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2024-148160作業機械の無限軌道履帯用の後付け可能な履帯リンク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148160
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】作業機械の無限軌道履帯用の後付け可能な履帯リンク
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/21 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
B62D55/21 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024054574
(22)【出願日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】202311025529
(32)【優先日】2023-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナスワミー、サンタナム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低コストの後付け可能な履帯リンクを提供すること。
【解決手段】作業機械の無限軌道履帯用の後付け可能な履帯リンクは、第1の側面と、第2の側面と、ストラップ前端と、ストラップ後端と、ストラップ前端とストラップ後端との間に延在し、かつ直線状輪郭を画定する中間部分と、第1の側面に向かってストラップ前端にある第1の表面と、および第2の側面に向かってストラップ後端にある第2の表面と、を画定する本体を備える。第1の表面および第2の表面は、本体内に凹むように直線状輪郭に対してテーパが付けられている。第1の表面は、後付け可能な履帯リンクと後続の履帯リンクとの第1の重なり部分において、後続の履帯リンクのストラップ後端と嵌合する。第2の表面は、後付け可能な履帯リンクと先行の履帯リンクとの第2の重なり部分において、先行の履帯リンクのストラップ前端と嵌合する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無限軌道履帯用の後付け可能な履帯リンクであって、前記後付け可能な履帯リンクは、
第1の側面、および前記第1の側面に対向する第2の側面と、
ストラップ前端、ストラップ後端、およびそれらの間に延在する中間部分であって、直線状輪郭を画定する中間部分と、
前記ストラップ前端にある第1の表面、および前記ストラップ後端にある第2の表面と、を画定する本体を備え、
前記第1の表面は、前記第1の側面に配置されており、前記第2の表面は、前記第2の側面に配置されており、
前記第1の表面および前記第2の表面は、前記本体内に凹むように前記直線状輪郭に対してテーパが付けられており、
前記第1の表面は、前記後付け可能な履帯リンクと後続の履帯リンクとの第1の重なり部分において、前記無限軌道履帯の前記後続の履帯リンクのストラップ後端と嵌合するように構成されており、
前記第2の表面は、前記後付け可能な履帯リンクと先行の履帯リンクとの第2の重なり部分において、前記無限軌道履帯の前記先行の履帯リンクのストラップ前端と嵌合するように構成されている、後付け可能な履帯リンク。
【請求項2】
前記ストラップ前端にある前方履帯ピン孔であって、第1の軸を画定する、前方履帯ピン孔と、
前記ストラップ後端にある後方履帯ピン孔であって、第2の軸を画定する、後方履帯ピン孔と、をさらに備え、
前記第1の軸および前記第2の軸は、前記後付け可能な履帯リンクの対応する前記第1の表面および前記第2の表面に対して垂直である、請求項1に記載の後付け可能な履帯リンク。
【請求項3】
前記第1の表面と前記第2の表面は、互いに平行である、請求項1に記載の後付け可能な履帯リンク。
【請求項4】
前記第1の表面は、前記直線状輪郭に対して第1の角度でテーパが付けられており、前記第2の表面は、前記直線状輪郭に対して第2の角度でテーパが付けられており、前記第1の角度および前記第2の角度の各々は、約5度~約15度の範囲内にある、請求項1に記載の後付け可能な履帯リンク。
【請求項5】
前記本体は、
前記ストラップ前端にある第3の表面と、前記ストラップ後端にある第4の表面と、を画定し、
前記第3の表面は、前記第2の側面に配置されており、前記第4の表面は、前記第1の側面に配置されており、
前記第3の表面および前記第4の表面は、前記直線状輪郭に平行である、請求項1に記載の後付け可能な履帯リンク。
【請求項6】
無限軌道履帯であって、
第1の履帯チェーンおよび第2の履帯チェーンであって、前記第1の履帯チェーンおよび前記第2の履帯チェーンの各々は、先行の履帯リンクのストラップ前端が後続の履帯リンクのストラップ後端に重なり合って、対応する履帯チェーン内において複数の重なり部分を画定するように、次々に直列に配置された複数の履帯リンクを含む、第1の履帯チェーンおよび第2の履帯チェーンと、
前記第1の履帯チェーンおよび前記第2の履帯チェーンの各々の前記複数の重なり部分を対応して通過する複数のピンであって、前記第1の履帯チェーンおよび前記第2の履帯チェーンの各々に対応して回転可能に連結される、複数のピンと、を備え、
前記複数の履帯リンクのうちの少なくとも1つの履帯リンクは、請求項1に記載の後付け可能な履帯リンクを含む、無限軌道履帯。
【請求項7】
無限軌道履帯用の後付け可能な履帯リンクを製造する方法であって、前記方法は、
第1の側面と、前記第1の側面に対向する第2の側面と、を画定する本体を提供することと、
前記第1の側面を機械加工して、前記本体内に凹んだ第1の表面を画定して、前記本体のストラップ前端を形成することと、
前記第2の側面を機械加工して、前記本体内に凹んだ第2の表面を画定して、前記本体のストラップ後端と、前記ストラップ前端と前記ストラップ後端との間に延在する中間部分と、を形成することと、を含み、
前記中間部分は、直線状輪郭を画定し、
前記第1の側面は、前記直線状輪郭に対して第1の角度で機械加工されて前記第1の表面を画定し、前記第2の側面は、前記直線状輪郭に対して第2の角度で機械加工されて前記第2の表面を画定し、
前記第1の表面は、前記後付け可能な履帯リンクと後続の履帯リンクとの第1の重なり部分において、前記無限軌道履帯の前記後続の履帯リンクのストラップ後端と嵌合するように構成されており、
前記第2の表面は、前記後付け可能な履帯リンクと先行の履帯リンクとの第2の重なり部分において、前記無限軌道履帯の前記先行の履帯リンクのストラップ前端と嵌合するように構成されている、方法。
【請求項8】
前記第1の角度および前記第2の角度の各々は、約5度~約15度の範囲内にある、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ストラップ前端を機械加工して、前方履帯ピン孔を形成することであって、前記前方履帯ピン孔は第1の軸を画定する、形成することと、
前記ストラップ後端を機械加工して、後方履帯ピン孔を形成することであって、前記後方履帯ピン孔は第2の軸を画定する、形成することと、をさらに含み、
前記前方履帯ピン孔の前記第1の軸および前記後方履帯ピン孔の前記第2の軸は、前記後付け可能な履帯リンクの対応する前記第1の表面(236)および前記第2の表面に対して垂直である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記本体は、上部レール表面と、前記上部レール表面と対向する下部シュー取り付け表面と、を画定し、前記方法は、
前記ストラップ前端の一部分を機械加工して、前記上部レール表面と前記下部シュー取り付け表面との間に延在する第1の円弧状表面を画定することと、
前記ストラップ後端の一部分を機械加工して、前記上部レール表面と前記下部シュー取り付け表面との間に延在する第2の円弧状表面を画定することと、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の無限軌道履帯用の後付け可能な履帯リンクに関する。より詳細には、本開示は、機械の既存の無限軌道履帯に履帯リンクを後付けするためのテーパ面を有する履帯リンクに関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械、例えば掘削機、ローダーなどには、地表面上での機械の移動を容易にする無限軌道履帯が装備されている。無限軌道履帯は典型的には、一対の履帯チェーンを含み、各履帯チェーンは、次々に直列に配置され、ブッシュおよび履帯ピン配列を介して互いに枢動可能に接続された履帯リンクから形成されている。これらの履帯リンクは、時間の経過とともに様々な速度で摩耗することが多く、交換および/または修理が必要になる場合がある。したがって、これらの履帯リンクの製造および保守のコストは、履帯チェーンの製造および組み立てにおいて重要な考慮事項となる。
【0003】
米国特許第9,796,436B2号は、機械の履帯アセンブリ用の履帯リンクを開示している。この履帯リンクは、内面と、内面の反対側に配置された外面と、を含んでいる。内面および外面は、第1の端部に隣接した部分から第2の端部に隣接した部分へと延在している。履帯リンクはさらに、シュー面と、シュー面に対向して配置されたレールと、を含んでいる。シュー面およびレールは、内面と外面との間に延在している。さらに、履帯リンクは、第1の端部に隣接する前端と、第2の端部に隣接する後端と、を含んでいる。レールは、中間セクションと、第1の外側セクションと、第1の外側セクションに対してオフセットされた第2の外側セクションと、を含んでいる。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、本開示は、無限軌道履帯用の後付け可能な履帯リンクに関する。後付け可能な履帯リンクは、本体を含む。本体は、第1の側面と、第1の側面に対向する第2の側面と、を画定する。また、本体は、ストラップ前端、ストラップ後端、およびそれらの間に延在して直線状輪郭を画定する中間部分を画定する。さらに、本体は、ストラップ前端において第1の表面を画定し、ストラップ後端において第2の表面を画定する。第1の表面は、第1の側面に配置され、第2の表面は、第2の側面に配置される。また、第1の表面および第2の表面は、本体内に凹むように直線状輪郭に対してテーパが付けられている。第1の表面は、後付け可能な履帯リンクと後続の履帯リンクとの第1の重なり部分において、無限軌道履帯の後続の履帯リンクのストラップ後端と嵌合するように構成されている。第2の表面は、後付け可能な履帯リンクと先行の履帯リンクとの第2の重なり部分において、無限軌道履帯の先行の履帯リンクのストラップ前端と嵌合するように構成されている。
【0005】
別の態様では、本開示は、無限軌道履帯を対象とする。無限軌道履帯は、第1の履帯チェーンおよび第2の履帯チェーンを含む。第1の履帯チェーンおよび第2の履帯チェーンの各々は、先行の履帯リンクのストラップ前端が後続の履帯リンクのストラップ後端に重なり合って、対応する履帯チェーン内において複数の重なり部分を画定するように、次々に直列に配置された複数の履帯リンクを含む。また、無限軌道履帯は、第1の履帯チェーンおよび第2の履帯チェーンの各々の複数の重なり部分を対応して通過する複数のピンであって、第1の履帯チェーンおよび第2の履帯チェーンの各々に対応して回転可能に連結される、複数のピンを含む。複数の履帯リンクのうちの少なくとも1つの履帯リンクは、後付け可能な履帯リンクを含む。後付け可能な履帯リンクは、本体を含む。本体は、第1の側面と、第1の側面に対向する第2の側面と、を画定する。また、本体は、ストラップ前端、ストラップ後端、およびそれらの間に延在して直線状輪郭を画定する中間部分を画定する。さらに、本体は、ストラップ前端において第1の表面を画定し、ストラップ後端において第2の表面を画定する。第1の表面は、第1の側面に配置され、第2の表面は、第2の側面に配置される。また、第1の表面および第2の表面は、本体内に凹むように直線状輪郭に対してテーパが付けられている。第1の表面は、後付け可能な履帯リンクと後続の履帯リンクとの第1の重なり部分において、無限軌道履帯の後続の履帯リンクのストラップ後端と嵌合するように構成されている。第2の表面は、後付け可能な履帯リンクと先行の履帯リンクとの第2の重なり部分において、無限軌道履帯の先行の履帯リンクのストラップ前端と嵌合するように構成されている。
【0006】
さらに別の態様では、本開示は、無限軌道履帯用の後付け可能な履帯リンクを製造する方法に関する。この方法は、第1の側面と、第1の側面に対向する第2の側面と、を画定する本体を提供することを含む。さらに、この方法は、第1の側面を機械加工して、本体内に凹んだ第1の表面を画定して、本体のストラップ前端を形成することを含む。また、この方法は、第2の側面を機械加工して、本体内に凹んだ第2の表面を画定して、本体のストラップ後端と、ストラップ前端とストラップ後端との間に延在する中間部分と、を形成することを含む。中間部分は、直線状輪郭を画定する。第1の側面は、直線状輪郭に対して第1の角度で機械加工されて第1の表面を画定し、第2の側面は、直線状輪郭に対して第2の角度で機械加工されて第2の表面を画定する。第1の表面は、後付け可能な履帯リンクと後続の履帯リンクとの第1の重なり部分において、無限軌道履帯の後続の履帯リンクのストラップ後端と嵌合するように構成されている。第2の表面は、後付け可能な履帯リンクと先行の履帯リンクとの第2の重なり部分において、無限軌道履帯の先行の履帯リンクのストラップ前端と嵌合するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態による、無限軌道履帯を有する例示的な作業機械を示す。
図2】本開示の一実施形態による、無限軌道履帯の少なくとも1つの履帯チェーンに後付けされた後付け可能な履帯リンクを有する無限軌道履帯の一部の立面図を示す。
図3】本開示の一実施形態による、後付け可能な履帯リンクの斜視図である。
図4】本開示の一実施形態による、後付け可能な履帯リンクの立面図である。
図5】本開示の一実施形態による、無限軌道履帯の後付け可能な履帯リンクと従来の履帯リンクとの間の屈曲を示す。
図6】本開示の一実施形態による、無限軌道履帯用の後付け可能な履帯リンクを製造する方法を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、特定の実施形態または特徴について詳細に参照し、その実施例を添付図面に示す。概して、同一または対応する部分を指すために、図面全体にわたって対応する参照番号が使用される場合がある。例えば、1、1’、1’’、101および201は、同じおよび/または異なる図示の実施形態で使用される1つ以上の同等の構成要素を指す場合がある。
【0009】
数値または範囲と併せて使用される「約」という用語は、記載された数値の上下の境界を拡張することによって、その値または範囲を修正する。概して、「約」という用語は、本明細書では、記載された値を10%上下して数値を修正するために使用される。
【0010】
図1を参照すると、例示的な作業機械100(以下、「機械100」と称する)が示されている。機械100は、鉱業、建設業、農業、運送業、または当技術分野で知られている他の産業などの産業に関連する1つ以上の作業を実行する移動機械100’を具体化し得るものである。例えば、機械100は、掘削機、ブルドーザー、ローダー、バックホー、モーターグレーダー、または土木作業を実行するように構成された他の任意の移動機械であってよい。
【0011】
機械100は、作業を実行するために協働する様々なシステムおよび/またはアセンブリを含んでよい。例えば、図1に示すように、機械100は、フレーム104と、推進システム108と、車台アセンブリ112と、を含む。フレーム104は、推進システム108を収容および支持することができるが、他の既知のシステムおよび/またはコンポーネントも同様にフレーム104によって支持し得る。推進システム108は、動力室116と、動力室116内に収容された動力源(図示せず)と、を含んでよい。動力源には、内燃機関、電力源、またはその両方の組み合わせが含まれ得る。動力源は、機械100の車台アセンブリ112などの様々なシステムまたはアセンブリを動作させるのに必要な出力動力を生成するように構成され得る。
【0012】
車台アセンブリ112は、フレーム104(または機械100)を支持し、例えばある場所から別の場所へ推進するように構成されている。車台アセンブリ112は、機械100の両側に1つ以上の無限軌道履帯120を含んでよい(図1には1つの無限軌道履帯120’のみが示されている)。さらに、車台アセンブリ112は、履帯ローラフレーム124と、複数の回転可能な履帯係合要素、すなわち、1つ以上の駆動スプロケット128、1つ以上のアイドラ132、および複数のローラ136と、を含んでよい。一実施例では、図1に示すように、無限軌道履帯120’は、概して従来の方法で複数の回転可能な履帯係合要素の周りに延在している。本実施形態では、機械100は、いわゆる「楕円形履帯」構成の車台アセンブリ112を備えて示されているが、「高駆動」構成、または車台アセンブリ112のさらに別の構成が他の実施形態で採用されてよいことを理解されたい。
【0013】
図2を参照して、無限軌道履帯120’について説明する。無限軌道履帯120’は、第1の履帯チェーン140、第2の履帯チェーン144、複数のピン148、複数のブッシュ152、および複数の履帯シュー156(図5に示す)を含む。第1の履帯チェーン140および第2の履帯チェーン144の各々は、複数の履帯リンク160から形成されている。次に、複数の履帯リンク160のうちの例示的な履帯リンク164(第2の履帯チェーン144に対応する)について説明するが、例示的な履帯リンク164の本明細書での説明は、別段の指示または文脈から明らかな場合を除き、第1の履帯チェーン140と第2の履帯チェーン144の両方の複数の履帯リンク160のうちのいずれかを指すものと理解されたい。
【0014】
履帯リンク164は、ストラップ前端172およびストラップ後端176を画定する細長いリンク本体168を含む。ストラップ後端176は、ストラップ前端172から横方向にオフセットされて、履帯リンク164に実質的にS字形(またはZ字形)の輪郭を与える。さらに、履帯リンク164は、対応する履帯シュー156を取り付けるように構成されたシュー取り付け表面180(図5に示す)と、シュー取り付け表面180に対向し、かつ機械100の動作中にローラ136(またはアイドラ132)と係合するように構成されたレール表面184と、ストラップ前端172に画定された第1の履帯ピン孔188と、ストラップ後端176に画定された第2の履帯ピン孔192と、を含む。
【0015】
履帯リンク164と後続の履帯リンク160’および先行の履帯リンク160’’とのアセンブリでは、履帯リンク164、後続の無端履帯リンク160’、および先行の履帯リンク160’’は、履帯リンク164のストラップ前端172が後続の履帯リンクのストラップ後端176’と重なり、かつ履帯リンク164のストラップ後端176が先行の履帯リンク160’’のストラップ前端172’’と重なるように、次々と直列に配置される。続いて、ピン148’(ブッシュ152’を備えた)を履帯リンク164の第1の履帯ピン孔188および後続の履帯リンク160’’の第2の履帯ピン孔192’に通し、ピン148’’(ブッシュ152’’を備えた)を履帯リンク164の第2の履帯ピン孔192および先行の履帯リンク160″の第1の履帯ピン孔188’に通し、履帯リンク164を後続の履帯リンク160’および先行の履帯リンク160’’に連結して、第2の履帯チェーン144、したがって無限軌道履帯120を形成する。
【0016】
機械100の動作により、必然的に無限軌道履帯120の様々なコンポーネント、特に履帯リンク160に磨耗または損傷が生じる。例えば、無限軌道履帯120が動作すると、履帯リンク160のレール表面184は、車台アセンブリ112のアイドラ132(またはローラ136)および/または外部材料(例えば、地面)との接触を通して磨耗し得る。これらの履帯リンク160は高価であり、鍛造などの高価なプロセスを使用して形成される複雑な幾何学的特徴のため、製造が困難である。したがって、そのような磨耗または損傷した履帯リンク160を新しい履帯リンク160(同様の複雑な幾何学的形状を有する)と交換することは、費用がかかることになる。これに関して、本開示の1つ以上の態様において、低コストの後付け可能な履帯リンク200が開示される。
【0017】
図3および図4を参照すると、後付け可能な履帯リンク200は、本体204を含む。本体204は、直線状長手方向軸「X1」を画定する単一のモノリシック本体204’であってもよい。本体204は、鋼または鉄などの鉄金属で製造され得る。本体204は、第1の側面208と、第1の側面208と横方向に対向する第2の側面212と、を画定する。図2に示すように、第1の側面208は、車内側リンク側面208’であり、第2の側面212は、車外側リンク側面212’である。「車内側」という用語は、無限軌道履帯120’の長手方向中心線「C」に向かうことを意味するのに対し、「車外側」という用語は、無限軌道履帯120の長手方向中心線「C」から離れることを意味することに留意されたい。
【0018】
本体204は、上部レール表面216、下部シュー取り付け表面220、ストラップ前端224、ストラップ後端228、および中間部分232を画定する。また、本体204は、第1の表面236、第2の表面240、第3の表面244、および第4の表面248を画定する。さらに、本体204は、前方履帯ピン孔252および後方履帯ピン孔256を画定する。次に、後付け可能な履帯リンク200の本体204の上述の特徴の各々について説明する。
【0019】
上部レール表面216と下部シュー取り付け表面220は、互いに対向して配置される。上部レール表面216は、アイドラ132、ローラ136などの車台アセンブリ112の複数のコンポーネントと接触するように構成され得る。下部シュー取り付け表面220は、履帯シュー(例えば、履帯シュー156)を本体204に取り付けるように構成され得る。
【0020】
ストラップ前端224およびストラップ後端228は、本体204の直線状長手方向軸「X1」に沿って互いにオフセットされている。ストラップ前端224は、上部レール表面216と下部シュー取り付け表面220との間に延在する第1の円弧状表面260を画定する。第1の円弧状表面260は、ストラップ後端228に対向する凹面「C1」と、前方頂点264(図4に示す)とを有し得る。第1の円弧状表面260は、約50~80ミリメートルの範囲の半径を有し得る。同様に、ストラップ後端228は、上部レール表面216と下部シュー取り付け表面220との間に延在する第2の円弧状表面272を画定する。第2の円弧状表面272は、ストラップ前端224に対向する凹面「C2」と、後方頂点276(図4に示す)とを有し得る。第2の円弧状表面272は、約50~80ミリメートルの範囲の半径を有し得る。
【0021】
中間部分232は、ストラップ前端224とストラップ後端228との間で直線状長手方向軸「X1」に沿って長手方向に延在し、本体204の第1の側面208と第2の側面212との間で横方向に延在する。中間部分232は、本体204の直線状長手方向軸「X1」と平行に延在する直線状軸「Y1」を画定する直線状輪郭を含む。本実施形態では、図4に示すように、中間部分232の直線状軸「Y1」は、本体204の直線状長手方向軸「X1」と一致する。中間部分232は、中間部分232の長さ全体にわたって一定の厚さ(本体204の第1の側面208
【0022】
次に、第1の表面236について説明する。第1の表面236は、ストラップ前端224に画定される。第1の表面236は、本体204の第1の側面208に配置される。第1の表面236は、直線状輪郭(または直線状軸「Y1」)に対してテーパが付けられている。図4に示すように、第1の表面236は、直線状輪郭(または直線状軸「Y1」)に対して第1の角度「A1」でテーパが付けられている。第1の角度「A1」は、約5度~約15度の範囲内にあり得る。
【0023】
第1の表面236は、本体204の第1の側面208に第1の肩部分280を画定するために、本体204内に凹むようにテーパが付けられている。本実施形態では、第1の肩部分280は、ストラップ後端228とは反対側を向く凹部「C3」を画定する円弧状輪郭を有し得る。(円弧状輪郭を有する)第1の肩部分280は、後付け可能な履帯リンク200と後続の履帯リンク(例えば、図2に示すような後続の履帯リンク160’)との間の屈曲(相対回転による)を制限するように構成され得る。
【0024】
(テーパが付けられた)第1の表面236は、後付け可能な履帯リンク200と後続の履帯リンク(図2に示す)との第1の重なり部分284において、後続の履帯リンクのストラップ後端と(例えば、後続の履帯リンク160’のストラップ後端176’と)嵌合するように構成されている。動作中、第1の肩部分280は、ピン148’を中心とする、後付け可能な履帯リンク200のストラップ前端224と後続の履帯リンク160’のストラップ後端176’との間の(相対回転による)屈曲を制限し得る。
【0025】
次に、第2の表面240について説明する。第2の表面240は、ストラップ後端228に画定される。第2の表面240は、本体204の第2の側面212に配置される。第2の表面240は、直線状輪郭(または直線状軸「Y1」)に対してテーパが付けられている。図4に示すように、第2の表面240は、直線状輪郭(または直線状軸「Y1」)に対して第2の角度「A2」でテーパが付けられている。第2の角度「A2」は、約5度~約15度の範囲内にあり得る。本実施形態では、図4に示すように、第2の表面240は、第1の表面236と平行である。
【0026】
第2の表面240は、本体204の第2の側面212に第2の肩部分292を画定するために、本体204内に凹むようにテーパが付けられている。本実施形態では、第2の肩部分292は、ストラップ前端224とは反対側を向く凹部「C4」を画定する円弧状輪郭を有し得る。(円弧状輪郭を有する)第2の肩部分292は、後付け可能な履帯リンク200と先行の履帯リンク(例えば、図2に示すような先行の履帯リンク160’’)との間の(相対回転による)屈曲を制限するように構成されている。
【0027】
(テーパが付けられた)第2の表面240は、後付け可能な履帯リンク200と先行の履帯リンク(図2に示す)との第2の重なり部分296において、先行の履帯リンクのストラップ前端と(例えば、先行の履帯リンク160”のストラップ前端172”と)と嵌合するように構成されている。動作中、第2の肩部分292は、ピン148’’を中心とする、後付け可能な履帯リンク200のストラップ後端228と先行の履帯リンク160’’のストラップ前端172’’との間の(相対回転による)屈曲を制限し得る。
【0028】
次に、第3の表面244について説明する。第3の表面244は、ストラップ前端224に画定される。第3の表面244は、本体204の第2の側面212に、第1の表面236とは横方向に対向して配置される。第3の表面244は、直線状輪郭(または直線状軸「Y1」)に平行に延在し得る。したがって、第3の表面244は、第1の表面236に対してテーパ状の関係にある。このストラップ前端224の構成では、ストラップ前端224が直線状長手方向軸「X1」に沿って本体204の中間部分232に向かって延びるにつれて、第1の表面236と第3の表面244との間に画定される横方向の厚さが減少する。一実施例では、前方頂点264におけるストラップ前端224の横方向の厚さ「T1」は、約25~40ミリメートルの範囲内にあり得るが、第1の肩部分280におけるストラップ前端224の横方向の厚さ「T2」は、約20~35ミリメートルの範囲内にあり得る。
【0029】
次に、第4の表面248について説明する。第4の表面248は、ストラップ後端228に画定される。第4の表面248は、本体204の第1の側面208に、第2の表面240の横方向に対向して配置される。第4の表面248は、直線状輪郭(または直線状軸「Y1」)に平行に延在し得る。したがって、第4の表面248は、第2の表面240に対してテーパ状の関係にある。このストラップ後端228の構成では、ストラップ後端228が直線状長手方向軸「X1」に沿って本体204の中間部分232に向かって延びるにつれて、第2の表面240と第4の表面248との間に画定される横方向の厚さが減少する。一実施例では、後方頂点276におけるストラップ後端228の横方向の厚さ「T3」は、約25~40ミリメートルの範囲内にあり得るが、第2の肩部分292におけるストラップ後端228の横方向の厚さ「T4」は、約20~35ミリメートルの範囲内にあり得る。
【0030】
次に、前方履帯ピン孔252について説明する。前方履帯ピン孔252は、ストラップ前端224に画定される。前方履帯ピン孔252は、第1の表面236と第3の表面244との間に延在し得る。前方履帯ピン孔252は、第1の軸「Z1」を画定する。第1の軸「Z1」は、第1の表面236に対して垂直である。後付け可能な履帯リンク200と後続の履帯リンク160’との例示的なアセンブリでは(図2に示すように)、後付け可能な履帯リンク200の第1の表面236と後続の履帯リンク160’のストラップ後端176’とが嵌合する際に、前方履帯ピン孔252は、ピン148’を受け入れるために後続の履帯リンク160’の第2の履帯ピン孔192’と位置合わせされる。
【0031】
次に、後方履帯ピン孔256について説明する。後方履帯ピン孔256は、ストラップ後端228に画定される。後方履帯ピン孔256は、第2の表面240と第4の表面248との間に延在し得る。後方履帯ピン孔256は、第2の軸「Z2」を画定する。第2の軸「Z2」は、第2の表面240に対して垂直である。後付け可能な履帯リンク200と先行の履帯リンク160’’との例示的なアセンブリでは(図2に示すように)、後付け可能な履帯リンク200の第2の表面240と先行の履帯リンク160”のストラップ前端172’’とが嵌合する際に、後方履帯ピン孔256は、ピン148”を受け入れるために、先行の履帯リンク160”の第1の履帯ピン孔188”と位置合わせされる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
次に、既存の無限軌道履帯(例えば、無限軌道履帯120)の履帯チェーン(例えば、第1の履帯チェーン140)を後付け可能な履帯リンク200で後付けする例示的な方法について説明する。この方法については、図2、3、および4に関連して説明する。最初に、摩耗または損傷した履帯リンク160を第1履帯チェーン140から取り外す。次に、後付け可能な履帯リンク200を、第1の履帯チェーン140の後続の履帯リンク160’に連結する。そのために、(後付け可能な履帯リンク200の)ストラップ前端224の第1の表面236を、後付け可能な履帯リンク200と後続の履帯リンク160’との第1の重なり部分284において、後続の履帯リンク160’のストラップ後端176’と嵌合する。後付け可能な履帯リンク200の前方履帯ピン孔252を後続の履帯リンク160′の第2の履帯ピン孔192′と位置合わせする方法で、第1の表面236をストラップ後端176′と嵌合させる。前方履帯ピン孔252と第2の履帯ピン孔192´が互いに位置合わせされると、ピン148´をそこに通して、後付け可能な履帯リンク200を後続の履帯リンク160´に連結することが可能になる。
【0033】
続いて、後付け可能な履帯リンク200を、第1の履帯チェーン140の先行の履帯リンク160’’に連結する。そのために、後付け可能な履帯リンク200と先行の履帯リンク160’’との第2の重なり部分296において、(後付け可能な履帯リンク200の)ストラップ後端228の第2の表面240を、先行の履帯リンク160’’のストラップ前端172’’と嵌合させる。後付け可能な履帯リンク200の後方履帯ピン孔256を先行の履帯リンク160”の第1の履帯ピン孔188”と位置合わせする方法で、第2の表面240をストラップ前端172”と嵌合させる。後方履帯ピン孔256と第1の履帯ピン孔188’’が互いに位置合わせされると、ピン148’’をそこに通して、後付け可能な履帯リンク200を先行の履帯リンク160’’に連結することが可能になる。
【0034】
後付け可能な履帯リンク200は、上述したのと同じ方法で別の後付け可能な履帯リンクに連結し得ることを理解されたい。例えば、図5に示すように、後付け可能な履帯リンク200は、後続の後付け可能な履帯リンク200’’および先行の後付け可能な履帯リンク200’’と連結される。
【0035】
次に、後付け可能な履帯リンク200を製造する例示的な方法について説明する。この方法は、この方法に関連する例示的なステップ(すなわち、604~612)を示すフローチャート600によって説明される。最初に、平坦な金属プレートの形態の本体204を提供する(ステップ604)。本体204は、実質的に平面の側面、すなわち、第1の側面208と、第1の側面208と横方向に対向する第2の側面212と、を画定する。本体204は、後付け可能な履帯リンク200の所望の厚さと実質的に同じ厚さを有してもよい。さらに、本体204は、上部レール表面216と、上部レール表面216に対向する下部シュー取り付け表面220と、を画定され得る。
【0036】
次に、本体204の第1の側面208を機械加工して、本体204内に凹んだ第1の表面236を画定し、本体204のストラップ前端224を形成する(ステップ608)。本体204の第1の側面208は、レーザー切断技術を使用して機械加工され得る。同様に、本体204の第2の側面212を機械加工して、本体204内に凹んだ第2の表面240を画定し、本体204のストラップ後端228と、ストラップ前端224とストラップ後端228との間に延在する中間部分232と、を形成する(ステップ612)。本体204の第2の側面212は、レーザー切断技術を使用して機械加工され得る。
【0037】
追加的に、本体204のストラップ前端224を機械加工して、前方履帯ピン孔252を形成してもよく、本体204のストラップ後端228を機械加工して、後方履帯ピン孔256を形成してもよい。また、ストラップ前端224の一部分を機械加工して、上部レール表面216と下部シュー取り付け表面220との間に延在する第1の円弧状表面260を画定してもよい。さらに、ストラップ後端228の一部分を機械加工して、上部レール表面216と下部シュー取り付け表面220との間に延在する第2の円弧状表面272を画定してもよい。
【0038】
後付け可能な履帯リンク200は、例えば、トラクター、ブルドーザー、および他の掘削機械および/または資材運搬機械などの任意の履帯式機械で使用され得る。上述したように、後付け可能な履帯リンク200には、複雑な輪郭、突起、凹部などの複雑な幾何学的特徴がまったくない。構造が簡単であるため、後付け可能な履帯リンク200は、無限軌道履帯120の両側に位置する任意の履帯チェーン(すなわち、内側履帯チェーンまたは外側履帯チェーン)に後付け可能とすることができる。これにより、2つの異なる構成の履帯リンク、すなわち、無限軌道履帯120の内側履帯チェーンおよび外側履帯チェーンのそれぞれに対する左側または右側の履帯リンクを製造する必要がなくなり得る。その結果、製造部品の総数、プロセス、アフターマーケット用に保管する必要があるサービス交換部品の総数を削減し得る。さらに、後付け可能な履帯リンク200は、単純かつ低コストの機械加工プロセス(例えば、レーザ切断による)を使用して、容易かつ迅速に製造することができる。鍛造または形成などの高価な製造プロセスの要件を排除することによって、後付け可能な履帯リンク200は、より低コストでより高性能の車台アセンブリを提供し得る。
【0039】
明示的に除外されない限り、コンポーネント、構造、または動作を説明するための単数形の使用は、複数のかかるコンポーネント、構造、もしくは動作、またはそれらの均等物の使用を除外しない。本発明について説明する文脈における(特に、以下の請求項の文脈における)単数形の用語(「a」および「an」および「the」および「少なくとも1つ」)または用語「1つ以上の」ならびに同様の指示物の使用は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。1つ以上の項目のリストが後に続く「少なくとも1つ」という用語(例えば「AおよびBのうちの少なくとも1つ」または「AおよびBのうちの1つ以上」)の使用は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、列挙された項目(AまたはB)から選択された1つの項目、または列挙された項目(AおよびB;A、AおよびB;A、BおよびB)のうちの2つ以上の任意の組み合わせを意味するものと解釈されるべきである。同様に、本明細書で使用されている「または」という単語は、一組の項目の任意の可能な順列を指す。例えば、「A、B、またはC」という句は、A、B、Cのうちの少なくとも1つ、もしくはA;B;C;AおよびB;AおよびC;BおよびC;A、B、およびC;またはAおよびA;B、B、およびC;A、A、B、C、およびCなどの任意の項目のうちの複数のいずれかなど、それらの任意の組み合わせを指す。
【0040】
当業者にとって明らかなように、本開示の後付け可能な履帯リンクおよび/または方法は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な修正および変更が可能である。本明細書に開示された後付け可能な履帯リンクおよび/または方法の仕様および実践を考慮することによって、他の実施形態が当業者にとって明らかである。本開示の真の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって示され、本明細書および実施例は単なる例示とみなされることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6