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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148023
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】芳香拡散具
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/12 20060101AFI20241009BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20241009BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
A61L9/12
B65D83/00 F
B65D85/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060891
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】515103490
【氏名又は名称】株式会社ハリオ商事
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】今井 波瑠加
【テーマコード(参考)】
3E068
4C180
【Fターム(参考)】
3E068AA22
3E068AA40
3E068AC09
3E068CC14
3E068CE02
3E068CE03
3E068CE08
3E068CE09
3E068CE11
3E068CE20
3E068DD06
3E068DD32
3E068DD40
3E068DE18
3E068EE40
4C180AA13
4C180CA06
4C180EC01
4C180GG16
4C180GG17
4C180GG19
(57)【要約】
【課題】電源を要することなく、手軽に香りを拡散することのできる芳香拡散具を提供。
【解決手段】芳香拡散具10は、容器20と、液状の香料が担持される担持ボール30とを有する。容器20は、開口端部21と、周壁23と、底壁22と周壁23と底壁22との間に形成されたボール収容部25とを有し、ボール収容部25には液状の香料からなる液存在域Kが位置し、担持ボール30は、ボール収容部25内回転可能な状態で収容されていて、液存在域Kにおいて担持ボール30の一部33,34に前記液状の香料が担持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、液状の香料が担持される担持ボールとを有する芳香拡散具において、
前記容器は、開口端部と、周壁と、底壁と、前記周壁と前記底壁との間に形成されたボール収容部とを有し、
前記ボール収容部には前記液状の香料からなる液存在域が位置し、
前記担持ボールは、前記ボール収容部に回転可能な状態で収容されていて、前記液存在域において前記担持ボールの一部に前記液状の香料が担持されることを特徴とする芳香拡散具。
【請求項2】
前記容器は、長手方向と幅方向とを有し、前記担持ボールは複数であって、前記容器の前記ボール収容部の長手方向の寸法が前記複数の担持ボール全体の長手方向の寸法よりも大きく、前記複数の担持ボールは前記長手方向において転動可能である請求項1に記載の芳香拡散具。
【請求項3】
前記担持ボールは、前記容器に回転軸を介して支持されている請求項1又は2に記載の芳香拡散具。
【請求項4】
前記容器は、突出部を有し、前記突出部への前記担持ボールの移動が規制される請求項1~3のいずれかに記載の芳香拡散具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アロマ水溶液等の芳香成分を含有する液状の香料を自然に蒸散させる芳香拡散具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アロマ水溶液等の芳香成分を含有する液状の香料を使って香りを拡散する芳香拡散用の器具は知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、アロマ水溶液等の液状の香料を収容するタンクと、タンクから香料を吸い上げる吸上芯とを含み、吸上芯で吸い上げて蒸散した芳香成分を外部へ放出するアロマディフューザー(芳香拡散具)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3215785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたアロマディフューザーは、通電して使用するものであるから電源を要し、また、液体を収容するタンクを備えることから小物入れやジュエリーボックス等の室内棚や玄関の収容棚等に置かれる他のインテリアアイテムに比べて外形寸法が大きく、電源がない場所や狭いスペースには配置することができず、置き場所に制約を受ける場合があった。
【0006】
本発明は、従来技術の改良を目的とするものであり、電源を要することなく、手軽に香りを拡散することのできる芳香拡散具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するために、本発明は、容器と、液状の香料が担持される担持ボールとを有する芳香拡散具に関する。
【0008】
本発明に係る芳香拡散具は、前記容器は、開口端部と、周壁と、底壁と、前記周壁と前記底壁との間に形成されたボール収容部とを有し、前記ボール収容部には前記液状の香料からなる液存在域が位置し、前記担持ボールは、前記ボール収容部に回転可能な状態で収容されていて、前記液存在域において前記担持ボールの一部に前記液状の香料が担持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る芳香拡散具によれば、担持ボールは、ボール収容部に回転可能な状態で収容されていて、液存在域において担持ボールの一部に液状の香料が担持されることから、担持ボールを回転操作して香料が担持された部分を容器から露出させることで、香料の芳香成分を自然に蒸散させ、室内にアロマ効果のある香りが程よく漂って、リラックス効果を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面は、本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
図1】本発明の第1実施形態に係る芳香拡散具の斜視図。
図2】芳香拡散具の分解斜視図。
図3図1のIII-III線に沿う断面図。
図4】ボールの浸着域が露出した状態を示す図。
図5】第1実施形態に係る芳香拡散具の他の実施例における図1と同様の図。
図6】他の実施例に係る芳香拡散具の分解斜視図。
図7】第2実施形態に係る芳香拡散具の斜視図。
図8】(A)容器の平面図。(B)図7のVIII(B)-VIII(B)線に沿う断面図。
図9】(A)芳香拡散具の使用状態を示す図。(B)芳香拡散具の他の使用状態を示す図。
図10】(A)~(C)第2実施形態に係る芳香拡散具の他の実施例における図7と同様の図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る芳香拡散具(芳香具)10ついて図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1図3を参照すると、本実施形態に係る芳香拡散具10は、容器20と、容器20に回転可能に収容された担持ボール(担体、球)30とを有する。
【0013】
容器20は、円筒状であって、開口端部21と、底壁22と、開口端部21と底壁22との間に位置する周壁23と、底壁22と周壁23とに囲まれたボール収容部25とを有する。図3に示すとおり、底壁22は底上げされていて、凹曲状を有している。
【0014】
開口端部21には、担持ボール30の回転軸31の両端31aが係止される一対の軸受凹部21aが設けられている。両端31aは、軸受凹部21aから外方へ延出しており、使用者が担持ボール30を回転させる際に使用する操作部(ハンドル)として機能しうる。
【0015】
容器20は、単数又は複数の担持ボール30を収容できる限りにおいて、その形状、大きさ、材質に制限はないが、例えば、陶器、ガラス、アルミ、金属又は合成樹脂(プラスチック)からなる硬質の材料から形成されていて、ボール収容部25には、アロマ水溶液等の芳香成分を有する液状の香料が滞留してなる液存在域Kが位置している。
【0016】
液状の香料には、バラやジャスミン、カモミール、或いはラベンダー、レモングラス、ローズマリーといった天然植物に由来する揮発性の油(液状成分)であって、エッセンシャルオイルやアロマオイルなどとして提供されているものを好適に用いることができる。
【0017】
担持ボール30は、球状であって、外周面と、その中心を貫通する円棒状の回転軸31とを有する。既述のとおり、回転軸31の両端31aが、容器20の軸受凹部20aに挿入されることで、担持ボール30は容器20に回転可能に取り付けられる。なお、図示例では、使用の利便性を考慮して、担持ボール30は回転軸31を有しているが、ボール収容部25に回転可能な状態で収容される限りにおいて、回転軸31を有することなく、単にボール収容部25に収容されているだけでもよい。
【0018】
担持ボール30の材料には、外周面に香料を含浸、担持させることができる限りにおいて、公知の材料を制限なく使用することができ、例えば、コルク,竹、木材、フェルト、紙、プラスチック、ゴム、シリコーン、ステンレス、合金、セラミックス、ガラス等から形成することができる。ただし、担持ボール30は、芳香成分の拡散性に優れ、かつ、フェルトや紙のように香料を過度に吸収しすぎない材料、木材、又はコルクで形成されるのが望ましい。また、合金やセラミックス、ガラス等の材質自体が香料を含浸できないものであっても、多孔質体を用いることによって、香料を担持する機能を付与することができる。
【0019】
本実施形態において、担持ボール30は、外周面が平滑な木材から形成されていて、外周面に香料が含浸されて担持できる程度の吸液性を有する。図3を参照すると、担持ボール30の中心Oが開口端部21の高さに位置し、ボール収容部25は担持ボール30の外形寸法よりもひと回り大きく形成されていて、担持ボール30が収容された状態において容器20と担持ボール30との間には隙間Sが形成されている。
【0020】
担持ボール30の大きさについては、特に制限はないが、例えば、直径が3~10cm程度であって、ボール収容部25の内径は担持ボール30の直径の1.1~1.3倍であることが好ましい。
【0021】
既述のとおり、容器20のボール収容部25には、所要量の香料による液存在域Kが位置する。担持ボール30をボール収容部25に収容する前、又はボール収容部25に担持ボール30を収容した状態において隙間Sから香料を垂らすことによって、液存在域Kを形成することができる。ボール収容部25の液存在域Kによって担持ボール30の一部に香料が含浸、担持される。
【0022】
図4に示すとおり、使用者が、指で担持ボール30を回転させることによって、香料が担持された担持部分33が容器から外部に露出した状態となり、その周辺又は室内にリラックス効果のあるような香料を自然に蒸散させることができる。しばらく時間が経って、使用者が、担持部分33の香料が完全に蒸散されて芳香成分が拡散されなくなったと感じたときには、担持ボール30を180度回転させて、液存在域Kにおいて香料を含浸、担持した新たな担架部分34を容器から露出させることで、再度、芳香成分をその周辺又は室内に程よく拡散させることができる。
【0023】
また、香料が担持された担持部分33,34が容器から露出される表面積を調整することによって、芳香成分の拡散度合いを調整することができる。すなわち、例えば、図3に示した態様から、担持ボールを90度回転させた場合には、担持部分33,34が完全には外部に露出されることはなく、担持部分33,34の全体が露出される場合に比べて、芳香成分の拡散度合いを抑制することができる。
【0024】
このように、担持ボール30を回転操作することによって、連続的に芳香成分を外部に拡散させることができ、利便性に優れる。また、担持ボール30の担持部分33,34の外部に露出される表面積を調整することのみで、芳香成分の拡散度合いを調整することもできる。さらに、電源を要することなく、比較的にコンパクトな大きさであることから、携帯性に優れ、デスクや室内のキャビネット、玄関の収容棚等に気軽に置いて使用することができる。
【0025】
図示していないが、担持ボール30及び/又は容器20は、意匠性を高めるために、絵柄、キャラクター、文字、記号、着色等の装飾要素を有していてもよい。
また、例えば、使用状態において、担持ボール30の外周面に位置する装飾要素と容器20の外面に位置する装飾要素とが互いに組み合わされることで、1つのデザインを形成するものであってもよい。また、容器20と一体又は別体の光源体(ライト)を用いて、担持ボール30に光源を照らすことによって担持部分33,34の香料の蒸散を促進して、芳香成分をより強く拡散するようにしてもよい。
【0026】
図5及び図6に示すとおり、第1実施形態における芳香拡散具10の他の実施例においては、容器20が外方へ突出した突出部28を有する。容器20がかかる形態を有することによって、ボール収容部25は、担持ボール30の直径よりも僅かに大きな内径を有する第1域25Aと、第1域25Aから外方へ突出するように形成されたスペースからなる第2域25Bとを有する。
【0027】
第1域25Aを形成するボール収容部25の部分と突出部28との間には屈曲部分29が位置し、屈曲部分29間の幅寸法が担持ボール30の直径よりも小さくなっており、担持ボール30は第2域25Bへの移動を規制されている。
【0028】
このように、ボール収容部25A,25Bが突出部28を有することによって、担持ボール30がボール収容部25A,25Bに収容された状態において、担持ボール30の表面に付着させることなく、香料を容器の底に入れることができる。
【0029】
また、使用時において、使用者が指をボール収容部25A,25Bの第2域25Bに差し入れることによって、容器20の外部に露出した、香料が含浸された担持部分33,34を指先で触れることなく、回転操作を行うことができる。このように、容器20の突出部28は、香料を容器20の内部に入れるための注入口及び回転操作する際の指挿入部として機能しうる。
【0030】
<第2実施形態>
図7及び図8(A),(B)を参照すると、本実施形態に係る芳香拡散具10は、幅方向(横方向)X及び長手方向(縦方向)Yとを有し、容器40と、複数の担持ボール30A~30Cとを含む。担持ボール30A~30Cは、長手方向Yにおいて中央に位置する第1担持ボール30Aと、その両側に位置する第2及び第3担持ボール30B,30Cとを有する。
【0031】
容器40は、平面視において略長方状であって、開口端部41と、底壁42と、開口端部41と底壁42との間に位置する周壁43と、底壁42と周壁43とに囲まれたボール収容部45とを有する。図8(B)に示すとおり、底壁42は底上げされていて、凹曲状を有している。
【0032】
容器40の周壁43は、幅方向Xにおいて対向して長手方向Yへ直線状に延びる両側部分46と両側部分46間において幅方向Xへ延びる第1及び第2端部分(突出部)47,48とを有する。第1及び第2端部分47,48は、長手方向Yの外側へ凸曲した形状を有し、第1及び第2端部分47,48と両側部分46との境界には、屈曲部分49が位置している。
【0033】
ボール収容部45は、一対の両側部分46間に位置する第1域45Aと、第1及び第2端部分46,47に形成されたスペースからなる第2域45Bとを有する。複数の担持ボール30A~30Cは、第1域45Aに収容されており、第1域45Aと第2域45Bとの境界に位置する屈曲部分49の幅寸法が担持ボール30A~30Cの直径よりも小さく設計されていることから、担持ボール30A~30Cは第1域45Aから第2域45Bへの移動が規制されている。なお、第2域45Bはオプションであって、容器40が屈曲部分49を有さずに、第1及第2端部分47,48まで担持ボール30A~30Cが移動できるように設計してもよい。
【0034】
ボール収容部45の底には、所要量の香料からなる液存在域Kが位置しており、複数の担持ボール30A~30Cの一部には香料が含浸、担持される。第1実施形態に係る芳香拡散具10と同様に、担持ボール30A~30Cを回転操作することによって、香料が担持された担持部分33,34が容器の外部に露出し、芳香成分が室内に拡散される。
【0035】
担持ボール30A~30Cは、それぞれ独立していることから、個別に回転させることによって、担持部分33を外部に露出させて芳香成分を拡散することができ、例えば、複数の担持ボールのうち1つのみを回転して芳香成分を拡散し、残りの2つについては回転しない場合には、3つの担持ボールを回転して芳香成分を拡散する場合に比べて、芳香成分の拡散度合いを低くすることができる。また、各担持ボール30A~30Cのうちの容器の外部に露出する担持部分の表面積を調整することによっても、芳香成分の拡散度合いを調整することができる。
【0036】
このように、本実施形態に芳香拡散具10は、複数の担持ボール30A~30Bを有することによって、回転操作をして芳香成分を拡散させる担持ボール30A~30Cの個数及び各担持ボール30A~30Cにおける外部に露出される担持部分の表面積を調整することによって、単数の担持ボール30からなる第1実施形態の場合に比べて、芳香成分の拡散度合いをより細かく調整することができるといえる。
【0037】
また、担持ボール30A~30Cは、互いに接触した状態で収容されていることから、例えば、第1担持ボール30Aのみを回転操作することによって、その担持部分が第2及び第3担持ボール30B,30Cに触れてその一部に香料を付着され、僅かながらにも芳香成分の拡散に寄与しうるという効果も考えられる。
【0038】
図8(B)を参照すると、容器40のボール収容部45の長手方向Yの寸法(第1域45Aの長手方向Yの寸法)L1が複数の担持ボール30A~30C全体の長手方向Yの寸法(担持ボール30A~30Cの直径の合計)L2よりも大きくなっている。これによって、担持ボール30A~30Cがボール収容部45内において長手方向Yへ転動することができ、長手方向Yへ転動することで、担持ボール30A~30Cの外周面の広範囲に香料を担持させることができる。
【0039】
図9(A),(B)に示すとおり、使用者が一方の手Hで芳香拡散具10を持ち上げて斜めにすることによって、複数の担持ボール30が転動する。例えば、図9(A)に示すように、容器40の第1端部分47が下方になるように傾けることによって、担持ボール30A~30Cが第1端部分47側へ移動し、液存在域Kにおいて香料が含浸された担持部分33が容器40の外部に露出される。
【0040】
図9(B)に示すとおり、その状態から第2端部分48が下方となるように傾けることによって、今度は担持ボール30A~30Cが第2端部分48側へ移動し、液存在域Kにおいて香料が含浸された担持部分34が容器40の外部に露出される。
【0041】
このように、複数の担持ボール30A~30Cを転動させることで、速やかに複数の担持ボール30A~30C全体に香料を含浸、担持させることができるので、それらを個別に回転操作して香料を含浸、担持させる場合に比べて手間が掛からず、また、回転操作するときに使用者の一方の手Hの指先に香料が付着することも防ぐことができる。
【0042】
さらに、複数の担持ボール30A~30Cの転動を素早く繰り返し行うことによって、周辺の空気が循環されて担持部分33,34の香料が蒸散されやすくなり、より強く芳香成分を拡散させることができるといえる。また、陶器製の容器40に木製の担持ボール30A~30Cを転動させる場合には、担持ボール30A~30Cが屈曲部分49に当たる度にカチカチという衝突音が生じるので、使用者の感覚が刺激されて楽しみながら芳香成分を拡散させることができる。
【0043】
既述のとおり、屈曲部分によって担持ボール30A~30Cの移動が規制され、第1及び第2端部分47,48に位置する第2域45Bは、香料の注入口及び担持ボールを回転操作するための指挿入部として機能しうる。また、容器40を傾けても担持ボール30A~30Cが第1及び第2端部47,48に移動することはないので、担持ボール30A~30Cに担持された香料が第1及び第2端部47,48を伝って外部に漏れ出ることはなく、また、担持ボール30A~30Cがいきおいで外部に飛び出るのを抑制することができるといえる。
【0044】
図示例では、担持ボール30A~30Cは3個であるが、2個以上であれば、幾つでもよく、個数に制限はない。また、ボール収容部45に複数の担持ボール30A~30Cが収容される限りにおいて、容器40の形状、大きさにも特に制限はない。
【0045】
図10(A)~(C)は、第2実施形態に係る芳香拡散具10の他の実施例を示すものであって、その基本構成は図7に図示したものと同じであるから、相違する点についてのみ以下に説明する。
【0046】
図10(A)を参照すると、本実施例においては、複数の担持ボール30A~30Cの大きさ(直径)が相違している。具体的には、第1担持ボール30Aが第1端部分47側に位置する第2担持ボール30Bよりも大きく、第2担持ボール30Bが第2端部分38側に位置する第3担持ボール30Cよりも大きくなっている。このように、複数の担持ボール30A~30Cの大きさが異なることによって各担持ボール30A~30Cの表面積が互いに相違し、芳香成分の拡散度合いをさらに細かく調整することができる。
【0047】
図10(B)を参照すると、本実施例においては、複数の担持ボール30A~30Cがそれらの中心を貫通する共通の回転軸61を介して容器40に回転可能に取り付けられている。具体的には、回転軸61の両端61aが容器40の軸受凹部41aに係止されている。
【0048】
このように、複数の担持ボール30A~30Cが共通する回転軸61によって支持されていることによって、例えば、第1担持ボール30Aを回転させることによって、第2及び第3担持ボール30B,30Cも回転させることができ、それぞれ個別に回転させる場合に比べて利便性に優れる。
【0049】
図10(C)を参照すると、容器40は、複数の担持ボール30A~30Cの間に位置し、かつ、底壁42から起立した隔離壁71,72を有する。ボール収容部45が隔離壁71,72によって隔離されることによって、芳香成分の異なる液状の香料からなる液存在域K1~K3が形成され、それぞれに担持ボール30A~30Cの一部が位置する。それによって、担持ボール30A~30Cの担持部分33には、芳香成分の異なる液状の香料が含浸、担持されて、担持ボール30A~30Cごとに異なる香りを拡散させることができる。
【0050】
上記本発明は、少なくとも下記実施形態を含むことができる。実施形態は、分離して又は互いに組み合わせて採択することができる。
(1)前記容器は、長手方向と幅方向とを有し、前記担持ボールは複数であって、前記容器の前記ボール収容部の長手方向の寸法が前記複数の担持ボール全体の長手方向の寸法よりも大きく、前記複数の担持ボールは前記長手方向において転動可能である。
(2)前記担持ボールは、前記容器に回転軸を介して支持されている。
(3)前記容器は、突出部を有し、前記突出部への前記担持ボールの移動が規制される。
【符号の説明】
【0051】
10 芳香拡散具
20 容器
21 開口端部
22 底壁
23 周壁
25 ボール収容部
28 突出部
30 担持ボール
30A~30C 担持ボール
31 回転軸
33 担持部分
34 担持部分
40 容器
41 開口端部
42 底壁
43 周壁
45 ボール収容部
61 回転軸
K 液存在域
Y 長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10