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特開2024-148076液圧ポンプ装置のバルブブロック、及びそれを備える液圧ポンプ装置
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  • 特開-液圧ポンプ装置のバルブブロック、及びそれを備える液圧ポンプ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148076
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】液圧ポンプ装置のバルブブロック、及びそれを備える液圧ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 23/06 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
F04B23/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060989
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】刀塚 淳
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝宏
【テーマコード(参考)】
3H071
【Fターム(参考)】
3H071AA03
3H071BB01
3H071BB12
3H071CC28
3H071DD14
3H071DD89
(57)【要約】
【課題】2つのポンプ部の各々とバルブブロックとが互いに合わさせる合わせ面から作動液が漏れ出ることを抑制することができるバルブブロックを提供する。
【解決手段】バルブブロックは、2つの可変容量形のポンプ部が第1方向に並べて配置される液圧ポンプ装置において2つのポンプ部の間に介在するバルブブロックであって、ポンプ部に設けられるレギュレータに夫々繋がるレギュレータ制御用流路が形成されているブロック本体と、レギュレータ制御用流路の各々に介在するようにブロック本体に設けられている逆止弁とを備え、逆止弁は、第1方向に直交する第2方向一方側から挿入されてブロック本体に設けられている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの可変容量形のポンプ部が第1方向に並べて配置される液圧ポンプ装置において前記2つのポンプ部の間に介在するバルブブロックであって、
前記ポンプ部に設けられるレギュレータに夫々繋がるレギュレータ制御用流路が形成されているブロック本体と、
前記レギュレータ制御用流路の各々に介在するように前記ブロック本体に設けられている逆止弁とを備え、
前記逆止弁は、第1方向に直交する第2方向一方側から挿入されて前記ブロック本体に設けられている、バルブブロック。
【請求項2】
複数の前記逆止弁を備え、
前記レギュレータ制御用流路の各々は、前記ポンプ部の吐出圧が導かれる第1流路部と、所定の入力圧が導かれる第2流路部と、前記第1流路部と前記第2流路部と前記レギュレータとに繋がる第3流路部とを夫々有し、
前記複数の逆止弁は、前記レギュレータ制御用流路の各々の前記第1流路部と前記第2流路部とに夫々介在し、前記第3流路部への流れを許容する、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項3】
複数の前記逆止弁を備え、
前記ブロック本体は、前記ポンプ部の第2方向一方側に配置される前記レギュレータに隣接するように第1方向両側に夫々形成される弁装着部を含み、
前記弁装着部は、前記ブロック本体において第2方向一方側において突き出るように形成され、
前記複数の逆止弁は、前記弁装着部の各々において第2方向一方側から挿入されている、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項4】
請求項1に記載のバルブブロックと、
前記バルブブロックを間に介在させるように第1方向に並べて配置される2つの可変容量形の前記ポンプ部と、
前記ポンプ部の第1方向に夫々設けられ、前記ポンプ部の各々の吐出容量を調整する前記レギュレータと、を備える液圧ポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2つのポンプ部を並べて配置される液圧ポンプ装置において2つのポンプ部の間に配置されるバルブブロック、及びそれを備える液圧ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液圧ポンプ装置として、例えば特許文献1のポンプ装置が知られている。特許文献1のポンプ装置では、2つのポンプ部が互いに共有する軸部材に並列するように配置されている。そして2つのポンプ部の間にバルブブロックが配置されている。また、ポンプ部は、可変容量形の斜板ポンプであって、レギュレータによって斜板の傾転角を変えられる。これにより、ポンプ部は、吐出容量を変えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-51553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のポンプ装置において、レギュレータの各々は、斜板の傾転角を変えるべく、例えば以下のように作動する。即ち、レギュレータは、サーボピストンを備えており、サーボピストンには、制御圧と選択圧とが互いに抗するように作用している。サーボピストンは、制御圧と選択圧との差圧に応じた位置にストロークし、ストロークすることによって斜板の傾転角を変える。制御圧は、レギュレータに含まれる方向制御弁によって制御される。他方、選択圧は、パイロットポンプから入力される入力圧及び吐出圧から高圧選択される。
【0005】
このようなポンプ装置では、入力圧及び吐出圧から高圧選択するべく複数の逆止弁が備わっている。複数の逆止弁は、ポンプ装置において例えば以下のように配置されている。即ち、複数の逆止弁は、バルブブロックであって、バルブブロックが2つのポンプ部の各々と互いに突き合わせられる合わせ面に配置される。それ故、合わせ面が互いに乖離する等した際に逆止弁から作動液が漏れ出ることがある。
【0006】
そこで本開示は、2つのポンプ部の各々とバルブブロックとが互いに合わさせる合わせ面から作動液が漏れ出ることを抑制することができるバルブブロック、及びそれを備える液圧ポンプ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のバルブブロックは、2つの可変容量形のポンプ部が第1方向に並べて配置される液圧ポンプ装置において前記2つのポンプ部の間に介在するバルブブロックであって、前記ポンプ部に設けられるレギュレータに夫々繋がるレギュレータ制御用流路が形成されているブロック本体と、前記レギュレータ制御用流路の各々に介在するように前記ブロック本体に設けられている逆止弁とを備え、前記逆止弁は、第1方向に直交する第2方向一方側から挿入されて前記ブロック本体に設けられている。
【0008】
本開示のバルブブロックに従えば、逆止弁は、第2方向一方側から挿入されてブロック本体に設けられている。それ故、バルブブロックにおいてポンプ部の各々と互いに突き合わせられる合わせ面に配置される逆止弁の数を低減することができる。これにより、合わせ面がポンプ部の各々から乖離する等して、合わせ面に配置される逆止弁から作動液が漏れ出ることを抑制することができる。
【0009】
本開示の液圧ポンプ装置は、前述するバルブブロックと、前記バルブブロックを間に介在させるように第1方向に並べて配置される2つの可変容量形の前記ポンプ部と、前記ポンプ部の第1方向に夫々設けられ、前記ポンプ部の各々の吐出容量を調整する前記レギュレータと、を備える。
【0010】
本開示の液圧ポンプ装置に従えば、前述するような機能を達成する液圧ポンプ装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、合わせ面から作動液が漏れ出ることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態にかかる液圧ポンプ装置を示す斜視図である。
図2図1の液圧ポンプを後方から見た背面図である。
図3図1の液圧ポンプ装置を示す回路図である。
図4図1に備わるバルブブロックを示す斜視図である。
図5】バルブブロックを図2に示す切断線V-Vで切断して一部を示す断面図である。
図6図4のバルブブロックを上方から見て平面図である。
図7図2の液圧ポンプ装置の領域Xを拡大して示す拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に係る実施形態の液圧ポンプ装置1及びそれに備わるバルブブロック2について前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する液圧ポンプ装置1及びバルブブロック2は、本開示の一実施形態に過ぎない。従って、本開示は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0014】
<液圧ポンプ装置>
図1に示す液圧ポンプ装置1は、例えば産業機械及び建設機械等の液圧機械に搭載される。液圧ポンプ装置1は、タンク5(図3参照)から作動液を吸入して吐出する。液圧ポンプ装置1は、産業機械及び建設機械等に備わる液圧アクチュエータ(例えば、液圧シリンダ及び液圧モータ)に接続されている。液圧ポンプ装置1から吐出される作動液は、各液圧アクチュエータに供給される。これにより、液圧アクチュエータが作動する。図2にも示すように液圧ポンプ装置1は、いわゆるタンデム型ポンプであって、後述する2つのポンプ部3R,3Lが組合わされて構成される複合型ポンプ装置である。液圧ポンプ装置1は、2つのポンプ部3R,3Lと、レギュレータ4R,4Lと、バルブブロック2とを備えている。液圧ポンプ装置1では、2つのポンプ部3R,3Lが後述する軸方向に並べて配置され、それらの間にバルブブロック2が介在している。以下では、液圧ポンプ装置1の構成が詳細に説明される。
【0015】
<ポンプ部>
ポンプ部3R,3Lの各々は、タンク5(図3参照)から作動液を吸入して吐出する。ポンプ部3R,3Lは、第1方向である軸方向に互いに間隔をあけて並べて配置されている。ここで、軸方向は、軸部材11が延在する方向であり、本実施形態において左右方向である。より詳細に説明すると、ポンプ部3R,3Lは、共に1つの軸部材11を共有している。そして、ポンプ部3R,3Lは、軸部材11に互いに間隔をあけて並べて配置されている。ポンプ部3R,3Lは、例えば可変容量形の斜板式ピストンポンプである。2つのポンプ部3R,3Lは、斜板10R,10L(図3の液圧回路参照)の傾転角を変えることによって、吐出容量を変えることができる。
【0016】
以下では、ポンプ部3R,3Lが更に詳細に説明される。なお、ポンプ部3R,3Lは、互いに同一の構成を有しており、対称(本実施形態において、点対称)に配置されている。それ故、以下において、一方のポンプ部3Rの構成が主に説明される。そして、他方のポンプ部3Lの構成については、一方のポンプ部3Rと同一の構成の符号を「R」から「L」に代えて示し、詳細な説明が省略される。
【0017】
一方のポンプ部3Rは、ケーシング12Rと、前述する軸部材11と、斜板10R,10Lを備え、更にケーシング12R内には図示しないシリンダブロック、及びピストン等が収容されている。ケーシング12Rは、軸方向両側において開口している。軸部材11は、ケーシング12Rを貫通している。即ち、軸部材11の一端部は、ケーシング12Rの開口12Raから外方に突き出ており、他端側は他方のケーシング12L内にまで延在している。そして、軸部材11は、各ケーシング12R,12Lにおいて回転可能に支持されている。また、軸部材11の一端部には、駆動源(例えば、エンジン及び電動機の少なくとも一方)Eが接続されている(図3の液圧回路参照)。
【0018】
また、軸部材11には、相対回転不能にシリンダブロックが設けられている。シリンダブロックの一端面には、複数のシリンダボアが形成されている。シリンダボアの各々には、ピストンが往復運動可能に挿入されている。斜板10R,10Lは、シリンダブロックの一端面に面し且つ傾斜させて配置されており、斜板10R,10L上にはピストンがシューを介して支持されている。ピストンは、シューを介して斜板上を軸部材11の軸線、即ち回転軸線L1まわりに摺動回転する。それ故、ポンプ部3R,3Lでは、軸部材11を回転させると、ピストンがシリンダボアを往復運動する。
【0019】
<レギュレータ>
レギュレータ4R,4Lは、ポンプ部3R,3Lに夫々設けられている。より詳細に説明すると、レギュレータ4R,4Lは、ポンプ部3R,3Lの各々において第2方向一方側(本実施形態において、上側)に設けられている。また、レギュレータ4R,4Lは、本実施形態において点対称になるように配置されている。そして、レギュレータ4R,4Lは、ポンプ部3R,3Lの斜板10R,10Lの傾転角を夫々変える。レギュレータ4R,4Lは、サーボピストン13R,13Lを夫々含む。更に、レギュレータ4R,4Lの各々は、方向制御弁14R,14Lと、及び電磁比例制御弁15R,15Lとを夫々含んでいる。
【0020】
サーボピストン13R,13Lは、ポンプ部3R,3Lのケーシング12R,12L内の上側に収容されている。サーボピストン13R,13Lは、軸方向にストローク可能に夫々収容されている。また、図2に示すように、サーボピストン13R,13Lには後で詳述する選択圧及び制御圧が互に抗するように作用している。そして、サーボピストン13R,13Lは、選択圧と制御圧との差圧に応じた位置にストロークする。更に、サーボピストン13R,13Lは、斜板10R,10Lに夫々連結されており、ストロークすることによって斜板10R,10Lの傾転角を夫々変える(図3の液圧回路参照)。また、サーボピストン13R,13Lは、その一端部に位置調整部(例えば調整ねじ)13Ra,13Laを有している。サーボピストン13R,13Lは、位置調整部13Ra,13Laが操作される(本実施形態において、調整ねじが回される)ことによって位置が調整される。また、サーボピストン13R,13Lの一端部が後で詳述する弁装着部31R,31Lを貫通して外方に突き出ている。
【0021】
方向制御弁14R,14Lは、ポンプ部3R,3Lのケーシング12R,12Lの上部に設けられている。方向制御弁14R,14Lは、サーボピストン13R,13Lに制御圧を出力する。より詳細に説明すると、方向制御弁14R,14Lには、選択圧が入力される。そして、方向制御弁14R,14Lは、入力されるパイロット圧に応じてスプール14Ra,14La(図3の液圧回路参照)を移動させる。これにより、方向制御弁14R,14Lは、選択圧をパイロット圧に応じた圧力に制御した制御圧を出力する。
【0022】
電磁比例制御弁15R,15Lは、ポンプ部3R,3Lのケーシング12R,12L内の上部に設けられている。電磁比例制御弁15R,15Lは、入力される制御信号に応じたパイロット圧を方向制御弁14R,14Lに夫々出力する。これにより、電磁比例制御弁15R,15Lは、入力される制御信号に応じた位置にサーボピストン13R,13Lを移動させ、斜板10R,10Lの傾転角を調整することができる。即ち、電磁比例制御弁15R,15Lは、入力される制御信号に応じた角度に斜板10R,10Lの傾転角を制御する。なお、制御信号は、図示しない制御装置等から出力される電気信号である。
【0023】
<バルブブロック>
バルブブロック2は、図1及び図2に示すように2つのポンプ部3R,3Lの間に介在する。より詳細に説明すると、バルブブロック2は、2つポンプ部3R,3Lと共に軸方向に並べられ、且つ2つのポンプ部3R,3Lに挟まれるように配置されている。そして、バルブブロック2は、2つのポンプ部3R,3Lの各々と複数の締結部材16によって締結されている。本実施形態において、各ポンプ部3R,3Lの各々は、4つの締結部材16によってバルブブロック2に締結されている。各締結部材16は、軸方向一方又は他方から見てバルブブロック2の四隅に夫々配置され、バルブブロック2と各ポンプ部3R,3Lと夫々締結している。また、バルブブロック2は、ブロック本体21と、複数の逆止弁22a~22dとを含んでいる。なお、本実施形態において、バルブブロック2は、4つの逆止弁22a~22dを含んでいる。
【0024】
図4に示すようにブロック本体21は、大略直方体状に形成されている。ブロック本体21は、軸方向両側面(即ち、左右両側面)である合わせ面21Rb,21Lbの各々を各ポンプ部3R,3Lの軸方向端面に夫々突き当てるようにして2つのポンプ部3R,3Lの間に配置されている。より詳細に説明すると、一方のポンプ部3Rでは、軸部材11が突き出ている右側端面の反対側にある左側端面がブロック本体21の右側の合わせ面21Rbに突き合わされている。他方のポンプ部3Lでは、右側端面がブロック本体21の左側の合わせ面21Lbに突き合わされている。また、ブロック本体21は、弁装着部31R,31Lを有している。更に、ブロック本体21には、例えば2つのプレート固定部25と、吐出通路26と、吸入通路27(図5参照)と、2つのレギュレータ制御用流路28R,28Lと、2つのパイロット圧供給流路29R,29Lとが形成されている。
【0025】
弁装着部31R,31Lは、レギュレータ4R,4Lに隣接するように左右方向両側に夫々形成されている。より詳細に説明すると、ブロック本体21は、ブロック本体21の上部、即ちブロック本体21の天井部分21aにおいて左右両側縁部に形成されている。そして、弁装着部31R,31Lは、軸方向両側縁部において上方に突出するように形成されている。また、弁装着部31R,31Lは、前後方向に延在している。弁装着部31R,31Lの各々は、挿通孔31aを有している。挿通孔31aは、弁装着部31R,31Lにおいて例えば前後方向中間部分に形成されている。そして、挿通孔31aには、サーボピストン13L,13Rが挿通されており、サーボピストン13L,13Rは、一端部(即ち、位置調整部13Ra,13La)を外方に突き出させている。このように形成されている弁装着部31R,31Lには、後で詳述するようにレギュレータ制御用流路28R,28Lの一部分が形成され、且つ複数の逆止弁22a~22dが夫々装着されている。
【0026】
2つのプレート固定部25は、ブロック本体21の左右両側の合わせ面21Rb,21Lbに夫々形成されている。例えば、2つのプレート固定部25は、弁装着部31R,31Lの下方に配置されている。なお、左側の合わせ面21Lbに形成されるプレート固定部25は図示されない。各プレート固定部25は、バルブプレート17が夫々嵌り込んで固定されている。バルブプレート17には、吸入ポート17a及び吐出ポート17bが夫々形成されている。吸入ポート17a及び吐出ポート17bは、各ポンプ部3R,3Lに夫々繋がっている。より詳細に説明すると、吸入ポート17a及び吐出ポート17bは、各ポンプ部3R,3Lの複数のシリンダボアに対応させて、回転軸線L1を中心とする円弧状に形成されている。各シリンダボアは、シリンダブロックが回転すると、吸入ポート17a及び吐出ポート17bに交互に接続される。
【0027】
吐出通路26は、各ポンプ部3R,3Lから吐出される作動液が流れる通路である。より詳細に説明すると、吐出通路26は、各バルブプレート17の吐出ポート17bに接続されている。吐出通路26は、図5に示す吐出ポート17bから第3方向一方に延在し、ブロック本体21の第3方向一側面にて開口している(図4も参照)。第3方向は、第1方向及び第2方向に直交する方向であって、本実施形態において前後方向である。そして、第3方向一方は、前方であり、第3方向一側面は、前面である。
【0028】
吸入通路27は、タンク5(図3参照)から作動液が導かれる通路である。より詳細に説明すると、吸入通路27は、各バルブプレート17の吸入ポート17aに接続されている。吸入通路27は、吸入ポート17aから第3方向他方に延在し、ブロック本体21の第3方向他側面にて開口している(図示せず)。本実施形態において、第3方向他方は、後方であり、第3方向他側面は、後面である。
【0029】
2つのレギュレータ制御用流路28R,28Lは、図6に示すようにブロック本体21に形成されている。本実施形態において、レギュレータ制御用流路28R,28Lは、ブロック本体21の上側(本実施形態において、各通路26,27より上側の部分)に形成されている。2つのレギュレータ制御用流路28R,28Lは、レギュレータ4L,4Rに夫々繋がっている。また、レギュレータ制御用流路28R,28Lは、ポンプ部3R,3Lに夫々接続されている(図7も参照)。より詳細に説明すると、レギュレータ制御用流路28R,28Lの各々は、吐出ポート17bに夫々接続され、吐出ポート17bを介してポンプ部3R,3Lに夫々接続されている(図5参照)。更に、レギュレータ制御用流路28R,28Lは、図6に示すように入力口28aに夫々接続されている。入力口28aは、ブロック本体21の後面に形成されている。入力口28aは、例えばパイロットポンプ(図示せず)に接続されている。入力口28aには、パイロットポンプから吐出される液圧、即ち入力圧が入力される。これにより、レギュレータ制御用流路28R,28Lの各々は、ポンプ部3R,3Lの吐出圧及び入力圧をレギュレータ4L,4Rの各々に夫々導くことができる。より詳細に説明すると、レギュレータ制御用流路28R,28Lの各々は、第1乃至第3流路部28Ra~28Rc,28La~28Lcを夫々有している。
【0030】
第1流路部28Ra,28Laの各々には、各ポンプ部3R,3Lの吐出圧が導かれる。第1流路部28Ra,28Laは、各ポンプ部3R,3Lに繋がっている。より詳細に説明すると、第1流路部28Ra,28Laは、吐出ポート17bに夫々接続され、吐出ポート17bを介して各ポンプ部3R,3Lに夫々接続されている(図5参照)。そして、第1流路部28Ra,28Laは、本実施形態において各吐出ポート17bから上方に延在している。また、第1流路部28Ra,28Laは、弁装着部31R,31Lにおいて挿通孔31aの前側に配置されている(図6参照)。そして、第1流路部28Ra,28Laは、弁装着部31R,31Lを貫通しており、上側に逆止弁挿入部分32Ra,32Laを夫々有している。逆止弁挿入部分32Ra,32Laは、弁装着部31R,31Lの上面にて開口している。
【0031】
図6に示す第2流路部28Rb,28Lbは、入力圧が導かれる。第2流路部28Rb,28Lbは、入力口28aに接続されている。より詳細に説明すると、第2流路部28Rb,28Lbは、互いに一部を共有している、即ち共有部分28b有している。共有部分28bは、入力口28aに接続されている。また、図7に示すように第2流路部28Rb,28Lbの各々は、共有部分28bから各ポンプ部3L,3Rの方に分岐している。第2流路部28Rbは、例えば共有部分28bから分岐して右方向に延在し、弁装着部31Rに達している。また、第2流路部28Lbは、例えば共有部分28bから分岐して左方向に延在し、弁装着部31Lに達している(図6も参照)。また、第2流路部28Rb,28Lbは、弁装着部31R,31Lにおいて挿通孔31aの後側に配置されている(図6参照)。更に、第2流路部28Rb,28Lbは、弁装着部31R,31Lにおいて各々を貫通するように上方に延在している。また、第2流路部28Rb,28Lbは、上側に逆止弁挿入部分32Ra,32Laを夫々有している。逆止弁挿入部分32Ra,32Laは、弁装着部31R,31Lの上面にて開口している。
【0032】
第3流路部28Rc,28Lcは、図6に示すように第1流路部28Ra,28Laと、第2流路部28Rb,28Lbと、レギュレータ4L,4Rと繋がっている。より詳細に説明すると、第3流路部28Rc,28Lcは、連通部分28Rd,28Ldと接続部分28Re,28Leとを夫々有している。連通部分28Rd,28Ldは、弁装着部31R,31Lに夫々形成されている。連通部分28Rdは、2つの流路部28Ra,28Rbに夫々接続され、連通部分28Ldは、2つの流路部28La,28Lbに夫々接続されている。本実施形態において、連通部分28Rdは、弁装着部31Rに形成される逆止弁挿入部分32Ra,32Rbを連通している。また、連通部分28Ldは、弁装着部31Lに形成される逆止弁挿入部分32La,32Lbを連通する(図5参照)。
【0033】
図7に示すように接続部分28Re,28Leは、弁装着部31R,31Lに夫々形成されている。接続部分28Re,28Leは、レギュレータ4L,4Rに接続される。本実施形態では、接続部分28Re,28Leは、ケーシング12R,12Lに夫々形成される流路12Rb,12Lbを介してサーボピストン13R,13L及び方向制御弁14R,14Lに夫々接続される。また、接続部分28Re,28Leは、連通部分28Rd,28Ldに夫々接続されている。本実施形態において、接続部分28Reは、図6に示すように第2流路部28Rbの逆止弁挿入部分32Rbに接続され、逆止弁挿入部分32Rbを介して連通部分28Rdに繋がっている。また、接続部分28Reは、逆止弁挿入部分32Rbから右方に延在している。他方、接続部分28Leは、第1流路部28Laの逆止弁挿入部分32Laに接続され、逆止弁挿入部分32Laを介して連通部分28Ldに繋がっている(図7も参照)。また、接続部分28Leは、逆止弁挿入部分32Lbから左方に延在している。更に、接続部分28Re,28Leは、ブロック本体21の左右両側面にて夫々開口しており、ケーシング12R,12Lの流路12Rb,12Lbに夫々接続されている。
【0034】
2つのパイロット圧供給流路29R,29Lは、図6に示すようにブロック本体21に形成されている。パイロット圧供給流路29R,29Lは、電磁比例制御弁15R,15Lに夫々接続されている。また、パイロット圧供給流路29R,29Lは、入力口28aに接続されており、入力口28aを介して図示しないパイロットポンプに接続されている。本実施形態において、パイロット圧供給流路29R,29Lは、第2流路部28Rb,28Lbに夫々接続されており、第2流路部28Rb,28Lbを介して入力口28aに接続されている。また、パイロット圧供給流路29R,29Lの各々は、第2流路部28Rb,28Lbからブロック本体21の左右両側面まで延在している。そして、パイロット圧供給流路29R,29Lの各々は、ケーシング12R,12Lに夫々形成されるパイロット通路12Rc,12Lcを介して電磁比例制御弁15R,15Lに夫々接続されている(図7参照)。
【0035】
逆止弁22a~22dは、レギュレータ制御用流路28R,28Lの各々に介在するようにブロック本体21に設けられている(図5及び図7参照)。より詳細に説明すると、逆止弁22a,22cは、第1流路部28Ra,28Laに夫々介在し、逆止弁22b,22dは、第2流路部28Rb,28Lbに夫々介在している。また、逆止弁22a,22bは、ブロック本体21の弁装着部31Rに夫々設けられ、逆止弁22c,22dは、ブロック本体21の弁装着部31Lに夫々設けられている。
【0036】
また、逆止弁22a~22dは、各弁装着部31R,31Lにおいて上側から挿入されている(例えば図5参照)。より詳細に説明すると、逆止弁22a~22dは、例えば筒状に形成されている。逆止弁22a,22cは、第1流路部28Ra,28Laの逆止弁挿入部分32Ra,32Laに夫々挿入され、逆止弁22a,22cは、第2流路部28Rb,28Lbの逆止弁挿入部分32Rb,32Lbに夫々挿入されている。そして、逆止弁挿入部分32Ra,32Rb,32La,32Lbをプラグ33によって夫々塞がれることによって、逆止弁22a~22dは、各流路部28Ra,28Rb,28La,28Lbに配置されている。
【0037】
逆止弁22a,22bは、第1流路部28Ra及び第2流路部28Rbから第3流路部28Rcへの作動液の流れを許容する。また、逆止弁22c,22dは、第1流路部28La及び第2流路部28Lbから第3流路部28Lcへの作動液の流れを許容する。それ故、逆止弁22a~22dによって入力圧及び吐出圧が高圧選択され、高圧選択された選択圧がサーボピストン13R,13L及び方向制御弁14R,14Lに夫々出力される。
【0038】
<液圧ポンプ装置の動作について>
このように構成される液圧ポンプ装置1は、駆動源Eによって軸部材11を回転させると、各ポンプ部3R,3Lのシリンダブロックが回転する。これにより、複数のピストンが斜板10R,10L上を軸線まわりに回転し、シリンダボアを往復運動する。これにより、吸入通路27及び吸入ポート17aを介してシリンダボアに作動液が吸入され、その後シリンダボアから吐出ポート17bを介して吐出通路26に作動液が吐出される。
【0039】
また、液圧ポンプ装置1において、各ポンプ部3R,3Lは以下のようにして吐出容量を制御する。例えば、ポンプ部3Rでは、レギュレータ制御用流路28Rの第1流路部28Ra及び第2流路部28Rbの各々に吐出圧及び入力圧が導かれる。逆止弁22a,22bは、吐出圧及び入力圧のうち一方を高圧選択する。そして、選択された選択圧がサーボピストン13R及び方向制御弁14Rに導かれる。
【0040】
方向制御弁14Rでは、電磁比例制御弁15Rから制御信号に応じたパイロット圧が入力される。これにより、方向制御弁14Rは、選択圧を制御信号に応じた制御圧に制御し、サーボピストン13Rに出力する。サーボピストン13Rには選択圧と制御圧が互いに抗する方向に作用しており、サーボピストン13Rは、選択圧と制御圧との差圧に応じた位置にストロークする。これにより、ポンプ部3Rは、制御信号に応じた角度に斜板10Rの傾転角を制御する。
【0041】
ポンプ部3Lでも同様に、逆止弁22b,22dによって吐出圧及び入力圧の何れかが高圧選択されてサーボピストン13L及び方向制御弁14Lに導かれる。そして、方向制御弁14Lは、選択圧を制御信号に応じた制御圧に制御し、サーボピストン13Lに出力する。これにより、ポンプ部3Lもまた制御信号に応じた角度に斜板10Rの傾転角を制御する。
【0042】
本実施形態のバルブブロック2において、4つの逆止弁22a~22dは、上側から挿入されてブロック本体21に設けられている。それ故、バルブブロック2においてポンプ部3R,3Lの各々が互いに突き合わせられる合わせ面21Rb,21Lbに配置される逆止弁の数を低減することができる。これにより、合わせ面21Rb,21Lbがポンプ部3R,3Lの各々から乖離する等して、合わせ面21Rb,21Lbに配置される逆止弁から作動液が漏れ出ることを抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態のバルブブロック2において、レギュレータ制御用流路28R,28Lの各々は、第1流路部28Ra,28Laと、第2流路部28Rb,28Lbと、レギュレータ4R,4Lとに繋がる第3流路部28Rc,28Lcを有している。そして、逆止弁22a~22dは、各レギュレータ制御用流路28R,28Lの第1流路部28Ra,28Laと第2流路部28Rb,28Lbとに夫々介在している。それ故、第1流路部28Ra,28Laと第2流路部28Rb,28Lbに夫々介在する逆止弁22a~22dによって吐出圧及び入力圧から高圧が選択され、第3流路部28Rc,28Lcを介してレギュレータ4R,4Lに夫々導かれる。このような機能を有する逆止弁22a~22dが合わせ面21Rb,21Lbに配置されることを抑制することができる。
【0044】
更に、本実施形態のバルブブロック2において、弁装着部31R,31Lは、レギュレータ4R,4Lに隣接するように左右両側に夫々形成され、且つブロック本体21において上方に突き出るように形成されている。そして、逆止弁22a~22dは、弁装着部31R,31Lに上側から挿入されている。それ故、逆止弁22a~22dをより上側に配置することができるので、ブロック本体21に逆止弁22a~22dを挿入しやすくすることができる。
【0045】
更に、本実施形態のバルブブロック2において、前述するような機能を達成する液圧ポンプ装置1を実現することができる。
【0046】
<その他の実施形態について>
本実施形態の液圧ポンプ装置1において、バルブブロック2に備わる逆止弁22a~22dの数は4つであるが、5つ以上であってもよい。また、全ての逆止弁22a~22dが必ずしも合わせ面21Rb,21Lb以外の場所に形成されている必要はない。バルブブロック2に形成される流路は、レギュレータ制御用流路28R,28L及びパイロット圧供給流路29R,29Lに限定されず、それ以外の流路が形成されていてもよい。また、レギュレータ制御用流路28R,28L及びパイロット圧供給流路29R,29Lの形状も前述するような形状に限定されない。
【0047】
本実施形態の液圧ポンプ装置1では、逆止弁が上方から挿入されてブロック本体21に設けられているが、前方、後方、又は下方から挿入されるような構造であってもよい。また、バルブブロック2において、弁装着部31R,31Lは必ずしも上方に突き出ている必要はない。
【0048】
<例示的な実施形態>
第1の局面におけるバルブブロックは、2つの可変容量形のポンプ部が第1方向に並べて配置される液圧ポンプ装置において前記2つのポンプ部の間に介在するバルブブロックであって、前記ポンプ部に設けられるレギュレータに夫々繋がるレギュレータ制御用流路が形成されているブロック本体と、前記レギュレータ制御用流路の各々に介在するように前記ブロック本体に設けられている逆止弁とを備え、前記逆止弁は、第1方向に直交する第2方向一方側から挿入されて前記ブロック本体に設けられている。
【0049】
上記局面に従えば、逆止弁は、第2方向一方側から挿入されてブロック本体に設けられている。それ故、バルブブロックにおいてポンプ部の各々と互いに突き合わせられる合わせ面に配置される逆止弁の数を低減することができる。これにより、合わせ面がポンプ部3R,3Lの各々から乖離する等して、合わせ面に配置される逆止弁から作動液が漏れ出ることを抑制することができる。
【0050】
第2の局面におけるバルブブロックは、第1の局面のバルブブロック2において、複数の前記逆止弁を備え、前記レギュレータ制御用流路の各々は、前記ポンプ部の吐出圧が導かれる第1流路部と、所定の入力圧が導かれる第2流路部と、前記第1流路部と前記第2流路部と前記レギュレータとに繋がる第3流路部とを夫々有し、前記複数の逆止弁は、前記レギュレータ制御用流路の各々の前記第1流路部と前記第2流路部とに夫々介在し、前記第3流路部への流れを許容する。
【0051】
上記局面に従えば、レギュレータ制御用流路の各々は、第1流路部と、第2流路部と、レギュレータとに繋がる第3流路部を有している。そして、複数の逆止弁は、各レギュレータ制御用流路の第1流路部と第2流路部とに夫々介在している。それ故、第1流路部と第2流路部に夫々介在する逆止弁によって吐出圧及び入力圧から高圧が選択されて、第3流路部を介してレギュレータに夫々導かれる。このような機能を有する逆止弁が合わせ面に配置されることを抑制することができる。
【0052】
第3の局面におけるバルブブロックは、第1又は2の局面のバルブブロック2において、複数の前記逆止弁を備え、前記ブロック本体は、前記ポンプ部の第2方向一方側に配置される前記レギュレータに隣接するように第1方向両側に夫々形成される弁装着部を含み、前記弁装着部は、前記ブロック本体において第2方向一方側において突き出るように形成され、前記複数の逆止弁は、前記弁装着部の各々において第2方向一方側から挿入されている。
【0053】
上記局面に従えば、弁装着部は、レギュレータに隣接するように第1方向両側に夫々形成され、且つブロック本体において第2方向一方に突き出るように形成されている。そして、複数の逆止弁は、弁装着部に第2方向一方側から挿入されている。それ故、複数の逆止弁をより第2方向一方側に配置することができるので、ブロック本体に逆止弁を挿入しやすくすることができる。
【0054】
第4の局面における液圧ポンプ装置は、第1乃至第3の何れかの局面のバルブブロックと、前記バルブブロックを間に介在させるように第1方向に並べて配置される2つの可変容量形の前記ポンプ部と、前記ポンプ部の第1方向に夫々設けられ、前記ポンプ部の各々の吐出容量を調整する前記レギュレータと、を備える。
【0055】
上記局面に従えば、前述するような機能を達成する液圧ポンプ装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 液圧ポンプ装置
2 バルブブロック
3R,3L ポンプ部
4R,4L レギュレータ
21 ブロック本体
21Rb,21Lb 合わせ面
22a~22b 逆止弁
28R,28L レギュレータ制御用流路
28Ra,28La 第1流路部
28Rb,28Lb 第2流路部
28Rc,28Lc 第3流路部
31L,31R 弁装着部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7