(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148155
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】電流を放電するための放電装置及びその放電装置を備える機械
(51)【国際特許分類】
H02K 11/40 20160101AFI20241009BHJP
H01R 39/00 20060101ALI20241009BHJP
H01R 13/533 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
H02K11/40
H01R39/00 K
H01R13/533 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024050761
(22)【出願日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】10 2023 108 650.2
(32)【優先日】2023-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】516193830
【氏名又は名称】シュンク カーボン テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ルートビヒ カイン
(72)【発明者】
【氏名】シュテッフェン トリーベ
【テーマコード(参考)】
5E087
5H611
【Fターム(参考)】
5E087EE04
5E087EE06
5E087QQ04
5E087RR07
5E087RR25
5H611AA03
5H611PP07
5H611UA08
(57)【要約】
【課題】機械全体の最適な冷却と潤滑を実現する放電装置を提供する。
【解決手段】本発明は、電流を機械(100)のロータ部から放電するための放電装置(1)に関し、ロータ部は、シャフト(2)を有し、放電装置は、ガイド壁及び外壁を有するガイド(6)に少なくとも部分的に収容される移動可能な接点要素(3)を備え、接点要素は、接点要素の摺接面(4)と、シャフトのシャフト接触面(5)との間に導電性の摺動接点を形成するように構成され、摺接面は、摺動接点を形成するように企図され、接点要素は、ガイド及び/又は機械の支持要素に導通可能に接続され、接点要素は、ばね要素によってシャフト接触面の方向に予圧され、接点要素は、少なくとも部分的に油性流体で濡れている。油性流体(20)のための少なくとも1つの導路(17)がガイド(6)に設けられ、導路は、外壁(16)内に終端するか、又はガイドの外壁に配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流を機械(100)のロータ部から放電するための放電装置(1)であって、前記ロータ部は、シャフト(2)を有し、前記放電装置(1)は、ガイド壁(26)及び外壁(16)を有するガイド(6)に少なくとも部分的に収容される移動可能な接点要素(3)を備え、前記接点要素(3)は、前記接点要素の摺接面(4)と、前記シャフトのシャフト接触面(5)との間に導電性の摺動接点を形成するように構成され、前記摺接面(4)は、前記摺動接点を形成するように企図され、前記接点要素は、前記ガイド及び/又は前記機械(100)の支持要素(7)に導通可能に接続され、前記接点要素(3)は、ばね要素(9)によって前記シャフト接触面(5)の方向に予圧され、前記接点要素(3)は、少なくとも部分的に油性流体(20)で濡れている、放電装置(1)において、
前記油性流体(20)のための少なくとも1つの導路(17)が前記ガイド(6)に設けられ、前記導路(17)が、前記外壁(16)で終端するか、又は前記ガイド(6)の前記外壁(16)に配置されることを特徴とする、放電装置(1)。
【請求項2】
前記油性流体(20)のための前記導路が、前記ガイド(6)の前記外壁(16)における長手方向凹部(17)であり、前記長手方向凹部(17)が、好ましくは前記ガイド(6)の下端(27)から前記ガイド(6)の長さの一部にわたって延びることを特徴とする、請求項1に記載の放電装置。
【請求項3】
前記長手方向凹部(17)の少なくとも一部が、好ましくは溝の態様で、実質的にU字形の断面で形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の放電装置。
【請求項4】
前記放電装置が、支持要素(7)により支持され、好ましくは前記支持要素(7)内に部分的に配置され、前記ガイド(6)の前記外壁(16)における前記導路(17)の口(18)が、前記支持要素(7)により覆われていないことを特徴とする、請求項2又は3に記載の放電装置。
【請求項5】
前記導路が、前記ガイドにおいて延びるチャネルであり、好ましくは、前記チャネルが、前記ガイドの下端から始端し、その外壁において終端することを特徴とする、請求項1に記載の放電装置。
【請求項6】
前記油性流体(20)のための少なくとも1つのさらなる導路(13)を特徴とし、前記導路(13)は、前記ガイド(6)に設けられ、前記ガイド(6)の上端面(22)で終端し、好ましくは、前記導路(13)は、前記ガイド(6)の下端(27)、特に前記ガイド(6)の蓋(11)から、前記ガイド(6)の前記上端面(22)に向かって延びる、請求項1~5のいずれか一項に記載の放電装置。
【請求項7】
少なくとも前記ガイド(6)の一部が低抵抗材料、特に金属、好ましくはアルミニウム、アルミニウム合金、銅、及び/又は黄銅から作られることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の放電装置。
【請求項8】
前記ガイド(6)が前記機械(100)の固定子部に導通可能に接続されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の放電装置。
【請求項9】
前記接点要素(3)が前記ガイド(6)又は前記機械(100)の支持要素に、好ましくは低抵抗の撚り線(8)により、導通可能に接続されており、好ましくは、前記撚り線(8)の一端が前記接点要素(3)に押し込められ又はスタンプされ、好ましくは、他端が前記ガイド(6)に溶接、半田付け、又は圧着されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の放電装置。
【請求項10】
前記接点要素(3)がピン形状又はボルト形状のブラシであり、好ましくは、前記摺接面(4)が矩形状、多角形状又は円形状であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の放電装置。
【請求項11】
前記ばね要素(9)が、圧縮コイルばねであり、好ましくは、その一端が前記接点要素(3)の前記摺接面(4)と反対側の端面と接触している、請求項1~10のいずれか一項に記載の放電装置。
【請求項12】
機械(100)、特に、シャフト(2)及びを有するロータ部と、請求項1~11のいずれか一項に記載の放電装置(1)とを備える電動モータ又はギア機構である、機械(100)であって、
前記放電装置(1)の前記接点要素(3)は、摺動接点を形成するために前記シャフトと摺接面(4)で接触する、機械(100)。
【請求項13】
前記放電装置(1)が支持要素(7)により支持され、好ましくは前記支持要素内に少なくとも部分的に配置され、前記外壁(16)の前記導路(17)の口(18)が前記支持要素(7)により覆われていないことを特徴とする、請求項12に記載の機械。
【請求項14】
前記ガイド(6)における前記導路が、長手方向凹部であり、特に、前記ガイド(6)の前記外壁における長手方向溝(17)であり、前記長手方向凹部(17)が、好ましくは、前記ガイド(6)の下端(27)から前記ガイド(6)の長さの一部にわたって延び、前記支持要素(7)が、前記長手方向凹部(17)を、好ましくは密封方式で、部分的に覆い、それにより前記支持要素(7)及び前記長手方向凹部(17)が共に前記油性流体(20)のための導通チャネルを形成することを特徴とする、請求項13に記載の機械。
【請求項15】
前記接点要素(3)が前記シャフト(2)の端面(4)と接触し、前記端面(4)が前記シャフト(2)の凹部(23)に位置し、油性流体(20)を排出するための少なくとも1つの孔(25)が前記凹部(23)により形成される壁(24)に設けられていることを特徴とする、請求項12~14のいずれか一項に記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流を機械のロータ部から放電するための放電装置に関するものであり、ロータ部は、シャフトを有し、当該放電装置は、ガイドに少なくとも部分的に収容される接点要素であって、当該接点要素の摺接面と、シャフトのシャフト接触面との間に導電性の摺動接点を形成するように構成される、特に軸方向に移動可能な、接点要素を備え、当該摺接面は、当該摺動接点を形成するように企図され、当該接点要素は、ガイド及び/又は機械の支持要素に導通可能に接続され、当該接点要素は、ばね要素によってシャフト接触面の方向に予圧される、放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種類の放電装置は、従来技術において様々な態様で知られている。特に、カーボンブラシが低周波電流の放電に使用されることが知られており、カーボンブラシは、シャフトの周囲に軸方向又は半径方向に分布し、接続用の撚り線を介して固定子と接触する。保持装置又はブラシホルダに収容されたカーボンブラシは、その低い電気抵抗のため電流の直接放電を可能にし、それにより、スポット溶接又は火花侵食による軸受本体又は軸受リングの表面損傷を引き起こし得るシャフトの軸受点を介した不所望な電導を回避することができる。
【0003】
用語「シャフト」は、本明細書では、用語「ロータ部」又は「軸」の同義語として使用される。したがって、用語「シャフト」は、装置の固定された固定子部又は機械部に放電され得る、全ての回転する機械部を包含する。
【0004】
また、放電装置は、交流又は作動電流がホイール軸を介して流れることができる鉄道技術において常用されている。そのような放電装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【0005】
自動車のような電気機械一般にも、電流を放電するための手段が必要である。モータ駆動シャフト又は接続されたギアシャフト又は他の機能構成要素の場合、連続的に変動する交流電圧又は電流及び高周波電流パルスが発生する可能性があり、これもロータシャフト又はギアシャフトの軸受点を損傷する可能性があることから、ここで放電装置が常時必要とされる。
【0006】
上記放電装置及びそのような放電装置を有する機械における課題の1つは、電気的及び機械的損失による高熱の発生であり、これは、放電装置及び機械(例えば、モータ、トランスミッション)の両方に高い熱負荷をもたらす。かかる課題をある程度まで制御すべく、発生した熱を除去するために換気手段がしばしば使用されてきた。しかしながら、そのような換気手段は、構成要素に対する熱負荷を部分的にしか最小化することができない。さらに、そのような換気手段を当該機械へ組み込む場合、その設置のために必要とされる空間が劇的に増加することになる。
【0007】
上記の不利な点を克服するために、特許文献2は、接点要素がその摺接面領域において油性流体で湿潤される放電装置を記載している。油性流体により、接点要素とシャフトとの間の接触領域で発生する熱の低減又は放散がなされた。上記文献に開示された放電接続は、接点要素に平行に配置され、軸方向に延びる導油チャネルを提示しており、導油チャネルは、油性流体をシャフトとガイドとの間の空間に送り込み、また、当該空間は、接点要素によって架橋されている。これにより、接点要素がこの領域において油性流体で確実に湿潤される。記載された装置の不利な点の一つは、油性流体が、軸方向においてのみ、シャフトとガイドとの間の空間に導かれることである。この放電装置では、ロータのさらなる冷却が十分にできない。また、油性流体による軸受の潤滑や、他のエンジン部品の潤滑/冷却も不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第102010039847号明細書
【特許文献2】国際公開第2022/135715号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記の従来技術の不利な点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、油性流体のための少なくとも1つの導路がガイドに設けられ、導路が外壁で終端するか、又はガイドの外壁に配置されることを特徴とする、初めに述べた種類の放電装置によって達成される。
【0011】
本発明による放電装置では、外部への半径方向のオイルの流れが理想的な方法で達成される。これにより、油性流体によるロータ冷却を容易に達成できる。軸受の潤滑も、半径方向のオイルの流れによって達成できる。これらの利点を、軸方向にオイルを経路制御する従来知られている放電装置で達成するためには、軸方向油チャネルへの交差穴をガイドに導入しなければならない。これは、プロセス上の理由で問題があり、困難である。
【0012】
本発明の放電装置の特に好ましい実施形態では、油性流体のための導路は、ガイドの外壁の長手方向凹部であり、好ましくは、長手方向凹部は、ガイドの長さの一部にわたってガイドの下端から延びる。このような長手方向の凹部は、製造中にガイドの外周に容易に導入することができる。
【0013】
有利には、長手方向凹部は、少なくとも部分的に、実質的にU字形の断面で、好ましくは溝の態様で形成される。このようなU字形の溝は、オイルの経路制御に特に有利であることが分かっている。
【0014】
本発明の放電装置の特に好ましい実施形態は、1つの端部領域を除き、特に密封方式で、上記長手方向凹部を完全に覆う保持装置と部分的に一体化していることである。これにより、両側に開いており、長手方向凹部の覆われていない端部領域を通って半径方向にオイルが流れ出ることができる、油経路制御チャネルが形成される。この実施形態は、図面の説明でより詳細に示される。
【0015】
本発明の放電装置のさらなる実施形態では、導路は、ガイドに延びるチャネルであって、好ましくは、チャネルは、ガイドの下端から始端し、その外壁で終端する。したがって、このチャネルは、両側が開いているがそれ以外は閉じており、ガイドの壁に延びているチャネルである。
【0016】
本発明の放電装置の好ましい実施形態は、ガイドにおける、油性流体のための少なくとも1つのさらなる導路を特徴とし、当該導路は、ガイドの上端面で終端し、好ましくは、当該導路は、ガイドの下端、特にガイドの蓋から、ガイドの上端面に向かって延びる。このチャネルは、特に、ガイドの長手方向軸と平行に延びるチャネルであり、これを介してガイドとシャフトとの間の空間に油性流体が導入され、当該空間は、接点要素によって架橋されている。この実施形態では、オイルは、軸方向及び半径方向の両方に流れることができる。この実施形態は、本発明の機械だけでなく、本発明の放電装置の冷却及び潤滑のために特に有利である。
【0017】
有利には、ガイドは、少なくとも部分的に、低抵抗材料、特に金属、好ましくはアルミニウム、アルミニウム合金、銅及び/又は黄銅から作られる。
【0018】
本発明の放電装置の特に好ましい実施形態では、ガイドは、機械の固定子部に導通可能に接続することができる。この機械の固定子部分は、例えば、放電装置の保持装置としての役割を果たすことができる。電流が放電されると、シャフトから放電装置の接点要素とガイドに放電される。上記実施形態では、放電された電流は、次に、装置の上記固定子分に流れる。
【0019】
有利には、接点要素は、好ましくは低抵抗の撚り線によって導通可能にガイドに接続され、撚り線は、好ましくは、一端で接点要素に押し込められ又はスタンプされ、好ましくは、他端でガイドに溶接、半田付け、又は圧着される。
【0020】
接点要素は、典型的には、ピン形状又はボルト形状のブラシである。摺接面は、矩形状、多角形状又は円形状であってよい。上記ブラシは、通常、圧縮成形とその後の熱処理によって製造される。
【0021】
有利には、ばね要素は、圧縮コイルばねであってもよく、その一端は、好ましくは、摺接面と反対側の接点要素の端面と接触する。そのような圧縮コイルばねを用いることにより、単純な方法によって、シャフトに対して接点要素を常に所定の望ましい接触圧力で押しつけることができる。
【0022】
本発明はまた、機械、特に電動モータ又はギア機構に関し、当該機械は、シャフトを有するロータ部と、請求項1~11のいずれか一項に記載の放電装置とを備え、放電装置の接点要素は、その摺接面でシャフトと接触し、摺動接点を形成する。本発明の機械は、小型で複雑でない設計でありながら、熱負荷を大幅に低減するという上記利点を達成する。
【0023】
さらに、機械全体の最適な冷却と潤滑を実現する。
【0024】
本発明の機械の特に好ましい実施形態では、放電装置は、支持要素によって保持される。好ましくは、放電装置は部分的に支持要素内に配置され、この場合、放電装置は支持要素内に圧入することができる。この実施形態では、ガイドの外壁の油性流体のための導路の口は、支持要素によって覆われておらず、油性流体は、半径方向に導路から流れ出ることができる。
【0025】
本発明の機械の特に好ましい実施形態では、ガイドの導路は、長手方向凹部、特に、ガイドの外壁の長手方向溝であり、長手方向凹部は、好ましくは、ガイドの下端からガイドの長さの一部にわたって延び、支持要素は、好ましくは密封方式で、長手方向凹部を部分的に覆い、それにより、支持要素が、長手方向凹部と共に、油性流体のための導通チャネルを形成する。この実施形態は、特に製造が簡単であり、かつ、半径方向への油性流体の最適な導出を確実にし、その結果、ロータも冷却することができ、軸受を潤滑することができる。
【0026】
本発明の機械の好ましい実施形態では、接点要素は、シャフトの凹部に位置するシャフトの端面と接触し、当該凹部の壁には、油性流体を排出するための少なくとも1つの孔が設けられている。この実施形態によれば、オイルは、ガイドの外壁のオイルラインの口を経由し、ガイドの導油路から、シャフトの凹部の壁の孔を通って、半径方向に流れることができる。
【0027】
本発明のさらなる特徴は、図面及び従属請求項に関連する、以下の図面の説明から明らかである。個々の特徴は、単独で、又は互いに組み合わせて実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の放電装置の長手方向断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の機械に組み込まれた、
図1の放電装置の長手方向断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に対応する放電装置及び機械の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、同一又は機能的に同一の要素には、同一の参照符号を付す。
【0030】
図1は本発明の放電装置1の長手方向断面図を示す。
図2~4の複合図は、放電装置1を備える本発明の機械100の断面を示す。この場合において、機械100は、シャフト2を備えるロータ部を有する電気モータである。電流を放電するための放電装置1は、シャフト2の端面10上に配置される。放電装置1は、接点要素3の摺接面4とシャフト2のシャフト接触面5との間の導電性の摺動接点を形成するためのカーボンブラシの形態の接点要素3を備え、摺接面4は、摺動接点を形成するように企図されている。接点要素3は、ガイド6内に収容されており、接点要素3は、ガイド6内で軸方向に移動可能である。ガイド6は、円筒状のハウジングとして設計されている。ガイド6は、同様に円筒状である支持要素7と部分的に一体化しており、支持要素7により保持される。接点要素3は、撚り線8によってガイド6に導通可能に接続されている。
【0031】
接点要素3は、圧縮コイルばね9によってシャフト接触面5の方向に予圧されている。したがって、接点要素3は、摺動接点を形成するように企図される接点要素3の摺接面4と、シャフト2の軸方向シャフト接触面5との間の導電的な摺動接点を形成するため、ばね9による接触力を受ける。ガイド6のシャフト2に面する側では、カーボンブラシ3がわずかにシャフト2から離れており、シャフト2の端面10でシャフト2との接点を作る。接点要素3は、シャフト2の端面10に対して実質的に中心に配置され、それにより、シャフトと同軸に配置される。この位置は、接点要素3の摩耗を最小限にするため、特に有利である。
【0032】
ガイド6の他方の端では、ガイド6は、撚り線8が取り付けられている蓋11を有する。接点要素3をシャフト2の方向に予張力付与するばね9は、蓋11と接点要素3との間に配置されている。
【0033】
ガイド6は導電性金属で作られているため、ガイド6と、ガイド6を保持する機械100のアセンブリとの間には導電性接続が存在する。この実施形態の例では、ガイド6はアルミニウムから作られている。
【0034】
撚り線8もまた、低抵抗材料から作られている。撚り線8は、一端が接点要素3に押し込められ、他端が圧着、抵抗溶接又は半田付けによって蓋11に接続されている。撚り線8はまた、蓋11を通過し、別の方法で接触させることもできる。
【0035】
接点要素3は、二層構造を有する。摺接面4の領域において、接点要素3は、黒鉛-銀混合物からなる。これは特に、接点要素3の部分12に影響する。この領域における銀含有量は、少なくとも3体積%である。接点要素3の残りの領域は、黒鉛-銅混合物からなる。しかしながら、接点要素3の部分12及びシャフト2は、オイルとの望ましくない反応を回避するために、実質的に銅を含まない。接点要素3は、直方体状のピンである。
【0036】
ガイド6には導路13が形成されており、導路13は蓋11から軸方向に、ガイド6とシャフト2との間の空間14まで延び、空間14と開放接続している。
図2に見られるように、オイル20は、蓋11の領域から空間14の方向に流れ、空間14内に流れ込む。その結果、オイル20は、接点要素3の部分12を濡らす。部分15において、接点要素3は、黒鉛-銅混合物からなる。ここで、撚り線8は、接点要素3の部分15と、ガイド6又は蓋11とに接続され、これらの要素を導通可能に接続する。
【0037】
U字状の長手方向溝17の形態である油用の導路が、ガイド6の外壁16に形成されている。この長手方向溝17は、ガイド6の外周に配置されており、ガイド要素6の下端27からガイド6の長さの約半分にわたって延び、下端27には蓋11も配置されている。長手方向溝17は、その上端18において、丸みを帯びた断面を有する。これは、長手方向溝17がその上端18で急に終端するのではなく、一様に減少する深さを有することを意味する。
【0038】
放電装置1は、ガイド6の外周16の長手方向溝17が支持要素7によって大部分が覆われるように、支持要素7内に配置される。放電装置1は、支持要素7の内壁19が長手方向溝17の長手方向縁部21と密封接触するように、支持要素7と締まり嵌め嵌合する。その結果、支持要素7と長手方向溝17が共に、両側が開いた導油チャネルを形成する。支持要素7が長手方向溝17の上端18を覆わないことにより、初めに内壁19と長手方向溝17との間を流れるオイルは、長手方向溝17の上端18で半径方向に流れ出ることができる。このオイルの流れは、
図2及び
図3の矢印によって容易に認識することができる。この実施形態では、2つの対向する長手方向溝17がガイド6の外壁16に配置されている。
【0039】
上記のとおり、ガイド6はその壁に軸方向導油路13を有する。
図2及び
図3から明らかなように、図示された本発明の放電装置1の実施形態は、軸方向、すなわちシャフト2とガイド6の上端との間の空間14の方向、及び半径方向の両方にオイルを流すことができる。導路13は、対応する凹部28を有する蓋11から、ガイド6の上端面22に向かって延びており、上端面22において終端する。シャフト2のシャフト接触面5は、その端面によって形成されており、シャフト2の凹部23に凹設されている。凹部23の周囲の壁24には複数の孔25が設けられている。長手方向溝17の上端18を出るオイルは、他のエンジン構成要素の冷却及び/又は潤滑に寄与するために、これらの孔25を通って半径方向に流れ続けることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 放電装置
2 シャフト
3 接点要素
4 摺接面
5 シャフト接触面
6 ガイド
7 支持要素
8 撚り線
9 圧縮コイルばね
10 端面
11 蓋
12 部分
13 導路
14 空間
15 部分
16 外壁
17 長手方向溝
18 上端
19 内壁
20 油性流体
21 長手方向縁部
22 上端面
23 凹部
24 壁
25 孔
26 ガイド壁
27 下端
28 凹部
100 機械
【外国語明細書】