(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147947
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】シールド工事管理装置、及びシールド工事管理方法
(51)【国際特許分類】
E21D 9/06 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
E21D9/06 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060712
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】金田 修一
(72)【発明者】
【氏名】山本 永朗
(72)【発明者】
【氏名】大森 裕一
(72)【発明者】
【氏名】上地 勇
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC02
2D054GA10
2D054GA25
(57)【要約】
【課題】シールド工事の管理を容易にすることで、シールド工事の作業効率を向上させるシールド工事管理装置、及びシールド工事管理方法を提案する。
【解決手段】本発明は、シールド工事の複数種類の管理項目について、管理値が閾値を逸脱した場合の対処技術を画面表示し、前記管理項目のうち選択された少なくとも一つの第1管理項目について、前記管理値(符号424)、前記管理値が前記閾値を逸脱したか否かを示す情報(符号423)、詳細画面へのリンクボタン(符号422)、及び距離程に応じた前記管理値の履歴(符号425)を画面表示し、前記管理項目のうち前記第1管理項目以外の第2管理項目について、前記管理値が前記閾値を逸脱したか否かを示す情報(符号433)、及び詳細画面へのリンクボタン(符号432)を画面表示する、表示制御部12を備えるシールド工事管理装置1である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド工事の複数種類の管理項目について、管理値が閾値を逸脱した場合の対処技術を画面表示し、
前記管理項目のうち選択された少なくとも一つの第1管理項目について、前記管理値、前記管理値が前記閾値を逸脱したか否かを示す情報、詳細画面へのリンクボタン、及び距離程に応じた前記管理値の履歴を画面表示し、
前記管理項目のうち前記第1管理項目以外の第2管理項目について、前記管理値が前記閾値を逸脱したか否かを示す情報、及び詳細画面へのリンクボタンを画面表示する、表示制御部を備えるシールド工事管理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記第1管理項目のうち現場ごとに選択された第3管理項目について、前記管理値、前記管理値が前記閾値を逸脱したか否かを示す情報、詳細画面へのリンクボタン、及び距離程に応じた前記管理値の履歴を画面表示する、請求項1に記載のシールド工事管理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記対処技術に関する問い合わせ先を画面表示する、請求項1又は請求項2に記載のシールド工事管理装置。
【請求項4】
シールド工事管理装置が、
シールド工事の複数種類の管理項目について、管理値が閾値を逸脱した場合の対処技術を画面表示し、
前記管理項目のうち選択された第1管理項目について、前記管理値、前記管理値が前記閾値を逸脱したか否かを示す情報、詳細画面へのリンクボタン、及び距離程に応じた前記管理値の履歴を画面表示し、
前記管理項目のうち前記第1管理項目以外の第2管理項目について、前記管理値が前記閾値を逸脱したか否かを示す情報、及び詳細画面へのリンクボタンを画面表示する、表示制御ステップを実行するシールド工事管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド工事管理装置、及びシールド工事管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地盤を掘進するシールド機を管理することに関する技術開発が進められており、関連する発明も公開されている。例えば、特許文献1には、シールド掘進工事において、経験の多い技術者による承認を必須として、技量不足によるミスが生じにくくするとともに、異常傾向を早期に発見して、責任の所在も明確にするシールド掘進管理システムについて開示されている。特許文献1の発明では、シールド機の掘進に関わるデータを監視し、その監視データが管理値を逸脱したか否かに応じて前記シールド機の運転の停止または継続を制御する。また、前記シールド機の運転が責任者の承認に係る入力操作を開始条件として設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明は、例えばノイズレベルの影響しかなく、具体的な対策をとるまでもない誤作動に対しても、監視データが管理値を逸脱してしまった場合には、掘進が停止するおそれがある。このため、シールド工事の作業効率の低下を招くという問題点がある。また、人手不足となりつつある建設業界において十分な熟練度を持つ管理者を確保することが容易でないという近年の事情に鑑みれば、高い熟練度を備えているべき責任者の承認を必須とする特許文献1の発明は導入困難である。また、全国のシールド工事現場に対する管理体制を統一化することで、各現場の作業効率を向上させたいという要望がある。
本発明は、シールド工事の管理を容易にすることで、シールド工事の作業効率を向上させるシールド工事管理装置、及びシールド工事管理方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する本発明は、シールド工事の複数種類の管理項目について、管理値が閾値を逸脱した場合の対処技術を画面表示し、前記管理項目のうち選択された少なくとも一つの第1管理項目について、前記管理値、前記管理値が前記閾値を逸脱したか否かを示す情報、詳細画面へのリンクボタン、及び距離程に応じた前記管理値の履歴を画面表示し、前記管理項目のうち前記第1管理項目以外の第2管理項目について、前記管理値が前記閾値を逸脱したか否かを示す情報、及び詳細画面へのリンクボタンを画面表示する、表示制御部を備えるシールド工事管理装置である。
また、本発明は、シールド工事管理装置が、シールド工事の複数種類の管理項目について、管理値が閾値を逸脱した場合の対処技術を画面表示し、前記管理項目のうち選択された第1管理項目について、前記管理値、前記管理値が前記閾値を逸脱したか否かを示す情報、詳細画面へのリンクボタン、及び距離程に応じた前記管理値の履歴を画面表示し、前記管理項目のうち前記第1管理項目以外の第2管理項目について、前記管理値が前記閾値を逸脱したか否かを示す情報、及び詳細画面へのリンクボタンを画面表示する、表示制御ステップを実行するシールド工事管理方法である。
【0006】
本発明によれば、種類が多いシールド工事の管理項目ごとに異常検知の閾値を設定するため、管理の精度を向上させることができる。また、管理項目ごとに対処技術を表示するため、異常時の対応策を工事関係者が調査するために要する時間を削減でき、ひいては、シールド工事の作業効率を向上させることができる。また、異常検知時に直ちに掘進を停止させる必要は無く、対処技術に即した異常対策を行えばよいため、状況次第ではシールド工事の作業効率の低下を回避できる。また、経験の浅い者など十分な熟練度を持たない工事関係者であっても対処技術を確認できるため、トラブルや不具合に繋がる傾向を早期に発見できる。また、画面での表示内容をシンプルにすることができるため、新技術等が追加された場合であっても、新しい管理項目を追加表示すればよく、管理を容易にすることができる。また、管理項目のすべてについて画面表示することで、複数の現場に対して管理体制を統一化することができる。その結果、管理レベルの向上及び平準化を図ることができ、各現場の作業効率を向上させることができる。また、管理項目のうち選択された第1管理項目については、距離程に応じた前記管理値の履歴を画面表示するため、工事関係者が特に重視する管理項目について管理を容易にすることができる。
【0007】
また、前記表示制御部は、前記第1管理項目のうち現場ごとに選択された第3管理項目について、前記管理値、前記管理値が前記閾値を逸脱したか否かを示す情報、詳細画面へのリンクボタン、及び距離程に応じた前記管理値の履歴を画面表示することが好ましい。
【0008】
これにより、複数の現場に対して統一化された管理体制であっても、現場特有の事情に即した管理を容易にすることができる。
【0009】
また、前記表示制御部は、前記対処技術に関する問い合わせ先を画面表示する、ことが好ましい。
【0010】
これにより、工事関係者は対処技術に関する疑問点を早期に確認することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シールド工事の管理を容易にすることで、シールド工事の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態のシールド工事管理装置の機能構成図である。
【
図4】本実施形態のシールド工事管理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施をするための形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0014】
[構成]
図1は、本実施形態のシールド工事管理装置の機能構成図である。シールド工事管理装置1は、シールド工事で発生する異常を把握する計算機である。シールド工事管理装置1は、入力部、出力部、制御部、および、記憶部といったハードウェアを備える。例えば、制御部がCPU(Central Processing Unit)から構成される場合、その制御部を含むコンピュータによる情報処理は、CPUによるプログラム実行処理で実現される。また、そのコンピュータに含まれる記憶部は、CPUの指令により、そのコンピュータの機能を実現するためのさまざまなプログラムを記憶する。これによりソフトウェアとハードウェアの協働が実現される。前記プログラムは、記録媒体に記録したり、ネットワークを経由したりすることで提供可能となる。シールド工事管理装置1は、掘進管理システム2とコンソール3と通信可能に接続されている。掘進管理システム2は、シールド工事で得られる測量データや計測データを収集したり管理したりすることで、施工管理の一元化を担うシステムである。例えば、掘進管理システム2は、計測データの経時変化や統計処理の結果により、地山や掘削土砂の状況やシールド機の負荷状況などを推測できる。また。掘進管理システム2は、さらに測量データを入力することにより、シールド機やセグメントの位置を計算し、基線からの偏差を求めることができる。コンソール3は、シールド工事を管理するユーザ(工事関係者)が用いる端末であり、シールド工事管理装置1の処理結果を表示したり、シールド工事管理装置1に対する要求を入力することができる。
【0015】
シールド工事管理装置1は、取得部11と、表示制御部12とを備えている。また、シールド工事管理装置1は、管理項目DB13と、対処技術DB14とを記憶している。「DB」は、データベース(DataBase)の略である。取得部11は、シールド工事管理装置1とデータ連携している掘進管理システム2から様々な種類のデータを取得する。取得するデータは、掘進管理システム2が管理するデータである。表示制御部12は、コンソール3による画面表示を制御する。表示制御部12は、取得部11が取得したデータを用いて所定形式の画面表示用のデータを生成できる。管理項目DB13は、シールド工事の管理に用いられる複数種類の管理項目ごとに、さまざまな種類のデータを関連づけて格納できる。管理項目の種類は、例えば、ユーザが予め用意してもよいし、掘進管理システム2が管理するデータの内容に基づいて適宜設定してもよい。管理項目の各々に関連付けられるデータは、例えば、掘進管理システム2が管理するデータ(例:測量データ、計測データ)を示す管理値、管理値の正常範囲を決める閾値を含むが、これらに限定されない。例えば、格納される管理値は、シールド工事中のリアルタイムの値としてもよいし、タイムスタンプ方式による所定タイミングにおける履歴としてもよい。また、例えば、格納される管理値は、全国のシールド工事現場ごとに用意することができる。対処技術DB14は、シールド工事で発生する異常への対処技術を示すデータを管理する。
【0016】
なお、シールド工事の管理項目は、例えば、切羽土圧(複数の土圧計の中から選択された土圧計で計測された値)(kPa)切羽水圧(複数の水圧計の中から選択された水圧計で計測された値)(kPa)、掘削量の積算値(% /R)、裏込注入率の積算値(%/R)、裏込注入圧の最大値(MPa)、テールクリアランスの最小値(mm)、カッタトルクの瞬時値(%)、掘進速度の平均値(mm/min)、塑性流動性に関する指標(例えば、塑性流動性が規定値を下回った割合(%))、スクリュ圧力の現在値(MPa)、カッタビット摩耗量の最大値(mm)、カッタビット温度の最大値(℃)、カッタ軸受シール圧力(差圧)(MPa)、カッタ軸受シール温度の最高値(℃)、カッタ軸受シール板厚の最大値(mm)、カッタ駆動モータ温度診断(℃)、カッタ駆動モータ加速度(mm/min2)、カッタ駆動モータcf加速度(mm/min2)、カッタ駆動モータ速度(mm/min)、カッタ駆動モータ変位(mm)、スクリュコンベヤの駆動部負荷残寿命、スクリュ本体摩耗量、スクリュコンベヤ駆動部シール窓圧力計(MPa)、スクリュコンベヤコンタミ、テールグリース圧(差圧)(MPa)、シールドジャッキ圧力計(MPa)、セグメント内空寸法(レーザ距離計の計測値)、作動油温度の現在値(℃)、パワーユニット負荷、パワーユニット作動油コンタミ診断、地表面の沈下・隆起(レーダ・GPS・水準測量)、セグメント面向き、地山崩壊探査の結果(超音波、電磁波による探査結果)(mm)、坑内の酸素濃度・可燃性ガス濃度・湿度・気温・通信、粉塵濃度、ベルトコンベヤ駆動部負荷、ベルトコンベヤ一般部の損傷の有無、ベルトコンベヤ接合部の損傷の有無、シールド機偏差(水平)(mm)、シールド機偏差(垂直)(mm)、掘削量(積算値)(m3/R)、逸水量の積算値(m3/R)、乾砂量の積算値(m3/R)、偏差流量の積算値(m3/R)、総推力の瞬時値(kN)があるが、これらに限定されない。
【0017】
(総合診断画面)
図2は、総合診断画面の画面例である。総合診断画面4は、シールド工事の異常発生の兆候を表示する画面である。表示制御部12は、総合診断画面4を、コンソール3に表示するデフォルト画面とすることができる。総合診断画面4は、第1エリア41と、第2エリア42と、第3エリア43と、第4エリア44を含んで構成されている。第1エリア41は、対象現場のシールド工事の現在の作業状態を示す情報を表示するエリアである。第1エリア41は、「リング番号」、「掘進状態」、「カッタトルク」、「総推力」、「掘進距離」、及び現在日時といった項目を含む。「リング番号」は、施工中のセグメントリングの番号(リング数)を示す。「掘進状態」は、掘進作業の現在の状態(掘進中または停止中)を示す。「カッタトルク」は、シールド機のカッタにかかるトルクの現在値を示す。「総推力」は、シールド機を推進させるジャッキにかかる推力の合計の現在値を示す。「掘進距離」は、掘進作業によるシールド機の進行距離である。
【0018】
第2エリア42は、管理項目DB13に格納されるすべての管理項目から優先的に選択された管理項目である優先管理項目(第1管理項目)について、優先管理項目に関連付けられたデータを表示するエリアであり、優先管理項目の現在値(リアルタイムの管理値)のほか、優先管理項目の履歴(トレンド)を示す履歴グラフ425などが表示される。優先管理項目の選択は、例えば、コンソール3のユーザからの入力により実現できる。選択された優先管理項目は、例えば、全国のシールド工事現場に対して共通で選択された管理項目とすることができる。第2エリア42は、優先管理項目ごとに分けられている。各優先管理項目に対して、名称欄421と、詳細リンクボタン422と、正常ボタン423と、管理値欄424と、履歴グラフ425が用意されている。名称欄421には、対象の優先管理項目の名称(例:「切羽土圧(管理土圧)(kPa)」)が表示される。詳細リンクボタン422は、対象の優先管理項目の各種データの詳細を画面表示するためのリンクが設定されたボタンである。例えば、優先管理項目を含む管理項目の各種データの詳細の画面表示は、掘進管理システム2による画面表示と同じとすることができる(具体的図示略)。正常ボタン423は、対象の優先管理項目の管理値が閾値を逸脱したか否かを示すボタンである。閾値を逸脱していない場合は「正常」と表示される。閾値を逸脱した場合は「異常」と表示される。閾値の逸脱を解消するための対処技術が実行中である場合は「対策中」と表示される。閾値は、シールド工事の異常兆候を示す値として適宜設定できる。正常ボタン423に対して、対処技術の詳細を画面表示(例:ポップアップ表示)するためのリンクを設定することができる。管理値欄424には、対象の優先管理項目のリアルタイムの管理値が表示される。リアルタイムの管理値の表示は、例えば、メータ表示、数値表示、及び両者の組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。履歴グラフ425は、シールド工事のトンネルの距離程に応じた管理値の履歴を示す。履歴グラフ425の横軸にセグメントリングのリング番号をとり、縦軸に管理値の単位をとることができる。
【0019】
第3エリア43は、管理項目DB13に格納されるすべての管理項目のうち優先管理項目以外の管理項目である非優先管理項目(第2管理項目)について、非優先管理項目に関連付けられたデータを表示するエリアである(現在値管理)。第3エリア43は、非優先管理項目ごとに分けられている。第3エリア43は、例えば、各非優先管理項目を縮小表示することで非優先管理項目のすべてを一画面で表示することもできるし、スクロール表示形式にすることで各非優先管理項目の表示サイズを所定サイズ以上にしつつすべて表示することもできる。各非優先管理項目に対して、名称欄431と、詳細リンクボタン432と、正常ボタン433が用意されている。名称欄431には、対象の非優先管理項目の名称(例:「カッタビット摩耗検知(最大値)(mm)」)が表示される。詳細リンクボタン432は、詳細リンクボタン422と同等の機能を有する。正常ボタン433は、正常ボタン423と同等の機能を有する。
【0020】
第4エリア44は、優先管理項目のうち現場ごとに選択された管理項目である現場優先管理項目(第3管理項目)について、現場優先管理項目に関連付けられたデータを表示するエリアであり、現場優先管理項目の現在値(リアルタイムの管理値)のほか、現場優先管理項目の履歴(トレンド)を示す履歴グラフ445などが表示される。現場優先管理項目の選択は、例えば、コンソール3のユーザからの入力により実現できる。選択された現場優先管理項目は、例えば、全国のシールド工事現場のうち監視対象の現場に対して選択された管理項目とすることができる。第4エリア44は、現場優先管理項目ごとに分けられている。各現場優先管理項目に対して、名称欄441と、詳細リンクボタン442と、正常ボタン443と、管理値欄444と、履歴グラフ445が用意されている。名称欄441には、対象の現場優先管理項目の名称(例:「塑性流動性(低圧)」)が表示される。詳細リンクボタン442は、詳細リンクボタン422と同等の機能を有する。正常ボタン443は、正常ボタン423と同等の機能を有する。管理値欄444は、管理値欄424と同等の機能を有する。履歴グラフ445は、履歴グラフ425と同等の機能を有する。
【0021】
(対処技術)
図3は、対処技術の画面例である。例えば、リアルタイムの管理値のとしての掘削量が閾値を超えると、優先管理項目「掘削量(積算値)%/R」にて正常ボタン423a(
図2)が「異常」と表示されることになり、この正常ボタン423a(
図2)をユーザがコンソール3を介して押下すると、
図3に示す対処技術(掘削量管理)が画面上にポップアップ表示される。
図3の画面には、「日付」欄51と、「時間」欄52と、「診断結果」欄53と、「管理値」欄54と、「現在値」欄55と、「検出場所」欄56と、「対処技術」欄57の「初期」欄571及び「対応」欄572と、「関連項目」欄58と、「備考」欄59と、「トラブル対応記録」ボタン60と、「警報一覧」ボタン61と、「全体警報一覧」ボタン62と、「印刷」ボタン63が表示されている。対処技術の画面の表示内容は、書き換え可能である。
【0022】
「日付」欄51には、異常の兆候が検出された年月日が表示される。「時間」欄52には、異常の兆候が検出された時刻が表示される。「診断結果」欄53には、異常の兆候の詳細が表示される(
図3の画面例では無記入)。「管理値」欄54には、異常の兆候が検出された時点での管理値が表示される。「現在値」欄55には、現時点での管理値が表示される(
図3の画面例では対処技術の実行に伴いシールド機を停止しているため、「0.00m
3」となっている)。「検出場所」欄56には、異常の兆候が検出された場所(シールド機の故障個所など)が表示される(
図3の画面例では、検出場所を観念できない掘削量という管理項目であるためブランク表示)。「初期」欄571には、対処技術の初期段階の具体的内容が表示されている。「対応」欄572には、対処技術の初期段階完了後の具体的内容が表示されている(
図3の画面例では具体的内容は書き込まれておらず、ブランク表示)。「関連項目」欄58には、「掘削量」という管理項目に関する異常の兆候が影響を及ぼす管理項目の名称が列挙表示されている。「備考」欄59には、対処技術に関する問い合わせ先が表示されている。具体的には、対処技術に関係する機器ごと、及び作業ごとのメーカ、担当者、連絡先(電話番号、メールアドレス、これらのコード表示でもよい)が表示されている。
【0023】
「トラブル対応記録」ボタン60は、対象の管理項目に関する過去のトラブルの詳細の記録、及びそのトラブルへの対応策の詳細の記録を画面表示(図示略)するためのリンクが設定されたボタンである。「警報一覧」ボタン61は、シールド工事管理装置1に用いられる警報の一覧を画面表示(図示略)するためのリンクが設定されたボタンである。「全体警報一覧」ボタン62は、掘進管理システム2に用いられる警報の一覧を画面表示(図示略)するためのリンクが設定されたボタンである。「印刷」ボタン63は、対処技術の画面をプリントアウトするためのボタンである。なお、例えば、「全体警報一覧」ボタン62で表示できる警報は、掘進管理システム2に用いられるすべての管理項目(数百種類程度)の各々に用意された警報とすることができる。また、「警報一覧」ボタン61で表示できる警報は、掘進管理システム2から特に重要と判断して選択した管理項目(40種類程度)の各々に用意された警報とすることができ、優先管理項目の各々に用意された警報とすることができる。
【0024】
[処理]
図4は、本実施形態のシールド工事管理方法のフローチャートである。
図4に示すように、まずシールド工事管理装置1は、優先管理項目の選択結果を取得する(ステップS1)。優先管理項目の選択結果は、例えば、コンソール3のユーザが選択した1又は複数の優先管理項目である。次に、シールド工事管理装置1は、現場優先管理項目の選択結果を取得する(ステップS2)。現場優先管理項目の選択結果は、例えば、コンソール3のユーザが選択した、対象の現場における1又は複数の現場優先管理項目である。次に、シールド工事管理装置1の取得部11は、掘進管理システム2からデータを取得する(ステップS3)。次に、シールド工事管理装置1の表示制御部12は、総合診断画面4の表示制御をする(ステップS4)。具体的には、表示制御部12は、取得した優先管理項目の選択結果、現場優先管理項目の選択結果、及び掘進管理システム2からのデータを用いて総合診断画面4を生成し、コンソール3の表示部に表示する。次に、シールド工事管理装置1は、コンソール3から対処技術の表示要求があったか否か判定する(ステップS5)。対処技術の表示要求は、例えば、特定の優先管理項目の正常ボタン423、特定の非優先管理項目の正常ボタン433、及び特定の現場優先管理項目の正常ボタン443の少なくとも何れかが「異常」と表示されており、当該正常ボタン423,433,443が押下(クリック)されたことを意味する。対処技術の表示要求が無かった場合(ステップS5でNo)、ステップS4に戻り以降の処理を継続する。一方、対処技術の表示要求が有った場合(ステップS5でYes)、シールド工事管理装置1の表示制御部12は、対処技術の表示制御をする(ステップS4)。具体的には、表示制御部12は、「異常」と表示された管理項目について
図3に示すような画面をポップアップ表示する。コンソール3のユーザは、対処技術の画面に対して所定のテキスト等を書き込みできる。なお、対処技術が実行中である場合、対象の管理項目の正常ボタン443は「対策中」と表示される。次に、シールド工事管理装置1は、コンソール3から対処技術の表示終了要求があったか否か判定する(ステップS7)。対処技術の表示終了要求は、例えば、表示中の対処技術の画面の閉じるボタン「×」が押下(クリック)されたことを意味する。対処技術の表示終了要求が無かった場合(ステップS7でNo)、ステップS6に戻り以降の処理を継続する。一方、対処技術の表示終了要求が有った場合(ステップS7でYes)、ステップS4に戻り以降の処理を継続する。
【0025】
本実施形態によれば、種類が多いシールド工事の管理項目ごとに異常検知の閾値を設定するため、管理の精度を向上させることができる。また、管理項目ごとに対処技術を表示するため、異常時の対応策を工事関係者が調査するために要する時間を削減でき、ひいては、シールド工事の作業効率を向上させることができる。また、異常検知時に直ちに掘進を停止させる必要は無く、対処技術に即した異常対策を行えばよいため、状況次第ではシールド工事の作業効率の低下を回避できる。また、経験者の浅い者など十分な熟練度を持たない工事関係者であっても対処技術を確認できるため、トラブルや不具合に繋がる傾向を早期に発見できる。また、画面での表示内容をシンプルにすることができるため、新技術等が追加された場合であっても、新しい管理項目を追加表示すればよく、管理を容易にすることができる。また、管理項目のすべてについて画面表示することで、複数の現場に対して管理体制を統一化することができる。その結果、管理レベルの向上及び平準化を図ることができ、各現場の作業効率を向上させることができる。また、管理項目のうち選択された第1管理項目については、距離程に応じた前記管理値の履歴を画面表示するため、工事関係者が特に重視する管理項目について管理を容易にすることができる。
また、複数の現場に対して統一化された管理体制であっても、現場特有の事情に即した管理を容易にすることができる。
また、工事関係者は対処技術に関する疑問点を早期に確認することができる。
【0026】
[変形例]
(a):表示制御部12が、総合診断画面4の非優先管理項目について、現場優先管理項目に対応する管理項目を表示してもよい。
(b):表示制御部12が、総合診断画面4の第1エリア41及び第4エリア44において、対象となる現場の名称(例:地名)を表示してもよい。
【0027】
(c):本実施形態で説明した種々の技術を適宜組み合わせた技術を実現することもできる。
(d):本実施形態で説明したソフトウェアをハードウェアとして実現することもでき、ハードウェアをソフトウェアとして実現することもできる。
(e):その他、ハードウェア、ソフトウェア、フローチャートなどについて、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 シールド工事管理装置
2 掘進管理システム
3 コンソール
11 取得部
12 表示制御部
13 管理項目DB
14 対処技術DB
41 第1エリア
42 第2エリア
43 第3エリア
44 第4エリア