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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148025
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】風呂装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/196 20220101AFI20241009BHJP
   F24H 15/14 20220101ALI20241009BHJP
   F24H 15/265 20220101ALI20241009BHJP
   F24H 15/269 20220101ALI20241009BHJP
   F24H 15/281 20220101ALI20241009BHJP
   F24H 15/20 20220101ALI20241009BHJP
   F24H 15/30 20220101ALI20241009BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20241009BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20241009BHJP
【FI】
F24H15/196 301L
F24H15/14
F24H15/265
F24H15/269
F24H15/281
F24H15/20
F24H15/30
A47K3/00 M
A47K3/00 E
C02F1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060899
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀部 洋平
(72)【発明者】
【氏名】公門 直人
(72)【発明者】
【氏名】茶谷 幸寛
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐介
【テーマコード(参考)】
3L024
4D037
【Fターム(参考)】
3L024CC02
3L024DD06
3L024DD27
3L024DD34
3L024GG41
3L024GG43
3L024HH48
4D037AA09
4D037AB03
4D037BA18
4D037BB01
4D037BB02
(57)【要約】
【課題】退浴状態を検出して自動的に浴槽を除菌する技術を提供する。
【解決手段】風呂装置100は、浴槽に設けられた吸込口及び吐出口に接続される循環路8と、循環路8に浴槽水を循環させるための循環ポンプ10と、循環路8上に配置される除菌装置60と、循環ポンプ10及び除菌装置60を制御する制御装置12とを備える。制御装置12は、浴槽における退浴状態を検出すると、他の風呂動作を実行していないことに基づいて、循環ポンプ10及び除菌装置60をオンにして除菌運転を実行し、他の風呂動作を実行していることに基づいて、他の風呂動作中の循環ポンプ10のオン及びオフに合わせて、除菌装置60のオン及びオフを切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に設けられた吸込口及び吐出口に接続される循環路と、
前記循環路に浴槽水を循環させるための循環ポンプと、
前記循環路上に配置される除菌装置と、
前記浴槽におけるユーザの入浴及び退浴を検出するためのセンサと、
前記循環ポンプ及び前記除菌装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記浴槽における退浴状態を検出すると、
他の風呂動作を実行していないことに基づいて、前記循環ポンプ及び前記除菌装置をオンにして除菌運転を実行し、
前記他の風呂動作を実行していることに基づいて、前記他の風呂動作中の前記循環ポンプのオン及びオフに合わせて、前記除菌装置のオン及びオフを切り替え、
前記退浴状態を検出することは、前記センサの出力信号により退浴を検出した後に前記退浴状態が一定時間以上継続したことを検出することを含む、風呂装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記センサの出力信号により退浴を検出した後に、前記退浴状態が一定時間以上継続する前に前記他の風呂動作の要求を受け付けたことに基づいて、前記他の風呂動作を実行する、請求項1に記載の風呂装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記退浴状態の検出後に、前記除菌装置がオンである時間をカウントし、
前記除菌装置がオンである時間が予め定められた時間以上になったことに基づいて、前記除菌運転を終了し、
前記除菌装置がオンである時間をカウントすることは、前記除菌運転の時間をカウントすることと、前記他の風呂動作中に前記除菌装置がオンとなっている時間をカウントすることとを含む、請求項1に記載の風呂装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記除菌運転の実行中に、前記他の風呂動作の要求を受け付けたことに基づいて、前記他の風呂動作を実行し、
前記他の風呂動作が完了し、前記除菌装置がオンである時間が前記予め定められた時間以上になっていないことに基づいて、前記除菌運転に移行する、請求項3に記載の風呂装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記循環ポンプがオンになったことに基づいて、前記除菌装置をオンにする割り込み処理を実行し、
前記循環ポンプがオフになったことに基づいて、前記除菌装置をオフにする割り込み処理を実行する、請求項1に記載の風呂装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、風呂装置に関し、より特定的には、浴槽の除菌技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプの運転に伴って、浴槽循環水が浄化殺菌装置を通過することにより、浴槽水を浄化殺菌する装置が、特開2002-001354号公報(特許文献1)に記載されている。当該装置は、「浴槽水循環装置または浴槽水浄化殺菌装置の浴槽水浄化殺菌運転パターンを、入浴中の浄化殺菌運転パターンと、前日の入浴後から翌日の入浴直前まで間の浄化殺菌運転パターンとを切換える」というものである(「要約」参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-001354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術によると、手動又はあらかじめ設定されたパターンによる殺菌運転を行うことしかできない。したがって、ユーザの手を煩わすことなく退浴状態を検出して自動的に浴槽を除菌する技術が必要とされている。
【0005】
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、退浴状態を検出して自動的に浴槽を除菌する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施の形態に従うと、風呂装置が提供される。風呂装置は、浴槽に設けられた吸込口及び吐出口に接続される循環路と、循環路に浴槽水を循環させるための循環ポンプと、循環路上に配置される除菌装置と、循環ポンプ及び除菌装置を制御する制御装置とを備える。制御装置は、浴槽における退浴状態を検出すると、他の風呂動作を実行していないことに基づいて、循環ポンプ及び除菌装置をオンにして除菌運転を実行し、他の風呂動作を実行していることに基づいて、他の風呂動作中の循環ポンプのオン及びオフに合わせて、除菌装置のオン及びオフを切り替える。
【発明の効果】
【0007】
ある実施の形態に従うと、退浴状態を検出して自動的に浴槽を除菌できる。
【0008】
この開示内容の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本開示に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に従う給湯システム300の構成の一例を示す図である。
図2】給湯システム300における除菌運転の処理手順の一例を示す図である。
図3】他の風呂動作中における除菌処理の処理手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<A.給湯システム>
図1は、本実施の形態に従う給湯システム300の構成の一例を示す図である。給湯システム300は、浴槽20からのユーザの退浴を検出し、自動で浴槽水21の除菌を実行する機能を備える。また、給湯システム300は、循環ポンプ10のオン及びオフに合わせて、除菌装置60のオン及びオフを制御する機能を備える。給湯システム300は、これらの機能を使用することで、自動的かつ効率的に浴槽水21を除菌し得る。給湯システム300及び給湯装置100は、いずれも風呂に関するものである。よって、給湯システム300を風呂システムと読み替えてもよい。また、給湯装置100を風呂装置と読み替えてもよい。
【0012】
(a.給湯システムの構成)
図1を参照して、本実施の形態に従う給湯システム300は、給湯装置100を備える。給湯装置100は、図示しない給湯栓等に加えて、浴室200に設置された浴槽20を給湯先に含む。
【0013】
給湯装置100は、筐体1、バーナ2、ファン3、熱交換器4、入水配管5、給湯配管6、バイパス弁7、バイパス配管7a、循環路8、温度センサ9,12T,18,19、循環ポンプ10、水位センサ11、制御装置12、風呂注湯弁13、電気配線14、流量センサ15,16、及び、リモートコントローラ30,50、除菌装置60を備える。
【0014】
筐体1は、筐体1の内部及び外部が連通するように設けられ、燃焼ガスを排気するための排気口1aを有している。筐体1は、バーナ2、ファン3、熱交換器4、入水配管5、給湯配管6、バイパス弁7、バイパス配管7a、温度センサ9,12T,18,19、循環ポンプ10、水位センサ11、制御装置12、風呂注湯弁13、流量センサ15,16及び除菌装置60を収容可能に構成されている。又、筐体1は、追焚運転用の循環路8の一部を収容する。
【0015】
バーナ2は、図示しない燃料供給系から燃料ガスの供給を受けて燃焼動作するように構成される。バーナ2は、燃焼ガスを熱交換器4に供給する。バーナ2は、給湯用のバーナ2aと、追焚用のバーナ2bとを有する。
【0016】
ファン3は、バーナ2に燃焼用の空気を供給する。ファン3は、バーナ2aに燃焼用の空気を供給するファン3aと、バーナ2bに燃焼用の空気を供給するファン3bとを有する。ファン3a,3bの各々は、羽根と、羽根を回転させるためのモータとを有する。モータに電流が印加されることにより羽根が回転して燃焼用の空気を供給するように構成されている。ファン3a,3bは、それぞれ、給湯装置100の高さ方向においてバーナ2a,2bの下方に配置されている。尚、ファン3について、図1では、バーナ2a及び2bのそれぞれに1個ずつファン3a及び3bを備える構成を例示したが、複数のバーナ2a,2bに対して、1個のファンを共通に備える構成とすることも可能である。
【0017】
熱交換器4は、給湯用の熱交換器4aと、追焚用の熱交換器4bとを有する。熱交換器4a,4bは、それぞれ、給湯装置100の高さ方向においてバーナ2a,2bよりも上方に配置されている。熱交換器4a,4bは、排気口1aの近傍に配置されている。
【0018】
熱交換器4aは、バーナ2aによって供給された燃焼ガスの熱を回収する。熱交換器4bは、バーナ2bによって供給された燃焼ガスの熱を回収する。熱交換器4a,4bの各々は、バーナ2の燃焼ガスの顕熱(燃焼熱)により入水を熱交換によって加熱する一次熱交換器を含んでいてもよい。また、熱交換器4a,4bの各々は、バーナ2からの燃焼排ガスの潜熱によって通流された水を熱交換によって加熱する、二次熱交換器を含んでいてもよい。
【0019】
入水配管5は、入水口5aにおいて、水道配管と接続される。給湯栓の開栓時、及び/又は、風呂注湯弁13の開放時に、水道水の供給圧力によって、入水口5aから給湯装置100へ低温水が導入される。入水配管5に設けられた温度センサ18は、入水口5aから導入された入水の温度Twを検出する。
【0020】
入水配管5は、バイパス弁7を介して、缶体配管5bと、バイパス配管7aとに分岐される。缶体配管5bは、熱交換器4aの一方端と接続される。バイパス弁7の開度によって、入水配管5の全体流量に対する、バイパス配管7a及び缶体配管5bの流量比が制御される。
【0021】
熱交換器4aの他方端は、給湯配管6の一方端と接続される。入水配管5から缶体配管5bに供給された低温水は、熱交換器4aによって予め定められた温度まで加熱されて、給湯配管6へ出力される。缶体配管5bには、流量センサ15が配置される。制御装置12は、流量センサ15により、熱交換器4aの流量(缶体流量)を検出することができる。
【0022】
一方で、バイパス配管7aは、熱交換器4aをバイパスして給湯配管6と接続される。従って、入水配管5からバイパス配管7aへ供給された低温水は、熱交換器4aで加熱されることなく、給湯配管6へ出力される。このように、給湯装置100では、熱交換器4aから出力された高温水と、バイパス配管7aを通過した低温水とを混合して、設定温度に従った適温の湯を、給湯配管6から出力することができる。
【0023】
給湯配管6の他方端は、給湯栓(図示せず)等と接続された出湯口6aと接続される。従って、給湯栓の開放に応じて、設定温度に制御された適温の湯が、出湯口6aを経由して、給湯装置100から給湯栓へ供給される。
【0024】
給湯配管6は、浴槽20へ至る注湯配管13aと更に接続される。注湯配管13aには、風呂注湯弁13が介挿接続される。風呂注湯弁13は、例えば、開閉制御可能な電磁弁によって構成することができる。風呂注湯弁13を開放することにより、給湯配管6から注湯配管13aへ湯水が出力される経路を形成することができる。これにより、給湯装置100は、給湯栓等に加えて、給湯先に浴槽20を含むことができる。
【0025】
本明細書では、給湯装置100から浴槽20への給湯については「注湯」と称して、出湯口6a(給湯栓等)への給湯と区別することとする。注湯配管13aには、流量センサ16が設けられる。制御装置12は、流量センサ16により、給湯装置100から浴槽20への注湯流量を検出することができる。尚、本実施の形態では、給湯配管6での出湯温度に関わらず、風呂注湯弁13の開放により、湯又は水が、注湯配管13aを経由して浴槽20へ供給される動作を「注湯」と称する。即ち、給湯装置100のうちの、バーナ2a、ファン3a、熱交換器4a、入水配管5、缶体配管5b、給湯配管6、バイパス弁7、バイパス配管7a、及び、風呂注湯弁13によって、「注湯回路」の一実施例を構成することができる。
【0026】
循環路8は、浴槽20の湯水(以下、浴槽水21とも称する)を給湯装置100内で循環させるためのものであり、戻り配管8a及び往き配管8bと、循環ポンプ10とを有する。戻り配管8aの一方端は、浴槽20内の循環アダプタ25と接続され、他端は、熱交換器4bの入力側と接続される。往き配管8bの一端は、熱交換器4bの出力側と接続され、他端は循環アダプタ25と接続される。除菌装置60は、循環路8上に配置される。一例として、除菌装置60は、戻り配管8a上に配置されてもよい。他の例として、除菌装置60は、往き配管8b上に配置されてもよい。除菌装置60は、制御装置12によりオンオフ制御される。除菌装置60は、除菌装置60がオンの間、除菌装置60を通過する湯又は水を除菌する。ある実施の形態に従うと、除菌装置60は、UV-LED(Ultraviolet-Light Emitting Diode)を含む。この場合、除菌装置60のオンオフは、UV-LEDの点灯及び消灯に相当する。
【0027】
循環ポンプ10の作動により、循環アダプタ25から吸入された浴槽水21が、戻り配管8a、熱交換器4b、及び、往き配管8bを経由して、循環アダプタ25から吐出される経路(追焚循環路)が形成される。追焚循環路の形成時に、バーナ2bの燃焼動作をオンすると、戻り配管8aから導入された浴槽水21を熱交換器4bで加熱するとともに、加熱後の浴槽水21が往き配管8bによって浴槽20へ供給されることにより、浴槽水21の温度を上昇する追焚運転を行うことができる。
【0028】
戻り配管8aには、温度センサ9及び水位センサ11が接続されている。温度センサ9により、浴槽水21の温度を検出することができる。水位センサ11は、例えば、圧力センサによって構成されて、浴槽水21の水圧に基づいて、浴槽20内での浴槽水21の水位(以下、単に「浴槽水位」とも称する)を検出する。温度センサ9及び水位センサ11は、循環ポンプ10の停止時においても、戻り配管8a内で浴槽水21が浸入する領域に配置される。
【0029】
戻り配管8aは、更に、接続点8cにおいて、注湯配管13aと接続される。この結果、循環ポンプ10の停止時に給湯装置100から注湯すると、注湯配管13aから、接続点8c及び戻り配管8aを経由して浴槽20へ至る第1の注湯経路と、注湯配管13aから、接続点8c、戻り配管8a、熱交換器4b、及び、往き配管8bを経由して浴槽20へ至る第2の注湯経路とを形成することができる。これにより、給湯装置100からの注湯による風呂湯張り運転を行うことができる。
【0030】
この様に、給湯装置100(注湯回路)からの湯水は、第1及び第2の注湯経路による、循環路8を含む注湯経路を介して、浴槽20へ供給される。浴槽20には、排水栓26が設けられる。排水栓26は、ユーザの手動操作によって開閉される「手動排水栓」、及び、制御装置12からの操作指令に応じた自動的な開閉操作についても可能な「自動排水栓」のいずれで構成することも可能である。
【0031】
制御装置12は、例えば、マイクロコンピュータを含んで構成することができる。制御装置12は、バーナ2a,2b、ファン3a,3b、温度センサ9,18,19、循環ポンプ10、水位センサ11、風呂注湯弁13、除菌装置60及び、電気配線14と電気的に接続されている。電気配線14は、図示しない電源に接続されることにより、制御装置12に電力を供給するように構成されている。制御装置12は「制御回路」の一実施例に対応する。
【0032】
制御装置12は、流量センサ15,16、温度センサ9,12T,18,19による検出値を取得する。流量センサ15,16は、例えば、羽根車式の流量計によって構成することができる。温度センサ9,12T,18,19は、例えば、サーミスタによって構成することができる。温度センサ12Tは、通常屋外に配設される筐体1に設けられて、季節によって変化する大気温(外気温)を測定するために配置される。
【0033】
制御装置12は、温度センサ18の検出値から入水の温度Twを取得し、温度センサ19の検出値から出湯の温度Thを取得し、温度センサ9の検出値から浴槽水温度を取得し、温度センサ12Tの検出値から外気温Tarを取得することができる。又、制御装置12は、流量センサ16によって検出された流量(注湯流量)の積算によって、浴槽20への注湯水量(体積)を算出することができる。
【0034】
更に、制御装置12は、リモートコントローラ30及びリモートコントローラ50と通信可能に接続されている。尚、これらの機器間の通信は、公知のいかなる規格に従ったものであってもよく、又、有線であっても無線であってもよい。
【0035】
リモートコントローラ30は、浴室200の壁面に設置されており、給湯装置100を操作するためのものである。リモートコントローラ30は、情報を表示するための表示部31と、ユーザ或いは施行者等の入力設定操作を受け付けるための操作部32とを含む。表示部31は、代表的には、液晶パネルによって構成されており、浴槽水位及び温度を表示可能に構成されている。操作部32は、代表的には、プッシュボタンやタッチボタンによって構成されており、少なくとも、浴槽水位及び温度に関する設定操作を受け付け可能に構成されている。更に、リモートコントローラ30には、浴室内の人間の存在を感知するための人感センサ35が配置されてもよい。例えば、赤外線センサによって人感センサ35を構成することが可能である。
【0036】
リモートコントローラ50は、浴室200の外部に設置されており、給湯装置100を操作するためのものである。リモートコントローラ50は、代表的には台所の壁面に設置されている。リモートコントローラ50は、情報を表示するための表示部51と、ユーザ等の入力設定操作を受け付けるための操作部52とを含む。
【0037】
表示部51は、代表的には、液晶パネルによって構成されており、給湯設定温度、及び、風呂設定温度等を表示可能に構成されている。操作部52は、代表的には、プッシュボタンやタッチボタンによって構成されており、給湯装置100の運転に関する設定操作を受け付け可能に構成されている。
【0038】
制御装置12は、リモートコントローラ30,50からのユーザ等の入力設定操作に基づき、給湯装置100の動作を制御する。
【0039】
当該制御の一例として、制御装置12は、リモートコントローラ30,50の操作により、風呂自動運転が指示されると、風呂湯張り運転を実行する。風呂湯張り運転は、給湯装置100からの注湯により、浴槽20において、浴槽水位が設定水位に達し、かつ、温度センサ9によって検出される浴槽水温度が風呂設定温度に達すると終了される。
【0040】
給湯装置100では、風呂湯張り運転の終了後、浴槽水21の温度及び水位を維持する自動モードを設定することが可能である。当該自動モードの選択時には、温度センサ9によって検出された浴槽水温度が、風呂設定温度に対応されて設定された基準温度(例えば、風呂設定温度よりも2~3℃低く設定)よりも低下すると、保温制御のために追焚運転が自動的に起動される。更に、水位センサ11によって検出された浴槽水位が設定水位よりも低下すると、給湯装置100から浴槽20へ追加的に注湯する足し湯運転が起動される。
【0041】
本実施の形態に従う給湯システムでは、浴槽20の排水後において、給湯装置100からの注湯による配管洗浄運転によって、循環路8を含む配管内を洗浄することができる。本実施の形態に従う配管洗浄運転では、洗浄水の供給量及び温度が異なる設定態様とされる複数の洗浄モードをユーザ側から選択することが可能である。
【0042】
(b.給湯システムの除菌運転機能)
前述の通り、給湯システム300は、浴槽水21を除菌する機能を備える。以下に、給湯システム300の除菌機能の詳細について説明する。
【0043】
制御装置12は、水位センサ11の検出値に基づいて、ユーザの浴槽20への入浴、及び、ユーザの浴槽20からの退浴を検出し得る。一例として、制御装置12は、浴槽水位が急激に変化したことに基づいて、ユーザの浴槽20への入浴、及び、ユーザの浴槽20からの退浴を検出し得る。すなわち、水位センサ11は、浴槽におけるユーザの入浴及び退浴を検出するためのセンサであるとも言える。
【0044】
制御装置12は、ユーザの浴槽20からの退浴を検出した後に、退浴状態が一定時間継続したことに基づいて、除菌運転を行う。一定時間は、予め定められた時間であり、例えば、40秒程度の時間であってもよい。除菌運転は、除菌装置60をオンにした状態で、浴槽水21を循環路8に循環させる動作である。制御装置12は、ユーザから他の風呂動作の入力を受け付けた場合は、他の風呂動作を優先実行する。他の風呂動作は、例えば、追い焚き、風呂自動(追い焚き及び足し湯)及びマイクロバブル運転等を含む。制御装置12は、他の風呂動作の実行中に循環ポンプ10のオン及びオフを監視する。制御装置12は、循環ポンプ10のオン及びオフに合わせて、除菌装置60のオン及びオフを切り替える。こうすることで、制御装置12は、他の風呂動作の実行中であっても、循環ポンプ10がオンのタイミングで浴槽水21を除菌し得る。
【0045】
制御装置12は、浴槽20における退浴状態を検出したとする。この場合、制御装置12は、他の風呂動作を実行していないことに基づいて、循環ポンプ10及び除菌装置60をオンにして除菌運転を実行する。制御装置12は、他の風呂動作を実行していることに基づいて、他の風呂動作中の循環ポンプ10のオン及びオフに合わせて、除菌装置60のオン及びオフを切り替える。こうすることで、給湯装置100は、他の風呂動作における循環ポンプ10の稼働時間を有効活用し、効率的に浴槽水21を除菌し得る。
【0046】
また、前述の通り、給湯装置100は、浴槽20におけるユーザの入浴及び退浴を検出するためのセンサ(水位センサ11)を備える。制御装置12は、水位センサ11の出力信号により退浴を検出した後に退浴状態が一定時間以上継続したことを検出する。また、給湯装置100は、水位センサ11の出力信号により退浴を検出した後に、退浴状態が一定時間以上継続する前に他の風呂動作の要求を受け付けたことに基づいて、他の風呂動作を実行する。このように、給湯装置100は、除菌運転よりも他の風呂動作を優先して実行し得る。給湯装置100は、他の風呂動作を実行したとしても、循環ポンプ10がオンの場合に除菌装置60をオンにすることで、浴槽水21を除菌し得る。すなわち、給湯装置100は、退浴状態の検出後に一定時間が経過する前であっても、他の風呂動作を実行し、循環ポンプ10の動作に合わせて浴槽水21を除菌し得る。
【0047】
また、制御装置12は、退浴状態の検出後に、除菌装置60がオンである時間をカウントする。制御装置12は、除菌装置60がオンである時間が予め定められた時間以上になったことに基づいて、除菌運転を終了する。除菌装置60がオンである時間のカウントは、除菌運転の時間をカウントすることを含む。さらに、除菌装置60がオンである時間のカウントは、他の風呂動作中に除菌装置がオンとなっている時間をカウントすることを含む。すなわち、制御装置12は、退浴状態の検出後に、運転モードに関わらず、除菌装置60の総稼働時間を求めていると言える。予め定められた時間は、任意の時間に設定され得る。給湯装置100は、水位センサ11の出力信号により退浴を検出した後に、退浴状態が一定時間以上継続する前に他の風呂動作の要求を受け付けたことに基づいて、カウンタをリセットしてもよい。
【0048】
また、制御装置12は、除菌運転よりも他の風呂動作を優先して行いえる。制御装置12は、除菌運転の実行中に、他の風呂動作の要求を受け付けたとする。この場合、制御装置12は、除菌運転を停止し、他の風呂動作を優先して実行する。ただし、制御装置12は、他の風呂動作の実行中も、循環ポンプ10がオンの場合、除菌装置60をオンにすることで、浴槽水21を除菌し得る。
【0049】
他の風呂動作が完了したタイミングで、除菌装置60がオンである時間が予め定められた時間以上になっていないとする。この場合、浴槽水21の除菌は不十分であるため、制御装置12は、除菌運転に移行する。制御装置12が他の風呂動作が完了したタイミングで、除菌装置60がオンである時間が予め定められた時間となっていたとする。この場合、浴槽水21の除菌は十分であるため、制御装置12は、除菌運転を実行しなくてもよい。
【0050】
制御装置12は、除菌装置60のオンオフを割り込み処理として実行し得る。この場合、制御装置12は、循環ポンプ10がオンになったことに基づいて、除菌装置60をオンにする割り込み処理を実行する。また、制御装置12は、循環ポンプ10がオフになったことに基づいて、除菌装置60をオフにする割り込み処理を実行する。このように、制御装置12は、循環ポンプ10のオンオフを割り込みのトリガーとして、除菌装置60のオンオフ処理を実行し得る。こうすることで、制御装置12は、循環ポンプ10が断続的に動作する場合であっても、除菌装置60を適切に制御し得る。
【0051】
<B.給湯システムの動作>
次に、本実施の形態に従う給湯システム300又は給湯装置100における浴槽水21の除菌処理の手順について説明する。ある実施の形態に従うと、制御装置12は、プロセッサ(図示せず)、ストレージ(図示せず)及びメモリ(図示せず)を備えてもよい。この場合、プロセッサは、図2及び図3の処理を行うためのプログラムをストレージからメモリに読み込んで、当該プログラムを実行してもよい。他の局面において、当該処理の一部または全部は、当該処理を実行するように構成された回路素子の組み合わせとしても実現され得る。図2及び図3の処理の主体は、給湯システム300、給湯装置100及び制御装置12のいずれであってもよい。これ以降の説明では、一例として、給湯装置100を各ステップの処理主体とする。
【0052】
図2は、給湯システム300における除菌運転の処理手順の一例を示す図である。ステップS210において、給湯装置100は、退浴を検知したか否かを判定する。より具体的には、給湯装置100は、水位センサ11の検出値に基づいて、ユーザが浴槽20から退浴したか否かを判定し得る。ユーザが浴槽20から退浴すると、水位センサ11の検出値は急激に変化し得る。給湯装置100は、退浴を検知したと判定した場合(ステップS210にてYES)、制御をステップS220に移す。そうでない場合(ステップS210にてNO)、給湯装置100は、制御をステップS210に移す。
【0053】
ステップS220において、給湯装置100は、除菌開始条件を満たすか否かを判定する。制御装置12のストレージには、除菌開始条件の設定ファイルが予め設定され得る。または、制御装置12が実行するプログラムに、除菌開始条件が埋め込まれてもよい。除菌開始条件は、リモートコントローラ30又は50により除菌運転を実行するように設定されていることを含む。除菌開始条件は、浴槽20に一定以上の水位があることを含む。除菌開始条件は、給湯装置100が故障していないことを含む。除菌開始条件は、除菌装置60が故障していないことを含む。除菌開始条件は、制御装置12が退浴を検知してから一定時間が経過したことを含む。除菌開始条件は、給湯装置100が特定の運転動作を行っていないことを含む。これらの条件は一例であり、除菌開始条件は、他の条件をさらに含み得る。また、除菌開始条件は、これらの条件の一部を含まなくてもよい。給湯装置100は、これらの除菌開始条件が全て満たされるか否かを判定する。給湯装置100は、除菌開始条件を満たすと判定した場合(ステップS220にてYES)、制御をステップS230に移す。そうでない場合(ステップS220にてNO)、給湯装置100は、除菌処理を終了する。
【0054】
ステップS230において、給湯装置100は、他の風呂動作を受け付けたか否かを判定する。一例として、給湯装置100は、リモートコントローラ30又は50から、他の風呂動作を受け付け得る。給湯装置100は、他の風呂動作を受け付けたと判定した場合(ステップS230にてYES)、制御をステップS240に移す。そうでない場合(ステップS230にてNO)、給湯装置100は、制御をステップS250に移す。
【0055】
ステップS240において、給湯装置100は、他の風呂動作内で除菌処理を実行する。本ステップの詳細については、図3を参照して説明する。
【0056】
ステップS250において、給湯装置100は、循環ポンプ10をオンにする。すなわち、給湯装置100は、循環ポンプ10を稼働させ、浴槽水21を浴槽20及び循環路8間で循環させる。
【0057】
ステップS260において、給湯装置100は、除菌装置60をオンにする。除菌装置60がUV-LEDである場合、給湯装置100は、UV-LEDを点灯させる。除菌装置60を通過する湯又は水は、UV光を照射されることで除菌される。給湯装置100は、ステップS250,S260の処理を実行することで、除菌運転を開始する。
【0058】
ステップS270において、給湯装置100は、除菌装置60がオンである時間が予め定められた時間以上になったか否かを判定する。すなわち、給湯装置100は、UV-LEDが点灯している時間が予め定められた時間以上になったか否かを判定する。給湯装置100は、除菌装置60がオンである時間が予め定められた時間以上になったと判定した場合(ステップS270にてYES)、制御をステップS280に移す。そうでない場合(ステップS270にてNO)、給湯装置100は、制御をステップS220に移す。
【0059】
ステップS280において、給湯装置100は、除菌装置60をオフにする。すなわち、給湯装置100は、UV-LEDを消灯させる。また、給湯装置100は、必要に応じて循環ポンプ10をオフにする。これにより、給湯装置100は、除菌運転を完了する。
【0060】
図3は、他の風呂動作中における除菌処理の処理手順の一例を示す図である。
【0061】
ステップS310において、給湯装置100は、循環ポンプ10が稼働中(オン)であるか否かを判定する。給湯装置100は、循環ポンプ10が稼働中であると判定した場合(ステップS310にてYES)、制御をステップS320に移す。そうでない場合(ステップS310にてNO)、給湯装置100は、制御をステップS370に移す。
【0062】
ステップS320において、給湯装置100は、除菌装置60をオンにする。すなわち、給湯装置100は、UV-LEDを点灯する。ステップS310,S320の処理により、給湯装置100は、他の風呂動作のために循環ポンプ10が稼働している時間を活用して、浴槽水21の除菌を行い得る。ステップS310,S320の処理は、ほぼ同時に実行されてもよい。
【0063】
ステップS330において、給湯装置100は、除菌装置60がオンである時間が予め定められた時間以上になったか否かを判定する。すなわち、給湯装置100は、UV-LEDが点灯している時間が予め定められた時間以上になったか否かを判定する。給湯装置100は、除菌装置60がオンである時間が予め定められた時間以上になったと判定した場合(ステップS330にてYES)、制御をステップS340に移す。そうでない場合(ステップS330にてNO)、給湯装置100は、制御をステップS350に移す。
【0064】
ステップS340において、給湯装置100は、除菌装置60をオフにする。除菌装置60がUV-LEDである場合、給湯装置100は、UV-LEDを消灯させる。
【0065】
ステップS350において、給湯装置100は、他の風呂動作が完了したか否かを判定する。給湯装置100は、他の風呂動作が完了したと判定した場合(ステップS350にてYES)、制御をステップS360に移す。そうでない場合(ステップS350にてNO)、給湯装置100は、制御をステップS310に移す。
【0066】
ステップS360において、給湯装置100は、通常の除菌処理に移行する。給湯装置100は、制御をステップS220に移す。ある実施の形態に従うと、給湯装置100は、除菌装置60がオンである時間が予め定められた時間以上になったことに基づいて、通常の除菌処理に移行しなくてもよい。
【0067】
ステップS370において、給湯装置100は、除菌装置60をオフにする。すなわち、給湯装置100は、循環ポンプ10が稼働していない場合は、除菌装置60をオフに保つ。
【0068】
以上説明した通り、本実施の形態に従う給湯システム300及び給湯装置100は、浴槽20における退浴状態を検出する。そして、給湯システム300及び給湯装置100は、他の風呂動作を実行していないことに基づいて、循環ポンプ10及び除菌装置60をオンにして除菌運転を実行する。また、給湯システム300及び給湯装置100は、他の風呂動作を実行していることに基づいて、他の風呂動作中の循環ポンプ10のオン及びオフに合わせて、除菌装置60のオン及びオフを切り替える。これにより、給湯システム300及び給湯装置100は、ユーザが浴槽20から退浴した後に迅速に浴槽水21を除菌し得る。また、給湯システム300及び給湯装置100は、他の風呂動作中の循環ポンプ10の稼働時間を活用して浴槽水21を除菌し得る。
【0069】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された開示内容は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0070】
1 筐体、1a 排気口、2,2a,2b バーナ、3,3a,3b ファン、4,4a,4b 熱交換器、5 入水配管、5a 入水口、5b 缶体配管、6 給湯配管、6a 出湯口、7 バイパス弁、7a バイパス配管、8 循環路、8a 戻り配管、8b 往き配管、8c 接続点、9,12T,18,19 温度センサ、10 循環ポンプ、11 水位センサ、12 制御装置、13 湯弁、13a 湯配管、14 電気配線、15,16 流量センサ、20 浴槽、21 浴槽水、25 循環アダプタ、26 排水栓、30,50 リモートコントローラ、31,51 表示部、32,52 操作部、35 人感センサ、60 除菌装置、100 給湯装置、200 浴室、300 給湯システム。
図1
図2
図3