(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147959
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】マッチング方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241009BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060746
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】523124795
【氏名又は名称】株式会社Unlace
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】前田 康太
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】相談者が自分の相談に理解のあるカウンセラーを容易に見つけられるようにすること。
【解決手段】本発明によれば、Generative AIを用いて、相談者の悩み情報を抽象化または拡張し、同じ悩みを解決した経験があるカウンセラーを推薦する。以下のステップで解決を図る。第一のステップとして、相談者から主訴情報を受け付ける。第二のステップとして、前記主訴情報を拡張して拡張主訴情報を生成する。第三のステップとして、被相談者の少なくとも相談履歴情報を抽出する第四のステップとして、前記拡張主訴情報と、前記相談履歴情報とを比較する。第五のステップとして、前記比較に基づいて一の前記被相談者を推薦する。この推薦により、相談者は自分の相談に適したカウンセラーを簡単に見つけることができるようになる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンラインカウンセリングサービスにおいて、相談者に対して被相談者をサジェストするマッチング方法であって、
相談者から主訴情報を受け付けるステップ、
前記主訴情報を拡張して拡張主訴情報を生成するステップ、
被相談者の少なくとも相談履歴情報を抽出するステップ、
前記拡張主訴情報と、前記相談履歴情報とを比較するステップ、
前記比較に基づいて一の前記被相談者をサジェストするステップ、を有する
マッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オンラインカウンセリングサービスにおける、相談者とカウンセラーのマッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オンラインカウンセリングサービスが急速に普及しており、相談者はインターネットを介して専門的なカウンセラーと相談ができるようになった。これらのサービスは、相談者の悩みやニーズに基づいて、適切なカウンセラーをマッチングすることで、カウンセリングが開始される(例えば、非特許文献1参照)。
特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】日本最大級のオンラインカウンセリング「Unlace」[online],[令和5年4月1日日検索],インターネット<URL:https://www.unlace.net/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、カウンセラー数の増加による選択肢の多様化に伴い、オンラインカウンセリングサービスが普及し、多くのカウンセラーが登録するようになったことで、相談者は適切なカウンセラーを選ぶことが難しくなっている。また、カウンセラーの専門分野やスキルが明確でない場合がある。カウンセラーが自分の専門分野やスキルを十分に伝えられていないと、相談者は自分に適したカウンセラーを見つけることが難しくなる。更には、相談者のニーズや悩みが多様化しているため、様々な背景や状況を持つ人々がオンラインカウンセリングサービスを利用するようになり、カウンセラーが対応するべき問題も多様化している。このため、相談者が自分に適したカウンセラーを見つけることが難しくなっている。
【0005】
そこで、本発明は、このような課題を解決する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
オンラインカウンセリングサービスにおいて、相談者に対して被相談者をサジェストするマッチング方法であって、
相談者から主訴情報を受け付けるステップ、
前記主訴情報を拡張して拡張主訴情報を生成するステップ、
被相談者の少なくとも相談履歴情報を抽出するステップ、
前記拡張主訴情報と、前記相談履歴情報とを比較するステップ、
前記比較に基づいて一の前記被相談者をサジェストするステップ、を有する
マッチング方法が得られる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、オンラインカウンセリングサービスにおいて、相談者は自分の相談に理解のあるカウンセラーを多数の登録カウンセラーの中から簡単に見つけることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態によるマッチングシステムの概念図である。
【
図2】本発明の実施の形態によるマッチングシステムの処理フローの概念図である。
【
図3】本発明の実施の形態によるマッチングシステムの画面表示例である。
【
図4】本発明の実施の形態によるマッチングシステムの画面表示例である。
【
図5】本発明の実施の形態によるマッチングシステムの画面表示例である。
【
図6】本発明の実施の形態によるマッチングシステムの画面表示例である。
【
図7】本発明の実施の形態によるマッチングシステムの画面表示例である。
【
図8】本発明の実施の形態によるマッチングシステムの画面表示例である。
【
図9】本発明の実施の形態によるマッチングシステムの画面表示例である。
【
図10】本発明の実施の形態によるマッチングシステムの画面表示例である。
【
図11】本発明の実施の形態によるマッチングシステムの画面表示例である。
【
図12】本発明の実施の形態によるマッチングシステムの画面表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、以下のような構成を備える。
[項目1]
オンラインカウンセリングサービスにおいて、相談者に対して被相談者をサジェストするマッチング方法であって、
相談者から主訴情報を受け付けるステップ、
前記主訴情報を拡張して拡張主訴情報を生成するステップ、
被相談者の少なくとも相談履歴情報を抽出するステップ、
前記拡張主訴情報と、前記相談履歴情報とを比較するステップ、
前記比較に基づいて一の前記被相談者をサジェストするステップ、を有する
マッチング方法。
【0010】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<本発明の背景>
【0012】
<概要>
本発明は、オンラインカウンセリングサービスに関するものであり、特に、多数の登録カウンセラーの中から、自分の相談に理解のあるカウンセラーを簡単に見つけることができるようにするマッチング方法に関する。本発明の実施の形態によるマッチング方法は、マッチングシステムとして実現される。
【0013】
図1乃至
図12に示されるように、本発明によれば、Generative AIを用いて、相談者の悩み情報を抽象化または拡張し、同じ悩みを解決した経験があるカウンセラーを推薦する。具体的には、以下のステップで解決を図る。
【0014】
図3乃至
図7に示されるように、第一のステップとして、相談者から主訴情報を受け付ける。主訴情報は、相談者がカウンセリングサービスで解決したい悩みや問題に関する情報である。より詳しくは、相談者から主訴情報を受け付けるステップでは、相談者が抱える悩みや問題に関する具体的な情報を入力する。この情報は、テキストベースの記述や選択肢から選ぶ形式、または音声入力などの方法で提供される。主訴情報には、例えば、「仕事のストレス」、「人間関係の悩み」、「家庭内の問題」、「恋愛相談」、「自己肯定感の低さ」、「不安障害」、「うつ症状」など、多岐にわたる悩みや問題が含まれる。さらに、相談者は自分の年齢、性別、職業、住んでいる地域などの基本的な属性情報も提供することができる。これにより、カウンセラーとの相性や、特定の属性に特化した専門家を見つけることが容易になる。
【0015】
なお、
図8乃至
図9に示されるように、主訴情報の量が少ない場合には、マッチング精度を担保できない可能性があることから、一定の条件(量、内容、単語数、意味等)を満たさない場合には、更に制度を向上させるかどうかを促す表示をしてもよい。また、情報量として十分な量に達した場合には、その旨の表示をしてもよい。
【0016】
図10に示されるように、第二のステップとして、前記主訴情報を拡張して拡張主訴情報を生成する。これは、Generative AIを用いて、主訴情報に基づく関連キーワードや概念を抽出・追加することで行われる。前記主訴情報を拡張して拡張主訴情報を生成するステップでは、Generative Pre-trained Transformer (GPT)と呼ばれる深層学習モデルを使用して、相談者から提供された主訴情報に基づく関連キーワードや概念を抽出・追加する。例えば、相談者が「仕事のストレス」という主訴情報を入力した場合、GPTはこの情報を解析し、関連するキーワードや概念を生成する。これには、「過労」、「タスクの多さ」、「期限に追われる」、「上司とのコミュニケーション」、「職場の人間関係」、「労働時間」、「仕事とプライベートのバランス」などが含まれる可能性がある。これらのキーワードや概念が拡張主訴情報となる。GPTによる拡張主訴情報の生成は、主訴情報をより詳細に表現することができ、カウンセラーとのマッチング精度を向上させる。また、GPTは様々な言語に対応しており、多言語の相談者に対応できる利点がある。
【0017】
なお、拡張主訴情報の生成において、GPTのパラメータを調整することで、生成されるキーワードや概念の精度や多様性をコントロールすることができる。これにより、相談者のニーズに応じた最適なカウンセラーの推薦が可能となる。また、GPTは時系列情報を考慮した解析も行うことができるため、相談者が過去に受けたカウンセリングの履歴や評価も考慮に入れることも可能である。
【0018】
なお、本実施の形態においては、深層学習モデルを利用することとしたが、例えば、次のような方法を採用することとしてもよい。例えば、主訴情報から重要なキーワードやフレーズを抽出し、それらを元に関連する情報を収集して拡張主訴情報を生成したり、自然言語処理(NLP)技術やTF-IDF法を用いてキーワード抽出を行うことしてもよい。主訴情報に含まれる単語やフレーズに対して、類義語や同義語を検索し、それらを組み込んで拡張主訴情報を生成してもよい。また、主訴情報を特徴ベクトルに変換し、類似度計算によって関連性の高い情報を抽出して拡張主訴情報を生成してもよい。ベクトル化には、単語埋め込み(Word Embedding)技術やトピックモデリング(例:LDA)を用いることができる。更には、主訴情報をクラスタリング技術(例:k-means、階層的クラスタリング)を用いて分類し、同じクラスタに属する他の情報を取得して拡張主訴情報を生成してもよい。これらの方法を単独で利用するか、複数の方法を組み合わせることとしてもよい。
【0019】
第三のステップとして、被相談者の少なくとも相談履歴情報を抽出する。相談履歴情報は、カウンセラーが過去に取り組んだ相談内容や、その解決策に関する情報である。被相談者(カウンセラー)の少なくとも相談履歴情報を抽出するステップでは、カウンセラーが過去に対応した相談内容や専門分野、相談者からの評価やフィードバック、カウンセリングの方法(個別カウンセリング、グループカウンセリング、オンライン、対面など)や使用された心理療法(認知行動療法、受容・コミットメント療法、人間関係療法など)等の情報をデータベースから取得する。
【0020】
具体的な相談履歴情報の例としては、「仕事に関する悩みを解決した経験」、「うつ症状の改善に成功したケース」、「恋愛相談の実績」、「高齢者のメンタルヘルスサポート」、「青少年向けの自己肯定感向上プログラム」などが挙げられる。また、カウンセラーの専門分野に関する情報(例:心理学、精神分析、カウンセリング心理学、臨床心理学など)や資格(例:臨床心理士、精神保健福祉士、カウンセリング心理士、公認心理師など)も抽出される。
【0021】
このステップでは、カウンセラーのプロフィール情報や専門分野、相談実績、評価やフィードバックなどのデータが整理され、次のステップである拡張主訴情報との比較に活用される。これにより、相談者のニーズに適したカウンセラーを効率的に特定することができる。また、カウンセラーの相談履歴情報を定期的に更新することで、最新の実績や評価に基づいたマッチングが可能となる。
【0022】
第四のステップとして、前記拡張主訴情報と、前記相談履歴情報とを比較する。これにより、相談者の悩みに対して適切な経験や知識を持つカウンセラーを特定することが可能となる。前記拡張主訴情報と、前記相談履歴情報とを比較するステップでは、拡張主訴情報とカウンセラーの相談履歴情報を元に、相談者とカウンセラーの適合度を評価する。この評価は、キーワードの一致度、専門分野の関連性、カウンセリング手法の適合性、以前の相談者からの評価やフィードバックなど、複数の要素を考慮して行われる。例えば、拡張主訴情報に含まれる「仕事のストレス」や「上司とのコミュニケーション」に関連するキーワードと、カウンセラーの相談履歴情報に含まれる「仕事に関する悩みを解決した経験」や「職場の人間関係の改善に成功したケース」が一致する場合、そのカウンセラーは相談者に適していると判断される。
【0023】
また、カウンセラーの専門分野や資格と、拡張主訴情報の関連性も評価される。例えば、拡張主訴情報が「うつ症状」や「自己肯定感の低さ」を含む場合、臨床心理士や認知行動療法を専門とするカウンセラーが適切であると判断される。
【0024】
さらに、カウンセラーの過去の相談者からの評価やフィードバックも比較の対象となり、高評価を得ているカウンセラーや、類似の問題を解決した経験が豊富なカウンセラーが優先的に推薦される。
【0025】
このステップでは、複数の要素を総合的に評価し、相談者に最適なカウンセラーを特定することができる。その結果、相談者は自分の悩みに適切なカウンセリングサポートを受けることが可能となる。
【0026】
第五のステップとして、前記比較に基づいて一の前記被相談者を推薦する。この推薦により、相談者は自分の相談に適したカウンセラーを簡単に見つけることができるようになる。前記比較に基づいて一の前記被相談者(カウンセラー)を推薦するステップでは、第四のステップで得られた評価結果をもとに、相談者に最適なカウンセラーが選定される。推薦されるカウンセラーは、相談者の悩みやニーズに対応する専門知識や経験が豊富であり、かつ過去の相談者からの評価も高いことが期待される。
【0027】
具体的な推薦方法としては、以下のようなものが考えられる。
ランキング方式:複数の評価要素に基づいてスコアを算出し、スコアが最も高いカウンセラーを推薦する。
トップN方式:評価要素に基づいてスコアが高い上位N名のカウンセラーを推薦し、相談者が最終的に選択する。
クラスタリング方式:類似の悩みやニーズを持つ相談者グループに基づいてカウンセラーをクラスタリングし、相談者に最適なクラスタのカウンセラーを推薦する。
【0028】
推薦されたカウンセラーの情報は、相談者に対して表示され、その中から希望するカウンセラーを選択することができる。カウンセラーの詳細情報(経歴、専門分野、資格、過去の相談者からの評価やフィードバックなど)も閲覧可能であり、相談者は自分の悩みに対して適切なカウンセラーを選択しやすくなる。
【0029】
また、相談者が選択したカウンセラーとのカウンセリングが終了した後、相談者からの評価やフィードバックがデータベースに追加されることで、推薦システムはさらに精度を向上させることができる。これにより、オンラインカウンセリングサービスは継続的に相談者に適切なカウンセラーを提供することが可能となる。
【0030】
以上のステップにより、オンラインカウンセリングサービスにおいて、相談者は自分の相談に理解のあるカウンセラーを多数の登録カウンセラーの中から簡単に見つけることができるようになる。
【0031】
また、副次的な効果として、適切なマッチングにより、カウンセラーは自分の専門分野や経験に合った相談者と対応することができるため、カウンセリングの効果が高まり、仕事の効率も向上する。また、適切なカウンセラーとのマッチングにより、相談者の満足度が向上し、サービス全体の信頼性を高めることができる。更には、相談者からのフィードバックや評価がデータベースに蓄積されることで、推薦システムの精度が向上し、サービスの質も継続的に改善することができる。
【0032】
以上、本発明をオンラインカウンセリングサービスに適用した例を説明したが、本発明は例えば以下のような応用も可能である。
【0033】
・医療分野
患者が自分の症状や状況に適切な医師や専門医を見つけるために、同様のステップを適用することができます。患者の症状情報を入力し、それに基づいて適切な医師を推薦するシステムとしてもよい。また、
・教育分野
学習者が自分の学習ニーズや目標に適したオンライン講師やコースを見つけるために、学習者のニーズや目標を入力し、それに基づいて最適な講師やコースを推薦するシステムとしてもよい。
・求人・転職サービス
求職者が自分のスキルや経験に適した求人情報を見つけるために、求職者のスキルや経験を入力し、それに基づいて適切な求人情報を推薦するシステムとしてもよい。
【0034】
<ハードウェア・システム構成例>
本システムは、インターネットによって互いに通信可能に構成された法務案件管理サーバと、法務担当端末と、契約担当端末とを備えている。なお、本システムは、所定の事業者が提供するクラウド型/ネットワーク型のシステム構成としてもよいし、システム導入企業内で独立して運用されるオンプレミス型のシステム構成としてもよい。
【0035】
なお、上述した機能ブロックのそれぞれは、例えばサーバ装置(端末装置)に備えられたハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロックは、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0036】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。