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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148057
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】靴用絶縁カバー
(51)【国際特許分類】
   A43B 3/24 20060101AFI20241009BHJP
   A43B 3/16 20220101ALI20241009BHJP
   A41D 13/06 20060101ALI20241009BHJP
   A41D 13/008 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
A43B3/24
A43B3/16 Z
A41D13/06
A41D13/008
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060945
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】加田 孟
【テーマコード(参考)】
3B211
4F050
【Fターム(参考)】
3B211AA14
3B211AB01
3B211AC07
3B211AC12
3B211AC22
4F050AA28
4F050DA26
4F050FA27
4F050HA53
4F050JA24
(57)【要約】
【課題】嵩張らずに持ち運びあるいは収納可能であって作業者の靴のサイズに合うように容易に組み立てて使用することが可能な靴用絶縁カバーを提供する。
【解決手段】靴の表面を構成する各部の表面形状に対応した形状であって、その表面を被う平面状の絶縁性のゴム材料からなる複数の部材(足底部材11、踵部材12、左右側面部材13a,13b(爪先左右被い部14a,14b含む)、甲前方左右被い部材15a,15b、甲後方左右被い部材16a,16b、爪先縦巻込み被い部材17、爪先横巻込み被い部材18)を有する。非組み立て状態では、足底部材11を中央にしてその前後左右に表面が隣接する各部材が連続して展開される平面シート状に構成される。組み立て時は、その表面を下にして床に置いた状態で、足底部材11の裏面に靴を載せ、足底部材11の前後左右に連続する平面状の各部材を、靴の各部の表面に沿わせて折り曲げて組み立てる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴の表面を構成する各部の表面形状に対応した形状であって、平面状で柔軟性のある絶縁材料からなる複数の部材を有し、
非組み立て時は、前記複数の部材は、このうちの足底に対応する第1部材を中央にして前記第1部材の前後左右に表面が隣接する各部材が連続して展開されるように構成され、
組み立て時は、表面を下にした前記第1部材の裏面にユーザの靴を載せ、前記第1部材の前後左右に表面を下にして連続する各部材を、前記載せた靴の各部の表面に沿わせて折り曲げて組み立てる、
靴用絶縁カバー。
【請求項2】
前記組み立てに応じて隣接するまたは重なる一方の部材と他方の部材それぞれ設けられ、前記一方の部材と前記他方の部材とを繋いで留める接続部材を備える、
請求項1に記載の靴用絶縁カバー。
【請求項3】
前記複数の部材は、前記ユーザが使用する最大の靴の各部の表面形状に対応する大きさを有する、
請求項1または請求項2に記載の靴用絶縁カバー。
【請求項4】
前記複数の部材の表面は、前記複数の部材を組み立てる順番を表記する組立て順番号を有する、
請求項1または請求項2に記載の靴用絶縁カバー。
【請求項5】
前記組み立てに応じて隣接する一方の部材と他方の部材に設けられる接続部材は、一方が複数の突起を所定の間隔で配列した雄バンドで、他方が前記突起に嵌合する複数の嵌合孔を配列した雌バンドであり、
前記組み立てに応じて重なる一方の部材と他方の部材に設けられる接続部材は、一方が雄面ファスナで、他方が雌ファスナである、
請求項2に記載の靴用絶縁カバー。
【請求項6】
前記複数の部材は、少なくとも、前記第1部材である足底部材と、靴の踵を被う踵部材と、靴の側面を被う側面部材と、靴の甲を被う甲部材と、靴の爪先を被う爪先部材と、を含む、
請求項1または請求項2に記載の靴用絶縁カバー。
【請求項7】
前記踵部材は、前記足底部材の後方に連続して設けられ、
前記側面部材は、前記足底部材の左側と右側にそれぞれ左側面部材と右側面部材として連続して設けられ、
前記甲部材は、前記左側面部材と前記右側面部材の両方または一方をさらに延長するように連続して設けられ、
前記爪先部材は、前記足底部材の前方に連続して設けられる、
請求項6に記載の靴用絶縁カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、靴用絶縁カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、感電を避けるべき高圧の電気設備を有する工場などの現場では、現場作業者に対して帯電靴の使用が求められる。
【0003】
帯電靴は、通常、作業者毎にその足のサイズに合ったものが使用されるが、例えば、電気安全装備品の点検に伴い持参できない場合や現場への持参を忘れた場合など、絶縁性に乏しく感電リスクの高い通常の靴のまま作業を行なうことが考えられる。
【0004】
従来、通常履く靴の踝付近に折り畳み式のオーバシューズを収納する収納部を設け、収納部から引き出して袋状に広げて履くことのできるオーバシューズに絶縁性を持たせることで、帯電靴への履き替えを要することなく、帯電靴としても使用可能な靴(特許文献1参照)、あるいは、靴を履いた状態で作業者の足の絶縁性を確保できるオーバシューズ(特許文献2参照)、あるいは、使用目的に応じて添加剤を選択して電気的絶縁性を高めることができるフリーサイズオーバシューズ(特許文献3参照)などが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-000293号公報
【特許文献2】特開2014-200300号公報
【特許文献3】特開2011-167435号公報
【特許文献4】特開2003-038202号公報
【特許文献5】実開昭53-013452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のオーバシューズでは、帯電靴を持参できない場合に通常の靴のまま履くことで感電リスクのない作業を行なうことができるものの、結果として、収納部を設けた専用の靴の着用を要したり、靴の形をした靴同様に嵩張る立体形状のオーバシューズを要したりしてしまう。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、嵩張らずに持ち運びあるいは収納可能であって作業者の靴のサイズに合うように容易に組み立てて使用することが可能になる靴用絶縁カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の靴用絶縁カバーは、
靴の表面を構成する各部の表面形状に対応した形状であって、平面状で柔軟性のある絶縁材料からなる複数の部材を有し、
非組み立て時は、前記複数の部材は、このうちの足底に対応する第1部材を中央にして前記第1部材の前後左右に表面が隣接する各部材が連続して展開されるように構成され、
組み立て時は、表面を下にした前記第1部材の裏面にユーザの靴を載せ、前記第1部材の前後左右に表面を下にして連続する各部材を、前記載せた靴の各部の表面に沿わせて折り曲げて組み立てるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る組み立て式靴用絶縁カバー10の組み立て前の外観構成を示す平面展開図。
図2図1の組み立て式靴用絶縁カバー10の爪先縦巻込み被い部材17に爪先横巻込み被い部材18を組み合わせた状態での外観構成を示す平面展開図。
図3】組み立て式靴用絶縁カバー10の組み立て時に各部材間を繋いで締めて留めるための雄バンド24と雌バンド25(接続部材)の構成を示す正面図。
図4】組み立て式靴用絶縁カバー10の組立て順番号19(1,2,3a,3b)に従って靴用絶縁カバー10を組み立てる過程(その1)の状態を示す右後方斜視図。
図5】組み立て式靴用絶縁カバー10の組立て順番号19(4a,4b,5a,5b)に従って靴用絶縁カバー10を組み立てる過程(その2)の状態を示す右後方斜視図。
図6】組み立て式靴用絶縁カバー10の組立て順番号19(6,7)に従って靴用絶縁カバー10を組み立て終わった状態を示す右後方斜視図。
図7】組み立て式靴用絶縁カバー10の組み立て終わった状態を示す左後方斜視図。
図8】組み立て式靴用絶縁カバー10の組み立て終わった状態を示す左前方斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の靴用絶縁カバーについて、図面を参照して説明する。
【0011】
(実施形態の構成)
図1は、実施形態に係る組み立て式靴用絶縁カバー10の組み立て前の外観構成を示す平面展開図である。
【0012】
図2は、図1の組み立て式靴用絶縁カバー10の爪先縦巻込み被い部材17に爪先横巻込み被い部材18を組み合わせた状態での外観構成を示す平面展開図である。
【0013】
組み立て式靴用絶縁カバー(靴用絶縁カバー)10は、図1に示すように、その組み立て前の状態では平面シート状に展開されており、作業者(ユーザ)が履いている靴の上に被せて使用する。
【0014】
靴用絶縁カバー10は、例えば、電気抵抗率ρ=1011~1012[Ω・cm]のフッ素ゴムなどの柔軟性のある絶縁性のゴムを材料とし、少なくとも人が感電した際に痛みを感じ始める電流I=5[mA]と現場設備の高電圧Emax=600[V]とに耐え得る厚み以上の厚さ5[mm]で構成する。
【0015】
図1の展開図は、靴用絶縁カバー10の表面側を示しており、中央の足底部材11(第1部材)から図示の右方向が爪先側(前方側)、図示の左方向が踵側(後方側)となり、図示の下方向が靴の左側、図示の上方向が靴の右側に対応する。破線(21)は組み立て時に山折りする線を示し、点線(22a,22b,23)は裏面に貫通する切り込みを示す。
【0016】
足底部材11は、例えば、現場の作業者が使用する最大の靴(最大靴)の長さと幅に対応する長方形とし、足底部材11の後方側には、足底部材11と同じ幅で最大靴の踵の高さに対応する矩形の踵部材12が、足底部材11に連続して設けられる。
【0017】
足底部材11の左側(図示下方)と右側(図示上方)には、最大靴の甲に対応する高さで、爪先側において足底部材11の長さを上回り且つその上回った長さが足底部材11の幅を下回る長さの左側面部材13aと右側面部材13bが、足底部材11に連続して設けられる。
【0018】
また、左側面部材13aと右側面部材13bには、踵側から最大靴の足首部分に対応する長さをおいた位置Pから爪先側において、図示下方と図示上方に向けて、最大靴の幅に対応する高さの甲前方左被い部材15aおよび甲後方左被い部材16aと甲前方右被い部材15bおよび甲後方右被い部材16bが、当該左側面部材13aと右側面部材13bの高さを延長するように連続して設けられる。
【0019】
なお、甲前方右被い部材15bおよび甲後方右被い部材16bは、靴用絶縁カバー10の組み立て時において、甲前方左被い部材15aおよび甲後方左被い部材16aで作業者の靴の甲を左側から被った後に、当該甲前方左被い部材15aおよび甲後方左被い部材16aの表面に重ねて作業者の靴の甲を右側から被うようにするので、その重ねる厚みを考慮して当該甲前方左被い部材15aおよび甲後方左被い部材16aを上回る高さhで設けられる。
【0020】
左側面部材13aと右側面部材13bそれぞれの爪先側は、何れもその上部の先端P1から底部(足底部材11との境界)に掛けてテーパ状に長さを短く形成した爪先左被い部14aと爪先右被い部14bとして構成される。
【0021】
さらに、甲前方左被い部材15aと甲前方右被い部材15bそれぞれの爪先側は、甲前方左被い部材15aではその甲を被う右端P2aから左端(左側面部材13aとの境界)に掛けて、甲前方右被い部材15bではその甲を被う左端P2b(甲前方左被い部材15aを上回る高さhの部分を除く)から右端(右側面部材13bとの境界)に掛けて、何れもテーパ状に長さを短く形成した甲前端左被い部15apと甲前端右被い部15bpとして構成される。
【0022】
また、足底部材11の前方側には、足底部材11と同じ幅で、最大靴の爪先の高さにその爪先から甲前部に至る長さを加えた長さに対応する長方形の爪先縦巻込み被い部材17が、足底部材11に連続して設けられる。
【0023】
また、靴用絶縁カバー10は、図2に示すように、爪先縦巻込み被い部材17に組み合わせて用いる爪先横巻込み被い部材18を別体にして備える。
【0024】
爪先横巻込み被い部材18は、前述した他の部材と同一の材料と厚みであって、図示横方向の長さが最大靴の爪先の高さに対応し、図示上下方向の幅が最大靴の爪先の左右側面に回り込む長さに対応する長方形に構成される。
【0025】
爪先横巻込み被い部材18は、その中央に幅方向に沿って、爪先縦巻込み被い部材17の幅に対応する長さの切り込みにより形成された通し孔23を有し、当該通し孔23に図示裏側から爪先縦巻込み被い部材17を通して組み合わせる。
【0026】
靴用絶縁カバー10の踵部材12、左側面部材13a,右側面部材13b、爪先左被い部14a,爪先右被い部14b、甲前方左被い部材15a,甲前方右被い部材15b、甲後方左被い部材16a,甲後方右被い部材16b、爪先縦巻込み被い部材17、爪先横巻込み被い部材18の表面には、そのそれぞれを組み立てる順番(1)~(7)を表記する組立て順番号19が印刷などにより設けられる。
【0027】
足底部材11の表面には、例えばその全面に渡り等間隔で形成される波形の滑り止め溝20が設けられる。
【0028】
また、破線(21)で示す足底部材11と踵部材12との山折りする境界および足底部材11と左右側面部材13a,13bとの山折りする境界には、何れもその境界線に沿って裏面には貫通しない山折り用切り込み21が形成され、足底部材11に対し踵部材12および左右側面部材13a,13bが容易に角を付けて立ち上がるように構成する。
【0029】
また、裏面に貫通する切り込み22a,22bを境界として前後に分離する甲前方左被い部材15aおよび甲前方右被い部材15bと、甲後方左被い部材16aおよび甲後方右被い部材16bとは、靴の甲の前方から後方へ上昇する傾斜に対応させるための構成である。
【0030】
そして、左側面部材13aの表面の後部と踵部材12の表面の左端(図示下方)には、その間を繋いで締めて留めるための踵左雄バンド24aと踵左雌バンド25aが、それぞれその組み立て時に重なり合う位置に設けられ、同様に、右側面部材13bの表面の後部と踵部材12の表面の右端(図示上方)には、踵右雄バンド24bと踵右雌バンド25bが設けられる。
【0031】
また同様に、爪先左被い部14aの表面の先端部と爪先右被い部14bの表面の先端部には、爪先左雄バンド24cと爪先右雌バンド25cが設けられる。
【0032】
また、甲前方左被い部材15aの表面と甲前方右被い部材15bの表面には、その間を繋いで締めて留めるための甲前方左雄バンド24dと甲前方右雌バンド25dが、それぞれその組み立て時に重なり合う位置に設けられ、同様に、甲後方左被い部材16aの表面と甲後方右被い部材16bの表面には、甲後方左雄バンド24eと甲後方右雌バンド25eが設けられる。
【0033】
また、爪先縦巻込み被い部材17の裏面の先端部と甲前方右被い部材15bの表面の後方中央部には、その間を繋いで留めるための甲前方雄面ファスナ26mと甲前方雌面ファスナ26wが、それぞれその組み立て時に重なり合う位置で且つ前後に調節可能なように長手方向を直交する方向にして設けられる。
【0034】
また、爪先横巻込み被い部材18の裏面の左端部(図示下方)と左側面部材13aの表面の前部には、その間を繋いで留めるための爪先左雄面ファスナ27maと爪先左雌面ファスナ27waが、それぞれその組み立て時に重なり合う位置で且つ前後に調節可能なように長手方向を直交する方向にして設けられる。
【0035】
同様に、爪先横巻込み被い部材18の裏面の右端部(図示上方)と右側面部材13bの表面の前部には、爪先右雄面ファスナ27mbと爪先右雌面ファスナ27wbが設けられる。
【0036】
図3は、組み立て式靴用絶縁カバー10の組み立て時に各部材間を繋いで締めて留めるための雄バンド24と雌バンド25(接続部材)の構成を示す正面図である。
【0037】
雄面ファスナ26m,27ma,27mbと雌面ファスナ26w,27wa,27wb(接続部材)としては、例えばマジックテープ(登録商標)を用いてよい。
【0038】
雄バンド24と雌バンド25は、図3(A)と図3(B)に示すように、何れもそのバンド本体部と接着固定部24f,25fとを備え、バンド本体部は、何れも薄板状の同サイズの長方形で柔軟性のある樹脂などを材料として構成される。
【0039】
接着固定部24f,25fは、雄バンド24と雌バンド25の何れも、互いに繋いで組み合わせる長手方向の先端と反対側の端部に設けられる。
【0040】
雄バンド24の本体部の表面には、所定の間隔で配列される複数の嵌合突起24pが設けられると共に、先端近傍には、雌バンド25をその先端から通して係止するための雌バンド通し24tが設けられる。
【0041】
一方、雌バンド25の本体部には、雄バンド24の表面に設けられる複数の嵌合突起24pと同一の配列間隔で、例えば図3(C)に示すように、当該嵌合突起24pとバンド長手方向に締める長さを調節して位置合わせしつつ嵌合して留まる複数の嵌合孔25hが設けられる。
【0042】
雄バンド24および雌バンド25は、何れも互いに繋いで組み合わせる長手方向の先端と反対側の端部にのみ接着固定部24f,25fを有するので、そのバンド本体部は、何れも靴用絶縁カバー10の各部材の表面から浮いた状態で固定される。従って、後述もするが、靴用絶縁カバー10の組み立てに伴い、例えば、爪先左被い部14aが下に爪先右被い部14bが上に重なった状態となっても、爪先右被い部14bの表面上において爪先左雄バンド24cと爪先右雌バンド25cとを繋いで締めて留めることが可能な構成とする。
【0043】
同様に、甲前方左被い部材15aが下に甲前方右被い部材15bが上に重なった状態となっても、甲前方右被い部材15bの表面上において甲前方左雄バンド24dと甲前方右雌バンド25dとを繋いで留めることが可能な構成である。
【0044】
また同様に、甲後方左被い部材16aが下に甲後方右被い部材16bが上に重なった状態となっても、甲後方右被い部材16bの表面上において甲後方左雄バンド24eと甲後方右雌バンド25eとを繋いで留めることが可能な構成である。
【0045】
(組み立て式靴用絶縁カバー10の組み立て)
次に、実施形態の組み立て式靴用絶縁カバー10を組み立てる過程とその使用方法について説明する。
【0046】
図4は、組み立て式靴用絶縁カバー10の組立て順番号19(1,2,3a,3b)に従って靴用絶縁カバー10を組み立てる過程(その1)の状態を示す右後方斜視図である。
【0047】
図5は、組み立て式靴用絶縁カバー10の組立て順番号19(4a,4b,5a,5b)に従って靴用絶縁カバー10を組み立てる過程(その2)の状態を示す右後方斜視図である。
【0048】
図6は、組み立て式靴用絶縁カバー10の組立て順番号19(6,7)に従って靴用絶縁カバー10を組み立て終わった状態を示す右後方斜視図である。
【0049】
図7は、組み立て式靴用絶縁カバー10の組み立て終わった状態を示す左後方斜視図である。
【0050】
図8は、組み立て式靴用絶縁カバー10の組み立て終わった状態を示す左前方斜視図である。
【0051】
なお、図4ないし図8に示す組み立てる過程の靴用絶縁カバー10と組み立て終わった靴用絶縁カバー10の何れも、図面作成の便宜上、箱形が強く描かれているが、実際には作業者(ユーザ)の靴Sの表面に沿ってより丸みを帯びた形状に組み立てられる。
【0052】
実施形態の靴用絶縁カバー10は、図1で示したように展開した状態(非組み立て状態)において、平面シート状に構成されるため、例えば、靴用絶縁カバー10の使用を必要とする現場の入口付近に収納用のボックスを設置しておくことで、薄いボックスであっても、両足を一組とする複数組み(4枚以上の偶数枚)の靴用絶縁カバー10を、場所を取らずに配置しておくことができる。
【0053】
(1)先ず、作業者は、現場の入口において、収納用のボックスから靴用絶縁カバー10を取り出し、その表面(図1図2で示した正面)を下にして床に敷き、履いている靴Sの靴底を足底部材11(第1部材)の裏面(上)に載せる。
【0054】
(2)作業者は、図4に示すように、組立て順番号(1)が表記された踵部材12と、組立て順番号(2)が表記された左側面部材13aおよび右側面部材13bを、自身の靴Sの踵と左右側面に沿って折り上げ、踵左雄バンド24aと踵左雌バンド25aおよび踵右雄バンド24bと踵右雌バンド25bによって、靴用絶縁カバー10の踵周りを繋いで組み立てる。
【0055】
(3)作業者は、組立て順番号(3a)(3b)が表記された爪先左被い部14aと爪先右被い部14bを、自身の靴Sの爪先に沿わせて左右から折り曲げ、爪先左雄バンド24cと爪先右雌バンド25cによって、靴用絶縁カバー10の爪先周りの下層部を繋いで組み立てる。
【0056】
(4)作業者は、組立て順番号(4a)(4b)が表記された甲前方左被い部材15aと甲前方右被い部材15bおよび組立て順番号(5a)(5b)が表記された甲後方左被い部材16aと甲後方右被い部材16bを、図5に示すように、自身の靴Sの甲の前方および後方に沿わせて左右から包み込むように折り曲げ、甲前方左雄バンド24dと甲前方右雌バンド25dおよび甲後方左雄バンド24eと甲後方右雌バンド25eによって、靴用絶縁カバー10の甲の前部および後部をその甲の傾斜に合わせて組み立てる。
【0057】
この際、甲前方左被い部材15aの甲前端左被い部15apと甲前方右被い部材15bの甲前端右被い部15bpとは、その自重により、爪先左被い部14aと爪先右被い部14bによって先に組み立てられた爪先周りの下層部の上方から傾斜して垂れ下がった状態となる。
【0058】
(5)作業者は、組立て順番号(6)が表記された爪先縦巻込み被い部材17を、図6に示すように、爪先左被い部14aと爪先右被い部14bによって先に組み立てられた爪先周りの下層部の上から、甲前端左被い部15apおよび甲前端右被い部15bpを巻き込みつつ、自身の靴Sの爪先正面から甲の前部に沿わせて折り曲げ、その裏面に設けられた甲前方雄面ファスナ26mを甲前方右被い部材15b表面の甲前方雌面ファスナ26wに貼付けて留め、靴用絶縁カバー10の爪先正面ないし甲前部を組み立てる。
【0059】
この際、爪先縦巻込み被い部材17に組み合わされている爪先横巻込み被い部材18は、通し孔23を介して爪先縦巻込み被い部材17の長さ方向に対応する位置が調節され、その中央部が爪先縦巻込み被い部材17と共に爪先の正面に重ねられた状態となる。
【0060】
(6)最後に作業者は、組立て順番号(7)が表記された爪先横巻込み被い部材18の両端を、図6図7図8に示すように、爪先の正面からその左右に沿わせて湾曲させ、その両端の裏面に設けられた爪先左雄面ファスナ27maと爪先右雄面ファスナ27mbとを、それぞれ左側面部材13a前部表面の爪先左雌面ファスナ27waと右側面部材13b前部表面の爪先右雌面ファスナ27wbとに貼付けて留め、靴用絶縁カバー10の爪先周りの上層部を組み立てる。
【0061】
これにより、作業者が履いたままの靴Sの靴底をベースとして靴Sの表面全体を被う靴用絶縁カバー10の組み立てを完了し、作業者は、例えば高圧の電気設備に対する感電を防げる状態で現場に入ることができる。
【0062】
(実施形態のまとめ)
実施形態の組み立て式靴用絶縁カバー10によれば、靴用絶縁カバー10は、靴Sの表面を構成する各部(底、踵、左右側面、甲前部、甲後部、爪先正面、爪先左右)それぞれの表面形状に対応した形状であって、その表面を被う平面状の絶縁性のゴム材料からなる複数の部材(足底部材11(第1部材)、踵部材12、左右側面部材13a,13b(爪先左右被い部14a,14b含む)、甲前方左右被い部材15a,15b、甲後方左右被い部材16a,16b、爪先縦巻込み被い部材17、爪先横巻込み被い部材18)を有する。
【0063】
非組み立て状態では、足底部材11を中央にしてその前後左右に表面が隣接する各部材が連続して展開される平面シート状に構成される。
【0064】
靴用絶縁カバー10の各部材は、例えば、現場の作業者が使用する最大の靴(最大靴)の各部の表面形状に対応する大きさ(高さ、幅、長さ)とされる。
【0065】
そして、組み立て時は、平面シート状の靴用絶縁カバー10を、その表面を下にして床に置いた状態で、足底部材11の裏面に、作業者(ユーザ)が履いたままの靴を載せ、足底部材11の前後左右に連続する平面状の各部材を、靴の各部の表面に沿わせて順番に折り曲げて組み立てることで、靴の表面全体を被う靴用絶縁カバー10が組み立てられる。
【0066】
組み立てによって隣接するまたは重なる一方の部材と他方の部材には、雄バンド24a~24eと雌バンド25a~25dまたは雄面ファスナ26m,27ma,27mbと雌面ファスナ26w,27wa,27wbが設けられ、相互の部材は繋いで留められる。
【0067】
よって、非組み立て状態では嵩張らずに持ち運びあるいは収納可能であって、組み立て時は、作業者が靴Sを履いたまま、作業者の靴Sのサイズに合うように容易に組み立てて使用することが可能な組み立て式靴用絶縁カバー10を提供できる。
【0068】
なお、実施形態の組み立て式靴用絶縁カバー10に用いた雄バンド24a~24eと雌バンド25a~25eは同種のバンドに限らないのは勿論、また雄面ファスナ26m,27ma,27mbと雌面ファスナ26w,27wa,27wbが同種の面ファスナに限らないのも勿論である。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
10…組み立て式靴用絶縁カバー、11…足底部材、12…踵部材、13a…左側面部材、13b…右側面部材、14a…爪先左被い部、14b…爪先右被い部、15a…甲前方左被い部材、15b…甲前方右被い部材、16a…甲後方左被い部材、16b…甲後方右被い部材、17…爪先縦巻込み被い部材、18…爪先横巻込み被い部材、19…組立て順番号、20…滑り止め溝、21…山折り用切り込み、22a,22b…切り込み(裏面に貫通)、23…通し孔、24a~24e…雄バンド、25a~25e…雌バンド、26m,27ma,27mb…雄面ファスナ、26w,27wa,27wb…雌面ファスナ。

図1
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図8