(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148077
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】液圧ポンプ装置のバルブブロック、及びそれを備える液圧ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04B 23/06 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
F04B23/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060990
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】長宗 和也
(72)【発明者】
【氏名】刀塚 淳
【テーマコード(参考)】
3H071
【Fターム(参考)】
3H071AA03
3H071BB01
3H071BB12
3H071CC35
3H071CC47
(57)【要約】
【課題】 凹部に液体が溜まることを抑制することができるバルブブロックを提供する。
【解決手段】バルブブロックは、2つのポンプ部が第1方向に並べて配置される液圧ポンプ装置において2つのポンプ部の間に介在するものであって、ブロック本体と、ブロック本体において第1方向に直交する第2方向一方側に形成される凹部と、ブロック本体の第2方向一方側に形成され、ブロック本体において凹部から第1方向及び第2方向に直交する第3方向の一側面まで延在し且つ一側面にて開口している溝部とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのポンプ部が第1方向に並べて配置される液圧ポンプ装置において前記2つのポンプ部の間に介在するバルブブロックであって、
ブロック本体と、
前記ブロック本体において第1方向に直交する第2方向一方側に形成される凹部と、
前記ブロック本体の第2方向一方側に形成され、前記ブロック本体において前記凹部から第1方向及び第2方向に直交する第3方向の一側面まで延在し且つ前記一側面にて開口している溝部とを含む、バルブブロック。
【請求項2】
前記ポンプ部の各々は、可変容量形の斜板ポンプであり、
前記ポンプ部の各々には、前記ポンプ部の斜板の傾転角を変えるレギュレータが夫々設けられ、
前記レギュレータは、前記ポンプ部のケーシングから第1方向に端部を突き出ているサーボピストンを含み、
前記凹部は、前記サーボピストンの端部が突き出して表出するようになっている、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項3】
前記溝部は、第3方向から見ると、前記凹部側に対して開口側が低くなるように形成されている、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項4】
前記ブロック本体は、該ブロック本体と前記ポンプ部の各々と締結する締結部材が夫々挿通される複数の締結部材挿通部を有し、
前記複数の締結部材挿通部のうちの2つは、前記ブロック本体において第2方向一方側であって前記凹部の前記一側面側において隆起するように形成され、前記凹部を規定する第1方向両側部より突出し、且つそれらの間に前記溝部を形成するように互いに間を空けている、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項5】
前記ブロック本体は、前記2つのポンプ部の各々に繋がる流路が形成される流路形成部を含み、
前記流路形成部は、前記ブロック本体において第2方向一方側であって前記凹部の第3方向他側面側に形成され、前記凹部を第1方向に横切るように形成されている、請求項1に記載のバルブブロック。
【請求項6】
請求項1に記載のバルブブロックと、
前記バルブブロックを間に介在させるように第1方向に並べて配置される2つの可変容量形のポンプ部と、
前記ポンプ部の第1方向に夫々設けられ、前記ポンプ部の各々の吐出容量を調整するレギュレータと、を備える液圧ポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2つのポンプ部を並べて配置される液圧ポンプ装置において2つのポンプ部の間に配置されるバルブブロック、及びそれを備える液圧ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液圧ポンプ装置として、例えば特許文献1のポンプ装置が知られている。特許文献1のポンプ装置では、2つのポンプ部が互いに共有する軸部材に並列するように配置されている。そして2つのポンプ部の間にバルブブロックが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のポンプ装置において、軽量化等の種々の目的のためにバルブブロックの上側に凹部が形成されることがある。そして、ポンプ装置は、例えば凹部を上側にして建設機械等に搭載される。それ故、凹部には、建設機械内に侵入する雨水等が溜まりやすい。そして、凹部に長時間雨水が溜まっていると、ポンプ装置の表面が腐食することがある。
【0005】
そこで本開示は、凹部に液体が溜まることを抑制することができるバルブブロック、及びそれを備える液圧ポンプ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のバルブブロックは、2つのポンプ部が第1方向に並べて配置される液圧ポンプ装置において前記2つのポンプ部の間に介在するバルブブロックであって、ブロック本体と、前記ブロック本体において第1方向に直交する第2方向一方側に形成される凹部と、前記ブロック本体の第2方向一方側に形成され、前記ブロック本体において前記凹部から第1方向及び第2方向に直交する第3方向の一側面まで延在し且つ前記一側面にて開口している溝部とを含む。
【0007】
本開示のバルブブロックに従えば、溝部は、ブロック本体において凹部から第3方向の一側面まで延在し且つ一側面にて開口している。それ故、凹部に入った液体を溝部を通してブロック本体の一側面から排出することができる。これにより、凹部に液体が溜まることを抑制することができる。
【0008】
本開示の液圧ポンプ装置は、前述するバルブブロックと、前記バルブブロックを間に介在させるように第1方向に並べて配置される2つの可変容量形のポンプ部と、前記ポンプ部の第1方向に夫々設けられ、前記ポンプ部の各々の吐出容量を調整するレギュレータと、を備える。
【0009】
本開示の液圧ポンプ装置に従えば、前述するような機能を達成する液圧ポンプ装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、凹部に液体が溜まることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態にかかる液圧ポンプ装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1に備わるバルブブロックを示す斜視図である。
【
図3】
図2のバルブブロックを上方から見た平面図である。
【
図4】
図3のバルブブロックを切断線IV-IVで切断して示す断面斜視図である。
【
図5】
図4のバルブブロックを断面に対して直交する方向から見た部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る実施形態の液圧ポンプ装置1及びそれに備わるバルブブロック2について前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する液圧ポンプ装置1及びバルブブロック2は、本開示の一実施形態に過ぎない。従って、本開示は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0013】
<液圧ポンプ装置>
図1に示す液圧ポンプ装置1は、例えば産業機械及び建設機械等の液圧機械に搭載される。液圧ポンプ装置1は、図示しないタンクから作動液を吸入して吐出する。液圧ポンプ装置1は、産業機械及び建設機械等に備わる液圧アクチュエータ(例えば、液圧シリンダ及び液圧モータ)に接続されている。液圧ポンプ装置1から吐出される作動液は、各液圧アクチュエータに供給される。これにより、液圧アクチュエータが作動する。液圧ポンプ装置1は、いわゆるタンデム型ポンプであって、後述する2つのポンプ部3R,3Lが組合わされて構成される複合型ポンプ装置である。液圧ポンプ装置1は、2つのポンプ部3R,3Lと、バルブブロック2とを備えている。また、液圧ポンプ装置1は、レギュレータ4R,4Lを更に備えている。液圧ポンプ装置1では、2つのポンプ部3R,3Lが後述する軸方向に並べて配置され、それらの間にバルブブロック2が介在している。以下では、液圧ポンプ装置1の構成が詳細に説明される。
【0014】
<ポンプ部>
ポンプ部3R,3Lの各々は、タンクから作動液を吸入して吐出する。ポンプ部3R,3Lは、第1方向である軸方向に互いに間隔をあけて並べて配置されている。ここで、軸方向は、軸部材11が延在する方向であり、本実施形態において左右方向である。より詳細に説明すると、ポンプ部3R,3Lは、共に1つの軸部材11を共有している。そして、ポンプ部3R,3Lは、軸部材11に互いに間隔をあけて並べて配置されている。ポンプ部3R,3Lは、例えば斜板式ピストンポンプである。本実施形態において、2つのポンプ部3R,3Lは、可変容量形のピストンポンプである。即ち、2つのポンプ部3R,3Lは、図示しない斜板の傾転角を変えることによって、吐出容量を変えることができる。
【0015】
以下では、ポンプ部3R,3Lが更に詳細に説明される。なお、ポンプ部3R,3Lは、軸部材11を互いに同一の構成を有しており、対称(本実施形態において、点対称)に配置されている。それ故、以下において、一方のポンプ部3Rの構成が主に説明される。そして、他方のポンプ部3Lの構成については、一方のポンプ部3Rと同一の構成の符号を「R」から「L」に代えて示し、詳細な説明が省略される。
【0016】
一方のポンプ部3Rは、ケーシング12Rと、前述する軸部材11とを備え、更にケーシング12R内には図示しないシリンダブロック、ピストン及び斜板等が収容されている。ケーシング12Rは、軸方向両側において開口している。軸部材11は、ケーシング12Rを貫通している。即ち、軸部材11の一端部は、ケーシング12Rの開口12Raから外方に突き出ており、他端側は他方のケーシング12L内にまで延在している。そして、軸部材11は、各ケーシング12R,12Lにおいて回転可能に支持されている。また、軸部材11の一端部には、図示しない駆動源(例えば、エンジン及び電動機の少なくとも一方)が接続されている。
【0017】
また、軸部材11には、相対回転不能にシリンダブロックが設けられている。シリンダブロックの一端面には、複数のシリンダボアが形成されている。シリンダボアの各々には、ピストンが往復運動可能に挿入されている。斜板は、シリンダブロックの一端面に面し且つ傾斜させて配置されており、斜板上にはピストンがシューを介して支持されている。ピストンは、シューを介して斜板上を軸部材11の軸線、即ち回転軸線L1まわりに摺動回転する。それ故、ポンプ部3R,3Lでは、軸部材11を回転させると、ピストンがシリンダボアを往復運動する。
【0018】
<レギュレータ>
レギュレータ4R,4Lは、ポンプ部3R,3Lに夫々設けられている。より詳細に説明すると、レギュレータ4R,4Lは、ポンプ部3R,3Lの各々において第2方向一方側(本実施形態において上側)に設けられている。また、レギュレータ4R,4Lは、本実施形態において、点対称になるように配置されている。そして、レギュレータ4R,4Lは、ポンプ部3R,3Lの斜板の傾転角を夫々変える。レギュレータ4R,4Lは、サーボピストン13R,13Lを夫々含む。更に、レギュレータ4R,4Lの各々は、方向制御弁14R,14Lと、及び電磁比例制御弁15R,15Lとを夫々含んでいる。
【0019】
サーボピストン13R,13Lは、ポンプ部3R,3Lのケーシング12R,12L内の上側に収容されている。サーボピストン13R,13Lは、軸方向にストローク可能に夫々収容されている。また、サーボピストン13R,13Lは、入力される制御圧に応じてストロークする。更に、サーボピストン13R,13Lは、斜板に連結されており、ストロークすることによって斜板の傾転角を変える。また、サーボピストン13R,13Lは、その一端部に位置調整部(例えば調整ねじ)13Ra,13Laを有している。サーボピストン13R,13Lは、位置調整部13Ra,13Laが操作される(本実施形態において、調整ねじが回される)ことによって位置が調整される。また、サーボピストン13R,13Lの一端部がケーシング12R,12Lから後で詳述する凹部22に突き出して表出させられている。
【0020】
方向制御弁14R,14Lは、ポンプ部3R,3Lのケーシング12R,12Lの上部に設けられている。方向制御弁14R,14Lは、サーボピストン13R,13Lに制御圧を出力する。より詳細に説明すると、方向制御弁14R,14Lは、入力されるパイロット圧に応じてスプール(図示せず)を移動させることによって制御圧を制御して出力する。
【0021】
電磁比例制御弁15R,15Lは、ポンプ部3R,3Lのケーシング12R,12L内の上部に設けられている。電磁比例制御弁15R,15Lは、入力される電気信号に応じたパイロット圧を方向制御弁14R,14Lに夫々出力する。これにより、電磁比例制御弁15R,15Lは、入力される電気信号に応じた位置にサーボピストン13R,13Lを移動させ、斜板の傾転角を調整することができる。即ち、電磁比例制御弁15R,15Lは、入力される電気信号に応じた角度に斜板の傾転角を制御する。
【0022】
<バルブブロック>
バルブブロック2は、前述の通り、2つのポンプ部3R,3Lの間に介在する。より詳細に説明すると、バルブブロック2は、2つポンプ部3R,3Lと共に軸方向に並べられ、且つ2つのポンプ部3R,3Lに挟まれるように配置されている。そして、バルブブロック2は、2つのポンプ部3R,3Lの各々と複数の締結部材16によって締結されている。本実施形態において、バルブブロック2には、各ポンプ部3R,3Lに対して4つずつ締結部材16が挿通されている。各締結部材16は、軸方向一方又は他方から見てバルブブロック2の四隅に夫々挿通されて、バルブブロック2と各ポンプ部3R,3Lと夫々締結している。このように構成されているバルブブロック2は、
図2及び
図3に示すようにブロック本体21と、凹部22と、溝部23とを含んでいる。
【0023】
ブロック本体21は、大略直方体状に形成されている。ブロック本体21は、軸方向両側面(即ち、左右両側面)の各々を各ポンプ部3R,3Lの軸方向端面に夫々突き当てるようにして2つのポンプ部3R,3Lの間に配置されている。より詳細に説明すると、一方のポンプ部3Rでは、右側端面から軸部材11が突き出ている。そして、一方のポンプ部3Rの左側端面がブロック本体21の右側面に突き当てられ、他方のポンプ部3Lの右側端面がブロック本体21の左側面に突き当てられている。また、
図4に示すようにブロック本体21には、例えば2つのプレート固定部25と、吐出通路26と、吸入通路27と、流路28とが形成されている。
【0024】
2つのプレート固定部25は、ブロック本体21の左右両側面に夫々形成されている。なお、左側面に形成されるプレート固定部25は図示されない。各プレート固定部25は、バルブプレート17が夫々嵌り込んで固定されている。バルブプレート17には、吸入ポート17a及び吐出ポート17bが夫々形成されている。吸入ポート17a及び吐出ポート17bは、複数のシリンダボアに対応させて、回転軸線L1を中心とする円弧状に形成されている。各シリンダボアは、シリンダブロックが回転すると、吸入ポート17a及び吐出ポート17bに交互に接続される。
【0025】
吐出通路26は、各ポンプ部3R,3Lから吐出される作動液が流れる通路である。より詳細に説明すると、吐出通路26は、各バルブプレート17の吐出ポート17bに接続されている。吐出通路26は、吐出ポート17bから第3方向一方に延在し、ブロック本体21の第3方向一側面にて開口している。第3方向は、第1方向及び第2方向に直交する方向であって、本実施形態において前後方向である。そして、第3方向一方は、前方であり、第3方向一側面は、前面である。
【0026】
吸入通路27は、タンクから作動液が導かれる通路である。より詳細に説明すると、吸入通路27は、各バルブプレート17の吸入ポート17aに接続されている。吸入通路27は、吸入ポート17aから第3方向他方に延在し、ブロック本体21の第3方向他側面にて開口している。本実施形態において、第3方向他方は、後方であり、第3方向他側面は、後面である。
【0027】
流路28は、
図5に示すようにブロック本体21に形成され、且つ作動液が流れる通路である。流路28は、作動液をレギュレータ4L,4Rの各々に夫々導くための通路であり、レギュレータ4L,4Rの各々に接続されている。流路28は、ブロック本体21の上側(本実施形態において、各通路26,27より上側の部分)に形成されている。流路28は、例えば2つの吐出ポート17b、方向制御弁14R,14L、電磁比例制御弁15R,15Lに夫々接続されている。また、流路28は、図示しないパイロットポンプ等に接続されている。更に、流路28には、複数の逆止弁(本実施形態において、4つの逆止弁)29a~29dが介在している(
図1も参照)。これにより、2つの吐出ポート17b及びパイロットポンプからレギュレータ4L,4R(より詳細に説明すると、方向制御弁14R,14L及び電磁比例制御弁15R,15L)に流路28を介して作動液が流れるようになっている。
【0028】
図3に示すように凹部22は、ブロック本体21において上側に形成されている。より詳細に説明すると、凹部22は、ブロック本体21の天井部分21aに形成されている。凹部22は、ブロック本体21の天井部分21aにおいて下方に凹むように形成されている(
図5も参照)。凹部22は、本実施形態において以下のようにして形成されている。即ち、ブロック本体21の天井部分21aには、凹部22を四方(本実施形態において、前後左右)から囲むように、弁装着部31R,31L、及び複数の締結部材挿通部(本実施形態において、4つの締結部材挿通部)32a~32dが夫々形成されている。即ち、凹部22の左右両側は、弁装着部31R,31Lによって規定され、また前後両側は、4つの締結部材挿通部32a~32dによって規定されている。また、ブロック本体21の天井部分21aには、流路形成部33が更に形成されている。
【0029】
弁装着部31R,31Lの各々は、ブロック本体21の天井部分21aにおいて軸方向両側縁部に形成されている。より詳細に説明すると、弁装着部31R,31Lは、軸方向両側縁部において上方に突出するように形成されている(
図2及び
図4参照)。また、弁装着部31R,31Lは、前後方向に延在している。本実施形態において、弁装着部31R,31Lの各々は、前後に離して配置される締結部材挿通部32a,32b及び締結部材挿通部32c,32d(後述参照)に夫々架け渡すように形成されている。また、弁装着部31R,31Lには、流路28の一部分が形成され、更に逆止弁29a~29dが2つずつ挿通されて装着されている(
図5参照)。
【0030】
また、
図3に示すように弁装着部31R,31Lの各々には、貫通孔31Rb,31Lbが形成されている。貫通孔31Rb,31Lbには、サーボピストン13R,13Lが貫通している。これにより、サーボピストン13R,13Lの一端部、位置調整部13Ra,13Laが、ケーシング12R,12Lから弁装着部31R,31Lを通って凹部22へと突き出して表出している(
図1参照)。つまり、位置調整部13Ra,13Laは、ケーシング12R,12Lから表出し、容易に操作できるようになっている。
【0031】
4つの締結部材挿通部32a~32dは、
図1に示すように前述する締結部材16が夫々挿通されている。4つの締結部材挿通部32a~32dは、
図3に示すようにブロック本体21の天井部分21aにおいて、前後及び左右に夫々離して配置されている。本実施形態において、4つの締結部材挿通部32a~32dは、ブロック本体21の天井部分21aの四隅に夫々形成されている。4つの締結部材挿通部32a~32dは、ブロック本体21の天井部分21aにおいて隆起するように(即ち、上方に盛り上がるように)形成されている(
図2も参照)。また、4つの締結部材挿通部32a~32dは、左右方向に延在しており、弁装着部31R,31Lより突出している。より詳細に説明すると、第1及び第2締結部材挿通部32a,32bは、右側弁装着部31Rより左側に突出し、また第3及び第4締結部材挿通部32c,32dは、左側弁装着部31Lより右側に突出している。他方、左右方向に隣り合う締結部材挿通部32a~32dは、互いに間を空けて配置されている。即ち、第1及び第3締結部材挿通部32a,32cは、それらの間に後述する溝部23を形成するように互いに間を空けて配置されている。また、第2及び第4締結部材挿通部32b,32dもまた、互いに間を空けて配置されている。
【0032】
流路形成部33は、ブロック本体21の天井部分21aにおいて、凹部22の後側に形成され、凹部22を左右方向に横切るように形成されている。より詳細に説明すると、流路形成部33は、弁装着部31R,31Lに架け渡すように左右方向に延在している。そして、流路形成部33には、流路28(本実施形態では、流路28の一部分あって2つのポンプ部3R,3Lを繋ぐ流路部分)が形成されている。更に、流路形成部33は、第2及び第4締結部材挿通部32b,32dの前方において隣接するように配置されている。これにより、凹部22において、流路形成部33と第2及び第4締結部材挿通部32b,32dとの間に液体が溜まることを抑制している。また、ブロック本体21の天井部分21aに凹部22を形成する際に流路形成部33を残しておくことによって、流路形成部33以外の部分を流路28を形成するために有効に活用することができ、またブロック本体21の剛性を維持しつつ軽量化を図ることができる。
【0033】
溝部23は、ブロック本体21の前側に形成されている。溝部23は、ブロック本体21において凹部22から前面まで延在しており、ブロック本体21の前面にて開口している。本実施形態において、溝部23は、互いに間を空けている第1及び第3締結部材挿通部32a,32cの間に空間である。
【0034】
また、溝部23は、
図4及び
図5に示すように凹部22側に対して開口23a側が低くなるように形成されている。即ち、溝部23は、本実施形態において後側に対して前側が低くなるように形成されている。より詳細に説明すると、溝部23は、前後方向中間部分(本実施形態において、凹部22側)に段部23bを有する段状に形成されている。それ故、凹部22から溝部23に導かれる液体が凹部22に逆戻りすることを抑制することができる。
【0035】
<液圧ポンプ装置の配置等>
このように構成される液圧ポンプ装置1は、前述の通り液圧機械に搭載される。液圧ポンプ装置1は、例えばショベルに搭載される。搭載される際、液圧ポンプ装置1は、凹部22を上側に向けて配置される。それ故、ショベルが屋外で使用されたり駐車されたりする場合、雨等の液体が凹部22に入ることがある。液圧ポンプ装置1において、凹部22に入った液体は溝部23を通ってバルブブロック2の前面に導かれ、更に溝部23の開口23aから排出される。それ故、凹部22に液体が溜まることを抑制することができる。従って、凹部22に溜まった液体によって液圧ポンプ装置1の外表面が腐食することが抑制される。
【0036】
本実施形態のバルブブロック2において、溝部23は、ブロック本体21において凹部22から前面まで延在し且つ前面にて開口している。それ故、凹部22に入った液体を溝部23を通してブロック本体21の前面から排出することができる。これにより、凹部22に液体が溜まることを抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態のバルブブロック2において、凹部22は、サーボピストン13R,13Lの位置調整部13Ra,13Laが突き出して表出するようになっている。それ故、レギュレータ4R,4Lを低い位置に配置することができるので、液圧ポンプ装置1を軽量化しつつその高さも抑制することができる。
【0038】
更に、本実施形態のバルブブロック2において、溝部23は、凹部22側に対して開口23a側が低くなるように形成されている。それ故、凹部22に入る液体が開口23a側へと流れやすくすることができる。これにより、凹部22に液体が溜まることを更に抑制することができる。特に、溝部23は、段状に形成されているので、溝部23に導かれた液体が凹部22に逆戻りすることを抑制することができる。それ故、凹部22に液体が溜まることを更に抑制することができる。
【0039】
更に、本実施形態のバルブブロック2において、第1及び第3締結部材挿通部32a,32cは、ブロック本体21の天井部分21aであって凹部22の前側において隆起するように形成されている。更に、第1及び第3締結部材挿通部32a,32cは、弁装着部31R,31Lより突出し、且つそれらの間に溝部23を形成するように互いに間を空けている。それ故、凹部22の前側に溝部23を形成しつつ、第1及び第3締結部材挿通部32a,32cの左右方向寸法(即ち、長さ)を確保することができる。それ故、バルブブロック2と各ポンプ部3R,3Lとを強固に締結することができる。
【0040】
更に、本実施形態のバルブブロック2において、流路形成部33は、ブロック本体21の天井部分21aであって凹部22の前側に形成され、凹部22を左右方向に横切るように形成されている。それ故、2つのポンプ部3R,3Lを繋ぐ通路(流路28の一部分)を流路形成部33に形成しつつ、流路形成部33が凹部22から溝部23に導かれる液体の流れを妨げることを抑制することができる。
【0041】
更に、本実施形態の液圧ポンプ装置1において、前述するような機能を達成するものを実現することができる。
【0042】
<その他の実施形態について>
本実施形態の液圧ポンプ装置1において、ポンプ部3L,3Rは可変容量形の斜板ポンプであるが、固定容量形のピストンポンプであってもよく、またギヤポンプや斜軸ポンプであってもよい。また、本実施形態のバルブブロック2において、溝部23は、段状に形成されているが、凹部22から開口23aに向かって低くなるスロープ状に形成されてもよい。また、溝部23は、平坦に形成されてもよく、凹部22に入った液体が開口23aに向かって流れるように形成されていればよい。
【0043】
流路形成部33は、必ずしも第2及び第4締結部材挿通部32b,32dに隣接している必要はなく、第2及び第4締結部材挿通部32b,32dから離して形成されてもよい。また、流路形成部33は、必ずしも形成されている必要はない。この場合、第2及び第4締結部材挿通部32b,32dとの間もまた溝部とする。
【0044】
<例示的な実施形態>
第1の局面におけるバルブブロックは、2つのポンプ部が第1方向に並べて配置される液圧ポンプ装置において前記2つのポンプ部の間に介在するバルブブロックであって、ブロック本体と、前記ブロック本体において第1方向に直交する第2方向一方側に形成される凹部と、前記ブロック本体の第2方向一方側に形成され、前記ブロック本体において前記凹部から第1方向及び第2方向に直交する第3方向の一側面まで延在し且つ前記一側面にて開口している溝部とを含む。
【0045】
上記局面に従えば、溝部は、ブロック本体において凹部から第3方向の一側面まで延在し且つ一側面にて開口している。それ故、凹部に入った液体を溝部を通してブロック本体の一側面から排出することができる。これにより、凹部に液体が溜まることを抑制することができる。
【0046】
第2の局面におけるバルブブロックは、第1の局面のバルブブロック2において、前記ポンプ部の各々は、可変容量形の斜板ポンプであり、前記ポンプ部の各々には、前記ポンプ部の斜板の傾転角を変えるレギュレータが夫々設けられ、前記レギュレータは、前記ポンプ部のケーシングから第1方向に端部を突き出ているサーボピストンを含み、前記凹部は、前記サーボピストンの端部が突き出して表出するようになっている。
【0047】
上記局面に従えば、凹部は、サーボピストンの端部が突き出して表出するようになっている。それ故、レギュレータをより第2方向他方側に配置することができるので、液圧ポンプ装置を軽量化しつつその高さも抑制することができる。
【0048】
第3の局面におけるバルブブロックは、第1又は2の局面のバルブブロック2において、前記溝部は、第3方向から見ると、前記凹部側に対して開口側が低くなるように形成されている。
【0049】
上記局面に従えば、溝部は、凹部側に対して開口側が低くなるように形成されている。それ故、凹部に入る液体が開口側へと流れやすく、また液体が凹部に逆戻りすることができる。これにより、凹部に液体が溜まることを更に抑制することができる。
【0050】
第4の局面におけるバルブブロックは、第1乃至3の何れかの局面のバルブブロック2において、前記ブロック本体は、該ブロック本体と前記ポンプ部の各々と締結する締結部材が夫々挿通される複数の締結部材挿通部を有し、前記複数の締結部材挿通部のうちの2つは、前記ブロック本体において第2方向一方側であって前記凹部の前記一側面側において隆起するように形成され、前記凹部を規定する第1方向両側部より突出し、且つそれらの間に前記溝部を形成するように互いに間を空けている。
【0051】
上記局面に従えば、締結部材挿通部のうちの2つは、第2方向一方側であって凹部の一側面側において隆起するように形成されている。更に、それらの締結部材挿通部は、凹部を規定する第1方向両側面より突出し、且つそれらの間に溝部を形成するように互いに間を空けている。それ故、凹部の一側面側に溝部を形成しつつ、締結部材挿通部の第1方向寸法を確保することができる。それ故、バルブブロックと各液圧ポンプとを強固に締結することができる。
【0052】
第5の局面におけるバルブブロックは、第1乃至4の何れかの局面のバルブブロック2において、前記ブロック本体は、前記2つのポンプ部の各々に繋がる流路が形成される流路形成部を含み、前記流路形成部は、前記ブロック本体において第2方向一方側であって前記凹部の第3方向他側面側に形成され、前記凹部を第1方向に横切るように形成されている。
【0053】
上記局面に従えば、流路形成部は、ブロック本体において第2方向一方側であって凹部の第3方向他側面側に形成され、凹部を第2方向に横切るように形成されている。それ故、2つのポンプ部を繋ぐ通路を流路形成部に形成しつつ、流路形成部が凹部から溝部に導かれる液体の流れを妨げることを抑制することができる。
【0054】
第6の局面における液圧ポンプ装置は、前述するバルブブロックと、前記バルブブロックを間に介在させるように第1方向に並べて配置される2つの可変容量形のポンプ部と、前記ポンプ部の第1方向に夫々設けられ、前記ポンプ部の各々の吐出容量を調整するレギュレータと、を備える。
【0055】
上記局面に従えば、前述するような機能を達成する液圧ポンプ装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 液圧ポンプ装置
3R,3L ポンプ部
4R,4L レギュレータ
12R,12L ケーシング
13R,13L サーボピストン
13Ra,13La 位置調整部(一端部)
16 締結部材
21 ブロック本体
21a 天井部分(ブロック本体の第2方向一方側)
22 凹部
23 溝部
23a 開口
28 流路
31R,31L 弁装着部(第1方向両側部)
32a 第1締結部材挿通部
32c 第3締結部材挿通部
33 流路形成部