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特開2024-14808電気機械ブレーキおよびそのロック装置およびロック装置制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014808
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】電気機械ブレーキおよびそのロック装置およびロック装置制御方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 63/34 20060101AFI20240125BHJP
   F16D 63/00 20060101ALI20240125BHJP
   B60T 1/06 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
F16H63/34
F16D63/00 H
B60T1/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023117651
(22)【出願日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】202210853879.9
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シャオクン ツァン
【テーマコード(参考)】
3J058
3J067
【Fターム(参考)】
3J058AB21
3J058BA12
3J058CC13
3J058CC15
3J058CC77
3J058DB23
3J058DB27
3J058FA01
3J067AA21
3J067AB22
3J067AB23
3J067AC12
3J067BA51
3J067DB32
3J067DB33
3J067FA05
3J067FA57
3J067FB78
3J067GA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気機械ブレーキおよびそのロック装置ならびにロック装置制御方法を提供する。
【解決手段】ロック装置は、同軸に固定して連結されたラチェットギア201およびラチェットホイール202と、旋回可能な歯止め構成要素23であって、歯止め構成要素23が、ラチェットホイール202の第1の方向への回転を制限し、歯止め構成要素23とラチェットホイールが連動している時に、ラチェットホイール202の第2の方向への回転が歯止め構成要素23を解放する、歯止め構成要素23と、歯止め構成要素23をアイドル位置に向かって旋回させるために歯止め構成要素23に連結されたばね部材24と、第1の極性で動作する時に歯止め構成要素23に作用して、ばね部材の弾性力に対して歯止め構成要素23をアイドル位置から動作位置に旋回させる、電磁アクチュエータ22と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械ブレーキ用のロック装置であって、
同軸に固定して連結されたラチェットギア(201)およびラチェットホイール(202)と、
前記ラチェットホイール(202)と連動する動作位置と前記ラチェットホイール(202)から分離されたアイドル位置との間での旋回運動が可能な旋回可能な歯止め構成要素(23)であって、前記歯止め構成要素(23)は、第1の方向への前記ラチェットホイール(202)の回転を制限し、第2の方向への前記ラチェットホイール(202)の回転が、前記歯止め構成要素(23)と前記ラチェットホイール(202)が連動する時に、前記歯止め構成要素(23)を解放する、旋回可能な歯止め構成要素(23)と、
前記歯止め構成要素(23)に連結され、前記歯止め構成要素(23)を前記アイドル位置に向かって回転させるように付勢するばね部材(24)と、
第1の極性で動作する時に、前記ばね部材(24)の弾性力に対して前記アイドル位置から前記動作位置に前記歯止め構成要素(23)を回転させるように、前記歯止め構成要素(23)に作用する電磁アクチュエータ(22)と、を備えることを特徴とする、ロック装置。
【請求項2】
前記ロック装置は、第1の平面(211)および第2の平面(212)を含む基部(21)を備え、前記電磁アクチュエータ(22)が前記基部の前記第1の平面(211)に固定され、前記歯止め構成要素(23)が旋回軸(28)によって前記基部の前記第2の平面(212)に旋回可能に固定されることを特徴とする、請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記歯止め構成要素(23)は、
前記旋回軸(28)に接続されたシャフト穴(230)と、
前記シャフト穴(230)から第1の方向に延在する歯止め部分(231)と、
前記シャフト穴(230)から第2の方向に延在するロッカーアーム(232)と、
前記ロッカーアームの端部にある磁石(27)と、
を備え、
前記磁石(27)は、ピン(271)によって前記ロッカーアーム(232)の前記端部に接続され、前記電磁アクチュエータ(22)は、前記ロッカーアームの前記端部で前記磁石(27)に作用することを特徴とする、請求項2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記歯止め構成要素(23)の位置を検出する位置センサ(25)をさらに備え、前記位置センサ(25)は、前記ロッカーアームの前記端部にある前記磁石(27)の磁界を感知することによって、前記歯止め構成要素(23)の位置を検出することを特徴とする、請求項3に記載のロック装置。
【請求項5】
前記ロッカーアームの前記端部に配置されたバッファ(26)をさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載のロック装置。
【請求項6】
前記ばね部材(24)は、
第1の端部(241)と、
コイル状部分(242)と、
第2の端部(244)と、
を備え、
前記ばね部材(24)の前記第1の端部(241)は、前記ロック装置の前記基部の前記第1の平面(211)の追加の開口部(210)に取り付けられ、
前記コイル状部分(242)は、前記旋回軸(28)を囲み、
前記ばね部材(24)の前記第2の端部(244)は、前記歯止め構成要素(23)の前記ロッカーアーム(232)の端部に固定され、
前記ばね部材(24)に弾性力が予圧されており、その結果、前記歯止め構成要素(23)が前記アイドル位置にある時に、前記ばね部材(24)が前記歯止め構成要素(23)を前記アイドル位置に保持するための力を及ぼすことを特徴とする、請求項3に記載のロック装置。
【請求項7】
前記電磁アクチュエータ(22)は、第2の極性で動作して、前記歯止め構成要素(23)を前記アイドル位置に保持するために前記歯止め構成要素(23)に力を及ぼすことがさらにできることを特徴とする、請求項1に記載のロック装置。
【請求項8】
電気機械ブレーキであって、
ブレーキモータ(13)と、
前記ブレーキモータ(13)に連結されたトランスミッション装置(14)と、
請求項1~7のいずれか一項に記載の前記ロック装置(2)であって、前記ロック装置の前記ラチェットギア(201)は、前記トランスミッション装置(14)に連結された、ロック装置と、
ブレーキトルクを受け、ブレーキ動作を実施するために前記トランスミッション装置に連結されたブレーキアクチュエータ(3)と、を備えることを特徴とする、電気機械ブレーキ。
【請求項9】
前記ロック装置(2)の前記ブレーキモータ(13)および前記ラチェットギア(201)は、前記トランスミッション装置のハブギア(142)に連結され、その結果、前記ラチェットギア(201)および前記ラチェットホイール(202)の前記第1の方向への回転が、前記ブレーキモータ(13)および前記トランスミッション装置(14)の前記ブレーキトルクを解放することである逆方向への回転に対応し、その一方で、前記ラチェットギア(201)および前記ラチェットホイール(202)の前記第2の方向への前記回転が、前記ブレーキモータ(13)および前記トランスミッション装置(14)の前記ブレーキトルクを確立することである順方向への回転に対応し、前記ハブギア(142)は、遊星歯車セットの遊星キャリア(144)によって、前記ブレーキアクチュエータ(3)の入力シャフト(31)に接続される、請求項8に記載の電気機械ブレーキ。
【請求項10】
請求項8または9に記載の電気機械ブレーキの制御方法であって、
前記ブレーキモータ(13)を制御して順方向に回転させて、駐車ブレーキ信号が受信された時に所定の制動トルクを確立するステップと、
前記電磁アクチュエータ(22)を制御して前記歯止め構成要素(23)に作用して、前記ラチェットホイール(202)から分離されたアイドル位置から動作位置に前記歯止め構成要素(23)を旋回させるステップと、
前記ブレーキモータ(13)の逆方向への回転を制御して、前記歯止め構成要素(23)を前記動作位置に移動させて前記ラチェットホイール(202)と連動させ、前記電磁アクチュエータ(22)および前記ブレーキモータ(13)を停止させるステップと、
を有することを特徴とする、制御方法。
【請求項11】
前記歯止め構成要素(23)の位置を検出する位置センサ(25)をさらに備え、
前記歯止め構成要素(23)が前記動作位置にある時に、前記位置センサ(25)によって前記歯止め構成要素(23)の位置を検出し、前記電磁アクチュエータ(22)および前記ブレーキモータ(13)を停止させることをさらに備える、請求項10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記ブレーキモータ(13)を順方向に回転するように制御して、前記駐車ブレーキ信号を受信すると前記歯止め構成要素(23)を解放し、その結果、前記歯止め構成要素(23)が前記ばね部材(24)の前記動作に基づき前記アイドル位置を戻すステップと、
前記歯止め構成要素(23)の前記アイドル位置への前記戻すことを検出した時に、前記ブレーキモータ(13)の前記逆方向への回転を制御して、前記制動トルクを解放するステップと、をさらに備える、請求項10に記載の制御方法。
【請求項13】
前記第1の極性で前記歯止め構成要素(23)に作用するように前記電磁アクチュエータ(22)を制御して、前記歯止め構成要素(23)が前記ばね部材(24)の前記動作に基づき前記動作位置から前記アイドル位置に回転する時に、バッファを提供することをさらに備える、請求項12に記載の制御方法。
【請求項14】
駐車ブレーキ信号が受信されず、前記歯止め構成要素(23)が前記アイドル位置を離れると検出された時に、前記第1の極性とは反対の第2の極性で前記歯止め構成要素(23)に作用するように前記電磁アクチュエータ(22)を制御して、前記歯止め構成要素(23)を前記アイドル位置に維持することをさらに含む、請求項10に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制動装置の分野に関し、より具体的には、電気機械ブレーキ、ロック装置制御方法、および電気機械ブレーキ用のロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機械ブレーキは、モータを介してブレーキキャリパーを駆動することによって制動を実現する装置である。従来の油圧パイプラインブレーキと比較して、電気機械ブレーキは、高速な応答、単純な構造、および容易なメンテナンスを特徴とする。車両の電動化されインテリジェントな開発により、電気制御システムとのより容易な統合を理由に、電気機械ブレーキはより人気の高いブレーキシステムとなりつつある。
【0003】
従来の油圧ブレーキシステムでは、ブレーキシリンダ内の油圧はハンドブレーキまたはフットブレーキによって維持され、それによって駐車ブレーキを達成する。対照的に、電気機械ブレーキは、駐車ブレーキ機能を達成するために、例えば、電磁アクチュエータによって駆動されるピンを使用してブレーキをロックするためのトランスミッション機構に干渉するなど、多くの場合は駐車ロック装置を備える。しかしながら、こうしたシステムは、車両の駐車時に電磁アクチュエータを通電状態に保つ必要があり、電磁アクチュエータが故障した時に駐車ブレーキが故障する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、先行技術に存在する問題を解決するか、または少なくとも軽減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの態様では、電気機械ブレーキのためのロック装置が提供され、ロック装置は、
同軸に固定して連結されたラチェットギアおよびラチェットホイールと、
ラチェットホイールと連動する動作位置とラチェットホイールから分離されたアイドル位置との間での旋回運動が可能な旋回可能な歯止め構成要素であって、第1の方向へのラチェットホイールの回転を制限し、第2の方向へのラチェットホイールの回転が、歯止め構成要素とラチェットホイールが連動する時に、歯止め構成要素を解放する、旋回可能な歯止め構成要素と、
歯止め構成要素に連結され、歯止め構成要素をアイドル位置に向かって回転させるように付勢するばね部材と、
第1の極性で動作する時に、ばね部材の弾性力に対してアイドル位置から動作位置に歯止め構成要素を回転させるように、歯止め構成要素に作用する電磁アクチュエータと、を備える。
【0006】
別の態様では、電気機械ブレーキが提供されており、電気機械ブレーキは、
ブレーキモータと、
ブレーキモータに接続されたトランスミッション装置と、
本開示の各実施例によるロック装置であって、ロック装置のラチェットギアがトランスミッション装置のトランスミッションギアと係合する、ロック装置と、
ブレーキトルクを受け、ブレーキ動作を実施するためにトランスミッション装置に連結されたブレーキアクチュエータと、を備える。
【0007】
別の態様では、ロック装置のための制御方法が提供され、方法は、
ブレーキモータを制御して順方向に回転させて、駐車ブレーキ信号が受信された時に所定の制動トルクを確立するステップと、
電磁アクチュエータを制御して歯止め構成要素に作用して、ラチェットホイールから分離されたアイドル位置から動作位置に歯止め構成要素を旋回させるステップと、
ブレーキモータの逆回転を制御して、歯止め構成要素を動作位置に移動させてラチェットホイールと連動させ、電磁アクチュエータおよびブレーキモータを停止させるステップと、を備える。
【0008】
本開示の実施例による装置および方法は、電磁アクチュエータが長期間動作し続ける必要性なしに、ただし作動状態が変化した時に短時間のみ、ラチェット歯止め機構により電気機械ブレーキの駐車ブレーキ操作を実現する。
【0009】
添付の図面を参照すると、本開示はより容易に理解されるようになる。当業者であれば、図面は例示のみを目的としており、本開示の範囲の限定に相当することを意図していないことが容易に理解するはずである。さらに、図面中の類似の数字が、類似の構成要素を示すために使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施例によるホイールハブに組み立てられた電気機械ブレーキの分解図である。
図2図2は、本開示の実施例によるブレーキアクチュエータ以外の電気機械ブレーキの一部分の分解図である。
図3図3は、本開示の実施例による電気機械ブレーキのロック装置およびトランスミッション装置の組立図である。
図4図4は、異なる角度からの本開示の実施例による電気機械ブレーキの内部構造を示す。
図5図5は、異なる角度からの本開示の実施例による電気機械ブレーキの内部構造を示す。
図6図6は、本開示の実施例による電気機械ブレーキのブレーキアクチュエータの断面図である。
図7図7は、本開示の実施例による電気機械ブレーキのアイドル状態でのロック装置の斜視図である。
図8図8は、本開示の実施例による電気機械ブレーキのロック装置の分解図である。
図9図9は、異なる角度からの本開示の実施例による電気機械ブレーキのアイドル状態でのロック装置の斜視図である。
図10図10は、異なる角度からの本開示の実施例による電気機械ブレーキのアイドル状態でのロック装置の斜視図である。
図11図11は、本開示の実施例による電気機械ブレーキの動作状態でのロック装置の斜視図である。
図12図12は、本開示の実施例による電気機械ブレーキの制御構造の概略図である。
図13図13は、本開示の実施例による電気機械ブレーキの制御構造の概略図である。
図14図14は、本開示の実施例による電気機械ブレーキの制御構造の概略図である。
図15図15は、本開示の実施例による電気機械ブレーキの制御構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、回転シャフト91、緩衝装置92、ベアリング94、ナックルアーム93、ブレーキディスク95、およびホイール96を有する、本開示の実施例による電気機械ブレーキ100の分解斜視図を示している。電気機械ブレーキ100は、ブレーキディスク95をブレーキキャリパーでクランプすることによって制動力を提供するモータによって駆動される。電気機械ブレーキ100は、組立時にナックルアーム93上に取り付けられる。電気機械ブレーキ100は、ホイール96のハブ内のコンパクトな空間にさらに収容される。
【0012】
本開示の実施例による電気機械ブレーキ100は、ブレーキモータ13、ブレーキモータ13に連結されたトランスミッション装置14、ロック装置2、およびブレーキアクチュエータ3(図6)を備える。図2~5を参照すると、ブレーキアクチュエータ3を除き、電気機械ブレーキ100が導入されている。ブレーキモータ13はブレーキトルクを提供し、その出力シャフトはピニオン131に接続される。さらに、第1のセンサ132は、ブレーキモータ13の出力シャフトに接続されて、速度および段階などのブレーキモータ13の状態を感知する。ブレーキモータ13は、第1のハウジング12を通って、その中にトランスミッション装置14およびロック装置2が配置される第1のハウジング12と第2のハウジング11によって囲まれた内部空間を通過し、トランスミッション装置14は、ブレーキモータ13の回転トルクをブレーキアクチュエータ3に伝達し、速度を減少させ、トルクを増加させるために、ブレーキモータ13とブレーキアクチュエータ3の間を接続する。ロック装置2は、駐車時のスリップなどの状態を防止するために駐車ブレーキを提供する。より具体的には、ブレーキモータ13の出力シャフト上のピニオン131は、中間ギア141を介してハブギア142と係合し、ハブギア142は、遊星歯車セットを通って、遊星歯車セットの遊星キャリア144によりトルクを出力する。遊星キャリア144は、ブレーキアクチュエータ3にトルクを伝達するために、図6のブレーキアクチュエータ3の入力シャフト31に連結されるプロファイル付きシャフト穴145を有する。別の態様では、ロック装置2は、同軸に固定して連結されたラチェットギア201およびラチェットホイール202を備えるラチェットアセンブリ20を備え、ラチェットギア201はハブギア142とも係合する。図3を参照すると、トランスミッション装置14およびロック装置2は概して、へリングボーン形状であり、したがって、へリングボーン形状のハウジングに収容される。当然のことながら、トランスミッション装置の特定の構成が図面に示されているが、トランスミッション装置の他の構成もまた代替的な実施例で使用されうる。さらに、トランスミッション装置のロック装置2およびハブギア142は図面に示すように係合するが、代替的な実施例では、ロック装置2は、トランスミッション装置のメイン駆動チェーン上のギアのいずれかと係合するか、または他のギアを介してトランスミッション装置と係合してもよい。
【0013】
さらに図6を参照すると、ブレーキアクチュエータ3の断面図が示されている。前述のように、ブレーキアクチュエータ3の入力シャフト31は、トルクを受けるためのトランスミッション装置14の遊星キャリア144のシャフト穴145に連結され、入力シャフト31は、親ねじ32に連結され、または一体的に形成され、入力シャフト31の回転トルクは、ボールねじ装置における親ねじ32およびナット33の連結によってナット33の軸方向変位へと変換される。次に、ナット33は、プランジャ34を軸方向に押して、浮動式ブレーキアクチュエータ3上の一対の摩擦プレート35を駆動して、その間にあるブレーキディスク95(図示せず)を掴み、それによって摩擦プレート35をブレーキディスク95と接触させることによって制動力を発生させる。
【0014】
次に、本発明の実施例によるロック装置2の具体的な構成を、図7~11と併せて説明する。本開示の実施例によるロック装置2は、同軸に固定して連結されたラチェットギア201およびラチェットホイール202であって、その両方が同軸回転軸を有し、共に回転するように固定して連結され、ラチェットギア201およびラチェットホイール202から成るラチェットアセンブリ20が、一対のベアリング203によって支持されている、ラチェットギア201およびラチェットホイール202と、ラチェットホイール202と連動する動作位置(図11に示す)と、ラチェットホイール202から分離されたアイドル位置(図10に示す)の間での旋回運動が可能な旋回可能な歯止め構成要素23であって、歯止め構成要素23と歯車202が連動する時に、歯止め構成要素23がラチェットホイール202の第1の方向(図11では時計回り)への回転を防止し、ラチェットギア201の第2の方向(図11では反時計回り)への回転が歯止め構成要素を解放する、歯止め構成要素23と、歯止め構成要素23をアイドル位置に向かって回転させるように付勢するばね部材24と、歯止め構成要素23をアイドル位置から動作位置に回転させるように通電された時に歯止め構成要素23に作用する電磁アクチュエータ22と、を備える。ラチェットアセンブリ20のラチェットギア201とブレーキモータ13がトランスミッション装置14のハブギア142と係合する時、ラチェットギア201およびラチェットホイール202の第1の方向への回転は、ブレーキモータ13およびトランスミッション装置14の逆方向への回転、すなわち、ブレーキトルクを解放する方向への回転に対応し、その一方、ラチェットギア201およびラチェットホイール202の第2の方向への回転は、ブレーキモータ13およびトランスミッション装置14の順方向への回転、すなわち、ブレーキトルクを増加させる方向に回転に対応する。したがって、動作位置にある歯止め構成要素23は、ラチェットホイール202の第1の方向への回転を防止し、それによってブレーキモータ13およびトランスミッション装置14の逆方向への回転がブレーキトルクを解放するのを防止し、ブレーキトルクを維持し、駐車ブレーキを達成する。
【0015】
本開示の一部の実施例では、ロック装置2は、歯止め構成要素23が旋回軸28によって旋回可能に固定され、かつ電磁アクチュエータ22も固定される基部21を備える。本開示の一部の実施例では、基部21は、金属材料を曲げることによって形成され、互いに対して垂直な第1の平面211および第2の平面212を備える。電磁アクチュエータ22は、基部の第1の平面211上の開口部に取り付けられる。さらに、ばね部材24を取り付けるために基部の第1の平面211上に追加の開口部210が提供され、一方で、旋回軸28を受けるために基部21の第2の平面212上に取付け穴213が提供される。さらに、基部21およびその構成要素をボルト214を通して固定するために、複数のボルト穴が基部21の第2の平面212上に提供される。
【0016】
本開示の一部の実施例では、歯止め構成要素23は、歯止め部分231が第1の方向にシャフト穴230から突出してラチェットホイール202に係合する、旋回軸28に連結されたシャフト穴230と、ロッカーアーム232と、シャフト穴230から第2の方向に延在するロッカーアーム232の端部にある磁石27と、を備え、電磁アクチュエータはロッカーアーム232の端部にある磁石27に作用する。より具体的には、旋回軸28は、歯止め構成要素23のシャフト穴230を通り、基部21の第2の平面212上の取付け穴213によって受けられるワッシャー291を通り抜ける。旋回軸28は、歯止め構成要素23がボス部分281とワッシャー291との間に位置付けられる、ボス部分281を有する。本開示の一部の実施例では、取付け穴233は、歯止め構成要素23のロッカーアーム232の端部に提供され、磁石27はピン271によって取付け穴233に取り付けられる。定位置に取り付けられると、磁石27は、電磁アクチュエータ22の上方にかつ隣接してアイドル位置に位置付けられる。
【0017】
本開示の一部の実施例では、ばね部材24は、第1の端部241、コイル状部分242、第2の端部244、および第2の端部244の端部に取付けフック243を備えるコイルばねである。ばね部材24の第1の端部241は、基部の第1の表面211上の追加の開口部210に取り付けられ、コイル状部分242は、旋回軸28のボス部分281を囲み、スナップリング29によって画定され、ばね部材24の第2の端部244は、端部で取付けフック243によって歯止め構成要素23に固定され、その結果、取付けフック243は、歯止め構成要素23のロッカーアーム232の端部で磁石27のピン271に取り付けられる。本開示の一部の実施例では、ばね部材24は予圧がかかっており、すなわち、図8に示すアイドル状態であり、その第2の端部244が解放されると、第2の端部244は、矢印Rの方向に回転して第1の端部241に近づき、その結果、アイドル位置にあるばね部材24が、歯止め構成要素23に予圧をかけて歯止め構成要素をアイドル位置に維持する。本開示の一部の実施例では、ロック装置2は、ロッカーアームの端部に配置されたバッファ26をさらに備え、バッファ26は、例えば、歯止め構成要素23が動作位置からアイドル位置に移動する時にまず最初に基部と接触するよう設計されたゴム製ブッシングであり、それによって、歯止め構成要素23の端部で磁石27が電磁アクチュエータ22と衝突するのを防止する、または少なくとも緩和する。本開示の一部の実施例では、ロック装置2は、歯止め構成要素23の位置を検出する位置センサ25をさらに備え、位置センサ25は、ロッカーアームの端部にある磁石27の磁界を感知することによって歯止め構成要素23の位置を検出し、例えば、位置センサ25は、動作位置にある歯止め構成要素23の磁石27の片側上に配置されてもよく、これにより、位置センサ25は、歯止め構成要素23が動作位置にある時に磁石27の磁界の増加を感知し、それによって、歯止め構成要素23が動作位置にあること、および磁界がアイドル位置の近くで初期値まで減少する時に歯止め構成要素23がアイドル位置に戻ることを判断する。
【0018】
次に、図12~15をさらに参照すると、駐車ブレーキおよび駐車ブレーキ解除などの動作条件下での本開示の実施例による電気機械ブレーキの動作モードが記述されている。図12は、位置センサ25への電力供給を制御し、位置センサ25のフィードバック信号を受信する位置センサ25の電源251に接続された、車両ECUなどのコントローラ4を示し、コントローラ4は、電磁アクチュエータ22の電源221にさらに連結されて、電磁アクチュエータ22への電力供給を制御する。さらに、コントローラ4は、ブレーキモータ13の動作を制御するためにブレーキモータ13に、またブレーキモータ13の状態に関するフィードバックを受信するためにブレーキモータ13の出力シャフト131上の第1のセンサ132にさらに接続され、さらに、コントローラ4はまた、実際に出力されたブレーキトルクを受信するために電流センサ138に接続される電気機械ブレーキの出力トルクセンサ139を備えてもよい。また、歯止め構成要素23および磁石27、ラチェットアセンブリ20、ハブギア142、およびその上の中間ギア141も示されており、これらは図1~11に関連して上述したように接続される。
【0019】
通常の運転中、ロック装置2は動作不能であってもよく、そのラチェットアセンブリ20はハブギア142と共に回転し、コントローラ4はブレーキペダルの変位に基づいて、ブレーキモータ13を制御してブレーキトルクを出力する。この状態では、本開示の一部の実施例では、位置センサ25の電源251および電磁アクチュエータ22の電源221がオフにされてもよい。
【0020】
さらに図1~11および13を参照すると、例えば、搭乗者が車両を駐車した後に電子ハンドブレーキが押された後、コントローラ4は駐車ブレーキ信号Pを受信し、この信号がブレーキモータ13を制御して前方に回転させ、所定のブレーキトルクを確立する。所定の制動トルクが確立されたというフィードバック信号を出力トルクセンサ139から受信すると、コントローラ4は、電磁アクチュエータ22の電源221を起動して、歯止め構成要素23に作用する電磁アクチュエータ22に、より具体的には、その上にある磁石27に電力を供給してもよく、磁石は、ばね部材24の保持力を克服して、歯止め構成要素23を、ラチェットホイールから分離されたアイドル位置から動作位置へと旋回させる。この時、または駐車ブレーキ信号Pを受信した後のいずれかの時点で、コントローラ4は、位置センサ25の電源251を制御して、歯止め構成要素23の位置を検出するために位置センサ25に電力を供給してもよい。歯止め構成要素23は、図13に示すように、その動作位置に近い位置に旋回してもよい。その後、図14に示すように、コントローラ4は、ブレーキモータ13を逆方向に回転させるように制御し、その結果、歯止め構成要素23は、ラチェットアセンブリ20のラチェットホイールと連動し、その地点で歯止め構成要素23はその動作位置に完全に達する。当然のことながら、モータ13の逆方向への回転の角度は、対応するラチェットホイールの1回未満のピッチであるが、この逆方向への回転は、ブレーキトルクの減少をもたらす。したがって、この逆方向への回転は、所定の制動トルクを設定する際に考慮されるべきである。例えば、所定のブレーキトルクは、駐車ブレーキに必要なブレーキトルクと、ラチェットホイールの追加の回転ピッチに対応するトルクとの少なくとも合計としてもよく、またはより大きなトルク、例えば、ラチェットホイールの追加の2回以上の回転ピッチに対応したトルクを増加させるように設定されてもよく、それによって、ブレーキモータの逆方向への回転による駐車ブレーキトルクの減少を回避してもよい。その後、例えば、歯止め構成要素23が動作位置にあると位置センサ25が検出すると、電磁アクチュエータ22およびブレーキモータ13を停止することができる。したがって、本開示の実施例によれば、ロック装置2は、駐車ブレーキがかけられた時に、短期間、電磁アクチュエータ22に電力を供給することのみが必要であり、駐車中の電磁アクチュエータ22への長期的な電源供給を回避し、かつ欠陥のある電磁アクチュエータ22によって引き起こされる駐車ブレーキの故障を回避する。
【0021】
本開示の一部の実施例では、コントローラ4は、駐車ブレーキ信号が受信された時に、ブレーキモータ13を制御して前方に回転させる必要のみがあり、その結果、回転は、例えば、歯止めのピッチに対応し、これが、図14に示す方向とは反対の方向へのラチェットアセンブリ20の回転を生じさせ、それによって、歯止め構成要素23を解放し、ばね部材の動作に基づき歯止め構成要素をアイドル位置に戻し、その後、ブレーキモータはその後、制動力を解除するために逆方向に回転するように制御される。本開示の一部の実施例では、コントローラ4は、ばね部材の動作に基づき歯止め構成要素がアイドル位置に戻る間に、歯止め構成要素23に作用するように電磁アクチュエータ22を制御してバッファを提供してもよく、その時点で、電磁アクチュエータ22の電流は、力を減少させるために比較的小さくなるように制御することができる。
【0022】
さらに、歯止め構成要素23は、運転中の車両の振動のために、アイドル位置から逸脱してもよい。この状況を避けるため、本開示の一部の実施例では、図15に示すように、コントローラ4は、歯止め構成要素23上の磁石27に魅力的な力を及ぼすために、第1の極性とは反対の第2の極性で歯止め構成要素23に作用するように電磁アクチュエータ22を制御するよう構成されてもよく、その結果、駐車ブレーキ信号が受信されず、歯止め構成要素23がアイドル位置を離れると検出された時に、歯止め構成要素23はアイドル位置に維持される。
【0023】
本開示の上述した実施例は、本開示の原理をより明確に説明することのみを目的としており、本開示の原理をより理解しやすくするために、個々の構成要素が明確に示されているか、または説明されている。本開示の範囲から逸脱することなく、当業者によって本開示に対して様々な修正または変形を容易に行うことができる。したがって、そのような修正または変形は、本開示の特許権保護の対象となることが理解されるべきである。
図1
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【外国語明細書】