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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148150
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 311E
H01G4/30 513
H01G4/30 517
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024040619
(22)【出願日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】10-2023-0044182
(32)【優先日】2023-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、チャエドン
(72)【発明者】
【氏名】キム、セウン ア
(72)【発明者】
【氏名】ヨン、ギュホ
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ビュンジュン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC02
5E082AB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生産性と経済性を害しないながらも等価直列抵抗(ESR)を低減し曲げ強度を改善してチップクラック発生を抑制する積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】開示された積層型キャパシタ100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含むキャパシタボディー110と、第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、第1外部電極及び第2外部電極は、キャパシタボディーの表面に接触するベース電極131、141、ベース電極をそれぞれ少なくとも部分的に覆うように位置する導電性樹脂層133、143をそれぞれ含み、厚さ方向に互いに対向する第1面と第2面のキャパシタボディーの表面から垂直な方向に導電性樹脂層の外表面まで測定した導電性樹脂層の厚さにおいて、第1面と第2面のベース電極の端部での導電性樹脂層の厚さP1、P2は互いに異なってもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、および前記誘電体層を挟んで積層される第1内部電極と第2内部電極を含み、前記誘電体層が積層される方向である厚さ方向、前記厚さ方向に垂直な長さ方向、および前記厚さ方向と前記長さ方向に垂直な幅方向を有し、前記厚さ方向に互いに対向する第1面および第2面、前記長さ方向に互いに対向する第3面および第4面が位置するキャパシタボディーと、
前記キャパシタボディーの前記第3面および第4面に位置する接続部と、前記接続部から前記第1面および第2面に延長されたバンド部をそれぞれ含む第1外部電極および第2外部電極とを含み、
前記第1外部電極および第2外部電極は、
前記キャパシタボディーの表面に接触するベース電極、および前記ベース電極をそれぞれ少なくとも部分的に覆うように位置する導電性樹脂層をそれぞれ含み、
前記第1面と前記第2面の前記キャパシタボディーの表面から垂直な方向に前記導電性樹脂層の外表面まで測定した導電性樹脂層の厚さにおいて、
前記第1面と前記第2面の前記ベース電極の端部での前記導電性樹脂層の厚さが互いに異なる、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記バンド部を前記長さ方向に測定した長さにおいて、前記第1面での前記バンド部の長さが前記第2面での前記バンド部の長さよりさらに長いか同じである、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記第1面の前記ベース電極の端部での前記導電性樹脂層の厚さが前記第2面の前記ベース電極の端部での前記導電性樹脂層の厚さよりさらに厚い、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記キャパシタボディーの表面から垂直な方向に前記第1外部電極と前記第2外部電極それぞれの外表面まで測定した前記第1外部電極および第2外部電極の厚さにおいて、
前記第1面と前記第2面の間の中間地点を基準にして、前記接続部の前記第1面に近い下段部分と前記第2面に近い上段部分の厚さが互いに異なる、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記第1面と前記第2面の間を四等分するとき、前記第1外部電極および第2外部電極の厚さは前記第1面に近い四分地点での厚さが前記第2面に近い四分地点での厚さよりさらに厚い、請求項4に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記接続部は、前記上段部分から前記下段部分に行くほど漸進的に厚くなる部分を有する、請求項5に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記接続部の前記ベース電極の外表面から垂直な方向に前記導電性樹脂層の外表面まで測定した前記接続部の前記導電性樹脂層の厚さは、
前記下段部分と前記上段部分が互いに異なる、請求項4に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記第1面と前記第2面の間を四等分するとき、前記接続部の前記導電性樹脂層の厚さは、
前記第1面に近い四分地点での厚さが前記第2面に近い四分地点での厚さよりさらに厚い、請求項7に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記接続部の前記導電性樹脂層は、前記上段部分から前記下段部分に行くほど漸進的に厚くなる部分を有する、請求項8に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記バンド部の前記導電性樹脂層を前記長さ方向に測定した長さにおいて、前記第1面での長さが前記第2面での長さよりさらに長いか同じである、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記第1面の前記ベース電極の端部での前記導電性樹脂層の厚さが前記第2面の前記ベース電極の端部での前記導電性樹脂層の厚さの1.5倍よりさらに厚く2倍より薄いか同じである、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記接続部の前記導電性樹脂層の厚さは、前記第1面に近い四分地点での厚さが前記第2面に近い四分地点での厚さの2倍よりさらに厚く3倍よりさらに薄いか同じである、請求項7に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
第1誘電体グリーンシートおよび第2誘電体グリーンシートの表面に第1導電性ペースト層および第2導電性ペースト層をそれぞれ形成し、
前記第1導電性ペースト層および第2導電性ペースト層が少なくとも一部は重畳しないように前記第1誘電体グリーンシートおよび第2誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を形成し、
前記誘電体グリーンシート積層体を焼成して誘電体層が形成されたキャパシタボディーを製造し、
前記キャパシタボディーの一面にベース電極を形成し、
前記ベース電極上に高分子樹脂および導電性金属を含む樹脂層用ペーストを塗布し、そして
前記樹脂層用ペーストが塗布された前記キャパシタボディーを前記誘電体層が重力方向と互いに交差するように傾けて前記樹脂層用ペーストを硬化すること
を含む積層型キャパシタの製造方法。
【請求項14】
前記樹脂層用ペーストを硬化することは、
前記誘電体層が重力方向に垂直になるように傾けて硬化することを含む、請求項13に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項15】
前記樹脂層用ペーストは、前記ベース電極が形成された前記キャパシタボディーをエポキシ樹脂、導電性金属粒子が含まれているペーストにディッピングして塗布される、請求項13または14に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項16】
前記樹脂層用ペーストを硬化することは、乾燥角度、乾燥温度、乾燥時間または温度維持時間を制御することを含む、請求項13または14に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は積層型キャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型キャパシタは小型でありながら高容量実現が可能で様々な電子機器に使用されている。コンピュータ、モバイル機器など各種電子機器が小型化、高出力化されるにつれて積層型キャパシタに対する小型化および高容量化の要求が増大しており、高信頼性および高強度特性が要求されている。
【0003】
高信頼性および高強度特性を確保するために、既存の電極層から構成される外部電極を電極層および導電性樹脂層の2層構造とするキャパシタが製造されている。
【0004】
しかし、導電性樹脂層を電極層上に適用する場合、等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance、ESR)が上昇するようになる問題点があり、外部電極も現在より高い水準の曲げ強度特性が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態の一側面は、生産性と経済性を害しないながらも等価直列抵抗(ESR)を低減し曲げ強度を改善してチップクラック発生を抑制する積層型キャパシタを提供する。
【0006】
しかし、実施形態が解決しようとする課題は上述の課題に限定されず、本発明に含まれている技術的思想の範囲で多様に拡張できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態による積層型キャパシタは、誘電体層、および前記誘電体層を挟んで積層される第1内部電極と第2内部電極を含み、前記誘電体層が積層される方向である厚さ方向、前記厚さ方向に垂直な長さ方向、および前記厚さ方向と前記長さ方向に垂直な幅方向を有し、前記厚さ方向に互いに対向する第1面および第2面、前記長さ方向に互いに対向する第3面および第4面が位置するキャパシタボディーと、前記キャパシタボディーの前記第3面および第4面に位置する接続部と、前記接続部から前記第1面および第2面に延長されたバンド部をそれぞれ含む第1外部電極および第2外部電極とを含み、前記第1外部電極および第2外部電極は、前記キャパシタボディーの表面に接触するベース電極、および前記ベース電極をそれぞれ少なくとも部分的に覆うように位置する導電性樹脂層をそれぞれ含み、前記第1面と前記第2面の前記キャパシタボディーの表面から垂直な方向に前記導電性樹脂層の外表面まで測定した導電性樹脂層の厚さにおいて、前記第1面と前記第2面の前記ベース電極の端部での前記導電性樹脂層の厚さが互いに異なってもよい。
【0008】
前記バンド部を前記長さ方向に測定した長さにおいて、前記第1面での前記バンド部の長さが前記第2面での前記バンド部の長さよりさらに長いか同じであってもよい。
【0009】
前記第1面の前記ベース電極の端部での前記導電性樹脂層の厚さが、前記第2面の前記ベース電極の端部での前記導電性樹脂層の厚さよりさらに厚くてもよい。
【0010】
前記キャパシタボディーの表面から垂直な方向に前記第1外部電極と前記第2外部電極それぞれの外表面まで測定した前記第1外部電極および第2外部電極の厚さにおいて、前記第1面と前記第2面の間の中間地点を基準にして、前記接続部の前記第1面に近い下段部分と前記第2面に近い上段部分の前記外部電極の厚さが互いに異なってもよい。
【0011】
前記第1面と前記第2面の間を四等分するとき、前記第1外部電極および第2外部電極の厚さは前記第1面に近い四分地点での厚さが前記第2面に近い四分地点での厚さよりさらに厚くてもよい。
【0012】
前記接続部は、前記上段部分から前記下段部分に行くほど漸進的に厚くなる部分を有することができる。
【0013】
前記接続部の前記ベース電極の外表面から垂直な方向に前記導電性樹脂層の外表面まで測定した前記接続部の前記導電性樹脂層の厚さは、前記下段部分と前記上段部分が互いに異なってもよい。
【0014】
前記第1面と前記第2面の間を四等分するとき、前記接続部の前記導電性樹脂層の厚さは、前記第1面に近い四分地点での厚さが前記第2面に近い四分地点での厚さよりさらに厚くてもよい。
【0015】
前記接続部の前記導電性樹脂層は、前記上段部分から前記下段部分に行くほど漸進的に厚くなる部分を有することができる。
【0016】
前記バンド部の前記導電性樹脂層を前記長さ方向に測定した長さにおいて、前記第1面での長さが前記第2面での長さよりさらに長いか同じであってもよい。
【0017】
前記第1面の前記ベース電極の端部での前記導電性樹脂層の厚さが、前記第2面の前記ベース電極の端部での前記導電性樹脂層の厚さの1.5倍よりさらに厚く2倍よりさらに薄いか同じであってもよい。
【0018】
前記接続部の前記導電性樹脂層の厚さは、前記第1面に近い四分地点での厚さが前記第2面に近い四分地点での厚さの2倍よりさらに厚く3倍よりさらに薄いか同じであってもよい。
【0019】
他の実施形態による積層型キャパシタの製造方法は、第1誘電体グリーンシートおよび第2誘電体グリーンシートの表面に第1導電性ペースト層および第2導電性ペースト層をそれぞれ形成し、前記第1導電性ペースト層および第2導電性ペースト層が少なくとも一部は重畳しないように前記第1誘電体グリーンシートおよび第2誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を形成し、前記誘電体グリーンシート積層体を焼成して誘電体層が形成されたキャパシタボディーを製造し、前記キャパシタボディーの一面にベース電極を形成し、前記ベース電極上に高分子樹脂および導電性金属を含む樹脂層用ペーストを塗布し、そして前記樹脂層用ペーストが塗布された前記キャパシタボディーを前記誘電体層が重力方向と互いに交差するように傾けて前記樹脂層用ペーストを硬化することを含むことができる。
【0020】
前記樹脂層用ペーストを硬化することは、前記誘電体層が重力方向に垂直なように傾けて硬化することを含むことができる。
【0021】
前記樹脂層用ペーストは、前記ベース電極が形成された前記キャパシタボディーをエポキシ樹脂、導電性金属粒子が含まれているペーストにディッピングして塗布することができる。
【0022】
前記樹脂層用ペーストを硬化することは、乾燥角度、乾燥温度、乾燥時間または温度維持時間を制御することを含むことができる。
【発明の効果】
【0023】
実施形態による積層型キャパシタによれば、追加的な材料消耗や生産時間増加なく最小限の工程で所望の部分の導電性樹脂層の厚さを増加させることができて生産性と経済性を維持しながらも曲げ強度を向上させることができる。
【0024】
同時に、曲げ強度向上に寄与しない部分の導電性樹脂層の厚さを減少させることによって等価直列抵抗(ESR)を減少させることができる。
【0025】
しかし、実施形態の効果が上述の効果に限定されるのではなく、本発明の思想および領域から逸脱しない範囲で多様に拡張できるのが自明である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】一実施形態による積層型キャパシタの外観を示した斜視図である。
図2図1に示された積層型キャパシタをII-II'線に沿って切断した断面図である。
図3図2に示された積層型キャパシタが基板に実装されたことを示した断面図である。
図4】一実施形態による積層型キャパシタの製造方法でベース電極に形成されたペーストを硬化して導電性樹脂層を形成する方法を示す図である。
図5図4の積層型キャパシタの製造方法でペーストを硬化する他の実施形態を示す図である。
図6図4の積層型キャパシタの製造方法で導電性樹脂層の適正性を判断するための厚さの測定基準点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施形態を詳しく説明する。図面で本発明を明確に説明するために不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付けた。また、添付図面において一部構成要素は誇張されるか省略されるかまたは概略的に図示され、各構成要素の大きさは実際の大きさを全的に反映するものではない。
【0028】
添付された図面は本明細書に開示された実施形態を容易に理解することができるようにするためのものに過ぎず、添付された図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物や代替物を含むと理解されるものである。
【0029】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。
【0030】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分"の上に"または"上に"あるという時、これは他の部分"の直上に"ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分"の直上に"あるという時には中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分"の上に"または"上に"あるということは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向側に"の上に"または"上に"位置することを意味するのではない。
【0031】
明細書全体で、"含む"または"有する"などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在するのを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されるものである。したがって、ある部分がある構成要素を"含む"という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0032】
また、明細書全体で、"平面上"という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、"断面上"という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0033】
また、明細書全体で、"連結される"という時、これは二つ以上の構成要素が直接的に連結されることのみを意味するのではなく、二つ以上の構成要素が他の構成要素を通じて間接的に連結されること、物理的に連結されることだけでなく電気的に連結されること、または位置や機能によって異なる名称で称されたが、一体であることを意味することができる。
【0034】
図1は一実施形態による積層型キャパシタ100の外観を示した斜視図であり、図2図1に示された積層型キャパシタ100をII-II'線に沿って切断した断面図であり、図3図2に示された積層型キャパシタ100が基板200に実装されたことを示した断面図である。
【0035】
本実施形態を明確に説明するために方向を定義すれば、図面に表示されたL軸、W軸、T軸はそれぞれキャパシタボディー110の長さ方向、幅方向、および厚さ方向に延長される軸を示す。ここで、厚さ方向(T軸方向)はシート形状の構成要素の広い面に垂直な方向であってもよく、一例として誘電体層111が積層される積層方向と同一な概念として使用できる。長さ方向(L軸方向)はシート形状の構成要素の広い面に平行に延長される方向で厚さ方向(T軸方向)と大略的に垂直な方向であってもよく、一例として両側に第1外部電極130および第2外部電極140が位置する方向であってもよい)。幅方向(W軸方向)はシート形状の構成要素の広い面に平行に延長される方向で厚さ方向(T軸方向)および長さ方向(L軸方向)と垂直な方向であってもよく、一例として両側に第1外部電極130および第2外部電極140が位置しない方向であってもよい。
【0036】
図1および図2を参照すれば、本実施形態による積層型キャパシタ100は、キャパシタボディー110のL軸方向に対向する両側に位置する第1外部電極130および第2外部電極140を含むことができる。
【0037】
キャパシタボディー110は互いに交差する方向に沿って予め設定された大きさの厚さ、長さ、および幅を有する大略六面体形状に形成できるが、本発明がこれに限定されるのではない。
【0038】
本実施形態では説明の便宜のために、キャパシタボディー110で厚さ方向(T軸方向)に互いに対向する両面は第1面および第2面と、前記第1面および第2面と連結され長さ方向(L軸方向)に互いに対向する両面を第3面および第4面と、前記第1面および第2面と連結され前記第3面および第4面と連結され幅方向(W軸方向)に互いに対向する両面を第5面および第6面と定義する。図1および図2で下面として示された第1面が実装方向に向かう面になり得る。
【0039】
キャパシタボディー110の形状、寸法および誘電体層111の積層数が本実施形態の図面に示されたものに限定されるのではない。
【0040】
キャパシタボディー110は複数の誘電体層111を厚さ方向(T軸方向)に積層した後に焼成したものであって、複数の誘電体層111と誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に交互に配置される第1内部電極121および第2内部電極122を含む。この時、第1内部電極121と第2内部電極122は互いに異なる極性を有することができる。
【0041】
キャパシタボディー110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111の間の境界は走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を使用せずに確認することが困難な程度に一体化できる。
【0042】
キャパシタボディー110は、アクティブ領域とカバー領域112、113を含むことができる。
【0043】
前記アクティブ領域は、積層型キャパシタ100の容量形成に寄与する部分である。一例として、前記アクティブ領域は、厚さ方向(T軸方向)に沿って積層される第1内部電極121または第2内部電極122が重畳(overlap)した領域であってもよい。
【0044】
カバー領域112、113は厚さ方向マージン部であって厚さ方向(T軸方向)に前記アクティブ領域の第1面および第2面側にそれぞれ配置できる。このようなカバー領域112、113は、単一誘電体層111または二つ以上の誘電体層111が前記アクティブ領域の上面および下面にそれぞれ積層されたものであってもよい。
【0045】
キャパシタボディー110は、側面カバー領域をさらに含むことができる。前記側面カバー領域は幅方向マージン部であって幅方向(W軸方向)にアクティブ領域の前記第5面および第6面側に配置できる。前記側面カバー領域は、誘電体グリーンシート表面に内部電極形成用導電性ペースト層を塗布する時、誘電体グリーンシート表面の一部領域にのみ導電性ペースト層を塗布し、誘電体グリーンシート表面の両方の側面には導電性ペースト層を塗布していない誘電体グリーンシートを積層した後、焼成することによって形成することができる。
【0046】
カバー領域112、113と前記側面カバー領域は、物理的または化学的ストレスによる第1内部電極121および第2内部電極122の損傷を防止する役割を果たす。
【0047】
誘電体層111にはセラミック粉末と共に、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などをさらに添加することができる。セラミック添加剤は、例えば遷移金属酸化物、遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)などを使用することができる。
【0048】
一例として、各誘電体層111の平均厚さは0.5μm~10μmであってもよい。
【0049】
第1内部電極121と第2内部電極122は誘電体層111を挟んで厚さ方向(T軸方向)に沿って互いに対向するように交互に配置され、第1内部電極121と第2内部電極122はその間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁できる。
【0050】
キャパシタボディー110の前記第3面および第4面を通じて交互に露出される第1内部電極121および第2内部電極122の端部は、第1外部電極130および第2外部電極140とそれぞれ接続されて電気的に連結できる。
【0051】
第1内部電極121および第2内部電極122は導電性金属を含み、例えばNi、Cu、Ag、Pd、またはAuなどの金属やこれらの合金、例えばAg-Pd合金を含むことができる。また、第1内部電極121および第2内部電極122は誘電体層111に含まれるセラミック材料と同一組成系の誘電体粒子を含むこともできる。
【0052】
一例として、第1内部電極121および第2内部電極122それぞれの平均厚さは、0.1μm~2μmであってもよい。
【0053】
前述のような構成により、第1外部電極130および第2外部電極140に所定の電圧を印加すると、互いに対向する第1内部電極121および第2内部電極122の間に電荷が蓄積される。この時、積層型キャパシタ100の静電容量は、前記アクティブ領域で厚さ方向(T軸方向)に沿って積層される第1内部電極121および第2内部電極122の重畳面積と比例するようになる。
【0054】
第1外部電極130および第2外部電極140は互いに異なる極性の電圧が提供され、第1内部電極121および第2内部電極122の露出される部分とそれぞれ接続されて電気的に連結できる。
【0055】
第1外部電極130および第2外部電極140は、接続部U1、U2、L1、L2とバンド部150をそれぞれ含むことができる。接続部U1、U2、L1、L2は第1接続部U1、L1および第2接続部U2、L2を含み、バンド部150は第1バンド部A、Bおよび第2バンド部C、Dを含むことができる。
【0056】
第1外部電極130は、キャパシタボディー110の前記第3面に位置する第1接続部U1、L1と、第1接続部U1、L1から前記第1面および第2面に延長された第1バンド部A、Bとを含むことができる。第2外部電極140は、キャパシタボディー110の前記第4面に位置する第2接続部U2、L2と、第2接続部U2、L2から前記第1面および第2面に延長された第2バンド部C、Dを含むことができる。
【0057】
本実施形態を明確に説明するために、以下では、接続部U1、U2、L1、L2を前記第1面と第2面の間の中間地点を基準にして前記第1面に近い下段部分L1、L2と前記第2面に近い上段部分U1、U2に区分する。これは外部電極133、140だけでなく、外部電極133、140が含むベース電極131、141と導電性樹脂層133、143の場合も同一である。
【0058】
また他の記載がなければ、以下で表現される層の厚さに関連する表現は、一つの層の表面から他の層が現れるまで垂直な方向に測定したものを意味することができる。例えば、外部電極130、140の厚さはキャパシタボディー110の表面から垂直な方向に外部電極130、140の外表面まで測定したものであり、導電性樹脂層133、143の厚さは導電性樹脂層133、143の外表面から垂直な方向に表面電極131、141の外表面まで測定するか、または垂直な方向に表面電極131、141がない場合、キャパシタボディー110の表面まで測定したものであってもよい。
【0059】
第1外部電極130および第2外部電極140の接続部U1、U2、L1、L2で、上段部分U1、U2と下段部分L1、L2は互いに非対称に形成できる。外部電極130、140は、上段部分U1、U2と下段部分L1、L2の厚さT1が互いに異なってもよい。この時、外部電極130、140の厚さT1は、キャパシタボディー110の表面から垂直な方向に第1外部電極130と第2外部電極140それぞれの外表面まで測定した厚さであってもよい。第1外部電極130および第2外部電極140の接続部U1、U2、L1、L2は下段部分L1、L2の厚さが上段部分U1、U2の厚さよりさらに厚くてもよい。厚さの比較基準は、下段部分L1、L2と上段部分U1、U2それぞれの最大厚さであってもよい。一例として、下段部分L1、L2の最大厚さが上段部分U1、U2の最大厚さより大きい場合、下段部分L1、L2が上段部分U1、U2より厚いと判断することができる。
【0060】
また、厚さの比較基準は、特定地点での外部電極130、140の厚さT1であってもよい。一例として、前記第1面と第2面の間を四等分するとき、前記第1面に近い四分地点Q1での外部電極130、140の厚さT1と前記第2面に近い四分地点Q2での外部電極130、140の厚さT1を測定することができる。例えば、前記第1面に近い四分地点Q1での外部電極130、140の厚さT1が前記第2面に近い四分地点Q2での外部電極130、140の厚さT1よりさらに厚い場合、下段部分L1、L2が上段部分U1、U2よりさらに厚いと判断することができる。
【0061】
第1外部電極130および第2外部電極140の接続部U1、U2、L1、L2は、前記第2面から前記第1面方向に行くほど大体次第に厚くなるように形成できる。外部電極形成時に重力の影響を受けるようにして外部電極構成物質中の一部が自然に下段に移動しながら硬化するようにすることができる。この場合、接続部U1、U2、L1、L2には、上段部分U1、U2から下段部分L1、L2に行くほど漸進的に厚くなる形態が少なくとも部分的に形成できる。
【0062】
バンド部A、B、C、Dを長さ方向(L軸方向)に測定した長さにおいて、前記第1面でのバンド部A、Cの長さが前記第2面でのバンド部B、Dの長さより同一またはさらに長くてもよい。即ち、第1外部電極130および第2外部電極140は、長さ方向(L軸方向)に測定した長さにおいて、前記第1面での外部電極130、140の長さが前記第2面での外部電極130、140の長さより同一またはさらに長くてもよい。
【0063】
第1外部電極130および第2外部電極140は、ベース電極131、141および導電性樹脂層133、143をそれぞれ含むことができる。即ち、第1外部電極130は第1ベース電極131および第1導電性樹脂層133を含み、第2外部電極140は第2ベース電極141および第2導電性樹脂層143を含むことができる。
【0064】
第1ベース電極131はキャパシタボディー110の前記第3面の表面上に接触するように位置して、第1内部電極121と接続され、第2ベース電極141はキャパシタボディー110の前記第4面の表面上に接触するように位置して、第2内部電極122と接続できる。
【0065】
第1ベース電極131および第2ベース電極141は、銅(Cu)を含むことができる。また、第1ベース電極131および第2ベース電極141は銅(Cu)を主成分として含有し、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、またはこれらの合金のうちの一つ以上の物質とガラスを含むことができる。
【0066】
一例として、第1ベース電極131および第2ベース電極141の形成方法は、導電性金属およびガラスを含む導電性ペーストにキャパシタボディー110をディッピングして形成するか、導電性ペーストをキャパシタボディー110の表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷するか、導電性ペーストをキャパシタボディー110の表面に塗布するかまたは導電性ペーストを乾燥させた乾燥膜をキャパシタボディー110上に転写して形成することができる。
【0067】
第1ベース電極131および第2ベース電極141を前述の導電性ペーストから形成することによって十分な導電性を維持しながらも、添加したガラスによって第1外部電極130および第2外部電極140の緻密度を高めることによってメッキ液および/または外部水分の浸透を効果的に抑制することができる。
【0068】
一例として、第1ベース電極131および第2ベース電極141に含まれるガラス成分は酸化物が混合された組成であってもよく、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物、およびアルカリ土類金属酸化物からなる群より選択された一つ以上であってもよい。遷移金属は亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、銅(Cu)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、およびニッケル(Ni)からなる群より選択され、アルカリ金属はリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、およびカリウム(K)からなる群より選択され、アルカリ土類金属はマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、およびバリウム(Ba)からなる群より選択された一つ以上であってもよい。
【0069】
第1導電性樹脂層133および第2導電性樹脂層143は第1ベース電極131および第2ベース電極141をそれぞれ少なくとも部分的に覆うように形成でき、第1ベース電極131および第2ベース電極141を完全に覆うこともできる。
【0070】
接続部U1、U2、L1、L2で、第1導電性樹脂層133および第2導電性樹脂層143は、下段部分L1、L2と上段部分U1、U2が非対称的に形成できる。導電性樹脂層143の下段部分L1、L2と上段部分U1、U2は厚さT2が互いに異なってもよい。この時、接続部U1、U2、L1、L2の導電性樹脂層143の厚さT2は、第1ベース電極131および第2ベース電極141の外表面から垂直な方向に第1導電性樹脂層133および第2導電性樹脂層143の外表面まで測定した厚さであってもよい。具体的に、接続部U1、U2、L1、L2で、導電性樹脂層133、143の厚さは、下段部分L1、L2の厚さが上段部分U1、U2の厚さよりさらに厚くてもよい。厚さの比較基準は、下段部分L1、L2と上段部分U1、U2それぞれの導電性樹脂層133、143の最大厚さであってもよい。例えば、導電性樹脂層133、143の最大厚さが上段部分U1、U2より下段部分L1、L2が大きい場合、導電性樹脂層133、143が下段部分L1、L2でさらに厚いと判断することができる。
【0071】
また、厚さの比較基準は、特定地点での導電性樹脂層133、143の厚さT2であってもよい。一例として、第1面と第2面の間を四等分するとき、接続部U1、U2、L1、L2の導電性樹脂層133、143の厚さは、前記第1面に近い四分地点Q1での厚さT2が前記第2面に近い四分地点Q2での厚さT2よりさらに厚くてもよい。この場合、導電性樹脂層133、143が上段部分U1、U2より下段部分L1、L2でさらに厚いと判断することができる。
【0072】
導電性樹脂層133、143は、上段部分U1、U2から下段部分L1、L2に行くほど大体次第に厚くなるように形成できる。導電性樹脂層133、143はその硬化過程で構成物質が重力の影響を受けて自然に部分的に移動できる。この時、上段部分U1、U2から下段部分L1、L2に行くほど漸進的に厚くなる形態が少なくとも部分的に形成できる。
【0073】
導電性樹脂層133、143は、外部電極130、140のバンド部A、B、C、D一部を構成することができる。導電性樹脂層133、143は、接続部U1、U2、L1、L2から前記第1面および第2面に延長されてバンド部A、B、C、Dを構成することができる。
【0074】
バンド部A、B、C、Dで、前記第1面と第2面の導電性樹脂層133、143は互いに非対称的に形成できる。導電性樹脂層133、143は、前記第1面で測定した厚さと前記第2面で測定した厚さが互いに異なってもよい。一例として、前記第1面のベース電極131、141の端部で測定した導電性樹脂層133、143の厚さP1と前記第2面のベース電極131、141の端部で測定した導電性樹脂層133、143の厚さP2が互いに異なってもよい。この時、導電性樹脂層133、143の厚さP1、P2は、前記第1面と前記第2面のキャパシタボディー110の表面から垂直な方向に導電性樹脂層133、143の外表面まで測定したものであってもよい。
【0075】
また、導電性樹脂層133、143を長さ方向(L軸方向)に測定した長さにおいて、前記第1面に延長された長さが前記第2面に延長された長さより同一またはさらに長くてもよい。
【0076】
図3を参照すれば、実施形態による積層型キャパシタ100を前記第1面方向に基板200に実装する時、外部電極130、140のバンド部が前記第1面に長く延長されれば、電極パッド210、220の間の間隔を減らすことができる。この時、バンド部の導電性樹脂層133、143が前記第1面に長く延長されれば、バンド部のベース電極131、141を長く形成させなくても電極パッド210、220の間の間隔を十分に減らすことができる。
【0077】
前記第1面のバンド部で、導電性樹脂層133、143がキャパシタボディー110の前記第1面と大体平行になる形態が少なくとも部分的に形成できる。
【0078】
導電性樹脂層133、143は、エポキシ樹脂、導電性金属粒子、および硬化剤を含む導電性樹脂組成物から形成できる。この導電性金属粒子は銅粉末であってもよく、必要時には表面が銀でコーティングされてもよい。ここで、硬化剤はエポキシ官能基を有する樹脂を互いに連結させる役割を果たすものであって、エポキシ樹脂を使用する度に硬化剤を混合させて使用することができ、硬化剤を予め混合しておいた一液型タイプを使用することができる。一液型タイプのエポキシ樹脂を製造する時に使用する硬化剤は潜在性硬化剤を使用することができ、外部から加熱、UV、吸気などによって制御される時に硬化剤の役割を果たすことができる。潜在性硬化剤はアミンおよびイミダゾール系の物質を含むことができ、オニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、多価カルボン酸の活性エステルなどのような陽イオン系硬化剤、フェノール系硬化剤(phenolic hardeners)または酸無水物硬化剤(anhydride hardeners)などを使用したエポキシペーストを使用することができる。
【0079】
一例として、エポキシと硬化剤およびその他の添加剤にCu、Ag、Ag-coated Cuなどの導電性金属粒子が添加されたペースト形態で適用することができる。
【0080】
以下では本実施形態による積層型キャパシタの製造方法を説明する。
【0081】
複数の誘電体グリーンシートを準備する。誘電体グリーンシートは、焼成した後にキャパシタボディー110の誘電体層111になる。
【0082】
誘電体グリーンシートは、セラミック粉末、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、および分散剤などを混合してペーストを製造し、このペーストをドクターブレードまたはスクリーン印刷法などの方法を通じて数μm厚さのシート形状に製造することができる。
【0083】
一例として、セラミック粉末はBaTiO、CaTiO、SrTiO、またはCaZrOなどの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これら成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、BaTiO系誘電体セラミックにCa、Zrなどが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)OまたはBa(Ti1-yZr)Oなどを含むことができる。
【0084】
セラミック添加剤として、例えば、遷移金属酸化物、遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)などを使用することができる。
【0085】
誘電体グリーンシート表面に導電性ペースト層を形成する。導電性ペースト層は、焼成後に第1内部電極121および第2内部電極122になり得る。
【0086】
導電性ペースト層は、導電性金属を含む導電性ペーストを誘電体グリーンシート表面にドクターブレードまたはスクリーン印刷法などの方法を用いて塗布することによって形成することができる。
【0087】
導電性金属は、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、またはAuなどの金属やこれらの合金、例えばAg-Pd合金を含むことができる。
【0088】
一例として、第1導電性ペースト層を第1パターンで第1誘電体グリーンシート表面に塗布し、第2導電性ペースト層を第2パターンで第2誘電体グリーンシート表面に塗布することができる。第1パターンと第2パターンは、第1誘電体グリーンシートおよび第2誘電体グリーンシートを交互に積層する時、第1導電性ペースト層および第2導電性ペースト層の一部は重畳し、一部は重畳しないように整列できる。
【0089】
第1誘電体グリーンシートおよび第2誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する。第1誘電体グリーンシートおよび第2誘電体グリーンシートは第1導電性ペースト層および第2導電性ペースト層が重畳し、少なくとも一部は重複しないように積層される。
【0090】
選択的に、誘電体グリーンシート積層体を圧着する。
【0091】
誘電体グリーンシート積層体は、第1導電性ペースト層および第2導電性ペースト層が両側端部面を通じてそれぞれ露出されるように切断することができる。第1内部電極121および第2内部電極122の内部電極それぞれにおいて、その端部が前記誘電体グリーンシート積層体の両端部面のうちのいずれか一つに露出できる。
【0092】
誘電体グリーンシート積層体を高温で焼成してキャパシタボディー110を製造する。焼成後に誘電体グリーンシートは誘電体層111を形成する。誘電体グリーンシート表面に形成された導電性ペースト層は焼成によって第1内部電極121および第2内部電極122を形成し一つの誘電体層111を挟んで交互に配置できる。第1内部電極121および第2内部電極122は誘電体層111によって互いに電気的に絶縁できる。
【0093】
キャパシタボディー100の第1内部電極121および第2内部電極122がそれぞれ露出される両側端面に第1ベース電極131および第2ベース電極141を形成する。第1ベース電極131および第2ベース電極141は、導電性金属を含む導電性ペーストにキャパシタボディー110をディッピングして形成することができる。他の例として、第1ベース電極131および第2ベース電極141は、導電性ペーストをキャパシタボディー110の表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷するか、導電性ペーストをキャパシタボディー110の表面に塗布するかまたは導電性ペーストを乾燥させた乾燥膜をキャパシタボディー110上に転写して形成することができる。
【0094】
図4は一実施形態による積層型キャパシタの製造方法でベース電極に形成されたペーストを硬化して導電性樹脂層を形成する方法を示す図であり、図5図4の積層型キャパシタの製造方法でペーストを硬化する他の実施形態を示す図である。図4および図5を参照して、第1ベース電極131および第2ベース電極141の外側にそれぞれ形成された第1導電性樹脂層133および第2導電性樹脂層143を含む第1外部電極130および第2外部電極140を形成する方法を説明する。
【0095】
第1ベース電極131および第2ベース電極141が形成されたキャパシタボディー110をエポキシ樹脂、導電性金属粒子が含まれているペーストにディッピングするか、このペーストをベース電極131、141が形成されたキャパシタボディー110表面に塗布して未硬化導電性樹脂層用ペースト133aの層を形成する。
【0096】
未硬化導電性樹脂層用ペースト133aを硬化する時、前記第1面が重力方向に向かうように位置させて乾燥することができる。または図5に示されているように、前記第1面が重力方向と鋭角を形成するように傾きを調節して乾燥することができる。即ち、未硬化導電性樹脂層用ペースト133aが塗布されたキャパシタボディー110を誘電体層111が重力方向と互いに交差するように傾けて未硬化導電性樹脂層用ペースト133aを硬化することができる。一例として、図4に示されているように、誘電体層111が重力方向に垂直になるように傾けて未硬化導電性樹脂層用ペースト133aを硬化することができる。
【0097】
未硬化樹脂層用ペースト133aは粘性、温度などの条件によって重力方向に部分的に移動して接続部U1、U2、L1、L2の導電性樹脂層133、143の下部が上部よりさらに厚くなるように形成できる。バンド部A、B、C、Dの導電性樹脂層133、143も前記第1面のバンド部が前記第2面のバンド部よりさらに長くて厚く形成できる。
【0098】
硬化条件を制御して接続部U1、U2、L1、L2の導電性樹脂層133、143の厚さ、バンド部A、B、C、Dの導電性樹脂層133、143の厚さと長さを調節することができる。一例として、乾燥温度、乾燥時間、温度維持時間などを制御して接続部U1、U2、L1、L2の導電性樹脂層133、143の上段部分U1、U2と下段部分L1、L2の厚さ比率および/またはバンド部A、B、C、Dで前記第1面と第2面の導電性樹脂層133、143の厚さ比率を調節することができる。
【0099】
接続部U1、U2、L1、L2の導電性樹脂層133、143の上段部分U1、U2と下段部分L1、L2の厚さ比率の適正性有無は、上段部分U1、U2と下段部分L1、L2の厚さの最大値を基準にして判断することができる。
【0100】
図6は、図4の積層型キャパシタの製造方法で外部電極130の導電性樹脂層の適正性を判断するための厚さの測定基準点を示す図である。
【0101】
図6を参照すれば、外部電極130の接続部U1、L1で、導電性樹脂層133の上段部分U1と下段部分L1の厚さ比率の適正性有無は、特定地点の厚さを測定して判断することができる。一例として、接続部U1、U2、L1、L2を四等分して前記第1面に近い四分地点で測定した厚さb*を下段部分L1の導電性樹脂層133の厚さとし、そして前記第2面に近い四分地点で測定した厚さbを上段部分U1の導電性樹脂層133の厚さとして、両厚さの比率で判断することができる。
【0102】
[実験例1]
三星電機の32Y106量産機種に対して、一般的な対称構造で外部電極130、140の導電性樹脂層133、143が形成された積層型キャパシタ(比較例1)、そして接続部の導電性樹脂層133、143が上段部分U1、U2と下段部分L1、L2の厚さが非対称的に形成された積層型キャパシタ(実施例1、2)をそれぞれ200個ずつ準備した。実験に使用した積層型キャパシタは上段部分U1、U2と下段部分L1、L2において導電性樹脂層133、143の厚さ比率を異にしたことを除いては同一の条件で製造したものであった。
【0103】
【表1】
【0104】
上記表1は、準備した積層型キャパシタを3つのグループに分け、これらをそれぞれ基板に実装して、初期等価直列抵抗(ESR)と温度サイクル(TC、temperature cycle)100回以後の等価直列抵抗(ESR)を測定して比較した結果を示したものである。
【0105】
一般的な対称構造で導電性樹脂層133、143が形成された積層型キャパシタを比較例1に分類した。導電性樹脂層133、143の接続部を四等分して前記第1面に近い四分地点で測定した厚さb*と前記第2面に近い四分地点で測定した厚さbを測定しその比率によって実施例を2つのグループに分類した。即ち、b*/bが1よりは大きく2よりは小さいか同じであるグループを実施例1に、b*/bが2よりは大きく3よりは小さいか同じであるグループを実施例2に分類した。
【0106】
前記表1に示されているように、導電性樹脂層133、143の上部厚さより下部厚さが厚くなるにつれて等価直列抵抗(ESR)の初期値が次第に低くなることを確認することができた。それだけでなく、TC100以後等価直列抵抗(ESR)の変化から分かるように、耐性も増加することを確認することができた。
【0107】
[実験例2]
三星電機の32Y106量産機種に対して、一般的な対称構造で外部電極130、140の導電性樹脂層133、143が形成された積層型キャパシタ(比較例2)、そしてキャパシタボディーの前記第1面に形成された外部電極130、140の導電性樹脂層133、143が前記第2面に形成された導電性樹脂層133、143よりさらに厚い積層型キャパシタ(実施例3、4)をそれぞれ60個ずつ準備した。比較例2と実施例3、4はキャパシタボディーの第1面と第2面での導電性樹脂層133、143の厚さが互いに異なることを除いては同一の条件で製造したものであった。
【0108】
【表2】
【0109】
上記表2は、準備した積層型キャパシタが実装された基板の曲げ強度を評価したテスト結果を示したものである。実験は、積層型キャパシタが実装された基板を人為的に10mm曲がるようにした後、クラック発生頻度を測定することを50回反復(n=50ea)する方法で行った。
【0110】
準備した積層型キャパシタを3グループに分類した。一般的な対称構造の積層型キャパシタは比較例2に分類した。キャパシタボディー110の前記第1面のベース電極131、141の端部で導電性樹脂層133、143の厚さa*を測定し、前記第2面のベース電極131、141の端部で導電性樹脂層133、143の厚さaを測定して、その比率によって実験群を2つのグループに分類した。即ち、a*/aが1よりは大きく1.5よりは小さいか同じであるグループを実施例3に、a*/aが1.5よりは大きく2よりは小さいか同じであるグループを実施例4に分類した。
【0111】
前記表2に示されているように、外部電極130、140の導電性樹脂層133、143が前記第2面での厚さに比べて前記第1面での厚さが厚くなるほどクラック発生頻度が低まることを確認することができた。即ち、前記第1面の導電性樹脂層133、143厚さが厚くなるほど曲げ強度が高まることを確認することができた。
【0112】
以上を通じて本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、請求範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。
【符号の説明】
【0113】
100:積層型キャパシタ
110:キャパシタボディー
130:第1外部電極
131:第1ベース電極
133:第1導電性樹脂層
140:第2外部電極
141:第2ベース電極
143:第2導電性樹脂層
200:基板
210、220:電極パッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6