(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147951
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 19/00 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
F25D19/00 522B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060720
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】岡部 裕一
(72)【発明者】
【氏名】片桐 賢宏
(57)【要約】 (修正有)
【課題】冷媒管の列が3列以上となる蒸発器を有する場合でも、収納効率の低下を抑えて、確実に蒸発器を内箱に取り付けることができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】複数の直管部22A1がベント部22A2で繋がれて左右に蛇行しながら上下に延びた冷媒管22Aの列が前後に3列以上にわたって繋がれた冷媒管部22、及び冷媒管部22に取り付けられた複数の冷却フィン24を有する蒸発器20と、蒸発器20を内箱に取り付ける取付部材と、を備え、取付部材は、内箱と係合する内箱係合部と、冷媒管部22のベント部22A2と接する湾曲支持面を有する蒸発器支持部と、を備える冷蔵庫を提供する。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の直管部がベント部で繋がれて左右に蛇行しながら上下に延びた冷媒管の列が前後に3列以上にわたって繋がれた冷媒管部、及び前記冷媒管部に取り付けられた複数の冷却フィンを有する蒸発器と、
前記蒸発器を内箱に取り付ける取付部材と、
を備え、
前記取付部材は、
前記内箱と係合する内箱係合部と、
前記冷媒管部の前記ベント部と接する湾曲支持面を有する蒸発器支持部と、
を備えることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記冷媒管の列が前後に奇数列にわたって繋がれており、
前記冷媒管部の一方の端部が前記冷媒管部の上側に位置し、前記冷媒管部の他方の端部が前記冷媒管部の下側に位置し、
前記冷媒管部の前記他方の端部と繋がり、前記冷媒管部の側部を上下に延びる接続配管を更に備え、
前記取付部材は、前記接続配管を保持する接続配管保持部を備えることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
収納領域と区画して前記蒸発器が配置された冷却流路を形成する冷却ダクトカバーを更に備え、
前記取付部材は、前記冷却ダクトカバーと係合する冷却ダクトカバー係合部を備え、
前記内箱係合部で前記内箱に取り付けられ、前記冷却ダクトカバー係合部で前記冷却ダクトカバーと係合する前記取付部材により、前記冷却ダクトカバーが前記内箱に取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記内箱の後側の内面に横孔部が設けられ、
前記内箱係合部は、前記取付部材を左右方向にスライドさせることにより、前記横孔部に挿入されて前記横孔部と係合するように形成され、
前記内箱係合部及び前記横孔部の係合により、前記取付部材が前記内箱に取り付けられることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記取付部材は、回転自在に取り付けられたフラップ部を有し、
前記フラップ部を畳むことにより、前記内箱の内面と干渉することなく、前記取付部材を左右方向にスライドさせて、前記取付部材を前記内箱に取り付けることができ、
前記取付部材を前記内箱に取り付けた後、畳まれた前記フラップ部を回転させて左右方向に伸ばすことにより、前記内箱の内面と前記フラップ部の面が連続した取り付け状態が形成されることを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発器を備えた冷蔵庫に関し、特に蒸発器の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫では、多くの場合、庫内の気体を冷却する蒸発器が、内箱の後方に設けられた冷却流路内に配置されている。このような冷蔵庫の中には、内箱に設けられた凹部に蒸発器が配置されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の冷蔵庫では、蒸発器の冷媒管のベント部と内箱の凹部に設けられた凹凸形状とが嵌合して、蒸発器が内箱に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の蒸発器では、冷媒管が左右に蛇行しながら上下に延びた列が2列形成されている。このため、蒸発器の厚みは、内箱に設けられた凹部内に収まる程度の寸法になっている。しかしながら、冷蔵庫の大型化に伴い、蒸発器の冷却能力を向上させるため、蒸発器の冷媒管の列が3列以上になる場合もあり得る。その場合、蒸発器の厚み寸法が大きくなって、内箱に設けられた凹部内に収めることができなくなる。このため、蒸発器の内箱への取り付けが困難になる。
【0005】
厚み寸法が大きい蒸発器を、蒸発器全体を支持する大きな取付プレートを用いて、内箱に取り付けることも考えられる。しかし、その場合には、厚み方向の寸法が増大して、収納領域が狭められ、収納効率が低下する問題が生じる。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、冷媒管の列が3列以上となる蒸発器を有する場合でも、収納効率の低下を抑えて、確実に蒸発器を内箱に取り付けることができる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、
複数の直管部がベント部で繋がれて左右に蛇行しながら上下に延びた冷媒管の列が前後に3列以上にわたって繋がれた冷媒管部、及び前記冷媒管部に取り付けられた複数の冷却フィンを有する蒸発器と、
前記蒸発器を内箱に取り付ける取付部材と、
を備え、
前記取付部材は、
前記内箱と係合する内箱係合部と、
前記冷媒管部の前記ベント部と接する湾曲支持面を有する蒸発器支持部と、
を備える冷蔵庫である。
【0008】
本態様によれば、取付部材が、冷媒管部のベント部と接する湾曲支持面を有する蒸発器支持部を備えるので、厚み方向の寸法を増やすことなく、安定して蒸発器を保持することができる。よって、取付部材を用いることにより、冷媒管の列が3列以上の厚い蒸発器であっても、収納効率の低下を抑えて、確実に蒸発器を内箱に取り付けることができる。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、
前記冷媒管の列が前後に奇数列にわたって繋がれており、
前記冷媒管部の一方の端部が前記冷媒管部の上側に位置し、前記冷媒管部の他方の端部が前記冷媒管部の下側に位置し、
前記冷媒管部の前記他方の端部と繋がり、前記冷媒管部の側部を上下に延びる接続配管を更に備え、
前記取付部材は、前記接続配管を保持する接続配管保持部を備える冷蔵庫である。
【0010】
蒸発器の冷媒管の列が奇数列の場合、必ず冷媒管部の他方の端部が下側に位置する。通常、冷媒が流れる配管は蒸発器の上側で連結されるので、冷媒管部の側部を上下に延びる接続配管が必要となる。この場合、接続配管が横に広がって冷却流路内の他の部材と干渉したり、冷媒の流動により接続配管が振動する虞もある。
【0011】
本態様によれば、蒸発器を取り付ける取付部材が、接続配管を保持する接続配管保持部を備えるので、接続配管を冷媒管部の側部に保持し、接続配管の振動を抑制することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、
収納領域と区画して前記蒸発器が配置された冷却流路を形成する冷却ダクトカバーを更に備え、
前記取付部材は、前記冷却ダクトカバーと係合する冷却ダクトカバー係合部を備え、
前記内箱係合部で前記内箱に取り付けられ、前記冷却ダクトカバー係合部で前記冷却ダクトカバーと係合する前記取付部材により、前記冷却ダクトカバーが前記内箱に取り付けられる冷蔵庫である。
【0013】
本態様によれば、蒸発器を取り付ける取付部材が冷却ダクトカバー係合部を備えるので、取付部材により、蒸発器だけでなく、冷却ダクトカバーも確実に内箱に取り付けることができる。
【0014】
本発明の第4の態様は、第1から第3の態様の何れかにおいて、
前記内箱の後側の内面に横孔部が設けられ、
前記内箱係合部は、前記取付部材を左右方向にスライドさせることにより、前記横孔部に挿入されて前記横孔部と係合するように形成され、
前記内箱係合部及び前記横孔部の係合により、前記取付部材が前記内箱に取り付けられることを特徴とする冷蔵庫である。
【0015】
本態様によれば、取付部材を左右方向にスライドさせることにより、内箱係合部及び横孔部を係合させて、ネジ等の締結部材を用いることなく、容易に確実に取付部材を内箱に取り付けることができる。
【0016】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、
前記取付部材は、回転自在に取り付けられたフラップ部を有し、
前記フラップ部を畳むことにより、前記内箱の内面と干渉することなく、前記取付部材を左右方向にスライドさせて、前記取付部材を前記内箱に取り付けることができ、
前記取付部材を前記内箱に取り付けた後、畳まれた前記フラップ部を回転させて左右方向に伸ばすことにより、前記内箱の内面と前記フラップ部の面が連続した取り付け状態が形成される冷蔵庫である。
【0017】
本態様によれば、回転自在に取り付けられたフラップ部を畳むことにより、内箱の内面と干渉することなく、取付部材を左右方向にスライドさせて、取付部材を前記内箱に取り付けることができ、その後、畳まれたフラップ部を伸ばすことにより、内箱の内面とフラップ部の面が連続した取り付け状態を形成できる。これにより、確実に取付部材を内箱に取り付けることができるとともに、内箱の内面とフラップ部の面が連続した気体の流動抵抗の少ない収納領域の内面を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明では、冷媒管の列が3列以上となる蒸発器を有する場合でも、収納効率の低下を抑えて、確実に蒸発器を内箱に取り付けることができる冷蔵庫を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫の外形を示す斜視図である。
【
図1B】
図1に示す冷蔵庫において、扉を取り外して内箱が視認可能な状態を示す斜視図である。
【
図2A】
図1Bの矢視A-A図であって、内箱の後方に取り付けられた冷却ダクトカバーが示された側面図である。
【
図2B】
図2Aに示す状態から冷却ダクトカバーが取り外されて、蒸発器が示された側面図である。
【
図3A】
図2Bのうち、右側の第1の取付部材による蒸発器の取付構造を拡大して示す図である。
【
図3B】
図2Bのうち、左側の第2の取付部材による蒸発器の取付構造を拡大して示す図である。
【
図4B】冷却ダクトカバーの外形を示す斜視図である。
【
図5A】第1の取付部材を前側から見た斜視図である。
【
図5B】第1の取付部材を後側から見た斜視図である。
【
図6A】第1の取付部材を取り付ける前の内箱の状態を示す斜視図である。
【
図6B】第1の取付部材を取り付けた後の内箱の状態を示す斜視図である。
【
図6C】
図6Bに示す状態から、折り畳まれていた第1の取付部材のフラップ部を回転させて内箱の内面と繋げた示す斜視図である。
【
図7】第1の取付部材により蒸発器を支持する状態を示す斜視図である。
【
図8】第2の取付部材を前側から見た斜視図である。
【
図9】第2の取付部材により蒸発器を支持する状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。以下の記載では、冷蔵庫が水平面上に載置され、扉側が前側とし、前側から扉を見た場合を想定して、上下、前後、左右を記載してある。
【0021】
(本発明の1つの実施形態に冷蔵庫の概要)
はじめに、
図1Aから
図4Bを参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫2の概要を説明する。
図1Aは、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫2の外形を示す斜視図である。
図1Bは、
図1に示す冷蔵庫2において、扉6を取り外して内箱12が視認可能な状態を示す斜視図である。
図2Aは、
図1Bの矢視A-A図であって、内箱12の後方に取り付けられた冷却ダクトカバー10が示された側面図である。
図2Bは、
図2Aに示す状態から冷却ダクトカバー10が取り外されて、蒸発器20が示された側面図である。
図3Aは、
図2Bのうち、右側の第1の取付部材30による蒸発器20の取付構造を拡大して示す図である。
図3Bは、
図2Bのうち、左側の第2の取付部材40による蒸発器20の取付構造を拡大して示す図である。
図4Aは、蒸発器20の外形を示す斜視図である。
図4Bは、冷却ダクトカバー10の外形を示す斜視図である。
【0022】
<冷却機構>
本実施形態に係る冷蔵庫2は、圧縮機、凝縮器、毛細管、蒸発器20等の間を冷媒が循環する冷却機構を備える。圧縮機の稼働中には、圧縮機より吐出された冷媒が凝縮器で凝縮され、毛細管において減圧膨張する。
図4Aに示すように、毛細管で減圧膨張した冷媒は、第1の接続配管26Aを流れて、蒸発器20の冷媒管部22に流入する。
【0023】
冷媒管部22は、複数の直管部22A1がベント部22A2で繋がれて左右に蛇行しながら上下に延びた冷媒管22Aの列が前後に3列にわたって繋がれて形成されている。更に、蒸発器20は、冷媒管部22に取り付けられた複数の冷却フィン24を有する。上記のように、第1の接続配管26Aから蒸発器20の冷媒管部22に流入した冷媒は、冷媒管22Aの一番前の列を上から下に向けて流れた後、冷媒管22Aの中央の列を下から上に向けて流れ、更に冷媒管22Aの一番後ろの列を上から下に向けて流れた後、第2の接続配管26Bへ流出する。
【0024】
一方、冷却ファンにより流動する庫内の気体は、蒸発器20の冷却フィン24の間を通過するときに、冷媒管部22との熱交換で冷却される。この熱交換により、冷媒管部22内を流れる冷媒は気化する。気化した冷媒は、第2の接続配管26B内を下から上へ流れ、蒸発器20の上側に配置されたアキュムレータ28を通過して、吸入管を介して圧縮機の吸い込み側へ戻る。この冷媒の流れを繰り返すことにより、庫内の気体を冷却することができる。なお、冷媒管部22内で蒸発しきれない冷媒は、アキュムレータ28に溜まり、気化した冷媒のみが圧縮機に戻る。
【0025】
本実施形態に係る蒸発器20は、冷媒管22Aの列を3列有するが、これに限られるものではない。3列以上の奇数列であれば、蒸発器20が更に多い冷媒管22Aの列を有する場合もあり得る。何れの場合も、冷媒管22Aの列が前後に奇数列にわたって繋がれているので、冷媒管部22の一方の端部が冷媒管部22の上側に位置し、冷媒管部22の他方の端部が冷媒管部22の下側に位置することになる。本実施形態では、冷媒が冷媒管部22の上側の端部から流入し、冷媒管部22の下側の端部から流出するようになっているが、逆に、冷媒が冷媒管部22の下側の端部から流入し、冷媒管部22の上側の端部から流出する場合もあり得る。
【0026】
何れの場合でも、冷媒管22Aの列が奇数列の場合、第2の接続配管26Bのような、冷媒管部22の下側の端部と繋がり、冷媒管部22の側部を上下に延びる配管を配置する必要がある。なお、蒸発器20の下側には、冷却フィン24に付着した霜を溶かす除霜ヒータ50が配置されている。
【0027】
<蒸発器まわりの構成>
図1Aに示すように、本実施形態に係る冷蔵庫2は、回転扉式または引出式の扉6を備え、下側に冷凍室8が配置されている。
図2Aに示すように、冷凍室8の内箱12の後方の面に冷却ダクトカバー10が取り付けられている。冷却ダクトカバー10は、収納領域と区画して蒸発器20が配置された冷却流路を形成するようになっている。
【0028】
蒸発器20を通過した気体は、冷却ダクトカバー10に設けられた開口10Aから、冷凍室8内に流入し、冷凍室8内を冷却することができる。冷凍室8内を流れた気体は、冷却ダクトカバー10の下側の開口から冷却流路に戻り、再び蒸発器20を通過して冷却される。この気体の循環により、冷凍室8は所定の温度に冷却される。冷蔵室をはじめとするその他の収納領域も、同様な気体の循環で冷却される。
【0029】
後述するように、冷却ダクトカバー10は、内箱12に対して着脱可能になっている。冷却ダクトカバー10を取り外すと、
図2Bに示すように、蒸発器20が視認可能となる。第1の取付部材30及び第2の取付部材40が、内箱係合部により内箱12に取り付けられている。蒸発器20は、内箱12に取り付けられた第1の取付部材30及び第2の取付部材40に支持されている。つまり、蒸発器20は、第1の取付部材30及び第2の取付部材40を介して、内箱12に取り付けられている。
【0030】
図3Aに拡大して示すように、第1の取付部材30は、湾曲支持面を有する蒸発器支持部34を備える。蒸発器支持部34の湾曲支持面が、蒸発器20の冷媒管22Aのベント部22A2と当接して、蒸発器20を支持する。同様に、
図3Bに拡大して示すように、第2の取付部材40も、湾曲支持面を有する蒸発器支持部44を備える。蒸発器支持部44の湾曲支持面が、蒸発器20の冷媒管22Aのベント部22A2と当接して、蒸発器20を支持する。
【0031】
更に、第1の取付部材30は、冷却ダクトカバー10と係合して冷却ダクトカバー10を保持する冷却ダクトカバー係合部36を備える。第2の取付部材40も、冷却ダクトカバー10と係合して冷却ダクトカバー10を保持する冷却ダクトカバー係合部46を備える。つまり、冷却ダクトカバー10は、第1の取付部材30及び第2の取付部材40を介して、内箱12に取り付けられている。
【0032】
(取付構造の詳細)
次に、
図5Aから
図9を参照しながら、第1の取付部材30及び第2の取付部材40を用いた蒸発器20、冷却ダクトカバー10等の取り付け構造の更に詳細な説明を行う。
【0033】
図5Aは、第1の取付部材30を前側から見た斜視図である。
図5Bは、第1の取付部材30を後側から見た斜視図である。
図6Aは、第1の取付部材30を取り付ける前の内箱12の状態を示す斜視図である。
図6Bは、第1の取付部材30を取り付けた後の内箱12の状態を示す斜視図である。
図6Cは、
図6Bに示す状態から、折り畳まれていた第1の取付部材30のフラップ部38を回転させて内箱12の内面と繋げた状態を示す斜視図である。
図7は、第1の取付部材30により蒸発器20を支持する状態を示す斜視図である。
図8は、第2の取付部材40を前側から見た斜視図である。
図9は、第2の取付部材40により蒸発器20を支持する状態を示す斜視図である。
【0034】
(取付部材の取付構造)
はじめに、第1の取付部材30及び第2の取付部材40が内箱12に取り付けられた構造を説明する。
第1の取付部材30は、弾性を有する樹脂材料で形成するのが好ましい。
図5Bに示すように、第1の取付部材30は、本体32と、本体32と一体的に形成された内箱係合部32A1、32A2とを備える。内箱係合部32A1は、本体32の内箱12と接する面部に沿って延びた領域を有する。後述するように、第1の取付部材30を右方向にスライドさせることにより(
図6Bの矢印B参照)、当該領域が内箱12に設けられた横孔部14A1(
図6A参照)に挿入されて、両者が係合する。内箱係合部32A2も本体32の面部に沿って延びており、同様に、第1の取付部材30を右方向にスライドさせることにより(
図6Bの矢印B参照)、内箱係合部32A2が内箱12に設けられた横孔部14A2(
図6A参照)に挿入されて、両者が係合する。
【0035】
また、第1の取付部材30を左右方向にスライドさせるときの位置決めを行うガイド凸部32Bが、第1の取付部材30の内箱12と接する面部に設けられている。第1の取付部材30を左右方向にスライドさせるとき、ガイド凸部32Bが内箱12に設けられたガイド溝部16(
図6A参照)の中を摺動して、移動方向をガイドするようになっている。
【0036】
更に、
図5Aに示すように、第1の取付部材30は、本体32と一体的に形成された蒸発器支持部34を備える。蒸発器支持部34は、蒸発器20の冷媒管部22のベント部22A2と接する湾曲支持面を有する。蒸発器支持部34の上側の湾曲支持面が、上側のベント部22A2の下側の面と当接する。蒸発器支持部34の下側の湾曲支持面が、下側のベント部22A2の上側の面と当接する。蒸発器20の荷重を考えると、蒸発器支持部34の上側の湾曲支持面と上側のベント部22A2との間の面圧がより大きいと考えられる。
【0037】
第2の取付部材40も、弾性を有する樹脂材料で形成するのが好ましい。第2の取付部材40も、第1の取付部材30とほぼ同様な構成を有する。
図8に示すように、第2の取付部材40も、本体42と、本体42と一体的に形成された内箱係合部42Aを備える。図示されていないが、本体42の内箱12と接する側の面部に、更なる内箱係合部が一体的に形成されている。
【0038】
本体42の内箱12と接する面部には、内箱12に設けられたガイド溝内を摺動するガイド凸部も一体的に形成されている。第2の取付部材40を左方向にスライドさせることにより、内箱係合部42Aが内箱12に設けられた横孔部に挿入されて、両者が係合する。
【0039】
図8に示すように、第2の取付部材40も、本体42と一体的に形成された蒸発器支持部44を備える。第1の取付部材30の蒸発器支持部34は、上側のベント部22A2及び下側のベント部22A2と当接するようになっているが、第2の取付部材40の蒸発器支持部44は、1つのベント部22A2を囲むように当接する。
【0040】
このように、内箱係合部32A1,32A2で内箱12に取り付けられた第1の取付部材30に形成された蒸発器支持部34と、内箱係合部42A等で内箱12に取り付けられた第2の取付部材40に形成された蒸発器支持部44とにより、蒸発器20を安定して支持することができる。これにより、蒸発器20を確実に内箱12に固定することができる。
【0041】
(接続配管保持部)
本実施形態では、蒸発器20の冷媒管22Aの列が奇数列なので、冷媒管部22の側方を上下に延びる第2の接続配管26Bが存在する。第1の取付部材30は、更に、第2の接続配管26Bを保持する接続配管保持部32Cを備える。更に詳細に述べれば、接続配管保持部32Cは、蒸発器支持部34の側面と、本体32から立設した支持部32C1の間で、上下に延びる第2の接続配管26Bを保持するようになっている。
【0042】
接続配管保持部32Cにより、第2の接続配管26Bが外に広がって、冷却流路内の他の部材と干渉するのを防ぎ、冷媒の流動により第2の接続配管26Bが振動するのを抑制することができる。蒸発器支持部34の側面と支持部32C1との間に弾性を有する部材を配置して、第2の接続配管26Bを弾性変形した部材で押さえることにより、第2の接続配管26Bをより確実に保持し、より確実に振動を抑えることができる。
【0043】
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫2は、冷媒管22Aの列が前後に奇数列にわたって繋がれており、冷媒管部22の一方の端部が冷媒管部の上側に位置し、冷媒管部22の他方の端部が冷媒管部22の下側に位置し、冷媒管部22の他方の端部と繋がり、冷媒管部22の側部を上下に延びる第2の接続配管26Bを更に備え、第1の取付部材30は、第2の接続配管26Bを保持する接続配管保持部32Cを備える。
【0044】
本実施形態によれば、蒸発器20を取り付ける第1の取付部材30が、第2の接続配管26Bを保持する接続配管保持部32Cを備えるので、第2の接続配管26Bを冷媒管部22の側部に保持し、第2の接続配管26Bの振動を抑制することができる。
【0045】
図5A、5Bに示すように、第1の取付部材30は、回転軸38Aを回転中心として、本体32に回転自在に取り付けられたフラップ部38を備える。
図8に示すように、第2の取付部材40も、回転軸48Aを回転中心として、本体42に回転自在に取り付けられたフラップ部48を備える。フラップ部38,48の機能については後述する。
【0046】
(取付部材の取り付け方法)
次に、
図6Aから
図6Cを参照しながら、第1の取付部材30を例にとって、取付部材30,40を内箱12に取り付ける方法を説明する。
図6Aに示すように、内箱12の第1の取付部材30を取り付ける領域には、第1の取付部材30の内箱係合部32A1が挿入される横孔部14A1と、第1の取付部材30の内箱係合部32A2が挿入される横孔部14A2とが形成されている。横孔部14A1及び横孔部14A2の間には、第1の取付部材30のガイド凸部32Bが摺動するガイド溝16が設けられている。また、内箱12の横孔部14A1が設けられた面は、周囲の面よりも凹んだように形成され(矢印D参照)、矢印Cに示すような段差面Cが形成されている。
【0047】
このような内箱12の領域に、第1の取付部材30のガイド凸部32Bが内箱12のガイド溝16に入るように、第1の取付部材30を内箱12側に押し付ける。このとき、
図6Bに示すように、第1の取付部材30が、段差面Cと干渉することなく、周囲の面よりも凹んだ領域Dに配置されるように、フラップ部38が畳まれた状態になっている。このとき、取付部材30の内箱係合部32A1及び32A2は、それぞれ内箱12の横孔部14A1及び14A2の左側に配置される。
【0048】
その後、ガイド凸部32B及びガイド溝16でガイドされながら、第1の取付部材30を右方向にスライドさせる(
図5A,5B,6Bの矢印B参照)。これにより、内箱係合部32A1が横孔部14A1に挿入されて、両者が係合する。同様に、内箱係合部32A2が横孔部14A2に挿入されて、両者が係合する。これにより、第1の取付部材30が内箱12に固定される。
【0049】
このように、フラップ部38を畳むことにより、第1の取付部材30を左右にスライドさせるスペースが生じる。第1の取付部材30を内箱12に固定した後、
図6Cに示すように、畳まれていたフラップ部38を回転させて、左側に伸ばすことにより、第1の取付部材30をスライドさせるスペースとなる周囲の面よりも凹んだ領域Dを、フラップ部38で覆うことができる。これにより、段差面Cもフラップ部38で覆われ、
図6Cの矢印Eに示すように、内箱12の内面とフラップ部38の面が連続した取り付け状態が形成される。
【0050】
この状態で、仮に、第1の取付部材30を左へ移動させる力が加わっても、横に伸びたフラップ部38で拘束されるので、移動することはない。このため、第1の取付部材30に何らかの力が加わっても、第1の取付部材30が内箱12に固定された状態を確実に保持することができる。
【0051】
第2の取付部材40を内箱12に取り付ける方法も、上記の第1の取付部材30の場合と同様である。第1の取付部材30と同様に、ガイド凸部及びガイド溝でガイドされながら、第2の取付部材40を左方向にスライドさせる。これにより、内箱係合部42A等が内箱12に設けられた横孔部に挿入されて、両者が係合する。これにより、確実に第2の取付部材40が内箱12に固定される。第2の取付部材40も、本体42に回転自在に取り付けられたフラップ部48を備える。フラップ部48の機能は、上記の第1の取付部材30のフラップ部38と同様であり、更に詳細な説明は省略する
【0052】
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫2では、内箱12の後側の内面に横孔部14A1,14A2が設けられ、内箱係合部32A1,32A2(42A)は、取付部材30,40を左右方向にスライドさせることにより、横孔部14A1,14A2に挿入されて横孔部14A1,14A2と係合するように形成され、内箱係合部32A1,32A2(42A)及び横孔部14A1,14A2の係合により、取付部材30,40が内箱12に取り付けられる。
【0053】
本実施形態によれば、取付部材30,40を左右方向にスライドさせることにより、内箱係合部32A1,32A2(42A)及び横孔部14A1,14A2を係合させて、ネジ等の締結部材を用いることなく、容易に確実に取付部材30,40を内箱12に取り付けることができる。
【0054】
更に、本実施形態に係る冷蔵庫2では、取付部材30,40が、回転自在に取り付けられたフラップ部38,48を有し、フラップ部38,48を畳むことにより、内箱12の内面と干渉することなく、取付部材30,40を左右方向にスライドさせて、取付部材30,40を内箱12に取り付けることができ、取付部材30,40を内箱12に取り付けた後、畳まれたフラップ部38,48を回転させて左右方向に伸ばすことにより、内箱12の内面とフラップ部38,48の面が連続した取り付け状態が形成される。
【0055】
本実施形態によれば、回転自在に取り付けられたフラップ部38,48を畳むことにより、内箱12の内面と干渉することなく、取付部材30,40を左右方向にスライドさせて、取付部材30,40を内箱12に取り付けることができ、その後、畳まれたフラップ部38,48を伸ばすことにより、内箱12の内面とフラップ部の面が連続した取り付け状態を形成できる。これにより、確実に取付部材30,40を内箱12に取り付けることができるとともに、内箱12の内面とフラップ部38,48の面が連続した気体の流動抵抗の少ない収納領域の内面を得ることができる。更に、取付部材30,40に何らかの力が加わっても、伸ばされたフラップ部38,48に拘束されて、取付部材30,40が内箱12に固定された状態を確実に保持することができる。
【0056】
(蒸発器の取り付け方法)
次に、内箱12に第1の取付部材30及び第2の取付部材40が取り付けられた状態から、蒸発器20を取り付ける方法を説明する。蒸発器20のベント部22A2が、第1の取付部材30の蒸発器支持部34の湾曲支持面上に載置され、第2の取付部材40の蒸発器支持部44の湾曲支持面上に載置されるように、蒸発器20を内箱12の後ろ側に押し込む。このとき、蒸発器20の冷媒管部22の側方を上下に延びる第2の接続配管26Bが、接続配管保持部32Cに収まるようにする。
【0057】
これにより、
図7、
図9に示すように、内箱12に取り付けられた第1の取付部材30及び第2の取付部材40を介して、確実に蒸発器20を内箱12に取り付けることができる。
【0058】
冷媒管の列が3列以上の厚い蒸発器では、蒸発器の厚み寸法が大きくなって、内箱に設けられた凹部内に収めることが困難である。また、蒸発器全体を支持する大きな取付プレートを用いて内箱に取り付ける場合には、厚み方向の寸法が増大して、収納領域が狭められ、収納効率が低下する。
【0059】
一方、本実施形態に係る冷蔵庫2は、複数の直管部22A1がベント部22A2で繋がれて左右に蛇行しながら上下に延びた冷媒管22Aの列が前後に3列以上にわたって繋がれた冷媒管部22、及び冷媒管部22に取り付けられた複数の冷却フィン24を有する蒸発器20と、蒸発器20を内箱12に取り付ける取付部材30と、を備え、取付部材30,40は、内箱12と係合する内箱係合部32A1,A2,42Aと、冷媒管部22のベント部22A2と接する湾曲支持面を有する蒸発器支持部34,44と、を備える。
【0060】
本実施形態によれば、取付部材30,40は、冷媒管部22のベント部22A2と接する湾曲支持面を有する蒸発器支持部34,44を備えるので、厚み方向の寸法を増やすことなく、安定して蒸発器20を保持することができる。よって、取付部材30,40を用いることにより、冷媒管22Aの列が3列以上の厚い蒸発器20であっても、収納効率の低下を抑えて、確実に蒸発器20を内箱12に取り付けることができる。
【0061】
(冷却ダクトカバーの取付構造、取付方法)
第1の取付部材30は、冷却ダクトカバー10の外面側と係合する内面を有する冷却ダクトカバー係合部36を備える。冷却ダクトカバー係合部36は、本体32と一体的に形成され、本体32に対して概ね直交するように延びており、内外面を貫通する孔部36Aが設けられている。第2の取付部材40も、冷却ダクトカバー10の外面側と係合する内面を有する冷却ダクトカバー係合部46を備える。冷却ダクトカバー係合部46も、本体42と一体的に形成され、本体42に対して概ね直交するように延びており、内外面を貫通する孔部46Aが設けられている。
【0062】
第1の取付部材30の冷却ダクトカバー係合部36の内面と第2の取付部材40の冷却ダクトカバー係合部46の内面との間の間隔は、冷却ダクトカバー10を取り付けたときにガタ付かないように、冷却ダクトカバー10の外寸法と同寸法または僅かに小さくなっている。また、冷却ダクトカバー10の右側の側部には、
図4Bに示すように、外面が外側に凸の係合部10Bを備える。図示されていないが、冷却ダクトカバー10の左側の側部の外面にも外側に凸の係合部を備える。
【0063】
第1の取付部材30及び第2の取付部材40が内箱12に取り付けられ、更に蒸発器20が第1の取付部材30及び第2の取付部材40を介して内箱12に取り付けられた状態で、冷却ダクトカバー10を被せる。具体的には、ダクトカバー10の右側の側部が、
図7の矢印Fに示す領域に挿入される。ダクトカバー10を押し込んでいくと、凸形状のダクトカバー10の右側の係合部10Bが、第1の取付部材30の冷却ダクトカバー係合部36の孔部36Aに入り込んで係合状態となる。これと同時に、ダクトカバー10の左側の側部も、
図8の矢印Gに示す領域に挿入される。ダクトカバー10を押し込んでいくと、凸形状のダクトカバー10の左側の係合部が、第2の取付部材40の冷却ダクトカバー係合部46の孔部46Aに入り込んで係合状態となる。なお、凸形状のダクトカバー10の係合部10B等が、冷却ダクトカバー係合部36,46の内面と接する状態では、冷却ダクトカバー係合部36,46は若干外側に弾性変形し、係合部10B等が孔部36A,46Aに入ったときに、元の状態に戻る。これにより、冷却ダクトカバー10が、第1の取付部材30及び第2の取付部材40に固定される。
【0064】
一方、冷却ダクトカバー10が取り付けられた状態で、第1、第2の取付部材30,40の冷却ダクトカバー係合部36,46を少し外側に広げ、冷却ダクトカバー10を手前に引くとこにより、冷却ダクトカバー10を取り外すことができる。このように、第1の取付部材30及び第2の取付部材40を用いることにより、冷却ダクトカバー10を容易に内箱12に対して着脱することができる。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫2は、収納領域と区画して蒸発器20が配置された冷却流路を形成する冷却ダクトカバー10を更に備え、取付部材30,40は、冷却ダクトカバー10と係合する冷却ダクトカバー係合部36,46を備え、内箱係合部32A1,32A2,42Aで内箱12に取り付けられ、冷却ダクトカバー係合部36,46で冷却ダクトカバー10と係合する取付部材30,40により、冷却ダクトカバー10が内箱12に取り付けられる。
【0066】
本実施形態によれば、蒸発器20を取り付ける取付部材30,40が冷却ダクトカバー係合部36,46を備えるので、取付部材30,40により、蒸発器20だけでなく、冷却ダクトカバー10も確実に内箱12に取り付けることができる。
【0067】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0068】
2 冷蔵庫
4 外箱
6 扉
8 冷凍室
10 冷却ダクトカバー
10A 開口
10B 係合部
12 内箱
14A1,14A2 横孔部
16 ガイド溝
20 蒸発器
22 冷媒管部
22A 冷媒管
22A1 直管部
22A2 ベント部
24 冷却フィン
26A 第1の接続配管
26B 第2の接続配管
28 アキュムレータ
30 第1の取付部材
32 本体
32A1,32A2 内箱係合部
32B ガイド凸部
32C 接続配管保持部
34 蒸発器支持部
36 冷却ダクトカバー係合部
36A 孔部
38 フラップ部
38A 回転軸
40 第2の取付部材
42 本体
42A 内箱係合部
44 蒸発器支持部
46 冷却ダクトカバー係合部
46A 孔部
48 フラップ部
48A 回転軸
50 除霜ヒータ