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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148161
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】相変化材料を含むバスバ
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/659 20140101AFI20241009BHJP
   H01M 10/6553 20140101ALI20241009BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241009BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241009BHJP
   F28D 20/02 20060101ALN20241009BHJP
   H01M 50/50 20210101ALN20241009BHJP
【FI】
H01M10/659
H01M10/6553
H01M10/613
H01M10/625
F28D20/02 D
H01M50/50 101
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024058446
(22)【出願日】2024-04-01
(31)【優先権主張番号】10 2023 108 560.3
(32)【優先日】2023-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ルートヴィッヒ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ベルガー
(72)【発明者】
【氏名】アルテム ヴォイットコ
(72)【発明者】
【氏名】エシュテバン ザンチェツ
(72)【発明者】
【氏名】イザベル ブレシュ
(72)【発明者】
【氏名】アストリト ワグナー
(72)【発明者】
【氏名】サントス ゴンサレス イスキエルド
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン バッケ
【テーマコード(参考)】
5H031
5H043
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031BB03
5H031EE01
5H031EE04
5H031HH03
5H031HH06
5H031HH08
5H031HH09
5H031KK01
5H043AA09
5H043AA13
5H043AA17
5H043CA21
5H043FA06
5H043FA38
5H043KA08
5H043KA09
5H043KA44
5H043LA02
5H043LA03
5H043LA11
5H043LA41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】同じ幾何学的断面で伝達されるエネルギーを低減させることなく、簡単かつコンパクトな設計で効率的な冷却を可能にするバスバを提供する。
【解決手段】少なくとも1つのキャビティ120を取り囲むバスバ100は、壁110から少なくとも1つのキャビティ内に少なくとも部分的に突出する少なくとも1つのウエブ150を有し、少なくとも1つのキャビティに、少なくとも1つのウエブに熱伝導接触する相変化材料が少なくとも部分的に充填されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのキャビティ(120、220)を取り囲む壁(110、210)を有するバスバ(100、200)であって、
前記バスバは、前記壁(110、210)から前記少なくとも1つのキャビティ(120、220)内に少なくとも部分的に突出する少なくとも1つのウエブ(150、250)を有し、
前記少なくとも1つのキャビティ(120、220)に、前記少なくとも1つのウエブ(150、250)に熱伝導接触する相変化材料が少なくとも部分的に充填されている、バスバ(100、200)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのウエブ(150、250)は前記壁と一体に形成されている、請求項1に記載のバスバ(100)。
【請求項3】
前記バスバは高さ(a)および幅(b)を有し、前記少なくとも1つのウエブ(150)は前記高さ(a)に沿って延びる、請求項1または2に記載のバスバ(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのウエブ(150)は、高さ(a)全体にわたって延びる、請求項1から3のいずれか一項に記載のバスバ(100)。
【請求項5】
前記壁(110、210)は導電性材料、特に金属から形成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のバスバ(100、200)。
【請求項6】
前記バスバの前記壁(110、210)は、アルミニウムおよび/もしくはアルミニウム合金、ならびに/または銅および/もしくは銅合金を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のバスバ(100、200)。
【請求項7】
前記壁(110、210)の壁厚(c)が少なくとも0.2mmである、請求項1から6のいずれか一項に記載のバスバ(100、200)。
【請求項8】
前記バスバ(200)は円形断面を有し、前記少なくとも1つのウエブ(250)は、前記断面の直径(d)に沿って延びる、請求項1に記載のバスバ(200)。
【請求項9】
前記バスバ(200)の前記直径(d)は5mm~25mmである、請求項7に記載のバスバ(200)。
【請求項10】
前記バスバ(100)の高さ(a)は1.5mm~25mmであり、前記バスバ(100)の幅(b)は15mm~120mmである、請求項1から7のいずれか一項に記載のバスバ(100、200)。
【請求項11】
前記バスバ(100、200)の断面積が40mm~350mmであり、
前記少なくとも1つのウエブ(150、250)の断面積が、前記バスバ(100、200)の前記断面積の60%以下である、請求項1から10のいずれか一項に記載のバスバ(100、200)。
【請求項12】
前記少なくとも1つのキャビティ(120、220)は気密にシールされている、請求項1から11のいずれか一項に記載のバスバ(100、200)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのキャビティ(120、220)の容積の30%~70%に、前記相変化材料が充填されている、請求項1から12のいずれか一項に記載のバスバ(100、200)。
【請求項14】
前記相変化材料は60℃~140℃の相変化温度を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載のバスバ(100、200)。
【請求項15】
前記相変化材料はパラフィンベースの有機材料を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載のバスバ(100、200)。
【請求項16】
前記バスバ(100、200)は、主要部分(170)と、第1の接続部分(172)と、第2の接続部分(174)とを含み、
前記主要部分(170)は前記少なくとも1つのキャビティ(120、220)を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載のバスバ(100、200)。
【請求項17】
前記バスバ(100、200)の前記主要部分(170)の前記壁(110、210)は、電気絶縁体(160)で包み込まれている、請求項1から16のいずれか一項に記載のバスバ(100、200)。
【請求項18】
前記第1の接続部分(172)および/または前記第2の接続部分(174)は、溶接プロセスおよび/または超音波溶接プロセスおよび/またははんだ付けプロセスおよび/または圧着プロセスおよび/またはクランププロセスによって、前記主要部分(170)に固定されている、請求項1から17のいずれか一項に記載のバスバ(100、200)。
【請求項19】
前記第1の接続部分(172)および/または前記第2の接続部分(174)は、ケーブルラグとして設計されている、請求項1から18のいずれか一項に記載のバスバ(100、200)。
【請求項20】
前記第1の接続部分(172)および/または前記第2の接続部分(174)は、前記主要部分(170)と一体に形成されている、請求項1から17のいずれか一項に記載のバスバ(100、200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相変化材料が少なくとも部分的に充填されているバスバを含む。
【背景技術】
【0002】
短い充電時間および関連する高電流は、エレクトロモビリティの分野、特に電動車両のバッテリなどの充電回路および/または駆動回路において重要な役割を果たす。これらの車両に含まれるバッテリの充電時間を短縮するために、特に、高電力充電(HPC)としても知られる高電流充電において、電流加熱によって生じる充電電流出力のディレーティングを避けることが目標である。この高電力充電では、充電ステーションなどの電源からユーザ、すなわち車両のバッテリへ流れる電流が絶えず増加することが必要である。その結果、導電性部品は、500A超の電流に晒され、通電部品の電流加熱が生じる。
【0003】
充電コンタクト要素から電動車両のバッテリおよびその周囲へ延びる通電経路に対する起こり得る熱損傷を低減させるために、それぞれの部品の断面積を大きくして、電流密度およびそれによる熱の発生を低減させることができる。
【0004】
しかしながら、導体断面を大きくすることは、一定の限度内でしか実行できない。導体断面がより大きいことは、材料の消費が増え、したがってコストが高くなることを意味する。加えて、導体断面を大きくすると、重量が大きくなる。固体設計を有する部品は、より大きい電流がその部品を通って流れることができるという利点を有するが、重量が非常に大きいことに加えて、製造中のCO排出量が多い。
【0005】
電気部品の加熱を抑制する1つの既知の方法は、能動冷却システムを設置することである。しかしながら、能動冷却システムは、それ自体がエネルギーを必要とし、また、技術的に複雑であるため高価である。
【0006】
バッテリセルを冷却するための別の既知の冷却デバイスにおいて、冷却デバイスは、金属発泡体を含むキャビティを有するバスバ装置として設計されている。相変化材料が、金属発泡体の間の空間に少なくとも部分的に充填されている。しかしながら、この金属発泡体の製造およびバスバ装置への埋込みは、比較的複雑である。
【0007】
したがって、気候保護の必要および気候に対する意識の高まりを考慮して、バスバなどの加熱される電気部品を冷却するための、より気候に配慮した解決策を見つけることが有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、同じ幾何学的断面で伝達されるエネルギーを低減させることなく、簡単かつコンパクトな設計で効率的な冷却を可能にするバスバを提供するという課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、独立請求項の主題によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0010】
本発明は、構造化された金属プロファイルから形成されたバスバを、相変化材料によって受動的に冷却され得るような方法で使用することができるというアイデアを含む。
【0011】
特に、本発明は、少なくとも1つのキャビティを取り囲む壁を有するバスバであって、バスバは、壁から少なくとも1つのキャビティ内に少なくとも部分的に突出する少なくとも1つのウエブを有するというアイデアを含む。少なくとも1つのキャビティに、少なくとも1つのウエブに熱伝導接触する相変化材料が少なくとも部分的に充填されている。有利な実施形態において、ウエブは壁と一体に形成されている。
【0012】
相変化材料は、相変化材料の相転移のためのある一定の相変化温度を超えたときに、バスバから熱を取り出すように設計されている。
【0013】
相変化温度に達すると、発生した熱が相変化材料に伝達され、相変化材料によって相転移のために吸収されるため、バスバのさらなる加熱が遅れる。これにより、バスバから熱を放散することができ、バスバの温度上昇を止めるまたは遅らせる。
【0014】
驚いたことに、適切な材料の体積輸送によって熱を除去する金属プロファイルの使用により、そのようなプロファイルが、冷却液の体積輸送が行われない一体バスバとしても適切であることがわかった。
【0015】
少なくとも1つのウエブを含むバスバのプロファイルは、相変化材料が、通常、熱伝導が不十分であり、表面のみで融解するという問題を有することを考慮している。しかしながら、熱は、通常、相変化材料の厚さを通して不十分にしか伝導されない。したがって、プロファイルを含むバスバを使用すると、熱をより効果的に相変化材料に伝達することができ、特に相変化材料の厚さを通して伝達することができる。
【0016】
金属プロファイルは、相変化材料がバスバに十分に接続され、したがって特に効率的な冷却を可能にするという追加の利点をもたらす。
【0017】
バスバの少なくとも1つのウエブは、相変化材料によって熱を特に十分に吸収することができ、特に相変化材料の厚さを通して熱伝導が行われることを保証する。
【0018】
バスバは、限定されないが、電気回路の一部として作用し、したがって、電源と消費機器(consumer)との接続を可能にする導電性材料から形成された剛性部品であることが好ましい。したがって、本発明によるバスバは、モジュールコネクタとして設計されてもよく、電力線経路の隣接部分に接続するための少なくとも1つのねじ接続部または接続ラグを備えてもよい。本発明によるバスバを、例えば異なるセルまたはモジュールを電気的に接続するために、車両の充電コンタクト要素からバッテリへの通電経路、またはバッテリ内の通電経路に設置することができる。一般的に、バスバは、長さが通常、その直径または同等の直径よりもかなり大きい細長体である。
バスバは、通常、直線状に延びるが、湾曲していても、好ましくは鈍角の角度が付いていてもよい。所望の設置空間におけるバスバの取付けを向上させるために、バスバは、より可撓性の高い領域または要素を有していてもよく、すなわち、例えば編組バンドもしくは布バンドから形成されるなどの方法で形成されてもよいことを理解されたい。
【0019】
バスバの断面積は、バスバの全長にわたって均一であることが好ましく、任意の幾何形状を有してもよいが、バスバの断面積の形状は、矩形、正方形、円形、または長円形であることが好ましい。
【0020】
有利なさらなる発展において、バスバは高さaおよび幅bを有し、高さaは1.5mm~25mm、幅bは15mm~120mmである。あるいは、バスバは、5mm~25mmの直径dを持つ円形断面を有することが好ましい。
【0021】
少なくとも1つのウエブは、バスバの高さaに沿って、またはバスバの断面の直径dに沿って延びることが好ましい。少なくとも1つのウエブはまた、高さa全体にわたって延びることができることが有利である。
【0022】
相変化材料は、一般に、比熱容量により、融解潜熱が、貯蔵可能な熱エネルギーよりもかなり大きい材料であると理解される。したがって、相変化材料は、潜熱貯蔵(latent heat store)をもたらす。相変化材料により、ある一定の相変化温度に達したとき、またはこれを超えたときに、相転移が行われる。相転移は、相変化材料によって完全に行われる必要はなく、例えば、周囲温度の変化に応じて部分的にのみ行われてもよい。相転移の一例は、固相から液相への変化である。したがって、相変化材料は、ある一定の相変化温度を超えると次第に液化し、このプロセス中に熱を吸収することができ、この熱を使用してこの相転移を行う。その後、相変化中に熱が相変化材料にそれ以上供給されなくなった場合、または相変化材料が、完全に液化される前に代わりに冷却された場合、相変化は完全には行われず、相変化材料は、次第に再び固体になり、最終的に完全に固相に戻る。
【0023】
言い換えると、相変化材料は、相転移が完了するまで、すなわち、相変化材料が、第1の相または凝集状態から第2の相または凝集状態へ完全に転移するまで、熱エネルギーを吸収することができる。相変化材料は、第2の相において再び冷却されると、第2の相または凝集状態から第1の相または凝集状態に戻り、その後、それに応じて熱が放出される。
【0024】
相転移が行われる温度を、適切な相変化材料を選択することによって規定することができる。
【0025】
本発明の相変化材料は、相変化温度が60℃~140℃であり、前記相変化材料の固体-液体転移を示すように設計されることが好ましい。少なくとも1つのキャビティの容積の30%~70%に、相変化材料が充填されることが有利である。これは、相転移中または相転移後の相変化材料の体積変化を考慮している。
【0026】
相変化材料を、無機化合物または有機化合物から形成することができ、有機化合物は、パラフィン材料と非パラフィン材料とにさらに分割される。さらに、生分解性相変化材料の使用、したがって、脂肪酸または脂肪酸エステルまたはメチルエステルをベースとする非パラフィン相変化材料の使用が考えられる。持続可能性のために、パルミチン酸、またはベンゾオキサジンもしくはカルダノール+アミンなどの樹脂をベースとする相変化材料が好ましい。特別な場合には、無機化合物を使用してもよい。
【0027】
相変化材料は、例えば、パラフィンおよび/またはナトリウムのみを含むことができる。他の材料または材料の組合せも可能である。
【0028】
本発明によれば、ウエブは、バスバの壁からの突起要素または突出要素であると理解される。ウエブを、壁と一体に形成することができ、または溶接、接着、もしくははんだ付けによって壁に取り付けることもできる。ウエブは、バスバの全長に沿って壁から突出できることが好ましいが、長手方向に形成されてもよい。ウエブは、異なる大きさおよび形状、例えばピン形状、直方体形状、または円形形状を有することもできる。用途に応じて、ウエブの異なる厚さおよび深さが可能である。さらに、いくつかのウエブを、プロファイルがバスバの断面で見えるように、バスバの長さおよび/または幅に沿って互いに隣接して配置することができる。
【0029】
そのようなプロファイル構造を有するバスバは、バスバの周囲に沿って互いに隣接して配置された、いくつかのウエブを有することが有利である。少なくとも1つのウエブの断面積が、バスバの断面積の1%~60%を含むことが有利である。バスバの幾何学的に取り囲まれた断面積は、40mm~350mmであることが好ましい。
【0030】
有利な実施形態によれば、バスバは、主要部分と、第1の接続部分と、第2の接続部分とを備える。少なくとも1つのキャビティは、主要部分によって構成され、壁によって取り囲まれている。少なくとも1つのキャビティは、バスバの主要部分に沿って延び、必ずしも必要ではないが好ましくはバスバの主要部分の全長Lにわたって延びることが好ましい。主要部分は、前端面および/または後端面を有し、前端面および/または後端面のそれぞれは、バスバの長さLに対して垂直に配置され、キャビティを外側に向かって閉じることが好ましい。キャビティは、通常、主要部分の壁によって完全に気密に取り囲まれている。主要部分の壁は、電気絶縁体で包み込まれていることが好ましい。
【0031】
冷却液がバスバに流入せず、バスバまたはキャビティが完全にシールされているため、各バスバは、特別な経路長さを維持する必要なく、他の部品から独立して受動的に冷却される。
【0032】
接続部分は、主要部分の前端面および後端面に配置され、SnまたはSn合金、AgまたはAg合金、NiまたはNi合金の特別な表面被覆を備え、可能な中間層または接着促進剤または表面構造を有することが好ましい。第1の接続部分および第2の接続部分は、溶接および/または超音波溶接および/またはレーザ溶接および/またははんだ付けおよび/または圧着および/またはクランプによって、主要部分に取り付けられることが好ましい。
【0033】
本発明のさらなる有利な実施形態によれば、第1の接続部分および/または第2の接続部分は、ケーブルラグとして設計されている。第1の接続部分および/または第2の接続部分を、主要部分と一体に形成することもできることが有利である。
【0034】
壁を、押出しなどの製造プロセスによって一体部品として形成することができるが、外周面の一部をそれぞれ形成する個々のシートまたはプレートを、例えば溶接またははんだ付けによって接合して、バスバを形成することが等しく可能である。壁を、編組バンドもしくは布バンドから、またはいくつかの編組バンドもしくは布バンドの接続体から構成することもできる。プラスチックからも形成され得る壁を、例えば、収縮チューブとして、または押出しによって形成することができる。加えて、キャビティに接触する壁の内面に、従来のスズめっきプロセスを使用して、スズ被覆を設けることができる。
【0035】
壁は、通常、導電性材料、特に金属から形成されている。壁を、例えば銅またはアルミニウムをベースとする導電性金属合金から、少なくとも部分的に構成することもできることが有利である。これは、商業的および技術的に純粋なアルミニウム材料または銅材料の使用を含むものと理解される。特に銅ベースの材料について、合金化元素の添加を、完全には避けられないとしても、減らすことが好ましい。酸素、リン、ケイ素、リチウム、マグネシウム、ホウ素、スズ、クロム、ジルコニウム、および/または鉄などの合金化元素が、選択された材料に存在してもよいが、3重量%未満であることが好ましい。
【0036】
バスバ全体にわたって一定のままであることが好ましい壁の厚さを、バスバの所望の重量、空間要件、および/または必要な通電容量に応じてカスタマイズおよび選択することができる。壁厚は、少なくとも0.2mmであることが好ましい。
【0037】
本発明をより十分に理解するために、以下の図面に示す実施形態を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。同一の部分は、同一の参照符号および同一の部品名で示す。さらに、図示し説明する異なる実施形態のいくつかの特徴または特徴の組合せは、独立した本発明の解決策または本発明による解決策を表すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実施形態によるバスバを示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態によるバスバの断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態によるバスバの断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態によるバスバのさらなる断面図である。
図5】本発明の第1の実施形態によるバスバのさらなる断面図である。
図6】本発明の第1の実施形態によるバスバのさらなる断面図である。
図7】本発明の第1の実施形態によるバスバのさらなる断面図である。
図8】本発明の第2の実施形態によるバスバのさらなる断面図である。
図9】本発明の第2の実施形態によるバスバのさらなる断面図である。
図10】本発明の第2の実施形態によるバスバのさらなる断面図である。
図11】本発明の第1の実施形態によるバスバの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下で、図1を参照しながら、バスバ100の有利な実施形態について説明する。図1から見て取れるように、バスバ100は、主要部分170と、第1の接続部分172と、第2の接続部分174とを有することが有利である。主要部分170は、長さLに沿って延び、湾曲して角度が付けられている。
【0040】
以下で説明する図2図10、ならびに特にキャビティおよびウエブの説明は、バスバの主要部分170に言及する。
【0041】
バスバ100は、充電コンタクト要素と車両のバッテリとの間の、電動車両の電流線経路に配置されることが有利である。冷却液の体積流が供給されないことは、異なる電位のガルバニック絶縁を容易に実現できることを意味する。
【0042】
図2は、断面q(図1)に沿ったバスバ100の第1の実施形態の断面を示す。バスバ100は、丸い角部を有する略直方体形状を有することが有利である。バスバ100は、バスバ100の形状を決定する壁110を有する。壁110は、バスバ100の少なくとも1つのキャビティ120を取り囲む。キャビティ120は、バスバ100の主要部分の長さLに沿って連続的に延びていても、長手方向に限定されていてもよい。
【0043】
この種類のバスバ100は、例えば最大2mの長さLを有することができる。そのようなバスバ100のさらなる好ましい寸法は、15mm~120mmの幅bおよび1.5mm~25mmの高さaである。壁110の厚さcは、例えば、少なくとも0.2mmである。そのような寸法は、十分な安定性をもたらし、同時に軽量であることが有利である。
【0044】
バスバ100の壁110は、導電性材料、特に金属から構成されることが有利である。例えば、壁110は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、および/または銅合金を含むことができる。しかしながら、バスバの前述した目的に適していることがわかっている他の導電性材料が考えられる。
【0045】
図3に、本発明によるバスバ200の第2の実施形態の断面が概略的に示されている。そのようなバスバは、本質的に円形断面を有して設計されている。バスバ200は、ここでも、少なくとも1つのキャビティ220を取り囲む壁210によって境界付けられている。キャビティ220は、バスバ200の主要部分の長さLに沿って連続的に延びていても、長手方向に限定されていてもよい。
【0046】
壁210の厚さは、例えば、少なくとも0.2mmである。バスバ200の直径dは、5mm~25mmであることが有利である。これにより、ここでも、軽量で十分な安定性が実現される。
【0047】
図4は、本発明によるバスバ100の第1の実施形態のさらなる断面を示す。少なくとも1つのウエブ150が、壁110から少なくとも1つのキャビティ120内に少なくとも部分的に突出する。図4では、異なる長さを有する複数のウエブ150が、例として示されている。
【0048】
この場合、複数のウエブ150は、少なくとも1つのキャビティ120内に部分的にのみ突出し、さらなる複数のウエブ150が、壁120の一側から壁120の反対側へ高さa全体にわたって突出し、したがって、複数のキャビティ120が形成されることが有利である。例として、ウエブ150およびそれによるキャビティ120も、バスバ100の主要部分の全長Lに沿って延び、互いに別個で互いに接続されていないキャビティ120が得られる。
【0049】
しかしながら、ウエブ150は、バスバ100の長さLに沿って連続的に延びるのではなく、長手方向に限定され、したがってキャビティ120が互いに接続されていてもよい。
【0050】
図4に示すウエブ150の数および形状は、決して図示のものに限定されない。
【0051】
壁110によって取り囲まれたキャビティ120に、相変化材料が少なくとも部分的に充填されている。いくつかのキャビティ120を含む図4に示すバスバにおいて、複数のまたはすべてのキャビティ120に相変化材料が充填されていると有利である。
【0052】
バスバが電流の流れによって、ある一定の相変化温度を超える程度まで加熱されるとすぐに、材料の相転移が行われる。これは、相変化材料の体積全体で完全に行われる必要はなく、部分的にのみ行われてもよい。相転移中、材料は熱を吸収することができ、この熱を使用して相転移を行う。相変化材料は、相転移が完了するまで熱を吸収することができる。
【0053】
これは、バスバの加熱を遅らせるという利点を有する。相変化材料がバスバ100のキャビティ120に直接配置されていることにより、相変化材料とバスバとが直接接触し、冷却効果をさらに高める。
【0054】
図5に、バスバ100の高さa全体にわたる連続したウエブ150のみを含むバスバ100の例示的な図が断面で示されている。ここでは、複数のウエブ150が壁110から突出して、複数のキャビティ120が、バスバ100の主要部分170の長さLに沿って連続的にまたは長手方向に延びるようになっている。ウエブ150は、壁110の一側から反対側の壁110までバスバ100の高さa全体にわたって突出する。
【0055】
バスバ100の加熱を遅らせるために、キャビティ120に相変化材料が少なくとも部分的に充填されていることが有利である。
【0056】
しかしながら、図4および図5に示すウエブは、図示の形状に限定されない。図6および図7に関し、ウエブの多種多様な実施形態が、本発明の範囲内に含まれることが明らかである。
【0057】
キャビティ内に突出するウエブの高さおよび幅を、適用分野および使用する相変化材料に応じて調節することができ、したがって、相変化材料を通る熱伝導の向上が保証される。
【0058】
ウエブ150の断面積は、バスバ100の断面積の60%以下であることが有利であり、したがって、バスバの断面積の少なくとも40%に相変化材料を充填することができる。
【0059】
図6および図7に、少なくとも1つのウエブ150の異なる実施形態を含むバスバ100のさらなる図が示されている。
【0060】
図6は、面q(図1参照)に沿ったバスバ100のさらなる断面を示す。バスバ100は、幅bに沿って複数のウエブ150を備え、これらのウエブ150は、互いに隣接して配置されている。ウエブ150の異なる変形形態が、壁110の両側に示されている。複数のウエブ150は、丸い角部を含むまたは含まない矩形形状であることが有利である。図6に示すバスバにおいて、複数のウエブ150は、1つのキャビティ120のみが形成されるように壁110から突出する。ここでも、複数のウエブ150とキャビティ120とが、バスバ100の主要部分の全長Lに沿って延びるか、または長手方向に限定されていることが明らかである。
【0061】
ウエブ150の断面積は、バスバ100の断面積の60%以下であることが有利である。それにもかかわらず、突起要素としてのウエブ150の特別な設計は、相変化材料全体の厚さにわたって、改善された均一な熱伝導を保証することができる。
【0062】
図7も、本発明によるバスバ100の断面を示す。図7も、ウエブ150のさらなる実施形態を示す。
【0063】
図示するように、複数のウエブ150は壁110から突出する。ウエブ150は、バスバ100の幅bに沿って互いに隣接して配置されている。複数のウエブ150は、壁110の両側に配置されている。
【0064】
壁110の両側のウエブ150は、キャビティ120の断面積が隆起および窪みの周期的な連続(periodic sequence)をたどるように、くし状パターンで互いにずれて配置されていることが好ましい。
【0065】
次に、このキャビティ120に、相変化材料が少なくとも部分的に充填される。バスバ100のそのような構成では、熱伝導性の不十分な相変化材料が、特に熱を均一に吸収する。
【0066】
図8および図9に、バスバ200の断面のさらなる図が示されている。本実施形態においても、少なくとも1つのウエブ250が、壁210から少なくとも1つのキャビティ220内に突出することが明らかになる。
【0067】
例として、バスバ200は複数のウエブ250を有する。複数のウエブ250の長さ、すなわち、複数のウエブ250がキャビティ220内にどれだけ突出するか、および複数のウエブ250の形状は変化し得る。図8および図9のウエブ250は例示的なものであるが、本発明による解決策は、図示の変形形態に限定されず、前の図面を参照して説明したウエブの実施形態もバスバ200に適用可能であることが明らかである。
【0068】
図8は、例として、壁210からキャビティ220内に部分的に突出する複数のウエブ250と、バスバ200の直径dに沿って連続的に延びる複数のウエブ250とを含む。これにより、複数のキャビティ220が得られることが有利である。
【0069】
図9は、例として、壁210の一側から反対側へ、バスバ200の断面の直径dに沿って連続的に延びる複数のウエブ250のみを示し、複数のキャビティ220が得られる。
【0070】
ウエブ250は、バスバ200の主要部分の長さLに沿って連続的に延びていても、長手方向に限定されていてもよい。
【0071】
キャビティ220に、バスバ200の受動冷却のための相変化材料が少なくとも部分的に充填されていることが有利である。
【0072】
図10は、さらなる実施形態におけるバスバ200のさらなる断面を示す。ここでは、例として、バスバ200の周囲に沿って均一に離間した4つのウエブ250が、壁210からキャビティ220内に突出する。したがって、バスバ200は、例として、相変化材料が少なくとも部分的に充填されたキャビティ220を備える。本実施形態はまた、相変化材料を通る、改善されたより均一な熱伝導を可能にする。
【0073】
バスバおよび/または相変化材料の有利な実施形態は、1つの実施形態または他の実施形態に限定されず、バスバおよびウエブの幾何学的形状にかかわらず適用可能であることが明らかである。
【0074】
壁からキャビティ内に突出するウエブの断面積は、バスバの断面積の60%以下であることが好ましい。
【0075】
図11に、例示的なバスバ100の長手方向断面が示されている。主要部分170の壁110は、前端面および/または後端面を有し、前端面および/または後端面のそれぞれは、バスバ100の主要部分170の長さLに対して垂直に配置され、キャビティ120を外側に向かって閉じる。キャビティ120は、通常、壁110によって完全に取り囲まれている。
【0076】
第1の接続部分172および第2の接続部分174は、本発明により説明されたバスバの前端面および後端面に配置されている。
【0077】
キャビティ120、キャビティ220およびウエブ150、ウエブ250が有利に延びる長さLは、主要部分170の長さを規定する。主要部分170の壁110を、電気および熱絶縁体160で包み込み、発生する熱から周囲部品を保護できること好ましい。
【0078】
第1の接続部分172および/または第2の接続部分174を、主要部分170と一体に、または複数の部品で形成することができる。溶接、超音波溶接、はんだ付け、圧着、またはクランプなどの様々な取付方法は、第1の接続部分172および第2の接続部分174を主要部分170に配置するためのみに好ましい方法であり、網羅的な列挙を形成するものではない。
【0079】
使用時にねじを用いてバスバ100を締め付けるために、第1の接続部分172および第2の接続部分174をケーブルラグとして形成することも可能である。
【0080】
図11で説明した接続部分を含む断面の設計は、例えば図8図10に示した本発明によるバスバ200の第2の実施形態にも適用可能であることが明らかである。
【符号の説明】
【0081】
100、200 バスバ
110、210 壁
120、220 キャビティ
150、250 ウエブ
160 絶縁体
170 主要部分
172 第1の接続部分
174 第2の接続部分
a バスバの高さ
b バスバの幅
c 壁厚
d バスバの直径
L バスバの主要領域の長さ
q 断面積
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのキャビティ(120、220)を取り囲む壁(110、210)を有するバスバ(100、200)であって、
前記バスバは、前記壁(110、210)から前記少なくとも1つのキャビティ(120、220)内に少なくとも部分的に突出する少なくとも1つのウエブ(150、250)を有し、
前記少なくとも1つのキャビティ(120、220)に、前記少なくとも1つのウエブ(150、250)に熱伝導接触する相変化材料が少なくとも部分的に充填されている、バスバ(100、200)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのウエブ(150、250)は前記壁と一体に形成されている、請求項1に記載のバスバ(100)。
【請求項3】
前記バスバは高さ(a)および幅(b)を有し、前記少なくとも1つのウエブ(150)は前記高さ(a)に沿って延びる、請求項1または2に記載のバスバ(100)。
【請求項4】
前記バスバは高さ(a)および幅(b)を有し、前記少なくとも1つのウエブ(150)は、前記高さ(a)全体にわたって延びる、請求項1または2に記載のバスバ(100)。
【請求項5】
前記壁(110、210)は導電性材料から形成されている、請求項1または2に記載のバスバ(100、200)。
【請求項6】
前記壁(110、210)は金属から形成されている、請求項5に記載のバスバ(100、200)。
【請求項7】
前記バスバの前記壁(110、210)は、アルミニウムおよび/もしくはアルミニウム合金、ならびに/または銅および/もしくは銅合金を含む、請求項1または2に記載のバスバ(100、200)。
【請求項8】
前記壁(110、210)の壁厚(c)が少なくとも0.2mmである、請求項1または2に記載のバスバ(100、200)。
【請求項9】
前記バスバ(200)は円形断面を有し、前記少なくとも1つのウエブ(250)は、前記円形断面の直径(d)に沿って延びる、請求項1に記載のバスバ(200)。
【請求項10】
前記バスバ(200)の前記直径(d)は5mm~25mmである、請求項に記載のバスバ(200)。
【請求項11】
前記バスバ(100)の高さ(a)は1.5mm~25mmであり、前記バスバ(100)の幅(b)は15mm~120mmである、請求項1または2に記載のバスバ(100、200)。
【請求項12】
前記バスバ(100、200)の断面積が40mm~350mmであり、
前記少なくとも1つのウエブ(150、250)の断面積が、前記バスバ(100、200)の前記断面積の60%以下である、請求項1または2に記載のバスバ(100、200)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのキャビティ(120、220)は気密にシールされている、請求項1または2に記載のバスバ(100、200)。
【請求項14】
前記少なくとも1つのキャビティ(120、220)の容積の30%~70%に、前記相変化材料が充填されている、請求項1または2に記載のバスバ(100、200)。
【請求項15】
前記相変化材料は60℃~140℃の相変化温度を有する、請求項1または2に記載のバスバ(100、200)。
【請求項16】
前記相変化材料はパラフィンベースの有機材料を有する、請求項1または2に記載のバスバ(100、200)。
【請求項17】
前記バスバ(100、200)は、主要部分(170)と、第1の接続部分(172)と、第2の接続部分(174)とを含み、
前記主要部分(170)は前記少なくとも1つのキャビティ(120、220)を含む、請求項1に記載のバスバ(100、200)。
【請求項18】
前記バスバ(100、200)の前記主要部分(170)の前記壁(110、210)は、電気絶縁体(160)で包み込まれている、請求項17に記載のバスバ(100、200)。
【請求項19】
前記第1の接続部分(172)および/または前記第2の接続部分(174)は、溶接プロセスおよび/または超音波溶接プロセスおよび/またははんだ付けプロセスおよび/または圧着プロセスおよび/またはクランププロセスによって、前記主要部分(170)に固定されている、請求項17または18に記載のバスバ(100、200)。
【請求項20】
前記第1の接続部分(172)および/または前記第2の接続部分(174)は、ケーブルラグとして設計されている、請求項17または18に記載のバスバ(100、200)。
【請求項21】
前記第1の接続部分(172)および/または前記第2の接続部分(174)は、前記主要部分(170)と一体に形成されている、請求項17または18に記載のバスバ(100、200)。
【外国語明細書】