(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148099
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】園児乗降確認装置、プログラム、および園児乗降確認方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20241009BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
G06Q50/30
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061028
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000134707
【氏名又は名称】株式会社ナカヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】井上 喜文
【テーマコード(参考)】
5C086
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA43
5C086BA22
5C086CA15
5C086DA07
5C086FA02
5C086FA06
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】 (修正有)
【課題】送迎用バスへの園児乗降確認装置の導入コストを抑制でき、かつ、乗降口が1つの小型バスにおいても、運転手等による園児乗降確認を支援する園児乗降確認装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】園児乗降確認装置において、園児乗降判断部20は、バス乗降口のステップに加わる圧力を検出する第1の圧力センサ10-1及びバス乗降口の車内側フロア部に加わる圧力を検出する第2の圧力センサ10-2の出力値がともに第1閾値未満である場合、その検出順が、第1の圧力センサ10-1、第2の圧力センサ10-2の順番であるならば、園児がバスに乗車したと判断し、その逆の順番ならば、園児がバスを降車したと判断する。乗車中園児数更新部21は、園児がバスに乗車したと判断したならば、バスに乗車中の園児数を1つインクリメントし、園児がバスを降車したと判断したならば、バスに乗車中の園児数を1つデクリメントする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスへの園児の乗車および前記バスからの前記園児の降車を確認する園児乗降確認装置であって、
前記バスの乗降口の第1のエリアに加わる圧力を検出する第1の圧力センサと
前記乗降口の第1のエリアよりも車内側に位置する第2のエリアに加わる圧力を検出する第2の圧力センサと、
前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサで検出された圧力の値およびその検出順に基づいて、園児の乗降の有無を判断する判断手段と、
前記判断手段による判断結果に基づいて、前記バスに乗車中の園児数を更新する更新手段と、を備え、
前記判断手段は、
前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサが所定の第1閾値未満の圧力を検出し、かつその検出順が、前記第1の圧力センサ、前記第2の圧力センサの順番であるならば、園児が前記バスに乗車したと判断し、
前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサが前記第1閾値未満の圧力を検出し、かつその検出順が、前記第2の圧力センサ、前記第1の圧力センサの順番であるならば、園児が前記バスから降車したと判断し、
前記更新手段は、
前記判断手段により前記バスに前記園児が乗車したと判断された場合に前記バスに乗車中の園児数を1つインクリメントし、
前記判断手段により前記バスから前記園児が降車したと判断された場合に前記バスに乗車中の園児数を1つデクリメントする
ことを特徴とする園児乗降確認装置。
【請求項2】
請求項1に記載の園児乗降確認装置であって、
前記判断手段は、
前記第1の圧力センサで検出された圧力の値の積算値と前記第2の圧力センサで検出された圧力の値の積算値との差分が所定範囲内である場合に、前記園児の乗降ありと判断する
ことを特徴とする園児乗降確認装置。
【請求項3】
請求項1に記載の園児乗降確認装置であって、
前記判断手段は、
前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサのいずれか一方で圧力値が検出されてから所定時間以内に他方で圧力値が検出された場合に、前記園児の乗降ありと判断する
ことを特徴とする園児乗降確認装置。
【請求項4】
請求項1に記載の園児乗降確認装置であって、
前記判断手段は、
前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサで検出された圧力値がともに、前記第1閾値より小さい所定の第2閾値以上である場合に、前記園児の乗降ありと判断する
ことを特徴とする園児乗降確認装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の園児乗降確認装置であって、
前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサの少なくともいずれか一方で圧力が検出されたにもかかわらず、前記判断手段が園児の乗降ありと判断しない場合、警報を出力する警報手段をさらに有する
ことを特徴とする園児乗降確認装置。
【請求項6】
バスへの園児の乗車および前記バスからの前記園児の降車を確認する園児乗降確認装置として、コンピュータを機能させるプログラムであって、
前記バスの乗降口の第1のエリアに加わる圧力を検出する第1の圧力センサおよび前記乗降口の第1のエリアよりも車内側に位置する第2のエリアに加わる圧力を検出する第2の圧力センサで検出された圧力の値およびその検出順に基づいて、園児の乗降の有無を判断する判断手段、および、
前記判断手段による判断結果に基づいて、前記バスに乗車中の園児数を更新する更新手段として、前記コンピュータを機能させ、
前記判断手段は、
前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサが所定の第1閾値未満の圧力を検出し、かつその検出順が、前記第1の圧力センサ、前記第2の圧力センサの順番であるならば、園児が前記バスに乗車したと判断し、
前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサが前記第1閾値未満の圧力を検出し、かつその検出順が、前記第2の圧力センサ、前記第1の圧力センサの順番であるならば、園児が前記バスから降車したと判断し、
前記更新手段は、
前記判断手段により前記園児が前記バスに乗車したと判断された場合に前記バスに乗車中の園児数を1つインクリメントし、
前記判断手段により前記園児が前記バスから降車したと判断された場合に前記バスに乗車中の園児数を1つデクリメントする
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
園児乗降確認装置を用いて、バスへの園児の乗車および前記バスからの前記園児の降車を確認する園児乗降確認方法であって、
前記園児乗降確認装置は、
前記バスの乗降口の第1のエリアに加わる圧力を検出する第1の圧力センサ、および前記乗降口の第1のエリアよりも車内側に位置する第2のエリアに加わる圧力を検出する第2の圧力センサを有し、
前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサが所定の第1閾値未満の圧力を検出した場合、これらの圧力の検出順が、前記第1の圧力センサ、前記第2の圧力センサの順番であるならば、園児が前記バスに乗車したと判断し、前記第2の圧力センサ、前記第1の圧力センサの順番であるならば、園児が前記バスから降車したと判断し、
前記園児が前記バスに乗車したと判断した場合、前記バスに乗車中の園児数を1つインクリメントし、前記園児が前記バスから降車したと判断した場合、前記バスに乗車中の園児数を1つデクリメントする
ことを特徴とする園児乗降確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼稚園、保育園等の送迎バスにおける園児の乗降確認技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バスの乗客を管理するための乗客管理装置が開示されている。この乗客管理装置は、乗車客を撮影する乗車客用カメラおよび降車客を撮影する降車客用カメラを有しており、観光地、休憩地等の一定時間以上停車する乗降地点において、乗車口に配置された乗車客用カメラの撮影データから乗車人数を特定するとともに、降車口に配置された降車客用カメラの映像から降車人数を特定して、両者を比較する。これにより、乗降地点での乗客の置き去りや不審客の乗車を確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、保育園、幼稚園等の送迎バスにおいて、園児の乗降確認業務をバスの運転手が行うケースが多い。このような業務を支援するために特許文献1に記載の乗客管理装置を、幼稚園、保育園等の送迎バスにおける園児の乗降確認に利用した場合、つぎのような問題が生じる。
【0005】
すなわち、乗車客用カメラおよび降車客用カメラを準備する必要があることに加えて、これらのカメラの撮影データから乗車客、降車客を検出し、さらに検出した乗車客、降車客が園児であるか否かを判断するための高性能な情報処理装置が必要となるため、導入コストが嵩む。また、乗車客用カメラおよび降車客用カメラの設置場所によっては、小柄な園児が映らない可能性がある。そもそも、特許文献1に記載の乗客管理装置は、乗車口および降車口が別々に設けられた観光バス等の大型バスへの適用を前提としており、保育園、幼稚園等の送迎バスとして利用されることが多い、乗降口が1つしかない小型バスに適用することは困難である。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、送迎用バスへの導入コストを抑制でき、かつ、乗降口が1つのバスにおいても、送迎バスの運転手等による園児乗降確認業務を支援可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、バスの乗降口の第1のエリアに加わる圧力を検出する第1の圧力センサ、およびバスの乗降口の第1のエリアよりも車内側に位置する第2のエリアに加わる圧力を検出する第2の圧力センサを設け、第1および第2の圧力センサで検出された圧力の値およびその検出順に基づいて、バスへの園児の乗車の有無およびバスからの園児の降車の有無を判断する。具体的には、第1および第2の圧力センサで検出された圧力がともに所定の第1閾値以上の場合は、乗降者が大人であると判断し、園児の乗降ありとは判断しない。第1および第2の圧力センサで検出された圧力がともに第1閾値未満である場合、その検出順が、第1の圧力センサ、第2の圧力センサの順番であるならば、園児がバスに乗車したと判断し、第2の圧力センサ、第1の圧力センサの順番であるならば、園児がバスから降車したと判断する。そして、園児の乗降の判断結果に基づいて、このバスに乗車中の園児数を更新する。
【0008】
例えば、本発明は、バスへの園児の乗車および前記バスからの前記園児の降車を確認する園児乗降確認装置であって、
前記バスの乗降口の第1のエリアに加わる圧力を検出する第1の圧力センサと
前記バスの乗降口の前記第1のエリアよりも車内側に位置する第2のエリアに加わる圧力を検出する第2の圧力センサと、
前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサで検出された圧力の値およびその検出順に基づいて、園児の乗降の有無を判断する判断手段と、
前記判断手段による判断結果に基づいて、前記バスに乗車中の園児数を更新する更新手段と、を備え、
前記判断手段は、
前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサが所定の第1閾値未満の圧力を検出し、かつその検出順が、前記第1の圧力センサ、前記第2の圧力センサの順番であるならば、園児が前記バスに乗車したと判断し、
前記第1の圧力センサおよび前記第2の圧力センサが前記第1閾値未満の圧力を検出し、かつその検出順が、前記第2の圧力センサ、前記第1の圧力センサの順番であるならば、園児が前記バスから降車したと判断し、
前記更新手段は、
前記判断手段により前記バスに園児が乗車したと判断された場合に前記バスに乗車中の園児数を1つインクリメントし、
前記判断手段により前記バスから園児が降車したと判断された場合に前記バスに乗車中の園児数を1つデクリメントする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、バスの乗降口の第1のエリアに設けられた第1の圧力センサおよびバスの乗降口の第2のエリア(第1のエリアよりも車内側に位置するエリア)に設けられた第2の圧力センサで検出された圧力の値およびその検出順に基づいて、バスへの園児の乗車およびバスからの園児の降車の有無を判断するので、画像処理が必要な特許文献1に記載の技術に比べて、情報処理部に要求される処理能力が低くて済む。また、園児の乗車検出用および園児の降車検出用に個別のカメラを設置する必要もない。したがって、本発明によれば、送迎用バスへの園児乗降確認装置の導入コストを抑制でき、かつ、乗降口が1つのバスでも、送迎バスの運転手等による園児乗降確認業務を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に係る園児乗降確認装置の概略構成図である。
【
図2】
図2(A)は、バスの乗降口から園児が乗車した場合に第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2により検出される圧力値の波形を示す図であり、
図2(B)は、バスの乗降口から園児が降車した場合に第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2により検出される圧力値の波形を示す図である。
【
図3】
図3は、園児乗降確認装置の各種設定動作を説明するためのフロー図である。
【
図4】
図4は、園児乗降確認装置の園児乗降確認動作を説明するためのフロー図である。
【
図5】
図5は、園児乗降確認装置の園児乗降確認動作を説明するためのフロー図であり、
図4の続きである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る園児乗降確認装置の概略構成図である。
【0013】
本実施の形態に係る園児乗降確認装置は、幼稚園、保育園等の送迎バスとして用いられる、乗降口にステップを備えたバスに設置されて園児乗降確認業務を支援するための装置であり、センサ部1と、情報処理部2と、入出力部3と、を有する。
【0014】
センサ部1は、第1の圧力センサ10-1と、第2の圧力センサ10-2と、を有する。
【0015】
第1の圧力センサ10-1は、バスの乗降口のステップに設置され、このステップに加わる所定値以上の圧力を検出して、その値を情報処理部2に出力する。
【0016】
第2の圧力センサ10-2は、バスの乗降口の車内側フロア部(ステップとともにバスの乗降口を構成し、ステップよりも車内側に位置し、バスの乗降口に最も近い座席までの通路の床面)に設置され、この車内側フロア部に加わる所定値以上の圧力を検出して、その値を情報処理部2に出力する。
【0017】
情報処理部2は、園児乗降判断部20と、乗車中園児数更新部21と、を有する。
【0018】
園児乗降判断部20は、第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2で検出された圧力値およびその検出順に基づいて、園児の乗降の有無を判断する。
【0019】
図2(A)は、バスの乗降口から園児が乗車した場合に第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2により検出される圧力値の波形を示す図であり、
図2(B)は、バスの乗降口から園児が降車した場合に第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2により検出される圧力値の波形を示す図である。
【0020】
園児が乗降口からバスに乗車する場合、
図2(A)に示すように、まず、バスの乗降口のステップに設置された第1の圧力センサ10-1が所定値以上の圧力値を検出し、その後、所定時間内に、バスの乗降口の車内側フロア部に設置された第2の圧力センサ10-2が所定値以上の圧力値を検出する。一方、園児が乗降口からバスを降車する場合、
図2(B)に示すように、まず、バスの乗降口の車内側フロア部に設置された第2の圧力センサ10-2が圧力値を検出し、その後、所定時間内に、このステップに設置された第1の圧力センサ10-1が所定値以上の圧力値を検出する。
【0021】
ここで、第1の圧力センサ10-1が検出した圧力値および第2の圧力センサ10-2が検出した圧力値それぞれの最大値あるいは平均値(以下、評価値と呼ぶ)がともに、例えばバスの利用が想定される園児の体重の最大値に基づいて決定された第1閾値103以上である場合、乗降者が大人である可能性が高い。一方、第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2の評価値がともに、バスの利用が想定される園児の体重の最小値に基づいて決定される第2閾値104未満である場合、小型犬、猫等の小動物が乗降した可能性が高い。さらに、第1の圧力センサ10-1が検出した圧力値の積算値(波形100の面積)と第2の圧力センサ10-2が検出した圧力値の積算値(波形101の面積)との差分が所定範囲外である場合、第1の圧力センサ10-1の設置エリア(ステップ)に載った人物と、第2の圧力センサ10-2の設置エリア(車内側フロア部)に載った人物とが別人物である可能性が高い(乗降のリズムが異なる)。そこで、園児乗降判断部20は、第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2の評価値がともに第1閾値103未満かつ第2閾値104以上であり、第1の圧力センサ10-1の積算値と第2の圧力センサ10-2の積算値との差分が所定範囲内である場合に、園児が一人乗降したと判断する。そして、圧力値の検出順が第1の圧力センサ10-1、第2の圧力センサ10-2の順番ならば、園児が乗降口からバスに乗車したものと判断し、第2の圧力センサ10-2、第1の圧力センサ10-1の順番ならば、園児が乗降口からバスを降車したものと判断する。
【0022】
乗車中園児数更新部21は、園児乗降判断部20による判断結果に基づいて、バスに乗車中の園児の人数(以下、乗車中園児数と呼ぶ)を更新する。具体的には、園児がバスに乗車したと判断されたならば、乗車中園児数を1つインクリメントし、園児がバスから降車したと判断されたならば、乗車中園児数を1つデクリメントする。
【0023】
入出力部3は、設定操作受付部30と、ブザー出力部31と、表示部32と、を有する。
【0024】
設定操作受付部30は、ユーザから各種設定操作を受け付ける。例えば、設定操作受付部30は、園児乗降判断部20が園児の乗降有無の判断に用いる第1閾値103および第2閾値104の設定操作をユーザより受け付ける。また、設定操作受付部30は、乗車中園児数のインクリメント操作およびデクリメント操作をユーザより受け付ける。さらに、設定操作受付部30は、園児乗降確認の開始指示および終了指示をユーザより受け付ける。
【0025】
ブザー出力部31は、園児乗降判断部20の指示に従いブザー音(警報音)を出力する。
【0026】
表示部32は、LED(Light Emitting Diode)マトリクス、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、乗車中園児数更新部21の指示に従い、バスに乗車中の園児数として乗車中園児数を表示する。
【0027】
なお、
図1に示す園児乗降確認装置の情報処理部2の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、センサ部1に接続するためのインターフェースと、入出力部3に接続するためのインターフェースと、を備えたPC(Personal Computer)、スマートフォン等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することでプロセスとして実現されるものでもよい。
【0028】
図3は、園児乗降確認装置の各種設定動作を説明するためのフロー図である。
【0029】
設定操作受付部30は、第1閾値103の指定を伴う第1閾値設定操作をユーザから受け付けると(S100でYES)、指定された第1閾値103を園児乗降判断部20に通知する。園児乗降判断部20は、設定操作受付部30より通知された第1閾値103を自身に設定する(S101)。
【0030】
また、設定操作受付部30は、第2閾値104の指定を伴う第2閾値設定操作をユーザから受け付けると(S102でYES)、この指定された第2閾値104を園児乗降判断部20に通知する。園児乗降判断部20は、設定操作受付部30より通知された第2閾値104を自身に設定する(S103)。
【0031】
また、設定操作受付部30は、乗車中園児数のインクリメント操作をユーザから受け付けると(S104でYES)、乗車中園児数のインクリメント要求を園児乗降判断部20に通知する。これを受けて、園児乗降判断部20は、乗車中園児数更新部21に乗車中園児数のインクリメントを指示する。これを受けて、乗車中園児数更新部21は、乗車中園児数を1つインクリメントし(S105)、インクリメント後の乗車中園児数を表示部32に表示する(S106)。
【0032】
また、設定操作受付部30は、乗車中園児数のデクリメント操作をユーザから受け付けると(S107でYES)、乗車中園児数のデクリメント要求を園児乗降判断部20に通知する。これを受けて、園児乗降判断部20は、乗車中園児数更新部21に乗車中園児数のデクリメントを指示する。これを受けて、乗車中園児数更新部21は、乗車中園児数を1つデクリメントし(S108)、デクリメント後の乗車中園児数を表示部32に表示する(S109)。
【0033】
図4および
図5は、園児乗降確認装置の園児乗降確認動作を説明するためのフロー図である。
【0034】
このフローは、設定操作受付部30が、ユーザより園児乗降確認の開始指示を受け付けることにより開始される。
【0035】
まず、設定操作受付部30は、園児乗降判断部20に園児乗降確認の開始指示を通知する。これを受けて、園児乗降判断部20は、乗車中園児数更新部21に乗車中園児数のリセットを指示する。乗車中園児数更新部21は、園児乗降判断部20から乗車中園児数のリセット指示を受け付けると、乗車中園児数を「0」にリセットし(S200)、リセット後の乗車中園児数「0」を表示部32に表示する(S201)。
【0036】
つぎに、園児乗降判断部20は、第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2の出力の監視を開始する。
【0037】
園児乗降判断部20は、第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2の双方の圧力未検出状態(S202およびS212でともにNO)が継続した後に、第1の圧力センサ10-1が所定値以上の圧力値の出力を開始したこと(バスの乗降口のステップに圧力が加わったこと)を検出すると(S202でYES)、それに連続して第2の圧力センサ10-2から所定値以上の圧力値の出力が開始されるか否か(バスの乗降口の車内側フロア部にも圧力が加わるか否か)をチェックする(S205)。
【0038】
第2の圧力センサ10-2が所定値以上の圧力値を出力することなく(バスの乗降口の車内側フロア部には圧力が加わることなく)(S205でNO)、所定時間の経過によりタイムアウトすると(S203でYES)、園児乗降判断部20は、ブザー出力部31からブザー音を所定時間出力して(S204)、ユーザ(バスの運転手等)に園児の乗降確認を促す。その後、S202に戻る。
【0039】
一方、園児乗降判断部20は、所定時間の経過によるタイムアウト前(S203でNO)に第2圧力センサ10-2から所定値以上の圧力値の出力が開始されたこと(バスの乗降口のステップに圧力が加わった後に連続してバスの乗降口の車内側フロア部にも圧力が加わったこと)を検知すると(S205でYES)、第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2の評価値(S202以降の第1の圧力センサ10-1の検出値およびS205以降の第2の圧力センサ10-2の検出値それぞれの最大値あるいは平均値)がともに第1閾値103未満かつ第2閾値104以上であるか否かを判断する(S206)。
【0040】
前述したように、第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2の評価値がともに第1閾値103以上である場合は、大人が乗降口からバスに乗車した可能性が高く、また、第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2の評価値がともに第2閾値104未満である場合は、小動物等が乗降口からバスに乗車した可能性が高い。そこで、これらの場合(S206でNO)、園児乗降判断部20は、ブザー出力部31からブザー音を所定時間出力して(S204)、ユーザに園児の乗降確認を促す。その後、S202に戻る。
【0041】
一方、第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2の評価値がともに第1閾値103未満および第2閾値104以上である場合(S206でYES)、つまり、園児が乗降口からバスに乗車した可能性が高い場合、園児乗降判断部20は、S202以降に第1の圧力センサ10-1から受信した圧力値およびS205以降に第2の圧力センサ10-2から受信した圧力値をそれぞれ積算する(S207)。そして、両者の積算値の差分が所定範囲内であるか否かを判断する(S208)。両者の積算値の差分が所定範囲外である場合(S208でNO)、つまり、第1の圧力センサ10-1の設置エリア(バスの乗降口のステップ)に載った園児と、第2の圧力センサ10-2の設置エリア(バスの乗降口の車内側フロア部)に載った園児とが別人であり(乗降のリズムが異なる)、園児がバスに乗車していない可能性がある場合、園児乗降判断部20は、ブザー出力部31からブザー音を所定時間出力して(S204)、ユーザに園児の乗降確認を促す。その後、S202に戻る。
【0042】
一方、第1の圧力センサ10-1から受信した圧力値の積算値および第2の圧力センサ10-2から受信した圧力値の積算値の差分が所定範囲内である場合(S208でYES)、つまり、第1の圧力センサ10-1の設置エリア(バスの乗降口のステップ)に載った園児と第2の圧力センサ10-2の設置エリア(バスの乗降口の車内側フロア部)に載った園児とが同一人物である(乗降のリズムが同じ)可能性が高い場合、園児乗降判断部20は、園児一人がバスに乗車したと判断し、乗車中園児数更新部21に乗車中園児数のインクリメントを指示する。これを受けて、乗車中園児数更新部21は、自身が保持する乗車中園児数を1つインクリメントし(S209)、表示部32に表示中の乗車中園児数を、インクリメント後の乗車中園児数に更新する(S210)。その後、S202に戻る。
【0043】
また、園児乗降判断部20は、第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2の双方の圧力未検出状態(S202およびS212でともにNO)が継続した後に、第2の圧力センサ10-2が所定値以上の圧力値の出力を開始したこと(バスの乗降口の車内側フロア部に加わったこと)を検出すると(S212でYES)、それに連続して第1の圧力センサ10-1から所定値以上の圧力値の出力が開始されるか否か(バスの乗降口のステップにも圧力が加わるか否か)をチェックする(S215)。
【0044】
第1の圧力センサ10-1が所定値以上の圧力値を出力することなく(バスの乗降口のステップには圧力が加わることなく)(S215でNO)、所定時間の経過によりタイムアウトすると(S213でYES)、園児乗降判断部20は、ブザー出力部31からブザー音を所定時間出力して(S214)、ユーザに園児の乗降確認を促す。その後、S202に戻る。
【0045】
一方、園児乗降判断部20は、所定時間の経過によるタイムアウト前(S213でNO)に第1の圧力センサ10-1から所定値以上の圧力値の出力が開始されたこと(バスの乗降口の車内側フロア部に圧力が加わった後に連続してバスの乗降口のステップにも圧力が加わったこと)を検知すると(S215でYES)、第2の圧力センサ10-2および第1の圧力センサ10-1の評価値(S212以降の第2の圧力センサ10-2の検出値およびS215以降の第1の圧力センサ10-1の検出値それぞれの最大値あるいは平均値)がともに第1閾値103未満かつ第2閾値104以上であるか否かを判断する(S216)。
【0046】
前述したように、第2の圧力センサ10-2および第1の圧力センサ10-1の評価値がともに第1閾値103以上である場合は、大人が乗降口からバスを降車した可能性が高く、第2の圧力センサ10-2および第1の圧力センサ10-1の評価値がともに第2閾値104未満である場合は、小動物等が乗降口からバスを降車した可能性が高い。そこで、これらの場合(S216でNO)、園児乗降判断部20は、ブザー出力部31からブザー音を所定時間出力して(S214)、ユーザに園児の乗降確認を促す。その後、S202に戻る。
【0047】
一方、第2の圧力センサ10-2および第1の圧力センサ10-1の評価値がともに第1閾値103未満かつ第2閾値104以上である場合(S216でYES)、つまり、前述したように、園児が乗降口からバスを降車した可能性が高い場合、園児乗降判断部20は、S212以降に第2の圧力センサ10-2から受信した圧力値およびS215以降に第1の圧力センサ10-1から受信した圧力値をそれぞれ積算する(S217)。そして、両者の積算値の差分が所定範囲内であるか否かを判断する(S218)。両者の積算値の差分が所定範囲外である場合(S218でNO)、つまり、第2の圧力センサ10-2の設置エリア(バスの乗降口の車内側フロア部)に載った園児と第1の圧力センサ10-1の設置エリア(バスの乗降口のステップ)に載った園児とが別人であり(乗降のリズムが異なる)、園児がバスに乗車していない可能性がある場合、園児乗降判断部20は、ブザー出力部31からブザー音を所定時間出力して(S214)、ユーザに園児の乗降確認を促す。その後、S202に戻る。
【0048】
一方、第2の圧力センサ10-2から受信した圧力値の積算値および第1の圧力センサ10-1から受信した圧力値の積算値の差分が所定範囲内である場合(S218でYES)、つまり、第2の圧力センサ10-2の設置エリア(車内側フロア部)に載った園児と第1の圧力センサ10-1の設置エリア(ステップ)に載った園児とが同一人物である(乗降のリズムが同じ)可能性が高い場合、園児乗降判断部20は、園児一人がひとりバスを降車したと判断し、乗車中園児数更新部21に乗車中園児数のデクリメントを指示する。これを受けて、乗車中園児数更新部21は、乗車中園児数を1つデクリメントし(S219)、表示部32に表示中の乗車中園児数を、デクリメント後の乗車中園児数に更新する(S220)。その後、S202に戻る。
【0049】
以上、本発明の一実施の形態を説明した。
【0050】
本実施の形態では、乗降口のステップに設けられた第1の圧力センサ10-1および乗降口の車内側フロア部に設けられた第2の圧力センサ10-2でそれぞれ検出された圧力値およびその検出順に基づいて、バスへの園児の乗車の有無およびバスからの園児の乗降の有無を判断するので、画像処理が必要な特許文献1に記載の技術に比べて、情報処理部2に要求される処理能力が低くて済む。また、園児の乗車検出用および降車検出用に個別のカメラを設置する必要もない。したがって、本実施の形態によれば、園児送迎用バスへの園児乗降確認装置の導入コストを抑制でき、かつ、乗降口が1つの小型バスにおいても、送迎バスの運転手等による園児乗降確認業務を支援することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、第1の圧力センサ10-1で検出された圧力値の積算値と第2の圧力センサ10-2で検出された圧力値の積算値との差分が所定範囲内である場合に、園児が乗降したと判断する。したがって、本実施の形態によれば、第1の圧力センサ10-1の設置エリア(バスの乗降口のステップ)に載った園児と第2の圧力センサ10-2の設置エリア(バスの乗降口の車内側フロア部)に載った園児とが別人である場合を排除して、より正確に園児の乗降の有無を判定することができる。
【0052】
また、本実施の形態では、第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2のいずれか一方で圧力(所定値の圧力)が検出されてから所定時間以内に他方で圧力(所定値の圧力)が検出された場合に、園児が乗降したと判断する。したがって、本実施の形態によれば、バスの乗降口のステップまたは社内側フロア部に荷物等が置かれた場合、バスの乗降口のステップに一旦載ったがバスに乗車しなかった場合、および、バスの乗降口の車内フロアに一旦載ったがバスから降車しなかった場合を排除することができるため、より正確に園児の乗降の有無を確認することができる。
【0053】
また、本実施の形態では、第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2で検出された圧力値がともに、第1閾値103より小さく、かつ、第2閾値104以上である場合に、園児が乗降したと判断する。したがって、本実施の形態によれば、大人、小動物等が乗降口からバスに乗降した場合を排除して、より正確に園児の乗降の有無を確認することができる。
【0054】
また、本実施の形態では、第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2の少なくともいずれか一方で圧力(所定値以上の圧力)が検出されたにもかかわらず、園児の乗降有りと判断しない場合、ブザー出力部31からブザー音を出力する。したがって、本実施の形態によれば、園児以外が乗降した可能性がある場合や園児の乗降の有無の判断が困難である場合に、目視での確認をユーザ(バスの運転手等)に促すことができる。
【0055】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0056】
例えば、上記の実施の形態において、バスのイグニッション状態を検知する手段を設け、イグニッションオフ時に乗車中園児数がゼロでない場合に、乗車中園児数更新部21がその旨を園児乗降判断部20に通知し、これを受けて園児乗降判断部20がブザー出力部31からブザー音を所定時間出力して、ユーザ(バスの運転手等)に、乗車中の園児の目視確認を促すようにしてもよい。
【0057】
また、上記の実施の形態において、ブザー出力部31は、園児乗降判断部20の指示に従い、ブザー音を所定時間出力している(
図4のS204、
図5のS215等)。しかし、本発明はこれに限定されない。設定操作受付部30がユーザからブザー停止操作を受け付けるか、あるいは乗車中園児数のインクリメント操作またはデクリメント操作を受け付けるまで、ブザー出力部31にブザー音の出力を継続させるようにしてもよい。このようにすることで、ユーザに園児の乗降確認をより確実に促すことができる。
【0058】
また、上記の実施の形態において、センサ部1および情報処理部2間の接続は、USB(Universal Serial Bus)、LAN(Local Area Netowork)等を用いた有線接続でもよいし、あるいは、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等を用いた無線接続でもよい。
【0059】
また、上記の実施の形態において、第1の圧力センサ10-1および第2の圧力センサ10-2の少なくともいずれか一方で所定値以上の圧力が検出されたにもかかわらず、園児の乗降有りと判断しない場合、ブザー出力部31からブザー音を出力している。しかし、本発明はこれに限定されない。ブザー出力部31によるブザー音出力に代えて、ユーザ(バスの運転手等)に、バスの乗降口の目視確認を促すメッセージを音声出力するようにしてもよい。
【0060】
また、上記の実施の形態において、入出力部3は、スマートフォン、タブレットPC等の携帯端末であってもよい。この場合、入出力部3と情報処理部2との接続には、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線接続を用いることができる。また、入出力部3は、情報処理部2とともに、同じPC、スマートフォン、タブレットPC等上に構築されていてもよい。
【0061】
また、上記の実施の形態では、園児乗降確認装置が、ステップを有する乗降口が1つだけ設けられた小型バスに搭載された場合を例にとり説明した。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明の園児乗降確認装置は、ステップを有する乗降口が2つ以上の大型バスにも搭載することができる。また、乗降口にステップがないいわゆるノンステップバスに適用する場合には、乗降口の車内側フロア部に、動線に沿って適当な間隔で複数の圧力センサを配置すればよい。
【符号の説明】
【0062】
1:センサ部 2:情報処理部 3:入出力部
10-1:第1の圧力センサ 10-2:第2の圧力センサ
20:園児乗降判断部 21:乗車中園児数更新部
30:設定操作受付部 31:ブザー出力部 32:表示部