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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148165
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】照明光を生成するための光源
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/01 20060101AFI20241009BHJP
   G01J 3/10 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
G01N21/01 D
G01J3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024059978
(22)【出願日】2024-04-03
(31)【優先権主張番号】23166575.3
(32)【優先日】2023-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンツェル ザルツマン
【テーマコード(参考)】
2G020
2G059
【Fターム(参考)】
2G020AA03
2G020AA04
2G020AA05
2G020BA14
2G020CA02
2G020CB42
2G020CB43
2G020CB54
2G020CC47
2G020CD06
2G020CD12
2G059AA05
2G059BB04
2G059BB06
2G059BB13
2G059EE01
2G059EE11
2G059FF12
2G059GG01
2G059GG02
2G059GG03
2G059HH01
2G059HH02
2G059HH03
2G059JJ17
2G059JJ22
2G059KK02
2G059KK03
2G059KK04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マルチチャネルマルチスペクトル光度計の簡略版を可能にする方法が提案される。
【解決手段】試料を照明するための照明光を生成するための光源(112)が開示される。
光源(112)は、発光体(114)のアレイであって、発光体(114)のそれぞれが光ビーム経路に沿って光ビームを放射するように構成され、光ビームが所定の波長範囲を有するアレイと、光ビーム経路をオーバーレイするように構成された反射型光学回折格子(116)と、伝達素子(118)とを備え、伝達素子(118)が発光体(114)のアレイと光学回折格子(116)との間に配置され、伝達素子(118)が放射された光ビームを光学回折格子(116)上に導き、光学回折格子(116)から反射され、伝達素子(118)に衝突する光ビームを測定チャネル(120)に提供し、測定チャネル(120)が試料を受け取るように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの試料を照明するための照明光を生成するための光源(112)であって、前記光源(112)が、
発光体(114)の少なくとも1つのアレイであり、前記発光体(114)のそれぞれが光ビーム経路に沿って少なくとも1つの光ビームを放射するように構成され、前記光ビームが所定の波長範囲を有する、少なくとも1つのアレイと、
前記光ビーム経路をオーバーレイするように構成された少なくとも1つの反射型の光学回折格子(116)と、
少なくとも1つの伝達素子(118)と、
を備え、
前記伝達素子(118)が前記発光体(114)のアレイと前記光学回折格子(116)との間に配置され、前記伝達素子(118)が放射された前記光ビームを前記光学回折格子(116)上に導き、前記光学回折格子(116)から反射され、前記伝達素子(118)に衝突する前記光ビームを少なくとも1つの測定チャネル(120)に提供し、前記測定チャネル(120)が少なくとも1つの試料を受け取るように構成されている、光源(112)。
【請求項2】
前記発光体(114)が異なる波長の光ビームを放射するように構成されている、請求項1に記載の光源(112)。
【請求項3】
前記発光体(114)が同じ波長の光ビームを放射するように構成され、前記発光体(114)が前記光学回折格子(116)の前記波長の分散方向に対して垂直に配置されている、請求項1または2に記載の光源(112)。
【請求項4】
前記発光体(114)のアレイの光源スペクトルが、近紫外から近赤外までの範囲にある、請求項1から3のいずれか一項に記載の光源(112)。
【請求項5】
前記発光体(114)のそれぞれが少なくとも1つの発光ダイオードを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の光源(112)。
【請求項6】
前記光源(112)が前記光ビームを少なくとも1つの試料容器に直接導くように構成され、または前記光源(112)が少なくとも1つの光ファイバ(122)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の光源(112)。
【請求項7】
前記発光体(114)が曲面上に配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の光源(112)。
【請求項8】
前記光学回折格子(116)が少なくとも1つの球面回折格子を含み、前記球面回折格子が前記光ビーム経路をオーバーレイし、かつ前記光ビームを前記測定チャネル(122)内に集束させるように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の光源(112)。
【請求項9】
測光情報を取得するための光度計(110)であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの光源(112)と、
試料を含む少なくとも1つの試料容器を保持するように構成された少なくとも1つの試料容器ホルダを備える少なくとも1つの測定チャネル(120)であり、前記測定チャネル(120)が、前記試料からの検出光のビーム経路内に少なくとも1つの受光素子(126)を備える少なくとも1つの検出ユニット(124)をさらに備え、前記受光素子(126)が、照明に応答して少なくとも1つの検出器信号を生成するように構成されている、少なくとも1つの測定チャネル(120)と、
前記検出器信号を評価し、それによって前記検出器信号から前記試料に関する前記測光情報を導出するための少なくとも1つのプロセッサ(128)と、
を備える、光度計(110)。
【請求項10】
前記受光素子(126)のそれぞれが入射光の強度に応じて電気信号を生成するように構成された少なくとも受光領域を備える、請求項9に記載の光度計(110)。
【請求項11】
前記試料が、血液、血漿、血清、唾液または尿などの体液の試料である、請求項9または10に記載の光度計(110)。
【請求項12】
測光を用いた少なくとも1つの試料の化学分析のための方法であって、前記方法が、請求項9から11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの光度計(110)を使用することを含み、前記方法が、
a)前記光源(112)を使用することによって、照明光を生成し、前記照明光を少なくとも1つの測定チャネル(120)に提供し、それによって前記測定チャネル(120)の前記試料を照明するステップ(130)と、
b)前記検出ユニット(124)を使用することによって、前記測定チャネル内で前記試料からの前記検出光を検出し、少なくとも1つの検出器信号を生成するステップ(132)と、
c)前記プロセッサ(128)を使用することによって、前記検出器信号を評価し、それによって前記試料の前記測光情報を導出するステップ(134)と、
を含む方法。
【請求項13】
請求項9から11のいずれか一項に記載の光度計によって実行されると、前記光度計に請求項12に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項9から11のいずれか一項に記載の光度計によって実行されると、前記光度計に請求項12に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記1つまたは複数のプロセッサに請求項12に記載の方法を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、少なくとも1つの試料を照明するための照明光を生成するための光源、測光情報を取得するための光度計、および測光を用いた複数のアッセイの化学分析のための方法に関する。本発明はさらに、本発明による方法を実行するためのプログラム手段を有するコンピュータプログラムに関する。本発明による装置、方法、およびコンピュータプログラムは、臨床化学分析に使用され得る。しかしながら、本発明の他の適用分野も実現可能である。
【背景技術】
【0002】
測光を用いた複数のアッセイの臨床化学分析は、近紫外(UV)から近赤外(IR)に及ぶ広い光源スペクトルを必要とする。近UVから近IRの範囲内のマルチスペクトル検出のためのスペクトル光度計ユニットの標準構成は、光源、ビーム光学系、および少なくとも1つの試料キュベットホルダを備える光度計光学モジュール(例えば、比較的低コストの光度計光学モジュール)と、検出のためのポリクロマトメータモジュール(例えば、比較的高コストのポリクロメータ)とを備えることがある。いくつかの独立した測定チャネルを実現する場合、両方のモジュールを再現する必要がある。LED光源でこの範囲をカバーすることが望まれる場合、通常、複数のエミッタが必要とされる。測光の場合、これにより、複数のエミッタの光線を共線的に重ね合わせる作業が残る。いくつかの方法、例えばガラスロッド、光ファイバまたはダイクロイックミラーカスケードを混合することが利用可能である。これらはすべて、例えば、より多数(>5~6)のエミッタを重ね合わせようとする場合に制限がある。また、臨床化学測光測定は、例えばファイバ束ではしばしば不可能な高い光源安定性および剛性設計を必要とする。
【0003】
米国特許第6,825,930号明細書は、選択可能なスペクトル成分の光で試料を照明し、照明に応答して試料の画像を生成するマルチスペクトル顕微鏡システムを記載している。マルチスペクトル顕微鏡システムは、選択可能なスペクトル成分を有する出力放射を提供するマルチスペクトル照明器を含む。
【0004】
米国特許第10,985,534号明細書は、レーザ共振器内に形成された1つまたは複数の2次回折ビームを監視して、情報を提供し、この情報に少なくとも部分的に基づいて、レーザ共振器内に形成された1次回折ビームを制御することを記載している。
【0005】
www.nature.com/articles/srep32012,Scientific Reports volume 6、Article number:32012(2016)‘‘A fast multispectral light synthesizer based on LEDs and a diffraction grating’’では、反射型平面回折格子と、反転ビームの1次回折次数に対応する角度に配置された350nm~630nmの発光ピークを有する発光ダイオードと、に基づく波長結合器が記載されている。結合された出力ビームがファイバに発射された。装置は可動部品を含まず、迷光が少なく、本質的にマルチバンド出力が可能である。可能な用途には、視覚生理学、生物医学光学、顕微鏡および分光学が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上述した技術的課題に対処する方法および装置を提供することが望ましい。具体的には、マルチチャネルマルチスペクトル光度計の簡略版を可能にする方法、コンピュータプログラムおよび装置が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題は、独立請求項の特徴を有する、少なくとも1つの試料を照明するための照明光を生成するための光源、測光情報を取得するための光度計、測光を用いた複数のアッセイの化学分析のための方法、コンピュータプログラム、コンピュータ可読記憶媒体、および非一時的コンピュータ可読媒体によって対処される。単独で、または任意の組合せで実現され得る有利な実施形態は、従属請求項および本明細書全体に列挙されている。
【0008】
以下で使用される場合、「有する(have)」、「備える(comprise)」もしくは「含む(include)」という用語、またはそれらの任意の文法的変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されるエンティティにさらなる特徴が存在しない状況、および1つまたは複数のさらなる特徴が存在する状況の両方を指し得る。一例として、「AはBを有する」、「AはBを含む」、および「AはBを含む」という表現は、Bの他に他の要素がAに存在しない状況(すなわち、AがBのみからなる状況)、およびBの他に、要素C、要素C、およびD、またはさらなる要素などの1つまたは複数のさらなる要素がエンティティAに存在する状況の両方を指し得る。
【0009】
さらに、特徴または要素が1回または複数回存在し得ることを示す「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」という用語または同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴または要素を導入するときに1回のみ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を参照するとき、それぞれの特徴または要素が1回または複数回存在し得るという事実にかかわらず、「少なくとも1つ」もしくは「1つまたは複数」という表現は繰り返されない。
【0010】
さらに、以下で使用されるように、「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より具体的には」、「具体的には」、「より具体的には」という用語または同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意選択の特徴と共に使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は任意選択の特徴であり、決して特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実行され得る。同様に、「本発明の一実施形態では」または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関する制限なしに、本発明の範囲に関する制限なしに、およびそのように導入された特徴を本発明の他の任意のまたは任意でない特徴と組み合わせる可能性に関する制限なしに、任意選択の特徴であることが意図される。
【0011】
第1の態様では、少なくとも1つの試料を照明するための照明光を生成するための光源が開示される。
【0012】
光源は、
-発光体の少なくとも1つのアレイであって、発光体のそれぞれが光ビーム経路に沿って少なくとも1つの光ビームを放射するように構成され、光ビームが所定の波長範囲を有する、発光体の少なくとも1つのアレイと、
-光ビーム経路をオーバーレイするように構成された少なくとも1つの反射型光学回折格子と、
-少なくとも1つの伝達素子と、
を備える。
【0013】
伝達素子は、発光体のアレイと光学回折格子との間に配置され、伝達素子は、放射された光ビームを光学回折格子上に導き、光学回折格子から反射されて伝達素子に衝突する光ビームを少なくとも1つの測定チャネルに提供する。測定チャネルは、少なくとも1つの試料を受け取るように構成される。
【0014】
このような光源、特にこのようなマルチスペクトル光源によって、マルチチャネルマルチスペクトル光度計の簡略版を提供することが可能になる場合がある。スペクトル多重化の「高コスト部分」は、1つのマルチスペクトル光源に集約される得る。この光源から複数の光度計モジュールを供給することができ、したがって、高コストの構成要素を再現することなく、複数の試料を並行かつ独立して測定することが可能になる。
【0015】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「光」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、赤外スペクトル範囲、可視スペクトル範囲、および紫外スペクトル範囲のうちの1つまたは複数の電磁放射を指し得る。本明細書では、「紫外スペクトル範囲」という用語は、一般に、1nm~400nmの波長を有する電磁放射線を指すことがあり、300nm~400nmの範囲は、通常、「近紫外スペクトル範囲」(NUV)と呼ばれる。「赤外スペクトル範囲」(IR)という用語は、一般に、760nm~1000μmの電磁放射線を指し、760nm~1.5μmの範囲は、通常は「近赤外スペクトル範囲(NIR)」と呼ばれ、一方で、1.5μ~15μmの範囲は「中赤外スペクトル範囲(MidIR)」と表記され、15μm~1000μmの範囲は「遠赤外スペクトル範囲(FIR)」と表記される。例えば、本発明の典型的な目的のために使用される光は、近紫外から近赤外スペクトル範囲、例えば340nm~800nmの波長範囲の光である。多くの物体の材料特性または化学構成に関する特性は、このスペクトル範囲において導出され得る。しかしながら、他のスペクトル範囲も可能であることに留意されたい。
【0016】
本明細書で使用される「光源」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、上述の定義の意味で光を生成または提供するように構成された任意の装置を指し得る。以下でさらに詳細に概説されるように、光源は、一般に、様々な方法で具現化され得る。光源は、例えばマルチチャネルマルチスペクトル光度計の一部とすることができ、例えば光度計のハウジング内に配置されてもよい。
【0017】
本明細書で使用される「照明光」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、発光体のアレイから試料に伝播する光を指し得る。本明細書で使用される「照明する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、少なくとも1つの要素を光に曝露するプロセスを指し得る。
【0018】
本明細書で使用される「試料」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、化学的または生物学的化合物などの物質のアリコートを指し得る。具体的には、試料は、血液、血清、血漿、尿、唾液のうちの1つまたは複数などの少なくとも1つの生物学的検体であってもよく、あるいはこのような生物学的検体を含んでよい。試料は、例えば、発色または濁度指示薬を含むいくつかのアッセイ特異的試薬と混合され得る。追加的または代替的に、試料は、化学物質もしくは化合物および/または試薬であってもよく、あるいはそれらを含んでもよい。試料は、具体的には、化学的または生物学的化合物の流体物質のアリコートなどの液体試料であってもよい。例えば、液体試料は、少なくとも1つの化学物質および/または生物学的物質を含む、液体物質および/または1つもしくは複数の液体物質を含有する溶液などの、少なくとも1つの純粋な液体であってもよく、またはそれを含んでもよい。別の例として、液体試料は、1つもしくは複数の化学物質および/または生物学的物質の懸濁液、乳濁液および/または分散液などの液体混合物であってもよく、またはそれを含んでもよい。しかしながら、他の、特に非液体試料も可能である。他の試料タイプは、例えば、組織、または均質化された材料であってもよい。
【0019】
試料は、少なくとも1つの試料容器に提供されてもよい。本明細書で使用される「試料容器」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、試料、特に液体試料を収容、保管、および/または輸送のうちの1つまたは複数のために構成された容器を指し得る。さらに、試料容器は、試料取扱いシステム内で取り扱われるように構成されてもよい。具体的には、試料容器は、医学および/または化学の検査室の分野で使用されてもよい。例えば、試料容器は、容器、バイアル、注射器、カートリッジ、アンプル、チューブからなる群から選択されてもよい。試料容器は、任意選択でその上端にキャップを含む実験用ガラスまたはプラスチック製品であってもよい。例えば、試料容器は、ガラスまたは透明プラスチック容器であってもよい。試料容器は、円筒形の管、例えば、円形および/または多角形の断面を有する円筒形のチューブであってもよい。他のタイプまたは形態の試料容器も可能である。
【0020】
本明細書で使用される「アレイ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、対象物の順序付けられた配置を特に指し得る。配置内の物体の位置および/または向きは、配置内の他の物体に対して固定されてもよい。具体的には、エミッタのアレイは、エミッタの順序付けられた配置を含んでもよく、互いに対するエミッタの位置および/または向きは固定されていてもよい。アレイは、マトリックス状に配置された複数のエミッタを備え得る。本明細書で使用される「マトリックス」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、所定の幾何学的順序での複数の要素の配置を指し得る。マトリックスは、具体的には、1つまたは複数の行および1つまたは複数の列を有する矩形マトリックスであってもよく、またはそれを含んでもよい。行および列は、具体的には、矩形状に配置されてもよい。しかしながら、非矩形配置などの他の配置も実現可能である。一例として、要素が中心点の周りに同心円または楕円で配置される円形配置も実現可能である。
【0021】
発光体のアレイは、発光体の1次元または2次元アレイを含み得る。発光体は、平面内または曲面上に配置されてもよい。曲面上の配置は、使用される伝達素子、例えばコリメートレンズまたはレンズ系の色収差および像面湾曲を補償することを可能にし、それによって出力パワーを最大化し得る。
【0022】
発光体のアレイは、プリント回路板アセンブリ(PCBA)上に配置、例えば直線的に配置されてもよい。例えば、発光体のアレイは、「チップオンボード」技術および/または「チップオンフレックス」技術を使用して実装され得る。例えば、発光体を曲面上に配置するために、チップオンボード技術を使用してフレックスプリントアセンブリに実装されたLEDが使用されてもよい。発光体のアレイは、フレキシブル基板上に実装されてもよい。例えば、フレキシブルプリント回路(FPC)が使用されてもよい。FPCは、D.Shavit ‘‘The developments of LEDs and SMD Electronics on transparent conductive Polyester film’’、Vacuum International,1/2007,S.35 ffに記載されているように設計されてもよい。
【0023】
本明細書で使用されるエミッタとも表記される「発光体」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、少なくとも1つの光ビームを生成するように構成された少なくとも1つの任意の装置を指し得る。例えば、発光体のそれぞれは、少なくとも1つの発光ダイオードを含む。本明細書で使用される「発光ダイオード」または簡単に「LED」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、デバイスに電流が流れると発光することができる光電子半導体デバイスを指し得る。光電子半導体デバイスは、自然放射、誘導放射、準安定励起状態の減衰などのうちの1つまたは複数を含む様々な物理的プロセスに起因して光を生成するように構成され得る。したがって、一例として、発光ダイオードは、光の自然放射に基づく発光ダイオード、特に有機発光ダイオード、スーパールミネセンス(sLED)に基づく発光ダイオード、またはレーザダイオード(LD)のうちの1つまたは複数を含み得る。以下では、発光ダイオードの可能な実施形態を前述の物理的原理または構成のいずれかに狭めることなく、任意のタイプの発光ダイオードに対して「LED」という略称 を使用する。LEDは、20nm~30nmのスペクトル帯域幅を有し得る。
【0024】
アレイの発光体は、同じタイプのものであってもよく、あるいは異なるタイプのものであってもよい。アレイの発光体は、各発光体に独立して電流を供給することなどによって、互いに独立して制御可能であってもよい。
【0025】
発光体のそれぞれは、所定の波長範囲を有する少なくとも1つの光ビームを放射するように構成される。発光体のアレイの光源スペクトルは、近紫外から近赤外、例えば340nm~800nmの範囲であってもよい。例えば、発光ダイオードは、340nm~800nmのスペクトル範囲に少なくとも部分的に位置する中心波長を有する。
【0026】
発光体は、同じまたは異なる波長の光ビームを放射するように構成されてもよい。例えば、発光体は、同じ波長の光を放射するように構成される。同じ波長の複数のエミッタの場合、発光体は、互いに適切な距離を置いて、前記波長に対する光学回折格子の分散方向に垂直に配置されてもよい。
【0027】
例えば、発光体は、異なる波長の光ビームを放射するように構成される。発光体のアレイは、少なくとも12個の波長帯域を放射するように構成されてもよい。
【0028】
発光体は、異なる時間に少なくとも部分的に光ビームを放射してもよい。本明細書で使用される「少なくとも部分的に」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、少なくとも部分的に連続しておよび/または時間シフトして光ビームを放射することを指し得る。
【0029】
本明細書で使用される「光学回折格子」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、異なる回折角で入射光を回折させるように構成された少なくとも1つの光学素子を指してよく、回折角は、光が光学回折格子に入射する入射角および/または光の波長に依存する。
【0030】
光学回折格子は、反射型回折格子である。反射型光学回折格子は、入射光を反射するように構成され得る。反射型光学回折格子は、反射面を有してもよい。反射面は、アルミニウム、銀、金などの少なくとも1つの金属、もしくは多層誘電体高反射コーティングのうちの1つまたは複数でコーティングされてもよい。
【0031】
反射型光学回折格子は、光ビーム経路をオーバーレイするように構成される。本明細書で使用される「光ビーム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、光の量、具体的には、本質的に同じ方向に進む光の量を指してもよく、光ビームが広がり角または拡がり角を有する可能性を含む。本明細書で使用される「光ビーム経路」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、光ビームの軌跡を指し得る。本明細書で使用される「オーバーレイ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、アレイの異なる発光体によって生成された光ビームの軌道を重ね合わせること、例えば空間的に重ね合わせることを指し得る。
【0032】
光学回折格子は、少なくとも1つの球面回折格子を含み得る。球面回折格子は、光ビーム経路をオーバーレイし、かつ光ビームを測定チャネル内に集束させるように構成され得る。
【0033】
本明細書で使用される「伝達素子」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、光ビームのビームパラメータ、光ビームの幅、または光ビームの方向のうちの1つまたは複数など、衝突する光ビームを変更するように構成された少なくとも1つの光学素子を指し得る。伝達素子は、放射された光ビームを、例えば光学回折格子上にコリメートするように構成されてもよい。伝達素子は、少なくとも1つのレンズ、少なくとも2つのレンズを含む少なくとも1つのレンズ系、少なくとも1つの分散透過素子、少なくとも1つの石英レンズのうちの1つまたは複数を含んでもよい。伝達素子は、例えば適切なサイズの1つまたは複数のレンズを使用することによって、発光体によって放射された光ビームの放射円錐をコリメートするように構成されてもよい。
【0034】
伝達素子は、発光体のアレイと光学回折格子との間に配置され、伝達素子は、放射された光ビームを光学回折格子上に導き、例えばコリメートし、光学回折格子から反射されて伝達素子に衝突する光ビームを少なくとも1つの測定チャネルに提供する。例えば、光学設定は以下の通りであってもよい。LEDのアレイの後に、1組のレンズおよび反射型光学回折格子が続いてもよい。ここで、回折光ビームは、回折光ビームを測定チャネルに導く、例えば回折光ビームを少なくとも1つの光ファイバのファイバ入口に集束させる同じ組のレンズを通過し得る。したがって、発光体によって放射された光は、伝達素子を2回通過する。伝達素子は、発光体のアレイから光学回折格子に光ビームを導き得、その後、伝達素子は、光学回折格子から反射された光ビームを測定チャネル、特に少なくとも1つの光ファイバに集束させ得る。ほとんどの場合、1次光ビームは入射ビームに沿って戻る。このような構成を用いることで、必要なスペースや部品コストを低減することができる。これにより、光学的構成をよりコンパクトにすることができる。
【0035】
例えば、光ファイバはエミッタとの間に配置される。上記で概説したように、エミッタの円形配置も実現可能であり、エミッタは、中心点の周りに同心円または楕円で配置される。測定チャネルへの入口、例えばファイバ入口は、中心点に配置されてもよい。測定チャネルへの入口は、同心円または楕円に配置されたエミッタとの間に配置され得る。
【0036】
本明細書で使用される「測定チャネル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、少なくとも1つの試料に対して少なくとも1つの測定タスクを実行するように構成された、例えば光度計のユニットを指し得る。測定チャネルは、少なくとも1つの試料を受け取るように構成される。測定チャネルは、試料を含む少なくとも1つの試料容器を保持するように構成された少なくとも1つの試料容器ホルダを含み得る。本明細書で使用される「試料容器ホルダ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、測光情報を得るための試料容器を保持および/または提供することのうちの1つまたは複数のために構成された容器を指し得る。例えば、試料容器は、測定キュベットとも表記される試料キュベットであってもよく、試料容器ホルダは、試料キュベットホルダであってもよい。
【0037】
測定チャネルは、少なくとも1つの検出ユニットをさらに備える。本明細書で使用される「検出ユニット」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、光を検出するように構成された少なくとも1つの受光素子、例えば、それぞれが光を検出するように構成された受光素子の少なくとも1つのアレイを含むユニットを指し得る。検出ユニットは、試料からの検出光を検出するための少なくとも1つの受光素子、例えば受光素子のアレイを備える。本明細書で使用される「検出光」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、試料から受光素子のアレイに伝播する光を指し得る。受光素子は、照明に応答して少なくとも1つの検出器信号を生成するように構成される。受光素子は、入射光の強度に応じて電気信号を生成するように構成された少なくとも受光領域を含み得る。本明細書で使用される「受光領域」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常かつ通例の意味が与えられるべきであり、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、外部から照明されてもよく、それに応じて少なくとも1つの電気信号が生成される受光素子の領域を指し得る。受光領域は、具体的には、受光素子の表面に位置してもよい。測定チャネルは、単一の受光素子、例えば単一の光検出器を含んでもよい。あるいは、受光素子は、画素化された光学デバイスであってもよく、またはその一部であってもよい。例えば、受光素子の1次元または2次元アレイを含む受光素子のアレイが使用されてもよい。一例として、受光素子のアレイは、例えばCCDチップなどのCCDセンサ、または例えばCMOSチップなどのCMOSセンサを含み得る。しかしながら、上述したように、非画素化受光素子も可能である。
【0038】
例えば、光源は、光ビームを少なくとも1つの試料容器に直接導くように構成される。
【0039】
例えば、光源は、少なくとも1つの光ファイバを備える。本明細書で使用される「光ファイバ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、光ファイバの入射面とも表記される入射面に衝突する少なくとも1つの光ビームを、光ファイバの出射面とも表記される出射端に少なくとも部分的に導くように構成された少なくとも1つの光学素子を指し得る。入射面と出射面とは、互いに一定の距離だけ離れていてもよく、少なくとも1つの導光構造によって接続されていてもよい。本明細書で使用される「少なくとも部分的に導く」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、完全な導光、ならびに入射端による吸収および反射ならびに/または導光構造による吸収および反射が可能である構成を指し得る。光ファイバは、シリカ、アルミノケイ酸塩ガラス、カルコゲナイドガラス、ゲルマンケイ酸塩ガラス、フルオロジルコナート、希土類ドープガラス、フッ化物ガラス、サファイア、例えばシリカガラス、リン酸塩ガラス、PMMA、ポリスチレン、ポリ(パーフルオロ-ブテニルビニルエーテル)などのフルオロポリマーなどのドープバリアントからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み得る。光ファイバは、シングルモードファイバまたはマルチモードファイバであってもよい。
【0040】
伝達素子および光学回折格子の寸法および特性は、光ファイバの入射端上の入射円錐がファイバのファセットおよび開口数を最適に満たし、それによって結合された光パワーを最大化するように選択される。光学回折格子の配向および線密度、ならびに発光体の位置は、光学回折格子を出る回折ビームがすべての発光体についてすべて共線的に重なり合うように調整され得る。続いて伝達素子を通過すると、オーバーレイされたビームは集束され、例えば試料に直接導かれてもよく、または光ファイバに結合されてもよい。
【0041】
光源は、光ファイバの束を含んでもよい。本明細書で使用される「光ファイバの束」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、1組の光ファイバなどの複数の光ファイバを指し得る。束は、複数の単一光ファイバまたは複数の多分岐光ファイバを含んでもよい。光ファイバは、同一の特性を有してもよい。光ファイバの束は、共通の入射面を有してもよい。各光ファイバは、それ自体の出射面を有してもよい。光ファイバの数は、測定チャネルの数に対応し得る。
【0042】
光源は、光学回折格子を出る光ビームを光ファイバに結合するように構成された少なくとも1つの第1の結合素子を備える。例えば、伝達素子が第1の結合素子として機能してもよい。しかしながら、他の選択肢、例えば、光源が、伝達素子に加えて少なくとも1つの第1の結合素子を備える実施形態が実現可能である。結合素子は、少なくとも1つの伝達素子、例えば上述のような伝達素子、あるいは光学回折格子を出る光ビームを光ファイバ内に集束させるように構成された少なくとも1つのレンズまたは少なくとも1つのレンズ系を含む少なくとも1つのさらなる伝達素子を含み得る。第1の結合素子は、入射面、例えば共通の入射面に配置されてもよい。光源は、光ファイバからの光ビームを測定チャネルに提供するように構成された少なくとも1つの第2の結合素子を備え得る。第2の結合素子は、それぞれの光ファイバの出射面に配置されてもよい。
【0043】
例えば、光源は、異なる波長の発光体のアレイの光ビーム経路を、試料容器内に直接導かれ得る、および/または少なくとも1つの光ファイバに結合され得る1つの共線ビームにオーバーレイするように構成されてもよい。加えて、光源は、同じまたは異なる波長の複数の発光体を、同じ装置内で使用する複数の光ファイバに結合させることができる。
【0044】
本発明のさらなる態様では、測光情報を取得するための光度計が開示される。光度計は、本発明による少なくとも1つの光源を備える。したがって、定義および実施形態に関しては、本発明の第1の態様に記載された光源の説明を参照されたい。
【0045】
光度計は、
-試料を含む少なくとも1つの試料容器を保持するように構成された少なくとも1つの試料容器ホルダを含む少なくとも1つの測定チャネルであって、測定チャネルが、試料からの検出光のビーム経路内に少なくとも1つの受光素子を含む少なくとも1つの検出ユニットをさらに備え、受光素子が、照明に応答して少なくとも1つの検出器信号を生成するように構成されている、少なくとも1つの測定チャネルと、
-検出器信号を評価し、それによって検出器信号から試料に関する測光情報を導出するための少なくとも1つのプロセッサと、
を備える。
【0046】
本明細書で使用される「光度計」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、測光情報を取得するように構成された少なくとも1つの装置を指し得る。光度計は、分析化学用に構成されてもよい。光度計は、臨床化学光度計であってもよい。
【0047】
測光情報は、透過データまたは吸収データであってもよい。測光情報は、試料中の少なくとも1つの分析物に関する少なくとも1つの輝度値、少なくとも1つの光度値、定性的情報および/または定量的情報のうちの1つまたは複数であってもよい。本明細書で使用される「分析物」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、化学物質および/または生物学的物質を指し得る。一例として、分析物は、グルコース、乳酸、トリグリセリド、コレステロールからなる群から選択されてもよい。例えば、光度計は、例えばランベルト・ベールの法則を使用して、試料中の少なくとも1つの分析物の濃度を決定するように構成されてもよい。
【0048】
光度計は、マルチスペクトル光度計であってもよい。本明細書で使用される「マルチスペクトル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、異なるスペクトル範囲における測光情報を取得するための光度計の適合性を指し得る。上記で概説したように、光源は、異なる波長の照明光を提供することができる。
【0049】
光度計は、マルチチャネル光度計であってもよい。本明細書で使用される「マルチチャネル」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常および通例の意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、複数の測定チャネルを指し得る。光源は、測定チャネルのそれぞれに異なる波長を有する照明光を提供することができる。測定チャネルのそれぞれは、少なくとも1つの検出ユニットを備え得る。
【0050】
本明細書で使用される「プロセッサ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、コンピュータまたはシステムの基本動作を実行するように構成された任意の論理回路、および/または一般に、計算または論理演算を実行するように構成された装置を指し得る。特に、プロセッサは、コンピュータまたはシステムを駆動する基本命令を処理するように構成されてもよい。一例として、プロセッサは、少なくとも1つの算術論理演算ユニット(ALU)と、数値演算コプロセッサまたは数値コプロセッサなどの少なくとも1つの浮動小数点ユニット(FPU)と、複数のレジスタ、特にALUにオペランドを供給し、演算結果を記憶するように構成されたレジスタと、L1およびL2キャッシュメモリなどのメモリとを備え得る。特に、プロセッサはマルチコアプロセッサであってもよい。具体的には、プロセッサは、中央処理装置(CPU)であってもよく、またはそれを含んでもよい。具体的には、プロセッサは、少なくとも1つのグラフィックス処理装置(GPU)であってもよく、またはそれを含んでもよい。追加的または代替的に、プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよく、またはそれを含んでもよく、したがって具体的には、プロセッサの要素は、単一の集積回路(IC)チップに含まれてもよい。追加的または代替的に、プロセッサは、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)および/または1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)および/または1つまたは複数のテンソル処理ユニット(TPU)および/または専用機械学習最適化チップなどの1つまたは複数のチップであってもよく、またはそれらを含んでもよい。プロセッサは、少なくとも部分的にクラウドベースであってもよい。
【0051】
プロセッサは、測光情報を導出するために検出器信号に対して1つまたは複数の評価動作を実行するように、ソフトウェアプログラミングなどによって構成されてもよい。例えば、プロセッサは、測光情報と検出器信号との間の少なくとも1つの、例えば所定の関係を使用することによって、検出器信号から試料に関する測光情報を導出するように構成されてもよい。
【0052】
光度計は、測光情報を出力するための少なくとも1つのユーザインターフェースを備えてもよい。本明細書において使用される「ユーザインターフェース」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、限定するものではないが、データまたはコマンドのうちの1つまたは複数の交換などのために、情報を一方向または双方向に交換する目的などのために、環境と相互作用するように構成された要素または装置を指し得る。例えば、ユーザインターフェースは、ユーザと情報を共有し、ユーザによって情報を受信するように構成されてもよい。ユーザインターフェースは、ディスプレイなどのユーザと視覚的に対話する機能、またはユーザと音響的に対話する機能であってもよい。ユーザインターフェースは、一例として、グラフィカルユーザインターフェース、無線および/または有線のデータインターフェースなどのデータインターフェースのうちの1つまたは複数を含み得る。本明細書で使用される場合、「出力する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、情報を別のシステム、データストレージ、人またはエンティティが利用できるようにするプロセスを指し得る。出力は、一例として、コンピュータ可読フォーマット、可視フォーマット、または可聴フォーマットのうちの1つまたは複数で行われてもよい。
【0053】
本発明のさらなる態様では、測光を使用する少なくとも1つの試料の化学分析のための方法が開示される。本方法は、例えば上述したように、または以下により詳細にさらに説明するように、本発明による少なくとも1つの光度計を使用することを含む。したがって、可能な定義および選択肢については、光度計および光源の開示を参照されたい。
【0054】
方法ステップは、所与の順序で実行されてもよく、または異なる順序で実行されてもよい。さらに、列挙されていない1つまたは複数の追加の方法ステップが存在してもよい。さらに、方法ステップの1つ、2つ以上、またはさらにはすべてが繰り返し実行されてもよい。
【0055】
本方法は、以下のステップ、すなわち、
a)光源を使用することによって、照明光を生成し、照明光を少なくとも1つの測定チャネルに提供し、それによって測定チャネルの試料を照明するステップと、
b)検出ユニットを使用することによって測定チャネル内で試料からの検出光を検出し、少なくとも1つの検出器信号を生成するステップと、
c)プロセッサを使用することによって、検出器信号を評価し、それによって試料に関する測光情報を導出するステップと、
を含む。
【0056】
本方法は、複数のアッセイの化学分析を含み得る。上述したように、光度計は、マルチスペクトルおよびマルチチャネル光度計であってもよい。本方法は、ステップa)において、光源を使用することによって、および任意選択で光ファイバを使用することによって、照明光を生成し、照明光を複数の測定チャネルに提供し、それによって測定チャネルのそれぞれの試料を照明するステップを含み得る。ステップb)において、測定チャネルのそれぞれにおいて、試料からの検出光が検出されてもよく、それぞれの検出ユニットを使用することによって、少なくとも1つの検出器信号が生成され得る。ステップc)は、プロセッサを使用することによって、検出器信号を評価し、それによって検出器信号から試料に関する測光情報を導出するステップを含み得る。
【0057】
本明細書で使用される「アッセイ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、特に臨床化学検出方法のための任意のインビトロ診断(IVD)試薬キットを指し得る。IVD試薬キットは、例えば多重アッセイにおいて、特定の分析物または複数の分析物を同時に決定するために使用され得る。例えば、以下の分析物、すなわち、グルコース、カルシウム、ナトリウム、カリウム、尿酸、コレステロールなどのうちの1つまたは複数が決定され得る。
【0058】
本方法は、少なくとも1つのユーザインターフェースを使用して測光情報を出力するステップを含み得る。
【0059】
本方法は、コンピュータによって実装されてもよい。本明細書で使用される「コンピュータによって実装される」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、少なくとも1つのコンピュータおよび/または少なくとも1つのコンピュータネットワークもしくはクラウドを含む方法を指し得る。コンピュータおよび/またはコンピュータネットワークおよび/またはクラウドは、本発明による方法の方法ステップのうちの少なくとも1つを実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを備え得る。好ましくは、方法ステップのそれぞれが、コンピュータおよび/またはコンピュータネットワークおよび/またはクラウドによって実行される。本方法は、完全に自動的に、具体的にはユーザとの対話なしに実行されてよい。本明細書で使用される「自動的に」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常および通例の意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、少なくとも1つのコンピュータおよび/またはコンピュータネットワークおよび/またはクラウドおよび/または機械によって、特に手動操作および/またはユーザとの対話なしに完全に実行されるプロセスを指し得る。
【0060】
命令が光度計、例えば光度計のプロセッサによって実行されると、本明細書に含まれる実施形態のうちの1つまたは複数において本発明による方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムが、本明細書でさらに開示および提案される。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0061】
本明細書で使用される場合、「コンピュータ可読データキャリア」および「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、具体的には、コンピュータ実行可能命令が記憶されたハードウェア記憶媒体などの非一時的データ記憶手段を指し得る。コンピュータ可読データキャリアまたは記憶媒体は、具体的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読み出し専用メモリ(ROM)などの記憶媒体であってもよく、またはそれらを含んでもよい。
【0062】
したがって、具体的には、上記の方法ステップa)~c)のうちの1つ、2つ以上、またはさらにすべては、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して、好ましくはコンピュータプログラムを使用して実行され得る。
【0063】
プログラムが光度計、例えば光度計のプロセッサ上で実行されると、本明細書に含まれる実施形態のうちの1つまたは複数において本発明による方法を実行するためのプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品が、本明細書でさらに開示および提案される。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0064】
コンピュータまたはコンピュータネットワークのワーキングメモリまたはメインメモリなどの、コンピュータまたはコンピュータネットワークにロードした後、本明細書に開示された実施形態のうちの1つまたは複数による方法を実行し得る、データ構造が記憶されたデータキャリアが、本明細書にさらに開示および提案される。
【0065】
1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、1つまたは複数のプロセッサに、本明細書に開示された実施形態のうちの1つまたは複数による方法を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体が、本明細書でさらに開示および提案される。
【0066】
プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に開示された実施形態のうちの1つまたは複数による方法を実行するために、機械可読キャリア上にプログラムコード手段が記憶されたコンピュータプログラム製品が、本明細書においてさらに開示および提案される。本明細書で使用される場合、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、一般に、紙フォーマットなどの任意のフォーマットで、またはコンピュータ可読データキャリア上および/またはコンピュータ可読記憶媒体上に存在し得る。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワークを介して配信されてもよい。
【0067】
最後に、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは複数による方法を実行するための、コンピュータシステムまたはコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含む変調データ信号が、本明細書において開示および提案される。
【0068】
本発明のコンピュータによって実装される態様を参照すると、本明細書に開示された実施形態のうちの1つもしくは複数による方法の方法ステップのうちの1つもしくは複数、または方法ステップのすべてさえも、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して実行され得る。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれも、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して実行され得る。一般に、これらの方法ステップは、典型的には、試料の用意および/または実際の測定の特定の態様の実行などの手作業を必要とする方法ステップを除いて、方法ステップのいずれを含んでもよい。
【0069】
具体的には、本明細書では、
-コンピュータまたはコンピュータネットワークであって、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサが本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成されている、コンピュータまたはコンピュータネットワークと、
-データ構造がコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように適合されたコンピュータロード可能データ構造と、
-プログラムがコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように適合されたコンピュータプログラムと、
-コンピュータプログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されている間に、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するためのプログラム手段を含むコンピュータプログラムと、
-前述の実施形態によるプログラム手段を含むコンピュータプログラムであって、プログラム手段がコンピュータ可読記憶媒体に記憶されている、コンピュータプログラムと、
-記憶媒体であって、データ構造が記憶媒体に記憶され、データ構造が、コンピュータまたはコンピュータネットワークの主記憶装置および/または作業記憶装置にロードされた後に、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように適合されている、記憶媒体と、
-プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品であって、プログラムコード手段がコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行される場合、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するために、プログラムコード手段が記憶媒体に記憶され得るか、または記憶媒体に記憶される、コンピュータプログラム製品と、
がさらに開示される。
【0070】
要約すると、さらなる可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態が想定され得る。
【0071】
実施形態1.少なくとも1つの試料を照明するための照明光を生成するための光源であって、光源が、
-発光体の少なくとも1つのアレイであり、発光体のそれぞれが、光ビーム経路に沿って少なくとも1つの光ビームを放射するように構成され、光ビームが所定の波長範囲を有する、発光体の少なくとも1つのアレイと、
-光ビーム経路をオーバーレイするように構成された少なくとも1つの反射型光学回折格子と、
-少なくとも1つの伝達素子と、
を備え、
伝達素子が、発光体のアレイと光学回折格子との間に配置され、伝達素子が、放射された光ビームを光学回折格子上に導き、光学回折格子から反射されて伝達素子に衝突する光ビームを少なくとも1つの測定チャネルに提供し、測定チャネルが、少なくとも1つの試料を受け取るように構成されている、光源。
【0072】
実施形態2.発光体が異なる波長の光ビームを放射するように構成されている、実施形態1に記載の光源。
【0073】
実施形態3.発光体が同じ波長の光ビームを放射するように構成され、発光体が光学回折格子の前記波長の分散方向に対して垂直に配置されている、実施形態1または2のいずれか一項に記載の光源。
【0074】
実施形態4.発光体のアレイが発光体の1次元または2次元アレイを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の光源。
【0075】
実施形態5.発光体のアレイが少なくとも12個の波長帯域を放射するように構成されている、実施形態1から4のいずれか一項に記載の光源。
【0076】
実施形態6.発光体のアレイの光源スペクトルが、近紫外から近赤外までの範囲である、実施形態1から5のいずれか一項に記載の光源。
【0077】
実施形態7.発光体のそれぞれが少なくとも1つの発光ダイオードを含む、実施形態1から6のいずれか一項に記載の光源。
【0078】
実施形態8.発光ダイオードが少なくとも部分的に340~800nmのスペクトル範囲に位置する中心波長を有する、実施形態1から7のいずれか一項に記載の光源。
【0079】
実施形態9.光源が光ビームを少なくとも1つの試料容器に直接導くように構成されている、実施形態1から8のいずれか一項に記載の光源。
【0080】
実施形態10.光源が少なくとも1つの光ファイバを含む、実施形態1から9のいずれか一項に記載の光源。
【0081】
実施形態11.光源が光ファイバの束を含む、実施形態1から10のいずれか一項に記載の光源。
【0082】
実施形態12.光源が、光学回折格子を出る光ビームを光ファイバに結合するように構成された少なくとも1つの第1の結合素子を備える、実施形態1から11のいずれか一項に記載の光源。
【0083】
実施形態13.伝達素子が、放射された光ビームを光学回折格子上にコリメートするように構成されている、実施形態1から12のいずれか一項に記載の光源。
【0084】
実施形態14.発光体が曲面上に配置されている、実施形態1から13のいずれか一項に記載の光源。
【0085】
実施形態15.エミッタのアレイがプリント回路板アセンブリ(PCBA)上に配置されている、実施形態1から14のいずれか一項に記載の光源。
【0086】
実施形態16.光学回折格子が少なくとも1つの球面回折格子を含み、球面回折格子が光ビーム経路をオーバーレイし、かつ光ビームを測定チャネル内に集束させるように構成されている、実施形態1から15のいずれか一項に記載の光源。
【0087】
実施形態17.測光情報を取得するための光度計であって、
-実施形態1から16のいずれか一項に記載の光源と、
-試料を含む少なくとも1つの試料容器を保持するように構成された少なくとも1つの試料容器ホルダを含む少なくとも1つの測定チャネルであり、測定チャネルが、試料からの検出光のビーム経路内に少なくとも1つの受光素子を含む少なくとも1つの検出ユニットをさらに備え、受光素子が、照明に応答して少なくとも1つの検出器信号を生成するように構成されている、少なくとも1つの測定チャネルと、
-検出器信号を評価し、それによって検出器信号から試料に関する測光情報を導出するための少なくとも1つのプロセッサと、
を備える、光度計。
【0088】
実施形態18.受光素子のそれぞれが入射光の強度に応じて電気信号を生成するように構成された少なくとも受光領域を含む、実施形態17に記載の光度計。
【0089】
実施形態19.試料が、血液、血漿、血清、唾液または尿などの体液の試料である、光度計に関する実施形態17または18もいずれか一項に記載の光度計。
【0090】
実施形態20.光度計が、測光情報を出力するための少なくとも1つのユーザインターフェースを備える、光度計に関する17から19いずれか一項に記載の光度計。
実施形態21.測光を用いた少なくとも1つの試料の化学分析のための方法であって、光度計に関する実施形態17から20のいずれか一項による少なくとも1つの光度計を使用するステップを含み、
a)光源を使用することによって、照明光を生成し、照明光を少なくとも1つの測定チャネルに提供し、それによって測定チャネルの試料を照明するステップと、
b)検出ユニットを使用することによって測定チャネル内で試料からの検出光を検出し、少なくとも1つの検出器信号を生成するステップと、
c)プロセッサを使用することによって、検出器信号を評価し、それによって試料に関する測光情報を導出するステップと、
を含む、方法。
【0091】
実施形態22.少なくとも1つのユーザインターフェースを使用することによって測光情報を出力するステップを含む、実施形態21に記載の方法。
【0092】
実施形態23.コンピュータによって実装される、実施形態22または23のいずれか一項に記載の方法。
【0093】
実施形態24.光度計に関する実施形態17から20のいずれか一項による光度計によってプログラムが実行されると、方法に関する実施形態21から23のいずれか一項による方法を光度計に実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【0094】
実施形態25.光度計に関する実施形態17から20のいずれか一項による光度計によって実行されると、方法に関する実施形態21から23のいずれか一項による方法を光度計に実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【0095】
実施形態26.1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、方法に関する実施形態21から23のいずれか一項による方法を1つまたは複数のプロセッサに実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体。
【0096】
さらなる任意選択の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、後続の実施形態の説明においてより詳細に開示される。実施形態において、それぞれの任意選択の特徴は、当業者が理解するように、分離された形で、ならびに任意の実行可能な組合せで実現され得る。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されない。実施形態は、図に概略的に示されている。実施形態において、これらの図における同一の参照番号は、同一または機能的に同等の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0097】
図1】本発明による光度計および光源の一実施形態を示す図である。
図2A】光源の一実施形態を示す図である。
図2B】光源の一実施形態を示す図である。
図2C】光源の一実施形態を示す図である。
図3】本発明による測光を用いた少なくとも1つの試料の化学分析のための方法の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
図1は、本発明による少なくとも1つの試料を照明するための照明光を生成するための光度計110および光源112の一実施形態を示す。試料は、化学的または生物学的化合物などの物質のアリコートであってよい。具体的には、試料は、血液、血清、血漿、尿、唾液のうちの1つまたは複数などの少なくとも1つの生物学的検体であってよく、あるいはこのような生物学的検体を含んでよい。試料は、少なくとも1つの試料容器、例えば測定キュベット111に提供されてもよい。
【0099】
光源112は、発光体114の少なくとも1つのアレイを備える。発光体114のそれぞれは、光ビーム経路に沿って少なくとも1つの光ビームを放射するように構成され、光ビームは所定の波長範囲を有する。例えば、本発明の典型的な目的のために使用される光は、近紫外から近赤外スペクトル範囲、例えば340nm~800nmの波長範囲の光である。多くの物体の材料特性または化学構成に関する特性は、このスペクトル範囲において導出され得る。しかしながら、他のスペクトル範囲も可能であることに留意されたい。発光体114のアレイは、発光体114の1次元または2次元アレイを含み得る。発光体114は、平面内または曲面上に配置されてもよい。曲面上の配置は、使用される伝達素子、例えばコリメートレンズまたはレンズ系の色収差および像面湾曲を補償することを可能にし、それによって出力パワーを最大化し得る。
【0100】
発光体114のアレイは、プリント回路板アセンブリ(PCBA)上に配置、例えば直線状に配置されてもよい。例えば、発光体114のアレイは、「チップオンボード」技術および/または「チップオンフレックス」技術を使用して実装され得る。例えば、発光体114を曲面上に配置するために、チップオンボード技術を使用してフレックスプリントアセンブリに実装されたLEDが使用されてもよい。
【0101】
例えば、発光体114のそれぞれは、少なくとも1つの発光ダイオードを含む。したがって、一例として、発光ダイオードは、光の自然放射に基づく発光ダイオード、特に有機発光ダイオード、スーパールミネセンス(sLED)に基づく発光ダイオード、またはレーザダイオード(LD)のうちの1つまたは複数を含み得る。LEDは、20nm~30nmのスペクトル帯域幅を有し得る。
【0102】
アレイの発光体114は、同じタイプのものであってもよく、あるいは異なるタイプのものであってもよい。アレイの発光体114は、各発光体114に独立して電流を供給することなどによって、互いに独立して制御可能であってもよい。
【0103】
発光体114のそれぞれは、所定の波長範囲を有する少なくとも1つの光ビームを放射するように構成される。発光体114のアレイの光源スペクトルは、近紫外から近赤外、例えば340nm~800nmの範囲であってもよい。例えば、発光ダイオードは、340nm~800nmのスペクトル範囲に少なくとも部分的に位置する中心波長を有する。図1の実施形態では、発光体114は、異なる波長の光ビームを放射するように構成されてもよい。発光体114のアレイは、少なくとも12個の波長帯域を放射するように構成されてもよい。
【0104】
発光体114は、少なくとも部分的に異なる時間に、例えば、少なくとも部分的に連続しておよび/または時間シフトして光ビームを放射してもよい。
【0105】
光源112は、光ビーム経路をオーバーレイするように構成された少なくとも1つの反射型光学回折格子116を備える。光ビーム経路のオーバーレイは、例えば、アレイの異なる発光体によって生成された光ビームの軌道を重ね合わせること、例えば空間的に重ね合わせることを含み得る。光学回折格子116は、反射型の格子である。反射型光学回折格子116は、入射光を反射するように構成されてもよい。反射型光学回折格子116は、反射面を有していてもよい。反射面は、アルミニウム、銀、金などの少なくとも1つの金属、または多層誘電体高反射コーティングの1つまたは複数でコーティングされてもよい。
【0106】
光源112は、少なくとも1つの伝達素子118をさらに備える。図1では、伝達素子118は例示的に単一のレンズとして示されている。しかしながら、他の実施形態も可能である。例えば、伝達素子118は、例えば図2A図2Cに示すように、2つのレンズを含んでもよい。伝達素子118は、例えば適切なサイズの1つまたは複数のレンズを使用することによって、発光体114によって放射された光ビームの放射円錐をコリメートするように構成されてもよい。
【0107】
伝達素子118は、伝達素子118が放射された光ビームを光学回折格子116上に導き、光学回折格子116から反射されて伝達素子118に衝突する光ビームを少なくとも1つの測定チャネル120に提供するように、発光体114のアレイと光学回折格子116との間に配置される。測定チャネル120は試料を含む。
【0108】
例えば、光学設定は、例えば図1および図2A図2Cに示すように、以下の通りであってもよい。LEDのアレイの後には、1組のレンズ、例えば図2A図2Cの2つのレンズ、および反射型光学回折格子116が続いてもよい。ここで、回折光ビームは、それらを測定チャネル120に導き、例えば、それらを少なくとも1つの光ファイバ122のファイバ入口に集束させる同じ組のレンズを通過し得る。図2A図2Cでは、発光体114のアレイおよび光ファイバ122の位置が示されている。これにより、発光体114によって放射された光は、伝達素子118を2回通過する。伝達素子118は、発光体114のアレイからの光ビームを光学回折格子116に導き、その後、伝達素子118は、光学回折格子116から反射された光ビームを測定チャネル120、特に少なくとも1つの光ファイバ122に集束させ得る。ほとんどの場合、1次光ビームは入射ビームに沿って戻る。このような構成により、必要なスペースおよび部品コストを低減することができる。これにより、光学的構成をよりコンパクトにすることができる。
【0109】
図1には、3つの測定チャネル120を有する実施形態が示されている。しかしながら、例えば、3つを超える測定チャネル120を有する他の実施形態も可能である。測定チャネル120は、試料を含む少なくとも1つの試料容器を保持するように構成された少なくとも1つの試料容器ホルダを含んでもよい。例えば、試料容器は測定キュベット111であってもよく、試料容器ホルダは試料キュベットホルダであってもよい。
【0110】
測定チャネル120は、少なくとも1つの検出ユニット124をさらに備える。検出ユニット124は、試料からの検出光を検出するための少なくとも1つの受光素子126、例えば受光素子126のアレイを備える。受光素子126は、照明に応答して少なくとも1つの検出器信号を生成するように構成される。受光素子126は、入射光の強度に応じて電気信号を生成するように構成された少なくとも受光領域を含み得る。受光領域は、具体的には、受光素子の表面上に位置してもよい。測定チャネル120は、単一の受光素子126、例えば単一の光検出器を含んでもよいあるいは、受光素子126は、画素化された光学デバイスであってもよく、またはその一部であってもよい。例えば、受光素子の1次元または2次元アレイを含む受光素子126のアレイが使用されてもよい。一例として、受光素子のアレイは、例えばCCDチップなどのCCDセンサ、または例えばCMOSチップなどのCMOSセンサを含み得る。しかしながら、上述したように、非画素化受光素子126が可能である。図1に示すように、測定チャネル120は、例えば、照明光を試料に集束させ、検出光を受光素子126に導くための追加の伝達素子などの追加の光学素子を備えてもよい。
【0111】
上記で概説したように、光源112は、少なくとも1つの光ファイバ122を備えてもよい。光ファイバ122は、その入射端に衝突する少なくとも1つの光ビームをその出射端に少なくとも部分的に導くように構成されてもよい。入射端と出射端は、互いに一定の距離だけ離れていてもよく、少なくとも1つの導光構造によって接続されていてもよい。伝達素子118および光学回折格子116の寸法および特性は、光ファイバ122の入射端上の入射円錐がファイバのファセットおよび開口数を最適に満たし、それによって結合された光パワーを最大化するように選択される。光学回折格子116の配向および線密度、ならびに発光体114の位置は、光学回折格子116を出る回折ビームがすべての発光体114に対してすべて共線的に重なり合うように調整され得る。続いて伝達素子118を通過すると、オーバーレイされたビームは集束され、光ファイバに結合されてもよい。
【0112】
光源114は、光ファイバ122の束を備えてもよい。束は、複数の単一光ファイバ122または複数の多分岐光ファイバ122を含んでもよい。光ファイバ122は、同一の特性を有してもよい。光ファイバ122の束は、共通の入射端を有してもよい。光ファイバ122のそれぞれは、それ自体の出射端を有してもよい。いくつかの光ファイバ122は、いくつかの測定チャネル120に対応してもよい。
【0113】
光源114は、光学回折格子116を出る光ビームを光ファイバ122に結合するように構成された少なくとも1つの第1の結合素子を備える。例えば、図1の実施形態では、伝達素子118は第1の結合素子として機能し得る。しかしながら、他の選択肢、例えば、光源114が伝達素子118に加えて少なくとも1つの第1の結合素子を含む実施形態が実現可能である。
【0114】
光度計110は、測光情報を取得するように構成される。測光情報は、透過データまたは吸収データであってもよい。測光情報は、試料中の少なくとも1つの分析物に関する少なくとも1つの輝度値、少なくとも1つの光度値、定性的情報および/または定量的情報のうちの1つまたは複数であってもよい。光度計110は、分析化学用に構成されてもよい。光度計110は、臨床化学光度計であってもよい。
【0115】
光度計110は、マルチスペクトル光度計であってもよい。
【0116】
光度計110は、検出器信号を評価し、それによって検出器信号から試料に関する測光情報を導出するための少なくとも1つのプロセッサ128をさらに備える。プロセッサ128は、具体的には、測光情報を導出するために検出器信号に対して1つまたは複数の評価動作を実行するために、ソフトウェアプログラミングなどによって構成されてもよい。例えば、プロセッサ128は、測光情報と検出器信号との間の少なくとも1つの、例えば所定の関係を使用することによって、検出器信号から試料に関する測光情報を導出するように構成されてもよい。
【0117】
図2Cは、図2Bの構成の上面図を示す。図2Cでは、光ファイバ122への移行が見える。
【0118】
図3は、本発明による測光を用いた少なくとも1つの試料の化学分析のための方法の一実施形態を示す。本方法は、少なくとも1つの光度計110を使用することを含む。したがって、光度計110の説明に関しては、上記の図1および図2の説明を参照されたい。
【0119】
方法ステップは、所与の順序で実行されてもよく、または異なる順序で実行されてもよい。さらに、列挙されていない1つまたは複数の追加の方法ステップが存在してもよい。さらに、方法ステップの1つ、2つ以上、またはさらにはすべてが繰り返し実行されてもよい。
本方法は、以下のステップ、すなわち、
a)光源112を使用することによって、照明光を生成し、照明光少なくとも1つの測定チャネル120に提供し、それによって測定チャネル120の試料を照明するステップ(130)と、
b)検出ユニット124を使用することによって、測定チャネル120内で試料からの検出光を検出し、少なくとも1つの検出器信号を生成するステップ(132)と、
c)プロセッサ128を使用することによって、検出器信号を評価し、それによって試料の測光情報を導出するステップ(134)と、
d)を含む。
【0120】
本方法は、複数のアッセイの化学分析を含み得る。上で概説したように、光度計110は、マルチスペクトルおよびマルチチャネル光度計110であってもよい。本方法は、ステップa)において、光源112を使用することによって、および任意選択で光ファイバ122を使用することによって、照明光を生成し、照明光を複数の測定チャネル120に提供し、それによって測定チャネル120のそれぞれの試料を照明するステップを含み得る。ステップb)において、測定チャネル120のそれぞれにおいて、試料からの検出光が検出されてもよく、それぞれの検出ユニット124を使用することによって、少なくとも1つの検出器信号が生成され得る。ステップc)は、プロセッサ128を使用することによって、検出器信号を評価し、それによって検出器信号から試料に関する測光情報を導出するステップを含み得る。
【符号の説明】
【0121】
110 光度計
111 測定キュベット
112 光源
114 測定キュベット
116 光学回折格子
118 伝達素子
120 測定チャネル
122 光ファイバ
124 検出ユニット
126 受光素子
128 プロセッサ
130 照明光の生成
132 検出光
134 検出器信号の評価
図1
図2A
図2B
図2C
図3
【外国語明細書】