(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148049
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060932
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥海 駿
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA03
2H033BA25
2H033BA26
2H033BA31
2H033BA32
2H033BA38
2H033BB03
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB18
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB39
2H033BE03
(57)【要約】
【課題】定着ベルトの表面の温度を確実に均一化させた状態で定着ベルトを定着ニップ部に移行させることができる定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転される無端状の定着ベルト31と、定着ベルト31を加熱する熱源36と、定着ベルト31の内面と摺接する定着パッド34と、定着パッド34を支持する支持部材33と、を備えた定着装置12は、定着ベルト31の回転方向(R1)において定着パッド34の定着ニップ部FNよりも下流側で定着ベルト31の内面31aと当接する当接部60aを有する熱伝導性部材60を備えている。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転される無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトを加熱する熱源と、前記定着ベルトの内面と摺接する定着パッドと、前記定着パッドを支持する支持部材と、を備えた定着装置であって、
前記定着ベルトの回転方向において前記定着パッドの定着ニップ部よりも下流側で前記定着ベルトの内面と当接する当接部を有する熱伝導性部材を備えている、ことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記熱伝導性部材は、少なくとも前記支持部材と前記熱源との間に設けられて前記熱源からの熱線を反射する反射部材を兼ねており、
前記反射部材は、反射部材本体と、前記反射部材本体よりも前記定着ニップ部の前記回転方向における下流側で前記定着ベルトに向けて延設されて前記定着ベルトの内面と接触する延設部と、を有し、前記延設部が前記当接部を構成している、ことを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項2に記載の定着装置であって、
前記反射部材は、弾性を有する金属からなる反射板であり、
前記延設部は、前記定着ベルトと接触している状態で前記定着ベルトの半径と同等の曲率半径で湾曲した円弧部を有し、前記弾性により前記円弧部の外周面が前記定着ベルトの内面に接触する、ことを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記熱伝導性部材は、前記支持部材を兼ねており、
前記支持部材は、支持部材本体と、前記支持部材本体から前記定着ベルトに向けて延長して前記定着ベルトの内面に接触する延長部と、を有し、前記延長部が前記当接部を構成している、ことを特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項4に記載の定着装置であって、
前記延長部は、前記定着ベルト側の端部を屈曲させて前記定着ベルトの半径よりも小さい曲率半径で湾曲した屈曲部を有し、前記屈曲部は、前記屈曲部の曲面が前記定着ベルトの内面に接触する、ことを特徴とする定着装置。
【請求項6】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記熱伝導性部材は、熱伝導性部材本体と、前記熱伝導性部材本体と前記定着ベルトとの間に設けられて熱導電率が前記熱伝導性部材本体の熱導電率よりも高い介在部材とを有し、前記介在部材が前記当接部を構成している、ことを特徴とする定着装置。
【請求項7】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記熱伝導性部材は、前記定着ベルトの回転軸線方向において、所定のサイズのシートが通過するシート通過領域以外のシート非通過領域と前記シート非通過領域から内側の所定領域とからなる端部領域で定着ベルトの内面に接触する、ことを特徴とする定着装置。
【請求項8】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記熱伝導性部材は、前記定着ベルトの回転軸線方向において、所定のサイズのシートが通過するシート通過領域及び前記シート通過領域以外のシート非通過領域のうちの前記シート非通過領域のみで定着ベルトの内面に接触する、ことを特徴とする定着装置。
【請求項9】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記熱伝導性部材は、前記定着ベルトの熱を移動させるための専用の部材で構成されている、ことを特徴とする定着装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までの何れか1つに記載の定着装置を備えた、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、定着装置、及び、複写機、複合機、プリンター、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転される無端状の定着ベルトと、定着ベルトを加熱する熱源と、定着ベルトの内側に設けられて定着ベルトの内面と摺接する定着パッドと、定着パッドを支持する支持部材と、を備えた定着装置は、定着ローラを備えた定着装置に比べて、小型化が可能であり、省電力化を実現させることができるが、定着ベルトの表面の温度を均一化させることが困難である。
【0003】
例えば、記録用紙等のシートやトナーへの熱損失により定着ベルトの表面の温度が不均一になることがある。そうすると、定着ベルトの回転軸線方向における両端領域(シートが通過しない領域)の温度が中央領域に比べて上昇し、或いは/さらに、中央領域においてシート間で温度が上昇することにより周方向における温度がばらつく。そうすると、形成されたシートの画像形成面の艶にムラを生じさせるといった不都合が存在する。
【0004】
この点に関し、特許文献1には、定着ベルトの両端部の過昇温を抑制する遮蔽部材を設けるとともに、定着ベルトの内側のニップ形成部(定着ニップ部)の上流側に、遮蔽部材の熱膨張による所定以上の形状変形を防止し、形状変形が所定未満の場合には遮蔽部材とは非接触である形状規制部材を設ける構成(段落[0027]の後段、
図1)が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、ニップ形成部(定着ニップ部)の上流側の円弧状案内部の外周面に沿って案内されるフィルム状ベルト(定着ベルト)と、フィルム状ベルトの内周面に摺接し、フィルム状ベルトを加熱する支持部材(段落[0018]の前段、
図2)とが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-174381号公報
【特許文献2】特開2006-251069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1,2に記載の構成では、形状規制部材及び円弧状案内部が定着ベルトの内面と接触する箇所が定着ベルトの回転方向において定着ニップ部よりも上流側であるので、形状規制部材及び円弧状案内部と定着ニップ部との間の定着ベルトの回転方向における下流側の移動距離が短くなり(半周よりも短い距離になり)、形状規制部材及び円弧状案内部により定着ベルトの表面の温度が確実に均一化される前に定着ベルトが定着ニップ部に移行してしまう。このため、定着ベルトの表面の温度を確実に均一化させた状態で定着ベルトを定着ニップ部に移行させることができない。
【0008】
そこで、本開示は、定着ベルトの表面の温度を確実に均一化させた状態で定着ベルトを定着ニップ部に移行させることができる定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本開示に係る定着装置は、回転される無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトを加熱する熱源と、前記定着ベルトの内面と摺接する定着パッドと、前記定着パッドを支持する支持部材と、を備えた定着装置であって、前記定着ベルトの回転方向において前記定着パッドの定着ニップ部よりも下流側で前記定着ベルトの内面と当接する当接部を有する熱伝導性部材を備えている、ことを特徴とする。
【0010】
また、本開示に係る画像形成装置は、前記本発明に係る定着装置を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示によると、定着ベルトの表面の温度を確実に均一化させた状態で定着ベルトを定着ニップ部に移行させることができることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施の形態に係る定着装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【
図2A】
図1に示す画像形成装置における定着装置の斜視図である。
【
図3A】第1実施形態に係る定着装置の定着ベルトの回転軸線方向における一方側の端部部分を正面側から視た斜視図である。
【
図3B】第1実施形態に係る定着装置の定着ベルトの回転軸線方向における他方側の端部部分を背面側から視た斜視図である。
【
図4A】第1実施形態に係る定着装置の要部の一例を示す正面図である。
【
図4B】第1実施形態に係る定着装置における熱伝導性部材の一例を正面側から視た斜視図である。
【
図4C】第1実施形態に係る定着装置における熱伝導性部材の一例を背面側から視た斜視図である。
【
図5】定着ベルトの回転軸線方向における位置に対する定着ベルトの表面温度をイメージ的に表したグラフである。
【
図6A】第2実施形態に係る定着装置の要部の一例を示す正面図である。
【
図6B】第2実施形態に係る定着装置における熱伝導性部材の一例を正面側から視た斜視図である。
【
図6C】第2実施形態に係る定着装置における熱伝導性部材の一例を背面側から視た斜視図である。
【
図7A】第3実施形態に係る定着装置の要部の一例を示す正面図である。
【
図7B】第3実施形態に係る定着装置における熱伝導性部材の一例を正面側から視た斜視図である。
【
図7C】第3実施形態に係る定着装置における熱伝導性部材の一例を背面側から視た斜視図である。
【
図8A】第4実施形態に係る定着装置の要部の一例を示す正面図である。
【
図8B】第4実施形態に係る定着装置における熱伝導性部材の一例を正面側から視た斜視図である。
【
図8C】第4実施形態に係る定着装置における熱伝導性部材の一例を背面側から視た斜視図である。
【
図9A】第5実施形態に係る定着装置における熱伝導性部材の一例を正面側から視た斜視図である。
【
図9B】第5実施形態に係る定着装置における熱伝導性部材の一例を背面側から視た斜視図である。
【
図10A】第6実施形態に係る定着装置における熱伝導性部材の一例を正面側から視た斜視図である。
【
図10B】第6実施形態に係る定着装置における熱伝導性部材の一例を背面側から視た斜視図である。
【
図11】第7実施形態に係る定着装置の要部の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0014】
[画像形成装置]
図1は、本実施の形態に係る定着装置12を備えた画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置100は、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能及びプリンター機能を有する複合機であり、画像読取装置102によって読み取られた原稿Gの画像を外部に送信する。また、画像形成装置100は、画像読取装置102にて読み取った原稿Gの画像又は外部から受信した画像をカラー若しくは単色で記録用紙等のシートPに画像を形成する。画像形成装置100は、モノクロ画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置100は、他の形態のカラー画像形成装置であってもよい。
【0016】
画像読取部130の上側には、画像読取部130に対して開閉自在に支持された原稿送り装置160(自動原稿搬送装置)が設けられている。画像読取装置102は、原稿送り装置160にて搬送された原稿Gを読み取る。原稿送り装置160は、原稿Gを載置する原稿載置トレイ161と、排出された原稿Gを積載する原稿排出トレイ162と、を備えている。原稿送り装置160は、原稿載置トレイ161に載置された1枚又は複数枚の原稿Gを画像読取部130における原稿読取部130b上に1枚ずつ順に搬送し、原稿排出トレイ162に排出する。また、画像読取部130には、原稿Gを載置する原稿載置台130aが設けられている。画像読取装置102は、原稿載置台130a上に載置された原稿Gを読み取る。画像形成装置100は、原稿送り装置160が開かれると、画像読取部130の上方の原稿載置台130aが開放され、原稿Gを手置きで置くことができるようになっている。画像読取部130は、走査光学系130cを原稿読取部130bの下方の読取位置に位置させた状態で原稿送り装置160にて搬送される原稿Gを読み取るか又は走査光学系130cを走査して原稿載置台130aに載置された原稿Gを読み取って画像データを生成する。
【0017】
画像形成装置本体101は、光走査装置1、現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4、帯電器5、中間転写ベルト装置70、2次転写装置11、定着装置12、シート搬送路S、給紙カセット18、シート排出トレイ141を備えている。
【0018】
画像形成装置100では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、又は、単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。画像形成装置100の画像形成部50には、4種類のトナー像を形成するための現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4及び
帯電器5が4つずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ及びイエローに対応付けられ、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0019】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。光走査装置1は、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2は、感光体ドラム3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3の表面にトナー像を形成する。ドラムクリーニング装置4は、感光体ドラム3の表面の残留トナーを除去及び回収する。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3の表面に各色のトナー像が形成される。
【0020】
中間転写ベルト装置70は、中間転写ローラ6、無端状の中間転写ベルト71、中間転写駆動ローラ72、中間転写従動ローラ73及びクリーニング装置9を備えている。中間転写ローラ6は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するようにそれぞれ4つずつ中間転写ベルト71の内側に設けられている。中間転写ローラ6は、感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像を周回移動方向Cへ周回移動する中間転写ベルト71に転写する。
【0021】
中間転写ベルト71は、中間転写駆動ローラ72及び中間転写従動ローラ73に張架されている。画像形成装置100では、各感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト71の表面に順次転写して重ね合わせて、中間転写ベルト71の表面にカラーのトナー像を形成する。
【0022】
2次転写装置11は、2次転写ローラ11aと中間転写ベルト71との間に転写ニップ部TNを形成しており、シート搬送路Sを通じて搬送されてきたシートPを転写ニップ部TNに挟み込んで搬送する。シートPは、転写ニップ部TNを通過する際に、中間転写ベルト71の表面のトナー像が2次転写装置11にて転写されて定着装置12に搬送される。クリーニング装置9は、シートPに転写されずに中間転写ベルト71の表面に残った廃トナーを除去及び回収する。
【0023】
定着装置12は、シートPを挟んで回転する定着ベルト31及び加圧ローラ32を備えている。定着装置12は、定着ベルト31及び加圧ローラ32の間にトナー像が転写されたシートPを挟み込んで加熱及び加圧し、トナー像をシートPに定着させる。なお、
図1においては図示を省略しているが、定着装置12は、定着ベルト31及び加圧ローラ32以外の構成部材を有している。定着装置12の詳細については、後述する。
【0024】
給紙カセット18は、画像形成に使用するシートPを蓄積しておくためのカセットであり、光走査装置1の下側に設けられている。シートPは、ピックアップローラ16によって給紙カセット18から引き出されて、シート搬送路Sに搬送される。シート搬送路Sに搬送されたシートPは、2次転写装置11や定着装置12を経由し、排出ローラ17に搬送され、排出部140におけるシート排出トレイ141に排出される。シート搬送路Sには、搬送ローラ13、レジストローラ14及び排出ローラ17が配置されている。搬送ローラ13は、シートPの搬送を促す。レジストローラ14は、シートPを一旦停止させて、シートPの先端を揃える。レジストローラ14は、一旦停止したシートPを中間転写ベルト71上のトナー像のタイミングに合わせて搬送する。
【0025】
なお、
図1では、給紙カセット18が1つとされているがこれに限定されず、複数の給紙カセット18を設けた構成とし、それぞれに異なる種類のシートPを積載してもよい。
【0026】
また、画像形成装置100は、シートPの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、シートPを排出ローラ17からシート反転経路Srに逆方向に搬送する。画像形成装置100は、逆方向に搬送されたシートPの表裏を反転し、レジストローラ14に再度導く。また、画像形成装置100は、レジストローラ14に導かれたシートPを表面と同様にして裏面に画像形成し、シート排出トレイ141に搬出する。
【0027】
[定着装置]
図2Aは、
図1に示す画像形成装置100における定着装置12の斜視図である。
図2Bは、
図2Aに示すA-A線に沿った断面図である。
【0028】
定着装置12は、支持部材33、定着パッド34、熱源36、反射部材37(この例では反射板)、温度検知部38(この例ではサーモパイル)、剥離板39及びサーモスタット40をさらに備えている。支持部材33、定着パッド34、熱源36及び反射部材37は、定着ベルト31の内側に設けられている。
【0029】
定着ベルト31は、無端状(環状)のフレキシブルなベルトである。定着ベルト31は、シートPの搬送方向Hに直交する直交方向に沿った回転軸線α回りに回転可能とされている。
【0030】
定着ベルト31としては、所定の厚み(例えば30μm~100μm程度)のニッケル等の金属、又は、ポリイミド(PI)の基体上に所定厚み(例えば100μm~300μm程度)の弾性層(例えばシリコーンゴム層)を形成し、さらにその上に厚み(例えば20μm~30μm程度)の離型層(例えばフッ素樹脂層)を形成したもの、具体的には、シリコーンゴム上層にPFAのチューブを設けたものや、フッ素樹脂を塗布したものを例示できる。この例では、定着ベルト31は、厚み40μmのニッケルからなる基体にシリコーンゴムを設け、さらにシリコーンゴム上層にPFAのチューブを設けたものであり、全体の厚みが300μmのものとされている。定着ベルト31の内径は、この例では、30mmとされている。但し、これらの具体的な寸法に限定されるものではない。
【0031】
定着パッド34は、例えば、樹脂により構成されており、定着ベルト31の回転軸線方向Wに延びる長板状に形成されている。定着パッド34は、定着パッド本体340と、定着パッド本体340の定着ベルト31に摺接する側の面に設けられた摺動シート341と、を備えている。定着パッド34としては、耐熱性を有する樹脂材料であることが好ましく、例えば、液晶ポリマー(LCP)やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)といった耐熱性を有する耐熱性樹脂材料を用いることができる。
【0032】
支持部材33は、定着パッド34を支持する部材である。支持部材33は、回転軸線方向Wにおける両端部が定着装置本体12a(本体フレーム)に固定されている。支持部材33の少なくとも熱源36側の面には、反射部材37が設けられている。
【0033】
この例では、支持部材33は、第1支持部3301と第2支持部3302とで構成されている。第1支持部3301及び第2支持部3302は、正面視でL字状に形成されている(
図2B参照)。支持部材33は、正面視でT字形状になるように、L字状の第1支持部3301及び第2支持部3302のそれぞれの外側の面が重ね合わされている。
【0034】
熱源36は、定着ベルト31を加熱するための部材であって、定着ベルト31の回転軸線方向Wに延びている。熱源36は、例えば、ハロゲンランプ等のランプヒータとすることができる。定着ベルト31は、熱源36により、所定の定着温度(例えば160℃~250℃、この例では160℃)に加熱される。従って、定着ベルト31だけでなく、摺動シート341等も上記温度に対して耐熱性を有している。
【0035】
摺動シート341には、定着ベルト31との摩擦力を低減するために潤滑剤が含侵されていてもよい。潤滑剤としては、耐熱性があり、潤滑性のある材料であることが好ましく、代表的には、摺動オイルを例示できる。摺動オイルとしては、例えば、シリコーンオイルや、フッ素グリースや、フッ素オイルを挙げることができる。
【0036】
反射部材37は、支持部材33の少なくとも熱源36側の面を覆うように配置されおり、この例では、薄板状の金属部材で形成されている。これにより、定着ベルト31を効率よく加熱することができる。反射部材37は、支持部材33に固定されている。
【0037】
加圧ローラ32は、定着ベルト31を挟んで定着パッド34と対向する位置に配置される。加圧ローラ32は、定着ベルト31の回転軸線αに平行な回転軸線を中心に回転し、定着ベルト31と平行に延びている。加圧ローラ32は、定着パッド34に向けて定着ベルト31を押圧することで、定着ベルト31との間に定着ニップ部FN(ニップ形成部)を形成する。加圧ローラ32は、例えば、アルミニウム等の金属によって形成される円筒状の芯材の表面をゴム等の弾性材によって覆われたローラ部材で構成することができる。加圧ローラ32の外径は、それには限定されないが、この例では、30mmとされている。
【0038】
加圧ローラ32には、モータ等の駆動源(図示せず)からの駆動力が、ギア等の駆動伝達機構(図示せず)を介して伝達される。加圧ローラ32は、駆動源からの駆動力を受けて回転駆動される。定着ベルト31は、加圧ローラ32の回転駆動に伴い、加圧ローラ32の第2回転方向R2とは逆方向の第1回転方向R1に従動回転する。つまり、加圧ローラ32は、定着ベルト31の表面と当接することにより定着ニップ部FNを形成し、定着ニップ部FNを介して定着ベルト31に駆動力を伝達することにより、定着ベルト31を従動回転させる。
【0039】
温度検知部38は、定着ベルト31の表面温度を検知する。定着装置12では、温度検知部38にて検出した温度により、定着ベルト31が定着温度(この例では160℃)になるように熱源36の温度制御が行われる。この例では、温度検知部38は、画像形成装置本体101(本体フレーム)(
図1参照)に固定されている。温度検知部38は、定着ベルト31の表面温度を非接触で検知する。
【0040】
剥離板39は、定着ベルト31の第1回転方向R1において定着ニップ部FNよりも下流側の近傍に配置され、定着ベルト31に対するシートPの巻き付きを防止する。
【0041】
サーモスタット40は、熱源36が異常加熱したときに熱源36への電力供給を遮断する。詳しくは、サーモスタット40は、熱源36に電力を供給する電力線(図示せず)に電気的に接続されており、熱源36への電力供給を直接遮断するようになっている。サーモスタット40は、定着装置本体12a(本体フレーム)に固定されている。サーモスタット40は、所定の反応温度(作動温度、定格温度)になると、作動して熱源36への電力供給を遮断する。
【0042】
(第1実施形態)
図3A及び
図3Bは、それぞれ、第1実施形態に係る定着装置12の定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける一方側W1及び他方側W2の端部部分を正面側及び背面側から視た斜視図である。
図4Aは、第1実施形態に係る定着装置12の要部の一例を示す正面図である。
図4B及び
図4Cは、それぞれ、第1実施形態に係る定着装置12における熱伝導性部材60の一例を正面側及び背面側から視た斜視図である。
図5は、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける位置に対する定着ベルト31の表面温度をイメージ的に表したグラフである。
【0043】
図3A及び
図3Bに示すように、定着装置12は、一対の保持部材411,412(41)(ベルトガイド部材)と、一対の保持部材411,412(41)の外周面401a上に回転軸線α(
図2B参照)回りに回転可能に設けられる定着ベルト31と、を備えている。一対の保持部材411,412(41)は、定着装置本体12a(本体フレーム)(
図2B参照)に固定されている。
【0044】
一対の保持部材411,412(41)は、定着ベルト31の内面31aの回転軸線方向Wにおける両端部を保持している。一対の保持部材411,412(41)のうち、何れか一方の保持部材411は定着ベルト31の内面31aの回転軸線方向Wにおける一方側W1(前側、操作側)の端部を保持し、何れか他方の保持部材412は定着ベルト31の内面31aの回転軸線方向Wにおける他方側W2(後側)の端部を保持している。
【0045】
図3Aから
図4に示すように、定着装置12は、回転される無端状の定着ベルト31と、定着ベルト31を加熱する熱源36と、定着ベルト31の内側に設けられて定着ベルト31の内面31aと摺接する定着パッド34と、定着パッド34を支持する支持部材33と、を備えている。
【0046】
定着装置12は、熱伝導性部材60(この例では反射部材37)を備えている。これにより定着ベルト31の熱を移動させることができる。ここで、熱伝導性部材60により定着ベルト31の熱を移動させる態様には、定着ベルト31から熱を逃す態様の他、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける端部から中央部へ熱を移動させる態様や、定着ベルト31の周方向へ熱を移動させる態様など、複数の態様を含む。
図4Aに示すように、熱伝導性部材60(37)は、定着ベルト31の回転方向(第1回転方向R1)において定着パッド34の定着ニップ部FNよりも下流側で定着ベルト31の内面31aと当接する当接部60aを有している。詳しくは、当接部60aは、定着ベルト31の回転方向(R1)において定着ニップ部FNの中央部Qと回転軸線αを通る仮想直線δを境界にして下流側に位置している。また、当接部60aは、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおいて、少なくとも所定のサイズ(例えば最大サイズ、この例ではA3縦サイズ)のシートPが通過するシート通過領域β(
図4B、
図4C、
図5参照)以外のシート非通過領域γ,γ(
図4B、
図4C、
図5参照)で定着ベルト31の内面31aと当接している。
【0047】
本実施の形態によれば、熱伝導性部材60(37)が定着ベルト31の内面31aと当接する箇所が定着ベルト31の回転方向(R1)において定着パッド34の定着ニップ部FNよりも下流側にあるので、熱伝導性部材60(37)と定着ニップ部FNとの間の定着ベルト31の回転方向(R1)における下流側の移動距離を長くする(半周を超える距離にする)ことができる。これにより、定着ベルト31の表面31bの温度を確実に均一化させた状態で熱源36によって再加熱された定着ベルト31を定着ニップ部FNに移行させることができる。例えば、シートPやトナーへの熱損失により定着ベルト31の表面31bの温度が不均一になるところ、
図5に示すように、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける両端領域の温上昇を中央領域に比べて押さえることができる。また、中央領域の周方向における温度のばらつきを抑えることができる。
【0048】
ここで、熱伝導性部材60としては、代表的には金属からなるものを例示できる。金属としては、熱伝導性の高い金属、例えば、銅、アルミニウム、真鍮、鉄、SUS等のステンレス鋼等を挙げることができる。
【0049】
この例では、熱伝導性部材60(37)は、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおいて、シート通過領域βとシート通過領域β以外のシート非通過領域γ,γとの双方の領域(γ+β+γ)で定着ベルト31の内面31aに接触している。
【0050】
この構成では、シート通過領域β及びシート非通過領域γ,γで定着ベルト31の表面31bの温度を均一化させることができる。
【0051】
ところで、特許文献1に記載の構成では、形状変形が所定未満の場合には遮蔽部材が定着ベルトの内面と接触しないため、定着ベルトの熱を安定的に移動させることができない。
【0052】
この点、この例では、当接部60aは、定着ベルト31の内面31aと常時当接している。こうすることで、定着ベルト31の熱を安定的に移動させることができる。
【0053】
本実施の形態において、熱伝導性部材60は、少なくとも支持部材33と熱源36との間に設けられて熱源36からの熱線を反射する反射部材37を兼ねている。反射部材37は、反射部材本体371と、反射部材本体371よりも定着ニップ部FNの回転方向(R1)における下流側で定着ベルト31に向けて延設されて定着ベルト31の内面31aと接触する延設部372と、を有し、延設部372が当接部60aを構成している。
【0054】
この構成では、熱伝導性部材60を別途設けることなく、反射部材37を利用して定着ベルト31の熱を確実に移動させることができる。
【0055】
本実施の形態において、反射部材37は、弾性を有する金属(この例ではステンレス鋼、具体的にはSUS)からなる反射板である。延設部372は、反射部材本体371に連接された連接部3721と、連接部3721に連接されて定着ベルト31と接触している状態で定着ベルト31の半径と同等の曲率半径で湾曲した円弧部3722を有している。延設部372は、弾性により円弧部3722の外周面3722aの少なくとも一部(全部又は一部)が定着ベルト31の内面31aに接触している。
【0056】
この構成では、延設部372における円弧部3722により、定着ベルト31の内面31aと広範囲に接触させることができ、これにより、定着ベルト31の熱を効果的に移動させることができる。また、反射部材37における延設部372の弾性変形により、定着ベルト31に変位に合わせて定着ベルト31の内面31aと接触させることができ、これにより、定着ベルト31の温度をさらに確実に均一化させることができる。
【0057】
詳しくは、反射部材本体371は、支持部材33の頂部側を覆うように側面視でコの字状に形成されている。換言すれば、反射部材本体371は、1つの頂板37aと短手方向における両端部に連接された2つの側板37b,37cとを有し、頂板37a及び側板37b,37cが定着ベルト31とは反対側に向けて直角又は略直角に屈曲している。連接部3721は、反射部材本体371の熱源36とは反対側の側板37cの定着パッド34側の端部から側板37cと交差(この例では直交)する方向に屈曲している。円弧部3722は、連接部3721の熱源36とは反対側の端部から定着ニップ部FNとは反対側に向けて定着ベルト31の内面31aに沿うように支持部材33の頂部まで湾曲している。円弧部3722は、定着ベルト31と接触していない状態で定着ベルト31の半径と等しいか或いは定着ベルト31の半径よりも所定量だけ大きくなっている。これにより、円弧部3722が定着ベルト31と接触している状態で円弧部3722を定着ベルト31に確実に密着させることができる。また、円弧部3722は、先端部3722bが反射部材本体371側に屈曲している。側板37bは、第2支持部3302に沿って熱源36を覆うように(直角又は略直角に)屈曲している。
【0058】
(第2実施形態)
図6Aは、第2実施形態に係る定着装置12の要部の一例を示す正面図である。
図6B及び
図6Cは、それぞれ、第2実施形態に係る定着装置12における熱伝導性部材60の一例を正面側及び背面側から視た斜視図である。
【0059】
第2実施形態において、第1実施形態と実質的に同じの構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
本実施の形態において、熱伝導性部材60は、熱伝導性部材本体(この例では反射部材37)と、熱伝導性部材本体(37)と定着ベルト31との間に設けられて熱導電率が熱伝導性部材本体(37)の熱導電率よりも高い介在部材80(この例では銅からなる板材81)とを有し、介在部材80(81)が当接部60aを構成している。
【0061】
この構成では、熱伝導性部材本体(37)として熱導電率がたとえ比較的低い部材を用いても熱導電率が熱伝導性部材本体(37)の熱導電率よりも高い介在部材80(81)により、定着ベルト31の熱を移動させる効率を高めることができる。
【0062】
この例では、板材81は、円弧部3722と定着ベルト31との間において円弧部3722の外周面3722a上に外周面3722aに沿って湾曲した状態で全面的又は一部(この例では全面的)に設けられている。円弧部3722と定着ベルト31との間に設けられた板材81は、外周面81aが定着ベルト31の内面31aに接触(面接触)する。
【0063】
ここで、介在部材80としては、例えば、銅、アルミニウム、真鍮、鉄等を挙げることができる。
【0064】
(第3実施形態)
図7Aは、第3実施形態に係る定着装置12の要部の一例を示す正面図である。
図7B及び
図7Cは、それぞれ、第3実施形態に係る定着装置12における熱伝導性部材60の一例を正面側及び背面側から視た斜視図である。
【0065】
第3実施形態において、第1実施形態及び第2実施形態と実質的に同じの構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
本実施の形態において、熱伝導性部材60は、金属(この例では鉄)からなる支持部材33(この例では第2支持部3302)を兼ねている。支持部材33(3302)は、支持部材本体330と、支持部材本体330から定着ベルト31に向けて延長して定着ベルト31の内面31aに接触する延長部331と、を有し、延長部331が当接部60aを構成している。
【0067】
この構成では、熱伝導性部材60を別途設けることなく、支持部材33を利用して定着ベルト31の熱を確実に移動させることができる。
【0068】
ところで、支持部材33(3302)における延長部331の定着ベルト31の内面31aと接触する部分が角張っていると、定着ベルト31の内面31aが損傷し易い。このため、延長部331の定着ベルト31の内面31aと接触する部分に丸みを付けるために削り加工を行うことが考えられるが、この場合、削り加工の工程に手間がかかる。
【0069】
この点、本実施の形態において、延長部331は、定着ベルト31側の端部を屈曲させて定着ベルト31の半径よりも小さい曲率半径で湾曲した屈曲部3311を有し、屈曲部3311は、屈曲部3311の曲面3311aが定着ベルト31の内面31aに接触(線接触)している。
【0070】
この構成では、延長部331における屈曲部3311の曲面3311aが定着ベルト31の内面31aに接触しても定着ベルト31の内面31aの損傷を抑制することができる。しかも、屈曲部3311は延長部331において定着ベルト31側の端部を屈曲させたものであるので、削り加工といった手間のかかる工程を行う必要がない。
【0071】
また、屈曲部3311の曲面3311aの曲率半径は、定着ベルト31の半径よりも小さいので、屈曲部3311のサイズを小さくすることができる。この例では、屈曲部3311は、ヘミング曲げにより180度に屈曲させている。これにより、曲げ加工の容易化を実現させることができる。
【0072】
(第4実施形態)
図8Aは、第4実施形態に係る定着装置12の要部の一例を示す正面図である。
図8B及び
図8Cは、それぞれ、第4実施形態に係る定着装置12における熱伝導性部材60の一例を正面側及び背面側から視た斜視図である。
【0073】
第4実施形態において、第1実施形態から第3実施形態と実質的に同じの構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
本実施の形態において、熱伝導性部材60は、熱伝導性部材本体(この例では支持部材33)と、熱伝導性部材本体(33)と定着ベルト31との間に設けられて熱導電率が熱伝導性部材本体(33)の熱導電率よりも高い介在部材80(この例では銅からなる板材82)とを有し、介在部材80(82)が当接部60aを構成している。
【0075】
この構成では、熱伝導性部材本体(33)として熱導電率がたとえ比較的低い部材を用いても熱導電率が熱伝導性部材本体(33)の熱導電率よりも高い介在部材80(82)により、定着ベルト31の熱を移動させる効率を高めることができる。
【0076】
この例では、板材82は、屈曲部3311と定着ベルト31との間において屈曲部3311の曲面3311a上に曲面3311aに沿って湾曲した状態で回転軸線方向Wに全面的又は一部(この例では全面的)に設けられている。屈曲部3311と定着ベルト31との間に設けられた板材82は、曲面82aが定着ベルト31の内面31aに接触(線接触)している。
【0077】
ところで、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおいて、所定のサイズ(例えば最大サイズ、この例ではA3縦サイズ)の用紙等のシートPが通過するシート通過領域β以外のシート非通過領域γ,γの温度が制御しきれず、所定の定着温度(この例では160℃)を超えて高温になってしまうことがある。そうすると、定着ベルト31や加圧ローラ32の劣化を引き起こす。
【0078】
この点、次の第5実施形態及び第6実施形態の構成とすることができる。
【0079】
(第5実施形態)
図9A及び
図9Bは、それぞれ、第5実施形態に係る定着装置12における熱伝導性部材60の一例を正面側及び背面側から視た斜視図である。なお、
図9A及び
図9Bでは、第3実施形態(
図7Aから
図7C参照)の構成に適用している。但し、それに限定されるものではなく、第1実施形態、第2実施形態及び第4実施形態においても同様に構成することができる。
【0080】
図9A及び
図9Bに示すように、熱伝導性部材60(33)は、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおいて、シート通過領域β以外のシート非通過領域γ,γとシート非通過領域γ,γから内側の所定領域γa,γaとからなる端部領域γb,γbで定着ベルト31の内面31aに接触する。ここで、所定領域γa,γaは、シート通過領域βの一部であり、所定領域γa,γaの回転軸線方向Wにおける距離は、シート通過領域βの回転軸線方向Wにおける1/2、1/3、1/4、さらには1/5の距離もりも小さい。
【0081】
この構成では、シート非通過領域γ,γと所定領域γa,γaとからなる端部領域γb,γbで定着ベルト31の内面31aに接触するので、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおいて、シート非通過領域γ,γの温度が、所定の定着温度(この例では160℃)を超えることを効果的に防止することができる。
【0082】
(第6実施形態)
図10A及び
図10Bは、それぞれ、第6実施形態に係る定着装置12における熱伝導性部材60の一例を正面側及び背面側から視た斜視図である。なお、
図10A及び
図10Bでは、第3実施形態(
図7Aから
図7C参照)の構成に適用している。但し、それに限定されるものではなく、第1実施形態、第2実施形態及び第4実施形態においても同様に構成することができる。
【0083】
図10A及び
図10Bに示すように、熱伝導性部材60は、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおいて、シート通過領域β及びシート通過領域β以外のシート非通過領域γ,γのうちのシート非通過領域γ,γのみで定着ベルト31の内面31aに接触する。
【0084】
この構成では、熱伝導性部材60がシート通過領域β及びシート非通過領域γ,γのうちのシート非通過領域γ,γのみで定着ベルト31の内面31aに接触しているので、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおいて、シート非通過領域γ,γの温度が、所定の定着温度(この例では160℃)を超えることを効果的に防止することができる。
【0085】
(第7実施形態)
図11は、第7実施形態に係る定着装置12の要部の一例を示す正面図である。
【0086】
本実施の形態において、熱伝導性部材60は、定着ベルト31の熱を移動させるための専用の部材で構成されている。この例では、熱伝導性部材60は、定着ベルト31の回転軸線αに沿った回転軸線λ回りに回転自在に定着装置本体12a(本体フレーム)に設けられたローラ部材90とされている。ローラ部材90は、表面90a(当接部60a)が定着ベルト31の回転方向(R1)において定着パッド34の定着ニップ部FNよりも下流側で定着ベルト31の内面31aと当接する。ローラ部材90は、回転軸線方向Wにおける両端部が定着装置本体12a(本体フレーム)に固定されている。
【0087】
この構成では、熱伝導性部材60が定着ベルト31の熱を移動させるための専用の部材(この例ではローラ部材90)で構成されているので、定着ベルト31の熱をさらに確実に移動させることができると共に、定着ベルト31の表面31bの温度をさらに確実に均一化させることができる。
【0088】
本開示は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、係る実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0089】
100 画像形成装置
12 定着装置
12a 定着装置本体
31 定着ベルト
31a 内面
31b 表面
32 加圧ローラ
33 支持部材
330 支持部材本体
3301 第1支持部
3302 第2支持部
331 延長部
3311 屈曲部
3311a 曲面
34 定着パッド
340 定着パッド本体
341 摺動シート
36 熱源
37 反射部材
371 反射部材本体
372 延設部
3721 連接部
3722 円弧部
3722a 外周面
3722b 先端部
60 熱伝導性部材
60a 当接部
80 介在部材
81 板材
81a 外周面
82 板材
82a 曲面
90 ローラ部材
90a 表面
FN 定着ニップ部
H 搬送方向
P シート
Q 中央部
R1 第1回転方向(回転方向)
R2 第2回転方向
TN 転写ニップ部
W 回転軸線方向
α 回転軸線
β シート通過領域
γ シート非通過領域
δ 仮想直線
λ 回転軸線