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特開2024-147930部品姿勢情報取得装置及び部品姿勢判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147930
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】部品姿勢情報取得装置及び部品姿勢判定方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/70 20170101AFI20241009BHJP
【FI】
G06T7/70 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060687
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】行本 知仁
(72)【発明者】
【氏名】ガンディボイナ ムラリカルティーク
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA05
5L096CA02
5L096FA02
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】部品同士に接触又は重なり等がある場合においても、部品の姿勢を判定できるようにする。
【解決手段】本発明の一側面に係る部品供給装置1は、ピック台に配置された部品を把持して供給位置へ配置するハンドにおける、部品の把持部近傍に設けられた測距センサ423と、測距センサ423によって測定された部品までの距離が所定の距離となった場合における測距センサ423の配置位置の情報に基づいて、部品の姿勢判定に用いる注目領域の位置を決定し、注目領域の特徴量に基づいて部品の姿勢を判定する姿勢判定部716と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピック台に配置された部品を把持して供給位置へ配置するハンドにおける、前記部品の把持部近傍に設けられ、前記部品までの距離を測距する測距部と、
測距された前記距離が所定の距離となった場合における前記測距部の配置位置の情報に基づいて、前記部品の姿勢判定に用いる注目領域を決定し、前記注目領域の特徴量に基づいて前記部品の姿勢を判定する姿勢判定部と、備える
部品姿勢情報取得装置。
【請求項2】
前記注目領域は、前記部品の第1面における特徴量と、前記第1面とは異なる第2面における特徴量との差が大きくなると想定される領域である
請求項1に記載の部品姿勢情報取得装置。
【請求項3】
前記所定の距離は、前記注目領域を決定する場合に参照される基準位置の側面に前記測距部が配置された場合における、前記測距部から前記部品の側面までの距離である
請求項2に記載の部品姿勢情報取得装置。
【請求項4】
前記基準位置は、前記部品を上部から撮影した撮影画像から認識した前記部品の外形を構成する特定の端面、又は、特定の特徴を有する箇所に設定される
請求項3に記載の部品姿勢情報取得装置。
【請求項5】
前記姿勢判定部は、前記基準位置から所定の方向および所定の移動量だけ、前記部品における上向き側の面に沿って平行に移動した位置に前記注目領域を設定する
請求項4に記載の部品姿勢情報取得装置。
【請求項6】
前記所定の距離は、前記ハンドの開き幅の情報、及び、前記部品の幅の情報に基づいて予め設定される
請求項5に記載の部品姿勢情報取得装置。
【請求項7】
前記部品が配置された前記ピック台の上部に配置され、前記部品の2次元の撮影画像、3次元点群情報、深度情報のうちの少なくとも1つ以上の情報を出力するカメラをさらに備え、
前記カメラからの出力情報に基づいて、前記測距部が設けられた前記ハンドを配置可能な位置を決定し、前記ハンドが配置位置に配置された場合に、前記測距部から前記部品の側面までの距離が、予め定められた所定の距離となるまで、前記測距部の位置を調整する認識制御部をさらに備える
請求項6に記載の部品姿勢情報取得装置。
【請求項8】
ピック台に配置された部品を把持して供給位置へ配置するハンドにおける、前記部品の把持部近傍に設けられた測距部が、前記部品までの距離を測距する手順と、
測距された前記距離が所定の距離となった場合における前記測距部の配置位置の情報に基づいて、前記部品の姿勢判定に用いる注目領域を決定し、前記注目領域の特徴量に基づいて前記部品の姿勢を判定する手順と、を含む
部品姿勢判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品姿勢情報取得装置及び部品姿勢判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワーク(部品)をカメラで撮影して、ワークの位置や傾きを求める画像認識処理が知られている。特許文献1には、部品毎に最適な画像認識条件を選択する画像認識条件の選択方法が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された画像認識条件の選択方法では、認識条件として、複数種類のワークの撮像条件と、複数種類の処理条件を設定しておく。撮像条件は、例えば、ワークの角度や照明強度であり、処理条件は、例えば、撮像画像の前処理手法や認識処理手法である。次に、各撮像条件と各処理条件とを組み合わせた全ての画像認識条件における画像認識処理を実行して、画像認識条件毎に認識誤差を算出する。そして、認識誤差が最も小さかった画像認識条件を、最適画像認識条件として選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09-245177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、部品の外部形状は明瞭に撮影しやすいが、部品の表面形状は、外部形状のように明瞭に撮影することが難しい場合がある。そのため、同一の画像認識条件で部品を撮影すると、撮影した画像から得られる表面形状の情報が少なくなる。したがって、特許文献1に記載された画像認識条件の選択方法では、画像認識処理をした場合の認識誤差が大きくなり、部品の姿勢(表裏)を判定する精度が低くなることが想定される。
【0006】
例えば、部品の表面形状における特徴量に着目し、検出した特徴量が第1の面の特徴量であるか第2の面の特徴量であるかを判定することによって、部品の姿勢を判定する方法を考える。この手法によれば、表面形状の精密な情報を取得できない場合であっても、部品の姿勢を判定できる。
【0007】
しかし、例えば部品同士が接触し合っている、又は、重なり合っている場合であって、部品の境目情報を正確に取得することができない場合等には、取得した特徴量と部品とを正確に対応付けることができない。もしくは、部品の外部形状の情報に基づいて特徴量を取得する場合には、特徴量自体を取得できなくなる。したがって、部品の姿勢判定も行えなくなる。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、部品同士に接触又は重なり等がある場合においても、部品の姿勢を判定できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した部品姿勢情報取得装置は、ピック台に配置された部品を把持して供給位置へ配置するハンドにおける、部品の把持部近傍に設けられ、部品までの距離を測距する測距部と、測距された距離が所定の距離となった場合における測距部の配置位置の情報に基づいて、部品の姿勢判定に用いる注目領域を決定し、注目領域の特徴量に基づいて部品の姿勢を判定する姿勢判定部と、備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品同士に接触又は重なり等がある場合においても、部品の姿勢を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る部品供給装置の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る部品供給装置の上面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る部品供給装置の側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る部品供給装置における供給部の側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る部品供給装置における供給部のハンドブロックの構成を説明する図である。
図6】本発明の一実施形態に係る部品供給装置における制御系の構成例を示すブロック図である。
図7】本発明の一実施形態に係る測距センサによって測定された部品との距離が狙いの距離となった状態を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る狙いの距離と基準位置と注目領域の位置との対応関係を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係部品供給装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図10】本発明の一実施形態に係る部品供給装置の部品供給動作を説明する図である。
図11】本発明の一実施形態に係る姿勢判定処理の手順の例を示すフローチャートである。
図12】本発明の一実施形態に係る姿勢判定処理の各処理を説明する図である。
図13】本発明の一実施形態に係る姿勢判定処理の各処理を説明する図である。
図14】本発明の一実施形態に係る複数の部品が積み重なった状態における測距センサの配置位置の決定例を示す図である。
図15】本発明の一実施形態に係る測距センサと部品との位置関係の例を示す図である。
図16】本発明の一実施形態に係る測距センサによる測定値の例を示すグラフである。
図17】本発明の一実施形態に係るハンドの傾きの調整例を示す図である。
図18】本発明の変形例に係る部品における広い範囲に注目領域が設定された例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素は、同一の符号を付し、構成要素の重複説明は省略する。
【0013】
<部品供給装置の構成>
まず、図1~3を参照して、本発明の一実施形態に係る部品供給装置の構成について説明する。図1は、部品供給装置1の斜視図であり、図2は、部品供給装置1の上面図であり、図3は、部品供給装置1の側面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る部品供給装置1(部品姿勢情報取得装置の一例)は、フレーム2と、収容部3A,3Bと、供給部4と、ピック台5A,5Bと、プレイス台6A,6Bと、制御基板7と、操作表示部8と、を備える。収容部3A,3B、供給部4、ピック台5A,5B、プレイス台6A,6B、及び制御基板7は、フレーム2に取り付けられている。部品供給装置1は、収容部3A,3B内に収容された部品を、プレイス台6A,6Bに姿勢を揃えて配置し、次工程の装置に供給する。
【0015】
フレーム2は、略直方体状に形成されており、幅、奥行き、高さを有する。ここで、図1図3において、X軸方向はフレーム2の幅方向を示し、Y軸方向はフレーム2の奥行き方向を示し、Z軸方向はフレーム2の高さ方向を示す。X軸方向及びY軸方向は、水平面に平行な二つの軸方向である水平二軸方向に相当し、Z軸方向は、水平面に直交する方向である鉛直方向に相当する。フレーム2は、X軸方向又はY軸方向に延びる横部材と、Z軸方向に延びる縦部材から構成される。
【0016】
収容部3A,3Bは、フレーム2におけるY軸方向の一側に配置される。収容部3A,3Bは、X軸方向に適当な距離を空けて対向している。収容部3A,3Bは、上面が開口した略箱状に形成される。収容部3A,3Bには、底部をZ軸方向に移動させる不図示の昇降機構が設けられている。これにより、各収容部3A,3Bは、収容可能な容量及び収容された部品の高さ位置を変更することができる。
【0017】
例えば、収容部3Aには第1の部品が収容され、収容部3Bには第1の部品とは異なる第2の部品が収容される。この場合の部品供給装置1は、次工程の装置に第1の部品と第2の部品を供給する。また、第1の期間において収容部3A,3Bには第1の部品が収容され、第1の期間とは異なる第2の期間において収容部3A,3Bには第2の部品が収容されるようにしてもよい。この場合の部品供給装置1は、第1の期間において次工程の装置に第1の部品を供給し、第2の期間において次工程の装置に第2の部品を供給する。
【0018】
供給部4は、フレーム2の上部における略中央部に配置される。供給部4は、収容部3A,3Bに収容された多量の第1の部品又は多量の第2の部品の中から1つ又は複数の部品を把持して、ピック台5A,5Bに落下させて供給する。これにより、第1の部品又は第2の部品は、ピック台5A,5Bに載置される。また、供給部4は、ピック台5A,5Bに載置された第1の部品又は第2の部品を1つずつ把持して、プレイス台6A,6Bに供給する。供給部4の構成については、後述の図4及び図5を参照して説明する。
【0019】
ピック台5A,5Bは、X軸方向において供給部4の両側に配置されている。また、ピック台5A,5Bは、それぞれY軸方向において収容部3A,3Bと隣り合っている。ピック台5A,5Bは、収容部3A,3Bよりも上方に位置している。
【0020】
Z軸方向において、ピック台5Aの一部は、収容部3Aと重なる。これにより、ピック台5Aの一部から落下した部品は、再び収容部3Aに収容される。Z軸方向において、ピック台5Bの一部は、収容部3Bと重なる。これにより、ピック台5Bの一部から落下した部品は、再び収容部3Bに収容される。
【0021】
プレイス台6A,6Bは、Y軸方向へ部品を搬送するベルトコンベアを有する。また、プレイス台6A,6Bは、不図示のX軸移動機構に取り付けられている。X軸移動機構は、プレイス台6A,6BをX軸方向に移動させる。プレイス台6A,6Bは、供給部4から供給された部品をY軸方向へ搬送して、所定の位置に位置決めする。位置決めされた部品は、次工程の装置に供給される。
【0022】
図1及び図3に示すように、制御基板7は、フレーム2の側部に取り付けられている。制御基板7には、収容部3A,3B、供給部4、及びプレイス台6A,6Bの動作を制御する制御部71(図6参照)が設けられている。
【0023】
操作表示部8は、部品の供給に関する各種の設定内容を表示する。各種の設定内容としては、例えば、供給対象の部品の種類、残りの部品数、後述する判定領域、第1基準量、第2基準量等を挙げることができる。第1基準量は、第1面(例えば、表側の面)の表面形状の基準となる特徴量であり、第2基準量は、第2面(例えば、裏側の面)の表面形状の基準となる特徴量である。第1基準量及び第2基準量については後述する。
また、操作表示部8は、エラーを表示する。エラーとしては、例えば、供給部4の誤動作等を挙げることができる。
【0024】
操作表示部8は、例えば、タッチパネルディスプレイで構成される。すなわち、操作表示部8は、部品の供給動作に関する各種設定を入力する入力部を兼ねる。そして、操作表示部8は、操作画面を表示する。ユーザは、操作表示部8に表示される操作画面を見ながら、部品の供給動作に関する各種設定の入力、供給動作の実行指示等を行う。操作表示部8を用いて入力される設定は、制御基板7の制御部71(図6参照)に供給される。
【0025】
[供給部の構成]
次に、供給部4の構成について、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、部品供給装置1における供給部4の側面図である。図5は、部品供給装置1における供給部4のハンドブロックの構成を説明する図である。
【0026】
図4に示すように、供給部4は、アームブロック41と、アームブロック41に接続されたハンドブロック42と、を備える。アームブロック41は、支持台411と、支持台411に取り付けられたアーム412と、を有する。支持台411は、フレーム2(図1~3参照)に固定されている。支持台411は、アーム412を回転可能に支持する。
【0027】
アーム412は、ハンドブロック42をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に自在に移動させる。また、アーム412は、ハンドブロック42をX軸周り、Y軸周り、及びZ軸周りに自在に回転させる。アーム412は、ベース部材413と、第1リンク部材414と、第2リンク部材415と、接続部材416とを有する。
【0028】
ベース部材413は、支持台411に回転可能に接続される。ベース部材413は、Z軸(第1軸)を中心に回転する。第1リンク部材414の一端部は、ベース部材413に回動可能に接続される。第1リンク部材414は、水平方向に延びる軸(第2軸)を中心に回動する。
【0029】
第2リンク部材415は、回動部415aと、回動部415aに接続された旋回部415bとを有する。回動部415aは、第1リンク部材414の他端部に回動可能に接続される。回動部415aは、水平方向に延びる軸(第3軸)を中心に回動する。旋回部415bは、回動部415aに回転可能に接続される。旋回部415bは、回動部415aとの接続方向に延びる軸(第4軸)を中心に回転する。
【0030】
接続部材416は、回動部416aと、回動部416aに接続される旋回部416bとを有する。回動部416aは、第2リンク部材415の旋回部415bに回動可能に接続される。回動部416aは、水平方向に延びる軸(第5軸)を中心に回動する。旋回部416bは、回動部416aに回転可能に接続される。旋回部416bは、回動部416aとの接続方向に延びる軸(第6軸)を中心に回転する。
【0031】
図5に示すように、ハンドブロック42は、ハウジング421と、ハウジング421に取り付けられたハンド422及びカメラ424と、を有する。
【0032】
ハウジング421は、アーム412における接続部材416の旋回部416b(図4参照)に接続される。ハウジング421は、略直方体状の筐体である。ハウジング421の下面には、ハンド用孔421aと、カメラ用孔421bが形成される。ハンド用孔421aは、ハンド422を貫通させる。カメラ用孔421bは、カメラ424の後述する照明425を露出させる。
【0033】
ハンド422は、2つの把持片422aから構成される。ハウジング421の内部には、2つの把持片422aを開閉させる開閉機構と、複数の把持片を昇降させる昇降機構(いずれも図示略)と、が設けられている。2つの把持片422aは、昇降機構により昇降されることにより、ハンド用孔421aから突出する長さが変化する。2つの把持片422aがハンド用孔421aから突出する長さを長くすると、部品を抱えるためのスペースが広くなり、部品の把持数が多くなる。一方、2つの把持片422aがハンド用孔421aから突出する長さを短くすると、部品を抱えるためのスペースが狭くなり、部品の把持数が少なくなる。
【0034】
2つの把持片422aは、その先端部において1つの部品を把持することも可能である。ハンド422は、収容部3A又は収容部3Bに収容された大量の部品から、1つ又は複数の部品を把持してピック台5A又はピック台5Bに供給する。一方、ハンド422は、ピック台5A又はピック台5B上に載っている1つ又は複数の部品から、1つの部品を把持してプレイス台6A又はプレイス台6Bに供給する。
【0035】
また、2つの把持片422aのそれぞれにおける、部品の把持部の近傍には、測距センサ423(測距部の一例、図6参照)が設けられる。測距センサ423は、開状態である2つの把持片422aの間に位置する物体(部品)の側面部との距離を測定する。測距センサ423によって測定された部品の側面部との距離の情報(以下、「測距結果情報」とも称する)は、制御部71(図6参照)に出力される。
【0036】
本実施形態では、測距センサ423による測距結果情報は、部品の姿勢判定に必要な特徴量を含む注目領域の位置を決定するための情報として用いられる。測距結果情報に基づく注目領域の位置の決定方法については、後述の図8を参照して説明する。
【0037】
カメラ424は、ハウジング421に収納される。カメラ424は、照明425と、偏光フィルタ426と、複数のレンズ427と、カメラ本体428と、を有する。これらカメラ424を構成する部品は、被写体側から、照明425、偏光フィルタ426、複数のレンズ427、カメラ本体428の順で配置される。被写体には、例えば、ピック台5A,5B上の部品、収容部3A,3Bに収容されている部品、ハンド422に把持された部品等を挙げることができる。
【0038】
照明425は、カメラ用孔421bから露出される。照明425は、被写体からの光を通過させるための撮影用孔を有するリング状に形成される。照明425は、被写体に光を照射する。また、照明425は、光量を段階的に調節可能に構成されている。照明425のON・OFF及び光量は、制御部71の後述する認識制御部715によって制御される。
【0039】
照明425の撮影用孔には、不図示の偏光フィルムが配置される。また、偏光フィルタ426は、照明425の撮影用孔に対向している。偏光フィルム及び偏光フィルタ426は、被写体の反射光のうちの正反射成分を除去する。偏光フィルム及び偏光フィルタ426で正反射成分が除去された被写体の反射光は、複数のレンズ427を通過する。
【0040】
複数のレンズ427は、カメラ本体428における撮像素子の受光面に被写体像を結像させる。複数のレンズ427は、不図示の支持部に支持される。不図示の支持部は、複数のレンズ427の各レンズを光軸方向に移動可能に支持する。各レンズの光軸方向への移動は、制御部71の後述する図6に示す認識制御部715によって制御される。
【0041】
カメラ本体428は、撮像素子と、画像処理回路(いずれも図示略)と、を有する。撮像素子は、例えばフォトダイオードよりなる複数の受光素子と、各受光素子を駆動するための駆動回路と、を有する。各受光素子は、入射された光の光量に応じた電荷を発生する。駆動回路は、各受光素子において発生された電荷に対応する画素信号を画像処理回路に送信する。画像処理回路は、受信した画素信号を画像データに変換する。そして、カメラ本体428は、画像データを制御部71の後述する認識制御部715に出力する。
【0042】
なお、カメラ本体428は、ラインセンサ又はエリアセンサ等によって構成されてもよく、深度センサ付きのカメラや、3D点群情報を取得可能な3Dカメラなどによって構成されてもよい。カメラ本体428を、深度センサ付きカメラや3Dカメラで構成した場合、部品の起伏データも取得することができる。カメラ本体428には、2D撮影用のカメラと3Dカメラとの両方が含まれてもよい。
【0043】
<制御系の構成>
次に、図6を参照して、部品供給装置1の制御系の構成について説明する。図6は、部品供給装置1における制御系の構成例を示すブロック図である。
【0044】
図6に示すように、部品供給装置1は、制御部71と、記憶部72と、移動部4と、を備える。移動部4については、図3図5を参照して説明済みであるため、説明は省略する。
【0045】
制御部71は、全体制御部711と、アーム制御部712と、ハンド制御部713と、測距制御部714と、認識制御部715と、姿勢判定部716と、表示制御部717と、を有する。
【0046】
全体制御部711は、アーム制御部712、ハンド制御部713、測距制御部714、認識制御部715、姿勢判定部716及び表示制御部717に接続される。全体制御部711は、収容部3A,3B、ハンド422等の各部の位置、ピック台5A,5B上の部品の姿勢、ハンド422が把持している部品の個数等の検出結果を、認識制御部715から受信する。
【0047】
全体制御部711は、認識制御部715から受信した検出結果と、記憶部72に記憶されている供給パラメータ等に基づいて、アーム制御部712とハンド制御部713の全体的な制御を行う。供給パラメータは、ピック台5A,5Bやプレイス台6A,6Bに部品を供給する際の供給部4の動作を決定するために用いられる。供給パラメータとしては、例えば、ハンド422が部品を把持する動作を開始する位置、アーム412による部品の搬送速度、ハンド422が部品の把持を解除する位置等を挙げることができる。
【0048】
アーム制御部712は、アーム412の駆動部に接続される。アーム制御部712は、全体制御部711から制御指令を受信する。アーム制御部712は、全体制御部711から受信した制御指令に基づいて、アーム412を駆動するためのアーム駆動信号を生成し、アーム412の駆動部に送信する。これにより、アーム412は、全体制御部711の制御指令に応じた動作を実行する。
【0049】
ハンド制御部713は、ハンド422の駆動部に接続される。ハンド制御部713は、全体制御部711から制御指令を受信する。ハンド制御部713は、全体制御部711から受信した制御指令に基づいて、ハンド422を駆動するためのハンド駆動信号を生成し、ハンド422の駆動部に送信する。これにより、ハンド422は、全体制御部711の制御指令に応じた動作を実行する。
【0050】
測距制御部714は、ハンド422の2つの把持片422a(図5参照)のそれぞれに設けられた各測距センサ423に接続される。測距制御部714は、認識制御部715によって決定された位置において測距センサ423によって測定された、部品の端面との距離の情報(測距結果情報)を、全体制御部711に出力する。
【0051】
認識制御部715は、カメラ424に接続される。認識制御部715は、記憶部72に記憶された撮影パラメータ721に基づいてカメラ424による撮影を制御する。また、認識制御部715は、カメラ424から送られてくる画像データと、不図示のキャリブレーションデータと、に基づいて、カメラ424の撮影位置を決定する。
【0052】
認識制御部715によって決定されたカメラ424の撮影位置の情報は、全体制御部711に送信される。全体制御部711は、認識制御部715が決定した撮影位置に応じて、アーム412の動作を制御するための制御指令をアーム制御部712に送信する。アーム制御部712は、全体制御部711の制御指令に応じてアーム412の駆動部を制御する。これにより、ハンドブロック42に設けられたカメラ424が、撮影位置に配置される。
【0053】
また、認識制御部715は、カメラ424から受信した画像データに、記憶部72に記憶された画像処理パラメータ(各種補正値)に基づく画像処理を施す。
【0054】
また、認識制御部715は、カメラ424から送られてくる画像データに基づいて、ハンド422の2つの把持片422a(図5参照)を部品の側面部に挿入可能な位置を検出し、検出した位置の情報を全体制御部711に送信する。全体制御部711に送信された挿入可能位置の情報に基づいて、ハンド制御部713によって制御が行われることにより、ハンド422の2つの把持片422aが移動し、2つの把持片422aが部品の側面部の近傍に挿入される。
【0055】
さらに、認識制御部715は、2つの把持片422aの挿入後、測距センサ423と部品の端部との距離を、狙いの距離dyt(図10参照)に一致させるために必要な、ハンド422の移動方向及び移動量を算出し、算出したハンド422の移動方向及び移動量の情報を、全体制御部711に出力する。全体制御部711に送信された移動方向及び移動量に基づいて、ハンド制御部713によって制御が行われることにより、ハンド422の2つの把持片422aが移動する。これにより、2つの把持片422aの部品把持部の近傍に設けられた測距センサ423によって測定される部品との距離が、狙いの距離dytとなる。狙いの距離dytとは、部品における注目領域の位置の決定時に参照される基準位置を設定するために必要な距離である。
【0056】
姿勢判定部716は、画像処理が施された画像データと、記憶部72に記憶された各種テンプレート726とを比較して、ピック台5A,5B上の部品の種類を検出する。また、姿勢判定部716は、カメラ424による部品の撮影画像の画像データと、測距制御部714による測距結果情報とに基づいて、撮影画像から生成された画像データにおける、部品の姿勢判定に必要な特徴量を含む注目領域の位置を決定(特定)する。
【0057】
より詳細には、姿勢判定部716は、測距センサ423によって測定される部品との距離が近づいて狙いの距離dytとなった場合における、2つの把持片422aの配置位置の情報に基づいて、画像データ内における基準位置を特定し、該基準位置に基づいて注目領域を設定する。狙いの距離dytと、基準位置と、注目領域との関係については、後述の図7及び図8を参照して説明する。
【0058】
さらに、姿勢判定部716は、注目領域の特徴量と、記憶部72に記憶された表裏判定基準量の情報との比較結果に基づいて、部品の姿勢(表裏)を判定する。そして、姿勢判定部716は、検出結果及び判定結果を全体制御部711に送信する。姿勢判定部716による部品の姿勢判定は、姿勢判定用のAIモデル等を用いて行うことができる。姿勢判定用のAIモデルは、注目領域の情報を訓練データに使用することによって生成可能である。
【0059】
表示制御部717は、操作表示部8(図3参照)に接続される。表示制御部717は、全体制御部711から制御指令を受信する。表示制御部717は、全体制御部711から受信した制御指令に基づいて、操作表示部8を制御するための表示部制御信号を生成し、操作表示部8に送信する。これにより、操作表示部8は、全体制御部711の制御指令に応じた各種の設定内容等を表示する。
【0060】
記憶部72には、撮影パラメータ721と、画像処理パラメータ722と、部品形状情報723と、ハンド開き幅情報724と、表裏判定基準量725と、各種テンプレート726と、が記憶される。
【0061】
撮影パラメータ721は、カメラ424によって部品やピック台5A,5B等を撮影する際に用いられる。撮影パラメータ721としては、例えば、被写体(撮影対象)に応じた露光時間や照明の光量、画像サイズ等を挙げることができる。
画像処理パラメータ722は、カメラ424から受信した画像データに画像処理を施す際に用いられる各種の補正値である。
【0062】
部品形状情報723は、部品の形状を示す情報であり、例えば、部品の長手方向サイズ及び短手方向サイズの情報等によって構成される。なお、カメラ424が3Dカメラで構成される場合、部品形状情報723には、部品の起伏情報も含まれる。なお、部品形状情報723は、部品の形状を示す情報であればどのようなものであってもよく、例えば、部品の輪郭情報等によって構成されてもよい。
【0063】
ハンド開き幅情報724は、ハンド422の2つの把持片422aが開状態である場合における、2つの把持片422aの間隔(距離)を示す情報である。
【0064】
表裏判定基準量725は、部品の表面形状における基準の特徴量である。表裏判定基準量725としては、部品の種類ごとに少なくとも第1基準量と第2基準量が用意される。第1基準量は、第1面(例えば、表側の面)の表面形状の基準となる特徴量である。第2基準量は、第2面(例えば、裏側の面)の表面形状の基準となる特徴量である。特徴量としては、例えば、エッジの数(以下、「エッジ数」とする)を挙げることができる。姿勢判定部716は、画像データから検出した部品の注目領域における特徴量が、第1基準量と第2基準量のいずれに近いか又は一致するかの判定結果に応じて、部品の姿勢(表裏)を判定する。
【0065】
各種テンプレート726は、各種部品の2次元形状(外形)のマッチング用テンプレートである。各種テンプレート726は、部品の種類毎に少なくとも1つ用意されている。姿勢判定部716は、画像データから検出した部品の2次元形状と各種テンプレート726を比較して、一致又は近似するテンプレートから画像データの部品の種類を検出する。
【0066】
<狙いの距離と基準位置と注目領域との関係>
次に、図7及び図8を参照して、狙いの距離dytと、基準位置と、注目領域との関係について説明する。図7は、狙いの距離dytと基準位置Prと注目領域Adの位置との対応関係を示す図であり、図8は、測距センサ423によって測定された部品Wとの距離が狙いの距離dytとなった状態を示す図である。
【0067】
図7Aは、部品Wの第1面(表面)における注目領域Adの設定例を示す図であり、図7Bは、部品Wの第2面(裏面)における注目領域Adの設定例を示す図である。注目領域は、上述したように、部品の姿勢判定に必要な特徴量を含む領域である。
【0068】
姿勢判定部716は、例えば、部品Wの第1面の外部形状と第2面の外部形状とが異なる場合は、画像データから得られる部品の外部形状の情報に基づいて、部品Wの姿勢、すなわち、部品Wの表裏を判定することができる。しかし、図7に示すように、部品Wの第1面の外部形状と第2面の外部形状が同一或いは略同一である場合は、姿勢判定部716は、画像データから得られる部品Wの外部形状から、部品の姿勢を判定することが難しい。
【0069】
そこで、本実施形態では、姿勢判定部716は、部品Wの表面形状の注目領域Adにおける特徴量が第1の面の特徴量(以下、「第1基準量」とも称する)であるか第2の面の特徴量(以下、「第2基準量」とも称する)であるかを判定する。これにより、姿勢判定部716は、部品Wの姿勢、すなわち、第1面が上向きである姿勢なのか、第2面が上向きである姿勢なのかを判定することができる。
【0070】
本実施形態では、部品Wの姿勢の判定に用いる特徴量として、第1面及び第2面におけるエッジ数の差が大きくなることが想定される領域における特徴量を用いる。そして、このような特徴量を含む領域を、注目領域Adに設定する。注目領域Adは、例えば矩形の形状で構成することができる。
【0071】
図7A及び図7Bに示すように、基準位置Prは、部品Wの短手方向を構成する2つの端面のうちの、いずれかの端面に設定される。そして、基準位置Prから水平方向に距離dxだけ進んだ位置に注目領域Adが設定される。部品Wの外形形状における基準位置Prの位置、注目領域Adの形及び大きさ、基準位置Prから注目領域Adの一辺までの距離dxの各パラメータは、部品形状情報723(図6参照)に予めパラメータとして登録されているものとする。
【0072】
そして、姿勢判定部716は、測距センサ423によって測定された部品Wの側面部の端面までの距離が狙いの距離dytとなった場合において、測距センサ423の配置位置付近にある部品Wの端面の位置(画像データにおける位置)に、基準位置Prを設定する。次に、姿勢判定部716は、画像データにおける、基準位置Prから水平方向(部品Wの上面に沿う方向)に距離dxだけ進んだ位置に、注目領域Adを設定する。このような処理を行うことにより、姿勢判定部716は、部品Wを撮影した画像データにおける、部品Wの姿勢判定に用いる特徴量を含んだ注目領域Adの位置を、特定することができる。
【0073】
なお、エッジが出現する箇所は、部品Wの種類、部品Wを成型する金型、部品Wの姿勢等に応じて異なる。そのため、注目領域Adは、少なくとも、部品Wの種類ごとに設定されることが好ましい。また、部品Wの生産ロットに応じて異なる金型を使用する場合は、部品Wの生産ロットや金型ごとに判定領域を設定してもよい。
【0074】
また、注目領域Adは、1箇所に限定されず、2箇所以上であってもよい。注目領域Adを2箇所以上にした場合は、姿勢判定部716は、検出したエッジの総和と基準のエッジ数を比較すること等によって、部品Wの姿勢を判定することができる。また、注目領域Adを2箇所以上にした場合は、姿勢判定部716は、各注目領域Adで検出したエッジ数の比と各判定領域の基準のエッジ数の比を比較して、部品Wの姿勢を判定してもよい。
【0075】
また、特徴量は、エッジの数に限定されず、例えば、エッジの長さ、エッジの面積、テクスチャなどであってもよい。
【0076】
図8Aは部品W及びハンド422の正面図であり、図8Bは側面図である。図8A及びBにおいて、ハンド422は簡略化して図示している。
【0077】
狙いの距離dytは、2つの把持片422aが基準位置Prの近傍に配置され、かつ、開いている2つの把持片422aの約中心部分に部品Wが位置した場合に、2つの把持片422aの略先端部に設けられた測距センサ423によって測定されることが想定される距離である。狙いの距離dytは、ハンド開き幅情報724に規定された開き幅Wdhと、基準位置Prの近傍における部品Wの横幅(短手方向の幅)Wdwとによって、予め設定されている。
【0078】
そして、姿勢判定部716(図6参照)は、カメラ424によって撮影された画像データにおいて、基準位置Prであると想定される位置に、基準位置Prを設定する。具体的には、姿勢判定部716は、測距センサ423と部品Wの端面との距離が狙いのdytとなった場合において、2つの把持片422aが把持可能な位置にある部品Wの端面(画像データが2次元のデータである場合には端辺)に、基準位置Prに設定する。
【0079】
本実施形態では、このような処理を行うことにより、画像データから部品Wの外形の情報を精度よく切り出す処理等を行わなくても、画像データにおける基準位置Prの位置を特定することができ、該基準位置Prに基づいて注目領域Adの位置も特定できる。したがって、本実施形態によれば、例えば、部品W同士に接触や重なり等があることによって、画像データから部品Wの外形の情報を精度よく切り出すことが困難な状況下においても、測距センサ723による測距結果に基づいて特定された注目領域Adの特徴量に基づいて、部品Wの姿勢を判定することができる。
【0080】
なお、本実施形態では、基準位置Prを、部品Wを構成する複数の端面のうちの特定の端面(又は端辺)に設定する例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。基準位置Prは、例えば、リブの形成部分等、部品Wにおける特定の特徴を有する箇所に設定されてもよい。
【0081】
<ハードウェア構成>
次に、図9を参照して、部品供給装置1のハードウェア構成について説明する。図9は、部品供給装置1のハードウェア構成例を示すブロック図である。図2に示す計算機200は、いわゆるコンピュータとして用いられるハードウェアである。
【0082】
計算機200は、バスBにそれぞれ接続された制御部210と、不揮発性ストレージ220と、操作表示部230と、通信I/F(Interface)240と、を含む。
【0083】
制御部210は、CPU(Central Processing Unit)211と、ROM(Read Only Memory)212と、RAM(Random Access Memory)213と、を含む。
CPU211は、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM212から読み出してRAM213に展開して実行する。なお、計算機200は、CPU211の代わりに、MPU(Micro-Processing Unit)等の処理装置を備えてもよい。RAM213には、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
【0084】
不揮発性ストレージ220としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。この不揮発性ストレージ220には、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、計算機200を機能させるためのプログラム等が記録される。なお、プログラムは、ROM212に格納されてもよい。
【0085】
プログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPU211は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。つまり、ROM212又は不揮発性ストレージ220は、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取り可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0086】
部品供給装置1の制御部71(図6参照)の各種機能は、CPU211がROM212に格納された所定の処理プログラムを実行することにより実現される。制御部71の各種機能は、例えば、アーム制御部712によるアーム412の動作制御、ハンド制御部713によるハンド422の動作制御、測距制御部714による測距センサ423の動作制御、姿勢判定部716による部品の姿勢判定処理、表示制御部717による操作表示部8の表示制御等がある。
【0087】
また、部品供給装置1の記憶部72(図6参照)の機能は、不揮発性ストレージ220又はROM212によって実現される。
【0088】
操作表示部230は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される表示パネルと、タッチセンサによって構成される操作入力部とが一体に形成された、タッチパネルとして構成される。なお、表示パネルと操作入力部とは、それぞれ別の装置として構成されてもよい。
【0089】
通信I/F240には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、ネットワーク又は通信線を介して、不図示の外部装置との間で各種のデータを送受信することが可能である。
【0090】
[部品供給装置の部品供給動作]
次に、図10を参照して、部品供給装置1の部品供給動作について説明する。
図10は、部品供給装置1の部品供給動作を説明する図である。
【0091】
図10に示すように、部品供給装置1により部品を次工程の装置に供給するために、まず、収容部3A,3B(以下、「収容部3」とする)(図1参照)に部品を収容する。収容部3への部品の収容は、前工程における装置が行ってもよく、また、人が手動で行ってもよい。
【0092】
次に、供給部4は、収容部3内の大量の部品から1つ又は複数の部品を把持して、ピック台5A又はピック台5B(以下、「ピック台5」とする)に供給する。このとき、供給部4は、把持した部品がピック台5上でばらけるような供給動作を行う。以下、部品がピック台5上でばらけるような供給動作を「部品のばらし動作」とする。
【0093】
次に、カメラ424がピック台5上を撮影し、制御部71の認識制御部715がピック台5上を俯瞰認識する。このとき、認識制御部715は、ピック台5上に把持可能な部品があるか否かを判定する。ピック台5上に把持可能な部品がないと判定した場合は、供給部4が、収容部3内の大量の部品から1つ又は複数の部品を把持する。
【0094】
なお、ピック台5上に部品が載っていても、その部品が供給部4によって把持できない位置にある場合は、ピック台5上に把持可能な部品がないと判定される。この場合は、傾斜機構を駆動させてピック台5を傾斜させる。これにより、ピック台5に載っている部品は、ピック台5から落下して収容部3に回収される。
【0095】
ピック台5上に把持可能な部品があると判定した場合に、認識制御部715は、ピック台5上にある部品のうちの1つを把持する部品として決定し、把持する部品をカメラ424により撮影させる。そして、姿勢判定部716は、把持する部品の画像データから部品の姿勢(表裏)を判定する。その後、ハンド制御部713は、供給部4のハンド422が部品を把持する位置を認識(決定)する。
【0096】
次に、供給部4は、1つの部品を把持して、プレイス台6A,6B(以下、「プレイス台6」とする)に供給する。プレイス台6は、供給された部品を所定の位置に位置決めする。所定の位置に位置決めされた部品は、次工程の装置に供給される。
【0097】
供給部4が1つの部品をプレイス台6に供給すると、姿勢判定部716は、ピック台5上にある部品のうちの1つを把持する部品として決定し、上述したように、部品の姿勢(表裏)を判定すると共に、供給部4のハンド422が部品を把持する位置を認識(決定)する。このとき、ピック台5上に部品が無ければ、プレイス台6への部品の供給動作を終了する。そして、供給部4が、収容部3内の大量の部品から1つ又は複数の部品を把持する。その後、供給部4は、部品のばらし動作を行って、プレイス台6への部品の供給を繰り返す。
【0098】
なお、本実施形態によれば、部品同士に接触や重なりなどがある場合にも、姿勢判定部716は部品の姿勢を判定することができるため、ピック台5に部品を「ばらす」処理を省略することも可能である。
【0099】
<姿勢判定処理>
次に、図11図13を参照して、部品供給装置1により行われる姿勢判定処理について説明する。
図11は、本実施形態における姿勢判定処理の手順の例を示すフローチャートである。図12及び図13は、姿勢判定処理の各処理を説明する図である。
【0100】
まず、認識制御部715は、部品が供給されたピック台5(図1参照)をカメラ424に俯瞰撮影させる(ステップS1)。図12Aは、カメラ424による俯瞰撮影のイメージを示す図である。図12Aには、ピック台5の上に、部品W1と部品W2とがその一部が重なった状態で配置された例を示している。次に、認識制御部715は、ステップS1で撮影された画像データに基づいて、測距センサ423の配置位置を決定する(ステップS2)。
【0101】
図12Bは、認識制御部715によって認識された測距センサ423の配置位置の例を示す。図12Bには、部品W1の長手方向の両側面の図中左端側における端面との距離を測定可能な配置位置Ar1及びAr2と、部品W2の長手方向の両側面の図中下側における端面との距離を測定可能な配置位置Ar2及びAr3とが、測距センサ423の配置位置として認識されている状態を示す。
【0102】
認識制御部715は、測距センサ423の配置位置の決定に先立ち、まず、カメラ424によって生成された画像データの中から、個々の部品W1,W2の領域(輪郭)を切り出す。個々の部品Wの領域の切り出しは、例えば、画像の面積の情報を用いたり、深層学習を用いたインスタンスセグメンテーションの技術を用いたりすることによって行うことができる。そして、認識制御部715は、部品の側面部の端面の近傍の領域であり、かつ、測距センサ423が取り付けられた2つの把持片422aを挿入可能な領域を、測距センサ423の配置位置として決定する。
【0103】
図14は、複数の部品が積み重なった状態における測距センサ423の配置位置の決定例を示す図である。カメラ424を深度の情報も取得可能なカメラで構成した場合、認識制御部715は、カメラ424が取得した深度の情報も参照することにより、測距センサ423の配置位置(図中に一点鎖線の楕円で示す領域)を決定することができる。
【0104】
図11に戻って説明を続ける。ステップS2の処理後、ハンド制御部713は、ステップS2で決定された配置位置にハンド422を移動させることにより、2つの把持片422aの先端部分に設けられた測距センサ423の位置を調整する(ステップS3)。図13Aは、測距センサ423が部品W1の端面を捉えられていない状態を示す図であり、図13Bは、測距センサ423が部品W1の端面との距離を測定可能な位置に配置された状態を示す図である。
【0105】
図13Bに示すように、測距センサ423が部品W1の端面との距離を測定可能な位置に配置された場合、測距センサ423は、部品W1の端面との距離dyを測定する(図11のステップS4)。次に、認識制御部715は、測距センサ423によって測定された部品W1の端面との距離dyは、狙いの距離dytに一致したか否かを判定する(ステップS5)。
【0106】
ここで、図15及び図16を参照して、測距センサ423による、部品Wの端面との距離dyの測定例について説明する。図15は、測距センサ423と部品Wとの位置関係の例を示す図であり、図16は、測距センサ423による測定値の例を示すグラフである。図16の縦軸は、測距センサ423によって測定される部品Wとの距離dyを示し、横軸は時間(t)を示す。
【0107】
図15に示すように、測距センサ423が図の右側の方向から徐々に部品Wの方向に移動している場合を想定する。この場合、測距センサ423が部品Wを検知するまでの間は、測距センサ423による測定値は、何も検知していない場合におけるデフォルト値、すなわち、測距センサ423の不図示の発光部と受光部との間の距離に対応した値となる。一方、測距センサ423の発光部と受光部との略中心部分に、部品Wの端面(基準位置Prが設定される面)が配置された場合、図16のグラフに示すように、測距センサ423の測定値は狙いの値dytとなる。
【0108】
なお、図11のステップS2で、測距センサ423の配置位置が決定された部品が、他の部品の上に積み重なっている等の理由により斜めに傾いていた場合には、ハンド制御部713(図6参照)は、カメラ424から出力される画像データより得られる情報に基づいて、ハンド422の傾きを調整する。
【0109】
図17は、ハンド422の傾きの調整例を示す図である。図17Aに示す例では、部品Wは右下がりの方向に傾いている。この場合、ハンド制御部713は、ハンド422を図中の右斜め下の方向に傾けることにより、部品Wの長手方向の軸と、2つの把持片422aの軸とがなす角度が略90度となるように調整する。ハンド制御部713がこのような調整を行うことにより、2つの把持片422aの略先端部に取り付けられた測距センサ423(図17では図示略)が、部品Wの側面の端部との距離を適切に測定できるようになる。
【0110】
図11戻って説明を続ける。ステップS5で、部品の端面までの距離は、狙いの距離dytに一致していないと判定された場合(ステップS5がNO判定の場合)、ステップS3に戻って処理が行われる。
【0111】
一方、ステップS5で、測距センサ423と部品の端面との距離は狙いの距離dytに一致したと判定された場合(ステップS5がYES判定の場合)、ハンド制御部713は、ハンド422の移動を停止させる(ステップS6)。
【0112】
次に、姿勢判定部716は、カメラ424によって生成された画像データと、ステップS6で停止されたハンド422(の2つの把持片422a)の位置情報(座標位置)と、測距センサ423による測距結果情報とに基づいて、姿勢判定用の注目領域の位置を決定する(ステップS7)。図13Bに、ハンド422の2つの把持片422aの位置情報によって定まる基準位置Prに基づいて、注目領域Adの位置が決定された状態を示す。
【0113】
次に、姿勢判定部716は、ステップS7で決定された注目領域における特徴量の情報と、記憶部72に記憶された表裏判定基準量725とに基づいて、部品の姿勢(表裏)を判定する(ステップS8)。ステップS8の処理後、部品供給装置1による姿勢判定処理は終了する。
【0114】
上述した実施形態では、部品供給装置1の姿勢判定部716は、測距センサ423によって測定された測距センサ423から部品Wの側面までの距離が、予め定められた所定の狙いの距離dytとなった場合における、測距センサ423の配置位置の情報に基づいて、部品Wを上部から撮影して得られる撮影画像における、部品Wの姿勢判定に用いる注目領域Adの位置を決定する。そして、姿勢判定部716は、注目領域Adにおける特徴量に基づいて、部品Wの姿勢を判定する。
【0115】
したがって、本実施形態によれば、部品Wの一部が他の部品と接触したり重なったりしている等によって、部品Wの外部形状を厳密に抽出できない場合においても、姿勢判定部716は、測距センサ423によって測定された部品Wとの距離の情報に基づいて、部品Wの姿勢を判定できる。
【0116】
また、本実施形態に係る姿勢判定処理では、部品毎にエッジ形状にばらつきが生じていても、そのばらつきの影響が少ない注目領域において、検出した特徴量と予め定められた基準量を比較することができる。その結果、部品の姿勢(表裏)を精度よく判定することができる。
【0117】
なお、例えば、画像データからはその左右の方向の識別が難しい部品等に対しては、姿勢判定部716は、注目領域Adの領域を大きめに設定してもよい。
図18は、部品Wにおける広い範囲に注目領域Adが設定された例を示す図である。図18に示すように、部品Wの長手方向において広い領域をカバー可能な注目領域Adを設定することにより、部品Wの短手方向の2つの端面のそれぞれに、基準位置Prを設定することが可能となる。
【0118】
これにより、姿勢判定部716は、姿勢判定の対象の部品Wが、画像データからはその左右の方向の識別が難しい部品Wである場合にも、2つの端面に設定された基準位置Prのいずれかを認識できれば、姿勢判定に必要な特徴量を含む注目領域Adを特定することができるため、部品Wの姿勢を判定できる。
【0119】
また、図18に示すように、基準位置Prを2つ設けることにより、基準位置Prが設定される端面のうちのいずれかの近傍に、2つの把持片422aを挿入可能な位置を検出できない場合であっても、他方の基準位置Prの近傍に挿入できれば、姿勢判定部716は、部品Wの姿勢を判定することができる。つまり、変形例によれば、2つの把持片422aの部品把持部分近傍に設けられた測距センサ423を配置可能な領域の、認識制御部715による検出確率を向上させることができる。
【0120】
なお、基準位置Prは2つに限定されず、部品Wの形状に応じて3つ以上設定されてもよい。また、注目領域Adの大きさが、図7に示した大きさ、すなわち、部品の姿勢判定に必要な特徴量を含む最低限の大きさである場合にも、基準位置Prは複数設定されてもよい。
【0121】
また、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために装置の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
【符号の説明】
【0122】
1…部品供給装置、5…ピック台、422…ハンド、422a…把持片、423…測距センサ、424…カメラ、711…全体制御部、712…アーム制御部、713…ハンド制御部、714…測距制御部、715…認識制御部、716…姿勢判定部、717…表示制御部、723…部品形状情報、724…ハンド開き幅情報、725…表裏判定基準量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18