IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パイオニア株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図1
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図2
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図3
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図4
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図5
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図6
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図7
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図8
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図9
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図10
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図11
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図12
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図13
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図14
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図15
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図16
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図17
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図18
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図19
  • 特開-表示装置および表示装置の駆動方法 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148175
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】表示装置および表示装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/62 20140101AFI20241009BHJP
   G03B 21/60 20140101ALI20241009BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20241009BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20241009BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20241009BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20241009BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20241009BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
G03B21/62
G03B21/60
G02F1/13 505
G02F1/133 505
G02F1/1343
H04N5/74 C
G03B21/14 Z
G03B21/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024109076
(22)【出願日】2024-07-05
(62)【分割の表示】P 2023038395の分割
【原出願日】2012-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 俊博
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 春仁
(57)【要約】
【課題】簡単な回路構成であるとともに、低消費電力化を図ることができる表示装置および表示装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】リバースモードのスクリーン21の対向電極26には、光学層の光学状態を変化させる周期の2倍の周期で、正の電圧V11と0ボルトとの間で変化する矩形波電圧を印加し、制御電極27には、対向電極26に印加した矩形波電圧と同じ周期かつ同相でV11と同じ値である正の電圧V12と0ボルトとの間で変化する矩形波電圧に光学層25の光学状態を変化させるタイミングで光学状態が変化する電極間電位差となるパルス電圧を重畳させて印加するように制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧の印加により光学状態が変化する光学層、および前記光学層に電圧を印加するために前記光学層を挟んで対向配置される第1電極及び第2電極を備えたスクリーンと、
前記スクリーンに投影される映像光の投影期間において、前記第1電極および前記第2電極に所定の電圧を印加し、前記スクリーンを前記映像光を散乱する所定の映像状態と該映像状態と異なる光学状態である非映像状態との間で切り替える制御部と、
を有する表示装置において、
前記制御部が、前記第1電極に、前記光学状態を変化させる周期の整数倍の周期の第1矩形波電圧を印加し、前記第2電極に、前記第1矩形波電圧と同じ周期かつ同じ位相または同じ周期かつ半周期ずれている位相の第2矩形波電圧と、前記光学状態を変化させるタイミングで前記光学状態が変化する電極間電位差とするパルス電圧と、を重畳させて印加することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を表示する表示装置および表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からプロジェクタ等の光源からの投影映像をスクリーン(投影面)に投影して映像を表示する表示装置が知られている。
【0003】
この種の表示装置のスクリーンには、液晶素子を使用することがある。液層素子(液晶ディスプレイ)は、一般的に直流駆動すると寿命が短くなるため、交流電圧を加えることで駆動する交流電圧駆動が行われている。この交流の印加方式としては、フレーム反転駆動方式、行ライン反転駆動方式、列ライン反転駆動方式およびドット反転駆動方式などが挙げられる(交流駆動の液晶を使用したスクリーンの例として特許文献1を参照)。
【0004】
また、特許文献2には、スクリーンとして透過型の液晶ディスプレイパネルを使用し、スクリーンの透過率を制御して透明状態と不透明状態とを交互に変化させて、透明状態のときにスクリーンの背後に設置されたカメラで鑑賞者の撮影を行い、不透明状態のときにはディプレイとして映像を表示させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開第4229161号公報
【特許文献2】特許第4490357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載された透過型の液晶ディスプレイも、駆動方法としては交流駆動が行われる。しかしながら、交流駆動の場合、光学状態を変化させるタイミングの自由度を高くするために、一方の電極を0ボルトに固定して、他方の電極に両極性の交流電圧波形を印加することがあるが、その場合、正の所定電圧+Vと負の所定電圧-Vの2つの電源が必要となり、電源や駆動回路が複雑化するという問題がある。また、駆動電圧の振幅も大きくなってしまうために、消費電力が大きくなってしまうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題に鑑み、例えば、簡単な回路構成であるとともに、低消費電力化を図ることができる表示装置および表示装置の駆動方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の表示装置は、電圧の印加により光学状態が変化する光学層、および前記光学層に電圧を印加するために前記光学層を挟んで対向配置される第1電極及び第2電極を備えたスクリーンと、前記スクリーンに投影される映像光の投影期間において、前記第1電極および前記第2電極に所定の電圧を印加し、前記スクリーンを前記映像光を散乱する所定の映像状態と該映像状態と異なる光学状態である非映像状態との間で切り替える制御部と、を有する表示装置において、前記制御部が、前記第1電極に、前記光学状態を変化させる周期の整数倍の周期の第1矩形波電圧を印加し、前記第2電極に、前記第1矩形波電圧と同じ周期かつ同じ位相または同じ周期かつ半周期ずれている位相の第2矩形波電圧と、前記光学状態を変化させるタイミングで前記光学状態が変化する電極間電位差とするパルス電圧と、を重畳させて印加することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施例にかかる表示装置の概略構成図である。
図2図1に示されたスクリーンの模式的な断面図である。
図3図1に示されたスクリーンの光学特性と同期して投射するプロジェクタの説明図である。
図4図1に示された表示装置における映像光による映像とスクリーンの背景が重なる表示状態の説明図である。
図5図1に示されたスクリーンがリバースモードで動作する場合の駆動電圧波形を示したタイミングチャートである。
図6図1に示されたスクリーンがノーマルモードで動作する場合の駆動電圧波形を示したタイミングチャートである。
図7】本発明の第2の実施例にかかる表示装置のスクリーンがリバースモードで動作する場合の駆動電圧波形を示したタイミングチャートである。
図8図7に示されたスクリーンがノーマルモードで動作する場合の駆動電圧波形を示したタイミングチャートである。
図9】本発明の第3の実施例にかかる表示装置のスクリーンがリバースモードで動作する場合の駆動電圧波形を示したタイミングチャートである。
図10】本発明の第4の実施例にかかる表示装置のスクリーンがリバースモードで動作する場合の駆動電圧波形を示したタイミングチャートである。
図11図5に示された駆動電圧波形の光学層の素子電圧と平行光線透過率との関係を示したグラフである。
図12図10に示された駆動電圧波形の光学層の素子電圧と平行光線透過率との関係を示したグラフである。
図13】本発明の第5の実施例にかかる表示装置のスクリーンがリバースモードで動作する場合の駆動電圧波形を示したタイミングチャートである。
図14】本発明の第6の実施例にかかるスクリーンの模式的な断面図である。
図15図14に示された複数の制御電極の配置を示すスクリーンの模式的な正面図である。
図16図14に示されたスクリーンの走査と駆動との同期制御の説明図である。
図17図14に示されたスクリーンを走査するプロジェクタの説明図である。
図18図14に示されたスクリーンの走査と駆動の模式的なタイミングチャートである。
図19図14に示された駆動電圧波形を複数の領域に対して印加した場合を示すタイミングチャートである。
図20】本発明の第7の実施例にかかる表示装置のスクリーンがリバースモードで動作する場合の駆動電圧波形を示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態にかかる表示装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる表示装置は、電圧の印加により光学状態が変化する光学層、および光学層に電圧を印加するために光学層を挟んで対向配置される第1電極及び第2電極を有するスクリーンの第1電極には、光学層の光学状態を変化させる周期の整数倍の周期の第1矩形波電圧を印加し、第2電極には、第1矩形波電圧と同じ周期かつ位相が同じまたは半周期ずれている第2矩形波電圧に光学層の光学状態を変化させるタイミングで光学状態が変化する電極間電位差となるパルス電圧を重畳させて印加するように制御部が駆動するので、例えば、第1、第2矩形波電圧およびパルス電圧の振幅を所望の光学特性が得られる電極間電位差とすれば、少ない電源(1電源)で駆動するための回路を構成することができるので、簡単な回路構成にすることができる。また、電圧を低下させることができるので、消費電力を低下させることができる。さらに、容易に任意のタイミングで光学層を構成する素子の光学特性を変化させることが可能となる。
【0011】
また、第1電極に印加される第1矩形波電圧と第2電極に印加される第2矩形波電圧が、正または負の電圧および0ボルトを示す電圧で構成され、第2電極に印加される第2矩形波電圧の振幅が、第1矩形波電圧と同じとなっている、または、第1矩形波電圧より小さくなっていてもよい。このようにすることにより、2つの矩形波電圧を片極性の電圧にできるので一つの電極に印加する電圧の振幅を小さくすることができる。また、第1、第2矩形波電圧の振幅を光学状態が変化する電極間電位差とすれば、1電源で駆動するための回路を構成することができるので、簡単な回路構成にすることができる。また、第2矩形波電圧の振幅を小さくすれば、パルス電圧を印加するタイミング以外では小さい電圧で駆動できるので、消費電力を低下させることができる。
【0012】
また、第1電極に印加される第1矩形波電圧と第2電極に印加される第2矩形波電圧が、両極性交流電圧であり、第2電極に印加される第2矩形波電圧の振幅が、第1矩形波電圧と同じとなっている、または、第1矩形波電圧より小さくなっていてもよい。このようにすることにより、2つの矩形波電圧を両極性の電圧にできるので一つの電極に印加する電圧の絶対値を小さくすることができる。第1矩形波電圧と第2矩形波電圧とが同じ振幅の場合は、電源を共通化することができるので、簡単な回路構成にすることができる。また、第2矩形波電圧の振幅が小さい場合は、両極性交流電圧とした場合でも、第1矩形波電圧や第2矩形波電圧の振幅を従来よりも低下させながら光学状態が変化する電極間電位差を生成することができるので、消費電力を低下させることができる。
【0013】
また、第1電極に印加される第1矩形波電圧が、バイアスされた交流電圧であり、第2電極に印加される第2矩形波電圧が、正または負の電圧および0ボルトを示す電圧で構成され、第2電極に印加される第2矩形波電圧の振幅が、第1矩形波電圧より小さく、かつ、振幅の中央値が第1矩形電圧と同じ値であってもよい。このようにすることにより、第1電極をバイアスした分だけ第2電極の振幅を小さくしても光学状態が変化する電極間電位差を生成することができるので、消費電力を低下させることができる。
【0014】
また、パルス電圧が、第2矩形波電圧を構成する2つの電圧値のうち、少なくともいずれか一方と同じ値であってもよい。このようにすることにより、第2矩形波電圧を生成する電源とパルス電圧を形成する電源を共通化することができるので、駆動回路を簡単な回路構成にすることができる。
【0015】
また、パルス電圧が、第1矩形波電圧を構成する2つの電圧値のうち、少なくともいずれか一方と同じ値であってもよい。このようにすることにより、第1矩形波電圧を生成する電源とパルス電圧を形成する電源を共通化することができるので、駆動回路を簡単な回路構成にすることができる。
【0016】
また、パルス電圧の振幅が、第1矩形波電圧の振幅よりも小さくてもよい。このようにすることにより、パルス電圧の振幅を小さくしても、光学状態が変化する電極間電位差を生成することができるので、消費電力を低下させることができる。
【0017】
また、パルス電圧が、第2矩形波電圧の半周期において、複数の電圧値より構成されていてもよい。このようにすることにより、例えば、1つのパルス電圧を段階的に変化させることで、光学層を構成する素子の過渡特性を最適化することができる。
【0018】
また、第1矩形波電圧の周期が、光学層の光学状態を変化させる周期の偶数倍となっていてもよい。このようにすることにより、第1矩形波電圧の波形を映像の同期信号などから生成し易くなり、回路構成を簡単にすることができる。
【0019】
また、第1矩形波電圧および第2矩形波電圧が、この2つの矩形波電圧により生じる電位差により光学層を構成する素子の素子特性が変化せず、電圧を印加しない場合と同じ光学状態となる電圧としてもよい。このようにすることにより、素子の経時変化による劣化を少なくすることができる。
【0020】
また、第2電極が複数の領域に分割されており、制御部が、分割された第2電極の各領域に対応する光学層の光学状態を変化させるタイミングを順次切り替えるようにパルス電圧の印加タイミングを順次切り替えてもよい。このようにすることにより、第2電極が複数の領域に分割されているようなスクリーンにおいて、簡単な回路構成にすることができるとともに、消費電力を低下させることができる。
【0021】
また、第2電極が、短冊状に分割されていてもよい。このようにすることにより、例えば、スクリーンを走査方向に沿って縦に配列することができ、映像の走査順に順次光学状態を変化させることができる。
【0022】
また、制御部が、複数の領域に分割された第2電極に印加するパルス電圧の印加時間を隣接する領域で互いに重なるように制御してもよい。このようにすることにより、次の領域の光学状態が安定してから映像を表示させることができ、輝度ムラなど表示の劣化を抑えることができる。
【0023】
また、制御部が、第2電極に印加するパルス電圧の印加時間を増加または減少させることにより光学層の所望の光学特性維持時間を変化させてもよい。このようにすることにより、各領域の光学状態の保持時間率を任意に変化させることができ、それによってスクリーンの透明度を変化させることができる。
【0024】
また、制御部が、複数の第2電極のうち、光学層の光学特性維持時間が第1矩形波電圧の電圧値変化タイミングを跨ぐ第2電極を検出した場合は、当該第2電極に印加するパルス電圧を、電圧値変化タイミングで第2矩形波電圧の中央値に関して反転するような電圧値に変化させるように制御してもよい。このようにすることにより、複数の領域のうち、光学特性維持時間が第1矩形波電圧の電圧値変化タイミングにかかってしまう領域も設定した時間分の光学特性を維持させることができ、領域によって光学特性維持時間が異なることによる表示のムラなど表示の劣化を防止することができる。
【0025】
また、本発明の一実施形態にかかる表示装置の駆動方法は、電圧の印加により光学状態が変化する光学層、および光学層に電圧を印加するために光学層を挟んで対向配置される第1電極及び第2電極を有するスクリーンの第1電極には、光学層の光学状態を変化させる周期の整数倍の周期の第1矩形波電圧を印加し、第2電極には、第1矩形波電圧と同じ周期かつ位相が同じまたは半周期ずれている第2矩形波電圧に光学層の光学状態を変化させるタイミングで光学状態が変化する電極間電位差となるパルス電圧を重畳させて印加しているので、例えば、第1、第2矩形波電圧およびパルス電圧の振幅を所望の光学特性が得られる電極間電位差とすれば、少ない電源(1電源)で駆動するための回路を構成することができるので、簡単な回路構成にすることができる。また、電圧を低下させることができるので、消費電力を低下させることができる。さらに、容易に任意のタイミングで光学層を構成する素子の光学特性を変化させることが可能となる。
【実施例0026】
本発明の第1の実施例にかかる表示装置1を図1乃至図6を参照して説明する。表示装置1は図1に示すように、プロジェクタ11と、スクリーン21と、同期制御部31と、を備えている。表示装置1は、プロジェクタ11の映像光をスクリーン21で透過散乱する透過型プロジェクション装置である。
【0027】
プロジェクタ11は、走査周期中にスクリーン21上で黒状態(投射光が出ない状態)を順次シフトさせる透過型あるいは反射型液晶ライトバルブなどを使用できるが、これ以外の素子を用いてもよい。また、プロジェクタ11は、映像の走査周期においてラスター走査し、スクリーン21の表示面に映像光を点順次で投影するものでもよい。このプロジェクタ11では、強度変調された光ビームの照射方向を可動ミラーで反射して振るような、例えばレーザプロジェクタなどを用いることができる。このプロジェクタ11は、映像光の照射位置がスクリーン21上の一方向に順次走査されているものと同様に考えることができる。
【0028】
プロジェクタ11は、スクリーン21へ映像情報により変調された映像光を投影できるものであればよい。なお、映像情報は、プロジェクタ11に入力される映像信号から得られる。映像信号には、たとえば、NTSC(National Television Standards Committee
)方式、PAL(Phase Alternation by Line)方式のようなアナログ方式の映像信号、
MPEG-TS(Moving Picture Experts Group - Transport Stream)フォーマット、HDV(High-Definition Video)フォーマットのようなデジタルフォーマットの映像信
号がある。プロジェクタ11には、動画の映像信号だけでなく、たとえばJPEG(Joint Photographic Experts Group)のような静止画の映像信号が入力されてもよい。この場合、プロジェクタ11は、静止画を表示するための同じ映像光で、スクリーン21を繰り返し走査すればよい。
【0029】
スクリーン21は、電圧の印加により光学状態を変化できるものであればよい。スクリーン21の光学状態は、散乱する状態が映像状態であり、それよりも入射光の散乱が小さく且つ平行光線透過率が高い透明な透過状態が非映像状態である。
【0030】
スクリーン21は、例えば、液晶材料を用い、散乱状態と入射光の散乱が小さい透明な透過状態を変化させる調光スクリーンなどでよい。調光スクリーンには、たとえば、高分子分散液晶などの液晶素子を用いたもの、透明セル内の白色粉体を移動させることで散乱状態と入射光の散乱が小さい透明な透過状態を制御する素子などを用いたものなどがある。
【0031】
図2に、光学状態を制御可能なスクリーン21の模式的な断面図を示す。図2に示したスクリーン21は、一対の透明なガラス板23,24の間に液晶を含む複合材料を挟み込んだ光学層25を有する。一方のガラス板24の光学層25側には、全面に対向電極26が形成される。他方のガラス板23の光学層25側には、全面に制御電極27が配置される。なお、電極26、27と光学層25との間に、絶縁体からなる中間層を形成してもよい。
【0032】
また、対向電極26および制御電極27は、たとえばITO(酸化インジウム・スズ)により、透明電極として形成される。光学層25は、制御電極27と対向電極26との間に配置される。
【0033】
スクリーン21は、制御電極27と対向電極26との間に電位差を生じるように電圧が印加される。なお、以下に説明する駆動波形(駆動電圧波形)は、第2の電極としての制御電極27と第1の電極としての対向電極26に印加する波形(電圧)を示している。光学層25内の液晶の配列状態は、対向電極26と制御電極27の印加電圧により変化する。
【0034】
制御部としての同期制御部31は、映像が投影されるスクリーン21を、投影された映像光を散乱する状態に制御し、投影されていない場合に透過状態に制御する。同期制御部31は、図1に示したように、プロジェクタ11とスクリーン21とに接続される。同期制御部31は、プロジェクタ11の映像光の投影に同期させて、スクリーン21の光学状態を制御する。プロジェクタ11から同期制御部31へ入力される同期信号は、たとえばプロジェクタ11の走査周期に同期した同期信号などを用いることができる。
【0035】
次に、本実施例にかかる表示装置1において、スクリーン21の光学特性と同期して投射するプロジェクタ11の投影方式を、図3を参照して説明する。図3は、プロジェクタ11がインターバルを空けて映像光を投影する方式の説明図である。この場合、スクリーン21には、図3(B)に示すように、走査周期の一部において短期的に映像光が投影される。スクリーン21は、図3(C)に示すように、該一部の期間において散乱状態とすればよい。
【0036】
そして、該一部以外の期間において、スクリーン21の平行光線透過率を高くするようにスクリーン21の光学状態を制御すると、走査周期おいて、映像の輝度低下を招くことなく、スクリーン21のシースルー特性が得られる。定常的に映像光を投影する場合に比べ、同一輝度を得るには、1走査周期に対する散乱状態の時間程度のデューティ(図中duty:a)の概ね逆数倍の強さの投影光が必要となる。従って高いシースルー特性を得るには、強力なパルス発光の投影光出力が必要である。
【0037】
このようにプロジェクタ11とスクリーン21を制御することで、スクリーン21は、その背面の物体を認識しうる透明さを有しつつ、常時散乱状態とした場合と同等の明るさで映像光を散乱して透過できる。つまり、背景物体を認識することが可能なシースルー性と、映像の高い視認性とを両立することが可能となる。
【0038】
このプロジェクタ11とスクリーン21の同期制御のための切り替えタイミングの情報は、同期信号としてプロジェクタ11から同期制御部31に送出される。なお、プロジェクタ11および同期制御部31をマイクロ波、赤外線などの電磁波を用いたワイヤレス通信可能とし、これらの同期を得るための情報を無線信号により授受してもよい。
【0039】
表示装置1では、たとえば図1の設置環境下では、図4に示したように画像を視認できる。図4は、映像光による映像とスクリーン21の背景とが重なる表示状態の説明図である。図4では、スクリーン21の右側に映像光による人物41の像が映り、左側に、スクリーン21の向こう側にある背景としての樹木42を見ることができる。
【0040】
次に、リバースモードで動作するスクリーン21を用いる表示装置1の駆動を説明する。リバースモードで動作するスクリーン21では、電圧を印加していない通常状態において、スクリーン21が透明な透過状態となる。電圧を印加すると、印加電圧に応じた平行光線の散乱率の散乱状態となる。そして、スクリーン21の光学状態は、所定の散乱状態が映像状態に対応し、それよりも平行光線透過率が高い透明な透過状態が非映像状態に対応する。
【0041】
図5に、本実施形態にかかるリバースモードのスクリーン21に同期制御部31が印加する駆動電圧波形と光学状態の関係の一例を示したタイミングチャートを示す。また、駆動電圧波形の横軸は時間、縦軸は電圧である。光線透過率は光学層25の光学状態である。光線透過率の横軸は時間、縦軸は平行光線の透過率である。平行光線透過率が小さいことは散乱が強いことを示している。
【0042】
図5では、第1矩形波電圧である対向電極26に素子特性を変化させる繰返し周期(T)の2倍の周期(2T)の矩形波電圧が印加されている。この素子特性を変化させる繰返し周期とは、例えば1フレーム期間である。対向電極26に印加される矩形波電圧は、0ボルトと正電圧である+V11ボルトの2つの電圧の間を変化するように制御されている。また、対向電極26に印加する矩形波電圧の周期は、素子特性を変化させる繰返し周期の2倍に限らないが、4倍など偶数倍であることが好ましい。
【0043】
一方、第2矩形波電圧である第2電極には、対向電極26と同じ周期かつ同相(電圧が変化するタイミングが同じ)の矩形波電圧に、光学状態を変化させるタイミングでパルス電圧が重畳されている。つまり、光学状態を変化させるタイミング(図5のT11、T12)で、対向電極26と制御電極27の電極間の電位差を、光学層25の光学状態が変化する(透過状態から散乱状態に変化する)電位差まで増加するようにしている。図5では、T11、T12で透過状態から散乱状態に変化させている。つまり、このタイミングからパルス電圧の印加時間の間、制御電極27に対応する領域が映像状態になり、映像が投影される。
【0044】
また、制御電極27に印加させる矩形波電圧とパルス電圧は0ボルトと正電圧である+V12ボルトの2つの電圧の間を変化するように制御されている。即ち、T11では+V12ボルトのパルス電圧が印加され、T12では電圧が0ボルトに保持されたパルス電圧が印加されていることから、パルス電圧が制御電極27に印加される矩形波電圧の2つの電圧値(+V12、0)と同じ値となっている。
【0045】
対向電極26および制御電極27に印加する駆動電圧波形の振幅V11及びV12は、光学層25を構成する素子に直流バイアス成分が印加されないように一致している(V11=V12)ことが望ましいが、異なっていても光学層25を構成する素子特性に影響のない範囲で、透明状態を維持できる電位差と散乱状態となる電位差に基づいて適宜設定してもよい。例えば、制御電極27に印加する矩形波電圧の振幅を対向電極に印加する矩形波電圧よりも小さくし、パルス電圧は、光学状態を変化できる電位差となる電圧を印加するようにしてもよい。
【0046】
なお、図5では、制御電極27に印加するパルス電圧は1フレーム期間(素子特性を変化させる繰返し周期)に1回としたが、2回以上の複数回印加するようにして1フレーム期間に複数回散乱状態に変化させてもよい。勿論以下に説明する第2の実施例以降でも、パルス電圧を素子特性を変化させる繰返し周期に複数回印加してもよいことは言うまでも無い。
【0047】
本実施例によれば、リバースモードのスクリーン21の対向電極26には、光学層の光学状態を変化させる周期の2倍の周期で、正の電圧V11と0ボルトとの間で変化する矩形波電圧を印加し、制御電極27には、対向電極26に印加した矩形波電圧と同じ周期かつ同相でV11と同じ値である正の電圧V12と0ボルトとの間で変化する矩形波電圧に光学層25の光学状態を変化させるタイミングで光学状態が変化する電極間電位差となるパルス電圧を重畳させて印加するように同期制御部31が制御しているので、例えば、2つの矩形波電圧およびパルス電圧の振幅V11、V12を、同じ値であって所望の光学特性が得られる電極間電位差とすれば、1電源で駆動するための回路を構成することができるので、簡単な回路構成にすることができる。また、印加する電圧値を低下させることができるので、消費電力を低下させることができる。
【0048】
また、矩形波電圧を印加しているので、実質的に交流駆動を行っている。また、2つの矩形波電圧を片極性の電圧にできるので一つの電極に印加する電圧の振幅を小さくすることができる。また、矩形波電圧の周期が、光学層25の光学状態を変化させる周期の偶数倍である2倍となっているので、矩形波電圧の波形を映像の同期信号などから生成し易くなる。つまり、対向電極26の矩形波電圧をプロジェクタ11のフレーム周期と同期させれば、散乱状態に変化されるための変調タイミングは、その時間幅を含めて制御電極27の波形により自由度を大きくすることができるため、容易に任意のタイミングで光学層25を構成する素子の光学特性を変化させることが可能となる。
【0049】
また、パルス電圧が、制御電極27に印加される矩形波電圧を構成する2つの電圧値(+V12、0)のうち一方の電圧(+V12)と同じ値であるので、制御電極27に印加する電圧を生成する電源を1つにすることができ、簡単な回路構成にすることができる。
【0050】
なお、上述した実施例では、対向電極26と制御電極27に印加する電圧を0ボルトと正電圧としていたが、0ボルトと負電圧としてもよい。また、パルス電圧が、制御電極27に印加される矩形波電圧を構成する2つの電圧値のうち一方の電圧と同じ値としたが、対向電極26に印加される矩形波電圧を構成する2つの電圧値(+V11、0)のうち一方の電圧と同じ値としてもよい。
【0051】
また、上述した実施例ではリバースモードで動作するスクリーン21で説明したが、図6に示すように、ノーマルモードで動作するスクリーン21でもよい。ノーマルモードで動作するスクリーン21では、電圧を印加していない通常状態において、スクリーン21が散乱状態となる。電圧を印加すると、印加電圧に応じた平行光線透過率の透明な透過状態となる。
【0052】
ノーマルモードの場合、図6に示したタイミングチャートのように、対向電極26には、光学層25の光学状態を変化させる周期の2倍の周期の矩形波電圧が印加され、制御電極27には対向電極26と同じ周期かつ逆相(周期が半周期ずれている)の矩形波電圧に、光学状態を変化させるタイミング(T11、T12)でパルス電圧が重畳されている。つまり、光学状態を変化させるタイミング(図6のT11、T12)で、対向電極26と制御電極27の電極間の電位差を、光学層25の光学状態が変化する(透過状態から散乱状態に変化する)電位差まで減少するようにしている。ここで、図6のV11とV12は図6に示したV11及びV12と同じようにV1=V2の関係にある。
【実施例0053】
次に、本発明の第2の実施例にかかる表示装置を図7および図8を参照して説明する。なお、前述した第1の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
本実施例にかかる表示装置は、第1の実施例と構成は同じであるが、対向電極26と制御電極27に印加する駆動電圧波形が異なる。図7に示した本実施例にかかる駆動電圧波形の一例を示したタイミングチャートを参照して説明する。
【0055】
図7は、リバースモードで動作するスクリーン21の例である。図7では、第1矩形波電圧である対向電極26に素子特性を変化させる繰返し周期(T)の2倍の周期(2T)の矩形波電圧が印加されている。対向電極26に印加される矩形波電圧は、0ボルトを中心として+V21ボルトと-V21ボルトとの間で変化する矩形交流電圧となっている。
【0056】
一方、制御電極27には、第2矩形波電圧である対向電極26と同じ周期かつ同相の矩形波交流電圧に、光学状態を変化させるタイミングでパルス電圧が重畳されている。制御電極27に印加される矩形交流電圧は、0ボルトを中心として+V22ボルトと-V22ボルトとの間で変化し、パルス電圧も、-V22ボルトまたは+V22ボルトの電圧が印加されている。つまり、本実施例は、対向電極26と制御電極27に印加する駆動電圧波形が両極性交流電圧となっている点が第1の実施例と異なる。
【0057】
このようにして、光学状態を変化させるタイミング(図7のT21、T22)で、対向電極26と制御電極27の電極間の電位差を、光学層25の光学状態が変化する電位差まで増加するようにしている。
【0058】
本実施例では、対向電極26に印加される矩形波電圧が両極性交流電圧であり、対向電極26に印加される矩形波電圧の振幅が、制御電極27に印加される矩形波電圧と同じ(V21=V22)になっているので、対向電極26や制御電極27に印加する電圧は実質的に第1実施例の半分となり、小さな電圧で任意のタイミングに素子の光学特性を変化させることが可能となる。
【0059】
本実施例によれば、対向電極26に印加される矩形波電圧が、両極性交流電圧であり、制御電極27に印加される矩形波電圧の振幅が、対向電極26に印加される矩形波電圧と同じとなっており、かつ、振幅の中央値が同じ値(0ボルト)となっているので、両極性交流電圧とした場合でも、矩形波電圧の絶対値(0ボルトから矩形波を形成する2つの電圧値までの値)を従来よりも低下させながら光学状態が変化する電極間電位差を生成することができるので、消費電力を低下させることができる。
【0060】
なお、上述した実施例ではリバースモードで動作するスクリーン21で説明したが、図8に示すように、ノーマルモードで動作するスクリーン21でもよい。ノーマルモードの場合、図8に示したタイミングチャートのように、対向電極26には、光学層25の光学状態を変化させる周期の2倍の周期の矩形波交流電圧が印加され、制御電極27には対向電極26と同じ周期かつ逆相の矩形波交流電圧に、光学状態を変化させるタイミング(T21、T22)でパルス電圧が重畳されている。このようにして、光学状態を変化させるタイミング(図8のT21、T22)で、対向電極26と制御電極27の電極間の電位差を、光学層25の光学状態が変化する電位差まで減少するようにしている。ここで、図8のV21とV22は図7に示したV21及びV22と同じようにV21=V22の関係にある。
【実施例0061】
次に、本発明の第3の実施例にかかる表示装置を図9を参照して説明する。なお、前述した第1、第2の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
本実施例にかかる表示装置は、第1の実施例と構成は同じであるが、対向電極26と制御電極27に印加する駆動電圧波形が異なる。図9に示した本実施例にかかる駆動電圧波形の一例を示したタイミングチャートを参照して説明する。
【0063】
図9は、リバースモードで動作するスクリーン21の例であるがノーマルモードでも同様の趣旨で適用が可能である。図9では、第1矩形波電圧である対向電極26に素子特性を変化させる繰返し周期(T)の2倍の周期(2T)の矩形波電圧が印加されている。対向電極26に印加される矩形波電圧は、-V311ボルトの負電圧分のバイアスがかけられている。即ち、バイアスされた交流電圧である。また、矩形波電圧の正電圧+V312は、後述する制御電極27の矩形波電圧及びパルス電圧の振幅V32よりもV311ボルト分大きい電圧である。
【0064】
一方、制御電極27には、第2矩形波電圧である対向電極26と同じ周期かつ同相の矩形波電圧に、光学状態を変化させるタイミングでパルス電圧が重畳されている。制御電極27に印加される矩形波電圧は、0ボルトと正電圧である+V32ボルトの2つの電圧の間を変化するように制御されている。また、制御電極27の振幅の中央値と対向電極26の振幅の中央値は同じ値(V32/2)となっている。つまり、本実施例では、対向電極26に印加される矩形波電圧がバイアスされた交流電圧であり、制御電極27に印加される矩形波電圧の振幅が対向電極に印加されている矩形波電圧の振幅よりも小さく、双方の中央値が同じ値である点が第1の実施例と異なる。
【0065】
このようにして、光学状態を変化させるタイミング(図9のT31、T32)で、対向電極26と制御電極27の電極間の電位差を、光学層25の光学状態が変化する電位差まで増加するようにしている。即ち、T31では+V32から-V311まで、T32では+V312から0ボルトまでの電位差により光学状態が変化する。
【0066】
なお、図9では、負電圧がバイアスされた交流電圧を示したが、正電圧がバイアスされた交流電圧でもよい。その場合は、図9の波形の極性が反転したようになり、制御電極27には負電圧が印加される。
【0067】
本実施例によれば、対向電極26に-V311ボルトの負電圧のバイアスを与えているので、バイアス電圧分だけ制御電極27に印加する矩形波電圧やパルス電圧を低下させることができ、制御電極駆動用回路の低コスト化や消費電力を低下させることができる。特に、後述する制御電極27を分割して走査駆動するような場合に効果が大きい。
【実施例0068】
次に、本発明の第4の実施例にかかる表示装置を図10乃至図12を参照して説明する。なお、前述した第1乃至第3の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
本実施例にかかる表示装置は、第1の実施例と構成は同じであるが、対向電極26と制御電極27に印加する駆動電圧波形が異なる。図10に示した本実施例にかかる駆動電圧波形の一例を示したタイミングチャートを参照して説明する。
【0070】
図10は、リバースモードで動作するスクリーン21の例であるがノーマルモードでも同様の趣旨で適用が可能である。図10では、第1矩形波電圧である対向電極26に素子特性を変化させる繰返し周期(T)の2倍の周期(2T)の矩形波電圧が印加されている。対向電極26に印加される矩形波電圧は、0ボルトを中心として+V41ボルトと-V41ボルトとの間で変化する矩形交流電圧となっている。
【0071】
一方、制御電極27には、第2矩形波電圧である対向電極26と同じ周期かつ同相の矩形波交流電圧に、光学状態を変化させるタイミングでパルス電圧が重畳されている。但し、制御電極27に印加される矩形交流電圧は、振幅0としているので、実質的には0ボルトの直流が印加されていることとなる。パルス電圧は、-V42ボルトまたは+V42ボルトの電圧が印加されている。つまり、本実施例では、対向電極26に印加される矩形波電圧が両極性交流電圧であり、制御電極27に印加される矩形波電圧の振幅が0(ゼロ)であり、双方の振幅の中央値が同じ値となっている点が第1の実施例と異なる。
【0072】
このようにして、光学状態を変化させるタイミング(図10のT41、T42)で、対向電極26と制御電極27の電極間の電位差を、光学層25の光学状態が変化する電位差まで増加するようにしている。
【0073】
本実施例によれば、対向電極26に印加される矩形波電圧が、両極性交流電圧であり、制御電極27には、振幅0の矩形波交流電圧に光学層25の光学状態を変化させるタイミングでパルス電圧を印加しているので、制御電極27を安定にかつ必要な時だけ小さな振幅で光学状態が変化する電極間電位差を生成することができるので、消費電力を低下させることができる。
【0074】
なお、本実施例の場合、制御電極27に印加する矩形波電圧は振幅0でなく、対向電極26に印加される矩形波交流電圧よりも小さい振幅であってもよい。この場合でも、パルス電圧のみを必要な振幅とすることで、光学層25の光学状態を変化させることができる。
【0075】
また、本実施例の場合、光学層25の素子を、透過状態と散乱状態に変化する際の電圧変化と平行光線透過率の関係が急峻に変化する素子を使用することができる。電圧変化と平行光線透過率の関係について、図11および図12を参照して説明する。図11は第1の実施例(図5)に示した駆動電圧波形における電圧変化と平行光線透過率の関係を示したグラフ、図12は本実施例(図10)に示した駆動電圧波形における電圧変化と平行光線透過率の関係を示したグラフである。
【0076】
図5に示した駆動電圧波形の場合、素子電圧0ボルトの透明状態とV12ボルトの散乱状態との間を変化させる必要がある。このとき、透明状態から散乱状態には平行光線透過率が変化する中間状態を経て変化するため、この中間状態の長さ(傾き)が大きいと、変化させる電圧も大きくする必要がある。
【0077】
そこで、この中間状態の長さが短い(傾きが急峻)な素子を使用すれば、図12に示したように、透過状態の素子電圧をV41ボルトまで引き上げることができ、散乱状態の電圧(V41+V42)ボルトまで変化させるのに必要な制御電極27に印加するパルス電圧V42を小さくすることができる。
【0078】
また、図12のように駆動電圧を印加すると、光学層25を構成する素子には、パルス電圧を印加するタイミング以外では+V41または-V41の電圧が印加されることとなるが、この電圧は、素子の光学特性の経時変化による劣化が生じない程度の電圧とすることが好ましい。即ち、2つの矩形波電圧により生じる電位差により光学層25を構成する素子の素子特性が変化しない電圧(光学層25を構成する素子の素子特性が変化しない電圧せず、電圧を印加しない場合と同じ光学状態となる電圧)とする。この劣化とは、例えば、経時的に、中間状態の長さが長い(傾きが大きい)状態に変化したり、透過状態になる電圧が低下する方向に変化したりすることである。
【実施例0079】
次に、本発明の第5の実施例にかかる表示装置を図13を参照して説明する。なお、前述した第1乃至第4の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0080】
本実施例にかかる表示装置は、第1の実施例と構成は同じであるが、対向電極26と制御電極27に印加する駆動電圧波形が異なる。図13に示した本実施例にかかる駆動電圧波形の一例を示したタイミングチャートを参照して説明する。
【0081】
図13は、リバースモードで動作するスクリーン21の例であるがノーマルモードでも同様の趣旨で適用が可能である。図13では、第1矩形波電圧である対向電極26に素子特性を変化させる繰返し周期(T)の2倍の周期(2T)の矩形波電圧が印加されている。対向電極26に印加される矩形波電圧は、第1の実施例と同様に、0ボルトと+V51ボルトの2つの電圧の間を変化するように制御されている。
【0082】
一方、第2電極には、第2矩形波電圧である対向電極26と同じ周期かつ同相の矩形波電圧に、光学状態を変化させるタイミングでパルス電圧が重畳されている。図13のT51に印加されたパルス電圧は、+V52ボルトと+V53ボルトの2つの電圧から構成され、まず+V52ボルトが印加され所定時間経過後に+V53ボルトが印加されている。即ち、パルス電圧が制御電極27に印加される矩形波電圧の半周期において、複数の電圧値より構成されている。なお、V52>V53の関係であり、V53は散乱状態を維持できる電圧である。図13のT52に印加されたパルス電圧は、制御電極27に印加されている矩形波電圧の電圧値が変化したことによる波形であり、0ボルトと+V54ボルトの2つの電圧から構成され、まず、0ボルトが印加され所定時間経過後に+V54ボルトが印加されている。T51に印加されるパルス電圧と、T52に印加されるパルス電圧は、上述したように制御電極27に印加される矩形波電圧の電圧値が変化しているので、V52-V53=V54の関係が成立する。
【0083】
このようにして、光学状態を変化させるタイミング(図13のT51、T52)で、対向電極26と制御電極27の電極間の電位差を、光学層25の光学状態が変化する電位差まで増加するようにしている。
【0084】
特に、図13に示したように、まず、大きな電圧(V52)を印加してから、それよりも低い電圧(V53)を印加することで応答時間を速くしながら、適切な散乱状態に安定させることができる。
【0085】
なお、パルス電圧を構成する電圧は、2つに限らず3以上の電圧値で構成しても良いし、複数の電圧の組み合わせも、大きい順に変化させるに限らず、変化させる特性に応じて適宜変更してもよい。
【0086】
本実施例によれば、制御電極27に印加するパルス電圧が、複数の電圧値より構成されているので、1つのパルス電圧を段階的に変化させることで、光学層25を構成する素子の過渡特性を最適化することができる。
【実施例0087】
次に、本発明の第6の実施例にかかる表示装置を図14乃至図19を参照して説明する。なお、前述した第1乃至第5の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0088】
本実施例にかかる表示装置は、スクリーン21が、複数の領域に分割されており、各領域(分割領域)が、それぞれ独立したタイミングで、入射光の散乱が小さい透明な透過状態と、散乱状態との間で切り替えることができるようになっている。
【0089】
図14に、分割領域毎に光学状態を制御可能なスクリーン21の模式的な断面図を示し、図15に、図14に示したスクリーン21での、複数の制御電極の配置を示すスクリーンの模式的な正面図を示す。図14に示したスクリーン21は、一対の透明なガラス板23,24の間に液晶を含む複合材料を挟み込んだ光学層25を有する。一方のガラス板24の光学層25側には、全面に対向電極26が形成される。他方のガラス板23の光学層25側には、複数の制御電極27が並べて配置される。なお、電極26、27と光学層25との間に、絶縁体からなる中間層を形成してもよい。
【0090】
複数の制御電極27は、スクリーン21の映像光が照射される領域を、一方向(たとえば走査方向)で短冊状に分割する(図15参照)。複数の制御電極27は、同期制御部31に個別に接続され、個別に電圧を印加することができる。隣接する制御電極27は、互いに離間して配列される。なお、図15では短冊状の領域が縦に配置されているが、横方向にも分割して、マトリクス状に領域が分割されていてもよい。
【0091】
また、本実施形態の光学層25は、分割領域毎に、入射光の散乱が小さい透明な透過状態と、入射光を散乱する散乱状態との間で調整できる。
【0092】
なお、制御電極27の間の、制御電極27が形成されていない領域に対応した光学層25内のギャップ領域の幅は、5から100マイクロメートル程度であり、可能な限り狭いことが望ましい。光学層25の厚さは、数から数十マイクロメートルであり、光学特性と駆動電圧を考慮して決定される。
【0093】
次に、上述した構成の表示装置1の基本的な動作原理を説明する。図16は、スクリーン21の走査と駆動との同期制御の説明図である。プロジェクタ11は、映像情報で変調された映像光で、スクリーン21を上から下へ縦に走査する。プロジェクタ11は、走査の繰り返し期間(以下、走査周期ともいう。)毎に、スクリーン21を上から下へ縦に走査する。
【0094】
図16(A)から(E)は、1回の走査周期中の各時点での走査状態を、走査順で示すものである。図16のスクリーン21は、5つの分割領域22を有する。5つの分割領域22は、映像光の走査方向に沿って縦に配列される。
【0095】
同期制御部31は、プロジェクタ11によるスクリーン21の一次元の縦方向の走査に同期させて、5つの分割領域22の光学状態を個別に制御する。各分割領域22は、映像光が投影されていない場合、非映像状態、すなわち入射光の散乱が小さい透明な透過状態に制御される。
【0096】
映像光の走査が開始されると、プロジェクタ11の走査光は、まず、図16(A)のように、スクリーン21の最上部の分割領域22に照射される。以下、この説明において、走査光が照射される分割領域22について、走査されていない他の分割領域22から区別するために、符号221を使用する。同期制御部31は、プロジェクタからの同期信号に基づいて、走査周期中での、この最上部の分割領域221が走査される期間を特定し、最上部の分割領域221を映像状態に制御する。最上部の分割領域221を走査する映像光は、散乱状態の分割領域221により散乱され、スクリーン21を透過する。
【0097】
映像光の走査は、次に、図16(B)のように、スクリーン21の上から2番目の分割領域221に移動する。同期制御部31は、走査周期中での、この上から2番目の分割領域221が走査される期間を特定し、上から2番目の分割領域221を映像状態に制御する。上から2番目の分割領域221を走査する映像光は、散乱状態の分割領域221により散乱され、スクリーン21を透過する。また、同期制御部31は、上から2番目の分割領域221を映像状態に制御した後、最上部の分割領域22を非映像状態に制御する。その後も、図16(C)から(E)に示すように、同期制御部31は、走査光により走査される分割領域221を映像状態に制御し、それ以外の分割領域22を非映像状態に制御する。
【0098】
以上の同期制御により、スクリーン21についての走査光が照射される部位は、映像状態に維持される。これにより、スクリーン21を走査する映像光は、散乱状態のスクリーン21で散乱される。また、スクリーン21についての走査光が照射されない部位は、非映像状態に制御される。各分割領域22は、走査光により走査されていない殆どの期間において、非映像状態の透明な透過状態に制御される。映像光の投影期間中に、映像の視認性を保ちつつ、スクリーン21のシースルー特性が得られる。
【0099】
図17に、本実施例にかかるプロジェクタ11の投影方式の説明を示す。図17は、スクリーン21を走査するプロジェクタ11の説明図である。図17(A)は、プロジェクタ11がスクリーン21を走査する投影方式の説明図である。この場合、スクリーン21には、走査周期において常に映像光が投影される。しかしながら、スクリーン21の各部に注目すると、図17(B)に示すように走査周期の一部において映像光が投影されている。このため、図17(C)に示すように、スクリーンの各部は、各々が走査される部分走査期間TPにおいて散乱状態になればよい。また、スクリーン21の各部分は、該部分走査期間TP以外の期間において平行光線透過率を高くするように制御すれば、走査周期において、映像の輝度低下を招くことなく、スクリーン21のシースルー特性が得られる。
【0100】
図15に示したスクリーン21のように一方向に短冊状に分割されている場合、プロジェクタ11の投影光は、スクリーン21の分割方向に順次走査される。同期制御部31は、プロジェクタ11からの同期信号に基づいて、プロジェクタ11の投影光が照射される部位が映像状態(本実施例では散乱状態)に維持されるように、複数の分割領域22を、走査順で、透明な透過状態から散乱状態に制御する。この同期制御により、スクリーン21の各分割領域22は、当該領域に投影光が照射される映像期間を含む期間Ton(図18参照)において、映像状態としての散乱状態になる。また、投影光が照射されない非映像期間Toff(図18参照)においては、非映像状態としての透明な透過状態となる。
【0101】
したがって、スクリーン21は、その背面の物体を認識しうる透明さを有しつつ、常時散乱状態とした場合と同等の明るさで映像光を散乱して透過できる。つまり、背景物体を認識することが可能なシースルー性と、映像の高い視認性とを両立することが可能となる。
【0102】
図18は、スクリーン21の走査と駆動との模式的なタイミングチャートである。横軸は、時間である。縦軸は、スクリーンの縦方向の位置を示し、スクリーン21での複数の分割領域22に対応する。
【0103】
スクリーン21の各分割領域22は、各々の領域を映像光が走査し始めるタイミングより前に、透明な透過状態から散乱状態に制御される。また、散乱状態の分割領域22は、当該領域についての走査が終了した後に、散乱状態から透明な透過状態に制御される。
【0104】
複数の分割領域22は、各々の領域に映像光が走査により照射される部分走査期間TPに同期して映像状態(散乱状態)に制御されることにより、走査順で、時間をずらして、順次映像状態へ切り替えられる。スクリーン21を走査する映像光は、映像状態に維持された部分により、効率よく散乱され、明るく高い視認性を得ることができる。なお、図18中映像光走査が3本の矢印で表示されているが、これは赤緑青の光の3原色それぞれに対応する映像光を示している。
【0105】
この同期制御のための切り替えタイミングの情報は、第1の実施例と同様に同期信号としてプロジェクタ11から同期制御部31に送出される。同期制御部31は、好ましくは、各分割領域22の光学状態が所定の散乱状態に安定している期間に投影光が照射されるように、対向電極26と各制御電極27へ印加する電圧を制御する。各分割領域22の光学状態は、制御電極27へ印加する電圧の信号波形により切り替わる。特に、プロジェクタ11が同期制御部31へ出力する切り替えタイミングの情報には、プロジェクタ11の各フレームの走査を開始するタイミングの情報と、走査速度(走査の遅延/シフト)とを
含めるとよい。これにより、フレーム周波数が変化した場合にも、映像を乱すことなく、良好なシースルー表示を実現できる。なお、プロジェクタ11および同期制御部31をマイクロ波、赤外線などの電磁波を用いたワイヤレス通信可能とし、これらの同期を得るための情報を無線信号により授受してもよい。
【0106】
以上の同期制御により、本実施形態の同期制御部31は、映像光の走査周期Tにおける複数の分割領域22の光学状態を、プロジェクタ11による映像光の走査に同期させて切り替えて、スクリーン21についての、映像光が投影される部位の光学状態を映像状態とする。
【0107】
よって、スクリーン21は、映像光が照射されるタイミングを含む期間Tonにおいて、映像光が照射される部位が散乱状態に維持されるため、映像を表示できる。
【0108】
しかも、スクリーン21は、映像光の投影期間中に、各部位が期間Ton以外の時間では透明な透過状態に制御されるので、スクリーン21を透視することができる。人間の目にはスクリーン21の透過光が平均(積分)化されて見えるので、十分短い走査周期の場合、フリッカを感じることのないシースルー特性が得られる。
【0109】
次に、リバースモードで動作するスクリーン21を用いる表示装置1の駆動を説明する。図19に同期制御部31が印加する駆動電圧波形と光学状態の関係の一例を示したタイミングチャートを示す。図19は第1の実施例の駆動電圧波形(図5)を適用した例であるが、第2~第5の実施例に示した駆動電圧波形を適用してもよい。
【0110】
図19に示したように、パルス電圧を周期Tの間に走査の先頭となる領域1から順次等時間間隔でシフトさせるように印加して透過状態から散乱状態に変化させている。なお、図19ではパルス電圧の印加が隣接する領域間で時間的に一部重なっているが、全部重なってもよい(つまり、複数の領域が同時に変化してもよい)し、重ならないようにしてもよい。さらに、パルス電圧の印加時間も同じ時間(等時間間隔)でなく異なる時間(非等間隔)としてもよい。パルス電圧の印加時間を増加または減少させることで光学層25の光学特性維持時間を変化させることができる。
【0111】
即ち、分割された制御電極27の各領域に対応する光学層25の光学状態を変化させるタイミングを順次切り替えるようにし、その切り替えに基づいてパルス電圧の印加タイミングを順次切り替えている。
【0112】
本実施例によれば、制御電極27が複数の領域に短冊状に分割されており、同期制御部31が、分割された制御電極27の各領域に対応する光学層25の光学状態を変化させるタイミングを順次切り替えるようにパルス電圧の印加タイミングを順次切り替えているので、制御電極27が複数の領域に分割されているようなスクリーン21において、簡単な回路構成にすることができるとともに、消費電力を低下させることができる。また、制御電極27を短冊状に分割することで、例えば、スクリーン21を走査方向に沿って縦に配列することができ、映像の走査順に順次光学状態を変化させることができる。
【実施例0113】
次に、本発明の第7の実施例にかかる表示装置を図20を参照して説明する。なお、前述した第1乃至第6の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0114】
本実施例にかかる表示装置は、第6の実施例と構成は同じであるが、対向電極26と制御電極27に印加する駆動電圧波形が異なる。図20に示した本実施例にかかる駆動電圧波形の一例を示したタイミングチャートを参照して説明する。
【0115】
本実施例は、第6の実施例に示したような複数の領域に分割したスクリーン21において、各領域の光学特性維持時間を長くするために、パルス電圧の長さ(電圧保持時間)を長くして、対向電極26や制御電極27に印加している矩形波電圧の電圧値が変化する時間にパルス電圧の電圧保持時間が跨る場合は、パルス電圧の電圧波形も光学状態を維持するのに必要な電位差を保持するように電圧値を変化させるようにしている。
【0116】
図20の場合、電圧保持時間をΔTとし、矩形波電圧の電圧値の変化時間をT7とすると、領域Nの電圧保持時間がT7を超えてしまう(跨ってしまう)。そのため領域Nの電圧保持時間のうち、T7以降は電圧値を0ボルトから+V12ボルトに変化させて散乱状態を保持できるようにする。このような制御は、電圧保持時間(光学特性維持時間)と、矩形波電圧の周期が予め判明しているので、どの領域で電圧値を変化させる時間T7を跨るかを予測して、T7になった際に当該領域の電圧値を変化(制御電極27の中央値に関して反転するような電圧に変化)させればよい。
【0117】
なお、本実施例では、駆動電圧波形として第1の実施例に示した駆動電圧波形で説明したが、他の実施例で示した駆動電圧波形を用いてもよいことは言うまでも無い。
【0118】
本実施例によれば、複数の制御電極27のうち、パルス電圧の電圧保持時間が矩形波電圧の電圧値変化タイミングを跨ぐ電極がある場合は、当該制御電極に印加するパルス電圧を、矩形波電圧の電圧値変化タイミングで電圧値を変化させるように制御しているので、複数の領域のうち、電圧保持時間が矩形波電圧の電圧値変化タイミングにかかってしまう領域も設定した時間分だけ光学特性を維持させることができ、領域によって光学特性維持時間が異なることによる表示のムラなど表示の劣化を防止することができる。
【0119】
なお、上述した各実施例では、パルス電圧の振幅は、対向電極26に印加される矩形波電圧と同じか、小さい電圧値であったが、大きな電圧値としてもよい。このようにすることで、対向電極26に印加される矩形波電圧の振幅を小さくしても、光学層25の光学状態を変化させることができる。
【0120】
前述した実施例によれば、以下の表示装置1および表示装置1の駆動方法が得られる。
【0121】
(付記1)電圧の印加により光学状態が変化する光学層25、および光学層25に電圧を印加するために光学層25を挟んで対向配置される対向電極26及び制御電極27を有するスクリーン21と、
スクリーン21に投影される映像光の投影期間において、対向電極26および制御電極27に所定の電圧を印加し、スクリーン21を映像光を散乱する散乱状態とこれと異なる光学状態である透過状態との間で切り替える切替信号を出力する同期制御部31と、
を有する表示装置1において、
同期制御部31が、対向電極26に、光学層25の光学状態を変化させる周期の整数倍の周期の第1矩形波電圧を印加し、制御電極27に、第1矩形波電圧と同じ周期かつ位相が同じまたは半周期ずれている第2矩形波電圧に光学層25の光学状態を変化させるタイミングで光学状態が変化する電極間電位差となるパルス電圧を重畳させて印加することを特徴とする表示装置1。
【0122】
(付記2)電圧の印加により光学状態が変化する光学層25、および光学層25に電圧を印加するために光学層25を挟んで対向配置される対向電極26及び制御電極27を有するスクリーン21と、
スクリーン21に投影される映像光の投影期間において、対向電極26および制御電極27に所定の電圧を印加し、スクリーン21を映像光を散乱する散乱状態とこれと異なる光学状態である透過状態との間で切り替える切替信号を出力する同期制御部31と、
を有する表示装置1の駆動方法において、
同期制御部31が、対向電極26には、光学層25の光学状態を変化させる周期の整数倍の周期の第1矩形波電圧を印加し、制御電極27には、第1矩形波電圧と同じ周期かつ位相が同じまたは半周期ずれている第2矩形波電圧に光学層25の光学状態を変化させるタイミングで光学状態が変化する電極間電位差となるパルス電圧を重畳させて印加することを特徴とする表示装置1の駆動方法。
【0123】
この表示装置1および表示装置の駆動方法によれば、例えば、第1、第2矩形波電圧およびパルス電圧の振幅を光学状態が変化する電極間電位差とすれば、少ない電源で駆動するための回路を構成することができるので、簡単な回路構成にすることができる。また、電圧を低下させることができるので、消費電力を低下させることができる。さらに、容易に任意のタイミングで光学層を構成する素子の光学特性を変化させることが可能となる。
【0124】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 表示装置
11 プロジェクタ
21 スクリーン
25 光学層
26 対向電極(第1電極)
27 制御電極(第2電極)
31 同期制御部(制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20