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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148104
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】研磨装置及び温度制御システム
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/015 20120101AFI20241009BHJP
   B24B 49/14 20060101ALI20241009BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20241009BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241009BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
B24B37/015
B24B49/14
B24B37/10
H01L21/304 622R
H01L21/68 N
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061035
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】523318796
【氏名又は名称】無錫奥特維捷芯科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Wuxi Autowell Jiexin Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.3 Xinhua Road, Xinwu District,Wuxi,Jiangsu,China
(74)【代理人】
【識別番号】100160587
【弁理士】
【氏名又は名称】石村 貴志
(72)【発明者】
【氏名】岸田 文樹
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
3C034AA19
3C034BB92
3C034CA19
3C034CB20
3C034DD20
3C158AA07
3C158AC02
3C158BA08
3C158BC03
3C158CB01
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB02
3C158EB04
3C158ED00
5F057AA20
5F057AA39
5F057BA15
5F057BA21
5F057BB03
5F057BB06
5F057BB09
5F057CA12
5F057DA03
5F057FA45
5F057FA46
5F057GB07
5F057GB40
5F131AA02
5F131BA43
5F131CA02
5F131EA05
5F131EB02
5F131EB78
5F131EB81
(57)【要約】
【課題】装置の複雑化とコストの増加を抑えつつウェーハ面内温度の均一化を図れる研磨装置及びCMPプロセス中のポリッシングプレートの研磨面やウェーハ面の面内温度の均一化を図ることのできるCMPプロセス温度制御システムを提供する。
【解決手段】円盤状の冷却対象物を冷却するための冷却媒体循環用プレートにおいて、冷却対象物の中央領域と周辺領域ごとに冷却媒体を循環させる経路を分離する。また冷却対象の領域の面積に対する、経路に流れる冷却媒体が冷却媒体循環プレートへ接触する面積の比率を、周辺領域に対応する経路の方を中央領域に対応する経路よりも大きくする。またウェーハ研磨中に冷却対象物の温度をモニターし、温度モニター情報に基づき、冷却対象物の面内の温度ばらつきを均一化させるよう温度を制御する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状の冷却対象物を冷却するための冷却媒体循環用プレートを備えたウェーハ研磨装置であって、
前記冷却媒体循環用プレートは、
前記冷却対象物の中央領域に対応し、前記中央領域を冷却するための冷却媒体を循環させる第1の経路が形成された円盤状の第1の部分と
前記冷却対象物の周辺領域に対応し、前記周辺領域を冷却するための冷却媒体を循環させる第2の経路が形成された円環状の第2の部分を備え、
前記第1の経路と前記第2の経路は分離されていることを特徴とするウェーハ研磨装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウェーハ研磨装置であって、
前記第2の経路は複数の分離された経路で構成されることを特徴とするウェーハ研磨装置。
【請求項3】
請求項1乃至2に記載のウェーハ研磨装置であって、
前記周辺領域の面積に対する、前記第2の経路に流れる冷却媒体が前記冷却媒体循環用プレートへ接触する面積の比率が、前記中央領域の面積に対する、前記第1の経路に流れる冷却媒体が前記冷却媒体循環用プレートへ接触する面積の比率よりも大きいことを特徴とするウェーハ研磨装置。
【請求項4】
請求項1乃至2に記載のウェーハ研磨装置であって、前記第1の経路及び前記第2の経路のそれぞれに対して、独立した冷却媒体循環装置を用いて冷却媒体を循環させることを特徴とする研磨装置。
【請求項5】
請求項3に記載のウェーハ研磨装置であって、前記第1の経路及び前記第2の経路に対して、共通の冷却媒体循環装置を用いて冷却媒体を循環させることを特徴とするウェーハ研磨装置。
【請求項6】
請求項1に記載のウェーハ研磨装置と、
ウェーハ研磨中に前記冷却対象物の温度をモニターする温度モニターと、
前記温度モニターから出力される温度モニター情報に基づき、前記冷却対象物の面内の温度ばらつきを均一化させるように、前記ウェーハ研磨装置を制御する制御ユニットを備える、温度制御システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCMP加工を行う研磨装置及びそれを用いたCMPプロセス温度制御システムに関する。特に半導体ウェーハ等を研磨対象物とする研磨装置であって冷却媒体循環用プレートを備えた研磨装置及びそれを用いたCMPプロセス温度制御システムに関する。
【0002】
シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムナイトライド(GaN)などの各種半導体ウェーハ表面にトランジスタ等の素子構造や配線構造を形成する際、露光装置を使用してウェーハ上に素子構造や配線構造の領域を定めるパターンを転写する。
【0003】
この際、ウェーハ表面が平坦でないとパターンの転写が正確に行われず、最終的に形成された素子構造や配線構造に異常が生じる。そのためウェーハ表面の平坦化を実現するためにCMP(化学的機械研磨)装置が使用されている。
【0004】
また半導体デバイスの製造工程においてウェーハ表面上にトランジスタ素子や配線等の構造が積層されることがあるが、この積層構造を形成する過程においてもCMP加工による研磨プロセスが実施される。
【0005】
CMP装置を用いてCMP加工を行う場合、研磨パッドに研磨剤(CMPスラリー)を含浸させ、ウェーハが保持された研磨ヘッドをポリッシングプレートに押し付け、研磨ヘッドとポリッシングプレートをそれぞれ回転させながら互いに摺動させる。これにより機械研磨の効果と研磨剤(CMPスラリー)による化学反応の双方を利用してウェーハ表面の平坦化を実現する。
【0006】
一方でCMP装置による研磨中、ウェーハとポリッシングプレートの摩擦により熱が発生する。ウェーハとポリッシングプレートは共に円盤状であり、それぞれの中心を軸に回転する。よって研磨時、ウェーハとポリッシングプレートの面内では径方向外側に向かうにつれて速さが大きくなり、大きな摩擦熱が発生する。
【0007】
これに対して従来から研磨による発熱を抑えるために、ポリッシングプレートの裏面に冷却水を流すことで摩擦熱によるウェーハやポリッシングプレートの温度上昇を防ぐことが行われてきた。
【0008】
しかしながらウェーハとポリッシングプレートの間の摩擦力は研磨中に様々な要因で変動する。例えばその要因の一つとして研磨ヘッド及び研磨ヘッドに固定されたウェーハとポリッシングプレートとは直径が異なり、CMP動作時にウェーハとポリッシングプレートの相対速度が常に変動していることなどがある。そのため研磨加工中のウェーハやポリッシングプレートの面内の温度を均一にすることは困難であった。そしてウェーハやポリッシングプレートの面内の温度の不均一はウェーハ表面の平坦度の悪化の大きな要因であった。
【0009】
このような課題を解決するために、例えば特許文献1では、ポリッシングプレートの領域を、ウェーハの中央部に対応する領域と、ウェーハの周辺部に対応する領域に分け、両領域を別々の温度に制御する研磨装置が開示されている。
【0010】
具体的にはポリッシングプレートの研磨面と反対側の面に設けられたベースプレート内において、ウェーハ中央部に対応する領域には20℃の高温冷却水を流通させるとともに、ウェーハの周辺部に対応する領域には4℃の低温冷却水を流通させ、ウェーハ周辺部をウェーハ中央部よりも低い温度の冷却水で冷却することによりウェーハ面内の温度を均一化させる研磨装置が開示されている。
【0011】
また特許文献2では、CMPプロセス中のウェーハ等の温度をモニターし、その温度に基づいた信号に従ってCMPプロセス中のポリッシングプレートの温度を制御するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002-373875号公報
【特許文献2】特許第7014908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1においては、ウェーハ中央部に対応する領域およびウェーハの周辺部に対応する領域にそれぞれ所定の温度の冷却水を流通させることについては開示されているものの、ウェーハやポリッシングプレートの面内の経時的な温度の変動に応じて冷却水の温度を制御することについては開示が無い。
【0014】
また特許文献1に開示の発明においては、高温冷却水と低温冷却水の2系統の冷却水を給水装置から、ポリッシングプレートの回転軸を経由してベースプレートに供給し、また給水装置に循環させる必要があり、温度の異なる2種類の冷却水を循環させるために2系統の冷却水の循環路を研磨装置内に設けなければならず、装置の複雑化と製造コスト増大を招く。
【0015】
また特許文献2においては、CMPプロセス中のウェーハ等の温度をモニターし、その温度に基づいた信号に従ってCMPプロセス中のポリッシングプレートの温度を制御するシステムは開示されているものの、ポリッシングプレートの面内の温度ばらつきに応じて領域ごとに温度を制御することについての開示は無い。
【0016】
本発明は上記事情に鑑み、CMPプロセス中、ポリッシングプレートの研磨面やウェーハ面の経時的な温度変動を抑えるとともに、これらの面内における温度のばらつきを抑え、面内温度の均一化を図ることのできる研磨装置及びそれを用いたCMPプロセス温度制御システムを提供する。また更には冷却媒体循環装置から研磨装置への冷却媒体循環通路の複雑化と装置製造コストの増加を抑え、かつ、ウェーハ面内温度の均一化を図れる研磨装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係るウェーハ研磨装置は、
円盤状の冷却対象物を冷却するための冷却媒体循環用プレートを備えたウェーハ研磨装置であって、
前記冷却媒体循環用プレートは、
前記冷却対象物の中央領域に対応し、前記中央領域を冷却するための冷却媒体を循環させる第1の経路が形成された円盤状の第1の部分と
前記冷却対象物の周辺領域に対応し、前記周辺領域を冷却するための冷却媒体を循環させる第2の経路が形成された円環状の第2の部分を備え、
前記第1の経路と前記第2の経路は分離されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るウェーハ研磨装置は、
前記第2の経路は更に複数の分離された経路で構成されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るウェーハ研磨装置は、
前記周辺領域の面積に対する、前記第2の経路に流れる冷却媒体が前記冷却媒体循環用プレートへ接触する面積の比率が、前記中央領域の面積に対する、前記第1の経路に流れる冷却媒体が前記冷却媒体循環用プレートへ接触する面積の比率よりも大きいことを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るウェーハ研磨装置は、
前記第1の経路及び前記第2の経路のそれぞれに対して、独立した冷却媒体循環装置を用いて冷却媒体を循環させることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係るウェーハ研磨装置は、
前記第1の経路及び前記第2の経路に対して、共通の冷却媒体循環装置を用いて冷却媒体を循環させることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る温度制御システムは、
前記ウェーハ研磨装置と、
ウェーハ研磨中に前記冷却対象物の温度をモニターする温度モニターと、
前記温度モニターから出力される温度モニター情報に基づき、前記冷却対象物の面内の温度ばらつきを均一化させるように、前記ウェーハ研磨装置を制御する制御ユニットを備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、冷却媒体循環装置から研磨装置への冷却媒体循環通路の複雑化と装置製造コストの増加を抑え、かつ、ウェーハ面内温度の均一化を図れる研磨装置を提供できる。またCMPプロセス中、ポリッシングプレートの研磨面やウェーハ面の経時的な温度変動を抑えるとともに、これらの面内における温度のばらつきを抑え、面内温度の均一化を図ることのできる研磨装置及びそれを用いたCMPプロセス温度制御システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態に係る研磨装置を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係る冷却媒体循環用プレートの平面図を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る別の冷却媒体循環用プレートの平面図を示す図である。
図4】本発明の実施の形態に係るCMPプロセス温度制御システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は本発明の実施の形態に係る研磨装置1を示している。研磨装置1は半導体ウェーハのCMP(化学的機械研磨)に用いられる。研磨装置1は研磨ヘッドユニット2及びポリッシングプレートユニット3から構成される。
【0026】
研磨ヘッドユニット2は研磨動作中にウェーハを保持し、ウェーハをポリッシングプレート上の研磨パッドに対して押圧するとともに、ウェーハを回転、更には揺動させるためのユニットである。ポリッシングプレートユニット3はポリッシングプレートを回転させることによりポリッシングプレート上の研磨パッドでウェーハを研磨するためのユニットである。
【0027】
まず研磨ヘッドユニット2の詳細について説明する。研磨ヘッドユニット2は、研磨ヘッド10、ウェーハ保持部11、リテーナーリング12、ウェーハを冷却するための第1の冷却媒体循環用プレート13から構成される。
【0028】
研磨ヘッド10は研磨ヘッドユニット2の本体となる部分である。研磨ヘッド10はその上部において研磨ヘッド回転用スピンドルを備える。研磨ヘッド回転用スピンドル内部には研磨ヘッド10を回転させるための駆動軸を備え、駆動軸はモータによって駆動される。
【0029】
研磨ヘッドユニット2の下方部にはウェーハを保持するための機構であるウェーハ保持部11が備えられている。ウェーハ保持部11にはウェーハを保持するための部材として例えばガラスプレートやパッキングパッドが用いられる。
【0030】
ウェーハ保持部11にガラスプレートが用いられる場合は、ワックス等の接着剤をウェーハの研磨面の反対側に塗布し、ガラスプレートに張り付けてウェーハを保持する。パッキングパッドを用いる場合はワックスを用いること無く、ウェーハをパッキングパッドに吸着させて保持する。
【0031】
ウェーハ保持部11はさらに、ガラスプレート又はパッキングパッドの上側に可撓性を有する部材、例えばメンブレンを備える。これにより研磨ヘッド10内部のチャンバによって加えられた圧力を吸収し、調整することができる。
【0032】
ウェーハ保持部11の下面のウェーハの周囲位置には環状のリテーナーリング12が備えられる。リテーナーリング12は研磨対象物であるウェーハの周囲を取り囲んで保持する。
【0033】
研磨ヘッド10とウェーハ保持部11の間には、ウェーハを冷却するために第1の冷却媒体循環用プレート13が設けられている。第1の冷却媒体循環用プレート13は、その内部に冷却媒体を循環させるための複数の経路を構成する構造を有する。冷却媒体は外部の冷却媒体循環装置によって循環させられる。冷却媒体は例えば水であるがその他の液体でも良い。冷却媒体循環用プレート13の構造については後述する。また研磨ヘッド内部には第1の冷却媒体循環用プレート13と冷却媒体循環装置との間をつなぎ、冷却媒体を循環させるための通路(例えばロータリージョイント等)が設けられる。
【0034】
次にポリッシングプレートユニット3の詳細について説明する。ポリッシングプレートユニット3は、ポリッシングプレート14、ポリッシングプレート14を冷却するための第2の冷却媒体循環用プレート15、ポリッシングプレート回転用スピンドル16から構成される。
【0035】
ポリッシングプレート14は、研磨ヘッド10によって押圧されたウェーハを研磨するための円盤状の定盤である。ポリッシングプレート14の上面、すなわちウェーハを研磨する面には研磨パッドが取り付けられる。研磨パッドには例えば、ポリウレタンパッド、不織布系パッド、スウェード系パッドなどが用いられる。
【0036】
ポリッシングプレート14の下面、すなわち研磨パッドとは反対側の面側にはポリッシングプレート14を冷却するための第2の冷却媒体循環用プレート15が設けられる。第2の冷却媒体循環用プレート15は、その内部に冷却媒体を循環させるための複数の経路を構成する構造を有する。冷却媒体は冷却媒体循環装置から供給される。冷却媒体は例えば水であるがその他の液体でも良い。第2の冷却媒体循環用プレート115の構造については後述する。
【0037】
ポリッシングプレート14及び第2の冷却媒体循環用プレート15はポリッシングプレート回転用スピンドルユニット16によって支持されている。ポリッシングプレート回転用スピンドルユニット16は内部にポリッシングプレート14及び第2の冷却媒体循環用プレート15を回転させるための駆動軸を備え、駆動軸はモータによって駆動される。ポリッシングプレート回転用スピンドルユニット16内部には第2の冷却媒体循環用プレート15と冷却媒体供給装置との間で冷却媒体を循環させるための通路(例えばロータリージョイント等)が設けられる。
【0038】
なお、本発明の実施の形態では研磨ヘッドユニット2とポリッシングプレートユニット3のいずれにも冷却媒体循環用プレートを備えた研磨装置1を示しているが、本発明に係る研磨装置は、研磨ヘッドユニット2とポリッシングプレートユニット3のいずれか一方のみに冷却媒体循環用プレートを含む構成であっても良い。すなわち本発明に係る研磨装置は円盤状の冷却対象物を冷却するための冷却媒体循環用プレートを少なくとも1つ備えていれば良い。
【0039】
図2は本発明の実施の形態の第1の冷却媒体循環用プレート13及び第2の冷却媒体循環用プレート15の平面図を示している。本発明の実施の形態に係る冷却媒体循環用プレート13及び15は、円盤状の冷却対象物(ウェーハ又はポリッシングプレート)の中央領域に対応する円盤状の第1の部分21と周辺領域に対応する円環状の第2の部分22を有する。
【0040】
図2において、第1の部分21は一点鎖線23の中で囲まれた部分であり、第2の部分22は一点鎖線23と一点鎖線24の間の部分である。第1の部分21には冷却対象物の中央領域を冷却するための冷却媒体を循環させる第1の経路201が、第2の部分22には冷却対象物の周辺領域を冷却するための冷却媒体を循環させる第2の経路202が設けられる。第1の経路201と第2の経路202は分離されており、これらに流れる冷却媒体は合流しない。
【0041】
第1の経路201は内側円環経路241、外側円環経路242と、これら2つの円環経路を連結する径方向に延びた複数の経路から構成される。また第1の経路201には冷却媒体が注入される注入口243と、冷却媒体が排出される排出口244が設けられている。
【0042】
図2に示す冷却媒体循環用プレートには第1の経路201上に注入口及び排出口がそれぞれ1つ設けられているが、それぞれ任意の個数設けても良い。また設置個所も第1の経路201の任意の箇所であって良い。なお注入口及び排出口をそれぞれ複数設ける場合、第1の経路201上に均等な間隔で配置することで、より均一な温度分布を達成しやすくなる。また注入口を内側円環経路241上に配置することで遠心力を利用して冷却媒体の流れを速くすることができ、より冷却効率を高めることができる。
【0043】
第2の経路202は、径方向に並んだ複数の同心円251に沿った複数の経路と、それら同心円251上の複数の経路の間を連結する径方向に延びた複数の経路から構成されている。また第2の経路201には、冷却媒体が注入される注入口253と、冷却媒体を排出するための排出口254が設けられている。冷却媒体循環用プレートが回転すると冷却媒体に対して径方向外側に向かって遠心力がかかるが、同心円251に沿った複数の経路がストッパとなり冷却媒体が径方向外側にすぐに移動してしまうのを防止する。冷却媒体は同心円251に沿った経路上を周方向に移動し、その後に径方向に延びた複数の経路に沿って径方向に移動する構造となっている。
【0044】
図2に示す冷却媒体循環用プレートには第2の経路202上に注入口253が2つ、排出口254が4つ設けられているが、それぞれ任意の個数設けても良い。また設置個所も第2の経路202の任意の箇所であって良い。なお注入口253及び排出口254をそれぞれ複数設ける場合、第2の経路202上に均等な間隔で配置することで、より均一な温度分布を達成しやすくなる。また注入口を最も内側の同心円251に沿った経路上に配置することで遠心力を利用して冷却媒体の流れを速くすることができ、より冷却効率を高めることができる。
【0045】
第1の経路201と第2の経路202は分離されている。そのため第1の経路201と第2の経路202に流す冷却媒体の温度や流速等を独立して制御することにより、冷却対象物の中央領域と周辺領域に対する冷却効率を自在に調整することができる。
【0046】
例えば複数の冷却媒体循環装置(例えばチラー水循環装置)を用意し、ポリッシングプレート回転用スピンドルユニット16や研磨ヘッド10の内部に第1の経路201と第2の経路202に対応した独立した複数の冷却媒体循環通路を設け、それぞれに対して独立した冷却媒体循環装置を用いて冷却媒体を循環させることにより実現できる。
【0047】
また本発明における実施の形態に係る第1の冷却媒体循環用プレート13及び第2の冷却媒体循環用プレート15に関して、冷却対象物の周辺領域の面積に対する、第2の経路202に流れる冷却媒体が冷却媒体循環用プレートへ接触する面積の比率が、冷却対象物の中央領域の面積に対する、第1の経路201に流れる冷却媒体が冷却媒体循環用プレートへ接触する面積の比率よりも大きくなるような構造としても良い。
【0048】
すなわち、冷却対象物の中央領域と周辺領域の面積をそれぞれSA1とSA2とし、第1の経路201と第2の経路202に流れる冷却媒体が冷却媒体循環用プレートへ接触する面積をそれぞれSB1とSB2としたときSB2/SA2がSB1/SA1より大きくなるような構造とする。
【0049】
また第1の経路201および第2の経路202の冷却媒体循環用プレートの厚さ方向の断面の形状が全経路上同一であれば、第1の経路201の長さをL1、第2の経路202の長さをL2とした場合に、L2/SA2がL1/SA1より大きくなるような構造としても良い。
【0050】
冷却媒体は外部に接触する面積が多いほど外部からより効率的に熱を吸収する。従って、冷却対象物の周辺領域の面積に対する、第2の経路202に流れる冷却媒体が冷却媒体循環用プレートへ接触する面積の比率を、冷却対象物の中央領域の面積に対する、第1の経路201に流れる冷却媒体が冷却媒体循環用プレートへ接触する面積の比率よりも大きくなるような構造とすることで、1つの冷却媒体循環装置から第1の経路201と第2の経路202に共通の冷却媒体を供給した場合であっても、第1の経路201と第2の経路202に流す冷却媒体の温度や流速等を個別に制御することなく冷却対象物の周辺領域をより効率的に冷却することができる。
【0051】
これにより冷却媒体循環通路の複雑化を抑え、装置の製造コストの増加を抑えた簡便な構成で、かつ、ウェーハ面内温度の均一化を図れる態様で冷却媒体を供給する研磨装置を提供することができる。
【0052】
なお図2に示す冷却媒体循環用プレートは熱膨張係数の少ないセラミックス材を用い、ポリッシングプレートの直下に配置しても良い。これにより熱による形状変化を抑えることができるため、より精度の高い平坦化を実現できる。
【0053】
また第1の部分21と第2の部分22を別体として形成し、これらを組み合わせたものを用いても良い。また第1の部分21と第2の部分22でそれぞれ別のセラミックス材を用いても良い。第2の部分22に対してより高い熱伝導係数を持つセラミックス材を用いることで、冷却対象物の周辺領域をより効率的に冷却することができる。またセラミックス材に限らず、第2の部分22に対してより高い熱伝導係数を持つ材料を用いることで同様の効果を得ることができる。
【0054】
また更に本発明の実施の形態における第1の冷却媒体循環用プレート13及び第2の冷却媒体循環用プレート15は図3に示す構造であっても良い。
【0055】
図3に示す構造の第1の冷却媒体循環用プレート13及び第2の冷却媒体循環用プレート15は、円盤状の冷却対象物(ウェーハ又はポリッシングプレート)の中央領域に対応する円盤状の第1の部分31と、周辺領域に対応する円環状の第2の部分32を有する。また第2の部分32は、第3の部分323、第4の部分324、第5の部分325からなる。
【0056】
図3において、第1の部分31は一点鎖線34の中で囲まれた部分であり、第2の部分32は一点鎖線34と一点鎖線35の間の部分である。第3の部分323、第4の部分324、第5の部分325は、一点鎖線34と一点鎖線35の間の部分を部分円環状に3分割した部分のそれぞれである。第3の部分323と第4の部分324の境界を一点鎖線36で、第4の部分324と第5の部分325の境界を一点鎖線37で、第5の部分325と第3の部分323の境界を一点鎖線38でそれぞれ示す。
【0057】
第1の部分31には冷却対象物の中央領域を冷却するための冷却媒体を循環させる第1の経路301が、第2の部分32には冷却対象物の周辺領域を冷却するための冷却媒体を循環させる第2の経路302が設けられる。第1の経路301と前記第2の経路302は分離されており、これらに流れる冷却媒体は合流しない。第2の経路302は更に複数の分離された経路で構成される。具体的には第2の経路302は、第3の部分323に設けられた第3の経路333、第4の部分324設けられた第4の経路334、第5の部分325に設けられた第5の経路335からなる。なお図3では円環状の第2の部分32は部分円環状の3つの部分に分けられ、第2の経路302はその部分円環状の部分ごとに3つ経路に分割されているが、分割される部分円環、及び経路の数は2以上であればよく、3つに限られるものではない。
【0058】
第1の経路301は同心円状の3つの円環経路341と、これら円環経路を連結する径方向に延びた2つの経路から構成される。また第1の経路301には、冷却媒体が注入される注入口343と、冷却媒体を排出するための排出口344が設けられている。
【0059】
図3に示す冷却媒体循環用プレートには第1の経路301上に注入口及び排出口がそれぞれ1つ設けられているが、それぞれ任意の個数設けても良い。また設置個所も第1の経路301の任意の箇所であって良い。なお注入口及び排出口をそれぞれ複数設ける場合、第3の経路301上に均等な間隔で配置することで、より均一な温度分布を達成しやすくなる。また注入口を内側の円環経路上に配置することで遠心力を利用して冷却媒体の流れを速くすることができ、より冷却効率を高めることができる。
【0060】
第2の経路302を構成する第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335は、いずれも径方向に並んだ複数の同心円351に沿った複数の経路と、それら同心円351上の複数の経路の間を連結する径方向に延びた複数の経路から構成されている。第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335に流れる冷却媒体は他のいずれの経路に流れる冷却媒体と経路上で合流しない。つまり第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335は分離されている。また第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335のそれぞれに対して冷却媒体を注入するための注入口353と、冷却媒体を排出するための排出口354が設けられる。冷却媒体循環用プレートが回転すると冷却媒体に対して径方向外側に向かって遠心力がかかるが、同心円351に沿った複数の経路がストッパとなり冷却媒体が径方向外側にすぐに移動してしまうのを防止する。冷却媒体は同心円351に沿った経路上を周方向に移動し、その後に径方向に延びた複数の経路に沿って径方向に移動する構造となっている。
【0061】
図3に示す冷却媒体循環用プレートには第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335上にそれぞれ注入口が1つ、排出口が1つ設けられているが、それぞれ任意の個数設けても良い。また設置個所も第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335上の任意の箇所であって良い。なお注入口及び排出口をそれぞれ複数設ける場合、第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335の経路上に均等な間隔で配置することで、より均一な温度分布を達成しやすくなる。また注入口を内側の円環経路上に配置することで遠心力を利用して冷却媒体の流れを速くすることができ、より冷却効率を高めることができる。
【0062】
第1の経路301、第2の経路302は分離されており、第2の経路302を構成する、第3の経路303、第4の経路304、第5の経路305も分離されているため、第1の経路301、第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335に流す冷却媒体の温度や流速等を独立して制御することでこれらの経路の冷却効率を独立して調整することができる。
【0063】
例えば複数の冷却媒体循環装置(例えばチラー水循環装置)を用意し、ポリッシングプレート回転用スピンドルユニット16や研磨ヘッド10の内部に第1の経路301、第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335に対応した独立した冷却媒体循環通路を設け、それぞれに対して独立した冷却媒体循環装置を用いて冷却媒体を循環させることにより実現できる。
【0064】
すなわち、研磨時、冷却対象物であるウェーハやポリッシングプレートの外周側の温度が高くなる傾向にあるため、第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335に循環させる冷却媒体の温度を第1の経路301に循環させる冷却媒体の温度よりも低く設定することで、温度が高くなる傾向にある冷却対象物の外周側を効率的に冷却することができる。第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335に循環させる冷却媒体の流速を第1の経路301に循環させる冷却媒体の流速よりも速く設定することでも同様に温度が高くなる傾向にある冷却対象物の外周側を効率的に冷却することができる。このことにより、ウェーハ面内の温度分布の均一化が図れ、ウェーハの平坦性の向上に繋がることとなる。
【0065】
また本発明における実施の形態に係る第1の冷却媒体循環用プレート13及び第2の冷却媒体循環用プレート15に関して、冷却対象物の周辺領域の面積に対する、第2の経路302に流れる冷却媒体が冷却媒体循環用プレートへ接触する面積の比率が、冷却対象物の中央領域の面積に対する、第1の経路301に流れる冷却媒体が冷却媒体循環用プレートへ接触する面積の比率よりも大きくなるような構造としても良い。
【0066】
すなわち、冷却対象物の中央領域と周辺領域の面積をそれぞれSA1とSA2とし、第1の経路301と第2の経路302に流れる冷却媒体が冷却媒体循環用プレートへ接触する面積をそれぞれSB1とSB2としたときSB2/SA2がSB1/SA1より大きくなるような構造とする。
【0067】
また第1の経路301および第2の経路302の冷却媒体循環用プレートの厚さ方向の断面の形状が全経路上同一であれば、第1の経路301の長さをL1、第2の経路302の長さをL2とした場合に、L2/SA2がL1/SA1より大きくなるような構造としても良い。
【0068】
また冷却対象物の周辺領域のうち第3の部分323に対応する領域、第4の部分324に対応する領域、第5の部分325に対応する領域の面積に対する、第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335に流れる冷却媒体が冷却媒体循環用プレートへ接触する面積のそれぞれの比率が、第1の領域301の面積に対する第1の経路301に流れる冷却媒体が冷却媒体循環用プレートへ接触する面積の比率よりも大きくなるような構造としても良い。
【0069】
すなわち冷却対象物の周辺領域のうち第3の部分323に対応する領域、第4の部分324に対応する領域、第5の部分325に対応する領域の面積をそれぞれSA3、SA4、SA5とし、第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335を流れる冷却媒体が冷却媒体循環用プレートへ接触する面積をそれぞれSB3、SB4、SB5としたときSB3/SA3、SB4/SA4、SB5/SA5がSB1/SA1より大きくなるような構造とする。
【0070】
また第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335の冷却媒体循環用プレートの厚さ方向の断面の形状が全経路上同一であれば、第3の経路333の長さをL3、第4の経路334の長さをL4、第5の経路335の長さをL5とした場合に、L3/SA3、L4/SA4、L5/SA5がL1/SA1より大きくなるような構造としても良い。
【0071】
冷却媒体は外部に接触する面積が多いほど外部からより効率的に熱を吸収する。従って、冷却対象物の周辺領域のうち第3の部分323に対応する領域、第4の部分324に対応する領域、第5の部分325に対応する領域の面積に対する、第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335に流れる冷却媒体が冷却媒体循環用プレートへ接触する面積のそれぞれの比率が、第1の領域301の面積に対する、第1の経路301に流れる冷却媒体が冷却媒体循環用プレートへ接触する面積の比率よりも大きくなるような構造とすることで、1つの冷却媒体循環装置から第1の経路301、第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335に共通の冷却媒体を供給した場合であっても、第1の経路301、第3の経路333、第4の経路334、第5の経路335に流す冷却媒体の温度や流速等を個別に制御することなく第3の部分323、第4の部分323、第5の部分325に対応する冷却対象物の周辺領域をより効率的に冷却することができる。
【0072】
これにより冷却媒体循環通路の複雑化を抑え、装置の製造コストの増加を抑えた簡便な構成で、かつ、ウェーハ面内温度の均一化を図れる態様で、ポリッシングプレートの裏面又は研磨ヘッドに冷却媒体を供給する研磨装置を提供することができる。
【0073】
なお図3に示す冷却媒体循環用プレートは熱膨張係数の少ないセラミックス材を用い、ポリッシングプレートの直下に配置しても良い。これにより熱による形状変化を抑えることができるため、より精度の高い研磨を実現できる。
【0074】
また第1の部分301と第2の部分302を別体として形成し、これらを組み合わせたものを用いても良い。例えば第1の部分301と、第2の部分302で、別のセラミックス材を用いても良い。第2の部分302に対して、より高い熱伝導係数を持つセラミックス材を用いることで、冷却対象物の周辺領域をより効率的に冷却することができる。またセラミックス材に限らず、第2の部分302に対してより高い熱伝導係数を持つ材料を用いることで同様の効果を得ることができる。
【0075】
図4は本発明の実施の形態における研磨装置を用いたCMPプロセス温度制御システム4を示す。CMPプロセス温度制御システム4は、研磨装置1、冷却媒体循環装置44、制御ユニット48、温度モニター47から構成される。
【0076】
研磨装置1は既に説明した研磨ヘッドユニット2とポリッシングプレートユニット3を備える。駆動軸42はポリッシングプレート回転用スピンドル16の駆動軸でありポリッシングプレート14の回転軸となる。モータ43は駆動軸42を回転駆動させるための動力源である。駆動軸41は研磨ヘッド10の駆動軸であり、研磨ヘッド10の回転軸となる。モータ40は駆動軸41を回転駆動させるための動力源である。
【0077】
冷却媒体循環装置44は第1の冷却媒体循環用プレート13及び第2の冷却媒体循環用プレート15に冷却媒体を循環させるための装置である。冷却媒体循環装置44は1つの装置で、第1の冷却媒体循環用プレート13と第2の冷却媒体循環用プレート15に冷却媒体を循環させてよい。またそれぞれの冷却媒体循環用プレートに対して個別に冷却媒体を循環させるために複数の装置を備えても良い。また冷却媒体循環用プレート内の分離された複数の経路に対して共通の装置によって冷却媒体を循環させても良く、それぞれの経路に対して個別に冷却媒体を循環させるために複数の装置を備えても良い。
【0078】
冷却媒体循環通路46は第1の冷却媒体循環用プレート13と冷却媒体循環装置44の間で冷却媒体を循環させるための通路である。また冷却媒体循環通路45は第2の冷却媒体循環用プレート15と冷却媒体循環装置44の間で冷却媒体を循環させるための通路である。
【0079】
温度モニター47は例えば赤外放射温度計であって、ポリッシングプレートの上方に設置され、CMPプロセス中のポリッシングプレートの研磨面の温度をモニターする。また温度モニターを研磨ヘッドユニット2内に設けてウェーハ面の温度をモニターしても良い。温度のモニターはCMPプロセス中、常時行っても良く、また間欠的に行っても良い。温度モニター47はポリッシングプレートの研磨面又はウェーハ面の面内の温度ばらつきに関する情報である温度モニター情報を制御ユニット46に送信する。
【0080】
制御ユニット48は研磨装置1の制御全般を行う装置であり、モータ40及び43、冷却媒体循環装置44、温度モニター47との間で信号の送受信を行う。例えば、温度モニター47から送られてきたポリッシングプレートの研磨面の面内の温度ばらつきに関する情報に基づき、ポリッシングプレートの研磨面又はウェーハ面の面内の温度ばらつきを均一化させるための信号を冷却媒体循環装置44に送り、冷却媒体の温度や流速を制御する。モータ40及び43に信号を送り、ポリッシングプレートや研磨ヘッドの回線速度を制御しても良い。
【0081】
制御ユニット48はコンピュータハードウェア、またはコンピュータハードウェアとソフトウェアの組合せによって実現することができる。ソフトウェアは所定の処理を実行するためのプログラムとして非一時的な記憶媒体に記憶され、コンピュータハードウェア内のCPUによって実行されても良い。
【0082】
以上により、半導体ウェーハのCMPプロセスの進行に伴って変化する温度変動をより綿密に制御して温度管理を行うことができる。
【符号の説明】
【0083】
1 研磨装置
2 研磨ヘッドユニット
3 ポリッシングプレートユニット
4 CMPプロセス温度制御ユニット
10 研磨ヘッド
11 ウェーハ保持部
12 リテーナーリング
13 第1の冷却媒体循環用プレート
14 ポリッシングプレート
15 第2の冷却媒体循環用プレート
16 ポリッシングプレート回転用スピンドル
21、31 第1の部分
22、32 第2の部分
23、24、34、35、36、37、38 一点鎖線
47 温度モニター
48 制御ユニット
44 冷却媒体循環装置
40、43 モータ
41、42 駆動軸
45、46 冷却媒体循環通路
201、301 第1の経路
202、302 第2の経路
241 内側円環路
242 外側円環路
243、253、343、353 注入口
244、254、344、354 排出口
251、351 同心円
323 第3の部分
324 第4の部分
325 第5の部分
333 第3の経路
334 第4の経路
335 第5の経路
341 円環経路

図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方部でウェーハを保持する研磨ヘッドユニットと、前記研磨ヘッドユニットによって保持されたウェーハを研磨するためのポリッシングプレートを有するポリッシングプレートユニットを備えたウェーハ研磨装置であって、
前記ポリッシングプレートユニットがその下面に円盤状の冷却対象物である前記ポリシングプレートを冷却するための冷却媒体循環用プレートを備え
前記冷却媒体循環用プレートは、
前記冷却対象物の中央領域に対応し、前記中央領域を冷却するための冷却媒体を循環させる第1の経路が形成された円盤状の第1の部分と
前記冷却対象物の周辺領域に対応し、前記周辺領域を冷却するための冷却媒体を循環させる第2の経路が形成された円環状の第2の部分を備え、
前記第1の経路は径方向に並んだ複数の同心円のそれぞれに沿った複数の経路と、それら複数の経路を連結する径方向の経路を含み、
前記第2の経路は径方向に並んだ複数の同心円のそれぞれに沿った複数の経路と、それら複数の経路を連結する径方向の経路を含み、
前記第1の経路と前記第2の経路は分離されており、
前記第1の経路が沿っている複数の同心円の内、最も外側の円と、前記第2の経路が沿っている複数の同心円の内、最も内側の円の間に所定の円を定義した場合に、
前記第1の部分は前記所定の円よりも内側の領域であり、
前記第2の部分は前記所定の円よりも外側の領域であり、
前記第2の経路の温度が前記第1の経路の温度よりも低いことを特徴とするウェーハ研磨装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウェーハ研磨装置であって、
前記第2の部分は複数の部分円環状に分けられ、
前記第2の経路は前記部分円環状の部分ごとに設けられた複数の分離された経路で構成されることを特徴とするウェーハ研磨装置。
【請求項3】
請求項1乃至2に記載のウェーハ研磨装置であって、
前記周辺領域の面積に対する、前記第2の経路に流れる冷却媒体が前記冷却媒体循環用プレートへ接触する面積の比率が、前記中央領域の面積に対する、前記第1の経路に流れる冷却媒体が前記冷却媒体循環用プレートへ接触する面積の比率よりも大きいことを特徴とするウェーハ研磨装置。
【請求項4】
請求項1乃至2に記載のウェーハ研磨装置であって、前記第1の経路及び前記第2の経路のそれぞれに対して、独立した冷却媒体循環装置を用いて冷却媒体を循環させることを特徴とする研磨装置。
【請求項5】
請求項3に記載のウェーハ研磨装置であって、前記第1の経路及び前記第2の経路に対して、共通の冷却媒体循環装置を用いて冷却媒体を循環させることを特徴とするウェーハ研磨装置。
【請求項6】
請求項1に記載のウェーハ研磨装置と、
ウェーハ研磨中に前記冷却対象物の温度をモニターする温度モニターと、
前記温度モニターから出力される温度モニター情報に基づき、前記冷却対象物の面内の温度ばらつきを均一化させるように、前記ウェーハ研磨装置を制御する制御ユニットを備える、温度制御システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明に係るウェーハ研磨装置は、
下方部でウェーハを保持する研磨ヘッドユニットと、前記研磨ヘッドユニットによって保持されたウェーハを研磨するためのポリッシングプレートを有するポリッシングプレートユニットを備えたウェーハ研磨装置であって、
前記ポリッシングプレートユニットがその下面に円盤状の冷却対象物である前記ポリシングプレートを冷却するための冷却媒体循環用プレートを備え
前記冷却媒体循環用プレートは、
前記冷却対象物の中央領域に対応し、前記中央領域を冷却するための冷却媒体を循環させる第1の経路が形成された円盤状の第1の部分と
前記冷却対象物の周辺領域に対応し、前記周辺領域を冷却するための冷却媒体を循環させる第2の経路が形成された円環状の第2の部分を備え、
前記第1の経路は径方向に並んだ複数の同心円のそれぞれに沿った複数の経路と、それら複数の経路を連結する径方向の経路を含み、
前記第2の経路は径方向に並んだ複数の同心円のそれぞれに沿った複数の経路と、それら複数の経路を連結する径方向の経路を含み、
前記第1の経路と前記第2の経路は分離されており、
前記第1の経路が沿っている複数の同心円の内、最も外側の円と、前記第2の経路が沿っている複数の同心円の内、最も内側の円の間に所定の円を定義した場合に、
前記第1の部分は前記所定の円よりも内側の領域であり、
前記第2の部分は前記所定の円よりも外側の領域であり、
前記第2の経路の温度が前記第1の経路の温度よりも低いことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
また、本発明に係るウェーハ研磨装置は、
前記第2の部分は複数の部分円環状に分けられ、
前記第2の経路は前記部分円環状の部分ごとに設けられた複数の分離された経路で構成されることを特徴とする。