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特開2024-147974車車間通信システム、送信装置及び受信装置
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  • 特開-車車間通信システム、送信装置及び受信装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147974
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】車車間通信システム、送信装置及び受信装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20241009BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
G08G1/09 H
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060781
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】平野 滉二
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF03
5H181FF13
5H181FF24
5H181FF35
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL06
(57)【要約】
【課題】割り込みを望まない範囲を他の車両に伝えられるようにする。
【解決手段】第1の車両(1)に搭載された送信装置(100)と、第2の車両(2)に搭載された受信装置(200)とが通信する車車間通信システムであって、前記送信装置(100)は、前記第1の車両(1)の前方及び後方のうちの少なくともいずれか一方での車両の割り込みを禁止する範囲である割り込み禁止範囲の情報を前記受信装置(200)に送信し、前記受信装置(200)は、前記送信装置(100)から送信された前記割り込み禁止範囲の情報を受信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の車両に搭載された送信装置と、第2の車両に搭載された受信装置とが通信する車車間通信システムであって、
前記送信装置は、前記第1の車両の前方及び後方のうちの少なくともいずれか一方での車両の割り込みを禁止する範囲である割り込み禁止範囲の情報を前記受信装置に送信し、
前記受信装置は、前記送信装置から送信された前記割り込み禁止範囲の情報を受信することを特徴とする車車間通信システム。
【請求項2】
前記送信装置は、前記割り込み禁止範囲を設定する設定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車車間通信システム。
【請求項3】
前記設定手段は、前記割り込み禁止範囲を、前記第1の車両の所定の部位を始点とする距離で表すことを特徴とする請求項2に記載の車車間通信システム。
【請求項4】
前記送信装置は、前記第1の車両の乗員からの割り込み禁止範囲の入力を受け付ける入力手段を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の車車間通信システム。
【請求項5】
前記設定手段は、割り込み禁止範囲下限値を設定し、
前記入力手段で入力した前記割り込み禁止範囲と、前記割り込み禁止範囲下限値とを比較して、距離の長い方を、前記受信装置に送信する前記割り込み禁止範囲とすることを特徴とする請求項4に記載の車車間通信システム。
【請求項6】
前記設定手段は、前記第1の車両の車速に応じて、前記割り込み禁止範囲下限値を変更することを特徴とする請求項5に記載の車車間通信システム。
【請求項7】
前記設定手段は、前記第1の車両の車両重量に応じて、前記割り込み禁止範囲下限値を変更することを特徴とする請求項5に記載の車車間通信システム。
【請求項8】
第1の車両に搭載され、第2の車両に搭載された受信装置と通信する送信装置であって、
前記第1の車両の前方及び後方のうちの少なくともいずれか一方での車両の割り込みを禁止する範囲である割り込み禁止範囲を設定する設定手段と、
前記設定手段で設定した前記割り込み禁止範囲の情報を前記受信装置に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする送信装置。
【請求項9】
第2の車両に搭載され、第1の車両に搭載された送信装置と通信する受信装置であって、
前記送信装置から送信された、前記第1の車両の前方及び後方のうちの少なくともいずれか一方での車両の割り込みを禁止する範囲である割り込み禁止範囲の情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記割り込み禁止範囲の情報に基づいて、前記第2の車両の乗員に対して通知を行う通知手段とを備えたことを特徴とする受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車車間通信システム、送信装置及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車車間通信システムに関する技術として、特許文献1には、同一車線に並ぶ複数の他車両のうちの何れかの他車両の前方に自車両が割込む場合に、通信部が受信する意思情報を用いて複数の他車両の乗員における割込みに対する許可の有無を検知する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-121107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、割り込みされる側の車両が割り込みを許可しているか否かを検知することができる。しかしながら、割り込みを許可しないとした車両においても、当該車両の前方の遠い位置での割り込みであれば、許容できるということがありえる。また、割り込みを許可するとした車両においても、当該車両の前方の近い位置での割り込みがあったときは、不快に感じることがありえる。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、割り込みを望まない範囲を他の車両に伝えられるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車車間通信システムは、第1の車両に搭載された送信装置と、第2の車両に搭載された受信装置とが通信する車車間通信システムであって、前記送信装置は、前記第1の車両の前方及び後方のうちの少なくともいずれか一方での車両の割り込みを禁止する範囲である割り込み禁止範囲の情報を前記受信装置に送信し、前記受信装置は、前記送信装置から送信された前記割り込み禁止範囲の情報を受信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、割り込みを望まない範囲を他の車両に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る車車間通信システムの構成を示す図である。
図2】実施例に係る送信装置及び受信装置の機能構成を示す図である。
図3】実施例に係る送信装置及び受信装置が実行する処理を示すフローチャートである。
図4】割り込み禁止範囲設定処理を示すフローチャートである。
図5】第2の車両の表示装置の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る車車間通信システムは、第1の車両(1)に搭載された送信装置(100)と、第2の車両(2)に搭載された受信装置(200)とが通信する車車間通信システムであって、前記送信装置(100)は、前記第1の車両(1)の前方及び後方のうちの少なくともいずれか一方での車両の割り込みを禁止する範囲である割り込み禁止範囲の情報を前記受信装置(200)に送信し、前記受信装置(200)は、前記送信装置(100)から送信された前記割り込み禁止範囲の情報を受信する。
このように、送信装置(100)が割り込み禁止範囲の情報を送信し、受信装置(200)が割り込み禁止範囲の情報を受信するようにしたので、割り込みを望まない範囲を他の車両(第2の車両(2))に伝えることができる。言い方を変えれば、第2の車両(2)の乗員は、割り込みが許容される範囲を認識することができる。これにより、第1の車両(1)の乗員が不快に感じる範囲での割り込みを減らすことができる。
【実施例0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について説明する。
図1に、実施例に係る車車間通信システムの構成例を示す。
図1に示すように、本実施例では、第1の車両1と第2の車両2との間で無線通信を行う例を述べる。第1の車両1は左側車線を走行しており、第2の車両2は右側車線を走行している。
第1の車両1には、無線通信モジュールを備えた送信装置100が搭載される。送信装置100は、自車両である第1の車両1の前方での車両の割り込みを禁止する範囲である割り込み禁止範囲の情報を、第2の車両2に搭載された受信装置200に送信する。割り込み禁止範囲は、割り込みを望まない範囲ともいえる。また、第1の車両1には、前方カメラ1a及び後方カメラ1bが搭載される。
第2の車両2には、無線通信モジュールを備えた受信装置200が搭載される。受信装置200は、送信装置100から送信された割り込み禁止範囲の情報を受信する。また、第2の車両2には、前方カメラ2a及び後方カメラ2bが搭載される。
【0011】
図2(a)に、送信装置100の機能構成を示す。
図2(a)に示すように、送信装置100は、入力部101と、割り込み禁止範囲設定部102と、送信部103とを備える。また、送信装置100には、入力装置104が接続する。
【0012】
入力部101は、入力装置104を介して、第1の車両1の乗員からの割り込み禁止範囲の入力を受け付ける。例えば送信装置100にタッチパネル式のディスプレイ装置が接続する場合、このディスプレイ装置を入力装置104とし、タッチ操作により割り込み禁止範囲を入力するようにすればよい。
【0013】
割り込み禁止範囲設定部102は、入力部101で入力した割り込み禁止範囲を考慮して、第1の車両1の前方での割り込み禁止範囲を設定する。割り込み禁止範囲設定部102による割り込み禁止範囲設定処理の詳細は後述する。割り込み禁止範囲は、第1の車両1の前端を始点とする距離で表される。すなわち、割り込み禁止範囲は、第1の車両1の前端を始点とし、第1の車両1から最も離れた点を終点とした二点間の距離で表される。割り込み禁止範囲を距離で表すことにより、割り込み禁止範囲を容易に設定することが可能になる。なお、第1の車両1のどの部位を始点とするかは予め定められている。また、第1の車両1が走行中の道路がカーブしている場合、割り込み禁止範囲を、カーブに沿った距離(カーブに沿う曲線の長さ)で表すようにしてもよい。
【0014】
送信部103は、割り込み禁止範囲設定部102で設定した割り込み禁止範囲の情報、本実施例では、割り込み禁止範囲を表す距離を受信装置200に送信する。割り込み禁止範囲を距離で表すことにより、通信量を抑制することが可能になる。また、送信部103は、第1の車両1のID等の識別情報と、第1の車両1の位置情報とを受信装置200に送信する。例えば第1の車両1が搭載するカーナビで取得される位置情報を、第1の車両1の位置情報として利用する。
【0015】
図2(b)に、受信装置200の機能構成を示す。
図2(b)に示すように、受信装置200は、受信部201と、表示制御部202とを備える。また、受信装置200には、表示装置203が接続する。なお、表示装置203は、受信装置200とは別の装置として構成されてもよいし、受信装置200に一体化された表示部として構成されてもよい。
【0016】
受信部201は、送信装置100から送信された割り込み禁止範囲の情報、本実施例では、割り込み禁止範囲を表す距離を受信する。また、受信部201は、送信装置100から送信された、第1の車両1のID等の識別情報と、第1の車両1の位置情報とを受信する。
【0017】
表示制御部202は、受信部201で受信した割り込み禁止範囲の情報、第1の車両1のID等の識別情報、第1の車両1の位置情報に基づいて、割り込み禁止範囲を可視化して表示装置203に表示する。
【0018】
図5に、表示制御部202による表示装置203の表示例を示す。
図5に示すように、表示制御部202は、第1の車両1及び第2の車両2が走行中の道路500を含む地図を表示する。例えば第2の車両2に搭載されたカーナビが保持する地図の情報を利用して、地図を表示する。或いは、第2の車両2に搭載された前方カメラ2aで撮影した画像に基づいて地図を生成し、表示するようにしてもよい。
また、表示制御部202は、第1の車両1及び第2の車両2それぞれの位置情報に基づいて、第1の車両1の画像501及び第2の車両2の画像502を表示する。第1の車両1の位置情報は、上述したように送信装置100から送信される。また、第2の車両2の位置情報は、例えば第2の車両2が搭載するカーナビで取得される位置情報を利用する。
そして、表示制御部202は、第1の車両1の画像501の前方に、割り込み禁止範囲の仮想画像503を表示する。仮想画像503は、色や形状等で割り込み禁止範囲を明示できるものであれば、どのようなものでもよい。仮想画像503の長さは、送信装置100から送信された距離に基づいて定められる。仮想画像503の幅は、例えば第1の車両1が走行中の車線の幅に合わせて定められるようにすればよい。また、道路500がカーブしている場合、割り込み禁止範囲の仮想画像503を、カーブに沿った湾曲形状にして表示すればよい。
なお、第1の車両1及び第2の車両2以外の車両の画像504も併せて表示するようにしてもよい。例えば第1の車両1の前方を走行する前方車両に送信装置が搭載されている場合、通信によって前方車両の存在を検知して、前方車両の画像504を表示する。或いは、第2の車両2が搭載する前方カメラ2aで撮影した画像やレーダによって前方車両の存在を検知して、前方車両の画像504を表示するようにしてもよい。
【0019】
なお、本実施例では、説明のし易さを考慮して、第1の車両1に送信装置100が搭載され、第2の車両2に受信装置200が搭載されると説明したが、第1の車両1及び第2の車両2に、それぞれ送信装置100及び受信装置200として機能する送受信装置が搭載されるようにしてもよい。
また、送信装置100や受信装置200は、カーナビと一体に構成されるようにしてもよい。この場合、カーナビの表示部や入力部を利用することができる。
【0020】
図3(a)は、送信装置100が実行する処理を示すフローチャートである。
ステップS101で、送信装置100の割り込み禁止範囲設定部102は、第1の車両1の前方での割り込み禁止範囲を設定する。割り込み禁止範囲設定処理の詳細は図4を用いて後述する。
【0021】
ステップS102で、送信装置100は、割り込み禁止範囲の設定の有無を判定する。割り込み禁止範囲の設定がある場合、ステップS103に進む。割り込み禁止範囲の設定がない場合、本フローチャートを抜ける。
【0022】
ステップS103で、送信装置100の送信部103は、ステップS101で設定した割り込み禁止範囲の情報、本実施例では、割り込み禁止範囲を表す距離を受信装置200に送信する。また、送信部103は、第1の車両1のID等の識別情報と、第1の車両1の位置情報とを受信装置200に送信する。
【0023】
図3(b)は、受信装置200が実行する処理を示すフローチャートである。
ステップS201で、受信装置200の受信部201は、送信装置100から送信された割り込み禁止範囲の情報、本実施例では、割り込み禁止範囲を表す距離を受信する。また、受信部201は、送信装置100から送信された、第1の車両1のID等の識別情報と、第1の車両1の位置情報とを受信する。
【0024】
ステップS202で、受信装置200は、割り込み禁止範囲の設定の有無を判定する。割り込み禁止範囲の設定がある場合、ステップS203に進む。割り込み禁止範囲の設定がない場合、本フローチャートを抜ける。
【0025】
ステップS203で、表示制御部202は、ステップ201で受信した割り込み禁止範囲の情報、第1の車両1のID等の識別情報、第1の車両1の位置情報に基づいて、図5に示すように、割り込み禁止範囲を可視化して表示装置203に表示する。
【0026】
次に、図4を参照して、ステップS101の割り込み禁止範囲設定処理を説明する。
ステップS301で、入力部101は、入力装置104を介して、第1の車両1の乗員からの割り込み禁止範囲の入力を受け付ける。例えば割り込み禁止範囲を表す距離(以下、割り込み禁止距離と呼ぶ)の数値の入力を受け付ける。或いは、「長め」、「標準」、「短め」からいずれかを選択できるようにしてもよい。送信装置100では、「長め」、「標準」、「短め」に対応するそれぞれの距離が数値で記憶されており、選択された項目に応じて割り込み禁止距離を決定する。
【0027】
ステップS302で、割り込み禁止範囲設定部102は、割り込み禁止距離ベース値を読み出す。割り込み禁止距離ベース値は、後述する割り込み禁止距離下限値を設定するための距離である。割り込み禁止距離ベース値は、第1の車両1に対して予め定められた距離であり、送信装置100が保持している。
【0028】
ステップS303で、割り込み禁止範囲設定部102は、第1の車両1の現在の車速に応じて、割り込み禁止距離ベース値に対する係数を設定する。例えば車速と係数との関係を示すテーブルを保持しておき、その中から係数を取得するようにする。車速が高いほど、前方車両との車間距離を長くするのが望ましいことから、係数は、第1の車両1の車速が高いほど、割り込み禁止距離下限値を長くするものとする。
【0029】
ステップS304で、割り込み禁止範囲設定部102は、第1の車両1の車両重量に応じて、割り込み禁止距離ベース値に対する係数を設定する。例えば車両重量と係数との関係を示すテーブルを保持しておき、その中から係数を取得するようにする。車両重量が大きいほど、制動距離が長くなることから、係数は、第1の車両1の車両重量が大きいほど、割り込み禁止距離下限値を長くするものとする。車両重量は、主に乗員数に応じて変動する。例えば運転開始時に、乗員が入力装置104を介して乗員数を登録するようにし、登録された乗員数に応じて車両重量を設定するようにする。或いは、シートベルトの脱着を検知するようにして、それにより乗員数を推定するようにしてもよい。また、重量センサを搭載しておき、乗員数や荷物の有無により変動する車両重量を検出するようにしてもよい。
【0030】
ステップS305で、割り込み禁止範囲設定部102は、ステップS302~S304で取得した割り込み禁止距離ベース値及び係数に基づいて、割り込み禁止距離下限値を算出、設定する。
【0031】
ステップS306で、割り込み禁止範囲設定部102は、ステップS301で入力した割り込み禁止距離(以下、入力割り込み禁止距離と呼ぶ)と、ステップS305で設定した割り込み禁止距離下限値とを比較して、入力割り込み禁止距離が割り込み禁止距離下限値以上であるか否かを判定する。入力割り込み禁止距離が割り込み禁止距離下限値以上である場合、ステップS307に進み、そうでない場合、ステップS308に進む。
【0032】
ステップS307で、割り込み禁止範囲設定部102は、入力割り込み禁止距離を、受信装置200に送信する割り込み禁止距離とする。一方、ステップS308で、割り込み禁止範囲設定部102は、割り込み禁止距離下限値を、受信装置200に送信する割り込み禁止距離とする。すなわち、入力割り込み禁止距離及び割り込み禁止距離下限値のうち、距離の長い方を、受信装置200に送信する割り込み禁止距離とする。
このように、割り込み禁止距離下限値を守りながら、それ以上の範囲で、第1の車両1の乗員が任意に割り込み禁止距離を設定できるようになっている。
【0033】
以上述べたように、送信装置100が割り込み禁止範囲の情報を送信し、受信装置200が割り込み禁止範囲の情報を受信するようにしたので、割り込みを望まない範囲を他の車両(第2の車両2)に伝えることができる。言い方を変えれば、第2の車両2の乗員は、割り込みが許容される範囲を認識することができる。これにより、第1の車両1の乗員が不快に感じる範囲での割り込みを減らすことができる。
【0034】
以下、変形例について説明する。
本実施例では、第1の車両1の前方での割り込み禁止範囲を送受信する例を述べたが、第1の車両1の後方での割り込み禁止範囲を送受信するようにしてもよい。
【0035】
また、本実施例では、第2の車両2において、割り込み禁止範囲を可視化して表示装置203に表示するようにしたが、これに限定されるものではない。受信部201で受信した割り込み禁止範囲の情報に基づいて、第2の車両2の乗員に対して通知を行うようにすればよく、例えば音声で割り込み禁止範囲を伝えるようにしてもよい。
なお、第1の車両1においても、乗員に対して、他の車両が割り込み禁止範囲を並走中であることを音声等で伝えるようにしてもよい。この場合、他の車両が割り込み禁止範囲を並走中でなくなったら、音声を止めたり、音声の種類を変更したりする。
【0036】
また、本実施例では、第1の車両1の車速及び車両重量に応じて、割り込み禁止範囲下限値を変更するようにしたが、そのいずれか一方だけでもよい。また、割り込み禁止距離ベース値に対する係数を用いる例としたが、これに限定されるものではない。例えば車速と割り込み禁止範囲下限値との関係を示すテーブルを保持しておき、その中から、第1の車両1の車速に応じた割り込み禁止範囲下限値を取得するようなかたちにしてもよい。
また、前方カメラ1aや後方カメラ1bにより、又は通信を利用して、路面状態を把握し、割り込み禁止範囲下限値に反映させるようにしてもよい。路面が雨で濡れているような場合、制動距離が長くなることから、割り込み禁止距離下限値を長くする。また、運転者の年齢や運転スキルを把握し、割り込み禁止範囲下限値に反映させるようにしてもよい。運転者が高齢である場合、反応が遅れることがあることから、割り込み禁止距離下限値を長くする。また、運転者の運転経験年数や運転者のくせ(例えば運転者のブレーキペダルの踏み込み度合、踏み込み速度等)に応じて、割り込み禁止距離下限値を変更するようにしてもよい。
【0037】
また、第2の車両2が自動運転車であって、自動運転中に受信装置200が割り込み禁止範囲の情報を受信したとき、この割り込み禁止範囲に割り込まないようにすることを自動運転に反映させるようにしてもよい。
【0038】
以上、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明したが、各実施例は、本発明の実施にあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、各実施例に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明を適用した送信装置及び受信装置は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータ装置により構成され、CPUが例えばROMに記憶された所定のプログラムを実行することにより、各手段の機能が実現される。
【符号の説明】
【0039】
1:第1の車両、2:第2の車両、100:送信装置、101:入力部、102:割り込み禁止範囲設定部、103:送信部、104:入力装置、200:受信装置、201:受信部、202:表示制御部、203:表示装置
図1
図2
図3
図4
図5