(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148004
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】空気調和装置、空気調和装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
F25B 45/00 20060101AFI20241009BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
F25B45/00 C
F25B1/00 311Z
F25B1/00 331C
F25B1/00 304H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060851
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 聡士
(72)【発明者】
【氏名】領家 宏
(57)【要約】 (修正有)
【課題】専用の弁を別途設けずに冷媒の充填ができ、冷媒の充填を終了する時間を短縮できる空気調和装置、及び空気調和装置の制御方法を提供する。
【解決手段】過冷却熱交換器、冷媒をインジェクションするインジェクション機構を有する圧縮機、及び室外機と、前記室外機を制御する制御部とを備える空気調和装置において、前記インジェクション配管は分岐部で分岐する第1配管を備え、前記第1配管は、閉状態でインジェクションをし、開状態でインジェクションをしないように切替可能なインジェクション切替弁、及び、前記分岐部と前記インジェクション切替弁との間に、冷媒ボンベを接続できる冷媒充填ポート、を備え、前記制御部は、前記インジェクション切替弁を開状態に変更することで、前記冷媒ボンベから冷媒の供給を開始させ、前記インジェクション切替弁を閉状態に変更することで、前記冷媒ボンベからの冷媒の供給を終了させる、空気調和装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過冷却熱交換器、前記過冷却熱交換器を通過した冷媒をインジェクションするインジェクション機構を有する圧縮機、及び前記過冷却熱交換器と前記圧縮機とを接続するインジェクション配管を備える室外機と、前記室外機を制御する制御部とを備える空気調和装置において、
前記過冷却熱交換器に供給される冷媒の圧力を調整する膨張弁を備え、
前記インジェクション配管は分岐部で分岐する第1配管を備え、
前記第1配管は、閉状態でインジェクションをし、開状態でインジェクションをしないように切替可能なインジェクション切替弁、及び、前記分岐部と前記インジェクション切替弁との間に、冷媒ボンベを接続できる冷媒充填ポート、を備え、
前記制御部は、
前記インジェクション切替弁を開状態に変更することで、前記冷媒ボンベから冷媒の供給を開始させ、
前記インジェクション切替弁を閉状態に変更することで、前記冷媒ボンベからの冷媒の供給を終了させる、
空気調和装置。
【請求項2】
前記膨張弁の開度を変更することで、冷媒の供給の速度を調整する、
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記室外機は、外気温を検出する第1温度センサーと、前記インジェクション切替弁及びアキュムレータを接続する第2配管と、前記第2配管を流れる冷媒の圧力を検出する第1圧力センサーとを備え、
前記制御部は、
前記第1温度センサーの検出値から推定される前記冷媒ボンベの冷媒の飽和圧力と、前記第1圧力センサーの検出値との差である冷媒封入差圧を算出し、
前記冷媒封入差圧が所定の閾値以上である場合に、前記膨張弁を開状態に変更する、
請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記室外機は、室外熱交換器と、前記室外熱交換器の液管の温度を検出する第2温度センサーと、前記室外熱交換器及び室内機を接続する第3配管と、前記第3配管の温度を検出する第3温度センサーと、前記圧縮機及び前記室外熱交換器を接続する第4配管と、前記第4配管を流れる冷媒の圧力を検出する第2圧力センサーとを備え、
前記制御部は、
前記第2圧力センサーの検出値から推定される高圧飽和温度と、前記第2温度センサーの検出値、及び前記第3温度センサーの検出値のうち何れかの検出値との差である過冷却度を算出し、
前記過冷却度が所定の閾値以上である場合に、前記膨張弁の開状態に変更する、
請求項1から3のいずれかに記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記過冷却度が一度、所定の閾値を上回った後に、前記過冷却度に基づいて前記膨張弁の開度を変更する、
請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記過冷却熱交換器から見て、前記第1配管は、逆止弁、前記冷媒充填ポート、及び前記インジェクション切替弁をこの順に備える、請求項1から3のいずれかに記載の空気調和装置。
【請求項7】
過冷却熱交換器、前記過冷却熱交換器を通過した冷媒をインジェクションするインジェクション機構を有する圧縮機、及び前記過冷却熱交換器と前記圧縮機とを接続するインジェクション配管を備える室外機と、を備える空気調和装置の制御方法において、
前記インジェクション配管において分岐部が分岐する第1配管が備えるインジェクション切替弁をインジェクションしない開状態に変更することで、前記分岐部と前記インジェクション切替弁との間に冷媒を供給する冷媒ボンベから冷媒の供給を開始し、
前記インジェクション切替弁をインジェクションする閉状態に変更することで、前記冷媒ボンベからの冷媒の供給を終了する、空気調和装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置、空気調和装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、設置施工時に冷媒の追加充填が必要な空気調和装置があった。このような空気調和装置では、冷媒供給ボンベと接続される冷媒充填ポートは、空気調和装置の運転時に定圧雰囲気となる任意の位置に設けられる。特許文献1は冷媒過冷却度に関連して冷媒充填電磁弁の開閉を制御する技術を開示する。特許文献2は冷媒充填ポートと冷媒管とを接続する供給管に、冷媒の充填専用の、開度を調整可能な電動弁を設ける技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、専用の弁を別途設けずに冷媒の充填ができ、冷媒の充填を終了する時間を短縮できる空気調和装置、及び空気調和装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における空気調和装置は、過冷却熱交換器、前記過冷却熱交換器を通過した冷媒をインジェクションするインジェクション機構を有する圧縮機、及び前記過冷却熱交換器と前記圧縮機とを接続するインジェクション配管を備える室外機と、前記室外機を制御する制御部とを備える空気調和装置において、前記過冷却熱交換器に供給される冷媒の圧力を調整する膨張弁を備え、前記インジェクション配管は分岐部で分岐する第1配管を備え、前記第1配管は、閉状態でインジェクションをし、開状態でインジェクションをしないように切替可能なインジェクション切替弁、及び、前記分岐部と前記インジェクション切替弁との間に、冷媒ボンベを接続できる冷媒充填ポート、を備え、前記制御部は、前記インジェクション切替弁を開状態に変更することで、前記冷媒ボンベから冷媒の供給を開始させ、前記インジェクション切替弁を閉状態に変更することで、前記冷媒ボンベからの冷媒の供給を終了させる。
【0007】
本開示における空気調和装置の制御方法は、過冷却熱交換器、前記過冷却熱交換器を通過した冷媒をインジェクションするインジェクション機構を有する圧縮機、及び前記過冷却熱交換器と前記圧縮機とを接続するインジェクション配管を備える室外機と、を備える空気調和装置の制御方法において、前記インジェクション配管において分岐部が分岐する第1配管が備えるインジェクション切替弁をインジェクションしない開状態に変更することで、前記分岐部と前記インジェクション切替弁との間に冷媒を供給する冷媒ボンベから冷媒の供給を開始し、前記インジェクション切替弁をインジェクションする閉状態に変更することで、前記冷媒ボンベからの冷媒の供給を終了する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、冷媒の充填に、専用の調整弁を用いることなく冷媒の充填の速度を調整でき、専用の閉止弁を用いることなく充填停止できる。また、冷媒の充填をしながらインジェクションサイクルを併用できるため、冷媒の充填を終了するまでの時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】制御装置、及び室外機の制御構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、設置施工時に冷媒の追加充填が必要な空気調和装置があった。このような空気調和装置では、冷媒ボンベと接続される冷媒充填ポートは、空気調和装置の運転時に低圧雰囲気となる任意の位置に設けられる。しかしながら、従来の技術では、冷媒充填をするために、専用の電磁開閉弁や、専用の開度を変更可能な電動弁を用いなければならず、部品点数が増えてしまうと言う課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。さらに、設置施工の迅速化の観点から、冷媒の充填時間を短縮する必要がある、という課題もあった。
そこで、本開示は、専用の弁を設けずに冷媒の充填ができ、冷媒の充填を終了する時間を短縮できる空気調和装置、及び空気調和装置の制御方法を提供することを目的とする。
【0011】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明を省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0012】
(実施の形態1)
[1-1.構成]
まず、実施の形態1について説明する。
図1は、空気調和装置1の構成を示す図である。
【0013】
空気調和装置1は、
図1に示すように、室内機2と、制御装置3と、室外機4を備える。
【0014】
室内機2は、冷媒配管76によって、冷媒が入る方向の仕切弁88、冷媒が出る方向の仕切弁89を介して、室外機4に接続される。空気調和装置1では、室外機4と、室内機2と、冷媒配管76と、によって冷凍サイクルが形成される。空気調和装置1は、室外機4により圧縮された冷媒を、室外機4と室内機5との間で流通させ、室内機5が設置された被調和室を室内機5により空調する。
【0015】
室外機4は、圧縮機40、アキュムレータ41、四方弁42、室外熱交換器43、及び、過冷却熱交換器44を備える。
【0016】
圧縮機40の吸引側には、圧縮機40にガス冷媒を供給するアキュムレータ41が接続されており、圧縮機40の吐出側には、四方弁42が接続されている。四方弁42には、室外熱交換器43が接続されている。室外熱交換器43は、ファンにより送られる空気と冷媒とが熱交換するように構成されている。過冷却熱交換器44には、室外熱交換器43の下流側に接続されている。
【0017】
室外機3は圧縮機40に、過冷却熱交換器44から冷媒を供給するインジェクション配管71を備える。インジェクション配管71は終端が圧縮機40内部に挿通しており、インジェクション配管71は終端にインジェクションポート85を備える。これらインジェクション配管71及びインジェクションポート85によって、インジェクション機構が構成されている。
【0018】
インジェクション配管71は分岐しており、室外機4は、分岐する分岐点Pとアキュムレータ41とを接続する第1配管72を備える。第1配管は、冷媒の上流側、すなわち過冷却熱交換器44側から見て順に逆止弁84、冷媒充填ポート83、及びインジェクション切替弁81を備える。
【0019】
インジェクション切替弁81は、閉状態でインジェクションをし、開状態でインジェクションをしないように切替可能である。インジェクション切替弁81が閉状態の場合、過冷却熱交換器44を通過した冷媒はインジェクションポート85に流れ、インジェクション切替弁81が開状態の場合、過冷却熱交換器44を通過した冷媒はアキュムレータ41に流れる。
【0020】
冷媒充填ポート83は、室外機4の外部から接続される冷媒ボンベ5を接続可能である。冷媒ボンベ5は冷媒供給管5Aを備える。冷媒を空気調和装置1に充填する作業時に、冷媒供給管5Aは冷媒充填ポート83に接続される。
【0021】
インジェクション切替弁81とアキュムレータ41とは、第2配管73により接続される。また、第2配管73は、四方弁42とアキュムレータ41とを接続する。
【0022】
第1配管72と第2配管73とは定圧弁86により仕切られており、通常の冷凍サイクル運転時、または冷媒の充填時は冷媒を通さない。定圧弁86は、例えば第1配管72が異常な高圧雰囲気になった場合に圧力を逃がす安全弁として機能する。
【0023】
圧縮機40と四方弁42とは、第4配管75により接続される。また、第4配管75は、圧縮機40と室外熱交換器43とを接続する。
【0024】
室外機4は、室外機熱交換器43と、過冷却熱交換器44との間に室外膨張弁87を備える。室外膨張弁87は、室外熱交換器43から流れ出る冷媒の圧力等を調整する電磁弁である。
【0025】
室外機4は、過冷却熱交換器44と室内機4の上流側の仕切弁88との間に第3配管74を備える。第3配管74は分岐しており、分岐した配管は過冷却熱交換器用膨張弁82を備え、過冷却熱交換器用膨張弁82の下流に過冷却熱交換器44が配置される。冷凍サイクル運転時に、過冷却熱交換器用膨張弁82は、過冷却熱交換器44に送り込む冷媒の量を調整する。過冷却熱交換器用膨張弁82は、「膨張弁」の一例である。
【0026】
過冷却熱交換器用膨張弁82が開状態であり、インジェクション切替弁81が閉状態であるとき、インジェクション機構によりインジェクションサイクルが行われる。
【0027】
また、後述するが、過冷却熱交換器44に供給される冷媒の圧力を調整する過冷却熱交換器用膨張弁82の開度を変更することで、冷媒の供給の速度を調整することができる。
【0028】
室外機4は、外気温センサー51、室外熱交換器用温度センサー52、液管温度センサー53、低圧センサー61、及び、高圧センサー62を備える。
【0029】
外気温センサー51は、室外機4の冷凍サイクルの外部に設けられ、室外機4がある外の外気温を検出する。外気温センサー51は、検出値を室外機制御部400に出力する。
【0030】
室外熱交換器用温度センサー52は、室外熱交換器43が備える液管に設けられ、室外熱交換器43の液管の温度を検出する。室外熱交換用温度センサー51は、検出値を室外機制御部400に出力する。この検出値は、室外熱交換器43を流れる冷媒の温度に対応する。
【0031】
液管温度センサー53は、過冷却熱交換器44と仕切弁88の間に設けられた第3配管74に設けられ、第3配管74の温度を検出する。液管温度センサー53は、検出値を室外機制御部400に出力する。この検出値は、過冷却熱交換器44から室内機2に向かう冷媒の温度に対応する。
【0032】
低圧センサー61は、第2配管73に設けられ、アキュムレータ41に向かっていく冷媒の圧力を検出する。低圧センサー61は、検出値を室外機制御部400に出力する。
【0033】
高圧センサー62は、第4配管75に設けられ、圧縮機40から吐出される冷媒の圧力を検出する。高圧センサー62は、検出値を室外機制御部400に出力する。
【0034】
高圧センサー46は、圧縮機40の吐出側において圧縮機40と室外熱交換器43との間に設けられ、圧縮機40が吐出する冷媒の圧力を検出する。高圧センサー46は、検出値を室外機制御部400に出力する。低圧センサー47は、圧縮機40の吸引側において圧縮機40とアキュムレータ41との間に設けられ、圧縮機40に流入する冷媒の圧力を検出する。低圧センサー47は、検出値を室外機制御部400に出力する。
外気温センサー51は「第1温度センサー」の一例に相当する。室外熱交換器用温度センサー52は「第2温度センサー」の一例に相当する。液管温度センサー53は「第3温度センサー」の一例に相当する。低圧センサー61は「第1圧力センサー」の一例に相当する。高圧センサー62は「第2圧力センサー」の一例に相当する。
【0035】
制御装置3は、空気調和装置2を制御する装置である。本実施形態の制御装置3は、空気調和装置2が備える室外機4を制御する。
【0036】
次に、要部に係る制御装置3、及び室外機4の制御構成について説明する。
図2は、制御装置3、及び室外機4の制御構成を示すブロック図である。
【0037】
まず、制御装置3の制御構成について説明する。
制御装置3は、制御装置制御部300、及び制御装置通信部301を備える。制御装置制御部300は、「制御部」の一例である。
【0038】
制御装置制御部300は、CPUやMPU等のプログラムを実行するプロセッサーである制御装置プロセッサー310、及び、制御装置記憶部320を備え、制御装置3の各部を制御する。制御装置制御部300は、制御装置プロセッサー310が、制御装置記憶部320に記憶された制御プログラム321を読み出して処理を実行するように、ハードウェア及びソフトウェアの協働により各種処理を実行する。
【0039】
制御装置記憶部320は、制御装置プロセッサー310が実行するプログラムや、制御装置プロセッサー310により処理されるデータを記憶する記憶領域を有する。制御装置記憶部320は、制御装置プロセッサー310が実行する制御プログラムや、制御装置3の各種設定に係る設定データ、その他の各種データを記憶する。制御装置記憶部320は、プログラムやデータを不揮発的に記憶する不揮発性記憶領域を有する。また、制御装置記憶部320は、揮発性記憶領域を備え、制御装置プロセッサー310が実行するプログラムや処理対象のデータを一時的に記憶するワークエリアを構成してもよい。
【0040】
制御装置通信部301は、所定の通信規格に従った通信ハードウェアにより構成され、制御装置制御部300の制御で、室外機4と通信する。
【0041】
続けて、室外機4の制御構成について説明する。
室外機4は、室外機制御部400を備える。
室外機制御部400は、CPUやMPU等のプログラムを実行するプロセッサーである室外機プロセッサー410、及び、室外機記憶部420を備え、室外機4の各部を制御する。室外機制御部400は、室外機プロセッサー410が、室外機記憶部420に記憶された制御プログラムを読み出して処理を実行するように、ハードウェア及びソフトウェアの協働により各種処理を実行する。
【0042】
室外機記憶部420は、室外機プロセッサー410が実行するプログラムや、室外機プロセッサー410により処理されるデータを記憶する記憶領域を有する。室外機記憶部420は、室外機プロセッサー410が実行する制御プログラムや、室外機4の各種設定を行うための設定データ、その他の各種データを記憶する。室外機記憶部420は、プログラムやデータを不揮発的に記憶する不揮発性記憶領域を有する。また、室外機記憶部420は、揮発性記憶領域を備え、室外機プロセッサー410が実行するプログラムや処理対象のデータを一時的に記憶するワークエリアを構成してもよい。
【0043】
室外機制御部400には、インジェクション切替弁81、過冷却熱交換器用膨張弁82、室外膨張弁87、四方弁42、圧縮機40、外気温センサー51、室外熱交換器用温度センサー52、液管温度センサー53、低圧センサー61、及び、高圧センサー62が接続する。
【0044】
室外機制御部400は、外気温センサー51、室外熱交換器用温度センサー52、液管温度センサー53、低圧センサー61、及び、高圧センサー62の検出値に基づいて、インジェクション切替弁81、過冷却熱交換器用膨張弁82、室外膨張弁87、四方弁42、及び圧縮機40を駆動制御する。
【0045】
また、室外機制御部400は、制御装置3から受信した制御信号に基づいて、インジェクション切替弁81、過冷却熱交換器用膨張弁82、室外膨張弁87、四方弁42、及び圧縮機40を駆動制御する。
【0046】
また、室外機制御部400は、外気温センサー51、室外熱交換器用温度センサー52、液管温度センサー53、低圧センサー61、及び、高圧センサー62が出力した検出値を、室外機通信部401によって制御装置3に送信する。
【0047】
室外機4は、室外機通信部401を備える。室外機通信部401は、所定の通信規格に従った通信ハードウェアにより構成され、室外機制御部400の制御で、室内機2及び制御装置3と通信する。
【0048】
制御装置制御部300は、外気温温度センサー51の検出値から、冷媒ボンベ5の冷媒の飽和圧力を算出する。冷媒ボンベ5の温度は外気温と略等しいため、外気温温度センサー51の検出値から、冷媒ボンベ5及び冷媒供給管5Aを通る冷媒の飽和圧力を推定できる。
【0049】
制御装置制御部300は、飽和圧力と、低圧センサー61の検出値との差である冷媒封入差圧を算出する。冷媒封入差圧が大きいと、冷媒充填ポート83の上流側と下流側との圧力差が大きいことになるため、冷媒の供給の速度が大きくなる傾向にある。なお、飽和圧力の算出について、制御装置記憶部320が記憶する外気温と飽和圧力の関係のデータに基づいて算出してもよい。
【0050】
制御装置制御部300は、高圧センサー62の検出値から、高圧飽和温度を算出する。高圧飽和温度とは、高圧センサー62が配置される、圧縮機40から吐出された冷媒の法飽和温度のことである。さらに、制御装置制御部300は、室外熱交換器用温度センサー52の検出値、及び液管温度センサー53の検出値のうち何れかの検出値との差である過冷却度を算出する。
【0051】
[1-2.動作]
空気調和装置1への冷媒の充填に係る空気調和装置1の動作について説明する。特に、制御装置3の動作について説明する。
図3は、制御装置3の動作を示すフローチャートである。
【0052】
なお、
図3の説明においては、冷媒ボンベ5を室外機5に接続し、冷媒の充填を開始する準備が終了した状態であることを前提とする。
【0053】
制御装置制御部300は、インジェクション切替弁81を開状態に移行させる(ステップS1)。インジェクション切替弁81が開状態になると、冷媒ボンベ5から冷媒が空気調和装置1に流入する。ステップS1により、冷媒ボンベ5から空気調和装置1への冷媒の供給が開始される。
【0054】
ステップS1において、制御装置制御部300は、制御装置通信部301により、インジェクション切替弁81を開状態へ移行させる制御信号を、室外機4に送信する。室外機制御部400は、室外機通信部401により当該制御信号を受信すると、インジェクション切替弁81を開状態に移行させる。
【0055】
制御装置制御部300は、冷媒封入差圧が所定の閾値以上であるか否かを判別する(ステップ2)。この所定の閾値は、圧縮機40、又はアキュムレータ41に多量の液体冷媒が流れ込むことを防止するという観点に基づいて、適切に定められている。
【0056】
制御装置制御部300は、冷媒封入差圧が所定の閾値以上でないと判別した場合(ステップS2:NO)、再度、ステップS1の処理を実行する。
【0057】
制御装置制御部300は、冷媒封入差圧が所定の閾値以上であると判別した場合(ステップS2:YES)、制御装置制御部300は、過冷却熱交換器用膨張弁82を開状態に移行させる(ステップS3)。
【0058】
過冷却熱交換器用膨張弁82が開状態となると、過冷却熱交換器44から流れる冷媒が、冷媒ボンベ5から供給される冷媒と合流する。過冷却熱交換器用膨張弁82よりも上流側は、インジェクション切替弁81付近よりも圧力が高いため、過冷却熱交換器用膨張弁82を開状態とすると、冷媒の供給の速度を小さくする方へ調整できる。
【0059】
また、過冷却熱交換器用膨張弁82は開度を変更可能であるため、適切な冷媒の供給の速度となるように、開度を制御してもよい。
【0060】
ステップS3において、制御装置制御部300は、制御装置通信部301により、過冷却熱交換器用膨張弁82を開状態へ移行させる制御信号を、室外機4に送信する。室外機制御部400は、室外機通信部401により当該制御信号を受信すると、過冷却熱交換器用膨張弁82を開状態に移行させる。
【0061】
制御装置制御部300は、過冷却度が目標値に達した否かを判別する(ステップS4)。この目標値は、空気調和装置1の運転に必要な冷媒の量の観点から、予め定められている。
【0062】
制御装置制御部300は、過冷却度が目標値に達していないと判別した場合(ステップS4:NO)、再度、ステップS3の処理を実行する。
【0063】
制御装置制御部300は、過冷却度が目標値に達したと判別した場合(ステップS4:YES)、インジェクション切替弁81を閉状態に移行させる(ステップS5)。インジェクション切替弁81が閉状態に移行すると、冷媒ボンベ5からの冷媒の供給が停止する。
【0064】
ステップS5において、制御装置制御部300は、制御装置通信部301により、過冷却熱交換器用膨張弁82を閉状態へ移行させる制御信号を、室外機4に送信する。室外機制御部400は、室外機通信部401により当該制御信号を受信すると、過冷却熱交換器用膨張弁82を閉状態に移行させる。
【0065】
以上の動作により、空気調和装置1に冷媒が充填され、冷媒の充填が終了する。
【0066】
[1-3.効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る空気調和装置1は、過冷却熱交換器44、過冷却熱交換器44を通過した冷媒をインジェクションするインジェクション機構を有する圧縮機40、及び過冷却熱交換器44と圧縮機40とを接続するインジェクション配管71を備える室外機4と、室外機4を制御する制御装置制御部300(制御部)とを備え、過冷却熱交換器44に供給される冷媒の圧力を調整する過冷却熱交換器用膨張弁82(膨張弁)を備え、インジェクション配管71は分岐部Pで分岐する第1配管72を備え、第1配管72は、閉状態でインジェクションをし、開状態でインジェクションをしないように切替可能なインジェクション切替弁81、及び、分岐部Pとインジェクション切替弁81との間に、冷媒ボンベ5を接続できる冷媒充填ポート83、を備え、制御装置制御部300は、インジェクション切替弁81を開状態に変更することで、冷媒ボンベ5から冷媒の供給を開始させ、インジェクション切替弁81を閉状態に変更することで、冷媒ボンベ5からの冷媒の供給を終了させる。
【0067】
これによれば、冷媒の充填に、専用の調整弁を用いることなく冷媒の充填の速度を調整でき、専用の閉止弁を用いることなく充填停止できる。また、冷媒の充填をしながらインジェクションサイクルを併用できるため、冷媒の充填を終了するまでの時間を短縮できる。
【0068】
また、過冷却熱交換器用膨張弁82の開度を変更することで、冷媒の供給の速度を調整してもよい。
【0069】
これによれば、専用の調整弁を用いることなく、冷媒の速度の調整をすることができる。
【0070】
また、室外機4は、外気温を検出する外気温センサー51(第1温度センサー)と、インジェクション切替弁81及びアキュムレータ41を接続する第2配管73と、第2配管73を流れる冷媒の圧力を検出する低圧センサー61(第1圧力センサー)とを備え、制御装置制御部300は、外気温センサー51の検出値から推定される冷媒ボンベ5の冷媒の飽和圧力と、低圧センサー61の検出値との差である冷媒封入差圧を算出し、冷媒封入差圧が所定の閾値以上である場合に、過冷却熱交換器用膨張弁82を開状態に変更してもよい。
【0071】
これによれば、圧縮機40、又はアキュムレータ41に多量の液体冷媒が流れ込むこと現象を抑制できる。
【0072】
過冷却熱交換器44から見て、第1配管72は、逆止弁84、冷媒充填ポート83、及びインジェクション切替弁81をこの順に備えてもよい。
【0073】
これによれば、冷媒の充填に、専用の調整弁を用いることなく冷媒の充填の速度を調整でき、専用の閉止弁を用いることなく充填停止できる。
【0074】
また、空気調和装置1の制御方法は、過冷却熱交換器44、過冷却熱交換器44を通過した冷媒をインジェクションするインジェクション機構を有する圧縮機40、及び過冷却熱交換器44と圧縮機40とを接続するインジェクション配管71を備える室外機4と、を備える空気調和装置1の制御方法において、インジェクション配管71において分岐部Pが分岐する第1配管72が備えるインジェクション切替弁81をインジェクションしない開状態に変更することで、分岐部Pとインジェクション切替弁81との間に冷媒を供給する冷媒ボンベ5から冷媒の供給を開始し、インジェクション切替弁81をインジェクションする閉状態に変更することで、冷媒ボンベ5からの冷媒の供給を終了する。
【0075】
これによれば、上述した空気調和装置1と同様の効果を奏する。
【0076】
(実施の形態2)
[2-1.構成]
次に、実施の形態2について説明する。
実施の形態2の構成は、実施の形態1の空気調和装置1と同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0077】
[2-2.動作]
図4は、制御装置3の動作を示すフローチャートである。
【0078】
なお、
図4の説明においては、冷媒ボンベ5を室外機5に接続し、冷媒の充填を開始する準備が終了した状態であることを前提とする。
【0079】
制御装置制御部300は、インジェクション切替弁81を開状態に移行させる(ステップS11)。インジェクション切替弁81が開状態になると、冷媒ボンベ5から冷媒が空気調和装置1に流入する。ステップS11により、冷媒ボンベ5から空気調和装置1への冷媒の供給が開始される。
【0080】
ステップS11において、制御装置制御部300は、制御装置通信部301により、インジェクション切替弁81を開状態へ移行させる制御信号を、室外機4に送信する。室外機制御部400は、室外機通信部401により当該制御信号を受信すると、インジェクション切替弁81を開状態に移行させる。
【0081】
制御装置制御部300は、過冷却度が所定の閾値以上であるか否かを判別する(ステップ12)。この所定の閾値は、例えば過冷却度の目標値よりも20%だけ小さな値である。また、この所定の閾値は、過冷却度の目標値に合わせる精度を向上させる観点から、予め定められている。
【0082】
制御装置制御部300は、冷媒封入差圧が所定の閾値以上でないと判別した場合(ステップS12:NO)、再度、ステップS11の処理を実行する。
【0083】
制御装置制御部300は、過冷却度が所定の閾値以上であると判別した場合(ステップS12:YES)、制御装置制御部300は、過冷却熱交換器用膨張弁82を開状態に移行させる(ステップS13)。
【0084】
過冷却熱交換器用膨張弁82が開状態となると、過冷却熱交換器44から流れる冷媒が、冷媒ボンベ5から供給される冷媒と合流する。過冷却熱交換器用膨張弁82よりも上流側は、インジェクション切替弁81付近よりも圧力が高いため、過冷却熱交換器用膨張弁82を開状態とすると、冷媒の供給の速度を小さくする方へ調整できる。また、過冷却熱交換器用膨張弁82は開度を調整可能であるため、適切な冷媒の供給の速度となるように、開度を制御してもよい。
【0085】
過冷却熱交換器用膨張弁82を開状態とすると、冷媒の供給の速度を小さくできるため、過冷却度の目標値を超えてしまうオーバーシュートの発生を抑制できる。
【0086】
ステップS13において、制御装置制御部300は、制御装置通信部301により、過冷却熱交換器用膨張弁82を開状態へ移行させる制御信号を、室外機4に送信する。室外機制御部400は、室外機通信部401により当該制御信号を受信すると、過冷却熱交換器用膨張弁82を開状態に移行させる。
【0087】
制御装置制御部300は、過冷却度に基づいて、過冷却熱交換器用膨張弁82の開度を変更する(ステップS14)。
【0088】
ステップS14において、制御装置制御部300は、各センサーからの検出値に基づいて、過冷却度が目標値に達するまでの時間を算出する。制御装置制御部300は、過冷却度が目標値に達するまでの時間が長い場合、過冷却熱交換器用膨張弁82の開度を小さい方へ変更し、過冷却度が目標値に達するまでの時間が短い場合、過冷却熱交換器用膨張弁82の開度を大きい方へ変更する。これにより、冷媒の供給の速度を調整する。
【0089】
ステップS14において、制御装置制御部300は、制御装置通信部301により、過冷却熱交換器用膨張弁82の開度の設定値を含む制御信号を、室外機4に送信する。室外機制御部400は、室外機通信部401により当該制御信号を受信すると、過冷却熱交換器用膨張弁82の開度を設定値に移行させる。
【0090】
制御装置制御部300は、過冷却度が目標値に達した否かを判別する(ステップS15)。この目標値は、空気調和装置1の運転に必要な冷媒の量の観点から、予め定められている。
【0091】
制御装置制御部300は、過冷却度が目標値に達していないと判別した場合(ステップS15:NO)、再度、ステップS14の処理を実行する。
【0092】
制御装置制御部300は、過冷却度が目標値に達したと判別した場合(ステップS15:YES)、インジェクション切替弁81を閉状態に移行させる(ステップS16)。インジェクション切替弁81が閉状態に移行すると、冷媒ボンベ5からの冷媒の供給が停止する。
【0093】
ステップS16において、制御装置制御部300は、制御装置通信部301により、過冷却熱交換器用膨張弁82を閉状態へ移行させる制御信号を、室外機4に送信する。室外機制御部400は、室外機通信部401により当該制御信号を受信すると、過冷却熱交換器用膨張弁82を閉状態に移行させる。
以上の動作により、空気調和装置1に冷媒が充填され、冷媒の充填が終了する。
【0094】
[2-3.効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る空気調和装置1は室外機4を備え、室外機4は、室外熱交換器43と、室外熱交換器43の液管の温度を検出する室外熱交換器用温度センサー52(第2温度センサー)と、室外熱交換器43及び室内機2を接続する第3配管74と、第3配管74の温度を検出する液管温度センサー53(第3温度センサー)と、圧縮機40及び室外熱交換器43を接続する第4配管75と、第4配管75を流れる冷媒の圧力を検出する高圧センサー62(第2圧力センサー)とを備え、制御装置制御部300は、高圧センサー62の検出値から推定される高圧飽和温度と、室外熱交換器用温度センサー52の検出値、及び液管温度センサー53の検出値のうち何れかの検出値との差である過冷却度を算出し、過冷却度が所定の閾値以上である場合に、過冷却熱交換器用膨張弁82の開状態に変更する。
【0095】
これによれば、過冷却度を目標値に合わせる精度を向上させることができる。
【0096】
また、制御装置制御部300は、過冷却度が一度、所定の閾値を上回った後に、過冷却度に基づいて過冷却熱交換器用膨張弁82の開度を変更してもよい。
【0097】
これによれば、過冷却度を目標値に合わせる精度を向上させることができる。
【0098】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する例示として、上記実施の形態1、及び実施の形態2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1及び2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0099】
上述した各実施形態では、制御装置制御部300が、空気調和装置1を制御する構成であるが、室外機制御部400が、室外機4を統括的に制御することで空気調和装置2を制御する構成としてもよい。この構成の場合、空気調和装置2を制御する室外機制御部400が、本発明の「制御部」に相当する。
【0100】
上述した各実施形態では、「制御部」として室内機2の制御装置制御部300を例示した。他の実施の形態では、「制御部」が、室外機4及び室内機2の少なくともいずれかとワイルドエリアネットワークを介して接続するサーバ装置でもよいし、室外機4及び室内機2の少なくともいずれかとローカルネットワークを介して接続する管理装置としてもよい。なお、管理装置としては、室外機及び室内機が設置される建造物の各機器を集中管理する集中管理装置が例に挙げられる。
【0101】
また、制御装置制御部300、及び室外機制御部400の機能は、複数のプロセッサー、又は、半導体チップにより実現してもよい。
【0102】
制御装置プロセッサー320、及び室外機プロセッサー410は、単一のプロセッサーにより構成されてもよいし、複数のプロセッサーにより構成されていてもよい。これらプロセッサーは、対応する機能部を実現するようプログラムされたハードウェアでもよい。すなわち、これらプロセッサーは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)で構成されてもよい。
【0103】
また、
図2に示した各部は一例であって、具体的な実装形態は特に限定されない。つまり、必ずしも各部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで各部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上述した実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアとしてもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、制御装置3、及び室外機4の他の各部の具体的な細部構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0104】
また、例えば、
図3、及び
図4に示す動作のステップ単位は、制御装置3の各部の動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。また、1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。また、そのステップの順番は、本発明の趣旨に支障のない範囲で適宜に入れ替えてもよい。
【0105】
例えば、実施の形態1におけるステップS3とステップS4の間に、実施の形態2におけるステップS14の処理を追加してもよい。これによれば、過冷却度を目標値に合わせる精度を向上させることができる。
【0106】
実施の形態1において、冷媒封入差圧に基づいて過冷却熱交換器用膨張弁82の開度を変更する処理を追加してもよい。その場合、制御装置制御部300は、各センサーからの検出値に基づいて、冷媒封入差圧が大きい場合、過冷却熱交換器用膨張弁82の開度を大きい方へ変更し、冷媒の供給の速度を小さくする方へ調整し、冷媒封入差圧が小さい場合、過冷却熱交換器用膨張弁82の開度を小さい方へ変更し、冷媒の供給の速度を大きくする方へ調整する。
【0107】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0108】
(技術1)過冷却熱交換器、前記過冷却熱交換器を通過した冷媒をインジェクションするインジェクション機構を有する圧縮機、及び前記過冷却熱交換器と前記圧縮機とを接続するインジェクション配管を備える室外機と、前記室外機を制御する制御部とを備える空気調和装置において、前記過冷却熱交換器に供給される冷媒の圧力を調整する膨張弁を備え、前記インジェクション配管は分岐部で分岐する第1配管を備え、前記第1配管は、閉状態でインジェクションをし、開状態でインジェクションをしないように切替可能なインジェクション切替弁、及び、前記分岐部と前記インジェクション切替弁との間に、冷媒ボンベを接続できる冷媒充填ポート、を備え、前記制御部は、前記インジェクション切替弁を開状態に変更することで、前記冷媒ボンベから冷媒の供給を開始させ、前記インジェクション切替弁を閉状態に変更することで、前記冷媒ボンベからの冷媒の供給を終了させる、空気調和装置。
これによれば、冷媒の充填に、専用の調整弁を用いることなく冷媒の充填の速度を調整でき、専用の閉止弁を用いることなく充填停止できる。また、冷媒の充填をしながらインジェクションサイクルを併用できるため、冷媒の充填を終了するまでの時間を短縮できる。
【0109】
(技術2)前記膨張弁の開度を変更することで、冷媒の供給の速度を調整する、技術1に記載の空気調和装置。
これによれば、専用の調整弁を用いることなく、冷媒の速度の調整をすることができる。
【0110】
(技術3)前記室外機は、外気温を検出する第1温度センサーと、前記インジェクション切替弁及びアキュムレータを接続する第2配管と、前記第2配管を流れる冷媒の圧力を検出する第1圧力センサーとを備え、前記制御部は、前記第1温度センサーの検出値から推定される前記冷媒ボンベの冷媒の飽和圧力と、前記第1圧力センサーの検出値との差である冷媒封入差圧を算出し、前記冷媒封入差圧が所定の閾値以上である場合に、前記膨張弁を開状態に変更する、技術1又は2に記載の空気調和装置。
これによれば、圧縮機、又はアキュムレータに多量の液体冷媒が流れ込むこと現象を抑制できる。
【0111】
(技術4)前記室外機は、室外熱交換器と、前記室外熱交換器の液管の温度を検出する第2温度センサーと、前記室外熱交換器及び室内機を接続する第3配管と、前記第3配管の温度を検出する第3温度センサーと、前記圧縮機及び前記室外熱交換器を接続する第4配管と、前記第4配管を流れる冷媒の圧力を検出する第2圧力センサーとを備え、前記制御部は、前記第2圧力センサーの検出値から推定される高圧飽和温度と、前記第2温度センサーの検出値、及び前記第3温度センサーの検出値のうち何れかの検出値との差である過冷却度を算出し、前記過冷却度が所定の閾値以上である場合に、前記膨張弁の開状態に変更する、技術1から3のいずれかに記載の空気調和装置。
これによれば、過冷却度を目標値に合わせる精度を向上させることができる。
【0112】
(技術5)前記制御部は、前記過冷却度が一度、所定の閾値を上回った後に、前記過冷却度に基づいて前記膨張弁の開度を変更する、技術4に記載の空気調和装置。
これによれば、過冷却度を目標値に合わせる精度を向上させることができる。
【0113】
(技術6)前記過冷却熱交換器から見て、前記第1配管は、逆止弁、前記冷媒充填ポート、及び前記インジェクション切替弁をこの順に備える、技術1から5のいずれかに記載の空気調和装置。
これによれば、冷媒の充填に、専用の調整弁を用いることなく冷媒の充填の速度を調整でき、専用の閉止弁を用いることなく充填停止できる。
【0114】
(技術7)過冷却熱交換器、前記過冷却熱交換器を通過した冷媒をインジェクションするインジェクション機構を有する圧縮機、及び前記過冷却熱交換器と前記圧縮機とを接続するインジェクション配管を備える室外機と、を備える空気調和装置の制御方法において、前記インジェクション配管において分岐部が分岐する第1配管が備えるインジェクション切替弁をインジェクションしない開状態に変更することで、前記分岐部と前記インジェクション切替弁との間に冷媒を供給する冷媒ボンベから冷媒の供給を開始し、前記インジェクション切替弁をインジェクションする閉状態に変更することで、前記冷媒ボンベからの冷媒の供給を終了する、空気調和装置の制御方法。
これによれば、技術1と同様の作用及び効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0115】
以上のように、本発明に係る空気調和装置、及び空気調和装置の制御方法は、設置施工時に冷媒の充填を行う用途に利用可能である。
【符号の説明】
【0116】
1 空気調和装置
2 室内機
3 制御装置
4 室外機
5 冷媒ボンベ
40 圧縮機
41 アキュムレータ
43 室外熱交換器
44 過冷却熱交換器
51 外気温センサー(第1温度センサー)
52 室外熱交換器用温度センサー(第2温度センサー)
53 液管温度センサー(第3温度センサー)
61 低圧センサー(第1圧力センサー)
62 高圧センサー(第2圧力センサー)
71 インジェクション配管
72 第1配管
73 第2配管
74 第3配管
75 第4配管
81 インジェクション切替弁
82 過冷却熱交換器用膨張弁(膨張弁)
83 冷媒充填ポート
84 逆止弁
85 インジェクションポート
300 制御装置制御部(制御部)