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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147970
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】吸着評価装置および吸着評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3586 20140101AFI20241009BHJP
   G01N 21/45 20060101ALI20241009BHJP
   G01N 21/552 20140101ALN20241009BHJP
【FI】
G01N21/3586
G01N21/45 A
G01N21/552
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060766
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100110582
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 昌聰
(72)【発明者】
【氏名】安田 敬史
(72)【発明者】
【氏名】松本 聡
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059CC09
2G059CC15
2G059DD12
2G059DD13
2G059EE01
2G059EE04
2G059EE09
2G059EE12
2G059FF04
2G059FF07
2G059GG02
2G059HH05
2G059MM12
(57)【要約】
【課題】より正確に多孔質構造体への物質の吸着現象を評価することができる装置および方法を提供する。
【解決手段】吸着評価装置1は、測定部10および評価部20を備える。測定部10は、評価対象である多孔質構造体にテラヘルツ波を照射し、多孔質構造体と相互作用したテラヘルツ波に基づいて、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の測定を行う。評価部20は、測定部10により測定された多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に基づいて、多孔質構造体に対する物質の吸着について評価を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質構造体に対する物質の吸着を評価する装置であって、
前記多孔質構造体にテラヘルツ波を照射し、前記多孔質構造体と相互作用した前記テラヘルツ波に基づいて、前記多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の測定を行う測定部と、
前記測定部により測定された前記多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に基づいて、前記多孔質構造体に対する物質の吸着について評価を行う評価部と、
を備える吸着評価装置。
【請求項2】
前記評価部は、前記多孔質構造体に吸着している物質の有無、種類および量のうちの何れか一つ以上について評価を行う、
請求項1に記載の吸着評価装置。
【請求項3】
前記測定部は、前記多孔質構造体に対する物質の吸着の変化の過程において複数の測定タイミングそれぞれで前記測定を行い、
前記評価部は、前記複数の測定タイミングそれぞれで測定された前記多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に基づいて、前記複数の測定タイミングそれぞれでの前記評価を行う、
請求項1に記載の吸着評価装置。
【請求項4】
前記評価部は、前記複数の測定タイミングそれぞれで測定された前記多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に基づいて、前記多孔質構造体に対する物質の吸着の経時変化について評価を行う、
請求項3に記載の吸着評価装置。
【請求項5】
前記測定部は、前記物質を含む環境下に前記多孔質構造体を配置した状態で、前記多孔質構造体に対する物質の吸着の変化の過程において複数の測定タイミングそれぞれで前記測定を行う、
請求項3に記載の吸着評価装置。
【請求項6】
前記測定部は、物質を液体媒質中に分散または溶融させた液体試料に前記多孔質構造体を浸漬した状態で前記測定を行う、
請求項1に記載の吸着評価装置。
【請求項7】
前記測定部は、全反射減衰分光法により前記測定を行う、
請求項1に記載の吸着評価装置。
【請求項8】
前記測定部は、前記多孔質構造体と相互作用した前記テラヘルツ波に基づいて、前記多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の測定に加えて、前記多孔質構造体の吸収係数または複素誘電率の虚部の測定をも行い、
前記評価部は、前記測定部により測定された前記多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に加えて、前記多孔質構造体の吸収係数または複素誘電率の虚部にも基づいて、前記多孔質構造体に対する物質の吸着について評価を行う、
請求項1に記載の吸着評価装置。
【請求項9】
前記多孔質構造体は、有機金属構造体、共有結合性有機構造体、水素結合性有機構造体、多孔性芳香族構造体およびプルシアンブルーの何れかである、
請求項1に記載の吸着評価装置。
【請求項10】
多孔質構造体に対する物質の吸着を評価する方法であって、
前記多孔質構造体にテラヘルツ波を照射し、前記多孔質構造体と相互作用した前記テラヘルツ波に基づいて、前記多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の測定を行う測定ステップと、
前記測定ステップにおいて測定された前記多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に基づいて、前記多孔質構造体に対する物質の吸着について評価を行う評価ステップと、
を備える吸着評価方法。
【請求項11】
前記評価ステップにおいて、前記多孔質構造体に吸着している物質の有無、種類および量のうちの何れか一つ以上について評価を行う、
請求項10に記載の吸着評価方法。
【請求項12】
前記測定ステップにおいて、前記多孔質構造体に対する物質の吸着の変化の過程において複数の測定タイミングそれぞれで前記測定を行い、
前記評価ステップにおいて、前記複数の測定タイミングそれぞれで測定された前記多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に基づいて、前記複数の測定タイミングそれぞれでの前記評価を行う、
請求項10に記載の吸着評価方法。
【請求項13】
前記評価ステップにおいて、前記複数の測定タイミングそれぞれで測定された前記多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に基づいて、前記多孔質構造体に対する物質の吸着の経時変化について評価を行う、
請求項12に記載の吸着評価方法。
【請求項14】
前記測定ステップにおいて、前記物質を含む環境下に前記多孔質構造体を配置した状態で、前記多孔質構造体に対する物質の吸着の変化の過程において複数の測定タイミングそれぞれで前記測定を行う、
請求項12に記載の吸着評価方法。
【請求項15】
前記測定ステップにおいて、物質を液体媒質中に分散または溶融させた液体試料に前記多孔質構造体を浸漬した状態で前記測定を行う、
請求項10に記載の吸着評価方法。
【請求項16】
前記測定ステップにおいて、全反射減衰分光法により前記測定を行う、
請求項10に記載の吸着評価方法。
【請求項17】
前記測定ステップにおいて、前記多孔質構造体と相互作用した前記テラヘルツ波に基づいて、前記多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の測定に加えて、前記多孔質構造体の吸収係数または複素誘電率の虚部の測定をも行い、
前記評価ステップにおいて、前記測定ステップにおいて測定された前記多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に加えて、前記多孔質構造体の吸収係数または複素誘電率の虚部にも基づいて、前記多孔質構造体に対する物質の吸着について評価を行う、
請求項10に記載の吸着評価方法。
【請求項18】
前記多孔質構造体は、有機金属構造体、共有結合性有機構造体、水素結合性有機構造体、多孔性芳香族構造体およびプルシアンブルーの何れかである、
請求項10に記載の吸着評価方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着評価装置および吸着評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数の細孔を有する多孔質物質は、その細孔に物質を吸着させることができる。天然の多孔質物質(例えば活性炭)に対して、人工的に作製される多孔質物質である多孔質構造体(porous framework)は、細孔の構造や大きさを任意に設計して作製することができることから、様々な分野で利用されることが期待されている。多孔質構造体の例として、有機金属構造体(metal organic framework、MOF)、共有結合性有機構造体(covalent organic framework、COF)、水素結合性有機構造体(hydrogen-bonded organic framework、HOF)および多孔性芳香族構造体(porous aromatic framework、PAF)等が挙げられる。
【0003】
MOFは、金属イオンと架橋性の有機配位子との配位結合による連結により細孔構造を有する高分子構造を形成したものである。COFは、軽元素(H、B、C、N、O)の共有結合で有機分子を連結させることにより細孔構造を有する高分子構造を形成したものである。HOFは、水素結合で有機分子を連結させることにより細孔構造を有する高分子構造を形成したものである。PAFは、炭素のカップリング結合で有機分子を連結させることにより細孔構造を有する高分子構造を形成したものである。
【0004】
また、多孔質構造体の例としてプルシアンブルー(prussian blue)も挙げられる。プルシアンブルーは、青色顔料として古くから知られている化合物であって、フレームワーク構造を有する混合原子価化合物(mixed valence compound)である。プルシアンブルーは、フレームワーク構造における一部の構成元素を選択して用いることにより類似体とすることができ、人為的な設計が可能である。類似体を含めてプルシアンブルーという。
【0005】
これらの多孔質構造体は、分子設計の際に配位結合等を精密に取り入れることにより或いは構成元素を適切に選択することにより、細孔構造・比表面積・形態などを人為的に設計することができ、複雑な構造体の構築や高次機能の発現が可能であるとされている。これらの多孔質構造体は、近年では機能材料として活発な研究が行われている。
【0006】
多孔質構造体の利用が期待される分野の例として、環境分野(例えば、有毒ガスやCOガス等を多孔質構造体の細孔に吸着させることによりガス濃度を低減)、医薬分野(例えば、ドラッグ・デリバリ-・システム(DDS)において細孔に薬剤を吸着させた多孔質構造体を体内に導入して体内の薬物分布を量的・空間的・時間的に制御)、および、エネルギ-分野(例えば、水素を多孔質構造体の細孔に吸着させて貯蔵)、等が挙げられる。多孔質構造体における物質の吸着について評価をすることができれば、多孔質構造体の利用状況の確認、および、多孔質構造体の利用形態や構造の改善、等を行うことが可能となる。
【0007】
多孔質物質における物質の吸着を評価する技術として、ガス吸着法による比表面積/細孔分布測定が知られている(特許文献1、非特許文献1)。この技術は、多孔質物質を温度一定の環境下に置き、吸着占有面積が既知であるガス分子を多孔質物質に吸着させ、そのガス吸着量から多孔質物質の比表面積を求めたり、ガス分子の凝縮から多孔質物質の細孔分布を測定したりするものである。ガス圧力の変化から、多孔質物質へのガス分子の吸着の完了を検知することができ、ガス分子の吸着量を求めることができる。しかし、この技術では、定常状態での吸着現象の評価、液中での吸着現象の評価、および、吸着現象の進行過程のリアルタイム評価は、容易でない。
【0008】
また、多孔質物質における物質の吸着を評価する技術として、テラヘルツ波を用いた評価技術も知られている(特許文献2、非特許文献2)。これらの文献に記載された吸着評価技術は、多孔質物質である多孔質構造体に物質が吸着することによって多孔質構造体の吸収係数が変化することを利用して、テラヘルツ波の帯域で多孔質構造体の吸収係数を測定し、その測定した吸収係数に基づいて多孔質構造体への物質の吸着現象を評価するものである。テラヘルツ波を用いた吸着評価技術は、ガス吸着法による比表面積/細孔分布測定技術が有する上記問題点を解消し得ると期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2020-176101号公報
【特許文献2】特開2010-169658号公報
【特許文献3】特開2008-224449号公報
【特許文献4】特開2022-052306号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】細川健次、他、「吸着測定法」、炭素材料学会「炭素」、1976年1976巻85号 pp.71-79
【非特許文献2】Wei Zhang, et al, "Probingthe Mechanochemistry of Metal-Organic Frameworks with Low-Frequency VibrationalSpectroscopy," J. Phys. Chem. C 2018, 122, 48, 27442-27450 (2018).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、テラヘルツ波を用いた吸着評価技術を研究していく過程で、従来の技術が次のような問題点を有していることを見出した。すなわち、テラヘルツ波を用いた従来の吸着評価技術は、多孔質構造体への物質の吸着現象を評価する為に、テラヘルツ波の帯域で多孔質構造体の吸収係数を測定する。或る種の多孔質構造体では、物質を吸着させていない状態では波長1.9THz付近に吸収ピークの存在が認められる一方で、物質を吸着させた状態では波長1.9THz付近の吸収ピークが消失し別の波長に新たな吸収ピークが現れるので、このことを利用すれば、吸収係数の測定値に基づいて物質の吸着現象を評価することができると期待される。しかし、これとは別の或る種の多孔質構造体では、測定可能な周波数範囲内に常に吸収ピークが現れるとは限らず、また、明確な吸収ピークのシフトが発現するとも限らない。したがって、吸収係数の値または吸収スペクトルのみでは様々な種類がある多孔質構造体に対して吸着の有無や、その重量、種類などが判別できないという問題があった。
【0012】
本発明は、本発明者らの上記知見に基づいてなされたものであり、より正確に多孔質構造体への物質の吸着現象を評価することができる装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の吸着評価装置は、多孔質構造体に対する物質の吸着を評価する装置である。
本発明の吸着評価装置の第1態様は、(1) 多孔質構造体にテラヘルツ波を照射し、多孔質構造体と相互作用したテラヘルツ波に基づいて、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の測定を行う測定部と、(2) 測定部により測定された多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に基づいて、多孔質構造体に対する物質の吸着について評価を行う評価部と、を備える。
【0014】
本発明の吸着評価装置は,次のような第2~第9の態様としてもよい。
第2態様では、第1態様に加えて、評価部は、多孔質構造体に吸着している物質の有無、種類および量のうちの何れか一つ以上について評価を行う。
【0015】
第3態様では、第1態様または第2態様に加えて、測定部は、多孔質構造体に対する物質の吸着の変化の過程において複数の測定タイミングそれぞれで測定を行い、評価部は、複数の測定タイミングそれぞれで測定された多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に基づいて、複数の測定タイミングそれぞれでの評価を行う。
【0016】
第4態様では、第3態様に加えて、評価部は、複数の測定タイミングそれぞれで測定された多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に基づいて、多孔質構造体に対する物質の吸着の経時変化について評価を行う。
【0017】
第5態様では、第3態様に加えて、測定部は、物質を含む環境下に多孔質構造体を配置した状態で、多孔質構造体に対する物質の吸着の変化の過程において複数の測定タイミングそれぞれで測定を行う。
【0018】
第6態様では、第1~第5の態様の何れかに加えて、測定部は、物質を液体媒質中に分散または溶融させた液体試料に多孔質構造体を浸漬した状態で測定を行う。
【0019】
第7態様では、第1~第6の態様の何れかに加えて、測定部は、全反射減衰分光法により測定を行う。
【0020】
第8態様では、第1~第7の態様の何れかに加えて、測定部は、多孔質構造体と相互作用したテラヘルツ波に基づいて、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の測定に加えて、多孔質構造体の吸収係数または複素誘電率の虚部の測定をも行い、評価部は、測定部により測定された多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に加えて、多孔質構造体の吸収係数または複素誘電率の虚部にも基づいて、多孔質構造体に対する物質の吸着について評価を行う。
【0021】
第9態様では、第1~第8の態様の何れかに加えて、多孔質構造体は、有機金属構造体、共有結合性有機構造体、水素結合性有機構造体、多孔性芳香族構造体およびプルシアンブルーの何れかである。
【0022】
本発明の吸着評価方法は、多孔質構造体に対する物質の吸着を評価する方法である。
本発明の吸着評価方法の第1態様は、(1) 多孔質構造体にテラヘルツ波を照射し、多孔質構造体と相互作用したテラヘルツ波に基づいて、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の測定を行う測定ステップと、(2) 測定ステップにおいて測定された多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に基づいて、多孔質構造体に対する物質の吸着について評価を行う評価ステップと、を備える。
【0023】
本発明の吸着評価方法は,次のような第2~第9の態様としてもよい。
第2態様では、第1態様に加えて、評価ステップにおいて、多孔質構造体に吸着している物質の有無、種類および量のうちの何れか一つ以上について評価を行う。
【0024】
第3態様では、第1態様または第2態様に加えて、測定ステップにおいて、多孔質構造体に対する物質の吸着の変化の過程において複数の測定タイミングそれぞれで測定を行い、評価ステップにおいて、複数の測定タイミングそれぞれで測定された多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に基づいて、複数の測定タイミングそれぞれでの評価を行う。
【0025】
第4態様では、第3態様に加えて、評価ステップにおいて、複数の測定タイミングそれぞれで測定された多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に基づいて、多孔質構造体に対する物質の吸着の経時変化について評価を行う。
【0026】
第5態様では、第3態様に加えて、測定ステップにおいて、物質を含む環境下に多孔質構造体を配置した状態で、多孔質構造体に対する物質の吸着の変化の過程において複数の測定タイミングそれぞれで測定を行う。
【0027】
第6態様では、第1~第5の態様の何れかに加えて、測定ステップにおいて、物質を液体媒質中に分散または溶融させた液体試料に多孔質構造体を浸漬した状態で測定を行う。
【0028】
第7態様では、第1~第6の態様の何れかに加えて、測定ステップにおいて、全反射減衰分光法により測定を行う。
【0029】
第8態様では、第1~第7の態様の何れかに加えて、測定ステップにおいて、多孔質構造体と相互作用したテラヘルツ波に基づいて、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の測定に加えて、多孔質構造体の吸収係数または複素誘電率の虚部の測定をも行い、評価ステップにおいて、測定ステップにおいて測定された多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に加えて、多孔質構造体の吸収係数または複素誘電率の虚部にも基づいて、多孔質構造体に対する物質の吸着について評価を行う。
【0030】
第9態様では、第1~第8の態様の何れかに加えて、多孔質構造体は、有機金属構造体、共有結合性有機構造体、水素結合性有機構造体、多孔性芳香族構造体およびプルシアンブルーの何れかである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、より正確に多孔質構造体への物質の吸着現象を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、吸着評価装置1の構成を示す図である。
図2図2は、吸着評価方法のフローチャートである。
図3図3は、光学系11の構成例を示す図である。
図4図4は、光学系11の他の構成例を示す図である。
図5図5は、多孔質構造体における物質の吸着量と該多孔質構造体の屈折率との間の関係を示す検量線を示す図である。
図6図6は、物質を含む環境下に多孔質構造体を配置した状態で測定を行う構成例を示す図である。
図7図7は、物質を液体媒質中に分散または溶融させた液体試料に多孔質構造体を浸漬した状態で測定を行う構成例を示す図である。
図8図8は、MOF-74(Zn)の屈折率の波長依存性を示すグラフである。
図9図9は、MOF-74(Zn)の複素誘電率の実部の波長依存性を示すグラフである。
図10図10は、MOF-74(Zn)12mg当たりの物質吸着量、波長1.43THzでの屈折率変化量、および、単位吸着量当たりの屈折率変化量を、纏めた表である。
図11図11は、MOF-74(Zn)の吸収係数の波長依存性を示すグラフである。
図12図12は、MOF-74(Zn)の複素誘電率の虚部の波長依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0034】
本実施形態の吸着評価装置および吸着評価方法は、多孔質構造体に対する物質の吸着を評価するものである。ホスト分子である多孔質構造体の例は、有機金属構造体(MOF)、共有結合性有機構造体(COF)、水素結合性有機構造体(HOF)、多孔性芳香族構造体(PAF)およびプルシアンブルー(prussian blue)等である。ゲスト分子である物質は、多孔質構造体に吸着し得る任意のものである。
【0035】
吸着とは、多孔質構造体の表面および内部の孔や籠形状・格子形状の箇所などに物質が保持されることをいう。多孔質構造体に物質が保持されている状態が包摂と呼ばれることがあり、多孔質構造体に物質が取り込まれた状態が包摂化合物または包摂と呼ばれることがあるが、以後、多孔質構造体に物質が保持されることを吸着と呼称する。本実施形態の吸着評価装置および吸着評価方法は、多孔質構造体において物質が吸着されている状態を評価することができるだけでなく、多孔質構造体における物質の吸着状態の変化(吸着の進行や脱離の進行)をも評価することができる。
【0036】
図1は、吸着評価装置1の構成を示す図である。吸着評価装置1は、測定部10および評価部20を備える。図2は、吸着評価方法のフローチャートである。吸着評価方法は、測定ステップS1および評価ステップS2を備える。
【0037】
測定ステップS1において、測定部10は、評価対象である多孔質構造体にテラヘルツ波を照射し、多孔質構造体と相互作用したテラヘルツ波に基づいて、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の測定を行う。相互作用とは、多孔質構造体をテラヘルツ波が透過すること、多孔質構造体でテラヘルツ波が反射すること、および、多孔質構造体でテラヘルツ波が全反射すること、の何れであってもよい。多孔質構造体と相互作用した後のテラヘルツ波は、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の情報を有している。
【0038】
測定部10は、光学系11および演算部12を含む。光学系11は、多孔質構造体に照射すべきテラヘルツ波を発生させる発生源から、多孔質構造体と相互干渉した後のテラヘルツ波を検出する検出部までの、テラヘルツ波の光学系を含む。演算部12は、検出部によるテラヘルツ波検出結果に基づいて演算を行って、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部を求める。
【0039】
光学系11は、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部を求めることができる構成であれば任意である。多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部は、或る1波長で求められてもよいし、複数の波長それぞれで求められてもよいし、或る波長範囲においてスペクトルとして求められてもよい。
【0040】
評価ステップS2において、評価部20は、測定部10により測定された多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に基づいて、多孔質構造体に対する物質の吸着について評価を行う。評価項目は、多孔質構造体に吸着している物質の有無、種類および量のうちの何れか一つであってもよいし、これらのうち2以上であってもよい。
【0041】
演算部12および評価部20は、演算や評価を行う処理部(例えばCPU)、演算や評価を行うためのプログラムや各種のデータを記憶する記憶部(例えばRAM、ハードディスクドライブ)、測定条件や評価項目等の入力を受け付ける入力部(例えばキーボード、マウス)、および、評価結果等を表示する表示部(例えば液晶ディスプレイ)、等を有するコンピュータにより構成することができる。
【0042】
図3は、光学系11の構成例を示す図である。この図に示される構成例の光学系11Aは、光源31、ビームスプリッタ32、ミラー33、ミラー34および検出器35を備えており、マイケルソン干渉計の構成を有している。光源31は、単一波長の(狭帯域の)テラヘルツ波を出力する。ビームスプリッタ32は、光源31から出力されたテラヘルツ波を2分岐して第1分岐テラヘルツ波および第2分岐テラヘルツ波とし、第1分岐テラヘルツ波をミラー33へ出力し、第2分岐テラヘルツ波をミラー34へ出力する。また、ビームスプリッタ32は、ミラー33で反射された第1分岐テラヘルツ波を入力するとともに、ミラー34で反射された第2分岐テラヘルツ波を入力して、これら入力した第1分岐テラヘルツ波と第2分岐テラヘルツ波とを合波して検出器35へ出力する。検出器35は、ビームスプリッタ32により合波されて出力された第1分岐テラヘルツ波および第2分岐テラヘルツ波を受光して、これら第1分岐テラヘルツ波と第2分岐テラヘルツ波との干渉の強度を検出する。
【0043】
ミラー33およびミラー34のうちの何れか一方(図ではミラー34)とビームスプリッタ32との間の光路上に、評価対象である多孔質構造体Sが配置される。ミラー33およびミラー34の双方または何れか一方は、反射面に垂直な方向に移動可能である。検出器35により検出される干渉強度は、ビームスプリッタ32における2分岐から合波に到るまでの第1分岐テラヘルツ波および第2分岐テラヘルツ波それぞれの光路長の差に依存したものとなる。また、第2分岐テラヘルツ波の光路長は、第2分岐テラヘルツ波の光路上に配置された多孔質構造体Sの屈折率に依存したものとなる。したがって、ミラー34の移動に伴う干渉強度の変化から、多孔質構造体Sの屈折率を測定することができる。
【0044】
なお、図3に示される光学系はマイケルソン干渉計の構成であるが、マッハツェンダ干渉計の構成であってもよい。また、図3に示される光学系は多孔質構造体Sを透過した第2分岐テラヘルツ波と第1分岐テラヘルツ波との干渉の強度を検出するものであるが、多孔質構造体Sで反射した第2分岐テラヘルツ波と第1分岐テラヘルツ波との干渉の強度を検出して、光路長差の変化に伴う干渉強度の変化から、多孔質構造体Sの屈折率を測定してもよい。
【0045】
図4は、光学系11の他の構成例を示す図である。この図に示される構成例の光学系11Bは、光源31および検出器35に加えて全反射プリズム36を備えており、全反射減衰(attenuated total reflection、ATR)分光法により多孔質構造体Sの屈折率を測定するものである。評価対象である多孔質構造体Sは、全反射プリズム36の表面に接するように配置される。光源31から出力されたテラヘルツ波は、全反射プリズム36内部を通過した後に、全反射プリズム36と多孔質構造体Sとの界面に到達し、その界面で全反射される。このとき、テラヘルツ波のエバネセント光は多孔質構造体S内に進入する。界面で全反射されたテラヘルツ波は、全反射プリズム36内部を通過した後に、検出器35により検出される。界面で全反射されたテラヘルツ波は多孔質構造体Sの屈折率の情報を有しているので、検出器35による検出結果から多孔質構造体Sの屈折率を求めることができる。
【0046】
なお、より具体的には、ATRに加えて時間領域分光法(time domain spectroscopy、TDS)を採用した構成とするのが好適である(特許文献3参照)。また、ATRにおいて再現性の高い測定を行う為には、全反射プリズム36と多孔質構造体Sとが互いに密に接していて、両者間に隙間が無いことが重要である。そこで、全反射プリズム36の表面に多孔質構造体Sを押し付ける治具を用いるのが好適である(特許文献4参照)。
【0047】
多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の測定を行う測定部10(光学系11および演算部12)の構成は、他にも様々な態様が可能である。多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に基づいて多孔質構造体に対する物質の吸着について評価を行う評価部20の構成も、様々な態様が可能である。
【0048】
例えば、臨界角法(アッベ法)により多孔質構造体の屈折率を測定してもよい。エリプソメトリーなどを用いて多孔質構造体の屈折率を測定してもよい。また、時間領域分光法(time domain spectroscopy、TDS)により多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部を測定してもよい。
【0049】
予め、多孔質構造体における物質の吸着量を様々な値に設定したときの屈折率を測定して、多孔質構造体における物質の吸着量と該多孔質構造体の屈折率との間の関係を示す検量線(図5)を用意しておき、この検量線を用いて、測定した屈折率から多孔質構造体における物質の吸着量を求めてもよい。図5は、多孔質構造体における物質の吸着量と多孔質構造体の屈折率との間の関係を示す検量線を示す図である。
【0050】
機械学習により、多孔質構造体の屈折率から該多孔質構造体における物質の吸着を評価してもよい。例えば、多孔質構造体の種類、物質の種類および物質の吸着量などについて様々な条件に設定して多孔質構造体の屈折率を測定し、これらの条件および屈折率測定値を教師データとして用いて機械学習ユニットを学習させる。この学習させた機械学習ユニットを用いて、測定された多孔質構造体の屈折率から、多孔質構造体の種類、物質の種類および物質の吸着量などを推定する。
【0051】
多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の測定、および、この測定結果に基づく多孔質構造体に対する物質の吸着について評価は、多孔質構造体の1箇所について行われてもよいし、多孔質構造体の複数箇所それぞれについて行われてもよい。後者の場合、多孔質構造体へのテラヘルツ波の入射位置を走査することで、多孔質構造体への各照射箇所において測定および評価を行うことができる。或いは、多孔質構造体の或る範囲に対して同時にテラヘルツ波を照射することで、その照射範囲において測定および評価を行うことができる。このように、多孔質構造体の複数箇所それぞれについて測定および評価を行うことにより、多孔質構造体における物質吸着分布を評価することができる。
【0052】
測定ステップにおいて、多孔質構造体に対する物質の吸着の変化の過程(吸着の進行や脱離の進行)において複数の測定タイミングで測定を行い、評価ステップにおいて、これら複数の測定タイミングでの測定結果に基づいて吸着の評価を行ってもよい。これにより、多孔質構造体に対する物質の吸着の経時変化について評価を行ってもよい。また、測定ステップにおいて、物質を含む環境下に多孔質構造体を配置した状態で、多孔質構造体に対する物質の吸着の変化の過程において複数の測定タイミングそれぞれで測定を行ってもよい(図6)。また、測定ステップにおいて、物質を液体媒質中に分散または溶融させた液体試料に多孔質構造体を浸漬した状態で測定を行ってもよい(図7)。
【0053】
図6は、物質を含む環境下に多孔質構造体を配置した状態で測定を行う構成例を示す図である。この図に示される構成例では、測定面上に形成した閉空間内に、評価対象である多孔質構造体Sを配置し、多孔質構造体Sに吸着させるべきガスを閉空間内に導入する。ガスを導入しながら多孔質構造体Sの屈折率を測定することにより、多孔質構造体Sの屈折率の経時変化から、多孔質構造体Sへのガス吸着量の増加の程度を評価することができる。
【0054】
図7は、物質を液体媒質中に分散または溶融させた液体試料に多孔質構造体を浸漬した状態で測定を行う構成例を示す図である。この図に示される構成例では、評価対象である多孔質構造体Sを測定面上に配置し、物質を液体媒質中に分散または溶融させた液体試料で多孔質構造体Sを覆う。このような構成でも、多孔質構造体の屈折率を測定することができ、多孔質構造体Sへの物質の吸着を評価することができる。なお、液体中でのテラヘルツ波の吸収は大きいので、ATRにより多孔質構造体Sの屈折率を測定するのが好適である。
【0055】
次に実施例について説明する。本実施例では、多孔質構造体としてMOF-74(Zn)を用いた。MOF-74(Zn)は、架橋性の有機配位子としてのベンゼン環とZnイオンとの配位結合による連結によりハニカム構造の細孔構造を有する金属有機構造体である。このMOF-74(Zn)を真空加熱することで、物質が吸着されていない状態とした。また、MOF-74(Zn)に対して水、ヘキサンおよびエタノールそれぞれを吸着させた。これら四つの状態(吸着なし、水を吸着、ヘキサンを吸着、エタノールを吸着)それぞれにおいて、MOF-74(Zn)の屈折率、吸収係数、複素誘電率の実部および複素誘電率の虚部を、波長範囲0.5THz~6.5THzにおいて測定した。
【0056】
図8は、MOF-74(Zn)の屈折率の波長依存性を示すグラフである。図9は、MOF-74(Zn)の複素誘電率の実部の波長依存性を示すグラフである。図10は、MOF-74(Zn)12mg当たりの物質吸着量、波長1.43THzでの屈折率変化量、および、単位吸着量当たりの屈折率変化量を、纏めた表である。屈折率と複素誘電率の実部とは、同様の波長依存性を有している。すなわち、多孔質構造体における物質の吸着の評価は、屈折率から可能であるだけでなく、複素誘電率の実部からも可能である。多孔質構造体への物質の吸着の有無によって、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の値は変化する。多孔質構造体への物質の吸着の量によって、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の値の変化量は異なる。多孔質構造体に吸着した物質の種類によって、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の波長依存性は異なる。
【0057】
他の種類の多孔質構造体を用いて物質吸収と屈折率変化との関係を調べたところ、何れの多孔質構造体においても、吸着の有無、吸着物質の種類、吸着物質の量によって、屈折率が変化することが確認された。
【0058】
図11は、MOF-74(Zn)の吸収係数の波長依存性を示すグラフである。図12は、MOF-74(Zn)の複素誘電率の虚部の波長依存性を示すグラフである。吸着によって吸収スペクトルが変化することが認められる。吸着物質の種類によって吸収ピーク波長が異なることも認められる。しかし、或る種の多孔質構造体では、測定可能な周波数範囲内に常に吸収ピークが現れるとは限らず、また、明確な吸収ピークのシフトが発現するとも限らない。したがって、吸収係数の値または吸収スペクトルのみでは様々な種類がある多孔質構造体に対して吸着の有無や、その重量、種類などが判別できない。
【0059】
ただし、測定ステップにおいて、多孔質構造体と相互作用したテラヘルツ波に基づいて、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の測定に加えて、多孔質構造体の吸収係数または複素誘電率の虚部の測定をも行ってもよい。この場合、評価ステップにおいて、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部に加えて、多孔質構造体の吸収係数または複素誘電率の虚部にも基づいて、多孔質構造体に対する物質の吸着について評価を行うことができる。
【0060】
以上までに説明した実施例では多孔質構造体としてMOF-74(Zn)を用いたが、多孔質構造体としてMOF-74(Mg)、ZIF-8およびUiO-66等を用いた場合にも同様の結果が得られた。MOF-74(Mg)は、架橋性の有機配位子としてのベンゼン環とMgイオンとの配位結合による連結によりハニカム構造の細孔構造を有する金属有機構造体である。ZIF-8は、金属有機構造体の一種であるゼオライト-イミダゾラート構造体(zeolitic imidazolate framework、ZIF)であり、金属イオン及びイミダゾラートアニオンから作製される。UiO-66は、ZrCl及びp-ベンゼンジカルボン酸(H2 benzene-1,4-dicarboxylate)から作製される金属有機構造体の一種である。その他の多孔質構造体についても同様の結果が得られた。
【0061】
本実施形態では、多孔質構造体にテラヘルツ波を照射し、多孔質構造体と相互作用したテラヘルツ波に基づいて、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の測定を行う。そして、多孔質構造体の屈折率または複素誘電率の実部の測定値に基づいて、多孔質構造体に対する物質の吸着について評価を行う。したがって、多孔質構造体に吸着している物質の有無、種類および量を同時に評価することも可能である。また、ガス吸着法による比表面積/細孔分布測定が有していた問題点を解消することができ、吸着をリアルタイム評価も可能であり、また、液中での吸着現象の評価も可能である。さらに、多孔質構造体におけるテラヘルツ波の吸収に基づく吸着評価と比べて、より正確に多孔質構造体への物質の吸着現象を評価することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…吸着評価装置、10…測定部、11,11A,11B…光学系、12…演算部、20…評価部、31…光源、32…ビームスプリッタ、33,34…ミラー、35…検出器、36…全反射プリズム。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12