(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147952
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】再生品管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/30 20230101AFI20241009BHJP
【FI】
G06Q10/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060721
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智宏
(72)【発明者】
【氏名】澤田 和久
(72)【発明者】
【氏名】寺島 昂
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直哉
(72)【発明者】
【氏名】菅原 道雄
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 純
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 純平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】確実且つ効率良く再生品を管理できる再生品管理システムを提供する。
【解決手段】再生品管理システム1は、サーバ200と、サーバ200と通信可能にそれぞれ接続された代理店端末300及び再生工場端末400とを備える。代理店端末300は、再生候補部品が再生可能と判定された場合に返却報告書351を作成し、再生不可と判定された場合に全損報告書352を作成する。再生工場端末400は、代理店端末300により作成された全損報告書352に基づき、再生候補部品の再生不可を承認するか否かを判定し、判定結果に基づいて代理店端末300に指示する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械のサービス拠点に設けられた第1端末及び前記機械の部品の再生拠点に設けられた第2端末を備えた再生品管理システムであって、
前記第1端末は、
前記機械から取り外された部品を再生候補部品とし、前記再生候補部品が前記サービス拠点において再生可能と判定されたことを示す入力を受け付けた場合、前記再生候補部品を前記再生拠点に返却する処理を行うための返却データを作成し、
前記再生候補部品が前記サービス拠点において再生不可と判定されたことを示す入力を受け付けた場合、前記再生候補部品を廃棄する処理を行うための全損データを作成し、
作成した前記返却データ又は前記全損データを前記第2端末に送信し、
前記第2端末は、
前記第1端末により作成された前記全損データを受信し、前記再生候補部品が前記再生拠点において再生不可であることを承認するか否かを示す入力を受け付けた場合、当該承認結果を前記第1端末に送信することを特徴とする再生品管理システム。
【請求項2】
前記第2端末は、
前記再生候補部品が前記再生拠点において再生不可であることを承認することを示す入力を受け付けた場合、前記第1端末に前記再生候補部品の廃棄を指示する廃棄指示を送信し、
前記再生候補部品が前記再生拠点において再生不可であることを承認しないことを示す入力を受け付けた場合、前記再生候補部品の前記再生拠点への返却を求める処理を行うための返却データを作成するとともに、前記第1端末に前記返却データを送信して前記再生候補部品の前記再生拠点への返却を指示する返却指示を送信する請求項1に記載の再生品管理システム。
【請求項3】
前記第1端末及び前記第2端末に通信可能に接続されるサーバを有し、
前記サーバは、前記第1端末により作成された前記全損データを受信した場合には、前記第2端末からの承認結果を受信するまで、前記第1端末により作成された前記全損データを記憶しておく請求項1又は2に記載の再生品管理システム。
【請求項4】
前記第2端末は、前記サービス拠点又は前記再生拠点において再生可能と判定された前記再生候補部品が前記再生拠点に到着した場合、前記第1端末により作成された前記返却データに含まれる前記再生候補部品の画像データ又は前記第2端末が作成した前記返却データに含まれる前記再生候補部品の画像データに基づいて、前記再生候補部品を前記再生拠点で受け入れる処理を行うための受入検査データを作成する請求項2に記載の再生品管理システム。
【請求項5】
前記第2端末は、前記再生拠点において受け入れられた前記再生候補部品について、その構成部品に分解する作業に用いられ、当該分解された各構成部品のそれぞれの使用履歴を含む情報が入力される分解データを作成する請求項4に記載の再生品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
再生品は、リサイクル品ともいい、すなわち部品の再利用のことである。従来、再生品管理システムとして、再生品の情報をデータベースで一元管理し、再生可能な部品と再生不可の部品に分類し、再生可能な割合を算出する技術が知られている。しかしながら、再生不可と判定された部品であっても、それを構成する小単位の部品の中に再生可能なものが含まれることもある。従って、再生可能な割合を算出するだけでは、再生可能な部品および再生不可の部品の分類が十分ではない。そのため、再生品の完全な再利用を実現し難いという問題が残る。
【0003】
このような問題を解決するために、例えば下記特許文献1に記載の技術を用いることが考えられる。すなわち、再利用の対象商品に製品ID(Identification)を関連付けて、検査機で製品IDを読み取ることで再利用の可否を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術の場合、検査機を設置するための費用やメンテナンスのコストの問題が新たに生じる。また、特許文献1に記載の技術を建設機械に適用した場合、建設機械は多くの部品で構成されるので、全ての部品にIDを関連付けて管理して検査機で検査すると、工数が増えるのみならず、検査にも時間を要し、効率的に再生品を管理することができない。更に、再生不可と判定された部品であっても、それを構成する小単位の部品の中に再生可能なものが含まれることがあるので、依然として部品の再利用を確実に管理するのは困難であった。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明は、確実且つ効率良く再生品を管理できる再生品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る再生品管理システムは、機械のサービス拠点に設けられた第1端末及び前記機械の部品の再生拠点に設けられた第2端末を備えた再生品管理システムであって、前記第1端末は、前記機械から取り外された部品を再生候補部品とし、前記再生候補部品が前記サービス拠点において再生可能と判定されたことを示す入力を受け付けた場合、前記再生候補部品を前記再生拠点に返却する処理を行うための返却データを作成し、前記再生候補部品が前記サービス拠点において再生不可と判定されたことを示す入力を受け付けた場合、前記再生候補部品を廃棄する処理を行うための全損データを作成し、作成した前記返却データ又は前記全損データを前記第2端末に送信し、前記第2端末は、前記第1端末により作成された前記全損データを受信し、前記再生候補部品が前記再生拠点において再生不可であることを承認するか否かを示す入力を受け付けた場合、当該承認結果を前記第1端末に送信することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る再生品管理システムでは、第1端末は、再生候補部品がサービス拠点において再生不可と判定されたことを示す入力を受け付けた場合、再生候補部品を廃棄する処理を行うための全損データを作成し、第2端末は、その全損データを受信し、該再生候補部品が再生拠点において再生不可であることを承認するか否かを示す入力を受け付けた場合、当該承認結果を第1端末に送信する。このように第1端末と第2端末とが連携し、機械から取り外された部品に対して再生可否の判定を行うことで、再生品を確実に管理することができる。また、従来のように全ての部品にIDを関連付けて検査機で再生判定する場合と比べて、効率を高めることができる。その結果、確実且つ効率良く再生品を管理することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、確実且つ効率良く再生品を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る再生品管理システムを示す概略構成図である。
【
図2】実施形態に係る再生品管理システムを示すブロック図である。
【
図3】再生品管理システムの処理を示すフローチャートである。
【
図4】返却報告書を作成する際に表示される画面の一例を示す図である。
【
図5】再生品管理システムの変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る再生品管理システムの実施形態を説明する。図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、重複説明は省略する。また、本発明でいう「再生品」は、例えば機械のメンテナンス作業で交換により取り外された部品のうち、再生可能と判定された部品を意味する。交換により機械から取り外された部品には、不具合が生じたものだけでなく、所定の使用期間が経過したものや、予防的に交換するものも含まれる。本実施形態において、この交換により機械から取り外された部品は、再生候補部品とされている。従って、以下の説明では機械から取り外された部品を「再生候補部品」と呼ぶ場合がある。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の再生品管理システム1は、機械10(例えば、油圧ショベルなどの建設機械)の販売及びメンテナンス等のサービスを提供するサービス拠点である代理店30に配置された代理店端末300と、機械10の点検等のメンテナンス作業を行うサービス員が持つ代理店携帯端末100と、機械10の各部品の情報を管理するサーバ200と、機械10の部品の再生を行う再生拠点である再生工場40に配置された再生工場端末400と、再生工場40の作業員が持つ再生工場携帯端末500と、を備えている。代理店携帯端末100、代理店端末300、再生工場端末400、及び再生工場携帯端末500は、それぞれネットワーク20を介してサーバ200と通信可能に接続されている。
【0013】
代理店携帯端末100は、例えばスマートフォン、タブレット端末、携帯電話、PDA(Personal Data Assistant)などからなり、代理店30のサービス員に携帯され、機械10のメンテナンスを行う際に使用されている。
図2に示すように、代理店携帯端末100は、表示部110、撮像部120、通信部130、入出力I/F(入出力インターフェース)140、及びデータ収集部150を有する。
【0014】
表示部110は、例えばディスプレイからなり、機械10の点検項目等の様々な情報を表示する。撮像部120は、例えば代理店携帯端末100に内蔵されたカメラからなり、撮影した被写体の画像データを生成する。通信部130は、例えばネットワーク20と接続するための無線機であり、サービス員によって入力された情報をサーバ200に送信したり、サーバ200からメールなどの情報を受信したりする。
【0015】
入出力I/F140は、例えば代理店携帯端末100の表示部110に表示されたタッチパネルやキーボードなどによって構成され、あるいは、代理店携帯端末100に備え付けられたボタン等によって構成されている。例えば機械10の点検作業で部品の交換があった場合、サービス員は、入出力I/F140への入力操作で点検日時、点検内容、及び交換により取り外され部品(すなわち、再生候補部品)の情報等を記載した点検レポートを作成することができる。点検レポートが作成されると、サーバ200に送信される。また、サービス員は、再生候補部品が再利用可能か否かの判定結果を入出力I/F140に入力することができる。
【0016】
データ収集部150は、入出力I/F140の入力操作に応じて、任意の機械10に関する情報をサーバ200から収集する。サービス員は、データ収集部150を介して特定の機械10に関するデータの有無をチェックでき、そのデータを取得することもできる。例えば機械10の点検作業を実施する際に、サービス員は、点検対象となる機械10を特定するための識別番号を入出力I/F140に入力し、データ収集部150を介して該機械10の部品交換履歴等をサーバ200から取得することで、該機械10の部品交換状況を把握することができる。
【0017】
また、入出力I/F140への操作入力で、点検内容、部品交換があった場合に再生候補部品の情報を、サーバ200から取得した機械10の部品交換履歴に追加し、点検レポートを作成することができる。点検レポートには、点検様子を示す画像データ、及び再生候補部品の画像データ等が含まれている。点検レポートが作成されると、通信部130及びネットワーク20を介しサーバ200に送信される。サーバ200は、送信された点検レポートを記憶部210(後述する)に記憶させる。
【0018】
代理店端末300は、特許請求の範囲に記載の「第1端末」に相当するものであって、サービス員のメンテナンス作業をサポートしたり、代理店携帯端末100の入力を管理したり、各報告書などを作成したりする機能を有する。
図2に示すように、代理店端末300は、通信部310、操作部320、表示部330、データ収集部340、及び報告書作成部350を有する。
【0019】
通信部310は、例えばネットワーク20と接続するための無線機であり、操作部320を介して入力された各情報、報告書作成部350で作成した各報告書をサーバ200に送信したり、サーバ200からメールなどの情報を受信したりする。操作部320は、例えば代理店端末300に備え付けられたキーボードなどである。
【0020】
表示部330は、例えばディスプレイからなり、サーバ200から送信された各情報を表示する。また、表示部330は、タッチパネルも表示するように構成されてもよい。このようにすれば、表示部330に表示されたタッチパネルを介して様々な入力操作を行うことが可能である。
【0021】
データ収集部340は、操作部320の入力操作に応じて、任意の機械10に関する情報をサーバ200から収集する。例えば特定の機械10の点検レポートを取得したいとき、代理店の管理者等は、操作部320を用いてその機械10の識別番号を入力し、通信部310及び操作部320を介してサーバ200からその機械10の点検レポートを取得することができる。なお、取得した特定の機械10の点検レポートは、表示部330に表示される。
【0022】
報告書作成部350は、機械10の点検レポートに記載された再生候補部品の再生可否判定結果に基づいて、各報告書を作成する。具体的には、報告書作成部350は、再生候補部品が再生可能と判定された場合に返却報告書351を作成し、再生不可と判定された場合に全損報告書352を作成する。
【0023】
返却報告書351は、再生候補部品が再生可能と判定され、その再生候補部品を再生工場40に返却するための報告書である。全損報告書352は、再生候補部品が再生不可と判定され、その再生候補部品を廃棄するための報告書である。なお、これらの報告書が作成されると、通信部310及びネットワーク20を介してサーバ200に送信される。
【0024】
図1に示すように、報告書作成部350によって作成される返却報告書351及び全損報告書352は、再生候補部品の全体像および詳細を表示するための画像データ領域351a及び352aと、機械識別情報、返却区分(返却報告書351の場合)などの関連情報を表示するためのテキスト領域351b及び352bとを有する。なお、再生可能か否かの判定結果自体は、発行される報告書の種類で代替できるため、記載が省略されていてもよい。
【0025】
サーバ200は、機械10の製造メーカの本社、支社、工場或いは管理センタに設置されている。サーバ200は、ネットワーク20を介して代理店携帯端末100、代理店端末300、再生工場端末400、及び再生工場携帯端末500とそれぞれ無線通信で接続され、代理店携帯端末100、代理店端末300、再生工場端末400、及び再生工場携帯端末500から送信された各情報を記憶して管理するとともに、これらの端末の要求に応じて各情報を提供する。例えば、サーバ200は、代理店携帯端末100から送信された点検レポート、代理店端末300及び再生工場端末400から送信された報告書、並びに、再生工場携帯端末500から送信された受入部品の情報及分解部品の情報をそれぞれ記憶して管理する。
【0026】
サーバ200は、例えば演算を実行するCPU(Central Processing Unit)と、演算のためのプログラムを記憶した二次記憶装置としてのROM(Read Only Memory)と、演算経過の保存や一時的な制御変数を保存する一時記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)とを組み合わせてなるマイクロコンピュータにより構成されており、記憶されたプログラムの実行によって各処理を行う。
【0027】
また、サーバ200は、代理店端末300から送信された各報告書に対して分類を行う。更に、サーバ200は、代理店端末300により作成された返却報告書351が送信された場合、再生工場端末400から送信依頼があるまで、代理店端末300により作成された返却報告書351を記憶しておく。
【0028】
サーバ200は記憶部210を有する。記憶部210は代理店携帯端末100、代理店端末300、再生工場端末400、及び再生工場携帯端末500から送信された各情報を記憶する。また、記憶部210は、代理店端末300および再生工場端末400から送信された各報告書を蓄積する報告書DB(Data Base)220及び過去報告書DB230を有する。報告書DB220は、承認依頼中の報告書や仕掛中の報告書などの処理待ちの報告書を蓄積する。一方、過去報告書DB230は、処理済の報告書を蓄積する。これらのDBには、報告書のデータと、報告書のデータに関連する情報(画像データ、点検コメントなど)とが対応付けられた形で蓄積されている。
【0029】
再生工場端末400は、特許請求の範囲に記載の「第2端末」に相当するものであり、通信部410、操作部420、表示部430、判定処理部440、報告書作成部450、及びデータ収集部460を有する(
図2参照)。通信部410は、例えばネットワーク20と接続するための無線機であり、操作部420を介して入力された情報をサーバ200に送信したり、サーバ200からの情報を受信したりする。操作部420は、例えば再生工場端末400に備え付けられたキーボードなどである。
【0030】
表示部430は、例えばディスプレイからなり、サーバ200から送信された各情報を表示する。また、表示部430は、タッチパネルも表示するように構成されてもよい。このようにすれば、表示部430に表示されたタッチパネルを介して様々な入力操作を行うことが可能である。
【0031】
判定処理部440は、代理店端末300によって全損報告書352が作成された場合、代理店端末300からの承認依頼に基づき、再生候補部品の再生不可を承認するか否かを判定する。このとき、再生工場端末400は、判定処理部440の判定結果に基づいて代理店端末300に指示を送信する。
【0032】
報告書作成部450は、判定処理部440が再生候補部品の再生不可を承認しないと判定した場合に、該再生候補部品の再生工場40への返却を求める返却報告書451を作成する。一方、判定処理部440が再生候補部品の再生不可を承認すると判定した場合、報告書作成部450は返却報告書451を作成しない。
【0033】
また、報告書作成部450は、再生工場端末400に送付された再生候補部品の実物と、代理店端末300により作成された返却報告書351に含まれる再生候補部品の画像データ又は自ら作成した返却報告書451に含まれる再生候補部品の画像データとに基づいて、再生候補部品の受入検査報告書452を作成する。
【0034】
部品は、通常、複数の小単位の部品で構成されているため、再生工場端末400は、再生可能であると判断された部品(すなわち、再生品)をさらに小単位の部品に分解するとともに、分解した小単位の部品の関連情報を管理する。この場合、報告書作成部450は、上記受入検査報告書452の作成後、再生候補部品を構成する小単位の部品に分解する分解報告書453を更に作成する。分解報告書453には、再生候補部品の使用履歴が含まれる。
【0035】
図1に示すように、報告書作成部450によって作成される返却報告書451、受入検査報告書452及び分解報告書453は、再生候補部品の全体像および詳細を表示するための画像データ領域451a、452a及び453aと、機械識別情報、返却区分(返却報告書451の場合)などの関連情報を表示するためのテキスト領域451b、452b及び453bとを有する。
【0036】
データ収集部460は、操作部420の入力操作に応じて、任意の機械10に関する情報をサーバ200から収集する。例えば特定の機械10の情報を取得したいとき、再生工場端末400の管理者等は、操作部420を用いてその機械10の識別番号を入力し、通信部410及びネットワーク20を介してサーバ200からその機械10の情報を取得することができる。
【0037】
再生工場携帯端末500は、上記代理店携帯端末100と同じ構造を有するものであり、例えばスマートフォン、タブレット端末、携帯電話、PDA(Personal Data Assistant)などからなり、再生工場40の作業員に携帯され、再生候補部品の受入検査作業及び分解作業の際に使用されている。
図2に示すように、再生工場携帯端末500は、表示部510、撮像部520、通信部530、入出力I/F(入出力インターフェース)540、及びデータ収集部550を有する。表示部510、撮像部520、通信部530、入出力I/F(入出力インターフェース)540、及びデータ収集部550の構造及び機能は、代理店携帯端末100と同様であるため、詳細説明を省略する。
【0038】
以下、
図3に基づいて再生品管理システム1の処理を説明する。
【0039】
初めに、代理店30のサービス員による機械10の点検作業が実施される(ステップS1)。具体的には、まず、サービス員が代理店携帯端末100を利用して、点検対象となる機械10の情報(例えば建設機械の種別)を入力し、該機械10の点検レポートをサーバ200に要求する。
【0040】
サーバ200は、入力された機械10の情報に対応する点検レポートを代理店携帯端末100に提供する。具体的には、機械10の点検履歴がない場合に、サーバ200は、点検履歴なしの点検レポートにアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)付きメールを代理店携帯端末100に送信する。点検履歴がある場合に、サーバ200は、点検履歴付きの点検レポートにアクセスするためのURL付きメールを代理店携帯端末100に送信する。
【0041】
また、部品の交換履歴があった場合、点検レポートには部品の交換履歴が記載されている。部品の交換履歴は機械ごとに異なるため、点検レポートの要求を受信すると、サーバ200において入力された機械10の情報との整合が確認されれば、機械の種別に応じて点検レポートが代理店携帯端末100に提供される。提供される点検レポートは、上述したように、サーバ200に記憶された点検レポートにアクセスするためのURL付きメールが送信される。これによって、サービス員は容易に点検レポートにアクセスすることができる。
【0042】
次に、サービス員は、表示部110に表示された点検レポートの項目等に沿って、機械10の点検作業を実施する。そして、部品の交換が生じた場合、サービス員は、入出力I/F140の入力操作で対象部品を指定し、交換日時などを入力し、更に撮像部120を用いて交換により機械10から取り外した部品(すなわち、再生候補部品)の画像を撮影し、該再生候補部品の画像データを利用して新たな点検レポートを作成する。
【0043】
また、サービス員は、再生候補部品が再生可能な否かを判定する(ステップS2)。このとき、サービス員は、再生候補部品の使用期間、損傷状態、摩耗状態等に基づいて再生可能か否かを判定し、入出力I/F140の操作入力でその判定結果を点検レポートに記載する。作成された点検レポートは、通信部130及びネットワーク20を介してサーバ200に送信される。サーバ200は、送信された点検レポートを記憶部210に記憶させる。
【0044】
代理店30の管理者等は、代理店端末300の操作部320を用いて機械10の情報を入力し、サーバ200から機械10の点検レポートを取得する。取得した点検レポートに再生候補部品が再生可能の判定結果が記載された場合、代理店端末300の報告書作成部350は、その再生候補部品に関する返却報告書351を作成する(ステップS3)。上述したように、サービス員により作成された点検レポートには、再生候補部品の画像データが含まれている。従って、報告書作成部350は、点検レポートに含まれる再生候補部品の画像データを使い、返却報告書351を作成する。返却報告書351が作成されると、サーバ200に送信される。その後、再生候補部品の実物が該再生工場40に送付され、受入検査処理に進む(ステップS9、後述)。
【0045】
一方、取得した点検レポートに再生候補部品が再生不可との判定結果が記載された場合、報告書作成部350は、その再生候補部品に関する全損報告書352を作成する(ステップS4)。このとき、報告書作成部350は、点検レポートに含まれる再生候補部品の画像データを使い、全損報告書352を作成する。全損報告書352が作成されると、サーバ200に送信される。
【0046】
本実施形態では、再生可能な部品を漏れずに確実に再利用するため、サービス員によって再生不可と判定された再生候補部品に対し、再生工場端末400でその判定の妥当性について最終判定が行われる。従って、全損報告書352を作成すると、代理店端末300はサーバ200を介し、再生候補部品の全損として承認すべきか否かの承認依頼を電子メール形式で再生工場端末400に送信する。電子メールには、サーバ200に記憶された全損報告書352へアクセスするためのURLが記載されている。受信した再生工場端末400でURLを開くと、ステップS4で作成した全損報告書352の記載内容を容易に取得することができる。
【0047】
なお、返却報告書351が作成された場合(ステップS3参照)は、再生候補部品が再生可能と判定されたため、再生工場端末400による最終判定は不要である。
【0048】
再生工場端末400には、例えば各機械に備え付けられた全ての部品の画像データを含む部品情報が蓄積されており、更に、承認に関する各部品の判定基準等も記憶されている。再生工場端末400の判定処理部440は、例えば取得した全損報告書352の記載内容及び全損報告書352に含まれる画像データを、蓄積された部品情報と比較することで、再生候補部品の全損として承認するか又は却下するかを判定する(ステップS5)。画像データなどの情報を用いた判定方法は、既に周知された技術を用いることができるため、その説明を省略する。
【0049】
再生候補部品の再生不可を承認すると判定した場合(すなわち、再生候補部品の全損として承認した場合)、再生工場端末400は、サーバ200経由で代理店端末300に再生候補部品の廃棄指示を送信する(ステップS6)。廃棄指示が受信されると、代理店30では、再生候補部品のスクラップ処理が行われる。これによって、一連の制御処理は終了する。
【0050】
一方、再生候補部品の再生不可を承認しないと判定した場合(すなわち、再生候補部品の全損として却下した場合)、再生工場端末400は、サーバ200経由で代理店端末300に再生候補部品の返却指示を送信する(ステップS7)。返却指示には、返却対象である再生候補部品を特定するための必須情報及び画像データが対応付けられたデータへアクセスするための識別情報(例えばQRコード(登録商標))が記載されている。なお、返却指示が受信されると、代理店30では、返却指示に記載されたQRコード付きの返却紙が印刷される。再生候補部品は、返却紙が添付された状態で再生工場40に送付される。
【0051】
再生工場40において返却指示が送信された場合、再生工場端末400の報告書作成部450は、再生候補部品を再生工場40に返却するための返却報告書451を作成する(ステップS8)。このとき、報告書作成部450は、再生候補部品の実物を再生工場40へ返却する内容を、代理店端末300により作成された全損報告書352に書き加えた上で、返却報告書451として作成する。なお、全損報告書352に記載された再生候補部品の画像データは削除されずに返却報告書451の画像データとされる。返却報告書451を作成すると、再生工場端末400は、その返却報告書451をサーバ200に送信する。
【0052】
また、ステップS7で述べた返却指示には、再生候補部品の返却期限日が記載されることが好ましい。返却期限日は、返却すべき再生候補部品の返却期限として再生工場端末400によって設定され、返却指示に記載される。更に、期限日が過ぎても再生候補部品の返却がない場合に、再生工場端末400は、サーバ200経由で返却催促通知を代理店端末300に送信する。返却催促通知では、例えば返却期限日が過ぎた再生候補部品を赤で表示することで、注意喚起が行われる。なお。返却催促通知は、期限日が到来した再生候補部品ごとに都度行われてもよく、返却期限日ごとに一括して送信することとしてもよい。
【0053】
図4は、返却報告書451を作成する際に表示される画面の一例を示す図である。
図4に示すように、返却報告書451には、返却対象の再生候補部品の画像データと、「異常の程度」を示す情報が識別可能に表示される。例えば、異常の程度は、「異常なし」、「要注意」、「異常あり」に分類される。また、例えば、表示画面には、「異常なし」は緑色のボックス、「要注意」はオレンジ色のボックス、「異常あり」は赤色のボックスといったように、画像データの一部の領域に異常の程度に応じた態様でハイライトされて表示される。また、これら異常の段階の分類、及び表示態様(色)などは任意に変更されることができる。
なお、本ステップS8において再生工場端末400の報告書作成部450で作成される返却報告書451は、例えば、携帯端末(代理店携帯端末100または再生工場携帯端末500)からサーバ200経由でアクセスされて、編集されることも可能である。その際、再生工場端末400と携帯端末との双方で同時編集されることによる作成中のデータの上書き変更を避けるために、表示画面の領域の一部には、「ロック解除」のタブが設けられている。例えば、通常の画面では「ロック解除」が選択可能に表示されており、携帯端末からの編集はできない設定となっている。一方で「ロック解除」が選択されると、携帯端末からの編集に対する制約が解除され、編集が可能になる。
【0054】
再生候補部品が再生工場に送付されると、再生工場において再生候補部品の受入検査が行われる(ステップS9)。具体的には、再生工場の作業員が、まず、同封されている返却紙のQRコードをスキャン機能を搭載する端末で読み取ることによりサーバ200にアクセスし、再生候補部品の返却報告書351又は451を取得する。次に、取得した返却報告書351又は451に含まれる画像データと送付された再生候補部品の実物とを比較することで、送付された再生候補部品が返却報告書351又は451に記載されたものと一致するか否かを検査し、再生工場携帯端末500の入出力I/F540を介して検査結果を受入部品の情報として入力する。更に、作業員が再生候補部品の画像を再生工場携帯端末500の撮像部520で撮影し、受入部品の情報として添付する。
【0055】
報告書作成部450は、入力された検査結果及び添付された画像データに基づいて受入検査報告書452を作成する。受入検査報告書452が作成されると、サーバ200に送信される。
【0056】
次に、再生候補部品の分解作業が行われ、分解報告書453が作成される(ステップS10)。具体的には、再生工場40の作業員が、受け取った再生候補部品を小単位の部品に分解し、分解した小単位の部品の各々に対し、再生工場携帯端末500の入出力I/F540を介して管理番号などの属性情報を分解部品の情報として入力する。更に、作業員が分解した小単位の部品の各々に対し、撮像部520でそれぞれの画像を撮影し、分解部品の情報として添付する。
【0057】
報告書作成部450は、入力された管理番号などの属性情報及び添付された画像データに基づいて、管理番号などの属性情報と画像データとを関連付けた分解報告書453を作成する。また、分解報告書453には、分解した小単位の部品の各々の使用状態(履歴)が含まれている。分解報告書453を作成すると、再生工場端末400は、分解報告書453をサーバ200に送信する。
【0058】
更に、再生工場端末400は、サーバ200経由で代理店端末300に分解報告書453が作成されたことを通知する(ステップS11)。該通知には、分解報告書453へアクセスするためのURLが含まれている。代理店端末300では、そのURLを開くことで、分解報告書453の内容を確認することができ、返却した部品の損傷状態を把握することができる。
【0059】
これによって、一連の制御処理が終了する。
【0060】
本実施形態の再生品管理システム1では、代理店端末300は再生候補部品が再生不可と判定された場合に全損報告書352を作成し、再生工場端末400はその全損報告書352に基づき、再生候補部品の再生不可を承認するか否かを判定し、判定結果に基づいて代理店端末300に指示を送信する。このように代理店端末300と再生工場端末400とが連携し、再生候補部品に対して再生可能か否かの判定を行うことで、再生候補部品(すなわち、再生品)を確実に管理することができる。また、従来のように全ての部品にIDを関連付けて検査機で再生判定する場合と比べて、効率を高めることができる。その結果、確実且つ効率良く再生品を管理することができる。
【0061】
また、代理店30のサービス員と再生工場40の作業員とが連携して再生候補部品を対象に再生可能であるかを判定し、解体の有無も再度確認して分解作業に進むという仕組みを特徴としている。これによって、再生候補部品だけでなく、それを構成する小単位の部品も含む、網羅的な再生品管理を確実かつ効率的に実現できる。従って、再生候補部品のみならず、それを構成する小単位の部品の情報も確実且つ効率的に管理することができ、再生候補部品の完全な再利用を実現することが可能になる。
【0062】
更に、サーバ200には、点検レポートや各報告書を多く蓄積されている。蓄積された点検レポートや各報告書を利用し、部品の故障原因などを分析することで、分析から得られた情報を速やかに次の開発に活かすことができる。
【0063】
また、サーバ200に記憶される点検レポートには、部品の交換履歴等の情報が記載されているので、部品の交換履歴を分析することで、部品ごとのライフサイクルを把握することができ、部品の開発に活かすことが可能である。
【0064】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、様々な変形例を有する。
【0065】
[変形例1]
例えば返却報告書351又は451(すなわち、代理店端末300が作成した返却報告書351又は再生工場端末400が作成した返却報告書451)及び全損報告書352には、機械10の稼働状態を示す情報が更に含まれることが好ましい。機械10の稼働状態は、点検対象である機械10が稼働しているか、又は休車している(言い換えれば、稼働していない)かを含む内容である。
【0066】
機械10が稼働している場合は、部品の特定と返却は比較的容易であるが、機械10が休車している場合は、代理店30側が部品の特定と返却に時間を要する可能性がある。このため、返却報告書351又は451及び全損報告書352に機械10の稼働情報を記載することで、返却催促通知を何度も送信する場合と比べて、サービス員が他の作業のついでに部品を回収することができるので、柔軟な対応を実現できる。
【0067】
[変形例2]
また、
図5に示すように、再生品管理システム1は、上述した内容に加えて、協力工場60に配置された協力工場端末600、及び外部倉庫70の作業員が持つ外部携帯端末700を更に備えてもよい。協力工場端末600及び外部携帯端末700は、それぞれネットワーク20を介してサーバ200と通信可能に接続されている。協力工場端末600は例えば代理店端末300又は再生工場端末400と同じ構造を有し、外部携帯端末700は代理店携帯端末100及び再生工場携帯端末500と同じ構造を有する。協力工場60と外部倉庫70とは、それぞれ部品の供給元の役割を果たす。
【0068】
このようにすれば、協力工場端末600又は外部携帯端末700は、サーバ200を介して再生品の情報を随時に取得することができるので、部品の調達及び再生品の活用を一層促進することができる。
【0069】
[変形例3]
上記した種々の構成例においては、サービス拠点側の代理店端末300及び代理店携帯端末100と、再生拠点側の再生工場端末400及び再生工場携帯端末500がサーバ200を介して互いに通信を行う場合について説明した。しかし、各端末は、サーバ200を介さずに直接接続されていてもよい。
【0070】
また、上記した種々の構成例においては、各端末によって各種の報告書が作成され、作成された報告書がサーバ200や相手方の端末に送信される場合について説明した。しかし、各端末は、報告書を作成するためのデータが収集できた段階で、そのデータをサーバ200や各端末に送信し、データを受信した側の端末又はサーバにて、報告書が作成されてもよい。
【0071】
すなわち、例えば、本実施形態における再生品管理システム1は、機械のサービス拠点に設けられた第1端末及び機械の部品の再生拠点に設けられた第2端末を備えた再生品管理システムであってもよい。
【0072】
また、再生品管理システム1において、第1端末は、機械から取り外された部品を再生候補部品とし、再生候補部品がサービス拠点において再生可能と判定されたことを示す入力を受け付けた場合、再生候補部品を再生拠点に返却する処理を行うための返却データを作成し、再生候補部品がサービス拠点において再生不可と判定されたことを示す入力を受け付けた場合、再生候補部品を廃棄する処理を行うための全損データを作成し、当該作成した返却データ又は全損データを第2端末に送信するように構成されていてもよい。
【0073】
また、第2端末は、第1端末により作成された全損データを受信し、再生候補部品が再生拠点において再生不可であることを承認するか否かを示す入力を受け付けた場合、当該承認結果を第1端末に送信するように構成されていてもよい。
【0074】
また、第2端末は、再生候補部品が再生拠点において再生不可であることを承認することを示す入力を受け付けた場合、第1端末に再生候補部品の廃棄を指示する廃棄指示を送信し、再生候補部品が再生拠点において再生不可であることを承認しないことを示す入力を受け付けた場合、再生候補部品の再生拠点への返却を求める処理を行うための返却データを作成するとともに、第1端末に返却データを送信して再生候補部品の再生拠点への返却を指示する返却指示を送信するように構成されていてもよい。
【0075】
また、第1端末及び第2端末に通信可能に接続されるサーバを有する場合、サーバは、第1端末により作成された全損データを受信した場合には、第2端末からの承認結果を受信するまで、第1端末により作成された全損データを記憶しておくように構成されていてもよい。
【0076】
また、第2端末は、サービス拠点又は再生拠点において再生可能と判定された再生候補部品が再生拠点に到着した場合、第1端末により作成された返却データに含まれる部品の画像データ又は第2端末が作成した返却データに含まれる部品の画像データに基づいて、再生候補部品を再生拠点で受け入れる処理を行うための受入検査データを作成するように構成されていてもよい。
【0077】
また、第2端末は、再生拠点において受け入れられた再生候補部品について、その構成部品に分解する作業に用いられ、当該分解された各構成部品のそれぞれの使用履歴を含む情報が入力される分解データを作成するように構成されていてもよい。
【0078】
このような場合についても、上記の実施形態及び変形例である、サーバ200を介した報告書の作成、または端末によって報告書が作成されて通信される場合と同様に、確実且つ効率良く再生品を管理することができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0080】
1:再生品管理システム、10:機械、20:ネットワーク、30:代理店、40:再生工場、60:協力工場、70:外部倉庫、100:代理店携帯端末、110,330,430,510:表示部、120,520:撮像部、130,310,410,530:通信部、140,540:入出力I/F、150,340,460,550:データ収集部、200:サーバ、210:記憶部、300:代理店端末、320,420:操作部、350,450:報告書作成部、400:再生工場端末、440:判定処理部、500:再生工場携帯端末、600:協力工場端末、700:外部携帯端末