(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147946
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】製造プロセスデータ処理装置、製造プロセスデータ処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B29B 7/28 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
B29B7/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060711
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 辰憲
(72)【発明者】
【氏名】高橋 太郎
【テーマコード(参考)】
4F201
【Fターム(参考)】
4F201AM23
4F201BA01
4F201BC02
4F201BD05
4F201BK01
4F201BK16
4F201BK56
4F201BK73
4F201BK74
4F201BK75
(57)【要約】
【課題】ゴム材料の混練についてロット単位のデータ解析を行うことを容易にする。
【課題手段】製造プロセスデータ処理装置1は、製造プロセスデータに基づき、各混練機における複数のバッチ単位プロセスデータを取得する第1バッチ単位プロセスデータ取得部311~第4プロセスデータ取得部341、複数のバッチ単位プロセスデータに基づいて、各混練機における各ロットの混練期間を特定する第1ロット混練期間特定部312~第4ロット混練期間特定部342、各混練機における各ロットの混練期間に基づいてロット単位のプロセスデータを生成するロット単位プロセスデータ生成部300と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロットのゴム材料が、それぞれ複数のバッチに分けて順に投入されて、該各バッチの前記ゴム材料を順に混練する第1混練機と、
前記第1混練機による混練後、前記各ロットの前記ゴム材料が、それぞれ複数のバッチに分けて投入されて、該各バッチの前記ゴム材料を順に混練する第2混練機と、
のそれぞれから取得する製造プロセスデータを処理する製造プロセスデータ処理装置であって、
前記製造プロセスデータに基づき、前記第1混練機における前記各バッチの混練開始時刻及び混練終了時刻、並びに混練中の該第1混練機の動作状態をそれぞれ示す、複数の第1バッチ単位プロセスデータを取得する第1バッチ単位プロセスデータ取得手段と、
前記製造プロセスデータに基づき、前記第2混練機における前記各バッチの混練開始時刻及び混練終了時刻、並びに混練中の該第2混練機の動作状態をそれぞれ示す、複数の第2バッチ単位プロセスデータを取得する第2バッチ単位プロセスデータ取得手段と、
前記複数の第1バッチ単位プロセスデータに基づいて、前記第1混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻及び最後の前記バッチの混練終了時刻を含む、前記第1混練機における前記各ロットの混練期間を特定する第1ロット混練期間特定手段と、
前記複数の第2バッチ単位プロセスデータに基づいて、前記第2混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻及び最後の前記バッチの混練終了時刻を含む、前記第2混練機における前記各ロットの混練期間を特定する第2ロット混練期間特定手段と、
前記第1混練機における前記各ロットの混練期間と前記第2混練機における前記各ロットの混練期間に基づいて、前記各ロットに対応する前記複数の第1バッチ単位プロセスデータの一部と前記複数の第2バッチ単位プロセスデータの一部を選択して、前記各ロットの前記ゴム材料を混練する間における、前記第1混練機及び前記第2混練機の両方の動作状態をそれぞれ示す、複数のロット単位プロセスデータを生成するロット単位プロセスデータ生成手段と、
を含む製造プロセスデータ処理装置。
【請求項2】
前記ロット単位プロセスデータ生成手段は、前記第1混練機における前記各ロットの最後の前記バッチの混練終了時刻と、前記第2混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻と、に基づいて前記複数のロット単位プロセスデータを生成する、
請求項1に記載の製造プロセスデータ処理装置。
【請求項3】
前記ロット単位プロセスデータ生成手段は、前記第1混練機における前記各ロットの最後の前記バッチの混練終了時刻と、前記第2混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻と、が最短となる前記ロットを組み合わせて、前記複数のロット単位プロセスデータを生成する、
請求項2に記載の製造プロセスデータ処理装置。
【請求項4】
前記第1ロット混練期間特定手段は、前記第1混練機に投入される一の前記各バッチである先行バッチと後続する一の前記バッチである後続バッチの複数のペアについて、前記先行バッチの混練終了時刻と前記後続バッチの混練開始時刻と、の差であるリードタイムを算出し、複数の該リードタイムに基づいて、前記第1混練機における前記各ロットの混練期間を特定し、
前記第2ロット混練期間特定手段は、前記第2混練機に投入される一の前記各バッチである先行バッチと後続する一の前記バッチである後続バッチの複数のペアについて、前記先行バッチの混練終了時刻と前記後続バッチの混練開始時刻と、の差であるリードタイムを算出し、複数の該リードタイムに基づいて、前記第2混練機における前記各ロットの混練期間を特定する、
請求項1~3の何れかに記載の製造プロセスデータ処理装置。
【請求項5】
前記第1ロット混練期間特定手段は、前記第1混練機における前記各リードタイムに基づいて、前記第1混練機における前記各ロットの最後の前記バッチを特定し、
前記第2ロット混練期間特定手段は、前記第2混練機における前記各リードタイムに基づいて、前記第2混練機における前記各ロットの最後の前記バッチを特定する、
請求項4に記載の製造プロセスデータ処理装置。
【請求項6】
前記第1ロット混練期間特定手段は、前記第1混練機における前記各ロットに含まれる前記バッチの総数に更に基づいて、前記第1混練機における前記各ロットの最後の前記バッチを特定し、
前記第2ロット混練期間特定手段は、前記第1混練機における前記各ロットに含まれる前記バッチの総数に更に基づいて、前記第1混練機における前記各ロットの最後の前記バッチを特定する、
請求項5に記載の製造プロセスデータ処理装置。
【請求項7】
複数のロットのゴム材料が、それぞれ複数のバッチに分けて順に投入されて、該各バッチの前記ゴム材料を順に混練する第1混練機と、
前記第1混練機による混練後、前記各ロットの前記ゴム材料が、それぞれ複数のバッチに分けて投入されて、該各バッチの前記ゴム材料を順に混練する第2混練機と、
のそれぞれから取得する製造プロセスデータを処理する製造プロセスデータ処理方法であって、
前記製造プロセスデータに基づき、前記第1混練機における前記各バッチの混練開始時刻及び混練終了時刻、並びに混練中の該第1混練機の動作状態をそれぞれ示す、複数の第1バッチ単位プロセスデータを取得する第1バッチ単位プロセスデータ取得ステップと、
前記製造プロセスデータに基づき、前記第2混練機における前記各バッチの混練開始時刻及び混練終了時刻、並びに混練中の該第2混練機の動作状態をそれぞれ示す、複数の第2バッチ単位プロセスデータを取得する第2バッチ単位プロセスデータ取得ステップと、
前記複数の第1バッチ単位プロセスデータに基づいて、前記第1混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻及び最後の前記バッチの混練終了時刻を含む、前記第1混練機における前記各ロットの混練期間を特定する第1ロット混練期間特定ステップと、
前記複数の第2バッチ単位プロセスデータに基づいて、前記第2混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻及び最後の前記バッチの混練終了時刻を含む、前記第2混練機における前記各ロットの混練期間を特定する第2ロット混練期間特定ステップと、
前記第1混練機における前記各ロットの混練期間と前記第2混練機における前記各ロットの混練期間に基づいて、前記各ロットに対応する前記複数の第1バッチ単位プロセスデータの一部と前記複数の第2バッチ単位プロセスデータの一部を選択して、前記各ロットの前記ゴム材料を混練する間における、前記第1混練機及び前記第2混練機の両方の動作状態をそれぞれ示す、複数のロット単位プロセスデータを生成するロット単位プロセスデータ生成ステップと、
を含む製造プロセスデータ処理方法。
【請求項8】
複数のロットのゴム材料が、それぞれ複数のバッチに分けて順に投入されて、該各バッチの前記ゴム材料を順に混練する第1混練機と、
前記第1混練機による混練後、前記各ロットの前記ゴム材料が、それぞれ複数のバッチに分けて投入されて、該各バッチの前記ゴム材料を順に混練する第2混練機と、
のそれぞれから取得する製造プロセスデータを処理するためのプログラムであって、
前記製造プロセスデータに基づき、前記第1混練機における前記各バッチの混練開始時刻及び混練終了時刻、並びに混練中の該第1混練機の動作状態をそれぞれ示す、複数の第1バッチ単位プロセスデータを取得する第1バッチ単位プロセスデータ取得手段、
前記製造プロセスデータに基づき、前記第2混練機における前記各バッチの混練開始時刻及び混練終了時刻、並びに混練中の該第2混練機の動作状態をそれぞれ示す、複数の第2バッチ単位プロセスデータを取得する第2バッチ単位プロセスデータ取得手段、
前記複数の第1バッチ単位プロセスデータに基づいて、前記第1混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻及び最後の前記バッチの混練終了時刻を含む、前記第1混練機における前記各ロットの混練期間を特定する第1ロット混練期間特定手段、
前記複数の第2バッチ単位プロセスデータに基づいて、前記第2混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻及び最後の前記バッチの混練終了時刻を含む、前記第2混練機における前記各ロットの混練期間を特定する第2ロット混練期間特定手段、
前記第1混練機における前記各ロットの混練期間と前記第2混練機における前記各ロットの混練期間に基づいて、前記各ロットに対応する前記複数の第1バッチ単位プロセスデータの一部と前記複数の第2バッチ単位プロセスデータの一部を選択して、前記各ロットの前記ゴム材料を混練する間における、前記第1混練機及び前記第2混練機の両方の動作状態をそれぞれ示す、複数のロット単位プロセスデータを生成するロット単位プロセスデータ生成手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造プロセスデータ処理装置、製造プロセスデータ処理方法及びプログラムに関し、特にゴム材料の混練プロセス中に生成されるデータを処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム材料の混練プロセスで得られる混練物の品質を向上させるため、混練中の混練機の動作状態を示すプロセスデータと、混練物の品質に関するデータと、を用いたデータ解析を行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、混練中の混練機の状態を示す測定データと、混練バッチの混練の異常度と、を機械学習により解析する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゴム材料の混練はロットごとに行われているが、混練機では当該ロットを複数に分割してなるバッチごとにゴム材料の混練を行っており、混練機から出力される製造プロセスデータはバッチ単位でしか利用できなかった。このため、ゴム材料の混練プロセスを事後にロット単位で解析することが容易ではなかった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ゴム材料の混練プロセスについてロット単位のデータ解析を行うことが容易化できる製造プロセスデータ処理装置、製造プロセスデータ処理方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る製造プロセスデータ処理装置は、複数のロットのゴム材料が、それぞれ複数のバッチに分けて順に投入されて、前記各バッチの前記ゴム材料を順に混練する第1混練機と、前記第1混練機による混練後、前記各ロットの前記ゴム材料が、それぞれ複数のバッチに分けて投入されて、前記各バッチの前記ゴム材料を順に混練する第2混練機と、のそれぞれから取得する製造プロセスデータを処理する製造プロセスデータ処理装置であって、前記製造プロセスデータに基づき、前記第1混練機における前記各バッチの混練開始時刻及び混練終了時刻、並びに混練中の該第1混練機の動作状態をそれぞれ示す、複数の第1バッチ単位プロセスデータを取得する第1バッチ単位プロセスデータ取得手段と、前記製造プロセスデータに基づき、前記第2混練機における前記各バッチの混練開始時刻及び混練終了時刻、並びに混練中の該第2混練機の動作状態をそれぞれ示す、複数の第2バッチ単位プロセスデータを取得する第2バッチ単位プロセスデータ取得手段と、前記複数の第1バッチ単位プロセスデータに基づいて、前記第1混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻及び最後の前記バッチの混練終了時刻を含む、前記第1混練機における前記各ロットの混練期間を特定する第1ロット混練期間特定手段と、前記複数の第2バッチ単位プロセスデータに基づいて、前記第2混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻及び最後の前記バッチの混練終了時刻を含む、前記第2混練機における前記各ロットの混練期間を特定する第2ロット混練期間特定手段と、前記第1混練機における前記各ロットの混練期間と前記第2混練機における前記各ロットの混練期間に基づいて、前記各ロットに対応する前記複数の第1バッチ単位プロセスデータの一部と前記複数の第2バッチ単位プロセスデータの一部を選択して、前記各ロットの前記ゴム材料を混練する間における、前記第1混練機及び前記第2混練機の両方の動作状態をそれぞれ示す、複数のロット単位プロセスデータを生成するロット単位プロセスデータ生成手段と、を含む。
【0007】
(2)(1)の製造プロセスデータ処理装置において、前記ロット単位プロセスデータ生成手段は、前記第1混練機における前記各ロットの最後の前記バッチの混練終了時刻と、前記第2混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻と、に基づいて前記複数のロット単位プロセスデータを生成してよい。
【0008】
(3)(2)の製造プロセスデータ処理装置において、前記ロット単位プロセスデータ生成手段は、前記第1混練機における前記各ロットの最後の前記バッチの混練終了時刻と、前記第2混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻と、が最短となる前記ロットを組み合わせて、前記複数のロット単位プロセスデータを生成してよい。
【0009】
(4)(1)~(3)の製造プロセスデータ処理装置において、前記第1ロット混練期間特定手段は、前記第1混練機に投入される一の前記各バッチである先行バッチと後続する一の前記バッチである後続バッチの複数のペアについて、前記先行バッチの混練終了時刻と前記後続バッチの混練開始時刻と、の差であるリードタイムを算出し、複数の該リードタイムに基づいて、前記第1混練機における前記各ロットの混練期間を特定し、前記第2ロット混練期間特定手段は、前記第2混練機に投入される一の前記各バッチである先行バッチと後続する一の前記バッチである後続バッチの複数のペアについて、前記先行バッチの混練終了時刻と前記後続バッチの混練開始時刻と、の差であるリードタイムを算出し、複数の該リードタイムに基づいて、前記第2混練機における前記各ロットの混練期間を特定してよい。
【0010】
(5)(4)の製造プロセスデータ処理装置において、前記第1ロット混練期間特定手段は、前記第1混練機における前記各リードタイムに基づいて、前記第1混練機における前記各ロットの最後の前記バッチを特定し、前記第2ロット混練期間特定手段は、前記第2混練機における前記各リードタイムに基づいて、前記第2混練機における前記各ロットの最後の前記バッチを特定してよい。
【0011】
(6)(5)の製造プロセスデータ処理装置において、前記第1ロット混練期間特定手段は、前記第1混練機における前記各ロットに含まれる前記バッチの総数に更に基づいて、前記第1混練機における前記各ロットの最後の前記バッチを特定し、前記第2ロット混練期間特定手段は、前記第1混練機における前記各ロットに含まれる前記バッチの総数に更に基づいて、前記第1混練機における前記各ロットの最後の前記バッチを特定してよい。
【0012】
(7)本発明に係る製造プロセスデータ処理方法は、複数のロットのゴム材料が、それぞれ複数のバッチに分けて順に投入されて、前記各バッチの前記ゴム材料を順に混練する第1混練機と、前記第1混練機による混練後、前記各ロットの前記ゴム材料が、それぞれ複数のバッチに分けて投入されて、前記各バッチの前記ゴム材料を順に混練する第2混練機と、のそれぞれから取得する製造プロセスデータを処理する製造プロセスデータ処理方法であって、前記製造プロセスデータに基づき、前記第1混練機における前記各バッチの混練開始時刻及び混練終了時刻、並びに混練中の該第1混練機の動作状態をそれぞれ示す、複数の第1バッチ単位プロセスデータを取得する第1バッチ単位プロセスデータ取得ステップと、前記製造プロセスデータに基づき、前記第2混練機における前記各バッチの混練開始時刻及び混練終了時刻、並びに混練中の該第2混練機の動作状態をそれぞれ示す、複数の第2バッチ単位プロセスデータを取得する第2バッチ単位プロセスデータ取得ステップと、前記複数の第1バッチ単位プロセスデータに基づいて、前記第1混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻及び最後の前記バッチの混練終了時刻を含む、前記第1混練機における前記各ロットの混練期間を特定する第1ロット混練期間特定ステップと、前記複数の第2バッチ単位プロセスデータに基づいて、前記第2混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻及び最後の前記バッチの混練終了時刻を含む、前記第2混練機における前記各ロットの混練期間を特定する第2ロット混練期間特定ステップと、前記第1混練機における前記各ロットの混練期間と前記第2混練機における前記各ロットの混練期間に基づいて、前記各ロットに対応する前記複数の第1バッチ単位プロセスデータの一部と前記複数の第2バッチ単位プロセスデータの一部を選択して、前記各ロットの前記ゴム材料を混練する間における、前記第1混練機及び前記第2混練機の両方の動作状態をそれぞれ示す、複数のロット単位プロセスデータを生成するロット単位プロセスデータ生成ステップと、を含む。
【0013】
(8)本発明に係るプログラムは、複数のロットのゴム材料が、それぞれ複数のバッチに分けて順に投入されて、前記各バッチの前記ゴム材料を順に混練する第1混練機と、前記第1混練機による混練後、前記各ロットの前記ゴム材料が、それぞれ複数のバッチに分けて投入されて、前記各バッチの前記ゴム材料を順に混練する第2混練機と、のそれぞれから取得する製造プロセスデータを処理するためのプログラムであって、前記製造プロセスデータに基づき、前記第1混練機における前記各バッチの混練開始時刻及び混練終了時刻、並びに混練中の該第1混練機の動作状態をそれぞれ示す、複数の第1バッチ単位プロセスデータを取得する第1バッチ単位プロセスデータ取得手段、前記製造プロセスデータに基づき、前記第2混練機における前記各バッチの混練開始時刻及び混練終了時刻、並びに混練中の該第2混練機の動作状態をそれぞれ示す、複数の第2バッチ単位プロセスデータを取得する第2バッチ単位プロセスデータ取得手段、前記複数の第1バッチ単位プロセスデータに基づいて、前記第1混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻及び最後の前記バッチの混練終了時刻を含む、前記第1混練機における前記各ロットの混練期間を特定する第1ロット混練期間特定手段、前記複数の第2バッチ単位プロセスデータに基づいて、前記第2混練機における前記各ロットの最初の前記バッチの混練開始時刻及び最後の前記バッチの混練終了時刻を含む、前記第2混練機における前記各ロットの混練期間を特定する第2ロット混練期間特定手段、前記第1混練機における前記各ロットの混練期間と前記第2混練機における前記各ロットの混練期間に基づいて、前記各ロットに対応する前記複数の第1バッチ単位プロセスデータの一部と前記複数の第2バッチ単位プロセスデータの一部を選択して、前記各ロットの前記ゴム材料を混練する間における、前記第1混練機及び前記第2混練機の両方の動作状態をそれぞれ示す、複数のロット単位プロセスデータを生成するロット単位プロセスデータ生成手段、としてコンピュータを機能させる。このプログラムは、光磁気ディスクや半導体メモリなどのコンピュータ可読情報記憶媒体に格納されてよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ゴム材料の混練についてロット単位のデータ解析を行うことが容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る製造プロセスデータ処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】ゴム材料の混練プロセスの一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る製造プロセスデータ処理装置で実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】複数のバッチ単位プロセスデータを含む、製造プロセスデータの一例を示す図である。
【
図5A】各ロットの混練期間の特定する処理を説明する図である。
【
図5B】各ロットの混練期間の特定する処理を説明する図である。
【
図5C】各ロットの混練期間の特定する処理を説明する図である。
【
図5D】各ロットの混練期間の特定する処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る製造プロセスデータ処理装置、製造プロセスデータ処理方法、及びプログラムについて、図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る製造プロセスデータ処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図1に示すように、製造プロセスデータ処理装置1は、処理装置11、記憶装置12、表示装置13、及び入力装置14を有する。
【0018】
処理装置11は、例えばCPUやGPUなどを含み、記憶装置12に格納されているプログラムに従って動作する。処理装置11としては、FPGAが利用されてもよい。記憶装置12は、例えばROM、RAM、HDD、SSDなどであってもよく、処理装置11で実行されるプログラムや、情報処理対象となる各種データなどが格納されている。
【0019】
記憶装置12は、主記憶装置及び補助記憶装置を含む。例えば、主記憶装置はRAMなどの揮発性メモリであり、補助記憶装置は、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、又はハードディスクなどの不揮発性メモリである。
【0020】
表示装置13は、例えば液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイなどであり、記憶装置12に格納されているデータや、処理装置11の処理結果などを表示する。
【0021】
入力装置14は、例えばキーボードやマウスなどといったユーザインタフェースであって、作業者の操作入力を受け付けて、その内容を示す信号を処理装置11に入力する。
【0022】
上記構成を有する製造プロセスデータ処理装置1は、ゴム材料の混練プロセスの分析に用いられる。例えば、製造プロセスデータ処理装置1は、通信ネットワークを介して複数のゴム混練機と接続されてよく、通信ネットワーク経由でそれら混練機において生成される製造プロセスデータが提供される。製造プロセスデータ処理装置1では、それらプロセスデータからロット単位のデータを合成し、ロット単位でのゴム混練プロセスデータの解析を可能とする。なお、上述の処理装置11及び記憶装置12としては、一又は複数のパーソナルコンピュータやサーバコンピュータなどを利用できる。
【0023】
図2は、ゴム材料の混練プロセスの一例を示す図である。本実施形態では、ゴム材料の混練プロセスは複数の混練工程を含み、
図2に例示するように、第1混練工程21と、第2混練工程22と、第3混練工程23と、第4混練工程24と、の4つの混練工程を含む場合を説明する。
【0024】
各混練工程には、例えば一の混練機がそれぞれ割り当てられる。ここでは、第1混練工程21には第1混練機211、第2混練工程22には第2混練機221、第3混練工程23には第3混練機231、第4混練工程24には第4混練機241、がそれぞれ割り当てられている。
【0025】
第1混練機211には、複数のロットのゴム材料が、それぞれ複数のバッチに分けて順に投入されて、第1混練機211は、それらバッチのゴム材料を順に混練する。なお、ロットは、同一仕様のゴム材料の単位である。
【0026】
同図に示す例では、第1混練機211に、まずロットL1のゴム材料が、バッチ2101、バッチ2102、・・・、バッチ2108、の8バッチに分けて順に投入される。ロットL1のバッチのゴム材料が投入された後は、ロットL2以降のバッチ(バッチ2109、・・・)のゴム材料が順に投入される。各ロットのバッチ数は各ロットで同じであってもよいし、異なってもよい。
【0027】
第1混練機211は、ロットL1のバッチ2101、バッチ2102、・・・、バッチ2108、のゴム材料を順に混練する。第1混練機211は、ロットL1のすべてのバッチのゴム材料を混練した後、ロットL2以降のバッチ(バッチ2109、・・・)のゴム材料を順に混練する。
【0028】
第2混練機221には、第1混練機211による混練後、各ロットのゴム材料が、それぞれ複数のバッチに分けて投入され、第2混練機221は、それらバッチの前記ゴム材料を順に混練する。
【0029】
例えば、第2混練機221には、第1混練機211により混練されたロットL1のゴム材料が、バッチ2201、バッチ2202、バッチ2203、・・・、バッチ2210、の10バッチに分けて順に投入される。ロットL1のすべてのバッチのゴム材料が投入された後は、ロットL2以降のバッチ(バッチ2211、・・・)のゴム材料が順に投入される。第2混練機221に投入されるそれぞれのバッチは、第1混練機211により混練された複数のバッチのうち、一のバッチのみから作成されてもよい。あるいは、複数のバッチのゴム材料を組み合わせて作成されてもよい。例えば、バッチ2201のゴム材料はバッチ2101のゴム材料の一部である。また、例えば、バッチ2202のゴム材料はバッチ2101のゴム材料の一部とバッチ2102のゴム材料の一部の組み合わせである。なお、第2混練機221に投入されるゴム材料には、第1混練機211により混練されたゴム材料に、新たな原料が追加されてもよい。
【0030】
第2混練機221は、ロットL1のバッチ2201、バッチ2202、・・・、バッチ2110、のゴム材料を順に混練し、ロットL1のすべてのバッチのゴム材料を混練した後は、ロットL2以降のバッチ(バッチ2211、・・・)のゴム材料を順に混練する。
【0031】
第3混練機231及び第4混練機241についても、第1混練機211や第2混練機221と同様に使用され、動作する。例えば、第3混練機231には、第2混練機221により混練されたロットL1のゴム材料が、バッチ2301~バッチ2311、の11バッチに分けて順に投入される。ロットL1のすべてのバッチのゴム材料が投入された後は、ロットL2以降のバッチ(バッチ2312、・・・)のゴム材料が順に投入される。また、第4混練機241には、第3混練機231により混練されたロットL1のゴム材料が、バッチ2401~バッチ2416、の16バッチに分けて順に投入される。ロットL1のすべてのバッチのゴム材料が投入された後は、ロットL2以降のバッチ(バッチ2417、・・・)のゴム材料が順に投入される。第4混練機241により混練された各バッチの混練物は、粘度等の混練物の品質に関するデータが測定される。
【0032】
なお、本実施形態では、ロットL1のゴム材料が、第1混練機211には8バッチ、第2混練機221には10バッチ、第3混練機231には11バッチ、第4混練機241には16バッチに分けて投入される場合を説明したが、それぞれの混練機において混練するバッチ数はいくつであってもよい。
【0033】
図3は、製造プロセスデータ処理装置1で実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、製造プロセスデータ処理装置1は、第1バッチ単位プロセスデータ取得部311と、第2バッチ単位プロセスデータ取得部321と、第3バッチ単位プロセスデータ取得部331と、第4バッチ単位プロセスデータ取得部341と、第1ロット混練期間特定部312と、第2ロット混練期間特定部322と、第3ロット混練期間特定部332と、第4ロット混練期間特定部342と、ロット単位プロセスデータ生成部300と、を含む。これらの機能は、記憶装置12に格納されているプログラムを処理装置11が実行することによって実現される。
【0034】
第1バッチ単位プロセスデータ取得部311は、第1混練機211からバッチ単位のプロセスデータを取得する。以下では第n混練機から取得するバッチ単位のプロセスデータを第nバッチ単位プロセスデータと呼ぶ。すなわち、第1バッチ単位プロセスデータ取得部311は、複数の第1バッチ単位プロセスデータを取得する。第1バッチ単位プロセスデータは、第1混練機211における1つのバッチの混練開始時刻及び混練終了時刻、並びにそのバッチの混練中の第1混練機211の動作状態をそれぞれ示すものである。
【0035】
図4は、第1混練機211から取得される製造プロセスデータの一例を示す図である。製造プロセスデータ41は、所定のサンプリング間隔(ここでは1秒)ごとに、第1混練機211の動作状態を記録したものである。同図において、各行には一回のサンプリングにおいて第1混練機211から取得されるデータが示されており、サンプリング日時、バッチ番号及び第1混練機211の動作状態を含んでいる。この動作状態には混練室の温度、混練ゴムに加えられる圧力、第1混練機211の消費電力及び混練ブレードの回転数などが含まれる。第1バッチ単位プロセスデータ取得部311は、この製造プロセスデータ41に基づき、バッチ番号が共通するレコード群をバッチ単位プロセスデータとして取得する。例えば、「2021/11/9 11:50:46」から「2021/11/9 11:56:42」までに取得されたレコードを一ファイルにまとめてバッチ単位プロセスデータ4101を生成する。バッチ単位プロセスデータ4102も同様にして生成される。なお、各バッチ単位プロセスデータは、先頭レコードのサンプリン日時を各バッチの混練開始日時、最後尾レコードのサンプリング日時を各バッチの混練終了日時として含んでいる。このようにして、第1バッチ単位プロセスデータ取得部311は、複数の第1バッチ単位プロセスデータを取得する。
【0036】
第2バッチ単位プロセスデータ取得部321~第4バッチ単位プロセスデータ取得部341も、第1バッチ単位プロセスデータ取得部311と同様の機能を有する。すなわち、第nバッチ単位プロセスデータ取得部は、第n混練機から
図4に示されるものと同様の製造プロセスデータを取得し、そこから複数の第nバッチ単位プロセスデータを生成する(n=1~4)。
【0037】
第1ロット混練期間特定部312は、第1バッチ単位プロセスデータ取得部311により取得された複数の第1バッチ単位プロセスデータに基づいて、第1混練機211における各ロットの混練期間を特定する。各ロットの混練期間は、同ロットに属する最初のバッチの混練開始時刻から最後のバッチの混練終了時刻までの期間である。
【0038】
図5A~
図5Dは、各ロットの混練期間を特定する処理を説明する図である。第1ロット混練期間特定部312は、第1バッチ単位プロセスデータ取得部311により取得される多数の第1バッチ単位プロセスデータから、
図5Aに示されるタイムテーブル51を生成する。タイムテーブル51において、各行には1つの第1バッチ単位プロセスデータの時刻情報が示されている。この時刻情報は、第1混練機211におけるそれぞれのバッチの混練開始日時、混練終了日時、リードタイムを含んでいる。あるバッチに関するリードタイムは、第1混練機211にそのバッチの混練終了時刻と、次のバッチの混練開始時刻と、の差である。第1ロット混練期間特定部312は、各バッチのリードタイムを計算し、そこから各ロットの混練期間を特定している。具体的には、あるロットから次のロットに移行する際、第1混練機211の動作が一旦中断することを踏まえて、例えばリードタイムの閾値を2時間と設定し、2時間以上のリードタイムがあれば、そのバッチをあるロットの最後のバッチであると判定する。また、その次のバッチを次のロットの最初のバッチであると判定する。同図の例では、「2021/11/9」「14:01:21」に混練終了したバッチと、「2021/11/10」「3:36:55」に混練開始したバッチとの間に、2時間以上のリードタイムが存在しており、前者をあるロットの最後のバッチであると判断し、後者を次のロットの最初のバッチであると判定する。これにより、タイムテーブル51における行範囲を1つのロットの混練期間として特定している。一例として、タイムテーブル51にはあるロットの混練期間L11が示されている。
【0039】
なお、リードタイムの長さだけでなく、1ロットに含まれるべきバッチ数の条件を設定し、その条件をさらに考慮して各ロットの混練期間を特定してもよい。例えば、バッチ数が8以上を満たし、且つリードタイムが2時間以上となるバッチを、あるロットの最後のバッチであると判定してもよい。
【0040】
第2ロット混練期間特定部322、第3ロット混練期間特定部332、第4ロット混練期間特定部342も、第1ロット混練期間特定部312と同様の機能を有する。すなわち、第2ロット混練期間特定部322は
図5Bに示されるタイムテーブル52を生成し、各バッチのリードタイムから各ロットの混練期間を特定する。ここで、タイムテーブル52には、あるロットの混練期間L12が示されている。第3ロット混練期間特定部332は
図5Cに示されるタイムテーブル53を生成し、各バッチのリードタイムから各ロットの混練期間を特定する。タイムテーブル53には、あるロットの混練期間L13が示されている。さらに第4ロット混練期間特定部342は
図5Dに示されるタイムテーブル54を生成し、各バッチのリードタイムから各ロットの混練期間を特定する。ここで、タイムテーブル54には、あるロットの混練期間L14が示されている。
【0041】
ロット単位プロセスデータ生成部300は、第1混練機211における各ロットの混練期間と、第2混練機221における各ロットの混練期間と、第3混練機231における各ロットの混練期間と、第4混練機241における各ロットの混練期間と、に基づいて、第1バッチ単位プロセスデータ内のあるロットに対応する部分、第2バッチ単位プロセスデータ内のあるロットに対応する部分、第3バッチ単位プロセスデータ内のあるロットに対応する部分、第4バッチ単位プロセスデータ内のあるロットに対応する部分を選択し、それらを連結することにより、ある1つのロットのプロセスデータ、すなわちロット単位プロセスデータを生成する。ロット単位プロセスデータは、1つのロットのゴム材料に対する混練中の第1混練機211の動作状態、第2混練機221の動作状態、第3混練機231の動作状態、第4混練機241の動作状態のすべてを含む。
【0042】
このとき、ロット単位プロセスデータ生成部300は、第1混練機211における各ロットの混練期間の終了日時と、次の混練プロセスを担う第2混練機221における各ロットの混練期間の開始日時と、を比較し、それらの日時が最も近い混練期間を結びつける。例えば、
図5Aに示されるタイムテーブル51における混練期間L11の終了日時である「2021/11/9」「14:01:21」と、
図5Bに示されるタイムテーブル52における混練期間L12の開始日時である「2021/11/9」「14:39:13」が最も近いので、ロット単位プロセスデータ生成部300はそれらの混練期間L11及びL12を結びつける。同様にして混練期間L12(
図5B)及び混練期間L13(
図5C)、混練期間L13(
図5C)及びL14(
図5D)も結び付けられる。その後、ロット単位プロセスデータ生成部300は、混練期間L11内の第1バッチ単位プロセスデータ,混練期間L12内の第2バッチ単位プロセスデータ,混練期間L13内の第3バッチ単位プロセスデータ,混練期間L14内の第4バッチ単位プロセスデータを連結し、それによいロット単位プロセスデータを生成する。
【0043】
以上説明した製造プロセスデータ処理装置1によれば、各混練機から受信する製造プロセスデータに基づき、それぞれの混練機について複数のバッチ単位プロセスデータを取得し、それぞれの混練機に係るバッチ単位プロセスデータに基づいて、各混練機における各ロットの混練期間を特定する。そして、それら混練期間に基づいて、各混練機に係るバッチ単位プロセスデータから、ロット単位のプロセスデータを生成する。本実施形態によれば、こうして生成されるロット単位プロセスデータに基づいて、ゴム材料の混練についてロット単位のデータ解析を容易に実施できる。
【符号の説明】
【0044】
1 製造プロセスデータ処理装置、 11 処理装置、12 記憶装置、13 表示装置、14 入力装置、 21 第1混練工程、 22 第2混練工程、 23 第3混練工程、 24 第4混練工程、 211 第1混練機、 221 第2混練機、 231 第3混練機、 241 第4混練機、 2101~2109 バッチ、 2201~2211 バッチ、 2301~2312 バッチ、 2401~2417 バッチ、 L1 第1ロット、 L2 第2ロット、 311 第1バッチ単位プロセスデータ取得部、 312 第1ロット混練期間特定部、 321 第2バッチ単位プロセスデータ取得部、 322 第2ロット混練期間特定部、 331 第3バッチ単位プロセスデータ取得部、 332 第3ロット混練期間特定部、 341 第4バッチ単位プロセスデータ取得部、 342 第4ロット混練期間特定部、 300 ロット単位プロセスデータ生成部、 41 製造プロセスデータ、 4101~4102 バッチ単位プロセスデータ、 51~54 タイムテーブル、 L11~L14 混練期間。