(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148142
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】合成ユニット
(51)【国際特許分類】
G02B 6/125 20060101AFI20241009BHJP
H04B 10/516 20130101ALI20241009BHJP
H04B 10/70 20130101ALI20241009BHJP
G02B 6/30 20060101ALI20241009BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
G02B6/125 301
H04B10/516
H04B10/70
G02B6/30
G02B6/42
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024024818
(22)【出願日】2024-02-21
(31)【優先権主張番号】2304984.4
(32)【優先日】2023-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】チスラバヌ ペルマンガット
(72)【発明者】
【氏名】タオフィク パライソ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィンダー シン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジェームス シールズ
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
5K102
【Fターム(参考)】
2H137AA05
2H137AB06
2H137AB09
2H137AB11
2H137BA05
2H137BA15
2H137BA46
2H137BB02
2H137BB03
2H137BB17
2H137BC73
2H137CA13A
2H137CC01
2H147AB21
2H147BA12
2H147BD02
2H147BE13
2H147CA03
2H147CA05
2H147CB01
2H147CD02
2H147CD04
5K102AB11
5K102PA12
5K102PB02
5K102PB03
5K102PB14
5K102PH01
5K102PH21
5K102PH22
5K102PH31
5K102PH50
5K102RB07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より安定した偏光状態をもたらすことのできる合成ユニットを提供する。
【解決手段】複数の光入力を単一の光出力へ合成する合成ユニットであって、フォトニック集積回路を備え、フォトニック集積回路は、複数の低複屈折導波路(LBW)と、各LBWが、複数の光入力のうちの光入力に結合される、複数の光入力で受信された複数の光信号を出力光信号へ合成するために、複数のLBWに結合され、および単一の光出力に結合された、少なくとも1つの低複屈折カプラ(LBC)とを備える、合成ユニット。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光入力を単一の光出力へ合成する合成ユニットであって、
フォトニック集積回路を備え、前記フォトニック集積回路は、
複数の低複屈折導波路(LBW)と、各LBWが、前記複数の光入力のうちの光入力に結合される、
前記複数の光入力で受信された複数の光信号を出力光信号へ合成するために、前記複数のLBWに結合され、および前記単一の光出力に結合された、少なくとも1つの低複屈折カプラ(LBC)と
を備える、合成ユニット。
【請求項2】
前記複数の光入力は、少なくとも3つの光入力を備え、
ここにおいて、前記少なくとも1つのLBCは、複数の順次結合段に配置された複数のLBCを備え、
ここにおいて、前記複数の順次結合段は、最終段と少なくとも1つの先行段とを備え、前記最終段は、前記単一の光出力に結合された出力LBCを有し、前記少なくとも1つの先行段は、第1の入力と第2の入力とを、後続段の入力に結合された単一のLBC出力へ合成するように構成された、少なくとも1つのLBCを有する、請求項1に記載の合成ユニット。
【請求項3】
ファイバアレイをさらに備え、前記ファイバアレイは、
複数の偏波保持光ファイバ(PMF)を備え、各PMFは、前記合成ユニットの前記複数の光入力のうちの光入力に結合され、
ここにおいて、各PMFは、高速光軸と低速光軸とを備え、ここにおいて、前記複数のPMFは、互いに対して非ゼロ角度で回転される、請求項1に記載の合成ユニット。
【請求項4】
前記複数の光入力は4つの光入力を備え、前記複数のPMFは4つのPMFを含む、請求項3に記載の合成ユニット。
【請求項5】
送信機であって、
請求項3に記載の合成ユニットと、
複数の出力を有する光源と、各出力が、前記ファイバアレイのPMFに結合され、ここにおいて、前記光源が、前記複数の出力の各々において第1の波長で光のパルスを出力するように構成される、
を備える、送信機。
【請求項6】
前記光源は、複数のレーザを備え、前記複数のレーザの各レーザは、前記複数の出力のうちの出力に結合される、請求項5に記載の送信機。
【請求項7】
前記複数のレーザの各レーザは、前記レーザの強度を変調するための制御信号を受信するように構成される、請求項6に記載の送信機。
【請求項8】
前記光源は、
レーザと、
前記レーザに結合され、前記レーザの出力を変調するように構成された出力強度変調器と、
複数の強度変調器と、各強度変調器が、前記複数の出力のうちの出力に結合され、制御信号に応答して前記出力における光の出力を透過または遮断するように構成される、
を備える、請求項5に記載の送信機。
【請求項9】
前記光源は、複数の位相変調器をさらに備え、各位相変調器は、前記複数の強度変調器のそれぞれの強度変調器に結合され、前記制御信号に応答して、受信された光の位相を調整するように構成される、請求項8に記載の送信機。
【請求項10】
送信機であって、
請求項1に記載の合成ユニットと、
複数の出力を有する光源と、各出力が、前記複数の光入力のうちの光入力に結合される、
を備え、
ここにおいて、前記光源が、前記複数の出力の各々において第1の波長で光のパルスを出力するように構成される、送信機。
【請求項11】
前記光源は、前記複数の出力の各々における偏光された光出力の偏光を変調するための少なくとも1つの制御信号を受信するように構成される、請求項10に記載の送信機。
【請求項12】
前記光源は、パルスのシーケンスとして複数の光パルスを生成する、請求項5に記載の送信機。
【請求項13】
前記光源は、1未満(<1)の平均光子数を有する複数の光パルスを生成する、請求項5に記載の送信機。
【請求項14】
前記合成ユニットの前記単一の光出力が自由空間出力に結合され、または
前記単一の光出力が単一モード光ファイバに結合され、前記送信機が、任意選択で、前記単一モード光ファイバの出力に結合された1つもしくは複数の複屈折素子を備える、請求項5に記載の送信機。
【請求項15】
請求項5に記載の送信機を備える、量子エンコーダ。
【請求項16】
請求項15に記載の量子エンコーダと、量子デコーダとを備える、量子通信システム。
【請求項17】
複数の光入力を単一の光出力へ合成するための方法であって、
前記複数の光入力のうちの光入力を、複数の低複屈折導波路(LBW)のうちの1つに提供することと、
前記複数のLBWの出力を、少なくとも1つの低複屈折カプラ(LBC)に提供することと、前記少なくとも1つのLBCの複数の入力が前記複数のLBWに結合され、前記少なくとも1つのLBCの出力が前記単一の光出力に結合される、
を備える、方法。
【請求項18】
偏光符号化信号を発生させる方法であって、
複数の光パルスを発生させることと、
前記複数の光パルスをファイバアレイ内へ導くことと、前記ファイバアレイが複数の偏波保持光ファイバ(PMF)を備え、ここにおいて、各PMFが高速光軸と低速光軸とを備え、ここにおいて、前記複数のPMFは、前記ファイバアレイが複数の偏光パルスを出力するように、互いに対して非ゼロ角度で回転される、
請求項17に記載の方法に従って前記複数のPMFの複数の出力を合成することと
を備える、方法。
【請求項19】
偏光符号化信号を発生させる方法であって、
複数の偏光された光パルスを発生させることと、
請求項17に記載の方法に従って前記複数の偏光された光パルスを合成することと
を備える、方法。
【請求項20】
量子通信の方法であって、
請求項18に記載の偏光符号化信号を発生させることと、ここにおいて、前記複数のPMFから出力される前記複数の偏光パルスが、2つの偏光基底の複数の状態からランダムに選択される、
前記偏光符号化信号を受信機で受信することと、
前記2つの偏光基底に基づいて、前記受信された複数の偏光符号化信号を復号することと
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、合成ユニット、ならびに量子通信システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
量子通信システムでは、情報は、単一光子などの符号化された単一量子によって送信機と受信機との間で送られる。各光子は、偏光などの光子の特性上に符号化され得る1ビットの情報を搬送する。
【0003】
量子鍵配送(QKD)は、しばしば「アリス」と呼ばれる送信機と、しばしば「ボブ」と呼ばれる受信機との二者間で、暗号鍵の共有をもたらす技法である。この技法の魅力は、しばしば「イブ」と呼ばれる不正な盗聴者に鍵の任意の部分が知られた可能性があるかどうかのテストを提供するということである。量子鍵配送の多くの形態において、アリスとボブは、ビット値を符号化するための2つ以上の非直交基底を使用する。量子力学の法則は、コピーにエラーを生じることなしに未知の量子状態がクローン化され得ないことを要求する。各々の符号化基底の事前知識なしでのイブによる光子の測定は、符号化シンボルの推定にエラーをもたらす。彼女がボブに光子を再送したとき、状態はもはやアリスにより当初送られたものと同じでなく、アリスとボブの間で共有される最終的ビット値にエラーを生じる。したがって、それらの共通のビット列の一部を比較することによって、アリスとボブは、イブがどれだけの情報を得たかを定量化することができる。
【0004】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態が例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、実施形態による合成ユニットの概略図である。
【
図2A】
図2Aは、実施形態による合成ユニットの概略図である。
【
図2B】
図2Bは、実施形態による合成ユニットの概略図である。
【
図3】
図3は、実施形態による送信機を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態によるファイバアセンブリの第1の端部および第2の端部の断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態による光源の概略図である。
【
図6】
図6は、実施形態による光源の概略図である。
【
図7B】
図7Bは、実施形態による光源の端部の断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態による量子通信システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
様々な態様および実施形態が添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0007】
実施形態において、複数の光入力を単一の光出力へ合成する合成ユニットであって、
フォトニック集積回路を備え、フォトニック集積回路は、
複数の低複屈折導波路(LBW)と、各LBWが、複数の光入力のうちの光入力に結合される、
複数の光入力で受信された複数の光信号を出力光信号へ合成するために、複数のLBWに結合され、および単一の光出力に結合された、少なくとも1つの低複屈折カプラ(LBC)と
を備える、合成ユニットが提供される。
【0008】
光偏光状態を変調することによって情報が符号化されることが可能であり、実際の用途では、2つの直交基底状態を備える以下の互いに偏らない基底から状態が選ばれ得る。これらは、それぞれ角度0度および90度で配向される直線偏光状態の水平「H」および垂直「V」、ならびに、それぞれ45度および-45度で配向される対角線形偏光状態の対角「D」および反対角「A」を含む互いに偏らない基底であり得る。
【0009】
量子通信システムの実施形態では、量子情報は偏光基底を使用して光子などの単一量子上に符号化され得る。光子は、量子エンコーダや量子デコーダなどの光学デバイス内の光学コンポーネントを通して、および自由空間内、光ファイバ内、またはオンチップの量子通信チャネルを介して送信される。偏光光子はまた、光学デバイス内で一緒に合成されて、さらなる偏光状態を生じ得る。
【0010】
本明細書に記載の実施形態は、改善された安定性、小さい設置面積(footprint:フットプリント)、および符号化された光子の識別不能性を確実にする正確なアライメントを有する、量子情報の通信を容易にする。
【0011】
導波路内に受信光パルスを光学的に閉じ込める開示されたフォトニック集積回路を使用することにより、改善されたアライメント精度を提供する。特に偏光非依存導波路である導波路およびカプラの使用が、より安定した偏光状態をもたらす。
【0012】
本明細書に開示されている実施形態は、自由空間光コンバイナと比較して、改善されたアライメントを提供する。自由空間コンバイナは、識別不能性を確実にするために、レーザおよび光学ビームの非常に精密な機械的アライメントを必要とする。また、本明細書に記載の実施形態は、ファイバに存在する複屈折およびファイバの機械的回転による偏光変化をもたらし得る、ファイバベースの光コンバイナの改善を実現する。自由空間光コンバイナとファイバベースの光コンバイナは両方とも、大きいフットプリント(自由空間での複数のかさばるコンポーネントの提供、または複数のファイバおよびコネクタの使用によるものを含む)を必要とする。
【0013】
実施形態において、上記のような合成ユニットが提供され、
ここにおいて、複数の光入力は、少なくとも3つの光入力を備え、
ここにおいて、少なくとも1つのLBCは、複数の順次結合段に配置された複数のLBCを備え、
ここにおいて、複数の順次結合段は、最終段と少なくとも1つの先行段とを備え、最終段は、単一の光出力に結合された出力LBCを有し、少なくとも1つの先行段は、第1の入力と第2の入力とを、後続段の入力に結合された単一のLBC出力へ合成するように構成された、少なくとも1つのLBCを有する。
【0014】
実施形態において、送信機が提供され、送信機は、
上記のような合成ユニットと、
複数の出力を有する光源と、各出力が、複数の光入力のうちの光入力に結合される、
を備え、
ここにおいて、光源が、複数の出力の各々において第1の波長で光のパルスを出力するように構成される。
【0015】
実施形態において、光源は、複数の出力の各々における偏光された光出力の偏光を変調するための少なくとも1つの制御信号を受信するように構成される。
【0016】
実施形態において、上記のような合成ユニットは、ファイバアレイをさらに備え、ファイバアレイは、
複数の偏波保持光ファイバ(PMF)を備え、各PMFは、合成ユニットの複数の光入力のうちの光入力に結合され、
ここにおいて、各PMFは、高速光軸と低速光軸とを備え、ここにおいて、複数のPMFは、互いに対して非ゼロ角度で回転される。
【0017】
実施形態において、複数の光入力は4つの光入力を備え、複数のPMFは4つのPMFを含む。
【0018】
実施形態において、送信機が説明され、送信機は、
上記のような合成ユニットと、
複数の出力を有する光源と、各出力が、ファイバアレイのPMFに結合され、ここにおいて、光源が、複数の出力の各々において第1の波長で光のパルスを出力するように構成される、
を備える。
【0019】
光源は、複数のレーザを備え、複数のレーザの各レーザは、複数の出力のうちの出力に結合される。
【0020】
実施形態において、複数のレーザの各レーザは、レーザの強度を変調するための制御信号を受信するように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、光源が、
レーザと、
レーザに結合され、レーザの出力を変調するように構成された出力強度変調器と、
複数の強度変調器と、各強度変調器が、複数の出力のうちの出力に結合され、制御信号に応答して出力における光の出力を透過または遮断するように構成される、
を備える。
【0022】
いくつかの実施形態では、光源は、複数の位相変調器をさらに備え、各位相変調器は、複数の強度変調器のそれぞれの強度変調器に結合され、制御信号に応答して、受信された光の位相を調整するように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態では、光源は、パルスのシーケンスとして複数の光パルスを生成する。
【0024】
いくつかの実施形態では、光源は、<1の平均光子数を有する複数の光パルスを生成する。
【0025】
いくつかの実施形態では、合成ユニットの単一の光出力が自由空間出力に結合され、または、単一の光出力が単一モード光ファイバに結合され、送信機が、任意選択で、単一モード光ファイバの出力に結合された1つもしくは複数の複屈折素子を備える。
【0026】
いくつかの実施形態では、上記のような送信機を備える量子エンコーダが説明される。
【0027】
いくつかの実施形態では、上記のような量子エンコーダと、量子デコーダとを備える、量子通信システムが説明される。
【0028】
いくつかの実施形態では、複数の光入力を単一の光出力へ合成するための方法であって、
複数の光入力のうちの光入力を、複数の低複屈折導波路(LBW)のうちの1つに提供することと、
複数のLBWの出力を、少なくとも1つの低複屈折カプラ(LBC)に提供することと、少なくとも1つのLBCの入力が複数のLBWに結合され、少なくとも1つのLBCの出力が単一の光出力に結合される、
を備える、方法が説明される。
【0029】
いくつかの実施形態では、偏光符号化信号を発生させる方法であって、
複数の光パルスを発生させることと、
複数の光パルスをファイバアレイ内へ導くことと、ファイバアレイが複数の偏波保持光ファイバ(PMF)を備え、ここにおいて、各PMFが高速光軸と低速光軸とを備え、ここにおいて、複数のPMFは、ファイバアレイが複数の偏光パルスを出力するように、互いに対して非ゼロ角度で回転される、
上記のような方法に従って複数のPMFの複数の出力を合成することと
を備える、方法が説明される。
【0030】
いくつかの実施形態では、偏光符号化信号を発生させる方法であって、
複数の偏光された光パルスを発生させることと、
上記のような方法に従って複数の偏光された光パルスを合成することと
を備える、方法が説明される。
【0031】
いくつかの実施形態では、量子通信の方法であって、
請求項18または19に記載の偏光符号化信号を発生させることと、PMFから出力される複数の偏光パルスが、2つの偏光基底の状態からランダムに選択される、
偏光符号化信号を受信機で受信することと、
2つの偏光基底に基づいて、受信された偏光符号化信号を復号することと
を備える、方法が説明される。
【0032】
図1は、合成ユニット100を示す。合成ユニット100は、複数の光入力102を単一の光出力104へ合成するように構成され、したがって、入力光信号のマルチプレクサとして動作する。
図1には、4つの光入力102a~102dを示しているが、その数は4つに限定されない。数は、より大きく(たとえば、8)またはより小さくてよく、少なくとも2つであり得る。
【0033】
合成ユニット100は、フォトニック集積回路(PIC)110を備える。PIC110は、低複屈折を有する複数の導波路112、以下「低複屈折導波路」または「LBW」を備える。低複屈折導波路の例は、光学的に等方性の(すなわち、材料内のすべての方向で屈折率が同じ)材料を備える導波路である、光学的に等方性の導波路を含む。さらなる例は、一軸複屈折を有する導波路を含む。この例では、屈折率は、光学軸の方向に直交するすべての方向に等しく、この光学軸は、導波路内の光伝播の方向と整列されている。さらなる例は、光学軸に直交する方向に<5×10-5の複屈折(5×10-5より小さい複屈折)を有する導波路である。低複屈折を有する各LBWは、軸もしくは位相回転なしに、または最小限の軸もしくは位相回転で光を伝播するように構成される。したがって、LBWは、LBWに入る任意の与えられた偏光の光パルスの偏光を保存する。各LBWは、低複屈折材料で形成され、円対称の断面を有する。LBWは、基板上に層蒸着によって製作されてよく、またはガラス基板上への指向性レーザ書き込みによって形成されてもよい。導波路を形成するとき、導波路の内部応力は、形成された導波路の低複屈折を維持するように最小化される。応力低減方法は、方向の急激な変化を回避すること、導波路側壁における鋭いエッジを回避すること、または制御されたマルチモード導波路を使用することを含む。
【0034】
各LBWは、複数の光入力102の光入力に結合される。
図1は、4つのLBW112a~112dを示し、各LBWは、4つの光入力102a~102dにそれぞれ結合されるが、他の実施形態では、その数が異なることがあり、少なくとも2である。LBW112の数は、光入力102の数に対応し得る。PIC110は、低複屈折を有する少なくとも1つのカプラ、以下、低複屈折カプラまたは「LBC」114をさらに備える。低複屈折を有する各LBCは、軸もしくは位相回転なしに、または最小限の軸もしくは位相回転で光を伝播および結合するように構成される。したがって、LBCは、LBCに入る任意の与えられた偏光の光パルスの偏光を保存する。
【0035】
少なくとも1つのLBCは、複数の光入力102で受信された光信号を出力光信号へ合成するために、複数のLBW112に結合され、および単一の光出力104に結合される。各LBCは、出力ポートでパルスへ入力パルスを合成する2×1ビームコンバイナであり得る。LBCは、上述のLBWを形成するために使用されるのと同じ材料から形成されてよい。たとえば、LBCは3つのLBWの端部を一緒につなげたものであり、LBWのうちの2つは入力分岐を形成し、3つ目のLBWは出力分岐を形成している。LBCを形成するLBWの対称性は、形成プロセスの間に維持され、たとえば、LBWは、LBCのコンポーネントにおける低複屈折を維持するために、低応力の条件下で曲げられて一緒に結合される。
【0036】
LBWおよびLBCにより、PICは、複数の光入力102のいずれかで任意の偏光の光入力を受信し、任意の偏光を維持しながら、光入力を単一の出力に送信することができる。
【0037】
図1の合成ユニット100は、4つの光入力を1つの光出力に合成するように構成された合成ユニットであり、合成ユニットは3つのLBCを備える。そのような合成ユニットは、合成ユニットが{H,V}基底または{D,A}基底の状態で符号化されたパルスを受信する量子鍵配送用途に適用されてよく、ここで、各光入力は、異なる偏光基底で光パルスを受信するように構成される。たとえば、この合成ユニットは、4状態BB84プロトコルで符号化されたパルスを受信し合成するために使用され得る。
【0038】
他の実施形態では、合成ユニットは、異なる数の光入力を含んでよく、LBWおよびLBCが提供されてよい。
図2Aおよび
図2Bは、2つの例示的実施形態を示す。
図2Aでは、合成ユニット200-Aが、3つの光入力を1つの光出力に結合する。
図2Bでは、合成ユニット200-Bが、8つの光入力を1つの光出力に結合する。一般に、複数の光入力102は、少なくとも3つの光入力を備えてよく、少なくとも1つのLBCは、順次結合段202に配置された複数のLBCを備える。結合段は、最終段202-Fと、少なくとも1つの先行段202-Pとを備える。最終段は、単一の光出力と少なくとも1つの先行段202-Pとに結合された、出力LBC204を備える。少なくとも1つの先行段は、少なくとも1つのLBCを含み、各LBCは、第1の入力および第2の入力を単一のLBC出力に合成するように構成される。次いで、単一のLBC出力は、次の段の入力に結合される。
【0039】
図2Aの例では、合成ユニット200-Aは、LBWを介して2つの光入力212aおよび212bを受け取り、最終段202-FのLBC204の入力に結合するように構成された1つだけの先行段を含む。合成ユニット200-Aの第3の光入力212cは、LBC204の入力に結合される。
図2Aの合成ユニット200-Aは、合成ユニットが{H,V}基底または{D,A}基底の状態で符号化されたパルスを受信する量子鍵配送用途に適用されてよく、ここで、各光入力は、2つの偏光基底における3つの状態のうちの1つの光パルスを受信するように構成される。たとえば、この合成ユニットは、3状態BB84プロトコルで符号化されたものを受信し合成するために使用され得る。
【0040】
図2Bの例では、合成ユニット200-Bは、2つの先行段202-P1および202-P2を含む。第1の先行段202-P1は、8つの光入力212a~212hを受け取り、第1の段202-P1に位置する4つのLBCの入力に結合するように構成される。次いで、4つのLBCの出力は、第2の段202-P2に位置する2つのLBCの入力に結合される。次いで、2つのLBCの出力は、最終段202-FにおいてLBC204の入力に結合される。
図2Aの合成ユニット200-Aは、光の偏光によって符号化されたパルスを合成ユニットが受信する量子鍵配送用途に適用され得る。たとえば、パルスは、{H,V}基底、{D,A}基底、および2つの追加の直交基底(たとえば、{H,V}基底、{D,A}基底に対応する直交基底で、各基底がさらに量δradだけ回転される)における状態のような、8つの可能な状態のうちの1つで符号化され得る。たとえば、この合成ユニットは、5つ以上の状態(たとえば、6状態または8状態BB84)を使用してQKDプロトコルで符号化されたものを受信し合成するために使用され得る。
【0041】
代替的に、パルスは{H,V}基底、{D,A}基底の状態でのみ符号化され得るが、各光入力は、異なる強度のパルスを受信するように構成され得る。たとえば、4つの光入力212a~212dは、第1の強度で{H,V}基底および{D,A}基底で符号化されたパルスを受信するように構成されてよく、4つの光入力212a~212dは、第2の強度で{H,V}基底および{D,A}基底で符号化されたパルスを受信するように構成されてよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、各合成ユニット200は、追加のLBWを含み得る。たとえば、先行段のLBCの出力を後段のLBCの入力と結合する追加のLBWが存在してよく、最終段を合成ユニットの出力に結合するLBWが存在してもよい。
【0043】
本明細書に記載の合成ユニットのいずれにおいても、合成ユニット100の単一の光出力は、単一モード光ファイバに結合されてよく、または自由空間出力に結合されてよい。したがって、合成ユニット100は、光ファイバチャネルを介して量子情報を送信するもの、および自由空間チャネルを介して量子情報を送信するものを含む、幅広い用途に適合され得る。複数の光入力は、自由空間入力またはファイバ入力に結合されてもよい。たとえば、コンバイナ入力が、(後述されるように)ファイバアレイを介して光源に結合されてよく、または光源に直接もしくは自由空間光リンクを介して結合されてよい。
【0044】
自由空間合成後に自由空間に直接出力することにより、単一モード出力ファイバに起因する位相ドリフトの補償を回避する。これにより、合成ユニットは、衛星通信のような自由空間通信状況において特に有用である。
【0045】
いくつかの実施形態では、結合ユニットのすべての入力および出力が、ファイバ結合コンポーネントを含む。したがって、合成ユニット全体が、(以下に説明される光源を含む他のモジュール、および量子通信チャネルを形成する光ファイバケーブル、または他の光ファイバ出力を有する)モジュールアセンブリにおけるモジュールであり得る。したがって、合成ユニットは、汎用性が高く用途が柔軟な「プラグ・アンド・プレイ」システムを提供する。
【0046】
本明細書に記載の合成ユニットは、複数の光入力を単一の光出力に合成するための方法で使用され得る。この方法は、複数の光入力のうちの光入力を、複数のLBWのうちの1つに提供することと、複数のLBWの出力を、少なくとも1つのLBCに提供することと、少なくとも1つのLBCの入力が複数のLBWに結合され、少なくとも1つのLBCの出力が単一の光出力に結合される、を備える。
【0047】
各合成ユニットは、光を受信するために設けられ、QKD符号化装置の一部として配備され得る。第1の組の実施形態では、合成ユニットは、偏光素子を備え、光源から光パルスを受信するように適合される。この第1の組の実施形態では、合成ユニット自体が、光がPICに入力される前に、光を所望の偏光基底に偏光させるように適合される。第2の組の実施形態では、合成ユニットは、所望の偏光基底で光を出力する光源から、既に所望の偏光基底に偏光された光を受信するように構成される。
【0048】
第1の組の実施形の例示的実施形態において、
図3は、ファイバアレイ320を含む合成ユニット310を示す。ファイバアレイ320は、合成ユニット110と組み合わせて示されているが、ファイバアレイは、上述された合成ユニットのいずれにも追加され得る。ファイバアレイ320は、複数の偏波保持光ファイバ320a~320d(以下、PMF)を備える。各PMFの第1の端部は、合成ユニット110の複数の光入力120のうちの光入力に結合される。各PMFの第2の端部は、PICの複数のLBWのそれぞれ1つに合成される。
【0049】
図4は、ファイバアレイ320における各ファイバの断面を示す。ファイバアレイの第1の端部320-1は、各光ファイバの第1の端部の断面320a-1~320d-1を示し、ファイバアレイの端部320-2は、各光ファイバの第2の端部の断面320a-2~320d-2を示す。各PMFは、異なる速度で各ファイバに沿って伝播する2つの明確に定義された偏光モードを可能にする複屈折を有する。光は低速軸上を伝播するため、偏光状態は大気の状態(温度変化など)によって変化しない。このように、各PMFは、高速光軸330と低速光軸325とを備える。多くの異なるタイプの偏波保持ファイバがある。ファイバは、幾何学的に非対称であってよく、または非対称である屈折率プロファイルを有してよい。代替的に、応力複屈折を生成するために、応力がファイバ内に永続的に誘導されてよい。これは、クラッド内に含まれる他の材料のロッドを使用して達成されてよい。
図3は、中心のコアの周りに応力複屈折を生成する2本のロッドが存在する、いわゆる「PANDA」型を示している。しかしながら、これは単なる例であり、他のタイプのファイバ(たとえば、ボウタイタイプ、または楕円コア)が使用されてもよい。
【0050】
複数のPMFは、光ファイバの第1の端部320a-1から320d-1の各々が高速軸と低速軸の同じアライメントを有するように、アレイに配置される。複数のPMFの第2の端部の各々は、互いに対して非ゼロ角度で回転される。ファイバの回転は、ファイバの低速軸の回転を引き起こす。光は低速軸に沿ってファイバの機械的回転に伝播し、ファイバ内を伝播する偏光状態の回転をもたらす。したがって、ファイバアレイの各ファイバによって出力される異なる偏光状態は、光ファイバの端部の回転の結果である。
図4の例では、光ファイバの第2の端部は、第2の端部320a-2、320b-2、320c-2、320d-2でそれぞれ0°、90°、45°、135°の偏光を出力するように回転され、H、V、D、ADの偏光状態を出力する。
【0051】
上記の実施形態では、光はファイバの幾何学的配向によって偏光されるので、出力偏光は、入力波長にもファイバの温度にも依存しない(出力偏光は屈折率に依存しないため)。これは、振幅混合(すなわち干渉)に依存する他の形態のチップベースの偏光装置および方法とは対照的である。これらの他の形態のチップベースの偏光装置では、最終偏光は、干渉されて最終偏光状態を作る光によって取られる光路の特性に依存する。したがって、最終偏光は、経路長の差およびチップベースのコンポーネントにおける屈折率の変動に依存し得る。したがって、機械的に回転されたPMFを利用する上記の実施形態は、安定性がより高い符号化された偏光状態を提供する。また、機械的に回転されたPMFは、動作中のアクティブな偏光制御の必要性を軽減する。PICはまた、波長や温度に依存しないので、組み立てられたコンバイナシステムは、より高い偏光状態安定性を提供する。
【0052】
ファイバベースの偏光回転は、より安定した偏光状態を提供するが、合成ユニットを作るためにファイバおよびファイバコネクタの長さの追加を必要とするため、偏光状態の結合および合成にもファイバを利用するには、大きなフットプリントおよび重量を有する合成ユニットを必要とする。PICは、ファイバベースの設計よりもコンパクトであるため、合成ユニット、ひいては送信機のフットプリントを大幅に削減する。ファイバアレイは偏光符号化にのみ使用されるため、ファイバの長さは最小限(たとえば、数ミリメートル)に抑えられ得る。多重化デバイス全体は、(後述される)チップベースの光源と合成される場合、わずか数センチメートルの大きさにすることができる。
【0053】
ファイバアレイを利用する本明細書に記載の実施形態は、ファイバの偏光安定性の利点をPICのサイズの利点と共に得るために、光ファイバとPICの両方を実装することによって、バランスのとれた利点を実現する。さらに、導波路の低複屈折により、熱的に独立した偏光状態を提供する。これにより、本明細書に記載の送信機は、衛星ノード上に配備するのに適している。
【0054】
さらに、本明細書に記載の合成ユニットは、自由空間光学系に依存せず、むしろファイバおよびPICに依存するので、かさばる自由空間コンバイナが必要とされないので、デバイスの重量が大幅に減少され得る。
【0055】
ファイバアレイは、複数の光ファイバを対応する複数の溝330内に並べて取り付けることによって作製され得る。各光ファイバについて、各光ファイバの第2の端部は、上述された回転に機械的に回転され、光ファイバは、ファイバアレイアセンブリの溝内に配置される。次いで、ファイバアレイの端部は所定の位置に接着などで固定される。
【0056】
いくつかの実施形態では、送信機300は、合成ユニット110の出力に結合された単一モード光ファイバ316をさらに備えることができる。さらなる実施形態では、送信機300は、1つまたは複数の複屈折素子318をさらに備えてよく、1つまたは複数の複屈折素子318は、単一モード光ファイバ316の出力に結合される。1つまたは複数の複屈折素子318は、単一モード光ファイバにおける伝播に起因する光の偏光の誤差またはシフトを補正するために使用され得る。合成ユニットからの光パルス出力は、入力光信号に応じて異なる偏光であり得るが、これらのモードの各々は、同じ光ファイバ316を通って移動し、したがって、単一モード光ファイバ316によって与えられる偏光の誤差/シフトは、異なる各光パルス出力に対して同様に影響する。したがって、複屈折素子は、単一モード光ファイバ316によって与えられる偏光シフトと反対の偏光シフトを与えるように構成され得る。
【0057】
図4は、複数の光入力が4つの光入力を備え、複数のPMFが4つのPMFを含む実施形態を示している。上述のように、そのような実施形態は、BB84プロトコルのような4状態量子鍵配送プロトコルで使用するために提供され得る。しかしながら、合成ユニットの光入力およびPICのLBWに対して結合された1つの光ファイバが存在するように、任意の数の光ファイバが提供されてよいことが理解される。たとえば、3本の光ファイバが使用されて
図2Aの合成ユニットに結合されてよく、8本の光ファイバが使用されて
図2Bの合成ユニットに結合されてもよい。
【0058】
合成ユニット310は、送信機300の一部として含まれてよい。これらの実施形態では、送信機300は、所望の偏光基底(たとえば、PMF)でパルスを発生させるように構成された偏光素子を有する合成ユニット310を含む。
図5および
図6は、光源350の例示的実施形態を示す。光源350は、レーザまたはLEDのようなエミッタ/発光素子360を備える。光源350の各出力は、ファイバアレイの複数のPMFのそれぞれのPMFに結合され、光源は、複数の出力の各々において第1の波長で光のパルスを出力するように構成される。複数の出力の各々で同じ波長のパルスを生成することにより、偏光光学系および合成ユニット310に入力されるパルスの識別不能性を改善する。光源350の出力は、一般に偏光パルスであり、光源の各出力は、光パルスの偏光軸がPMファイバの低速軸と整列されるように、PMファイバに結合される。
【0059】
図5に示されるように、光源500は、パルス放射のエミッタであり得る複数のエミッタを備える。たとえば、各エミッタは、発光ダイオード(LED)であってよく、または垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)または分布帰還型レーザ(DFB)などのレーザであってもよい。レーザは、チップベースのレーザであってもよい。各レーザは、強度レベルと偏光(I,P)の組み合わせに対応する。レーザ出力は、符号化されるべき情報を含むRF信号を使用して変調され得る。この場合、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を使用して直接駆動できる低電力VCSELが使用され得る。いくつかの実施形態では、エミッタは、選択された偏光基底でパルス放射を出力するように構成され得る。これらの実施形態では、レーザは、偏光レーザダイオード、または直線偏光フィルタと合成されたLEDであってよい。
【0060】
図5の例では、光源500は、複数のエミッタ、たとえば、チップ上に作製された複数のレーザ520を備え、複数のエミッタの各エミッタは、光源500の複数の出力のうちの出力に結合されている。光源は、複数のエミッタの各々に接続され、エミッタからの出力を発生させるために各レーザを選択的に励起するように構成された駆動電子機器を備えることができる。駆動電子機器は、FPGAを備え、各エミッタを選択的に励起するために高速信号を提供することができる。たとえば、駆動電子機器は、エミッタが利得スイッチングされ、したがって、各クロックサイクルでランダムな位相で光パルスを生成するように実装されたレーザドライバを含む。実施形態において、レーザドライバは、FPGAからデジタル信号を取得し、利得スイッチ動作でレーザダイオードまたはLEDを駆動できるアナログ出力を生成し、各パルス間で光源を完全にオフにする。このように光源を駆動することは、各パルスが真空光子からシードされること(自然放出)によってランダム位相を有することを意味する。
【0061】
チップの出力は、PMファイバアレイの出力と同様のピッチを有することができ、したがって、各エミッタをそれぞれのPMファイバに結合するようにチップ上にチップが接着され得る。各エミッタは、同じ強度で同じ波長のパルスを生成するように調整され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、光源500は、第1の複数の強度変調器520をさらに備え、第1の複数の強度変調器の各々は、複数のエミッタのそれぞれのエミッタに結合される。
図5の例では、4つの第1の複数の強度変調器520-A~520-Dが、それぞれエミッタ510-A~510-Dに合成されて示されている。光源500は、第2の複数の強度変調器530をさらに備えてよく、第2の複数の強度変調器の各々は、第1の複数の強度変調器のそれぞれの強度変調器に合成されている。
図5の例では、4つの第2の複数の強度変調器530-A~530-Dが、それぞれ強度変調器520-A~520-Dに合成されて示されている。光源は、複数の位相変調器535をさらに備えてよく、各位相変調器は、第2の複数の強度変調器530のそれぞれの強度変調器に結合されている。
図5の例では、4つの位相変調器535-A~535-Dが、強度変調器530-A~530-Dにそれぞれ合成されて示されている。
【0063】
第1の複数の強度変調器520は、強度変調器の各々に提供される制御信号(たとえば、制御信号550-A)に応答して、エミッタ510の出力の強度を変調するように適合される。
【0064】
第2の複数の強度変調器530は、各変調器に提供される制御信号(たとえば、制御信号550-B)に応答して、スイッチング変調器を通る光の通過を許可または阻止する「ON-OFF」スイッチとして適合される。
【0065】
複数の位相変調器535は、制御信号550-Cに応答して、光源出力540から出力される前に各エミッタからのパルスの位相を変調するように適合されている。したがって、位相変調器は、光パルスの位相誤差を補正するために使用され得る。
【0066】
第2の複数の強度変調器530は、QKDプロトコルに従う量子ビットストリームの符号化で使用され得る。エミッタ出力の各々は、ファイバアレイ320の単一の入力に結合され、したがって、ファイバアレイは、各エミッタから生成される光に対して異なる偏光状態の光を出力するようにされる。複数のスイッチング変調器に制御信号を供給することによって、送信エンティティ(「アリス」)は、複数のエミッタのうちのどのエミッタがファイバアレイ320に出力されるかを選択することができ、したがって、合成ユニット110に出力される光パルスの偏光を選択することができる。送信機300は、複数のエミッタ510の各々において一連のパルスを発生させ、複数の変調器で制御信号を受信して、複数のエミッタによって生成されたパルスに合わせて、異なる単一の変調器をランダムにオンにすることができる。したがって、送信機の出力は、ファイバアレイ320によって提供される偏光状態のうちのランダムな1つの偏光パルスである。
【0067】
第1の複数の強度変調器520は、QKDのデコイ状態プロトコルの実装に使用され得る。いくつかの実施形態では、エミッタは、検出器ひいてはQKDプロトコルの信頼性および効率を向上させるために、多光子パルスを生成する。しかしながら、そのようなパルスは光子数分裂攻撃を受けやすい。送信機によって生成されるパルスの強度を追加的にランダムに変化させ、したがって、変化する光子統計量をチャネルに導入することによって、さらなる安全性が提供され得る。パルスの強度レベルを公表し監視することによって、アリスとボブは光子数分裂攻撃を検出できるようになる。
【0068】
たとえば、送信機は、2状態QKDデコイプロトコルを採用するように構成されてよく、ここで、ランダム2レベル制御信号(たとえば、RF信号)が、信号状態またはデコイ状態のいずれかを選択するために強度変調器の各々に適用され得る。
【0069】
第1および第2の複数の強度変調器ならびに位相変調器の図示された順序は、例示に過ぎず、代替的な順序付けが可能である。たとえば、第2の複数の強度変調器は、第1の複数の強度変調器の前に設けられてよく、複数の位相変調器は、複数のエミッタ510の出力に、または第1の複数の強度変調器520と第2の複数の強度変調器530との間に設けられてよい。さらに、各エミッタに対する第1の複数の強度変調器および第2の複数の強度変調器は、各エミッタに対する単一の強度変調器として実装されてよく、各単一の変調器はスイッチング機能と強度変調機能の両方を実行する。複数の強度変調器は、電力需要が大きく製造コストが高いRF増幅器を使用することがある。第1の複数の強度変調器の代替として、複数のエミッタ自体が、必要な強度でパルスを出力するように構成/調整されてもよい。したがって、制御信号550-Aがエミッタ510-A~510-Dに直接提供されて、デコイ状態プロトコルを実装するためにエミッタパルスの強度を直接変調することができる。また、第2の複数の強度変調器の代替として、制御信号550-Aがエミッタ510-A~510-Dに直接提供されて、偏光基底の選択された状態の出力パルスのストリームを発生させるためにエミッタのオン/オフを直接的および選択的に切り替えることができる。
【0070】
さらなる実施形態によれば、送信機300の一部を形成し得る光源600が
図6に示されている。光源600は、複数の光出力640に結合されたレーザ610のような単一のエミッタを備え、したがって、エミッタ610によって発生された光は、複数の光出力640のうちの1つまたは複数に出力され得る。光源600は、エミッタ610に接続され、選択的にエミッタからの出力を発生させるようにエミッタに対して構成された駆動電子機器を備えることができる。駆動電子機器は、FPGAを備え、各エミッタを選択的に励起するために高速信号を提供することができる。たとえば、駆動電子機器は、エミッタが利得スイッチングされ、したがって、各クロックサイクルでランダムな位相で光パルスを生成するように実装されたレーザドライバを含む。実施形態において、レーザドライバは、FPGAからデジタル信号を取得し、利得スイッチ動作でレーザダイオードまたはLEDを駆動できるアナログ出力を生成し、各パルス間で光源を完全にオフにする。このように光源を駆動することは、各パルスが真空光子からシードされること(自然放出)によってランダム位相を有することを意味する。
【0071】
光源は、1つまたは複数のカプラを備えるビーム分割アセンブリ605を備えることができる。
図6に示されるように、分割アセンブリは、2×1ビーム合成ユニットの階層を備えることができる。ビーム分割アセンブリは、単一の光入力を受信し、複数の光出力を出力するように適合され、各ビーム分割アセンブリ出力は、複数の光出力640(たとえば640-A~640-D)の各1つに対応する。
【0072】
光源600は、複数の強度変調器630をさらに備えてよく、各強度変調器が、複数の出力のうちの出力に結合され、制御信号650-Bに応答して出力における光の出力を透過または遮断するように構成される、光源はまた、エミッタ610の出力に結合され、制御信号650-Aに応答してエミッタの出力を変調するように構成された出力強度変調器620を備えることができる。単一のエミッタ610がビーム分割アセンブリを介して複数の出力に結合されるので、光アセンブリの出力の各々の出力の強度を変調するために単一の光変調器620のみが必要とされる。
【0073】
光源は、複数の位相変調器635をさらに備えてよく、各位相変調器は、複数の強度変調器630のそれぞれの強度変調器に結合されている。位相変調器は、制御信号650-Cに応答して光パルスの位相を制御するように構成される。
図6の例では、4つの強度変調器635-A~635-Dが、それぞれ強度変調器630-A~630-Dに合成されて示されている。強度変調器および位相変調器の図示された順序は、例示に過ぎず、代替的な順序付けが可能である。たとえば、複数の強度変調器630は、複数の位相変調器635の後に設けられてよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、光源600は、強度変調器620の入力に結合された第2のエミッタ(たとえば、レーザ)を含み、エミッタ/レーザ610の代わりに強度変調器に光を出力することができる。このように、第2のエミッタは冗長性のために設けられる。
【0075】
複数の強度変調器630は、
図5の第2の複数の強度変調器530に関連して上述された様式でQKDプロトコルに従って量子ビットストリームの符号化に使用され得る。複数の位相変調器635は、
図5の位相変調器535に関連して上述された様式で位相誤差補正に使用され得る。単一の強度変調器620は、上記の
図5の第1の複数の強度変調器520に関連して上述された様式でQKDデコイ状態プロトコルの実行に使用され得る。単一の制御信号650-Aが、エミッタの出力パルスの強度をランダム化するために強度変調器620に適用され、次いで、これがスイッチング変調器630の各々に提供され得る。制御信号650-Bは、出力偏光状態を選択するためにスイッチング変調器のうちの1つをランダムに作動させるように提供される。
【0076】
図6の光源600では、単一のエミッタが設けられる。すべての光出力は同じエミッタから供給されるため、最終出力の一連のパルスは、(たとえば、エミッタ間のばらつきが光源で出力されるパルスの波長に影響する可能性のある複数のエミッタと比較して)パルス間の波長識別不能性を改善している。単一のエミッタのみ(または冗長性を有する2つのエミッタ)を使用することにより、光源600はよりコンパクトになり、したがって、より小さいフットプリントを有する。単一のレーザを使用することにより、複数のレーザに必要とされ得る熱安定性要件も緩和する(つまり、すべてのレーザで一貫した温度を保証する)。単一のエミッタ(および使用される場合は冗長エミッタ)は、光源600が結合されるファイバアレイの各ファイバの低速軸と整列された偏光基底でパルスを発生させることができる。
【0077】
上述された送信機は、偏光符号化信号を発生させる方法で使用され得る。この方法は、複数の光パルスを発生させることと、複数の光パルスをファイバアレイ内へ導くことと、ファイバアレイが複数のPMFを備え、ここにおいて、各PMFが高速光軸と低速光軸とを備え、ここにおいて、複数のPMFは、ファイバアレイが複数の偏光パルスを出力するように、互いに対して非ゼロ角度で回転される、
図1、
図2A、および
図2Bに関連して上述された方法に従って、複数のPMFの複数の出力を合成することとを備える。
【0078】
上述されたように、第2の組の実施形態では、合成ユニットが、偏光された光出力を提供する光源に結合される。第2の組の実施形態による例示的な送信機700が
図7Aに示されている。送信機700は合成ユニット110を備える。合成ユニットは、
図1、
図2A、および
図2Bに関連して上述された合成ユニットのいずれであってもよい。送信機700は、複数の光出力を有する光源750をさらに備え、各光出力は、合成ユニット110の複数の光入力のうちの光入力に結合される。光源750は、複数の出力の各々において第1の波長で偏光された光のパルスを出力するように構成される。複数の出力の各々で同じ波長のパルスを生成することにより、合成ユニット810に入力されるパルスの識別不能性を改善する。これらの実施形態において、光源は、各エミッタ出力がPICの入力に結合されるように、PICにエッジ結合され得る。光源は、エポキシもしくは他の透明接着剤を含み得る結合インターフェース712によって結合されてよく、またはマイクロレンズアレイ、格子カプラ、または自由空間カプラを含んでよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、光源750は、光源の各光出力において異なる偏光を有する光を出力するように構成される。たとえば、4つの光出力の実施形態では、出力はH、V、A、Dの偏光基底の状態の各々で光を出力する。光源は複数のレーザ光源を備えてよく、各レーザ光源は偏光された光を発生させるように構成される。代替的に、各レーザ光源は、出力に取り付けられた偏光素子が提供され得る。
【0080】
光源750は、複数の発光素子760、たとえば、複数のレーザを備えることができる。各発光素子は、光源750の複数の光出力のそれぞれ1つに合成されて、各出力で異なる偏光の光を出力し得る。たとえば、いくつかの実施形態では、光源750は、
図5に関連して上述された光源500の要素を備えることができる。これらの実施形態では、レーザ510は、偏光された光を発生させるように構成されたレーザである。あるいは、光源750は、光源500に関連して上述されたのと同じ強度変調およびスイッチング機能を備えることができる。したがって、光源750は、QKD符号化プロトコル、および任意選択でQKDデコイ状態プロトコルに適合されてもよい。
【0081】
例示的実施形態では、複数の光源は、複数のVCSELである。VCSELは、高効率および高速動作を実現し、したがって、光学的に符号化された状態を生じるのに適している。複数のVCSELは、エッジから光を出力するために光源750のエッジに設けられ得る。
図7Bには、光源750の光出力740a~740dとして機能する複数のVCSEL725a~725dの発光面が配置された光源750のエッジ720を示す例が示されている。異なる偏光状態を実現するために、VCSELは0°、90°、-45°、45°の方向に物理的に配向される。
図7Bの実施形態は例示に過ぎず、光源750の各光出力に1つのVCSELが設けられ、5以上または4未満のVCSELが設けられてもよいことは理解されよう。各VCSELの物理的配向は、各光出力の光に対してどの偏光基底が望ましいかに応じて、さらに変化し得る。
【0082】
エッジ720は、合成ユニットのエッジ(PICのエッジにエッジ結合されることを含む)にエッジ結合され得る。エッジ結合は、インターフェース712(たとえば、マイクロレンズアレイ、格子カプラまたは他のエッジカプラなど)によって形成され得る。代替的に、インターフェースは、自由空間を介する光源からの光の透過を可能にする自由空間イメージングシステムであってもよい。そのような実施形態では、光源750に結合された合成ユニット110は、合成ユニットの光入力に自由空間入力を結合する自由空間エッジカプラを含んでもよい。
【0083】
図7Aおよび
図7Bに関連して上述された送信機の実施形態は、合成ユニットにおいて偏光素子が必要とされないので、よりコンパクトにされ得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、送信機700は、合成ユニット110の出力に結合された単一モード光ファイバ716をさらに備えることができる。さらなる実施形態では、送信機700は、1つまたは複数の複屈折素子718をさらに備えてよく、1つまたは複数の複屈折素子718は、単一モード光ファイバ716の出力に結合される。1つまたは複数の複屈折素子は、
図3の1つまたは複数の複屈折素子318に関連して上述されたのと同じ様式で単一モード光ファイバ716からの偏光のシフトを補償するように構成される。
【0085】
光源500、600、750のいくつかの例では、複数のスイッチングトランジスタが同時に作動されることが可能であり、その結果、複数の光出力が合成ユニットの入力に同時に入力される。このように、合成ユニットは、複数の偏光パルスを単一の光パルスに合成するように構成される。したがって、合成ユニットは、異なる光パルスの振幅多重化(すなわち干渉)を実行するために使用され得る。複数のエミッタ510を使用する例では、各エミッタは、駆動電子機器によって個別に駆動されて、合成ユニットによって混合された各レーザについての所望の位相および/または振幅(および/または光源750の場合の偏光)のパルスを送信することができる。振幅、位相、および/または偏光が、所望の最終出力状態を発生させるために選択される。
【0086】
いくつかの実施形態では、光源750は、複数の出力の各々における偏光された光出力の偏光を変調するための少なくとも1つの制御信号630を受信するように構成される。たとえば、光源750からの偏光された光出力を発生させる複数のレーザの各レーザに対して、制御信号が提供され得る。このようにして、光源は、符号化されるパルスの偏光基底を変化させるように構成され得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、光源750の出力は、光源出力を合成ユニット入力に結合するために、光源を合成ユニットに直接取り付けることによって合成ユニット110に直接合成されてよく、ここで、光源出力および合成ユニット入力は、アライメントを確実にするために同じピッチが提供される。代替実施形態では、光源および合成ユニットは、光源と合成ユニットとの間の偏光を維持する複数の単一モード光ファイバを備えるファイバアレイによって結合され得る。他の代替実施形態では、光源および合成ユニットは、自由空間光リンクによって結合され得る。
【0088】
上記の送信機は、偏光符号化信号を発生させる方法において使用されてよく、この方法は、複数の偏光された光パルスを発生させることと、
図1、
図2A、および
図2Bに関連して上述された方法に従って偏光された光パルスを合成することとを備える。
【0089】
光源を含む送信器の上記の実施形態の各々について、光源は、パルスのシーケンスとして光パルスを生成するように構成され得る。光源が複数のレーザを含む場合、各レーザは、パルスのシーケンスを発生させるように構成される。光源が単一のレーザを含む場合、レーザは、パルスのシーケンスを発生させるように構成される。各レーザは、高速クロックパルスによって駆動され得る。各パルスは、本明細書に記載のシステムおよび方法を使用して偏光基底で符号化され、合成ユニットに提供され得る。このように、合成ユニット出力は、偏光符号化パルスのシーケンスであり、量子情報のチャネルとして使用され得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、光源は、1未満(<1)の平均光子数を有する光パルスを生成する。光子数の少ないパルスを生成することにより、QKDエンコーダとして動作しているときの光子分割攻撃に対するシステムの脆弱性を低減する。
【0091】
光源は、通信用途の波長範囲内(たとえば、1300nm~1700nm)、ならびに近赤外線、赤外線、可視光線の波長帯域を含む波長の範囲で、パルスを発生させるように構成され得る。一実施形態では、各レーザは850nmでパルスを発生させるが、これは自由空間で低吸収を示し、自由空間光リンクを利用するときに送信機の効率がより高い。
【0092】
上記の実施形態は、3つまたは4つ以上の複数の光入力を有する合成ユニットを含む。いくつかの実施形態では、合成ユニットは、2×1合成ユニットを形成するために、2つの光入力と単一の光出力とを備えることができる。これらの実施形態では、2×1合成ユニットは、合成ユニットの光入力を単一の2×1LBCの入力に結合する2つのLBWを含み、その出力はPICの出力に(任意選択で別のLBWを介して)結合される。そのような2×1カプラの実施形態は、QKD以外の用途で2つの偏光状態のみを合成するのに有用であり得る。しかしながら、このシステムは、QKD符号化方式においても依然として有用であり得る。
【0093】
たとえば、2×1合成ユニットは、各光入力が、異なる直交偏光状態(たとえば、「H」および「V」偏光状態)を受信して、第1の基底の2つの状態を形成するように構成され得る。パルスが各入力で異なる時間に受信される場合、2×1合成ユニットは、異なる時間に第1の基底の異なる状態でパルスを出力するように構成される。パルスが2つの光入力で同時に受信されると、パルスは合成して第3の基底における状態を形成する。たとえば、H偏光の入力パルスとV偏光の入力パルスとが合成されて、「D」偏光状態を形成することができる。
【0094】
したがって、2×1合成ユニットは、量子エンコーダとして構成された送信機の一部として採用され得る。そのような送信機は、上述の実施形態のいずれかによる光源を含み、量子状態を符号化するために、スイッチング変調器に提供される制御信号が、スイッチング変調器を制御して、光源のいずれかの光出力から、または同時に両方の光出力から光を送信する。強度変調器はまた、各偏光状態で出力されるパルスが合成ユニットを出るときに同じ強度を有するように、出力パルスの強度を変調するための制御信号を受信する。
【0095】
2×1合成ユニットは、本明細書に記載の他の合成ユニットよりもコンパクトであるが、QKD符号化のための状態のセットの生成は、入力光源の波長に依存する入力波長の振幅混合(すなわち干渉)を必要とする。対照的に、個々の偏光状態に専用の合成ユニットの個々の入力を有することは、通信プロトコルのすべての必要な偏光状態を生成するために振幅混合が必要とされないことを意味し、符号化状態の偏光は光源の波長に依存しないため、より安定している(たとえば、QKD符号化用途の安定した偏光状態のために、少なくとも3つの光入力が使用され得る)。
【0096】
送信機の上述されたコンポーネントは、送信機内を伝播する光に対して透明である屈折率整合エポキシなどの充填剤または接着剤を使用して互いに結合され得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、合成ユニットの単一の光出力は光ファイバに合成されるため、非自由空間光合成は使用されない。したがって、重大なアライメントの不安定性が大幅に低減され得る。
【0098】
説明された実施形態による送信機を利用する量子エンコーダシステムの実施形態が、
図8に関連して以下に説明される。
【0099】
図8は、量子エンコーダ805と量子デコーダ900とを含む量子通信システム800を示す。量子エンコーダ805は、上述の実施形態のいずれの送信機であり得る。たとえば、
図8は、量子エンコーダ805が、合成ユニット810、ファイバアレイ820、および光源820(光源500または600であってよい)を含む、
図3に関連して上述された送信機を含み得ることを示している。しかしながら、本明細書に記載の他の送信機が量子エンコーダ805の一部を形成してもよい。
【0100】
量子エンコーダは、量子符号化情報を含む光パルス(たとえば、{H,V}基底または{D,A}基底で符号化された一連のパルス)を発生させるように構成される。量子エンコーダ805は、通信チャネル850を介して量子デコーダ900に接続される。この通信チャネルは、たとえば、自由空間光チャネルまたは光ファイバチャネルであり得る。量子デコーダ900は、受信された光を復号するように構成される。量子デコーダは、偏光ビームスプリッタPBS904と、偏光制御器902と、検出器904-1および904-2とを備える。実施形態において、PBS904は、光を2つの直交偏光状態(たとえば、HおよびV)に分割するように構成される。偏光制御器902は、2つの状態の間で切り替え可能に構成され、第1の状態では、制御器は、偏光回転を提供せず、第2の状態では、制御器は、入射光を第1の偏光基底(たとえば{H,V})から第2の直交偏光基底(たとえば{A,D})に切り替えるために、45°の回転を提供する。
【0101】
偏光制御器の状態を切り替えることによって、受信機(「ボブ」)は、量子デコーダ900が入射光を測定するように構成された基底を変更することができる。
【0102】
上記のシステムは、量子通信方法において使用されてよく、この方法は、上述された方法に従って偏光符号化信号を発生させることと、ここにおいて、PMFから出力される複数の偏光パルスが、2つの偏光基底の状態からランダムに選択される、偏光符号化信号を受信機で受信することと、2つの偏光基底に基づいて、受信された偏光符号化信号を復号することとを備える。
【0103】
本明細書に記載の合成ユニットおよび送信機は、さらなる用途を有し得る。たとえば、各送信機は、高速光通信のための送信機として使用されてもよく、または複数の生成された偏光状態からミュラー行列が構成される超高速ミュラー偏光測定のためのソースとして使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ミュラー行列を作成するために使用される各生成された偏光パルスに対して、タイムスタンプが送信機によって生成され得る。
【0104】
特定の実施形態について説明されているが、これらの実施形態は単に例示として提示されており、本発明の範囲を限定することは意図されていない。実際、本明細書に記載された新規なデバイスおよび方法は、他の様々な形態で具体化されてよく、さらに、本明細書に記載されたデバイス、方法、および製品の形態における様々な省略、置換、および変更が、本発明の趣旨から逸脱することなく行われ得る。添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物は、本発明の範囲および趣旨に含まれるであろう形態または修正を包含することが意図されている。
【外国語明細書】