IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイヘンの特許一覧

<>
  • 特開-電力供給装置 図1
  • 特開-電力供給装置 図2
  • 特開-電力供給装置 図3
  • 特開-電力供給装置 図4
  • 特開-電力供給装置 図5
  • 特開-電力供給装置 図6
  • 特開-電力供給装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148009
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/90 20160101AFI20241009BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20241009BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20241009BHJP
   B60L 53/35 20190101ALI20241009BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20241009BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/10
B60M7/00 X
B60L53/35
B60L53/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060864
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】井上 実
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC27
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】受電コイルと給電コイルとの位置合わせを容易にする電力供給装置を提供する。
【解決手段】電力供給装置は、駐車エリアの輪留めの外側を囲うように固定された枠体と、前記駐車エリアの前記輪留めよりも内側に前後左右に移動可能に配置され、給電コイルが固定されている平板状の給電コイルユニットと、前記枠体及び前記給電コイルユニットの間を伸縮可能に接続する接続体とを備え、前記給電コイルユニットは、前記駐車エリアに進入する車両の車輪に対応する箇所に、前記車輪が当接する2つの凹部を有し、前記2つの凹部の間に前記給電コイルを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車エリアの輪留めの外側を囲うように固定された枠体と、
前記駐車エリアの前記輪留めよりも内側に前後左右に移動可能に配置され、給電コイルが固定されている平板状の給電コイルユニットと、
前記枠体及び前記給電コイルユニットの間を伸縮可能に接続する接続体と
を備え、
前記給電コイルユニットは、前記駐車エリアに進入する車両の車輪に対応する箇所に、前記車輪が当接する2つの凹部を有し、前記2つの凹部の間に前記給電コイルを備える
電力供給装置。
【請求項2】
前記2つの凹部は、前記車両の車輪の角部に当接するテーパ面を有する
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記給電コイルユニットは、略E字型の平板形状を有し、
E字の縦線に対応する部分が、前記輪留めに対向するように配置されている
請求項1又は2に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記給電コイルユニットは、前記輪留めに当接していることを検知する検知部を備え、
前記給電コイルへの給電を制御する制御部は、前記検知部にて前記輪留めへの当接を検知した場合に、前記給電コイルへの給電を開始する
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記検知部にて前記輪留めに当接していることが検知されている間、前記給電コイルへの給電可能な状態を維持する
請求項4に記載の電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス給電の受電側コイルと送電側コイルとの位置合わせを容易にする電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車が普及し始めている。電気自動車である車両は、大容量のリチウムイオン電池である駆動用バッテリを備え、駆動用バッテリに蓄積された電力で走行用のモータを駆動する。電気自動車の駆動用バッテリへの給電は、有線による方法に加え、接続作業が不要で利便性が高い無線による方法も利用され始めている。
【0003】
ワイヤレス給電では、送電側のコイルは駐車エリアの地面又は床面に設置されているか、あるいは、立設されて固定されており、受電側のコイルも車両内の底部あるいは側部等の特定の場所に固定されている。受電側コイルと送電側コイルとの位置がずれると、高い結合係数を維持できなくなって伝送効率が低下するため、駐車エリアの適切な位置に対象の車両を駐車させる必要がある。
【0004】
特許文献1には、送電側の送電用コイルユニットと、車両の底面に設けた受電用コイルユニットとの位置決めを実現する構造が開示されている。特許文献1では、車両の底面に設けられたガイド板で、車両の幅方向に移動可能に設けられている送電用コイルユニットの幅方向の位置を誘導し、且つ前後方向は、車両のガイド板が送電用コイルユニットに当接して車両が停止することで位置を合わせる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-250593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように車両側にガイド板を設けることを必須とせずに、受電コイルと給電コイルとの位置合わせを容易にすることが期待される。
【0007】
本発明は、受電コイルと給電コイルとの位置合わせを容易にする電力供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態の電力供給装置は、駐車エリアの輪留めの外側を囲うように固定された枠体と、前記駐車エリアの前記輪留めよりも内側に前後左右に移動可能に配置され、給電コイルが固定されている平板状の給電コイルユニットと、前記枠体及び前記給電コイルユニットの間を伸縮可能に接続する接続体とを備え、前記給電コイルユニットは、前記駐車エリアに進入する車両の車輪に対応する箇所に、前記車輪が当接する2つの凹部を有し、前記2つの凹部の間に前記給電コイルを備える。
【0009】
本開示の一実施形態の電力供給装置では、給電コイルが固定された給電コイルユニットが、輪留めよりも内側に、前後左右に移動可能に配置されている。この給電コイルユニットに設けられた凹部に、駐車エリアに進入してきた車両のタイヤが当接して給電コイルユニットが押し込まれる。タイヤと凹部との対応関係から、給電コイルユニットは車両の幅方向に、車両と中心線がほぼ揃うように移動する。給電コイルユニットは車両の前後方向に、輪留めに当接するまで移動して、タイヤと揃うように位置決めされる。これにより、給電コイルは車両に対して前後方向及び幅方向の両方にについて位置決めされる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、簡易な構成で、車両が給電コイルユニットを挟むようにして輪留めに位置決めされることで、容易に受電コイルと給電コイルとの位置合わせが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の電力供給装置の模式斜視図である。
図2】給電コイルと受電コイルとの位置決めの過程を示す説明図である。
図3】給電コイルと受電コイルとの位置決めの過程を示す説明図である。
図4】給電コイルと受電コイルとの位置決めの過程を示す説明図である。
図5】給電コイルと受電コイルとの位置決めの過程を示す説明図である。
図6】電力供給装置の構成を示すブロック図である。
図7】制御部による制御手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の電力供給装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の電力供給装置1の模式斜視図である。電力供給装置1は、駐車エリアAを示す枠Eの外側に、輪留めCの周囲を囲うように設けられたコの字型(C字、U字型)の枠体10を含む。電力供給装置1は、駐車エリアAの輪留めCよりも内側に設けられた給電コイルユニット11を含む。給電コイルユニット11は、略E字型に成型された平板形状を有している。給電コイルユニット11は、E字の縦線に対応する部分が輪留めに対向するように配置されており、E字の中央の横線に対応する位置に、電力供給対象の車両の下に潜り込む給電コイル110を備える。給電コイル110の両側の凹部111には車両のタイヤがそれぞれ進入可能である。凹部111にはそれぞれ、奥側が狭くなるようにテーパ面112が形成されている。
【0014】
枠体10と給電コイルユニット11との間は、輪留めCを避けるようにして伸縮可能な接続体14で接続されている。接続体14は、給電コイル110が配置されている中央箇所と、両端部に対応する箇所との複数個所を接続している。接続体14は例えばバネ体であって、給電コイルユニット11を3方向から引っ張るようにして支持している。給電コイルユニット11の床面(地面)側には前後左右に移動可能な車輪が設けられている。
【0015】
給電コイル110は、枠体10の外側に設置されている電源装置15と電源ケーブル(図示せず)で接続されており、電源装置15からの電力の供給を受ける。
【0016】
給電コイルユニット11の輪留めCとの対向面には、給電コイルユニット11が輪留めCに押し付けられることを検知するための検知部116が設けられている。検知部116は例えば圧電センサを用いる。検知部116はその他、光電センサや近接センサ等を用いてもよい。
【0017】
このように構成されている電力供給装置1では、底部に受電コイルが設けられている車両が駐車エリアAに進入し、タイヤが給電コイルユニット11の凹部111に進入していくと、タイヤがテーパ面112に当接する。給電コイルユニット11は、車両のタイヤがテーパ面112を押す力によって、給電コイル110の中央が車両の中心線上に位置するように、車両の幅方向に移動する。更に車両が進入して、給電コイルユニット11が輪留めCに押し付けられると、タイヤもそれ以上は回転が困難になり停車する。このとき、給電コイル110の位置も輪留めCに対して固定される。給電コイルユニット11における輪留めCに対する対向面から給電コイル110の距離は、車両に設けられている受電コイルの前後方向の位置に対応するように設定されている。したがって、車両の前後方向及び幅方向のいずれにおいても、給電コイル110と受電コイルとが対向するように自動的に調整される。
【0018】
給電コイルユニット11の形状と、給電コイル110の位置と、車両に搭載されている受電コイルの位置との関係について、更に詳細に説明する。図2図5は、給電コイル110と受電コイル31との位置決めの過程を示す説明図である。図2は、電力供給装置1を上方から見た図であり、車両が駐車されていない状態を示す。図2に示すように、給電コイルユニット11は、接続体14によって、枠体10の3面から引っ張られて釣り合う位置に存在している。
【0019】
図3は、車両が進入してきている状態を示す。図3図5では、進入してきた車両について、前輪(又は後輪)T及び受電コイル31の位置のみを示している。図3の状態では、前輪Tはまだ凹部111のテーパ面112に当接していないので、給電コイルユニット11の位置は図2と同様である。図3に示す例では、車両は駐車エリアの中心線に沿うように進入しておらず、このまま車両が進入すると、給電コイル110と受電コイル31とは、車両の幅方向の位置がずれ、電力の伝送効率は低下する。
【0020】
図4は、車両のタイヤTが給電コイルユニット11のテーパ面112に当接している状態を示す。タイヤTがテーパ面131に当接していることで給電コイルユニット11は車両の幅方向に移動する。図4では、図2及び図3に示した状態と比較すると、図の右側に移動している。
【0021】
図5は、車両が駐車している状態を示す。図5では、タイヤTが凹部111の奥に達しており、給電コイルユニット11の車両の幅方向の位置は、タイヤTの端面を基準に決まっている。また図5では、タイヤTに給電コイルユニット11が押し込まれ、検知部116が輪留めCに接触している。図5に示す状態では、給電コイル110と受電コイル31とは、タイヤの幅に対する凹部111の奥の面の幅のゆとり分に応じて少し幅方向にずれているが許容範囲となるようにしてあり、前後方向はほぼ合致している。
【0022】
このように、給電コイルユニット11の形状と、伸縮可能な接続体14による支持構造とによって、車両が駐車エリアに駐車すると自動的に、給電コイル110の位置が車両の受電コイル31の位置と合致する。既設の駐車エリアAに給電コイルユニット11と電源装置15とを設置するという比較的簡易な敷設作業によって、上述のように自動的にコイルの位置が決まるワイヤレス給電が可能になる。
【0023】
図5に示した状態では、検知部116によって、給電コイルユニット11が輪留めCに当接したことが検知可能である。電力供給装置1は、給電コイルユニット11の機構と検知部116を備えるという構成とにより、車両が停車したことを検知して給電制御が可能である。図6は、電力供給装置1の構成を示すブロック図である。電力供給装置1は、制御部100と、電源装置15と、検知部116と、通信回路102と、給電コイル110とが接続されて構成されている。
【0024】
制御部100は、プロセッサ及びメモリを用いて構成されている。制御部100は、検知部116と接続されており、電源装置15から電力の供給を受け、検知部116で検知した状態によって、電源装置15から給電コイル110への給電のON/OFFを制御する。検知部116は上述したように圧電センサであって、給電コイルユニット11が車両に押し込められて輪留めCに当接したことを検知する。
【0025】
通信回路17は、受電コイル31を有する車載受電装置との無線通信を実現する。通信回路17は、例えばBluetooth(登録商標)により通信する。通信回路17による無線通信の規格はBluetoothに限らない。また通信回路17は、他の無線通信機器、例えば車両に搭載されている機器との無線通信を行なってもよい。
【0026】
図7は、制御部100による制御手順の一例を示すフローチャートである。制御部100は、電源装置15を介して商用電源から電力の供給を受けている状態で、以下に示す処理を繰り返し実行する。
【0027】
制御部100は、検知部116により、給電コイルユニット11が輪留めCに当接しているか否かを判断する(ステップS101)。
【0028】
給電コイルユニット11が輪留めCに当接していないと判断された場合(S101:NO)、制御部100は、所定の待機時間の経過後に処理をステップS101へ戻す。
【0029】
給電コイルユニット11が輪留めCに当接していると判断された場合(S101:YES)、制御部100は、通信回路17により、車両の受電制御装置との通信接続を開始し(ステップS102)、通信が可能か否かを判断する(ステップS103)。制御部100はS103において、認証情報を用いて通信相手が正しいか否かを照合するとよい。
【0030】
通信が可能であると判断された場合(S103:YES)、制御部100は、給電コイル110からの給電を開始させる(ステップS104)。以後、制御部100は、検知部116によって、給電コイルユニット11が輪留めCに当接しており、且つ、給電対象の車両のバッテリへの給電が必要な状態であるか否かを判断する(ステップS105)。ステップS105にて、当接しており且つ給電が必要な状態であると判断された場合(S105:YES)、制御部100は給電を継続して処理をS105へ戻す。
【0031】
給電コイルユニット11が輪留めCから離れたか、又は、給電が必要な状態でないと判断された場合(S105:NO)、制御部100は、給電コイル110への電源供給を停止して給電を終了し(ステップS106)、通信接続を切断し(ステップS107)、処理を終了する。以後、制御部100は処理を再度ステップS101へ戻して再び新たに車両Vが駐車エリアAに進入してくるまで待機する。
【0032】
ステップS105において、制御部100は、給電コイルユニット11が輪留めCに当接しているが、給電が必要な状態な状態でないと判断された場合、給電は停止しするが(S106)、通信接続を維持して給電を再開できる状態としておいてもよい。
【0033】
通信が可能でないと判断された場合(S103:NO)、制御部100は、通信を停止し(ステップS108)、駐車エリアAに駐車した車両は、ワイヤレス充電の対象ではないと判断し(ステップS109)、処理を終了する。ステップS103において通信が可能でないと判断された場合、その車両が対応の駐車エリアから移動するまでは処理を再開しなくてよい。
【0034】
このようにして、本実施形態の電力供給装置1は、給電コイルユニット11の機構と、検知部116が設けられている構成により、車両が停車したことを検知して自動的に給電を開始する制御が可能である。
【0035】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0036】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項が記載されている。特許請求の範囲では、多項従属請求項に従属する多項従属請求項は記載されていないが、多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 電力供給装置
10 枠体
11 給電コイルユニット
110 給電コイル
111 凹部
112 テーパ面
14 接続体
15 電源装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7