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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147971
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】配管構造
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/00 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
F02M37/00 321A
F02M37/00 331A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060767
(22)【出願日】2023-04-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】390033042
【氏名又は名称】ダイハツディーゼル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(74)【代理人】
【識別番号】100224627
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 稔
(72)【発明者】
【氏名】梶 佳則
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で燃料の漏れを検知することができる配管構造を提供することを目的とする。
【解決手段】燃料供給装置に燃料を案内するための配管構造は、燃料供給装置より下方に位置し、燃料源からの燃料が流れる第1内管と、第1内管と燃料供給装置とを連通する第2内管と、第1内管と第2内管の外側に配置され、第1内管との間に第1流路を画定し、第2内管との間に第2流路を画定する外管と、第1流路の燃料を検知する検知部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給装置に燃料を案内するための配管構造であって、
前記燃料供給装置より下方に位置し、燃料源からの燃料が流れる第1内管と、
前記第1内管と前記燃料供給装置とを連通する第2内管と、
前記第1内管と前記第2内管の外側に配置され、前記第1内管との間に第1流路を画定し、前記第2内管との間に第2流路を画定する外管と、
前記第1流路の燃料を検知する検知部と
を備える、配管構造。
【請求項2】
前記第1内管は、上下方向に交差する方向に沿って伸びており、
前記第2内管は、前記第1内管が伸びた方向に沿って間隔を開けて配置された複数の第2内管を含む、請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記第2内管は、前記燃料供給装置から上下方向に交差する方向に沿って伸び、屈曲部を介して下方に伸びている、請求項1に記載の配管構造。
【請求項4】
前記外管は、
前記第1内管の外側に配置され、前記第1内管との間に前記第1流路を画定する第1外管と、
前記第2内管の外側に配置され、前記第2内管との間に前記第2流路を画定する第2外管と
を備え、
前記検知部は、前記第1外管に取り付けられている、請求項1に記載の配管構造。
【請求項5】
前記外管は、前記第1外管の下部に配置され、前記第1流路内の燃料を貯留する貯留部を備え、
前記検知部は、前記貯留部内の燃料を検知する、請求項4に記載の配管構造。
【請求項6】
前記貯留部は、前記第1外管の軸方向の一端部と他端部とにそれぞれ配置された2つの貯留部を含み、
前記検知部は、前記2つの貯留部内の燃料をそれぞれ検知する2つの検知部を含む、請求項5に記載の配管構造。
【請求項7】
前記第1外管には、前記第1流路に気体を取り込むための第1通気部と、前記第1流路から気体を排出するための第2通気部とが設けられている、請求項4に記載の配管構造。
【請求項8】
前記第1通気部は、前記第1外管の軸方向の一端に配置され、
前記第2通気部は、前記第1外管の軸方向の他端に配置されている、請求項7に記載の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料噴射ノズルに燃料を供給する二重配管の燃料管路と、燃料管路から漏洩した燃料をタンクまたは警報装置に送るための導管とを備える配管構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58-132164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の配管構造では、燃料管路からの燃料の漏洩を検知するために、燃料管路から警報装置に漏洩した燃料を送るための導管が必要となるため、燃料の漏洩を検知するための構造が複雑になるという問題がある。特に、特許文献1の配管構造を船舶に適用する場合、船舶規則に定められる要件次第では、導管を二重配管にする必要があり、燃料の漏洩を検知するための構造が更に複雑になる。
【0005】
本発明は、簡単な構成で燃料の漏れを検知することができる配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
燃料供給装置に燃料を案内するための配管構造であって、
前記燃料供給装置より下方に位置し、燃料源からの燃料が流れる第1内管と、
前記第1内管と前記燃料供給装置とを連通する第2内管と、
前記第1内管と前記第2内管の外側に配置され、前記第1内管との間に第1流路を画定し、前記第2内管との間に第2流路を画定する外管と、
前記第1流路の燃料を検知する検知部と
を備える、配管構造を提供する。
【0007】
この構成によれば、第2内管は、燃料供給装置と、燃料供給装置より下方に位置する第1内管とを連通している。すなわち、第2内管が燃料供給装置から下方に向かって伸びており、第2内管から第2流路に漏出した燃料を重力により第1流路に導くことができる。これにより、検知部は、第1内管から第1流路に漏出した燃料に加え、第2内管から第2流路に漏出した燃料をも検知することができる。よって、この構成によれば、検知部が第1流路において第1内管および第2内管からの燃料の漏れを検知することができるため、検知部が外管と別に設けられ、検知部と第1流路とを接続するための配管が必要となる場合と比較して、簡単な構成で燃料の漏れを検知することができる。特に、この構成によれば、燃料として揮発性の高い液体燃料を使用した場合に、仮に第2内管から燃料が漏出し、液体状態を維持する燃料と揮発して気体状態になった燃料とが第2流路内に混在したとしても、燃料の漏出を検知することができる。液体状態を維持する燃料は、重力により第2流路を下方に向けて流れ、第1流路に導かれる。第1流路に至った燃料が検知部により検知されることで、第2内管から漏出した燃料を検知することができる。
【0008】
また、この構成によれば、燃料供給装置を分解するときに、燃料供給装置から燃料が漏出することが抑制され、分解作業の安全性を向上することができる。燃料供給装置を分解する前に燃料供給装置から燃料を抜いた際、燃料供給装置の内部に燃料が残っていることがある。この場合であっても、燃料供給装置の内部に残った液体状態の燃料が重力により第2内管の内側を下方に向けて流れるため、燃料供給装置の内部に残る液体状態の燃料を低減することができる。その結果、燃料供給装置を分解するときに液体状態の燃料が漏出することを抑制できる。
【0009】
一実施形態では、前記第1内管は、上下方向に交差する方向に沿って伸びており、前記第2内管は、前記第1内管が伸びた方向に沿って間隔を開けて配置された複数の第2内管を含む。
【0010】
この構成によれば、第2内管が、第1内管が伸びた方向に沿って間隔を開けて配置された複数の第2内管を含む。つまり、この構成によれば、複数の第2内管が1本の第1内管から分岐している。言い換えれば、複数の第2内管が1本の第1内管に連通している。これにより、いずれかの第2内管から燃料が漏出した場合に、検知部が第1流路において燃料の漏出を検出する。したがって、第2内管からの燃料の漏出を検知するために個々の第2内管に検知部を設置する場合と比較して、簡単な構成で燃料の漏れを検知することができる。
【0011】
一実施形態では、前記第2内管は、前記燃料供給装置から上下方向に交差する方向に沿って伸び、屈曲部を介して下方に伸びている。
【0012】
この構成によれば、燃料供給装置から伸びる第2内管が屈曲部を介して下方に伸びているので、第2内管から第2流路に漏出した燃料を重力により第1流路に導くことができる。第1流路に至った燃料が検知部により検知されることで、第2内管から漏出した燃料を検知することができる。
【0013】
一実施形態では、前記外管は、前記第1内管の外側に配置され、前記第1内管との間に前記第1流路を画定する第1外管と、前記第2内管の外側に配置され、前記第2内管との間に前記第2流路を画定する第2外管とを備え、前記検知部は、前記第1外管に取り付けられている。
【0014】
この構成によれば、検知部が第1外管に取り付けられているので、第2内管から漏出して第1流路に至った燃料をより確実に検知することができる。
【0015】
一実施形態では、前記外管は、前記第1外管の下部に配置され、前記第1流路内の燃料を貯留する貯留部を備え、前記検知部は、前記貯留部内の燃料を検知する。
【0016】
この構成によれば、第1流路内の燃料が貯留部に貯留され、貯留部に貯留された燃料が検知部により検知されるため、燃料の漏れをより確実に検知することができる。
【0017】
一実施形態では、前記貯留部は、前記第1外管の軸方向の一端部と他端部とにそれぞれ配置された2つの貯留部を含み、前記検知部は、前記2つの貯留部内の燃料をそれぞれ検知する2つの検知部を含む。
【0018】
この構成によれば、2つの貯留部が、第1外管の軸方向の一端部と他端部とにそれぞれ配置されている。このため、本発明に係る配管構造を船舶に適用した場合、船体のピッチングなどによって、配管構造に姿勢変化が起きた場合であっても、2つの貯留部により第1流路に漏出した燃料を確実に捕捉することができる。例えば、船体のピッチングにより、第1外管が傾いて、第1外管の軸方向の一端側が他端側よりも上方に移動した場合、第1流路内の燃料は、第1外管の軸方向の他方側に向かって流れて、第1外管の軸方向の他方側に配置された貯留部に捕捉され、貯留される。その結果、燃料の漏れをより確実に検知することができる。
【0019】
一実施形態では、前記第1外管には、前記第1流路に気体を取り込むための第1通気部と、前記第1流路から気体を排出するための第2通気部とが設けられている。
【0020】
この構成によれば、第1流路内の気体状態の燃料を第1流路から排出することができる。例えば、燃料として揮発性の高い液体燃料を使用した場合、第1流路には、液体状態の燃料と気体状態の燃料とが混在することがある。この構成によれば、第1通気部を介して第1流路に取り込まれ、第1流路内を流れ、第2通気部を介して第1流路から排出される気体により、第1流路内の気体状態の燃料を第1流路から排出することができる。
【0021】
一実施形態では、前記第1通気部は、前記第1外管の軸方向の一端に配置され、前記第2通気部は、前記第1外管の軸方向の他端に配置されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡単な構成で燃料の漏れを検知することができる配管構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る配管構造の模式的な側面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る配管構造の模式的な他の側面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る配管構造の貯留部の周辺を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る配管構造を説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る配管構造1の模式的な側面図である。図2は、本実施形態に係る配管構造1の模式的な他の側面図である。
【0026】
図1および図2を参照すると、本実施形態の配管構造1は、エンジン2に燃料を案内するための配管構造である。具体的には、本実施形態の配管構造1は、エンジン2の燃料噴射装置3に燃料を案内するための配管構造である。より具体的には、本実施形態の配管構造1は、燃料タンク4から燃料噴射装置3に燃料を案内するための配管構造である。燃料噴射装置3は、エンジン2のシリンダヘッド2aに取り付けられており、エンジン2のシリンダ内部に燃料を噴射するための燃料噴射弁である。本実施形態の燃料噴射装置3は、本発明に係る燃料供給装置の一例である。本実施形態の燃料タンク4は、本発明に係る燃料源の一例である。
【0027】
本実施形態では、配管構造1は、船舶に適用される。以下の説明において、配管構造1が適用される船舶の左右方向をX方向といい、配管構造1が適用される船舶の前後方向をY方向といい、上下方向をZ方向という場合がある。本実施形態では、X方向と、Y方向と、Z方向とは、互いに直交している。
【0028】
本実施形態の燃料は、常温および常圧で液体である。つまり、本実施形態の燃料は、液体燃料である。詳細には、本実施形態の燃料は、揮発性の高い液体燃料である。本実施形態の燃料は、例えば、メタノールまたはエタノールである。
【0029】
配管構造1は、二重配管である。配管構造1は、内管10と、外管20とを備える。以下の説明において、内管10と外管20とが延びる方向を軸方向という場合がある。また、軸方向を中心とする仮想円の周方向を単に周方向という場合があり、軸方向を中心とする仮想円の径方向を単に径方向という場合がある。
【0030】
内管10は、第1内管11と、第2内管12とを備える。
【0031】
第1内管11は、燃料噴射装置3より下方に位置している。言い換えれば、第1内管11は、燃料噴射装置3に対してZ方向の一方側(図1および図2において下側)に配置されている。第1内管11は、Y方向に伸びた円管状である。言い換えれば、第1内管11の軸方向は、Y方向に沿って伸びている。第1内管11には、燃料タンク4から燃料が供給される。燃料タンク4から供給された燃料は第1内管11を流れ、第2内管12を介して燃料噴射装置3に案内される。
【0032】
第2内管12は、第1内管11と燃料噴射装置3とを連通する。言い換えれば、第2内管12は、燃料噴射装置3に第1内管11を流体的に接続している。第2内管12は、全体としてZ方向に伸びている。詳細には、第2内管12は、図2に示すように、燃料噴射装置3からX方向に伸び、屈曲部12aを介してZ方向の一方側、つまり下方に伸びている。第2内管12は、円管状である。本実施形態では、図1に示すように、Y方向に沿って間隔を開けて複数の第2内管12が配置されている。
【0033】
外管20は、内管10の外側に配置され、内管10との間に流路30を画定している。具体的には、外管20は、第1内管11と第2内管12の外側に配置され、第1内管11との間に第1流路31を画定し、第2内管12との間に第2流路32を画定している。外管20は、第1外管21と、第2外管22とを備える。
【0034】
第1外管21は、Y方向に伸びるように配置されている。言い換えれば、第1外管21の軸方向は、Y方向に沿って伸びている。第1外管21は、第1内管11の外径よりも大きい内径を有する円管状または四角形断面の管であり、第1内管11と同軸に配置されている。これにより、第1外管21は、第1内管11との間に第1流路31を画定している。万が一、第1内管11から第1流路31に燃料が漏れたとき、第1外管21によって、燃料が意図せず配管構造1の外部に漏れ出ることが防止されている。
【0035】
第1外管21には、第1流路31に換気用の空気を取り込むための第1通気部21aと、第1流路31から換気用の空気を排出するための第2通気部21bとが設けられている。本実施形態では、第1流路31には、第1通気部21aを介して、図示しない気体供給源から空気が供給される。第1流路31に供給された空気は、第1流路31を流れ、第2通気部21bを介して第1流路31の外部に排出される。第1流路31は、大気圧またはわずかな負圧となる。第1流路31に存在する気体状態の燃料は、第1流路31を流れる空気によって流されて、第2通気部21bから配管構造1の外部に排出される。本実施形態に係る換気用の空気は、本発明における気体の一例である。
【0036】
第2外管22は、全体としてZ方向に伸びている。詳細には、第2外管22は、図2に示すように、燃料噴射装置3からX方向に伸び、屈曲部22aを介してZ方向の一方側、つまり下方に伸びている。第2外管22は、第2内管12の外径よりも大きい内径を有する円管状または四角形断面の管であり、第2内管12と同軸に配置されている。これにより、第2外管22は、第2内管12との間に第2流路32を画定している。第2流路32は、全体としてZ方向に伸びている。第2流路32は、下端部において、第1流路31と連通している。言い換えれば、第2流路32は、下端部において、第1流路31に流体的に接続されている。
【0037】
万が一、第2内管12から燃料が漏れたとき、第2外管22によって、燃料が意図せず配管構造1の外部に漏れ出ることが防止されている。第2流路32に漏れた液体状態の燃料は、重力により下方に向けて流れて、第1流路31に導かれる。また、燃料としてメタノールまたはエタノールが使用される場合、気体状態の燃料の密度が空気の密度よりも高いため、第2流路32に漏れた気体状態の燃料は、重力により下方に向けて流れて、第1流路31に導かれる。仮に気体状態の燃料が空気より軽くても、第1流路31がわずかな負圧であるため、第2流路32に漏れた気体状態の燃料は、第1流路31に吸引され、第2通気部21bから外部に排出される。以下の説明において、仮に気体状態の燃料の密度が空気の密度より低くても、第1流路31がわずかな負圧であるため、第2流路32に漏れた気体状態の燃料は、第1流路31に吸引され、第2通気部21bから外部に排出される。
【0038】
外管20は、第1外管21の下部に配置され、第1流路31内の液体状態の燃料を貯留する2つの貯留部40A,40Bを備える。また、配管構造1は、第1流路31内の燃料を検知する2つの検知部50A,50Bを備える。以下の説明において、2つの貯留部40A,40Bを特に区別する必要がない場合、2つの貯留部40A,40Bのうちの1つを単に貯留部40という場合がある。同様に、以下の説明において、2つの検知部50A,50Bのうちの1つを単に検知部50という場合がある。
【0039】
貯留部40は、第1外管21の下部に配置され、第1流路31内の液体状態の燃料を貯留する。貯留部40Aは、第1外管21の軸方向の一端部に配置されており、貯留部40Bは、第1外管21の軸方向の他端部に配置されている。
【0040】
図3は、本実施形態に係る貯留部40Aの周辺を示す縦断面図である。以下の説明では、図3を参照して、貯留部40Aおよび検知部50Aについて説明するが、貯留部40Bおよび検知部50Bも同様の構成を有している。
【0041】
図3を参照すると、貯留部40は、上部に開口を有している有底筒状または箱形状である。具体的には、貯留部40は、第1外管21よりも下方に配置され、X方向およびY方向に広がった底壁41と、底壁41の外周からZ方向に立ち上がった筒状または箱形状の縦壁42とを備える。貯留部40内部の空間は、貯留部40の上部に配置された開口を介して、第1流路31と連通している。言い換えれば、貯留部40内部の空間は、貯留部40の上部に配置された開口を介して、第1流路31に流体的に接続されている。貯留部40には、第1流路31を流れた液体状態の燃料が流れ込み、貯留される。
【0042】
貯留部40の底壁41には、貯留部40内に貯留された液体状態の燃料を貯留部40から排出するための排出口41aが設けられている。排出口41aは、底壁41をZ方向に貫通するように伸びている。排出口41aには、排出口41aから排出された液体状態の燃料を外部に案内する排出流路43が流体的に接続されている。排出流路43には、排出流路43を開閉するための燃料排出弁44が設けられている。本実施形態の燃料排出弁44は、電磁弁である。燃料排出弁44は、手動弁であってもよく、他の方式の自動弁であってもよい。
【0043】
検知部50は、第1流路31内の燃料を検知するセンサである。本実施形態の検知部50は、貯留部40内の液体状態の燃料の有無を検知する。本実施形態の検知部50は、貯留部40の底壁41に取り付けられている。検知部50は、貯留部40内の液体状態の燃料の液位を検知するレベルセンサであってもよい。
【0044】
[効果]
本実施形態の配管構造1によれば、以下の効果を奏する。
【0045】
本実施形態では、第2内管12は、燃料噴射装置3と、燃料噴射装置3より下方に位置する第1内管11とを連通している。すなわち、第2内管12は燃料噴射装置3から下方に向かって伸びており、第2内管12から第2流路32に漏出した燃料を重力により第1流路31に導くことができる。これにより、検知部50は、第1内管11から第1流路31に漏出した燃料に加え、第2内管12から第2流路32に漏出した燃料をも検知することができる。よって、本実施形態の配管構造1によれば、検知部50が第1流路31において第1内管11および第2内管12からの燃料の漏れを検知するため、検知装置が外管20と別に設けられ、検知装置と第1流路31とを接続するための配管が必要となる場合と比較して、簡単な構成で燃料の漏れを検知することができる。特に、燃料として揮発性の高い液体燃料を使用した場合に、仮に第2内管12から燃料が漏出し、揮発して気体状態になった燃料と液体状態を維持する燃料とが第2流路32内に混在したとしても、燃料の漏出を検知することができる。液体状態を維持する燃料は、重力により第2流路32を下方に向けて流れ、第1流路31に導かれる。第1流路31に至った燃料が検知部により検知されることで、第2内管12からの燃料の漏出を検知することができる。
【0046】
また、この構成によれば、燃料噴射装置3を分解するときに、燃料噴射装置3から燃料が漏出することが抑制され、分解作業の安全性を向上することができる。燃料噴射装置3を分解する前に燃料噴射装置3から燃料を抜いた際、燃料噴射装置3の内部に燃料が残っていることがある。この場合であっても、燃料噴射装置3の内部に残った液体状態の燃料が重力により第2内管12の内側を下方に向けて流れるため、燃料噴射装置3の内部に残る燃料を低減することができる。その結果、燃料噴射装置3を分解するときに燃料が漏出することを抑制できる。
【0047】
本実施形態では、複数の第2内管12が、第1内管11が伸びた方向に沿って間隔を開けて配置されている。つまり、この構成によれば、複数の第2内管12が1本の第1内管11から分岐している。言い換えれば、複数の第2内管12が1本の第1内管11に連通している。これにより、いずれかの第2内管12から燃料が漏出した場合に、検知部50が第1流路31において燃料の漏出を検出する。したがって、第2内管12からの燃料の漏出を検知するために個々の第2内管12に検知部50を設置する場合と比較して、簡単な構成で燃料の漏れを検知することができる。
【0048】
本実施形態では、燃料噴射装置3から伸びる第2内管12が屈曲部12aを介して下方に伸びているので、第2内管12から第2流路に漏出した燃料を重力により第1流路31に導くことができる。第1流路31に至った燃料が検知部50により検知されることで、第2内管12から漏出した燃料を検知することができる。
【0049】
本実施形態では、検知部50が第1外管21に取り付けられているので、第2内管12から漏出して第1流路31に至った燃料をより確実に検知することができる。
【0050】
本実施形態では、第1流路31内の燃料が貯留部40に貯留され、貯留部40に貯留された燃料が検知部50により検知されるため、燃料の漏れをより確実に検知することができる。
【0051】
本実施形態では、2つの貯留部40A,40Bが、第1外管21の軸方向の一端部と他端部とにそれぞれ配置されている。本実施形態のように配管構造1を船舶に適用した場合、船体のピッチングなどによって、配管構造1に姿勢変化が起きた場合であっても、2つの貯留部40A,40Bにより第1流路31に漏出した燃料を確実に捕捉することができる。例えば、船体のピッチングにより、第1外管21が傾いて、第1外管21の軸方向の一端側が他端側よりも上方に移動した場合、第1流路31内の燃料は、第1外管21の軸方向の他方側に向かって流れて、第1外管21の軸方向の他方側に配置された貯留部40に貯留される。その結果、燃料の漏れをより確実に検知すること
ができる。
【0052】
一実施形態では、第1外管21には、第1流路31に気体を取り込むための第1通気部21aと、第1流路31から気体を排出するための第2通気部21bとが設けられている。この構成によれば、第1流路31内の気体状態の燃料を第1流路31から排出することができる。本実施形態のように、燃料として揮発性の高い液体燃料を使用した場合、第1流路31には、液体状態の燃料と気体状態の燃料とが混在することがある。この構成によれば、第1通気部21aを介して第1流路31に取り込まれ、第1流路31内を流れ、第2通気部21bを介して第1流路31から排出される気体により、第1流路31内の気体状態の燃料を第1流路31から排出することができる。
【0053】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【0054】
上記実施形態では、第2内管12は、燃料噴射装置3からX方向に伸び、屈曲部12aを介してZ方向の一方側、つまり下方に伸びているが、これに限定されない。第1内管11に対する第2内管12の配置構造は、特に限定されない。また、第2内管12が屈曲部12aを介さず、燃料噴射装置3から直接、下方に伸びる構造を採用してもよい。
【0055】
例えば、上記実施形態では、第1外管21の下部に貯留部40が設けられていたが、これに限定されず、第1外管21の下部に貯留部40が設けられなくてもよい。第1外管21の下部に貯留部40が設けられない場合、検知部50は、第1外管21に直接取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 配管構造
2 エンジン
2a シリンダヘッド
3 燃料噴射装置(燃料供給装置)
4 燃料タンク(燃料源)
10 内管
11 第1内管
12 第2内管
12a 屈曲部
20 外管
21 第1外管
21a 第1通気部
21b 第2通気部
22 第2外管
22a 屈曲部
30 流路
31 第1流路
32 第2流路
40 貯留部
40A 貯留部
40B 貯留部
41 底壁
41a 排出口
42 縦壁
43 排出流路
44 燃料排出弁
50 検知部
50A 検知部
50B 検知部
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給装置に燃料を案内するための配管構造であって、
前記燃料供給装置より下方に位置し、燃料源からの燃料が流れる第1内管と、
前記第1内管と前記燃料供給装置とを連通する第2内管と、
前記第1内管と前記第2内管の外側に配置され、前記第1内管との間に第1流路を画定し、前記第2内管との間に第2流路を画定する外管と、
前記第1流路の燃料を検知する検知部と
を備え
前記第2内管は、前記燃料供給装置から下方に向かって伸びており、上端部において前記燃料供給装置に接続され、下端部において前記第1内管に接続されている、配管構造。
【請求項2】
前記第1内管は、上下方向に交差する方向に沿って伸びており、
前記第2内管は、前記第1内管が伸びた方向に沿って間隔を開けて配置され、複数の燃料供給装置からそれぞれ下方に向かって伸びており、上端部において前記複数の燃料供給装置にそれぞれ接続され、下端部において前記第1内管にそれぞれ接続されている複数の第2内管を含む、請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
燃料供給装置に燃料を案内するための配管構造であって、
前記燃料供給装置より下方に位置し、燃料源からの燃料が流れる第1内管と、
前記第1内管と前記燃料供給装置とを連通する第2内管と、
前記第1内管と前記第2内管の外側に配置され、前記第1内管との間に第1流路を画定し、前記第2内管との間に第2流路を画定する外管と、
前記第1流路の燃料を検知する検知部と
を備え、
前記外管は、
前記第1内管の外側に配置され、前記第1内管との間に前記第1流路を画定する第1外管と、
前記第2内管の外側に配置され、前記第2内管との間に前記第2流路を画定する第2外管と
を備え、
前記検知部は、前記第1外管に取り付けられており、
前記外管は、前記第1外管の下部に配置され、前記第1流路内の燃料を貯留する貯留部を備え、
前記検知部は、前記貯留部内の燃料を検知する、配管構造。
【請求項4】
前記貯留部は、前記第1外管の軸方向の一端部と他端部とにそれぞれ配置された2つの貯留部を含み、
前記検知部は、前記2つの貯留部内の燃料をそれぞれ検知する2つの検知部を含む、請求項に記載の配管構造。