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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148021
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】移動体用情報表示システム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/50 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060883
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】古藤 澄久
(72)【発明者】
【氏名】上野 一彦
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 謙一
(72)【発明者】
【氏名】宋 典其
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA36
3K339CA30
3K339EA01
3K339EA06
3K339EA10
3K339FA20
3K339GB01
3K339JA21
3K339KA07
3K339MA01
3K339MC27
3K339MC36
3K339MC53
3K339MC90
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より的確に認識状況を表現することが可能な技術を提供する。
【解決手段】移動体の周辺の対象物を検出するセンサと、画像を表示可能なコミュニケーションランプ12と、センサ及びコミュニケーションランプ12と接続されており、センサの検出結果に基づいてコミュニケーションランプ12の動作を制御するコントローラと、を含み、コミュニケーションランプ12は、画像を表示可能な領域である第1領域12と第2領域12cを有しており、コントローラは、センサにより検出された対象物が少なくとも1の横断者41、42である場合に、当該横断者41、42と車両の相対的な位置関係に基づいて定まる第1領域12内の位置に第1画像31を表示させるとともに第2領域12c内に当該横断者41、42に対して車両の状態を伝達する第2画像32を表示させるようにコミュニケーションランプ12を制御する、移動体用情報表示システム。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の周辺の対象物を検出するセンサと、
前記移動体の外部に設置されており、画像を表示可能なコミュニケーションランプと、
前記センサ及び前記コミュニケーションランプと接続されており、前記センサの検出結果に基づいて前記コミュニケーションランプの動作を制御するコントローラと、
を含み、
前記コミュニケーションランプは、前記画像を表示可能な領域である第1領域と第2領域を有しており、
前記コントローラは、前記センサにより検出された前記対象物が少なくとも1の横断者である場合に、当該横断者と前記車両の相対的な位置関係に基づいて定まる前記第1領域内の位置に第1画像を表示させるとともに前記第2領域内に当該横断者に対して前記車両の状態を伝達する第2画像を表示させるように前記コミュニケーションランプを制御する、
移動体用情報表示システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記横断者が複数存在する場合に、当該複数の横断者の各々に対応付けた前記第1画像を表示させるように前記コミュニケーションランプを制御する、
請求項1に記載の移動体用情報表示システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記横断者と前記車両の相対的な位置関係の変化に追従して前記第1領域内での前記第1画像の位置が移動するように前記コミュニケーションランプを制御する、
請求項1に記載の移動体用情報表示システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記横断者が予め定めた一定範囲内に位置する場合に前記第1領域内に前記横断者を認識する範囲を模式的に示す第3画像を表示させるように前記コミュニケーションランプを制御する、
請求項1に記載の移動体用情報表示システム。
【請求項5】
前記第1画像は、棒状画像又は人間を模した画像である、
請求項1に記載の移動体用情報表示システム。
【請求項6】
前記第2画像は、少なくとも前記移動体の停止を示す文字を含む画像である、
請求項1に記載の移動体用情報表示システム。
【請求項7】
前記第2画像は、前記移動体の減速及び/又は発進予定を示す文字を含む画像である、
請求項6に記載の移動体用情報表示システム。
【請求項8】
前記第3画像は、前記横断者の移動方向に沿った方向に延びる線状画像又は前記移動体の前方の所定範囲を示す矩形状画像である、
請求項1に記載の移動体用情報表示システム。
【請求項9】
前記コミュニケーションランプは、前記移動体の前部に設置される、
請求項1に記載の移動体用情報表示システム。
【請求項10】
前記センサは、前記移動体の周辺の空間を撮影して当該空間内の対象物を検出するカメラである、
請求項1に記載の移動体用情報表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体用情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の周囲に存在する歩行者等との間でコミュニケーションを図るため、車両側での歩行者等の認識状況を表示するシステムが知られている。例えば、国際公開第2019/156106号(特許文献1)には、第1および第2コミュニケーションランプをそれぞれ複数の発光セグメントで構成し、各発光セグメントの点滅をランプECUによって切り替える際、発光セグメントの明るさ変化を車両の走行状態に応じて制御する車両用コミュニケーションシステムが記載されている。このシステムでは、歩行者が道路を横断する確率に応じて発光セグメントの光出力が個別または一斉に切り替えられる。また、この従来例以外にも、例えば人間の目の動きを模した動作が可能な表示部を車両前部に設けてこの目を模した部分を歩行者に追随するように作動させるものや、人間の顔の表情(主に口の動き)を模した表示部を車両前部に設けてこの表情が歩行者に応じて変化するように作動させるものも提案されている。
【0003】
しかしながら、こうした発光の明るさ変化、目の動きや表情の変化といったものは、それらを受け取る側の歩行者によって認識がまちまちである。特に、地域、環境、教育、文化といったバックグラウンドの違いに影響を受けるため、共通の認識を与えにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/156106号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示に係る具体的態様は、より的確に認識状況を表現することが可能な技術を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る一態様の移動体用情報表示システムは、(a)移動体の周辺の対象物を検出するセンサと、(b)前記移動体の外部に設置されており、画像を表示可能なコミュニケーションランプと、(c)前記センサ及び前記コミュニケーションランプと接続されており、前記センサの検出結果に基づいて前記コミュニケーションランプの動作を制御するコントローラと、を含み、(d)前記コミュニケーションランプは、前記画像を表示可能な領域である第1領域と第2領域を有しており、(e)前記コントローラは、前記センサにより検出された前記対象物が少なくとも1の横断者である場合に、当該横断者と前記車両の相対的な位置関係に基づいて定まる前記第1領域内の位置に第1画像を表示させるとともに前記第2領域内に当該横断者に対して前記車両の状態を伝達する第2画像を表示させるように前記コミュニケーションランプを制御する、移動体用情報表示システムである。
【0007】
上記構成によれば、より的確に認識状況を表現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態の移動体用情報表示システムの構成を示す図である。
図2図2(A)、図2(B)は、それぞれコミュニケーションランプの構成例を模式的に示す図である。
図3図3は、コンピュータシステムの構成例を示す図である。
図4図4(A)、図4(B)は、車両の走行中におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。
図5図5(A)は、車両の減速中におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。図5(B)は、車両の減速中であって歩行者が検出されている場合におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。
図6図6(A)、図6(B)は、車両の停車中であって横断者が検出されている場合におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。
図7図7(A)、図7(B)は、車両の停車中であって横断者が検出されている場合におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。
図8図8(A)は、車両の停車中であって横断者が検出されている場合におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。図8(B)は、横断者が横断完了し、車両が発車予定の状態となった場合におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。
図9図9(A)は、車両の減速中であって横断者が検出されている場合におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。図9(B)及び図9(C)は、車両の停車中であって同方向へ移動する複数の横断者が検出されている場合におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。
図10図10(A)及び図10(B)は、車両の停車中であって同方向へ移動する複数の横断者が検出されている場合におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。
図11図11は、移動体用情報表示システムの動作手順を示すフローチャートである。
図12図12(A)、図12(B)は、車両の停車中であって横断者が検出されている場合におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、一実施形態の移動体用情報表示システムの構成を示す図である。同図に示す実施形態の移動体用情報表示システムは、移動体の一例としての車両に搭載されて当該車両の周囲に存在する横断者等に対して提供される情報を表示するためのものであり、カメラ10、コントローラ11、コミュニケーションランプ12を含んで構成されている。コントローラ11は、カメラ10、コミュニケーションランプ12のそれぞれと接続されている。
【0010】
カメラ10は、例えば車両のフロントガラス内側上部に設置されており、車両の前方やその周辺の空間を撮影し、それによって得られた画像に基づいて画像処理を行うことにより対象物(人間を含む)の属性(例えば、人間、車両、車線等)、それらの位置などを検出する。なお、この画像処理の機能はコントローラ11側に設けられていてもよい。その場合にはカメラ10は、コントローラ11に対して画像データを提供する。
【0011】
コントローラ11は、移動体用情報表示システムの全体動作を制御するためのものであり、具体的にはカメラ10による検出結果に応じてコミュニケーションランプ12の動作を制御する。コントローラ11は、例えば後述の図3に示すようなコンピュータシステムを用いて構成することができる。コントローラ11の機能に着目して示すと、コントローラ11は、カメラ10の検出結果に基づいてコミュニケーションランプ12の描画パターンを設定する描画パターン設定部20と、この描画パターン設定部20によって設定された描画パターンに応じてコミュニケーションランプ12を動作させるための制御信号を生成する制御信号生成部21を備える。
【0012】
コミュニケーションランプ12は、車両前部に設けられており、コントローラ11の制御信号生成部21から供給される制御信号に基づいて動作し、横断者に対して提供される情報を表示する。このコミュニケーションランプ12としては、例えば各々個別に点消灯を制御可能な複数の発光素子を配列して構成されたランプを用いることができる。
【0013】
図2(A)、図2(B)は、それぞれコミュニケーションランプの構成例を模式的に示す図である。図2(A)に例示するコミュニケーションランプ12は、車両100の外側の前部に設けられており、車幅方向に並んだ3つの表示領域12a、12b、12cを有している。表示領域(第1領域)12a、12bは、車両前部の左側及び右側にそれぞれ配置されており、横断者が検出されている場合にその位置や移動方向などを表すためのオブジェクト画像(第1画像)31と、対象物の認識範囲を示す点線状の画像である認識範囲画像33(第3画像)を表示可能に構成されている。表示領域(第2領域)12cは、車両前部の略中央において表示領域12a、12bの間に配置されており、横断者が検出されている場合にそれら横断者に対する車両側からの伝達情報を示すメッセージ画像(第2画像)32を表示可能に構成されている。
【0014】
図2(B)に例示するコミュニケーションランプ12は、車両100の前部に設けられており、車高方向に並んだ2つの表示領域12d、12eを有している。表示領域12dは、車両前部の相対的に下側に配置されており、横断者が検出されている場合にその位置や移動方向などを表すためのオブジェクト画像31と、横断者の認識範囲を示す認識範囲画像33(ここでは矩形状画像)を表示可能に構成されている。表示領域12eは、車両前部の相対的に上側に配置されており、横断者が検出されている場合にそれら横断者に対する車両側からの伝達情報を示すメッセージ画像32を表示可能に構成されている。
【0015】
図2(A)に例示したオブジェクト画像31は比較的単純な棒状の画像であり、図2(B)に例示したオブジェクト画像31は人間の全身を模式的に示した画像である。これらのように、オブジェクト画像31の形状には特段に限定がない。また、図2(A)及び図2(B)に例示したメッセージ画像32は、日本語による文字(一例としての「お先にどうぞ」)を含む画像であるがこれに限定されず、移動体用情報表示システムが用いられる国や地域に応じた言語を設定することができる。なお、比較的低年齢の人間にも理解しやすい平易な言葉、表現を用いることがより好ましい。また、認識範囲画像33の形状にも特段の限定はない。以下の説明では、図2(A)に例示したコミュニケーションランプ12を用いて本実施形態の移動体用情報表示システムの構成や動作を説明する。
【0016】
図3は、コンピュータシステムの構成例を示す図である。上記したコントローラ11は、例えば図示のようなコンピュータシステムを用いて構成することが可能である。具体的には、図3に示すコンピュータシステムは、CPU(中央演算ユニット)201、ROM(読み出し専用メモリ)202、RAM(一時記憶メモリ)203、記憶デバイス204、通信デバイス205、入出力部206を含んで構成されている。これらCPU201等の相互間はバスにより相互に通信可能に接続されている。CPU201は、記憶デバイス204に格納されたプログラム207を読み出してこれを実行することにより、コントローラ11の機能を実現するための情報処理を行う。ROM202は、CPU201の動作に必要な基本制御プログラムなどを格納する。RAM203は、CPU201の情報処理に必要なデータを一時記憶する。記憶デバイス204は、動作制御のためのプログラム207や種々のデータを記憶するための大容量記憶装置であり、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブなどで構成される。通信デバイス205は、外部の他装置との間でのデータ通信に係る処理を行う。入出力部206は、外部装置との接続を図るインターフェイスである。
【0017】
図4(A)は、車両の走行中におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。車両の走行中においては、コントローラ11は、表示領域12a、12bにおけるオブジェクト画像31の表示を行わず、表示領域12cにおけるメッセージ画像32の表示も行わないようにコミュニケーションランプ12を制御する。なお、図4(B)に例示するように、走行中においては各表示領域12a、12b、12cのいずれかにおいてシグネチャマーク34など任意の画像を表示してもよいし、あるいはDRL(昼間灯)を点灯してもよい。
【0018】
図5(A)は、車両の減速中におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。車両の走行中であって減速中においては、コントローラ11は、表示領域12a、12bにおけるオブジェクト画像31等の表示を行わず、表示領域12cには車両の状態が減速中であることを示す文字を含むメッセージ画像32(例えば、例示の「とまります」)が表示されるようにコミュニケーションランプ12を制御する。
【0019】
図5(B)は、車両の減速中であって横断者が検出されている場合におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。以下では、車両前方の右から左、左から右の各方向へ移動する横断者41、42が検出されている場合を例示する。この場合においては、コントローラ11は、表示領域12a、12bには認識範囲画像33が表示され、表示領域12cには車両が減速中であることを示す文字を含むメッセージ画像32(例えば、例示の「とまります」)が表示されるようにコミュニケーションランプ12を制御する。認識範囲画像33は、例えば例示するような点線状の画像であり、表示領域12a、12bに表示される。なお、検出されている横断者が一人(ないし一組)であれば、その存在位置に応じて表示領域12a、12bの何れか一方のみに認識範囲画像33を表示してもよい。また、認識範囲画像33は、少なくとも一人(ないし一組)の横断者が検出されていれば表示される。
【0020】
図6(A)、図6(B)、図7(A)、図7(B)及び図8(A)は、車両の停車中であって横断者が検出されている場合におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。この場合においては、コントローラ11は、各横断者41、42と車両との相対的な位置関係の変化に追従して各表示領域12a、12bにオブジェクト画像31が表示されるとともに認識範囲画像33も表示されるようにコミュニケーションランプ12を制御する。また、コントローラ11は、表示領域12cには車両が停車中(停止中)であることを示す文字を含むメッセージ画像32(例えば、例示の「おさきにどうぞ」)が表示されるようにコミュニケーションランプ12を制御する。
【0021】
図示の例では、各横断者41、42の位置を示す2つのオブジェクト画像31が各表示領域12a、12bに表示されており、各横断者41、42の相対的な位置関係と移動方向に応じて各オブジェクト画像31が順次移動するように表示が変化する。詳細には、各横断者41、42の位置が車両正面から比較的遠い場合には、図6(A)のように認識範囲画像33の両端かそれに近い位置に各オブジェクト画像31が表示される。そして、各横断者の位置が車両正面に近づくにつれて、図6(B)のように、横断者41に対応するオブジェクト画像31は図中右方向へ移動し、横断者42に対応するオブジェクト画像31は図中左方向へ移動する。さらに各横断者41、42の位置が車両正面に近づくと、図7(A)のように各オブジェクト画像31はそれぞれ右方向、左方向へ進み、タイミングによっては図示のように部分的に重複して表示される。その後、各横断者41、42の位置が車両正面から遠ざかると、図7(B)及び図8(A)のように、横断者41に対応するオブジェクト画像31は各表示領域12a、12bの図中右端に近づくように移動し、横断者42に対応するオブジェクト画像31は各表示領域12a、12bの図中左端に近づくように移動する。このとき、各横断者41、42に対応付けられたオブジェクト画像31の形状や色調などを互いに異なるものとしてもよい。なお、一人(ないし一組)の横断者のみが表示されている場合には各表示領域12a、12bに表示するオブジェクト画像31も1つとすればよい。なお、図中に細線で示した矢印は各オブジェクト画像31の移動方向を説明するためのものであり、各矢印自体はオブジェクト画像31には含まれない。
【0022】
図8(B)は、横断者が横断完了し、車両が発車予定(発進予定)の状態となった場合におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。なお、横断完了とは、車両前方の予め定めた一定範囲内に横断者が存在しなくなったことをいう。この場合においては、コントローラ11は、各表示領域12a、12bにオブジェクト画像31をオフ(非表示)にするとともに、表示領域12cには車両が発車することを示す文字を含むメッセージ画像32(例えば、例示の「すすみます」)が表示されるようにコミュニケーションランプ12を制御する。なお、その後車両が実際に発車した際には、コントローラ11は、上記した図4(A)又は図4(B)に示した状態に切り替わるようにコミュニケーションランプ12を制御する。
【0023】
図9(A)は、車両の減速中であって横断者が検出されている場合におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。以下では、車両前方にて車両側から見て同方向(例えば左から右の方向)へ横断する複数の横断者が検出される場合を例示する。まず、複数の横断者のうち少なくとも一人(ないし一組)の横断者43が検出されると、コントローラ11は、表示領域12a、12bには横断者の認識範囲を示す認識範囲画像33が表示され、表示領域12cには減速中であることを示すメッセージ画像32(例えば、例示の「とまります」)が表示されるようにコミュニケーションランプ12を制御する。認識範囲画像33は、例えば例示するような点線状の画像であり、表示領域12a、12bに表示される。
【0024】
図9(B)及び図9(C)、図10(A)及び図10(B)は、車両の停車中であって同方向へ移動する複数の横断者が検出されている場合におけるコミュニケーションランプの状態を説明するための図である。この場合においては、コントローラ11は、横断者43、一組の横断者44の各位置に応じて各表示領域12a、12bにオブジェクト画像31が表示されるとともに認識範囲画像33も表示されるようにコミュニケーションランプ12を制御する。また、コントローラ11は、表示領域12cには車両が停車中であることを示す文字を含むメッセージ画像32(例えば、例示する「おさきにどうぞ」)が表示されるようにコミュニケーションランプ12を制御する。
【0025】
図示の例では、各横断者43、44の位置を示す2つのオブジェクト画像31が各表示領域12a、12bに表示されており、各横断者43、44の相対的な位置関係と移動方向に応じて各オブジェクト画像31が順次移動するように表示が変化する。このとき、各横断者43、44に対応付けられたオブジェクト画像31の形状や色調などを互いに異なるものとしてもよい。なお、図中に細線で示した矢印は各オブジェクト画像31の移動方向を説明するためのものであり、各矢印自体はオブジェクト画像31には含まれない。
【0026】
その後、すべての横断者43、44が横断完了し、車両が発車予定の状態となった場合には上記した図7と同様の表示となるようにコントローラ11がコミュニケーションランプ12を制御する。さらに、車両が実際に発車した際には、コントローラ11は、上記した図4(A)又は図4(B)に示した状態に切り替わるようにコミュニケーションランプ12を制御する。
【0027】
図11は、移動体用情報表示システムの動作手順を示すフローチャートである。なお、ここに示す各処理については情報処理の結果に矛盾や不整合を生じない限りにおいて、それらの順序を入れ替えることも可能であり、またここでは明示しない他の処理を追加することも可能である。
【0028】
コントローラ11の描画パターン設定部20は、カメラ10が正常に稼働しているかを判断し、正常に稼働していない場合には(ステップS10;NO)、所定のエラー表示を図示しない報知手段に表示する(ステップS11)。その後ステップS10に戻る。
【0029】
カメラ10が正常に稼働している場合に(ステップS10;YES)、描画パターン設定部20は、カメラ10の検出結果に基づいて対象物検索を行い(ステップS12)、横断者等の人が対象物として検出されている場合には(ステップ13;YES)、認識範囲画像33を表示させるように描画パターンを設定する(ステップS14)。これにより、制御信号生成部21によって制御信号が生成され、コミュニケーションランプ12に認識範囲画像33が表示される(図5(B)参照)。他方、横断者等が検出されていない場合には(ステップS13;NO)、ステップS12の対象物探索に戻る。
【0030】
描画パターン設定部20は、図示しない車速センサ等から車両の車速情報を取得し、これに基づいて車両が減速中ではない場合には(ステップ15;NO)、ステップS14に戻る。他方、車両が減速中である場合には(ステップS15;YES)、メッセージ画像32を表示させるように描画パターンを設定する(ステップS16)。これにより、制御信号生成部21によって制御信号が生成され、コミュニケーションランプ12にメッセージ画像32が表示される。ここでは、減速中であることを示す「とまります」といった内容のメッセージ画像32が用いられる(図5(A)参照)。このステップS16のメッセージ画像32の表示は、車両が停車した状態にならない間は継続される(ステップS17;NO)。車両の停車/非停車の各状態は車速情報に基づいて判断される。
【0031】
車両が停車した状態となった場合に(ステップS17;YES)、描画パターン設定部20は、カメラ10の検出結果に基づき、車両前方を移動する横断者の有無を探索する(ステップS18)。
【0032】
横断者が存在する場合であって(ステップS19;YES)、それが複数の横断者である場合に(ステップS20;YES)、描画パターン設定部20は、カメラ10の検出結果に基づいて、複数の横断者のうちの一人(ないし一組)である第1横断者の車両に対する相対的な座標を算出し(ステップS21)、その座標に応じて表示領域12a、12b内の所定位置にオブジェクト画像31を表示させるように描画パターンを設定する(ステップS22)。これにより、制御信号生成部21によって制御信号が生成され、コミュニケーションランプ12に第1横断者に対応するオブジェクト画像31が表示される(図6(A)等参照)。
【0033】
また、描画パターン設定部20は、カメラ10の検出結果に基づいて、複数の横断者のうちの他の一人(ないし一組)である第2横断者の車両に対する相対的な座標を算出し(ステップS23)、その座標に応じて表示領域12a、12b内の所定位置にオブジェクト画像31を表示させるように描画パターンを設定する(ステップS24)。これにより、制御信号生成部21によって制御信号が生成され、コミュニケーションランプ12に第2横断者に対応するオブジェクト画像31が表示される(図6(A)等参照)。
【0034】
また、描画パターン設定部20は、メッセージ画像32を表示させるように描画パターンを設定する(ステップS25)。これにより、制御信号生成部21によって制御信号が生成され、コミュニケーションランプ12にメッセージ画像32が表示される。ここでは、停車中であることを示す「おさきにどうぞ」といった内容のメッセージ画像32が用いられる(図6(A)等参照)。
【0035】
その後、ステップS18に戻り、ステップS19~S25の処理が繰り返されることで、上記したように各オブジェクト画像31は、各横断者の座標の変化に応じて移動するようにして表示される(図6(B)、図7(A)、図7(B)、図8(A)、図9(B)、図9(C)、図10(A)、図10(B)参照)。
【0036】
他方で、横断者が複数ではない場合には(ステップS20;NO)、描画パターン設定部20は、カメラ10の検出結果に基づいて第1横断者の車両に対する相対的な座標を算出し(ステップS26)、その座標に応じて表示領域12a、12b内の所定位置にオブジェクト画像31を表示させるように描画パターンを設定する(ステップS27)。これにより、制御信号生成部21によって制御信号が生成され、コミュニケーションランプ12に第1横断者に対応するオブジェクト画像31が表示される。
【0037】
また、描画パターン設定部20は、メッセージ画像32を表示させるように描画パターンを設定する(ステップS28)。これにより、制御信号生成部21によって制御信号が生成され、コミュニケーションランプ12にメッセージ画像32が表示される。ここでは、停車中であることを示す「おさきにどうぞ」といった内容のメッセージ画像32が用いられる。その後、ステップS18に戻り、ステップS19、S20、S26~S25の処理が繰り返されることで、上記したようにオブジェクト画像31は、横断者の座標の変化に応じて移動するようにして表示される。
【0038】
他方で、ステップS18の横断者探索の結果、予め定めた車両前方の一定範囲内に横断者が存在しない場合には(ステップS19;NO)、描画パターン設定部20は、認識範囲画像33を表示させるように描画パターンを設定する(ステップS30)。これにより、制御信号生成部21によって制御信号が生成され、コミュニケーションランプ12に認識範囲画像33が表示される(図8(B)等参照)。
【0039】
また、描画パターン設定部20は、メッセージ画像32を表示させるように描画パターンを設定する(ステップS31)。これにより、制御信号生成部21によって制御信号が生成され、コミュニケーションランプ12にメッセージ画像32が表示される。ここでは、発車予定であることを示す「すすみます」といった内容のメッセージ画像32が用いられる。
【0040】
描画パターン設定部20は、車速情報に基づいて、車両が発車していない間は(ステップS32;NO)、ステップS31、S32の各表示を継続する。また、車両が発車した場合には(ステップS32;YES)、描画パターン設定部20は、認識範囲画像33をオフ(非表示)とするように描画パターンを設定するとともに(ステップS33)、メッセージ画像32の表示をオフ(非表示)とするように描画パターンを設定する(ステップS34)。これにより、制御信号生成部21によって制御信号が生成され、コミュニケーションランプ12において認識範囲画像33及びメッセージ画像32の表示がされない状態に切り替わる(図4(A)、図4(B)参照)。その後、ステップS12の対象物探索に戻る。
【0041】
以上のような実施形態によれば、車両前方の横断者に対して、車両側での認識状況をより的確に表現した画像表示を行うことが可能となる。具体的には、横断者に追従して表示位置が変化するオブジェクト画像31により、車両側がその横断者を的確に認識していることを伝えることができる。また、認識範囲画像33を合わせて表示することで、車両側の認識範囲内のどの位置にいると認識しているかを横断者に対して直感的に示すことができる。また、メッセージ画像32により車両側の状況(意思)を的確に伝えることができる。特に、複数人の横断者が存在する場合にもそれぞれに追従したオブジェクト画像31が表示されるので、個々の横断者に対しても車両側がそれぞれを識別して認識していることを直感的に伝えることができる。
【0042】
なお、本開示は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態ではカメラを用いて対象物の検出を行っていたが、他の種々のセンサ(例えば、LiDARなど)を用いて検出を行ってもよい。
【0043】
また、上記した実施形態では2の横断者のそれぞれに対応するオブジェクト画像31をコミュニケーションランプ12の表示領域12a、12b内で同時に表示していたが各横断者に対応するオブジェクト画像31を交互に表示してもよい。具体的には、図12(A)に示すように一方の横断者41に対応するオブジェクト画像31が表示領域12a、12bに表示される状態と、図12(B)に示すように他方の横断者42に対応するオブジェクト画像31が表示領域12a、12bに表示される状態とが交互に繰り返されるようにしてもよい。この場合でも、各オブジェクト画像31の表示領域12a、12b内での位置は各横断者41、42の移動に追従して移動するように制御される。横断者41に対応するオブジェクト画像31の表示と横断者42に対応するオブジェクト画像31の表示とを切り替える周期は、例えば1秒間に2~6回程度とすることが好ましい。それにより、各横断者41、42は、それぞれ自身に対応するオブジェクト画像31をより認識しやすくなり、結果として車両側が自身を認識していることをより強く実感できるようになる。また、メッセージ画像32による伝達もより実感しやすくなる。
【0044】
また、上記した実施形態では複数の横断者の一例として2の横断者(1人と1組の横断者)を例示していたが、3以上の横断者であっても同様に本開示を適用することができる。この場合、図11のステップS22~S24と同様にして、第3横断者やそれ以上の横断者の座標算出と対応するオブジェクト画像31の表示を行えばよい。
【0045】
また、上記した実施形態では移動体の一例としての車両の内容について特に言及していないが、従前からの運転者の存在を前提とした車両のほか、いわゆる自動運転を採用した車両(各種運搬車を含む)に対しても本開示の内容を適用することが可能である。また、自律的な移動機能を有するロボットなどの移動体に対しても本開示の内容を適用することが可能である。さらに、移動体に限らず、無人での応対、販売などに用いられるシステムや、防犯、監視といった用途に用いられるシステムにおいても本開示の内容を適用することが可能である。
【0046】
本開示は、以下に付記する特徴を有する。
(付記1)
移動体の周辺の対象物を検出するセンサと、
前記移動体の外部に設置されており、画像を表示可能なコミュニケーションランプと、
前記センサ及び前記コミュニケーションランプと接続されており、前記センサの検出結果に基づいて前記コミュニケーションランプの動作を制御するコントローラと、
を含み、
前記コミュニケーションランプは、前記画像を表示可能な領域である第1領域と第2領域を有しており、
前記コントローラは、前記センサにより検出された前記対象物が少なくとも1の横断者である場合に、当該横断者と前記車両の相対的な位置関係に基づいて定まる前記第1領域内の位置に第1画像を表示させるとともに前記第2領域内に当該横断者に対して前記車両の状態を伝達する第2画像を表示させるように前記コミュニケーションランプを制御する、
移動体用情報表示システム。
(付記2)
前記コントローラは、前記横断者が複数存在する場合に、当該複数の横断者の各々に対応付けた前記第1画像を表示させるように前記コミュニケーションランプを制御する、
付記1に記載の移動体用情報表示システム。
(付記3)
前記コントローラは、前記横断者と前記車両の相対的な位置関係の変化に追従して前記第1領域内での前記第1画像の位置が移動するように前記コミュニケーションランプを制御する、
付記1又は2に記載の移動体用情報表示システム。
(付記4)
前記コントローラは、前記横断者が予め定めた一定範囲内に位置する場合に前記第1領域内に前記横断者を認識する範囲を模式的に示す第3画像を表示させるように前記コミュニケーションランプを制御する、
付記1~3の何れかに記載の移動体用情報表示システム。
(付記5)
前記第1画像は、棒状画像又は人間を模した画像である、
付記1~4の何れかに記載の移動体用情報表示システム。
(付記6)
前記第2画像は、少なくとも前記移動体の停止を示す文字を含む画像である、
付記1~5の何れかに記載の移動体用情報表示システム。
(付記7)
前記第2画像は、前記移動体の減速及び/又は発進予定を示す文字を含む画像である、
付記6に記載の移動体用情報表示システム。
(付記8)
前記第3画像は、前記横断者の移動方向に沿った方向に延びる線状画像又は前記移動体の前方の所定範囲を示す矩形状画像である、
付記1~7の何れかに記載の移動体用情報表示システム。
(付記9)
前記コミュニケーションランプは、前記移動体の前部に設置される、
付記1~8の何れかに記載の移動体用情報表示システム。
(付記10)
前記センサは、前記移動体の周辺の空間を撮影して当該空間内の対象物を検出するカメラである、
付記1~9の何れかに記載の移動体用情報表示システム。
【符号の説明】
【0047】
10:カメラ、11:コントローラ、12:コミュニケーションランプ、12a、12b、12c、12d、12e:表示領域、20:描画パターン設定部、21:制御信号生成部、31:オブジェクト画像、32:メッセージ画像、33:認識範囲画像、41、42、43、44:横断者
図1
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図5
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図11
図12