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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147966
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】農作業機用表示システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
B60R16/02 650D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060757
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池内 善活
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 貴之
(72)【発明者】
【氏名】川上 裕雅
(57)【要約】      (修正有)
【課題】トラクタに装着する作業機に用いる電圧と電流を的確に測定して測定した情報に基づき適切な表示を行う農作業機用表示システムを提供する。
【解決手段】トラクタに装着して農作業を行う作業機に用いる電圧と電流の少なくとも1つを表示する農作業機用表示システムにおいて、作業機に設けられるアクチュエータと、作業機に設けられアクチュエータを制御する制御部と、制御部よりも電源側の電圧と電流の少なくとも1つを計測する第1の検出部と、アクチュエータの電圧と電流の少なくとも1つを測定する第2の検出部と、制御部と通信可能で第1の検出部と第2の検出部が測定した電圧と電流の少なくとも1つの情報を表示可能な表示部を有する表示装置とを備え、制御部は、制御部の電源が入った場合に、第1の検出部と第2の検出部で電圧と電流の少なくとも1つを測定して、表示装置に測定した電圧と電流の少なくとも1つの情報を出力する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着して農作業を行う作業機に用いる電圧と電流の少なくとも1つを表示する農作業機用表示システムにおいて、
前記作業機に設けられるアクチュエータと、前記作業機に設けられ前記アクチュエータを制御する制御部と、前記制御部よりも電源側の電圧と電流の少なくとも1つを計測する第1の検出部と、前記アクチュエータの電圧と電流の少なくとも1つを測定する第2の検出部と、前記制御部と通信可能で前記第1の検出部と前記第2の検出部が測定した電圧と電流の少なくとも1つの情報を表示可能な表示部を有する表示装置とを備え、
前記制御部は、前記制御部の電源が入った場合に、前記第1の検出部と前記第2の検出部で電圧と電流の少なくとも1つを測定して、前記表示装置に測定した電圧と電流の少なくとも1つの情報を出力することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記アクチュエータは複数備えられ、前記第2の検出部はアクチュエータごとに設けられ、前記第2の検出部はそれぞれのアクチュエータごとの電圧と電流の少なくとも1つを測定することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示装置は、前記アクチュエータを操作する操作スイッチと、計測スイッチとを有し、
前記制御部は、前記アクチュエータが前記操作スイッチで操作可能な状態になったら、前記第1の検出部と前記第2の検出部で電圧と電流の少なくとも1つの測定を開始し、前記計測スイッチの操作信号を受信した場合は、前記表示装置に測定した電圧と電流の少なくとも1つの情報を出力することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示装置は、前記アクチュエータを操作する操作スイッチと、計測スイッチとを有し、
前記制御部は、前記アクチュエータが前記操作スイッチで操作可能な状態になり、かつ、前記計測スイッチの操作信号を受信した場合は、前記第1の検出部と前記第2の検出部で電圧と電流の少なくとも1つの測定を開始し、前記表示装置に測定した電圧と電流の少なくとも1つの情報を出力することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記制御部は、前記アクチュエータが作動した場合に、前記第1の検出部と前記第2の検出部で電圧と電流の少なくとも1つの測定を開始し、前記表示装置に測定した電圧と電流の少なくとも1つの情報を出力することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記制御部と、前記第1の検出部と、前記第2の検出部は、制御装置として1つのボックス内に設けられることを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項7】
請求項2に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示部は、前記制御部から出力された電圧と電流の少なくとも1つの情報に基づき、前記制御部よりも電源側の電圧値、及び、前記複数のアクチュエータに対応するそれぞれの電流値を、数値又はグラフで表示することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示部は、前記制御部から出力された電流の情報に基づき、前記アクチュエータの電流値の時間変化のグラフを表示することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示部は、前記制御部から出力された電圧の情報に基づき、前記制御部よりも電源側の電圧値の時間変化のグラフを表示することを特徴とする農作業機用表示システム。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示装置は、切替スイッチを備え、前記切替スイッチの操作により、前記制御部から出力された電圧と電流の少なくとも1つの情報に基づく前記表示部の表示の内容を切り替え可能であることを特徴とする農作業機用表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機用表示システムに関し、特に、トラクタに装着する作業機の電圧と電流の少なくとも1つを表示する農作業機用表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタに装着して農作業を行う作業機には電気を使用する機器を備えていることが多い。ここでの機器は、例えば、アクチュエータであれば、作業機の一部を動かすことで、農作業の作業性を高めることができる。このアクチュエータは、電源から電気が供給されて作動する。
【0003】
このような機器において、電気的な不具合が生じた場合は、テスターで調べるなどして、その故障の原因を調べることができる。一方、特許文献1には、制御信号に含まれる制御情報と電圧計測器で計測された電圧情報と電流計測器で計測された電流情報に基づき、故障または異常の候補を報知する監視部を備える農作業機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-185889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のテスターで調べる方法は、その時の電圧などを測定する。しかし、例えば、アクチュエータを備える作業機の場合、アクチュエータが作動している状態でなければ、正確な状態を把握することができない場合も存在する。このため、測定者は、実際にアクチュエータを作動させながら測定するため、測定に手間がかかり、かつ、正確な測定を記録することも手間のかかる作業であった。また、異常時においては、正常時の電流や電圧等との情報も比較を行いたいが、正常時の値を記録していない場合も多く、比較による検討ができない場合も多い。
【0006】
特許文献1には、故障または異常の候補を報知する発明が開示されているが、故障または異常の候補はあらかじめ定めた条件下によるものであり、実際の電流や電圧、過去の電流や電圧の状態を知りたい場合には対応できない。さらに、故障または異常の候補を調べるためには、常に電流や電圧を測定する必要があり、処理装置やメモリへの負荷が大きいものとなる。さらに、過去の値を記録することは特許文献1では前提とされていない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに装着する作業機に用いる電圧と電流の少なくとも1つを的確に測定して測定した情報に基づき適切な表示を行う農作業機用表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、代表的な本発明の農作業機用表示システムの一つは、トラクタに装着して農作業を行う作業機に用いる電圧と電流の少なくとも1つを表示する農作業機用表示システムにおいて、前記作業機に設けられるアクチュエータと、前記作業機に設けられ前記アクチュエータを制御する制御部と、前記制御部よりも電源側の電圧と電流の少なくとも1つを計測する第1の検出部と、前記アクチュエータの電圧と電流の少なくとも1つを測定する第2の検出部と、前記制御部と通信可能で前記第1の検出部と前記第2の検出部が測定した電圧と電流の少なくとも1つの情報を表示可能な表示部を有する表示装置とを備え、前記制御部は、前記制御部の電源が入った場合に、前記第1の検出部と前記第2の検出部で電圧と電流の少なくとも1つを測定して、前記表示装置に測定した電圧と電流の少なくとも1つの情報を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、農作業機用表示システムにおいて、トラクタに装着する作業機に用いる電圧と電流の少なくとも1つを的確に測定して測定した情報に基づき適切な表示を行うことができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の農作業機用表示システムの一実施形態を示すブロック図である。
図2】本発明の農作業機用表示システムに適用される作業機の例を含む平面図である。
図3】本発明の農作業機用表示システムにおける表示装置の一例を示す。
図4】本発明の農作業機用表示システムにおける第1の処理例を示すフローチャートである。
図5】本発明の農作業機用表示システムにおける第2の処理例を示すフローチャートである。
図6】本発明の農作業機用表示システムにおける第3の処理例を示すフローチャートである。
図7】本発明の農作業機用表示システムにおける第1の表示例を示す。
図8】本発明の農作業機用表示システムにおける第2の表示例を示す。
図9】本発明の農作業機用表示システムにおける第3の表示例を示す。
図10】本発明の農作業機用表示システムにおける第4の表示例を示す。
図11】本発明の農作業機用表示システムにおける第5の表示例を示す。
図12】本発明の農作業機用表示システムにおける第6の表示例を示す。
図13】本発明の農作業機用表示システムの別実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態を説明する。
【0012】
<ブロック図>
図1は、本発明の農作業機用表示システムの一実施形態を示すブロック図である。
【0013】
トラクタ1に農作業を行う作業部を備える作業機2を装着する。トラクタ1側には、表示装置10が配置可能となっている。また、作業機2側には、制御装置20、アクチュエータ31を備えている。アクチュエータ31は複数備えることができ、図1では、アクチュエータ31-1、31-2の2個のアクチュエータを用いる例を示している。
【0014】
電源4は、制御装置20と接続され制御装置20に電力を供給可能な電源である。電源4は、トラクタ1と作業機2のいずれかに設置することができる。例えば、トラクタ1に備えるバッテリを電源4として使用することも可能である。
【0015】
表示装置10は、制御装置20と遠隔で通信が可能であり、通信部11、処理部12、表示部13を備えており、必要に応じて操作部14、記録部15を備えている。また、表示装置10には、スピーカー等の音による報知機能を有していてもよい。
【0016】
通信部11は、制御装置20の通信部25と通信可能であり、電圧や電流の情報を制御装置20から受信し、操作部14の操作情報を制御装置20へ送信する。この通信は、無線もしくは有線による通信である。無線通信の場合は、例えば、Wi-FiやBluetooth等の規格や、920MHz帯や2.4GHz帯等の周波数帯を用いることができる。また、有線による場合は、CAN(Controller Area Network)やRS232C等のシリアル通信やパラレル通信等を用いることができる。
【0017】
処理部12は、制御装置20から送信されてきた電圧や電流の情報に基づき表示部13に所定の形式で情報を表示させる等の処理を行う。また、操作部14の操作情報を表示部13の表示に反映させる処理を行ったり、記録部15に電圧や電流の情報を含む必要な情報を記録させる処理を行ったりしてもよい。処理部12は、CPU(中央処理装置)やメモリ等、演算処理のために必要な電子デバイス等で構成される。
【0018】
表示部13は、電圧と電流の少なくとも1つの情報等を表示することができる。電圧や電流の情報は、後述するように分かり易い複数の形式で表示することが可能である。表示部13は、例えば、液晶画面や有機EL(OLED)画面を適用してもよい。また、タッチパネルとして、操作部14の機能を有していてもよい。
【0019】
操作部14は、表示部の表示を切替操作するためのスイッチと、計測スイッチを備えている。さらに、操作部14は、アクチュエータ31を操作するためのスイッチを備えていてもよい。操作部14のスイッチは押しボタンスイッチなど各種スイッチを適用できる。また、タッチパネルの方式を採用してもよい。
【0020】
記録部15は、電圧や電流等の情報を記憶して保持する。記録部15は、例えば、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ)や磁気メモリ、HDD(HardDisk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の適した記憶装置で構成できる。また、記録部15は、取り外し可能な記録メディアを用いてもよい。また、記録部15は表示装置10を構成する部品の一部であってもよいし、外部装置であってもよい。
【0021】
制御装置20は、第1の検出部21、制御部22、出力部23、第2の検出部24、通信部25を備えており、必要に応じて記録部26を備えている。出力部23と第2の検出部24は対応するアクチュエータ31に応じて複数設けられる。図1では、出力部23-1、23-2と第2の検出部24-1、24-2の2個ずつ設ける例を示している。これらは、アクチュエータ31-1、31-2にそれぞれ対応している。
【0022】
第1の検出部21は、電源4と制御部22の間に設けられる、制御部22に対して電源4側の電流値と電圧値の少なくとも1つを検出する。すなわち、第1の検出部21は、制御部22よりも電源4側の電圧と電流の少なくとも1つを測定する機能を有する。ここで、第1の検出部21は、例えば、電圧と電流の両方を測定する機能を有してもよいし、電圧のみを測定する機能を有していてもよい。
【0023】
制御部22は、検出部21、24で検出した電流や電圧の情報を取得し、通信部25から表示装置10へ送信する制御を行う。さらに、制御部22は、表示装置10から取得した操作部14による操作信号を入力し、アクチュエータ31を制御するための処理等を行う。また、制御部22は、検出部21、24で検出した電圧と電流の少なくとも1つの情報を記録部26に記録する処理を行ってもよい。制御部22は、CPU(中央処理装置)やメモリ等、演算処理のために必要な電子デバイス等で構成される。
【0024】
出力部23-1は、制御部22の制御に基づきアクチュエータ31-1に電力を供給する機能を有する。出力部23-2は、制御部22の制御に基づきアクチュエータ31-2に電力を供給する機能を有する。
【0025】
第2の検出部24-1は、制御部22とアクチュエータ31-1の間に設けられ、制御部22からアクチュエータ31-1へ流れる電流値と電圧値の少なくとも1つを検出する。すなわち、第2の検出部24-1は、アクチュエータ31-1の電圧と電流の少なくとも1つを測定する機能を有する。
【0026】
第2の検出部24-2は、制御部22とアクチュエータ31-2の間に設けられ、制御部22からアクチュエータ31-2へ流れる電流値と電圧値の少なくとも1つを検出する。すなわち、第2の検出部24-2は、アクチュエータ31-2の電圧と電流の少なくとも1つを測定する機能を有する。なお、第2の検出部24は、例えば、電圧と電流の両方を測定する機能を有してもよいし、電流のみを測定する機能を有していてもよい。
【0027】
通信部25は、表示装置10の通信部11と通信可能であり、電流や電圧の情報を表示装置10へ送信し、操作情報を表示装置10から受信する。
【0028】
記録部26は、電圧や電流等の情報を記憶して保持する。記録部26は、例えば、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ)や磁気メモリ、HDDやSSD等の適した記憶装置で構成できる。また、記録部26は、取り外し可能な記録メディアを用いてもよい。また、記録部26は制御装置20を構成する部品の一部であってもよいし、外部装置であってもよい。
【0029】
アクチュエータ31は、作業機2側に設置される。アクチュエータ31は、例えば、作業機2の一部である可動部分を必要に応じて移動等させることを可能とするアクチュエータである。アクチュエータ31としては、例えば、電動シリンダや電動油圧シリンダ等のシリンダや、モータ、ソレノイドバルブ等の電気を用いるアクチュエータを適用できる。
【0030】
<平面図>
図2は、本発明の農作業機用表示システムに適用される作業機の例を含む平面図である。図2の左右方向が横方向であり、図2の上方向が前方向である。トラクタ1の後部に作業機2が装着されており、作業機2で農作業を行う。なお、トラクタの図示は簡略化してある。また、図2では、作業機2が代掻き作業機50の場合について説明する。
【0031】
バッテリ5はトラクタ1に備えるバッテリであり、トラクタ1の電源として使用可能である。バッテリ5は図1の電源4に相当し、バッテリ5に接続することで各種機器の電源とすることが可能となる。バッテリ5は、電源ハーネス6が接続されており、途中に外部電源スイッチ6aを介している。外部電源スイッチ6aは、トラクタ1の電源をON・OFFとする始動スイッチ(例えば、エンジン始動のキースイッチ等)と共有又は連動できる。なお、電源ハーネス6に外部電源スイッチ6aを設けず直接そのまま接続するようにしてもよい。
【0032】
バッテリ5と制御装置20は、バッテリ5に接続される電源ハーネス6と、制御装置20に接続される接続ハーネス8を介して電気的に接続されている。電源ハーネス6と接続ハーネス8の間は、コネクタ7を介している。トラクタ1から代掻き作業機50(作業機2)を取り外すときは、このコネクタ7を取り外すことで分離が可能となる。また、トラクタ1にはリモコン装置70を配置可能であり、後述する代掻き作業機50(作業機2)のアクチュエータを遠隔操作可能となっている。このリモコン装置70は、図1の表示装置10に相当する。
【0033】
中央作業部55の両側に設置されたサイド作業部55’は、中央作業部55に対して折り畳み可能となっている。中央作業部55には、装着部51であるマスト51aと左右のヒッチ51bが設けられ、これらを介して代掻き作業機50がトラクタ1の後方に装着される。トラクタ1からのPTO(Power Take Off)動力は、前側に設けられる入力軸を介して入力され、カバー52やその後方の第1の整地体53の内側で代掻き爪を備える耕耘部が回転して土を細かくする。そして、第1の整地体53とその後方に備えられる第2の整地体54により土の表面を平らにする。このようにして代掻き作業を行う。
【0034】
左右の電動油圧シリンダ56は、シリンダが伸び縮みすることにより、回動機構57を作用させ中央作業部55に対して両側のサイド作業部55’をそれぞれ内側に折りたたむことができ、代掻き作業機50の全幅を短くすることができる。左右の延長整地体駆動装置60は、内部のモータが回転することにより、アーム62やワイヤ63を介して左右の延長整地体61をそれぞれ回動軸61aを中心に回動させることができる。このことで、第2の整地体54の両側端部に設けられた延長整地体61を外側に延長するか内側に折り畳むかを選択することができる。第2の整地体駆動装置66は、内部のモータが回転することにより、第2の整地体リンク手段67を介して第2の整地体54を回動させ下側で固定した土引き状態とするか回動が固定されていない通常の代掻き状態とするかを選択することができる。加圧装置68は、内部のモータが回転することにより、ガススプリング等の付勢手段69を介して付勢(加圧)状態か付勢しない(加圧しない)状態かを選択できる。このことで、作業面に対して第1の整地体53及び第2の整地体54を付勢手段69で付勢するか否かを選択できる。
【0035】
ここで、延長整地体駆動装置60(のモータ)、第2の整地体駆動装置66(のモータ)、加圧装置68(のモータ)を、アクチュエータ31として適用できる。制御装置20は、中央作業部55(例えば中央作業部55が有するフレームパイプ上)に設けることができる。制御装置20は、ボックス内に図1で示した各構成(第1の検出部21、制御部22、出力部23、第2の検出部24、通信部25、記録部26)を格納して、防水や防塵、さらには耐振動の機能を持たせることができる。また、制御装置20の各構成は同一の基板に設けてもよい。なお、図1では、アクチュエータ31は2個の例を示したが、図2では5個のモータが対象であるため、それぞれのアクチュエータに対応する出力部や検出部を制御装置20内に5個設けることができる。さらに、これらに、電動油圧シリンダ56(のモータ)を加えてアクチュエータ31を7個設けるようにしてもよい。また、電動油圧シリンダ56は大電流が想定されるため、電動油圧シリンダ56に対応する第2の検出部24は、制御装置20とは別の電動油圧シリンダ56用の出力部を持つ装置(例えば、リレーボックス等)内に別に設けてもよい。
【0036】
<表示装置の例>
図3は、本発明の農作業機用表示システムにおける表示装置の一例を示す。図3では、図1の表示装置10に相当する図2に示したリモコン装置70の例を説明する。
【0037】
リモコン装置70は、押しボタンによるスイッチ71a~71pを備えている。またスイッチ71a~71pの上部中央には表示部72を備えている。リモコン装置70は、スイッチ71a~71pは図1の操作部14に相当し、表示部72は図1の表示部13に相当する。
【0038】
スイッチ71aはリモコン装置70の電源スイッチである。スイッチ71bは表示部72の表示内容を切り替えるスイッチである。スイッチ71cはモード切換スイッチである。スイッチ71jは選択した内容を決定するため等のスイッチである。
【0039】
スイッチ71dは、左側のサイド作業部55’を選択するスイッチである。スイッチ71eは、右側のサイド作業部55’を選択するスイッチである。
【0040】
スイッチ71fは、サイド作業部55’を開くスイッチである。このスイッチを押すと両側の電動油圧シリンダ56が作動し、図2のように両側のサイド作業部55’が開く。なお、スイッチ71d又はスイッチ71eを押した後の所定時間以内の場合は、対応する側のサイド作業部55’のみが開く。もしくは、スイッチ71d又はスイッチ71eを押して、その操作を解除する解除操作までの間は、対応する側のサイド作業部55’のみが開く。
【0041】
スイッチ71gは、サイド作業部55’を閉じるスイッチである。このスイッチを押すと両側の電動油圧シリンダ56が作動し、図2から両側のサイド作業部55’が閉じて折りたたみ状態となる。なお、スイッチ71d又はスイッチ71eを押した後の所定時間以内の場合は、対応する側のサイド作業部55’のみが閉じる。もしくは、スイッチ71d又はスイッチ71eを押して、その操作を解除する解除操作までの間は、対応する側のサイド作業部55’のみが閉じる。
【0042】
スイッチ71hは、加圧装置68を作動させて加圧状態とするスイッチである。スイッチ71iは、加圧装置68を作動させて加圧しない状態とするスイッチである。
【0043】
スイッチ71kは、左側の延長整地体駆動装置60を作動させて左側の延長整地体61を外側に開いて延長した状態とするスイッチである。スイッチ71lは、左側の延長整地体駆動装置60を作動させて左側の延長整地体61を内側に閉じた折り畳み状態とするスイッチである。スイッチ71mは、右側の延長整地体駆動装置60を作動させて右側の延長整地体61を外側に開いて延長した状態とするスイッチである。スイッチ71nは、右側の延長整地体駆動装置60を作動させて右側の延長整地体61を内側に閉じた折り畳み状態とするスイッチである。
【0044】
スイッチ71oは、第2の整地体駆動装置66を作動させて代掻き状態とするスイッチである。スイッチ71pは、第2の整地体駆動装置66を作動させて土引き状態とするスイッチである。
【0045】
なお、スイッチ71f~71iは設定時等の選択ボタンとしてもよい。
【0046】
また、計測スイッチはいずれかのスイッチを割り当てることができる。例えば、スイッチ71bの表示切り替えのスイッチと共用してもよい。また、スイッチ71q、スイッチ71rのいずれかを割り当ててもよい。
【0047】
表示部72は、液晶画面や有機EL画面を適用できる。表示部72は、電圧や電流の情報を所定の形式で表示できる。具体例については図7~12で後述する。この他、表示部72は、操作や設定、代掻き作業機50(作業機2)に関する各種情報を表示可能である。
【0048】
また、リモコン装置70には、スピーカー等の音による報知機能を有していてもよい。これにより、ブザー音や音声により報知が可能である。この場合、表示部72の表示と連動して音を発してもよい。
【0049】
<第1の処理例>
図4は、本発明の農作業機用表示システムにおける第1の処理例を示すフローチャートである。ここでの処理は、主に制御装置20の制御部22で行われる。
【0050】
最初のステップS101では、制御装置20に電源が入った状態をスタート状態とすることができる。すなわち、制御装置20の制御部22に電源が入った状態である。この場合は、例えば、リモコン装置70であれば、スイッチ71aを押すとリモコン装置70の電源が入ると同時にその情報が制御装置20に送信されて制御装置20の電源を入れることが可能となる。
【0051】
次にステップS102では、電圧と電流の少なくとも1つの測定を行う。電圧と電流の少なくとも1つの測定は、制御装置20内の検出部21、24で行うことができる。ステップS102で電圧と電流の少なくとも1つの測定を行った後は、電圧と電流の測定は次のステップS105までは行わない。
【0052】
次にステップS103では、表示装置に出力する。ステップS102で測定された電圧と電流の少なくとも1つの情報は、制御装置20の制御部22から表示装置10(リモコン装置70)へ出力される。表示装置10は、受信した電圧と電流の少なくとも1つの情報に基づき処理部12の処理により表示部13(表示部72)で電圧と電流の少なくとも1つに関する情報の表示を行う。
【0053】
次にステップS104では、操作可能状態になる。ここでの操作可能状態は、図1であれば表示装置10の操作部14によりアクチュエータ31の操作が可能な状態が該当する。図2であれば、リモコン装置70の対応するスイッチを操作して、対応するアクチュエータを動作可能な状態である。このため、操作可能状態において、作業者はアクチュエータをいつでも操作できる状態となる。制御装置20の制御部22は、この状態を検知して操作可能状態が開始していると判定できる。
【0054】
次にステップS105では、電圧と電流の少なくとも1つの測定を行う。電圧と電流の少なくとも1つの測定は、制御装置20内の検出部21、24で常に行っている。
【0055】
次にステップS106では、操作部の計測スイッチがONか否かを判定する。ここでの計測スイッチは図1の表示装置10であれば操作部14に備えることができる。また図3のリモコン装置70であれば、スイッチ71b等が該当する。操作部14の計測スイッチを操作するとその信号が表示装置10から制御装置20の制御部22に送信される。このことで、制御部22は計測スイッチがON(入)となっていることを検知できる。計測スイッチがONと判定される場合はS107へ進む。計測スイッチがONと判定されない場合はS104へ戻り、操作可能状態が継続している場合は電圧と電流の少なくとも1つの測定が再度(繰り返し)行われる。
【0056】
ステップS107では、表示装置に出力する。ステップS105で測定された電圧と電流の少なくとも1つの情報は、制御装置20の制御部22から表示装置10(リモコン装置70)へ出力される。表示装置10は、受信した電圧と電流の少なくとも1つの情報に基づき処理部12の処理により表示部13(表示部72)で電圧と電流の少なくとも1つに関する情報の表示を行う。このとき、表示装置10(リモコン装置70)の操作部14の切替スイッチ(スイッチ71b)により、ステップS102で測定された電圧と電流の少なくとも1つに関する情報を表示できるようにしてもよい。その後は、S104へ戻り、操作可能状態が継続している場合は電圧と電流の少なくとも1つの測定が再度(繰り返し)行われる。
【0057】
なお、ステップS102とS105で測定された電圧と電流の少なくとも1つの情報は、制御装置20の記録部26や表示装置10の記録部15に記録することができる。
【0058】
このように、第1の処理例では、最初に電圧と電流の少なくとも1つを測定して表示することにより、電源投入時の初期の値を知ることができる。さらに、その後の計測は、操作可能状態中に電圧と電流の少なくとも1つを常に測定しているため、作業者が計測スイッチを操作してから、いち早く表示装置10の表示部13に測定結果を表示することができる。また、修理を行うサービス部門への連絡も表示された情報を伝達すればよいため、どの情報を伝達してよいか検討する必要がなくなる。また、操作可能状態中は電圧と電流の少なくとも1つを測定しているため、これを記録することで、操作可能状態中の過去の測定結果を構築することが可能であり、メンテナンス情報として活用可能である。
【0059】
<第2の処理例>
図5は、本発明の農作業機用表示システムにおける第2の処理例を示すフローチャートである。ここでの処理は、主に制御装置20の制御部22で行われる。
【0060】
ステップS201からS204は、図4のステップS101からS104と同様である。ステップS202で電圧と電流の少なくとも1つの測定を行った後は、電圧と電流の少なくとも1つの測定は次のステップS206までは行わない。
【0061】
次に、ステップS205では、操作部の計測スイッチがONか否かを判定する。ここでの判定は図1のステップS106と同様である。計測スイッチがONと判定される場合はS206へ進む。計測スイッチがONと判定されない場合はS204へ戻る。
【0062】
ステップS206では、電圧と電流の少なくとも1つの測定を行う。電圧と電流の少なくとも1つの測定は、制御装置20内の検出部21、24で行うことができる。
【0063】
ステップS207では、表示装置に出力する。ステップS206で測定された電圧と電流の少なくとも1つの情報は、制御装置20の制御部22から表示装置10(リモコン装置70)へ出力される。表示装置10は、受信した電圧と電流の少なくとも1つの情報に基づき処理部12の処理により表示部13(表示部72)で電圧と電流の少なくとも1つに関する情報の表示を行う。このとき、表示装置10(リモコン装置70)の操作部14の切替スイッチ(スイッチ71b)により、ステップS202で測定された電圧や電流に関する情報を表示できるようにしてもよい。ステップS207の後は、S204へ戻る。
【0064】
なお、ステップS202とS206で測定された電圧と電流の少なくとも1つの情報は、制御装置20の記録部26や表示装置10の記録部15に記録することができる。
【0065】
このように、第2の処理例では、最初に電圧と電流の少なくとも1つを測定して表示することにより、電源投入時の初期の値を知ることができる。さらに、その後の計測は、操作可能状態になって、計測スイッチを操作してから開始するため、制御装置20の制御部22の処理の負荷(プロセッサの負荷)を軽減でき、メモリの使用容量を低減できる。一方で、作業者は、操作可能状態中の場合の電気的情報を表示部で確認することが可能となる。また、修理を行うサービス部門への連絡も表示された情報を伝達すればよいため、どの情報を伝達してよいか検討する必要がなくなる。
【0066】
<第3の処理例>
図6は、本発明の農作業機用表示システムにおける第3の処理例を示すフローチャートである。ここでの処理は、主に制御装置20の制御部22で行われる。
【0067】
ステップS301からS304は、図4のステップS101からS104と同様である。ステップS302で電圧と電流の少なくとも1つの測定を行った後は、電圧と電流の少なくとも1つの測定は次のステップS306までは行わない。
【0068】
次に、ステップS305では、アクチュエータが作動中か否かを判定する。アクチュエータが作動中は、アクチュエータを動かしている状態、もしくは、アクチュエータを動かすために制御部22の制御により電力がアクチュエータに供給されている状態とすることができる。ここでの判定は、制御装置20の制御部22がアクチュエータ31の作動を制御しているか否かの判定を行うことで可能である。また、センサを別に設けて、そのセンサからの情報により制御部22でアクチュエータ31が動いている状態を作動中であると判定してもよい。アクチュエータが作動中であると判定される場合はS306へ進む。アクチュエータが作動中であると判定されない場合はS304へ戻る。
【0069】
ここで、アクチュエータの作動について、例えば、図2の電動油圧シリンダ56であれば、図3のリモコン装置70のスイッチ71gが押された場合にサイド作業部55’を閉じる方向に作動する。この場合、電動油圧シリンダ56の作動中はアクチュエータの作動中に該当する。
【0070】
ステップS306では、電圧と電流の少なくとも1つの測定を行う。電圧と電流の少なくとも1つの測定は、制御装置20内の検出部21、24で行うことができる。なお、アクチュエータ31側の第2の検出部24は、作動しているアクチュエータに対応する検出部のみで電圧と電流の測定を行ってもよい。
【0071】
ステップS307では、表示装置に出力する。ステップS306で測定された電圧と電流の情報は、制御装置20の制御部22から表示装置10(リモコン装置70)へ出力される。表示装置10は、受信した電圧と電流の少なくとも1つの情報に基づき処理部12の処理により表示部13(表示部72)で電圧と電流の少なくとも1つに関する情報の表示を行う。このとき、表示装置10(リモコン装置70)の操作部14の切替スイッチ(スイッチ71b)により、ステップS302で測定された電圧と電流の少なくとも1つに関する情報を表示できるようにしてもよい。ステップS307の後は、S304へ戻り、アクチュエータの作動が継続している場合は電圧と電流の少なくとも1つの測定と表示が再度(繰り返し)行われる。
【0072】
すなわち、第3の処理例では、アクチュエータの作動中は、電圧と電流の少なくとも1つの測定と表示が継続して行われる。例えば、アクチュエータの作動中は、0.5秒以内ごと、もしくは1秒以内ごと、もしくは2秒以内ごとに計測と表示を行えば、作業者はその時の電圧と電流の少なくとも1つの情報を知ることが可能となる。
【0073】
なお、ステップS302とS306で測定された電圧と電流の少なくとも1つの情報は、制御装置20の記録部26や表示装置10の記録部15に記録することができる。このとき、ステップS306で、どのアクチュエータが作動中であったかを併せて記録することで、測定結果の検証に役立てることができる。
【0074】
このように、第3の処理例では、最初に電圧と電流の少なくとも1つを測定して表示することにより、電源投入時の初期の値を知ることができる。さらに、その後の計測は、アクチュエータの作動中に限定されるため、制御装置20の制御部22の処理の負荷(プロセッサの負荷)を軽減でき、メモリの使用容量を低減できる。さらに、アクチュエータの作動中は、電圧と電流の少なくとも1つの情報を表示するため、作業者はその状況を知ることが可能となる。また、修理を行うサービス部門への連絡も表示された情報を伝達すればよいため、どの情報を伝達してよいか検討する必要がなくなる。また、アクチュエータの作動中は電圧と電流の少なくとも1つを測定しているため、これを記録することで、アクチュエータ作動中の過去の測定結果を構築することが可能であり、メンテナンス情報として活用可能である。
【0075】
<第1の表示例>
図7は、本発明の農作業機用表示システムにおける第1の表示例を示す。ここでは、表示部72(表示部13)の第1の表示例を示している。
【0076】
図7では、上部に「電源電圧:12.4V」と「合計電流21.5V」が記載されている。これは、図1の第1の検出部21で測定される電源4(バッテリ5)側の電圧値と、第2の検出部24で測定される各モータ(モータ1~5)の合計の電流値が示してある。これにより、全体の電圧と電流を把握することが可能である。なお、第1の検出部21で電流値が測定できる場合は、その値を合計電流として表示してもよい。
【0077】
さらに、その下には、モータ1から5の電流値が上下方向の棒グラフで横方向に並んで、それぞれ示されている。ここでのモータ1から5は図1のアクチュエータ31が5個の場合の例示である。ここでの値は、モータ1から5に対応する5個のそれぞれの検出部で測定できる。ここでの検出部は図1の第2の検出部24が相当する。このように、対応するアクチュエータごとにその電流値をグラフで表すことができる。
【0078】
このように、第1の表示例では、上部に全体の電圧値と電流値を示し、下部に各アクチュエータの電流値を示すことで、バランス良く全体の電圧と電流の状態を知ることが可能となる。特にグラフ表示とすることで、視覚的に分かり易く表示することが可能となる。
【0079】
<第2の表示例>
図8は、本発明の農作業機用表示システムにおける第2の表示例を示す。ここでは、表示部72(表示部13)の第2の表示例を示している。
【0080】
図8の第2の表示例の図7の第1の表示例との違いは、モータ1から5の電流値を数値で表している点である。具体的には、モータ1が「8.4」、モータ2が「0.3」、モータ3が「0.1」、モータ4が「0.5」、モータ5が「12.2」の値が示されている。それ以外は、第1の表示例と同様である。
【0081】
このように、第2の表示例では、各アクチュエータの電流値を数値で表示することで、作業者は正確な値を知ることが可能となる。
【0082】
<第3の表示例>
図9は、本発明の農作業機用表示システムにおける第3の表示例を示す。ここでは、表示部72(表示部13)の第3の表示例を示している。
【0083】
図9では、上部に「モータ1電流」の「最大値:10.5A」、「最小値:0.5A」が示されている。これらは、モータ1が作動中の今回測定された電流の最大値と最小値である。さらに、その下には、モータ1の電流の時間変化がグラフで示されている。左から右が時間を示し、上下が電流値の変化を示し、上に行くほど電流値が高いことを示している。ここでのモータ1は、図7、8で示したモータ1と対応することができる。
【0084】
図9の電流値の時間変化は、A1~A5の期間で分けて説明することができる。A1の時点では、モータ1が作動前であるため低い又は0の略一定の電流値となっている。次にA2の地点では電流値が一番高くなる。これは、制御部22の制御によりモータ1が作動開始して負荷が最もかかるために電流値が高くなることを示している。次に、A3の範囲では、モータ1の電流値がある程度の高さで維持していることが示されている。これは、モータ1が必要な仕事を行い作動中であることを示している。次にA4の地点で再び電流値が所定時間高くなる。これは、モータ1が作動させる部品が当て止めに当たって停止したため、モータ1にかかる負荷が増したことを示している。制御部22はこれを検出してモータ1を停止させることができる。このことで、次のA5では、電流値はモータ1が作動していない状態の低い又は0の略一定の電流値(A1の範囲とほぼ同じ電流値)まで下がった状態が維持される。
【0085】
モータ1の電流値は、モータ1に対応する図1の第2の検出部24で測定することができる。
【0086】
このように、第3の表示例では、特定のアクチュエータであるモータ1の電流値について、上部に最大値と最小値を示し、下部に電流値の時系列の変化を示すことで、モータ1の電流特性を的確に知ることが可能となる。これらは、不具合が生じたときは、正常時の記録と比較することで、全体的にその違いを把握することが可能となる。そして、モータ1の電流値の時間的変化を確認することで、図9に示した当て止めによる構成のモータ1の電流値の状況を的確に把握することが可能となる。
【0087】
<第4の表示例>
図10は、本発明の農作業機用表示システムにおける第4の表示例を示す。ここでは、表示部72(表示部13)の第4の表示例を示している。
【0088】
図10では、上部に「電源電圧」の「最大値:14.2V」、「最小値:10.5V」が示されている。これらは、アクチュエータが作動中の今回測定された電源電圧の最大値と最小値である。その下には、電源電圧の時間変化がグラフで示されている。左から右が時間を示し、上下が電圧の変化を示し、上に行くほど電圧値が高いことを示している。アクチュエータの作動の例としては、図9で示したモータ1が作動している場合等である。
【0089】
図10の電圧値の時間変化は、B1~B5の期間で分けて説明することができる。B1の時点では、アクチュエータが作動前であるため電源の電圧とほぼ等しく、ほぼ一定の電圧値となっている。次にB2の地点では電圧値が一気に下がり一番低い値となる。これは、制御部22の制御によりアクチュエータが作動開始して負荷がかかるために電源側の電圧値が低くなることを示している。次に、B3の範囲では、電源側の電圧値がある程度下がった状態を維持していることが示されている。これは、アクチュエータが必要な仕事を行い作動中であることを示している。次にB4の地点で再び電圧値が所定時間下がった状態が続く。これは、アクチュエータが作動させる部品が当て止めに当たって停止したため、アクチュエータにかかる負荷が増したことを示している。制御部22はこれを検出してアクチュエータを停止させることができる。このことで、次のB5では、電圧値はアクチュエータが作動していない状態の電圧値(B1の範囲とほぼ同じ電圧値)まで上昇してその状態が維持される。
【0090】
電源側の電圧値は、図1の第1の検出部21で測定することができる。
【0091】
このように、第4の表示例では、電源電圧について、上部に最大値と最小値を示し、下部に電圧値の時系列の変化を示すことで、アクチュエータ作動時の電源電圧の特性を的確に知ることが可能となる。これらは、不具合が生じたときは、正常時の記録と比較することで、全体的にその違いを把握することが可能となる。そして、電源側の電圧値の時間的変化を確認することで、図10に示した当て止めによる構成の電源側の電圧値の状況を的確に把握することが可能となる。
【0092】
<第5の表示例>
図11は、本発明の農作業機用表示システムにおける第5の表示例を示す。ここでは、表示部72(表示部13)の第5の表示例を示しており、図9の第3の表示例と異なる点を説明する。
【0093】
図11の第5の表示例は、図9の第3の表示例と比較して、表示項目が同じであるが、モータ1の電流の時間変化のグラフが異なる。
【0094】
図11の電流値の時間変化は、C1~C5の期間で分けて説明することができる。C1~C3は、図9のA1~A3と同様である。次にC4の地点で電流値は、モータ1が作動していない状態の低い略一定の電流値(C1の範囲とほぼ同じ電流値)まで下がる。これは、センサを設けてそのセンサからの情報を制御部22が検出してモータ1を停止させたためである。ここでのセンサは、リミットスイッチ、ポテンショメータ、角度センサ等があげられる。すなわち、モータ1の作動により、所定の位置や状態となったことをセンサが検出したため制御部22がモータ1を停止させて電流値が低い又は0の状態となったことを示している。次のC5では、電流値はモータ1が作動していない状態の低い又は0の略一定の電流値(C1の範囲とほぼ同じ電流値)のままとなる。なお、センサ以外に、タイマーでモータ1を停止させる場合やスイッチでモータ1を停止させる場合でも図11と同様の波形が測定される。
【0095】
このように、第5の表示例では、モータ1の電流値について、センサを用いた場合の例を示した。このように、電流値の時間的変化を確認することで、図11に示したセンサによる構成のモータ1の電流値の状況を的確に把握することが可能となる。例えば、センサによる構成であるにもかかわらず電流値が途中で増加した場合は、石が挟まっている状況や人の手や足等が挟まっている状況等の異常状態を把握できる。また、本来停止するはずの位置を通過して、電流値が増加した場合は、センサの故障等が考えられる。
【0096】
<第6の表示例>
図12は、本発明の農作業機用表示システムにおける第6の表示例を示す。ここでは、表示部72(表示部13)の第6の表示例を示しており、図10の第4の表示例と異なる点を説明する。
【0097】
図12の第6の表示例は、図10の第4の表示例と比較して、表示項目が同じであるが、電源電圧の時間変化のグラフが異なる。
【0098】
図12の電圧値の時間変化は、D1~D5の期間で分けて説明することができる。D1~D3は、図10のB1~B3と同様である。次にD4の地点で電圧値は、アクチュエータが作動していない状態の一定の電圧値(D1の範囲と同じ電圧値)まで上がる。これは、センサを設けてそのセンサからの情報を制御部22が検出してアクチュエータを停止させたためである。ここでのセンサは、図11で説明したセンサと同様である。すなわち、アクチュエータの作動により、所定の位置や状態となったことをセンサが検出したため制御部22がアクチュエータを停止させて電圧値が作動前の状態となったことを示している。次のD5では、電圧値はアクチュエータが作動していない状態の所定の電圧値(D1の範囲とほぼ同じ電圧値)のままとなる。なお、センサ以外に、タイマーでモータ1を停止させる場合やスイッチでモータ1を停止させる場合でも図11と同様の波形が測定される。
【0099】
このように、第6の表示例では、電源側の電圧値について、センサを用いた場合の例を示した。このように、電圧値の時間的変化を確認することで、図12に示したセンサによる構成の電源側の電圧値の状況を的確に把握することが可能となる。例えば、センサによる構成であるにもかかわらず電圧値が途中で減少した場合は、石が挟まっている状況や人の手や足等が挟まっている状況等の異常状態を把握できる。また、本来停止するはずの位置を通過して、電圧値が増加した場合は、センサの故障等が考えられる。
【0100】
<切替について>
図8~12で示した表示画面の切替は、図1の表示装置10であれば、操作部14の切替スイッチにより、図3のリモコン装置70であれば、スイッチ71bにより行うことができる。このとき、図9や11で示した、モータ1の表示は、表示画面の切替により他のアクチュエータ(モータ2~5等)を表示させることができる。さらに、電圧の測定結果の表示画面を電流の測定結果の表示画面に切り替えてもよく、電流の測定結果の表示画面を電圧の測定結果の表示画面に切り替えてもよい。また、過去の電圧や電流の測定結果に基づく表示画面に切り替えてできるようにしてもよい。
【0101】
<別実施形態>
図13は、本発明の農作業機用表示システムの別実施形態を示すブロック図である。図13では、図1と異なる点について主に説明し、同一の箇所には同一の符号を付してあり、特に説明がない部分は同じ説明を省略している。
【0102】
図13では、図1のように第2の検出部24-2は備えず、第2の検出部24-1が2つのアクチュエータ31-1、31-2の電圧と電流の少なくとも1つを測定する。この場合、同時に使用しない又は同時にほとんど使用しないアクチュエータ31-1、31-2に共通の第2の検出部24-1を設けることで、第2の検出部24の数を減らすことができる。例えば、図2で示した延長整地体駆動装置60(のモータ)と加圧装置68(のモータ)であれば、同時に使用することはほとんど想定されない。この場合、制御部22が制御しているアクチュエータ31と合わせて記録しておくことで、測定されるアクチュエータ31の区別が可能である。
【0103】
さらに、図13では、図1のように通信部25は制御装置20に含まれておらず、制御装置20とは別に構成されている。このことで通信部25を作業機2における通信が良好な場所に制御装置20とは独立して配置することが可能となる。また、通信部25を単独の部品とすることで、制御装置20の設計に依存しないためコストを抑えられることも考えられる。
【0104】
<効果>
以上のような実施形態により、トラクタに装着する作業機に用いる電圧と電流の少なくとも1つについて、図4~6で示した処理により的確に測定して、その結果を表示することができる。このとき表示は、図7~12に示すように知りたい情報を的確に表示することが可能である。このとき、切替スイッチで表示の切替を行うこともできる。また、制御装置20内に、検出部21、24を設けることで、防水や防塵、耐振動の機能を持たせることを容易にする。また、アクチュエータを複数備える場合にもそれぞれのアクチュエータの測定結果を表示することができる。
【0105】
以上の様に、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述した以外の様々な変形例も含まれる。例えば、上記した実施形態に設けられた全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を削除したり、他の構成に置き換えたりすることも可能である。
【0106】
例えば、適用する作業機として、代掻き作業機の実施形態を示したが、これ以外に、例えば、畦塗り機、ロータリー作業機、施肥機、播種機等、トラクタに装着する作業機であれば、適用することができる。
【0107】
また、図1で示したアクチュエータ31の数は1つでもよく、また複数でもよい。複数のアクチュエータ31の場合は、それぞれのアクチュエータ31に適用する出力部23と第2の検出部24の数を増やしていくことが可能である。これによりアクチュエータ31が複数有していてもそれぞれの電圧と電流の特性を測定することが可能となる。また、場合によっては、図13で示したように複数のアクチュエータ31に対して、対応する2つの出力部23と1つの第2の検出部24を用いる構成とすることも可能である。
【0108】
また、上記の実施形態ではアクチュエータについて説明した。アクチュエータは出力が大きく機能も重要であるため、その電気の特性を把握することが重要である。しかし、本発明をアクチュエータに代えて、アクチュエータ以外の電力を必要とする出力機器に適用することも可能である。出力機器としては、例えば、ブザーやスピーカー等の報知器、表示装置、ライト、灯火器、センサ等があげられる。すなわち、出力機器としては、電力を消費するものであれば適用可能である。
【0109】
また、検出部21、24で測定した電圧や電流の測定結果や、記録部15、26に記録した電圧や電流の測定結果は、インターネット等のネットワークを通して、外部に送信する構成を有していてもよい。例えば、表示装置10にスマートフォンを適用すれば、そのスマートフォンのインターネット機能を用いて、外部へ測定結果を送信することが可能である。これにより、メンテナンスや修理を担当する担当者、製品を開発する担当者等がそのデータを利用することが可能となる。
【0110】
また、図4で示した第1の処理例において、ステップS106で計測スイッチがONと判定される場合に、ステップS107で測定された電圧と電流の少なくとも1つの情報を表示装置10に出力することを説明した。しかし、これ以外に、計測スイッチがONか否かにかかわらず、操作可能状態の場合は常に表示装置10に測定された電圧と電流の少なくとも1つの情報を制御装置20の制御部22から出力してもよい。そして、計測スイッチがONとなったら、表示装置10が受信していた電圧と電流の少なくとも1つに関する情報の表示を行うようにする。このことで、即座に表示装置10での表示が可能となる。
【0111】
また、図4~6で示した各処理は、図1の操作部14や図3のリモコン装置70のスイッチ操作により、どの処理を適用するかを選択するようにしてもよい。
【0112】
本明細書には以下の態様の開示も含まれる。
(態様1)
トラクタに装着して農作業を行う作業機に用いる電圧と電流の少なくとも1つを表示する農作業機用表示システムにおいて、
前記作業機に設けられるアクチュエータと、前記作業機に設けられ前記アクチュエータを制御する制御部と、前記制御部よりも電源側の電圧と電流の少なくとも1つを計測する第1の検出部と、前記アクチュエータの電圧と電流の少なくとも1つを測定する第2の検出部と、前記制御部と通信可能で前記第1の検出部と前記第2の検出部が測定した電圧と電流の少なくとも1つの情報を表示可能な表示部を有する表示装置とを備え、
前記制御部は、前記制御部の電源が入った場合に、前記第1の検出部と前記第2の検出部で電圧と電流の少なくとも1つを測定して、前記表示装置に測定した電圧と電流の少なくとも1つの情報を出力することを特徴とする農作業機用表示システム。
【0113】
(態様2)
態様1に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記アクチュエータは複数備えられ、前記第2の検出部はアクチュエータごとに設けられ、前記第2の検出部はそれぞれのアクチュエータごとの電圧と電流の少なくとも1つを測定することを特徴とする農作業機用表示システム。
【0114】
(態様3)
態様1又は態様2に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示装置は、前記アクチュエータを操作する操作スイッチと、計測スイッチとを有し、
前記制御部は、前記アクチュエータが前記操作スイッチで操作可能な状態になったら、前記第1の検出部と前記第2の検出部で電圧と電流の少なくとも1つの測定を開始し、前記計測スイッチの操作信号を受信した場合は、前記表示装置に測定した電圧と電流の少なくとも1つの情報を出力することを特徴とする農作業機用表示システム。
【0115】
(態様4)
態様1又は態様2に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示装置は、前記アクチュエータを操作する操作スイッチと、計測スイッチとを有し、
前記制御部は、前記アクチュエータが前記操作スイッチで操作可能な状態になり、かつ、前記計測スイッチの操作信号を受信した場合は、前記第1の検出部と前記第2の検出部で電圧と電流の少なくとも1つの測定を開始し、前記表示装置に測定した電圧と電流の少なくとも1つの情報を出力することを特徴とする農作業機用表示システム。
【0116】
(態様5)
態様1又は態様2に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記制御部は、前記アクチュエータが作動した場合に、前記第1の検出部と前記第2の検出部で電圧と電流の少なくとも1つの測定を開始し、前記表示装置に測定した電圧と電流の少なくとも1つの情報を出力することを特徴とする農作業機用表示システム。
【0117】
(態様6)
態様1から態様5のいずれかに記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記制御部と、前記第1の検出部と、前記第2の検出部は、制御装置として1つのボックス内に設けられることを特徴とする農作業機用表示システム。
【0118】
(態様7)
態様2に記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示部は、前記制御部から出力された電圧と電流の少なくとも1つの情報に基づき、前記制御部よりも電源側の電圧値、及び、前記複数のアクチュエータに対応するそれぞれの電流値を、数値又はグラフで表示することを特徴とする農作業機用表示システム。
【0119】
(態様8)
態様1から態様7のいずれかに記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示部は、前記制御部から出力された電流の情報に基づき、前記アクチュエータの電流値の時間変化のグラフを表示することを特徴とする農作業機用表示システム。
【0120】
(態様9)
態様1から態様8のいずれかに記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示部は、前記制御部から出力された電圧の情報に基づき、前記制御部よりも電源側の電圧値の時間変化のグラフを表示することを特徴とする農作業機用表示システム。
【0121】
(態様10)
態様1から態様9のいずれかに記載の農作業機用表示システムにおいて、
前記表示装置は、切替スイッチを備え、前記切替スイッチの操作により、前記制御部から出力された電圧と電流の少なくとも1つの情報に基づく前記表示部の表示の内容を切り替え可能であることを特徴とする農作業機用表示システム。
【符号の説明】
【0122】
1 トラクタ
2 作業機
4 電源
5 バッテリ
10 表示装置
13 表示部
14 操作部
15 記録部
20 制御装置
21 第1の検出部
22 制御部
24 第2の検出部
26 記録部
31 アクチュエータ
50 代掻き作業機
53 第1の整地体
54 第2の整地体
55 中央作業部
55’ サイド作業部
56 電動油圧シリンダ
57 回動機構
60 延長整地体駆動装置
61 延長整地体
66 第2の整地体駆動装置
68 加圧装置
70 リモコン装置
71a~71r スイッチ
72 表示部
図1
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