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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148116
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】集熱器及び太陽熱給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24S 10/50 20180101AFI20241009BHJP
【FI】
F24S10/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023068867
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】595023851
【氏名又は名称】株式会社東洋ソーラーシステム研究所
(71)【出願人】
【識別番号】522236419
【氏名又は名称】栗山 義雄
(72)【発明者】
【氏名】小泉 尚夫
(72)【発明者】
【氏名】平嶺 和希
(57)【要約】
【課題】凍結防止水抜きが容易にできて、真南向きに傾斜した屋根だけではなく、どのような向きの屋根にも日射強度が十分に得られる設置角度に設置することが容易な集熱器を提供する。
【解決手段】太陽光を受光し集熱する太陽集熱器であって、 縦部材11と横部材12で形成された長方形枠と、前記長方形枠に張った集熱板15と、前記集熱板15に固定され、該集熱板の長手方向に伸びる複数の熱媒管16と、前記複数の熱媒管16の両端を接続する複数のヘッダー管と、を備え、前記複数のヘッダー管の長さは前記長方形枠の横幅寸法より短いことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を受光し集熱する太陽集熱器であって、
縦部材11と横部材12で形成された長方形枠と、
前記長方形枠に張った集熱板15と、
前記集熱板15に固定され、該集熱板の長手方向に伸びる複数の熱媒管16と、
前記複数の熱媒管16の両端を接続する複数のヘッダー管と、を備え
前記複数のヘッダー管の長さは前記長方形枠の横幅寸法より短いことを特徴とする太陽集熱器。
【請求項2】
前記複数の熱媒管のピッチ間隔に対する該複数の熱媒管の長さの比が27であることを特徴とする請求項1の太陽集熱器。
【請求項3】
前記縦部材11と横部材12は木または集成木材または木質合成材からなることを特徴とする請求項1および2に記載の太陽集熱器。
【請求項4】
前記集熱板15の集熱面側と反対側に前記長方形枠に固定された底板13と、
該集熱面側に前記長方形枠に固定されたガラス板と、をさらに備え、
該集熱板15と該底板13の間に断熱材14を挿入したことを特徴とする請求項1~3に記載の太陽集熱器。
【請求項5】
前記集熱板15の集熱面側と反対側に断熱材を、また、該集熱面側に保護材を一体に構成したことを特徴とする請求項1~3に記載の太陽集熱器。
【請求項6】
請求項1~5に記載の太陽集熱器によって加温された温水を利用する太陽熱給湯システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽熱を集熱して管内を流れる水を加温する集熱器及び集熱器によって加温された温水を利用する太陽熱給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽熱を集熱して集熱器内を流れる水を加温する集熱器及び集熱器によって加温されたお湯を利用する太陽熱集熱装置が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された技術は、貯湯タンク内の水を集熱器で加温された熱媒体で一様に温める構造である。
【0003】
これに対して、特許文献2に記載された技術は、太陽熱集熱器で温められた温水が貯湯槽の上部から層状に下部の水と撹拌されないように溜める構造の太陽熱給湯システムが開示されている。(特許文献2参照)特許文献2に記載された技術は、太陽熱利用率を高くすることができる。
【0004】
特許文献1に記載された貯湯タンク内の水を集熱器で加温された熱媒体で温めていく方式では貯湯タンクの水全体を徐々に温めるのであるから、水全体が45℃程度のお湯になるまでは太陽熱以外の補助熱源を利用しなければならず、太陽熱利用率が悪くなる。それに対して特許文献2に記載された技術は集熱器を一度通過するだけで、流量は少ないが水の温度を大きく上昇させ、タンク上部に下部の水と混じらずにお湯が層状に蓄えられる。したがって特許文献2の構造では集熱開始後わずかの時間で、太陽熱で沸かしたお湯を使えるので、太陽熱利用率が高くなるわけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-7506号
【特許文献2】特開平2011-47582号
【特許文献3】特開2016-85030号
【特許文献4】特開平8-219557号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3には、集熱器内の水の凍結防止のために水を排水するためのスプリングリターン電動排水弁がシステムの低い位置に設置されており、排水弁への通電がオフになると排水弁が開き、集熱器内及び集熱配管内の水が排水される。しかし配管内及び集熱器内の一部に水が残る恐れもあり、排水弁を開いて排水の後、ブロアーによって集熱器内の残水等を強制的に吸引し、ブロアーの吸い込み口の前で気液分離タンクによって水と空気を分離し、空気のみブロアーに吸引させ、気液分離タンク溜まった水はブロアーを止めて排水する技術が開示されている。
【0007】
しかしながら、凍結する気象条件のときに電源が切られている場合はブロアーが作用せず、集熱器および配管内に水が残る可能性が生じる。ブロアーによる吸引排水をせずに排水弁を開いただけで集熱器内に水が残る可能性がない集熱器及び集熱システムを本発明は提供することを目的とする。
【0008】
また、太陽熱利用システムにおいては太陽日射を最大に受けることができる設置角度に設置することが集熱性能の上で極めて重要である。しかし住宅の屋根は真南に向いているものは必ずしも多くはない。本発明は、南面向きの傾斜でない屋根にも真南向きに最適傾斜角で集熱器を設置することが容易な集熱器を提供することも目的とする。
【0009】
集熱器の設置工事が簡単にできることも重要である。特許文献4には集熱器の間の配管をワンタッチ接続方式にして配管接続が全く見えなくなる構造の集熱器システムが開示されている。その集熱器は図11に示すように2枚のステンレス薄板をプレスで絞って溝を作りシーム溶接で2枚を張り合わせた構造で、集熱器内に多少の水が排水されずに残って凍結しても、弾力のある構造であり破損には至らない。しかしながら、弾力のある構造は集熱器にかかる内圧で集熱器が膨らむということで、耐圧に弱いという欠点が生ずる。
【00010】
図12は液体加熱用の平板形集熱器として最も多く使われているフィンチューブ形集熱板を示したもので、アルミの集熱板に熱媒管の銅パイプをつけたもので、並列の集熱管2の両端には各集熱管をつないでいるヘッダー管3がロー付け接続されていて、そのヘッダー管の両端は集熱器ケース1の両サイドの外まで伸びて出ており、図14のように集熱器を並べて設置して配管接続がし易いようになっている。しかし図14のように集熱器の間に隙間ができるので、外観の点でも良くないし、設置できる集熱面積も減少するという不都合がある
【00011】
また、図13に示すようにヘッダー管の先端は集熱器ケース内に収まるようにして、ヘッダー管から接続管4を集熱器ケースの外まで伸ばす形にすると図14のような隙間を開けずに密着して集熱器を設置することが可能である。しかしこの場合は特許文献2に記載されたような直接水集熱システムに用いようとするとヘッダー管が完全に水平が保たれるように設置されずにわずかでも傾斜しているとヘッダー管の下がっている方の先端部の水は排水されないので凍結破損の恐れが生ずる。
【0012】
太陽熱温水システムの太陽熱利用率を高めるには、一度の集熱器通過で、水の温度を大きく上昇させ、貯湯タンク上部から層状にお湯を溜めていく方式が優れていることを前に記した。そのような方式では集熱板の温度が入り口側と出口側では大きく異なるので、集熱板の高温側から低温側へ熱伝導で熱が伝わると集熱効率が低下するという問題が生ずる。
【課題を解決するための手段】
【00013】
本発明の一実施形態にかかる集熱器は、図1に示すようにヘッダー管17が集熱器ケースの長手方向の外に出ているので、図4のように集熱器を並べて設置する際に集熱器を密着して並べても配管接続が容易にできる特徴を有する。また集熱器を密着して設置し、図3のように集熱器の間の隙間をふさぐ目地カバー27をつけると雨水が下に侵入しないので図6に示すように集熱屋根とすることもできる。
【0014】
本発明の一実施形態にかかる集熱器は、図1に示すように集熱器ケースは木枠によって作られているので、集熱ケースを長いものにしても曲げ剛性やねじり剛性が高く、軽量である。また集熱器ケースの幅が狭いと、剛性の高いものになり、長くても持ち運びもし易く、底面は0.3mmくらいの薄い鋼板でも強度の点で問題がなく、低コスト軽量になる。また木枠構造は設置工事において架台などに集熱器を取り付ける際には枠のどこにでも木ネジを差し込んで、固定することができるので、設置工事が非常に簡単で、強固な取り付けが可能になる特徴を有する。また木材は熱伝導率が低く、断熱性もあるので、木枠側には断熱材を入れなくても、集熱効率の低下を招く恐れはない。
【0015】
太陽熱利用の場合、集熱板の日射受光量が大きくなるような集熱器の設置方位角と傾斜角にすることが非常に重要である。その理由は太陽電池のように変換効率が15%というと、太陽電池セルの日射受光量が例えば1KW/mとするとその15%の150W/mが電力に変換されると考えられる。日射受光量が前記の半分の500W/mであると変換電力も前記の半分の75W/mと考えてよい。それに対して太陽熱利用では集熱板が吸収した日射エネルギーは一旦、100%熱になり、集熱板から放射や対流による熱伝達で逃げる熱損失と、熱媒体に伝えられて集熱器から取り出される取得熱量の割合により、集熱効率が算出される。集熱器からの熱損失量は集熱器への外気の風速にもよるが、集熱板温度と外気温の温度差によって主に定まり、日射受光量は関係がない。例えば、集熱板の日射受光量が1KW/mで集熱量が500W/m、集熱効率にして50%であったとすると日射受光量が半分の500W/mになって集熱温度条件が同じであれば、熱損失が同じであるから集熱量は0になってしまう計算になる。そのように太陽熱利用では集熱器の日射受光量を大きくすることが集熱性能の点で最も重要である。したがって集熱器の日射受光量が最大になるように設置方位角、傾斜角にすることが極めて重要ということになる。
【0016】
本発明の一実施形態にかかる集熱器は、南東や南西向きの傾斜屋根にも図7(a)及び図7(b)に示すように真南向き設置することが容易である特徴を有する。例えば図7(a)の屋根の向きが南から45°西に向いた南西向きの屋根で、傾斜が0.4(角度21.8°)いわゆる4寸勾配であるとすると、図7(a)のように屋根面に対する傾斜が0.4(角度21.8°)になるように集熱器を設置すると集熱面は真南向きで、傾斜角31.7°になる。このような設置では直接水集熱式のシステムとして、集熱器からの凍結防止水抜きの際も集熱器から残らず水が落下するように配管設置ができる。また細長い集熱器では架台も小さく、図8(a)及び図8(b)に示すように薄い塗装鋼板を裏面に張ると風雨の影響を和らげることができる。
【0017】
住宅で最も多い南向きと言っても実際には3°~30°くらい東か西に振れている場合が多いが、そのような向きの切り妻屋根や、寄棟屋根または入母屋根で屋根勾配が3寸(18.4°)から5寸(26.5°)の屋根に真南むきで、北緯35°くらいの地域における冬にも集熱効率が良い傾斜角40°くらいの設置の図を図7(b)に示す。この場合も図7(a)の場合と同様に集熱器からの凍結防止水抜きの際、集熱器から残らず水が落下するように配管設置ができる。
【0018】
本発明の一実施形態にかかる集熱器は、東西に傾斜している屋根に真南向きに設置することも容易である。従来の図12のような集熱器では真南向きに設置するには図10の200で示す様な不安定な設置の仕方にしなければならかった。本発明の集熱器では図10の100で示すように簡単な架台で、安定に真南向きで適正傾斜角度に設置することが容易である。図10の100は西向き屋根に設置の場合であるが、反対面の東側の屋根にも同じように真南向きに集熱器を設置できる。屋根の棟梁を中心線として、図10の100と対称形に東側屋根に設置すると真南向きの設置となる。しかもこのような集熱器設置の仕方で凍結防止水抜きも容易にできる。
【0019】
本発明の一実施形態にかかる集熱器は、平らな屋根に設置する場合は図9のように長手方向に多少傾斜するように設置し、35で示す自動空気吸入排出弁を最も高い位置に設置すると凍結防止水抜きも容易にできる。各集熱ユニットに個別に自動空気吸入排出弁をつける場合と、36に示す空気吸入排出弁連通管を設置して、各集熱ユニット共通の1個の自動空気吸入排出弁を設置することもできる。幅の狭い集熱器なら架台が小さく簡単な構造の架台で良いという特徴がある。また図5に示すように集熱器を縦方向に傾斜させる架台に設置する場合は集熱器の曲げ剛性が高いので、集熱器そのものが自立し、この場合も架台は簡単なものでよい。
【0020】
太陽熱利用給湯システムの太陽熱利用率を高めるには一度の集熱器通過で水の温度を大きく上昇させ、貯湯タンク上部から層状にお湯を溜めていく方式が優れているが、そのような方式では集熱板の温度が入り口側と出口側では大きく異なるので、集熱板の高温側から低温側へ熱伝導で熱が伝わると集熱効率が低下する問題がある。本発明の一実施形態にかかる集熱器は、水の流れ方向に集熱器寸法を長くして、集熱板の温度勾配を小さく抑えることができるので、そのような熱伝導による効率低下は問題にならない。
【0021】
具体的に例えば図1の集熱器において隣り合う熱媒管16の間隔が100mmアルミ集熱板の板厚1.5mmと仮定し、集熱板の日射受熱量が500W/m、アルミ集熱板の熱伝導率を237W/m・Kとして計算すると、熱媒管の取り付け位置と熱媒管の間の真ん中との集熱板温度差は1.5℃、集熱管周りの集熱板の温度勾配は0.6℃/cmと算出される。一方集熱板の縦方向温度勾は、集熱器への水の入り口温度を20℃、出口湯温を60℃とし、集熱板の長さをLcmとすると集熱板縦方向温度勾配は(60-20)/L ℃/cmとなる。縦方向温度勾配が横方向温度勾配の0.6℃/cmの1/4程度なら、つまり 40/L<0.6/4で、L>266cm、即ち、2.7m以上の集熱板長さがあれば、この場合、集熱板の高温側から低温側への熱伝導損失は無視できる程度になると考えられる。分かり易く表現すると集熱板の長さを熱媒管ピッチ(この計算では0.1mとした)の27倍以上にすると集熱板の高温側から低温側への熱伝導損失は無視できると言える。
【発明の効果】
【0022】
従来の太陽熱集熱器では真南を向いていない住宅の屋根に真南向きで、最適傾斜角に設置する架台を作ることも、設置工事も大変で、性能の良い角度で設置するには費用が掛かり過ぎるので、そのような設置はほとんどなされず、集熱効率が良く太陽熱利用率に優れる太陽熱利用システムが使用される例が非常に少なかった。
【0023】
本発明の一実施形態にかかる集熱器によれば住宅の屋根の向きにかかわらず簡単な設置架台で、最適な方位角、傾斜角で集熱器を設置することが容易で、しかも凍結防止水抜きも容易にできる。さらに一度の集熱器通過で、効率良く温度を大きく上昇させることができるので、太陽熱利用率を大きくできる。不凍液を使わずに低コストで性能の良いシステムができるので、太陽熱利用が推進されるものと期待される。
【0024】
従来の集熱システムは不凍液使用で熱交換のための性能低下と、コストの点また、不凍液の定期的交換などのメンテナンスの点も不利であり、太陽熱利用は不振が続いてきた。その結果、住宅での太陽エネルギー利用というと太陽電池を付けることが主流となったが、屋根面積が太陽電池に取られてますます太陽熱利用は不振になっていった。しかし、晴天の昼の太陽発電がなされる時間帯はほとんど住宅での電力需要はなく、送電網が全国にくまなく行き届いている我が国では発電を住宅の屋根で行う必然性はないと考えられる。工場の屋根や駅のホーム、学校の屋上など昼の電力需要もあり、規模も大きい施設に太陽電池を設置する方が社会的に見れば合理的である。住宅の給湯への太陽熱利用はその住宅の屋根での集熱しか利用できないのであり、太陽熱利用は発電より太陽エネルギー利用効率が高い集熱器こそ優先されるべきものである。低コストで性能のよい太陽熱利用システムが開発されて来なかったことが今日の不合理を招いた。本発明により住宅での本来の太陽エネルギー利用が推進されることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】(a)一実施形態にかかる集熱器の平面図
図1】(b)一実施形態にかかる集熱器の図1(a)のB-B断面図
図2】集熱器縦断面の図1(b)のA-A断面図
図3】一実施形態の集熱器の並列設置における目地カバーの取付け図
図4】一実施形態の集熱器の並列設置における配管接続図
図5】一実施形態の集熱器の並列設置と架台
図6】一実施形態の集熱器による集熱屋根の構成
図7】(a)一実施形態の集熱器を南西向きの屋根に真南向き設置の図
図7】(b)一実施形態の集熱器を南向き入母屋屋根に設置の図
図8】(a)図7(a)及びず7(b)の設置架台の詳細図
図8】(b)図7(a)のD-D断面図で集熱器および配管から自然落水する配管接続図
図9】一実施形態の集熱器をフラット屋根に設置の図
図10】西向き屋根に真南向きに設置の従来形集熱器と一実施形態の集熱器
図11】ステンレス薄板2枚シーム溶接の従来形集熱器
図12】従来のフィンチューブ形の一般的な平板形集熱器
図13】一般的平板形集熱器を、隙間を空けずに並列設置を可能にする方法
図14図12の一般的な平板形集熱器並列設置における配管接続図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づき本発明にかかる一実施形態の集熱器10を具体的に説明する。
【0027】
図1(a)は一実施形態にかかる集熱器10の平面図、また図1(b)は 図1(a)のB-B断面を示す。図1(a)は図1(b)のC-C断面矢視図である。図2は集熱器縦断面図1(b)のA-A断面図である。本実施形態の集熱器は集熱器ケースを形成する木または集成木材または木質合成材などで作られているケース縦部材11と前記縦部材と同様の素材で作られた横部材12とで形成された長方形枠の下面に塗装鋼板の底板13を張った集熱ケースの底板の上に断熱材14が挿入されており、その上に集熱板15が設置されている。
【0028】
集熱板はアルミ材などの良熱伝導率の金属材料の1~2mm程度の厚さの板の下面に熱媒管16を集熱板と熱媒管の間の熱伝導が良好に保たれるように支持させた構造のものである。熱媒管16は熱伝導率が高く水に対する耐食性にも優れる銅管などが使用される。集熱板はアルミ押し出し加工で作る場合は幅100mmくらいの細長い板の裏面に熱媒管を嵌め込んで装着する溝を有する熱媒管支持部15bが形成されている。押し出し加工の集熱板は数枚横に並べて1枚の集熱板を形成するように連結して集熱器ケースの中に設置される。図1には4枚並べて連結したものが描かれている。集熱板の長手方向寸法は集熱ケースの内法寸法に合わせた長さになっており集熱板はケース内に収まっている。
【0029】
熱媒管は集熱板の長さより長く、集熱器ケース横部材12を突き通してケース外まで伸びており、ケース外でヘッダー管17に各集熱管16は接続されている。集熱器の長手方向両端は同じ形状になっている。ヘッダー管17は図1に示されているように集熱器横幅寸法より短く、集熱器を横並びに図5に示すように集熱器を密着させて設置しても図4に示すように配管接続が可能である。
【0030】
集熱器縦部材11の上にアルミのアングル状の縦サッシュ20が乗っており縦サッシュの上にガラスを載せるゴムパッキン22があり、その上に強化ガラス21が載せられている。ガラスと集熱板の間には集熱板からの対流熱損失を減らすために透明フィルム23が張られている。前記透明フィルム23は縦サッシュ20と集熱器縦部材11の間に挟み込まれて支持されている。ガラス21の周囲は雨水の侵入を防ぐためと、強化ガラスの弱点であるエッジの保護のためシリコンシーリング25が施されている。シリコンシーリングはシーリングのカバーであるステンレスアングル26とガラスの間に注入されている。
集熱器を図5のように並べて設置する際には前記ステンレスアングル26の上に図3に示すように目地カバー27を載せると集熱器の下への雨水の侵入が防がれ図6に示すような集熱屋根とすることもできる。
【0031】
集熱ケースの外に出ているヘッダー管17を集熱器取り扱いの際に、ものにぶつけたりされる危険性がないように図1(b)に示すように集熱器ケース横部材12から横部材と同様の材料で作られたヘッダー管保護用張り出し18がヘッダー管より少し外側まで張り出している。集熱器設置後にヘッダー管への配管繋ぎ込みの工事の後に図2に示すようにヘッダー管の断熱材31を入れてその上に塗装鋼板などで作られているヘッダー管保護カバー30がヘッダー管保護カバー支持アングル32とヘッダー管保護用張り出し18によって固定される。
【0032】
図8(b)は図7(a)のD-D断面図で集熱器からの凍結防止の水抜きをブロアーによる吸引をしない自然落水でも完全に水が抜ける配管接続の実施例を示しものである。水路はすべて完全に水が自然落水するような勾配が取れている。
【0033】
また、図7(a)や図7(b)に示すように集熱器が細長い形状であると屋根にかかる荷重が分散されて、屋根面単位面積当たりの荷重が小さく屋根にかかる負担が少ない。さらに風による荷重も集熱器を吹き上げるような荷重は生ぜず、どちらかというと屋根面に押し付ける荷重が主になるので、図8(b)に示すように屋根面への架台取り付けを40で示すようなシリコンシーリングで接着固定する方法でもシーリング個所に太陽紫外線が直接には当たらないので安全である。
【符号の説明】
【0034】
1……集熱器ケース
2……熱媒管
3……ヘッダー管
4……集熱器接続管
10…集熱器
11…集熱器ケース縦部材
12…集熱器ケース横部材
13…集熱器ケース底板
14…断熱材
15…集熱板
15b…熱媒管支持部
16…熱媒管
17…ヘッダー管
18…横部材のヘッダー管保護用張り出し
20…縦サッシュ
21…ガラス
22…ゴムパッキン
23…透明フィルム
25…シリコンシーリング
26…ステンレスアングル
27…目地カバー
30…ヘッダー管保護カバー
31…ヘッダー管断熱材
32…ヘッダー管保護カバー支持アングル
35…自動空気吸入排出弁
36…空気吸入排出弁連通管
38…集熱器への往き配管
39…集熱器からの戻り配管
40…集熱器架台固定用シーリング
100…真南向きに設置した本発明の集熱器
200…真南向きに設置した従来形の集熱器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14