(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148033
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/33 20060101AFI20241009BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241009BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20241009BHJP
H01L 33/60 20100101ALN20241009BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/30 337
G09F9/30 348A
G09F9/30 349D
H01L33/62
H01L33/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060913
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 光一
(72)【発明者】
【氏名】今関 佳克
(72)【発明者】
【氏名】上條 陽一
(72)【発明者】
【氏名】大澤 修一
(72)【発明者】
【氏名】亀井 義史
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
【Fターム(参考)】
5C094AA10
5C094BA03
5C094BA25
5C094CA19
5C094DB01
5C094ED11
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB02
5C094FB12
5C094FB15
5C094JA01
5F142AA04
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD17
5F142CD25
5F142CD32
5F142CD43
5F142CD44
5F142CE04
5F142CE06
5F142CE13
5F142CE32
5F142CG03
5F142CG27
5F142DB24
5F142FA03
5F142FA21
5F142GA02
5F142HA03
(57)【要約】
【課題】表示装置の性能を向上させる。
【解決手段】表示装置DSP1は、LED素子(無機発光ダイオード素子)20の第1電極と電気的に接続されている端子TM1と、LED素子20の電極20E2と電気的に接続されている端子TM2と、を有している。平面視において、端子TM1はLED素子20と重なる位置に配置され、端子TM2は、LED素子20の周囲を連続的に囲むように配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面に配置された第1電極、および前記第1主面の反対側の第2主面に配置された第2電極を有している第1無機発光ダイオード素子と、
前記第1電極と電気的に接続されている第1端子と、
前記第2電極と電気的に接続されている第2端子と、
前記第1端子、前記第1無機発光ダイオード素子、および前記第2端子を覆う第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に配置され、前記第1無機発光ダイオード素子の前記第2電極、および前記第2端子のそれぞれと電気的に接続されている第1導体パターンと、
を有し、
平面視において、
前記第1端子は前記第1無機発光ダイオード素子と重なる位置に配置され、
前記第2端子は、前記第1無機発光ダイオード素子の周囲を連続的に囲むように配置されている、表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2端子は、第1金属層に覆われ、
平面視において、前記第1金属層は、前記第1無機発光ダイオード素子の周囲を連続的に囲むように配置されている、表示装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1端子および前記第2端子は、第2絶縁層の第1面の上に配置され、
前記第2絶縁層の第1面を基準面とすると、前記第1金属層の頂部の前記基準面からの高さは、前記第1無機発光ダイオード素子の発光層の前記基準面からの高さよりも高い、表示装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1金属層の頂部の前記基準面からの高さは、前記第1無機発光ダイオード素子の前記第2主面の前記基準面からの高さ以下である、表示装置。
【請求項5】
請求項2において、
前記第1端子および前記第2端子は、第2絶縁層の第1面の上に配置され、
前記第1金属層の頂部から前記第2端子までの距離は、前記第2端子の厚さよりも大きい、表示装置。
【請求項6】
請求項2において、
前記第1金属層は、前記第1絶縁層を介して前記第1無機発光ダイオード素子と対向する第1側面を有し、
前記第1側面は曲面を成す、表示装置。
【請求項7】
請求項2において、
前記第1端子と前記第1無機発光ダイオード素子の前記第1電極との間には、バンプ電極が形成され、前記第1端子は、前記バンプ電極を介して前記第1電極と電気的に接続され、
前記バンプ電極を構成する材料は、少なくとも一部に前記第1金属層を構成する材料と同一の材料を含んでいる、表示装置。
【請求項8】
請求項2において、
平面視において、前記第1金属層は、円環形状を成す、表示装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記第1主面、前記第2主面、前記第1電極、および前記第2電極を有している第2無機発光ダイオード素子と、
前記第2無機発光ダイオード素子の前記第1電極と電気的に接続されている第3端子と、
を更に有し、
前記第2端子は、前記第2無機発光ダイオード素子の前記第2電極と電気的に接続され、
平面視において、
前記第3端子は前記第2無機発光ダイオード素子と重なる位置に配置され、
前記第2端子は、第1開口部および前記第1開口部と離間している第2開口部を有し、
前記第1無機発光ダイオード素子は、前記第1開口部内に配置され、
前記第2無機発光ダイオード素子は、前記第2開口部内に配置されている、表示装置。
【請求項10】
請求項8において、
前記第2端子は、金属層に覆われ、
平面視において、前記金属層は、前記第1無機発光ダイオード素子の周囲を連続的に囲むように配置されている、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置として、基板上に、自発光素子である発光ダイオード素子が行列上に配列されたLED(Light Emitting Diode)表示装置がある。例えば、特開2021-48373号公報(特許文献1)には、マイクロLEDの周囲に金属層が配置された表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LED表示装置は、基板上に搭載された複数のLED素子を光源として利用する。複数のLED素子のそれぞれは、周囲の全方位に向かって光を出射する。表示装置の消費電力を向上させる観点からは、LED素子から基板の方向に向かって出射される光を表示装置の前面側に向かって反射させる事が好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である表示装置は、第1主面に配置された第1電極、および前記第1主面の反対側の第2主面に配置された第2電極を有している第1無機発光ダイオード素子と、前記第1電極と電気的に接続されている第1端子と、前記第2電極と電気的に接続されている第2端子と、前記第1端子、前記第1無機発光ダイオード素子、および前記第2端子を覆う第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に配置され、前記第1無機発光ダイオード素子の前記第2電極、および前記第2端子のそれぞれと電気的に接続されている第1導体パターンと、を有している。平面視において、前記第1端子は前記第1無機発光ダイオード素子と重なる位置に配置され、前記第2端子は、前記第1無機発光ダイオード素子の周囲を連続的に囲むように配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態である表示装置の構成例を示す平面図である。
【
図2】
図1に示す画素周辺の回路の構成例を示す回路図である。
【
図3】
図1に示す表示装置の複数の画素のそれぞれに配置されるLED素子の周辺構造の一例を示す透過拡大平面図である。
【
図4】
図3に示す3つの画素(副画素)のうちの一つをさらに拡大して示す透過拡大平面図である。
【
図6】
図5に示すLED素子から出射した光の進行方向を模式的に示す拡大断面図である。
【
図7】
図6に対する変形例を示す拡大断面図である。
【
図8】
図7に示す表示装置の透過拡大平面図である。
【
図10】
図8に対する変形例を示す透過拡大平面図である。
【
図11】
図4に対する変形例を示す透過拡大平面図である。
【
図15】表示装置の製造方法の一例を示すフロー図である。
【
図16】
図15に示す第1金属層形成工程を示す拡大断面図である。
【
図17】
図15に示す第1メッキ工程を示す拡大断面図である。
【
図18】
図15に示す第2メッキ工程を示す拡大断面図である。
【
図19】
図15に示す第2金属層形成工程を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一または関連する符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
以下の実施の形態では、複数の無機発光素子を用いた表示装置の例として、複数のマイクロLED素子を備えるマイクロLED表示装置を取り上げて説明する。マイクロLED素子は、一般的なLED素子と比較して素子のサイズ(外径寸法)が小さいので、高精細な画像を表示できるというメリットがある。
【0009】
なお、自発光素子である発光ダイオード素子として、有機発光ダイオード素子(OLED:Organic Light-Emitting Diode)がある。以下の実施の形態で説明する無機発光ダイオード素子(マイクロLED素子)は、有機発光ダイオード素子とは区別される。無機発光ダイオード素子を用いた表示装置の場合、有機発光ダイオード素子を用いた表示装置と比較してLED素子の信頼性が高いので、高輝度化が要求される用途での利用が期待されている。
【0010】
<表示装置>
まず、本実施の形態の表示装置であるマイクロLED表示装置の構成例について説明する。
図1は、一実施形態である表示装置の構成例を示す平面図である。
図1では、表示領域DAと周辺領域PFAとの境界、制御回路5、駆動回路6、および複数の画素PIXのそれぞれを二点鎖線で示している。
図2は、
図1に示す画素周辺の回路の構成例を示す回路図である。なお、
図2に示す画素回路PCは、
図1に示す一つの画素PIXに対応する等価回路の一例を示している。
【0011】
図1には、X方向およびY方向が示されている。X方向およびY方向は、互いに交差している。以下で説明する例においては、X方向はY方向に直交する。以下では、X方向およびY方向を含むX-Y平面を表示装置の表示面に対して平行な面として説明する。以下の説明において、特に異なる意味で解釈すべきことを明示した場合を除き、「平面視」とは、X-Y平面に対して平行な面を視た場合を意味する。また、後述するように、X-Y平面に対する法線方向のことを「Z方向」または厚さ方向として説明する。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差する方向であり、より特定的には互いに直交する方向である。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態の表示装置DSP1は、表示領域DAと、表示領域DAの周囲を枠状に囲む周辺領域PFAと、表示領域DA内に行列上に配列された複数の画素PIXと、を有している。また、表示装置DSP1は、基板10と、基板10上に形成された制御回路5と、基板10上に形成された駆動回路6と、を有している。
【0013】
制御回路5は、表示装置DSP1の表示機能の駆動を制御する制御回路である。例えば、制御回路5は、基板10上に実装されたドライバIC(Integrated Circuit)である。
図1に示す例では、制御回路5は、基板10が備える4辺のうち、一つの短辺に沿って配置されている。また、本実施の形態の例では、制御回路5は、複数の画素PIXに接続される映像信号線VL(
図2参照)を駆動する信号線駆動回路(映像ドライバ)を含んでいる。ただし、制御回路5の位置および構成例は、
図1に示す例には限定されず、種々の変形例がある。例えば、
図1において、制御回路5として示す位置に、フレキシブル基板などの回路基板が接続され、上記したドライバICは、回路基板上に搭載されている場合がある。また例えば、映像信号線VLを駆動する信号線駆動回路は、制御回路5とは別に形成されている場合がある。
【0014】
駆動回路(走査ドライバ)6は、複数の画素PIXのうち、走査信号線GLを駆動する回路である。駆動回路6は、制御回路5からの制御信号に基づいて、複数の走査信号線GLを駆動する。
図1に示す例では、駆動回路6は、基板10が備える4辺のうち、二つの長辺のそれぞれに沿って配置されている。
図1に示す例では、平面視において、表示領域DAは、二つの駆動回路6の間に配置されている。ただし、駆動回路6の位置および構成例は、
図1に示す例には限定されず、種々の変形例がある。例えば、
図1において、制御回路5として示す位置に、フレキシブル基板などの回路基板が接続され、上記した駆動回路6が回路基板上に搭載されている場合がある。
【0015】
次に、
図2を用いて
図1に示す画素PIXを駆動する画素回路PCの構成例について説明する。なお、
図2では、一つの画素を駆動する一つの画素回路PCを代表的に取り上げて図示している。
図1に示す複数の画素PIXのそれぞれが、
図2に示す画素回路PCと同様の回路を備えている。画素回路PCは、制御回路5(
図1参照)から供給される映像信号Vsgに応じてLED素子20の発光状態を制御する電圧信号方式の回路である。
【0016】
図2に示すように、画素PIXは、LED素子20を備えている。LED素子20は、上記したマイクロ発光ダイオードである。LED素子20はアノード電極20EAおよびカソード電極20ECを有している。
【0017】
表示装置DSP1は、表示領域DAにおいて複数種類の配線を備えている。これら配線は、複数の走査信号線GLS,GLR,GLBと、複数の映像信号線VLと、複数の電源線PL1と、複数の電源線PL2と、複数のリセット配線RSLとを含む。
【0018】
走査信号線GLS,GLR,GLBは、X方向に延びており、駆動回路6に接続されている。例えば、
図1に示すように、Y方向に並ぶ画素PIXのうち、偶数番目の画素PIXを駆動するための走査信号線GLS,GLR,GLBが一方の駆動回路6に接続され、奇数番目の画素PIXを駆動するための走査信号線GLS,GLR,GLBが他方の駆動回路6に接続されている。他の例として、例えば走査信号線GLS,GLRが全て一方の駆動回路6に接続されるとともに走査信号線GLBが全て他方の駆動回路6に接続されるなど、走査信号線GLS,GLR,GLBのいずれかが一方の駆動回路6に接続され、残りが他方の駆動回路6に接続されている場合もある。
【0019】
映像信号線VL、電源線PL1,PL2およびリセット配線RSLは、Y方向に延びている。映像信号線VLは、制御回路5(
図1参照)に接続されている。映像信号線VLには、制御回路5から映像信号Vsgと初期化信号が供給される。電源線PL1には、制御回路5から高電位Pvddが供給される。電源線PL2には、制御回路5から高電位Pvddよりも低い低電位Pvssが供給される。リセット配線RSLには、制御回路5からリセット信号Vrsが供給される。
【0020】
制御回路5は、駆動回路6に図示しないスタートパルス信号やクロック信号を出力する。駆動回路6は複数のシフトレジスタ回路を含んでおり、クロック信号に応じてスタートパルス信号を次段のシフトレジスタ回路に順次転送し、各走査信号線GLS,GLR,GLBに走査信号を順次供給する。
【0021】
画素回路PCは、映像信号線VLに供給される映像信号Vsgに応じてLED素子20を制御する。このような制御を実現するために、本実施形態における画素回路PCは、リセットトランジスタ(スイッチング素子)RST、画素選択トランジスタ(スイッチング素子)SST、出力トランジスタ(スイッチング素子)BCT、駆動トランジスタ(スイッチング素子)DRT、保持容量Csおよび補助容量Cadを有している。補助容量Cadは発光電流量を調整するために設けられる素子であり、場合によっては不要となることもある。
【0022】
リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)から成るスイッチング素子である。薄膜トランジスタの導電型は特に限定されず、例えば、全てのトランジスタがNチャネル型のTFTにより構成されている場合もあるし、これらの少なくとも1つがPチャネル型のTFTにより構成されている場合もある。
【0023】
本実施形態において、リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、同一工程かつ同一層構造で形成され、半導体層に多結晶シリコンを用いたボトムゲート構造を有している。他の例として、リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、トップゲート構造を有してもよい。なお、半導体層としては、酸化物半導体や多結晶GaN半導体などを用いる場合がある。
【0024】
リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、ソース電極、ドレイン電極、およびゲート電極を有している。各トランジスタが備えているゲート電極は制御電極と言い換えることができる。また、各トランジスタが備えているソース電極およびドレイン電極は、単に電極と言い換えることができる。
【0025】
駆動トランジスタDRTおよび出力トランジスタBCTは、電源線PL1と電源線PL2の間でLED素子20と直列に接続されている。電源線PL1に供給される高電位Pvddは例えば10Vに設定され、電源線PL2に供給される低電位Pvssは例えば1.5Vに設定されている。
【0026】
出力トランジスタBCTのドレイン電極は、電源線PL1に接続されている。出力トランジスタBCTのソース電極は、駆動トランジスタDRTのドレイン電極に接続されている。出力トランジスタBCTのゲート電極は、走査信号線GLBに接続されている。出力トランジスタBCTは、走査信号線GLBに与えられる制御信号Gsbによりオン、オフされる。ここで、オンは導通状態を表し、オフは非導通状態を表す。出力トランジスタBCTは、制御信号Gsbに基づきLED素子20の発光時間を制御する。
【0027】
駆動トランジスタDRTのソース電極は、LED素子20の一方の電極(ここでは陽極)に接続されている。LED素子20の他方の電極(ここでは陰極)は、電源線PL2に接続されている。駆動トランジスタDRTは、映像信号Vsgに応じた駆動電流をLED素子20に出力する。
【0028】
画素選択トランジスタSSTのソース電極は、映像信号線VLに接続されている。画素選択トランジスタSSTのドレイン電極は、駆動トランジスタDRTのゲート電極に接続されている。画素選択トランジスタSSTのゲート電極は、信号書き込み制御用のゲート配線として機能する走査信号線GLSに接続されている。画素選択トランジスタSSTは、走査信号線GLSから供給される制御信号Gssによりオン、オフされ、画素回路PCと映像信号線VLの接続および非接続を切り替える。すなわち、画素選択トランジスタSSTがオンされることにより、映像信号線VLの映像信号Vsgまたは初期化信号が駆動トランジスタDRTのゲート電極に供給される。
【0029】
リセットトランジスタRSTのソース電極は、リセット配線RSLに接続されている。リセットトランジスタRSTのドレイン電極は、駆動トランジスタDRTのソース電極およびLED素子20の陽極に接続されている。リセットトランジスタRSTのゲート電極は、リセット制御用ゲート配線として機能する走査信号線GLRに接続されている。リセットトランジスタRSTは、走査信号線GLRから供給される制御信号Grsによりオン、オフされる。リセットトランジスタRSTがオンに切り替えられることにより、駆動トランジスタDRTのソース電極およびLED素子20の陽極の電位をリセット配線RSLのリセット信号Vrsにリセットすることができる。すなわち、リセット配線RSLは、LED素子20の電圧をリセットするための配線である。
【0030】
保持容量Csは、駆動トランジスタDRTのゲート電極とソース電極の間に接続されている。補助容量Cadは、駆動トランジスタDRTのソース電極と電源線PL2の間に接続されている。
【0031】
制御信号Gss,Grs,Gsbは、駆動回路6が上述のスタートパルス信号およびクロック信号に基づいて、各ライン(X方向に並ぶ一連の画素PIX)の走査信号線GLS,GLR,GLBに対し順次供給される。また、
図2に示した制御回路5から供給される信号に基づいて、制御回路5が各映像信号線VLに映像信号Vsgおよび初期化信号を順次供給する。映像信号Vsgの供給に伴い保持容量Csに保持された電荷は、初期化信号の供給に伴い初期化される。
【0032】
以上のような構成においては、走査信号線GLS,GLR,GLBに供給される制御信号Gss,Grs,Gsbによって画素回路PCが駆動され、映像信号線VLの映像信号Vsgに応じた輝度でLED素子20が発光する。
【0033】
<LED素子の周辺構造>
次に、
図1に示す画素PIXに配置されるLED素子の周辺構造について説明する。
図3は、
図1に示す表示装置の複数の画素のそれぞれに配置されるLED素子の周辺構造の一例を示す透過拡大平面図である。
図4は、
図3に示す複数の画素(副画素)のうちの一つをさらに拡大して示す透過拡大平面図である。
図5は、
図4のA-A線に沿った拡大断面図である。
図3では、LED素子20および導体パターンCP1を実線で示し、
図5に示す配線層WL3に配置された導体パターンを点線で示している。
図4では、LED素子20および
図5に示す配線層WL3に配置された導体パターンを実線で示し、配線層WL2に配置された導体パターン、および配線層WL3と配線層WL4とを電気的に接続するコンタクトホールを点線で示している。また、
図3に示す画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのそれぞれは同じ構造を有している。このため、
図4および
図5では、代表例として一つの画素PIX(
図4参照)の構造を示し、画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのそれぞれに対応する符号を付している。
【0034】
また、
図2に示す画素回路PCは、
図3に示す画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのそれぞれに対応した回路である。したがって、
図3に示す画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのそれぞれは、
図2を用いて説明したリセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTを備えている。同様に、
図3に示す画素PIXA、画素PIXB、および画素PIXCのそれぞれは、
図2を用いて説明した保持容量Csおよび補助容量Cadを有している。
【0035】
表示装置DSP1は、基板10(
図5参照)の上に積層された複数の配線層を備えた基板構造体SUB1と、基板構造体SUB1の上に搭載された複数のLED素子(無機発光ダイオード素子)20と、を有している。表示装置DSP1は、基板構造体SUB1上に搭載された複数のLED素子20のそれぞれを駆動することにより、画像を表示する。
【0036】
図5に示す基板10は、面10fおよび面10fの反対側の面10bを有する。複数の配線層および複数の絶縁層は、基板10の面10f上に積層されている。基板10は、例えばガラスから成るガラス基板である。ただし、基板10を構成する材料には種々の変形例があり、例えば、樹脂からなる樹脂基板を用いる場合もある。
【0037】
図5に示す例の場合、表示装置DSP1が備えている複数の配線層は、配線層WL4から基板10に向かって順に積層された、配線層WL4、配線層WL3、配線層WL2、および配線層WL1を有している。また、表示装置DSP1が備えている複数の絶縁層は、基板10の面10f上から順に積層された絶縁層11,12,13,14,15を有している。
【0038】
絶縁層11は薄膜トランジスタの下地層であり、無機材料から成る無機絶縁層である。配線層WL1は、絶縁層11上に配置され、絶縁層12に覆われている。配線層WL1に形成された導体パターンは、
図5に示すゲート電極EGや、
図2を用いて説明した走査信号線GLB,GLS,GLRなどを含んでいる。絶縁層12も無機材料から成る無機絶縁層である。絶縁層12のうち、トランジスタのゲート電極EGと半導体層50との間に配置されている部分は、ゲート絶縁膜として機能する。
【0039】
ゲート電極EGを含む駆動トランジスタDRTは、半導体層50、ゲート電極EG、ソース電極ES、およびドレイン電極EDを有している。
図5に示す例では、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタを一例として示しているが、変形例としてトップゲート構造とする場合もある。ゲート電極EGは、絶縁層11上に配置されている。半導体層50は、絶縁層12上に配置されている。半導体層50の一部分はソース領域に相当し、ソース領域にはソース電極ESが接続されている。半導体層50の他の一部分はドレイン領域に相当し、ドレイン領域にはドレイン電極EDが接続されている。ソース領域とドレイン領域との間の領域は、チャネル領域として機能する。
【0040】
配線層WL2は、駆動トランジスタDRTを覆う絶縁層13上に配置されている。絶縁層13は無機材料から成る無機絶縁層である。配線層WL2に形成された導体パターンは、複数のトランジスタのそれぞれに接続された配線を含んでいる。例えば、
図5に示すように、駆動トランジスタDRTのソース電極ESに接続された配線パターンMW1、および駆動トランジスタDRTのドレイン電極EDに接続された配線パターンMW2は、配線層WL2に含まれる。また、配線層WL2に形成された導体パターンは、
図2に示す映像信号線VLと、電源線PL1と、電源線PL2と、リセット配線RSLとを含んでいる。
【0041】
配線層WL2を覆う絶縁層14、および絶縁層14上に積層されている絶縁層15のそれぞれは、有機材料から成る有機絶縁膜である。絶縁層14は、配線層WL2と配線層WL3との間に配置された絶縁層である。絶縁層15は、配線層WL3と配線層WL4との間に配置された絶縁層である。
図5に示すように配線層WL2と配線層WL3との電気的な接続、および配線層WL3と配線層WL4との電気的な接続には、コンタクトホールCHが用いられる。有機絶縁層は、無機絶縁層と比較した開口部(例えばコンタクトホール)に対する埋め込み特性が優れている。言い換えれば、有機絶縁層の場合、下地に開口部があった場合でも、上面を平坦化し易い。このため、多数のコンタクトホールCHが形成されている絶縁層14および絶縁層15のそれぞれは有機材料から成る。
【0042】
また、LED素子20は絶縁層15により封止されている。言い換えれば、絶縁層15は、LED素子20を封止する封止材として利用されている。封止材としての絶縁層15を有機材料とすることで、LED素子20と絶縁層15との間に隙間が生じ難くなるので、封止特性を向上させることができる。
【0043】
配線層WL3は、絶縁層14上に配置されている。配線層WL2に形成された導体パターンは、LED素子20の電極20E1に接続された端子TM1、およびLED素子20の電極20E2に接続された端子TM2を含んでいる。詳しくは、端子TM1とLED素子20の電極20E1との間には、バンプ電極MB1が形成され、端子TM1は、バンプ電極MB1を介して電極20E1と電気的に接続されている。
バンプ電極MB1は、例えば金属の積層膜から成る。バンプ電極MB1の一例として、端子TM1側から順に銅膜、ニッケル膜、および錫膜が積層された積層膜を例示することができる。
【0044】
また、端子TM1は、金属から成り、絶縁層14に形成されたコンタクトホールCH1を介して配線層WL2の配線パターンMW1と電気的に接続されている。端子TM2は、金属から成り、絶縁層14に形成されたコンタクトホールCH3(
図4参照)を介して配線層WL2の電源線PL2と電気的に接続されている。
【0045】
配線層WL1、配線層WL2、および配線層WL3のそれぞれに形成されている導体パターンは、金属から成る金属パターンである。金属パターンの一例としては、例えば、下層から順にチタン膜、アルミニウム膜、チタン膜の積層膜から成るTAT膜、あるいは、チタン膜およびアルミニウム膜の積層膜等を例示することができる。
【0046】
配線層WL4は、絶縁層15上に配置されている。配線層WL4は、LED素子20の電極20E2、および端子TM2のそれぞれと電気的に接続されている導体パターンCP1を含んでいる。導体パターンCP1は、絶縁層15に形成されたコンタクトホールCH2を介して端子TM2と電気的に接続されている。
【0047】
配線層WL4は、複数の配線層のうち、最上層に配置された配線層である。配線層WL4は、LED素子20よりも前面側(表示面側)に配置されているので、配線層WL2に形成された導体パターンCP1には、可視光透過性が要求される。このため、導体パターンCP1は、可視光透過性を備えた、所謂、透明導電性材料から成る。透明導電性材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide)を例示することができる。また、LED素子20から出射された光が導体パターンCPのパターン端部で屈折または散乱することを抑制することが好ましい。このため、導体パターンCP1は、少なくとも、LED素子20の全体を覆うように形成されている。また、複数の画素PIX(
図1参照)のそれぞれにおいて、導体パターンCP1が絶縁層15の全体を覆うように形成されていることが好ましい。また、複数の画素PIXに跨って導体パターンCP1が形成されていることが特に好ましい。
【0048】
図3に示すように表示装置DSP1は複数のLED素子20を有している。
図3では、表示装置が有する複数のLED素子20のうち、LED素子20Aと、LED素子20Aの隣に配置されているLED素子20Bと、LED素子20Bの隣に配置されているLED素子20Cと、を図示している。
【0049】
複数のLED素子20のぞれぞれは、
図5に示すように、面20bに配置された電極20E1、および面20bの反対側の面20fに配置された電極20E2を有している。
図5に示す電極20E1は、例えば
図2に示すアノード電極20EAである。また、
図5に示す電極20E2は、例えば
図2に示すカソード電極20ECである。また、LED素子20は、面20fと面20bとの間に、発光層20LLを有している。発光層20LLで発生した光は、発光層20LLの周囲の全方位に向かって出射される。
【0050】
LED素子20は、複数の配線層のうち、配線層WL3の上に搭載されている。また、表示装置DSP1の基板構造体SUB1は、スイッチング素子としてのトランジスタを有している。
図5では、基板10の上に配置されたスイッチング素子の例として、駆動トランジスタDRTを図示している。ただし、基板10の上(詳しくは絶縁層11の上)には、
図2を用いて説明したリセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCT、および駆動トランジスタDRTのそれぞれが配置されている。
図2に示す、リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCT、および駆動トランジスタDRTのそれぞれは、
図5に示す駆動トランジスタDRTと同様な構造になっている。
【0051】
また、上記したように、表示装置DSP1は、電極20E1と電気的に接続されている端子TM1と、電極20E2と電気的に接続されている端子TM2と、端子TM1、LED素子20、および端子TM2を覆う絶縁層15と、絶縁層15の上に配置され、LED素子20の電極20E2、および端子TM2のそれぞれと電気的に接続されている導体パターンCP1と、を有している。
【0052】
図6は、
図5に示すLED素子から出射した光の進行方向を模式的に示す拡大断面図である。
図6では、
図5に示す配線層WL3と基板10との間の各層の図示を省略し、単に、基板構造体SUB1として図示している。
【0053】
図6に示すように、LED素子20の発光層20LLで発生した光は、発光層20LLの周囲の全方位に向かって出射される。したがって、表示装置DSP1の輝度を向上させる観点からは、LED素子20から基板構造体SUB1の方向に向かう光を表示面側には反射させることが好ましい。ただし、光を反射させるための専用部材を設ける場合、製造効率が低下する原因になる。
【0054】
本実施の形態の場合、
図4に示すように、平面視において、端子TM1は電極20E1と重なる位置に配置され、端子TM2は、LED素子20の周囲を連続的に囲むように配置されている。言い換えれば、本実施の形態の場合、端子TM2の形状を工夫し、LED素子20の周囲を連続的に囲むように配置することで、端子TM2を光反射部材として利用している。
【0055】
図6に示すように、LED素子20から出射した光のうち、端子TM2に照射された光は、端子TM2により反射されて、基板構造体SUB1から離れる方向(言い換えれば表示装置DSP1の観察者の方向)に向かって進む。このため、表示装置DSP1の輝度向上に寄与する光を増加させることができる。
【0056】
また、
図4に示すように、端子TM2は、LED素子20の周囲を連続的に囲むように配置されている。言い換えれば、端子TM2は、途中で分断されない枠形状(または環形状)を成す。このため、平面視において、LED素子20から全方位に向かって出射される光は、端子TM2により反射され易い。
【0057】
上記の通り、本実施の形態によれば、端子TM2を可視光反射部材として利用することにより、表示装置DSP1の輝度(詳しくは正面輝度)を向上させることができる。表示装置DSP1は、構造的に輝度を向上させることができるので、消費電力を低減させることができる。表示装置DSP1は、消費電力を低減させることができるので、LED素子20の発熱量が低減する。この結果、熱に起因する故障等の発生を抑制できるので、製品寿命を長寿命化することができる。
【0058】
また、端子TM2により光を反射させる方法の場合、光反射用の専用部材を形成する場合と比較して、製造工程の複雑化を抑制できる。表示装置DSP1の製造方法において、端子TM2を形成する工程は、可視光の反射を考慮しない場合でも必要不可欠であり、端子TM2の形状を変更することに伴う製造工程の追加は生じないからである。なお、端子TM2は、端子TM1と同じ材料から成る。したがって、表示装置DSP1の製造方法において、端子TM2は、端子TM1と一括して形成される。
【0059】
ところで、端子TM1の場合、複数の画素PIXにおいて固有の電位が供給されるため、端子TM1の面積を大きくする場合、配線層WL3における配線レイアウト上の制約が大きくなる。一方、端子TM2は、
図2に示すLED素子20のカソード電極20ECに接続される端子であり、複数の画素PIXにおいて共通の電位が供給されている。このため、端子TM2は、端子TM1の周囲を囲むように配置した場合でも、配線レイアウト上の制約が生じにくい。
【0060】
なお、
図3に示すように、表示装置DSP1は、複数の画素PIXのそれぞれにLED素子20を備えている。例えば、表示装置DSP1は、画素PIXAに搭載されたLED素子20Aと、画素PIXBに搭載されたLED素子20Bと、画素PIXCに搭載されたLED素子20Cと、を有している。LED素子20A,20B,20Cのそれぞれは、
図5に示す面20fおよび面20bを有している。また、LED素子20A,20B,20Cのそれぞれは、
図5に示す電極20E1および電極20E2を有している。
【0061】
LED素子20Aの電極20E1(
図5参照)は、端子TM1に接続され、LED素子20Aの電極20E2(
図5参照)は、導体パターンCP1(
図5参照)を介して端子TM2に接続されている。
【0062】
LED素子20Bの電極20E1(
図5参照)は、端子TM3に接続され、LED素子20Bの電極20E2(
図5参照)は、導体パターンCP1(
図5参照)を介して端子TM4に接続されている。
【0063】
LED素子20Cの電極20E1(
図5参照)は、端子TM5に接続され、LED素子20Cの電極20E2(
図5参照)は、導体パターンCP1(
図5参照)を介して端子TM6に接続されている。
【0064】
重複する説明は省略するが、
図3に示す端子TM3および端子TM5は、上記した端子TM1に対応し、端子TM1と同一な形状を有する。
図3に示す端子TM4および端子TM6は、上記した端子TM2に対応し、端子TM2と同一な形状を有する。
【0065】
上記したように、導体パターンCP1には、複数の画素PIXにおいて共通の電位が供給される。このため導体パターンCP1は、端子TM2、端子TM4、および端子TM6のそれぞれに接続されている。
【0066】
<変形例1>
次に、
図1~
図6を用いて説明した表示装置DSP1の変形例について説明する。
図7は、
図6に対する変形例を示す拡大断面図である。
図8は、
図7に示す表示装置の透過拡大平面図である。
図9は、
図8のB-B線に沿った拡大断面図である。なお、
図8は、
図4の拡大平面図に対応する変形例であり、
図9は、
図5に対応する変形例である。
図7では、端子TM2,TM4と金属層30との識別を容易にするため、端子TM2,TM4の輪郭を二点鎖線で示し、金属層30の輪郭を実線で示している。他の部材は、
図4と同様の線種で示している。
【0067】
図7~
図9に示す表示装置DSP2は、以下の点で
図4~
図6に示す表示装置DSP1と相違する。すなわち、表示装置DSP2が備えている端子TM2は、金属層30に覆われている。また、
図8に示すように、平面視において、金属層30は、LED素子20の周囲を連続的に囲むように配置されている。
図7に示すように、端子TM2が金属層30に覆われている場合、LED素子20から出射される光は金属層30により反射される。表示装置DSP2が備える金属層30に照射される光の量は、
図6に示す表示装置DSP1が備える端子TM2に照射される光の量よりも多い。この結果、表示装置DSP2の場合、
図6に示す表示装置DSP1と比較して、表示装置DSP2の観察者の方向に向かって進む光の量が増加するので、輝度を向上させることができる。
【0068】
金属層30を構成する材料は、少なくとも表層の材料が可視光を反射させることが可能な材料になっていれば特に限定されない。後述するように、金属層30を形成する工程における製造効率を向上させる観点からは、バンプ電極MB1を構成する材料は、少なくとも一部に金属層30を構成する材料と同一の材料を含んでいることが好ましい。本実施の形態の場合、金属層30は、例えばニッケルから成る。バンプ電極MB1は、上記したように、端子TM1側から順に銅膜、ニッケル膜、および錫膜が積層された積層膜から成る。このため、金属層30を構成する材料(例えばニッケル)は、バンプ電極MB1を構成する材料に含まれている。
【0069】
バンプ電極MB1を構成する銅、ニッケル、および錫のうち、ニッケルを選択したのは、ニッケルが銅および錫と比較して酸化し難い材料だからである。金属層30の表面に酸化膜が形成されることにより、金属層表面の可視光反射特性の低下を抑制できる。
【0070】
なお、本実施の形態の場合、金属層30は、ニッケルの単一の膜であるが、例えば端子TM2側から順に、銅膜およびニッケル膜の積層膜とする場合もある。銅膜が金属層30の表層に露出していない場合には、銅膜は、可視光の反射には直接的には寄与しないので、銅膜の全体がニッケル膜で覆われていることが好ましい。
【0071】
ところで、金属層30は、以下のような構造を備えていることが特に好ましい。まず、
図9に示すように、端子TM2は、絶縁層14の面14fの上に配置されている。絶縁層14の面14fを基準面とすると、金属層30の頂部の基準面(面14f)からの高さH30は、LED素子20の発光層20LLの基準面(面14f)からの高さH20LLよりも高い。
高さH30を高くすることにより金属層30に照射される光の量を増大させることができる。特に、
図9に示すように、高さH30が高さH20LLよりも高い場合、発光層20LLから水平方向(X方向およびY方向を含むX-Y平面に沿った方向)に進む光が確実に金属層30に照射される。
【0072】
図9に示す金属層30の頂部の高さ、言い換えれば、金属層30の厚さの程度に関し、以下のように表現することができる。すなわち、金属層30の頂部から端子TM2までの距離D30は、端子TM2の厚さTTM2よりも大きい。
さらに、
図9に示す金属層30の構造は、LED素子20の電極20E1から端子TM1までの距離D20E1を用いて以下のように表現することができる。すなわち、金属層30の頂部から端子TM2までの距離D30は、LED素子20の電極20E1から端子TM1までの距離D20E1よりも大きい。
【0073】
一方、
図9に示すように、金属層30の頂部の基準面(面14f)からの高さH30は、LED素子20の面20fの基準面(面14f)からの高さH20f以下である。上記したように金属層30の頂部の高さH30が高くなれば、金属層30に照射される光のりょうが増大する。しかし、金属層30の高さH30が極端に高くなると、以下のような課題を生じる可能性がある。
【0074】
例えば、金属層30を覆うように形成された絶縁層15は、絶縁層14との界面の反対側に位置する面15fを有している。導体パターンCP1の形成し易さを考慮すると、面15fは平坦な面であることが好ましい。ただし、コンタクトホールCH2の部分は除く。ところが、金属層30の高さH30が極端に高くなると、面15fの平坦性が局所的に損なわれる可能性がある。
【0075】
そこで、
図9に示すように、金属層30の頂部の基準面(面14f)からの高さH30は、LED素子20の面20fの基準面(面14f)からの高さH20f以下であることが特に好ましい。
【0076】
また、
図9に示すように、金属層30は、絶縁層15を介してLED素子20と対向する側面30s1を有している。
図9に示す例の場合、金属層30と絶縁層14との境界は、ドーム形状となっているので、側面30s1の範囲は、金属層30と絶縁層14と絶縁層15とが交わる下端から金属層30の頂部までとして定義できる。
図9に示す例の場合、側面30s1は曲面を成す。
【0077】
金属層30の側面30s1が曲面を成す場合、側面30s1に照射された光を表示装置DSP2の観察者がいる方向に反射させ易い。この結果、表示装置DSP2の正面輝度を向上させることができる。
【0078】
図7~
図9に示す表示装置DSP2は、上記した相違点を除き、
図1~
図6を用いて説明した表示装置DSP1と同様である。したがって、重複する説明は省略する。
【0079】
<変形例2>
次に、
図7~
図9を用いて説明した表示装置DSP2の変形例について説明する。
図10は、
図8に対する変形例を示す透過拡大平面図である。
【0080】
図10に示す表示装置DSP3は、平面視において、金属層30が円環形状を成す点で
図8に示す表示装置DSP2と相違する。詳しくは、表示装置DSP3が備えている端子TM2、および端子TM2上に形成されている金属層30のそれぞれは、平面視において円環形状を成す。
【0081】
LED素子20から出射される光は周囲に拡散する。このため、円環状に形成された金属層30で光を反射させることにより、輝度のムラを低減させることができる。また、金属層30は、端子TM2の形状に倣って形成されている。このため、端子TM2を円環状に形成することにより、金属層30の平面形状を容易に円環形状とすることができる。
【0082】
図10に示す表示装置DSP3は、上記した相違点を除き、
図7~
図9を用いて説明した表示装置DSP2と同様である。したがって、重複する説明は省略する。
【0083】
<変形例3>
次に、
図1~
図6を用いて説明した表示装置DSP1の他の変形例について説明する。
図11は、
図4に対する変形例を示す透過拡大平面図である。
図12は、
図11のC-C線に沿った拡大断面図である。上記したように、端子TM2には、複数の画素PIXにおいて共通する電位が供給される。このため、隣り合う画素PIXのそれぞれに設けられた端子TM2を一体化させたとしても電気的な問題は生じない。本変形例は、複数の画素PIXに跨るように端子TM2を形成した場合の実施態様である。
【0084】
図11および
図12に示す表示装置DSP4は、LED素子20AおよびLED素子20Bを有している。LED素子20AおよびLED素子20Bのそれぞれは、
図5を用いて説明した面20f、面20b、電極20E1、電極20E2、および発光層20LLを有している。また、表示装置DSP4は、LED素子20Bの電極20E1と電気的に接続されている端子TM3を有している。
【0085】
端子TM2は、LED素子20Aの電極20E2、およびLED素子20Bの電極20E2のそれぞれと電気的に接続されている。詳しくは、端子TM2は、導体パターンCP1を介して、LED素子20Aの電極20E2およびLED素子20Bの電極20E2のそれぞれと電気的に接続されている。
【0086】
図11に示すように、平面視において、端子TM3は、LED素子20Bと重なる位置に配置されている。端子TM2は、画素PIXAと画素PIXBとを跨ぐように配置されている。また、端子TM2は、開口部TMH1、および開口部TMH1と離間している開口部TMH2を有している。LED素子20Aは、開口部TMH1内に配置され、LED素子20は、開口部TMH2内に配置されている。
【0087】
本変形例の場合、端子TM2が複数の画素PIXに跨って配置されているので、絶縁層14の面14fのうち、端子TM2に覆われた領域の面積が、
図4に示す表示領域DSP1と比較して大きい。端子TM2を可視光反射部材として用いる場合、端子TM2の面積を大きくすることにより、端子TM2により反射される光の量を増大させることができる。
【0088】
なお、
図12に示す例の場合、コンタクトホールCH3を介して端子TM2に接続されている電源線PL2も、端子TM2と同様に、複数の画素に跨っている。端子TM2および電源線PL2の面積を大面積化することにより、電源線PL2に供給される共通電位を安定化させることができる。
【0089】
図11および
図12に示す表示装置DSP4は、上記した相違点を除き、
図1~
図6を用いて説明した表示装置DSP1と同様である。したがって、重複する説明は省略する。
【0090】
<変形例4>
次に、
図11および
図12を用いて説明した表示装置DSP4の変形例について説明する。
図13は、
図11に対する変形例を示す透過拡大平面図である。
図14は、
図13のD-D線に沿った拡大断面図である。
【0091】
図13および
図14に示す表示装置DSP5は、端子TM2が、金属層30に覆われている点で、
図11および
図12に示す表示装置DSP4と相違する。
図13に示すように、平面視において、金属層30は、LED素子20の周囲を連続的に囲むように配置されている。
【0092】
金属層30の機能および材料は、
図7~
図9を用いて説明した表示装置DSP2が備える金属層30と同様である。金属層30は、端子TM2の全体を覆うように形成されている。このため、表示装置DSP5が備える金属層30の表面積は、
図7~
図9を用いて説明した表示装置DSP2が備える金属層30の表面積よりも大きい。金属層30は可視光反射部材として利用される。本変形例によれば、金属層30の表面積を大きくすることにより、金属層30により反射される光の量を増大させることができる。
【0093】
<表示装置の製造方法>
次に、上記した表示装置の製造方法について説明する。本セクションでは、代表例として、
図7~
図9を用いて説明した表示装置DSP2の製造方法について説明する。また、本セクションでは、
図9に示すバンプ電極MB1および金属層30を形成する工程と中心に説明する。
【0094】
図15は、表示装置の製造方法の一例を示すフロー図である。
図15に示す表示装置の製造方法は、基板構造体準備工程、金属層形成工程、LED素子実装工程、LED素子封止工程、コンタクトホール形成工程、および透明導電層形成工程を含んでいる。
【0095】
図15に示す基板構造体準備工程では、
図9に示す基板構造体SUB1を準備する。基板構造体SUB1は、基板10および基板10の面10f上に積層された複数の配線層(配線層WL1,WL2,WL3)および複数の絶縁層(絶縁層11,12,13,14)を有している。基板構造体SUB1の複数の絶縁層のうち、最上層に配置されている絶縁層14は面14fを有している。絶縁層14の面14f上には、端子TM2が形成されている。
図8に示すように、平面視において、端子TM1はLED素子20と重なる位置に配置されている。平面視において、端子TM2は、LED素子20の周囲を連続的に囲むように配置されている。
【0096】
次に、
図15に示す金属層形成工程は、第1金属層形成工程、第2金属層形成工程、および第3金属層形成工程を備えている。
図16~
図19のそれぞれは、
図15に示す金属層形成工程において金属膜が電気法により成膜された状態を模式的に示す第1金属層形成工程、第2金属層形成工程、および第3金属層形成工程のそれぞれでは、電気メッキ法を利用して、端子TM1および端子TM2の一方または両方に電流を流しながらメッキ処理を施すことにより、端子TM1および端子TM2に選択的に金属膜を成膜する。本工程で成膜される金属膜のうち、端子TM1上に成膜される金属膜は、
図9に示すバンプ電極MB1となり、端子TM2上に成膜される金属膜は、
図9に示す金属層30となる。
【0097】
また、
図9に示すように、本実施の形態の場合、バンプ電極MB1は、端子TM1の一部に選択的に形成されている。バンプ電極MB1を
図9に示すように端子TM1の一部に選択的に形成するため、本工程では
図16に示すように、マスクRM1を利用する。マスクRM1は、有機絶縁膜である。マスクM1は、端子TM1を覆うように形成されている。また、マスクM1は、端子TM1の一部に開口部を有し、端子TM1のうち、バンプ電極MB1(
図9参照)を形成する予定領域は、開口部においてマスクM1から露出している。
【0098】
図15に示す第1金属層形成工程では、端子TM1のうち、マスクM1から露出している部分に金属膜MF1を形成する。金蔵膜MF1は、例えば銅または銅を主成分とする銅合金から成る。本工程は、上記したように電気メッキ法により実施される。本工程では、端子TM1に電流を流し、かつ端子TM2には電流を流さない状態でメッキ処理を行う。この場合、金属膜MF1は、
図16に示すように端子TM1のうち、マスクM1から露出している部分の上に選択的に形成される。
【0099】
次に、
図15に示す第2金属層形成工程では、
図17および
図18に示す金属膜MF2を形成する。金属膜MF2は、例えば、ニッケルまたはニッケルを主成分とするニッケル合金から成る。
図15に示すように、第2金属層形成工程は、第1メッキ工程および第2メッキ工程を有している。第1メッキ工程では、
図17に示すように、端子TM2上および端子TM1上(詳しくは端子TM1上に形成された金属膜MF1上)に金属膜MF2を電気メッキ法により形成する。この時、端子TM1および端子TM2のそれぞれに電流を流した状態でメッキ処理を行う。この場合、端子TM2の露出面、および端子TM1上に形成された金属膜MF1上には、それぞれ金属膜MF2が形成される。
【0100】
次に、第2メッキ工程では、端子TM1に電流を流すことを停止し、かつ、端子TM2には継続的に電流を流した状態でメッキ処理を継続する。この場合、端子TM2を覆う金属膜MF2はさらに成長し、
図18に示すように金属層30が得られる。
【0101】
一方、端子TM1への電位供給は停止されているので、金属膜MF1上に形成された金属膜MF2は、第2メッキ工程では成長しない。
【0102】
次に、
図15に示す第3金属層形成工程では、
図19に示す金属膜MF3を形成する。金属膜MF3は、例えば、錫または錫を主成分とする錫合金から成る。本工程は、上記したように電気メッキ法により実施される。本工程では、端子TM1に電流を流し、かつ端子TM2には電流を流さない状態でメッキ処理を行う。この場合、金属膜MF3は、
図19に示すように端子TM1のうち、マスクM1から露出している部分の上(詳しくは端子TM1上の金属膜MF1上に成膜された金属膜MF2の上)に選択的に形成される。
【0103】
図示は省略するが、金属層形成工程は、
図15に示す第3金属層形成工程の後、
図19に示すマスクM1を除去する工程(マスク除去工程)を含む。以上の各工程により、
図9に示すバンプ電極MB1および金属層30が得られる。
【0104】
なお、
図15に示す金属層形成工程には種々の変形例がある。例えば、金属層30(
図9参照)を銅膜とニッケル膜の積層膜とする場合には、
図15に示す第1金属層形成工程において、端子TM1および端子TM2の両方に電流を流した状態でメッキ処理を行う。
【0105】
次に、
図15に示すLED素子搭載工程では、
図9に示すLED素子20を準備して、LED素子20の電極20E1とバンプ電極MB1とを接合する。本工程では、例えば図示しないレーザを照射することにより、バンプ電極MB1と電極20E1との接触界面を加熱することにより、バンプ電極MB1と電極20E1とを接合する。
【0106】
次に、
図15に示すLED素子封止工程では、
図9に示す絶縁層14の面14f上に絶縁層15を形成し、LED素子20、端子TM1、端子TM2、および金属層30を封止する。
【0107】
次に、
図15に示すコンタクトホール形成工程では、
図9に示す絶縁層15の一部をエッチングすることにより開口部(コンタクトホール)を形成する。本工程では、LED素子20の電極20E2および金属層30の一部分が絶縁層15から露出する。
【0108】
次に、
図15に示す透明導電層形成工程では、
図9に示す絶縁層15の面15f上に同盟導電性材料から成る導体パターンCP1を形成する。本工程により、LED素子20の電極20E2と端子TM2とは、導体パターンCP1および金属層30を介して電気的に接続される。
【0109】
以上、実施の形態および代表的な変形例について説明したが、上記した技術は、例示した変形例以外の種々の変形例に適用可能である。例えば、上記した変形例同士を組み合わせてもよい。
【0110】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、表示装置や表示装置が組み込まれた電子機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0112】
5 制御回路
6 駆動回路
10 基板
10b,10f,14f,15f,20b,20f 面
11,12,13,14,15 絶縁層
20,20A,20B,20C LED素子(無機発光ダイオード素子)
20E1,20E2 電極
20EA アノード電極
20EC カソード電極
20LL 発光層
30 金属層
30s1 側面
50 半導体層
BCT 出力トランジスタ(スイッチング素子)
Cad 補助容量
CH,CH1,CH2,CH3 コンタクトホール
Cs 保持容量
D20E1,D30 距離
DA 表示領域
DRT 駆動トランジスタ(スイッチング素子)
DSP1,DSP2,DSP3,DSP4,DSP5 表示装置
ED ドレイン電極
EG ゲート電極
ES ソース電極
GL,GLB,GLR,GLS 走査信号線
Grs,Gsb,Gss 制御信号
M1 マスク
MB1 バンプ電極
MF1,MF2,MF3 金属膜
MW1,MW2,MW3 配線パターン
PC 画素回路
PFA 周辺領域
PIX,PIXA,PIXB,PIXC 画素
PL1,PL2 電源線
Pvdd 高電位
Pvss 低電位
RSL リセット配線
RST リセットトランジスタ(スイッチング素子)
SST 画素選択トランジスタ(スイッチング素子)
SUB1 基板構造体
TM1,TM2,TM3,TM4,TM5,TM6 端子
TMH1,TMH2 開口部
VL 映像信号線
Vrs リセット信号
Vsg 映像信号
WL1,WL2,WL3,WL4 配線層