(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147969
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】入退管理システム、生体認証ユニット、及び、入退管理方法
(51)【国際特許分類】
G07C 9/37 20200101AFI20241009BHJP
G07C 9/38 20200101ALI20241009BHJP
【FI】
G07C9/37
G07C9/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060763
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】庄司 武正
(72)【発明者】
【氏名】中元 栄次
(72)【発明者】
【氏名】池田 光治
【テーマコード(参考)】
3E138
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138JA03
3E138JB16
3E138JC05
3E138JC15
3E138JD03
3E138JD07
(57)【要約】
【課題】人の属性に応じて当該人に扉を開けることを許可するか否かを決定することができる入退管理システムを提供する。
【解決手段】入退管理システム10は、人の第1生体情報を取得する取得部52aと、取得された第1生体情報に人の属性情報を設定する設定部52bと、施設に設けられた扉40を解錠または開放するための許可条件であって、属性情報に関連する許可条件を登録する登録部52cと、取得部52aにより第1生体情報に対応する第2生体情報が取得された場合に、第1生体情報に設定された属性情報と、許可条件とに基づいて、扉40の解錠または開放の可否を示す情報を出力する出力部52dとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の第1生体情報を取得する取得部と、
取得された前記第1生体情報に前記人の属性情報を設定する設定部と、
施設に設けられた扉を解錠または開放するための許可条件であって、属性情報に関連する許可条件を登録する登録部と、
前記取得部により前記第1生体情報に対応する第2生体情報が取得された場合に、前記第1生体情報に設定された前記属性情報と、前記許可条件とに基づいて、前記扉の解錠または開放の可否を示す情報を出力する出力部とを備える
入退管理システム。
【請求項2】
前記第2生体情報が前記第1生体情報に対応するか否かの判定を行う判定部を備え、
前記判定部は、前記第1生体情報に設定された前記属性情報に応じて前記判定の基準を変更する
請求項1に記載の入退管理システム。
【請求項3】
前記入退管理システムは、前記取得部、前記設定部、前記登録部、及び、前記出力部を含む生体認証ユニットを備え、
前記施設には、前記生体認証ユニットと他の生体認証ユニットとが設けられ、
前記生体認証ユニットにおける、前記第2生体情報が前記第1生体情報に対応するか否かの判定基準は、前記他の生体認証ユニットと異なるように設定することができる
請求項1または2に記載の入退管理システム。
【請求項4】
前記施設には、前記扉と、前記扉と異なるエリアに位置する他の扉とが設けられ、
前記他の生体認証ユニットは、前記他の扉の解錠または開放の可否を示す情報を出力する
請求項3に記載の入退管理システム。
【請求項5】
前記第1生体情報は、人の顔を含む画像情報、及び、前記画像情報に基づく特徴量情報の少なくとも一方を含む
請求項1または2に記載の入退管理システム。
【請求項6】
前記属性情報には、複数種類の属性が含まれる
請求項1または2に記載の入退管理システム。
【請求項7】
前記属性情報には、前記人の年齢層、前記人の立場、及び、前記人に関連する前記施設の領域の少なくとも1つが含まれる
請求項1または2に記載の入退管理システム。
【請求項8】
人の第1生体情報を取得する取得部と、
取得された前記第1生体情報に前記人の属性情報を設定する設定部と、
施設に設けられた扉を解錠または開放するための許可条件であって、属性情報に関連する許可条件を登録する登録部と、
前記取得部により前記第1生体情報に対応する第2生体情報が取得された場合に、前記第1生体情報に設定された前記属性情報と、前記許可条件とに基づいて、前記扉の解錠または開放の可否を示す情報を出力する出力部とを備える
生体認証ユニット。
【請求項9】
前記出力部は、取得された前記第1生体情報と、前記第1生体情報に設定された前記属性情報とを含む認証用情報を、前記施設に設けられた他の生体認証ユニットに出力する
請求項8に記載の生体認証ユニット。
【請求項10】
さらに、前記認証用情報を前記他の生体認証ユニットに出力する条件を設定する条件設定部を備える
請求項9に記載の生体認証ユニット。
【請求項11】
前記登録部は、前記施設に設けられた他の生体認証ユニットから他の認証用情報を取得した場合、取得された前記他の認証用情報に含まれる属性情報が前記許可条件を満たすときに、前記他の認証用情報を登録する
請求項8~10のいずれか1項に記載の生体認証ユニット。
【請求項12】
前記登録部は、前記他の生体認証ユニットから前記他の認証用情報を取得した場合、取得された前記他の認証用情報に含まれる属性情報が前記許可条件を満たさないときには、前記他の認証用情報を登録しない
請求項11に記載の生体認証ユニット。
【請求項13】
前記施設には、
1以上の第1生体認証ユニットであって、当該第1生体認証ユニットに登録された第1認証用情報を前記生体認証ユニットへ送信する1以上の第1生体認証ユニットと、
前記第1認証用情報を受信した前記生体認証ユニットの、前記第1認証用情報の送信先となる第2生体認証ユニットとが設けられる
請求項8~10のいずれか1項に記載の生体認証ユニット。
【請求項14】
コンピュータシステムによって実行される入退管理方法であって、
人の第1生体情報を取得する取得ステップと、
取得された前記第1生体情報に前記人の属性情報を設定する設定ステップと、
施設に設けられた扉を解錠または開放するための許可条件であって、属性情報に関連する許可条件を登録する登録ステップと、
前記第1生体情報に対応する第2生体情報が取得された場合に、前記第1生体情報に設定された前記属性情報と、前記許可条件とに基づいて、前記扉の解錠または開放の可否を示す情報を出力する出力ステップとを含む
入退管理方法。
【請求項15】
請求項14に記載の入退管理方法を前記コンピュータシステムに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅などの施設において使用される入退管理システム、及び、入退管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集合住宅への人の出入りを管理するためのシステムが知られている。特許文献1には、顔認証を用いた住宅用セキュリティシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、人の属性に応じて当該人に扉を開けることを許可するか否かを決定することができる入退管理システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る入退管理システムは、人の第1生体情報を取得する取得部と、取得された前記第1生体情報に前記人の属性情報を設定する設定部と、施設に設けられた扉を解錠または開放するための許可条件であって、属性情報に関連する許可条件を登録する登録部と、前記取得部により前記第1生体情報に対応する第2生体情報が取得された場合に、前記第1生体情報に設定された前記属性情報と、前記許可条件とに基づいて、前記扉の解錠または開放の可否を示す情報を出力する出力部とを備える。
【0006】
本発明の一態様に係る生体認証ユニットは、人の第1生体情報を取得する取得部と、取得された前記第1生体情報に前記人の属性情報を設定する設定部と、施設に設けられた扉を解錠または開放するための許可条件であって、属性情報に関連する許可条件を登録する登録部と、前記取得部により前記第1生体情報に対応する第2生体情報が取得された場合に、前記第1生体情報に設定された前記属性情報と、前記許可条件とに基づいて、前記扉の解錠または開放の可否を示す情報を出力する出力部とを備える。
【0007】
本発明の一態様に係る入退管理方法は、コンピュータシステムによって実行される入退管理方法であって、人の第1生体情報を取得する取得ステップと、取得された前記第1生体情報に前記人の属性情報を設定する設定ステップと、施設に設けられた扉を解錠または開放するための許可条件であって、属性情報に関連する許可条件を登録する登録ステップと、前記第1生体情報に対応する第2生体情報が取得された場合に、前記第1生体情報に設定された前記属性情報と、前記許可条件とに基づいて、前記扉の解錠または開放の可否を示す情報を出力する出力ステップとを含む。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記入退管理方法を前記コンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の入退管理システム等は、人の属性に応じて当該人に扉を開けることを許可するか否かを決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る入退管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、扉及び生体認証ユニットの配置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、認証用情報の登録動作のフローチャートである。
【
図5】
図5は、複数の生体認証ユニットによって構築される通信ネットワークの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、解錠ルールの登録動作のシーケンス図である。
【
図7】
図7は、扉の解錠可否の判定動作のシーケンス図である。
【
図9】
図9は、判定基準の設定動作のシーケンス図である。
【
図10】
図10は、認証用情報の共有タイミングの設定動作のシーケンス図である。
【
図11】
図11は、認証用情報の登録の要否の判定動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態)
[構成]
以下、実施の形態に係る入退管理システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る入退管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示される入退管理システム10は、集合住宅100において人の出入りを管理するシステムである。集合住宅100内にはオートロック式ドア30及び複数の扉40が設けられており、オートロック式ドア30及び複数の扉40のそれぞれは、対応する生体認証ユニット50が生体認証処理(具体的には、顔認証処理)に成功した場合に解錠または開放される。集合住宅100は、施設の一例であり、具体的には、マンション、寮、社宅などである。集合住宅100は、例えば、複数の棟(A棟、B棟、及び、C棟)を備える。
【0015】
入退管理システム10は、複数の棟のそれぞれの敷地内に、ロビーインターホン20と、オートロック式ドア30と、複数の扉40と、複数の生体認証ユニット50と、制御装置60と、複数のインターホン親機70とを備える。また、入退管理システム10は、複数の棟の1つ(例えば、A棟)の敷地内に、ゲートウェイ装置80及び管理者用情報端末90を備える。
【0016】
入退管理システム10は、1つの棟にロビーインターホン20を複数備えてもよいし、1つの棟にオートロック式ドア30を複数備えてもよい。例えば、1つの棟の表玄関及び裏玄関のそれぞれにロビーインターホン20及びオートロック式ドア30が設けられる場合、及び、通路を挟むダブルゲート構成が採用されている場合等も考えられる。
【0017】
なお、入退管理システム10は、
図1に示される全ての装置を備える必要はなく、一部の装置を備えていなくてもよい。また、集合住宅100が複数の棟を備える必要はなく、集合住宅100は少なくとも1つの棟を備えればよい。
【0018】
ロビーインターホン20は、集合住宅100の1つの棟のエントランス(つまり、共用部)のオートロック式ドア30の外側(屋外側)に設けられる装置である。ロビーインターホン20は、例えば、オートロック式ドア30に対応する生体認証ユニット50の認証処理の結果に基づいて、オートロック式ドア30を解錠または開放する。
【0019】
オートロック式ドア30は、集合住宅100の1つの棟のエントランスに設けられた扉であり、言い換えれば、集合住宅100の1つの棟の出入口の扉である。オートロック式ドア30は、解錠または開放されてから一定時間の経過後に自動的に施錠(または閉鎖)される。オートロック式ドア30が有する扉は、引き戸であってもよいし、開き戸であってもよい。
【0020】
複数の扉40のそれぞれは、人の出入りを制限するための扉である。複数の扉40のそれぞれは、電気錠によって施錠及び解錠される扉であるか、または、自動ドアである。複数の扉40のそれぞれは、当該扉40に対応する生体認証ユニット50の顔認証処理の結果に基づいて、解錠または開放される。複数の扉40のそれぞれは、解錠または開放されてから一定時間の経過後に自動的に施錠(または閉鎖)される。
【0021】
以下の実施の形態では、オートロック式ドア30及び扉40が解錠または開放されることを、記載の簡略化のために、単に解錠されると記載する。以下の実施の形態におけるオートロック式ドア30及び扉40の解錠は、適宜、オートロック式ドア30及び扉40の開放に読み替えられてよい。
【0022】
複数の生体認証ユニット50のそれぞれは、オートロック式ドア30または扉40に対応する、生体認証処理を行う装置である。生体認証ユニット50は、具体的には、顔認証処理を行う顔認証ユニットである。生体認証ユニット50は、当該生体認証ユニット50が顔認証処理に成功した場合に、当該生体認証ユニット50に対応するオートロック式ドア30または扉40を解錠するための情報を出力する。
【0023】
なお、以下の実施の形態では、説明の簡略化のために、オートロック式ドア30または扉40と生体認証ユニット50とが1対1で対応するものとするが、実際には、1つの扉40に2つの生体認証ユニット50が対応するような場合もある。例えば、部屋へ出入りするための1つの扉40を解錠するための生体認証ユニット50が、部屋の中及び部屋の外のそれぞれに設けられるような場合がある。
【0024】
生体認証ユニット50は、具体的には、通信部51と、情報処理部52と、記憶部53と、撮像部54と、操作受付部55とを備える。
【0025】
通信部51は、生体認証ユニット50が、制御装置60と、局所通信ネットワークを介して通信を行うための通信回路(通信モジュール)である。通信部51によって行われる通信は、例えば、有線通信であるが、無線通信であってもよい。通信部51によって行われる通信の通信規格は特に限定されない。なお、生体認証ユニット50が対応する扉40と通信するときには、通信部51は、制御装置60を介さずに扉40と通信してもよい。
【0026】
情報処理部52は、顔認証処理を行う。情報処理部52は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。情報処理部52は、機能的な構成要素として。取得部52a、設定部52b、登録部52c、出力部52d、判定部52e、基準設定部52f、及び、条件設定部52gを備える。取得部52a、設定部52b、登録部52c、出力部52d、判定部52e、基準設定部52f、及び、条件設定部52gの機能は、例えば、情報処理部52を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサ等が記憶部53に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。
【0027】
記憶部53は、認証用情報(後述)、解錠ルール(後述)、及び、情報処理部52が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部53は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0028】
なお、オートロック式ドア30に対応する生体認証ユニット50は、ロビーインターホン20に内蔵される装置であってもよい。つまり、ロビーインターホン20が顔認証処理を行う機能を有していてもよい。
【0029】
撮像部54は、生体認証ユニット50の近傍に位置する人の映像(動画像)を撮像するカメラである。撮像部54は、人の顔が映る画像(以下、顔画像とも記載される)を撮像することができる。撮像部54は、イメージセンサなどによって実現される。なお、撮像部54は、生体認証ユニット50とは別体の機器であって生体認証ユニット50に接続される機器であってもよい。
【0030】
操作受付部55は、ユーザ(居住者または訪問者)の操作を受け付ける。操作受付部55は、ハードウェアボタンまたはタッチパネルなどによって実現される。
【0031】
制御装置60は、集合住宅100内に設けられた機器間の通信(例えば、ロビーインターホン20とインターホン親機70との間の通信)の制御などを行う装置である。
【0032】
インターホン親機70は、集合住宅100の専有部に固定設置された装置である。インターホン親機70は、例えば、複数の専有部のそれぞれに設けられる。インターホン親機70は、専有部の居住者がロビーインターホン20またはインターホン子機(図示せず)を介して来訪者と通話するための情報処理などを行う。なお、インターホン子機は、いわゆるドアホンであり、専有部の出入口の外側に設けられる。
【0033】
ゲートウェイ装置80は、制御装置60などの集合住宅100に設けられた機器が、インターネットなどの広域通信ネットワークを通じてクラウドサーバなどの外部装置(図示せず)と通信するための通信装置である。また、ゲートウェイ装置80は、1つの棟に設けられた制御装置60が他の棟に設けられた制御装置60と通信するための装置でもある。
【0034】
管理者用情報端末90は、集合住宅100の1つの棟の管理人室などに設置され、集合住宅100の管理者等によって使用される装置である。管理者用情報端末90は、具体的には、管理者用のインターホン親機であるが、監視装置であってもよいし、パーソナルコンピュータであってもよい。管理者用情報端末90は、具体的には、通信部91と、情報処理部92と、記憶部93と、操作受付部94とを備える。
【0035】
通信部91は、管理者用情報端末90が、制御装置60と、局所通信ネットワークを介して通信を行うための通信回路(通信モジュール)である。通信部91によって行われる通信は、例えば、有線通信であるが、無線通信であってもよい。通信部91によって行われる通信の通信規格は特に限定されない。
【0036】
情報処理部92は、顔認証処理に関する設定処理を行う。情報処理部92は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。情報処理部92の機能は、例えば、情報処理部92を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサ等が記憶部93に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。
【0037】
記憶部93は、情報処理部92が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部93は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0038】
操作受付部94は、管理者等の操作を受け付ける。操作受付部94は、ハードウェアボタン、マウス、キーボート、または、タッチパネルなどによって実現される。
【0039】
[入退管理システムにおける課題]
次に、入退管理システム10が一般的な設定方法に基づいて構築されると仮定した場合の課題について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、扉40及び生体認証ユニット50の配置の一例を示す図である。
図2において、扉40及びこれに対応する生体認証ユニット50は破線の角丸四角で模式的に図示されている。
【0040】
A棟の3Fに居住している居住者aが、A棟の3FとA棟の共有部だけに自由に出入りできるようなシステムを構築する場合、A棟~C棟の各フロアに当該フロアへの出入りを制限するための扉40及び生体認証ユニット50を設置し、さらに、居住者aがA棟の3FとA棟の共有部だけに自由に出入りできるように、多数の生体認証ユニット50へ設定を行わなくてはならない。管理者等が管理者用情報端末90を用いてこのような設定を行うことは、非常に煩雑である。各フロア及び共用部が複数のエリアに分かれており、エリアごとに出入りを制限したい場合には、扉40及び生体認証ユニット50の数がさらに増えることから、設定はさらに煩雑になる。
【0041】
そこで、入退管理システム10においては、複数の生体認証ユニット50のそれぞれに、人の属性に対して解錠の可否の条件を定めた解錠ルール(属性情報に関連する許可条件の一例)をあらかじめ登録しておく。また、ユーザ(居住者または訪問者)は、顔認証処理用の顔画像を複数の生体認証ユニット50に登録するときに、当該ユーザの属性情報を合わせて登録しておく。
【0042】
生体認証ユニット50は、顔認証処理に成功し、かつ、当該顔認証処理に使用した顔画像と合わせて登録された属性情報が解錠ルールを満たす場合に、対応する扉40を解錠する。入退管理システム10においては、複数の生体認証ユニット50のそれぞれに解錠ルールを登録してしまえば、その後にユーザが追加されても、ユーザの追加に応じて解錠ルールを変更する必要が無い。したがって、入退管理システム10は、設定の簡素化を図ることができる。
【0043】
[認証用情報の登録動作]
ユーザは、自身の認証用情報をあらかじめ入退管理システム10に登録しておくことにより、以降は、顔認証処理に基づいて集合住宅100内で入室権限のある部屋またはエリアに出入りすることができる。以下、認証用情報の登録動作について説明する。
図3は、認証用情報の登録動作のフローチャートである。
【0044】
ユーザは、複数の生体認証ユニット50のいずれかに対して撮影指示操作を行う。生体認証ユニット50の操作受付部55は、撮影指示操作を受け付け(S11)、取得部52aは、受け付けられた撮影指示操作に基づいて、ユーザの顔画像を取得する(S12)。取得部52aは、具体的には、撮像部54にユーザの顔画像を撮影させる。また、取得部52aは、顔画像から顔認証処理に使用する特徴量を取得(算出)する(S13)。
【0045】
次に、ユーザは、生体認証ユニット50に対して自身の属性情報の入力操作を行う。生体認証ユニット50の操作受付部55は、入力操作を受け付け(S14)、設定部52bは、受け付けられた入力操作によって入力された属性情報を、顔認証情報(ステップS12において取得された顔画像、及び、ステップS13において取得された特徴量)に設定することにより、認証用情報を生成する(S15)。
図4は、認証用情報の模式図である。
【0046】
図4に示されるように、認証用情報は、顔認証情報と、属性情報とを含む。なお、顔認証情報には、顔画像及び特徴量の少なくとも一方が含まれればよい。属性情報は、α、β、γ、δ、εの5種類の属性を含み、5種類の属性が具体的にどのような属性であるかは、属性値1~5によって規定される。属性情報は、少なくとも1種類の属性を含んでいればよい。以下、5種類の属性について具体的に説明する。
【0047】
αは、信頼度であり、例えば、1:管理人、2:住人、3:親族、4:来客、5:業者、というように規定される。
【0048】
βは、年齢層であり、例えば、1:大人、2:年配者、3:青年、4:子ども、5:不明、というように規定される。
【0049】
γは、居住棟であり、例えば、1:A棟、2:B棟、3:C棟、4:非居住、というように規定される。
【0050】
δは、居住階であり、例えば、1:1階、2:2階、3:3階、4:非居住、というように規定される。
【0051】
εは、居住エリアであり、例えば、1:北側エリア、2:南側エリア、3:東側エリア、4:西側エリア、5:不明というように規定される。
【0052】
登録部52cは、
図4のような認証用情報(ステップS15において生成された認証用情報)を登録する(S16)。登録部52cは、具体的には、認証用情報を記憶部53に記憶する。また、出力部52dは、ステップS15において生成された認証用情報を他の全ての生体認証ユニット50へ出力する(S17)。出力部52dは、具体的には、通信部51を用いて、認証用情報を他の全ての生体認証ユニット50へ配信(送信)する。
【0053】
ここで、認証用情報を効率的に他の全ての生体認証ユニット50へ配信するために、
図5のような通信ネットワークがあらかじめ構築される。
図5は、複数の生体認証ユニット50によって構築される通信ネットワークの一例を示す図である。なお、
図5では、制御装置60及びゲートウェイ装置80の図示は省略されている。
【0054】
図5示される通信ネットワークは、階層的な通信ネットワークである。
図5の例では、A棟、B棟、C棟のそれぞれにおいて複数の第1生体認証ユニット(子機)及び1つの第2生体認証ユニット(親機)が定められており、認証用情報は、
図5の実線矢印によって示される通信経路を通じて全ての生体認証ユニット50へ配信される。
【0055】
例えば、ステップS11~S16の処理がA棟の第1生体認証ユニットによって行われた場合、ステップS17において、第1生体認証ユニットは、A棟の第2生体認証ユニットへ認証用情報を送信する。
【0056】
A棟の第2生体認証ユニットは、受信した認証用情報を登録(自身が備える記憶部53に記憶)するとともに、受信した認証用情報をA棟の他の全ての第1生体認証ユニットへ送信する。A棟の他の全ての第1生体認証ユニットのそれぞれは、受信した認証用情報を登録する。
【0057】
また、A棟の第2生体認証ユニットは、受信した認証用情報を、B棟の第2生体認証ユニット、及び、C棟の第2生体認証ユニットへ送信する。
【0058】
B棟の第2生体認証ユニットは、受信した認証用情報を登録するとともに、受信した認証用情報をB棟の全ての第1生体認証ユニットへ送信する。B棟の全ての第1生体認証ユニットのそれぞれは、受信した認証用情報を登録する。
【0059】
C棟の第2生体認証ユニットは、受信した認証用情報を登録するとともに、受信した認証用情報をC棟の全ての第1生体認証ユニットへ送信する。C棟の全ての第1生体認証ユニットのそれぞれは、受信した認証用情報を登録する。
【0060】
このように、1つの生体認証ユニット50に登録された認証用情報は、全ての生体認証ユニット50へ配信され、全ての生体認証ユニット50に登録される。なお、
図5のような通信ネットワークは一例であり、認証用情報の配信方法は特に限定されない。例えば、認証用情報は、ある生体認証ユニット50から他の全ての生体認証ユニット50それぞれに個別通信で送信されてもよい。
【0061】
[解錠ルールの登録動作]
次に、解錠ルールの登録動作について説明する。
図6は、解錠ルールの登録動作のシーケンス図である。
【0062】
集合住宅100の管理者等は、管理者用情報端末90に対して解錠ルールの登録操作を行う。管理者用情報端末90の操作受付部94は、登録操作を受け付ける(S21)。情報処理部92は、受け付けられた登録操作に基づいて、解錠ルールを生成する(S22)。
【0063】
解錠ルールの具体例について説明する。登録操作により、管理者等は、B棟の屋上エリアに設置された生体認証ユニット50に対して、α、β、γ、δ、εの5種類の属性について、α={2}、β={1、2}、γ={2}、δ={*}、ε={*}という解錠ルールを指定する。
【0064】
カッコ内の数値は、上述の認証用情報の登録動作において説明した属性を示す数値であり、アスタリスクは、don’t careを意味する。解錠ルールは、顔認証処理に成功したユーザがカッコ内の属性を有していれば、対応する扉40を解錠する、ということを意味する。つまり、上記の解錠ルールは、B棟の屋上エリアに設置された生体認証ユニット50が、集合住宅100の住人であり(α={2})、大人または年配者で(β={1、2})、B棟に居住しているユーザ(γ={2})であれば、居住階及び居住エリアを問わずに(δ={*}、ε={*})対応する扉40を解錠する、ということを意味する。
【0065】
情報処理部92は、生成した解錠ルールを、通信部91を用いて、対象の生体認証ユニット50(この場合、B棟の屋上エリアに設置された生体認証ユニット50)へ送信する(S23)。解錠ルールの送信には、
図5の通信ネットワークにおける、破線矢印によって示される通信経路が用いられる。
【0066】
対象の生体認証ユニット50の通信部51は、解錠ルールを受信する。登録部52cは、通信部51によって受信された解錠ルールを登録(記憶部53に記憶)する(S24)。
【0067】
このように、解錠ルールは、管理者用情報端末90から対象の生体認証ユニット50へ送信され、対象の生体認証ユニット50に登録される。
図6の処理が全ての生体認証ユニット50を対象として行われることで、全ての生体認証ユニット50の記憶部53に解錠ルールが登録される。
【0068】
なお、解錠ルールの登録方法はこのような方法に限定されない。例えば、管理者等は、管理者用情報端末90に代えて、第2生体認証ユニット(親機)に対して解錠ルールの登録操作を行い、第2生体認証ユニットによって生成された解錠ルールが対象の生体認証ユニット50に送信されてもよい。また、管理者等は、複数の生体認証ユニット50それぞれに対して解錠ルールの登録操作を行うことにより、複数の生体認証ユニット50それぞれに解錠ルールを登録してもよい。
【0069】
また、1つの生体認証ユニット50に対して複数の解錠ルールが登録されてもよく、この場合、生体認証ユニット50は、顔認証処理に成功したユーザが、当該生体認証ユニット50に登録された複数の解錠ルールのいずれか1つの解錠ルールを満たす場合に、扉40を解錠する。
【0070】
[扉の解錠可否の判定動作]
次に、扉40の解錠可否の判定動作について説明する。
図7は、扉40の解錠可否の判定動作のシーケンス図である。
【0071】
ユーザが生体認証ユニット50の近傍に到着すると、情報処理部52は、撮像部54を用いて、ユーザの顔画像を撮影する(S31)。顔画像の撮影は、ユーザの操作受付部55への所定の操作を契機に開始されてもよいし、生体認証ユニット50が人感センサ(図示せず)を備え、人感センサがユーザを検知したことを契機に開始されてもよい。
【0072】
取得部52aは、撮影された顔画像を取得し(S32)、顔画像から顔認証処理に使用する特徴量を取得(算出)する(S33)。
【0073】
判定部52eは、ステップS33において取得された特徴量と、記憶部53に記憶された複数の認証用情報(複数の特徴量)とに基づいて、顔認証処理を行う(S34)。判定部52eは、具体的には、ステップS33において取得された特徴量と、複数の特徴量のそれぞれとの類似度を算出し、算出した類似度の最大値が閾値以上であるかを判定する。類似度の最大値が閾値未満である場合、顔認証処理は失敗であると判定され(S34で失敗)、扉40は解錠されない。
【0074】
一方、類似度の最大値が閾値以上であり、顔認証処理は成功であると判定されると(S34で成功)、出力部52dは、類似度が最も高い特徴量に設定された(対応付けられた)属性情報を特定する(S35)。出力部52dは、特定された属性情報と、記憶部53に記憶された解錠ルールとに基づいて、扉40の解錠の可否を判定する(S36)。出力部52dは、特定された属性情報が解錠ルールを満たす場合に、扉40の解錠が可能であると判定し(S36でYes)、扉40を解錠するための解錠指令を扉40へ出力する(S37)。一方、出力部52dは、特定された属性情報が解錠ルールを満たさない場合に、扉40の解錠が不可能であると判定する。この場合、扉40は解錠されない。
【0075】
このように、入退管理システム10は、認証用情報に含まれる第1顔画像に対応する第2顔画像(第1顔画像との類似度が閾値より高い顔画像)が取得された場合に、第1顔画像に設定された属性情報と、解錠ルールとに基づいて、扉40を解錠することができる。
【0076】
なお、顔認証処理において特徴量を使用しない場合、ステップS33の処理(特徴量を取得する処理)は省略することができる。顔認証処理において特徴量を使用しない場合とは、例えば、顔認証処理において、顔画像を機械学習モデルに入力するような方式である。
【0077】
また、ステップS37において、出力部52dは、扉40の解錠(または開放)の可否を示す情報を出力すればよく、出力部52d(生体認証ユニット50)が扉40を解錠することは必須ではない。例えば、オートロック式ドア30を解錠するときには、オートロック式ドア30に対応する生体認証ユニット50は、ロビーインターホン20に扉40の解錠(または開放)の可否を示す情報を出力すればよく、オートロック式ドア30の解錠は、当該情報に基づき、ロビーインターホン20によって行われる。
【0078】
[扉の解錠可否の判定動作についての補足]
ステップS36の解錠の可否の判定について集合を用いて説明(補足)する。
図8は、属性値の全体集合を示す図である。
図8の例では、全体集合には、部分集合A、部分集合B、及び、部分集合Cが含まれ、部分集合A、部分集合B、及び、部分集合Cは、互いに素である。なお、部分集合A、部分集合B、及び、部分集合Cは、互いに素でなくてもよく、部分集合A、部分集合B、及び、部分集合Cのそれぞれは、他の部分集合と重なりを有していてもよい。また、部分集合A、部分集合B、及び、部分集合Cの和が全体集合に一致しなくてもよく、部分集合A、部分集合B、及び、部分集合Cのいずれにも属さない属性値が存在してもよい。
【0079】
対象ユーザMの属性値が部分集合Aに属する場合、対象ユーザMの属性情報は、{A}と表現することができる。生体認証ユニットKが部分集合A及び部分集合Cに対して扉40の解錠を許可する場合、生体認証ユニットKの解錠ルールは、{A,C}と表現することができる。
【0080】
この場合、解錠可否の判定は、対象ユーザMの属性情報に対応する集合{A}と生体認証ユニットKの解錠ルールに対応する集合{A,C}との積集合(∩)が空集合であるか否かを判定する処理であると考えられ、扉40を解錠するための要件は、{A}∩{A,C}が空集合でないこととなる。上記の例では、{A}∩{A,C}}={A}≠空集合であることから、扉40の解錠が許可される。
【0081】
具体的な実装例について説明する。部分集合A、部分集合B、及び、部分集合Cのそれぞれを1ビットのフラグに対応させると、全体集合を3ビットのビット列で表すことができる。例えば、左のビットから順に部分集合A、部分集合B、及び、部分集合Cを表すとすると、対象ユーザMの属性情報は、“100”と表現され、生体認証ユニットKの解錠ルールは、“101”と表現することができる。
【0082】
解錠可否の判定は、属性情報を示すビット列と解錠ルールを示すビット列をビットごとにAND演算すればよく、AND演算した結果、全てのビットが0でないことが、扉40を解錠するための要件となる。上記の例では、“100”AND“101”=“100”≠“000”であるため、扉40の解錠が許可される。
【0083】
[判定基準の設定]
扉40の解錠可否の判定動作のステップS34において、判定部52eは、具体的には、ステップS33において取得された特徴量と、あらかじめ登録された複数の特徴量のそれぞれとの類似度を算出し、算出した類似度の最大値が閾値以上であるかを判定した。ここでの閾値は、顔認証処理が成功したと判定するための判定基準であるといえる。
【0084】
ここで、判定基準(閾値)は、生体認証ユニット50ごとに個別に設定可能である。
図9は、判定基準の設定動作のシーケンス図である。
【0085】
集合住宅100の管理者等は、管理者用情報端末90に対して判定基準の設定操作を行う。管理者用情報端末90の操作受付部94は、設定操作を受け付ける(S41)。情報処理部92は、受け付けられた設定操作に基づき、通信部91を用いて、対象の生体認証ユニット50へ設定指令を送信する(S42)。設定指令は、管理者等が設定操作によって指定した判定基準(閾値)を対象の生体認証ユニット50に設定するための情報である。設定指令の送信には、
図5の通信ネットワークにおける、破線矢印によって示される通信経路が用いられる。
【0086】
対象の生体認証ユニット50の通信部51は、設定指令を受信する。基準設定部52fは、通信部51によって受信された設定指令に基づいて、判定基準を設定(閾値を記憶部53に記憶)する(S43)。
【0087】
以上のような判定基準の設定動作によれば、管理者等は、例えば、判定基準を生体認証ユニット50ごとに設定することができる。また、管理者等は、判定基準を、生体認証ユニット50によって解錠される扉40の設置場所(集合住宅100内のエリア)ごとに設定することができる。例えば、オートロック式ドア30に対応する生体認証ユニット50に閾値Aが設定され、ゴミ捨て場などの危険エリアに設置された扉40に対応する生体認証ユニット50に閾値Bが設定されるとする。この場合、閾値A<閾値Bであれば、集合住宅100のロビーに入るための顔認証処理は、ゴミ捨て場に入るための顔認証処理よりも成功しやすい、ということになる。
【0088】
このように、入退管理システム10は、生体認証ユニット50における顔認証処理の判定基準を、他の生体認証ユニット50と異なるように設定することができる。
【0089】
[属性に応じた判定基準の変更]
また、判定基準は、類似度が最も高い特徴量に設定された属性情報(属性)に応じて変更されてもよい。例えば、判定部52eは、ステップS33において取得された特徴量が、記憶部53に記憶された複数の認証用情報のうち認証用情報Aに含まれる特徴量Aに最も類似していると判定すると、認証用情報Aに含まれる属性情報A(つまり、特徴量Aに設定された属性情報)の信頼度を参照する。
【0090】
判定部52eは、属性情報Aの信頼度が来客または業者を示す場合、類似度が閾値A1以上である場合に顔認証処理が成功したと判定する。また、判定部52eは、属性情報Aの信頼度が管理人または住人を示す場合、類似度が閾値A2以上である場合に顔認証処理が成功したと判定する。ここで、A1<A2であれば、ユーザが来客または業者であるときに、ユーザが管理人または住人であるときよりも、顔認証処理が成功しやすい、ということになる。
【0091】
どのような属性に対してどのような閾値を用いるか(A1及びA2をどのように設定するか)は、例えば、管理者等の管理者用情報端末90への操作によって、例えば、
図9と同様の通信シーケンスにしたがって設定される。
【0092】
このように、入退管理システム10は、顔認証処理における判定基準を、顔認証処理を試みたユーザの属性情報に応じて変更することができる。
【0093】
[認証用情報の登録動作の変形例1]
認証用情報の登録動作において、認証用情報を共有(配信)する処理(ステップS23及びステップS24の処理)が行われるタイミングは、特に限定されない。認証用情報を共有する処理は、例えば、認証用情報を新規登録する処理(ステップS21及びステップS22の処理)が行われるごとに都度実行されてもよいし、所定のタイミング(毎日12時など)が到来するごとに(つまり、定期的に)行われてもよい。認証用情報を共有する処理は、管理者用情報端末90から指示情報を受信したタイミングで行われてもよい。
【0094】
認証用情報をどのようなタイミングで共有するかについては、管理者用情報端末90(管理者等)によって設定可能である。
図10は、認証用情報の共有タイミングの設定動作のシーケンス図である。
【0095】
集合住宅100の管理者等は、管理者用情報端末90に対して認証用情報の共有タイミングの設定操作を行う。管理者用情報端末90の操作受付部94は、設定操作を受け付ける(S51)。情報処理部92は、受け付けられた設定操作に基づき、通信部91を用いて、対象の生体認証ユニット50へ設定指令を送信する(S52)。設定指令は、管理者等が設定操作によって指定した共有タイミング(どのようなタイミングで解錠ルールを共有するか)を対象の生体認証ユニット50に設定するための情報である。設定指令の送信には、
図5の通信ネットワークにおける、破線矢印によって示される通信経路が用いられる。
【0096】
対象の生体認証ユニット50の通信部51は、設定指令を受信する。条件設定部52gは、通信部51によって受信された設定指令に基づいて、共有タイミングを設定(記憶部53に記憶)する(S53)。共有タイミングは、認証用情報が新規登録されたタイミング、定期的なタイミング、管理者用情報端末90から指示情報を受信したタイミング、などである。共有タイミングの設定は、対象の生体認証ユニット50が認証用情報を他の生体認証ユニット50に出力する条件の設定と考えることもできる。
【0097】
このように、入退管理システム10は、認証用情報の共有タイミングを変更することができる。
【0098】
[認証用情報の登録動作の変形例2]
認証用情報の登録動作においては、生体認証ユニット50は、他の生体認証ユニット50から受信した認証用情報を登録(自身が備える記憶部53に記憶)すると説明したが、受信した認証用情報の全てを登録する必要はない。
【0099】
例えば、生体認証ユニット50は、認証用情報が未登録のユーザが扉40の解錠を試みたとしても扉40の解錠を許可しない。また、認証用情報が登録済みのユーザであっても、当該ユーザの認証用情報に含まれる属性情報が解錠ルールを満たさない場合には、扉40の解錠を許可しない。
【0100】
そうすると、生体認証ユニット50は、他の生体認証ユニット50から認証用情報を受信した時点で、当該認証用情報に含まれる属性情報が解錠ルールを満たさない場合には、当該認証用情報を登録する必要が無いといえる。認証用情報が登録されていてもされていなくても、当該認証用情報に対応するユーザに扉40の解錠を許可しないということに変わりはないからである。そこで、生体認証ユニット50は、認証用情報を必要なときにのみ登録してもよい。
図11は、認証用情報の登録の要否の判定動作のフローチャートである。
【0101】
生体認証ユニット50の通信部51は、他の生体認証ユニット50から認証用情報を受信する(S61)。
【0102】
登録部52cは、認証用情報を取得し(S62)、取得された認証用情報に含まれる属性情報が解錠ルールを満たすか否かを判定する(S63)。登録部52cは、属性情報が解錠ルールを満たすと判定すると、認証用情報を登録(記憶部53に記憶)する(S64)。登録部52cは、属性情報が解錠ルールを満たさないと判定すると、認証用情報を登録しない。
【0103】
このように、生体認証ユニット50は、認証用情報を必要なときにのみ登録することで、認証用情報の登録に必要な記憶部53の記憶領域を削減(節約)することができる。
【0104】
なお、生体認証ユニット50は、当該生体認証ユニット50に対して撮影指示操作(ステップS11)、及び、入力操作(ステップS14)が行われたことにより、認証用情報を生成した場合、生成した認証用情報が解錠ルールを満たさないと判定したときには、認証用情報の登録を省略して、生成した認証用情報を他の生体認証ユニット50へ出力(送信)してもよい。
【0105】
[システム構成の変形例]
入退管理システム10は、顔認証処理を行う生体認証ユニット50を備えるシステムであるが、顔認証処理以外の他の生体認証処理を行う生体認証ユニット50を備えるシステムであってもよい。他の生体認証処理としては、指紋認証処理、静脈認証処理、虹彩認証処理、または、声紋認証処理などが例示される。
【0106】
また、入退管理システム10は、インターホンシステムに組み込まれたシステムであったが、インターホンシステムとは別の入退管理システムであってもよい。入退管理システム10は、例えば、オフィスビル、または、工場などで使用される、企業の従業者用の入退管理システムであってもよい。
【0107】
[効果等]
以下、本明細書の開示内容から得られる発明を例示し、当該発明から得られる効果等について説明する。
【0108】
発明1は、人の第1生体情報を取得する取得部52aと、取得された第1生体情報に人の属性情報を設定する設定部52bと、施設に設けられた扉40を解錠または開放するための許可条件であって、属性情報に関連する許可条件を登録する登録部52cと、取得部52aにより第1生体情報に対応する第2生体情報が取得された場合に、第1生体情報に設定された属性情報と、許可条件とに基づいて、扉40の解錠または開放の可否を示す情報を出力する出力部52dとを備える、入退管理システム10である。施設は、例えば、集合住宅100であり、第1生体情報(第2生体情報)は、例えば、顔画像及び顔画像から得られる特徴量の少なくとも一方である。許可条件は、例えば、解錠ルールである。
【0109】
このような入退管理システム10は、第1生体情報に人の属性情報を設定しておき、かつ、属性情報に関連する許可条件を登録しておくことで、生体認証に成功した人の属性に応じて当該人に扉40を開けることを許可するか否かを決定することができる。
【0110】
発明2は、第2生体情報が第1生体情報に対応するか否かの判定を行う判定部52eを備え、判定部52eは、第1生体情報に設定された属性情報に応じて判定の基準を変更する、発明1の入退管理システム10である。発明2は、上記実施の形態の[属性に応じた判定基準の変更]に対応する発明である。
【0111】
このような入退管理システム10は、人の属性に応じて生体認証の判定基準を変更することができる。
【0112】
発明3は、入退管理システム10は、取得部52a、設定部52b、登録部52c、及び、出力部52dを含む生体認証ユニット50を備え、施設には、生体認証ユニット50と他の生体認証ユニット50とが設けられ、生体認証ユニット50における、第2生体情報が第1生体情報に対応するか否かの判定基準は、他の生体認証ユニット50と異なるように設定することができる、発明1または2の入退管理システム10である。発明3は、上記実施の形態の[判定基準の設定]に対応する発明である。
【0113】
このような入退管理システム10は、生体認証ユニット50ごとに、生体認証の判定基準を変更することができる。
【0114】
発明4は、施設には、扉40と、扉40と異なるエリアに位置する他の扉40とが設けられ、他の生体認証ユニット50は、他の扉40の解錠または開放の可否を示す情報を出力する、発明3の入退管理システム10である。発明3は、上記実施の形態の[判定基準の設定]に対応する発明である。
【0115】
このような入退管理システム10は、扉40が設けられるエリアごとに、生体認証の判定基準を変更することができる。
【0116】
発明5は、第1生体情報は、人の顔を含む画像情報、及び、画像情報に基づく特徴量情報の少なくとも一方を含む、発明1~4のいずれかの入退管理システム10である。第1生体情報は、例えば、顔認証情報であり、人の顔を含む画像情報は、例えば、顔画像であり、画像情報に基づく特徴量情報は、例えば、特徴量である
このような入退管理システム10は、顔認証処理に成功した人の属性に応じて当該人に扉40を開けることを許可するか否かを決定することができる。
【0117】
発明6は、属性情報には、複数種類の属性が含まれる、発明1~5のいずれかの入退管理システム10である。複数種類の属性は、例えば、α、β、γ、δ、εの5種類の属性である。
【0118】
このような入退管理システム10は、生体認証に成功した人の複数種類の属性に応じて当該人に扉40を開けることを許可するか否かを決定することができる。
【0119】
発明7は、属性情報には、人の年齢層、人の立場、及び、人に関連する施設の領域の少なくとも1つが含まれる、発明1~6のいずれかの入退管理システム10である。人の年齢層は、例えば、属性βであり、人の立場は、例えば、属性αであり、人に関連する施設の領域は、例えば、属性γ、δ、εである。
【0120】
このような入退管理システム10は、生体認証に成功した人の、年齢層、立場、及び、関連する領域の少なくとも1つに応じて、当該人に扉40を開けることを許可するか否かを決定することができる。
【0121】
発明8は、人の第1生体情報を取得する取得部52aと、取得された第1生体情報に人の属性情報を設定する設定部52bと、施設に設けられた扉40を解錠または開放するための許可条件であって、属性情報に関連する許可条件を登録する登録部52cと、取得部52aにより第1生体情報に対応する第2生体情報が取得された場合に、第1生体情報に設定された属性情報と、許可条件とに基づいて、扉40の解錠または開放の可否を示す情報を出力する出力部52dとを備える、生体認証ユニット50である。施設は、例えば、集合住宅100であり、第1生体情報及び第2生体情報のそれぞれは、例えば、顔画像及び顔画像から得られる特徴量の少なくとも一方である。許可条件は、例えば、解錠ルールである。
【0122】
このような生体認証ユニット50は、第1生体情報に人の属性情報を設定しておき、かつ、属性情報に関連する許可条件を登録しておくことで、生体認証に成功した人の属性に応じて当該人に扉40を開けることを許可するか否かを決定することができる。
【0123】
発明9は、出力部52dは、取得された第1生体情報と、第1生体情報に設定された属性情報とを含む認証用情報を、施設に設けられた他の生体認証ユニット50に出力する、発明8の生体認証ユニット50である。
【0124】
このような生体認証ユニット50は、認証用情報を他の生体認証ユニット50へ送信(配信)することができる。
【0125】
発明10は、さらに、認証用情報を他の生体認証ユニット50に出力する条件を設定する条件設定部52gを備える、発明9の生体認証ユニット50である。発明10は、上記実施の形態の[認証用情報の登録動作の変形例1]に対応する発明である。
【0126】
このような生体認証ユニット50は、設定された条件に基づいて、認証用情報を他の生体認証ユニット50に出力することができる。
【0127】
発明11は、登録部52cは、施設に設けられた他の生体認証ユニット50から他の認証用情報を取得した場合、取得された他の認証用情報に含まれる属性情報が許可条件を満たすときに、他の認証用情報を登録する、発明8~10のいずれかの生体認証ユニット50である。発明11は、上記実施の形態の[認証用情報の登録動作の変形例2]に対応する発明である。
【0128】
このような生体認証ユニット50は、認証用情報を必要なときにのみ登録することで、認証用情報の登録に必要な記憶部53の記憶領域を削減(節約)することができる。
【0129】
発明12は、登録部52cは、他の生体認証ユニット50から他の認証用情報を取得した場合、取得された他の認証用情報に含まれる属性情報が許可条件を満たさないときには、他の認証用情報を登録しない、発明11の生体認証ユニット50である。発明12は、上記実施の形態の[認証用情報の登録動作の変形例2]に対応する発明である。
【0130】
このような生体認証ユニット50は、認証用情報を必要なときにのみ登録することで、認証用情報の登録に必要な記憶部53の記憶領域を削減(節約)することができる。
【0131】
発明13は、施設には、1以上の第1生体認証ユニットであって、当該第1生体認証ユニットに登録された第1認証用情報を生体認証ユニット50へ送信する1以上の第1生体認証ユニットと、第1認証用情報を受信した生体認証ユニット50の、第1認証用情報の送信先となる第2生体認証ユニットとが設けられる、発明8~12のいずれかの生体認証ユニット50である。
【0132】
このような生体認証ユニット50は、階層的な通信ネットワークを使用して、第1認証用情報を効率的に他の生体認証ユニット50へ送信することができる。
【0133】
発明14は、コンピュータシステムによって実行される入退管理方法であって、人の第1生体情報を取得する取得ステップと、取得された第1生体情報に人の属性情報を設定する設定ステップと、施設に設けられた扉40を解錠または開放するための許可条件であって、属性情報に関連する許可条件を登録する登録ステップと、第1生体情報に対応する第2生体情報が取得された場合に、第1生体情報に設定された属性情報と、許可条件とに基づいて、扉40の解錠または開放の可否を示す情報を出力する出力ステップとを含む、入退管理方法である。コンピュータシステムは、例えば、入退管理システム10または生体認証ユニット50である。
【0134】
このような入退管理方法は、第1生体情報に人の属性情報を設定しておき、かつ、属性情報に関連する許可条件を登録しておくことで、生体認証に成功した人の属性に応じて当該人に扉40を開けることを許可するか否かを決定することができる。
【0135】
発明15は、発明14の入退管理方法をコンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
【0136】
このようなプログラムによれば、コンピュータシステムは、生体認証に成功した人の属性に応じて当該人に扉40を開けることを許可するか否かを決定することができる。
【0137】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0138】
例えば、上記実施の形態では、入退管理システムは、集合住宅に適用されたが、集合住宅以外の施設に適用されてもよい。例えば、入退管理システムは、オフィス、工場、研究施設、医療施設、宿泊施設等に適用することができる。
【0139】
また、上記実施の形態では、入退管理システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置として実現されてもよい。例えば、入退管理システムは、生体認証ユニットに相当する単一の装置として実現されてもよいし、管理者用情報端末に相当する単一の装置として実現されてもよい。入退管理システムが複数の装置によって実現される場合、入退管理システムが備える構成要素(特に、機能的な構成要素)は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。また、入退管理システムは、集合住宅内に設置された装置の一部の機能が集合住宅外に設置されたクラウドサーバ(図示せず)によって実現されることによりクライアントサーバシステムとして実現されてもよい。
【0140】
また、上記実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。また、装置間の通信においては、図示されない中継装置(ブロードバンドルータなど)が介在してもよい。
【0141】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0142】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0143】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0144】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0145】
例えば、本発明は、上記実施の形態のロビーインターホンとして実現されてもよい、また、本発明は、入退管理システムなどのコンピュータシステムが実行する方法として実現されてもよいし、方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0146】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0147】
10 入退管理システム
20 ロビーインターホン
30 オートロック式ドア(扉)
40 扉
50 生体認証ユニット
51、91 通信部
52、92 情報処理部
52a 取得部
52b 設定部
52c 登録部
52d 出力部
52e 判定部
52f 基準設定部
52g 条件設定部
53、93 記憶部
54 撮像部
55、94 操作受付部
60 制御装置
70 インターホン親機
80 ゲートウェイ装置
90 管理者用情報端末
100 集合住宅(施設)