍結融解サイクル制御を実施してほしくない場合には、操作部6aを操作して制御を変更する。なお、変更部は使用者が直接操作するものに限らず、冷蔵庫1自身が自動で制御を変更するものであってもよい。例えば、判定部9aが調理中でないと判定したときに切替室200の開閉が行われた場合、変更部が自動で制御を変更し、凍結融解サイクル制御を実施しないようにしてもよい。
【0075】
使用者が凍結融解サイクル制御をoffにした時点において、冷蔵庫1が凍結融解サイクル制御を実施する前だった場合、制御部9bは例えば通常制御を行う。この場合、食品が凍結することがないので、使用者が短時間の間に再び食品を使用する場合でもスムーズに調理が開始でき利便性が向上する。また使用者が凍結融解サイクル制御をoffにした時点において、冷蔵庫1が凍結融解サイクル制御を実施中だった場合、制御部9bはただちに通常制御に戻すか、実行中の凍結制御と融解制御の周期を速やかに完了させ、通常制御に戻す制御を行う。前者の制御の場合、食品の表層部の凍結が速やかに解凍されるため、使用者はすぐに食品を使用でき、利便性が向上する。一方、後者の制御の場合、使用者は短時間までは食品を使用でき、かつ食品の衛生状態も向上する。
【0076】
また後者の制御の場合、制御部9bは実行中の凍結制御と融解制御の周期が速やかに完了するよう、圧縮機やファンなどの冷却部の制御を変更してもよい。また表示部6bなどにより、その周期が完了するまでの時間を使用者に通知してもよい。これにより、使用者は通知された時間にあわせてその後の行動を決めることができ、利便性が向上する。また、使用者がその周期の完了を待てない場合もあるため、凍結融解サイクル制御を即時終了するように操作できてもよい。
【0077】
《2》実施の形態2.
続いて
図18から
図19を参照しながら、本開示の実施の形態2について説明する。本実施の形態の冷蔵庫1aの構成は、実施の形態1の冷蔵庫1の構成と概ね同一であるが、一部構成および制御が異なる。以下、本実施の形態に係る冷蔵庫1aについて、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した部分については実施の形態1と同一である。
【0078】
《2-1》構成
図18は本実施の形態における制御装置8が備える機能の一部を示す図である。本実施の形態では制御装置8は調理開始予測部9dを備える。調理開始予測部9dは、使用者情報取得部である開閉検知スイッチ10で取得された調理情報である開閉回数を基に、冷蔵庫1aの使用者の調理開始を予測する。
【0079】
《2-2》動作
以下、冷蔵庫1aの動作について説明する。
図19は調理開始予測部9dが、使用者の調理開始を予測する方法を示す図である。
図19の横軸は時刻、縦軸は所定の期間(例えば1週間)で時刻ごとに加算された切替室200の開閉回数である。なお
図19に示される所定開閉回数とは、例えば買い物前に切替室200に収納されている食品を確認するなど調理目的以外で開閉が行われた場合と、調理中に食品を利用するために開閉が行われた場合と、を区別するために設定された開閉回数の閾値である。この場合、判定部9aは時間当たりの開閉回数が所定開閉回数未満の場合は調理中でないと判定し、時間当たりの開閉回数が所定開閉回数以上の場合は調理中であると判定する。
【0080】
図19に示されるように、切替室200の開閉回数の平均は、特定の時刻(6時から8時、12時から13時、18時から21時)で所定開閉回数を超えている。この場合、調理開始予測部9dは、冷蔵庫1aの使用者は朝の調理は6時に、昼の調理は12時に、夜の調理は18時には開始する可能性があると予測する。したがって、調理開始予測部9dは予測した結果を基に、使用者の調理開始前に凍結解凍サイクル制御を終了させるよう制御部9bに指令を出す。より詳細には、調理開始予測部9dは使用者の調理開始時刻において、食品が解凍している状態になるよう制御部9bに指令を出す。
【0081】
図20は、調理開始予測部9dが予測した結果に応じて、制御部9bが凍結解凍サイクル制御を実施する例を示す図である。なお
図20では、
図19で調理開始予測部9dが予測した結果を基に、昼の調理と夜の調理の間に行われる凍結解凍サイクル制御の例を示している。
図19では、調理開始予測部9dは使用者が昼の調理を行った後、次の調理を18時に開始する可能性があると予測している。したがって、調理開始予測部9dは18時には凍結解凍サイクル制御が終了し、食品が解凍している状態となるよう凍結制御と解凍制御を実行するよう制御部9bに指令を出す。
図20においては、制御部9bは14時に凍結解凍サイクル制御を開始し、1周期90分の凍結解凍サイクル制御を2周期分実行する。したがって、凍結解凍サイクル制御は17:00に終了し、使用者が調理を開始する可能性があると予測される18:00には食品は解凍状態となっている。
【0082】
このようにして、冷蔵庫1aでは調理開始予測部9dは調理情報である開閉情報から使用者の調理開始を予測し、制御部9bは予測結果を基に調理開始時刻で食品が解凍されているよう凍結解凍サイクル制御を行う。これにより、使用者が調理を開始するタイミングで食品が凍結している可能性を低くでき、食品の衛生状態を良好に保つとともに、使用者がスムーズに調理を開始することができる。結果、使用者の利便性が向上する。
【0083】
なお調理開始予測部9dは、上記方法と異なる方法で使用者の調理情報を予測してもよい。例えば、調理開始予測部9は開閉検知スイッチ10で取得された開閉回数と、一般的な統計情報を利用して使用者の調理開始を予測してもよい。一般的な統計情報である国政調査等からは、昼の食事を終えた後、およそ4時間から6時間程度で夜の調理を開始する例が読み取れる。したがって、判定部9aが開閉検知スイッチ10の開閉回数から調理終了を判定した後、調理開始予測部9dは最短4時間後に使用者が調理を開始すると予測し、当該時間までに凍結解凍サイクル制御が終了するように制御部9bに指令を出すようにしてもよい。
【0084】
あるいは調理開始予測部9dは一般的な統計情報等を利用して使用者の調理開始を予測してもよい。一般的な統計情報である国政調査等からは、例えば昼勤務者の典型的な1日のスケジュールが読み取れる。例えば、6時に起床し、8時に仕事を開始し、12時まで仕事をし、13時まで昼休憩を行った後、17時まで仕事をする、という典型例が読み取れる。したがって、調理開始予測部9dは上記情報から調理を開始する可能性がある時間を6時、12時、17時と設定し、その時間までに凍結解凍サイクル制御を終了させるよう制御部9bに指令を出ようにしてもよい。
【0085】
上記説明した2つの例であれば、調理開始予測部9dは冷蔵庫1aの使用者の調理情報を蓄積せずとも使用者の調理開始を予測することができる。したがって、利用者が冷蔵庫1aを利用し始めてすぐに凍結解凍サイクル制御の終了時間が適切に設定される。結果、利用者の利便性が向上する。なお、上記説明した2つの例では一般的な統計情報を利用したが、それ以外の情報を利用して使用者の調理開始を予測してもよい。
【0086】
《2-3》効果
本実施の形態における冷蔵庫1aは調理開始予測部9dを備え、使用者の調理開始時刻を予測し、使用者が調理開始する時刻で食品が解凍しているように凍結解凍サイクル制御を行う。したがって、使用者が食品を利用するときに食品が凍結している可能性が低くなり、利用者がスムーズに調理を開始できるため、使用者の利便性が向上する。
【0087】
《2-4―1》変形例1
以上説明した冷蔵庫1aの構成は一例であり、冷蔵庫1aの構成は本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、冷蔵庫1aは現在の時刻から次の調理が開始されると予測される時刻までが、所定の時間間隔(第1の間隔、例えば180分)より短い場合、凍結解凍サイクル制御を行わないようにしてもよい。例えば、判定部9dが朝の調理が終了したと判定したとき、時刻検知部30が時刻を10時と検知し、さらに調理開始予測部9dが12時に昼の調理が開始されると予測した場合、現在時刻から調理開始時刻までは120分となり、第1の間隔より短い。この場合、食品の性質などによっては冷凍解凍サイクル制御を1周期しか行わなくても調理開始までに食品が解凍しない可能性がある。したがって、現在時刻から次の調理開始時刻までが第1の間隔より短い場合には、調理時間予測部9dは凍結解凍サイクル制御を行わないよう制御部9bに指令を出す。これにより、調理と調理の間で十分な時間間隔がない場合は冷凍解凍サイクル制御を行わないので、短時間で複数の調理が行われる場合に食品が凍結する可能性が低く、使用者がスムーズに調理を開始でき利便性が向上する。
【0088】
《2-4―2》変形例2
また冷蔵庫1aは、凍結解凍サイクル制御の実施中において、現在の時刻から次の調理が開始されると予測される時刻までが、所定の時間間隔(第2の間隔、例えば240分)より長い場合、凍結解凍サイクル制御を凍結制御で終了し、現在の時刻から次の調理が開始されると予測される時刻までが、上記時間間隔以下の場合、凍結解凍サイクル制御を解凍制御で終了するようにしてもよい。例えば、凍結解凍サイクル制御の実施中に時刻検知部30が時刻を10時と検知し、さらに調理開始予測部9dが12時に次の調理が開始すると予測した場合、現在時刻から調理開始時刻までは120分となり、第2の間隔以下である。この場合、食品を使用する時刻が迫っているので、冷凍解凍サイクル制御は解凍制御で終了する。一方、時刻検知部30が時刻を13時と検知し、さらに調理開始予測部9dが19時に次の調理が開始すると予測した場合、現在時刻から調理開始時刻までは360分となり、第2の間隔より大きい。この場合、食品を使用する時刻が遠いので、冷凍解凍サイクル制御は凍結制御で終了する。これにより、食品を使用する時間が迫っている場合は食品がすぐに使用できる状態で保存され、食品を使用する時間が遠い場合は食品の衛生状態が保たれた状態で保存される。結果、食品の使用予定により食品の保存状態が適切に選択され、使用者の利便性が向上する。
【0089】
《2-4―3》変形例3
また冷蔵庫1aは、実施の形態1に記載された冷蔵庫1と組み合わされてもよい。この場合、冷蔵庫1aは使用者が調理を行っていない場合に凍結解凍サイクル制御を開始し、かつ、使用者が調理を開始するタイミングを予測して、食品が解凍しているよう制御を行う。これにより、冷蔵庫1aの利便性がさらに向上する。また冷蔵庫1aは実施の形態1に記載された冷蔵庫1の各変形例と組み合わされてもよい。一例として、実施の形態1の変形例4と組み合わせることで、通知部を備えるようにしてもよい。この場合、冷蔵庫1aが予測した調理開始タイミングに向けて食品が解凍されることを使用者が把握でき、調理の手順を立てやすくなるので利便性が向上する。
【0090】
《3》実施の形態3.
続いて
図21から
図22を参照しながら、本開示の実施の形態3について説明する。本実施の形態の冷蔵庫1bの構成は、実施の形態1の冷蔵庫1の構成と概ね同一であるが、一部構成および制御が異なる。以下、本実施の形態に係る冷蔵庫1bについて、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した部分については実施の形態1と同一である。
【0091】
《3-1》構成
図21は本実施の形態における制御装置8が備える機能の一部を示す図である。本実施の形態では制御装置8は外部機器600と通信可能な通信部9eを備える。通信部9eは、外部機器600と通信を行い、冷蔵庫1bが設置された居住空間(家、マンションなど)における人の在不在に関する情報を取得する。本実施の形態では、通信部9eが使用者に関する情報を取得する使用者情報取得部として機能する。
【0092】
ここで、外部機器600から通信部9eを介して取得される在不在情報の例を説明する。在不在情報は例えば、IHクッキングヒータ、炊飯器、電子レンジ、自動調理器、食器洗浄機等いわゆるキッチン家電の動作情報、換気扇のON、OFF情報、エアコンのON、OFF情報、エアコンから取得する人の動作情報、照明のON、OFF情報、スマートフォンやスマートウォッチなどの情報端末の位置情報や記憶されたスケジュール情報、などである。なお通信部9eを介して取得される情報は、上記の具体的な情報以外にも、使用者の在、不在を判断し得る情報であればよく、特に情報の種類は限定されない。また通信部9eは使用者の在、不在を判断し得る情報を複数の外部機器600から取得してもよい。
【0093】
なお通信部9eは外部機器600から情報を取得するだけでなく、外部機器600に情報を送信可能なものであってもよい。この場合、例えば通信部9eにより使用者のスマートフォンに冷蔵庫1bの制御情報を送信し、使用者がスマートフォンを操作して冷蔵庫1bの操作を行うことが可能である。
【0094】
《3-2》動作
以下、冷蔵庫1bの動作について説明する。
図22(a)(b)は、冷蔵庫1bの処理の一例を示すフローチャートである。冷蔵庫1bにおいては、
図22(a)のフローがまず実施され、所定の条件が満たされた場合に
図22(b)の制御が行われる。なお
図10に示す実施の形態1の冷蔵庫1のフローチャートと比較すると、
図22(a)のフローチャートはS11aとS12aのみが異なり、それ以外の動作は同じである。したがって、以下ではS11aとS12aについてのみ説明を行う。
【0095】
S11aでは通信部9eを介して外部機器600から在不在情報を取得する。取得された情報は制御装置8内で判定部に送られる。なお
図22(a)の制御のタイミング、すなわちS11aで通信部9eが情報を取得するタイミングは特に限定されず、例えば所定の時間間隔で検知してよい。
【0096】
続いてS12aでは、判定部9aは冷蔵庫1bの使用者の、冷蔵庫1bが設置された居住空間での在不在を判定する。換言すると、判定部9eは使用者が外出している(不在)か外出していないか(在)を判定する。例えば、通信部9eが使用者のスマートフォンと通信を行い、スマートフォンから使用者の位置情報を取得した場合、判定部9a当該位置情報により使用者の在不在を判定する。判定部9aが、使用者が在であると判定した場合、フローはS11aに戻る。この場合、冷蔵庫1bの制御部9bは例えば通常制御を行う。判定部9aが不在であると判定した場合、フローはS13に進み、
図22(b)に示される凍結解凍サイクル制御が開始される。
【0097】
《3-3》効果
本実施の形態における冷蔵庫1bは外部機器600と通信可能な通信部9eを備え、通信部9eは外部機器600から、使用者の居住空間における在不在に関する情報を取得する。判定部9aは上記取得した情報により、冷蔵庫1bの使用者の在不在を判定する。判定部9aが、使用者が居住空間に在であると判定した場合、制御部9bは凍結解凍サイクル制御を実施せず、判定部9aが、使用者が不在であると判定した場合、制御部9bは凍結解凍サイクル制御を実施する。すなわち冷蔵庫1bは、調理が行われる可能性が低いと考えられる使用者が不在の場合に凍結解凍サイクル制御を行い、調理が行われる可能性がある使用者が在の場合には凍結解凍サイクル制御を行わない。これにより、使用者が食品を利用するときに食品が凍結している可能性が低くなり、利用者がスムーズに調理を開始できるため、使用者の利便性が向上する。
【0098】
《3-4―1》変形例1
以上説明した冷蔵庫1bの構成は一例であり、冷蔵庫1bの構成は本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、冷蔵庫1bは実施の形態1および実施の形態2に記載した冷蔵庫1、冷蔵庫1aと組み合わされてもよい。より具体的には、冷蔵庫1bは外部機器600から取得した情報により使用者の在不在を判断するとともに、使用者が調理を行っているか否かを判定したり、使用者の調理開始時刻を予想してもよい。
【0099】
以下、外部機器600から取得した情報から、使用者が調理を行っているか否かを判定する方法について説明する。通信部9eは例えば、食器洗浄機のスタート、炊飯器の炊飯や自動調理器の調理といった調理モードの終了、炊飯器や自動調理器の保温モードのスタート、換気扇の電源OFF、キッチンの照明のOFFといった、キッチンに配置されている外部機器600の動作・モードの変更/終了情報を取得する。または通信部9eは上記キッチンに配置されている外部機器600以外の機器、例えばリビングや寝室の照明、空調機のON、スマートフォンの位置情報やスケジュール情報、スマートウォッチで計測した血糖値や脈拍などのバイタル情報を取得する。なお通信部9eが上記外部機器600のうち複数と通信可能であれば、各外部機器600から情報を取得することが望ましい。これは後述するように、様々な外部機器600から情報を取得したほうが使用者の調理状況をより確実に判定できるからである。
【0100】
通信部9eは取得した上記情報を判定部9aに送信する。判定部9aでは、上記情報を参照して使用者が調理を行っているか否かを判定する。具体的な例としては、通信部9eから食器洗浄機が動作しており、自動調理器が動作していないという情報を取得した場合、判定部9aは調理が終了した後、すなわち使用者は調理を行っていないと判定する。また通信部9eからリビングの照明がONで、血糖値および体温が上昇しているとの情報を取得した場合、判定部9aは、使用者がキッチンから離れており食事中または食後であると推測し、使用者は調理を行っていないと判定する。判定部9eは上記のように通信部9eから取得された外部機器600の情報を参照し、使用者が調理を行っていないことを判定する。なおこのとき、判定部9aは多種の情報を参照することで、より正確に使用者の調理状況を判定することができるため、通信部9eは複数の外部機器600から情報を取得することが望ましい。冷蔵庫1bは判定部9aの判定結果に基づき、使用者が調理を行っていない場合に凍結解凍サイクル制御を実施する。
【0101】
続いて外部機器600から取得した情報から、使用者が調理を開始するタイミングを予測する方法について説明する。例えば、通信部9eから炊飯器の炊飯完了が60分後に設定されており、スマートフォンの位置情報から使用者が自宅に向かっているという情報を取得した場合、調理開始予測部9dは使用者が帰宅後調理を開始すると予測する。また通信部9eから自動調理器の予熱が開始され、血糖値が低下しているとの情報を取得した場合、調理開始予測部9dは使用者が空腹であり調理の準備をしていると推測し、まもなく調理が開始されると予測する。調理開始予測部9dは上記のように通信部9eから取得された外部機器600の情報を参照し、使用者が調理を開始する時刻を予測する。冷蔵庫1bは調理開始予測部9dの予測結果に基づき、使用者の使用タイミングに合わせて食品が解凍状態になるよう制御する。なおこのとき、調理開始予測部9dは多種の情報を参照することで、より正確に使用者の調理開始を予測することができるため、通信部9eは複数の外部機器600から情報を取得することが望ましい。
【0102】
このように実施の形態3の冷蔵庫1bを、実施の形態1の冷蔵庫1、実施の形態2の冷蔵庫1aと組み合わせることで使用者の利便性がさらに向上する。
【0103】
なお実施の形態3の冷蔵庫1bは、実施の形態1の冷蔵庫1の各変形例および実施の形態2の冷蔵庫1aの各変形例と組み合わされてもよい。一例として、冷蔵庫1bを実施の形態1の変形例8と組み合わせることで、変更部を備えるようにしてもよい。この場合、冷蔵庫1bが通信部9eを備えるため、使用者は外出先から自身のスマートフォンを操作し、冷蔵庫1bの制御内容を変更することができる。これにより、使用者に急な予定変更が生じた場合でも冷蔵庫1bの制御を適切に設定することができ、冷蔵庫1bの利便性が向上する。
【0104】
あるいは別の一例として、冷蔵庫1bを実施の形態2の変形例2と組み合わせた場合、通信部9eは使用者のスマートフォンからスケジュール情報を取得し、調理開始予測部9dは上記スケジュール情報を参照して、次の調理開始時刻を予測し、現在時刻から次の調理開始までの時間を計算する。例えば調理終了後に使用者が旅行に出かけ、長期間不在である場合などには、凍結融解サイクル制御を凍結制御で終了する。一方、調理終了後、所定の時間内に再び調理を開始する予定であれば、凍結融解サイクル制御を融解制御で終了する。このように、外部機器600から使用者の在不在情報を取得して凍結融解サイクル制御を凍結制御で終えるか融解制御で終えるかを決定することで、食品を使用する時間が迫っている場合は食品がすぐに使用できる状態で保存され、食品を使用する時間が遠い場合は食品の衛生状態が保たれた状態で保存される。結果、食品の使用予定により食品の保存状態が適切に選択され、使用者の利便性が向上する。
【0105】
以上、特に好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0106】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0107】
(付記1)
被冷却物が保存される貯蔵室と、
前記貯蔵室内を冷却する冷却部と、
前記冷却部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、使用者が前記被冷却物を使用していない場合に、前記冷却部に、前記被冷却物の少なくとも表層部を凍結させる第1の処理を実行させる冷蔵庫。
(付記2)
前記使用者に関する情報を取得する使用者情報取得部と、
前記使用者情報取得部により取得された前記使用者に関する情報により、前記使用者が前記被冷却物を使用していないことを判定する判定部と、を備え、
前記制御部は、前記判定部が、前記使用者が前記被冷却物を使用していないと判定した場合に、前記冷却部に前記第1の処理を実行させる
付記1に記載の冷蔵庫。
(付記3)
前記制御部は、前記冷却部に、前記第1の処理の後、前記被冷却物の前記表層部を解凍させる第2の処理を実行させる
付記1または付記2に記載の冷蔵庫。
(付記4)
前記制御部は、前記冷却部に、前記第1の処理と前記第2の処理とを、交互に2回以上繰り返し実行させる
付記3に記載の冷蔵庫。
(付記5)
前記使用者情報取得部は、前記使用者の調理状況を示す情報を取得する
付記2から付記4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
(付記6)
前記貯蔵室内の温度情報、前記貯蔵室内の被冷却物の状態に関する情報、前記制御部が実施している制御情報のうち、少なくとも一つの情報を使用者に通知する通知部を備える
付記1から付記5のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
(付記7)
前記貯蔵室内の被冷却物について、被冷却物に関する情報を取得する被冷却物情報取得部を備え、
前記制御部は、前記被冷却物情報取得部により取得された前記情報により、前記第1の処理を行うか否かを判定する
付記1から付記6のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
(付記8)
前記使用者の調理終了を予測する調理終了予測部を備え、
前記調理終了予測部は、前記使用者情報取得部により取得された情報により、前記使用者の調理終了を予測し、
前記制御部は、前記調理終了予測部が予測した調理終了の時刻に、前記冷却部に前記第1の処理を開始させる
付記2から付記7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
(付記9)
前記第1の処理あるいは前記第2の処理の、実行前あるいは実行中に、前記制御部に対し制御内容の変更を行う変更部を備える
付記1から付記8のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
(付記10)
前記使用者の調理開始を予測する調理開始予測部を備え、
前記制御部は、前記冷却部に、前記調理開始予測部が予測した調理開始時刻において、前記被冷却物の表層部の凍結が解凍しているよう前記冷却部を制御する
付記1から付記9のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
(付記11)
前記制御部は、前記調理開始予測部が予測した調理開始時刻から、前記使用者が所定の時間内に調理を行うことが予測される場合、前記第1の処理を実行せず、
前記使用者が所定の時間内に調理を行うことが予測されない場合、前記第1の処理を実行する
付記10に記載の冷蔵庫。
(付記12)
前記第1の処理と前記第2の処理とを交互に実行している場合において、
前記制御部は、前記調理開始予測部が予測した調理開始時刻から、前記使用者が所定の時間内に調理を行うことが予測される場合、前記第1の処理と前記第2の処理との交互の実行を前記第2の処理で終了し、前記使用者が所定の時間内に調理を行うことが予測されない場合、前記第1の処理と前記第2の処理との交互の実行を前記第1の処理で終了する
付記10に記載の冷蔵庫。
(付記13)
前記使用者情報取得部は、断熱箱体に取り付けられている
付記2から付記12のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
(付記14)
外部機器と通信可能な通信部を備え、
前記使用者情報取得部は、前記通信部を介して外部機器から前記使用者に関する情報を取得する
付記2から付記13のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
(付記15)
前記使用者情報取得部は、前記使用者の在不在を示す情報を取得する
付記14に記載の冷蔵庫。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本開示の冷蔵庫は、食品が保存される冷蔵庫に特に適している。
【符号の説明】
【0109】
1:冷蔵庫、 2:圧縮機、 3:冷却器、 4:送風ファン、 5:風路、 6:操作パネル、 6a:操作部、6b:表示部、 7:扉、 7a:右扉、 7b:左扉、 8:制御装置、 8a: CPU、 8b: メモリ、 9a:判定部9a:制御部、 9c:調理終了予測部、 9d:調理開始予測部、 9e:通信部、10: 開閉検知スイッチ、 11: サーミスタ、 12: 切替室ダンパ、 30:時刻検知部、90: 断熱箱体、 100: 冷蔵室、 200: 切替室、 300: 製氷室、 400: 冷凍室、 500: 野菜室、 2001,401,501 収納ケース、 600:外部機器