(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147931
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20241009BHJP
B60N 2/16 20060101ALI20241009BHJP
A47C 7/02 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/16
A47C7/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060688
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】393011692
【氏名又は名称】和光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069992
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 政義
(72)【発明者】
【氏名】田中 賢二
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA15
3B087BB21
3B087DE09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来の技術の構成上の欠点を除去して製作工程、作業工程を短縮してコストの低減に寄与し、併せてハーネスの品質および耐久性の向上を図ることができる車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置を提供する。
【解決手段】シートが車両前向きから横向きに回動する機能と横向きから前向きに回動する機能を備え、加えて車両外側へ延出する機能と車両内側へ復帰する機能とを備え、シートが車両外側へ延出した状態にあって昇降する機能を備え、前記昇降する機構として四辺形リンクを採用する車両用シートリフトにおいて、ハーネスガイドの一端を回転フレームに、他端を前記四辺形リンクにおけるロアアーム又はアッパーアームもしくはシートスライドガイドに支持されるハーネスガイドを配備することを特徴とする。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが車両前向きから横向きに回動する機能と横向きから前向きに回動する機能を備え、加えて車両外側へ延出する機能と車両内側へ復帰する機能とを備え、シートが車両外側へ延出した状態にあって昇降する機能を備え、前記昇降する機構として四辺形リンクを採用する車両用シートリフトにおいて、ハーネスガイドの一端を回転フレームに、ハーネスガイドの他端を前記四辺形リンクにおけるロアアーム又はアッパーアームに支持されてハーネスガイドが配備されることを特徴とする、車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置。
【請求項2】
シートが車両前向きから横向きに回動する機能と横向きから前向きに回動する機能を備え、加えて車両外側へ延出する機能と車両内側へ復帰する機能とを備え、シートが車両外側へ延出した状態にあって昇降する機能を備え、前記昇降する機構として四辺形リンクを採用する車両用シートリフトにおいて、ハーネスガイドの一端を回転フレームに、ハーネスガイドの他端を前記四辺形リンクにおけるロアアームおよびアッパーアームに軸支されたシートスライドガイドに支持されるハーネスガイドが配備されることを特徴とする、車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置。
【請求項3】
シートが車両前向きから横向きに回動する機能と横向きから前向きに回動する機能を備え、加えて車両外側へ延出する機能と車両内側へ復帰する機能とを備え、シートが車両外側へ延出した状態にあって昇降する機能を備え、前記昇降する機構として四辺形リンクを採用する車両用シートリフトにおいて、前記シートが車両前向きから横向きに回動する機能と横向きから前向きに回動する機能を備える回転フレームには、その一側外側面と対応する内部に昇降機構部へのハーネスガイド配策のためにハーネスガイドを格納する横長箱形空間が構成されてなることを特徴とする、車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置。
【請求項4】
前記回転フレームの横長箱形格納空間には、前記ハーネスガイドの基端部を取付ける取付け台板部が前記横長箱形格納空間の先端上面に対応して配備され、ハーネスガイドの一側内方側外面に対応してガイドするガイド面板部を有する取付け区画ガイド板が配備されてなることを特徴とする、請求項1、請求項2又は請求項3の車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置。
【請求項5】
前記回転フレームの横長箱形格納空間には、前記ハーネスガイドの基端部が、先端部を回転フレームの後部方向に向けて取付け台板部に固着され、ハーネスガイドが後部方向に収容された後、下回りに湾曲・反転されて前方に引き戻され、その先端部が昇降機構部であるシートスライドガイドに軸支される一側のロアアームのロアアームブラケット又はアッパーアームのアッパーアームブラケットもしくはシートスライドガイドの一側に取付けられたシートスライドガイドブラケットに取付けられて、ハーネスガイドの全体が横向きU字形に横架され、ロアアームブラケット又はアッパーアームブラケットもしくはシートスライドガイドブラケットの前進移動と後進移動によりハーネスガイドの繰出移動と格納移動を行えることを特徴とする、請求項1、請求項2又は請求項3の車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用シートリフトは、
・車両前向きから横向きに回動する機能と横向きから前向きに回動する機能を備えている。
・シートが車両外側へ延出する機能と車両内側へ復帰する機能とを備えている。
・シートが車両外側へ延出した状態において昇降する機能を備えている。
・昇降する機構として四辺形リンクを採用している。
【0003】
従来、車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置は、回転フレームとアームスライドガイドの間はハーネスガイド(ケーブルチェーン、プラレールチェーン等)を使用し、アームスライドガイドとシートスライドガイドの間は四辺形リンクを構成するアッパーアーム又はロアアームの何れかに沿わせている。
特許文献1には、明細書の段落[0003]において、「座席昇降装置95のワイヤハーネス100は、ブラケット102,101を介して夫々前後移動部材96と昇降部材98とに支持されている。さらに、前後移動部材96と昇降部材98との間のワイヤハーネス100は、下部リンクアーム97bに沿った状態で固定されている。ここで、下部リンクアーム97bの両端の回転中心近傍では、下部リンクアーム97bの回転動作を考慮して、ワイヤハーネス100は余裕を持った長さ寸法でフリーの状態に保持されている。さらに、前後移動部材96と回転ベース93との間ではワイヤハーネス100はケーブルベア105に収納された状態では配線されている。」と、従来の技術が記載されている。
特許文献2には、シートクッションから脚部までの高さ寸法を抑えることができるシートの提供を課題として、リフトアップシート20は、第一可動式ケーブルカバー41と、第二可動式ケーブルカバー42とを備えている。第一可動式ケーブルカバー41は、回転部37および昇降部38に取付けられて、昇降部38の移動に伴ってワイヤハーネス43を案内する。また、第一可動式ケーブルカバー41と第二可動式ケーブルカバー42とは、水平方向に折かえ返され、互いに同じ高さとなるように設けられる発明が開示されるが、昇降部38への配線は、四辺形リンクにはハーネスガイドを沿わせる従来技術が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-111040号公報
【特許文献2】特開2018-039379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の技術では、第1に、ハーネスが左右両側部に配備されるアッパーアーム又はロアアームまで回り込む経路のため、距離が長く、作業時間がかかるために、配策コストアップの要因となっている。
第2に、アッパーアーム又はロアアームに沿わせたハーネスを保護するためのカバー等が必要になり、コストアップの要因になっている。
第3に、ハーネスの本数が多い場合は、相互間の離隔空間が集積して配策スペースを拡大させる原因となる。
第4に、アッパーアーム又はロアアームの可動部において作動する回転角による一定以上の屈曲がハーネスに入力され、これを規制するガイド部材を設定することができないため、配線の耐久性、品質が安定しない欠点がある。
本発明は、係る欠点を解消することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
シートが車両前向きから横向きに回動する機能と横向きから前向きに回動する機能を備え、加えて車両外側へ延出する機能と車両内側へ復帰する機能とを備え、シートが車両外側へ延出した状態にあって昇降する機能を備え、前記昇降する機構として四辺形リンクを採用する車両用シートリフトにおいて、ハーネスガイドの一端を回転フレームに、ハーネスガイドの他端を前記四辺形リンクにおけるロアアーム又はアッパーアームに支持されて配備されることを特徴とする、車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置にある。
【0007】
シートが車両前向きから横向きに回動する機能と、横向きから前向きに回動する機能を備え、加えて車両外側へ延出する機能と車両内側へ復帰する機能とを備え、シートが車両外側へ延出した状態にあって昇降する機能を備え、前記昇降する機構として四辺形リンクを採用する車両用シートリフトにおいて、ハーネスガイドの一端を回転フレームに、ハーネスガイドの他端を前記四辺形リンクにおけるロアアームおよびアッパーアームに軸支されたシートスライドガイドに支持されて配備されることを特徴とする、車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置としてもよいものである。
【0008】
シートが車両前向きから横向きに回動する機能と横向きから前向きに回動する機能を備え、加えて車両外側へ延出する機能と車両内側へ復帰する機能とを備え、シートが車両外側へ延出した状態にあって昇降する機能を備え、前記昇降する機構として四辺形リンクを採用する車両用シートリフトにおいて、前記シートが車両前向きから横向きに回動する機能と横向きから前向きに回動する機能を備える回転フレームには、その一側外側面と対応する内部に昇降機構部へのハーネスガイド配策のためにハーネスガイドを格納する横長箱形空間が構成されてなることを特徴とする、車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置としてもよいものである。
【0009】
前記回転フレームの横長箱形格納空間には、前記ハーネスガイドの基端部を取付ける取付け台板部が前記横長箱形格納空間の前端部上面に配備され、前記ハーネスガイドの一側内方側外面に対応してガイドするガイド面を有する区画ガイド板が配備されてなることを特徴とする、車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置としてもよいものである。
【0010】
前記回転フレームの横長箱形格納空間には、前記ハーネスガイドの基端部が先端部を回転フレームの後部方向に向けて前記取付け台板部に固着され、該ハーネスガイドが後部方向に収容された後、下回りに湾曲・反転されて前方に引き戻され、その先端部が昇降機構部であるシートスライドガイドに軸支される一側のロアアームのロアアームブラケット又はアッパーアームのアッパーアームブラケットもしくはシートスライドガイドの一側に取付けられたシートスライドガイドブラケットに取付けられて、ハーネスガイドの全体が縦向きU字形に架設され、ロアアームブラケット又はアッパーアームブラケットもしくはシートスライドガイドブラケットの前進移動と後進移動によりハーネスガイドの繰出移動と格納移動を行えることを特徴とする、車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置としてもよいものである。
【発明の効果】
【0011】
昇降機構部のハーネスガイド配策において、ハーネスガイド22が左側アッパーアーム10a1又は右側アッパーアーム10a2および左側ロアアーム10b1又は右側ロアアーム10b2を回り込む必要がないため、配策作業時間を短縮することができ、コストの低減に寄与するものである。
【0012】
ハーネスガイド22が短くなり、分岐も少なくなるため、製作時間が短縮され、コストの低減に寄与するものである。
【0013】
ハーネスガイド22は、先端部22bがシートフレーム18の繰り出し方向の車外方向とは反対方向の後方に向けて基端部22aが取付け台板部24aに取付けられるから、一度、後方にループが形成された後、前方に反転・湾曲するため前後を長く、上下を短い横長箱形格納空間23に収容され、ハーネスガイド22に掛る重力作用が縦回りに構成されてスムーズな車外繰出しと車内格納が行なえる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の昇降機構部のハーネス配策装置の実施例を配備した車両用シートリフトの後方からの斜視図である。
【
図2】車両用シートリフトの回転フレームにおいて、実線で示す各部と、破線で示す、本発明の昇降機構部のハーネス配策装置の実施例のハーネスガイドの背面側上方からの斜視図である。
【
図3】前記車両用シートリフトの回転フレームに配備される四辺形リンクにおいて、実線と破線で示す各部と、本発明の昇降機構部のハーネス配策装置の実施例のハーネスガイドの背面側上方からの斜視図である。
【
図4】本発明の昇降機構部のハーネス配策装置の実施例のハーネスガイドの基端部を回転フレームに取付ける区画ガイド板単体の斜視図である。
【
図5】本発明の昇降機構部のハーネス配策装置の実施例のハーネスガイドの先端部を取付けるロアアームブラケットを備えるロアアーム単体の斜視図である。
【
図6】本発明の昇降機構部のハーネス配策装置の実施例のハーネスガイドの先端部を取付けるアッパーアームブラケットを備える左側アッパ―アーム単体の側面図である。
【
図7】ハーネスガイドの先端部を区画ガイド板の取付け台板部に結束バンドによる取付け構造を示す一部断面平面図である。
【
図9】ハーネスガイドの先端部を四辺形リンクのロアアームの先端部に配備したロアアームブラケットに結束バンドにより取付ける構造の実施例を示す部分断面平面図である。
【
図11】ハーネスガイドの先端部を結束バンドによりシートスライドガイドブラケットの先端部に取付ける構造の実施例を示す部分断面平面図である。
【
図12】ハーネスガイドの基端部を区画ガイド板の取付け台板部、ハーネスガイドの先端部を取付けるロアアームブラケットおよびシートスライドガイドブラケットにネジにより取付ける構造の実施例を示す一部断面平面図である。
【
図14】本発明の昇降機構部のハーネス配策装置の実施例を配備した車両用シートリフトにおいて、回転フレームと四辺形リンクとシートフレームとにおけるスライド機構と、回転フレームと四辺形リンクとにおけるハーネスガイドの配備状態を、四辺形リンクのシートスライドガイドを横断する切断面から見た正面説明断面図である。
【
図15】本発明の昇降機構部のハーネス配策装置の実施例を配備した車両用シートリフトにおいて、回転フレームと四辺形リンクにおけるスライド機構と、回転フレームと四辺形リンクにおけるハーネスガイドの配備状態を、四辺形リンクのアームスライドガイドを横断する切断面を正面から見た説明横断面図である。
【
図16】ハーネスガイドの基端部を回転フレームに取付けた区画ガイド板に支持し、ハーネスガイドの先端部を四辺形リンクのロアアームの前端部に配備したロアアームブラケットに支持した実施例において、四辺形リンクの回転フレームに格納した状態を示す要部概略側面図である。
【
図17】同じく、
図16の実施例において、四辺形リンクの車外中間繰出し状態を示す要部概略側面図である。
【
図18】同じく、
図16の実施例において、四辺形リンクの車外最大繰出し状態を示す要部概略側面図である。
【
図19】ハーネスガイドの基端部を回転フレームに取付けた区画ガイド板に支持し、ハーネスガイドの先端部をシートスライドガイドブラケットの先端部に取付け、該シートスライドガイドブラケットの基端部を四辺形リンクのシートスライドガイドに支持した実施例において、四辺形リンクの格納状態を示す要部概略側面図である。
【
図20】同じく、
図19の実施例において、四辺形リンクの車外最大繰出し状態を示す要部概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態の車両用シートリフトは、シートが車両前向きから横向きに回動する機能と、横向きから前向きに回動する機能を備え、加えて車両外側へ延出する機能と車両内側へ縮小復帰する機能とを備え、前記シートが車両外側へ延出した状態において昇降する機能を備え、前記昇降する機構として四辺形リンクを採用する。
【0016】
前記シートが車両前向きから横向きに回動する機能と横向きから前向きに回動する機能を奏する回転フレームには、その回転フレームの一側外側面と対応する内部に昇降機構部へのハーネス配策のためハーネスガイドを格納する横長箱形空間が構成され、該横長箱形格納空間の一側内側面には区画ガイド板が配備され、ハーネスガイドの基端部が、区画ガイド板の先端取付け台板部に固着され、ハーネスガイドの先端部を回転フレームの後部方向に向けハーネスガイドが回転フレーム後部方向に向けて収容された後、下回りに湾曲・反転されて先端部が前方に引き戻され、その先端部が昇降機構部である四辺形リンクの一側のロアアームのロアアームブラケット又はアッパーアームのアッパーアームブラケットもしくはシートスライドガイドに取付けられたシートスライドガイドブラケットに取付けられて、ハーネスガイドの全体が縦向きU字形に架設され、ロアアームブラケット又はシートスライドガイドに取付けられたシートスライドガイドブラケットの前進移動と後進移動によりハーネスガイドの繰出移動と格納移動を行えることを特徴とする、車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置にある。
【実施例0017】
以下、本発明の車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置について、実施例を示す図面の
図1以下の各図により詳細に説明する。
【0018】
図面の説明において、車両において、前部とは、車両の通常の進行方向である前方の端部をいい、後部とは、前方の反対方向の端部をいう。車両の左右とは、車両の前部から後方を見たとき、右手側を右側、左手側を左側と言うものとする。
【0019】
本発明の実施例の
図1に示すように車両用シートリフトにおける昇降機構部のハーネス配策装置1において、車両用シートリフト2は、車室フロア3に配備したベースフレーム4に設置される。
【0020】
ベースフレーム4は、車室フロア3に取付け固定された下部ベースフレーム4aと、その上面に前後にスライド可能にかつ任意位置で停止が可能に設けられる上部ベースフレーム4bにより設けられる。
【0021】
前記上部ベースフレーム4bに垂直に配備した枢軸線5により回転フレーム6が枢支され、その回転フレーム6にシートフレーム18を昇降する昇降機構部である四辺形リンク8が支架され、四辺形リンク8に支架されるシートフレーム18を、回転フレーム6の回転により、前方向きと、左側又は右側の横向きに回転と、車両内外にスライドと、四辺形リンク8による昇降が可能に配備される。
【0022】
前記回転フレーム6には、その前端部6aと後端部6bとに、前後に直線を維持し互いに左右が等間隔の外向きコ字形の下側左移動路7a1と下側右移動路7a2が、差し渡される。
【0023】
前記下側左移動路7a1と下側右移動路7a2にスライド自在に支架される昇降機構部としての四辺形リンク8は、シートスライドガイド9aを前部に配し、後部にアームスライドガイド9bを配し、その間の左右側面部に左側アッパ―アーム10a1と左側ロアアーム10b1および右側アッパ―アーム10a2と右側ロアアーム10b2からなる一対のリンク機構が軸支される。
【0024】
前記四辺形リンク8の前部のシートスライドガイド9aの左側前部軸支板9a1の下部内面に左側前部下ローラ11a1が突設され、前記後部のアームスライドガイド9bの左側後部軸支板9b1の下部内面に前後に離隔して左側後部下前ローラ12a1と右側後部下前ローラ12a2が夫々突設される。
【0025】
前記四辺形リンク8の前部のシートスライドガイド9aの右側前部軸支板9a2の下部内面に右側前部下ローラ11a2が突設され、前記後部のアームスライドガイド9bの右側後部軸支板9b2の下部内面に前後に離隔して右側後部下前ローラ12a2と右側後部下後ローラ12b2が夫々突設される。
【0026】
前記四辺形リンク8の前部のシートスライドガイド9aの左側前部軸支板9a1の左側前部下ローラ11a1と、前記後部のアームスライドガイド9bの左側後部軸支板9b1の前後に離隔する左側後部下前ローラ12a1と左側後部下後ローラ12b1が、前記下側左移動路7a1に夫々嵌挿される。
【0027】
前記四辺形リンク8の前部のシートスライドガイド9aの右側前部軸支板9a2の右側前部下ローラ11a2と、前記後部のアームスライドガイド9bの右側後部軸支板9b2の前後に離隔する右側後部下前ローラ12a2と右側後部下後ローラ12b2が、前記下側右移動路7a2に夫々嵌挿される。
【0028】
前記四辺形リンク8の後部のアームスライドガイド9bにおいて、螺合部13が回転フレーム6の下側左移動路7a1と下側右移動路7a2の中間位置に支架され、該螺合部13は、これに対応して回転フレーム6の前端部6aと後端部6bとに差し渡されて配備される進退機構(ネジ軸)14に螺合連係して、前記四辺形リンク8は、回転フレーム6に対して前後に移動可能に配備される。
【0029】
前記四辺形リンク8の前部のシートスライドガイド9aの左側前部軸支板9a1の上部内面に前後に離隔して突設される左側前部上側前ローラ15a1と左側前部上側後ローラ15b1と、前記四辺形リンク8の後部のアームスライドガイド9bの左側後部軸支板9b1の前端寄り上部内面に突設される左側後部上側ローラ16a1が夫々嵌挿する上側左移動路17a1と、前記四辺形リンク8の前部のシートスライドガイド9aの右側前部軸支板9a2の上部内面に前後に離隔して突設される右側前部上側前ローラ15a2と右側前部上側後ローラ15b2と前記四辺形リンク8の後部のアームスライドガイド9bの右側後部軸支板9b2の前端寄り上部の内面に突設される右側後部上側ローラ16a2が夫々嵌挿する上側右移動路17a2とが、
図1に示すように、シートフレーム18の前端部18aと後端部18bに差し渡されて夫々配備される。
【0030】
前記シートフレーム18には、前端部18aと後端部18bに、前記上側左移動路17a1と上側右移動路17a2の中間位置に、被動機構(ラック杆)19が差し渡され、該被動機構(ラック杆)19には、前記四辺形リンク8の前部のシートスライドガイド9aに搭載される駆動機構20に連係して、前記シートフレーム18が前後に移動可能に配備される。
【0031】
前記回転フレーム6において、その前端部6aの下部の左側内縁寄りに左側支承輪21aが、右側内縁寄りに右側支承輪21bが夫々配備され、該左側支承輪21aと右側支承輪21bに重力作用で降下する前記四辺形リンク8の左側アッパーアーム10a1の前端部10a11と後端部10a12の間の下縁部10a13と右側アッパ―アーム10a2の前端部10a21と後端部10a22の間の下縁部10a23が夫々支承されて四辺形リンク8のスライドによりシートスライドガイド9aの昇降機構部として昇降する。
【0032】
前記回転フレーム6には、前記四辺形リンク8のシートスライドガイド9aの昇降機構部に電力および信号を伝導する給電ケーブル22dを収容保護するハーネスガイド22が格納される横長箱形格納空間23が、回転フレーム6の一側外側面6c寄り内部に構成される。
【0033】
前記ハーネスガイド22の基端部22aを取付ける取付け台板部24aが前記横長箱形格納空間23の先端部上面23aに対応して設けられ、この取付け台板部24aに続く前記横長箱形格納空間23の一側の内側面部23bに対応してハーネスガイド22の一側内方側外面22cに対向してガイドするガイド面板部24bに形成される共に下縁に取付け孔24dを有する取付け座24cを備えて取付け区画ガイド板24が回転フレーム6に配備される。
【0034】
前記ハーネスガイド22の基端部22aが前記取付け台板部24aに、その先端部22bが回転フレーム6の後部方向に向けた状態で固着され、該ハーネスガイド22は先端部22bを後部方向に向けて横長箱形格納空間23に収容された後、途中から下回りに湾曲・反転されて前方に戻され、その先端部22bが昇降機構部であるシートスライドガイド9aの一側に軸支される左側ロアアーム10b1の前端部10b11に基端部27aを溶着されたロアアームブラケット27に取付けられる。
【0035】
よって、ハーネスガイド22は、回転フレーム6の横長箱形格納空間23に全体が縦向きU字形に架設され、前記の前進移動により車外延出降下移動と、後進移動により車内復帰上昇格納移動を行えるようにしたものである。
【0036】
図6に示すように、アッパーアームブラケット35の実施例がハーネスガイド22の先端部22bを取り付ける先端部35bと、左側アッパーアーム10a1の前端部10a11に取り付ける基端部35aを備えている。
【0037】
図7および
図8に示すように、回転フレーム6に配備した取付け区画ガイド板24の取付け台板部24aに、前後に離隔すると共に、左右に離隔する一対の前側取付け孔25aおよび後側取付け孔25bが開孔され、前記ハーネスガイド22の基端部22aの一齣の左右に結束バンド26が前後に夫々環状に挿通して一体に結束固着される。
【0038】
図9および
図10に示すように、ロアアームブラケット27の先端部27bに、前後に離隔すると共に、左右に離隔する一対の前側取付け孔28aおよび後側取付け孔28bが開孔され、前記ハーネスガイド22の先端部22bの一齣の左右に結束バンド29を夫々環状に挿通して一体に結束固着される。
【0039】
図11に示すように、シートスライドガイド9aに基端部30aが一体に取付けられるスライドガイドブラケット30の先端部30bに前後に離隔し、かつ左右に離隔して開孔される一対の前側取付け孔31aおよび後側取付け孔31bと、前記ハーネスガイド22の先端部22bの一齣の左右に結束バンド32を夫々環状に挿通し一体に結束固着される。
【0040】
図12および
図13に示すように、前記ハーネスガイド22の先端部22bを取付ける前記ロアアームブラケット27の先端部27bには、夫々前後に離隔する一対の前側取付けネジ孔33aと後側取付けネジ孔33bが左右に離隔して開孔され、前記ハーネスガイド22の先端部22bの一齣の前後・左右にネジ34を夫々螺合締着して取り付部を一体に結合してもよいものである。前記ハーネスガイド22の基端部22aを取り付ける取付け区画ガイド板24の取付け台板部24aに、また、前記ハーネスガイド22の先端部22bを取付ける前記スライドガイドブラケット30の先端部30bに、前記ロアアームブラケット27の先端部27bと同様の夫々前後に離隔する一対の前側取付けネジ孔と後側取付けネジ孔を左右に離隔して開孔し、前記ハーネスガイド22の先端部22bの一齣の前後・左右にネジを夫々螺合締着しもよいものである。
【0041】
図1~
図3および
図14~
図15に示すように、本発明の昇降機構部のハーネスガイド配策装置1の実施例を配備した車両用シートリフト2において、回転フレーム6と四辺形リンク8におけるシートフレーム18とのスライド機構と、回転フレーム6と四辺形リンク8におけるハーネスガイド22の配備状態と作動状況を説明する。
【0042】
図1~
図4および
図14~
図18に示すように、本発明の昇降機構部のハーネス配策装置1の実施例を配備した車両用シートリフトにおいて、回転フレーム6に対する四辺形リンク8とシートフレーム18のスライド機構と、回転フレーム6に対する四辺形リンク8のスライド位置により左側アッパーアーム10a1の前端部10a11と後端部10a12の間の下縁部10a13と、右側アッパ―アーム10a2の前端部10a21と後端部10a22の間の下縁部10a23と回転フレーム6の前端部6aの左側支承輪21aと右側支承輪21bとの接輪によりシートスライドガイド9aを昇降させる。
【0043】
ハーネスガイド22の基端部22aを取付け区画ガイド板24により回転フレーム6に支持し、ハーネスガイド22の先端部22bを四辺形リンク8の左側ロアアーム10b1の前端部10b11に配備したロアアームブラケット27に支持した実施例において、
図16は、四辺形リンク8の格納状態を示し、ハーネスガイド22は、横長箱形格納空間23に収容されるものである。
【0044】
図17に示すように、ハーネスガイド22の基端部22aを取付け区画ガイド板24により回転フレーム6に支持し、ハーネスガイド22の先端部22bを四辺形リンク8の左側ロアアーム10b1の前端部10b11に配備したロアアームブラケット27に支持した実施例において、四辺形リンク8の繰り出しと共にハーネスガイド22が先端部22bからスムーズに繰出す車外中間繰出状態を説明する。
【0045】
図18に示すように、ハーネスガイド22の基端部22aを取付け区画ガイド板24により回転フレーム6に支持し、ハーネスガイド22の先端部22bを四辺形リンク8のロアアーム10b1の前端部10b11に配備したロアアームブラケット27に支持した実施例において、四辺形リンク8のシートスライドガイド9aがハーネスガイド22を車外最大限に繰出した状態を説明する。
【0046】
図19に示すように、ハーネスガイド22の基端部22aを回転フレーム6に取付けた取付け区画ガイド板24の取付け台板部24aにハーネスガイド22の基端部22aを取付け、四辺形リンク8のシートスライドガイド9aに基端部30aを取付けたシートスライドガイドブラケット30の先端部30bにハーネスガイド22の先端部22bを取付けた実施例において、ハーネスガイド22とその先端部22bを四辺形リンク8とともに回転フレーム6から繰り出し易く、格納し易い状態を説明する。
【0047】
図20は、
図19に示すシートスライドガイドブラケット30の先端部30bにハーネスガイド22の先端部22bを取付けた実施例において、シートスライドガイドブラケット30の先端部30aとハーネスガイド22の先端部22bを車外最大繰出し状態を説明するものである。