(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014815
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】向上したエネルギー密度を有する充電式バッテリーパック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/211 20210101AFI20240125BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20240125BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M50/291
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023117955
(22)【出願日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/369,200
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598073073
【氏名又は名称】ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニアン、アディティヤ
(72)【発明者】
【氏名】ファスベンダー、カイル、シー.
(72)【発明者】
【氏名】シ、チンファン
(72)【発明者】
【氏名】ガルロフ、アレクセイ
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA01
5H040AT02
5H040AT04
5H040NN00
5H040NN01
5H040NN05
(57)【要約】
【課題】 向上したエネルギー密度を有する充電式バッテリーパックを提供する。
【解決手段】 バッテリーパックであって、ハウジングであって、その中の内部体積を少なくとも部分的に画定するハウジングと、ドッキングインタフェースと、内部体積内に少なくとも部分的に配置されたセルパックアセンブリとを含むバッテリーパック。セルパックアセンブリは、複数のバッテリーセルを含み、各バッテリーセルは、本体と、本体から延びるアノードと、本体から延びるカソードとを含み、セルパックアセンブリは、複数のセルの各本体部分を完全に包含する直方体の形状のセルパッキング体積を画定し、セルパックアセンブリは、複数のバッテリーセルの各バッテリーセルの本体部分の合計体積がセルパッキング体積の80%以上を占めるようにパッケージ化される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーパックであって、
ハウジングであって、その中の内部体積を少なくとも部分的に画定するハウジングと、
ドッキングインタフェースと、
前記内部体積内に少なくとも部分的に配置されたセルパックアセンブリと
を含み、前記セルパックアセンブリは、複数のバッテリーセルを含み、各バッテリーセルは、本体と、前記本体から延びるアノードと、前記本体から延びるカソードとを含み、
前記セルパックアセンブリは、前記複数のセルの各本体部分を完全に包含する直方体の形状のセルパッキング体積を画定し、
前記セルパックアセンブリは、前記複数のバッテリーセルの各バッテリーセルの前記本体部分の合計体積が前記セルパッキング体積の80%以上を占めるようにパッケージ化される、バッテリーパック。
【請求項2】
前記セルパックアセンブリは、前記複数のバッテリーセルの各バッテリーセルの前記本体部分の前記合計体積が前記セルパッキング体積の85%以上を占めるようにパッケージ化される、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記セルパックアセンブリは、前記複数のバッテリーセルの各バッテリーセルの前記本体部分の前記合計体積が前記セルパッキング体積の87.5%以上を占めるようにパッケージ化される、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記複数のバッテリーセルの各バッテリーセルは、同じ外形寸法を有する、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記複数のバッテリーセルの各バッテリーセルは、同じバッテリー構造である、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記セルパックアセンブリは、その中に含まれる少なくとも5つの個々のバッテリーセルを含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
各バッテリーセルの前記本体部分は、直方体形状を形成する、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記セルパックアセンブリは、前記複数のバッテリーセルの各本体部分を完全に包含する直方体の形状のセルパッキング体積を画定し、前記セルパックアセンブリは、完全に充電されたとき、前記セルパッキング体積が150Ah/L以上のエネルギーを貯蔵するようにパッケージ化される、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記セルパックアセンブリは、完全に充電されたとき、前記セルパッキング体積が150Ah/L~200Ah/Lのエネルギーを貯蔵するようにパッケージ化される、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記セルパックアセンブリは、完全に充電されたとき、前記セルパッキング体積が約166.7Ah/Lのエネルギーを貯蔵するようにパッケージ化される、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記複数のバッテリーセルの各バッテリーセルは、同じ構造のものである、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
各バッテリーセルの前記本体部分は、本体高さ、本体幅及び本体長さを含み、前記本体高さは、少なくとも3mmである、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記本体高さは、7mmである、請求項12に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記複数のバッテリーセルは、スタック軸に沿ったスタックにおいて配置され、各バッテリーセルは、前記スタック軸に平行なバッテリーセル高さを画定し、複数の中間部材は、隣接するバッテリーセル間に配置され、各中間部材は、前記スタック軸に平行な中間部材高さを画定し、バッテリーセル高さと中間部材高さとの比は、少なくとも3:1である、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
バッテリーセル高さと中間部材高さとの前記比は、少なくとも7:1である、請求項14に記載のバッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年7月22日に出願された、先行出願された同時係属中の米国仮特許出願第63/369,200号明細書に対する優先権を主張し、その特許出願の全内容が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、充電式バッテリーパックに関し、より具体的には、向上したエネルギー密度を有する充電式バッテリーパックに関する。
【背景技術】
【0003】
充電式バッテリーパックは、典型的には、バッテリーパックのハウジング内に収容された複数の個々の円筒形のバッテリーセル内に電力を貯蔵する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、バッテリーパックは、ハウジングであって、その中の内部体積を少なくとも部分的に画定するハウジングと、ドッキングインタフェースと、内部体積内に少なくとも部分的に配置されたセルパックアセンブリとを含み、セルパックアセンブリは、複数のバッテリーセルを含み、各バッテリーセルは、本体と、本体から延びるアノードと、本体から延びるカソードとを含み、セルパックアセンブリは、複数のセルの各本体部分を完全に包含する直方体の形状のセルパッキング体積を画定し、セルパックアセンブリは、複数のバッテリーセルの各バッテリーセルの本体部分の合計体積がセルパッキング体積の80%以上を占めるようにパッケージ化される。
【0005】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、セルパックアセンブリは、複数のバッテリーセルの各バッテリーセルの本体部分の合計体積がセルパッキング体積の85%以上を占めるようにパッケージ化される。
【0006】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、セルパックアセンブリは、複数のバッテリーセルの各バッテリーセルの本体部分の合計体積がセルパッキング体積の87.5%以上を占めるようにパッケージ化される。
【0007】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、複数のバッテリーセルの各バッテリーセルは、同じ外形寸法を有する。
【0008】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、複数のバッテリーセルの各バッテリーセルは、同じバッテリー構造である。
【0009】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、セルパックアセンブリは、その中に含まれる少なくとも5つの個々のバッテリーセルを含む。
【0010】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、各バッテリーセルの本体部分は、直方体形状を形成する。
【0011】
別の態様では、バッテリーパックは、ハウジングであって、その中の内部体積を少なくとも部分的に画定するハウジングと、ドッキングインタフェースと、内部体積内に少なくとも部分的に配置されたセルパックアセンブリとを含み、セルパックアセンブリは、複数のバッテリーセルを含み、各バッテリーセルは、本体部分と、本体部分から延びるアノードと、本体部分から延びるカソードとを含み、セルパックアセンブリは、複数のバッテリーセルの各本体部分を完全に包含する直方体の形状のセルパッキング体積を画定し、セルパックアセンブリは、完全に充電されたとき、セルパッキング体積が150Ah/L以上のエネルギーを貯蔵するようにパッケージ化される。
【0012】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、セルパックアセンブリは、完全に充電されたとき、セルパッキング体積が150Ah/L~200Ah/Lのエネルギーを貯蔵するようにパッケージ化される。
【0013】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、セルパックアセンブリは、完全に充電されたとき、セルパッキング体積が約166.7Ah/Lのエネルギーを貯蔵するようにパッケージ化される。
【0014】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、複数のバッテリーセルの各バッテリーセルは、同じ構造のものである。
【0015】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、各バッテリーセルの本体部分は、本体高さ、本体幅及び本体長さを含み、本体高さは、少なくとも3mmである。
【0016】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、本体高さは、7mmである。
【0017】
別の態様では、バッテリーパックは、ハウジングであって、その中の内部体積を少なくとも部分的に画定するハウジングと、ドッキングインタフェースと、内部体積内に少なくとも部分的に配置されたセルパックアセンブリとを含み、セルパックアセンブリは、スタック軸に沿ったスタックにおいて配置された複数のバッテリーセルを含み、各バッテリーセルは、スタック軸に平行なバッテリーセル高さを画定し、複数の中間部材は、隣接するバッテリーセル間に配置され、各中間部材は、スタック軸に平行な中間部材高さを画定し、バッテリーセル高さと中間部材高さとの比は、少なくとも3:1である。
【0018】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、バッテリーセル高さと中間部材高さとの比は、少なくとも7:1である。
【0019】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、複数のバッテリーセルの各バッテリーセルは、同じバッテリーセル高さを有する。
【0020】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、複数の中間部材の各中間部材は、同じ中間部材高さを有する。
【0021】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、複数のバッテリーセルの各バッテリーセルは、本体部分と、本体部分から延びるアノードと、本体部分から延びるカソードとを含み、本体部分は、直方体形状を形成する。
【0022】
代わりに又は加えて、任意の組み合わせにおいて、中間部材の少なくとも1つは、直方体形状を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】向上したエネルギー密度を有する充電式バッテリーパックの斜視図である。
【
図3】
図1の充電式バッテリーパックのセルパックアセンブリの斜視図である。
【
図4】
図3のセルパックアセンブリの側面図である。
【
図5】
図3のセルパックアセンブリからのバッテリーセルの斜視図である。
【
図6】セルパックアセンブリの別の実施形態を示す。
【
図7】セルパックアセンブリの別の実施形態を示す。
【
図8】セルパックアセンブリの別の実施形態を示す。
【
図9】セルパックアセンブリの別の実施形態を示す。
【
図10】セルパックアセンブリの別の実施形態を示す。
【
図11】セルパックアセンブリの別の実施形態を示す。
【
図12】セルパックアセンブリの様々な実施形態を示す。
【
図13】セルパックアセンブリの様々な実施形態を示す。
【
図14】セルパックアセンブリの様々な実施形態を示す。
【
図15】セルパックアセンブリの様々な実施形態を示す。
【
図16】セルパックアセンブリの従来技術による実施形態を示す。
【
図17】2P及び3P形式のバッテリーパックを同じようなサイズの1P形式のバッテリーパックと比較する。
【
図18】2P及び3P形式のバッテリーパックを同じようなサイズの1P形式のバッテリーパックと比較する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示のいずれかの実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その適用において、以下の記述で説明されるか又は以下の図面に図示される構造の詳細及び構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践又は実行することが可能である。本明細書で使用される語法及び専門用語は、説明を目的としたものであり、限定するものとみなすべきではないことも理解されたい。
【0025】
図1~
図2は、一般的に、電動工具等(図示せず)などの電動式装置に選択的に電力を供給するのに使用するための、向上したエネルギー密度を有する充電式バッテリーパック10を示す。バッテリーパック10は、ハウジング14であって、その中の内部体積18を少なくとも部分的に画定するハウジング14と、ハウジング14によって少なくとも部分的に形成されたドッキングインタフェース22と、内部体積18内に配置されたセルパックアセンブリ26と、バッテリー管理システム30であって、セルパックアセンブリ26とドッキングインタフェース22との両方に電気的に連通し、且つそれらの間で電気エネルギーの流れを選択的に導くように構成されたバッテリー管理システム30とを含む。
【0026】
図1に示すように、バッテリーパック10のハウジング14は、第1の又は上部ハウジング部14a及び第2の又は下部ハウジング部14bを含むクラムシェル構造である。組み立てられると、上部ハウジング部14aは、下部ハウジング部14bに(例えば、スナップ、ファスナ等によって)固定して結合されて、それらの間に内部体積18を少なくとも部分的に封入する。
図1に示すように、ハウジング14は、ハウジング14に結合された、ゴム被覆されたバンパー34の対も含み、このバンパー34の対は、動作中に外部衝撃力がハウジング14に伝わるのを緩和することを促進するように構成される。
【0027】
図1に示すように、バッテリーパック10のドッキングインタフェース22は、バッテリーパック10を別の装置(例えば、電動工具、バッテリー充電器等)に物理的且つ電気的に接続することができる取り付け場所として機能する。図示した実施形態では、ドッキングインタフェース22は、上部ハウジング部14aと一体的に形成され、レール38の対、ユーザが作動できるラッチ42の対及び1つ又は複数の電気接点46を含み、各電気接点は、外部装置との間で電力を伝送するために、外部装置との一時的な電気接続を形成するように構成される。図示したドッキングインタフェース22は、「スライドアンドロック」システムの形態として示されているが、他の実施形態では、異なる形態及び接続形式が使用され得ることを理解されたい。
【0028】
図2を参照すると、充電式バッテリーパック10のセルパックアセンブリ26は、複数の個々の充電式バッテリーセル50を含み、これらの充電式バッテリーセル50は、未使用のスペースを最小化し、全体的なエネルギー貯蔵密度を最大化するように構成された方式において、互いに近接して物理的に配置及びパッケージ化される。より具体的には、個々のセル50は、互いに結合されるか又は他に固定されて信号スタックを形成し、この信号スタックは、次いで、ハウジング14の内部体積18にはめ込まれ得る。図示した実施形態では、個々の充電式バッテリーセル50の各々は、(例えば、直列及び/又は並列のまとまりを組み合わせて)一緒に配線され、その結果、結果的に得られるセルパックアセンブリ26は、単一の合成された電気出力を、所望の電力レベルでバッテリー管理システム30を介してドッキングインタフェース22に供給するように構成される。バッテリーパック10の図示した実施形態は、完全に内部体積18内に配置される単一のセルパックアセンブリ26を含むが、バッテリーパック10の他の実施形態では、追加のセルパックアセンブリ26が存在し得ることを理解されたい。
【0029】
図5に示すように、セルパックアセンブリ26の各々の個々のバッテリーセル50は、パウチ又は本体部分54と、本体部分54から外側に延びる正のタブ58(例えば、正の端子)と、本体部分54から外側に延びる負のタブ62(例えば、負の端子)とを有するパウチ形式のセルである。図示した実施形態では、負のタブ62と正のタブ58との両方は、本体部分54の単一の縁に沿って本体部分54を出るが(
図3を参照されたい)、他の実施形態では、負のタブ62及び正のタブ58は、結果的に得られる電気接続に含まれる距離を最小化するために、必要に応じて任意の場所で本体部分54から出ることができる。
【0030】
各充電式セル50の本体部分54は、密封された内部バッテリー体積(図示せず)を内部に封入する外部半可撓性パウチを含む。次いで、この密封されたバッテリー体積は、複数の層状のアノード材料及びカソード材料を、それらの間にセパレータを挟んだ状態で含んで、充電式リチウム-ポリマーセルを形成する。セルの具体的なレイアウトは、完成したバッテリーパック10の所望の性能に対して決定的である。
【0031】
図示した充電式セル50は、一般に、リチウムイオン技術に基づくが、他の実施形態では、異なる形態の充電式バッテリーの化学的性質又はレイアウトが使用され得ることを理解されたい。図示した実施形態では、内部バッテリー体積の構造は、完全に充電されたとき、セル50の本体部分54が650Wh/Lを貯蔵することができるようなものである。
【0032】
図示した実施形態では、各セル50の本体部分54は、セル高さ66、セル幅70及びセル長さ74を画定する実質的に直方体の形状を形成する。
図3に示すように、本体部分54の全体的な形状は、概ね平坦でプレート状であり、セル長さ74及びセル幅70は、セル高さ66よりも相対的にはるかに大きい。図示した形状は、積み重ねるのに適した平面状の上面及び底面78、82も生成する。図示した本体部分54は、上面及び底面78、82に平行に設定された切断面に沿った断面形状において概ね矩形であるが、他の実施形態では、全体的に「平坦な」輪郭を依然として維持しながら、異なる断面サイズ及び形状が使用され得ることを理解されたい。例えば、各セル50の本体部分54の外部輪郭は、利用可能な内部体積のサイズ及び形状と対応するように変更され得る。
【0033】
図3に示すように、セルパックアセンブリ26の各々の個々のバッテリーセル50は、概ね「スタック状」構成に編成され、それにより、あるセル50の上面78は、隣接するセル50の底面82に隣接して配置されるなどである。セル50は、各本体部分54の周縁が概ね整列されて、全体的に直方体形状を生成するようにも向けられる。
【0034】
一部の実施形態では、セルパックアセンブリ26は、隣接するセル50間に配置された1つ又は複数の中間層86を更に含み得る。中間層86は、絶縁層、冷却層、接着層、遮蔽層等を含み得るが、これらに限定されない。更に他の実施形態では、2つ以上の中間層86が隣接セル50の対間に存在し得る。図示した実施形態では、中間層のサイズ(例えば、厚さ)は、スペースが、バッテリーセルではない物品によって占有されるため、最小化される。従って、セル高さ66と中間層高さ88との比は、3:1である。他の実施形態では、セル高さ66と中間層高さ88との比は、1.5:1、2:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1及び10:1である。更に別の実施形態では、セル高さ66と中間層高さ88との比は、3:1~10:1、3:1~7:1、5:1~10:1及び7:1~10:1である。
【0035】
セル50及び中間層86の結果として得られるアセンブリは、各セル50の上面及び底面78、82の幾何学的中心を通り、それらの面に概ね垂直に向けられたスタック軸90も画定する。スタック軸90は、個々のセル50が積み重ねられる方向に整列されることを表すように構成される。
図4に示すように、スタック軸90は、積み重ねられた各セル50の高さ寸法66に平行である。
【0036】
セルパックアセンブリ26のバッテリーセル50の本体部分54も、一緒になって、セルパッキング体積又はCPV100を画定する(
図3及び
図4を参照されたい)。この用途の目的のために、物品のCPV100は、物品を内部に完全に封入することができる可能な最小の直方体基準ボックスとして画定される。より具体的には、本セルパックアセンブリ26のCPV100は、一般に、負のタブ62、正のタブ58又は外側に延びるばりを無視して、積み重ねられた全てのセル50の本体部分54を内部に封入することができる可能な最小の直方体基準ボックスを含む(
図4を参照されたい)。
【0037】
図示した構造では、セルパックアセンブリ26の本体部分54は、積み重ねられたセル50の各々の本体部分54の合計体積がCPV100の全体的体積の80%以上を占めるように積み重ねられ、パッケージ化される。他の実施形態では、バッテリーセル50の各セルの本体部分54の合計体積は、CPV100の全体的体積の81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%又は87.5%以上を占め得る。更に他の実施形態では、バッテリーセル50の各セルの本体部分54の合計体積は、CPV100の全体的体積の80%~90%、80%~87.5%、85%~87.5%及び85%~90%を占め得る。
【0038】
セルパックアセンブリ26のセル50は、完全に充電されたとき、対応するCPV100が464Wh/L以上のエネルギーを貯蔵することができるようにもパッケージ化される。他の実施形態では、バッテリーパックアセンブリ26は、完全に充電されたとき、CPV100が475Wh/L、500Wh/L、525Wh/L、550Wh/L、575Wh/L、600Wh/L、625Wh/L及び650Wh/L以上のエネルギーを貯蔵することができるようにパッケージ化される。更に他の実施形態では、バッテリーパックアセンブリ26は、完全に充電されたとき、対応するCPV100が464Wh/L~600Wh/L、464Wh/L~650Wh/L、500Wh/L~600Wh/L及び525Wh/L~600Wh/Lのエネルギーを貯蔵することができるようにパッケージ化される。
【0039】
更に、セルパックアセンブリ26のセル50は、完全に充電されたとき、対応するCPV100が129Ah/L以上を貯蔵することができるようにパッケージ化される。他の実施形態では、CPV100は、完全に充電されたとき、140Ah/L、150Ah/L、160Ah/L又は166.7Ah/L以上を貯蔵することができる。更に他の実施形態では、セルパックアセンブリ26のセル50は、完全に充電されたとき、対応するCPV100が129Ah/L~166.7Ah/L、129Ah/L~170Ah/L又は140Ah/L~166.7Ah/Lを貯蔵することができるようにパッケージ化される。
【0040】
組み立てられると、セルパックアセンブリ26は、バッテリーハウジング14の内部体積18内に配置され、所定の場所に配線され得る。図示した実施形態では、セルパックアセンブリ26の各セル50は、構造が同じであり、従って、各本体部分54は、同様の外形寸法を有する。他の実施形態では、異なるサイズ及び形状を形成する異なるセル構造及び/又はセル形式を組み合わせて、セルパックアセンブリ26を生成することもできる。
【0041】
未使用の体積を最小化し、バッテリーパック10の内部体積18内のエネルギー密度を最大化することに加えて、セルパックアセンブリ26は、動作させるためにセルパックアセンブリ26をバッテリーに電気的に統合するのに必要な電気接続の数を最小化し、所与の接続において発生する損失を最小化するために、個々のバッテリーセル50を利用し、且つパッケージ化するようにも構成される。より具体的には、各セル50は、一般に、使用のために対応するセル50をバッテリーパック10に電気的に組み込むために、2つの電気接合部を生成する必要がある(例えば、1つは、アノードを接続するため、もう1つは、カソードを接続するため)。各電気接合部は、次いで、回路に抵抗を付与する。
【0042】
図示した実施形態では、各セル50は、溶接面積が3.13mm2よりも大きい溶接型の接続を使用してバッテリーパック10に接合される。他の実施形態では、各セルは、溶接面積が6.65mm2、16.27mm2、27.03mm2又は36.65mm2よりも大きい溶接型の接続を使用して接合される。
【0043】
他の実施形態では、セルパックアセンブリ26は、必要とされる接続の数を減らすことにより、電気接続に起因して発生する損失を最小化し得る。より具体的には、セルパックアセンブリ26は、2P又は3P形式のバッテリーを1Pシステムと置き換えることができ、それにより接続の数がそれぞれ2又は3の大きさだけ低減されように構成され得る。そのようなシステムでは、1Pセルは、同じ又はより小さいハウジング内で元の電力出力要件を維持するように構成される(
図17及び
図18を参照されたい)。
【0044】
図6及び
図7は、セルパックアセンブリ1026の第1の代替実施形態を示す。セルパックアセンブリ1026は、複数(例えば、5つ)の充電式バッテリーセル1050を含み、その各々は、第1の代替構造を有し、5S1Pレイアウトのために配線される。次いで、セル1050は、それらのセル間に1mm厚さの中間層1086を挟んだ状態で互いに垂直に積み重ねられる。各セル1050の本体部分1054は、直方体の形状であり、65mmの本体幅1070、90mmの本体長さ1074及び7mmの本体高さ1066を有する。5つの本体部分1054と5つの中間層1086とが一緒になって結果として得られる組み合わせは、幅65mm、長さ90mm、高さ40mmのCPV1100を画定する(
図7を参照されたい)。その結果、セルパックアセンブリ1026内に含まれるバッテリーセル1050の本体部分1054は、全体的なCPV1100の体積の87.5%を占める。本体高さ1066と中間層高さ88との比は、7:1である。
【0045】
更に、バッテリーセル1050と中間層1086との交互の構造は、CPV1100の(例えば、スタック軸1090に平行な)垂直高さ1500の87.5%以上がバッテリーセル1050の高さによって占められるセルパックアセンブリ1026をもたらす。換言すると、CPV1100の垂直高さの12.5%のみが中間層1086によって占められる。
【0046】
図8及び
図9は、セルパックアセンブリ2026の第2の代替実施形態を示す。セルパックアセンブリ2026は、複数(例えば、10個)の充電式バッテリーセル2050を含み、その各々は、第2の代替構造を有し、5S2P構成で配線される。次いで、セル2050は、それらのセル間に1mm厚さの中間層2086を挟んだ状態で互いに垂直に積み重ねられる。各セル2050の本体部分2054は、直方体の形状であり、65mmの本体幅2070、90mmの本体長さ2074及び3mmの本体高さ1066を有する。10個の本体部分2054と10個の中間層2086とが一緒になって結果として得られる組み合わせは、幅65mm、長さ90mm、高さ40mmのCPV2100を画定する(
図9を参照されたい)。その結果、セルパックアセンブリ2026内に含まれるバッテリーセル2050の本体部分2054は、全体的なCPV2100の体積の75%を占める。本体高さ1066と中間層高さ88との比は、3:1である。
【0047】
更に、バッテリーセル2050と中間層2086との交互の構造は、CPV2100の(例えば、スタック軸2090に平行な)垂直高さ2500の75%以上がバッテリーセル2050の合計高さによって占められるセルパックアセンブリ2026をもたらす。換言すると、CPV2100の垂直高さの25%が中間層2086によって占められる。
【0048】
図10及び
図11は、セルパックアセンブリ3026の第3の代替実施形態を示す。セルパックアセンブリ3026は、複数(例えば、15個)の充電式バッテリーセル3050を含み、その各々は、第3の代替構造を有し、5S3P構成で配線される。更に、セル3050は、それらのセル間に1mm厚さの中間層3086を挟んだ状態で互いに垂直に積み重ねられる。各セル3050の本体部分3054は、直方体の形状であり、65mmの本体幅3070、90mmの本体長さ3074及び1.67mmの本体高さ3066を有する。15個の本体部分3054と15個の中間層3086とが一緒になって結果として得られる組み合わせは、幅65mm、長さ90mm、高さ40mmのCPV3100を画定する(
図11を参照されたい)。その結果、セルパックアセンブリ3026内に含まれるバッテリーセル3050の本体部分3054は、全体的なCPV3100の体積の62.5%を占める。本体高さ3066と中間層高さ88との比は、1.67:1である。
【0049】
更に、バッテリーセル3050と中間層3086との交互の構造は、CPV3100の(例えば、スタック軸3090に平行な)垂直高さ3500の62.5%以上がバッテリーセル3050の高さによって占められるセルパックアセンブリ3026をもたらす。換言すると、CPV3100の垂直高さ3500の37.5%が中間層3086によって占められる。
【0050】
図12は、セルパックアセンブリ4026の第4の代替実施形態を示す。セルパックアセンブリ4026は、複数の充電式バッテリーセル4050を含み、その各々は、同じ第4の代替バッテリーセル構造を有する。図示した構造では、セルパックアセンブリ4026は、その間に中間層を挟まずに互いに垂直に積み重ねられた3つの個々のセル4050を含む。各セル4050の本体部分4054は、本体部分4054全体の体積が24ccである直方体形状を形成する。セル4050は、本体部分4054が650Wh/Lのエネルギー密度を有するように4Ahの電荷を貯蔵することもできる。セル4050の3つの本体部分4054は、72ccのCPV4100を生成するように一緒にパッケージ化される。従って、結果として得られるCPV4100は、650Wh/Lのエネルギー密度及び175Ah/Lを有する。
【0051】
図13は、セルパックアセンブリ5026の第5の代替実施形態を示す。セルパックアセンブリ5026は、複数の充電式バッテリーセル5050を含み、その各々は、同じ第5の代替バッテリーセル構造を有する。図示した構造では、セルパックアセンブリ5026は、その間に中間層を挟まずに互いに垂直に積み重ねられた3つの個々のセル5050を含む。各セル5050の本体部分5054は、個々の本体部分5054の体積が30ccである直方体形状を形成する。セル5050は、本体部分5054が600Wh/Lのエネルギー密度を有するように5Ahの電荷を貯蔵することができる。セル5050の3つの本体部分5054は、90ccのCPV5100を生成するように一緒にパッケージ化される。従って、結果として得られるCPV5100は、650Wh/Lのエネルギー密度及び175Ah/Lを有する。
【0052】
図14は、セルパックアセンブリ6026の第6の代替実施形態を示す。セルパックアセンブリ6026は、複数の充電式バッテリーセル6050を含み、その各々は、同じ第6の代替バッテリーセル構造を有する。図示した構造では、セルパックアセンブリ6026は、その間に中間層を挟まずに互いに垂直に積み重ねられた2つの個々のセル6050を含む。各セル6050の本体部分6054は、本体部分6054全体の体積が36ccである直方体形状を形成する。セル6050は、本体部分6054が600Wh/Lのエネルギー密度を有するように6Ahの電荷を貯蔵することができる。セル6050の2つの本体部分6054は、72ccのCPV6100を生成するように一緒にパッケージ化される。従って、結果として得られるCPV6100は、650Wh/Lのエネルギー密度及び175Ah/Lを有する。
【0053】
図15は、セルパックアセンブリ7026の第7の代替実施形態を示す。セルパックアセンブリ7026は、複数の充電式バッテリーセル7050を含み、その各々は、同じ第7の代替バッテリーセル構造を有する。図示した構造では、セルパックアセンブリ7026は、その間に中間層を挟まずに互いに垂直に積み重ねられた2つの個々のセル7050を含む。各セル7050の本体部分7054は、本体部分7054全体の体積が45ccである直方体形状を形成する。セル7050は、本体部分7054が600Wh/Lのエネルギー密度を有するように1つ当たり7.5Ahの電荷を貯蔵することができる。セル7050の2つの本体部分7054は、90ccのCPV7100を生成するように一緒にパッケージ化される。従って、結果として得られるCPV7100は、650Wh/Lのエネルギー密度及び175Ah/Lを有する。
【0054】
図16は、電動工具(図示せず)などのバッテリー駆動式装置で使用するための、従来技術によるバッテリーパック8000を示す。セルパックアセンブリ8012は、複数の充電式バッテリーセル8016を含み、その各々は、同じ円筒形バッテリーセル構造を有する。図示した構造では、セルパックアセンブリ8012は、3つの個々のセル8016を含み、その各々は、互いに平行に向けられ、互いに隣り合わせに水平に積み重ねられる(
図16を参照されたい)。各セル8016の本体部分8020は、個々のセル体積が24ccである円筒形の形状である。セル8016は、各本体部分8020が650Wh/Lのエネルギー密度を有するように4Ahの電荷を貯蔵することができる。3つの本体部分8020は、93ccのCPV8100を生成するように一緒にパッケージ化される。従って、結果として得られるCPV8100は、464.5Wh/Lのエネルギー密度及び129Ah/Lを有する。更に、3つのセル8016は、3つの本体部分8020の合計体積がCPV8100の全体積の79%を占めるようにパッケージ化される。
【0055】
図17は、複数の円筒形セル9004aを含む第1の外部形状を備えた第1のバッテリーハウジング9000aと、同じ第1の外部形状であるが、複数のパウチ形式のセル9004bを含む形状を備えた第2のバッテリーハウジング9000bとを比較する。更に、セル9004bは、上述したように、平面状の上面9008b及び底面9012bを有するが、上面9008b及び底面9012bに平行な非矩形の断面形状も含む。セル9004aは、2P又は3Pレイアウトの1つであり、セル9004bは、1Pレイアウトである。
【0056】
図18は、複数の円筒形セル10004aを含む第1の外部形状を備えた第1のバッテリーハウジング10000aと、同じ第1の外部形状であるが、複数のパウチ形式のセル10004bを含む形状を備えた第2のバッテリーハウジング10000bとを比較する。更に、セル10004bは、上述したように、平面状の上面10008b及び底面10012bを有するが、セル10000bのスタックの軸方向スタック高さ(例えば、軸10016bに沿った)が軸10016bに垂直な個々のセル10000bの長さと幅の両方よりも大きくなるように配向される。セル10004aは、2P又は3Pレイアウトの1つであり、セル10004bは、1Pレイアウトである。
【符号の説明】
【0057】
10 充電式バッテリーパック
14 ハウジング
14a 上部ハウジング部
14b 下部ハウジング部
18 内部体積
22 ドッキングインタフェース
26 セルパックアセンブリ
30 バッテリー管理システム
34 ゴム被覆されたバンパー
38 レール
42 ラッチ
46 電気接点
50 充電式バッテリーセル
54 本体部分
55 セル高さ
58 正のタブ
62 負のタブ
66 セル高さ
70 セル幅
74 セル長さ
78 上面
82 底面
86 中間層
88 中間層高さ
90 スタック軸
1026 セルパックアセンブリ
1050 充電式バッテリーセル
1054 本体部分
1066 本体高さ
1070 本体幅
1074 本体長さ
1086 中間層
1090 スタック軸
1500 垂直高さ
2026 セルパックアセンブリ
2050 充電式バッテリーセル
2054 本体部分
2070 本体幅
2074 本体長さ
2086 中間層
2090 スタック軸
2500 垂直高さ
3026 セルパックアセンブリ
3050 充電式バッテリーセル
3054 本体部分
3066 本体高さ
3070 本体幅
3074 本体長さ
3086 中間層
3090 スタック軸
3500 垂直高さ
4026 セルパックアセンブリ
4050 充電式バッテリーセル
4054 本体部分
5026 セルパックアセンブリ
5050 充電式バッテリーセル
5054 本体部分
6026 セルパックアセンブリ
6050 充電式バッテリーセル
6054 本体部分
7026 セルパックアセンブリ
7050 充電式バッテリーセル
7054 本体部分
8000 従来技術によるバッテリーパック
8012 セルパックアセンブリ
8016 充電式バッテリーセル
8020 本体部分
9000a 第1のバッテリーハウジング
9000b 第2のバッテリーハウジング
9004a 円筒形セル
9004b パウチ形式のセル
9008b 上面
9012b 底面
10000a 第1のバッテリーハウジング
10000b 第2のバッテリーハウジング
10004a 円筒形セル
10004b パウチ形式のセル
10008b 上面
10012b 底面
10016b 軸
【外国語明細書】