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特開2024-148017物体位置検出装置及び位置補正情報生成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148017
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】物体位置検出装置及び位置補正情報生成装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/70 20170101AFI20241009BHJP
【FI】
G06T7/70 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060875
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 宣嗣
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA06
5L096BA05
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA16
5L096FA62
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】カメラと対象物との相対位置関係が変化しても、対象物の特定の基準点の位置を検出することが可能な物体位置検出装置を提供する。
【解決手段】位置検出部が、第1面の上に載置された対象物をカメラで撮像して得られた対象物の画像を解析し、対象物の画像の位置を検出する。位置補正情報記憶部が、カメラの画界内における対象物の画像の位置を、対象物の基準点の位置に補正する位置補正情報を記憶する。位置補正部が、位置検出部で検出された対象物の画像の位置と、位置補正情報記憶部に記憶されている位置補正情報とに基づいて、位置検出部で検出された対象物の画像の位置を補正して基準点の位置を求める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面の上に載置された対象物をカメラで撮像して得られた前記対象物の画像を解析し、前記対象物の画像の位置を検出する位置検出部と、
カメラの画界内における前記対象物の画像の位置を、前記対象物の基準点の位置に補正する位置補正情報を記憶する位置補正情報記憶部と、
前記位置検出部で検出された前記対象物の画像の位置と、前記位置補正情報記憶部に記憶されている前記位置補正情報とに基づいて、前記位置検出部で検出された前記対象物の画像の位置を補正して前記基準点の位置を求める位置補正部と
を備えた物体位置検出装置。
【請求項2】
補正機能の有効無効を記憶する有効無効フラグと、
前記対象物の位置情報を出力する出力部と
をさらに備え、
前記出力部は、
前記有効無効フラグが有効に設定されている場合、前記位置補正部により補正された前記対象物の前記基準点の位置情報を出力し、
前記有効無効フラグが無効に設定されている場合、前記位置検出部で検出された前記対象物の画像の位置情報を出力する請求項1に記載の物体位置検出装置。
【請求項3】
第1面の上に載置される対象物の前記第1面における複数の位置のそれぞれについて、前記対象物の三次元形状を定義する形状定義情報と、前記対象物を撮像するカメラの内部パラメータとを用いてレンダリングを行い、前記第1面における複数の位置のそれぞれについて、レンダリングによって模擬画像を生成するレンダリング部と、
前記レンダリング部によって生成された前記模擬画像の、画像平面内における位置情報を求める画像位置情報算出部と、
前記対象物の前記第1面における複数の位置のそれぞれについて、前記形状定義情報に基づいて、前記対象物の基準点の、前記画像平面内における位置情報を求める基準点位置情報算出部と、
前記画像位置情報算出部で求められた前記模擬画像の位置情報と、前記基準点位置情報算出部で求められた前記基準点の位置情報とを、相互に関連付けて出力する位置補正情報算出部と
を備えた位置補正情報生成装置。
【請求項4】
前記対象物の三次元形状の設計データが入力される入力部を、さらに備え、
前記レンダリング部は、前記入力部に入力された設計データを前記形状定義情報として用いてレンダリングを行う請求項3に記載の位置補正情報生成装置。
【請求項5】
前記対象物のプリミティブ形状が入力される入力部を、さらに備え、
前記レンダリング部は、前記入力部に入力された前記プリミティブ形状を前記形状定義情報として用いてレンダリングを行う請求項3に記載の位置補正情報生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体位置検出装置及び位置補正情報生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアなどの上面に置かれた対象物をピッキングロボットでピッキングする際に、対象物の位置を検出する必要がある。下記の特許文献1に、物体検出装置が開示されている。この物体検出装置は、対象物を所定の方向から見たときの対象物の外観の特徴を表すテンプレートを記憶している。カメラと対象物とが所定の位置関係を満たす場合に、対象物の画像とテンプレートとを照合することで、対象物の位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6978454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された物体検出装置では、カメラと対象物とが所定の位置関係であるときに、対象物を検知することができる。ところが、コンベアなどによって搬送される対象物の位置を検知する場合には、カメラと対象物との位置関係が変化する。対象物が三次元形状を有する場合、カメラと対象物との位置関係が変化すると、対象物の見え方も変化してしまう。対象物の見え方が変化すると、画像とテンプレートとがマッチングしなくなる。
【0005】
本発明の目的は、カメラと対象物との相対位置関係が変化しても、対象物の特定の基準点の位置を検出することが可能な物体位置検出装置を提供することである。本発明の他の目的は、この物体位置検出装置で利用される位置補正情報を生成する位置補正情報生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によると、
第1面の上に載置された対象物をカメラで撮像して得られた前記対象物の画像を解析し、前記対象物の画像の位置を検出する位置検出部と、
カメラの画界内における前記対象物の画像の位置を、前記対象物の基準点の位置に補正する位置補正情報を記憶する位置補正情報記憶部と、
前記位置検出部で検出された前記対象物の画像の位置と、前記位置補正情報記憶部に記憶されている前記位置補正情報とに基づいて、前記位置検出部で検出された前記対象物の画像の位置を補正して前記基準点の位置を求める位置補正部と
を備えた物体位置検出装置が提供される。
【0007】
本発明の他の観点によると、
第1面の上に載置される対象物の前記第1面における複数の位置のそれぞれについて、前記対象物の三次元形状を定義する形状定義情報と、前記対象物を撮像するカメラの内部パラメータとを用いてレンダリングを行い、前記第1面における複数の位置のそれぞれについて、レンダリングによって模擬画像を生成するレンダリング部と、
前記レンダリング部によって生成された前記模擬画像の、画像平面内における位置情報を求める画像位置情報算出部と、
前記対象物の前記第1面における複数の位置のそれぞれについて、前記形状定義情報に基づいて、前記対象物の基準点の、前記画像平面内における位置情報を求める基準点位置情報算出部と、
前記画像位置情報算出部で求められた前記模擬画像の位置情報と、前記基準点位置情報算出部で求められた前記基準点の位置情報とを、相互に関連付けて出力する位置補正情報算出部と
を備えた位置補正情報生成装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
位置検出部で検出された対象物の画像の位置と、位置補正情報記憶部に記憶されている位置補正情報とに基づいて、対象物の画像の位置を補正して基準点の位置を求めるため、カメラと対象物との相対位置が変化しても、対象物の基準点の位置を求めることができる。
【0009】
対象物の三次元形状からレンダリングを行って模擬画像を生成し、模擬画像を用いて対象物の画像の位置情報と基準点の位置情報とを関連付けることにより、対象物を実際に撮像した画像を用いる場合と比べて、容易に位置補正情報を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施例による物体位置検出装置が搭載されたピッキング装置の概略図である。
図2図2は、画界内の対象物の画像の一例を示す図である。
図3図3A図3Cは、それぞれ対象物が図2に示した領域A1、A2、A3に位置する場合の対象物及び画像平面内の画像を模式的に示す図である。
図4図4は、対象物の中心点の位置xと、変位量Δxとの関係の一例を示すグラフである。
図5図5は、物体位置検出装置のブロック図である。
図6図6は、物体位置検出装置が実行する手順を示すフローチャートである。
図7図7は、位置補正情報生成装置のブロック図である。
図8図8は、位置補正情報生成装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図9図9は、他の実施例による物体位置検出装置のブロック図である。
図10図10は、図9に示した実施例による物体位置検出装置が実行する手順を示すフローチャートである。
図11図11A及び図11Bは、対象物の三次元形状とプリミティブ形状とを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図8を参照して、一実施例による物体位置検出装置及び位置補正情報生成装置について説明する。
【0012】
図1は、本実施例による物体位置検出装置が搭載されたピッキング装置の概略図である。ベルトコンベアの上面である第1面50に、複数の対象物70が載置されて、一方向に搬送される。対象物70の搬送方向をx軸の正の向きとし、鉛直上方をz軸の正の向きとするxyz直交座標系を定義する。第1面50の幅方向がy方向に相当する。
【0013】
複数の対象物70のそれぞれは、例えばL型アングルである。対象物70は、直角に折り曲げられた箇所を境として一方の側の第1部分70Aと、他方の側の第2部分70Bとで構成される。一例として、折り曲げ箇所から第1部分70Aの先端までの長さが、第2部分70Bの先端までの長さより長い。対象物70の各々は、第2部分70Bを第1面50に接触させ、第1部分70Aが鉛直上方に延びる姿勢で第1面50に載置されている。また、折り曲げ箇所から第2部分70Bの先端に向かう方向が、x軸の正の向き(搬送方向)に一致する姿勢で、対象物70が第1面50に載置されている。
【0014】
第1面50の上方にカメラ40が配置されている。カメラ40は、第1面50のうち画界41内の対象物70の画像を取得する。カメラ40で取得された画像が物体位置検出装置20に入力される。さらに、物体位置検出装置20は、位置補正情報生成装置30が生成した位置補正情報を取得し、記憶している。位置補正情報については、後に図2図4を参照して説明する。入力装置45から、種々のコマンド、種々のデータが物体位置検出装置20に入力される。
【0015】
物体位置検出装置20は、カメラ40で取得された画像を解析して対象物70の画像の位置、例えば対象物70の画像のバウンディングボックスの中心位置と、位置補正情報とに基づいて、対象物70の基準点の位置を算出する。対象物70の基準点の位置情報がピッキングロボット60に送られる。ピッキングロボット60は、対象物70の基準点の位置情報に基づいて、ロボットアームの先端を対象物70のピッキング箇所、例えば対象物70の第1部分70Aの先端に移動させ、対象物70をピッキングする。
【0016】
図2は、画界41内の対象物70の画像の一例を示す図である。画界41内に3つの対象物70が写り込んでいる。3つの対象物70の画界41内の位置によって、画像の形状が異なる。対象物70が画界41の中心点Cよりもx軸の負の側の領域A1に配置されている場合、対象物70の第1部分70A及び第2部分70Bの内側の面が見える。対象物70が画界41の中心点Cよりもx軸の正の側の領域A2、A3に配置されている場合、対象物70の第1部分70Aの外側の面が見える。対象物70が中心点Cに近い領域A2に配置されている場合は、第2部分70Bの内側の面の一部分が見える。対象物70が中心点Cから遠い領域A3に配置されている場合は、第2部分70Bは第1部分70Aに隠れて見えない。
【0017】
このように、対象物70の位置によって見え方が異なるため、対象物70の画像のバウンディングボックス75の大きさも、対象物70の位置によって異なる。また、バウンディングボックス75の位置のみからピッキングすべき第1部分70Aの先端の位置を検出することはできない。
【0018】
図3A図3Cは、それぞれ対象物70が図2に示した領域A1、A2、A3に位置する場合の対象物70及び画像平面42内の画像71を模式的に示す図である。対象物70及び画像71は、xz面における断面図で示している。なお、画像71は二次元図形であるが、画像平面42の法線方向に一定の厚さを持つものとして細長い長方形で表している。また、画像平面42及び画像71は、対象物70が第1面50上に投影される像と同一の縮尺で表しているが、実際には、カメラ40(図1)の倍率に応じて縮小される。
【0019】
対象物70の第1部分70Aの先端が、ピックアップすべき目標点Ptである。対象物70に対して三次元基準点Pr0が定義されている。例えば、対象物70を包含する最小の直方体の中心点を三次元基準点Pr0と定義する。三次元基準点Pr0を第1面50に垂直投影した像点に対応する画像平面42上の点を、対象物70の基準点Prということとする。カメラ座標の原点から目標点Ptに向かう直線(図3A図3Cにおいて二点鎖線で表されている。)と第1面50との交点に対応する画像平面上の点をPtiと標記する。
【0020】
図3Aに示した例では、点Ptiから第2部分70Bの先端に対応する画像平面42上の点まで、対象物70の画像71がx方向に延びる。この画像71の中心点をPcと標記する。例えば、画像71の中心点Pcとして、画像71のバウンディングボックス75(図2)の中心点を採用することができる。対象物70の基準点Prは、画像71の中心点Pcよりx軸の正の側に位置することになる。
【0021】
図3Bに示した例では、画像平面上の点Ptiが、画像71の内部に位置する。画像71の寸法は、対象物70の第2部分70Bの画像の寸法に等しい。このとき、画像71の中心点Pcは、対象物70の基準点Prに一致する。
【0022】
図3Cに示した例では、対象物70の画像平面42上の折れ曲がり部に対応する点からx方向に、第2部分70Bの先端の像点を超えて、点Ptiまで画像71が延びる。このとき、対象物70の基準点Prは、画像71の中心点Pcよりx軸の負の側に位置することになる。
【0023】
図3A図3Cに示した画像71の中心点Pcに対する対象物70の基準点Prのx方向への変位量をΔxと標記する。図3Aに示した例では変位量Δxが正であり、図3Bに示した例では変位量Δxがゼロであり、図3Cに示した例では変位量Δxが負である。このように、画界41内における対象物70の位置によって、画像71の中心点Pcと、対象物70の基準点Prとの位置関係が変動する。
【0024】
図4は、対象物70の中心点Pcの位置xと、変位量Δxとの関係の一例を示すグラフである。画界41の中心点Cの位置を、x軸の原点としている。図3Aの状態から対象物70がx軸の正の向きに移動すると、画像71の中心点Pcもx軸の正の向きに移動するとともに、変位量Δxが徐々に小さくなる。
【0025】
対象物70がx軸の正の向きに移動し、対象物70の折れ曲がり部が画界41の中心点Cに一致すると、変位量Δxがゼロになる。対象物70がさらにx軸の正の向きに移動し、図3Bの状態が維持される期間は、変位量Δxがゼロである。
【0026】
その後、対象物70とカメラ座標系との位置関係が図3Cの状態になると、変位量Δxが負になる。対象物70がx軸の正の向きに移動するにしたがって、画像71の中心点Pcの位置もx軸の正の向きに移動するとともに、変位量Δxが負の向きに大きくなる。位置補正情報生成装置30(図1)は、画像71の中心点Pcの位置と対象物70の基準点Prの位置Prとの位置関係を表す情報、例えば画像71の中心点Pcの複数の位置のそれぞれにおける変位量Δxを求める。画像71の中心点Pcの位置と対象物70の基準点Prの位置Prとの位置関係を求める方法については、後に図7及び図8を参照して説明する。
【0027】
次に、図5及び図6を参照して物体位置検出装置20の機能について説明する。図5は、物体位置検出装置20のブロック図である。図6は、物体位置検出装置20が実行する手順を示すフローチャートである。物体位置検出装置20は、位置検出部21、位置補正部22、出力部23、及び位置補正情報記憶部25を含む。位置補正情報生成装置30から入力された位置補正情報が、位置補正情報記憶部25に記憶されている。
【0028】
位置検出部21は、カメラ40から対象物70の画像71を取得する(ステップSA1)。さらに、位置検出部21は、画像71を解析し、画像平面42内における対象物70の画像71(図3A図3C)の位置を検出する(ステップSA2)。具体的には、画像71のバウンディングボックス75(図2)の中心点Pc(図3A図3C)の位置を検出する。
【0029】
位置補正部22は、画像71の中心点Pcの位置、及び位置補正情報記憶部25に記憶されている位置補正情報に基づいて、対象物70の基準点Prの、画像平面42内における位置を算出する(ステップSA3)。出力部23は、対象物70の基準点Prの画像平面42内における位置をピッキングロボット60に出力する(ステップSA4)。ピッキングロボット60は、対象物70の基準点Prの位置に基づいて、対象物70をピッキングする。
【0030】
次に、図7及び図8を参照して、位置補正情報生成装置30(図1)の機能について説明する。
【0031】
図7は、位置補正情報生成装置30のブロック図である。位置補正情報生成装置30は、入力部31、レンダリング部32、画像位置情報算出部33、基準点位置情報算出部34、位置補正情報算出部35、形状定義情報記憶部36、カメラに対する第1面の相対位置情報記憶部37、カメラ内部パラメータ記憶部38、及びレンズ歪パラメータ記憶部39を含む。
【0032】
入力部31は、入力装置45に入力された種々のコマンド及びデータを取得する。種々のデータには、対象物70の形状を定義する形状定義情報、カメラに対する第1面の相対位置情報、カメラ内部パラメータ、及びレンズ歪パラメータが含まれる。形状定義情報は形状定義情報記憶部36に記憶され、カメラに対する第1面の相対位置情報は、カメラに対する第1面の相対位置情報記憶部37に記憶され、カメラ内部パラメータはカメラ内部パラメータ記憶部38に記憶され、レンズ歪パラメータはレンズ歪パラメータ記憶部39に記憶される。カメラに対する第1面の相対位置情報は、カメラ座標系における第1面50の位置及び姿勢(例えば、法線の向き)を含む。形状定義情報は、例えば対象物70の形状を定義する設計データ(CADデータ等)である。
【0033】
レンダリング部32は、画界41(図2)内における対象物70の位置及び姿勢が与えられると、形状定義情報記憶部36、カメラに対する第1面の相対位置情報記憶部37、カメラ内部パラメータ記憶部38、レンズ歪パラメータ記憶部39に記憶されている情報を用いてレンダリングを行うことにより、画像平面42(図3A図3C)における対象物70の模擬画像を生成する。
【0034】
画像位置情報算出部33は、レンダリング部32で生成された模擬画像の位置、例えば模擬画像のバウンディングボックスの中心点Pcの、画像平面42(図3A図3C)内における位置を算出する。
【0035】
基準点位置情報算出部34は、対象物70の形状定義情報から対象物70の三次元形状を求め、三次元形状から、カメラ座標系における三次元基準点Pr0(図3A図3C)の位置を計算する。さらに、三次元基準点Pr0を第1面50に垂直投影した像点の、画像平面42における基準点Pr(図3A図3C)の位置を算出する。
【0036】
位置補正情報算出部35は、画像位置情報算出部33で算出された模擬画像の位置(中心点Pcの位置)と、基準点位置情報算出部34で算出された基準点Prの位置とを関連付けて、位置補正情報として出力する。位置補正情報は、例えば、物体位置検出装置20(図1)に出力され、物体位置検出装置20の位置補正情報記憶部25(図5)に記憶される。
【0037】
図8は、位置補正情報生成装置30が実行する処理の手順を示すフローチャートである。予め、カメラに対する第1面の相対位置情報記憶部37に相対位置情報が記憶されており、カメラ内部パラメータ記憶部38にカメラ内部パラメータが記憶されており、レンズ歪パラメータ記憶部39にレンズ歪パラメータが記憶されている。
【0038】
入力部31が入力装置45から入力された対象物の形状定義情報を取得し、形状定義情報記憶部36に記憶させる(ステップSB1)。次に、対象物70の位置を画界41内に設定する(ステップSB2)。レンダリング部32が、ステップSB2で設定された対象物70の位置に基づいてレンダリングを行うことにより、対象物70の模擬画像を生成する(ステップSB3)。画像位置情報算出部33が、画像平面42(図3A図3C)内における模擬画像の位置を算出する(ステップSB4)。例えば、模擬画像のバウンディングボックスの中心点Pc(図3A図3C)の位置を算出する。
【0039】
基準点位置情報算出部34が、ステップSB2で設定された対象物70の位置と、形状定義情報とに基づいて、対象物70の基準点Pr(図3A図3C)の、画像平面42内における位置を算出する(ステップSB5)。位置補正情報算出部35が、模擬画像の位置情報(中心点Pcの位置情報)と、対象物70の基準点Prの位置情報とを関連付けて出力する(ステップSB6)。
【0040】
必要な数の位置補正情報が得られるまで、対象物70の位置を更新して(ステップSB8)、ステップSB3からステップSB6までの手順を繰り返す(ステップSB7)。
【0041】
次に、本実施例の優れた効果について説明する。
対象物70の画像の位置(バウンディングボックスの中心点Pcの位置)と、目標点Pt(図3A図3C)の位置との関係は一定ではない。このため、対象物の画像の位置に基づいてピッキングロボット60(図1)を動作させると、対象物70の目標点Ptを正確に把持できない場合が生じ得る。
【0042】
これに対して本実施例では、画界41(図2)における対象物70の位置が一定ではない場合でも、画像71の位置から対象物70の基準点Prの位置を求めることができる。ピッキングロボット60は、対象物70の基準点Prの位置に基づいて目標点Pt(図3A図3B)の位置を特定し、目標点Ptの位置にロボットアームの先端を移動させて、対象物70を再現性良くピッキングすることができる。
【0043】
また、本実施例では、予め位置補正情報を生成しているため、対象物70の画像の形状や対象物70の三次元形状を求めることなく、対象物70の基準点Pr(図3A図3C)の位置を求めることができる。
【0044】
さらに、本実施例では、位置補正情報生成装置30が、レンダリングにより生成された模擬画像に基づいて位置補正情報を生成するため、位置補正情報生成のために対象物70の実際の画像を取得する必要が無い。このため、短時間に位置補正情報を生成することができる。
【0045】
次に、本実施例の変形例について説明する。
本実施例では、対象物70の画像71のバウンディングボックスの中心点Pcの位置に基づいて基準点Prの位置を求めているが、対象物70の画像71の他の特徴的な点の位置に基づいて基準点Prの位置を求めてもよい。例えば、バウンディングボックスの1つの頂点の位置に基づいて、基準点Prの位置を求めてもよい。
【0046】
本実施例では、対象物70がL型アングルの例について説明したが、対象物70が他の三次元形状を持つ場合であっても、本実施例を適用することが可能である。
【0047】
次に、図9及び図10を参照して、他の実施例による物体位置検出装置について説明する。以下、図1図8を参照して説明した実施例による物体位置検出装置と共通の構成については説明を省略する。
【0048】
図9は、本実施例による物体位置検出装置20のブロック図である。本実施例による物体位置検出装置20は、図5に示した物体位置検出装置20の複数のブロックに加えて、有効無効フラグ26を含む。入力装置45から有効無効フラグ26の内容を書き換えることができる。有効無効フラグ26は、位置補正機能を有効にするか無効にするかを指定するためのフラグである。
【0049】
図10は、本実施例による物体位置検出装置20が実行する手順を示すフローチャートである。ステップSA1、SA2は、図6に示した実施例のステップSA1、SA2と同一である。本実施例では、有効無効フラグに「有効」が設定されている場合に、ステップSA3、SA4を実行する(ステップSA5)。ステップSA3、SA4は、図6に示した実施例のステップSA3、SA4と同一である。すなわち、有効無効フラグに「有効」が設定されている場合に、物体位置検出装置20は、対象物70の基準点Pr(図3A図3C)の位置情報を出力する(ステップSA4)。
【0050】
有効無効フラグに「無効」が設定されている場合には、対象物70の画像71の位置情報、例えばバウンディングボックスの中心点Pcの位置情報を出力する(ステップSA5、SA6)。
【0051】
次に、本実施例の優れた効果について説明する。
有効無効フラグ26に「有効」を設定することにより、図1図8を参照して説明した実施例と同様に、対象物70を再現性良くピッキングすることができる。
【0052】
対象物70の三次元形状によっては、対象物70の画像の中心点Pcと、対象物70の基準点Prとのずれ量が小さい場合がある。このような場合には、有効無効フラグ26に「無効」を設定しておいても、ピッキングの再現性の低下が抑制される。有効無効フラグ26に「無効」を設定しておくと、ステップSA3、SA4(図10)の手順を実行する必要が無いため、物体位置検出装置20の処理時間が短縮され、ピッキング処理のスループットの向上を図ることが可能になる。
【0053】
次に、図11A及び図11Bを参照して、さらに他の実施例による位置補正情報生成装置について説明する。以下、図1図8を参照して説明した実施例による位置補正情報生成装置と共通の構成については説明を省略する。図1図8を参照して説明した実施例では、入力装置45から入力部31(図7)に、対象物70の三次元形状を定義する形状定義情報として、CADデータ等の設計データが入力される。ところが、対象物70によっては、CADデータが存在しない場合もある。本実施例では、形状定義情報として、対象物70の三次元形状を、プリミティブ形状で代替する。
【0054】
図11A及び図11Bは、対象物70の三次元形状とプリミティブ形状80とを示す斜視図である。プリミティブ形状80にハッチングを付している。図11Aは、対象物70がL型アングルである例を示しており、図11Bは、対象物70が、開口部が長方形の四角筒のうち1つの側壁を取り除いた形状を有する例を示している。
【0055】
図11Aに示した例では、対象物70を包含する最小の三角柱をプリミティブ形状80とする。図11Bに示した例では、対象物70を包含する最小の四角柱をプリミティブ形状80とする。いずれの場合でも、プリミティブ形状80の画像のバウンディングボックスの中心点と、対象物70の画像のバウンディングボックスの中心点とが一致する。言い換えると、プリミティブ形状80の画像のバウンディングボックスの中心点と、対象物70の画像のバウンディングボックスの中心点とが一致する条件を満たすように、プリミティブ形状を定義する。
【0056】
次に、本実施例の優れた効果について説明する。
本実施例では、対象物70の三次元形状を正確に再現することなく、プリミティブ形状を表すデータを作成することにより、形状定義情報を作成することができる。このため、形状定義情報を作成する手間を軽減させることができる。
【0057】
上述の各実施例は例示であり、異なる実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。複数の実施例の同様の構成による同様の作用効果については実施例ごとには逐次言及しない。さらに、本発明は上述の実施例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0058】
20 物体位置検出装置
21 位置検出部
22 位置補正部
23 出力部
25 位置補正情報記憶部
26 有効無効フラグ
30 位置補正情報生成装置
31 入力部
32 レンダリング部
33 画像位置情報算出部
34 基準点位置情報算出部
35 位置補正情報算出部
36 形状定義情報記憶部
37 カメラに対する第1面の相対位置情報記憶部
38 カメラ内部パラメータ記憶部
39 レンズ歪パラメータ記憶部
40 カメラ
41 画界
42 画像平面
45 入力装置
50 第1面
60 ピッキングロボット
70 対象物
70A 第1部分
70B 第2部分
71 対象物の画像
75 バウンディングボックス
Pc 多少物の画像の中心点
Pr 対象物の基準点
Pr0 対象物の三次元基準点
Pt 目標点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11