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  • 特開-ペルチェ素子を用いた冷却被服 図1
  • 特開-ペルチェ素子を用いた冷却被服 図2
  • 特開-ペルチェ素子を用いた冷却被服 図3
  • 特開-ペルチェ素子を用いた冷却被服 図4
  • 特開-ペルチェ素子を用いた冷却被服 図5
  • 特開-ペルチェ素子を用いた冷却被服 図6
  • 特開-ペルチェ素子を用いた冷却被服 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148103
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】ペルチェ素子を用いた冷却被服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20241009BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
A41D13/005 103
A41D13/002 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061034
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】596038641
【氏名又は名称】クロダルマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182028
【弁理士】
【氏名又は名称】多原 伸宜
(72)【発明者】
【氏名】杉原 剛志
【テーマコード(参考)】
3B211
【Fターム(参考)】
3B211AA01
3B211AC02
3B211AC03
3B211AC18
3B211AC21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ペルチェ素子による冷却ユニットを内側に配置した被服本体において、ヒートシンクに集められたペルチェ素子からの熱を被服本体の外に排熱し、被服本体内に熱が籠ることを防止する冷却被服を提供する。
【解決手段】ペルチェ素子を用いた冷却被服は、被服本体と、被服本体の内側に配置されるマウント3と、ペルチェ素子24の冷却面を装着者の身体X側に向けるようにマウントに取り付ける冷却ユニット2とを有し、冷却ユニットはケーシング21、23内にペルチェ素子の加熱面に接するヒートシンク25と、ヒートシンクと対向して配置され、ヒートシンクの表面に気流を流すためのファン26が配置されるとともに、ケーシングにはファンの回転平面方向D1に空気を流入させる給気口21bと、ファンの回転平面に交差する方向D2にケーシングの外側へ排出する排気口23dが形成され、マウントには、冷却ユニットの排気口と連結する開口3bが形成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被服本体と、前記被服本体の内側に配置されるマウントと、ペルチェ素子の冷却面を装着者の身体側に向けるように前記マウントに取り付ける冷却ユニットとを有し、
前記冷却ユニットはケーシング内に前記ペルチェ素子の加熱面に接するヒートシンクと、前記ヒートシンクと対向して配置され、前記ヒートシンクの表面に気流を流すためのファンが配置されるとともに、前記ケーシングには前記ファンの回転平面方向に空気を流入させる給気口と、前記ファンの回転平面に交差する方向に前記ケーシングの外側へ排出する排気口が形成され、
前記マウントには、前記冷却ユニットの前記排気口と連結する開口が形成されることを特徴とするペルチェ素子を用いた冷却被服。
【請求項2】
請求項1記載の冷却被服であって、前記被服本体の少なくとも前記マウントの前記開口に露出する領域は通気性を有する排気生地領域となっており、前記冷却ユニットの前記ケーシングから排気される空気は、前記排気生地領域を通して被服本体の外側に排気されることを特徴とするペルチェ素子を用いた冷却被服。
【請求項3】
請求項1記載の冷却被服であって、前記冷却ユニットの前記排気口または前記マウントの前記開口には、その縁から突設する係合枠が形成されており、前記係合枠が前記排気口または前記開口の縁の内縁に篏合することで、前記冷却ユニットの前記ケーシング内に取り入れられた空気は前記ファンによって前記マウントの前記開口を通し前記被服本体の外に排出されることを特徴とするペルチェ素子を用いた冷却被服。
【請求項4】
請求項3記載の冷却被服であって、前記係合枠を円環とし、前記係合開口を円孔とすることで前記円環を前記円孔が篏合した状態で相対的に回動させることを可能とし、前記冷却ユニットと前記マウントには回動した所定位置で互いに結合するスライド突起とスライドポケットを形成したことを特徴とするペルチェ素子を用いた冷却被服。
【請求項5】
請求項1記載の冷却被服であって、前記マウントには前記開口の周囲を囲む環状溝が形成され、前記環状溝内を糸で縫うことによって前記マウントと前記被服本体とを縫合することを特徴とするペルチェ素子を用いた冷却被服。
【請求項6】
請求項5記載の冷却被服であって、前記開口は円孔であって、前記環状溝は前記円孔と同心円状に複数が形成されることを特徴とするペルチェ素子を用いた冷却被服。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペルチェ素子を用いた冷却ユニットを被服本体のマウントに取り付けた場合、ペルチェ素子から放熱される熱をファンの排気によって被服本体の外側へ排出する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通電することで一方の面を冷やし、他方の面に熱を移す板状のペルチェ素子を用いた冷却被服が考案されている。ペルチェ素子による排熱は、高温化する面にヒートシンクを設置してその熱を被服本体の外へ逃がすことによって行われる。この冷却被服の構造は、以下の先行文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-25052号
【0004】
上記特許文献1には、衣服部(被服本体)2の内側にアルコール等の熱媒体6を封入する熱媒体収容袋5を設け、ペルチェ素子1を熱媒体収容袋5に取り付けて、熱媒体6を介して、装着者の表面を冷却する構造が開示されている。
【0005】
そして、同特許文献1の装置においては、ペルチェ素子1により熱媒体5を冷却する際に発する熱は、ベスト(被服本体)2の外側に配置された伝熱部材(ヒートシンク)6に伝わり、この伝熱部材6にファン23で風を送ることで、排熱する構造となっている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示される構造では、ファンや伝熱部材(ヒートシンク)を被服本体の外側に設置するため、外に張り出したこれら部材が邪魔になって、身体の自由な動きを妨げるという問題があった。
【0007】
また、これに代えて、従来の冷却被服と同じように、被覆本体に排気口を開口して、被覆本体内にファンを設置することも考えられるが、ペルチェ素子を使った冷却方法では、せっかくペルチェ素子により冷却された被服本体内の空気を排気してしまうことになってしまうという問題もあった。
【0008】
すなわち、かかる従来技術においては、ペルチェ素子によって移動する熱を被服外側に設置した装置で逃がすが、ヒートシンクやファンを有する装置が外側に張り出してしまうため目立ち、被服のデザイン上、望ましくないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、ペルチェ素子により冷却する冷却ユニットを被服本体の内側に配置しながら、ヒートシンクに集められたペルチェ素子からの熱を被服本体の外に排熱し、被服本体内に熱が籠ることを防止することができる冷却被服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の代表的なペルチェ素子を用いた冷却被服は、被服本体と、前記被服本体の内側に配置されるマウントと、ペルチェ素子の冷却面を装着者の身体側に向けるように前記マウントに取り付ける冷却ユニットとを有し、前記冷却ユニットはケーシング内に前記ペルチェ素子の加熱面に接するヒートシンクと、前記ヒートシンクと対向して配置され、前記ヒートシンクの表面に気流を流すためのファンが配置されるとともに、前記ケーシングには前記ファンの回転平面方向に空気を流入させる給気口と、前記ファンの回転平面に交差する方向に前記ケーシングの外側へ排出する排気口が形成され、前記マウントには、前記冷却ユニットの前記排気口と連結する開口が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
被服本体の内側のマウントにより、被服本体に取り付けられる冷却ユニットにより、被服本体の外側に突出することなく、冷却ユニットを取り付けることができる。また、ファンの回転面方向、すなわち装着者の身体の表面に沿って給気口から流れ込む空気はヒートシンクに当たって、この熱を奪った後、ファンの回転方向と交差する方向にマウントの開口を通して被服本体の外へ排出される。このため、ペルチェ素子の加熱面に生じた熱が被服内側に籠り、ペルチェ素子の冷却面に還元するように熱が循環してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る冷却ユニットを有するベストの正面図である。
図2】同実施形態に係るベストの背面図である。
図3】同実施形態に係る冷却ユニットとベストのマウントとの係合状態を示す、図1におけるx-x線における断面図である。
図4】(a)は同冷却ユニットの正面図、(b)は同冷却ユニットの背面図、(c)は同冷却ユニットの側面図である。
図5】(a)は同マウントの正面図、(b)は同マウントの背面図である。
図6】(a)乃至(f)は、同実施形態に係る冷却ユニットとベストのマウントとの係合方法を示す説明図である。
図7】同冷却ユニットへの電源コネクタの接続構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
図1乃至図7を用いて、本発明の第1実施形態に関する本発明の冷却ユニット2を有するベスト1を具体的に説明する。
【0014】
図1及び図2に示すように、ベスト1は、通気性を有する生地(例えば、メッシュ、ジャガード、トリコット等)によって縫製された被服であり、3つの冷却ユニット2をベスト1の後身頃1Aの生地裏1Aa(被服の内側)に取り付けたマウント3に装着することで取り付けている。
【0015】
なお、本実施形態においては、後述するように、マウント3は冷却ユニット2の係合枠2bを篏合する係合開口となる円孔3bを有しているが、被服内に外から空気を取り入れる従来の被服の冷却ユニットと異なり、ベスト1(被服)に孔を開けていない。このため、図2に示すように、冷却ユニット2とマウント3はベスト1の後身頃1Aの生地表1Ab(被服の外側)に露出せず、外観に現れることはない。
【0016】
ベスト1の生地裏1Aには図示しないポケットにバッテリー4が保持されており、3つの冷却ユニット2のそれぞれには分電器5aで分岐した電源コード5が接続されており、先端のコネクタ6を挿入することで、後述するペルチェ素子24とファン26にバッテリー4から電力が供給される。
【0017】
ベスト1は前開服であって、前身頃1Bは開いた左右の身頃の縁に複数のフック11aを取り付けており、このフック11aに伸縮性のレース紐11bを千鳥状に架け渡している。後述するように、冷却ユニット2は装着者の身体に近接させて冷却するため、レース紐11bを締め付けることで、冷却ユニット2を身体に密着させることができる。
【0018】
図3乃至図5を用いて、冷却ユニット2とマウント3の構造をより詳しく説明する。図3は冷却ユニット3をマウント3に装着した状態を図示したものであり、図4は冷却ユニット2の、図5はマウント3を説明する図面である。
【0019】
図2及び図3に示すように、冷却ユニット2は全体として高さの低い短い円筒形状を有し、第1ケーシング21と、この第1ケーシング21の天面にはめ込まれる冷却板22と、第2ケーシング23とを有し、第1ケーシング21と第2ケーシング23の間には、ペルチェ素子板24、ヒートシンク25、ファン26を収納している。
【0020】
第1ケーシング21は、そのお椀型のケーシング本体1aの周側面に、冷却ファン2の外側から空気を内部に取り入れるスリット状の給気口21bが形成される。また、冷却板22は導電性の高いアルミ等の金属板であり、冷却ユニット2をマウント3に取り付けると、冷却板22の表面22Aはベスト1の装着者の身体X側に対向する。また、第1ケーシング21の一端には電源コード5のコネクタ5bを差し込む、ソケット部21eが形成されており、上述したこのソケット部21eを介してバッテリー4から後述するペルチェ素子24及びファン26に電力が供給される。
【0021】
冷却板22の裏面22Bには平板状のペルチェ素子24が配置され、その第1面(冷却面)24Aと冷却板22の裏面22Bとは面で接している。また、ペルチェ素子24の第1面24Aの反対面、すなわち第2面(加熱面)24Bには、複数の突起25aとその間の通風空間24bとを有するヒートシンク25が配置され、その底面25cとペルチェ素子24の第2面24が面で接している。また、ヒートシンク25の側面は、第1ケーシング21の給気口21bと対向しており、ここから取り入れられる冷却ユニット2外側の空気がヒートシンク25の表面に当たりやすいように位置決めされている。
【0022】
第2ケーシング23は第1ケーシング21と同様にお椀型の本体23aを有し、その底面に所定高さ(数ミリ)を有する円形スリーブ状の係合円枠23bが形成されている。また、この係合円枠23bの外周面からは、120度の角度を置いて3つのスライド突起23cが突出するように形成されている。さらに、係合円枠23bの内側にはハニカム状格子付きの排気口23dが開口している。
【0023】
第2ケーシング23の内側には、ファン26が配置されており、ファン26は図示しないアームによりその駆動部26aが第2ケーシング23の本体23aに固定されており、ブレード26bはこの駆動部26aにより回転する。また、第1ケーシング21と第2ケーシング23とを篏合させることで、冷却ユニット2のケーシングを構成し、ファン26は第1ケーシング21に固定されているヒートシンク25と対向することとなる。
【0024】
すなわち、ファン26を駆動すると、冷却ユニット2外の空気は、給気口21bから冷却ユニット2内にファン26の回転平面Rと平行方向(回転面方向)D1に流れ込み、その空気はヒートシンク25の表面を通過したあと、同回転平面Rと交差する方向(ファン26の回転軸方向)D2に方向転換されて排気口23dから冷却ユニット2外へ排気される。
【0025】
図2及び図4に示すように、マウント3は、所定厚みを有する合成皮革製の円環状の本体3aを有し、2本の同心円状の環状溝3c(3c1、3c2)が形成されて、この部位においてはその厚みはマウント3の該所定厚みより薄くなっている。そして、本体3aの中央、環状溝3cの内側には、冷却ユニット2の環状の係合円枠23bの外径と同じ寸法を有する、開口たる円孔3bが形成されている。
【0026】
また、マウント3は、冷却ユニット2の3つのスライド突起23cを嵌め込み可能な、3つの係合凹部3eが、円孔3bから外側に張り出すように形成されている。また、これら係合凹部3d間はマウント3の本体3aが円孔3b側に張り出す張出部3fとなっており、その裏面は後身頃1Aの生地裏1Aaに固定されない係止隙間3f1が形成される。また、張出部3fの裏面には、この係止隙間3f1に隣接して回動ストッパ3gがそれぞれの張出部3f間に形成されている。
【0027】
マウント3は、厚みが薄くなった環状溝3cの内側を、この溝3cをガイドとしてステッチ3dで縫製することで、ベスト1の後身頃1Aの所定位置に固定する。このため、図4(a)に示すように、後身頃1Aの生地裏1Aaから見ると、円孔3bからはベスト1の後身頃1Aが露出することになり、この部分に排気生地領域Eが形成される。
【0028】
また、図4(b)に示すように、後身頃1Aの生地表1Abから見ると、生地は通気性を有するものの、冷却ユニット2及びマウント3を覆い、外からこれらが観察されることはない。同図に示すように、マウント3をベスト1に固定する二重の環状ステッチ3dが現れるのみである。
【0029】
ここで、冷却ユニット2及びマウント3の作用効果を説明する。第3図に示すように、ペルチェ素子24は、通電されると第1面24Aの熱を第2面24Bに移動させる。すなわち、第1面24Aは冷却され、第2面24Bへ熱が移動して温度が上昇する。そして、ペルチェ素子24の第1面24Aの低温状態は冷却板22を通じてベスト1の装着者の身体Xに接触して、これを冷やす。
【0030】
一方、ペルチェ素子24の第2面24Bの熱はヒートシンク25に伝達される。そして、ファン26を回転させると、第1ケーシング21の給気口21bからファン26の回転平面Rと平行な方向(回転面方向)D1に流れ込む。すなわち、この方向D1は、ベスト1の装着者の身体Xの表面やベスト1の生地に沿った方向であり、冷却ユニット2の冷却板22を身体Xに密着させても、これらに妨げられることなく、冷却ユニット2の外側の空気を円滑に冷却ユニット2内に流し込ませることができる。そして、この空気はヒートシンク25の通風空間25bを通過してヒートシンク25表面の熱を奪う。
【0031】
そして、この熱を帯びた空気は、ファン26によりファン26の回転平面Rに交差する方向D2(本実施形態ではファン26の回転軸方向であり、ファン26の回転面に直行する方向)に吸引され、同方向D2に第2ケーシング23の排気口23dから排気される。そして、この空気はマウント3の円孔3bに露出するベスト1の排気生地領域Eを通過してベスト1の外側に排出されることとなる。
【0032】
次に、図6を用いて、本実施形態にかかる冷却ユニット2とマウント3との係合方法について説明する(なお、同図において第1ケーシング21の周側面に開口する給気口21bは省略して描いている)。まず、同図(a)(b)に示すように、ベスト1に縫製されて固定されているマウント3の円孔3bに冷却ユニット2の係合円枠23bを嵌め込むように取り付ける。
【0033】
このとき、同図(c)(d)に示すように、冷却ユニット2の3つのスライド突起23cを、それぞれマウント3の円孔3bの3つの係合凹部3dに位置決めするように嵌め込み作業を行う。
【0034】
そして、同図(e)(f)に示すように、冷却ユニット2をマウント3に対して右方向に回転させて、冷却ユニット2のスライド突起23cをマウント3の張出部3f側に円孔3bの縁をガイドとして摺動させる。そして、スライド突起23cを張出部3fの裏面のスライドポケット3f1に差し込むことで、冷却ユニット3はマウント3に対して固定される。
【0035】
反対に装着者がベスト1の洗濯等のために、冷却ユニット2をベスト1から取り外す場合、スライド突起23cが係合凹部3dから露出するまで、冷却ユニット2を反対方向の左方向に回転させることで、簡単に冷却ユニット2をマウント3から外すことができる。
【0036】
なお、スライド突起23cを回動させると回動ストッパ3gに当接して冷却ユニット2の回転が規制されるため、所定角度で冷却ユニット2とマウント3とが係合状態となる。このとき係合状態は、冷却ユニット2のソケット21eが所定の方向を向くように設定される。具体的には、図1に示すように、コード5を連結するそれぞれの冷却ユニット2のソケット部21eが真下を向くように、スライド突起23cと係合凹部3eの位置は調整されている。
【0037】
以上のように、本実施形態のベスト1では、冷却ユニット2がベスト1の内側に配置され、かつ、冷却ユニット2からの排熱のための孔が開口することがないため、外側から、冷却ユニット2が目立つことははく、デザイン性に優れたベスト1を提供することができる。
【0038】
また、円環状のマウント3の円孔3の内側の排気生地領域Eから熱をもった空気が排気されるために、ベスト1の生地を切り抜いて開口する必要がない。このため、開口部に冷却ファンを取り付けていた従来の冷却被服のように、開口作業やその縁取の補強作業が必要なく、縫製作業を簡単に行うことができるという効果を有する。
【0039】
また、冷却ユニット2とマウント3との係合を、それぞれ円形の係合円枠23bと円孔3bとを用いて行っているため、両者間で相対的な回転を可能とする。そのため、スライド突起23cとスライドポケット3f1とによる係合機構を可能歳によって、冷却ユニット2を回転させるだけでその着脱を簡単に行うことができるという効果を有する。
【0040】
図7を用いて、電源コード5の先端に取り付けられたコネクタ6と冷却ファン2との連結構造について説明する。
【0041】
同図に示すように、コネクタ6は軸状の本体6aとそれより小径の導電軸6bとからなり、本体6aの外周部には外側に突出する係合突起6cが形成されている。
【0042】
一方、冷却ユニット2のソケット部21eには、コネクタ6の導電軸6bを挿入するための導電口21fが開口しており、冷却ユニット2の周側面にコネクタ6を差し込むことで、電源ケーブル5を介してバッテリー4からの電力を供給する。
【0043】
ソケット部21eの上端にはコネクタ6の本体6Aの周側面を面接するガイド部21e1を有しており、さらにガイド部21e1と導電口21fとの間には横方向に開いた係合切り欠き21e2が形成され、ガイド部21e1はフック形状を有することになる。
【0044】
そして、コネクタ6の導電軸6bを導電口21fに差し込んだうえで導電軸6bを回転軸として捩じる。この状態にあっては、コネクタの係合突起6cがソケット部21の係合切り欠き21e2に挿入されて、導電軸6bが軸方向に引張られてもコネクタ6は抜けないこととなる。
【0045】
冷却ユニット2への電源供給のため電源コード5がベスト1(被服)内で取り回される冷却被服にあっては、かかるコネクタ6とソケット部21eの係合構造によれば、装着者の動きによって電源コード5が引っ張られ、意図せず、そのコネクタ6が冷却ユニット2のソケット部21eから外れてしまうことを防止することができる。
【0046】
[他のバリエーション]
以上、本願発明の代表的な冷却被服の実施形態を説明したが、本願発明はこの実施形態に限られず、多様なバリエーションを選択することができる。
【0047】
本実施形態ではマウント3の円孔3bの内側のベスト1は開口せず排気生地領域Eとしたが、この部分の生地を切り取って開口し、冷却ユニット2の排気口23dをベスト1の外側に露出させてもよい。
【0048】
また、本実施形態では冷却ユニット2とマウント3とを係合させる係合枠23bを冷却ユニット2側に形成したが、マウント3の円孔3bを囲むように形成し、この係合枠を冷却ユニット2の排気口23dに篏合する構造としてもよい。また、同様にスライド突起とスライドポケットの形成部材を、冷却ユニット2とマウント3で逆にしてもよいことはもちろんである。
【0049】
また、本実施形態ではスライド突起23cとスライドポケット3f1の数を3対としたが、この数は任意に設計することができ、2対でもよく、また4対でもよい。
【0050】
また、本実施形態では冷却ユニット2の係合円枠23bとマウント3の円孔3bとによって、両者の篏合を行ったが、この篏合部分の形状はこれに限られることなく、四角形状など多様な形状を選択することができる。
【0051】
また、このように冷却ユニット2とマウント3との係合は回転させて行う構成を示したが、この冷却ユニット2とマウント3との係合構造はこれに限られることなく、例えばポケット構造や、面ファスナー、さらに磁石などを使って行ってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…ベスト(冷却被服)
1Aa…生地裏(被服内側)
1Ab…生地表(被服外側)
2…冷却ユニット
21…第1ケーシング(冷却ユニットのケーシング)
21b…給気口
22…冷却プレート
23…第2ケーシング(冷却ユニットのケーシング)
23b…係合円枠(係合枠)
23c…スライド突起
23d…排気口
24…ペルチェ素子
24A…第1面(冷却面)
24B…第2面(加熱面)
25…ヒートシンク
26…ファン
3…マウント
3b…円孔(開口)
3c…(縫製用の)環状溝
3f1…スライドポケット
4…バッテリー
5…電源コード
6…ソケット
R…ファンの回転平面
D1…ファンの回転平面方向(給気方向)
D2…回転平面に交差する方向(排気方向)
E…(被服本体の)排気生地領域
X…ベスト装着者の身体


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7