(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148149
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】ゲーム媒体セットを出力するシステム、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/69 20140101AFI20241009BHJP
A63F 13/49 20140101ALI20241009BHJP
A63F 13/30 20140101ALI20241009BHJP
A63F 13/54 20140101ALI20241009BHJP
【FI】
A63F13/69 520
A63F13/49
A63F13/30
A63F13/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024035957
(22)【出願日】2024-03-08
(62)【分割の表示】P 2023060931の分割
【原出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】511249637
【氏名又は名称】株式会社Cygames
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】倉林 修一
(57)【要約】
【課題】プレイヤに提示するためのゲーム媒体セットを出力することが可能なシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一実施形態のシステムは、複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体セットを用いるゲームにおいて、プレイヤに提示するためのゲーム媒体セットを出力するシステムであって、ゲームログに含まれる一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム媒体を他のゲーム媒体に置換して該一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを生成し、前記一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを用いて該一の単位ゲームのゲームプレイを実行し、該一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを出力する、システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体セットを用いるゲームにおいて、プレイヤに提示するためのゲーム媒体セットを出力するシステムであって、
ゲームログに含まれる一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム媒体を他のゲーム媒体に置換して該一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを生成し、
前記一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを用いて該一の単位ゲームのゲームプレイを実行し、該一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを出力する、
システム。
【請求項2】
前記一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを出力することは、
プレイヤ端末又はプレイヤ端末のソフトウェア環境を仮想化するために生成された仮想インスタンスを用いてゲームを実行し、前記一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを用いて該一の単位ゲームのゲームプレイを実行し、該一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを出力することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを出力することは、
前記一の単位ゲームをクリアした候補ゲーム媒体セットを該一の単位ゲームのクリア済みゲーム媒体セットとして記憶し、
前記一の単位ゲームのクリア済みゲーム媒体セットのうちの少なくとも1つのゲーム媒体セットを出力することを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記一の単位ゲームのクリア済みゲーム媒体セットのうちの少なくとも1つのゲーム媒体セットを出力することは、記憶された複数の該一の単位ゲームのクリア済みゲーム媒体セットから、プレイヤの所有するゲーム媒体に基づいて、少なくとも1つのゲーム媒体セットを出力することを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
候補ゲーム媒体セットを生成することは、ゲームログに含まれる一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム内バリューの高い1又は複数のゲーム媒体を、予め設定された優先度又は優先順位が高い1又は複数のゲーム媒体にそれぞれ置換して、候補ゲーム媒体セットを生成することを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
候補ゲーム媒体セットを生成することは、ゲームログに含まれる一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム内バリューの高い1又は複数のゲーム媒体を、他の1又は複数のゲーム媒体にそれぞれ置換して、候補ゲーム媒体セットを生成することを含み、他の1又は複数のゲーム媒体は、予め設定された優先度又は優先順位が高いものであり、置き換えられる1又は複数のゲーム媒体のそれぞれと互換性が高いゲーム媒体である、請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
ゲームログに含まれる一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム内バリューの高い1又は複数のゲーム媒体は、該ゲーム媒体セットの中でレアリティの高いゲーム媒体又はプレイヤの所有率の低いゲーム媒体である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
候補ゲーム媒体セットを生成することは、実際のプレイヤのゲームプレイによって生成されるゲームログを格納するゲームサーバから、対象の単位ゲームのそれぞれについて、当該単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを取得することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
ゲーム媒体にはレベルが設定され、
一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを用いて該一の単位ゲームのゲームプレイを実行するとき、候補ゲーム媒体セットに含まれる各ゲーム媒体は予め設定された該一の単位ゲームに対応するレベルに設定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
仮想インスタンスを用いてゲームを実行するとき、少なくともグラフィック処理及びサウンド処理が実質的に無効化されるように、仮想インスタンスにおいてゲームをヘッドレスモードで、又はGPU及びサウンドデバイスの仮想化を行なって実行する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
候補ゲーム媒体セットを生成することは、ゲームログに含まれる一の単位ゲームを所定の成績以上で又は条件を満たしてクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム媒体を他のゲーム媒体に置換して該一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを生成することである、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体セットを用いるゲームにおいて、プレイヤに提示するためのゲーム媒体セットを出力する方法であって、
ゲームログに含まれる一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム媒体を他のゲーム媒体に置換して該一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを生成し、
前記一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを用いて該一の単位ゲームのゲームプレイを実行し、該一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを出力する、
方法。
【請求項13】
前記一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを出力することは、
プレイヤ端末又はプレイヤ端末のソフトウェア環境を仮想化するために生成された仮想インスタンスを用いてゲームを実行し、前記一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを用いて該一の単位ゲームのゲームプレイを実行し、該一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを出力することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
候補ゲーム媒体セットを生成することは、ゲームログに含まれる一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム内バリューの高い1又は複数のゲーム媒体を、予め設定された優先度又は優先順位が高い1又は複数のゲーム媒体にそれぞれ置換して、候補ゲーム媒体セットを生成することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
候補ゲーム媒体セットを生成することは、ゲームログに含まれる一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム内バリューの高い1又は複数のゲーム媒体を、他の1又は複数のゲーム媒体にそれぞれ置換して、候補ゲーム媒体セットを生成することを含み、他の1又は複数のゲーム媒体は、予め設定された優先度又は優先順位が高いものであり、置き換えられる1又は複数のゲーム媒体のそれぞれと互換性が高いゲーム媒体である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
請求項12から15のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム媒体セットを出力するシステム、方法、及びプログラムに係わり、特に複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体セットを用いるゲームにおいて、プレイヤに提示するためのゲーム媒体セットを出力するシステム、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のスマートフォン等に代表される通信機能を備える情報処理装置の普及が急速に進み、このような通信機能を備える情報処理装置上で実行されるゲームも数多くリリースされている。この種のゲームにおいて、一人のユーザ(プレイヤ)が複数のゲーム媒体(キャラクタ、カードや装備などのアイテム等)を含むゲーム媒体セットを用いてゲーム課題を達成させるゲームが広く知られている。例えば特許文献1には、他のユーザがゲーム課題を達成する毎に実績情報を蓄積し、ユーザがゲーム課題に挑戦するためのオブジェクト群を決定する際に、蓄積された実績情報に基づいて、ゲーム課題を達成するための目安となるためのオブジェクト群の情報を、ユーザに提示するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一人のプレイヤが複数のゲーム媒体を編成してプレイするゲームにおいて、自己のゲーム媒体セットをどのように編成するかを決定することはゲーム性の中核をなす部分である。従来、サービス内の媒体あるいは媒体の組み合わせをユーザに提案するシステムは、情報推薦システムと呼ばれ、eコマース分野で活用されてきた。例えば、オンライン通販サービスにおいては、ユーザに商品をお勧めする情報推薦機能はサービスの中核を成してきた。従来の情報推薦システムは、ユーザによる意思決定を観測不可能な要素、すなわち、ブラックボックスとして位置付け、ページ閲覧に繋がる確率(クリックレート)や購買へ結びつく確率(コンバージョンレート)等を観測することにより、推薦モデルの漸次的な改善を行うフィードバックループを回すことにより、推薦精度を向上させてきた。しかしながら、このような従来の推薦システムや、あるいは、よりシンプルに他のユーザのクリア履歴を推薦する手法では、一定数のプレイヤに精度の低い推薦を出してしまう問題(コールドスタート問題)や、中上級プレイヤがお薦めされた編成を使うことで過度なフィードバックループを引き起こし、ごく少数のパーティ編成が「定石」化してしまうような「露出バイアス」問題が発生していた。
【0005】
1つの側面では、本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、プレイヤに提示するためのゲーム媒体セットを出力することが可能なシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕本発明の一実施形態のシステムは、
複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体セットを用いるゲームにおいて、プレイヤに提示するためのゲーム媒体セットを出力するシステムであって、
ゲームログに含まれる一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム媒体を他のゲーム媒体に置換して該一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを生成し、
前記一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを用いて該一の単位ゲームのゲームプレイを実行し、該一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを出力する、
システムである。
【0007】
〔2〕本発明の一実施形態では、
前記一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを出力することは、
プレイヤ端末又はプレイヤ端末のソフトウェア環境を仮想化するために生成された仮想インスタンスを用いてゲームを実行し、前記一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを用いて該一の単位ゲームのゲームプレイを実行し、該一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを出力することを含む、〔1〕に記載のシステムである。
【0008】
〔3〕本発明の一実施形態では、
前記一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを出力することは、
前記一の単位ゲームをクリアした候補ゲーム媒体セットを該一の単位ゲームのクリア済みゲーム媒体セットとして記憶し、
前記一の単位ゲームのクリア済みゲーム媒体セットのうちの少なくとも1つのゲーム媒体セットを出力することを含む、
〔1〕又は〔2〕に記載のシステムである。
【0009】
〔4〕本発明の一実施形態では、
前記一の単位ゲームのクリア済みゲーム媒体セットのうちの少なくとも1つのゲーム媒体セットを出力することは、記憶された複数の該一の単位ゲームのクリア済みゲーム媒体セットから、プレイヤの所有するゲーム媒体に基づいて、少なくとも1つのゲーム媒体セットを出力することを含む、〔3〕に記載のシステムである。
【0010】
〔5〕本発明の一実施形態では、
候補ゲーム媒体セットを生成することは、ゲームログに含まれる一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム内バリューの高い1又は複数のゲーム媒体を、予め設定された優先度又は優先順位が高い1又は複数のゲーム媒体にそれぞれ置換して、候補ゲーム媒体セットを生成することを含む、〔1〕から〔4〕のいずれか1つに記載のシステムである。
【0011】
〔6〕本発明の一実施形態では、
候補ゲーム媒体セットを生成することは、ゲームログに含まれる一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム内バリューの高い1又は複数のゲーム媒体を、他の1又は複数のゲーム媒体にそれぞれ置換して、候補ゲーム媒体セットを生成することを含み、他の1又は複数のゲーム媒体は、予め設定された優先度又は優先順位が高いものであり、置き換えられる1又は複数のゲーム媒体のそれぞれと互換性が高いゲーム媒体である、〔1〕から〔4〕のいずれか1つに記載のシステムである。
【0012】
〔7〕本発明の一実施形態では、
ゲームログに含まれる一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム内バリューの高い1又は複数のゲーム媒体は、該ゲーム媒体セットの中でレアリティの高いゲーム媒体又はプレイヤの所有率の低いゲーム媒体である、〔5〕又は〔6〕に記載のシステムである。
【0013】
〔8〕本発明の一実施形態では、
候補ゲーム媒体セットを生成することは、実際のプレイヤのゲームプレイによって生成されるゲームログを格納するゲームサーバから、対象の単位ゲームのそれぞれについて、当該単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを取得することを含む、〔1〕から〔7〕のいずれか1つに記載のシステムである。
【0014】
〔9〕本発明の一実施形態では、
ゲーム媒体にはレベルが設定され、
一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを用いて該一の単位ゲームのゲームプレイを実行するとき、候補ゲーム媒体セットに含まれる各ゲーム媒体は予め設定された該一の単位ゲームに対応するレベルに設定される、〔1〕から〔8〕のいずれか1つに記載のシステムである。
【0015】
〔10〕本発明の一実施形態では、
仮想インスタンスを用いてゲームを実行するとき、少なくともグラフィック処理及びサウンド処理が実質的に無効化されるように、仮想インスタンスにおいてゲームをヘッドレスモードで、又はGPU及びサウンドデバイスの仮想化を行なって実行する、〔1〕から〔9〕のいずれか1つに記載のシステムである。
【0016】
〔11〕本発明の一実施形態では、
候補ゲーム媒体セットを生成することは、ゲームログに含まれる一の単位ゲームを所定の成績以上で又は条件を満たしてクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム媒体を他のゲーム媒体に置換して該一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを生成することである、〔1〕から〔10〕のいずれか1つに記載のシステムである。
【0017】
〔12〕本発明の一実施形態の方法は、
複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体セットを用いるゲームにおいて、プレイヤに提示するためのゲーム媒体セットを出力する方法であって、
ゲームログに含まれる一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム媒体を他のゲーム媒体に置換して該一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを生成し、
前記一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを用いて該一の単位ゲームのゲームプレイを実行し、該一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを出力する、
方法である。
【0018】
〔13〕本発明の一実施形態では、
前記一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを出力することは、
プレイヤ端末又はプレイヤ端末のソフトウェア環境を仮想化するために生成された仮想インスタンスを用いてゲームを実行し、前記一の単位ゲームをクリアするための候補ゲーム媒体セットを用いて該一の単位ゲームのゲームプレイを実行し、該一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットを出力することを含む、〔12〕に記載の方法である。
【0019】
〔14〕本発明の一実施形態では、
候補ゲーム媒体セットを生成することは、ゲームログに含まれる一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム内バリューの高い1又は複数のゲーム媒体を、予め設定された優先度又は優先順位が高い1又は複数のゲーム媒体にそれぞれ置換して、候補ゲーム媒体セットを生成することを含む、〔12〕又は〔13〕に記載の方法である。
【0020】
〔15〕本発明の一実施形態では、
候補ゲーム媒体セットを生成することは、ゲームログに含まれる一の単位ゲームをクリアしたゲーム媒体セットのうちの一部のゲーム内バリューの高い1又は複数のゲーム媒体を、他の1又は複数のゲーム媒体にそれぞれ置換して、候補ゲーム媒体セットを生成することを含み、他の1又は複数のゲーム媒体は、予め設定された優先度又は優先順位が高いものであり、置き換えられる1又は複数のゲーム媒体のそれぞれと互換性が高いゲーム媒体である、〔12〕又は〔13〕に記載の方法である。
【0021】
〔16〕本発明の一実施形態のプログラムは、〔12〕から〔15〕のいずれか1つに記載の方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0022】
1つの側面では、本発明によれば、プレイヤに提示するためのゲーム媒体セットを出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態のシステムの全体構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態の推薦装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態の仮想インスタンスサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態のテスト用ゲームサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態のゲームサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態のシステムの機能ブロック図の一例である。
【
図7】本発明の一実施形態のシステムの処理のフローチャートの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態のシステムについて説明する。本発明の実施形態のシステム1は、複数のキャラクタから構成されるパーティ(パーティ編成)を用いてクエストをクリアしていくことで進行するゲームにおいて、推薦するパーティなどの推薦情報をプレイヤ(ユーザ)に提示することが可能なシステムである。キャラクタは、ゲーム媒体の1つの例示であって、カードや装備アイテムなどの他のゲーム媒体であってもよい。パーティは、複数のゲーム媒体から構成されるゲーム媒体セット(ゲーム媒体グループ)の1つの例示であって、例えば編成されたデッキ、カードや装備アイテムの組合せであってもよい。本発明の実施形態のゲームは、説明の便宜上「ゲームG」と呼ぶ。ゲームGは、スマートフォンなどの携帯用端末でプレイ可能なオンラインゲームである。本発明の実施形態では、アプリは、スマートフォンやタブレット端末にインストールされるアプリを意味することができ、またアプリケーション全般を意味することもできる。本発明の実施形態では、IDは、一意に識別可能な識別情報の一例であり、例えばプレイヤIDは、プレイヤを一意に識別可能なプレイヤ識別情報の1つの例である。以下に記載する実施形態の構成、及び当該構成によってもたらされる作用や効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に制限されるものではない。なお、後述のとおり、本発明の実施形態は、システムに限定されず、方法やプログラムなどとすることができる。
【0025】
図1は、本発明の実施形態のシステム1の全体構成図である。
図1に示すように、システム1は、推薦システム2と、ゲームサーバ40とを含み、推薦システム2と、ゲームサーバ40は、例えばインターネットなどのネットワーク4に接続され、互いに通信可能である。
【0026】
推薦システム2は、推薦装置10と、仮想インスタンスサーバ20と、テスト用ゲームサーバ30とを含む。本発明の実施形態のハードウェア構成の説明においては、便宜上、推薦装置10と、仮想インスタンスサーバ20と、テスト用ゲームサーバ30とは、それぞれ1つの装置により実現されるものとして説明するが、これに限定されない。1つの例では、推薦装置10は、1又は複数の装置により構成することができ、仮想インスタンスサーバ20は、1又は複数の装置により構成することができ、テスト用ゲームサーバ30は、1又は複数の装置により構成することができる。1つの例では、推薦システム2は、1つの装置により実現することができる(1つの装置であってもよい)。1つの例では、推薦装置10と、仮想インスタンスサーバ20と、テスト用ゲームサーバ30とは、仮想サーバなどの仮想環境により実現することができる。この場合、推薦システム2は、構成するすべての要素の仮想化を実現した仮想環境を用いて実現することができる。仮想環境に関する技術は、例えば特開2021-145939号公報に記載された技術を用いることができる。
【0027】
図2は本発明の一実施形態の推薦装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。推薦装置10は、プロセッサ11、入力装置12、表示装置13、記憶装置14、及び通信装置15を備える。これらの各構成装置はバス16によって接続される。なお、バス16と各構成装置との間には必要に応じてインタフェースが介在しているものとする。
【0028】
プロセッサ11は、推薦装置10全体の動作を制御する。例えばプロセッサ11は、CPUである。プロセッサ11は、記憶装置14に格納されているプログラムやデータを読み込んで実行することにより、様々な処理を実行する。プロセッサ11は、複数のプロセッサから構成されてもよい。
【0029】
入力装置12は、推薦装置10に対するユーザからの入力を受け付けるユーザインタフェースであり、例えば、タッチパネル、タッチパッド、キーボード、マウス、又はボタンである。表示装置13は、プロセッサ11の制御に従って、アプリケーション画面などを推薦装置10のユーザに表示するディスプレイである。
【0030】
記憶装置14は、主記憶装置及び補助記憶装置を含む。主記憶装置は、例えば情報の高速な読み書きが可能な揮発性メモリであり、プロセッサ11が情報を処理する際の記憶領域及び作業領域として用いられる。補助記憶装置は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してプロセッサ11が使用するデータを格納する。補助記憶装置は、不揮発性ストレージ又は不揮発性メモリであり、例えばeMMC、UFS、SSDのようなフラッシュメモリであり、着脱可能なものであってもよい。
【0031】
通信装置15は、ネットワークを介してユーザ端末(プレイヤ端末)又はサーバなどの他のコンピュータとの間でデータの授受を行うことが可能なモジュール、デバイス、又は装置である。通信装置15は、無線通信用のデバイスやモジュールなどとすることもできるし、有線通信用のデバイスやモジュールなどとすることもできる。なお、推薦装置10のユーザによる入出力が通信装置15を介した入出力のみである場合、推薦装置10は、入力装置12及び表示装置13を備えなくてもよい。
【0032】
図3は本発明の一実施形態の仮想インスタンスサーバ20のハードウェア構成を示すブロック図である。仮想インスタンスサーバ20は、プロセッサ21、入力装置22、表示装置23、記憶装置24、及び通信装置25を備える。これらの各構成装置はバス26によって接続される。なお、バス26と各構成装置との間には必要に応じてインタフェースが介在しているものとする。プロセッサ21、入力装置22、表示装置23、記憶装置24、及び通信装置25の各要素は、前述したプロセッサ11、入力装置12、表示装置13、記憶装置14、及び通信装置15に各々対応するものであり、同様の構成を有するため、説明は省略する。仮想インスタンスサーバ20のユーザによる入出力が通信装置25を介した入出力のみである場合、仮想インスタンスサーバ20は、入力装置22及び表示装置23を備えなくてもよい。
【0033】
図4は本発明の一実施形態のテスト用ゲームサーバ30のハードウェア構成を示すブロック図である。テスト用ゲームサーバ30は、プロセッサ31、入力装置32、表示装置33、記憶装置34、及び通信装置35を備える。これらの各構成装置はバス36によって接続される。なお、バス36と各構成装置との間には必要に応じてインタフェースが介在しているものとする。プロセッサ31、入力装置32、表示装置33、記憶装置34、及び通信装置35の各要素は、前述したプロセッサ11、入力装置12、表示装置13、記憶装置14、及び通信装置15に各々対応するものであり、同様の構成を有するため、説明は省略する。テスト用ゲームサーバ30のユーザによる入出力が通信装置35を介した入出力のみである場合、テスト用ゲームサーバ30は、入力装置32及び表示装置33を備えなくてもよい。
【0034】
ゲームサーバ40は、オンラインゲームを提供する一般的なゲームサーバと同様の構成を備える。本発明の実施形態のハードウェア構成の説明においては、便宜上、ゲームサーバ40は、1つの装置により実現されるものとして説明するが、これに限定されない。ゲームサーバ40は、1又は複数の装置により構成されてもよいし、仮想環境により実現されてもよい。テスト用ゲームサーバ30は、ゲームサーバ40と同一の構成を備えることができるが、一般ユーザ(一般プレイヤ)のプレイヤ端末によりアクセスされない点及び仮想インスタンスサーバ20からのアクセスのみ受け付ける点でゲームサーバ40と異なる。
【0035】
図5は本発明の一実施形態のゲームサーバ40のハードウェア構成を示すブロック図である。ゲームサーバ40は、プロセッサ41、入力装置42、表示装置43、記憶装置44、及び通信装置45を備える。これらの各構成装置はバス46によって接続される。なお、バス46と各構成装置との間には必要に応じてインタフェースが介在しているものとする。プロセッサ41、入力装置42、表示装置43、記憶装置44、及び通信装置45の各要素は、前述したプロセッサ11、入力装置12、表示装置13、記憶装置14、及び通信装置15に各々対応するものであり、同様の構成を有するため、説明は省略する。ゲームサーバ40のユーザによる入出力が通信装置45を介した入出力のみである場合、ゲームサーバ40は、入力装置42及び表示装置43を備えなくてもよい。
【0036】
本発明の実施形態のゲームGは、ゲームサーバ40により提供される。ゲームサーバ40は、実際に一般プレイヤがゲームをプレイする際に、例えばスマートフォンなどのプレイヤ端末(図示せず)によってアクセスされるサーバである。ゲームサーバ40は、ゲーム用のアプリケーション(ゲームプログラム)を記憶し、ゲームをプレイする各プレイヤのプレイヤ端末とネットワークを介して接続されるように構成される。1つの例では、プレイヤ端末上で所定のゲームアプリAが起動されると、ゲームサーバ40と通信し、ゲームサーバ40は、ゲームサービスを提供するために必要なデータをプレイヤ端末との間で送受信する。1つの例では、ゲームサーバ40は、プレイヤ端末においてゲームアプリAが起動している間、該プレイヤ端末と定期的又は断続的に通信し、該プレイヤ端末でのゲーム操作入力に応じてゲームを実行し、その実行結果を該プレイヤ端末に送信する。
【0037】
1つの例では、ゲームサーバ40は、プレイヤIDとプレイヤのゲームに関する情報とを関連付けて記憶装置44に記憶する。1つの例では、ゲームサーバ40は、プレイヤ端末からプレイヤID及びパスワードを受け取ってプレイヤを認証し、認証したプレイヤのプレイヤIDに関連付けて記憶したデータを用いてプレイヤ端末に対してゲームサービス(ゲームG)を提供する。ゲームサーバ40は、一度プレイヤIDを認証すると、ゲームを終了するまで又はログアウト操作を受け付けるまでは当該プレイヤIDに関連付けてデータを記憶することができる。例えばプレイヤ端末が、ゲームサーバ40に接続し、プレイヤID及びパスワードなどを用いて識別、認証されると、プレイヤは、該プレイヤ端末を介して、該プレイヤIDのプレイヤとしてゲームGをプレイすることができる。ゲームサーバ40は、プレイヤ端末がゲームGを実行する間、例えばプレイヤ端末がゲームアプリAを実行する間、ゲームに関するログデータであるゲームログを記憶する。ゲームサーバ40が記憶するゲームログは、一般プレイヤ(一般ユーザ)のゲームプレイによって生成されるものである。
【0038】
本発明の実施形態のゲームGは、以下の内容のゲームである。
・ゲームGは、後述する味方キャラクタが敵キャラクタと対戦するバトルゲームであるクエストを複数含むものであり、各クエストの順番は予め定められているか、又は所定のルールに従って設定されている。ゲームGは、クエスト以外のバトルゲームも含むことができるものである。
・各クエストにはクエストIDが関連付けられており、それぞれ開放条件が設定されている。開放条件としては、例えば、プレイヤレベルが所定値以上であること、他の所定のバトルゲームをクリアしていること等が挙げられる。プレイヤは、開放条件を満たしているバトルゲームのみをプレイすることができる。
・プレイヤは、パーティ編成画面(図示せず)を介して、自身が所有する味方キャラクタの中から複数のキャラクタを選択してパーティを編成することができる。パーティ編成画面は、クエストのバトルゲーム開始前に表示されてもよいし、ホーム画面(図示せず)からパーティ編成画面用ボタンの選択を受け付けることにより表示されてもよい。なお、本発明の実施形態の説明においては、説明の便宜上、プレイヤが5つのキャラクタを選択してパーティを編成することができる場合について説明しているが、これに限定されない。
・プレイヤは、パーティの味方キャラクタを用いて、様々なステータスや属性を持つ敵キャラクタや難易度が異なる複数種類のクエストをプレイすることができる。パーティに編成した味方キャラクタが敵キャラクタを倒すことでクエストはクリアすることができる。クエストをクリアした場合、クリアしたプレイヤは報酬を獲得することができる。クエストをクリアする難易度は、概してクエストを進めていけばいくほど高くなる。
・クエストのバトルゲームが終了すると、クリア状況に応じて、クリアランクを示すクリアフラグが関連付けられる。クリアフラグは、満点を示す(例えば味方キャラクタが全員生存した状態でクリアしたことを示す)星×3(★★★)に対応する「3」、中程度のクリアを示す(例えば3~4つの味方キャラクタが生存した状態でクリアしたことを示す)星×2(★★)に対応する「2」、その他のクリアを示す(例えば1~2つの味方キャラクタが生存した状態でクリアしたことを示す)星×1(★)に対応する「1」、又はクリアできなかったことを示す星×0に対応する「0」のいずれかである。プレイヤが獲得する報酬は、クリアランクに応じて異なる。
・ゲームGは、オートプレイモードの機能を備え、プレイヤがオートプレイモードを選択した場合、クエストにおいてプレイヤは操作する必要がない。
【0039】
本発明の実施形態のゲームGにおけるプレイヤは、以下の内容である。
・プレイヤは、味方キャラクタを所有することができ、所有する味方キャラクタのキャラクタIDは、自身のプレイヤIDに関連付けて記憶されている。プレイヤは、味方キャラクタ確認画面(図示せず)を介して、プレイヤが所有している全ての味方キャラクタを確認することができる。プレイヤは、例えばゲームにおける報酬又は無料若しくは有料の抽選処理やクエストのクリア報酬等により味方キャラクタを獲得することができ、新たな味方キャラクタを獲得すると、そのプレイヤのプレイヤIDに、獲得した味方キャラクタの味方キャラクタIDが関連付けて記憶される。
・プレイヤIDにはプレイヤのレベルを示すプレイヤレベルが関連付けて記憶され、プレイヤは、ゲーム画面において自身のプレイヤレベルを確認することができる。
・プレイヤは、クエストをクリアすると、プレイヤ経験値として所定値を獲得することができ、プレイヤ経験値が一定値に到達するごとに、プレイヤレベルが上昇する。プレイヤの現在のレベルが、味方キャラクタのレベルの上限値になり、プレイヤレベルが所定値上昇すると、後述する味方キャラクタのキャラクタレベルの上限値も同様に所定値上昇する。
・プレイヤIDには、プレイヤのプレイ情報(例えばゲーム開始時期、最新のログイン日時)が関連付けて記憶される。
【0040】
本発明の実施形態のゲームGにおけるキャラクタは、以下の内容である。
・各味方キャラクタ(キャラクタID)は、各種のステータス情報(ステータスデータ)が関連付けて記憶されている。例えばステータス情報は、攻撃力や防御力等の能力値、レアリティ、経験値、キャラクタレベル、装備、装備レベル、キャラクタランク、属性(例えば前衛/中衛/後衛の種類、物理/魔法/万能の種類など)を含む。
・レアリティとは、ゲーム開発者やゲーム運営者が定義するその味方キャラクタのレアリティであり、具体的には、星の数や、レア(R)やスーパーレア(SR)などで表されるパラメータの一種である。各キャラクタの入手時には初期レアリティが設定されており、抽選処理における当選確率が低いキャラクタや、難易度が高いクエストのクリア報酬として取得できるキャラクタほど初期レアリティは高く、プレイヤの所有率が低くなる傾向がある。逆に、初期レアリティが低い味方キャラクタは初級者でも所有率が高くなる傾向がある。なお、ゲーム中、レアリティは可変であってよく、アイテムや合成処理などを用いて味方キャラクタのレアリティを向上させることによって、味方キャラクタの基礎的な能力値を向上させる構成であってもよい。
・経験値は、例えばクエストで勝利した場合又は所定のアイテムを使用した場合に上昇し、キャラクタレベルは、経験値に対応して設定され、経験値が所定値に達するたびにキャラクタレベルが上昇する。例えば各味方キャラクタには、前述したプレイヤレベルに応じたキャラクタレベルの上限値が設定されており、各種アイテムを使用することによって、上限値までの範囲内でのみキャラクタレベルが上昇する。例えば味方キャラクタには、キャラクタレベルに基づいて、ライフポイント、攻撃力、防御力等の戦闘力に対応するベース値が設定され、味方キャラクタに設定される各ベース値はレベルが高くなるほど上昇する。
・装備は、味方キャラクタが装備する武器や防具などの装備アイテムであり、ゲーム内ショップによる購入や、クエストの報酬などにより入手することができる。例えば各装備アイテムには、攻撃力や防御力等に対する加算値が設定され、装備品を装備させると、上記のベース値に、各装備品の加算値が加算され、味方キャラクタの各種能力を高めることができる。各装備には、装備可能になるキャラクタレベルが設定されており、キャラクタレベルを向上させることによって、より強い装備アイテムを装着することができる。さらに、例えば装備には、装備レベルが設定され、各種アイテムの使用によって装備レベルが高くなると攻撃力や防御力等に対する加算値が高く設定され、各装備には、装備レベルの上限値が設定される。
・キャラクタランクは、特定の装備を集めて使用することによりランクを上げることができ、味方キャラクタの各種能力を高め、更にクエストで使用できるスキルを取得することができる。
・属性は、キャラクタに紐づく属性で、例えばクエストにおけるパーティの配置位置であるタンク・前衛・中衛・後衛の種類や、得意とする攻撃防御の得意スタイルとしての物理・魔法・万能などのメタデータであり、これらはパーティを編成する際にプレイヤによって考慮される情報である。1つの例として、同一の属性の中でさらに分類してもよく、例えば、より性能や適性が高いレア万能と低いコモン万能を設けてもよい。なお、味方キャラクタだけでなく、敵キャラクタも同様に属性があり、どのような属性を持つ味方キャラクタをパーティ編成するかはクエスト攻略において重要である。
以上、ゲームGにおいて、味方キャラクタの能力を向上させることができるレアリティ、キャラクタレベル、装備レベル、キャラクタランクについて、本実施形態においては便宜上、総称してキャラステータスレベルという。キャラステータスレベルは、レアリティ、キャラクタレベル、装備レベル、キャラクタランクなどのレベル(ランク)のうちの1つを意味することもできるし、他のレベル(ランク)を意味することもできる。
【0041】
本発明の実施形態では、ゲームサーバ40が記憶するゲームログは、1つのクエストごとに、パーティを構成する味方キャラクタであるパーティ編成キャラクタと各パーティ編成キャラクタのステータス情報及びクエストをクリアした際のリプレイデータを含む。ステータス情報は、キャラステータスレベルを含む。本発明の実施形態では、味方キャラクタは、単にキャラクタと表すことができる。
【0042】
図6は本発明の実施形態のシステム1の機能ブロック図の一例である。システム1は、編成データフィルタ部51、推薦候補生成部52、ゲームプレイ実行部53、推薦情報出力部54、第1の編成データ記憶部55、参照情報記憶部56、及び第2の編成データ記憶部57を備える。
【0043】
推薦装置10、仮想インスタンスサーバ20、テスト用ゲームサーバ30、及びゲームサーバ40のそれぞれが1又は複数の装置により実現される場合、システム1が備えるこれらの機能は、例えば、プロセッサ11、プロセッサ21、プロセッサ31、及びプロセッサ41の少なくとも1つがプログラムを実行し、必要に応じて記憶装置14、記憶装置24、記憶装置34、及び記憶装置44の少なくとも1つにデータを記憶することにより、又は、これに加えて、必要に応じて、推薦装置10、仮想インスタンスサーバ20、テスト用ゲームサーバ30、及びゲームサーバ40のうちの2以上の装置の間でデータを受け渡し若しくは受け取ることにより実現される。例えば各記憶部55、56、57は、記憶装置14、記憶装置24、記憶装置34、及び記憶装置44のいずれかがデータベース用のデータ(例えばテーブル)やプログラムを記憶し、プロセッサ11、プロセッサ21、プロセッサ31、及びプロセッサ41のいずれかによりプログラムが実行されることにより実現されてもよい。このように各種機能がプログラム読み込みにより実現されるため、1つの機能部(例えばソフトウェアモジュール)の一部又は全部を他の機能部が有していてもよい。ただし、各記憶部55、56、57は、記憶装置14、記憶装置24、記憶装置34、及び記憶装置44のいずれかにより実現されてもよい。例えば推薦装置10、仮想インスタンスサーバ20、及びテスト用ゲームサーバ30が仮想環境により実現される場合、推薦システム2が備えるこれらの機能は、推薦装置10、仮想インスタンスサーバ20、及びテスト用ゲームサーバ30のそれぞれが1又は複数の装置により実現される場合の動作に準じた各構成要素の動作により、実現することができる。
【0044】
ゲームサーバ40が記憶するゲームログは、クエストに関するゲームログとして、少なくともパーティ(パーティ編成)に関する情報を含む編成データを含んでいる。第1の編成データ記憶部55は、ゲームサーバ40が記憶するゲームログのうち、各クエストをクリアしたゲームログのうちのパーティに関する情報を含む第1の編成データを記憶する。第1の編成データは、実ユーザによるクリア済み編成データと呼ぶことができる。第1の編成データ記憶部55に記憶される第1の編成データとしては、ゲームサーバ40から取得したゲームログのデータをそのまま用いてもよいし、ゲームログに基づいて生成されたデータを用いてもよい。1つの例では、推薦装置10が、ゲームサーバ40からゲームログを取得し、該取得したゲームログから、各クエストをクリアしたゲームログのうちのパーティに関する情報を含む第1の編成データを抽出又は生成することができる。第1の編成データは、プレイしたプレイヤのプレイヤIDと、該プレイヤのプレイヤレベルと、クエストIDと、5つのパーティ編成キャラクタ(実ユーザによるクリア済みパーティ)と、各パーティ編成キャラクタのステータス情報と、を含む。第1の編成データは、クリアランクを示すクリアフラグを含むことができる。第1の編成データ記憶部55は、推薦装置10により実現することができる。
【0045】
1つの例では、第1の編成データ記憶部55に記憶される第1の編成データは、ゲームサーバ40が記憶するゲームログのうち、各クエストを初めてクリアしたゲームログから生成又は抽出されたデータとすることができる。例えばこの場合、推薦装置10が、ゲームサーバ40から取得したゲームログから各クエストを初めてクリアしたゲームログを抽出(取得)し、又はゲームサーバ40から各クエストを初めてクリアしたゲームログを取得し、第1の編成データを生成することができる。1つの例では、第1の編成データ記憶部55に記憶される第1の編成データは、ゲームサーバ40が記憶するゲームログのうち、各クエストを(内容に関わらず)クリアしたゲームログから生成又は抽出されたデータとすることができる。例えばこの場合、推薦装置10が、ゲームサーバ40から取得したゲームログから各クエストをクリアしたゲームログを抽出(取得)し、又はゲームサーバ40から各クエストをクリアしたゲームログを取得し、第1の編成データを生成することができる。1つの例では、第1の編成データ記憶部55に記憶される第1の編成データは、ゲームサーバ40が記憶するゲームログのうち、各クエストを所定の成績以上で又は条件を満たしてクリアした(例えばクリアランク星×3(★★★)でクリアした)ゲームログから生成又は抽出されたデータとすることができる。例えばこの場合、推薦装置10が、ゲームサーバ40から取得したゲームログから各クエストを所定の成績以上で又は条件を満たしてクリアした(例えばクリアランク星×3(★★★)でクリアした)ゲームログを抽出(取得)し、又はゲームサーバ40から各クエストを所定の成績以上で又は条件を満たしてクリアしたゲームログを取得し、第1の編成データを生成することができる。
【0046】
1つの例では、第1の編成データは、データベースのテーブルデータとすることができ、例えばこの場合、列方向に(カラムとして)、クエストID、プレイヤID、プレイヤレベル、クリアフラグ、及びユニットデータの項目を有し、行方向に1件ずつデータが蓄積されたものであり、各行のデータ(レコード)は、プレイヤID及びクエストIDに関連づけて記憶されたものとすることができる。この場合、ユニットデータは、5つのパーティ編成キャラクタ(パーティ)及びそれらのキャラクタのステータス情報を含むものであり、例えば検索用データとしてJSONで記述されたテキストデータが記憶される。またこの場合、ユニットデータに記憶されるステータス情報は、ゲームGで定められるステータス情報のうち、システム1が推薦情報をプレイヤに提示するために必要な、予め設定された情報が含まれていればよい。第1の編成データは、本例示のデータ構造に限定されるものではないが、以下の説明において、説明の便宜上、第1の編成データのうち、一のプレイヤが1つのクエストを1回クリアしたデータを1つのレコードと呼ぶことができる。なお第1の編成データは、一のレコード(i番目のクエストiをクリアしたデータ)、一のレコード内のパーティ編成キャラクタ、又は一のレコード内のパーティ編成キャラクタ及びそれらのキャラクタのステータス情報を意味することもできる。
【0047】
編成データフィルタ部51は、第1の編成データ記憶部55に記憶された第1の編成データのうち、所定条件を満たすプレイヤのゲームログに関連する第1の編成データを絞り込む(抽出する)。例えば、編成データフィルタ部51は、第1の編成データ記憶部55に記憶された第1の編成データのうちの所定条件を満たすプレイヤのプレイヤIDに関連付けられたレコードを抽出する。編成データフィルタ部51は、推薦装置10により実現することができる。1つの例では、プレイヤIDに関連付けられたプレイ情報に基づいて、例えば直近6ヶ月間でゲームを開始したプレイヤ又は直近3ヶ月に1度でもログインしたプレイヤのプレイヤIDに関連付けられた第1の編成データを抽出(取得)する。
【0048】
参照情報記憶部56は、クエストごとの推定プレイヤレベル(データ)と、第1の編成データと、優先度順キャラクタリストと、を記憶する。参照情報記憶部56は、推薦装置10により実現される。1つの例では、クエストごとの推定プレイヤレベルデータと、第1の編成データと、優先度順キャラクタリストとは、それぞれ異なるデータベースや装置により実現されてもよい。
【0049】
参照情報記憶部56が記憶するクエストごとの推定プレイヤレベルは、各クエストのプレイヤの推定される又は推奨されるプレイヤレベルである。クエストごとの推定プレイヤレベルは、ゲームサーバ40が記憶するゲームログ、又は、第1の編成データ記憶部55に記憶される第1の編成データから算出又は導出されたクエストごとの推定プレイヤレベルであり、例えば、クエストごとの、初回クリアが可能なプレイヤレベルの最低値、初回クリアのプレイヤのプレイヤレベルの最頻値、初回クリアのプレイヤのプレイヤレベルの所定範囲内の最頻値、又はその他の推奨されるプレイヤレベルである。
【0050】
参照情報記憶部56が記憶する第1の編成データは、編成データフィルタ部51が抽出した第1の編成データである。
【0051】
参照情報記憶部56が記憶する優先度順キャラクタリストは、クエストごとに、すべてのキャラクタを、ゲーム内バリューの低い順に並べたリストであり、ゲーム内バリューが低いほど上位の優先度に設定されたリストである。本発明の実施形態では、ゲーム内バリューは、キャラクタごとの、ゲームGにおける価値を示す指標である。1つの例では、ゲーム内バリューは、プレイヤの所有率及びキャラステータスレベルが含むレベル(例えばレアリティ、キャラクタレベル)のうちの一部又は全部に基づいて決定された指標とすることができ、又はゲーム内バリューは、この中の1つ(例えばプレイヤの所有率、レアリティ、キャラクタレベルのいずれか)とすることができる。或いは、1つの例では、ゲーム内バリューは、ゲーム開発者が恣意的に決定した指標とすることもでき、特定のキャラクタをフィーチャリング(強調)することもできる。キャラステータスレベルが高いキャラクタほどプレイヤが労力やコストをかけて能力を高めたキャラクタ又は取得できた能力の高いキャラクタであり、その価値が高くなるため、ゲーム内バリューは、キャラステータスレベルが高いキャラクタほど高くなる。1つの例では、プレイヤの所有率が低いキャラクタほど入手難易度が高く、その価値は高くなるため、ゲーム内バリューは、プレイヤの所有率が低いキャラクタほど高くなるものとすることができる。1つの例では、優先度順キャラクタリストは、クエストごとに、すべてのキャラクタを、キャラステータスレベルが低い順に並べたリストであり、キャラステータスレベルが低いほど上位の優先度に設定されたリストとすることができる。例えば、優先度順キャラクタリストは、クエストごとに、すべてのキャラクタを、レアリティが低い順、すなわち入手難易度が低い順に並べたリストであり、レアリティが低いほど上位の優先度に設定されたリストである。例えば、クエストごとのレアリティは、クエストごとの推定プレイヤレベル又は該推定プレイヤレベルを基準として予め設定された範囲内のプレイヤレベルにおけるレアリティとすることができる。1つの例では、優先度順キャラクタリストにおけるキャラクタには、属性などのステータス情報の少なくとも一部が関連付けられている。優先度順キャラクタリストは、定期的なタイミングやバランス調整後などの所定のタイミングで、ゲーム開発者やゲーム運営者により生成(更新)されてもよいし、又は各種の指標を計算して所定条件を判定するプログラムにより自動的に生成(更新)されてもよい。なお、優先度順キャラクタリストは、同等のデータを記憶するものであればリストでなくてもよいし、優先度ではなく優先順位が設定されたものであってもよい。また、優先度順キャラクタリストは、いずれの方法により生成(更新)された場合であっても、システム1により参照される優先度又は優先順位は、予め設定された優先度又は優先順位であると言うことができる。
【0052】
推薦候補生成部52は、一のクエストについて、参照情報記憶部56に記憶された情報に基づいて、パーティを構成する味方キャラクタのうちの一部を他のキャラクタに置換して、該一のクエストをクリアするためのパーティである推薦候補パーティを生成する。推薦候補生成部52は、ゲームGのすべてのクエストのそれぞれについて、各クエストをクリアするための推薦候補パーティを生成する。推薦候補生成部52は、推薦装置10により実現することができる。1つの例では、第1の編成データ記憶部55に記憶される第1の編成データが、ゲームサーバ40が記憶するゲームログのうち、各クエストを所定の成績以上で又は条件を満たしてクリアしたゲームログから生成又は抽出されたデータである場合、推薦候補生成部52は、一のクエストを所定の成績以上で又は条件を満たしてクリアするための推薦候補パーティを生成するものとすることができる。1つの例では、推薦候補生成部52は、クエストIDと、推薦候補パーティである5つのパーティ編成キャラクタと、各パーティ編成キャラクタのステータス情報とを含む推薦候補編成データを生成することができる。1つの例では、推薦候補生成部52は、参照情報記憶部56に記憶された第1の編成データのうちの各クエストに関連付けられたレコードのそれぞれにおいて、パーティ編成キャラクタのうちの一部を他のキャラクタに置換して、各クエストをクリアするためのパーティである推薦候補パーティを含む推薦候補編成データを生成することができる。1つの例では、推薦候補編成データは、列方向に(カラムとして)、クエストID、プレイヤレベル、及びユニットデータの項目を有するデータとすることができる。
【0053】
1つの例では、推薦候補生成部52は、クエストごとの推定プレイヤレベルデータを参照して、参照情報記憶部56に記憶された第1の編成データのうち、一のクエストに関連付けられたレコードのうちの該一のクエストの推定プレイヤレベル又は該プレイヤレベルを基準として予め設定された範囲内のプレイヤレベルのプレイヤのレコードを用いて、クエストごとに優先度順キャラクタリストを参照して、パーティ編成キャラクタのうちのゲーム内バリューの高いn個の味方キャラクタを優先度順キャラクタリストの上位のn個のキャラクタで置換することにより、クエストごとに、推薦候補パーティを生成する。1つの例では、推薦候補生成部52は、パーティ編成キャラクタのうちのレアリティの高いn個の味方キャラクタを優先度順キャラクタリストの上位のn個のキャラクタで置換することにより、クエストごとに、推薦候補パーティを生成することができる。パーティは5つの味方キャラクタから構成されるため、nは1から4の任意の自然数に設定することができる。
【0054】
推薦候補生成部52は、参照情報記憶部56に記憶された第1の編成データのうちの一のクエストに関連付けられたレコードのそれぞれにおいて、クエストごとに、レアリティの高いn個の味方キャラクタ又は所定レベル以上のレアリティを有する1以上n以下の味方キャラクタを、優先度順キャラクタリストの上位の味方キャラクタで置換することができる。例えばnが2に設定された場合、推薦候補生成部52は、参照情報記憶部56に記憶された第1の編成データのうちの一のクエストに関連付けられたレコードのそれぞれにおいて、レアリティが高い方の2つの味方キャラクタを必ず置換するように構成されてもよいし、所定レベル以上のレアリティの味方キャラクタが2つ無い場合には1つの味方キャラクタのみを置換するように構成されてもよい。
【0055】
1つの例では、推薦候補生成部52は、一のクエストに関連付けられた1つのレコードから、複数の種類の推薦候補パーティを生成することができる。この例示において、例えばnが1に設定された場合、一のクエストに関連付けられた1つのレコードにおいて、1つの味方キャラクタを優先度順キャラクタの上位k個のキャラクタに置換して、k種類の推薦候補パーティを生成することができる。
【0056】
1つの例では、推薦候補生成部52は、参照情報記憶部56に記憶された第1の編成データのうちの一のクエストに関連付けられたレコードのそれぞれにおいて、クエストごとに、n個の味方キャラクタを、その味方キャラクタのそれぞれと互換性が高い(例えば同じ属性)の味方キャラクタのうちの優先度順キャラクタリストの上位の味方キャラクタで置換することができる。この例示において、例えばnが1に設定され、置き換えられる味方キャラクタの属性が前衛・物理の属性である場合、推薦候補生成部52は、優先度順キャラクタリストの上位の前衛・物理又は前衛・万能の属性のキャラクタで置換する。この例示において、例えばnが2以上の場合、置き換えられる味方キャラクタのそれぞれと互換性が高い優先度順キャラクタリストの上位のキャラクタでそれぞれ置換される。1つの例では、推薦候補生成部52は、キャラクタのステータス情報を参照して、置き換えられる味方キャラクタに対する優先度順キャラクタリストの上位のキャラクタの互換性を動的に計算し、評価値が高い場合に、例えば評価値が所定値以上の場合に、置き換わるキャラクタ(互換性が高いキャラクタ)として決定することができる。例えば、推薦候補生成部52は、キャラクタのステータス情報におけるタンク/前衛/中衛/後衛や物理/魔法/万能等、複数の属性のうち一致するものが多いキャラクタの評価値を高くするように構成されてもよい。例えば、推薦候補生成部52は、タンクになっているキャラクタについては、物理/魔法/万能を区別せずに、常に一致するものとして評価値を計算するように構成されてもよい。例えば、推薦候補生成部52は、一部のキャラクタでは、万能の属性から他の属性への変更については評価値を低くし、万能への置き換えについては評価値を高くするように構成されてもよい。
【0057】
1つの例では、推薦候補生成部52は、生成した推薦候補パーティのうち置換されなかった味方キャラクタを、元の第1の編成データにおいて関連付けられたキャラステータスレベルに設定し、置き換わった味方キャラクタを、クエストに応じて予め設定したクエストをクリア可能な最低レベル及びその周辺レベルに設定することができる。1つの例では、推薦候補生成部52は、生成した推薦候補パーティのすべての味方キャラクタを、クエストに応じて予め設定したクエストをクリア可能な最低レベル及びその周辺レベルに設定することができる。
【0058】
推薦候補生成部52は、ゲームGのすべてのクエストのそれぞれについて、複数の種類の推薦候補パーティを生成する。
【0059】
ゲームプレイ実行部53は、推薦候補生成部52が生成した推薦候補パーティを用いてゲームプレイを行い、クリアできたパーティを抽出(決定)する。1つの例では、ゲームプレイ実行部53は、ゲームGのすべてのクエストのそれぞれについて、推薦候補生成部52が生成した一のクエストをクリアするための推薦候補パーティを用いて、該一のクエストの自動プレイ(ゲームシステムが有するオートプレイ機能若しくは外部のAIを用いた自動プレイ又はシンプルなオートパイロット機能を用いた自動プレイ)を実行することにより、該一のクエストをクリアしたパーティである推薦用パーティを抽出する。1つの例では、ゲームプレイ実行部53は、一のクエストを所定の成績以上でクリアするための推薦候補パーティを用いて該一のクエストをプレイすることができる。1つの例では、ゲームプレイ実行部53は、一のクエストを所定の成績以上で、かつ必要最低限のレベルでクリアするための推薦候補パーティを用いて該一のクエストをプレイすることができる。1つの例では、ゲームプレイ実行部53は、推薦候補パーティを用いて該一のクエストをプレイする際、パーティを構成する味方キャラクタのキャラステータスレベルを該一のクエストに対応する所定のレベル(例えば該一のクエストをクリアするために最低限必要なレベル)に設定することができる。1つの例では、ゲームプレイ実行部53は、推薦候補パーティを用いて一のクエストをプレイする際、パーティを構成する味方キャラクタのキャラステータスレベルを該一のクエストの推定プレイヤレベル又は該プレイヤレベルを基準として予め設定された範囲内のプレイヤレベルに合わせて設定することができる。
【0060】
ゲームプレイ実行部53は、クエストのそれぞれについてクリアした推薦用パーティを、クエストごとに、抽出し、抽出した推薦用パーティを第2の編成データ記憶部57に記憶する。1つの例では、ゲームプレイ実行部53は、クエストIDと、推薦用パーティである5つのパーティ編成キャラクタと、各パーティ編成キャラクタのステータス情報とを含む推薦用編成データを抽出(生成)し、生成した推薦用パーティを第2の編成データ記憶部57に記憶することができる。
【0061】
本発明の実施形態では、ゲームプレイ実行部53は、主として仮想インスタンスサーバ20及びテスト用ゲームサーバ30により実現される。仮想インスタンスサーバ20は、推薦装置10からの制御信号に従って、ゲームをプレイするプレイヤ端末(ユーザ端末)又はプレイヤ端末のソフトウェア環境を仮想化するための複数の仮想インスタンスを生成する。仮想インスタンスは、ゲームGを実行するための仮想インスタンスであり、テスト用ゲームサーバ30と接続され、ゲームGを実行できるように構成される。仮想インスタンスサーバ20は、一の仮想インスタンスにおいてゲームGを実行すると、推薦候補生成部52が生成した一のクエストをクリアするためのパーティを設定し、該一のクエストのゲームプレイ(自動プレイ)を実行する。
【0062】
仮想インスタンスはプレイヤ端末又はプレイヤ端末のソフトウェア環境を仮想化するための仮想インスタンスであり、例えば、docker(登録商標)等の「コンテナ」と呼ばれるオペレーティングシステム・レベルの仮想化技術を用いることにより実現できる。docker(登録商標)は、Linux(登録商標)カーネルが提供するLinux(登録商標)コンテナを制御し、プロセス単位での仮想化、すなわち、CPUの利用とファイルシステムの利用を、他のプロセスから分離された空間を提供することができる。各コンテナ同士は相互に分離されているため、あたかも、オペレーティングシステム内で、唯一動作するゲームアプリとしてふるまうことが可能になる。そのため、各コンテナにおいてゲームアプリを実行して、ゲームアプリのプロセスを起動することにより、プレイヤ端末におけるゲームアプリの実行を仮想的に実現することができる。したがって、仮想インスタンスサーバ20において複数の仮想インスタンスを生成して、同時に複数のゲームアプリを隔離して並列に実行し、検証用結果を生成することができる。本発明の実施形態においては、仮想インスタンスとしてdocker(登録商標)の「コンテナ」を用いることができ、例えば仮想インスタンスのそれぞれは、仮想化されたスマートフォンとして扱うことができる。
【0063】
1つの例では、仮想インスタンスは、プレイヤ端末においてゲームをプレイするために実行されるゲームアプリAを、ヘッドレスモードで実行することによりゲームGを実行することができる。例えば、仮想インスタンスサーバ20は、少なくともグラフィック処理及びサウンド処理が実質的に無効化されるように、プレイヤ端末においてゲームをプレイするために実行されるゲームアプリAを、オートパイロットで、仮想インスタンスにおいてヘッドレスモードで、又はGPU及びサウンドデバイスの仮想化を行なって実行することによりゲームGを実行することができる。ここで、グラフィック処理及びサウンド処理が無効化されることは、仮想化やリダイレクトによる実質的な無効化が行われることも含む。
【0064】
1つの例では、ゲームプレイ実行部53は、preforkd上でのAI自動プレイにより実装することができる。preforkdは、ゲームをEnd-to-Endで仮想化して大規模に並列起動し、それらをプレイするAIエージェントによる自動デバッグシステムに位置付けられ、このpreforkdでは、関数型パラダイムに基づく仮想化・並列化を行い、例えば96個の仮想CPUを有する1台のサーバ上で、90~210個のゲームプロセスをフルパラレルで動作させる高密度性を達成することができる。これにより、1日で14万回以上ものクエストを実行することが可能となる。
【0065】
上述のように、ゲームプレイ実行部53は、仮想インスタンスを用いてゲームを実行し、ゲームプレイを実行することができるため、各クエストの自動プレイを大規模シミュレーション環境でAIが実行することができる。
【0066】
第2の編成データ記憶部57は、クエストごとに、推薦用パーティを記憶する。1つの例では、第2の編成データ記憶部57は、推薦用編成データを記憶し、推薦用編成データの各レコードは、クエストIDに関連づけて記憶される。推薦用編成データは、推薦候補編成データと同じデータ構造を有することができる。推薦用編成データは、AIによるクリア済み編成データと呼ぶことができる。第2の編成データ記憶部57は、推薦装置10により実現することができる。
【0067】
推薦情報出力部54は、一のプレイヤの所有する味方キャラクタに基づいて、第2の編成データ記憶部57に記憶される推薦用パーティから1又は複数の推薦用パーティを含む推薦情報を該一のプレイヤのプレイヤ端末に出力(送信)する。推薦情報出力部54は、推薦装置10及びゲームサーバ40により実現することができる。1つの例では、推薦情報は、推薦用編成データを含むことができる。1つの例では、推薦情報は、ゲームサーバ40が受信すると、ゲームサーバ40が、例えばプレイヤ端末を介して、推薦情報が示す情報、例えば1又は複数の推薦用パーティをプレイヤに提示することが可能となるような情報であればよい。
【0068】
1つの例では、推薦情報出力部54は、一のプレイヤのプレイヤ端末からの特定のクエストの推薦用パーティの要求に応じて、該一のプレイヤの所有する味方キャラクタに基づいて、第2の編成データ記憶部57に記憶される推薦用パーティから1以上の推薦用パーティを該一のプレイヤ端末に出力することができる。
【0069】
図7は、本発明の一実施形態のシステム1の処理のフローチャートの一例を説明する図である。
【0070】
ステップS1で、推薦システム2は、第1の編成データ記憶部55に記憶された第1の編成データのうち、所定条件を満たすプレイヤのゲームログに関連する第1の編成データを取得(抽出)し、参照情報記憶部56に記憶する。ステップS2で、推薦候補生成部52は、ゲームGのすべてのクエストのそれぞれについて、参照情報記憶部56に記憶されている情報に基づいて、推薦候補パーティを生成する。ステップS3で、ゲームプレイ実行部53は、ゲームGのすべてのクエストのそれぞれについて、推薦候補生成部52が生成した一のクエストをクリアするための推薦候補パーティを用いて、該一のクエストの自動プレイを実行し、該一のクエストをクリアした推薦用パーティを抽出する。ステップS4で、推薦情報出力部54は、一のプレイヤの所有する味方キャラクタに基づいて、第2の編成データ記憶部57に記憶された推薦用パーティから推薦情報を出力する。
【0071】
次に、本発明の実施形態のシステム1の主な作用効果について説明する。
本発明の実施形態のシステム1の技術的特徴の1つは、既存のプレイヤが作成した実際にクエストをクリアしたパーティ(パーティ編成)を素材として、入手し難い味方キャラクタをより入手しやすい味方キャラクタに置き換える編集を行い、その編集済みのパーティを大規模シミュレーション環境でテストプレイさせる点である。
このような構成とすることにより、各クエストをクリア可能で、かつ、プレイヤに提示するための入手難易度が比較的低いパーティを生成又は抽出して出力することが可能である。このような実際にクリアできたというエビデンスに基づくパーティを推薦する技術は、従来存在しないものであり、本発明の実施形態のシステム1により実現することが可能となるものである。これにより、従来存在するコールドスタート問題や露出バイアス問題を解決することが可能となる。
なお、既存のプレイヤが作成した編成を素材とした自動編集機能は、より入手可能性が高い(つまりはレアリティが低い)味方キャラクタへの置き換えを伴うものであればよく、特定のアルゴリズムには依存しない。また、自動編集の結果をシミュレーション環境で自動プレイする際の、自動プレイのアルゴリズムについても、特定の実装には依存しない。
また本発明の実施形態では、推薦システム2については、サービス運用中のゲームサーバ40から切り離されたオフラインのバッチ処理として実装できるため、サービスのランタイムの負荷を向上させないまま実現することが可能である。
【0072】
上記の作用効果は、特に言及が無い限り、他の実施形態や変形例においても同様である。
【0073】
本発明の実施形態のシステムは、上記で説明したシステム1又は推薦システム2のいずれであってもよい。したがって、本発明の実施形態では、ゲームサーバ40を備えなくてもよい。ゲームサーバ40を備えない実施形態については後述する。
【0074】
本発明の実施形態のシステム1は、1つの装置であってもよい。この場合、システム1は、構成するすべての要素の仮想化を実現した仮想環境を用いて実現されてもよい。本発明の実施形態は、上記で説明したシステム1又は推薦システム2の機能やフローチャートに示す情報処理を実現する方法又はプログラム若しくは該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体とすることもできる。また本発明の実施形態は、上記で説明した本発明の実施形態の機能やフローチャートに示す情報処理を実現するプログラムをコンピュータに供給することができるサーバとすることもできる。他の実施形態や変形例においても同様である。
【0075】
本発明の実施形態において上記で説明したゲームGの内容は、1つの例であって、これに限定されるものではない。本発明の実施形態では、ゲームGは、特定のゲームに限定されるものではなく、本発明の実施形態のシステムが適用可能なゲームとすることができる。本発明の実施形態では、クエストは、パーティ(パーティ編成)、カードのデッキ編成、又はキャラクタの装備の組合せなどのゲーム媒体セットを用いてゲームプレイを行うクエスト以外の任意のゲームとすることができ、本明細書では、これを単位ゲームと呼ぶことができ、単位ゲームは、クエストを含む概念である。また本発明の実施形態では、クリアは、バトルゲームにおいて勝利すること、又は他のゲームにおいて所定のスコア以上を獲得するなど、プレイヤが単位ゲームにおいて一定以上の成果を上げることを含む概念である。また例えば、5つのパーティ編成キャラクタは1つの例であり、ゲームGは、パーティ編成キャラクタの数を任意の数に設定することができる。また例えば、先に説明したステータス情報が含む情報は1つの例であり、これに限定されない。その他、先に説明したゲームGの内容は1つの例であり、これに限定されるものではない。
【0076】
本発明の1又は複数の実施形態では、ゲームGは2人以上のプレイヤが参加する対戦型ゲームとすることができる。この実施形態においては、ゲームサーバ40はプレイヤのマッチング処理を実行するように構成することができ、ゲームプレイ実行部53もまたプレイヤのマッチング処理を実行するように構成することができる。
【0077】
本発明の1又は複数の実施形態では、第1の編成データ記憶部55は、ゲームサーバ40又は推薦システム2の任意の装置により実現されてもよい。本発明の1又は複数の実施形態では、編成データフィルタ部51は、ゲームサーバ40又は推薦システム2の任意の装置により実現されてもよい。本発明の1又は複数の実施形態では、参照情報記憶部56は、推薦システム2の任意の装置により実現されてもよい。本発明の1又は複数の実施形態では、第2の編成データ記憶部57は、ゲームサーバ40又は推薦システム2の任意の装置により実現されてもよい。
【0078】
本発明の1又は複数の実施形態では、第1の編成データ記憶部55に記憶される第1の編成データは、ゲームサーバ40が記憶するゲームログのうち、各クエストを初めてクリアしたゲームログから抽出又は生成されたデータとすることができる。このような構成とすることにより、システム1は、プレイヤのパーティ編成の工夫がより反映されているプレイヤの最初のクリアのときのパーティ編成をベースにして推薦候補パーティ(推薦候補編成データ)を生成することができ、推薦用パーティ(推薦用編成データ)を決定することができる。これにより、より推薦精度を向上させることが可能となる。
【0079】
本発明の1又は複数の実施形態では、第1の編成データ記憶部55に記憶される第1の編成データは、ゲームサーバ40が記憶するゲームログのうち、各クエストを所定の成績以上で又は条件を満たしてクリアした(例えばクリアランク星×3(★★★)でクリアした)ゲームログから生成又は抽出されたデータとすることができる。このような構成とすることにより、システム1は、よりよい推薦用パーティ(推薦用編成データ)を決定することが可能となり、より推薦精度を向上させることが可能となる。
【0080】
本発明の1又は複数の実施形態では、第1の編成データ記憶部55に記憶される第1の編成データは、ゲームプレイ実行部53によるゲームプレイにより生成されたゲームログからも、生成することができる。この実施形態では、例えば、推薦装置10が、ゲームサーバ40から取得したゲームログ及びゲームプレイ実行部53によるゲームプレイにより生成されたゲームログから、各クエストをクリアしたゲームログのうちのパーティに関する情報を含む第1の編成データを生成することができる。このような構成とすることにより、推薦候補パーティ(推薦候補編成データ)や推薦用パーティ(推薦用編成データ)を生成するのに十分なゲームログをゲームサーバ40から取得できない場合においても、各クエストをクリア可能で、かつ、プレイヤに提示するための入手難易度が比較的低いパーティを生成又は抽出して出力することが可能である。
【0081】
本発明の実施形態では、システム1が編成データフィルタ部51を備えることにより、ゲームを長期運用することで蓄積される離脱ユーザのクリア履歴やゲームバランスの調整などで古くなったクリア履歴を除外し、可能な限り直近のプレイ履歴データ(ゲームログ)を活用することが可能となる。またこのような構成とすることにより、ゲームサーバ40により大量に生成されるゲームログから参照用のデータを絞ることが可能となり、組み合わせ爆発を防ぐことが可能となる。
【0082】
本発明の1又は複数の実施形態では、システム1は、編成データフィルタ部51を備えなくてもよい。この実施形態では、第1の編成データは、プレイしたプレイヤのプレイヤIDを含まなくてもよい。この実施形態では、参照情報記憶部56が記憶する第1の編成データは、第1の編成データ記憶部55が記憶する第1の編成データと同じでもよいし、又は、参照情報記憶部56は、第1の編成データを記憶しなくてもよい。参照情報記憶部56が第1の編成データを記憶しない場合、推薦候補生成部52は、参照情報記憶部56に記憶された第1の編成データの代わりに、第1の編成データ記憶部55に記憶された第1の編成データを用いることができる。例えばこの場合、推薦候補生成部52は、一のクエストについて、第1の編成データ記憶部55に記憶された第1の編成データ並びに参照情報記憶部56に記憶されたクエストごとの推定プレイヤレベル及び優先度順キャラクタリストに基づいて、パーティを構成する味方キャラクタうちの一部を他のキャラクタに置換して、該一のクエストをクリアするためのパーティである推薦候補パーティを生成することができる。例えばこの場合、
図7に示すフローチャートはステップS1を含まなくてもよく、ステップS2で、推薦候補生成部52は、ゲームGのすべてのクエストのそれぞれについて、第1の編成データ記憶部55に記憶された第1の編成データ並びに参照情報記憶部56に記憶されたクエストごとの推定プレイヤレベル及び優先度順キャラクタリストに基づいて、推薦候補パーティを生成することができる。この実施形態であっても、上記のシステム1の主な作用効果を奏しうる。
【0083】
本発明の実施形態では、システム1が推薦候補生成部52を備えることにより、実際にクエストをクリアしたパーティを素材として、入手難易度が低いパーティを生成することが可能となる。本発明の実施形態において説明したレアリティは、ゲーム内バリューの1つの例である。例えば、推薦候補生成部52は、パーティ編成キャラクタのうちの、所定のタイミング又は所定期間内のプレイヤの所有率が低いn個の味方キャラクタを、優先度順キャラクタリストの上位のn個のキャラクタで置換することにより、推薦候補パーティを生成することができる。
【0084】
本発明の1又は複数の実施形態では、推薦候補生成部52は、ゲームGのすべてのクエストではなく、対象のクエスト(一部又は特定のクエスト)のそれぞれについて、推薦候補編成データ(推薦候補パーティ)を生成するように構成されてもよい。この場合、第1の編成データは、推薦候補生成部52が生成するクエストに関連するレコードのみ含むように構成されてもよい。例えばこの場合、推薦装置10が、ゲームサーバ40から取得したゲームログから対象のクエストをクリアしたゲームログを抽出(取得)し、又はゲームサーバ40から対象のクエストをクリアしたゲームログを取得し、第1の編成データを生成することができる。
【0085】
本発明の実施形態では、参照情報記憶部56がクエストごとの推定プレイヤレベルを記憶することにより、推薦候補生成部52は、ゲーム開発時に設定された推奨プレイヤレベルから乖離する可能性がある、実際に一のクエストiをクリア可能な編成を生成するときの基準となるプレイヤレベルを参照して、一のクエストiをクリアするための推薦候補パーティを生成することが可能となる。
【0086】
本発明の1又は複数の実施形態では、推薦候補生成部52は、参照情報記憶部56に記憶された第1の編成データのうち、一のクエストに関連付けられたレコードのすべて、又は該一のクエストの推定プレイヤレベルとは無関係の特定のレコードを用いて、推薦候補パーティを生成することができる。或いは、本発明の1又は複数の実施形態では、第1の編成データ記憶部55に記憶される第1の編成データは、ゲームサーバ40が記憶するゲームログのうち、各クエストをクリアしたゲームログから抽出又は生成されたデータとすることができる。このような実施形態であっても、上記のシステム1の主な作用効果を奏しうる。この場合、参照情報記憶部56は、クエストごとの推定プレイヤレベルを記憶しなくてもよい。
【0087】
本発明の1又は複数の実施形態では、ゲームGにプレイヤレベルが設定されてなくてもよい。
【0088】
本発明の実施形態では、例えば優先度順キャラクタリストがクエストごとにレアリティの低い順にすべてのキャラクタを並べたリストであり、推薦候補生成部52が優先度順キャラクタリストを参照する(用いる)ことにより、推薦候補生成部52は、クエストごとに、パーティ編成キャラクタのうちのレアリティの高いn個の味方キャラクタを優先度順キャラクタリストの上位のn個のキャラクタで置換し、推薦候補パーティを生成することができる。本発明の実施形態において説明したレアリティは、ゲーム内バリューの1つの例である。例えば、優先度順キャラクタリストは、所定のタイミング又は所定期間内のプレイヤの所有率が高い順に並べたリストであり、所有率が高いほど上位の優先度に設定されたリストとすることができる。例えば、クエストごとの所有率は、クエストごとの推定プレイヤレベル又は該推定プレイヤレベルを基準として予め設定された範囲内のプレイヤレベルにおける所有率とすることができる。また例えば、キャラクタの初期レアリティが低いほどプレイヤは入手しやすく所持率が高い傾向にあるから、初期レアリティが低いほど上位の優先度に設定されたリストとしてもよい。
【0089】
本発明の1又は複数の実施形態では、優先度順キャラクタリストは、クエストごとではなく、すべてのキャラクタを、ゲーム内バリューの低い順に並べたリストであり、ゲーム内バリューが低いほど上位の優先度に設定されたクエスト共通のリストとすることができる。例えば、推薦候補生成部52は、クエストごとの推定プレイヤレベルデータを参照して、参照情報記憶部56に記憶された第1の編成データのうち、一のクエストに関連付けられたレコードのうちの該一のクエストの推定プレイヤレベル又は該プレイヤレベルを基準として予め設定された範囲内のプレイヤレベルのプレイヤのレコードを用いて、クエスト共通の優先度順キャラクタリストを参照して、パーティ編成キャラクタのうちのゲーム内バリューの高いn個の味方キャラクタを優先度順キャラクタリストの上位のn個のキャラクタで置換することにより、クエストごとに、推薦候補パーティを生成することができる。
【0090】
本発明の1又は複数の実施形態では、優先度順キャラクタリストは、レアリティなどのゲーム内バリューに代えて、又はこれに加えて、ゲームGの所定のクエスト又はゲームGのすべてのクエストのそれぞれにおいて、ゲーム内バリュー以外の要素を優先度に考慮して優先度順キャラクタリストの優先度又は優先順位を設定することができる。1つの例では、「今月登場したキャラを含んだ編成」や「このイベントで活躍させたいキャラクタ」などの開発者側の演出意図に応じて、優先度又は優先順位を設定することができる。このような構成とすることにより、パーティ自動生成の「低レアリティ」や「所有率の高さ」だけではなく、開発者側の演出意図を表現することができ、これにより、新規キャラ等を「おすすめ推薦」の中に意図的に登場させ、フィーチャーすることが可能となる。
【0091】
本発明の1又は複数の実施形態では、ゲームプレイ実行部53は、オートプレイモードではないマニュアルモードでのゲームプレイ(AI自動プレイ)を仮想インスタンスに実行させることができる。本発明の1又は複数の実施形態では、ゲームプレイ実行部53は、仮想インスタンスを用いない仮想環境を用いて、ゲームプレイを実行することができる。本発明の1又は複数の実施形態では、仮想インスタンスサーバ20及びテスト用ゲームサーバ30は、仮想環境により実現することができる。
【0092】
本発明の実施形態では、システム1が推薦情報出力部54を備えることにより、プレイヤは、ゲームプレイ時に、プレイヤが所持している味方キャラクタにより構成される1又は複数のパーティ編成を選択することが可能となる。1つの実装例では、ゲームGは、パーティ編成画面において「クリアパーティ」又は「AIおすすめ編成」といったオブジェクトが配置されるように構成され、プレイヤ端末においてプレイヤが当該オブジェクトをタップすると、推薦システム2(サーバサイド)は、第2の編成データ記憶部57に記憶された対象のクエスト(プレイヤ端末の要求するクエスト)に関連付けられたレコードを選択するように構成することができる。この選択演算は、SQLのIN演算子を使うとSQL処理一回で実行できるため、比較的演算コストの低い処理として実装できる。
【0093】
本発明の1又は複数の実施形態において、ゲームサーバ40を備えない実施形態では、推薦情報出力部54を備えなくてもよい。この実施形態では、ゲームプレイ実行部53が、推薦用編成データ(推薦用パーティ)を出力することにより、例えば第2の編成データ記憶部57に記憶することにより、当該データを活用することが可能である。したがって、本発明の実施形態では、システム1は、パーティを出力する(ゲーム媒体セットを出力する)構成があれば、上記のシステム1の主な作用効果を奏しうると言うことができる。またゲームサーバ40を備えない実施形態では、推薦システム2とゲームサーバ40はネットワーク4を介して通信可能に接続されていなくてもよい。この場合、推薦システム2はゲームサーバ40からのゲームログを取得でき、ゲームサーバ40は推薦システム2からの推薦用編成データ(推薦用パーティ)を取得できるように構成されていればよい。
【0094】
本発明の実施形態では、システム1がプレイヤに提示するためのパーティ(ゲーム媒体セット)を出力することは、プレイヤ端末がディスプレイ装置に推薦用パーティを表示するためのデータを送信すること又は任意の装置の記憶装置に記憶することを意味することができる。したがって、システム1がパーティ(ゲーム媒体セット)を出力することは、パーティ(ゲーム媒体セット)に関する情報を出力することを意味することができる。
【0095】
本発明の1又は複数の実施形態では、推薦候補生成部52は、式(1)により定義される関数を実装することにより実現することができる。
(1)
式(1)は、ゲームG内のi番目のクエストをクリアした上級ユーザによるクリア済み編成データの集合D
iを入力として、D
iが含む初級ユーザが所有し難いキャラクタを、初級ユーザが所有し易いキャラクタに代替させた、よりアフォーダブルな編成データの集合
を出力する関数である。
【0096】
本発明の1又は複数の実施形態では、ゲームプレイ実行部53は、D´
iが含むj番目の編成データ
が、i番目のクエストをクリア可能であることを、AIに大規模シミュレーション環境でゲームプレイさせることにより、シミュレーションとして検証を行うことができる。このシミュレーションを行う機能を関数として式(2)によりモデル化することができる。
(2)
ここで、
は、シミュレーション対象となる編成データの集合であり、
は、シミュレーションの結果、クエストiをクリアできた編成データの集合である。
【0097】
本発明の1又は複数の実施形態では、推薦情報出力部54は、各プレイヤの所有キャラクタの集合で絞り込むことにより、パーソナライズされ、かつ、クリアが保証された編成の推薦を実現する。このパーソナライゼーションのプロセスは、式(3)の関数としてモデル化することができる。
(3)
は、u番目のプレイヤが所有する味方キャラクタ集合を示し、
は、プレイヤpの所有する味方キャラクタのみで編成された、クエストiをクリア可能な編成の集合である。
【0098】
本発明の実施形態において、ヘッドレスモードとは、GPUにアクセスするグラフィック処理を無効化し、さらに、音源チップにアクセスするサウンド処理、および、外部サーバへのアクセス処理を無効化するモードである。これにより、CPU、メモリ、二次記憶装置のみを使用する状態、すなわち、コンテナ内部に閉じたリソースへのアクセスのみでゲームを実行することができるため、人間が閲覧することを前提としたアニメーション処理スピード、人間が聞くことを前提とした音声の再生スピードといった律速要因(速度を決める要因)を排除することができるようになる。さらに、これらのグラフィック機器やサウンド機器は、一般的にCPUの外にある外部機器として実装されており、CPUと外部機器との間のI/O処理にかかる同期のための待ち時間も省略することができる。これにより、人間のための演出や、外部機器のための同期待ちといったウェイト処理を省いた、CPU単独の処理速度のみに依存するノー・ウェイト(No Wait)処理で、ゲームを高速に動作させることができるから、より短時間でゲームの実行を行うことができる。
【0099】
本発明の1又は複数の実施形態では、ゲームプログラム(ゲームアプリ)をヘッドレスモードで実行することは、ヘッドレスモードでゲームプログラムを実行することと、ヘッドレス化されたゲームプログラムを実行することのいずれであってもかまわない。ゲームをヘッドレス状態で進行させることができれば、どのような態様での実行であってもかまわない。広く普及しているゲームエンジンであるUnityにおいてはGUIからヘッドレスモードを選択するだけで容易にヘッドレス化されたゲームプログラムを生成することが可能である。すなわち、プレイヤ端末用のゲームプログラムを再利用して、検証用のゲームプログラムを容易に用意することができる。本発明の1又は複数の実施形態では、ゲームプログラムをヘッドレスモードではない、通常モードで実行してもよい。
【0100】
本発明の1又は複数の実施形態では、システム1が備える各機能部は、その一部又は全部を実現するための電子回路等を構成することによりハードウェアによって実現することもできる。
【0101】
以上に説明した処理又は動作において、あるステップにおいて、そのステップではまだ利用することができないはずのデータを利用しているなどの処理又は動作上の矛盾が生じない限りにおいて、処理又は動作を自由に変更することができる。また以上に説明してきた各実施例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0102】
1:システム、2:推薦システム、4:ネットワーク、10:推薦装置、11:プロセッサ、12:表示装置、13:入力装置、14:記憶装置、15:通信装置、16:バス、20:仮想インスタンスサーバ、21:プロセッサ、22:表示装置、23:入力装置、24:記憶装置、25:通信装置、26:バス、30:テスト用ゲームサーバ、31:プロセッサ、32:表示装置、33:入力装置、34:記憶装置、35:通信装置、40:ゲームサーバ、41:プロセッサ、42:表示装置、43:入力装置、44:記憶装置、45:通信装置、51:編成データフィルタ部、52:推薦候補生成部、53:ゲームプレイ実行部、54:推薦情報出力部、55:第1の編成データ記憶部、56:参照用情報記憶部、57:第2の編成データ記憶部