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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148167
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】サスティナブルな吸音性不織布
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/541 20120101AFI20241009BHJP
   D04H 1/4382 20120101ALI20241009BHJP
【FI】
D04H1/541
D04H1/4382
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024060098
(22)【出願日】2024-04-03
(31)【優先権主張番号】23166484
(32)【優先日】2023-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501479868
【氏名又は名称】カール・フロイデンベルク・カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Carl Freudenberg KG
【住所又は居所原語表記】Hoehnerweg 2-4, D-69469 Weinheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンゲラ ヴァイク
(72)【発明者】
【氏名】ヴィリ ミッチュ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ プレテルスキー
【テーマコード(参考)】
4L047
【Fターム(参考)】
4L047AA21
4L047AA27
4L047AA28
4L047AB02
4L047AB07
4L047AB08
4L047BA09
4L047BB06
4L047BB09
4L047CB03
4L047CB08
4L047CC09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低目付のサスティナブルな吸音性不織布およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、1993年5月版のDIN EN 29053に準拠して測定された150Ns/m~5000Ns/mの流動抵抗と、150g/m~600g/mの目付とを有するサーマルボンド吸音性不織布であって、該不織布は、c)平均繊度が0.9dtex~8.8dtexであるフレームワークステープル繊維を、不織布の総重量に対して50重量%~90重量%の割合で含み、かつd)芯鞘型バインダー繊維を、不織布の総重量に対して10重量%~50重量%の割合で含み、フレームワークステープル繊維は、ある割合の破砕フレームワークステープル繊維を含み、芯鞘型バインダー繊維は、ある割合の破砕芯鞘型バインダー繊維を含む、サーマルボンド吸音性不織布に関する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1993年5月版のDIN EN 29053に準拠して測定された150Ns/m~5000Ns/mの流動抵抗と、150g/m~600g/mの目付とを有するサーマルボンド吸音性不織布であって、
a)平均繊度が0.9dtex~8.8dtexであるフレームワークステープル繊維を、前記不織布の総重量に対して50重量%~90重量%の割合で含み、かつ
b)芯鞘型バインダー繊維を、前記不織布の総重量に対して10重量%~50重量%の割合で含むサーマルボンド吸音性不織布において、
前記フレームワークステープル繊維は、ある割合の破砕フレームワークステープル繊維を含み、前記芯鞘型バインダー繊維は、ある割合の破砕芯鞘型バインダー繊維を含むことを特徴とする、サーマルボンド吸音性不織布。
【請求項2】
前記不織布が、一次フレームワークステープル繊維を含み、前記一次フレームワークステープル繊維が、0.9dtex~8.8dtexの平均繊度および/または20mm~80mmの平均ステープル長を有することを特徴とする、請求項1記載のサーマルボンド吸音性不織布。
【請求項3】
前記不織布が、一次芯鞘型バインダー繊維を含み、前記一次芯鞘型バインダー繊維がステープル繊維であり、好ましくは20mm~80mmの平均ステープル長を有することを特徴とする、請求項1または2記載のサーマルボンド吸音性不織布。
【請求項4】
前記不織布が、一次フレームワークステープル繊維および/または一次芯鞘型バインダー繊維を含み、前記破砕芯鞘型バインダー繊維が、有利には前記一次芯鞘型バインダー繊維と同じ平均繊度および/もしくは同じポリマーを有し、かつ/または前記破砕フレームワーク繊維が、前記一次フレームワーク繊維と同じ平均繊度および/もしくは同じポリマーを有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のサーマルボンド吸音性不織布。
【請求項5】
前記フレームワークステープル繊維の総重量に対する前記破砕フレームワークステープル繊維の割合が、10~100重量%であり、かつ/または前記芯鞘型バインダー繊維の総重量に対する前記破砕芯鞘型バインダー繊維の割合が、10~100重量%であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のサーマルボンド吸音性不織布。
【請求項6】
前記不織布が、前記不織布の総重量に対してそれぞれ
a)0重量%~70重量%、有利には10重量%~65重量%の一次フレームワークステープル繊維と、
b)0重量%~70重量%、有利には5重量%~60重量%の一次芯鞘型バインダー繊維と、
c)5重量%~90重量%の破砕フレームワークステープル繊維と、
d)1重量%~50重量%、なおもより好ましくは5重量%~40重量%の破砕芯鞘型バインダー繊維と
を含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のサーマルボンド吸音性不織布。
【請求項7】
前記不織布が、破砕工程で処理されたテキスタイル廃棄物から製造されたものであり、前記破砕工程での処理が、前記処理済みのテキスタイル廃棄物に含まれる未崩壊のテキスタイル残渣、特にネップおよびシート状材料片が、前記処理済みのテキスタイル廃棄物の総量に対して30重量%未満の割合となるように行われたことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のサーマルボンド吸音性不織布。
【請求項8】
150Ns/m~5000Ns/mの流動抵抗と、150g/m~600g/mの目付とを有する吸音性不織布の製造方法であって、
I.テキスタイル廃棄物を提供する工程であって、前記テキスタイル廃棄物は、以下:
a)平均繊度が0.9dtex~8.8dtexであるフレームワークステープル繊維を、前記テキスタイル廃棄物の総重量に対して50重量%~90重量%の割合で含み、かつ
b)芯鞘型バインダー繊維を、前記テキスタイル廃棄物の総重量に対して10重量%~50重量%の割合で含むものとする工程と、
II.前記テキスタイル廃棄物のテキスタイル構造を破砕工程で少なくとも部分的に崩壊させることにより、ある割合の破砕フレームワークステープル繊維とある割合の破砕芯鞘型バインダー繊維とを含む処理済みのテキスタイル廃棄物を得る工程と、
III.前記処理済みのテキスタイル廃棄物から不織布を形成する工程と、
IV.前記不織布を熱処理して、吸音性不織布を得る工程と
を含む、方法。
【請求項9】
前記テキスタイル廃棄物を湿らせる工程I.2をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記破砕工程を破砕機で行い、その動作原理は、前記テキスタイル廃棄物が、搬送作用と同時にクランプ作用をも有する引込システムを通って破砕ユニット、有利には破砕エレメントが配置された回転ドラムに供給されるというものであり、前記破砕エレメントは、鋸歯セットとして形成されていることを特徴とする、請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
前記テキスタイル廃棄物を、破砕プロセスに複数回供することを特徴とする、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
工程II.での前記テキスタイル廃棄物の前記テキスタイル構造の崩壊を、前記処理済みのテキスタイル廃棄物に含まれるネップやシート状材料片などの未崩壊のテキスタイル残渣が多くとも30重量%となる程度に、かつ/または前記処理済みのテキスタイル廃棄物に含まれるテキスタイル単繊維が、前記処理済みのテキスタイル廃棄物の総重量に対して少なくとも70重量%となる程度に行うことを特徴とする、請求項8から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
工程II.で得られた処理済みのテキスタイル廃棄物を、一次フレームワークステープル繊維および/または一次芯鞘型バインダー繊維と混合することをさらに含む、請求項8から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
請求項1から7までのいずれか1項記載の不織布を製造することを特徴とする、請求項8から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
請求項8から13までのいずれか1項記載の方法により製造された、吸音性不織布。
【請求項16】
自動車分野における吸音のための、請求項1から7までまたは15のいずれか1項記載の吸音性不織布の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低目付のサスティナブルな吸音性不織布に関する。本発明はさらに、その製造方法およびその使用に関する。
【0002】
吸音性不織布は、様々な用途で使用されている。重要な使用分野の1つは、自動車産業における吸音材としての使用である。欧州特許出願公開第3246442号明細書には、以下:
a)平均繊度が3dtex~17dtexの太いステープル繊維と、フレームワーク繊維としての、平均繊度が0.3dtex~2.9dtex、特に0.5dtex~2.9dtexの細いステープル繊維とを含む、少なくとも1つの開孔支持体層と、
b)該支持体層上に配置された、繊維径が10μm未満のマイクロ繊維を含むマイクロ多孔質流動層と
を含む吸音性テキスタイル複合材が記載されている。該吸音性テキスタイル複合材の流動抵抗は、250Ns/m~5000Ns/m、特に250Ns/m~2000Ns/mである。支持体層は、結合繊維として芯鞘型繊維を含むことができる。
【0003】
吸音材は、良好な音響特性と低目付とを兼ね備えていると有利である。また、少なくとも部分的にサスティナブルな資源から製造されていると有利である。
【0004】
サスティナブルな吸音材を製造する1つのアプローチが、再生繊維材料を原料として使用することである。しかし、市販されているこの種の吸音材は、外観が非常に不均一である。さらに、こうした吸音材は一般的に吸音能力が低いため、通常は600g/mを超える比較的高目付で使用しなければならない。このことは、自動車の望ましい軽量構造を達成しようとする尽力の高まりに反するものである。
【0005】
別のアプローチは、再生PETボトルから得られるr-PET繊維の使用である。このアプローチでは、確かに、より軽量の材料で所望の吸音性を達成することができる。しかし、PETボトルは将来的にますます希少な資源となるため、効率的な吸音材を製造するためには、サスティナブルな繊維資源の他の代替物が必要となる。したがって、本発明の課題は、再生PETボトルから得られるr-PET繊維を原料源として使用する必要がなく、かつ良好な音響特性および機械特性を有するサスティナブルな吸音材を提供することである。さらなる課題は、該吸音材の製造方法およびその使用を提供することである。
【0006】
この課題は、1993年5月版のDIN EN 29053に準拠して測定された、150Ns/m~5000Ns/m、有利には150Ns/m~3000Ns/m、なおもより好ましくは150Ns/m~2000Ns/m、特に150Ns/m~1000Ns/mの流動抵抗と、150g/m~600g/mの目付とを有するサーマルボンド吸音性不織布であって、該不織布は、
a)平均繊度が0.9dtex~8.8dtex、有利には0.9dtex~6.7dtex、特に0.9dtex~3.3dtexであるフレームワークステープル繊維を、不織布の総重量に対して50重量%~90重量%、好ましくは60重量%~80重量%、なおもより好ましくは70重量%~80重量%の割合で含み、かつ
b)芯鞘型バインダー繊維を、不織布の総重量に対して10重量%~50重量%、好ましくは20重量%~40重量%、なおもより好ましくは20重量%~30重量%の割合で含み、
フレームワークステープル繊維は、ある割合の破砕フレームワークステープル繊維を含み、芯鞘型バインダー繊維は、ある割合の破砕芯鞘型バインダー繊維を含む、サーマルボンド吸音性不織布によって解決される。
【0007】
本発明による不織布は、破砕繊維の割合にもかかわらず、非常に良好な音響特性および機械的特性を有することが見出された。破砕繊維とは、テキスタイル廃棄物の構造を崩壊させるための機械的プロセス(破砕工程)で得られた繊維である。通常、繊維は破砕工程で非常に高い機械的応力を受け、それにより部分的に破壊されるため、観察された良好な音響特性および機械特性は驚くべきものであった。加えて、先行技術の不織布に含まれる破砕繊維は、短繊維の割合と未崩壊の糸状材料片やシート状材料片の割合とを有する広範な様々な繊維長を有する。このため、一次繊維と比較して特性プロファイルが大きく変化する。その結果、特に音響特性が低下することが予想された。不織布の製造時に、破砕芯鞘型バインダー繊維の鞘が2回目でも十分に再溶融し、それにより結合が可能になることは特に驚くべきことであった。
【0008】
上記で説明したように、破砕繊維とは、破砕工程でテキスタイル廃棄物から得られた繊維である。破砕工程とは、テキスタイル廃棄物の構造を崩壊させるための機械的プロセスである。この工程の目的は、テキスタイル廃棄物に含まれる繊維を回収し、新たな製造サイクルの原料として再利用することである。
【0009】
破砕工程は、例えばHilmar Fuchs、Wilhelm Albrecht著、Vliesstoffe: Rohstoffe, Herstellung, Anwendung, Eigenschaften, Pruefung (18. Juli 2012), zweite Ausgabe, Wiley VCHに記載されている。
【0010】
一方で、一次繊維とは、破砕プロセスによるリサイクルがなされていない本発明による繊維である。破砕繊維は、損傷した繊維構造を有するという点で、一次繊維と区別することができ、これは視覚的に認識可能である。このことは例えば、破砕フレームワーク繊維において、捲縮構造が不規則にもしくは完全に破壊されており、かつ/または繊維長が不均一であることに現れている。破砕バインダー繊維はさらに、少なくとも再溶融される前に少なくとも部分的に破壊されたバインダー成分を有しており、このことは、不規則な繊維外形に現れている。破砕芯鞘型バインダー繊維に、本発明による不織布のようにサーマルボンディングが施されている場合、こうした繊維は例えば、より不規則な構造を有しており、この構造において、例えば2つの芯が共通の1つの鞘に包囲されているか、または鞘が変形して例えば凝集しているという点で、サーマルボンド一次芯鞘型バインダー繊維と区別することができる。
【0011】
図1に、一次フレームワーク繊維の写真画像を示す。繊維の強く均一な捲縮が認められる。図2に、破砕フレームワーク繊維の写真画像を示す。繊維の捲縮が明らかに少なく、不規則であることが認められる。図3に、融合した一次バインダー繊維のSEM画像を示す。比較的規則正しい繊維外形が認められる。不規則性は、バインダー成分が溶融されること、およびフレームワーク繊維がある箇所で脱落していることにのみ起因する。この脱落は、サンプル調製に起因するものであり、サンプル調製の際に不織布の一部が切り取られ、この場合は繊維が引き抜かれた。図4に、破砕バインダー繊維(再融合したものではない)のSEM画像を示す。部分的に破壊されたバインダー成分がはっきりと認められる。図5に、再融合した破砕バインダー繊維のSEM画像を示す。2つの芯が共通の1つの鞘で包囲されている様子がわかる。
【0012】
さらに、本発明による不織布の実施例の顕微鏡写真において、本発明による不織布が、一次繊維のみを含む同じ構造の不織布よりも繊維分布が均一でないことが判明した。例えば、破砕芯鞘型バインダー繊維は、不織布の他の部分よりもバインダー繊維の割合が多い「巣状の繊維」を形成していることが判明した。図6に、白色に着色された巣状の繊維を有する本発明による不織布を示す。比較として、図7に、一次繊維のみを含み、巣状の繊維を含まない不織布を示す。
【0013】
不織布とは、限定された長さの繊維、連続繊維(フィラメント)、またはいずれかの種類およびいずれかの起源のチョップドヤーンをいずれかの方法で結合させてウェブ(繊維層、繊維バット)とし、これをいずれかの方法で互いに結合させた構造体であり、織物、経編物、緯編物、レース編み、組物およびタフト製品の製造において生じるようなヤーンの交差や交絡は除外される。不織布には、フィルムや紙は含まれない。不織布は、2019年8月版DIN EN ISO 9092に記載されている。
【0014】
本発明によれば、不織布は、平均繊度が0.9dtex~8.8dtex、有利には0.9dtex~6.7dtex、特に0.9dtex~3.3dtexであるフレームワークステープル繊維を、不織布の総重量に対して50重量%~90重量%、好ましくは60重量%~80重量%、なおもより好ましくは70重量%~80重量%の割合で含み、フレームワークステープル繊維は、ある割合の破砕フレームワークステープル繊維を含む。
【0015】
フレームワークステープル繊維とは、バインダー繊維のバインダー成分とは異なり、その繊維成分が融合した状態では存在していないステープル繊維であると理解されるべきである。これが、フレームワーク繊維の通常の意味である。好ましくは、芯鞘型バインダー繊維もステープル繊維である。ステープル繊維とは、当該技術分野において通例であるように、理論的に無限であるフィラメントとは対照的に、所定の長さを有する繊維であると理解されるべきである。
【0016】
本発明によれば、フレームワークステープル繊維は、ある割合の破砕フレームワークステープル繊維を含む。ここで、破砕フレームワークステープル繊維は、0.9dtex~8.8dtex、有利には0.9dtex~6.7dtex、特に0.9dtex~3.3dtexの平均繊度を有する。本発明の好ましい実施形態において、破砕フレームワークステープル繊維は、5mm~60mm、なおもより好ましくは10mm~55mm、特に10mm~50mmの平均ステープル長を有する。
【0017】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、破砕フレームワークステープル繊維は、少なくとも1つの溶融紡糸可能なポリマーを含む。好ましくは、ポリマーは、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ビスコース、ポリアミド、特にポリアミド6およびポリアミド6.6、ポリオレフィンならびに/またはポリエステルから選択される。好ましいのは、ポリオレフィンおよび/またはポリエステルである。非常に特に好ましいのは、ポリエステルである。
【0018】
特に好ましくは、破砕フレームワークステープル繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ(デカメチレン)テレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリグリコール酸、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ベクトラン(Vektrane)、ポリエチレンナフタレート、それらのコポリマーおよび/またはそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリエステルを含む。特に好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリブチレンテレフタレート、それらの混合物および/またはコポリマーである。特に好ましくは、破砕フレームワークステープル繊維は、ポリエチレンテレフタレートを含む。その場合、破砕フレームワークステープル繊維は、前述のポリマー、特にポリエチレンテレフタレートを、破砕フレームワークステープル繊維の総重量に対して好ましくは50重量%~100重量%、なおもより好ましくは70重量%~100重量%、なおもより好ましくは80重量%~100重量%含み、特に、ここで挙げられたポリマーからなる。
【0019】
好ましい実施形態において、不織布は、破砕フレームワークステープル繊維に加えて一次フレームワークステープル繊維を含み、一次フレームワークステープル繊維は、有利には0.9dtex~8.8dtex、なおもより好ましくは0.9dtex~6.7dtex、特に0.9dtex~3.3dtexの平均繊度を有する。存在する場合、一次フレームワークステープル繊維は、好ましくは20mm~80mm、なおもより好ましくは25mm~80mm、特に30mm~80mmの平均ステープル長を有する。
【0020】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、一次フレームワークステープル繊維は、少なくとも1つの溶融紡糸可能なポリマーを含む。好ましくは、ポリマーは、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ビスコース、ポリアミド、特にポリアミド6およびポリアミド6.6、ポリオレフィンならびに/またはポリエステルから選択される。好ましいのは、ポリオレフィンおよび/またはポリエステルである。非常に特に好ましいのは、ポリエステルである。
【0021】
特に好ましくは、一次フレームワークステープル繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ(デカメチレン)テレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリグリコール酸、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ベクトラン(Vektrane)、ポリエチレンナフタレート、それらのコポリマーおよび/またはそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリエステルを含む。特に好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリブチレンテレフタレート、それらの混合物および/またはコポリマーである。特に好ましくは、一次フレームワークステープル繊維は、ポリエチレンテレフタレートを含む。その場合、一次フレームワークステープル繊維は、前述のポリマー、特にポリエチレンテレフタレートを、一次フレームワークステープル繊維の総重量に対して好ましくは50重量%~100重量%、なおもより好ましくは70重量%~100重量%、なおもより好ましくは80重量%~100重量%含み、特に、ここで挙げられたポリマーからなる。
【0022】
本発明によれば、不織布は、芯鞘型バインダー繊維を、不織布の総重量に対して10重量%~50重量%、好ましくは20重量%~40重量%、なおもより好ましくは20重量%~30重量%の割合で含み、芯鞘型バインダー繊維は、ある割合の破砕芯鞘型バインダー繊維を含む。
【0023】
バインダー繊維とは、多少なりとも変形した繊維構造ないしは完全に融合した連続相の形態で存在する少なくとも1つのバインダー成分を有する繊維であると理解されるべきである。バインダー成分により、シート状構成体の接着結合を生じさせることができる。芯鞘型バインダー繊維では、鞘がバインダー成分として作用する。
【0024】
同様に好ましくは、破砕芯鞘型バインダー繊維は、1.7dtex~6.7dtex、有利には1.7dtex~5dtexの範囲の平均繊度を有する。
【0025】
好ましくは、破砕芯鞘型バインダー繊維は、鞘ポリマーとは異なるポリマー(芯ポリマー)を芯に有する。固化後、芯ポリマーは、部分的または完全にバインダー成分に包囲された状態で存在し得る。芯ポリマーと鞘ポリマーとの量比は、自由に選択できる。90:10~10:90(重量%単位での芯:鞘の重量比)、なおもより好ましくは80:20~20:80、なおもより好ましくは80:20~30:70、特に80:20~40:60の比が特に有利であることが判明した。
【0026】
特に好ましい実施形態によれば、破砕芯鞘型バインダー繊維の鞘ポリマーは、破砕芯鞘型バインダー繊維の芯ポリマーよりも低い融点を有する。この場合、鞘ポリマーの溶融温度と芯ポリマーの溶融温度との差は、有利には少なくとも5℃、好ましくは少なくとも8℃、特に好ましくは少なくとも10℃である。この2つのポリマーの溶融温度の差によって、良好な温度安定性が得られる。
【0027】
破砕芯鞘型バインダー繊維の芯ポリマーは、多種多様な材料を含むことができる。好ましくは、芯ポリマーは、溶融紡糸可能なポリマーである。好ましくは、ポリマーは、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ビスコース、ポリアミド、特にポリアミド6およびポリアミド6.6、ポリオレフィンならびに/またはポリエステルから選択される。好ましいのは、ポリオレフィンおよび/またはポリエステルである。非常に特に好ましいのは、ポリエステルである。
【0028】
特に好ましくは、芯ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ(デカメチレン)テレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリグリコール酸、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ベクトラン(Vektrane)、ポリエチレンナフタレート、それらのコポリマーおよび/またはそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリエステルを含む。好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリブチレンテレフタレート、それらの混合物および/またはコポリマーである。特に好ましくは、芯ポリマーは、ポリエチレンテレフタレートを含む。その場合、芯ポリマーは、前述のポリマー、特にポリエチレンテレフタレートを、芯ポリマーの総重量に対して好ましくは50重量%~100重量%、なおもより好ましくは70重量%~100重量%、なおもより好ましくは80重量%~100重量%含み、特に、ここで挙げられたポリマーからなる。
【0029】
不織布が一次芯鞘型バインダー繊維を含む場合、破砕芯鞘型バインダー繊維の芯ポリマーは、有利には、一次芯鞘型バインダー繊維の芯ポリマーと同じ1種および/または複数種のポリマーを有する。
【0030】
破砕芯鞘型バインダー繊維の鞘ポリマーも同様に、多種多様な材料を含むことができる。好ましくは、鞘ポリマーは、コポリエステル、特にコポリエチレンテレフタレートを含む。コポリマーとしては、例えば、ランダムコポリマー、グラジエントコポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマーまたはグラフトポリマーが適している。コポリマーは、2種、3種、4種またはそれ以上の異なるモノマーからなることができる(ターポリマー、テトラポリマー)。特に好ましいさらなるコモノマーは、以下のポリマーのモノマーである:芳香族および脂肪族ポリエステル、芳香族および脂肪族ポリアミド、芳香族および脂肪族エポキシド、芳香族および脂肪族ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド。
【0031】
この場合、破砕芯鞘型バインダー繊維の鞘ポリマーは、コポリエチレンテレフタレートを、破砕芯鞘型バインダー繊維の鞘ポリマーの総重量に対して好ましくは50重量%~100重量%、なおもより好ましくは70重量%~100重量%、なおもより好ましくは80重量%~100重量%含む。
【0032】
不織布が一次芯鞘型バインダー繊維を含む場合、破砕芯鞘型バインダー繊維の鞘ポリマーは、有利には、一次芯鞘型バインダー繊維の鞘ポリマーと同じ1種および/または複数種のポリマーを有する。
【0033】
好ましくは、破砕芯鞘型バインダー繊維の鞘ポリマーは、250℃未満の範囲、なおもより好ましくは70~235℃の範囲、なおもより好ましくは125~225℃の範囲、特に好ましくは150~225℃の範囲の融点を有する。
【0034】
不織布が一次フレームワーク繊維および/または一次芯鞘型バインダー繊維を含む場合、破砕芯鞘型バインダー繊維は、有利には、一次芯鞘型バインダー繊維と同じ平均繊度および/もしくは同じポリマーを有し、かつ/または破砕フレームワーク繊維は、一次フレームワーク繊維と同じ平均繊度および/もしくは同じポリマーを有する。
【0035】
好ましい実施形態において、不織布は、一次芯鞘型バインダー繊維を含む。
【0036】
一次芯鞘型バインダー繊維は、好ましくはステープル繊維であり、好ましくは、20mm~80mm、なおもより好ましくは25mm~80mm、特に30mm~80mmの平均ステープル長を有する。
【0037】
同様に好ましくは、一次芯鞘型バインダー繊維は、1.7dtex~6.7dtex、有利には1.7dtex~5dtexの範囲の平均繊度を有する。
【0038】
本発明によれば、好ましくは、一次芯鞘型バインダー繊維は、鞘ポリマーとは異なるポリマー(芯ポリマー)を芯に有する。芯ポリマーと鞘ポリマーとの量比は、自由に選択できる。90:10~10:90(重量%単位での芯:鞘の重量比)、なおもより好ましくは80:20~20:80、なおもより好ましくは80:20~30:70、特に80:20~40:60の比が特に有利であることが判明した。
【0039】
特に好ましい実施形態によれば、一次芯鞘型バインダー繊維の鞘ポリマーは、一次芯鞘型バインダー繊維の芯ポリマーよりも低い融点を有する。この場合、鞘ポリマーの溶融温度と芯ポリマーの溶融温度との差は、有利には少なくとも5℃、好ましくは少なくとも8℃、特に好ましくは少なくとも10℃である。この2つのポリマーの溶融温度の差によって、良好な温度安定性が得られる。
【0040】
一次芯鞘型バインダー繊維の芯ポリマーは、多種多様な材料を含むことができる。好ましくは、芯ポリマーは、溶融紡糸可能なポリマーである。好ましくは、ポリマーは、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ビスコース、ポリアミド、特にポリアミド6およびポリアミド6.6、ポリオレフィンならびに/またはポリエステルから選択される。好ましいのは、ポリオレフィンおよび/またはポリエステルである。非常に特に好ましいのは、ポリエステルである。
【0041】
特に好ましくは、芯ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ(デカメチレン)テレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリグリコール酸、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ベクトラン(Vektrane)、ポリエチレンナフタレート、それらのコポリマーおよび/またはそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリエステルを含む。特に好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリブチレンテレフタレート、それらの混合物および/またはコポリマーである。特に好ましくは、芯ポリマーは、ポリエチレンテレフタレートを含む。その場合、芯ポリマーは、前述のポリマー、特にポリエチレンテレフタレートを、芯ポリマーの総重量に対して好ましくは50重量%~100重量%、なおもより好ましくは70重量%~100重量%、なおもより好ましくは80重量%~100重量%含み、特に、ここで挙げられたポリマーからなる。
【0042】
一次芯鞘型バインダー繊維の鞘ポリマーも同様に、多種多様な材料を含むことができる。好ましくは、鞘ポリマーは、コポリエステル、特にコポリエチレンテレフタレートを含む。コポリマーとしては、例えば、ランダムコポリマー、グラジエントコポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマーまたはグラフトポリマーが適している。コポリマーは、2種、3種、4種またはそれ以上の異なるモノマーからなることができる(ターポリマー、テトラポリマー)。特に好ましいさらなるコモノマーは、以下のポリマーのモノマーである:芳香族および脂肪族ポリエステル、芳香族および脂肪族ポリアミド、芳香族および脂肪族エポキシド、芳香族および脂肪族ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド。
【0043】
この場合、一次芯鞘型バインダー繊維の鞘ポリマーは、コポリエチレンテレフタレートを、一次芯鞘型バインダー繊維の鞘ポリマーの総重量に対して好ましくは50重量%~100重量%、なおもより好ましくは70重量%~100重量%、なおもより好ましくは80重量%~100重量%含む。
【0044】
好ましくは、一次芯鞘型バインダー繊維の鞘ポリマーは、250℃未満の範囲、なおもより好ましくは70~235℃の範囲、なおもより好ましくは125~225℃の範囲、特に好ましくは150~225℃の範囲の融点を有する。
【0045】
本発明の好ましい実施形態において、不織布は、破砕繊維を、吸音性不織布の総重量に対してそれぞれ8重量%~100重量%の量で、なおもより好ましくは10重量%~80重量%の量で、なおもより好ましくは15重量%~70重量%の量で、特に20重量%~60重量%の量で含む。ここで、破砕繊維の割合が高いことは、サスティナビリティの点で有利である。
【0046】
本発明のさらなる実施態様では、不織布は、一次繊維を、吸音性不織布の総重量に対してそれぞれ15重量%未満、好ましくは10重量%未満、特に5重量%未満の量で含む。本発明のさらなる実施態様では、不織布は、一次繊維を含まない。
【0047】
本発明のさらなる実施形態において、不織布は、平均繊度が0.9dtex~8.8dtex、有利には0.9dtex~6.7dtex、特に0.9dtex~3.3dtexであるフレームワークステープル繊維を、不織布の総重量に対して60重量%~80重量%、なおもより好ましくは70重量%~80重量%の割合で含む。
【0048】
本発明のさらなる実施形態において、不織布は、芯鞘型バインダー繊維を、不織布の総重量に対して20重量%~40重量%、なおもより好ましくは20重量%~30重量%の割合で含む。
【0049】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、不織布は、一次繊維を、吸音性不織布の総重量に対してそれぞれ5重量%~92重量%の量で、なおもより好ましくは20重量%~90重量%の量で、なおもより好ましくは30重量%~85重量%の量で、特に40重量%~80重量%の量で含む。
【0050】
さらに好ましくは、フレームワークステープル繊維の総重量に対する破砕フレームワークステープル繊維の割合は、10~100重量%、好ましくは15重量%~80重量%、なおもより好ましくは20重量%~70重量%、特に20重量%~60重量%である。
【0051】
また好ましくは、芯鞘型バインダー繊維の総重量に対する破砕芯鞘型バインダー繊維の割合は、10重量%~100重量%、好ましくは20重量%~75重量%、なおもより好ましくは30重量%~80重量%、特に40重量%~80重量%である。
【0052】
さらなる好ましい実施形態において、不織布は、破砕フレームワークステープル繊維を、吸音性不織布の総重量に対して5重量%~90重量%、なおもより好ましくは10重量%~80重量%、なおもより好ましくは15重量%~70重量%、なおもより好ましくは20重量%~60重量%、特に20重量%~50重量%含む。
【0053】
さらなる好ましい実施形態において、不織布は、破砕芯鞘型バインダー繊維を、吸音性不織布の総重量に対して1重量%~50重量%、なおもより好ましくは5重量%~40重量%、なおもより好ましくは7.5重量%~30重量%、特に10重量%~20重量%含む。
【0054】
さらなる好ましい実施形態において、不織布は、不織布の総重量に対してそれぞれ
a)0重量%~70重量%、有利には10重量%~65重量%、なおもより好ましくは20重量%~55重量%、特に30重量%~45重量%の一次フレームワークステープル繊維と、
b)0重量%~70重量%、有利には5重量%~60重量%、なおもより好ましくは10重量%~50重量%、特に15重量%~40重量%の一次芯鞘型バインダー繊維と、
c)5重量%~90重量%、なおもより好ましくは10重量%~80重量%、なおもより好ましくは15重量%~70重量%、なおもより好ましくは20重量%~60重量%、特に20重量%~50重量%の破砕フレームワークステープル繊維と、
d)1重量%~50重量%、なおもより好ましくは5重量%~40重量%、なおもより好ましくは7.5重量%~30重量%、特に10重量%~20重量%の破砕芯鞘型バインダー繊維と
を含む。
【0055】
本発明による不織布は、1993年5月版のDIN EN 29053に準拠して測定された、150Ns/m~5000Ns/m、有利には150Ns/m~3000Ns/m、なおもより好ましくは150Ns/m~2000Ns/m、特に150Ns/m~1000Ns/mの流動抵抗を有する。
【0056】
本発明による不織布はさらに、好ましくは、アルファキャビン(DIN EN ISO 354:2003)において、10~50mm、なおもより好ましくは10~35mm、特に10mmの厚さで1000Hzで測定された、0.35を超える、好ましくは0.4を超える吸音率を有する。
【0057】
さらに、本発明による不織布は、150g/m~600g/m、有利には200g/m~550g/m、なおもより好ましくは250g/m~500g/mの目付を有する。
【0058】
有利には、本発明による不織布は、DIN EN ISO 9073-2(1997-02)、方法BおよびCに準拠して測定された10~50mm、なおもより好ましくは10~35mmの厚さを有する。
【0059】
さらに好ましくは、本発明による不織布は、25N~100N、なおもより好ましくは30N~100N、特に40N~100Nの縦方向の最大引張力(DIN EN ISO 9073-2、2022-05に準拠)および/または25N~100N、なおもより好ましくは30N~100N、特に40N~100Nの横方向の最大引張力(DIN EN ISO 9073-2、2022-05に準拠)を有する。
【0060】
さらに好ましくは、本発明による不織布は、DIN 54310 1980に準拠して測定された、0.5N/5cmを超える、例えば0.5N/5cm~10N/5cm、および/または0.5N/5cm~3N/5cm、および/または0.5N/5cm~2.5N/5cmの不織布内部強度を有する。
【0061】
さらなる好ましい実施形態において、吸音性不織布は、破砕工程で処理されたテキスタイル廃棄物から製造されたものであり、該破砕工程での処理は、処理済みのテキスタイル廃棄物に含まれるテキスタイル単繊維が、処理済みのテキスタイル廃棄物の総量に対して少なくとも70重量%、有利には70重量%~100重量%、なおもより好ましくは80重量%~100重量%、なおもより好ましくは90重量%~100重量%となるように行われた。テキスタイル単繊維の量を決定するために、処理済みのテキスタイル廃棄物のサンプル(10g)から単繊維を手作業で分離する。少なくとも10個のサンプルを採取し、その結果の平均をとる。
【0062】
さらに好ましくは、吸音性不織布は、破砕工程で処理されたテキスタイル廃棄物から製造されたものであり、該破砕工程での処理は、処理済みのテキスタイル廃棄物に含まれるネップやシート状材料片などの未崩壊のテキスタイル残渣が、処理済みのテキスタイル廃棄物の総量に対して30重量%未満、有利には0重量%~30重量%、有利には0重量%~20重量%、なおもより好ましくは0重量%~10重量%の割合となるように行われた。未崩壊のテキスタイル残渣の量を決定するために、処理済みのテキスタイル廃棄物のサンプル(10g)から未崩壊のテキスタイル残渣を手作業で分離する。少なくとも10個のサンプルを採取し、その結果の平均をとる。
【0063】
さらに好ましくは、吸音性不織布は、不織布を含みかつ破砕工程で処理されたテキスタイル廃棄物から製造されたものであり、特に好ましくは、不織布を90重量%超、例えば90重量%~100重量%、なおもより好ましくは95重量%~100重量%の割合で含むテキスタイル廃棄物から製造されたものである。特に好ましくは、吸音性不織布は、破砕工程で処理されかつ種類別に選別された状態で存在するテキスタイル廃棄物から製造されたものである。
【0064】
さらなる好ましい実施形態において、吸音性不織布は、処理済みのテキスタイル廃棄物から製造されたものであり、該処理済みのテキスタイル廃棄物は、
a)平均繊度が0.9dtex~8.8dtex、有利には0.9dtex~6.7dtex、特に0.9dtex~3.3dtexであるフレームワークステープル繊維を、処理済みのテキスタイル廃棄物の総重量に対して50重量%~90重量%、好ましくは60重量%~80重量%、なおもより好ましくは70重量%~80重量%の割合で含み、かつ
b)芯鞘型バインダー繊維を、処理済みのテキスタイル廃棄物の総重量に対して10重量%~50重量%、好ましくは20重量%~40重量%、なおもより好ましくは20重量%~30重量%の割合で含む。
【0065】
本発明のさらなる主題は、1993年5月版のDIN EN 29053に準拠して測定された、150Ns/m~5000Ns/m、有利には150Ns/m~3000Ns/m、なおもより好ましくは150Ns/m~2000Ns/m、特に150Ns/m~1000Ns/mの流動抵抗と、150g/m~600g/mの目付とを有する吸音性不織布の製造方法であって、
I.テキスタイル廃棄物を提供する工程であって、該テキスタイル廃棄物は、以下:
a)平均繊度が0.9dtex~8.8dtex、有利には0.9dtex~6.7dtex、特に0.9dtex~3.3dtexであるフレームワークステープル繊維を、テキスタイル廃棄物の総重量に対して50重量%~90重量%、好ましくは60重量%~80重量%、なおもより好ましくは70重量%~80重量%の割合で含み、かつ
b)芯鞘型バインダー繊維を、テキスタイル廃棄物の総重量に対して10重量%~50重量%、好ましくは20重量%~40重量%、なおもより好ましくは20重量%~30重量%の割合で含むものとする工程と、
II.テキスタイル廃棄物のテキスタイル構造を破砕工程で少なくとも部分的に崩壊させることにより、ある割合の破砕フレームワークステープル繊維とある割合の破砕芯鞘型バインダー繊維とを含む処理済みのテキスタイル廃棄物を得る工程と、
III.処理済みのテキスタイル廃棄物から不織布を形成する工程と、
IV.不織布を熱処理して、吸音性不織布を得る工程と
を含む方法である。
【0066】
方法工程I)~IV)は、好ましくは連続して実施される。
【0067】
有利には、本発明による方法により、サーマルボンド吸音性不織布であって、該不織布は、
a)平均繊度が0.9dtex~8.8dtex、有利には0.9dtex~6.7dtex、特に0.9dtex~3.3dtexであるフレームワークステープル繊維を、不織布の総重量に対して50重量%~90重量%、好ましくは60重量%~80重量%、なおもより好ましくは70重量%~80重量%の割合で含み、かつ
b)芯鞘型バインダー繊維を、不織布の総重量に対して10重量%~50重量%、好ましくは20重量%~40重量%、なおもより好ましくは20重量%~30重量%の割合で含み、
フレームワークステープル繊維は、ある割合の破砕フレームワークステープル繊維を含み、芯鞘型バインダー繊維は、ある割合の破砕芯鞘型バインダー繊維を含み、該吸音性不織布は、150g/m~600g/mの目付を有する、サーマルボンド吸音性不織布が製造される。
【0068】
さらに好ましくは、本発明による方法により、本明細書に記載の1つ以上の実施形態によるサーマルボンド吸音性不織布が製造される。
【0069】
本発明による方法の工程I.は、テキスタイル廃棄物を提供することを含み、該テキスタイル廃棄物は、平均繊度が0.9dtex~8.8dtex、有利には0.9dtex~6.7dtex、特に0.9dtex~3.3dtexであるフレームワークステープル繊維を、テキスタイル廃棄物の総重量に対して50重量%~90重量%、好ましくは60重量%~80重量%、なおもより好ましくは70重量%~80重量%の割合で含み、かつ芯鞘型バインダー繊維を、テキスタイル廃棄物の総重量に対して10重量%~50重量%、好ましくは20重量%~40重量%、なおもより好ましくは20重量%~30重量%の割合で含む。本発明による方法には、多種多様なテキスタイル廃棄物が適している。好ましくは、テキスタイル廃棄物は、本発明による吸音性不織布について説明された1つ以上の実施形態による繊維を含む。
【0070】
ここで、テキスタイル廃棄物は、衣類や工業用テキスタイルのような多種多様な分野に由来することができる。好ましくは、テキスタイル廃棄物は不織布を含む。特に好ましくは、テキスタイル廃棄物は、不織布を、テキスタイル廃棄物の総重量に対して90重量%を超える割合、例えば90重量%~100重量%、なおもより好ましくは95重量%~100重量%の割合で含む。テキスタイル廃棄物は、織物および/または経編物を含むこともできる。テキスタイル廃棄物はさらに、有利には種類別に選別された状態で存在する。さらに、テキスタイル廃棄物は、使用済みテキスタイルとして、フィラメントまたはヤーンの残渣として、あるいはまたシート状材料の製造から出る縁部のストリップ状材料として存在することもできる。異なる形態の混合物も可能である。
【0071】
工程I.の後に、任意の工程I.1を続けることができ、この工程では、テキスタイル廃棄物を、有利には裁断によって、予め細断する。
【0072】
さらに、工程I.または工程I.1の後に、任意の工程I.2を続けることができ、この工程では、任意に予め細断されたテキスタイル廃棄物を湿らせ、かつ/または油脂処理を施す。これは、その後の構造崩壊に有利である。さらに、繊維摩擦を低減させ、それによりエネルギーコストを削減し、繊維損傷を低減させることができる。
【0073】
本方法の工程II.は、テキスタイル廃棄物のテキスタイル構造を破砕工程で少なくとも部分的に崩壊させることにより、処理済みのテキスタイル廃棄物を得ることを含む。
【0074】
好ましい実施形態において、破砕工程は破砕機で行われ、その動作原理は、テキスタイル廃棄物が、搬送作用と同時にクランプ作用をも有する引込システムを通って破砕ユニット、有利には破砕エレメントが配置された回転ドラムに供給されるというものである。回転ドラムは、有利には破砕ドラムである。破砕エレメントは、好ましくはピン状、フック状または歯状である。好ましくは、破砕エレメントは、鋸歯セットとして形成されている。破砕エレメントは、引込システムによってクランプされたテキスタイル廃棄物を把持し、引張応力の影響下でその構造を少なくとも部分的に破砕する。
【0075】
テキスタイル廃棄物を、破砕プロセスに1回以上供することができる。ここで、テキスタイル廃棄物の一部のみを破砕プロセスに複数回供することもできる。有利には、破砕工程は、少なくとも2回の破砕プロセスを含む。この目的のために、テキスタイル廃棄物を、破砕ユニットにおける1回の破砕プロセスの後に、再び同じ破砕ユニットに供給することができる。しかし、複数の破砕ユニットを直列に配置することもできる。破砕ユニット間での材料の移送は、例えばふるいドラムによって行うことができる。本発明の好ましい実施形態において、各種破砕ユニットに配置される破砕エレメントの数および細度は、テキスタイル廃棄物の構造崩壊の進行に適合される。
【0076】
引込システムは、一対のロール、または回転ロールと剛性トラフとの組み合わせを備えることができる。好ましくは、引込システムは、トラフ引込機として形成されている。このトラフ引込機において、材料のクランプポイントは、トラフの角部に位置する。このことは、これにより、材料のクランプポイントを破砕エレメントの有効範囲に近づけることができるため有利である。
【0077】
破砕工程の様々なパラメータ、特にテキスタイル廃棄物が通過する破砕ユニットの数を調整することにより、テキスタイル廃棄物の所望の構造崩壊を調整することができる。
【0078】
好ましくは、テキスタイル廃棄物のテキスタイル構造の崩壊は、処理済みのテキスタイル廃棄物に含まれるネップやシート状材料片などの未崩壊のテキスタイル残渣が、多くとも30重量%、有利には0重量%~30重量%、なおもより好ましくは0重量%~20重量%、なおもより好ましくは0重量%~10重量%となる程度に行われる。有利には、テキスタイル廃棄物のテキスタイル構造の崩壊は、処理済みのテキスタイル廃棄物に含まれるテキスタイル単繊維が、処理済みのテキスタイル廃棄物の総重量に対して少なくとも70重量%、有利には70重量%~100重量%、なおもより好ましくは80重量%~100重量%、なおもより好ましくは90重量%~100重量%となる程度に行われる。その結果、工程II.で得られた処理済みのテキスタイル廃棄物は、テキスタイル単繊維を、有利には少なくとも70重量%、なおもより好ましくは70重量%~100重量%、なおもより好ましくは80重量%~100重量%、なおもより好ましくは90重量%~100重量%含む。さらに好ましくは、工程II.で得られた処理済みのテキスタイル廃棄物は、ネップやシート状材料片などの未崩壊のテキスタイル残渣を、処理済みのテキスタイル廃棄物の総量に対して30重量%未満、有利には0重量%~30重量%、なおもより好ましくは0重量%~20重量%、なおもより好ましくは0重量%~10重量%の割合で含む。未崩壊のテキスタイル残渣の割合を決定するために、サンプル(10g)から未崩壊のテキスタイル残渣を手作業で分離する。少なくとも10個のサンプルを採取し、その結果の平均をとる。
【0079】
工程II.で得られた処理済みのテキスタイル廃棄物を、品質向上のために後処理することができる。例えば、短繊維の割合を低減するため、および/または粗大物や異物を分離するために高度の清浄化を実施することができる。さらに、例えば難燃加工、防カビ加工および/または帯電防止加工などの所望の繊維加工を施すことができる。
【0080】
本発明の好ましい実施形態において、工程II.で得られた処理済みのテキスタイル廃棄物は、
a)平均繊度が0.9dtex~8.8dtex、有利には0.9dtex~6.7dtex、特に0.9dtex~3.3dtexであるフレームワークステープル繊維を、処理済みのテキスタイル廃棄物の総重量に対して50重量%~90重量%、好ましくは60重量%~80重量%、なおもより好ましくは70重量%~80重量%の割合で含み、かつ
b)芯鞘型バインダー繊維を、処理済みのテキスタイル廃棄物の総重量に対して10重量%~50重量%、好ましくは20重量%~40重量%、なおもより好ましくは20重量%~30重量%の割合で含む。
【0081】
本発明のさらに好ましい実施態様において、工程II.で得られた処理済みのテキスタイル廃棄物は、処理済みのテキスタイル廃棄物の総重量に対してそれぞれ
a)5重量%~90重量%、なおもより好ましくは10重量%~80重量%、なおもより好ましくは15重量%~70重量%、なおもより好ましくは20重量%~60重量%、特に20重量%~50重量%の、平均繊度が0.9dtex~8.8dtex、有利には0.9dtex~6.7dtex、特に0.9dtex~3.3dtexである破砕フレームワークステープル繊維と、
b)1重量%~50重量%、なおもより好ましくは5重量%~40重量%、なおもより好ましくは7.5重量%~30重量%、特に10重量%~20重量%の破砕芯鞘型バインダー繊維と
を含む。
【0082】
工程II.の後に、任意の工程II.1を続けることができ、この工程は、工程II.で得られた処理済みのテキスタイル廃棄物を、一次フレームワークステープル繊維および/または一次芯鞘型バインダー繊維と混合して、一次繊維を含む処理済みのテキスタイル廃棄物を得ることを含む。好ましくは、工程II.1により、処理済みのテキスタイル廃棄物の総重量に対して以下の成分:
a)0重量%~70重量%、有利には10重量%~65重量%、なおもより好ましくは20重量%~55重量%、特に30重量%~45重量%の一次フレームワークステープル繊維と、
b)0重量%~70重量%、有利には5重量%~60重量%、なおもより好ましくは10重量%~50重量%、特に15重量%~40重量%の一次芯鞘型バインダー繊維と、
c)5重量%~90重量%、なおもより好ましくは10重量%~80重量%、なおもより好ましくは15重量%~70重量%、なおもより好ましくは20重量%~60重量%、特に20重量%~50重量%の破砕フレームワークステープル繊維と、
d)1重量%~50重量%、なおもより好ましくは5重量%~40重量%、なおもより好ましくは7.5重量%~30重量%、特に10重量%~20重量%の破砕芯鞘型バインダー繊維と
を含む処理済みのテキスタイル廃棄物が得られる。
【0083】
本発明による方法の工程III.では、工程II.またはII.1で得られた処理済みのテキスタイル廃棄物から不織布の形成を行う。不織布の形成は、当業者に公知の様々な方法、例えばカーディング法によって行うことができる。
【0084】
本発明による方法の工程IV.において、工程III.で得られた不織布を熱処理して、1993年5月版のDIN EN 29053に準拠して測定された、150Ns/m~5000Ns/m、有利には150Ns/m~3000Ns/m、なおもより好ましくは150Ns/m~2000Ns/m、特に150Ns/m~1000Ns/mの流動抵抗と、150g/m~600g/mの目付とを有する吸音性不織布を得る。当業者に知られているように、目付の調整は、不織布の積層時に目付を適切に設定することにより行うことができる。熱処理は、好ましくは110℃~220℃、好ましくは120℃~200℃の温度で行われる。熱処理は、さらに好ましくは強制通気式オーブンで行われる。
【0085】
本発明のさらなる主題は、本発明による方法で製造された吸音性不織布である。
【0086】
本発明のさらなる主題は、自動車分野、特に自動車内装における吸音のための、本発明による吸音性不織布の使用である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1】一次フレームワーク繊維の写真画像を示す図である。
図2】破砕フレームワーク繊維の写真画像を示す図である。
図3】融合した一次バインダー繊維のSEM画像を示す図である。
図4】破砕バインダー繊維(再融合したものではない)のSEM画像を示す図である。
図5】再融合した破砕バインダー繊維のSEM画像を示す図である。
図6】巣状の繊維を有する本発明による不織布を示す図である。
図7】一次繊維のみを含み、巣状の繊維を含まない不織布を示す図である。
図8】アルファキャビンにおける本発明による不織布の吸音率を示す図である。
【0088】
本発明により使用されるパラメータを決定するために、以下の測定方法を用いる:
残響室(アルファキャビン)での吸音率測定試験方法
DIN EN ISO 354:2003に準拠して、アルファキャビンで測定を行う。試験サンプルを床に直接置き、フレームを用いて測定する。
【0089】
処理済みのテキスタイル廃棄物中の破砕フレームワークステープル繊維および破砕芯鞘型バインダー繊維の割合の決定
処理済みのテキスタイル廃棄物から少なくとも10個のサンプル(5g)を採取する。繊維を、ピンセットを使用して手で分離する。少なくとも部分的に破壊されたバインダー成分を有する芯鞘型バインダー繊維を、破砕芯鞘型バインダー繊維と見なす。不規則な、ないしは完全に破壊された捲縮構造を有するフレームワークステープル繊維を、破砕フレームワークステープル繊維と見なす。
【0090】
不織布中の破砕フレームワークステープル繊維および破砕芯鞘型バインダー繊維の割合の決定
不織布から少なくとも5個のサンプルを切り出す。切り取った端部について10箇所(1cm)を顕微鏡で観察する(解像度は図3に示す)。芯鞘型バインダー繊維のうち、例えば2つの芯が共通の1つの鞘に包囲されていたり、鞘が変形して例えば凝集しているなど、構造が不規則なものを、破砕芯鞘型バインダー繊維と見なす。不規則な、ないしは完全に破壊された捲縮構造を有するフレームワークステープル繊維を、破砕フレームワークステープル繊維と見なす。
【0091】
目付を測定するための不織布の試験方法
ISO 9073-1(1989-07)に準拠し、測定サンプルの面積は100mm×100mmとする。
【0092】
厚さを測定するための不織布の試験方法
DIN EN ISO 9073-2(1997-02)のB法およびC法に準拠する。
【0093】
繊維繊度の測定
DIN 53810(1981-02)(紡績糸の繊度-用語および測定原理)に準拠し、顕微鏡と対応するソフトウェアを使用して繊維径を測定する。合計20本を超える単繊維から4つのマイクロプレパレーションを調製する。各マイクロプレパレーションについて、繊維をはさみで約2~3mmの長さに短くし、標本用ピンを用いて顕微鏡スライド上に置く。その後、適切なソフトウェアを用いて繊維径をμm単位で測定し、平均をとる。平均をとった繊維径を、次いで以下の式:
Tt[dtex]=(π×d×ρ)/400
により繊維繊度Ttに換算することができ、ここで、
dは、繊維径(μm)であり、
ρは、繊維密度(g/cm)である。
【0094】
ステープル長の測定
既存の繊維サンプルから10本の繊維束を選び、10本の繊維束のそれぞれからピンセットを用いて1本の単繊維を取り出し、2つのクランプのうち1つで一方の繊維自由端をクランプし、残りのクランプでもう一方の繊維端をクランプすることにより、10本の単繊維の繊維長を測定する。ハンドホイールを回して繊維がまっすぐになるまで、繊維を引き伸ばす。測定装置の目盛りから繊維長を読み取り、mm単位で記録する。記録されたすべての結果の平均値が、ステープル長を示す:
SP[mm]=(ΣL)/n
ΣL 個々の繊維長の和
n ランダムサンプルの数。
【0095】
融点の測定
DIN EN ISO 11357-3(2018-07)「示差走査熱量測定(DSC)-第3部:溶融温度および結晶化温度ならびに溶融エンタルピーおよび結晶化エンタルピーの測定」に準拠し、加熱速度を10K/分とする。
【0096】
横方向/縦方向の最大引張力(DIN EN ISO 9073-3、2022-05に準拠)
最大引張力を、以下のように測定する:
DIN 51220(2003)およびDIN EN ISO 7500(2018)に準拠した引張試験機および260×50mmのポンチを使用する。
【0097】
サンプル準備:
既存の試験サンプルから、縦方向および横方向で縁部からそれぞれ10cm離して生地幅にわたって均等に測定サンプルを打ち抜く。
【0098】
実施:
測定サンプルを中央で垂直に均等にクランプした後、機械固有の作業指示にしたがって試験を実施し、規定の引張速度=200mm/分、予荷重0.5Nで引っ張る。
【0099】
DIN 54310(1980)に準拠した不織布内部強度
規格と異なり、不織布を、得られる脚部を引張試験機のクランプでクランプできるように、面に対して平行に分離する。
【0100】
流動抵抗測定の試験方法
DIN EN 29053(1993-05)、方法A(空気並流法)に準拠し、有効サンプル径は100mm、空気圧は1000mbarに相当する。
【0101】
以下、本発明につき、以下の非限定的な実施例に基づきさらに詳細に説明する。
【0102】
実施例1:
テキスタイル廃棄物として、1.7dtexのPET繊維(フレームワークステープル繊維、38mm)80重量%と、4.4dtexのPET/CoPET(芯鞘型バインダー繊維)20重量%とからなる吸音材を使用する。このテキスタイル廃棄物を湿らせ、破砕エレメントとして鋸歯セットを備えた破砕機での破砕工程で再開繊し、処理済みのテキスタイル廃棄物を得る。この処理済みのテキスタイル廃棄物は、未崩壊のテキスタイル残渣を15重量%未満の割合で含む。この処理済みのテキスタイル廃棄物からカード機を用いて不織布を形成し、熱処理によって250g/m、厚さ10mmの新たな吸音材を製造する。得られた吸音材は、153Ns/mの流動抵抗を有し、アルファキャビン(DIN EN ISO 354:2003)で測定された、図8に示す吸音率を有する。さらに、この吸音材は、均一な外観および優れた機械的特性を有する。この吸音材は、62Nの横方向の最大引張力(DIN EN ISO 9073-2、2022-05に準拠)、およびDIN 54310 1980に準拠して測定された1.28N/5cmの不織布内部強度を有する。
【0103】
実施例2:
実施例1で得られた処理済みのテキスタイル廃棄物を、一次フレームワークステープル繊維および一次芯鞘型バインダー繊維と混合して、一次繊維を含む処理済みのテキスタイル廃棄物を得る。この処理済みのテキスタイル廃棄物は、フレームワーク繊維およびバインダー繊維の割合の点で、実施例1の元のテキスタイル廃棄物と同じ組成を有する(1.7dtexのPET繊維(38mm)80重量%、および4.4dtexのPET/CoPET繊維20重量%)。ここで、この処理済みのテキスタイル廃棄物は、再開繊された繊維をa)25重量%およびb)50重量%含む。
【0104】
この処理済みのテキスタイル廃棄物からカード機を用いて不織布を形成し、熱処理によって250g/m、厚さ10mmの新たな吸音材を製造する。再開繊された繊維を25重量%および50重量%含むこの得られた吸音材は、それぞれ160Ns/mの流動抵抗を有し、図8に示す吸音率を有する。吸音材は全体的に均一な外観および優れた機械的特性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1993年5月版のDIN EN 29053に準拠して測定された150Ns/m~5000Ns/mの流動抵抗と、150g/m~600g/mの目付とを有するサーマルボンド吸音性不織布であって、
a)平均繊度が0.9dtex~8.8dtexであるフレームワークステープル繊維を、前記不織布の総重量に対して50重量%~90重量%の割合で含み、かつ
b)芯鞘型バインダー繊維を、前記不織布の総重量に対して10重量%~50重量%の割合で含むサーマルボンド吸音性不織布において、
前記フレームワークステープル繊維は、ある割合の破砕フレームワークステープル繊維を含み、前記芯鞘型バインダー繊維は、ある割合の破砕芯鞘型バインダー繊維を含むことを特徴とする、サーマルボンド吸音性不織布。
【請求項2】
前記不織布が、一次フレームワークステープル繊維を含み、前記一次フレームワークステープル繊維が、0.9dtex~8.8dtexの平均繊度および/または20mm~80mmの平均ステープル長を有することを特徴とする、請求項1記載のサーマルボンド吸音性不織布。
【請求項3】
前記不織布が、一次芯鞘型バインダー繊維を含み、前記一次芯鞘型バインダー繊維がステープル繊維であり、好ましくは20mm~80mmの平均ステープル長を有することを特徴とする、請求項1または2記載のサーマルボンド吸音性不織布。
【請求項4】
前記不織布が、一次フレームワークステープル繊維および/または一次芯鞘型バインダー繊維を含み、前記破砕芯鞘型バインダー繊維が、有利には前記一次芯鞘型バインダー繊維と同じ平均繊度および/もしくは同じポリマーを有し、かつ/または前記破砕フレームワーク繊維が、前記一次フレームワーク繊維と同じ平均繊度および/もしくは同じポリマーを有することを特徴とする、請求項記載のサーマルボンド吸音性不織布。
【請求項5】
前記フレームワークステープル繊維の総重量に対する前記破砕フレームワークステープル繊維の割合が、10~100重量%であり、かつ/または前記芯鞘型バインダー繊維の総重量に対する前記破砕芯鞘型バインダー繊維の割合が、10~100重量%であることを特徴とする、請求項記載のサーマルボンド吸音性不織布。
【請求項6】
前記不織布が、前記不織布の総重量に対してそれぞれ
a)0重量%~70重量%、有利には10重量%~65重量%の一次フレームワークステープル繊維と、
b)0重量%~70重量%、有利には5重量%~60重量%の一次芯鞘型バインダー繊維と、
c)5重量%~90重量%の破砕フレームワークステープル繊維と、
d)1重量%~50重量%、なおもより好ましくは5重量%~40重量%の破砕芯鞘型バインダー繊維と
を含むことを特徴とする、請求項記載のサーマルボンド吸音性不織布。
【請求項7】
前記不織布が、破砕工程で処理されたテキスタイル廃棄物から製造されたものであり、前記破砕工程での処理が、前記処理済みのテキスタイル廃棄物に含まれる未崩壊のテキスタイル残渣、特にネップおよびシート状材料片が、前記処理済みのテキスタイル廃棄物の総量に対して30重量%未満の割合となるように行われたことを特徴とする、請求項記載のサーマルボンド吸音性不織布。
【請求項8】
150Ns/m~5000Ns/mの流動抵抗と、150g/m~600g/mの目付とを有する吸音性不織布の製造方法であって、
I.テキスタイル廃棄物を提供する工程であって、前記テキスタイル廃棄物は、以下:
a)平均繊度が0.9dtex~8.8dtexであるフレームワークステープル繊維を、前記テキスタイル廃棄物の総重量に対して50重量%~90重量%の割合で含み、かつ
b)芯鞘型バインダー繊維を、前記テキスタイル廃棄物の総重量に対して10重量%~50重量%の割合で含むものとする工程と、
II.前記テキスタイル廃棄物のテキスタイル構造を破砕工程で少なくとも部分的に崩壊させることにより、ある割合の破砕フレームワークステープル繊維とある割合の破砕芯鞘型バインダー繊維とを含む処理済みのテキスタイル廃棄物を得る工程と、
III.前記処理済みのテキスタイル廃棄物から不織布を形成する工程と、
IV.前記不織布を熱処理して、吸音性不織布を得る工程と
を含む、方法。
【請求項9】
前記テキスタイル廃棄物を湿らせる工程I.2をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記破砕工程を破砕機で行い、その動作原理は、前記テキスタイル廃棄物が、搬送作用と同時にクランプ作用をも有する引込システムを通って破砕ユニット、有利には破砕エレメントが配置された回転ドラムに供給されるというものであり、前記破砕エレメントは、鋸歯セットとして形成されていることを特徴とする、請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
前記テキスタイル廃棄物を、破砕プロセスに複数回供することを特徴とする、請求項記載の方法。
【請求項12】
工程II.での前記テキスタイル廃棄物の前記テキスタイル構造の崩壊を、前記処理済みのテキスタイル廃棄物に含まれるネップやシート状材料片などの未崩壊のテキスタイル残渣が多くとも30重量%となる程度に、かつ/または前記処理済みのテキスタイル廃棄物に含まれるテキスタイル単繊維が、前記処理済みのテキスタイル廃棄物の総重量に対して少なくとも70重量%となる程度に行うことを特徴とする、請求項記載の方法。
【請求項13】
工程II.で得られた処理済みのテキスタイル廃棄物を、一次フレームワークステープル繊維および/または一次芯鞘型バインダー繊維と混合することをさらに含む、請求項記載の方法。
【請求項14】
請求項1または2記載の不織布を製造することを特徴とする、請求項記載の方法。
【請求項15】
請求項8または9記載の方法により製造された、吸音性不織布。
【請求項16】
自動車分野における吸音のための、請求項1または2記載の吸音性不織布の使用。
【外国語明細書】