(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148123
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】ふろ装置およびふろシステム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20241009BHJP
F24H 15/176 20220101ALI20241009BHJP
F24H 15/265 20220101ALI20241009BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20241009BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20241009BHJP
F24H 15/281 20220101ALI20241009BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20241009BHJP
F24H 15/45 20220101ALI20241009BHJP
F24H 15/429 20220101ALI20241009BHJP
【FI】
F24H15/196 301Y
F24H15/176
F24H15/265
F24H15/269
F24H15/219
F24H15/281
F24H15/395
F24H15/45 101
F24H15/429
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087469
(22)【出願日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2023061017
(32)【優先日】2023-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼石 智也
(72)【発明者】
【氏名】糟谷 尚平
(72)【発明者】
【氏名】古賀 弘子
(72)【発明者】
【氏名】近藤 勲
【テーマコード(参考)】
3L024
【Fターム(参考)】
3L024CC11
3L024EE05
3L024EE09
3L024EE10
3L024FF09
3L024GG06
3L024GG41
3L024GG43
(57)【要約】
【課題】入浴タイマー部を用いて、2つのモードの入浴タイマー機能が良好に実行され得るふろ装置を提供する。
【解決手段】給湯装置10において、入浴検知部111aにより入浴が検知される前にのぼせ防止モードが設定されている場合は、入浴時間設定部123aが第1時間を入浴時間に設定する。入浴が検知される前に快眠入浴モードが設定されている場合は、入浴時間設定部123aが第2時間を入浴時間に設定する。快眠入浴モードに設定された状態おいて、入浴タイマー部128の計測時間が第2時間に到達する前にのぼせ防止モードへのモード変更が行われた場合に、入浴時間設定部123aが入浴時間を第2時間から第1時間に変更し、入浴タイマー部128が計時を継続する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内への入浴を検知する入浴検知部と、
計時を行う入浴タイマー部と、
入浴時間を設定する入浴時間設定部と、
前記入浴検知部により入浴が検知されたことに基づいて前記入浴タイマー部に計時を開始させ、前記入浴タイマー部の計測時間が前記入浴時間に到達したことに基づいて報知部に報知を行わせる入浴タイマー機能を実行する機能実行部と、
第1モードと第2モードとの間で前記入浴タイマー機能のモードの設定を行うモード設定部と、を備え、
前記入浴検知部により入浴が検知される前に前記第1モードが設定されている場合は、前記入浴時間設定部が第1時間を前記入浴時間に設定し、
前記入浴検知部により入浴が検知される前に前記第2モードが設定されている場合は、前記入浴時間設定部が第2時間を前記入浴時間に設定し、
前記第1時間は、前記第2時間よりも長く、
前記第2モードに設定された状態おいて、前記入浴タイマー部の計測時間が前記第2時間に到達する前に前記第1モードへのモード変更が行われた場合に、前記入浴時間設定部が前記入浴時間を前記第2時間から前記第1時間に変更し、前記入浴タイマー部が計時を継続する、
ふろ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のふろ装置において、
端末装置と通信を行うための通信部を、さらに備え、
前記通信部は、前記端末装置から送信された前記第1モードに変更するための変更指令を受信する、
ふろ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のふろ装置において、
前記浴槽内に溜められた湯水の温度を示す湯温データを出力する湯温データ出力部を、さらに備え、
前記入浴時間設定部は、前記入浴タイマー機能のモードが前記第2モードに設定されている場合、前記湯温データに基づいて、前記浴槽に入浴している入浴者の深部体温が入浴開始から第1値上昇するために要する時間を決定し、当該時間を前記第2時間として前記入浴時間に設定する、
ふろ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のふろ装置において、
前記入浴時間設定部は、前記入浴タイマー機能のモードが前記第1モードに設定されている場合、前記湯温データに基づいて、前記浴槽に入浴している入浴者の深部体温を入浴開始から前記第1値よりも大きな第2値上昇するために要する時間を決定し、当該時間を前記第1時間として前記入浴時間に設定する、
ふろ装置。
【請求項5】
ふろ装置と、当該ふろ装置と通信可能な端末装置と、を備えるふろシステムにおいて、
前記ふろ装置は、
前記端末装置との間で通信を行う通信部と、
浴槽内への入浴を検知する入浴検知部と、
計時を行う入浴タイマー部と、
入浴時間を設定する入浴時間設定部と、
前記入浴検知部により入浴が検知されたことに基づいて前記入浴タイマー部に計時を開始させ、前記入浴タイマー部の計測時間が前記入浴時間に到達したことに基づいて報知部に報知を行わせる入浴タイマー機能を実行する機能実行部と、
第1モードと第2モードとの間で前記入浴タイマー機能のモードの設定を行うモード設定部と、を備え、
前記端末装置は、前記第1モードに変更するための変更指令を前記ふろ装置に送信する送信処理部を、備え、
前記入浴検知部により入浴が検知される前に前記第1モードが設定されている場合は、前記入浴時間設定部が第1時間を前記入浴時間に設定し、
前記入浴検知部により入浴が検知される前に前記第2モードが設定されている場合は、前記入浴時間設定部が第2時間を前記入浴時間に設定し、
前記第1時間は、前記第2時間よりも長く、
前記第2モードに設定された状態おいて、前記入浴タイマー部の計測時間が前記第2時間に到達する前に前記通信部が前記変更指令を受信した場合、前記モード設定部が前記第2モードから前記第1モードへのモード変更を行い、前記入浴時間設定部が前記入浴時間を前記第2時間から前記第1時間に変更し、前記入浴タイマー部が計時を継続する、
ふろシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のふろ機能を実行するふろ装置およびふろシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、給湯装置には、人が浴槽への入浴を開始してから所定の入浴時間が経過すると、浴室に設けられたリモートコントローラ、即ち浴室リモコンにより報知が行われる、いわゆる入浴タイマー機能が備えられている。給湯装置には、入浴時間を計測するための入浴タイマー部が設けられる。
【0003】
このような入浴タイマー機能の一つに、入浴者の深部体温が良質な睡眠を得るのに効果的な温度だけ上昇し得る入浴時間を浴槽への入浴開始から計測し、当該入浴時間が経過したときに報知が行われる快眠入浴モードの機能がある。
【0004】
快眠入浴モードの機能を実行可能なふろシステムが、以下の特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のふろシステムでは、浴槽内の湯温と、入浴開始前および入浴開始後に推定した深部体温とに基づいて、入浴中の深部体温の上昇量が推定され、当該上昇量に基づいて推奨入浴時間が決定される。入浴開始事実が検出されてからの経過時間が推奨入浴時間に一致すると、浴室リモコンにより、退浴タイミングの到来が報知される。
【0005】
さらに、給湯装置は、入浴タイマー機能の一つとして、入浴者の深部体温が、入浴者が体調不良症状を発症し得る温度だけ上昇するような入浴時間を浴槽への入浴開始から計測し、当該入浴時間が経過したときに報知が行われるのぼせ防止モードの機能を備えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
給湯装置が、快眠入浴モードとのぼせ防止モードなど、2つのモードの入浴タイマー機能を備えるような場合、たとえば、一方のモードが日常的に実行され、所定の開始操作が行われたときに、一方のモードに変わって他方のモードが実行されるような構成を採ることができる。この構成では、それぞれのモード専用の入浴タイマー部が給湯装置に設けられなくてよい。
【0008】
なお、給湯装置が快眠入浴モードとのぼせ防止モードの入浴タイマー機能を備える場合には、のぼせ防止モードが日常的に実行され得る。体調不良症状を引き起こし得るような入浴者の深部体温の上昇は、常時、監視されることが望ましいためである。
【0009】
上記の構成が採られた場合、他方のモード、たとえば、快眠入浴モードが開始されいる状態において、当該他方のモードを受ける対象者でない第三者が浴槽への入浴を行ったときには、その第三者に対して、他方のモードが実行されてしまうのではなく、日常的に実行されている一方のモード、たとえば、のぼせ防止モードに切り替えられて、当該モードが実行されることが望ましい。このようにされることにより、一つの入浴タイマー部を用いた2つのモードの入浴タイマー機能の良好な実行が可能となる。
【0010】
かかる課題に鑑み、本発明は、入浴タイマー部を用いて、2つのモードの入浴タイマー機能が良好に実行され得るふろ装置およびふろシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、ふろ装置に関する。本態様に係るふろ装置は、浴槽内への入浴を検知する入浴検知部と、計時を行う入浴タイマー部と、入浴時間を設定する入浴時間設定部と、前記入浴検知部により入浴が検知されたことに基づいて前記入浴タイマー部に計時を開始させ、前記入浴タイマー部の計測時間が前記入浴時間に到達したことに基づいて報知部に報知を行わせる入浴タイマー機能を実行する機能実行部と、第1モードと第2モードとの間で前記入浴タイマー機能のモードの設定を行うモード設定部と、を備える。ここで、前記入浴検知部により入浴が検知される前に前記第1モードが設定されている場合は、前記入浴時間設定部が第1時間を前記入浴時間に設定する。また、前記入浴検知部により入浴が検知される前に前記第2モードが設定されている場合は、前記入浴時間設定部が第2時間を前記入浴時間に設定する。前記第1時間は、前記第2時間よりも長い時間とされる。さらに、前記第2モードに設定された状態おいて、前記入浴タイマー部の計測時間が前記第2時間に到達する前に前記第1モードへのモード変更が行われた場合に、前記入浴時間設定部が前記入浴時間を前記第2時間から前記第1時間に変更し、前記入浴タイマー部が計時を継続する。
【0012】
本態様に係るふろ装置によれば、第2モードの対象者でない第三者が、対象者より先に入浴を開始してしまった場合に、第2モードの入浴タイマー機能を第1モードの入浴タイマー機能に変更できる。よって、第三者に対し、誤って、第2モードによる報知が行われてしまうことを防止できる。
【0013】
さらに、第1モードの入浴タイマー機能に切り替えられると、既に開始された入浴タイマー部の計時がそのまま利用されて、計測時間が第1モードでの入浴時間である第1時間に到達したときに報知が行われる。よって、第三者は、第1モードの入浴タイマー機能の効果を受けられる。
【0014】
本態様に係るふろ装置において、端末装置と通信を行うための通信部を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記通信部は、前記端末装置から送信された前記第1モードに変更するための変更指令を受信し得る。
【0015】
上記の構成によれば、使用者は、端末装置から第2モードの入浴タイマー機能を第1モードの入浴タイマー機能に変更できる。
【0016】
本態様に係るふろ装置において、前記浴槽内に溜められた湯水の温度を示す湯温データを出力する湯温データ出力部を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記入浴時間設定部は、前記入浴タイマー機能のモードが前記第2モードに設定されている場合、前記湯温データに基づいて、前記浴槽に入浴している入浴者の深部体温が入浴開始から第1値上昇するために要する時間を決定し、当該時間を前記第2時間として前記入浴時間に設定するような構成とされ得る。
【0017】
上記の構成によれば、浴槽内の湯温によらず、使用者の深部体温が睡眠導入に効果的となる程度に上昇した状態において、報知部により報知を行い、使用者を浴槽から退浴させることができる。
【0018】
上記の構成とされた場合、さらに、前記入浴時間設定部は、前記入浴タイマー機能のモードが前記第1モードに設定されている場合、前記湯温データに基づいて、前記浴槽に入浴している入浴者の深部体温を入浴開始から前記第1値よりも大きな第2値上昇するために要する時間を決定し、当該時間を前記第1時間として前記入浴時間に設定するような構成とされ得る。
【0019】
このような構成とされれば、浴槽内の湯温によらず、使用者の深部体温が、体調不良症状を発すると懸念される程度に上昇した状態において、報知部により報知を行い、使用者に注意喚起を行うことができる。
【0020】
本発明の第2の態様は、ふろ装置と、当該ふろ装置と通信可能な端末装置と、を備えるふろシステムに関する。本態様に係るふろシステムにおいて、前記ふろ装置は、前記端末装置との間で通信を行う通信部と、浴槽内への入浴を検知する入浴検知部と、計時を行う入浴タイマー部と、入浴時間を設定する入浴時間設定部と、前記入浴検知部により入浴が検知されたことに基づいて前記入浴タイマー部に計時を開始させ、前記入浴タイマー部の計測時間が前記入浴時間に到達したことに基づいて報知部に報知を行わせる入浴タイマー機能を実行する機能実行部と、第1モードと第2モードとの間で前記入浴タイマー機能のモードの設定を行うモード設定部と、を備える。さらに、前記端末装置は、前記第1モードに変更するための変更指令を前記ふろ装置に送信する送信処理部を、備える。ここで、前記入浴検知部により入浴が検知される前に前記第1モードが設定されている場合は、前記入浴時間設定部が第1時間を前記入浴時間に設定する。また、前記入浴検知部により入浴が検知される前に前記第2モードが設定されている場合は、前記入浴時間設定部が第2時間を前記入浴時間に設定する。前記第1時間は、前記第2時間よりも長い時間とされる。さらに、前記第2モードに設定された状態おいて、前記入浴タイマー部の計測時間が前記第2時間に到達する前に前記通信部が前記変更指令を受信した場合、前記モード設定部が前記第2モードから前記第1モードへのモード変更を行い、前記入浴時間設定部が前記入浴時間を前記第2時間から前記第1時間に変更し、前記入浴タイマー部が計時を継続する。
【0021】
本態様に係るふろシステムによれば、上記第1の態様と同様な効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のとおり、本発明によれば、入浴タイマー部を用いて、2つのモードの入浴タイマー機能が良好に実行され得るふろ装置およびふろシステムを提供できる。
【0023】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施形態に係る、ふろシステムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る、給湯装置を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る、給湯器の燃焼系および配管の構成を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る、携帯端末装置の回路ブロックを示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る、第1入浴時間決定テーブルの構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る、第2入浴時間決定テーブルの構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る、人体熱モデルについて説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る、人体熱モデルについて説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る、携帯端末装置において行われる、快眠入浴モードの機能に関する処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10(a)は、実施形態に係る、就寝時刻設定画面の一例を示す図であり、
図10(b)は、実施形態に係る、入浴時刻報知画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11(a)は、実施形態に係る、開始操作画面の一例を示す図であり、
図11(b)は、実施形態に係る、就寝時刻報知画面の一例を示す図である。
【
図12】
図12(a)は、実施形態に係る、携帯端末装置において行われる、快眠入浴モードの機能を中止させるための処理を示すフローチャートである。
図12(b)は、実施形態に係る、中止操作画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る、浴室リモコンにおいて行われる、快眠入浴モードとのぼせ防止モードの入浴タイマー機能に関する処理を示すフローチャートである。
【
図14】
図14(a)は、実施形態に係る、のぼせ防止モードにおいて、浴室リモコンが注意喚起を行う第1報知を行っている様子を示す図である。
図14(b)は、実施形態に係る、快眠入浴モードにおいて、浴室リモコンが入浴時間を知らせる報知を行っている様子を示す図である。
図14(c)は、実施形態に係る、快眠入浴モードにおいて、浴室リモコンが退浴を促す第2報知を行っている様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
【0027】
ふろシステム1は、給湯装置10と、携帯端末装置20とを備える。給湯装置10は、ルータ30、外部通信網40およびサーバ50を介して、携帯端末装置20と通信可能である。
【0028】
給湯装置10は、ふろ装置として、ふろ自動機能、追い焚き機能、足し湯機能、足し水機能などのふろ機能を実行する。
【0029】
給湯装置10は、給湯器11と、リモートコントローラ12、13とを備えている。給湯器11は、ガスを燃料として湯水を供給するガス給湯器である。給湯器11により生成された湯水は、給湯口11aにそれぞれ接続された配管を介して、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給される。給湯器11が、床暖房機能や、浴室暖房機能およびパネルヒータによる暖房機能を備える場合、これら機能を実現する機器に対して、給湯器11から湯水が供給される。
【0030】
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、給湯装置10の各機能について種々の設定を行うために用いられる。リモートコントローラ12は、表示部121と、入力部122とを備え、リモートコントローラ13は、タッチパネルからなる表示入力部131と、運転ボタン132とを備える。操作者は、表示部121に表示された画面に従って入力部122を操作することにより、湯張りや給湯温度調節等について、任意の設定を行うことができる。また、操作者は、表示入力部131を操作することによっても、湯張り等の設定を行える。
【0031】
リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、キッチン等に設置される。リモートコントローラ12、13には、音声を入出力するための音声窓12a、13aが設けられている。
【0032】
以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
【0033】
浴室リモコン12の入力部122には、運転ボタン122aが含まれている。運転ボタン122a、132は、給湯器11を運転オン状態と運転オフ状態とに切り替えるためのボタンである。
【0034】
浴室リモコン12および台所リモコン13が運転オフ状態(カラン等の給湯栓が開かれて基準流量以上の通水が発生したとしても給湯器11が給湯運転を行わない状態)にあるとき、表示部121および表示入力部131は消灯状態にあり、運転ボタン122a、132以外の操作ボタンの操作は受け付けられない。運転ボタン122a、132が操作され、運転オン状態(カラン等の給湯栓が開かれて基準流量以上の通水が発生したときに給湯器11が給湯運転を行える状態)になると、表示部121および表示入力部131が点灯して設定内容が表示されるとともに、運転ボタン122a、132以外の操作ボタンの操作が受け付け可能となる。
【0035】
さらに、入力部122および表示入力部131には、給湯温度を変更するためのボタンが含まれている。操作者は、このボタンを操作することにより、給湯の設定温度を変更することができる。この他、入力部122および表示入力部131には、ふろ自動機能や、追い焚き機能、足し湯機能、足し水機能等を実行するためのボタン等、給湯器11の動作を制御するためのボタンが含まれている。
【0036】
携帯端末装置20は、給湯装置10と通信可能な端末装置であり、たとえば、携帯電話機(スマートフォン)である。この他、携帯端末装置20が、携帯型のタブレット端末等の他の携帯可能な端末装置であってもよい。
【0037】
ルータ30は、建物内(ここでは、宅内H10)に存在する各機器を、外部通信網40に接続するための通信中継器である。外部通信網40は、たとえば、インターネットである。外部通信網40には、給湯装置10に対する遠隔制御の管理などを行うためのサーバ50が接続されている。
【0038】
台所リモコン13は、ルータ30および外部通信網40を介して、サーバ50と通信を行う。携帯端末装置20が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置20は、ルータ30および外部通信網40を介してサーバ50と通信を行う。また、携帯端末装置20が宅外にある場合、携帯端末装置20は、外部に設置されたルータ60または基地局70を介して外部通信網40に接続され、サーバ50と通信を行う。
【0039】
携帯端末装置20の使用者は、宅内H10と宅外の何れにおいても、携帯端末装置20を用いて、給湯装置10に対する遠隔制御を行うことができる。すなわち、携帯端末装置20が宅内H10と宅外の何れにある場合も、使用者が携帯端末装置20で行った操作に基づく指令は、外部通信網40を介して、一旦、サーバ50に送信される。これを受けて、サーバ50は、指令を受信した携帯端末装置20に予め対応付けられている給湯装置10に対して、受信した指令を送信する。サーバ50からの指令が、外部通信網40およびルータ30を介して、対応する給湯装置10の台所リモコン13に送信される。こうして、携帯端末装置20からの遠隔操作により、給湯装置10において、使用者が要求する内容の設定が行われたり、使用者が要求する機能が開始されたりする。
【0040】
また、給湯装置10の状態情報が、所定周期で随時、台所リモコン13からルータ30を介してサーバ50に送信される。状態情報は、現在の給湯装置10の設定状態および動作状態を示す情報である。携帯端末装置20は、ふろシステム1のアプリケーションソフトにより、最新の状態情報をサーバ50から取得して表示させることができる。これにより、携帯端末装置20の使用者は、宅内H10および宅外の何れにおいても、給湯装置10の状態を監視することができる。
【0041】
図2は、給湯装置10を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【0042】
給湯器11は、制御部111と、記憶部112と、通信部113と、検出部114と、を備える。制御部111は、マイクロコンピュータを備え、記憶部112に記憶されたプログラムに従って、給湯器11内の各部の制御を行う。記憶部112は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0043】
通信部113は、制御部111からの制御に従って、浴室リモコン12および台所リモコン13と通信を行う。通信部113は、2芯通信線L1、L2を介して、浴室リモコン12の通信部125および台所リモコン13の通信部135と接続されている。また、2芯通信線L1、L2は、通信部113の内部において、互いに接続されている。したがって、浴室リモコン12の通信部125と台所リモコン13の通信部135は、2芯通信線L1、L2によって互いに接続されている。このため、通信部113、125、135の何れかから送信された信号は、他の通信部に同時に送信される。
【0044】
検出部114は、給湯器11に配置された各種センサを含んでいる。たとえば、検出部114は、湯水の温度を検出するための温度センサ、湯水の供給を検出するための流量センサ等を含んでいる。
【0045】
図3は、給湯器11の燃焼系および配管の構成を模式的に示す図である。
【0046】
図3に示すように、給湯器11は、
図2に示した構成の他、給湯部210と、追い焚き部220と、バイパス部230とを備える。給湯器11は、浴槽2が設けられた浴室3の外に設置される。
【0047】
給湯部210は、給水管路211と、給湯熱交換器212と、給湯管路213と、給湯燃焼器214と、給気ファン215とを含む。給水管路211は、水道管と給湯熱交換器212とに繋がり、給湯管路213は、給湯熱交換器212と浴室水栓4および外部水栓5とに繋がる。給湯燃焼器214には、比例弁216の開度に応じた量のガス(燃料ガス)が給湯ガス管路217を通じて供給される。図示しないガス電磁弁が開放されると、給湯ガス管路217にガスが供給される。給湯燃焼器214は、ガスを燃料として、ガスの供給量に応じた強さで燃焼する。給気ファン215は、給湯燃焼器214に燃焼用の空気を供給する。
【0048】
追い焚き部220は、戻り管路221と、ふろ熱交換器222と、往き管路223と、ふろ燃焼器224と、循環ポンプ225とを含む。戻り管路221は、浴槽2の循環アダプタ2aとふろ熱交換器222とに繋がり、往き管路223は、ふろ熱交換器222と循環アダプタ2aとに繋がる。
【0049】
ふろ燃焼器224には、比例弁226の開度に応じた量のガス(燃料ガス)がふろガス管路227を通じて供給される。図示しないガス電磁弁が開放されると、ふろガス管路227にガスが供給される。ふろ燃焼器224は、ガスを燃料として、ガスの供給量に応じた強さで燃焼する。給気ファン215が給湯部210と追い焚き部220との間で共用され、給気ファン215からふろ燃焼器224に燃焼用の空気が供給される。戻り管路221に、循環ポンプ225および水位センサS1が配置される。水位センサS1は、戻り管路221内の水圧に基づいて浴槽2内の水位を検出する。
【0050】
バイパス部230は、バイパス管路231と、給湯電磁弁232とを含む。バイパス管路231は、給湯管路213と戻り管路221とに繋がる。給湯電磁弁232は、バイパス管路231を開閉する。
【0051】
給湯器11は、水位センサS1の他に、給水管路211の流量を検出するための流量センサS2と、給水管路211に導入された水の温度を検出するための温度センサS3と、給湯熱交換器212で加温された後の湯水の温度を検出するための温度センサS4とを備えている。また、給湯器11は、戻り管路221内の湯水の温度を検出することにより、浴槽2内に溜められた湯水の温度を検出する温度センサS5を備えている。これらセンサS1~S5は、
図2の検出部114に含まれる。
【0052】
制御部111は、給湯部210の給湯燃焼器214、給気ファン215および比例弁216、追い焚き部220のふろ燃焼器224、循環ポンプ225および比例弁226、バイパス部230の給湯電磁弁232などを制御する。
【0053】
浴室水栓4または外部水栓5が開かれると、給湯機能が実行される。水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入されるとともに、給湯燃焼器214が燃焼して給湯熱交換器212が加熱される。給湯熱交換器212に導入された水が加熱されて湯となり、湯が給湯管路213を通じて浴室水栓4または外部水栓5に供給される。浴室水栓4または外部水栓5が閉じられると、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0054】
また、制御部111は、給湯部210を制御して、湯張り機能(ふろ自動機能)を実行する。この場合、給湯電磁弁232が開放されるとともに、水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入され、給湯熱交換器212で加熱される。そして、給湯熱交換器212からの湯が給湯管路213およびバイパス管路231を通じて戻り管路221に導入される。
【0055】
戻り管路221に導入された湯の一部は、戻り管路221を循環アダプタ2a側へと流れ、循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。戻り管路221に導入された湯の残りは、戻り管路221をふろ熱交換器222側へと流れ、さらにふろ熱交換器222および往き管路223を流れて循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。
【0056】
給湯が行われて浴槽2内に湯水が溜められると、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223が湯水で満たされた状態となる。これにより、水位センサS1での浴槽2内の水位検出が可能となる。浴槽2内の水位が予め設定された水位に到達したことが水位センサS1により検出されると、給湯電磁弁232が閉じられ、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0057】
戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223が湯水で満たされた状態にあるとき、戻り管路221内の湯水の温度は、浴槽2内の湯水の温度とほぼ等しくなる。温度センサS5により、戻り管路221内の湯水の温度を、浴槽2内の湯水の温度として検出できる。温度センサS5が検出した温度の温度データは、浴槽2内の湯水の温度を示す湯温データとなる。温度センサS5は、湯温データ出力部として、湯温データを出力する。湯温データは、制御部111に入力される。
【0058】
この他、制御部111は、追い焚き部220を制御して、追い焚き機能を実行する。この場合、循環ポンプ225が作動するとともにふろ燃焼器224が燃焼する。浴槽2内の湯が、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223からなる循環路と浴槽2との間で循環し、その間にふろ熱交換器222で加熱される。これにより、浴槽2内の湯温が上昇する。
【0059】
また、足し湯機能、足し水機能が、制御部111の制御による給湯部210からの浴槽2への給湯および給水により実行される。足し水機能では、給湯燃焼器214が燃焼しない。
【0060】
なお、ふろ自動機能には、湯張り機能と、湯張りの後に浴槽2内の湯水の温度を所定のふろ設定温度に維持する保温機能とが含まれる。保温機能において、制御部111は、温度センサS5からの湯温データに基づいて、浴槽2内の湯水の温度がふろ設定温度となるように、追い焚き部220による追い焚きを実行する。保温機能により、浴槽2内の湯水の温度は、ふろ設定温度とほぼ等しくなる。ふろ設定温度は、浴室リモコン12でのボタン操作により設定できる。
【0061】
図2に戻り、浴室リモコン12は、上述の表示部121および入力部122の他、制御部123と、記憶部124と、通信部125と、スピーカ126と、温度センサ127とを備える。表示部121は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部122は、温度設定ボタン等の各種操作ボタンを備える。表示部121が、タッチパネルであってもよい。
【0062】
制御部123は、マイクロコンピュータを備え、記憶部124に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部124は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0063】
通信部125は、制御部123からの制御に従って、給湯器11および台所リモコン13と通信を行う。スピーカ126は、制御部123により生成された音声信号に基づく音声を出力する。制御部123は、記憶部124に記憶されている音声情報を随時読み出して、音声信号を生成する。スピーカ126から出力された音声は、
図1の音声窓12aから出力される。
【0064】
温度センサ127は、浴室3内の気温を検出する。温度センサ127は、気温データ出力部として、浴室3内の気温を示す気温データを出力する。気温データは、制御部123に入力される。
【0065】
台所リモコン13は、上述の表示入力部131および運転ボタン132の他、制御部133と、記憶部134と、通信部135と、スピーカ136と、無線通信部137とを備える。制御部133は、マイクロコンピュータを備え、記憶部134に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部134は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0066】
通信部135は、制御部133からの制御に従って、給湯器11および浴室リモコン12と通信を行う。スピーカ136は、制御部133により生成された音声信号に基づく音声を出力する。制御部133は、記憶部134に記憶されている音声情報を随時読み出して、音声信号を生成する。スピーカ136から出力された音声は、
図1の音声窓13aから出力される。
【0067】
無線通信部137は、ルータ30との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。サーバ50には、台所リモコン13(給湯装置10)のアドレス情報およびID情報として、無線通信部137のアドレス情報およびID情報が登録される。無線通信部137は、給湯装置10が携帯端末装置20との間で通信を行うための通信部である。
【0068】
図4は、携帯端末装置20の回路ブロックを示す図である。
【0069】
携帯端末装置20は、表示部301と、入力部302と、スピーカ303と、制御部304と、記憶部305と、無線通信部306とを備える。表示部301は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部302は、各種操作ボタンと、表示部301に積層されたタッチパネルとを備える。スピーカ303は、音声等の音を出力する。
【0070】
制御部304は、マイクロコンピュータを備え、記憶部305に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部305は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0071】
携帯端末装置20が宅内H10で用いられる場合、無線通信部306は、制御部304からの制御に従って、ルータ30と通信を行う。携帯端末装置20が宅外で用いられる場合、無線通信部306は、宅外の通信システム(ルータ60、基地局70)と通信を行う。無線通信部306は、ルータ30等との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。
【0072】
さて、ふろシステム1には、使用者の快眠をサポートする快眠入浴モードの機能が備えられている。快眠入浴モードの機能は、給湯装置10および携帯端末装置20にインストールされた遠隔制御のアプリケーンソフト含まれる制御プログラムにより実行される。
【0073】
快眠入浴モードの機能では、携帯端末装置20において、使用者が就寝時刻を設定すると、入浴後の使用者が設定された就寝時刻に入眠へと導かれやすくなるように逆算された時刻に、入浴を促す報知が行われる。その後、使用者が携帯端末装置20において開始操作を行うと、給湯装置10において、快眠入浴モードの機能に含まれる快眠入浴モードの入浴タイマー機能が開始される。この場合、使用者が浴槽2内への入浴を行うと、当該入浴の際の浴槽2内の湯温において使用者の深部体温が適量上昇するタイミング(入浴時間)において、給湯装置10の浴室リモコン12から退浴を促す報知が行われる。さらに、使用者が入浴を終えた後、設定された就寝時刻に近づくと、携帯端末装置20において、就寝を促す報知が行われる。これにより、使用者は、快適な睡眠を得やすくなる。
【0074】
さらに、給湯装置10には、入浴者がのぼせて体調不良を起こさないようにする、のぼせ防止モードの入浴タイマー機能が備えられている。快眠入浴モードの入浴タイマー機能が実行されないときには、のぼせ防止モードの入浴タイマー機能が実行される。この場合、使用者が浴槽2内への入浴を行うと、当該入浴の際の浴槽2内の湯温において使用者の深部体温が体調不良の発生が懸念される温度に上昇するタイミング(入浴時間)において、浴室リモコン12から注意喚起の報知や退浴を促す報知が行われる。
【0075】
のぼせ防止モードの入浴タイマー機能は、当該機能を実行する設定が給湯装置10に対して予め行われていれば、快眠入浴モードの入浴タイマー機能が開始される場合を除いて、常時、使用者の入浴時に実行される。
【0076】
以下、快眠入浴モードの機能(快眠入浴モードの入浴タイマー機能を含む)と、のぼせ防止モードの入浴タイマー機能とを実行するために、ふろシステム1、即ち給湯装置10および携帯端末装置20が実行する処理について、詳細に説明する。
【0077】
図4に示すように、快眠入浴モードの機能を実行するため、携帯端末装置20では、記憶部305に記憶された制御プログラムによって、就寝時刻受付部304a、報知時刻決定部304b、報知処理部304c、開始操作受付部304d、中止操作受付部304eおよび送信処理部304fの機能が制御部304に付与される。さらに、制御部304は、時刻を計測する機能を有する。
【0078】
就寝時刻受付部304aは、就寝時刻の設定を受け付ける。報知時刻決定部304bは、設定された就寝時刻に基づいて、入浴を促す報知を行う入浴報知時刻と就寝を促す報知を行う就寝報知時刻とを決定する。
【0079】
報知処理部304cは、入浴報知時刻の到来に基づいて、表示部301に入浴を促す報知を行わせるとともに、就寝報知時刻の到来に基づいて、表示部301に就寝を促す報知を行わせる。
【0080】
開始操作受付部304dは、入浴を促す報知が行われた後に、使用者による開始操作を受け付ける。中止操作受付部304eは、開始操作が行われた後、使用者による中止操作を受け付ける。
【0081】
送信処理部304fは、開始操作受付部304dが開始操作を受け付けると、快眠入浴モードの入浴タイマー機能を開始させるための開始指令を給湯装置10に送信する。さらに、送信処理部304fは、中止操作受付部304eが中止操作を受け付けると、快眠入浴モードの入浴タイマー機能を中止させるための中止指令を給湯装置10に送信する。給湯装置10では、中止指令の受信により、快眠入浴モードからのぼせ防止モードへのモード変更が行われる。このため、中止指令は、のぼせ防止モードに変更するための変更指令となる。
【0082】
図2に示すように、快眠入浴モードとのぼせ防止モードの2つの入浴タイマー機能を実行するため、給湯器11では、記憶部112に記憶された制御プログラムによって、入浴検知部111aの機能が制御部111に付与される。また、浴室リモコン12では、記憶部124に記憶された制御プログラムによって、入浴時間設定部123a、機能実行部123bおよびモード設定部123cの機能が制御部123に付与される。さらに、制御部123には、計時を行う入浴タイマー部128が設けられる。
【0083】
湯が張られた浴槽2内に人が入ると浴槽2内の水位が上昇する。この浴槽2内へ人が入ったことに基づく水位変動を、水位センサS1によって検知できる。入浴検知部111aは、入浴検知センサである水位センサS1の検知結果に基づいて、浴槽2に対する人の入浴を検知する。入浴の検知結果は、随時、制御部111から浴室リモコン12に送信される。
【0084】
なお、湯が張られた浴槽2内から人が出ると浴槽2内の水位が低下する。よって、制御部123は、水位センサS1が浴槽2内から人が出たことに基づく水位変動を検知することにより、浴槽2内からの人の退浴を検知できる。
【0085】
入浴時間設定部123aは、入浴時間を設定する。即ち、入浴時間設定部123aは、入浴タイマー機能のモードが、第1モードであるのぼせ防止モードに設定されている場合、温度センサS5からの湯温データと温度センサ127からの気温データとに基づいて、浴槽2に入浴している入浴者の深部体温が入浴開始から第1値よりも大きな第2値上昇するために要する時間を決定し、第1時間として入浴時間に設定する。さらに、入浴時間設定部123aは、入浴タイマー機能のモードが、第2モードである快眠入浴モードに設定されている場合、湯温データと気温データとに基づいて、浴槽2に入浴している入浴者の深部体温が入浴開始から第1値上昇するために要する時間を決定し、第2時間として入浴時間に設定する。第1値は、睡眠導入に効果的であるとされる深部体温の上昇値であり、第2値は、入浴者が体調不良症状を発すると懸念される深部体温の上昇値である。
【0086】
機能実行部123bは、入浴検知部111aにより入浴が検知されたことに基づいて入浴タイマー部128に計時を開始させ、入浴タイマー部128の計測時間が入浴時間に到達したことに基づいて浴室リモコン12のスピーカ126に報知を行わせる入浴タイマー機能を実行する。スピーカ126は、入浴タイマー機能において、入浴時間の経過に基づく報知(第1報知、第2報知)を行う報知部として機能する。
【0087】
モード設定部123cは、のぼせ防止モードと快眠入浴モードとの間で入浴タイマー機能のモードの設定を行う。
【0088】
給湯装置10では、入浴検知部111aにより入浴が検知される前に無線通信部137が携帯端末装置20からの開始指令を受信しない場合、モード設定部123cがのぼせ防止モードを維持し、入浴時間設定部123aが第1時間を入浴時間に設定する。一方、入浴検知部111aにより入浴が検知される前に無線通信部137が開始指令を受信した場合、モード設定部123cがのぼせ防止モードから快眠入浴モードへのモード変更を行い、入浴時間設定部123aが第2時間を入浴時間に設定する。さらに、快眠入浴モードに設定されている状態おいて、入浴タイマー部128の計測時間が第2時間に到達する前に無線通信部137が携帯端末装置20からの中止指令を受信した場合、モード設定部123cが快眠入浴モードからのぼせ防止モードへのモード変更を行い、入浴時間設定部123aが入浴時間を第2時間から第1時間に変更する。
【0089】
本実施形態では、快眠入浴モードにおいて、入浴時間設定部123aが入浴時間に設定する第2時間は、入浴者の深部体温が入浴開始から睡眠導入に効果的であるとされる第1値上昇するために要する時間とされている。
【0090】
人は、深部体温が下がることにより眠気が訪れる。深部体温は、上がった分だけ大きく下がろうとする性質を有するため、入浴により深部体温を大きく上昇させれば、その分、深部体温の低下も大きくなり、入眠へと導かれやすくなる。しかしながら、入浴により過度に深部体温が上昇すると、熱中症等の体調不良症状の発症につながりやすくなる。よって、上記の点を考慮しつつ、試験等を行うことにより、適正な温度上昇値が第1値に選定され得る。たとえば、第1値は、約+0.5℃とされ得る。第1値は、+0.1~1.0℃の範囲内で選定できる。
【0091】
さらに、本実施形態では、のぼせ防止モードにおいて、入浴時間設定部123aが入浴時間に設定する第1時間は、入浴者の深部体温が入浴開始から入浴者が体調不良症状を発すると懸念される第2値上昇するために要する時間とされている。
【0092】
のぼせ防止モードの入浴タイマー機能は、たとえば、高齢者に向けられる。この場合、第2値は、高齢者が熱中症等の体調不良症状を発症することを予防できるように、高齢者が体調不良症状を発症し得るような深部体温の上昇値よりも低い値(たとえば、+1.0℃)に設定される。第2値は、+0.5~2.0℃の範囲内で設定することができる。
【0093】
なお、のぼせ防止モードの入浴タイマー機能が、高齢者よりも若年層の者に向けられてもよい。この場合、当該若年層の者は高齢者よりも深部体温の上昇により体調不良症状を発症しにくいため、その第2値が高齢者用の第2値よりも大きくされる。
【0094】
浴室リモコン12の記憶部124には、入浴時間設定部123aが、深部体温の上昇値が考慮された第1時間および第2時間を決定するために参照する第1入浴時間決定テーブル124aおよび第2入浴時間決定テーブル124bが記憶されている。本実施形態では、第1入浴時間決定テーブル124aおよび第2入浴時間決定テーブル124bの作成の際、深部体温が、後述する人体熱モデルHMを用いて推定される。即ち、人体熱モデルHMにより得られる計算式に基づいて深部体温を算出できる。
【0095】
図5は、第1入浴時間決定テーブル124aの構成の一例を示す図である。
【0096】
第1入浴時間決定テーブル124aには、浴槽2内の湯温および浴室3内の気温に対応付けて、これら湯温および気温のときに深部体温の上昇値が第2値に到達する時間が第1時間Anとして登録されている。第1入浴時間決定テーブル124aにおいて、第1時間Anは、浴槽2内の湯温が高いほど短くなり、且つ、浴室3内の気温が高いほど短くなる。
【0097】
図6は、第2入浴時間決定テーブル124bの構成の一例を示す図である。
【0098】
第2入浴時間決定テーブル124bには、浴槽2内の湯温および浴室3内の気温に対応付けて、これら湯温および気温のときに深部体温の上昇値が第1値に到達する時間が第2時間Bnとして登録されている。第2入浴時間決定テーブル124bにおいて、第2時間Bnは、浴槽2内の湯温が高いほど短くなり、且つ、浴室3内の気温が高いほど短くなる。湯温および気温が同じである場合、第1時間Anが第2時間Bnよりも長くなる。
【0099】
第1入浴時間決定テーブル124aおよび第2入浴時間決定テーブル124bは、たとえば、次のようにして作成される。即ち、入浴開始から所定時間毎の深部体温を推定(計算式により算出)して、入浴開始からの時間経過と深部体温との関係を示すデータ(グラフ)を、浴槽2内の湯温と浴室3内の気温とを変えて、複数作成する。そして、作成した各データ(グラフ)から深部体温の上昇値が第2値に到達する時間を第1時間Anとして抽出することにより、第1入浴時間決定テーブル124aを作成する。同様に、作成した各データ(グラフ)から深部体温の上昇値が第1値に到達する時間を第2時間Bnとして抽出することにより、第2入浴時間決定テーブル124bを作成する。
【0100】
ここで、入浴者の深部体温の推定に用いられる人体熱モデルHMについて説明する。
人体熱モデルHMは、人体を複数の部位(層)に分割し、各部位における熱収支に基づいて体温を計算する物理モデルである。
【0101】
図7および
図8は、人体熱モデルHMについて説明するための図である。
【0102】
図7に示すように、本実施形態の人体熱モデルHMでは、人体が、皮膚層SKと、皮膚層SKよりも人体の中心側となるコア層CRと、皮膚層SKとコア層CRとの間の中間層MDと、に分割される。さらに、皮膚層SKは、浴室3内の空気に接する第1皮膚層SK1と浴槽2内の湯水に接する第2皮膚層SK2とに分割され、中間層MDは、第1皮膚層SK1に接する第1中間層MD1と第2皮膚層SK2に接する第2中間層MD2とに分割される。
【0103】
図8に示すように、第1皮膚層SK1では、浴室3内の空気と当該第1皮膚層SK1との間の熱移動として、放射・対流による熱移動および蒸発による熱損失が生じる。また、当該第1皮膚層SK1と第1中間層MD1との間の熱移動として、組織間の熱移動が生じる。さらに、当該第1皮膚層SK1とコア層CRとの間の熱移動として、血流による熱移動が生じる。
【0104】
第2皮膚層SK2では、浴槽2内の湯水と当該第2皮膚層SK2との間の熱移動として、対流による熱移動が生じる。また、第2皮膚層SK2と第2中間層MD2との間の熱移動として、組織間の熱移動が生じる。さらに、第2皮膚層SK2とコア層CRとの間の熱移動として、血流による熱移動が生じる。
【0105】
第1中間層MD1では、第1皮膚層SK1と当該第1中間層MD1との間の熱移動として、組織間の熱移動が生じる。また、当該第1中間層MD1とコア層CRとの間の熱移動として、組織間の熱移動および血流による熱移動が生じる。
【0106】
第2中間層MD2では、第2皮膚層SK2と当該第2中間層MD2との間の熱移動として、組織間の熱移動が生じる。また、当該第2中間層MD2とコア層CRとの間の熱移動として、組織間の熱移動および血流による熱移動が生じる。
【0107】
コア層CRでは、第1中間層MD1と当該コア層CRとの間の熱移動として、組織間の熱移動および血流による熱移動が生じる。また、第2中間層MD2と当該コア層CRとの間の熱移動として、組織間の熱移動および血流による熱移動が生じる。さらに、第1皮膚層SK1と当該コア層CRとの間の熱移動として、血流による熱移動が生じる。さらに、第2皮膚層SK2と当該コア層CRとの間の熱移動として、血流による熱移動が生じる。さらに、代謝による熱生産、呼吸による熱損失および外部仕事による熱移動が生じる。
【0108】
本実施形態の人体熱モデルHMにより得られる、第1中間層MD1、第2中間層MD2、コア層CR、第1皮膚層SK1および第2皮膚層SK2における熱収支式(熱収支の関係式)は、それぞれ、以下の式1、式2、式3、式4および式5により表される。
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
これらの式中の記号の意味は、以下のとおりである。
cmd:中間層MD(第1中間層MD1、第2中間層MD2)の比熱[J/kg・℃]
ccr:コア層CRの比熱[J/kg・℃]
csk:皮膚層SK(第1皮膚層SK1、第2皮膚層SK2)の比熱[J/kg・℃]
cbl:血流の比熱[[J/kg・℃]
mmd_a:第1中間層MD1の質量[kg]
mmd_b:第2中間層MD2の質量[kg]
msk_a:第1皮膚層SK1の質量[kg]
msk_b:第2皮膚層SK2の質量[kg]
mcr:コア層CRの質量[kg]
Tmd_a:第1中間層MD1の温度[℃]
Tmd_b:第2中間層MD2の温度[℃]
Tsk_a:第1皮膚層SK1の温度[℃]
Tsk_b:第2皮膚層SK2の温度[℃]
Tcr:コア層CRの温度[℃]
α:湯水に接している体表面積率[%]
Kcm:コア層CRと中間層MDとの間の熱コンダクタンス[W/(m2・℃)]
Kms:中間層MDと皮膚層SKとの間の熱コンダクタンス[W/(m2・℃)]
M:代謝による生産性[W/m2]
W:外部仕事量[W/m2]
Eres:呼吸による外部への熱損失[W/m2]
Esk:皮膚表面での蒸発による熱損失[W/m2]
Ra:空気に対する放射による熱伝達[W/m2]
Ca:空気に対する対流による熱伝達[W/m2]
Chw:湯水に対する対流による熱伝達[W/m2]
Vbl:血流量[m2/(m2・S)]
A:体表面積[m2]
【0115】
cmd、ccr、csk、cbl、mmd_a、mmd_b、msk_a、msk_b、mcr、α、Kcm、Kms、M、W、Aの値は、予め決められる。
【0116】
即ち、中間層MD、コア層CRおよび皮膚層SKのそれぞれの比熱には大差はないため、たとえば、cmd、ccr、cskは、同じ値とし、人体の比熱を用いる。たとえば、mmd_a、mmd_b、msk_a、msk_b、mcrは、第1中間層MD1、第2中間層MD2、コア層CR、第1皮膚層SK1および第2皮膚層SK2の質量比率を定めて、日本人の標準的な体重と各層の質量比率とに基づいて決定する。αは、人体の脇より下が湯水に接していると見做し、たとえば、70%とする。
【0117】
また、KcmおよびKmsは、たとえば、身長と、体重と、コア層CR、中間層MDおよび皮膚層SKの各層の密度、熱伝導率および質量比率と、を用いて、各層の熱抵抗を算出し、これら熱抵抗の逆数として、これら熱抵抗から求めることができる。
【0118】
さらに、Mは、たとえば、日本人の標準的な基礎代謝量を用いる。Wは、入浴中、入浴者はほぼ動かないため、0とする。Aは、たとえば、日本人の標準的な体表面積を用いる。
【0119】
EresおよびEskは、人体温熱生理モデルに関する文献「Gagge, A.P., Stolwijk, J.A.J and Nishi,Y.:An Effective TemperatureScale Based on a Simple Model of Human Physiological Regulatory Response,ASHRAETrans., 77,247-262,1971」に示された計算式により算出できる。即ち、Eresは、浴室3内の気温Taにおける飽和水蒸気圧と、空気中の相対湿度と、代謝による生産性Mとを用いて求めることができる。Eskは、水蒸気の拡散熱Ediffと発汗による蒸発熱Erswの合算により求められる。Ediffは、空気の熱伝達率、皮膚層SKの温度Tskにおける飽和水蒸気圧、浴室3内の気温Taにおける飽和水蒸気圧、空気中の相対湿度などを用いて求めることができる。Erswは、皮膚層SKの温度Tsk、コア層CRの温度Tcrなどを用いて求めることができる。
【0120】
Raは、Tsk_aと浴室3内の気温Taとの差分に放射熱伝達率を乗じることにより算出される。Caは、Tsk_aとTaとの差分に対流熱伝達率を乗じることにより算出される。Chwは、Tsk_bと浴槽2内の湯温Tbとの差分に対流熱伝達率を乗じることにより算出される。
【0121】
Vblの値は、以下の式6により算出される。
【0122】
【0123】
この式中の記号の意味は、以下のとおりである。
Tsk:皮膚層SKの温度[℃]
Tsk_sp:皮膚層SKのセットポイント[℃]
Tcr_sp:コア層CRのセットポイント[℃]
【0124】
Tskは、αに基づいたTsk_aとTsk_bの重み付平均であり、皮膚層SKの平均温度である。Tsk_spは、皮膚層SKの平均温度を基準として定められる。
【0125】
入浴者の深部体温は、上述の計算式(熱収支式)を用いて、以下のように算出される。
【0126】
まず、第1中間層MD1の温度Tmd_a、第2中間層MD2の温度Tmd_b、第1皮膚層SK1の温度Tsk_a、第2皮膚層SK2の温度Tsk_b、コア層CRの温度Tcrの初期値が設定される。初期値は、入浴前の各層の温度である。
【0127】
ここで、入浴前のTmd_aとTmd_b(初期値)は同じ値に設定され、入浴前のTsk_aとTsk_b(初期値)は同じ値に設定される。たとえば、日本人の平均深部体温がTcrの初期値とされ、日本人の平均皮膚温がTsk_a、Tsk_bの初期値とされる。そして、これら平均深部体温と平均皮膚温とに基づいて、Tmd_a、Tmd_bの初期値が決められる。
【0128】
次に、入浴から時間ΔT経過時における第1中間層MD1、第2中間層MD2、コア層CR、第1皮膚層SK1および第2皮膚層SK2の温度勾配dTmd_a/dt、dTmd_b/dt、dTcr/dt、dTsk_a/dt、dTsk_b/dtが、上記式1~5に基づいて算出される。ここでは、今回のタイミングから時間ΔTだけ前の各層の温度Tmd_a、Tmd_b、Tsk_a、Tsk_b、Tcrを上記式1~5に適用して、これら各層の温度勾配が算出される。入浴後、最初に時間ΔTが経過したタイミングでは、上述の初期値をそれぞれ対応する式に適用して、各層の温度勾配が算出される。
【0129】
このとき、式4に含まれる、空気に対する放射による熱伝達Raおよび空気に対する対流による熱伝達Caの算出に用いられる気温Taに、入浴開始時の浴室3内の室温が適用される。さらに、式5に含まれる、湯水に対する対流による熱伝達Chwの算出に用いられる湯温Tbに、入浴開始時の浴槽2内の湯温が適用される。
【0130】
したがって、式3により算出されるコア層CRの温度dTcr/dtr、すなわち深部体温の温度勾配の算出にも、入浴開始時の湯温および室温が用いられることになる。
【0131】
次に、算出された各層の温度勾配を時間ΔTで積分して、各層の温度上昇値が算出される。そして、算出された各層の温度上昇値を、今回のタイミングから時間ΔTだけ前の各層の温度Tmd_a、Tmd_b、Tsk_a、Tsk_b、Tcrに加算して、これら各層の温度が算出される。入浴開始時から最初に時間ΔTが経過したタイミングでは、上述の初期値に各層の温度上昇値を加算して、今回のタイミングにおける各層の温度Tmd_a、Tmd_b、Tsk_a、Tsk_b、Tcrが算出される。
【0132】
こうして、室温および湯温がそれぞれ所定の温度であるときの各層の温度が、入浴開始時から時間ΔTの経過ごとに算出される。入浴者の深部体温はコア層CRの温度である。したがって、入浴開始時から時間ΔT経過ごとに算出されるコア層CRの温度が、上述の入浴開始からの時間経過と深部体温との関係を示すデータ(グラフ)に対応する。
【0133】
図5の第1入浴時間決定テーブル124aおよび
図6の第2入浴時間決定テーブル124bの生成では、浴槽2内の湯温と浴室3内の室温とをそれぞれ変化させながら、上述の算出方法により、上述のデータ(グラフ)が複数作成される。そして、第1入浴時間決定テーブル124aの生成では、作成された各データ(グラフ)から、深部体温の上昇値が、入浴者が体調不良症状を発すると懸念される第2値に到達する時間が、各データの湯温および室温の組合せに紐付けられる第1時間An(入浴時間)として抽出される。同様に、第1入浴時間決定テーブル124bの生成では、作成された各データ(グラフ)から、深部体温の上昇値が、睡眠導入に効果的であるとされる第1値に到達する時間が、各データの湯温および室温の組合せに紐付けられる第2時間Bn(入浴時間)として抽出される。
【0134】
図9は、携帯端末装置20において行われる、快眠入浴モードの機能に関する処理を示すフローチャートである。
図10(a)は、就寝時刻設定画面410の一例を示す図であり、
図10(b)は、入浴時刻報知画面420の一例を示す図である。
図11(a)は、開始操作画面430の一例を示す図であり、
図11(b)は、就寝時刻報知画面440の一例を示す図である。
【0135】
図9の処理は、携帯端末装置20の制御部304が、就寝時刻受付部304a、報知時刻決定部304b、報知処理部304c、開始操作受付部304dおよび送信処理部304fの機能により行う。
【0136】
使用者が、携帯端末装置20において、快眠入浴モードの機能を起動させる操作を行うと、
図9の処理が開始される。
【0137】
図9を参照して、制御部304(就寝時刻受付部304a)は、表示部301に就寝時刻設定画面410を表示させ、入力部302により就寝時刻設定画面410上での就寝時刻の設定を受け付ける(S101)。
図10(a)に示すように、就寝時刻設定画面410には、就寝時刻の設定を促すメッセージ411と、時刻入力欄412と、完了ボタン413とが含まれる。ユーザは、時刻入力欄412に、希望する就寝時刻を入力し、当該入力が完了すると完了ボタン413を押す。なお、時刻入力欄412へ入力時には、時刻入力のためのキーボードが就寝時刻設定画面410上に表れる。完了ボタン413の操作に基づいて、就寝時刻設定画面410が閉じられる。
【0138】
制御部304(報知時刻決定部304b)は、就寝時刻の設定が完了すると(S102:YES)、設定された就寝時刻に基づいて、入浴報知時刻および就寝報知時刻を決定する(S103)。
【0139】
一般的に、平均入浴時間は30分程度、入浴により上昇した深部体温が元に戻る時間は90分と言われており、就寝の2時間前が目安(推奨)の入浴開始時刻となる。本実施形態では、就寝の2時間前に入浴が開始されるように、2時間に入浴の準備に要する時間(たとえば、10分)を加えた時間が、就寝時刻から逆算する規定時間(たとえば、2時間10分)として設定されている。即ち、規定時間は、入浴に要する時間と深部体温が元に戻るのに要する時間とを考慮して設定されている。
【0140】
制御部304は、入浴報知時刻を決定する処理として、設定された就寝時刻から規定時間を減算することにより入浴報知時刻を求め、求めた入浴報知時刻を記憶部305に記憶する。さらに、制御部304は、就寝報知時刻を決定する処理として、設定された就寝時刻から就寝の準備に要する時間(たとえば、10分)を減算して就寝報知時刻を求め、求めた就寝報知時刻を記憶部305に記憶する。
【0141】
なお、準備に要する時間を考慮せずに、目安の入浴開始時刻が入浴報知時刻とされてもよく、設定された就寝時刻が就寝報知時刻とされてもよい。
【0142】
次に、制御部304(報知処理部304c)は、入浴報知時刻が到来したか否かを監視する(S104)。そして、制御部304(報知処理部304c)は、入浴報知時刻が到来すると(S104:YES)、表示部301に入浴を促す報知(以降、「入浴報知」と称する)を行わせる(S105)。表示部301には、たとえば、プッシュ通知の機能により、
図10(b)に示すように、ホーム画面など、報知ときに表示部301に表れている画面400に重なるように、入浴時刻報知画面420が表示される。なお、表示部301に画面400が表示されていないときには、入浴時刻報知画面420のみが表示部301に表示される。
【0143】
入浴時刻報知画面420には、たとえば、入浴開始時刻が近づいた旨のメッセージ421が含まれる。当該メッセージ421には、その後、表示部301に表示される開始操作画面430での開始ボタン432の操作を促すメッセージが含まれ得る。入浴時刻報知画面420が表示される際には、スピーカ303からアラーム音が出力される。
【0144】
なお、「入浴を開始してください」など、入浴開始を明確に促す入浴報知が行われてもよい。また、制御部304が、スピーカ303に、音声による入浴報知を行わせてもよい。
【0145】
使用者による所定の操作に基づいて入浴時刻報知画面420が閉じられると、次に、制御部304(開始操作受付部304d)は、表示部301に開始操作画面430を表示させ、入力部302により開始操作画面430での開始操作を受け付ける(S106)。開始操作は、給湯装置10での快眠入浴モードの入浴タイマー機能を開始させるための操作である。
【0146】
図11(a)に示すように、開始操作画面430には、開始操作を促すメッセージ431と、開始ボタン432とが含まれる。入浴報知に気付いた使用者は、入浴を開始する前に、開始操作として開始ボタン432を押す。これにより、開始操作が受け付けられる。さらに、表示部301に表示された開始操作画面430が閉じられる。
【0147】
開始操作が受け付けられると(S107:YES)、制御部304(送信処理部304f)は、快眠入浴モードの入浴タイマー機能を開始させるため開始指令を、サーバ50を介して給湯装置10に送信する(S108)。
【0148】
使用者は、開始操作を行った後、お風呂に入る。よって、就寝報知時刻が到来する前に、使用者により入浴が済まされる。この入浴の際には、後述するように、給湯装置10での快眠入浴モードの入浴タイマー機能により、使用者が浴槽2への入浴を行うと、入浴時間の経過に基づいて浴室リモコン12のスピーカ126から退浴を促す報知(入浴時間の経過に基づく第2報知)が行われる。この報知を受けて、使用者は浴槽2から退浴を行う。このとき、使用者の深部体温は、入眠導入に効果的である温度上昇した状態となり得る。その後、就寝報知時刻が到来するころには、上昇した使用者の深部体温が元に戻り得る。これにより、使用者が、スムーズに入眠できやすい状態となり得る。
【0149】
制御部304は、就寝報知時刻が到来すると(S109:YES)、表示部301に就寝を促す報知(以降、「就寝報知」と称する)を行わせる(S110)。表示部301には、たとえば、プッシュ通知の機能により、
図11(b)に示すように、報知の際に表示されている画面400に重なるように、就寝時刻報知画面440が表示される。なお、表示部301に画面400が表示されていないときには、就寝時刻報知画面440のみが表示部301に表示される。
【0150】
就寝時刻報知画面440には、たとえば、就寝時刻が近づいた旨のメッセージ441が含まれる。就寝時刻報知画面440が表示される際には、スピーカ303からアラーム音が出力される。就寝時刻報知画面440は、使用者による所定の操作に基づいて閉じられる。
【0151】
なお、「就寝してください」など、就寝を明確に促す就寝報知が行われてもよい。また、制御部304が、スピーカ303に、音声による就寝報知を行わせてもよい。
【0152】
就寝報知に気付いた使用者は、歯磨き等の就寝の準備を行った後、就寝する。これにより、使用者は、快適な睡眠を得やすくなる。
【0153】
なお、制御部304は、就寝報知時刻が到来する前に、快眠入浴モードの機能を中止するための中止操作が行われた場合(S109:NO→S111:YES)、快眠入浴モードの機能のための処理(
図9の処理)を終了する。
【0154】
図12(a)は、携帯端末装置20において行われる、快眠入浴モードの機能を中止させるための処理を示すフローチャートである。
図12(b)は、中止操作画面450の一例を示す図である。
【0155】
図12(a)の処理は、携帯端末装置20の制御部304が、中止操作受付部304eおよび送信処理部304fの機能により行う。
【0156】
開始操作に基づいて開始指令が給湯装置10に送信された後、開始操作を行った使用者、即ち快眠入浴モードの対象者でない第三者が、対象者より先に入浴を開始してしまう場合がある。このような場合、第三者に対して、誤って、快眠入浴モードの機能による第2報知が行われてしまう。このような事態を避けるため、使用者は、快眠入浴モードの機能、即ち給湯装置10での快眠入浴モード入浴タイマー機能を中止させ得る。
【0157】
使用者により、快眠入浴モードの機能を中止する処理を起動させるための所定の操作が行われると、
図12(a)の処理が開始される。
【0158】
図12(a)を参照して、制御部304(中止操作受付部304e)は、表示部301に中止操作画面450を表示させ、入力部302により中止操作画面450での中止操作を受け付ける(S201)。中止操作は、給湯装置10での快眠入浴モードの入浴タイマー機能を中止させて、快眠入浴モードの機能を中止するための操作である。
【0159】
図12(b)に示すように、中止操作画面450には、中止操作を促すメッセージ451と、中止ボタン452とが含まれる。使用者が、中止操作として中止ボタン452を押すと、中止操作が受け付けられる。さらに、表示部301に表示された中止操作画面450が閉じられる。
【0160】
中止操作が受け付けられると(S202:YES)、制御部304(送信処理部304f)は、快眠入浴モードの入浴タイマー機能を中止させるため開始指令を、サーバ50を介して給湯装置10に送信する(S203)。
【0161】
後述するように、給湯装置10では、入浴タイマー機能のモードが快眠入浴モードからのぼせ防止モードに切り替えられる。そして、入浴タイマー部128により既に開始されている計時を引き継いで、のぼせ防止モードの入浴タイマー機能が実行される。
【0162】
図13は、浴室リモコン12において行われる、快眠入浴モードとのぼせ防止モードの入浴タイマー機能に関する処理を示すフローチャートである。
図14(a)は、のぼせ防止モードにおいて、浴室リモコン12が注意喚起を行う第1報知を行っている様子を示す図である。
図14(b)は、快眠入浴モードにおいて、浴室リモコン12が入浴時間を知らせる報知を行っている様子を示す図である。
図14(c)は、快眠入浴モードにおいて、浴室リモコン12が退浴を促す第2報知を行っている様子を示す図である。
【0163】
図13の処理は、浴室リモコン12の制御部123が、入浴時間設定部123a、機能実行部123bおよびモード設定部123cの機能により行う。
図13の処理が開始されたとき、入浴タイマー機能のモードは、のぼせ防止モードに設定されている。
【0164】
図13を参照して、制御部123は、入浴検知部111aにより浴槽2内への入浴が検知されたか否かを監視する(S301)。さらに、制御部123は、携帯端末装置20からの開始指令を給湯装置10、即ち台所リモコン13の無線通信部137が受信したか否かを監視する(S302)。
【0165】
上記の通り、快眠入浴モードの機能か実行されている場合には、使用者による開始操作に基づいて、携帯端末装置20から開始指令が送信される。無線通信部137が開始指令を受信すると、当該受信が台所リモコン13の制御部133から制御部123に通知される。
【0166】
入浴検知部111aにより入浴が検知される前に無線通信部137が開始指令を受信した場合(S301:NO→S302:YES)、制御部123(モード設定部123c)は、入浴タイマー機能のモードを、のぼせ防止モードから快眠入浴モードに変更する(S303)。
【0167】
一方、快眠入浴モードの機能が実行されておらず、入浴検知部111aにより入浴が検知される前に無線通信部137が開始指令を受信しない場合(S301:NO→S302:NO)、制御部123(モード設定部123c)は、入浴タイマー機能のモードを、のぼせ防止モードに維持する。
【0168】
入浴検知部111aにより浴槽2内への入浴が検知されると(S301:YES)、制御部123は、温度センサS5からの湯温データを取得するとともに、温度センサ127からの気温データを取得する(S304)。
【0169】
次に、制御部123は、入浴タイマー機能のモードが、快眠入浴モードに設定されているか否かを判定する(S305)。快眠入浴モードに設定されていない、即ちのぼせ防止モードに設定されている場合(S305:NO)、制御部123(入浴時間設定部123a)は、取得した湯温データと気温データとに基づいて第1時間Anを決定し、決定した第1時間Anを入浴時間に設定する(S306)。即ち、制御部123は、取得した湯温データが示す湯温で且つ取得した気温データが示す気温のときの第1時間Anを第1入浴時間決定テーブル124aから抽出し、抽出した第1時間Anを入浴時間に設定する。
【0170】
次に、制御部123(機能実行部123b)は、のぼせ防止モードの入浴タイマー機能を実行する。即ち、制御部123(機能実行部123b)は、入浴タイマー部128に計時を開始させる(S307)。そして、制御部123(機能実行部123b)は、入浴タイマー部128の計測時間が入浴時間(第1時間An)に到達したか否かを監視する(S308)。
【0171】
制御部123(機能実行部123b)は、入浴タイマー部128の計測時間が入浴時間に到達したと判定した場合(S308:YES)、スピーカ126に、入浴時間(第1時間An)の経過に基づく第1報知として、入浴の注意を促す報知を行わせる(S309)。たとえば、
図14(a)に示すように、浴室リモコン12の音声窓12aから入浴の注意を促す音声が出力される。
【0172】
なお、スピーカ126から音声による退浴を促す第1報知が行われてもよい。また、第1報知として、制御部123が、表示部121に、入浴の注意や退浴を促すための表示を行わせてもよい。
【0173】
一方、入浴検知部111aにより浴槽2内への入浴が検知されたときに、快眠入浴モードに設定されている場合(S305:YES)、制御部123(入浴時間設定部123a)は、取得した湯温データと気温データとに基づいて第2時間Bnを決定し、決定した第2時間Bnを入浴時間に設定する(S310)。即ち、制御部123は、取得した湯温データが示す湯温で且つ取得した気温データが示す気温のときの第2時間Bnを第2入浴時間決定テーブル124bから抽出し、抽出した第2時間Bnを入浴時間に設定する。
【0174】
次に、制御部123(機能実行部123b)は、快眠入浴モードの入浴タイマー機能を実行する。即ち、制御部123は、スピーカ126に入浴時間を知らせる音声報知を行わせる(S311)。たとえば、
図14(b)に示すように、浴室リモコン12の音声窓12aから入浴時間を知らせる音声が出力される。なお、制御部123が、表示部121に、入浴時間を知らせる表示を行わせてもよい。
【0175】
制御部123(機能実行部123b)は、入浴タイマー部128に計時を開始させる(S312)。そして、制御部123(機能実行部123b)は、入浴タイマー部128の計測時間が入浴時間(第2時間Bn)に到達したか否かを監視する(S313)。
【0176】
制御部123(機能実行部123b)は、入浴タイマー部128の計測時間が入浴時間に到達したと判定した場合(S313:YES)、スピーカ126に、入浴時間(第2時間Bn)の経過に基づく第2報知として、音声による退浴を促す報知を行わせる(S314)。たとえば、
図14(c)に示すように、浴室リモコン12の音声窓12aから入浴時間の経過を知らせる音声が出力される。使用者は、第2報知に気づき、浴槽2から退浴する。
【0177】
なお、第2報知として、「退浴してください」など、退浴を明確に促す報知が行われてもよい。また、第2報知として、制御部123が、表示部121に、入浴時間の経過を示す表示を行わせてもよい。
【0178】
さらに、制御部123は、浴槽2内からの退浴の検知を行い、退浴が検知されるまで所定の待機時間(たとえば、1分)が経過する度に、スピーカ126に、音声による退浴を促す報知(第2報知)を行わせるようにしてもよい。
【0179】
第2報知が完了すると、制御部123(モード設定部123c)は、入浴タイマー機能のモードを、快眠入浴モードからのぼせ防止モードに変更する(S315)。
【0180】
制御部123は、ステップS313において、入浴時間の経過を監視している間、さらに、携帯端末装置20からの中止指令を給湯装置10、即ち台所リモコン13の無線通信部137が受信したか否かを監視する(S316)。
【0181】
上記の通り、開始操作が行われた後に、快眠入浴モードの対象者でない第三者が、対象者より先に入浴を開始してしまった場合、携帯端末装置20において、使用者により中止操作が行われる。これにより、携帯端末装置20から中止指令が給湯装置10に送信される。
【0182】
入浴時間が経過する前に無線通信部137が中止指令を受信した場合(S313:NO→S316:YES)、制御部123(モード設定部123c)は、入浴タイマー機能のモードを、快眠入浴モードからのぼせ防止モードに変更する(S317)。そして、制御部123(入浴時間設定部123a)は、入浴時間を第2時間Bnから第1時間Anに変更する(S318)。この際、制御部123(入浴時間設定部123a)は、入浴検知が行われたときに、即ちステップS304において取得した温度データおよび気温データを用いて、第1入浴時間決定テーブル124aから第1時間Anを抽出する。
【0183】
次に、ステップS308の処理に進み、制御部123(機能実行部123b)は、入浴タイマー部128により既に開始されている計時を引き継いで、のぼせ防止モードの入浴タイマー機能の実行を開始する。即ち、制御部123(機能実行部123b)は、入浴タイマー部128の計測時間が入浴時間(第1時間An)に到達したと判定した場合(S308:YES)、スピーカ126に、入浴時間の経過に基づく第1報知を行わせる(S309)。
【0184】
このように、開始操作が行われた後に、快眠入浴モードの対象者でない第三者が、対象者より先に入浴を開始してしまった場合、携帯端末装置20での中止操作により、給湯装置10での快眠入浴モードの入浴タイマー機能を中止できる。これにより、第三者に対し、誤って、快眠入浴モードの機能による第2報知が行われてしまうことを防止できる。
【0185】
さらに、快眠入浴モードのタイマー機能が中止されたときには、自動的に、のぼせ防止モードの入浴タイマー機能に切り替えられ、既に開始された入浴タイマー部128の計時がそのまま利用されて、計測時間がのぼせ防止モードでの入浴時間(第1時間An)に到達したときに第1報知が行われる。これにより、第三者は、のぼせによる体調不良の発生を防止するという、のぼせ防止モードの入浴タイマー機能の効果を受けられる。
【0186】
なお、
図13のフローチャートには示されていないが、ステップS301において入浴検知部111aにより浴槽2内への入浴が検知された後に、開始指令が受信された場合、制御部123は、開始指令を受け付けない。さらに、快眠入浴モードに設定された後に、入浴検知部111aにより入浴が検知されることなく制限時間が経過しした場合、制御部123は、快眠入浴モードの機能を中止して、入浴タイマー機能のモードを、のぼせ防止モードに切り替える。
【0187】
制御部123は、快眠入浴モードが設定されている状態おいて、入浴時間の経過に基づく第2報知を行った後に、携帯端末装置20に完了通知を送信してもよい。この場合、携帯端末装置20の制御部304は、完了通知を受け取ると、その後は中止指令を給湯装置10に送信しない。
【0188】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0189】
快眠入浴モードに設定された状態おいて、入浴タイマー部128の計測時間が入浴時間に到達する前に、快眠入浴モードによる入浴タイマー機能を中止させるための中止指令が、変更指令として発せられた場合には、快眠入浴モードからのぼせ防止モードへのモード変更が行われるとともに、入浴時間の設定が第2時間Bnから第1時間Anに変更される。
【0190】
これにより、快眠入浴モードの対象者でない第三者が、対象者より先に入浴を開始してしまった場合に、快眠入浴モードの入浴タイマー機能を中止して、のぼせ防止モードの入浴タイマー機能に変更できる。よって、第三者に対し、誤って、快眠入浴モードの機能による第2報知が行われてしまうことを防止できる。
【0191】
さらに、のぼせ防止モードの入浴タイマー機能に切り替えられると、既に開始された入浴タイマー部128の計時がそのまま利用されて、計測時間がのぼせ防止モードでの入浴時間(第1時間An)に到達したときに第1報知が行われる。よって、第三者は、のぼせ防止モードの入浴タイマー機能の効果を受けられる。
【0192】
さらに、給湯装置10は、携帯端末装置20と通信を行うための無線通信部137を備え、無線通信部137が携帯端末装置20から送信された中止指令、即ち変更指令を受信するような構成とされている。これにより、使用者は、携帯端末装置20から快眠入浴モードの入浴タイマー機能を第1モードの入浴タイマー機能に変更できる。
【0193】
さらに、入浴タイマー機能のモードが快眠入浴モードに設定されている場合、温度センサS5からの湯温データに基づいて、浴槽2に入浴している入浴者の深部体温が入浴開始から第1値上昇するために要する時間が決定され、当該時間が第2時間Bnとして入浴時間に設定される。これにより、浴槽2内の湯温によらず、使用者の深部体温が睡眠導入に効果的となる程度に上昇した状態において、スピーカ126により第2報知を行い、使用者を浴槽2から退浴させることができる。
【0194】
さらに、入浴タイマー機能のモードがのぼせ防止モードに設定されている場合、温度センサS5からの湯温データに基づいて、浴槽2に入浴している入浴者の深部体温が入浴開始から第1値よりも大きな第2値上昇するために要する時間が決定され、当該時間が第1時間Anとして入浴時間に設定される。これにより、浴槽2内の湯温によらず、使用者の深部体温が、体調不良症状を発すると懸念される程度に上昇した状態において、スピーカ126により第1報知を行い、使用者に注意喚起を行うことができる。
【0195】
<変更例>
上記実施形態では、浴槽2内に浸かる入浴者の深部体温を、人体熱モデルHMを用いて推定することにより、第1入浴時間決定テーブル124aおよび第2入浴時間決定テーブル124bが作成されている。しかしながら、浴槽2内に入浴している被験者の深部体温を、実際に体温計を用いて測定することにより、第1入浴時間決定テーブル124aおよび第2入浴時間決定テーブル124bが作成されてもよい。
【0196】
さらに、上記実施形態では、第1入浴時間決定テーブル124aおよび第2入浴時間決定テーブル124bが記憶部124に記憶され、当該第1入浴時間決定テーブル124aおよび第2入浴時間決定テーブル124bを参照して、入浴時間に設定される第1時間Anおよび第2時間Bnが決定される。しかしながら、第1入浴時間決定テーブル124aおよび第2入浴時間決定テーブル124bを用いて、目的変数を第1時間Anおよび第2時間Bn、説明変数を浴槽2内の湯温および浴室3内の気温とする第1回帰式および第2回帰式を作成し、これら回帰式を記憶部124に記憶させるようにしてもよい。この場合、湯温データと気温データとを用いた第1回帰式および第2回帰式による演算により、第1時間Anおよび第2時間Bnが決定される。
【0197】
さらに、上記実施形態では、入浴開始から深部体温が第1値上昇するような時間が第2時間Bnとされている。しかしながら、深部体温が所定の第1温度(たとえば、37.5℃)に到達する入浴開始からの時間が第2時間Bnとされてもよい。また、上記実施形態では、入浴開始から深部体温が第1値よりも大きな第2値上昇するような時間が第1時間Anとされている。しかしながら、深部体温が第1温度よりも高い第2温度(たとえば、38℃)に到達する入浴開始からの時間が第1時間Anとされてもよい。
【0198】
さらに、上記実施形態では、入浴時間に設定される第1時間Anおよび第2時間Bnを決定するために、浴槽2内の湯水の温度を示す湯温データとして、温度センサS5により検出された温度の温度データが、制御部123により取得される(
図13のS304)。しかしながら、浴槽2内の湯水の温度を示す湯温データとして、記憶部124に記憶されたふろ設定温度の温度データが、制御部123により取得されてもよい。ふろ自動機能(保温機能)により、浴槽2内の湯水の温度は、ふろ設定温度とほぼ等しくなる。よって、ふろ設定温度を浴槽2内の湯温と見做すことができる。記憶部124は、温度データ出力部として、浴槽2内の湯水の温度を示す湯温データを出力する。
【0199】
さらに、上記実施形態では、湯温データと気温データとに基づいて、入浴時間に設定される第1時間Anおよび第2時間Bnが決定される。しかしながら、第1時間Anおよび第2時間Bnの決定に気温データが用いられないようにされてもよい。
【0200】
さらに、上記実施形態では、浴室リモコン12のスピーカ126により、入浴時間の経過に基づく第1報知および第2報知が行われる。しかしながら、浴室リモコン12だけでなく、台所リモコン13において、スピーカ136による音声や表示入力部131による画面表示により、第1報知および第2報知が行われてもよい。あるいは、携帯端末装置20において、スピーカ303による音声や表示部301による画面表示により、第1報知および第2報知が行われてもよい。この場合、たとえば、入浴時間が経過したことに基づいて、浴室リモコン12の制御部123から台所リモコン13や携帯端末装置20に、第1報知および第2報知のための指令(通知)が送信される。
【0201】
台所リモコン13により第1報知および第2報知が行われれば、入浴者以外の者も第1報知および第2報知を把握できる。また、携帯端末装置20により第1報知および第2報知が行われれば、使用者が携帯端末装置20を浴室3内に持ち込んでいる場合に、携帯端末装置20からも第1報知および第2報知を受けられる。よって、たとえば、使用者は、イヤフォンを付けて携帯端末装置20を使用しているなど、スピーカ126からの第1報知および第2報知に気づきにくい状況においても、第1報知および第2報知に気づくことができ得る。
【0202】
さらに、上記実施形態では、携帯端末装置20において、就寝時刻の設定、開始操作および中止操作の受付、入浴を促す入浴報知および就寝を促す就寝報知が行われる。しかしながら、携帯端末装置20のみならず、これ以外の端末装置、たとえば、台所リモコン13において、就寝時刻の設定、開始操作および中止操作の受付、入浴報知および就寝報知が行われるようにされてもよい。この場合、台所リモコン13の制御部133は、
図9および
図12(a)の処理と同様の処理を実行し、表示入力部131に、就寝時刻設定画面410、入浴報知のための入浴時刻報知画面420、開始操作画面430、就寝報知のための就寝時刻報知画面440および中止操作画面450と同様な画面を表示させる。なお、スピーカ136により入浴報知および就寝報知が行われてもよい。これにより、使用者が、手元に携帯端末装置20を所持していない場合にも、入浴報知および就寝報知に気づきやすくなる。なお、台所リモコン13等の端末装置において、就寝時刻の設定や開始操作および中止操作の受付は行われず、携帯端末装置20からの報知指令を受けて、入浴報知および就寝報知が行われてもよい。
【0203】
さらに、上記実施形態において、ふろシステム1に、浴室3内に対する人の入退出を検知する人感センサが備えられることにより、制御部123は、開始指令を受けたときに浴室3内に人が存在していれば、当該開始指令を受け付けず、快眠入浴モードの機能を進行しないようにしてもよい。さらに、制御部123は、開始指令を受けてから所定時間が経過しても浴室3内に人が入って来ない場合に、快眠入浴モードの機能を中止するようにしてもよい。
【0204】
さらに、上記実施形態では、携帯端末装置20において、入浴を促す入浴報知が行われた後、制御部304(開始操作受付部304d)により開始操作が受け付けられ、当該開始操作に基づいて、制御部304(送信処理部304f)が開始指令を給湯装置10に送信する。しかしながら、入浴報知が行われた後、開始操作が受け付けられることなく、制御部304(送信処理部304f)により開始指令が給湯装置10に送信されるようにしてもよい。
【0205】
さらに、上記実施形態では、入浴検知部111aは、水位センサS1が検知した浴槽2内の水位変動に基づいて浴槽2内への人の入浴を検知する。しかしながら、たとえば、浴槽2内に人が存在することを検知する人感センサが、入浴検知センサとして設けられ、人感センサが人を検知したときに、入浴検知部111aが、浴槽2内への入浴があったと検知するようにしてもよい。
【0206】
さらに、上記実施形態では、入浴検知部111aが給湯器11に設けられ、入浴時間設定部123a、機能実行部123b、モード設定部123cおよび入浴タイマー部128が浴室リモコン12に設けられるが、これら各部の配置はこれに限られるものではない。たとえば、これら各部の全てが、浴室リモコン12に設けられてもよいし、給湯器11に設けられてもよい。入浴検知部111aが、浴室リモコン12に設けられる場合、水位センサS1の検知結果が逐次、浴室リモコン12に送信される。入浴時間設定部123a、機能実行部123b、モード設定部123cおよび入浴タイマー部128が給湯器11に設けられる場合、制御部123通じてスピーカ126に第1報知および第2報知等の報知を行わせるための指令が、浴室リモコン12に送信される。
【0207】
さらに、上記実施形態において、就寝時刻受付部304a、報知時刻決定部304b、報知処理部304c、開始操作受付部304d、中止操作受付部304e、送信処理部304f、入浴検知部111a、入浴時間設定部123a、機能実行部123bおよびモード設定部123cは、必ずしも、プログラムに基づく機能として実現されなくてもよく、ロジック回路に基づくハードウエアにより実現されてもよい。
【0208】
さらに、上記実施形態では、開始操作に基づいて実行される第2モードの入浴タイマー機能が快眠入浴モードの入浴タイマー機能とされており、第2モードの入浴タイマー機能が実行されないときに実行される第1モードの入浴タイマー機能がのぼせ防止モードの入浴タイマー機能とされている。しかしながら、第2モードの入浴タイマー機能が快眠入浴モード以外の入浴タイマー機能とされ、第1モードの入浴タイマー機能がのぼせ防止モード以外の入浴タイマー機能とされてもよい。たとえば、快眠入浴モードの入浴タイマー機能が第2モードの入浴タイマー機能とされたときに、使用者が予め設定した時間が入浴時間に設定される時間設定モードの入浴タイマー機能が第1モードの入浴タイマー機能とされてもよい。あるいは、のぼせ防止モードの入浴タイマー機能が第1モードの入浴タイマー機能とされたときに、時間設定モードの入浴タイマー機能が第2モードの入浴タイマー機能とされてもよい。あるいは、のぼせ防止モードの入浴タイマー機能が第2モードの入浴タイマー機能とされたときに、時間設定モードの入浴タイマー機能が第1モードの入浴タイマー機能とされてもよい。
【0209】
さらに、上記実施形態では、携帯端末装置20がサーバ50を介して給湯装置10と通信可能に接続される。しかしながら、携帯端末装置20が、近距離無線通信により、サーバ50を介することなく給湯装置10と通信可能に接続されてもよい。
【0210】
さらに、給湯器11の構成は、
図2および
図3に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。たとえば、給湯器11は、給湯部210に相当する構成のみを有し、浴槽2内に給湯することにより湯張りや足し湯は行えるが、追い焚きは行えないものでもよく、追い焚き部220に相当する構成のみを有し、湯張りの際に、浴槽2に溜められた水を熱交換器に循環させて暖めるものであってもよい。
【0211】
さらに、給湯装置10は、ガス燃料を用いるものに限らず、オイルを燃料とする給湯装置であってもよい。給湯装置10は、貯留タンクを用いた貯留式のものであってもよく、燃料電池等の発電ユニットをさらに備えた構成であってもよい。
【0212】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0213】
1 ふろシステム
2 浴槽
10 給湯装置(ふろ装置)
20 携帯端末装置(端末装置)
111a 入浴検知部
123a 入浴時間設定部
123b 機能実行部
123c モード設定部
126 スピーカ(報知部)
128 入浴タイマー部
137 無線通信部(通信部)
304f 送信処理部
S5 温度センサ(湯温データ出力部)