(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148177
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】アフリベルセプトをコードするAAV2バリアントを使用する眼内血管新生疾患を処置する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 48/00 20060101AFI20241008BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20241008BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20241008BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241008BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241008BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20241008BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241008BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20241008BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20241008BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20241008BHJP
C12N 15/864 20060101ALN20241008BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20241008BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20241008BHJP
C12N 15/35 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
A61K48/00
A61P27/02 ZNA
A61K38/16
A61K47/02
A61K47/10
A61K31/573
A61P43/00 121
A61K9/10
A61K35/76
A61P27/02
A61K48/00 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/13
C12N15/12
C12N15/35
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024112281
(22)【出願日】2024-07-12
(62)【分割の表示】P 2022515693の分割
【原出願日】2019-11-18
(31)【優先権主張番号】62/899,070
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/913,648
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 刊行物等1.平成31年4月16日に公開されたClinicalTrials.govのWEBサイト(ADVM-022 Gene Therapy for Wet AMD(OPTIC)) 刊行物等2.令和1年8月8日に公開された「Adverum Biotechnologies Reports Second Quarter 2019 Financial Results and Provides Corporate Update」のプレスリリース 刊行物等3.平成31年1月17日に公開されたClinicalTrials.govのWEBサイト(ADVM-022 Gene Therapy for Wet AMD(OPTIC)) 刊行物等4.令和1年6月4日に公開されたClinicalTrials.govのWEBサイト(ADVM-022 Gene Therapy for Wet AMD (OPTIC)) 刊行物等5.平成31年3月8日に公開されたClinicalTrials.govのWEBサイト (ADVM-022 Gene Therapy for Wet AMD (OPTIC)) 刊行物等6.令和1年5月2日に公開された2019 American Society of Gene and Cell Therapyにおける口頭発表 刊行物等7.令和1年5月16日に公開された「Adverum Biotechnologies Provides Update on OPTIC Phase 1 Trial for ADVM-022 in WET AMD」のプレスリリース 刊行物等8.平成30年11月21日に公開されたClinicalTrials.govのWEBサイト(An Open Label Phase 1 Study of ADVM-022(AAV.7m8-aflibercept)in Neovascular(Wet)Age-Related Macular Degeneration)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 刊行物等9.令和1年10月11日に公開されたClinicalTrials.govのWEBサイト(ADVM-022 Intravitreal Gene Therapy for Wet AMD(OPTIC)) 刊行物等10.令和1年9月11日および12日に公開された「Adverum Biotechnologies Reports Positive 24-Week Data from First Cohort of OPTIC Phase 1 Trial of ADVM-022 Intravitreal Gene Therapy to Treat Wet AMD」のプレスリリース
(71)【出願人】
【識別番号】516279086
【氏名又は名称】アドヴェラム バイオテクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】メヒディ ガスミ
(72)【発明者】
【氏名】シラード キス
(72)【発明者】
【氏名】アーロン オズボーン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有効で、有害効果のリスクを低減し、患者が長期間の高いコンプライアンスを受け入れやすい、個体における眼内血管新生疾患を処置するための方法を提供する。
【解決手段】組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子の単位用量を個体の眼に投与するステップを含み、rAAV粒子が、a)特定のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸、およびb)カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含むAAV2カプシドタンパク質であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、AAV2カプシドタンパク質を含む、方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年9月11日に提出された米国仮特許出願第62/899,070号および2019年10月10日に提出された米国仮特許出願第62/913,648号の利益を主張し、その各々の開示のその全体はこれにより参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの以下の提出物の内容物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:コンピューター可読型(CRF)の配列表(ファイル名:627002001240SEQLIST.TXT、記録日:2019年11月18日、サイズ:29KB)。
【0003】
分野
本開示は、個体における眼内血管新生疾患および障害を処置する方法であって、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子の1回単位用量を個体の眼に投与するステップを含む方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
加齢関連黄斑変性(AMD)は、字を読む、および細かいものを見る視力を担う網膜の中心にある光感受性の小さい領域である黄斑に影響を及ぼす眼の変性疾患である。黄斑に影響を及ぼす状態は、中心視野を低減させるが、周辺視野は影響を受けないままである。重度の例では、疾患は、中枢盲をもたらし得る。AMDは、米国集団の65歳およびそれより上の人における視覚喪失の顕著な原因であり、年齢40歳を超える人における任意のAMDの推定有病率は、およそ6.5%である(Klein et al., (2011) Arch Ophthalmol, 129(1):75-80)。血管新生型または滲出型または滲出性AMD(nAMD、wAMD、またはnwAMD)は、AMDの進行型である。wAMDの典型的特徴は、脈絡膜血管新生(CNV)であり、これはその下にある脈絡膜層から網膜への異常な血管の浸潤であり、網膜細胞の損傷および中枢盲をもたらす。この異常な血管形成プロセスは、増殖因子、特に血管内皮増殖因子(VEGF)によってモジュレートされる。
【0005】
wAMDの標準治療は、VEGFに結合してこれを隔離する分子のクラス、例えばラニビズマブ(Lucentis)およびアフリベルセプト(Eylea)である。例えば、アフリベルセプトは、血管内皮増殖因子サブタイプAおよびB(VEGF-AおよびVEGF-B)ならびに胎盤増殖因子(PGF)のデコイ受容体として作用する組換え融合タンパク質である。これらのリガンドに結合することによって、アフリベルセプトは、それらのリガンドが血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、VEGFR-1およびVEGFR-2に結合するのを防止し、血管新生を抑制し、血管透過性を減少させることができる。アフリベルセプトは、IgG1のFc断片に融合したVEGFR-1のドメイン2およびVEGFR-2のドメイン3からなる。
【0006】
現在の標準治療の抗VEGF剤は、最適な治療転帰を達成するためおよび視力を維持するためには、硝子体内注射(IVT)注射を介して4~8週間毎に再投与する必要がある。そのようなレジメンのコンプライアンスは患者、その介護者および保健システムにとって煩わしく、ほとんどの患者が、時間が経つにつれて最適なレジメンのコンプライアンスから外れ、これは視覚喪失と相関する(Khanani AM, et al.)。加えて、眼内炎、網膜剥離、外傷性白内障、および眼圧(IOP)上昇を含む合併症が存在し、これらの合併症のリスクは、繰り返しIVT注射によって増加する可能性がある(Falavarjani et al., (2013) Eye (Lond), 27(7):787-794)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Klein et al., (2011) Arch Ophthalmol, 129(1):75-80
【非特許文献2】Falavarjani et al., (2013) Eye (Lond), 27(7):787-794
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、有効で、有害効果のリスクを低減し、患者が長期間の高いコンプライアンスを受け入れやすい、wAMDなどの眼内血管新生疾患の治療が当技術分野で必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の要旨
一態様では、本明細書において、個体における眼内血管新生疾患を処置するための方法であって、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子の約6×1011ベクターゲノム(vg)またはそれ未満の単位用量を個体の1つの眼に投与するステップを含み、個体がヒトであり、rAAV粒子が、(a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸、および(b)カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含むAAV2カプシドタンパク質であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、AAV2カプシドタンパク質を含む、方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、個体の眼の網膜液を低減させるステップを含む。
【0010】
別の態様では、本明細書において、眼内血管新生疾患を有する個体の眼の網膜液を低減させるための方法であって、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼に投与するステップを含み、個体がヒトであり、rAAV粒子が、(a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸、および(b)カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含むAAV2カプシドタンパク質であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、AAV2カプシドタンパク質を含む、方法が提供される。一部の実施形態では、個体は、rAAV粒子の単位用量の投与前のおよそ最後の12週間に抗VEGF剤の少なくとも1回の処置を受けている。一部の実施形態では、個体の1つの眼の網膜液の量または存在は、抗VEGF剤による以前の処置に対して不応性である。一部の実施形態では、抗VEGF剤はアフリベルセプトである。一部の実施形態では、1つの眼の網膜液は、少なくとも約60%低減される。一部の実施形態では、1つの眼の網膜液は、rAAVを個体に投与する前の個体の1つの眼の網膜液のレベルと比較して約80%低減される。一部の実施形態では、網膜液は、網膜下液(SRF)または網膜内液(IRF)である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、約6×1011ベクターゲノム/眼(vg/眼)またはそれ未満である。
【0011】
先行実施形態のいずれかと組み合わせられ得る一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、約6×1010~約2×1011ベクターゲノム/眼(vg/眼)である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、約2×1011または約6×1010ベクターゲノム/眼(vg/眼)である。
【0012】
先行実施形態のいずれかと組み合わせられ得る一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、rAAV粒子の単位用量を個体の反対側の眼に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量を1つの眼に投与するステップの最大約2週間後である。一部の実施形態では、個体の反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼に投与されたrAAV粒子の単位用量と同じであるかまたはそれより少ないベクターゲノム/眼(vg/眼)を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量を1つの眼に投与するステップの少なくとも約2週間後である。一部の実施形態では、個体の反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼に投与されたrAAV粒子の単位用量より多くのベクターゲノム/眼(vg/眼)を含む。
【0013】
先行実施形態のいずれかと組み合わせられ得る一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号35のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、アフリベルセプトである。
【0014】
先行実施形態のいずれかと組み合わせられ得る一部の実施形態では、核酸は、第1のエンハンサー領域、プロモーター領域、5’UTR領域、第2のエンハンサー領域、およびポリアデニル化部位をさらに含む。一部の実施形態では、核酸は、5’から3’の順に:(a)第1のエンハンサー領域;(b)プロモーター領域;(c)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸;(d)5’UTR領域;(e)第2のエンハンサー領域;および(f)ポリアデニル化部位を含む。一部の実施形態では、第1のエンハンサー領域は、配列番号22の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含む。一部の実施形態では、プロモーター領域は、配列番号23の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号35のアミノ酸配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドはアフリベルセプトである。一部の実施形態では、5’UTR領域は、5’から3’の順に、配列番号24の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むTPL配列、および配列番号25の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むeMLP配列を含む。一部の実施形態では、第2のエンハンサー領域は、配列番号26の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含む全長のEES配列を含む。一部の実施形態では、ポリアデニル化部位は、配列番号27の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むHGHポリアデニル化部位を含む。一部の実施形態では、核酸は、(a)配列番号22の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含む第1のエンハンサー領域;(b)配列番号23の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含むプロモーター領域;(c)5’から3’の順に、配列番号24の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むTPL配列、および配列番号25の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むeMLP配列を含む5’UTR領域;(d)配列番号26の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含む全長のEES配列を含む第2のエンハンサー領域;ならびに(e)配列番号27の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むHGHポリアデニル化部位をさらに含む。一部の実施形態では、核酸はエレメントの両端にあるAAV ITRを含む。
【0015】
先行実施形態のいずれかと組み合わせられ得る一部の実施形態では、AAV2カプシドタンパク質は、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む。一部の実施形態では、AAV2カプシドタンパク質は、カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含み、アミノ酸残基ナンバリングは、AAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する。一部の実施形態では、AAV2カプシドタンパク質は、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含む。
【0016】
先行実施形態のいずれかと組み合わせられ得る一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与は、硝子体内投与による。
【0017】
先行実施形態のいずれかと組み合わせられ得る一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、医薬製剤中にある。一部の実施形態では、医薬製剤は、rAAV粒子、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、および界面活性剤を含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、約150~約200mM塩化ナトリウム、約1~約10mMリン酸二水素ナトリウム、約1~約10mMリン酸水素ナトリウム、約0.0005%(重量/体積)~約0.005%(重量/体積)ポロキサマー188、および約6×1013~約6×1010ベクターゲノム(vg)/mL(vg/mL)のrAAV粒子を含み、医薬製剤は、約7.0~約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、医薬製剤は、約180mM塩化ナトリウム、約5mMリン酸二水素ナトリウム、約5mMリン酸水素ナトリウム、約6×1012vg/mLのrAAV粒子、および約0.001%(重量/体積)ポロキサマー188を含み、医薬製剤は、約7.3のpHを有する。一部の実施形態では、医薬製剤は、約180mM塩化ナトリウム、約5mMリン酸二水素ナトリウム、約5mMリン酸水素ナトリウム、約6×1011vg/mLのrAAV粒子、および約0.001%(重量/体積)ポロキサマー188を含み、医薬製剤は、約7.3のpHを有する。
【0018】
先行実施形態のいずれかと組み合わせられ得る一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は約25μL~約250μLの体積を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は約100μLの体積を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は約30μLの体積を含む。
【0019】
先行実施形態のいずれかと組み合わせられ得る一部の実施形態では、個体は、抗VEGF剤による眼内血管新生疾患に対する以前の処置を受けた。一部の実施形態では、抗VEGF剤はアフリベルセプトである。
【0020】
先行実施形態のいずれかと組み合わせられ得る一部の実施形態では、眼内血管新生疾患は、滲出性加齢黄斑変性(AMD)、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、糖尿病網膜症、増殖性糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、糖尿病黄斑浮腫、糖尿病網膜虚血、虚血性網膜症、糖尿病網膜浮腫、またはそのいずれかの組合せである。
【0021】
先行実施形態のいずれかと組み合わせられ得る一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、ステロイド処置と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置はコルチコステロイド処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置は全身性のステロイド処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置は経口ステロイド処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置はプレドニゾン処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置は局所ステロイド処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置はジフルプレドネート処置である。一部の実施形態では、ステロイドは、rAAV粒子の単位用量の投与前、投与の間、および/または投与後に投与される。
【0022】
先行実施形態のいずれかと組み合わせられ得る一部の実施形態では、ステロイド処置は、局所ステロイド処置であり、局所ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与から最大約4週間、最大約6週間、または最大約8週間の毎日ステロイド処置である。一部の実施形態では、局所ステロイド処置は、約1週目に局所ステロイドの約4回の投与、約2週目に局所ステロイドの約3回の投与、約3週目に局所ステロイドの約2回の投与、および約4週目に局所ステロイドの約1回の投与を含み、タイミングはrAAV粒子の単位用量の投与から開始し投与後である。一部の実施形態では、局所ステロイドは、0.05%ジフルプレドネートの約1μg~約3μg用量を含む。一部の実施形態では、局所ステロイドは、0.05%ジフルプレドネートの約2.5μg用量を含む。
【0023】
先行実施形態のいずれかと組み合わせられ得る一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の網膜厚と比較して網膜厚の維持または減少をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の網膜厚と比較して網膜厚の減少をもたらす。一部の実施形態では、網膜厚の減少は、rAAV粒子の単位用量の投与前の網膜厚と比較して少なくとも約10%である。一部の実施形態では、網膜厚は、中心領域網膜厚(CST)または中心窩網膜厚(CRT)である。
【0024】
先行実施形態のいずれかと組み合わせられ得る一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の黄斑体積と比較して、黄斑体積の維持または減少をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の黄斑体積と比較して黄斑体積の減少をもたらす。一部の実施形態では、黄斑体積の減少は、rAAV粒子の単位用量の投与前の黄斑体積と比較して少なくとも約10%である。
【0025】
先行実施形態のいずれかと組み合わせられ得る一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の視力と比較して視力の維持または改善をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の視力と比較して視力の維持または改善をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の視力と比較して視力の改善をもたらす。一部の実施形態では、視力は、最高矯正視力(BCVA)である。参照による組み込み
【0026】
本明細書で引用した特許出願および刊行物を含む参考文献は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲において詳細に記載されている。本発明の原理が利用されている例示的な実施形態が記載されている以下の詳細な説明および付属図を参照することにより、本発明の特徴および利点のよりよい理解が得られよう。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
個体における眼内血管新生疾患を処置するための方法であって、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子の約6×1011ベクターゲノム(vg)またはそれ未満の単位用量を前記個体の1つの眼に投与するステップを含み、前記個体がヒトであり、前記rAAV粒子が、
a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸、および
b)カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含むAAV2カプシドタンパク質であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、AAV2カプシドタンパク質を含む、方法。
(項目2)
眼内血管新生疾患を有する前記個体の前記眼の網膜液が低減される、項目1に記載の方法。
(項目3)
眼内血管新生疾患を有する個体の眼の網膜液を低減させるための方法であって、rAAV粒子の単位用量を前記個体の1つの眼に投与するステップを含み、前記個体がヒトであり、前記rAAV粒子が、
a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸、および
b)カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含むAAV2カプシドタンパク質であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、AAV2カプシドタンパク質を含む、方法。
(項目4)
前記個体が、rAAV粒子の前記単位用量を投与する約12週間前に抗VEGF剤の少なくとも1回の処置を受けた、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記個体の前記1つの眼の網膜液の量または存在が、抗VEGF剤による以前の処置に対して不応性である、項目3または項目4に記載の方法。
(項目6)
前記抗VEGF剤がアフリベルセプトである、項目4または項目5に記載の方法。
(項目7)
前記1つの眼の前記網膜液が少なくとも約60%低減される、項目2~6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記1つの眼の前記網膜液が、前記rAAVの前記個体への投与前の前記個体の前記1つの眼の網膜液のレベルと比較して約80%低減される、項目2~7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記網膜液が、網膜下液(SRF)または網膜内液(IRF)である、項目2~8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
rAAV粒子の前記単位用量が、約6×1011ベクターゲノム/眼(vg/眼)またはそれ未満である、項目2~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
rAAV粒子の前記単位用量が、約6×1010~約2×1011ベクターゲノム/眼(vg/眼)である、項目1~10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
rAAV粒子の前記単位用量が、約2×1011または約6×1010ベクターゲノム/眼(vg/眼)である、項目1~11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
rAAV粒子の単位用量を前記個体の反対側の眼に投与するステップをさらに含む、項目1~12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
rAAV粒子の前記単位用量を前記反対側の眼に投与する前記ステップが、rAAV粒子の前記単位用量を前記1つの眼に投与するステップの最大約2週間後である、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記個体の前記反対側の眼に投与されたrAAV粒子の前記単位用量が、前記個体の前記1つの眼に投与されたrAAV粒子の前記単位用量と同じであるか、またはより少ないベクターゲノム/眼(vg/眼)を含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
rAAV粒子の前記単位用量を前記反対側の眼に投与する前記ステップが、rAAV粒子の前記単位用量を前記1つの眼に投与するステップの少なくとも約2週間後である、項目13に記載の方法。
(項目17)
前記個体の前記反対側の眼に投与されたrAAV粒子の前記単位用量が、前記個体の前記1つの眼に投与されたrAAV粒子の前記単位用量より多くのベクターゲノム/眼(vg/眼)を含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記ポリペプチドが配列番号35のアミノ酸配列を含む、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記ポリペプチドがアフリベルセプトである、項目1~18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記核酸が、第1のエンハンサー領域、プロモーター領域、5’UTR領域、第2のエンハンサー領域、およびポリアデニル化部位をさらに含む、項目1~19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記核酸が5’から3’の順に:
(a)第1のエンハンサー領域;
(b)プロモーター領域;
(c)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸;
(d)5’UTR領域;
(e)第2のエンハンサー領域;および
(f)ポリアデニル化部位;
を含み、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する、項目1~20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記第1のエンハンサー領域が、配列番号22の配列、またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含む、項目20または項目21に記載の方法。(項目23)
前記プロモーター領域が、配列番号23の配列、またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含む、項目20~22のいずれか一項に記載の方法。(項目24)
前記ポリペプチドが、配列番号35のアミノ酸配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含む、項目20~23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記ポリペプチドがアフリベルセプトである、項目20~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記5’UTR領域が、5’から3’の順に、配列番号24の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むTPL配列、および配列番号25の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むeMLP配列を含む、項目20~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記第2のエンハンサー領域が、配列番号26の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含む全長のEES配列を含む、項目20~26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記ポリアデニル化部位が、配列番号27の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むHGHポリアデニル化部位を含む、項目20~27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記核酸が、(a)配列番号22の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含む第1のエンハンサー領域;(b)配列番号23の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含むプロモーター領域;(c)5’から3’の順に、配列番号24の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むTPL配列、および配列番号25の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むeMLP配列を含む5’UTR領域;(d)配列番号26の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含む全長のEES配列を含む第2のエンハンサー領域;ならびに(e)配列番号27の配列またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むHGHポリアデニル化部位をさらに含む、項目1~19のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記AAV2カプシドタンパク質が、前記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含み、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、項目1~29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記AAV2カプシドタンパク質が、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む、項目1~30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記AAV2カプシドタンパク質が、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含む、項目1~31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
rAAV粒子の前記単位用量の前記1つの眼および/または前記反対側の眼への投与が硝子体内投与による、項目1~32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
rAAV粒子の前記単位用量が医薬製剤中にある、項目1~33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記医薬製剤が、前記rAAV粒子、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、および界面活性剤を含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記医薬製剤が、約150~約200mM塩化ナトリウム、約1~約10mMリン酸二水素ナトリウム、約1~約10mMリン酸水素ナトリウム、約0.0005%(重量/体積)~約0.005%(重量/体積)ポロキサマー188、および約6×1013~約6×1010ベクターゲノム(vg)/mL(vg/mL)の前記rAAV粒子を含み、前記医薬製剤が約7.0~約7.5のpHを有する、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記医薬製剤が、約180mM塩化ナトリウム、約5mMリン酸二水素ナトリウム、約5mMリン酸水素ナトリウム、約6×1012vg/mLの前記rAAV粒子、および約0.001%(重量/体積)ポロキサマー188を含み、前記医薬製剤が約7.3のpHを有する、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記医薬製剤が、約180mM塩化ナトリウム、約5mMリン酸二水素ナトリウム、約5mMリン酸水素ナトリウム、約6×1011vg/mLの前記rAAV粒子、および約0.001%(重量/体積)ポロキサマー188を含み、前記医薬製剤が約7.3のpHを有する、項目36に記載の方法。
(項目39)
rAAV粒子の前記単位用量が、約25μL~約250μLの体積を含む、項目1~38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
rAAV粒子の前記単位用量が約100μLの体積を含む、項目39に記載の方法。
(項目41)
rAAV粒子の前記単位用量が約30μLの体積を含む、項目39に記載の方法。
(項目42)
前記個体が、抗VEGF剤による前記眼内血管新生疾患に対する以前の処置を受けた、項目1~41のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
前記抗VEGF剤がアフリベルセプトである、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記眼内血管新生疾患が、滲出性加齢黄斑変性(AMD)、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、糖尿病網膜症、増殖性糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、糖尿病黄斑浮腫、糖尿病網膜虚血、虚血性網膜症、糖尿病網膜浮腫、またはそのいずれかの組合せである、項目1~43のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
rAAV粒子の前記単位用量がステロイド処置と組み合わせて投与される、項目1~44のいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
前記ステロイド処置がコルチコステロイド処置である、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記ステロイド処置が全身性のステロイド処置である、項目45または項目46に記載の方法。
(項目48)
前記ステロイド処置が経口ステロイド処置である、項目45~47のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
前記ステロイド処置がプレドニゾン処置である、項目45~48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記ステロイド処置が局所ステロイド処置である、項目45または項目46に記載の方法。
(項目51)
前記ステロイド処置がジフルプレドネート処置である、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記ステロイドが、rAAV粒子の前記単位用量の投与前、投与の間、および/または投与後に投与される、項目45~51のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記ステロイド処置が局所ステロイド処置であり、前記局所ステロイド処置が、rAAV粒子の前記単位用量の投与から最大約4週間、最大約6週間、または最大約8週間の毎日ステロイド処置である、項目50~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記局所ステロイド処置が、約1週目に局所ステロイドの約4回の投与、約2週目に局所ステロイドの約3回の投与、約3週目に局所ステロイドの約2回の投与、および約4週目に局所ステロイドの約1回の投与を含み、タイミングはrAAV粒子の前記単位用量の投与から開始し投与後である、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記局所ステロイドが、0.05%ジフルプレドネートの約1μg~約3μg用量を含む、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記局所ステロイドが、0.05%ジフルプレドネートの約2.5μg用量を含む、項目54に記載の方法。
(項目57)
rAAV粒子の前記単位用量を前記個体の前記1つの眼および/または前記反対側の眼に投与する前記ステップが、rAAV粒子の前記単位用量の投与前の網膜厚と比較して網膜厚の維持または減少をもたらす、項目1~56のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
rAAV粒子の前記単位用量を前記個体の前記1つの眼および/または前記反対側の眼に投与する前記ステップが、rAAV粒子の前記単位用量の投与前の網膜厚と比較して網膜厚の減少をもたらす、項目57に記載の方法。
(項目59)
網膜厚の前記減少が、rAAV粒子の前記単位用量の投与前の網膜厚と比較して少なくとも約10%である、項目57または項目58に記載の方法。
(項目60)
網膜厚が、中心領域網膜厚(CST)または中心窩網膜厚(CRT)である、項目57~59のいずれか一項に記載の方法。
(項目61)
rAAV粒子の前記単位用量を前記個体の前記1つの眼および/または前記反対側の眼に投与する前記ステップが、rAAV粒子の前記単位用量の投与前の黄斑体積と比較して黄斑体積の維持または減少をもたらす、項目1~60のいずれか一項に記載の方法。
(項目62)
rAAV粒子の前記単位用量を前記個体の前記1つの眼および/または前記反対側の眼に投与する前記ステップが、rAAV粒子の前記単位用量の投与前の黄斑体積と比較して黄斑体積の減少をもたらす、項目61に記載の方法。
(項目63)
黄斑体積の前記減少が、rAAV粒子の前記単位用量の投与前の黄斑体積と比較して少なくとも約10%である、項目62に記載の方法。
(項目64)
rAAV粒子の前記単位用量を前記個体の前記1つの眼および/または前記反対側の眼に投与する前記ステップが、rAAV粒子の前記単位用量の投与前の視力と比較して視力の維持または改善をもたらす、項目1~63のいずれか一項に記載の方法。
(項目65)
rAAV粒子の前記単位用量を前記個体の前記1つの眼および/または前記反対側の眼に投与する前記ステップが、rAAV粒子の前記単位用量の投与前の視力と比較して視力の改善をもたらす、項目1~64のいずれか一項に記載の方法。
(項目66)
視力が、最高矯正視力(BCVA)である、項目64~65のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】
図1A~1Bは、調査医薬品ならびに実施例1および2に記載されている第I相試験の概略図を提示する。
図1Aは、AAV2.7m8-アフリベルセプトの概略図である。AAV2.7m8-アフリベルセプトは、AAV2.7m8タンパク質カプシドと、遍在するキメラプロモーターの制御下にあるアフリベルセプトcDNAのコドン最適化バージョンの発現カセット(C11)を含有するベクターゲノムとを含有する組換え複製欠損アデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターである。AAV2.7m8-アフリベルセプトベクターゲノムは、アフリベルセプトcDNA発現カセットの両端にある2つのAAV2末端逆位配列(ITR)も含有する。
図1Bは、実施例1および2に記載されている第I相試験の試験設計を要約する図である。
【0029】
【
図2A】
図2A~2Lは、実施例1に記載の試験のコホート1の対象から取得した光干渉断層法(OCT)画像およびOCT画像から引き出された網膜厚マップを示す。OCT画像をAAV2.7m8-アフリベルセプトの投与(1日目)の前後の示されている時点で取得した。抗VEGF IVT処置間隔が対象全員について示されている。
図2Aは、対象1から、スクリーニングでのアフリベルセプト注射前の示されている時点での5回の来訪時に取得したOCT画像およびOCT画像から引き出された網膜厚マップを提示する。OCT画像をアフリベルセプト標準治療による処置の直前に取得した。対象1は5~7週間ごとのアフリベルセプトIVTを必要としており、アフリベルセプト標準治療による処置にもかかわらず不応性網膜下液および色素上皮剥離(PED)を示した。
図2Bは、対象1からスクリーニングでのアフリベルセプト注射時(-7日目)、AAV2.7m8-アフリベルセプト注射時(1日目)、および示されている時点でのフォローアップ来訪時に取得したOCT画像およびOCT画像から引き出された網膜厚マップを提示する。対象1は、AAV2.7m8-アフリベルセプト注射後にいかなるレスキュー注射も必要としなかった。対象1は第4週に始まる網膜下液の消散を示し、網膜下および網膜内液が存在しないまま(乾燥したまま)であった。
図2Cは、対象2から、スクリーニングでのアフリベルセプト注射前の示されている時点での5回の来訪時に取得したOCT画像およびOCT画像から引き出された網膜厚マップを提示する。OCT画像をアフリベルセプト標準治療による処置の直前に取得した。対象2は、AAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置前の8カ月の間に、網膜の解剖学的構造を維持するために6回のアフリベルセプトIVT処置を必要とした。
図2Dは、対象2からスクリーニングでのアフリベルセプト注射時(-7日目)、AAV2.7m8-アフリベルセプト注射時(1日目)、および示されている時点でのフォローアップ来訪時に取得したOCT画像およびOCT画像から引き出された網膜厚マップを提示する。対象2は、AAV2.7m8-アフリベルセプト注射後にいかなるレスキュー注射も必要としなかった。対象2は第24週まで安定な網膜の解剖学的構造を示し、網膜下液も網膜内液も存在しなかった。
図2Eは、対象3から、スクリーニングでのアフリベルセプト注射前の示されている時点での4回の来訪時に取得したOCT画像およびOCT画像から引き出された網膜厚マップを提示する。-27週に取得したOCT画像は示されていない。OCT画像をアフリベルセプト標準治療による処置の直前に取得した。対象3は網膜下液を示し、アフリベルセプトIVT間の間隔が5週間から7週間に増すと網膜下液が増加した。
図2Fは、対象3から、スクリーニングでのアフリベルセプト注射時(-7日目)、AAV2.7m8-アフリベルセプト注射時(1日目)、および示されている時点でのフォローアップ来訪時に取得したOCT画像およびOCT画像から引き出された網膜厚マップを提示する。対象3は、AAV2.7m8-アフリベルセプト注射後にいかなるレスキュー注射も必要としなかった。対象3は、第8週までに不応性網膜下液の消散を示し、また、第24週まで安定な網膜の解剖学的構造を示した。
図2Gは、対象4から、スクリーニングでのアフリベルセプト注射前の示されている時点での5回の来訪時に取得したOCT画像およびOCT画像から引き出された網膜厚マップを提示する。OCT画像をラニビズマブ0.5mg IVT標準治療による処置の直前に取得した。対象4はラニビズマブIVT注射に対して不応性の網膜下液を示した。
図2Hは、対象4から、スクリーニングでのアフリベルセプト注射時(-14日目)、AAV2.7m8-アフリベルセプト注射時(1日目)、および示されている時点でのフォローアップ来訪時に取得したOCT画像およびOCT画像から引き出された網膜厚マップを提示する。対象4は、AAV2.7m8-アフリベルセプト注射後にいかなるレスキュー注射も必要としなかった。対象4は、第8週までに不応性網膜下液の消散を示し、また、第24週まで安定な網膜の解剖学的構造を示した。
図2Iは、対象5から、スクリーニングでのアフリベルセプト注射前の示されている時点での5回の来訪時に取得したOCT画像およびOCT画像から引き出された網膜厚マップを提示する。OCT画像をアフリベルセプト標準治療による処置の直前に取得した。
図2Jは、対象5から、スクリーニングでのアフリベルセプト注射時(-14日目)、AAV2.7m8-アフリベルセプト注射時(1日目)、および示されている時点でのフォローアップ来訪時に取得したOCT画像およびOCT画像から引き出された網膜厚マップを提示する。対象5は、AAV2.7m8-アフリベルセプト注射後にいかなるレスキュー注射も必要としなかった。AAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置時に網膜下液およびPEDが存在し、経時的に消散し、また、第24週まで網膜の解剖学的構造は安定なままであり、網膜下液も網膜内液も存在しなかった。
図2Kは、対象6から、スクリーニングでのアフリベルセプト注射前の示されている時点での5回の来訪時に取得したOCT画像およびOCT画像から引き出された網膜厚マップを提示する。OCT画像を示されている通りベバシズマブ1.5mg IVT標準治療またはラニビズマブ0.5mg IVT標準治療のいずれかによる処置の直前に取得した。対象6の網膜の外観はポリープ状脈絡膜血管症(PCV)と一致した。
図2Lは、対象6から、スクリーニングでのアフリベルセプト注射時(-10日目)、AAV2.7m8-アフリベルセプト注射時(1日目)、および示されている時点でのフォローアップ来訪時に取得したOCT画像およびOCT画像から引き出された網膜厚マップを提示する。対象6は、AAV2.7m8-アフリベルセプト注射後にいかなるレスキュー注射も必要としなかった。対象6は第24週までいかなる網膜下液の増加も示さず、いくらかの解剖学的改善が実現された。対象6の反対側の眼は標準治療であるアフリベルセプト注射を試験の経過にわたって4週間ごとに受け、AAV2.7m8-アフリベルセプトで処置された眼と同様の網膜形態を示した。
【0030】
【
図3】
図3は、実施例1に記載の試験のコホート1の対象についての示されている時点での平均中心窩網膜厚(CST)の変化を示す。エラーバーは、T分布を使用して算出された90%信頼区間を示す。ベースライン(BL)は、1日目のAAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置の7~15日前(例えば、7~14日前)のスクリーニングでのアフリベルセプト注射前に取得された測定値を示す。AAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置後24週間の時点で、対象が示したCRTの変化は平均で-52.7μm(90%CI-86.5、-18.8)であった。BL=ベースライン;D=日;W=週。1日目の来訪はベースライン来訪の7~14日後に行われた。
【0031】
【
図4】
図4は、実施例1に記載の試験のコホート1の対象についての示されている時点でのEarly Treatment Diabetic Retinopathy Study(ETDRS)文字評価に基づく平均最高矯正視力(BCVA)測定値を示す。エラーバーは、T分布を使用して算出された90%信頼区間を示す。ベースライン(BL)は、1日目のAAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置の7~15日前(例えば、7~14日前)のスクリーニングでのアフリベルセプト注射前に取得された測定値を示す。AAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置後24週間の時点で、対象が示したBCVAの変化は平均で-2文字(90%CI-9.1、5.1)であった。BL=ベースライン;D=日;W=週。1日目の来訪はベースライン来訪の7~14日後に行われた。
【0032】
【
図5】
図5は、アフリベルセプトの核酸配列(配列番号36)を提示する。
【0033】
【
図6】
図6は、実施例1に記載の試験の対象1~6についてのAAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置後の前房内細胞および硝子体細胞計数のプロットを示す。各患者に投与されたステロイド処置が各プロットの下に示されている。房水細胞計数カテゴリーはStandardization of Uveitis Nomenclature(SUN)基準(Jabs, DA et al., J Ophthalmol. 2005; 140: 509-516)に基づくものであった。硝子体細胞計数カテゴリーはNational Institutes of Health(NIH)ガイドラインに基づくものであった。房水細胞に関しては、細胞計数値0.5+は1~5個の細胞を示し、細胞計数値1+は6~15個の細胞を示し、細胞計数値2+は16~25個の細胞を示し、細胞計数値3+は26~50個の細胞を示し、細胞計数値4+は>50個の細胞を示す。硝子体細胞に関しては、細胞計数値0.5+は1~10個の細胞を示し、細胞計数値1+は11~20個の細胞を示し、細胞計数値2+は21~30個の細胞を示し、細胞計数値3+は31~100個の細胞を示し、細胞計数値4+は>100個の細胞を示す。この図に示されている分析に関しては希少な細胞は0.5+として捕捉した。
【0034】
【
図7A】
図7A~7Bは、実施例1に記載の試験のコホート1の対象1~6からフォローアップ時間中央値である第34週に取得した光干渉断層法(OCT)画像およびOCT画像から引き出された網膜厚マップを示す。さらに、BCVAのベースラインからの変化、AAV2.7m8-アフリベルセプトの投与前8カ月の間の抗VEGF IVT注射の回数、および試験中に投与されたレスキュー抗VEGF IVT注射の回数も対象1~6のそれぞれについて提示する。各対象についてOCT画像および網膜厚マップを得た実際の週が示されている(対象1=第44週;対象2=第40週;対象3=第36週;対象4=第32週;対象5=第28週;および対象6=第28週)。試験中にレスキュー抗VEGF IVT注射を必要とした対象はおらず、また、最大44週間のフォローアップ期間中のいかなる時点においても満たされた再処置基準はなかった。OCTイメージングで疾患再活動化の徴候を示した対象はいなかった。
【発明を実施するための形態】
【0035】
詳細な説明
いくつかの態様を、例証のための例としての応用を参照して以下に記載する。多数の具体的詳細、関係、および方法は、本明細書に記載される特色の十分な理解を提供するために記載されることを理解すべきである。しかし、関連技術分野の当業者は、本明細書に記載される特色が具体的詳細の1つもしくは複数がなくとも、または他の方法によって実践することができることを容易に認識する。本明細書に記載される特色は、一部の行為が他の行為もしくは事象と異なる順序および/または同時に起こり得ることから、行為または事象の例証される順序に限定されない。さらに、本明細書に記載される特色に従って方法論を実施するために、必ずしも全ての例証される行為または事象は必要ではない。
定義
【0036】
特に定義していない限り、本明細書で使用される全ての技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0037】
本明細書で使用される用語は、単に特定の例を説明する目的のためであり、限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、本文が明らかにそれ以外であることを示していない限り、複数形も同様に含むと意図される。さらに、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「と共に(with)」という用語またはその変化形を、詳細な説明および/または特許請求の範囲のいずれかで使用する場合、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語と類似の方法で包括的であると意図される。「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、「含む(including)」または「含有する(containing)」と同義であり、包括的であるか、または非限定的である。
【0038】
本明細書において「または」という言及は、それ以外であることを示していない限り「および/または」を包含すると意図される。本明細書で使用される場合、用語「約」の数は、その数のプラスまたはマイナス10%の数を指す。用語「約」の範囲は、その最低値のマイナス10%からその最大値のプラス10%の範囲を指す。
【0039】
「対象」、「患者」、または「個体」という用語は、霊長類、例えばヒトおよび非ヒト霊長類、例えばアフリカミドリザルおよびアカゲザルを指す。一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0040】
「処置する」、「処置している」、「処置」、「改善する」または「改善している」という用語および他の文法的等価物は、本明細書で使用される場合、眼内血管新生疾患もしくは障害、または眼内血管新生疾患もしくは障害の症状を軽減する、弱める、または改善すること、眼内血管新生疾患または障害の追加の症状を防止すること、症状の基礎となる代謝的原因を改善または防止すること、眼内血管新生疾患または障害を阻害すること、例えば眼内血管新生疾患または障害の発生を停止させること、眼内血管新生疾患または障害を緩和すること、眼内血管新生疾患または障害の退縮を引き起こすこと、あるいは眼内血管新生疾患または障害の症状を停止させることを指し、予防を含むと意図される。用語は、治療利益および/または予防利益を達成することをさらに含む。「治療利益」という用語は、処置される眼内血管新生疾患または障害の根絶または改善を指す。「治療利益」という用語は、処置される眼内血管新生疾患または障害の根絶または改善を指す。同様に、治療利益は、それによって一部の実施形態では、対象が眼内血管新生疾患または障害になおも罹患しているにもかかわらず、対象において改善が観察されるように、眼内血管新生疾患または障害に関連する1つまたは複数の生理的症状の根絶または改善によっても達成される。予防利益の場合、医薬組成物は、眼内血管新生疾患もしくは障害を発症するリスクがある対象、またはたとえ疾患もしくは障害の診断が行われていない場合であっても眼内血管新生疾患もしくは障害の1つまたは複数の生理的症状を報告する対象に投与される。
【0041】
「投与する」、「投与している」、「投与」等という用語は、本明細書で使用される場合、生物学的作用の所望の部位への治療薬または医薬組成物の送達を可能にするために使用される方法を指し得る。これらの方法は、眼への硝子体内または網膜下注射を含む。
【0042】
「有効量」、「治療有効量」、または「薬学的有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、処置される眼の疾患または障害の1つまたは複数の症状をある程度軽減する、投与される少なくとも1つの医薬組成物または化合物の十分量を指し得る。医薬組成物の「有効量」、「治療有効量」、または「薬学的有効量」は、それを必要とする対象に単位用量として投与され得る(本明細書において他所でさらに詳しく記載される)。
【0043】
「薬学的に許容される」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書に開示される化合物の生物活性または特性を排除せず、比較的非毒性である(すなわち、材料を個体に投与した場合に、望ましくない生物作用を引き起こさず、それが含有される組成物の構成成分のいずれとも有害に相互作用しない)担体または希釈剤などの材料を指し得る。
【0044】
「医薬組成物」または単に「組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、担体、安定化剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、濃化剤、賦形剤等などの、しかしこれらに限定されない少なくとも1つの薬学的に許容される化学構成成分と必要に応じて混合された生物活性化合物を指し得る。
【0045】
「AAVベクター」または「rAAVベクター」は、本明細書で使用される場合、標的細胞中へのまたは標的組織への形質導入のための、AAV起源ではないポリヌクレオチド配列(例えば、治療用トランスジーン、例えばアフリベルセプトをコードする核酸配列などの、AAVに対して異種のポリヌクレオチド)を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターまたは組換えAAV(rAAV)ベクターを指す。一般的に、異種ポリヌクレオチドは、少なくとも1つのAAV末端逆位配列(ITR)が隣接し、一般的に2つのAAV末端逆位配列(ITR)を両端に有する。rAAVベクターという用語は、rAAVベクター粒子およびrAAVベクタープラスミドの両方を包含する。rAAVベクターは、一本鎖(ssAAV)または自己相補的(scAAV)のいずれかであり得る。
【0046】
「AAVウイルス」または「AAVウイルス粒子」または「rAAVベクター粒子」または「rAAV粒子」は、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質およびポリヌクレオチドrAAVベクターを含むウイルス粒子を指す。一部の例では、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質は、野生型AAVに由来するか、またはバリアントAAVカプシドタンパク質(例えば、挿入、例えば以下に記載される7m8アミノ配列の挿入を有するAAVカプシドタンパク質)である。粒子が異種ポリヌクレオチド(例えば、標的細胞または標的組織に送達されるトランスジーンなどの野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド)を含む場合、「rAAV粒子」、「rAAVベクター粒子」、または「rAAVベクター」と呼ばれる。このように、rAAV粒子の産生は、そのようなベクターがrAAV粒子内に含有されることから、rAAVベクターの産生を必然的に含む。
【0047】
「パッケージング」という用語は、本明細書で使用される場合、rAAV粒子のアセンブリおよびカプシド形成をもたらし得る一連の細胞内事象を指し得る。
【0048】
AAV「rep」および「cap」遺伝子は、アデノ随伴ウイルスの複製およびカプシド形成タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を指す。AAV repおよびcapは、本明細書においてAAV「パッケージング遺伝子」と呼ばれる。
【0049】
「ポリペプチド」という用語は、天然に存在するおよび天然に存在しない、両方のタンパク質(例えば、融合タンパク質)、ペプチド、断片、突然変異体、その誘導体およびアナログを包含し得る。ポリペプチドは、単量体、二量体、三量体、またはポリマーであり得る。さらに、ポリペプチドは、その各々が1つまたは複数の明確な活性を有するいくつかの異なるドメインを含み得る。誤解を避けるために、「ポリペプチド」は、2アミノ酸より長い任意の長さであり得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチドバリアント」または単純に「バリアント」は、その配列がアミノ酸改変を含有するポリペプチドを指す。一部の実施形態では、改変は、参照のタンパク質またはポリペプチド、例えばネイティブまたは野生型タンパク質のアミノ酸配列と比較した、1つまたは複数のアミノ酸の挿入、重複、欠失、再配列、または置換である。バリアントは、ある位置での単一のアミノ酸が別のアミノ酸に変化している1つもしくは複数のアミノ酸の点置換、1つもしくは複数のアミノ酸が参照タンパク質の配列においてそれぞれ、挿入されるかもしくは欠失している1つもしくは複数の挿入および/もしくは欠失、ならびに/またはアミノ末端もしくはカルボキシ末端のいずれかもしくは両方でのアミノ酸配列の切断を有し得る。バリアントは、参照タンパク質または非改変タンパク質と比較して同じまたは異なる生物活性を有し得る。
【0051】
一部の実施形態では、バリアントは、その相対物の参照タンパク質と例えば、少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の全体的な配列相同性を有し得る。一部の実施形態では、バリアントは、野生型タンパク質と少なくとも約90%の全体的な配列相同性を有し得る。一部の実施形態では、バリアントは、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.9%の全体的な配列同一性を示す。
【0052】
本明細書で使用される場合、「組換え」は、(1)その天然に存在する環境から除去されている、(2)遺伝子が天然に見出されるポリヌクレオチドの全てもしくは一部に会合していない、(3)天然において連結していないポリヌクレオチドに作動可能に連結している、または(4)天然に存在しない、生物分子、例えば遺伝子またはタンパク質を指し得る。「組換え」という用語は、クローニングされたDNA単離体、化学合成されたポリヌクレオチドアナログ、または異種系によって生物学的に合成されたポリヌクレオチドアナログ、ならびにそのような核酸によってコードされるタンパク質および/またはmRNAに関連して使用することができる。このように、例えば、微生物によって合成されたタンパク質は、例えばそれが細胞に存在する組換え遺伝子から合成されたmRNAから合成される場合、組換えである。
【0053】
「抗VEGF剤」という用語は、in vivoで内因性のVEGFおよび/もしくは内因性のVEGF受容体(VEGFR)の活性もしくは機能、またはVEGF-VEGFR相互作用もしくは経路を低減する、妨害する、破壊する、遮断する、および/または阻害することができるタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質、多量体タンパク質、遺伝子産物、抗体、ヒトモノクローナル抗体、抗体断片、アプタマー、低分子、キナーゼ阻害剤、受容体もしくは受容体断片、または核酸分子を含む任意の治療剤を含む。抗VEGF剤は、in vivoで細胞、組織、または対象に送達した場合に、新規血管の成長もしくは形成および/または浮腫もしくは腫脹を低減させることができる公知の治療剤の任意の1つ、例えばラニビズマブ、ブロルシズマブ、またはベバシズマブであり得る。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、天然に存在する、天然に存在しない、または合成であり得る。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、天然に存在する分子に由来し得て、その後抗VEGF活性を付与するように改変または突然変異させた。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、融合タンパク質またはキメラタンパク質である。そのようなタンパク質では、機能的ドメインまたはポリペプチドを部分またはポリペプチドに人為的に融合して、in vivoでVEGFを隔離するか、またはVEGFRデコイとして機能することができる融合タンパク質またはキメラタンパク質を作製する。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、内因性のVEGFRをそのリガンドと相互作用しないように遮断する融合タンパク質またはキメラタンパク質である。
【0054】
本明細書で使用される場合、「VEGF」は、それ以外を必要としている場合を除き、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、VEGF-F、またはその任意の組合せ、またはその任意の機能的断片もしくはバリアントを含むがこれらに限定されない、VEGFの任意のアイソフォームを指し得る。それ以外を必要とする場合を除き、「VEGF」は、メンバー:VEGF-A、胎盤増殖因子(PGF)、VEGF-B、VEGF-C、およびVEGF-D、またはその任意の組合せ、機能的断片、もしくはバリアントを含むVEGFファミリーの任意のメンバーを指し得る。本明細書で使用される場合、「VEGF受容体」または「VEGFR」または「VEGF-R」は、VEGFR-1(またはFlt-1)、VEGFR-2(またはFlk-1/KDR)、およびVEGFR-3(またはFlt-4)を含むがこれらに限定されないVEGFの受容体のいずれか1つを指すために使用され得る。VEGFRは、膜結合型もしくは可溶性型、または受容体の機能的断片もしくは切断型であり得る。抗VEGF剤の例としては、ラニビズマブ、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、またはその任意の組合せ、バリアント、もしくは機能的断片を含むがこれらに限定されない。
【0055】
「作動可能に連結された(operatively linked)」または「作動可能に連結された(operably linked)」または「カップリングされた」は、エレメントが、それらを予想される様式で作動させることができる関係にある、遺伝子エレメントの並置を指し得る。例えば、プロモーターは、プロモーターがコード配列の転写の開始を助ける場合、コード領域に作動可能に連結され得る。この機能的関係が維持される限り、プロモーターとコード領域の間に介在残基が存在してもよい。
【0056】
「発現ベクター」または「発現構築物」または「カセット」または「プラスミド」または単に「ベクター」という用語は、配列をコードする核酸の一部または全てが転写可能であり、遺伝子治療に適合する遺伝子産物をコードする核酸またはポリヌクレオチドを含有するAAVまたはrAAVベクターを含む任意のタイプの遺伝子産物を含み得る。転写物はタンパク質に翻訳され得る。一部の実施形態では、転写物は、部分的に翻訳されるか、または翻訳されない。ある特定の態様では、発現は、遺伝子の転写およびmRNAの遺伝子産物への翻訳の両方を含む。他の態様では、発現のみは、目的の遺伝子をコードする核酸の転写を含む。発現ベクターはまた、標的細胞におけるタンパク質の発現を容易にするために、コード領域に作動可能に連結された制御エレメントも含み得る。制御エレメントと、それらが発現のために作動可能に連結される遺伝子または複数の遺伝子の組合せは、時に「発現カセット」と呼ぶことができ、その多くは当技術分野で公知であり、利用可能であるか、または当技術分野で利用可能な構成成分から容易に構築することができる。
【0057】
「異種」という用語は、それが比較される実体の残りの部分とは遺伝子型が異なる実体を指し得る。例えば、遺伝子操作技法によって異なる種に由来するプラスミドまたはベクターに導入されたポリヌクレオチドは、異種ポリヌクレオチドであり得る。そのネイティブのコード配列から除去され、それとの連結が天然に見出されないコード配列に作動可能に連結されたプロモーターは、異種プロモーターであり得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、「7m8」は、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を指す。
【0059】
「7m8バリアント」は、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)が、カプシドタンパク質の溶媒に露出したGHループに挿入されている任意の血清型であり得るrAAVを指す。
【0060】
7m8がrAAV2に挿入される場合(AAV2.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV2カプシドタンパク質のアミノ酸570~611内のGHループに、例えばAAV2カプシドタンパク質VP1の587位と588位の間に挿入される。一部の例では、7m8がrAAV2に挿入される場合(AAV2.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV2カプシドタンパク質のGHループに、例えば配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入される。7m8がrAAV1に挿入される場合(AAV1.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV1カプシドタンパク質のAAV1のアミノ酸571~612内のGHループに、例えばAAV1カプシドタンパク質のアミノ酸590と591の間に挿入される。7m8がrAAV5に挿入される場合(AAV5.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV5カプシドタンパク質のAAV5のアミノ酸560~601内のGHループに、例えばAAV5カプシドタンパク質のアミノ酸575と576の間に挿入される。7m8が、rAAV6に挿入される場合(AAV6.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV6カプシドタンパク質のアミノ酸571~612内のGHループに、例えばAAV6カプシドタンパク質のアミノ酸590と591の間に挿入される。7m8がrAAV7に挿入される場合(AAV7.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV7カプシドタンパク質のアミノ酸572~613内のGHループに、例えばAAV7カプシドタンパク質のアミノ酸589と590の間に挿入される。7m8がrAAV8に挿入される場合(AAV8.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV8カプシドタンパク質のアミノ酸573~614内のGHループに、例えばAAV8カプシドタンパク質のアミノ酸590と591の間に挿入される。7m8がrAAV9に挿入される場合(AAV9.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV9カプシドタンパク質のGHループに、例えばAAV9カプシドタンパク質のアミノ酸588と589の間に挿入される。7m8がrAAV10に挿入される場合(AAV10.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV10カプシドタンパク質のアミノ酸573~614内のGHループに、例えばAAV10カプシドタンパク質のアミノ酸589と590の間に挿入される。
概要
【0061】
眼内血管新生疾患、例えばwAMDに関する現在の治療(例えば、アフリベルセプト)は、およそ4~8週間毎の一生涯続くIVT投与を必要とする。これは、一部の患者では炎症、感染症、および他の有害効果のリスクを増加させ得る。さらに、現在の治療は、特にwAMDに最も多く罹患している高齢患者に治療を投与するための診療所への繰り返しおよび/または頻繁な移動により、コンプライアンスの問題を有する。投与回数の低減は、視覚喪失および眼の疾患または状態の悪化に関連する。AAVベクターが、IVT注射後に標的網膜細胞に効率よく形質導入できることは、治療遺伝子を光受容器、網膜色素上皮、および内部網膜へとうまく移入して多様な網膜疾患を処置するために利用されている。このように、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードするrAAV粒子の投与は、抗VEGF剤のin vivoでの長期間のおよび/または持続的な放出を提供することができる。
【0062】
意外にも、アフリベルセプトをコードするrAAV粒子の6×1011ベクターゲノム(vg)/眼の1回単位低用量を、眼内血管新生疾患を有する個体の眼に投与することは、処置した全ての個体において疾患の安定化およびロバストな解剖学的応答をもたらした(実施例1を参照されたい)。加えて、アフリベルセプトをコードするrAAV粒子の6×1011vg/眼の1回単位低用量の投与後、全ての処置した個体において視力が安定化され、いずれの個体もレスキュー抗VEGF処置(例えば、アフリベルセプトのIVT注射)を必要としなかった。その上、アフリベルセプトをコードするrAAV粒子の1回単位用量を、眼内血管新生疾患を有する個体の眼に投与することは、以前の抗VEGF処置(例えば、アフリベルセプト、ラニビズマブ、またはベバシズマブの長期的なIVT注射)に対して不応性であった網膜内液および網膜下液を含む症状の低減(例えば、消散)を意外にも引き起こした。
【0063】
したがって、本開示は、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードするrAAV粒子の6×1011vg/眼またはそれ未満の1回単位用量を投与することによって、個体における眼内血管新生疾患を処置する方法を提供する。加えて、本開示は、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードするrAAV粒子の1回単位用量を投与することによって、眼内血管新生疾患を有する個体の眼の網膜液を低減するための方法を提供する。本明細書に開示される方法は、繰り返しIVT注射の必要性を低減させるかまたはなくし、長期的な有効性を提供しながら、ノンコンプライアンスおよびノンアドヒアランスの問題に対処する。加えて、本明細書に提供される方法は、複数のIVT注射に関連する有害効果を低減する。
処置の方法
【0064】
本明細書において、個体における眼内血管新生疾患を処置するための方法であって、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子の単位用量を個体の眼に投与するステップを含む方法が提供される。
【0065】
同様に、本明細書において、眼内血管新生疾患を有する個体の眼の網膜液を低減させるための方法であって、rAAV粒子の単位用量を個体の眼に投与するステップを含む方法が提供される。
【0066】
一部の実施形態では、眼内血管新生疾患は、滲出性加齢黄斑変性(wAMD)、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、糖尿病網膜症、増殖性糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、糖尿病黄斑浮腫、糖尿病網膜虚血、虚血性網膜症、糖尿病網膜浮腫、またはそのいずれかの組合せである。
【0067】
一部の実施形態では、個体はヒトである。一部の実施形態では、個体は、抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、および/またはアフリベルセプト)による眼内血管新生疾患の少なくとも1回の以前の処置(例えば、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、またはそれより多くの処置)を、rAAV粒子の単位用量の投与前のおよそ最後の8週間、およそ最後の9週間、およそ最後の10週間、およそ最後の11週間、およそ最後の12週間、およそ最後の13週間、およそ最後の14週間、およそ最後の15週間、またはおよそ最後の16週間の間に受けた。一部の実施形態では、個体は、抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、および/またはアフリベルセプト)による以前の処置に対して意味のある応答を示した。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、アフリベルセプト、その機能的バリアント、またはその機能的断片である。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。一部の実施形態では、個体の眼の網膜液は、網膜内液(IRF)および/または網膜下液(SRF)である。一部の実施形態では、個体の眼の網膜液の量または存在は、抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、および/またはアフリベルセプト)による以前の処置に対して不応性である。一部の実施形態では、抗VEGF剤はアフリベルセプト、その機能的バリアント、またはその機能的断片である。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0068】
一部の実施形態では、単位用量は、ベクターゲノム数(vg)として表記される。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1011ベクターゲノム(vg)またはそれ未満である。一部の実施形態では、単位用量は、ベクターゲノム数(vg)/眼(vg/眼)として表記される。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1011vg/眼またはそれ未満である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、約6×1010~約2×1011vg/眼である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、約2×1011または約6×1010vg/眼である。
【0069】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼に投与される。一部の実施形態では、個体の1つの眼は右眼または左眼である。一部の実施形態では、個体の1つの眼は右眼である。一部の実施形態では、個体の1つの眼は左眼である。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、rAAV粒子の単位用量を個体の反対側の眼に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、個体の1つの眼は右眼であり、反対側の眼は左眼である。一部の実施形態では、個体の1つの眼は左眼であり、反対側の眼は右眼である。
【0070】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量を1つの眼に投与するステップの最大約2週間(例えば、約0日、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日)後である。一部の実施形態では、個体の反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼に投与されたrAAV粒子の単位用量とほぼ同じである(例えば、1%未満高いもしくは低い、5%未満高いもしくは低い、10%未満高いもしくは低い、または20%未満高いもしくは低い)か、またはそれより低い(例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%低い)。
【0071】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量を1つの眼に投与するステップの少なくとも約2週間(例えば、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約5カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約7カ月、少なくとも約8カ月、少なくとも約9カ月、少なくとも約10カ月、少なくとも約11カ月、少なくとも約12カ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、少なくとも約5年、またはそれより長い期間)後である。一部の実施形態では、個体の反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼に投与されたrAAV粒子の単位用量より高い(例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約225%、約250%、約275%、約300%、またはそれより高い%のいずれかより高い)。
【0072】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸、およびb)カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含むAAV2カプシドタンパク質であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、AAV2カプシドタンパク質を含む。配列番号35の配列を以下に提供する:
SDTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号35)
【0073】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸、およびb)カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含むAAV2カプシドタンパク質であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、AAV2カプシドタンパク質を含む。
【0074】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号35のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、アフリベルセプトまたはその機能的バリアントまたはその機能的断片である。
【0075】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコドン最適化配列を含み、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコドン最適化配列を含み、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列と100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコドン最適化配列を含み、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。
【0076】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、アフリベルセプトまたはその機能的バリアントまたはその機能的断片のcDNA配列を含み、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、アフリベルセプトまたはその機能的バリアントまたはその機能的断片のコドン最適化cDNA配列を含み、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、配列番号36の核酸配列を含む核酸を含む。
【0077】
一部の実施形態では、核酸は、(a)CMV配列を含む第1のエンハンサー領域;(b)CMV配列を含むプロモーター領域;(c)5’から3’の順に、TPL配列およびeMLP配列を含む5’UTR領域;(d)全長のEES配列を含む第2のエンハンサー領域;ならびに(e)HGHポリアデニル化部位をさらに含む。一部の実施形態では、CMV配列を含むエンハンサー領域は、配列番号22の配列を含む。一部の実施形態では、CMV配列を含むプロモーター領域は、配列番号23の配列を含む。一部の実施形態では、TPL配列は、配列番号24の配列を含む。一部の実施形態では、eMLP配列は、配列番号25の配列を含む。一部の実施形態では、全長のEES配列を含む第2のエンハンサー領域は、配列番号26の配列を含む。一部の実施形態では、HGHポリアデニル化部位は、配列番号27の配列を含む。
【0078】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含むAAV2カプシドタンパク質を含む。配列番号13の配列を以下に提供する:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLD
KGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQ
AKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDAD
SVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVI
TTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLI
NNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQG
CLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPF
HSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPG
PCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVL
IFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGNRQAATADVNTQGV
LPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTT
FSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVY
SEPRPIGTRYLTRNL(配列番号13)
【0079】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含むAAV2カプシドタンパク質であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、AAV2カプシドタンパク質を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含むAAV2カプシドタンパク質を含む。
【0080】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入された以下のアミノ酸配列:LALGETTRPA(配列番号1);LANETITRPA(配列番号2)、LAKAGQANNA(配列番号3)、LAKDPKTTNA(配列番号4)、KDTDTTR(配列番号5)、RAGGSVG(配列番号6)、AVDTTKF(配列番号7)、STGKVPN(配列番号8)、LAKDTDTTRA(配列番号9)、LARAGGSVGA(配列番号10)、LAAVDTTKFA(配列番号11)、LASTGKVPNA(配列番号12)、LGETTRP(配列番号14)、NETITRP(配列番号15)、KAGQANN(配列番号16)、KDPKTTN(配列番号17)、KDTDTTR(配列番号18)、RAGGSVG(配列番号19)、AVDTTKF(配列番号20)、およびSTGKVPN(配列番号21)のいずれかを含むAAV2カプシドタンパク質であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、AAV2カプシドタンパク質を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入された以下のアミノ酸配列:LALGETTRPA(配列番号1);LANETITRPA(配列番号2)、LAKAGQANNA(配列番号3)、LAKDPKTTNA(配列番号4)、KDTDTTR(配列番号5)、RAGGSVG(配列番号6)、AVDTTKF(配列番号7)、STGKVPN(配列番号8)、LAKDTDTTRA(配列番号9)、LARAGGSVGA(配列番号10)、LAAVDTTKFA(配列番号11)、LASTGKVPNA(配列番号12)、LGETTRP(配列番号14)、NETITRP(配列番号15)、KAGQANN(配列番号16)、KDPKTTN(配列番号17)、KDTDTTR(配列番号18)、RAGGSVG(配列番号19)、AVDTTKF(配列番号20)、およびSTGKVPN(配列番号21)のいずれかを含むAAV2カプシドタンパク質を含む。
【0081】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の個体の1つの眼および/または反対側の眼への投与は、硝子体内(IVT)注射、眼内投与、または網膜内注射による。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の個体の1つの眼および/または反対側の眼への投与は、硝子体内(IVT)注射による。
【0082】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は医薬製剤中にある。一部の実施形態では、医薬製剤は、rAAV粒子、1つまたは複数の浸透圧またはイオン強度調整剤、1つまたは複数の緩衝剤、1つまたは複数の界面活性剤、および1つまたは複数の溶媒を含む。一部の実施形態では、浸透圧またはイオン強度調整剤は、塩化ナトリウムである。一部の実施形態では、1つまたは複数の緩衝剤は、リン酸二水素ナトリウムおよび/またはリン酸水素ナトリウムである。一部の実施形態では、界面活性剤はポロキサマー188である。一部の実施形態では、溶媒は水である。一部の実施形態では、医薬製剤は、rAAV粒子、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、および界面活性剤を含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、約1×1010vg/mL~約1×1013vg/mLのrAAV粒子を含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、約6×1011vg/mL~約6×1012vg/mLのrAAV粒子を含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、約150mM~約200mM塩化ナトリウム(例えば、約150mM、約160mM、約170mM、約180mM、約190mM、または約200mMのいずれか)を含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、約1mM~約10mMリン酸二水素ナトリウム(例えば、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、または約10mM)を含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、約1mM~約10mMリン酸水素ナトリウム(例えば、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、または約10mM)を含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、約0.0005%(重量/体積)~約0.005%(重量/体積)ポロキサマー188(例えば、約0.0005%(重量/体積)、0.0006%(重量/体積)、0.0007%(重量/体積)、0.0008%(重量/体積)、0.0009%(重量/体積)、0.001%(重量/体積)、0.002%(重量/体積)、0.003%(重量/体積)、0.004%(重量/体積)、または約0.005%(重量/体積)のいずれか)を含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、約7.0~約7.5(例えば、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、または約7.5のいずれか)のpHを有する。一部の実施形態では、医薬製剤は、約6×1012vg/mLのrAAV粒子、約180mM塩化ナトリウム、約5mMリン酸二水素ナトリウム、約5mMリン酸水素ナトリウム、および約0.001%(重量/体積)ポロキサマー188を含み、医薬製剤は約7.3のpHを有する。一部の実施形態では、医薬製剤は、約6×1011vg/mLのrAAV粒子、約180mM塩化ナトリウム、約5mMリン酸二水素ナトリウム、約5mMリン酸水素ナトリウム、および約0.001%(重量/体積)ポロキサマー188を含み、医薬製剤は約7.3のpHを有する。
【0083】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、約25μL~約250μLの間(例えば、約25μL、約30μL、約40μL、約50μL、約60μL、約70μL、約80μL、約90μL、約100μL、約110μL、約120μL、約130μL、約140μL、約150μL、約160μL、約170μL、約180μL、約190μL、約200μL、約210μL、約220μL、約230μL、約240μL、または約250μLのいずれか)の体積を含む。一部の実施形態では、医薬製剤中のrAAV粒子の濃度は、個体の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量の体積が約25μL~約250μLの間となるように調整される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は約100μLの体積を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は約30μLの体積を含む。
【0084】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、ステロイド処置と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置はコルチコステロイド処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置は全身性のステロイド処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置は経口ステロイド処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置はプレドニゾン処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置は眼科用ステロイド処置である。一部の実施形態では、眼科用ステロイド処置は、局所ステロイド処置(例えば、点眼液)、眼周囲のステロイド処置(例えば、テノン嚢下、結膜下)、硝子体内ステロイド処置、または脈絡膜上ステロイド処置である。一部の実施形態では、局所ステロイド処置は、ジフルプレドネート処置、メドリゾン処置、ロテプレドノール処置、プレドニゾロン処置、フルオシノロン処置、トリアムシノロン処置、リメキソロン処置、デキサメタゾン処置、フルオロメトロン処置、フルオシノロン処置、リメキソロン処置、またはプレドニゾン処置である。一部の実施形態では、局所ステロイド処置はジフルプレドネート処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与前、投与の間、および/または投与後に投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与前に投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与の間に投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与後に投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与前および投与の間に投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与前および投与後に投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与の間および投与後に投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与前、投与の間、および投与後に投与される。
【0085】
一部の実施形態では、ステロイド処置は、眼科用ステロイド処置(例えば、ジフルプレドネート)である。一部の実施形態では、眼科用ステロイド処置(例えば、ジフルプレドネート)は、rAAV粒子の単位用量の投与から最大約4週間、約6週間、または約8週間の毎日ステロイド処置である。一部の実施形態では、眼科用ステロイド処置は、約1週目に眼科用ステロイドの約4回の投与、約2週目に眼科用ステロイドの約3回の投与、約3週目に眼科用ステロイドの約2回の投与、および約4週目に眼科用ステロイドの約1回の投与を含み、タイミングはrAAV粒子の単位用量の投与から開始し投与後である。一部の実施形態では、眼科用ステロイドは、約0.005%~約0.5%ジフルプレドネートである。一部の実施形態では、眼科用ステロイドは、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.4%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、または約0.1%ジフルプレドネートのいずれかである。一部の実施形態では、眼科用ステロイドは、0.05%ジフルプレドネートである。一部の実施形態では、0.05%ジフルプレドネートの用量は、眼科用溶液1滴である。一部の実施形態では、1滴は約50μl(例えば、約25μl~約50μl、約50μl~約100μl)である。一部の実施形態では、ジフルプレドネートの用量は、約1μg~約5μg、または約2μg~約3μg、または約2.5μgジフルプレドネートを含む。一部の実施形態では、ジフルプレドネートの用量は、約2.5μgジフルプレドネートを含む。
【0086】
一部の実施形態では、ステロイド処置は、眼科用ステロイド処置(例えば、ジフルプレドネート)である。一部の実施形態では、眼科用ステロイド処置(例えば、ジフルプレドネート)は、rAAV粒子の単位用量の投与から最大約4週間、約6週間、または約8週間の毎日の局所ステロイド処置である。一部の実施形態では、局所ステロイド処置は、約1週目に局所ステロイドの約4回の投与、約2週目に局所ステロイドの約3回の投与、約3週目に局所ステロイドの約2回の投与、および約4週目に局所ステロイドの約1回の投与を含み、タイミングはrAAV粒子の単位用量の投与から開始し投与後である。一部の実施形態では、局所ステロイドは、0.05%ジフルプレドネートの約1μg~約3μg用量を含む。一部の実施形態では、局所ステロイドは、0.05%ジフルプレドネートの約2.5μg用量を含む。一部の実施形態では、局所ステロイドは、約0.005%~約0.5%ジフルプレドネートを含む。一部の実施形態では、局所ステロイドは、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.4%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、または約0.1%ジフルプレドネートのいずれかである。一部の実施形態では、局所ステロイドは、0.05%ジフルプレドネートである。一部の実施形態では、0.05%ジフルプレドネートの用量は、眼科用溶液1滴である。一部の実施形態では、1滴は約50μl(例えば、約25μl~約50μl、約50μl~約100μl)である。一部の実施形態では、ジフルプレドネートの用量は、約1μg~約5μg、または約2μg~約3μg、または約2.5μgジフルプレドネートを含む。一部の実施形態では、ジフルプレドネートの用量は約2.5μgジフルプレドネートを含む。
【0087】
一部の実施形態では、個体の眼の網膜液(例えば、SRFおよび/またはIRF)は、rAAV粒子の単位用量の個体の1つの眼および/または反対側の眼への投与後、約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約100%のいずれかより大きく低減される。一部の実施形態では、個体の眼の網膜液(例えば、SRFおよび/またはIRF)は、rAAV粒子の単位用量の投与前の個体の眼の網膜液のレベルと比較して、rAAV粒子の単位用量の個体の1つの眼および/または反対側の眼への投与後、約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約100%のいずれかより大きく低減される。一部の実施形態では、個体の眼の網膜液(例えば、SRFおよび/またはIRF)は、rAAV粒子の単位用量の投与前の個体の眼の網膜液のレベルと比較して、rAAV粒子の単位用量の個体の1つの眼および/または反対側の眼への投与後、約100%低減される。
【0088】
一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、rAAV粒子の単位用量の投与後の個体の1つの眼および/または反対側の眼の網膜液(例えば、SRFおよび/またはIRF)のレベルをモニターするステップをさらに含む。一部の実施形態では、眼の網膜液(例えば、SRFおよび/またはIRF)の低減は、rAAV粒子の単位用量の投与の、約1日、約3日、約8日、約2週間、約4週間、約6週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約56週間、約60週間、約64週間、約68週間、約72週間、約76週間、約80週間、約84週間、約88週間、約92週間、約96週間、約100週間、約104週間、またはそれより長い期間のいずれかの後に初めて観察される。一部の実施形態では、眼の網膜液(例えば、SRFおよび/またはIRF)の低減は、rAAV粒子の単位用量を投与後、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間、少なくとも24週間、少なくとも28週間、少なくとも32週間、少なくとも36週間、少なくとも40週間、少なくとも44週間、少なくとも48週間、少なくとも52週間、少なくとも56週間、少なくとも60週間、少なくとも64週間、少なくとも68週間、少なくとも72週間、少なくとも76週間、少なくとも80週間、少なくとも84週間、少なくとも88週間、少なくとも92週間、少なくとも96週間、少なくとも100週間、少なくとも104週間、またはそれより長い期間持続するか、または維持される。
【0089】
一部の実施形態では、眼の網膜液(例えば、SRFおよび/またはIRF)の低減は、当技術分野で公知の任意の方法によって決定される。一部の実施形態では、眼の網膜液(例えば、SRFおよび/またはIRF)の低減は、光干渉断層法(OCT)、スペクトラルドメインOCT(SD-OCT)、OCT血管造影、フルオレセイン血管造影、または直接網膜観察によって決定される。一部の実施形態では、眼の網膜液(例えば、SRFおよび/またはIRF)の低減は、光干渉断層法(OCT)によって決定される。一部の実施形態では、眼の網膜液(例えば、SRFおよび/またはIRF)の低減は、スペクトラルドメインOCT(SD-OCT)によって決定される。一部の実施形態では、眼の網膜液(例えば、SRFおよび/またはIRF)の低減は、OCT血管造影によって決定される。一部の実施形態では、眼の網膜液(例えば、SRFおよび/またはIRF)の低減は、フルオレセイン血管造影によって決定される。一部の実施形態では、眼の網膜液(例えば、SRFおよび/またはIRF)の低減は、直接網膜観察によって決定される。
【0090】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたかは、AAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前の網膜液(例えば、網膜内液(IRF)および/または網膜下液(SRF))のレベルと比較した網膜液(例えば、SRFおよび/またはIRF)のレベルに基づいて評価される(例えば、上記のように)。一部の実施形態では、網膜液は、網膜下液(SRF)または網膜内液(IRF)である。一部の実施形態では、網膜液は網膜下液(SRF)である。一部の実施形態では、網膜液は網膜内液(IRF)である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前の網膜液(例えば、IRFおよび/またはSRF)のレベルと比較して、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後に網膜液(例えば、IRFおよび/またはSRF)の低減が観察される場合、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたことが決定される(例えば、上記のように)。一部の実施形態では、眼内血管新生疾患はwAMDである。
【0091】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の網膜厚と比較して網膜厚の維持または減少をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の網膜厚と比較して網膜厚の減少をもたらす。一部の実施形態では、網膜厚は、中心領域網膜厚(CST)または中心窩網膜厚(CRT)である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の網膜厚と比較して約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または約100%のいずれかより大きい網膜厚の減少をもたらす。一部の実施形態では、網膜厚(例えば、CSTまたはCRT)は、OCTまたはSD-OCTによって決定される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、約10μm~約100μm(例えば、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約55μm、約60μm、約65μm、約70μm、約75μm、約80μm、約85μm、約90μm、約95μm、約100μm、またはそれより大きいμmのいずれかより大きい)の中心窩網膜厚(CRT)または中心領域網膜厚(CST)の減少をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の網膜厚と比較して約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または約100%のいずれかより大きい中心窩網膜厚(CRT)または中心領域網膜厚(CST)の減少をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の網膜厚と比較して少なくとも約10%の中心窩網膜厚(CRT)または中心領域網膜厚(CST)の減少をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の網膜厚と比較して約15%またはそれより大きい中心窩網膜厚(CRT)または中心領域網膜厚(CST)の減少をもたらす。
【0092】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の黄斑体積と比較して黄斑体積の維持または減少をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の黄斑体積と比較して黄斑体積の減少をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の黄斑体積と比較して約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%のいずれかより大きい黄斑体積の減少をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の黄斑体積と比較して少なくとも約10%の黄斑体積の減少をもたらす。一部の実施形態では、黄斑体積は、OCTまたはSD-OCTによって決定される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の黄斑体積と比較して少なくとも約10%の黄斑体積の減少をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の黄斑体積と比較して約15%またはそれより大きい黄斑体積の減少をもたらす。一部の実施形態では、黄斑体積はOCTまたはSD-OCTによって決定される。
【0093】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の視力と比較して視力の維持または改善をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の視力と比較して視力の改善をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前の視力と比較して、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約225%、約250%、約275%、約300%、またはそれより大きい%のいずれかより大きい視力の改善をもたらす。一部の実施形態では、視力は、最高矯正視力(BCVA)である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前のBCVAと比較してBCVAの改善をもたらす。一部の実施形態では、BCVAは、ETDRSスコアとして表記され、これは正確に読んだ文字数に対応する(Vitale et al., (2016) JAMA Opthalmol 134(9):1041:1047)。一部の実施形態では
、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前のBCVAと比較して、少なくとも15ETDRS文字(Vitale et al., (2016) JAMA Opthalmol 134(9):1041:1047)(例えば、
少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、または約70文字)のBCVAの改善をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前のBCVAと比較して約5ETDRS文字のBCVAの改善をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前のBCVAと比較して個体が15ETDRS文字未満(Vitale et al., (2016) JAMA Opthalmol 134(9):1041:1047)(例えば、15文字もしくはそれ未満、14
文字もしくはそれ未満、13文字もしくはそれ未満、12文字もしくはそれ未満、11文字もしくはそれ未満、10文字もしくはそれ未満、9文字もしくはそれ未満、8文字もしくはそれ未満、7文字もしくはそれ未満、6文字もしくはそれ未満、5文字もしくはそれ未満、4文字もしくはそれ未満、3文字もしくはそれ未満、2文字もしくはそれ未満、1文字、または0文字のいずれか)の減少を有する、BCVAの維持をもたらす。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量の投与前のBCVAと比較して個体が約2文字の減少を有する、BCVAの維持をもたらす。
【0094】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたかは、1つの眼および/または反対側の眼における最高矯正視力(BCVA)に基づいて評価される。一部の実施形態では、BCVAは、ETDRSスコアとして表記され、これは正確に読んだ文字数に対応する(Vitale et al., (2016) JAMA Opthalmol 134(9):1041:1047)。一部の実施形態
では、個体が、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前と比較して、ETDRSスコアの15文字未満(例えば、15文字もしくはそれ未満、14文字もしくはそれ未満、13文字もしくはそれ未満、12文字もしくはそれ未満、11文字もしくはそれ未満、10文字もしくはそれ未満、9文字もしくはそれ未満、8文字もしくはそれ未満、7文字もしくはそれ未満、6文字もしくはそれ未満、5文字もしくはそれ未満、4文字もしくはそれ未満、3文字もしくはそれ未満、2文字もしくはそれ未満、1文字、または0文字のいずれか)の減少を有する場合、個体は視覚および/または視力の維持を有すると決定される。一部の実施形態では、個体が、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前と比較して、少なくとも15文字(例えば、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、または約70文字のいずれか)の増加を有する場合、個体は、視覚および/または視力の改善を有すると決定される。
【0095】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたかは、1つの眼および/または反対側の眼における中心領域網膜厚(CST)または中心窩網膜厚(CRT)に基づいて評価される。一部の実施形態では、CSTまたはCRTは、SD-OCTによって決定される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前と比較してrAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後に、SD-OCTによって評価したCSTまたはCRTが減少する場合、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたことが決定される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前と比較してrAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後に、SD-OCTによって評価したCSTまたはCRTが維持される場合、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたことが決定される。
【0096】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたかは、1つの眼および/または反対側の眼における黄斑体積に基づいて評価される。一部の実施形態では、黄斑体積は、SD-OCTによって決定される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前と比較して、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後に、SD-OCTによって評価した黄斑体積が減少する場合、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたことが決定される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前と比較して、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後に、SD-OCTによって評価した黄斑体積が維持される場合、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたことが決定される。
【0097】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたかは、1つの眼および/または反対側の眼における網膜厚(例えば、中心窩網膜厚(CRT)または中心領域網膜厚(CST))、および黄斑体積に基づいて評価される。一部の実施形態では、CSTおよび黄斑体積は、SD-OCTによって決定される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前と比較してrAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後に、SD-OCTによって評価したCSTおよび黄斑体積が減少する場合、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたことが決定される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前と比較してrAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後に、SD-OCTによって評価したCSTおよび黄斑体積が維持される場合、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたことが決定される。
【0098】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたかは、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後に個体が必要とするレスキュー治療処置(例えば、アフリベルセプト注射)の数に基づいて評価される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後、個体が4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、8週間毎、9週間毎、10週間毎またはそれより多くのいずれかの、1回未満のレスキュー治療処置(例えば、アフリベルセプト注射)を必要とする場合、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたことが決定される。
【0099】
一部の実施形態では、個体が、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも15週間、少なくとも20週間、少なくとも30週間、少なくとも40週間、少なくとも50週間、少なくとも60週間、少なくとも70週間、少なくとも80週間、少なくとも90週間、少なくとも100週間、少なくとも110週間、またはそれより長い期間のいずれかの間、いかなるレスキュー治療処置(例えば、アフリベルセプト注射)も必要としない場合、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたことが決定される。
【0100】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたかは、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前の網膜液のレベルと比較した網膜液のレベルに基づいて評価される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前の網膜液のレベルと比較して、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後に、網膜液の低減が観察される場合、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたことが決定される。一部の実施形態では、眼内血管新生疾患はwAMDである。
【0101】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたかは、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前の色素上皮剥離(PED)と比較したPEDの消散に基づいて評価される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前のPEDと比較して、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後にPEDの消散が観察される場合、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたことが決定される。一部の実施形態では、眼内血管新生疾患はwAMDである。
【0102】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたかは、フルオレセイン血管造影によって決定される脈絡膜血管新生(CNV)病変の成長に基づいて評価される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前に存在するCNV病変と比較してrAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後に、CNV病変が収縮(例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または100%のいずれかより大きく)する場合、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたことが決定される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前に存在するCNV病変と比較してrAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後にCNV病変が成長しない(例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、または約20%のいずれかより小さい成長)場合、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたことが決定される。一部の実施形態では、眼内血管新生疾患はwAMDである。
【0103】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたかは、当技術分野で公知のいずれかの方法(例えば、SD-OCT、OCT、フルオレセイン血管造影、デジタルカラー眼底撮影等)に基づく1つの眼および/または反対側の眼の解剖学的特色に基づいて評価される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後に1つの眼および/または反対側の眼の解剖学的特色に改善が観察される場合、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたことが決定される。一部の実施形態では、眼内血管新生疾患はwAMDである。
【0104】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後の個体において眼内血管新生疾患が処置されたかは、眼科検査、眼内圧(例えば、ゴールドマン圧平眼圧計、またはTono-penを使用する)、倒像眼底検査、1つの眼および/または反対側の眼ならびに眼付属器の検査、眼瞼および/または瞳孔の応答性、眼瞼下垂、異常な瞳孔形状、瞳孔不同、光に対する反応の異常、求心性瞳孔障害、細隙灯検査(眼瞼、結膜、角膜、水晶体、光彩、および前房の検査を含む)、硝子体、視神経、周辺網膜、および網膜の脈管構造の後側セグメントの異常、SD-OCT、フルオレセイン血管造影、デジタルカラー眼底撮影(網膜、視神経乳頭、および/または黄斑の画像を含む)、房水採取、硝子体液採取、OCT-血管造影(OCT-A)、屈折および/または視力(BCVA)に基づいて評価される。一部の実施形態では、SD-OCTは、網膜厚(例えば、中心窩網膜厚または中心領域網膜厚)、黄斑体積、および/または液体(例えば、網膜下液または網膜内液)の存在を評価するために実施される。一部の実施形態では、眼内血管新生疾患はwAMDである。
【0105】
rAAV粒子の単位用量は、当技術分野で公知の任意の方法によって個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与され得る。例えばrAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼および/または反対側の眼の眼内にまたは硝子体内注射によって投与され得る。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の個体の1つの眼および/または反対側の眼への投与は、眼内である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の個体の1つの眼および/または反対側の眼への投与は、硝子体内注射(IVT)または網膜下注射による。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の個体の1つの眼および/または反対側の眼への投与は、IVT注射による。一部の実施形態では、無菌的技法を使用して、rAAV粒子の単位用量を硝子体内注射によって投与する。一部の実施形態では、ポビドン(providone)ヨードを伴う無菌的技法を使用して、rAAV粒子の単位用量を硝子体内注
射によって投与する。
【0106】
一部の実施形態では、個体は、眼内血管新生疾患に対する以前の処置を受けていない。一部の実施形態では、個体は、1つの眼および/または反対側の眼への、眼内血管新生疾患に対する以前の処置を受けていない。一部の実施形態では、個体は、抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、および/またはアフリベルセプト)による以前の処置を受けていない。一部の実施形態では、個体は、1つの眼および/または反対側の眼への、抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、および/またはアフリベルセプト)による以前の処置を受けていない。一部の実施形態では、個体は、以前のアフリベルセプト処置を受けていない。一部の実施形態では、個体は、1つの眼および/または反対側の眼への以前のアフリベルセプト処置を受けていない。
ステロイド処置
【0107】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、ステロイド処置と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置は、コルチコステロイド処置である。例示的なコルチコステロイドとしては、アクロメタゾン、アムシノミド(amcinomide)、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチバゾール、デフラザコルト、デオキシコルチコステロン、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、フルクロロロン、フルドロコルチゾン、フルドロキシコルチド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチン、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン、フルチカゾン、フプレドニデン(fuprednidene)、フォルモコルタル(formocortal)、ハルシノニド、ハ
ロメタゾン、ヒドロコルチゾンアセポン酸エステル、ヒドロコルチゾンブテプレート、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、ロテプレドノール、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンアセポン酸エステル、モメタゾンフランカルボン酸エステル、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレドニリデン、レメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、およびウロベタゾールを含むが限定されない。一部の実施形態では、ステロイド処置は、全身性のステロイド処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置は、経口ステロイド処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置は、眼科用ステロイド処置である。一部の実施形態では、眼科用ステロイド処置は、局所ステロイド処置(例えば、点眼液)、眼周囲のステロイド処置(例えば、テノン嚢下、結膜下)、硝子体内ステロイド処置、または脈絡膜上ステロイド処置である。一部の実施形態では、局所ステロイド処置は、ジフルプレドネート処置、メドリゾン処置、ロテプレドノール処置、プレドニゾロン処置、フルオシノロン処置、トリアムシノロン処置、リメキソロン処置、デキサメタゾン処置、フルオロメトロン処置、フルオシノロン処置、リメキソロン処置、またはプレドニゾン処置である。一部の実施形態では、眼科用ステロイド処置は、ジフルプレドネート処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置は、プレドニゾン処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置は、ジフルプレドネート処置である。
【0108】
一部の実施形態では、ステロイド処置は、全身性のステロイド処置および局所ステロイド処置を含む。一部の実施形態では、全身性のステロイド処置は、経口ステロイド処置である。一部の実施形態では、全身性のステロイド処置は、プレドニゾン処置である。一部の実施形態では、局所ステロイド処置は、ジフルプレドネート処置である。一部の実施形態では、全身性のステロイド処置および局所ステロイド処置は、同時に(例えば、同じ日に)投与される。一部の実施形態では、全身性のステロイド処置および局所ステロイド処置は、個別に(例えば、異なる日に)投与される。
【0109】
一部の実施形態では、ステロイドは、rAAV粒子の単位用量の投与前、投与の間、および/または投与後に投与される。一部の実施形態では、ステロイドは、rAAV粒子の単位用量の投与前、投与の間、および投与後に投与される。一部の実施形態では、ステロイドは、rAAV粒子の単位用量の投与の間、および投与後に投与される。一部の実施形態では、ステロイドは、rAAV粒子の単位用量の投与前に投与される。一部の実施形態では、ステロイドは、rAAV粒子の単位用量の投与の間に投与される。一部の実施形態では、ステロイドは、rAAV粒子の単位用量の投与前および投与の間に投与される。一部の実施形態では、ステロイドは、rAAV粒子の単位用量の投与後に投与される。一部の実施形態では、ステロイドは、rAAV粒子の単位用量の投与の間および投与後に投与される。一部の実施形態では、ステロイドは、rAAV粒子の単位用量の投与前および/または投与後に投与される。一部の実施形態では、ステロイドは、rAAV粒子の単位用量の投与前および投与後に投与される。
【0110】
一部の実施形態では、ステロイド処置は、全身性のステロイド処置である。一部の実施形態では、全身性のステロイド処置は、経口ステロイド処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置は、経口プレドニゾン処置である。一部の実施形態では、経口プレドニゾン処置は、rAAV粒子の単位用量の投与前に開始される。一部の実施形態では、初回の経口プレドニゾン処置は、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、または約70mg/日のプレドニゾンのいずれかの用量で、rAAV粒子の単位用量の投与の約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日、約1日、または0日前のいずれかに投与され、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、または約10日間、またはそれより長い期間のいずれか持続する。一部の実施形態では、初回の経口プレドニゾン処置は、約60mg/日のプレドニゾンの用量で、rAAVの単位用量の投与の約3日前に投与され、約3日間持続する。
【0111】
一部の実施形態では、初回の経口プレドニゾン処置の後、経口プレドニゾン処置の用量を漸減させる。一部の実施形態では、経口プレドニゾン処置の用量の漸減は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、または約50mg/日のプレドニゾンのいずれかの用量で、全体で約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、または約7日間のいずれか、その後約10mg、約15mg、約20mg、または約25mg/日のプレドニゾンの用量で、約1日間、約2日間、約3日間、または約4日間のいずれか、その後約5mg、約10mg、または約15mg/日のプレドニゾンの用量で、約1日間、約2日間、約3日間、または約4日間投与する。一部の実施形態では、プレドニゾンの用量の漸減は、約40mg/日のプレドニゾンのいずれかの用量で、3日間、その後約20mg/日のプレドニゾンの用量で、2日間、その後約10mg/日のプレドニゾンの用量で、2日間投与される。
【0112】
一部の実施形態では、初回の経口プレドニゾン処置は、rAAV粒子の単位用量の投与の3日前に、60mg/日のプレドニゾンの用量で、全体で6日間から開始され、その後40mg/日のプレドニゾンの用量で、全体で3日間、その後20mg/日のプレドニゾンの用量で、2日間、その後10mg/日のプレドニゾンの用量で、2日間投与される。
【0113】
一部の実施形態では、ステロイド処置は、眼科用ステロイド処置である。一部の実施形態では、眼科用ステロイド処置は、ジフルプレドネート処置である。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与前、投与の間、および/または投与後に投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与前に投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与の間に投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与後に投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与前および投与の間に投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与前および投与後に投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与の間および投与後に投与される。一部の実施形態では、ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与前、投与の間、および投与後に投与される。
【0114】
一部の実施形態では、ステロイド処置は、眼科用ステロイド処置である。一部の実施形態では、眼科用ステロイド処置は、rAAV粒子の単位用量の投与後最大4週間、最大6週間、または最大8週間の毎日ステロイド処置である。一部の実施形態では、局所ステロイド処置は、約1週目に局所ステロイドの約4回の投与、約2週目に局所ステロイドの約3回の投与、約3週目に局所ステロイドの約2回の投与、および約4週目に局所ステロイドの約1回の投与を含み、タイミングはrAAV粒子の単位用量の投与から開始し投与後である。一部の実施形態では、眼科用ステロイド処置は、処置を行う医師の裁量で延長される。
【0115】
一部の実施形態では、眼科用ステロイドは、約0.005%~約0.5%ジフルプレドネートである。一部の実施形態では、眼科用ステロイドは、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.4%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、または約0.1%ジフルプレドネートのいずれかである。一部の実施形態では、眼科用ステロイドは、0.05%ジフルプレドネートである。一部の実施形態では、0.05%ジフルプレドネートの用量は、眼科用溶液1滴である。一部の実施形態では、1滴は約50μl(例えば、約25μl~約50μl、約50μl~約100μl)である。一部の実施形態では、ジフルプレドネートの用量は、約1μg~約5μg、または約2μg~約3μg、または約2.5μgジフルプレドネートを含む。一部の実施形態では、ジフルプレドネートの用量は、約2.5μgジフルプレドネートを含む。
標的細胞にトランスジーンを送達するためのベクター
【0116】
一部の実施形態では、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子は、対象(例えば、ヒトまたは非ヒト霊長類)において複製欠損であるように変更されているアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来する組換えウイルスベクターを含む。一部の実施形態では、アデノ随伴ウイルス(AAV)は組換えAAV(rAAV)である。
【0117】
AAVまたはrAAVは、小さいノンエンベロープの一本鎖DNAウイルスである。rAAVは、非病原性ヒトパルボウイルスであり、複製がアデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、およびCMVを含むヘルパーウイルスに依存するように作製することができる。
【0118】
野生型(wt)AAVに対する曝露は、いかなるヒト病態にも関連せず、または引き起こさないことが公知であり、一般集団において一般的であることから、AAVまたはrAAVは、遺伝子治療のための適した送達系となる。抗VEGF剤、例えばアフリベルセプトを送達するための遺伝子治療のために使用されるAAVおよびrAAVは、任意の血清型であり得る。一部の実施形態では、本開示の方法は、AAV1、AAV2、AAV2.5、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、rh10、AAV-DJ、およびその任意のハイブリッドまたはキメラAAVを含む、任意の適したAAV血清型の使用を提供する。一部の実施形態では、使用される血清型は、ウイルスの指向性または目的の標的細胞の感染力に基づく。一部の実施形態では、抗VEGF剤トランスジーン(例えば、アフリベルセプトトランスジーン)と共に使用するために最も最適な血清型の選択を可能にするために、いくつかのAAVベクターが生成され得る。
【0119】
一部の実施形態では、本開示の方法は、シュードタイプAAVの使用を提供する。シュードタイプAAV粒子は、別のAAV血清型のAAVカプシドによってカプシド化された1つのAAV血清型のAAVゲノム末端逆位配列(ITR)を含む。典型的には、シュードタイプAAVは、「AAV#/#」として指定され、第1の「#」は、AAV ITR血清型を示し、第2の「#」は、カプシドの血清型を示す。例えば、AAV2 ITRおよびAAV1カプシドを含むAAV粒子は、「AAV2/1」と指定される。
【0120】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、核酸、例えば異種核酸を含む。一部の実施形態では、核酸は、トランスジーン、例えば抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする。一部の実施形態では、コードされるトランスジーン、例えば抗VEGF剤は、核酸の転写を開始するプロモーターの転写制御下にある。一部の実施形態では、プロモーターは、「遍在する」プロモーターである。一部の実施形態では、プロモーターは、「強力な」または構成的に活性なプロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、伸長因子1アルファ(EFla)プロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、またはコネキシン36(または「Cx36」)プロモーターである。一部の実施形態では、プロモーターは、非標的化細胞への潜在的毒性または望ましくない効果を低減するために、特定の組織または細胞、例えば網膜細胞において活性化される組織特異的プロモーターである。一部の態様では、抗VEGF剤トランスジーン(例えば、アフリベルセプトトランスジーン)と共に使用するために最も最適な血清型およびプロモーターの選択を可能にするために、いくつかのAAVベクターが生成され得る。一部の実施形態では、核酸は、AAV末端逆位配列(ITR)を両端に有する。一部の実施形態では、核酸はAAV2 ITRを両端に有する。
【0121】
一部の実施形態では、AAVベクターは、標的細胞(例えば、網膜細胞)におけるトランスジーン(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の発現を増強するためにポリヌクレオチドカセットを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドカセットは、5’から3’の順に:(a)CMV配列を含む第1のエンハンサー領域(配列番号22);(b)CMV配列を含むプロモーター領域(配列番号23);(c)5’から3’の順にTPLおよびeMLP配列(それぞれ、配列番号24および配列番号25)を含む5’UTR領域;(d)ペプチドまたはポリペプチド(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)をコードするコード配列;(e)全長のEES配列(配列番号26)を含む第2のエンハンサー領域;ならびに(f)HGHポリアデニル化部位(配列番号27)を含む。ある特定のこれらの実施形態では、ポリヌクレオチドカセットは、配列番号28~32から選択される1つもしくは複数の配列、またはそれらと少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。ある特定のこれらの実施形態では、ポリヌクレオチドカセットの5’アームは、配列番号33またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。ある特定のこれらの実施形態では、ポリヌクレオチドカセットの3’アームは、配列番号34またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。配列番号22~34の核酸配列を以下に提供する:
ACTTACGGTA AATGGCCCGC CTGGCTGACC GCCCAACGAC CCCCGCCCAT TGACGTCAAT
AATGACGTAT GTTCCCATAG TAACGCCAAT AGGGACTTTC CATTGACGTC AATGGGTGGA
GTATTTACGG TAAACTGCCC ACTTGGCAGT ACATCAAGTG TATCATATGC CAAGTCCGCC
CCCTATTGAC GTCAATGACG GTAAATGGCC CGCCTGGCAT TATGCCCAGT ACATGACCTT
ACGGGACTTT CCTACTTGGC AGTACATCTA CGTATTAGTC ATCGCTATTA CCA(配列番号22)
TGCTGATGCG GTTTTGGCAG TACACCAATG GGCGTGGATA GCGGTTTGAC TCACGGGGAT
TTCCAAGTCT CCACCCCATT GACGTCAATG GGAGTTTGTT TTGGCACCAA AATCAACGGG
ACTTTCCAAA ATGTCGTAAT AACCCCGCCC CGTTGACGCA AATGGGCGGT AGGCGTGTAC
GGTGGGAGGT CTATATAAGC AGAGCTCGTT TAGTGAACCG(配列番号23)
CTCACTCTCT TCCGCATCGC TGTCTGCGAG GGCCAGCTGT TGGGCTCGCG GTTGAGGACA
AACTCTTCGC GGTCTTTCCA GTACTCTTGG ATCGGAAACC CGTCGGCCTC CGAACGGTAC
TCCGCCACCG AGGGACCTGA GCGAGTCCGC ATCGACCGGA TCGGAAAACC TCTCGAGAAA
GGCGTCTAAC CAGTCACAGT CGCAAGGTAG GCTGAGCACC GTGGCGGGCG GCAGCGGGTG
GCGGTCGGGG TTGTTTCTGG CGGAGGTGCT GCTGATGATG TAATTAAAGT AGGCGGTCTT
GAGACGGCGG ATGGTCGA(配列番号24)
CCAGCTGTTG GGGTGAGTAC TCCCTCTCAA AAGCGGGCAT TACTTCTGCG CTAAGATTGT
CAGTTTCCAA AAACGAGGAG GATTTGATAT TCACCTGGCC CG(配列番号25)
CTGTTCTCAT CACATCATAT CAAGGTTATA TACCATCAAT ATTGCCACAG ATGTTACTTA
GCCTTTTAAT ATTTCTCTAA TTTAGTGTAT ATGCAATGAT AGTTCTCTGA TTTCTGAGAT
TGAGTTTCTC ATGTGTAATG ATTATTTAGA GTTTCTCTTT CATCTGTTCA AATTTTTGTC
TAGTTTTATT TTTTACTGAT TTGTAAGACT TCTTTTTATA ATCTGCATAT TACAATTCTC
TTTACTGGGG TGTTGCAAAT ATTTTCTGTC ATTCTATGGC CTGACTTTTC TTAATGGTTT
TTTAATTTTA AAAATAAGTC TTAATATTCA TGCAATCTAA TTAACAATCT TTTCTTTGTG
GTTAGGACTT TGAGTCATAA GAAATTTTTC TCTACACTGA AGTCATGATG GCATGCTTCT
ATATTATTTT CTAAAAGATT TAAAGTTTTG CCTTCTCCAT TTAGACTTAT AATTCACTGG
AATTTTTTTG TGTGTATGGT ATGACATATG GGTTCCCTTT TATTTTTTAC ATATAAATAT
ATTTCCCTGT TTTTCTAAAA AAGAAAAAGA TCATCATTTT CCCATTGTAA AATGCCATAT
TTTTTTCATA GGTCACTTAC ATATATCAAT GGGTCTGTTT CTGAGCTCTA CTCTATTTTA
TCAGCCTCAC TGTCTATCCC CACACATCTC ATGCTTTGCT CTAAATCTTG ATATTTAGTG
GAACATTCTT TCCCATTTTG TTCTACAAGA ATATTTTTGT TATTGTCTTT GGGCTTTCTA
TATACATTTT GAAATGAGGT TGACAAGTTA(配列番号26)
CTGCCCGGGT GGCATCCCTG TGACCCCTCC CCAGTGCCTC TCCTGGCCCT GGAAGTTGCC
ACTCCAGTGC CCACCAGCCT TGTCCTAATA AAATTAAGTT GCATCATTTT GTCTGACTAG
GTGTCCTTCT ATAATATTAT GGGGTGGAGG GGGGTGGTAT GGAGCAAGGG GCCCAAGTTG
GGAAGAAACC TGTAGGGCCT GC(配列番号27)
AGGCGGTCTT GAGACGGCGG ATGGTCGAGG TGAGGTGTGG CAGGCTTGAG ATCCAGCTGT
TGGGGTGA(配列番号28)
CGCTGTTTTG ACCTCCATAG TGGACACCGG GACCGATCCA GCCTCCGCGT CTCAGGGGAG
ATCTCGTTTA GTGAACCGTC AGATCCTCAC TCTCTTCCGC ATCGCTGTCT GCGAGGGCCA
GCTGTTGGG(配列番号29)
TTGATATTCA CCTGGCCCGA TCTGGCCATA CACTTG(配列番号30)
CCCAGGTCCA AGTTTAAACG CC(配列番号31)
TCTTTGGGCT TTCTATATAC ATTTTGAAAT GAGGTTGACA AGTTACCTAG GAAAACTGTC
TTCCTGCCCG GGTGGCA(配列番号32)
CTCTGGAGAC GACTTACGGT AAATGGCCCG CCTGGCTGAC CGCCCAACGA CCCCCGCCCA
TTGACGTCAA TAATGACGTA TGTTCCCATA GTAACGCCAA TAGGGACTTT CCATTGACGT
CAATGGGTGG AGTATTTACG GTAAACTGCC CACTTGGCAG TACATCAAGT GTATCATATG
CCAAGTCCGC CCCCTATTGA CGTCAATGAC GGTAAATGGC CCGCCTGGCA TTATGCCCAG
TACATGACCT TACGGGACTT TCCTACTTGG CAGTACATCT ACGTATTAGT CATCGCTATT
ACCATGCTGA TGCGGTTTTG GCAGTACACC AATGGGCGTG GATAGCGGTT TGACTCACGG
GGATTTCCAA GTCTCCACCC CATTGACGTC AATGGGAGTT TGTTTTGGCA CCAAAATCAA
CGGGACTTTC CAAAATGTCG TAATAACCCC GCCCCGTTGA CGCAAATGGG CGGTAGGCGT
GTACGGTGGG AGGTCTATAT AAGCAGAGCT CGTTTAGTGA ACCGTCAGAT CGCCTGGAGA
GGCCATCCAC GCTGTTTTGA CCTCCATAGT GGACACCGGG ACCGATCCAG CCTCCGCGTC
TCAGGGGAGA TCTCGTTTAG TGAACCGTCA GATCCTCACT CTCTTCCGCA TCGCTGTCTG
CGAGGGCCAG CTGTTGGGCT CGCGGTTGAG GACAAACTCT TCGCGGTCTT TCCAGTACTC
TTGGATCGGA AACCCGTCGG CCTCCGAACG GTACTCCGCC ACCGAGGGAC CTGAGCGAGT
CCGCATCGAC CGGATCGGAA AACCTCTCGA GAAAGGCGTC TAACCAGTCA CAGTCGCAAG
GTAGGCTGAG CACCGTGGCG GGCGGCAGCG GGTGGCGGTC GGGGTTGTTT CTGGCGGAGG
TGCTGCTGAT GATGTAATTA AAGTAGGCGG TCTTGAGACG GCGGATGGTC GAGGTGAGGT
GTGGCAGGCT TGAGATCCAG CTGTTGGGGT GAGTACTCCC TCTCAAAAGC GGGCATTACT
TCTGCGCTAA GATTGTCAGT TTCCAAAAAC GAGGAGGATT TGATATTCAC CTGGCCCGAT
CTGGCCATAC ACTTGAGTGA CAATGACATC CACTTTGCCT TTCTCTCCAC AGGTGTCCAC
TCCCAGGTCC AAGTTTAAAC GCCGCCACCA TG(配列番号33)
ACTGTTCTCA TCACATCATA TCAAGGTTAT ATACCATCAA TATTGCCACA GATGTTACTT
AGCCTTTTAA TATTTCTCTA ATTTAGTGTA TATGCAATGA TAGTTCTCTG ATTTCTGAGA
TTGAGTTTCT CATGTGTAAT GATTATTTAG AGTTTCTCTT TCATCTGTTC AAATTTTTGT
CTAGTTTTAT TTTTTACTGA TTTGTAAGAC TTCTTTTTAT AATCTGCATA TTACAATTCT
CTTTACTGGG GTGTTGCAAA TATTTTCTGT CATTCTATGG CCTGACTTTT CTTAATGGTT
TTTTAATTTT AAAAATAAGT CTTAATATTC ATGCAATCTA ATTAACAATC TTTTCTTTGT
GGTTAGGACT TTGAGTCATA AGAAATTTTT CTCTACACTG AAGTCATGAT GGCATGCTTC
TATATTATTT TCTAAAAGAT TTAAAGTTTT GCCTTCTCCA TTTAGACTTA TAATTCACTG
GAATTTTTTT GTGTGTATGG TATGACATAT GGGTTCCCTT TTATTTTTTA CATATAAATA
TATTTCCCTG TTTTTCTAAA AAAGAAAAAG ATCATCATTT TCCCATTGTA AAATGCCATA
TTTTTTTCAT AGGTCACTTA CATATATCAA TGGGTCTGTT TCTGAGCTCT ACTCTATTTT
ATCAGCCTCA CTGTCTATCC CCACACATCT CATGCTTTGC TCTAAATCTT GATATTTAGT
GGAACATTCT TTCCCATTTT GTTCTACAAG AATATTTTTG TTATTGTCTT TGGGCTTTCT
ATATACATTT TGAAATGAGG TTGACAAGTT ACCTAGGAAA ACTGTCTTCC TGCCCGGGTG
GCATCCCTGT GACCCCTCCC CAGTGCCTCT CCTGGCCCTG GAAGTTGCCA CTCCAGTGCC
CACCAGCCTT GTCCTAATAA AATTAAGTTG CATCATTTTG TCTGACTAGG TGTCCTTCTA
TAATATTATG GGGTGGAGGG GGGTGGTATG GAGCAAGGGG CCCAAGTTGG GAAGAAACCT
GTAGGGCCTG CGAAGACAGT CAG(配列番号34)
【0122】
標的細胞(例えば、網膜細胞)におけるトランスジーン(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤をコードするトランスジーン)の発現を増強するための追加のポリヌクレオチドカセットは、WO2018/170473に開示されており、標的細胞におけるトランスジーンの発現を増強させるためのポリヌクレオチドカセットに関連するその内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0123】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、標的細胞、例えば網膜細胞の感染力の増加を有するバリアントカプシドタンパク質を含み、網膜細胞への形質導入を増加させるために、または個体における網膜細胞への遺伝子送達の標的化を増加させるために使用される。一部の実施形態では、rAAV粒子は、AAVカプシドタンパク質のカプシドタンパク質GHループ/ループIVにアミノ酸改変を含む。一部の実施形態では、改変部位は、AAVカプシドタンパク質のGHループ/ループIVの溶媒アクセス可能部分である。AAVカプシドのGHループ/ループIVの説明に関しては、例えばvan Vliet et al. (2006) Mol. Ther. 14:809;Padron et al. (2005) J. Virol. 79:5047;およびShen
et al. (2007) Mol. Ther. 15:1955を参照されたい。7m8バリアントを含むい
くつかのAAVカプシドバリアントが公知である。一部の実施形態では、rAAV粒子は、対応する親のAAVカプシドタンパク質と比較してカプシドタンパク質のGHループに5アミノ酸~11アミノ酸、例えば7アミノ酸配列の挿入を含むバリアントAAVカプシドタンパク質を含み、バリアントカプシドタンパク質は、対応する親または非改変AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子による網膜細胞の感染力と比較すると、網膜細胞の感染力の増加を付与する。一部の実施形態では、以下のアミノ酸配列:LALGETTRPA(配列番号1);LANETITRPA(配列番号2)、LAKAGQANNA(配列番号3)、LAKDPKTTNA(配列番号4)、KDTDTTR(配列番号5)、RAGGSVG(配列番号6)、AVDTTKF(配列番号7)、STGKVPN(配列番号8)、LAKDTDTTRA(配列番号9)、LARAGGSVGA(配列番号10)、LAAVDTTKFA(配列番号11)、およびLASTGKVPNA(配列番号12)、LGETTRP(配列番号14)、NETITRP(配列番号15)、KAGQANN(配列番号16)、KDPKTTN(配列番号17)、KDTDTTR(配列番号18)、RAGGSVG(配列番号19)、AVDTTKF(配列番号20)、およびSTGKVPN(配列番号21)のうちのいずれか1つがカプシドタンパク質のGHループに挿入され得る。一部の実施形態では、配列番号1~12および14~21に記載のアミノ酸配列のいずれか1つが、rAAVにおけるVP1カプシドタンパク質の溶媒に露出したGHループに挿入される。例えばIVT注射後の網膜細胞への目的の核酸の形質導入を容易にするために、カプシドタンパク質のGHループに挿入することができるアミノ酸配列に関する追加の詳細は、WO2012145601、US9587282、US10202657、およびUS10214785に提供され、カプシドタンパク質のGHループに挿入することができるアミノ酸配列に関連するその内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0124】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、以下の位置:AAV2カプシドタンパク質の587位と588位の間;AAV1カプシドタンパク質のアミノ酸590と591の間;AAV5カプシドタンパク質のアミノ酸575と576の間;AAV6カプシドタンパク質のアミノ酸590と591の間;AAV7カプシドタンパク質のアミノ酸589と590の間;AAV8カプシドタンパク質のアミノ酸590と591の間;AAV9カプシドタンパク質のアミノ酸588と589の間;またはAAV10カプシドタンパク質のアミノ酸589と590の間に挿入された以下のアミノ酸配列:LALGETTRPA(配列番号1);LANETITRPA(配列番号2)、LAKAGQANNA(配列番号3)、LAKDPKTTNA(配列番号4)、KDTDTTR(配列番号5)、RAGGSVG(配列番号6)、AVDTTKF(配列番号7)、STGKVPN(配列番号8)、LAKDTDTTRA(配列番号9)、LARAGGSVGA(配列番号10)、LAAVDTTKFA(配列番号11)、およびLASTGKVPNA(配列番号12)、LGETTRP(配列番号14)、NETITRP(配列番号15)、KAGQANN(配列番号16)、KDPKTTN(配列番号17)、KDTDTTR(配列番号18)、RAGGSVG(配列番号19)、AVDTTKF(配列番号20)、およびSTGKVPN(配列番号21)のうちのいずれか1つを含むAAVカプシドタンパク質、例えばAAV2カプシドタンパク質を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含むAAV2カプシドタンパク質であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、AAV2カプシドタンパク質を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含むAAV2カプシドタンパク質を含む。
【0125】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、AAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含むAAV2からの7m8バリアントカプシドタンパク質を含む。AAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含むAAV2からの7m8バリアントカプシドタンパク質の配列を以下に提供する:
IHSLPIVSDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGNLALGETTRPARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号37)
【0126】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含むカプシドタンパク質VP1であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、カプシドタンパク質VP1を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含むカプシドタンパク質VP2であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、カプシドタンパク質VP2を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含むカプシドタンパク質VP3であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、カプシドタンパク質VP3を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、カプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3であって、その各々がカプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含み、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、カプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3を含む。
【0127】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含むカプシドタンパク質VP1であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、カプシドタンパク質VP1を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含むカプシドタンパク質VP2であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、カプシドタンパク質VP2を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含むカプシドタンパク質VP3であって、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、カプシドタンパク質VP3を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、カプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3であって、その各々がカプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含み、アミノ酸残基ナンバリングがAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する、カプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3を含む。
【0128】
一部の実施形態では、rAAVウイルスを生成するために使用される組換えウイルスおよび/またはプラスミドは、他の転写または調節エレメント、例えばポリA(ポリアデニル化)配列、非翻訳領域(UTR)、3’UTR、または終止配列を含む。一部の実施形態では、配列内リボソーム進入部位(IRES)、あるいは2つもしくはそれより多くのタンパク質の同時発現を可能にするか、または多重遺伝子もしくは多シストロン性mRNAを作製する類似のエレメントを使用して、1つより多くの遺伝子が、ベクターまたはプラスミドから発現される。
【0129】
一部の実施形態では、rAAVおよび/またはrAAVを生成するために使用されるプラスミドは、以下の核酸エレメント:第1のITR配列;プロモーター配列;イントロン配列;第1のUTR配列;抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする異種核酸;第2のUTR配列;ポリA配列;および第2のITR配列のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、リンカー配列(複数可)が核酸エレメントの2つまたはそれより多くの間に挿入される。一部の実施形態では、治療ポリペプチドをコードする異種核酸は、アフリベルセプト(またはその機能的断片もしくは機能的バリアント)をコードする。
【0130】
一部の実施形態では、ベクターは、標的化ベクター、特に特定の細胞、例えば網膜細胞(例えば、光受容器、網膜神経節細胞、ミュラー細胞、双極細胞、アマクリン細胞、水平細胞、または網膜色素上皮細胞)の高い感染力を示す標的化rAAV(例えば、AAV2.7m8)である。本開示において使用するためのウイルスベクターは、個体において低い毒性および/または低い免疫原性を示し、個体、例えばヒトにおいて抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)の治療有効量を発現するベクターを含み得る。当技術分野で公知の任意の適した方法を、例えば本明細書の他所で記載される医薬組成物を調製するための組換えウイルス(例えば、rAAV)の生化学的精製に使用することができる。組換えAAVウイルスは、細胞から直接または細胞を含む培養培地から採取することができる。ウイルスは、様々な生化学的手段、例えばゲル濾過、濾過、クロマトグラフィー、アフィニティ精製、密度勾配超遠心、またはサイズ排除法を使用して精製することができる。一部の実施形態では、ウイルスは凍結乾燥される。
【0131】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、7m8バリアントカプシドタンパク質、例えばrAAV2.7m8、および抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト、またはその機能的断片もしく機能的バリアント)をコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子(例えば、7m8バリアント)は、対応する親または非改変AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%のいずれかの網膜細胞感染力の増加を有する。一部の実施形態では、網膜細胞の感染力の増加は、対応する親または非改変AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、5%~100%の間、5%~95%の間、5%~90%の間、5%~85%の間、5%~80%の間、5%~75%の間、5%~70%の間、5%~65%の間、5%~60%の間、5%~55%の間、5%~50%の間、5%~45%の間、5%~40%の間、5%~35%の間、5%~30%の間、5%~25%の間、5%~20%の間、5%~15%の間、5%~10%の間のいずれかの増加である。
【0132】
一部の実施形態では、rAAVバリアント、例えばrAAV2.7m8の網膜細胞感染力の増加は、対応する親または非改変AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも1倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、または少なくとも2倍のいずれかである。一部の実施形態では、感染力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍のいずれかである。一部の実施形態では、感染力の増加は、対応する親または非改変AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、少なくとも50倍、少なくとも55倍、少なくとも60倍、少なくとも65倍、少なくとも70倍、少なくとも75倍、少なくとも80倍、少なくとも85倍、少なくとも90倍、または少なくとも100倍のいずれかである。
【0133】
一部の実施形態では、rAAVバリアント、例えばrAAV2.7m8の網膜細胞感染力の増加は、対応する親または非改変AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、10倍~100倍の間、10倍~95倍の間、10倍~90倍の間、10倍~85倍の間、10倍~80倍の間、10倍~75倍の間、10倍~70倍の間、10倍~65倍の間、10倍~60倍の間、10倍~55倍の間、10倍~50倍の間、10倍~45倍の間、10倍~40倍の間、10倍~35倍の間、10倍~30倍の間、10倍~25倍の間、10倍~20倍の間、または10倍~15倍の間である。
【0134】
一部の実施形態では、網膜細胞感染力の増加は、対応する親または非改変AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、2倍~20倍の間、2倍~19倍の間、2倍~18倍の間、2倍~17倍の間、2倍~16倍の間、2倍~15倍の間、2倍~14倍の間、2倍~13倍の間、2倍~12倍の間、2倍~11倍の間、2倍~10倍の間、2倍~9倍の間、2倍~8倍の間、2倍~7倍の間、2倍~6倍の間、2倍~5倍の間、2倍~4倍の間、または2倍~3倍の間である。
【0135】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるカプシドタンパク質のアミノ酸改変は、対応する親または非改変AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子が対象の眼の内境界膜(ILM)を通過する能力と比較して、個体、例えばヒトの眼のILMを通過する能力の増加を付与し得る。一部の実施形態では、rAAVバリアント、例えばrAAV2.7m8がILMを通過する能力の増加は、対応する親または非改変AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%のいずれかの増加である。一部の実施形態では、ILMを通過する能力の増加は、親または非改変AAVカプシドタンパク質と比較して、5%~100%の間、5%~95%の間、5%~90%の間、5%~85%の間、5%~80%の間、5%~75%の間、5%~70%の間、5%~65%の間、5%~60%の間、5%~55%の間、5%~50%の間、5%~45%の間、5%~40%の間、5%~35%の間、5%~30%の間、5%~25%の間、5%~20%の間、5%~15%の間、または5%~10%の間の増加である。
【0136】
一部の実施形態では、rAAVバリアント、例えばrAAV2.7m8がILMを通過する能力の増加は、対応する親のAAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも1倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、または少なくとも2倍のいずれかである。一部の実施形態では、ILMを通過する能力の増加は、対応する親のAAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍のいずれかである。一部の実施形態では、ILMを通過する能力の増加は、対応する親または非改変AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、少なくとも50倍、少なくとも55倍、少なくとも60倍、少なくとも65倍、少なくとも70倍、少なくとも75倍、少なくとも80倍、少なくとも85倍、少なくとも90倍、または少なくとも100倍のいずれかである。
【0137】
一部の実施形態では、rAAVバリアント、例えばrAAV2.7m8がILMを通過する能力の増加は、対応する親または非改変AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、10倍~100倍の間、10倍~95倍の間、10倍~90倍の間、10倍~85倍の間、10倍~80倍の間、10倍~75倍の間、10倍~70倍の間、10倍~65倍の間、10倍~60倍の間、10倍~55倍の間、10倍~50倍の間、10倍~45倍の間、10倍~40倍の間、10倍~35倍の間、10倍~30倍の間、10倍~25倍の間、10倍~20倍の間、または10倍~15倍の間である。
【0138】
一部の実施形態では、rAAVバリアント、例えばrAAV2.7m8がILMを通過する能力の増加は、対応する親または非改変AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、2倍~20倍の間、2倍~19倍の間、2倍~18倍の間、2倍~17倍の間、2倍~16倍の間、2倍~15倍の間、2倍~14倍の間、2倍~13倍の間、2倍~12倍の間、2倍~11倍の間、2倍~10倍の間、2倍~9倍の間、2倍~8倍の間、2倍~7倍の間、2倍~6倍の間、2倍~5倍の間、2倍~4倍の間、または2倍~3倍の間である。
【0139】
一部の実施形態では、アフリベルセプトをコードする核酸を含むrAAV.7m8を、遺伝子治療のために使用する。一部の実施形態では、AAV2またはrAAV2を使用して、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする核酸配列を、対象の眼または網膜細胞に硝子体内または網膜下注射を介して送達する。一部の実施形態では、AAV2またはrAAV2を使用して、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする核酸配列を対象の眼または網膜細胞に硝子体内注射を介して送達する。一部の実施形態では、rAAV2.7m8を使用して、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)の核酸配列を、対象の網膜細胞に送達する。一部の実施形態では、異種核酸(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤をコードする核酸)は、標的細胞ゲノム(例えば、網膜細胞ゲノム)に組み込まれ、標的細胞において例えば、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)の長期間の発現をもたらす。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、異種核酸(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤をコードする核酸)を含むプラスミドまたは他の染色体外遺伝子エレメントを、標的細胞(例えば、網膜細胞)に送達する。
【0140】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列と、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%のいずれかの同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子は、アフリベルセプトをコードし、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。配列番号35の配列を以下に提供する:
SDTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVVLSPSHGIELSVGEKLVLNCTARTELNVGIDFNWEYPSSKHQHKKLVNRDLKTQSGSEMKKFLSTLTIDGVTRSDQGLYTCAASSGLMTKKNSTFVRVHEKDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号35)
【0141】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、配列番号36の核酸配列と少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約100%のいずれかの配列相同性を有する核酸であって、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。配列番号36の配列を
図5に提供する。一部の実施形態では、rAAV粒子は、アフリベルセプトの核酸配列(例えば、配列番号36)と少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約100%のいずれかの配列相同性を有する核酸であって、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。一部の実施形態では、アフリベルセプトの核酸配列は、そのアミノ酸配列に由来する。一部の実施形態では、アフリベルセプトの核酸配列は、対象におけるその発現を改善するためにコドン最適化されている。
【0142】
一部の実施形態では、アフリベルセプトの核酸配列は、霊長類またはヒト対象における発現のためにコドン最適化されている。アフリベルセプトアミノ酸配列に対応する合成遺伝子の構築は、文献、例えばKanda A, Noda K, Saito W, Ishida S. Aflibercept Traps Galectin-1, an Angiogenic Factor Associated with Diabetic Retinopathy. Scientific Reports 5:17946 (2015)(「VEGF-TrapR1R2(ア
フリベルセプトに対応する)cDNAが、IDT(Coralville、IA)によって合成遺伝子として生成された」ことを記載する)に記載されている。アフリベルセプトの利用可能なアミノ酸配列を考慮すると、当技術分野で公知の任意の方法を使用して、本明細書に記載される遺伝子治療またはrAAVにおいて使用するためのアフリベルセプトのcDNAを生成することができる。
【0143】
コドン最適化は、当技術分野で公知の任意の方法によって達成することができる。コドン最適化は、目的の標的または宿主細胞、例えばヒト網膜細胞における遺伝子の発現を増強するために、ネイティブアミノ酸配列を維持しながら、ネイティブ配列の少なくとも1つのコドン(例えば、約1個もしくはそれより多く、2個、3個、4個、5個、10個、15個、20個、25個、50個、100個、またはそれより多くのコドン)を宿主細胞においてより頻繁に使用されるまたは最も頻繁に使用されるコドンと交換することによって、核酸配列を改変するプロセスを指す。例えば、GenScript Codon Usage Frequency
Table Tool at www(dot)genscript(dot)com/tools/codon-frequency-table;Codon
Usage Database at www(dot)kazusa(dot)or(dot)jp/codon/;およびNakamura, Y.,
et al. "Codon usage tabulated from the international DNA sequence databases: status for the year 2000" Nucl. Acids Res. 28:292 (2000)を含
むコドン使用表が容易に入手可能である。
【0144】
相同性は、機能的断片、挿入、欠失、置換を含む配列、偽断片、偽遺伝子、スプライスバリアント、または人為的に最適化した配列を含むがこれらに限定されない2つの配列間のアライメントの残基のパーセント保存を指す。
【0145】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、アフリベルセプトをコードする核酸を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドはアフリベルセプトである。
【0146】
本明細書で使用される場合、「アフリベルセプト」は、上記で同定されるアフリベルセプトアミノ酸配列(配列番号35)と少なくとも75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高く、または100%のいずれかの相同性を有するポリペプチドまたはタンパク質配列またはその機能的断片もしくはバリアントもしくは突然変異体を指す。相同性は、機能的断片、挿入、欠失、置換を含む配列、偽断片、偽遺伝子、スプライスバリアント、または人為的に最適化した配列を含むがこれらに限定されない2つの配列間のアライメントの残基のパーセント保存を指す。
【0147】
一部の実施形態では、アフリベルセプトのアミノ酸配列は、配列番号35のアフリベルセプトアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または100%のいずれか、相同である。一部の実施形態では、本明細書に開示されるアフリベルセプトをコードする核酸配列は、上記で同定されたアフリベルセプトアミノ酸配列の対応するcDNA配列と比較した場合、アフリベルセプトの核酸配列(例えば、配列番号36)との間で少なくとも75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または100%のいずれかの配列相同性を示す。一部の実施形態では、アフリベルセプトは、アフリベルセプトと少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または100%のいずれか、空間的に(例えば、その二次構造、三次構造、および四次構造または立体配座に関して)相同である。一部の実施形態では、アフリベルセプトは、標準治療で使用されるアフリベルセプトと多くて80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または100%のいずれか、空間的に(例えば、二次構造、三次構造、および四次構造または立体配座)相同である。
【0148】
一部の実施形態では、rAAVに基づく遺伝子治療に含まれるアフリベルセプト遺伝子産物、またはアフリベルセプトトランスジーンは、本明細書に開示されるカプシドバリアント(例えば、7m8バリアント)を含み、配列番号35の上記のアミノ酸配列と、またはアフリベルセプトの対応するcDNA配列(例えば、配列番号36と比較して遺伝子治療に使用されるアフリベルセプト配列のcDNA)との間で、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%のいずれかの相同性を有するタンパク質、融合タンパク質、またはポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法、組成物は、アフリベルセプトの機能的断片、またはそのバリアントもしくは突然変異体を含む。一部の実施形態では、アフリベルセプトの核酸配列は、in vivoでのその活性、発現、安定性、および/または溶解度を増強するように改変されるかまたはコドン最適化される。
【0149】
アフリベルセプトは、グリコシル化され得る115kDaの融合タンパク質である。アフリベルセプトは、ヒトVEGFR-1およびVEGFR-2の細胞外VEGF受容体配列に融合されたIgG骨格を含み、その天然のまたは内因性の受容体より高い親和性でVEGF-Aに結合することによって可溶性のデコイ受容体として機能する。例えば、Stewart MW. Aflibercept (VEGF Trap-eye): the newest anti-VEGF drug. Br. J.
Ophthalmol. 2012 Sep;96(9):1157-8を参照されたい。アフリベルセプトのVEGF
に対する高い親和性は、ネイティブまたは内因性のVEGF受容体のその後の結合および活性化を妨害または破壊する。VEGF活性の低減は、血管形成および血管透過性の減少をもたらし得る。アフリベルセプトによる胎盤増殖因子PIGFおよびVEGF-Bの阻害はまた、異常な(例えば、過剰な)血管形成および/または血管新生によって特徴付けられる眼の疾患または障害の処置にも寄与し得る。PIGFは、PIGFの上昇レベルに関連し得る、血管形成および滲出性AMDなどのある特定の眼の疾患または障害に関連している。VEGF-Bの過剰発現は、血液-網膜関門の破壊および網膜血管形成に関連し得る。このように、VEGF-A、VEGF-B、およびPIGFの阻害は全て、アフリベルセプトの有効性に寄与し得る。
標的細胞にトランスジーンを送達するためのベクターの調製方法
【0150】
一部の実施形態では、rAAV粒子は、当技術分野で公知の任意の方法を使用して製造される。一部の実施形態では、rAAV粒子は、Sf9細胞におけるバキュロウイルス発現ベクター系を使用して製造される。Sf9細胞は、バキュロウイルスを使用する組換えタンパク質産生のために一般的に使用される昆虫細胞培養細胞系である。一部の実施形態では、rAAV粒子は、Sf9細胞において2つのバキュロウイルスを使用して製造される。一部の実施形態では、rAAV粒子は、Sf9細胞において2つのバキュロウイルスを使用して製造され、第1のバキュロウイルスは、AAV2 RepおよびAAV2.7m8 Capタンパク質の遺伝子をコードし、第2のバキュロウイルスは抗VEGF剤をコードする。一部の実施形態では、rAAV粒子は、Sf9細胞において2つのバキュロウイルスを使用して製造され、第1のバキュロウイルスは、AAV2 RepおよびAAV2.7m8 Capタンパク質の遺伝子をコードし、第2のバキュロウイルスはアフリベルセプト(例えば、ヒトアフリベルセプト)cDNA発現カセットをコードする。一部の実施形態では、rAAV粒子は、Sf9細胞において2つのバキュロウイルスを使用して製造され、第1のバキュロウイルスは、AAV2 RepおよびAAV2.7m8 Capタンパク質の遺伝子をコードし、第2のバキュロウイルスは、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、AAV2末端逆位配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号35のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドはアフリベルセプトである。
用量
【0151】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼に投与される。一部の実施形態では、個体の1つの眼は右眼または左眼である。一部の実施形態では、個体の1つの眼は右眼である。一部の実施形態では、個体の1つの眼は左眼である。一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、rAAV粒子の単位用量を個体の反対側の眼に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、個体の1つの眼は右眼であり、反対側の眼は左眼である。一部の実施形態では、個体の1つの眼は左眼であり、反対側の眼は右眼である。
【0152】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量を1つの眼に投与するステップの少なくとも約2週間(例えば、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約5カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約7カ月、少なくとも約8カ月、少なくとも約9カ月、少なくとも約10カ月、少なくとも約11カ月、少なくとも約12カ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、少なくとも約5年、またはそれより長い期間)後である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量を1つの眼に投与するステップの少なくとも約2週間後であり、個体の反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼に投与されたrAAV粒子の単位用量より高い(例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約225%、約250%、約275%、約300%またはそれより高い%のいずれかより高い)。
【0153】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量を1つの眼に投与するステップの最大約1週間、最大約2週間、最大約3週間、または最大約4週間後である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量を1つの眼に投与するステップの最大約2週間(例えば、約0日、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日)後である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量を1つの眼に投与するステップの最大約2週間(例えば、約0日、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日)後であり、個体の反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼に投与されたrAAV粒子の単位用量とほぼ同じであるか(例えば、1%未満高いもしくは低い、5%未満高いもしくは低い、10%未満高いもしくは低い、または20%未満高いもしくは低い)、または低い(例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%低い)。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量を1つの眼に投与するステップの最大約2週間後であり、個体の反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼に投与されたrAAV粒子の単位用量とほぼ同じである(例えば、1%未満高いもしくは低い、5%未満高いもしくは低い、10%未満高いもしくは低い、または20%未満高いもしくは低い)。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量を個体の反対側の眼に投与するステップは、rAAV粒子の単位用量を1つの眼に投与するステップの最大約2週間後であり、個体の反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼に投与されたrAAV粒子の単位用量より低い(例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%低い)。
【0154】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、ベクターゲノム数(vg)として表記される。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1011ベクターゲノム(vg)またはそれ未満である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約1×1010~約2×1010vg、約2×1010~約3×1010vgの間、約3×1010~約4×1010vgの間、約4×1010~約5×1010vgの間、約5×1010~約6×1010vgの間、約6×1010~約7×1010vgの間、約7×1010~約8×1010vgの間、約8×1010~約9×1010vgの間、約9×1010~約10×1010vgの間、約1×1011~約2×1011vgの間、約2×1011~約3×1011vgの間、約3×1011~約4×1011vgの間、約4×1011~約5×1011vgの間、または約5×1011~約6×1011vgの間であり、rAAV粒子のこれらの範囲内の任意の値を含む。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1010ベクターゲノム(vg)~約2×1011vgである。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg~約2×1011vg、約7×1010vg~約2×1011vg、約8×1010vg~約2×1011vg、約9×1010vg~約2×1011vg、約10×1010vg~約2×1011vg、または約1×1011vg~約2×1011vgである。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg~約2×1011vgである。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg~約7×1010vg、約7×1010vg~約8×1010vg、約8×1010vg~約9×1010vg、約9×1010vg~約10×1010vg、約10×1010vg~約1×1011vg、または約1×1011vg~約2×1011vgである。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg、約7×1010vg、約8×1010vg、約9×1010vg、約10×1010vg、約1×1011vg、または約2×1011vgである。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vgまたは約2×1011vgである。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vgである。一部の実施形態では、単位用量は、約6×1010vg、約2×1011vg、または約6×1011vgである。一部の実施形態では、単位用量は約6×1010vgである。一部の実施形態では、単位用量は約2×1011vgである。一部の実施形態では、単位用量は約6×1011vgである。
【0155】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与される。一部の実施形態では、単位用量は、ベクターゲノム数(vg)/眼(vg/眼)として表記される。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1011vg/眼またはそれ未満である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約1×1010~約2×1010vg/眼、約2×1010~約3×1010vg/眼の間、約3×1010~約4×1010vg/眼の間、約4×1010~約5×1010vg/眼の間、約5×1010~約6×1010vg/眼の間、約6×1010~約7×1010vg/眼の間、約7×1010~約8×1010vg/眼の間、約8×1010~約9×1010vg/眼の間、約9×1010~約10×1010vg/眼の間、約1×1011~約2×1011vg/眼の間、約2×1011~約3×1011vg/眼の間、約3×1011~約4×1011vg/眼の間、約4×1011~約5×1011vg/眼の間、または約5×1011~約6×1011vg/眼の間であり、rAAV粒子のこれらの範囲内の任意の値を含む。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼~約2×1011vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約7×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約8×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約9×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約10×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、または約1×1011vg/眼~約2×1011vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼~約2×1011vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼~約7×1010vg/眼、約7×1010vg/眼~約8×1010vg/眼、約8×1010vg/眼~約9×1010vg/眼、約9×1010vg/眼~約10×1010vg/眼、約10×1010vg/眼~約1×1011vg/眼、または約1×1011vg/眼~約2×1011vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼、約7×1010vg/眼、約8×1010vg/眼、約9×1010vg/眼、約10×1010vg/眼、約1×1011vg/眼、または約2×1011vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼または約2×1011vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は、約6×1010vg/眼、約2×1011vg/眼、または約6×1011vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は約6×1010vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は約2×1011vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は約6×1011vg/眼である。
【0156】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与される。一部の実施形態では、Eは、底10の指数の略記であり、xEyは、xに、底10の累乗/羃指数y乗を掛けたものを指す。一部の実施形態では、単位用量は、ベクターゲノム数(vg)として表記される。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E11ベクターゲノム(vg)またはそれ未満である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約1E10~約2E10vg、約2E10~約3E10vgの間、約3E10~約4E10vgの間、約4E10~約5E10vgの間、約5E10~約6E10vgの間、約6E10~約7E10vgの間、約7E10~約8E10vgの間、約8E10~約9E10vgの間、約9E10~約10E10vgの間、約1E11~約2E11vgの間、約2E11~約3E11vgの間、約3E11~約4E11vgの間、約4E11~約5E11vgの間、または約5E11~約6E11vgの間であり、rAAV粒子のこれらの範囲内の任意の値を含む。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E10ベクターゲノム(vg)~約2E11vgである。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E10vg~約2E11vg、約7E10vg~約2E11vg、約8E10vg~約2E11vg、約9E10vg~約2E11vg、約10E10vg~約2E11vg、または約1E11vg~約2E11vgである。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E10vg~約2E11vgである。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E10vg~約7E10vg、約7E10vg~約8E10vg、約8E10vg~約9E10vg、約9E10vg~約10E10vg、約10E10vg~約1E11vg、または約1E11vg~約2E11vgである。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E10vg、約7E10vg、約8E10vg、約9E10vg、約10E10vg、約1E11vg、または約2E11vgである。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E10vgまたは約2E11vgである。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E10vgである。一部の実施形態では、単位用量は、約6E10vg、約2E11vg、または約6×1011vgである。一部の実施形態では、単位用量は約6E10vgである。一部の実施形態では、単位用量は約2E11vgである。一部の実施形態では、単位用量は約6×1011vgである。
【0157】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与される。一部の実施形態では、単位用量は、ベクターゲノム数(vg)/眼(vg/眼)として表記される。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E11vg/眼またはそれ未満である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約1E10~約2E10vg/眼、約2E10~約3E10vg/眼の間、約3E10~約4E10vg/眼の間、約4E10~約5E10vg/眼の間、約5E10~約6E10vg/眼の間、約6E10~約7E10vg/眼の間、約7E10~約8E10vg/眼の間、約8E10~約9E10vg/眼の間、約9E10~約10E10vg/眼の間、約1E11~約2E11vg/眼の間、約2E11~約3E11vg/眼の間、約3E11~約4E11vg/眼の間、約4E11~約5E11vg/眼の間、または約5E11~約6E11vg/眼の間であり、rAAV粒子のこれらの範囲内の任意の値を含む。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E10vg/眼~約2E11vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E10vg/眼~約2E11vg/眼、約7E10vg/眼~約2E11vg/眼、約8E10vg/眼~約2E11vg/眼、約9E10vg/眼~約2E11vg/眼、約10E10vg/眼~約2E11vg/眼、または約1E11vg/眼~約2E11vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E10vg/眼~約2E11vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E10vg/眼~約7E10vg/眼、約7E10vg/眼~約8E10vg/眼、約8E10vg/眼~約9E10vg/眼、約9E10vg/眼~約10E10vg/眼、約10E10vg/眼~約1E11vg/眼、または約1E11vg/眼~約2E11vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E10vg/眼、約7E10vg/眼、約8E10vg/眼、約9E10vg/眼、約10E10vg/眼、約1E11vg/眼、または約2E11vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E10vg/眼または約2E11vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は、rAAV粒子の約6E10vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は、約6E10vg/眼、約2E11vg/眼、または約6×1011vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は約6E10vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は約2E11vg/眼である。一部の実施形態では、単位用量は約6×1011vg/眼である。
【0158】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、硝子体液中で治療タンパク質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の発現を引き起こすために十分な単位用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、硝子体液中で約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10μg/mlまたはそれより高いμg/mlのいずれか1つの、これらの値の間の任意の範囲を含む治療タンパク質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の濃度を達成するために十分な単位用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、硝子体液中でアフリベルセプトの発現を引き起こすために十分な単位用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、硝子体液中で約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10μg/mlまたはそれより高いμg/mlのいずれか1つの、これらの値の間の任意の範囲を含むアフリベルセプトの濃度を達成するために十分な単位用量である。
【0159】
一部の実施形態では、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、房水中で治療タンパク質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の発現を引き起こすために十分な単位用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、房水中で、少なくとも約0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0μg/mlまたはそれより高い、これらの値の間の任意の範囲を含む治療タンパク質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の濃度を達成するために十分な単位用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、房水中でアフリベルセプトの発現を引き起こすために十分な単位用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、房水中で少なくとも約0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0μg/mlまたはそれより高い、これらの値の間の任意の範囲を含むアフリベルセプトの濃度を達成するために十分な単位用量である。
【0160】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、網膜中で治療タンパク質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の発現を引き起こすために十分な単位用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、網膜中で少なくとも約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10μg/g、またはそれより高い、これらの値の間の任意の範囲を含む治療タンパク質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の濃度を達成するために十分な単位用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、網膜中でアフリベルセプトの発現を引き起こすために十分な単位用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、網膜中で少なくとも約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10μg/g、またはそれより高い、これらの値の間の任意の範囲を含むアフリベルセプトの濃度を達成するために十分な単位用量である。
【0161】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、脈絡膜中で治療タンパク質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の発現を引き起こすために十分な単位用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、脈絡膜中で約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10μg/gまたはそれより高いμg/gのいずれか1つの、これらの値の間の任意の範囲を含む治療タンパク質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の濃度を達成するために十分な単位用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、脈絡膜中でアフリベルセプトの発現を引き起こすために十分な単位用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、脈絡膜中で約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10μg/g、またはそれより高いμg/gのいずれか1つの、これらの値の間の任意の範囲を含むアフリベルセプトの濃度を達成するために十分な単位用量である。
【0162】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、治療有効用量である。
【0163】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、単位用量が、rAAV粒子の単位用量の投与前の網膜厚と比較して網膜厚の維持または減少を引き起こすために十分である場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、単位用量が、rAAV粒子の単位用量の投与前の網膜厚と比較して網膜厚の減少を引き起こすために十分である場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、網膜厚は、中心領域網膜厚(CST)または中心窩網膜厚(CRT)である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、単位用量が、rAAV粒子の単位用量の投与前の網膜厚と比較して約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、または約100%のいずれかより大きい網膜厚の減少を引き起こすために十分である場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、網膜厚(例えば、CSTまたはCRT)は、OCTまたはSD-OCTによって決定される。
【0164】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、単位用量が、rAAV粒子の単位用量の投与前の黄斑体積と比較して黄斑体積の維持または減少を引き起こすために十分である場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、単位用量が、rAAV粒子の単位用量の投与前の黄斑体積と比較して黄斑体積の減少を引き起こすために十分である場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、単位用量が、rAAV粒子の単位用量の投与前の黄斑体積と比較して約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、または約65%のいずれかより大きい黄斑体積の減少を引き起こすために十分である場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、黄斑体積は、OCTまたはSD-OCTによって決定される。
【0165】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、単位用量が、rAAV粒子の単位用量の投与前の視力と比較して視力の維持または改善を引き起こすために十分である場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、単位用量が、rAAV粒子の単位用量の投与前の視力と比較して視力の改善を引き起こすために十分である場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、単位用量が、rAAV粒子の単位用量の投与前の視力と比較して約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約225%、約250%、約275%、約300%またはそれより大きい%のいずれかより大きい視力の改善を引き起こすために十分である場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、視力は、最高矯正視力(BCVA)である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、単位用量が、rAAV粒子の単位用量の投与前のBCVAと比較してBCVAの改善を引き起こすために十分である場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、BCVAは、ETDRSスコアとして表記され、これは正確に読んだ文字数に対応する(Vitale et al., (2016) JAMA Opthalmol 134(9):1041:1047)。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位
用量は、単位用量が、rAAV粒子の単位用量の投与前のBCVAと比較して、少なくとも15ETDRS文字(Vitale et al., (2016) JAMA Opthalmol 134(9):1041:1047)(例えば、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約
40、少なくとも約50、少なくとも約60、または約70文字)のBCVAの改善を引き起こすために十分である場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、単位用量が、rAAV粒子の単位用量の投与前のBCVAと比較して個体が15ETDRS文字未満(Vitale et al., (2016) JAMA Opthalmol 134(9):1041:1047)(例えば、15文字もしくはそれ未満、14文字もしくはそれ未満、13文字
もしくはそれ未満、12文字もしくはそれ未満、11文字もしくはそれ未満、10文字もしくはそれ未満、9文字もしくはそれ未満、8文字もしくはそれ未満、7文字もしくはそれ未満、6文字もしくはそれ未満、5文字もしくはそれ未満、4文字もしくはそれ未満、3文字もしくはそれ未満、2文字もしくはそれ未満、1文字、または0文字)の減少を有する、BCVAの維持を引き起こすために十分である場合、治療有効用量である。
【0166】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の投与後に、個体が視覚の維持を有すると決定される場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の投与後に、個体が視覚の改善を有すると決定される場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の投与前と比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に、SD-OCTによって評価したCSTまたはCRTが減少する場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の投与前と比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に、SD-OCTによって評価したCSTまたはCRTが維持される場合、治療有効用量である。
【0167】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の投与前と比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に黄斑体積が減少する場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の投与前と比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に黄斑体積が維持される場合、治療有効用量である。
【0168】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の投与前と比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に、網膜厚(例えば、中心窩網膜厚(CRT)または中心領域網膜厚(CST))および黄斑体積が減少する場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の投与前と比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に、網膜厚(例えば、中心窩網膜厚(CRT)または中心領域網膜厚(CST))および黄斑体積が維持される場合、治療有効用量である。
【0169】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の投与後に、個体がrAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与後に、約4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、8週間毎、9週間毎、10週間毎、またはそれより長い期間毎のいずれかに1回未満のレスキュー治療処置(例えば、アフリベルセプト注射)を必要とする場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の投与後に個体が、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも15週間、少なくとも20週間、少なくとも30週間、少なくとも40週間、少なくとも50週間、少なくとも60週間、少なくとも70週間、少なくとも80週間、少なくとも90週間、少なくとも100週間、少なくとも110週間、またはそれより長い期間のうちの、少なくともおよそいずれかの期間、いかなるレスキュー治療処置も(例えば、アフリベルセプト注射)必要としない場合、治療有効用量である。
【0170】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前の網膜液のレベルと比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に、個体が網膜液の低減を有することが決定される場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前の網膜液のレベルと比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に、個体が網膜液の維持を有することが決定される場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前のIRFおよび/またはSRFのレベルと比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に、個体が1つの眼および/または反対側の眼においてIRFおよび/またはSRFの低減を有することが決定される場合、治療有効用量である。
【0171】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前の色素上皮剥離(PED)と比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に、個体がPEDの消散を有することが決定される場合、治療有効用量である。
【0172】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前に存在するCNV病変と比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に、CNV病変が収縮する場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前に存在するCNV病変と比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に、CNV病変が約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%のいずれかより大きく収縮する場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前に存在するCNV病変と比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に、CNV病変が成長しない場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与前に存在するCNV病変と比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に、CNV病変が、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、または20%のいずれかより大きく成長しない場合、治療有効用量である。
【0173】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の投与前の解剖学的特色と比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に、個体が、1つの眼および/または反対側の眼の解剖学的特色の改善を有することが決定される場合、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の単位用量の投与前の解剖学的特色と比較してrAAV粒子の単位用量の投与後に、個体が、1つの眼および/または反対側の眼の解剖学的特色の安定化および/または維持を有することが決定される場合、治療有効用量である。
【0174】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、用量の個体の1つの眼および/または反対側の眼への投与が、眼内血管新生疾患または障害の少なくとも1つの症状を低減する、停止する、または防止する場合、治療的に有効である。異常な(例えば、過剰な)血管形成によって特徴付けられる眼内血管新生疾患または障害の場合、そのような症状としては、例えば視覚障害(例えば、色覚障害、かすみ目、中心視力の悪化)および視覚喪失を含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、単位用量の個体の1つの眼および/または反対側の眼への投与が、眼内血管新生疾患の1つまたは複数の臨床特色の維持、部分消散、または完全消散をもたらす場合、治療有効用量である。例えば、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、当技術分野で公知の任意の方法によって測定した場合に、個体の1つの眼および/または反対側の眼への用量の投与が、眼内血管新生疾患の完全消散、部分消散、または維持をもたらす場合、治療的に有効である。一部の実施形態では、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼および/または反対側の眼への用量の投与が、最高矯正視力(BCVA)(例えば、ETDRSスコアに基づく;Vitale et al.,
(2016) JAMA Opthalmol 134(9):1041:1047)、SD-OCTによって決定される中
心網膜厚、rAAV粒子の単位用量の1つの眼および/または反対側の眼への投与への投与後に個体が必要としたレスキュー治療処置(例えば、アフリベルセプト注射)の回数、網膜内液(IRF)および/または網膜下液(SRF)の存在、色素上皮剥離(PED)の消散、脈絡膜血管新生(CNV)病変の成長、当技術分野で公知の任意の方法(例えば、SD-OCT、OCT、フルオレセイン血管造影、デジタルカラー眼底撮影等)に基づく解剖学的特色によって評価した場合に、眼内血管新生疾患の完全消散、部分消散、または維持をもたらす場合、治療的に有効である。一部の実施形態では、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼および/または反対側の眼への用量の投与が、眼科検査、眼内圧(例えば、ゴールドマン圧平眼圧計、またはTono-penを使用する)、倒像眼底検査、1つの眼および/または反対側の眼ならびに眼付属器の検査、眼瞼および/または瞳孔の応答性、眼瞼下垂、異常な瞳孔形状、瞳孔不同、光に対する反応の異常、求心性瞳孔障害、細隙灯検査(眼瞼、結膜、角膜、水晶体、光彩、および前房の検査を含む)、硝子体、視神経、周辺網膜、および網膜の脈管構造の後側セグメントの異常、SD-OCT、フルオレセイン血管造影、デジタルカラー眼底撮影(網膜、視神経乳頭、および/または黄斑の画像を含む)、房水採取、硝子体液採取、OCT-血管造影(OCT-A)、屈折および視力(BCVA)によって評価した場合に、眼内血管新生疾患の完全消散、部分消散、または維持をもたらす場合、治療的に有効である。
【0175】
一部の実施形態では、個体の1つの眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、個体の反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量と同じである。一部の実施形態では、個体の1つの眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、個体の反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量とは異なる。一部の実施形態では、個体の1つの眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、個体の反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量より高く、例えば約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約225%、約250%、約275%、約300%またはそれより高い%のいずれかより高い。一部の実施形態では、個体の反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、個体の1つの眼に投与されたrAAV粒子の単位用量より高く、例えば約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約225%、約250%、約275%、約300%またはそれより高い%のいずれかより高い。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、ベクターゲノム数(vg)/眼(vg/眼)として表記される。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の約6×1011vg/眼またはそれ未満である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の約1×1010~約2×1010vg/眼、約2×1010~約3×1010vg/眼の間、約3×1010~約4×1010vg/眼の間、約4×1010~約5×1010vg/眼の間、約5×1010~約6×1010vg/眼の間、約6×1010~約7×1010vg/眼の間、約7×1010~約8×1010vg/眼の間、約8×1010~約9×1010vg/眼の間、約9×1010~約10×1010vg/眼の間、約1×1011~約2×1011vg/眼の間、約2×1011~約3×1011vg/眼の間、約3×1011~約4×1011vg/眼の間、約4×1011~約5×1011vg/眼の間、または約5×1011~約6×1011vg/眼の間であり、rAAV粒子のこれらの範囲内の任意の値を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼~約2×1011vg/眼である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約7×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約8×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約9×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約10×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、または約1×1011vg/眼~約2×1011vg/眼である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼~約2×1011vg/眼である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼~約7×1010vg/眼、約7×1010vg/眼~約8×1010vg/眼、約8×1010vg/眼~約9×1010vg/眼、約9×1010vg/眼~約10×1010vg/眼、約10×1010vg/眼~約1×1011vg/眼、または約1×1011vg/眼~約2×1011vg/眼である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼、約7×1010vg/眼、約8×1010vg/眼、約9×1010vg/眼、約10×1010vg/眼、約1×1011vg/眼、または約2×1011vg/眼である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼または約2×1011vg/眼である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、約6×1010vg/眼、約2×1011vg/眼、または約6×1011vg/眼である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は約6×1010vg/眼である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は約2×1011vg/眼である。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は約6×1011vg/眼である。
【0176】
一部の実施形態では、個体の1つの眼に投与されたrAAV粒子の単位用量と、個体の反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、同じ時間に投与される。一部の実施形態では、個体の1つの眼に投与されたrAAV粒子の単位用量と、個体の反対側の眼に投与されたrAAV粒子の単位用量は、異なる時間に投与される。一部の実施形態では、反対側の眼に投与された単位用量は、単位用量を1つの眼に投与した少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、またはそれより長い期間のいずれかの後に投与される。一部の実施形態では、反対側の眼に投与された単位用量は、単位用量を1つの眼に投与した少なくとも約2週間後に投与される。
【0177】
一部の実施形態では、rAAV粒子の1回単位用量は、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与される。一部の実施形態では、1つの眼および/または反対側の眼に投与されたrAAV粒子の1回単位用量は、治療有効用量である。一部の実施形態では、rAAV粒子の1つより多くの用量(例えば、約2、3、4、5、またはそれより多くの単位用量のいずれかより多く)が、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与される。一部の実施形態では、1つの眼および/または反対側の眼に投与されたrAAV粒子の1つより多くの用量は、治療有効用量である。
医薬製剤
【0178】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は医薬製剤中にある。一部の実施形態では、医薬製剤は、rAAV粒子、1つまたは複数の浸透圧またはイオン強度調整剤、1つまたは複数の緩衝剤、1つまたは複数の界面活性剤、および1つまたは複数の溶媒を含む。一部の実施形態では、浸透圧またはイオン強度調整剤は塩化ナトリウムである。一部の実施形態では、1つまたは複数の緩衝剤はリン酸二水素ナトリウムおよび/またはリン酸水素ナトリウムである。一部の実施形態では、界面活性剤はポロキサマー188である。一部の実施形態では、溶媒は水である。一部の実施形態では、医薬製剤は、rAAV粒子、塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、および界面活性剤を含む。
【0179】
一部の実施形態では、医薬製剤は、約1×1010vg/mL~約1×1013vg/mLのrAAV粒子、約150mM~約200mM塩化ナトリウム、約1mM~約10mMリン酸二水素ナトリウム、約1mM~約10mMリン酸水素ナトリウム、および約0.0005%(重量/体積)~約0.005%(重量/体積)ポロキサマー188を含み、医薬製剤は約7.0~約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、医薬製剤は、約6×1011vg/mL~約6×1012vg/mLのrAAV粒子、約150mM~約200mM塩化ナトリウム、約1mM~約10mMリン酸二水素ナトリウム、約1mM~約10mMリン酸水素ナトリウム、および約0.0005%(重量/体積)~約0.005%(重量/体積)ポロキサマー188を含み、医薬製剤は約7.0~約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、医薬製剤は、約6×1011vg/mLのrAAV粒子、約150mM~約200mM塩化ナトリウム、約1mM~約10mMリン酸二水素ナトリウム、約1mM~約10mMリン酸水素ナトリウム、および約0.0005%(重量/体積)~約0.005%(重量/体積)ポロキサマー188を含み、医薬製剤は約7.0~約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、医薬製剤は、約6×1012vg/mLのrAAV粒子、約150mM~約200mM塩化ナトリウム、約1mM~約10mMリン酸二水素ナトリウム、約1mM~約10mMリン酸水素ナトリウム、および約0.0005%(重量/体積)~約0.005%(重量/体積)ポロキサマー188を含み、医薬製剤は約7.0~約7.5のpHを有する。
【0180】
一部の実施形態では、医薬製剤中のrAAV粒子は、約1×1010vg/ml~約1×1013vg/mlの濃度で存在する。一部の実施形態では、医薬製剤中のrAAV粒子は、約1×1009vg/ml~約6×1014vg/mlの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、医薬製剤中のrAAV粒子は、約1×1009vg/ml~約2×1009vg/ml、約2×1009vg/ml~約3×1009、約3×1009vg/ml~約4×1009、約4×1009vg/ml~約5×1009、約5×1009vg/ml~約6×1009、約6×1009vg/ml~約7×1009、約7×1009vg/ml~約8×1009、約8×1009vg/ml~約9×1009、約9×1009vg/ml~約10×1009、約10×1009vg/ml~約1×1010、約1×1010vg/ml~約2×1010、約2×1010vg/ml~約3×1010、約3×1010vg/ml~約4×1010、約4×1010vg/ml~約5×1010、約5×1010vg/ml~約6×1010、約6×1010vg/ml~約7×1010、約7×1010vg/ml~約8×1010、約8×1010vg/ml~約9×1010、約9×1010vg/ml~約10×1010、約10×1010vg/ml~約1×1011、約1×1011vg/ml~約2×1011、約2×1011vg/ml~約3×1011、約3×1011vg/ml~約4×1011、約4×1011vg/ml~約5×1011、約5×1011vg/ml~約6×1011、約6×1011vg/ml~約7×1011、約7×1011vg/ml~約8×1011、約8×1011vg/ml~約9×1011、約9×1011vg/ml~約10×1011、約1×1012vg/ml~約2×1012、約2×1012vg/ml~約3×1012、約3×1012vg/ml~約4×1012、約4×1012vg/ml~約5×1012、約5×1012vg/ml~約6×1012、約6×1012vg/ml~約7×1012、約7×1012vg/ml~約8×1012、約8×1012vg/ml~約9×1012、約9×1012vg/ml~約10×1012、約1×1013vg/ml~約2×1013、約2×1013vg/ml~約3×1013、約3×1013vg/ml~約4×1013、約4×1013vg/ml~約5×1013、約5×1013vg/ml~約6×1013、約6×1013vg/ml~約7×1013、約7×1013vg/ml~約8×1013、約8×1013vg/ml~約9×1013、約9×1013vg/ml~約10×1013、約1×1014vg/ml~約2×1014、約2×1014vg/ml~約3×1014、約3×1014vg/ml~約4×1014、約4×1014vg/ml~約5×1014、または約5×1014vg/ml~約6×1014vg/mLの濃度で存在する。一部の実施形態では、医薬製剤は、約6×1011vg/mL~約6×1012vg/mLのrAAV粒子を含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、約6×1012vg/mLのrAAV粒子を含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、約6×1011vg/mLのrAAV粒子を含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、約6×1011vg/mL~約6×1012vg/mLのrAAV粒子を含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、約6×1012vg/mLのrAAV粒子を含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、約6×1011vg/mLのrAAV粒子を含む。
【0181】
一部の実施形態では、医薬製剤中の塩化ナトリウムは、約150mM~約200mMの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、医薬製剤中の塩化ナトリウムは、約150mM、約160mM、約170mM、約180mM、約190mM、または約200mMの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、医薬製剤中の塩化ナトリウムは、約180mMの濃度で存在する。
【0182】
一部の実施形態では、リン酸二水素ナトリウムは医薬製剤中に約1mM~約10mMの濃度で存在する。一部の実施形態では、リン酸二水素ナトリウムは医薬製剤中に約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、または約10mMのいずれかの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、リン酸二水素ナトリウムは医薬製剤中に約5mMの濃度で存在する。
【0183】
一部の実施形態では、リン酸水素ナトリウムは医薬製剤中に約1mM~約10mMの濃度で存在する。一部の実施形態では、リン酸水素ナトリウムは医薬製剤中に約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、または約10mMのいずれかの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、リン酸水素ナトリウムは医薬製剤中に約5mMの濃度で存在する。
【0184】
一部の実施形態では、ポロキサマー188は医薬製剤中に約0.0005%(重量/体積)~約0.005%(重量/体積)の濃度で存在する。一部の実施形態では、ポロキサマー188は医薬製剤中に約0.0005%(重量/体積)、約0.0006%(重量/体積)、約0.0007%(重量/体積)、約0.0008%(重量/体積)、約0.0009%(重量/体積)、約0.001%(重量/体積)、約0.002%(重量/体積)、約0.003%(重量/体積)、約0.004%(重量/体積)、または約0.005%(重量/体積)のいずれかの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、ポロキサマー188は医薬製剤中に約0.001%(重量/体積)の濃度で存在する。
【0185】
一部の実施形態では、医薬製剤は約7.0~約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、医薬製剤は約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、または約7.5のpHを有する。ある特定の実施形態では、医薬製剤は約7.3のpHを有する。一部の実施形態では、塩酸および水酸化ナトリウムを使用して医薬製剤のpHを調整する。
【0186】
一部の実施形態では、医薬製剤は、約6×1012vg/mLのrAAV粒子、約180mM塩化ナトリウム、約5mMリン酸二水素ナトリウム、約5mMリン酸水素ナトリウム、および約0.001%(重量/体積)ポロキサマー188を含み、医薬製剤は約7.3のpHを有する。一部の実施形態では、医薬製剤は、約6×1011vg/mLのrAAV粒子、約180mM塩化ナトリウム、約5mMリン酸二水素ナトリウム、約5mMリン酸水素ナトリウム、および約0.001%(重量/体積)ポロキサマー188を含み、医薬製剤は約7.3のpHを有する。
【0187】
一部の実施形態では、医薬製剤は、個体、例えばヒト患者の1つの眼および/または反対側の眼に硝子体内(IVT)注射によって投与して所望の治療効果または予防効果を実現するために適したものである。一部の実施形態では、医薬製剤を復元された均一な溶液として供給する。一部の実施形態では、溶液は懸濁液である。一部の実施形態では、医薬製剤を凍結懸濁液として供給し、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与する前に解凍する。一部の実施形態では、溶液は等張性である。
【0188】
他の実施形態では、例えば抗VEGF剤(例えば、その機能的断片またはバリアント)をコードする核酸配列を含むAAV2.7m8ベクターを含む医薬組成物を凍結乾燥形態で供給し、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与する前に復元する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、rAAV(例えば、AAV2.7m8)を含み、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプトまたはその機能的断片もしくはバリアント)をコードする凍結乾燥させた医薬組成物を、対象への投与前に緩衝剤中に復元する、溶解させる、または可溶化させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、そのような凍結乾燥させた医薬組成物は、以下の1つまたは複数を含む:凍結保護物質、界面活性剤、塩、安定剤、またはそのいずれかの組合せ。
【0189】
一部の実施形態では、医薬製剤は均一な溶液である。一部の実施形態では、均一な溶液を充填済みシリンジ中に入れて供給する。一部の実施形態では、医薬製剤を懸濁液として供給する。一部の実施形態では、懸濁液は溶液である。一部の実施形態では、懸濁液は冷蔵されている。一部の実施形態では、懸濁液は凍結している。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体の1つの眼および/または反対側の眼への投与前に(例えば、IVT注射による)、冷蔵されている懸濁液を室温まで温め、かつ/または懸濁液を撹拌して、活性成分(複数可)が溶液中に溶解し、かつ/または一様に分布することを確実にするステップをさらに含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体の1つの眼および/または反対側の眼への投与前に(例えば、IVT注射による)、凍結懸濁液を解凍し、室温まで温め、かつ/または懸濁液を撹拌して、活性成分(複数可)が溶液中に溶解し、かつ/または一様に分布することを確実にするステップをさらに含む。一部の実施形態では、懸濁液を対象(例えば、IVT注射によって)への投与前に希釈する。一部の実施形態では、懸濁液を充填済みシリンジとして供給する。
【0190】
一部の実施形態では、医薬製剤を凍結懸濁液として提供する。一部の実施形態では、懸濁液は、薬学的に許容される賦形剤、例えば、界面活性剤、グリセロール、非イオン界面活性剤、緩衝剤、グリコール、塩、およびそのいずれかの組合せを含む。
【0191】
一部の実施形態では、懸濁液は溶液である。一部の実施形態では、懸濁液はミセルを含む。
【0192】
一部の実施形態では、貯蔵安定性および取扱いの利便性のために、rAAV(例えば、AAV2.7m8)および抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプトまたはその機能的断片もしくはバリアント)をコードする核酸配列を含む医薬製剤を、凍結乾燥粉末、フリーズドライ粉末、または真空乾燥粉末として製剤化し、それを、個体の1つの眼および/または反対側の眼に投与する前に生理食塩水、緩衝剤、または水を用いて復元する。かわるがわる、医薬製剤を懸濁液または均一な溶液などの水溶液として製剤化する。医薬製剤は、アフリベルセプトをコードする核酸配列を含むrAAV粒子を含有し得る。リン酸、PBS、もしくはトリス緩衝剤、グリコール、グリセロール、生理食塩水、界面活性剤(例えば、プルロニック(登録商標)もしくはポリソルベート)、またはそのいずれかの組合せなどの種々の賦形剤を使用して医薬製剤を安定化することができる。さらに、アルコールなどの凍結保護物質を凍結または乾燥条件下での安定剤として使用することができる。一部の実施形態では、遺伝子治療薬を懸濁液、冷蔵懸濁液、または凍結懸濁液として提供する。
【0193】
一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬製剤の懸濁液は、約20μL、30μL、40μL、50μL、60μL、70μL、80μL、90μL、100μL、200μL、300μL、400μL、500μL、600μL、700μL、800μL、900μL、または1000μLのいずれかの体積を有する。一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬製剤の懸濁液は約250μLの体積を有する。一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬製剤の懸濁液は、0.1~0.5mL、0.1~0.2mL、0.3~0.5mL、0.5~1.0mL、0.5~0.7mL、0.6~0.8mL、0.8~1mL、0.9~1.1mL、1.0~1.2mL、または1.0~1.5mLの体積を有する。他の実施形態では、体積は、0.1mL以下、0.2mL以下、0.3mL以下、0.4mL以下、0.5mL以下、0.6mL以下、0.7mL以下、0.8mL以下、0.9mL以下、1.0mL以下、1.1mL以下、1.2mL以下、1.3mL以下、1.4mL以下、または1.5mL以下である。一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬製剤の懸濁液は約0.25mLの体積を有する。
【0194】
一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬製剤の懸濁液を、すぐ使用できる止め栓(例えば、クロロブチル製の止め栓)を伴う滅菌されたすぐ使用できるバイアル(例えば、0.5mLバイアル;例えばCrystal Zenith(登録商標)バイアル)中に入った、密閉された(例えば、滅菌アルミニウム剥ぎ取り式シールを用いて)滅菌濾過された凍結懸濁液として提供する。一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬製剤の懸濁液を、すぐ使用できる止め栓(例えば、クロロブチル製の止め栓)を伴う滅菌されたすぐ使用できるバイアル(例えば、0.5mLバイアル;例えばCrystal Zenith(登録商標)バイアル)に入った、密閉された(例えば、滅菌アルミニウム剥ぎ取り式シールを用いて)滅菌濾過された凍結懸濁液として提供し、ここで、バイアルは、0.1~0.5mL、0.1~0.2mL、0.2~0.3mL、0.3~0.4mL、または0.4mL~0.5mLの体積の医薬製剤の懸濁液を含有する。一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬製剤の懸濁液を、すぐ使用できる止め栓(例えば、クロロブチル製の止め栓)を伴う滅菌されたすぐ使用できるバイアル(例えば、0.5mLバイアル;例えばCrystal Zenith(登録商標)バイアル)中に入った、密閉された(例えば、滅菌アルミニウム剥ぎ取り式シールを用いて)滅菌濾過された凍結懸濁液として提供し、ここで、バイアルは、約0.25mLの体積の医薬製剤の懸濁液を含有する。
【0195】
一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬製剤を、霊長類(例えば、非ヒト霊長類およびヒト対象)に硝子体内注射または網膜下注射によって投与するために設計する、工学的に操作する、または適合させる。一部の実施形態では、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする核酸配列を含むrAAV粒子を含む医薬製剤を、個体の眼に硝子体内注射するために製剤化する。一部の実施形態では、医薬組成物を、約25μL以下、約30μL以下、約35μL以下、約40μL以下、約45μL以下、約50μL以下、約55μL以下、約60μL以下、約65μL以下、約70μL以下、約75μL以下、約80μL以下、約85μL以下、約90μL以下、約95μL以下、約100μL以下、約110μL以下、約120μL以下、約130μL以下、約140μL以下、約150μL以下、約160μL以下、約170μL以下、約180μL以下、約190μL以下、約200μL以下、約210μL以下、約220μL以下、約230μL以下、約240μL以下、もしくは約250μL以下、または25μL、30μL、35μL、40μL、45μL、50μL、55μL、60μL、65μL、70μL、75μL、80μL、85μL、90μL、95μL、100μL、110μL、120μL、130μL、140μL、150μL、160μL、170μL、180μL、190μL、200μL、210μL、220μL、230μL、240μL、もしくは250μLのいずれか以下の体積の硝子体内注射を可能にする濃度に製剤化する、または復元する。一部の実施形態では、医薬製剤の単位用量は、約25μL以下、約30μL以下、約35μL以下、約40μL以下、約45μL以下、約50μL以下、約55μL以下、約60μL以下、約65μL以下、約70μL以下、約75μL以下、約80μL以下、約85μL以下、約90μL以下、約95μL以下、約100μL以下、約110μL以下、約120μL以下、約130μL以下、約140μL以下、約150μL以下、約160μL以下、約170μL以下、約180μL以下、約190μL以下、約200μL以下、約210μL以下、約220μL以下、約230μL以下、約240μL以下、もしくは約250μL以下、または25μL、30μL、35μL、40μL、45μL、50μL、55μL、60μL、65μL、70μL、75μL、80μL、85μL、90μL、95μL、100μL、110μL、120μL、130μL、140μL、150μL、160μL、170μL、180μL、190μL、200μL、210μL、220μL、230μL、240μL、もしくは250μLのいずれか以下の体積を含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、rAAV(例えば、AAV2.7m8)および抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする核酸配列を含む医薬製剤の溶液または懸濁液を約25μL、30μL、35μL、40μL、45μL、50μL、55μL、60μL、65μL、70μL、75μL、80μL、85μL、90μL、95μL、100μL、110μL、120μL、130μL、140μL、150μL、160μL、170μL、180μL、190μL、200μL、210μL、220μL、230μL、240μL、または250μLのいずれかの体積で硝子体内注射することを含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、rAAV(例えば、AAV2.7m8)および抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする核酸配列を含む医薬製剤の溶液または懸濁液を約30μLまたは約100μLの体積で硝子体内注射することを含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、rAAV(例えば、AAV2.7m8)および抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする核酸配列を含む医薬製剤の溶液または懸濁液を約30μLの体積で硝子体内注射することを含む。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、rAAV(例えば、AAV2.7m8)および抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする核酸配列を含む医薬製剤の溶液または懸濁液を約100μLの体積で硝子体内注射することを含む。
【0196】
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)導入遺伝子の核酸配列を含むAAV2.7m8粒子は、遺伝子治療薬用医薬製剤の構成成分である。一部の実施形態では、本明細書に記載の7m8バリアントカプシドタンパク質を含む任意の血清型のrAAV粒子を使用して、凍結懸濁液またはフリーズドライもしくは凍結乾燥させた製剤組成物を作出する。一部の実施形態では、遺伝子治療薬を冷蔵または凍結懸濁液として製剤化する。一部の実施形態では、rAAV粒子はrAAV2である。一部の実施形態では、医薬製剤の凍結乾燥または懸濁液は、7m8バリアントカプシドタンパク質、および抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードするDNA配列を含むrAAV2を含む。一部の実施形態では、懸濁液は冷蔵または凍結されたものである。
【0197】
一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量の個体の1つの眼および/または反対側の眼への投与は、硝子体内(IVT)注射による。IVT注射に関しては、rAAV粒子を医薬製剤の懸濁液の形で送達することができる(例えば、本明細書に記載の通り)。最初に、局所麻酔薬を眼の表面に適用し、その後、点眼用消毒溶液を適用する。器具使用を伴ってまたは伴わずに眼を開いたままに保ち、直接観察下で、rAAV粒子を、個体の1つの眼および/または反対側の眼の硝子体腔に、短く細い針、例えば30ゲージの針を用いて強膜を通じて注射する。一般には、約25μL~約250μL(例えば、約25μL、約30μL、約40μL 約50μL、約60μL、約70μL、約80μL、約90μL、約100μL、約110μL、約120μL、約130μL、約140μL、約150μL、約160μL、約170μL、約180μL、約190μL、約200μL、約210μL、約220μL、約230μL、約240μL、または約250μLのいずれか)の体積のrAAV粒子懸濁液をIVT注射によって眼に送達することができる。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、約100μLの体積を含む。一部の実施形態では、rAAV粒子の単位用量は、約30μLの体積を含む。一部の実施形態では、IVT注射を硝子体液の除去と組み合わせて実施する。一部の実施形態では、硝子体切除術を実施することができ、rAAV粒子懸濁液(例えば、約4mLのrAAV粒子懸濁液)を注入することによって硝子体ゲルの全体積を置き換える。硝子体切除術は適当な口径サイズ(例えば、20ゲージ~27ゲージ)のカニューレを使用して実施し、除去された硝子体ゲルの体積を注入用カニューレからの液、例えば、生理食塩水、等張溶液、rAAV粒子懸濁液の注入によって置き換える。IVT投与は一般に忍容性が良好である。時には手順の終わりに注射部位が軽く赤くなる。圧痛が時々生じるが、大多数の患者からはいかなる痛みも報告されない。この手順後、眼帯も眼球保護帯も必要なく、活動も制限されない。時には感染防止を補助するために数日間の抗生物質点眼剤が処方される。
【0198】
一部の実施形態では、医薬製剤は、異常な(例えば、過剰な)血管形成または血管新生を特徴とする眼の疾患または障害を処置するために個体(例えば、ヒトまたは非ヒト霊長類)の1つの眼および/または反対側の眼にIVT注射によって投与される単位用量(例えば、治療有効用量)である。一部の実施形態では、医薬製剤は、本明細書の他の箇所でさらに詳細に記載されている単位用量(例えば、治療有効用量)を含む。一部の実施形態では、対象に投与されるウイルスベクター(例えば、本明細書に開示されるrAAVベクター)の単位用量(例えば、治療有効用量)の体積は、これらの値の間の任意の範囲を含め、約25μL、30μL、35μL、40μL、45μL、50μL、55μL、60μL、65μL、70μL、75μL、80μL、85μL、90μL、95μL、100μL、110μL、120μL、130μL、140μL、150μL、160μL、170μL、180μL、190μL、200μL、210μL、220μL、230μL、240μL、または250μLのいずれか1つ以下である。対象に投与される単位用量の体積を最小化することにより、IVT注射に付随する眼圧の変化および他の有害作用(例えば、眼圧、炎症、刺激、または疼痛の増大)が回避または軽減され得る。
【0199】
眼への使用に適した医薬製剤は、滅菌水溶液または分散および滅菌注射用溶液、懸濁液、または分散を即時調製するための滅菌粉末を含む。硝子体内投与に関しては、適切な担体として、生理的食塩水、静菌水、リン酸緩衝食塩水(PBS)、および/または等張化剤、例えばグリセロールが挙げられる。ある特定の実施形態では、医薬製剤は、容易な注射可能性(syringability or injectability)が存在する程度に滅菌された流体である。ある特定の実施形態では、医薬製剤は、製造および貯蔵の条件下で安定であり、細菌および真菌などの微生物の夾雑作用から保護される。一部の実施形態では、医薬組成物は、塩またはグリセロールなどの等張化剤を含み得る。一部の実施形態では、凝集を防止するために界面活性剤または安定剤を医薬組成物に添加する。
【0200】
一部の実施形態では、医薬製剤は賦形剤または担体を含有する。担体は、例えば、水、生理食塩水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびそのいずれかの組合せを含有する溶媒または分散媒である。適当な流動性を、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散の場合では必要な粒子サイズを維持することによって、ならびにポリソルベート(例えば、Tween(商標)、ポリソルベート20、ポリソルベート80)、ドデシル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)、ラウリルジメチルアミン酸化物、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ポリエトキシル化アルコール、ポリオキシエチレンソルビタン、オクトキシノール(Triton X100(商標))、N,N-ジメチルドデシルアミン-N-オキシド、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(HTAB)、ポリオキシル10ラウリルエーテル、Brij 721(商標)、胆汁酸塩(デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム)、プルロニック(登録商標)酸(F-68、F-127)、ポリオキシルヒマシ油(Cremophor(商標))ノニルフェノールエトキシレート(Tergitol(商標))、シクロデキストリン、および、塩化エチルベンゼトニウム(Hyamine(商標))などの界面活性剤を使用することによって維持することができる。微生物の作用の防止を種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、クレゾール、チメロサールなどによって実現することができる。多くの実施形態では、等張化剤は、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、および/または塩化ナトリウムを医薬製剤に含める。内部組成物の持続的な吸収を、吸収を遅延させる作用剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に含めることによってもたらすことができる。一部の実施形態では、医薬担体は、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ポリソルベート、およびスクロースを含む。一部の実施形態では、医薬製剤は、界面活性剤、例えば、ポリソルベート、ポロキサマー、またはプルロニック(登録商標)などの非イオン界面活性剤を含む。一部の実施形態では、非イオン界面活性剤の添加により、医薬組成物中の凝集が低減する。
【0201】
本明細書に記載の少なくとも1つの医薬製剤を含むキットも本明細書で提供される。一部の実施形態では、キットは、医薬製剤の凍結懸濁液(例えば、バイアル中に1つの単位用量)を含む。一部の実施形態では、キットは、本明細書に開示される凍結乾燥またはフリーズドライさせた医薬製剤(例えば、バイアル中に1つの単位用量)ならびに凍結乾燥させた医薬組成物を溶解させる、希釈する、および/または復元するための溶液を含む。一部の実施形態では、復元または希釈のための溶液を充填済みシリンジとして供給する。一部の実施形態では、キットは、rAAV(例えば、AAV2.7m8)を含むフリーズドライまたは凍結乾燥させた医薬組成物、および医薬組成物を所望の濃度または体積に復元するための溶液を含む。一部の実施形態では、キットは、本明細書に開示される医薬組成物を復元する際の凝集を防止するのに役立つ緩衝剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物を充填済みシリンジ中にいれて提供する。一部の実施形態では、キットは、二重チャンバーシリンジまたは容器を含み、その場合、チャンバーの一方は医薬組成物を溶解させるまたは希釈するための緩衝剤を含有する。一部の実施形態では、キットは、注射用のシリンジを含む。一部の実施形態では、復元された溶液を投与前に濾過する。一部の実施形態では、キットは、復元された医薬組成物を患者への投与前にろ過するためのフィルターまたはフィルターシリンジを含む。一部の実施形態では、キットは、すぐ使用できる止め栓(例えば、クロロブチル製の止め栓)を伴う滅菌されたすぐ使用できるバイアル(例えば、0.5mLバイアル;例えばCrystal Zenith(登録商標)バイアル)中に入った、密閉された(例えば、滅菌アルミニウム剥ぎ取り式シールを用いて)滅菌濾過された凍結懸濁液として提供される、本明細書に開示されるrAAV粒子を含む医薬製剤の懸濁液を含む。一部の実施形態では、キットは、すぐ使用できる止め栓(例えば、クロロブチル製の止め栓)を伴う滅菌されたすぐ使用できるバイアル(例えば、0.5mLバイアル;例えばCrystal Zenith(登録商標)バイアル)中に入った、密閉された(例えば、滅菌アルミニウム剥ぎ取り式シールを用いて)滅菌濾過された凍結懸濁液として提供される、本明細書に開示されるrAAV粒子を含む医薬製剤の懸濁液を含み、ここで、バイアルは、0.1~0.5mL、0.1~0.2mL、0.2~0.3mL、0.3~0.4mL、または0.4mL~0.5mLの体積の医薬製剤の懸濁液を含有する。一部の実施形態では、キットは、すぐ使用できる止め栓(例えば、クロロブチル製の止め栓)を伴う滅菌されたすぐ使用できるバイアル(例えば、0.5mLバイアル;例えばCrystal Zenith(登録商標)バイアル)中に入った、密閉された(例えば、滅菌アルミニウム剥ぎ取り式シールを用いて)滅菌濾過された凍結懸濁液として提供される、開示されるrAAV粒子を含む医薬製剤の懸濁液を含み、ここで、バイアルは、約0.25mLの体積の医薬製剤の懸濁液を含有する。一部の実施形態では、キットは、使用説明書;例えば、本明細書に開示されるrAAV粒子を用いて眼内血管新生疾患を処置するための説明書をさらに含む。
眼内血管新生疾患
【0202】
一態様では、本開示は、個体における眼内血管新生疾患を処置するための方法を提供する。別の態様では、本開示は、眼内血管新生疾患を有する個体の眼の網膜液を低減するための方法を提供する。
【0203】
一部の実施形態では、眼内血管新生疾患は、加齢黄斑変性(AMD)、滲出性AMD、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、糖尿病網膜症、増殖性糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、糖尿病黄斑浮腫、糖尿病網膜虚血、虚血性網膜症、糖尿病網膜浮腫、またはそのいずれかの組合せである。一部の実施形態では、眼内血管新生疾患は、加齢黄斑変性(AMD)に続発する活動性脈絡膜血管新生(CNV)である。一部の実施形態では、眼内血管新生疾患は、再発性および/または持続性wAMDである。一部の実施形態では、眼内血管新生疾患は、AMDに続発する活動性中心窩下CNVである。一部の実施形態では、AMDに続発する活動性中心窩下CNVは総病変サイズの≧50%を占める。一部の実施形態では、AMDに続発する活動性中心窩下CNVは総病変サイズの≧50%を占め、フルオレセイン血管造影図(FA)での漏出、スペクトラルドメイン光干渉断層法(SD-OCT)での滲出液、および/またはカラー眼底撮影での網膜下出血のエビデンスが伴う。一部の実施形態では、AMDに続発する活動性中心窩下CNVは総病変サイズの≧50%を占め、フルオレセイン血管造影図(FA)での漏出、スペクトラルドメイン光干渉断層法(SD-OCT)での滲出液、および/またはカラー眼底撮影での網膜下出血のエビデンスが伴い、かつ、病変の総寸法が12黄斑光凝固試験ディスク面積を超えない。一部の実施形態では、本開示のrAAV粒子の単位用量の投与前に個体の1つの眼および/または反対側の眼により示されたETDRS文字評価に基づく最高矯正視力(BCVA)は、78~25(例えば、約78、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、または約25のいずれか未満)であった。一部の実施形態では、本開示のrAAV粒子の単位用量の投与前に個体の1つの眼および/または反対側の眼により示されたETDRS文字評価に基づく最高矯正視力(BCVA)は約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、または約100のいずれかよりも大きいものであった。
【0204】
一部の実施形態では、個体は、rAAV粒子の単位用量の投与前に1つの眼および/または反対側の眼にポリープ状脈絡膜血管症(PCV)を有していた。
【0205】
一部の実施形態では、ETDRS文字評価を約0.5メートル、約1メートル、約2メートル、約3メートル、または約4メートルで行う。一部の実施形態では、ETDRS文字評価を約4メートルで行う。
【0206】
一部の実施形態では、個体は、rAAV粒子の単位用量の投与の直前約12週間(例えば、約4カ月)の間に、抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、および/またはアフリベルセプト)による少なくとも1回の以前の処置(例えば、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回またはそれよりも多くの処置)を受けている。一部の実施形態では、個体は、1つの眼および/または反対側の眼へのrAAV粒子の単位用量の投与の直前約12週間(例えば、約4カ月)の間に、1つの眼および/または反対側の眼に抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、および/またはアフリベルセプト)による2回または3回の以前の処置を受けていた。一部の実施形態では、個体は、1つの眼および/または反対側の眼に抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、および/またはアフリベルセプト)による少なくとも約1回、少なくとも約5回、少なくとも約10回、少なくとも約20回、少なくとも約 回、少なくとも約40回、少なくとも約50回、少なくとも約60回、少なくとも約70回、少なくとも約80回、少なくとも約90回、少なくとも約100回、少なくとも約110回、少なくとも約120回、またはそれよりも多くの以前の処置を受けていた。一部の実施形態では、個体は、約2週間、約3週間、4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、またはそれよりも長い、1つの眼および/または反対側の眼に対する計算された抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、および/またはアフリベルセプト)注射間隔を有していた。一部の実施形態では、個体は、約5~7週間、約4~10週間、約4~7週間、または約4~6週間の、1つの眼および/または反対側の眼に対する算出された抗VEGF(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、および/またはアフリベルセプト)注射間隔を有していた。一部の実施形態では、個体は、1つの眼および/または反対側の眼へのrAAV粒子の単位用量の投与前の少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約15日間、少なくとも約16日間、少なくとも約17日間、少なくとも約18日間、少なくとも約19日間、または少なくとも約20日間のいずれかにわたって1つの眼および/または反対側の眼に抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、および/またはアフリベルセプト)による以前の処置を受けていた。一部の実施形態では、個体は、1つの眼および/または反対側の眼へのrAAV粒子の単位用量の投与前の約7日間、約10日間、または約14日間にわたって1つの眼および/または反対側の眼に抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、および/またはアフリベルセプト)による以前の処置を受けていた。一部の実施形態では、以前の処置は、抗VEGF剤の眼内注射、網膜下注射または硝子体内注射を含む。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、および/またはアフリベルセプトである。一部の実施形態では、抗VEGF剤はアフリベルセプトである。
【0207】
一部の実施形態では、個体は、抗VEGF剤による以前の処置に対して意味のある応答を示した。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、アフリベルセプト、その機能的バリアント、またはその機能的断片である。一部の実施形態では、抗VEGF剤は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。一部の実施形態では、個体は、1つの眼および/または反対側の眼へのrAAV粒子の単位用量の投与前に1つの眼および/または反対側の眼への眼内血管新生疾患に対する以前の抗VEGFによる処置(例えば、アフリベルセプト、その機能的バリアント、またはその機能的断片)に対して意味のある応答を示した。一部の実施形態では、個体は、抗VEGFによる処置後少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約15日間、少なくとも約16日間、少なくとも約17日間、またはそれよりも長くのいずれかにわたって、1つの眼および/または反対側の眼に対する最初の診断時の中心窩網膜厚(CRT)または中心領域網膜厚(CST)と比較して中心窩網膜厚(CRT)または中心領域網膜厚(CST)の≧30%(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%のいずれか)の減少が観察された場合、眼内血管新生疾患に対する以前の抗VEGFによる処置(例えば、アフリベルセプト、その機能的バリアント、またはその機能的断片)に対して意味のある応答を有すると判定される。一部の実施形態では、個体は、抗VEGFによる処置後の約7日間、約10日間、または約14日間のいずれかよりも長くにわたって、1つの眼および/または反対側の眼への以前の抗VEGFによる処置の投与前の中心窩網膜厚(CRT)または中心領域網膜厚(CST)と比較して中心窩網膜厚(CRT)または中心領域網膜厚(CST)の≧30%(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%のいずれか)の減少が観察された場合、眼内血管新生疾患に対する以前の抗VEGFによる処置(例えば、アフリベルセプト、その機能的バリアント、またはその機能的断片)に対して意味のある応答を有すると判定される。
【0208】
一部の実施形態では、中心領域網膜厚および/または中心窩網膜厚は1つの眼および/または反対側の眼のSD-OCTによって決定される。中心領域網膜厚は、中心窩を中心とした直径1mmの円であるETDRSグリッドの中心領域にわたる網膜の平均厚である。
【0209】
一部の実施形態では、個体は、抗VEGF剤による以前の処置の投与前の中心領域網膜厚および/または中心窩網膜厚と比較して、中心領域網膜厚および/または中心窩網膜厚の≧20%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%のいずれか)の減少が観察された場合、眼内血管新生疾患に対する抗VEGF剤による以前の処置(例えば、アフリベルセプト、その機能的バリアント、またはその機能的断片)に対して意味のある応答を有すると判定される。一部の実施形態では、個体は、抗VEGF剤による以前の処置の投与後少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約15日間、少なくとも約16日間、少なくとも約17日間、またはそれよりも長くのいずれかにわたって、抗VEGF剤による以前の処置の投与前の中心領域網膜厚および/または中心窩網膜厚と比較して中心領域網膜厚および/または中心窩網膜厚の≧20%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%のいずれか)の減少が観察された場合、眼内血管新生疾患に対する抗VEGF剤による以前の処置(例えば、アフリベルセプト、その機能的バリアント、またはその機能的断片)に対して意味のある応答を有すると判定される。一部の実施形態では、個体は、抗VEGF剤による以前の処置の投与後約7日間、約10日間、または約14日間にわたって、抗VEGF剤による以前の処置の投与前の中心領域網膜厚および/または中心窩網膜厚と比較して中心領域網膜厚および/または中心窩網膜厚の≧20%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%のいずれか)の減少が観察された場合、眼内血管新生疾患に対する抗VEGF剤による以前の処置(例えば、アフリベルセプト、その機能的バリアント、またはその機能的断片)に対して意味のある応答を有すると判定される。一部の実施形態では、中心領域網膜厚および/または中心窩網膜厚は1つの眼および/または反対側の眼のSD-OCTによって決定される。一部の実施形態では、個体は、1つの眼および/または反対側の眼への抗VEGFによる処置後にCSTの正常化が観察され、観察可能な血管滲出が伴わない場合、眼内血管新生疾患に対する抗VEGF剤による以前の処置(例えば、アフリベルセプト、その機能的バリアント、またはその機能的断片)に対して意味のある応答を有すると判定される。正規化とは、CST値がその患者のクラス(例えば、年齢、性別などに基づく)に関して正常であることを指す。
【0210】
一部の実施形態では、個体は、1つの眼および/または反対側の眼のSD-OCTによって決定して、抗VEGFによる処置後少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約15日間、少なくとも約16日間、少なくとも約17日間、またはそれよりも長くのいずれかにわたって、抗VEGFによる処置(例えば、アフリベルセプト)の投与前の中心窩網膜厚(CRT)または中心領域網膜厚(CST)と比較して、中心窩網膜厚(CRT)または中心領域網膜厚(CST)の≧20%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%のいずれか)の減少が観察された場合、眼内血管新生疾患に対する以前の抗VEGFによる処置(例えば、アフリベルセプト、その機能的バリアント、またはその機能的断片)に対して意味のある応答を有すると判定される。一部の実施形態では、個体は、1つの眼および/または反対側の眼のSD-OCTによって決定して、抗VEGFによる処置後約7日間、約10日間、または約14日間にわたって、抗VEGFによる処置の投与前の中心窩網膜厚(CRT)または中心領域網膜厚(CST)と比較して中心窩網膜厚(CRT)または中心領域網膜厚(CST)の≧20%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%のいずれか)の減少が観察された場合、眼内血管新生疾患に対する以前の抗VEGFによる処置(例えば、アフリベルセプト、その機能的バリアント、またはその機能的断片)に対して意味のある応答を有すると判定される。
【0211】
一部の実施形態では、個体は、眼内血管新生疾患に対する以前の処置を受けていない。一部の実施形態では、個体は、1つの眼および/または反対側の眼への眼内血管新生疾患に対する以前の処置を受けていない。一部の実施形態では、個体は、以前の抗VEGFによる処置を受けていない。一部の実施形態では、個体は、1つの眼および/または反対側の眼への以前の抗VEGFによる処置を受けていない。一部の実施形態では、個体は、以前のアフリベルセプトによる処置を受けていない。一部の実施形態では、個体は、1つの眼および/または反対側の眼への以前のアフリベルセプトによる処置を受けていない。
【0212】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置される眼の疾患または障害は、糖尿病黄斑浮腫である。糖尿病黄斑浮腫(DME)は、糖尿病における黄斑内の血管からの液の漏出に起因する網膜の腫れである。黄斑は網膜の中心部分であり、色を検出し、昼間視覚が依存する特殊化された神経終末である錐体に富む狭い領域である。黄斑浮腫が発生するにつれ、中心視野の中央またはちょうど側面にぼやけが生じる。糖尿病黄斑浮腫からの失明が数カ月の期間にわたって進行する可能性があり、はっきりと焦点を合わせることが不可能になる。DMEの一般的な症状は、霧視、飛蚊症、複視、および無処置のままでいると最終的に視覚消失である。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法および医薬組成物を使用してDMEを処置する。
【0213】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置される眼の疾患または障害は、網膜静脈閉塞症である。網膜静脈閉塞症は、網膜から血液を運び出す小静脈の遮断である。網膜は、眼の内部の後方にある組織の層であり、光の像を神経シグナルに変換し、それらを脳に送る。網膜静脈閉塞症は、動脈硬化(アテローム性動脈硬化症)および血餅の形成によって引き起こされることが最も多い。網膜におけるより小さな静脈(分枝静脈またはBRVO)の遮断は、多くの場合、アテローム性動脈硬化症によって肥厚または硬化した網膜動脈が交差し、網膜静脈に圧力がかかる場所で生じる。網膜静脈閉塞症の症状は、突発性のぼやけまたは1つの眼の全部もしくは一部の視力喪失を含み得る。
【0214】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って処置される眼の疾患または障害は、滲出性加齢黄斑変性(wAMD)としても公知の脈絡膜血管新生(CNV)である。脈絡膜血管新生は、脈絡膜を起源とし、ブルッフ膜の割れ目から網膜下色素上皮(RPE下)または網膜下腔への新しい血管の成長を伴い得、これは失明の主要な原因になり得る。CNVにより、数週間以内に注目すべき中心視覚の突発性の悪化が生じ得る。他の症状は、色覚障害、および変形視症(直線が波状に見える歪み)を含み得る。新しい血管からの出血により、CNVの症状の発症が加速し得る。CNVは眼の奥の圧迫感も含み得る。
【0215】
進行した「滲出」形態(新生血管または滲出型)のAMDは、患者における急速かつ多くの場合に実質的である中心視覚の喪失を頻繁に引き起こし得る。滲出形態のAMDでは、脈絡膜血管新生が形成され、網膜色素上皮の下におよびそれを通って成長し得る血管のネットワークに発達する。これには網膜下腔内への血漿の漏出および/または出血が伴うので、これが黄斑において生じた場合には中心視覚の重症の突発性喪失が生じ得る。本開示は、AMD、滲出性AMDの処置または防止を意図している。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法および医薬組成物を使用してAMDを処置する。
【0216】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、および/またはアフリベルセプトによる以前の処置を受けた対象における眼の疾患または障害を防止または処置する。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、および/またはアフリベルセプトによる処置に対して応答性の眼の疾患または障害を防止または処置する。
【0217】
一部の実施形態では、個体は、1つの眼および/または反対側の眼へのrAAV粒子の単位用量の投与の少なくとも1日前、少なくとも1週間前、少なくとも1カ月前、少なくとも2カ月前、少なくとも4カ月前、少なくとも6カ月前、少なくとも12カ月前、少なくとも18カ月前、少なくとも24カ月前、少なくとも30カ月前、少なくとも36カ月前、少なくとも42カ月前、少なくとも48カ月前、少なくとも54カ月前、少なくとも60カ月前、少なくとも66カ月前、少なくとも72カ月前、少なくとも78カ月前、少なくとも84カ月前、少なくとも90カ月前、96カ月前、少なくとも102カ月前、少なくとも108カ月前、少なくとも114カ月前、少なくとも120カ月前、少なくとも126カ月前、少なくとも132カ月前、またはそれよりも前に眼内血管新生疾患の診断を受けている。
【0218】
以下の説明は、当業者が種々の実施形態を作出し、使用することを可能にするために提示するものである。特定のデバイス、技法、および適用の説明は単に例として提示される。本明細書に記載の実施例に対する種々の改変が当業者には容易に明らかになり、また、本明細書において定義されている一般原則を、種々の実施形態の主旨および範囲から逸脱することなく、他の実施例および適用に適用することができる。したがって、種々の実施形態は、本明細書に記載され示されている実施例に限定されるものではなく、請求項に矛盾しない範囲と一致するものである。
【実施例0219】
(実施例1)
血管新生(滲出性)加齢黄斑変性症に対する6×1011vg/眼の用量のAAV2.7m8-アフリベルセプトのオープンラベル第1相試験。
本実施例では、脈絡膜血管新生を伴う加齢黄斑変性(AMD)を処置するための、VEGF阻害剤であるアフリベルセプトおよびAAV2.7m8タンパク質カプシドを含有するrAAVベクターであるAAV2.7m8-アフリベルセプトのオープンラベル第1相試験について記載する。
I.試験の目的
A.主要目的
【0220】
本試験の主要目的は、wAMDを有する対象に対するAAV2.7m8-アフリベルセプトの単回硝子体内(IVT)注射の安全性および忍容性を評価することであった。
主要エンドポイント
【0221】
本試験の主要エンドポイントは、眼および全身性の有害事象(AE)の型、重症度、および発生率であった。
B.副次目的
【0222】
本試験の副次目的は以下の通りであった:
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの最高矯正視力(BCVA)に対する効果を評価すること。
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの中心窩網膜厚(CRT)としても公知の中心領域網膜厚(CST)に対する効果を評価すること。
・第4週から第104週までのレスキュー治療の必要性を評価すること。
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの網膜内液(IRF)および網膜下液(SRF)の存在に対する効果を評価すること。
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの、ベースラインにおいてPEDを有する患者の間での色素上皮剥離(PED)消散に対する効果を評価すること。
副次的エンドポイント
【0223】
本試験の副次的エンドポイントは以下の通りであった:
・8日目から第104週まで経時的にETDRS文字によって評価される、ベースラインと比較したベースラインからの経時的なBCVAの平均変化。
・8日目から第104週まで評価して、ベースラインと比較して、ベースラインから経時的に≧15ETDRS文字のBCVA増加を有した対象のパーセンテージ。
・8日目から第104週まで評価して、ベースラインと比較して、ベースラインから経時的に≦15ETDRS文字のBCVA減少を有した対象のパーセンテージ。
・8日目から第104週まで評価して、ベースラインと比較した、ベースラインからの経時的なCSTおよび黄斑体積の平均変化。
・第4週から第104週まで評価して、経時的な、アフリベルセプト注射の平均回数。
・第4週から第104週まで評価して、経時的な、アフリベルセプト注射を必要とする対象のパーセンテージ。
・8日目から第104週まで評価して、経時的な、IRFを有さない対象のパーセンテージ。
・8日目から第104週まで評価して、経時的な、SRFを有さない対象のパーセンテージ。
・8日目から第104週まで評価して、経時的な、ベースラインにおいてPEDを有した対象の中でPEDを有さない対象のパーセンテージ。
II.試験の対象
【0224】
本試験の対象は、加齢黄斑変性(AMD)に続発する活動性脈絡膜血管新生(CNV)の診断を受けており、最近の抗VEGFによる処置に応答した履歴があり、かつ頻繁な抗VEGF治療薬の注射を必要とする対象であった。
【0225】
試験の持続時間にわたって、試験を行う眼として1つの眼のみを選択した。両方の眼が組み入れ基準および除外基準の全てを満たす場合には、スクリーニング時に評価されたBCVAが最悪であった眼を試験を行う眼として選択した。両方の眼が組み入れ基準および除外基準の全てを満たし、かつ両方の眼のBCVA値が同一である場合には、利き目でない方の眼を処置に選択するか、またはデフォルトで右眼を試験を行う眼として選択するかを対象が選択した。
A.組み入れ基準
【0226】
以下の組み入れ基準を満たす対象を本試験に登録した:
・男性または女性の対象、年齢≧50歳であること。
・試験を行う眼に総病変サイズの≧50%を占有するAMDに続発する活動性中心窩下CNVの以前のまたは現在のエビデンスがあり、以下を伴うこと:
○フルオレセイン血管造影図(FA)での漏出、スペクトラルドメイン光干渉断層法(SD-OCT)での液、またはカラー眼底写真での網膜下出血;および
○病変の寸法全体が12黄斑光凝固試験ディスク面積を超えていないこと。
・対象がスクリーニング前4カ月の間に最低2回の注射によるwAMDに対する積極的な抗VEGFによる処置を受けていること。
・スクリーニング来訪時(アフリベルセプト注射の前)の試験を行う眼の視覚に関して:
○BCVA ETDRSが78~25であること。
・試験を行わない眼の視覚に関して:
○BCVA ETDRSが≧35であること。
・試験責任医師によって確認され、以下の通り定義される意味のある抗VEGF応答が実証されていること:
○SD-OCTを使用して評価して、中心領域網膜厚が最初の診断から≧30%減少していること;または
○SD-OCTを使用して評価して、中心領域網膜厚がスクリーニング時から≧20%減少していること;または
○CSTが正常化しており、観察可能な血管滲出が伴わないこと。
【0227】
VEGF応答性は、1日目の来訪時、AAV2.7m8-アフリベルセプトの投薬前に抗VEGF応答を確認する目的で試験責任医師によって確認された。意味のある抗VEGF応答を有さないと判定された対象はスクリーニング不合格となり、本試験に登録されなかった。
B.除外基準
【0228】
以下の除外基準を満たす対象は本試験に登録しなかった:
中和抗体
・血清および硝子体液中の中和抗体(NAb)のレベルとAAVの間の相関は確立されていないが(Lukason et al., (2011) Mol Ther 19 (2): 260-265)、用心のた
めに対象をAAV2.7m8ベクターに対するNAbについてスクリーニングした。AAV2.7m8-アフリベルセプトの投薬前6カ月の間に>1:125の抗AAV2.7m8中和抗体力価レベルが実証された対象を本試験から除外した。
CNV病変
・以下のCNV病変の特徴の、分かっている履歴またはエビデンス:
○線維症もしくは萎縮、試験を行う眼の中心窩の中央の網膜上皮断裂、または視力改善を妨げるあらゆる状態。
○総病変面積の>50%を構成する瘢痕化または線維症。
○蛍光眼底造影(FA)によって評価される、血液、瘢痕、および血管新生を含めた>12黄斑光凝固試験ディスク面積(30.5mm2)の病変サイズ。
○試験を行う眼における総病変面積の≧50%である網膜下出血、または≧1ディスク面積のサイズの中心窩の下の血液の存在(血液が中心窩の下にある場合、中心窩は可視CNVによって270度囲まれていた)。
眼の状態(網膜/後眼)
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの投薬時点での試験を行う眼における著しい網膜上膜または硝子体黄斑牽引(VMT)症候群または試験を行う眼における全層の黄斑円孔(Gass Stage 2およびそれよりも高い)の履歴。
・試験を行う眼における、糖尿病網膜症(いずれかの眼におけるもの)、網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎、疑わしい網膜血管腫状増殖、ポリープ状脈絡膜症、または他の原因によるCNV(例えば、眼ヒストプラスマ症、外傷、もしくは病理的近視)、または眼における任意の他の血管疾患(硝子体もしくは周辺網膜の良性の状態は除外対象としなかった)を含めたwAMD以外の網膜疾患の履歴。
・試験を行う眼における網膜剥離(修復を伴うまたは伴わない)の履歴。
他の状態(非網膜)
・試験の過程中に視覚を損なう恐れがあり、外科手術が必要になる恐れがあり、かつ/または網膜の適当な可視化またはイメージングを妨げる恐れがある、試験を行う眼における有意な非網膜疾患または中間透光体混濁の、分かっている履歴またはエビデンス(例えば、中心角膜瘢痕化、著しい白内障、角膜ジストロフィー、強膜軟化症)。
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの投薬時点での試験を行う眼における制御されていない高眼圧症または緑内障(抗緑内障薬による処置にもかかわらず眼圧[IOP]が>22mmHgであると定義される)またはスクリーニング時に>2のIOP降下薬の使用。
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの投薬前4週間以内にいずれかの眼における眼または眼周囲の活動性の感染またはその履歴。
眼の外科手術/手順
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの投薬の6カ月以内の試験を行う眼に対するあらゆる以前の眼内もしくは眼周囲の外科手術、または、AAV2.7m8-アフリベルセプトの投薬の6カ月以内のあらゆる計画されている大きな外科手技。AAV2.7m8-アフリベルセプトの投薬の>1カ月の瞼の外科手術は除外基準としなかった。
・試験を行う眼に対する硝子体切除術、線維柱帯切除術、または他の濾過手術の履歴。
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの投薬前3カ月以内のイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)後嚢切開術。
・wAMDを処置するための光線力学的療法または網膜レーザーによるあらゆる以前の処置および試験を行う眼の領域内のあらゆる以前の治療的放射線照射。
全般/全身の状態
・指定がなければ投薬の6カ月以内の以下の心血管疾患のいずれかの履歴またはエビデンス:
○重症心疾患(例えば、New York Heart Association[NYHA]Functional Class IIIまたはIV)の履歴または不安定狭心症の臨床的なエビデンス。
○急性冠状動脈症候群、心筋梗塞または冠状動脈血管再生。
○継続処置が必要な心室頻脈性不整脈、または制御されていない不整脈。
○投薬前のスクリーニング期間内のBP降下薬の使用にもかかわらず、平均収縮期血圧(SBP)≧160mmHgまたは平均拡張期血圧(DBP)≧100mmHgと定義される制御されていない高血圧。
○脳血管発作または一過性脳虚血発作の履歴。
・進行中の出血障害のあらゆる履歴または国際標準化比(INR)>3.0。アスピリンまたは他の抗凝固薬(例えば、第Xa因子阻害剤)の使用は除外基準としなかった。適格基準が満たされていることを確認するためにINRをスクリーニング期間中に報告した。
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの投薬前のスクリーニング期間内にHbA1c>7.0%を伴う制御されていない糖尿病のエビデンス。
・十分に処置されている場合には以下を除き、過去5年以内の悪性腫瘍の履歴:
○皮膚の局部的な基底細胞癌または扁平上皮癌。
○子宮頸部または乳房の上皮内癌。
○乳頭状非侵襲膀胱がん。
○観察により6カ月にわたって安定な前立腺特異的抗原(PSA)が臨床的に示される前立腺がんステージ1および2。
○少なくとも2年にわたって完全寛解の状態にあるかまたは外科的に治癒したとみなされる任意の他のがん。
・HIV、B型肝炎、またはC型肝炎陽性(処置され治癒が実証された場合を除く)。
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの投薬前36時間以内に、臨床検査および/または体温>38.5℃に基づいて試験責任医師によって臨床的に意味があるとみなされる任意の型の全身性の活動性感染エビデンスまたは疑い。
・以下に対する分かっている重篤なアレルギー:
○血管造影に使用されるフルオレセイン色素またはナトリウムフルオレセイン(処置を適用できる軽症のアレルギーは許容された);または
○アフリベルセプト。
・妊娠中、授乳中、または試験中に妊娠する予定の女性。
・試験責任医師の見解で対象の安全性を損なう他の著しい検査値異常または医学的状態。
薬物適用
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの投薬前、全身性の抗炎症性ステロイドまたは免疫抑制薬の5半減期以内の使用(プロトコール指定のプレドニゾン以外)。吸入または局所ステロイドおよび非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は許容された。
・以下のいずれかを受けたこと:
○調査医薬品、AAV2.7m8-アフリベルセプトの投薬前30日か5半減期のいずれか長い方の期間内。
○以前の遺伝子治療薬。
III.調査医薬品
【0229】
調査医薬品(IMP)であるAAV2.7m8-アフリベルセプトは、AAV2カプシドに対するin vivo定向進化によって引き出されたAAV2.7m8タンパク質カプシドを含有する組換え複製欠損アデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターであった(Dalkara et al., (2013) Sci Transl Med 5 (189): 189ra76; US2014/0364338)。AAV2.7m8-アフリベルセプトは、遍在するキメラプロモーターの制御下にあるアフリベルセプトcDNAのコドン最適化バージョンの発現カセットを保有するものであった(
図1A)(WO2018170473A1参照)。AAV2.7m8-アフリベルセプトを、Sf9細胞において一方がAAV2 RepおよびAAV2.7m8 Capタンパク質の遺伝子をコードし、他方がヒトアフリベルセプトcDNA発現カセットをコードする2つの異なるバキュロウイルスを使用するバキュロウイルス発現ベクター系を使用して製造した。
【0230】
AAV2.7m8-アフリベルセプトを、表1に示されている通り製剤化した、IMP、0.25mLを含有する滅菌されたすぐ使用できる0.5mL Crystal Zenithバイアル中の滅菌濾過された凍結懸濁液として供給した。
【表1】
IV.試験設計
A.用量および投与方法
コホート1
【0231】
コホート1の対象に、AAV2.7m8-アフリベルセプトを用量1の6×1011vg/眼で注射量を100μLとして単回IVT注射によって投与した。
【0232】
AAV2.7m8-アフリベルセプトのバイアルを≦-60℃での凍結保存から取り出し、室温で解凍した。AAV2.7m8-アフリベルセプトをIVT注射によって投与した。ポビドンヨードを用いた無菌技法を局所または結膜下麻酔と一緒に使用した。注射後のケアおよび薬物適用レジメンを施設の標準治療に基づいて行った。
B.試験来訪
スクリーニング(-15日目~-7日目)
【0233】
図1Bに示されている通り、対象は、-15日目~-7日目(例えば、-14日目~-7日目)のスクリーニング中に標準治療と両立してアフリベルセプト2mgの単回IVT注射を受けた。対象は常套的な施設の標準の注射後のケアを受けた。
試験1日目
【0234】
試験1日目に(アフリベルセプトのIVT注射の7日後から15日後の間、例えば、7日後から14日後の間)、試験対象は、AAV2.7m8-アフリベルセプトの投薬前に、抗VEGF治療薬に対して応答性であることを確認するためにSD-OCT試験を受けた。抗VEGF応答性は試験責任医師によって確認された。上記の通り意味のある抗VEGF応答を有することが確認された対象のみ(組み入れ基準を参照されたい)を本試験への登録に適格であるとした。
【0235】
抗VEGF治療薬に対して応答性の対象は試験コホートに逐次的に登録され、試験を行う眼への単回のAAV2.7m8-アフリベルセプトIVT注射を受けた。上記の通り、試験の持続時間にわたって1つの眼のみを試験を行う眼として選択した。
AAV2.7m8-アフリベルセプト投与後
【0236】
対象は、3日目および8日目、第2週、第4週、第6週、および第8週の間、ならびにその後4週間ごと(すなわち、第12週、第16週、第20週、および第24週)に臨床評価および処置(必要であれば)のために戻った。コホート1に関する安全性および有効性解析を第24週に実施した。
【0237】
第4週に開始して、再処置基準(以下を参照されたい)に従って疾患活動性の増大のエビデンスが存在する場合には、対象を、アフリベルセプト2mg IVTのレスキュー注射を受けることに適格であるとした。以下のいずれか1つが存在することにより、2mg
IVTアフリベルセプトを用いた標準の抗VEGFによる処置の再開が正当化された:
・BCVAのベースラインから≧10文字の減少(ETDRSプロトコールを使用)およびSD-OCTによって観察され、試験責任医師によってBCVA低下の原因であると判断される網膜内または網膜下液。
・SD-OCTによって評価して、中心領域網膜厚のベースラインから>75μmの増加。
・黄斑変性症に起因する視覚を脅かす出血の存在。
【0238】
対象を、AAV2.7m8-アフリベルセプトの投与後第52週に安全性および有効性について再度評価する。フォローアップ期間はAAV2.7m8-アフリベルセプトの投与後第104週まで続く。
C.コルチコステロイドレジメン
【0239】
可能性のある注射後の眼の炎症のリスクを低減するために、対象に予防的コルチコステロイドレジメン(例えば、プレドニゾン)を投与し、ベクターの眼および全身性の忍容性について厳密にモニタリングした。
【0240】
コホート1の対象に、予防的な13日間の経口コルチコステロイドレジメンを投与した。AAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置の3日前(-3日目)から3日後まで、合計6日間にわたる60mg/日のプレドニゾンから開始した。これに続いて、7日間のプレドニゾン漸減を行った。経口プレドニゾンレジメンの要約を表2に提示する。
【表2】
【0241】
AAV2.7m8-アフリベルセプトのIVT注射前の免疫抑制(すなわち、プレドニゾン)の開始を、カプシド抗原に曝露した際の免疫応答が限定されるように設計した。対象はプレドニゾンを13日間のレジメンにわたって自己投与した。
【0242】
対象は、必要に応じて試験の第2週~第24週に局所または経口コルチコステロイド(プレドニゾン)を受けた。
D.禁止薬物および処置
【0243】
試験の間、以下の薬物を禁止した:
・ベバシズマブを含めたあらゆる全身性の抗VEGF剤。
・試験薬または本試験のレスキュー抗VEGF注射基準に従ったアフリベルセプト注射2mg以外の、試験を行う眼へのあらゆる抗VEGF剤。
・試験を行う眼へのIVTステロイド。
・免疫抑制薬。全身性、吸入または局所ステロイドおよびNSAIDは許容された。
・あらゆる他の調査試験薬の使用および試験への参加。
・試験を行う眼の白内障外科手術は、臨床的に必要が示され、IVT投与後90日よりも後かつ/またはアフリベルセプトの最後の注射後7日よりも後に予定されている場合には実施することができる。
・試験を行わない眼にAMDが発生している対象は試験を行わない眼への標準治療を受けることができる。
E.コホート1に対する試験設計の要約
【0244】
6名の対象をコホート1に登録した。
【0245】
コホート1の対象に、AAV2.7m8-アフリベルセプトを6×1011vg/眼の用量1で単回IVT注射によって投与した。コホート1に登録された第1の(センチネル)対象にAAV2.7m8-アフリベルセプトをIVT注射し、29日間評価を行った後、コホート内の後の5名の対象(対象2~6)への投薬を行った。
【0246】
コホート1に対する試験設計の要約を表3に提示する。
【表3】
F.試験持続時間
【0247】
対象が試験に参加する持続時間は、各対象についておよそ108週間である。これには4週間のスクリーニング期間および追加的な104週間の試験期間が含まれる。
【0248】
試験が完了するかまたは中止されると、必要に応じて、この遺伝子治療薬の安全性をさらに評価するために長期間のフォローアップ試験に登録する機会が対象に提供される。
V.試験評価
A.全般的な身体検査およびバイタルサイン
【0249】
各対象の関連性のある医学的および眼に関する履歴を収集し、記録した。全般的な身体検査は身長(スクリーニング時のみ)、体重、およびバイタルサインからなった。
【0250】
バイタルサインは血圧、脈拍数測定、体温、および呼吸数からなった。12誘導心電図(ECG)を各対象について取得した。以下の臨床検査および抗体検査を実施した:化学的検査、全血球計算(CBC)、凝固試験、尿検査、HIVまたは肝炎の血清学的エビデンス、ならびに妊娠検査。
【0251】
第104週、試験終了時(EOS)、および/または早期中止来訪時に、身体検査により、スクリーニング検査時から対象の健康状態に何らかの変化が生じているかどうかを評価する。
B.免疫応答およびアフリベルセプト発現
【0252】
総抗AAV2.7m8抗体を測定した。対象の血清中の中和性抗AAV2.7m8抗体を、カットポイントによって評価されるレポーター遺伝子に基づく形質導入干渉アッセイを使用して決定した。
【0253】
抗アフリベルセプト抗体に対する液性免疫応答を血清においてELISAに基づくカットポイント抗体アッセイを使用して測定した。
【0254】
血清を収集して、アフリベルセプトタンパク質の存在を決定した。
【0255】
AAV2.7m8カプシドタンパク質およびアフリベルセプトタンパク質に対する細胞性免疫をELISPOTアッセイを使用して測定した。
C.全眼科検査および他の評価方法
【0256】
試験評価には眼科学的検査、眼圧(IOP)、および間接検眼が含まれた。
【0257】
眼科検査は、眼および付属器の外診、眼瞼/瞳孔応答性に関する常套的なスクリーニング(これだけに限定されないが、眼瞼下垂、異常な瞳孔形状、瞳孔不同、光に対する反応の異常、および求心性瞳孔障害を含む)、ならびに細隙灯検査(眼瞼、結膜、角膜、水晶体、虹彩、前房)からなった。細隙灯検査により眼の前側の構造を検査し、あらゆる所見のグレード分類のために使用した。いずれかの来訪時の細隙灯検査の間に何らかの所見が認められた場合、重症度が試験責任医師によってグレード分類され、その所見が臨床的に意味があるものまたは臨床的に意味がないものとして記載された。
【0258】
IOP測定をGoldmann圧平眼圧計またはTono-pen(商標)を使用して実施した。あらゆるIVT注射の前および眼を散大させる前にIOP測定を実施した。1日目の来訪では注射前および注射後(注射の30分後)のIOP測定が必要であった。
【0259】
散大間接検眼試験には、硝子体、視神経、周辺網膜、および網膜の脈管構造の後側セグメントの異常の評価が含まれた。いずれかの来訪時の検眼鏡検査の間に何らかの所見が認められた場合、重症度が試験責任医師によってグレード分類され、その所見が臨床的に意味があるものまたは臨床的に意味がないものとして記載された。1日目の来訪では注射前および注射後の間接検眼評価が必要であった。
スペクトラルドメイン光干渉断層法(SD-OCT)
【0260】
SD-OCTを使用して、干渉縞パターンのスペクトル分析によって後方散乱光の大きさおよび遅延にコード化された深さ分解された組織構造情報を得た。
蛍光眼底造影
【0261】
CNV病変成長の有効性を評価するため、およびベースラインと比較した漏出を評価するため、蛍光眼底造影画像を使用して試験登録に対する患者の適格性を確認した。
デジタルカラー眼底撮影
【0262】
網膜、視神経乳頭、および黄斑のカラー眼底画像を取得した。
光干渉断層血管造影(OCT-A)
【0263】
OCT-Aイメージング(波長掃引またはスペクトラルドメイン)を使用して、網膜および脈絡膜の容積3次元マップならびに血流に関する情報を得た。
屈折および視力
【0264】
屈折およびBCVAを試験場所において訓練を受け認証された視力試験者が測定した。視力を、眼を散大させる前に、出発距離4メートルで測定した。
D.安全性評価
【0265】
AAV2.7m8-アフリベルセプトのIVT投与に伴うリスクを軽減するために、IVT AAV2.7m8-アフリベルセプトの投与日および処置後に対象を厳密にモニタリングした。
【0266】
AAV2.7m8-アフリベルセプトの安全性を、AE、バイタルサイン、身体検査および眼検査、ECG、妊娠検査、ならびに実験室評価を収集することによって評価した。
【0267】
試験の最初の8週間に対象のモニタリングを集中して行い、その後、安全性および有効性に関する通常の安全性評価を行った。全ての対象に対して各試験来訪時にEarly Treatment Diabetic Retinopathy Study(ETDRS)文字評価による視力検査を行い、標準治療であるアフリベルセプトのIVT注射をレスキュー処置として使用した。
【0268】
AEの重症度、または強度を以下の尺度で評価した:
・軽症:AEは注目すべきものではあるが、対象の日常活動を有意に損なうものではなかった。
・中等症:AEにより通常の日常活動が低減するかまたは損なわれるが、無能力になるものではなかった。
・重症:AEにより無能力になり、通常の日常活動を行うことが不可能になった。
【0269】
安全性を試験処置の投与後104週間にわたって評価する。試験終了(EOS)来訪が完了したら、対象に導入遺伝子発現の安全性および耐久性をさらに評価するために長期間の延長試験への登録を提案する。
E.有効性評価
【0270】
wAMDの処置に関するAAV2.7m8-アフリベルセプトの有効性を以下の評価基準によって評価した。重要な評価時点は24週間であった。BCVAおよびSD-OCTのベースライン値は、-15日目~-7日目(例えば、-14日目~-7日目)のスクリーニング来訪中、アフリベルセプト注射の前に取得された値を指す。ベースライン値を分析に関する比較のために使用した。
【0271】
視覚は主にETDRSスコア(正確に読み取られる文字の数)(Vitale et al., (2016) JAMA Ophtalmol 134 (9): 1041-1047)として表されるBCVAによって評価
した。対象が、ベースラインと比較して、ETDRSスコアの15文字未満の減少を有する場合、視覚の維持に分類した。算出されたエンドポイントには、ベースラインからの平均変化、ベースラインと比較して、少なくとも15文字の増加を有したパーセント、およびベースラインと比較して15文字またはそれよりも多くの減少を有したパーセントが含まれた。
【0272】
FAを実施して、ベースラインと比較した漏出を評価するための標準の技法を使用してCNV病変を評価した。
【0273】
認可された設備および標準の技法を使用してSD-OCTを実施して、網膜厚(例えば、中心窩網膜厚または中心領域網膜厚)、黄斑体積、および液(例えば、網膜下液および網膜内液)の存在をベースライン値と比較して評価した。
【0274】
第4週から第104週までの経時的な対象当たりのAAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置後に行われたアフリベルセプト注射の回数を決定した。さらに、AAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置後の最初のアフリベルセプト注射までの時間およびアフリベルセプトによるレスキュー処置を必要としなかった対象の割合を決定した。
【0275】
第4週から第104週までの経時的なIRFを有さない対象の割合を決定した。
【0276】
第4週から第104週までの経時的なSRFを有さない対象の割合を決定した。
【0277】
ベースラインにおいてPEDを有した対象の中で第4週から第104週までの経時的なPEDを有さない対象の割合を決定した。
F.統計値
【0278】
安全性解析対象集団に、AAV2.7m8-アフリベルセプトを受け、受けた用量に従って解析された対象全員を含めた。
【0279】
全ての他の安全性パラメータをコホートごとに要約した。AEを医薬品規制用語集(MedDRA、バージョン21)分類を使用してコード化して、各事象に基本語(PT)および器官別大分類(SOC)を付与した。試験離脱に至ったSAEおよびAEを別々に列挙した。
【0280】
有効性解析には対象全員を含めた。有効性解析エンドポイントを評価し、記述統計をコホートごとに算出する。重要な評価時点は24週間であった。有効性を、受けた用量に応じて、および全体として評価した。
VI.結果
A.対象の特徴
【0281】
コホート1に登録された対象6名全員がwAMDと診断された。登録時に、対象は抗VEGFによる処置の大きな必要性(例えば、頻繁な抗VEGFによる処置を必要としていた)、約20/50の機能的視覚、OCTでのいくつかの過剰な中心領域網膜厚を有しており、抗VEGFによる処置の定期的なIVT注射を受けており、治療に応答していた。対象全員の疾患特徴および処置歴を表4~5に提示する。
【0282】
表4に示されている通り、コホート1の対象は、AAV2.7m8-アフリベルセプトを投与されるおよそ1年前(対象5)からおよそ10年またはそれよりも前(対象4)の間にwAMDと診断されていた。対象は、注射前7(対象5)から109(対象4)まで、試験を行う眼に広範囲の以前の抗VEGF IVT注射を受けていた。算出された本試験前の平均抗VEGF IVT注射間隔は4週間ごとから10週間ごとにわたった。対象全員が本試験への登録のためのスクリーニング前4カ月の間に抗VEGF注射を2回または3回受けていた。試験開始前のスクリーニング抗VEGF注射の7日後(対象1~3)または14日後(対象4~6)に対象にAAV2.7m8-アフリベルセプトを投与した。
【表4】
【表5】
B.安全性
【0283】
AAV2.7m8-アフリベルセプトの投与後24週間の間、SAEも生じず、用量制限毒性(DLT)の基準を満たすいかなるAEも生じなかった。薬物に関連する眼以外のAEは観察されなかった。眼の炎症が対象全員に関して観察され、局所ステロイドで管理可能であった。さらに、血管炎、網膜炎、または脈絡膜炎のいずれも観察されなかった。AAV2.7m8-アフリベルセプトに潜在的に関連すると思われる眼のAEが19件観察され、14件が軽症であり、5件が中等症であった(2件のAEは中間部ぶどう膜炎であり、1件のAEは硝子体細胞であり、2件のAEは前房内細胞であった)。1名の患者が2件の前房内細胞事象を有した(1件は軽症の事象であり、1件は中等症の事象であった)。初期フォローアップ中に局所または経口コルチコステロイドに応答性の軽症から中等症の眼内炎症が頻繁に観察された。OCT画像から、大多数の対象における残留液の消散が示され、悪化の徴候は見られなかった。視力は一般に安定していた。24週間を通じたAAV2.7m8-アフリベルセプトに関連した全ての安全性事象の要約を表6に提示する。
【表6】
【0284】
対象全員が経口プレドニゾン60mgを-3日目から開始して6日間受け、その後、7日間のプレドニゾンの漸減過程を受けた。眼の細胞の炎症の臨床評価から、AAV2.7m8-アフリベルセプト後初期に臨床的に意味がある炎症は生じなかったことが明らかになった。さらに、
図6に示されている通り、対象がステロイド点眼剤を受けた場合、悪化も新しい炎症も観察されなかった。第24週までに前房内細胞の炎症が消散または改善した。観察された細胞の炎症は概して軽症であった。
図6に示されている房水細胞計数カテゴリーはStandardization of Uveitis Nomenclature(SUN)基準(Jabs, DA et al., J Ophthalmol. 2005; 140: 509-516
)に基づくものであり、一方、硝子体細胞計数カテゴリーはNational Institutes of Health(NIH)ガイドラインに基づくものであった。
【0285】
全体的に、安全性評価により、AAV2.7m8-アフリベルセプトは忍容性が良好であり、DLTもSAEも報告されなかったことが示された。全ての安全性事象が軽症~中等症であり、大多数が炎症に関連するものであった。AEの継続的なフォローアップにより、平均視力が安定なままであり、抗VEGFによるレスキュー注射は必要なかったことが示された。したがって、結果から、以前から頻繁な抗VEGF注射を必要としているwAMD患者に対して6×1011vg/眼の用量で単回IVT注射として投与されるAAV2.7m8-アフリベルセプトの安全性プロファイルが許容されるものであることが示される。
C.有効性
【0286】
AAV2.7m8-アフリベルセプトの投与後、OCT評価に基づいて6名の対象全員で疾患活動性の安定化が示された。
図2A~2Lに示されている通り、AAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置前および処置後に取得したOCT画像から、コホート1の対象6名全員においてロバストな解剖学的応答が明らかになったことが示された。例えば、対象1(例えば、
図2Aと2Bを比較されたい)、対象2(例えば、
図2Bと2Cを比較されたい)、対象3(例えば、
図2Dと2Eを比較されたい)、対象4(例えば、
図2Fと2Gを比較されたい)、および対象5(例えば、
図2Hと2Iを比較されたい)において、網膜下液が標準治療の抗VEGFによる処置では残留したが、AAV2.7m8-アフリベルセプトの投与後には消散し、消散したままであった。対象6はポリープ状脈絡膜血管症(PCV)と一致する網膜形態を示し(
図2K)、AAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置後にいくらかの液が残留したが、疾患進行のエビデンスは認められなかった(
図2L)。さらに、
図3に示されている通り、中心領域網膜厚(CST)の増加を示した対象はおらず、-52.7μmの平均減少が観察された(90%CI-86.5、-18.8)。CSTの増加はwAMDの疾患進行を示す。重要なことに、いずれの対象も、標準治療であるアフリベルセプトによるレスキュー注射(「レスキュー注射」)の投与を一切受けず、必要ともしなかった。
【0287】
対象全員に対して試験全体を通して最高矯正視力(BCVA)をETDRS文字評価に基づいて測定した。
図4に示されている通り、BCVAはコホート1の対象にわたって安定であり、平均減少は-2文字(90%CI-9.1、5.1)であった。
【0288】
フォローアップ時間中央値であるAAV2.7m8-アフリベルセプトの投与の34週間後に、OCTイメージングで疾患再活性化の徴候を示した対象はいなかった(
図7A~7B)。さらに、いずれの対象もいかなるレスキュー抗VEGF IVT注射も必要とせず、また、最大44週間のフォローアップ期間中のいかなる時点においても再処置基準を満たす対象はいなかった。最後に、24週間を超える追加的なフォローアップ期間中、BCVAは維持され(すなわち、10ETDRS文字よりも多くの減少または増加を有した患者はいなかった)、第24週に観察された解剖学的改善(すなわち、網膜下および網膜内液の消散、ならびにCSTの減少)が維持され、安全性の懸念は生じなかった。
【0289】
フォローアップ時間中央値である第34週に評価された安全性および有効性に関する結果の要約を表7に提示する。
【表7】
D.結論
【0290】
wAMDに対する現行の標準治療は、一般には長期にわたって約4~8週間ごとに必要な抗VEGF IVT注射である。このレジメンでのコンプライアンスは患者、介護者、および健康管理システムにとって困難であり得、それにより、最適以下の投薬および処置不十分に起因した視力の喪失が導かれる。
【0291】
この実施例で示された結果から、AAV2.7m8-アフリベルセプトが、網膜の解剖学的構造の改善および視覚の安定化に関して明らかな利益をもたらす一方で、許容される安全性プロファイルを示すことが示される。特に、試験の間、患者の視覚が維持され、AAV2.7m8-アフリベルセプトが安全であり、忍容性が良好であることが示され、観察された炎症は一般に軽症であり、ステロイド点眼剤に応答性のものであった。
【0292】
本試験のコホート1の対象は、疾患の進行を緩徐化するまたは防止するために以前から頻繁な抗VEGF注射を必要としていたが(表4)、本試験の間、AAV2.7m8-アフリベルセプトの投与後は抗VEGFによるレスキュー注射を必要としなかったことが認められた。
【0293】
標準治療である抗VEGFによる処置を20週間よりも長く受けている対象のOCTスキャンで網膜下液が存在し、スクリーニングでのアフリベルセプトのIVT注射の1~2週間後に継続していることが認められた。この液は、対象が処置を繰り返し受けていたにもかかわらず存在し、したがって、標準治療である抗VEGFタンパク質のIVTボーラスに対して不応性であった。予想外に、この不応性SRFはAAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置後に消散し、この結果は、前臨床試験からは予測されていなかった。
【0294】
6×1011vg/眼の用量で投与されたAAV2.7M8-アフリベルセプトの観察された安全性および有効性により、実施例2に記載の通り、低用量で局所コルチコステロイドと共に投与されるAAV2.7m8-アフリベルセプトの安全性および有効性を評価するためにこの第1相試験の継続が導かれた。
【0295】
(実施例2)
血管新生(滲出性)加齢黄斑変性症に対する、6×1011vg/眼よりも低用量のAAV2.7m8-アフリベルセプトと局所コルチコステロイドのオープンラベル第1相試験。
以下の実施例では、wAMDを有する対象に対する、局所コルチコステロイドを伴い、6×1011vg/眼よりも低用量で投与されるAAV2.7m8-アフリベルセプトの安全性および有効性を評価するための、実施例1に記載の第1相試験の継続について記載する。
I.試験の目的およびエンドポイント
【0296】
主要目的、副次目的、および主要エンドポイントおよび副次的エンドポイントは実施例1の節Iに記載されている通りである。
II.試験の対象
【0297】
本試験の試験対象は実施例1の節IIに記載されている通りである。
III.調査医薬品
【0298】
調査医薬品はAAV2.7m8-アフリベルセプトであり、以下の表8に記載されている通り適切な注射量を維持するためにAAV2.7m8-アフリベルセプトの濃度を変動させたことを例外として、実施例1の節IIIにおいて詳細に記載されており、
図1Aに示されている通りである。
【表8】
IV.試験設計
A.用量および投与方法
【0299】
下記の用量のAAV2.7m8-アフリベルセプトを実施例1の節IVに記載されている通り投与した。
試験コホート2~4
【0300】
コホート2:wAMDの診断を受けている6名の対象をコホート2に登録する。コホート2の対象には、AAV2.7m8-アフリベルセプトの単回IVT注射を用量2の2×1011vg/眼で投与し、予防的な経口プレドニゾンレジメンを伴う。
【0301】
コホート3:wAMDの診断を受けている9名の対象をコホート3に登録する。コホート3の対象には、AAV2.7m8-アフリベルセプトの単回IVT注射を用量2の2×1011vg/眼で投与し、予防的な局所コルチコステロイドレジメンを伴う。
【0302】
コホート4:wAMDの診断を受けている9名の対象をコホート4に登録する。レスキュー治療を必要とする脈絡膜血管新生滲出の徴候がコホート2および3の対象の大多数で観察された場合には、コホート4の対象にAAV2.7m8-アフリベルセプトの単回IVT注射を用量3の6×1010vg/眼で投与し、局所コルチコステロイドレジメンを伴う(コホート4b)。レスキュー治療を必要とする脈絡膜血管新生滲出の徴候がコホート2および3の対象の大多数で観察されない場合には、コホート4の対象にAAV2.7m8-アフリベルセプトの単回IVT注射を用量1の6×1011vg/眼で投与し、局所コルチコステロイドレジメンを伴う(コホート4a)。
B.試験来訪
【0303】
試験来訪は実施例1の節IVおよび
図1Bに記載されている通りである。
C.コルチコステロイドレジメン
【0304】
実施例1のコホートについて詳細に記載されている通り、コホート2の対象に予防的な13日間の経口コルチコステロイドレジメンを投与する:
【0305】
コホート2:コホート2の対象には、AAV2.7m8-アフリベルセプトの単回IVT注射を用量2の2×1011vg/眼で投与し、予防的な13日間の経口コルチコステロイドレジメンを、プレドニゾン60mgから開始してAAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置前3日間および処置後3日間、合計6日間にわたって投与する。この後に7日間のプレドニゾン漸減を続ける。コホート2に対する経口プレドニゾンレジメンの要約は実施例1の表2に提示されている。
【0306】
コホート3および4の対象には下記の通り予防的な漸減レジメンの局所コルチコステロイド(0.05%ジフルプレドネート点眼薬)を投与する:
【0307】
コホート3:コホート3の対象には、AAV2.7m8-アフリベルセプトの単回IVT注射を用量2の2×1011vg/眼で投与し、予防的な4週間の漸減局所コルチコステロイドレジメンを伴う。
【0308】
コホート4:コホート4bの対象にはAAV2.7m8-アフリベルセプトの単回IVT注射を用量3の6×1010vg/眼で投与し、予防的な4週間の漸減局所コルチコステロイドレジメンを伴い、これは、処置にあたる医師の自由裁量で延長することができる。コホート4aの対象にはAAV2.7m8-アフリベルセプトの単回IVT注射を用量3の6×1011vg/眼で投与し、予防的な4週間の漸減局所ジフルプレドネートレジメンを伴い、これは処置にあたる医師の自由裁量で延長することができる。
【0309】
局所ジフルプレドネートレジメンの要約を以下の表9に提示する。
【表9】
【0310】
カプシド抗原に曝露した際の免疫応答を限定するために、AAV2.7m8-アフリベルセプトのIVT注射への曝露の直後の免疫抑制の開始を設計する。対象は、AAV2.7m8-アフリベルセプトの注射日(1日目、注射後)から開始して第1の週にわたって0.05%ジフルプレドネート溶液(ジフルプレドネート2.5μg)を1滴、処置を受ける眼の結膜嚢に1日当たり4回自己投与する。この後、第2の週にわたって1日当たり3回、第3の週にわたって1日当たり2回、および第4の週にわたって1日当たり1回投与する。漸減コルチコステロイドレジメンは処置にあたる医師の自由裁量で延長することができる。
D.禁止薬物および処置
【0311】
本試験の禁止薬物および処置は実施例1の節IVに記載されている通りである。
E.コホート2~4に対する試験設計の要約
【0312】
コホート2~4に対する試験設計の要約を表10に提示する。
【表10】
F.試験持続時間
【0313】
対象の本試験への参加の持続時間は実施例1の節IVに記載されている通りである。
V.試験評価
【0314】
本試験において実施する評価は実施例1の節Vに記載されている通りである。さらに、房水および硝子体液の試料を取得する。
房水試料採取
【0315】
房水試料を、スクリーニング時(アフリベルセプト注射の前)および1日目(AAV2.7m8-アフリベルセプト注射の前)、第12週、第24週、第36週、第52週、第76週、第88週、第104週、および第1のアフリベルセプト(Eylea)レスキュー処置が必要な任意の来訪時、または早期中止時に得る。房水試料をアフリベルセプト、VEGF-A、およびNAb濃度について分析する。
硝子体液試料採取
【0316】
硝子体液試料を、試験中のいかなる時点でも硝子体切除術が実施される際に得る。硝子体液試料を主にアフリベルセプト濃度について分析する。残りの試料をVEGF-A濃度について分析する。
VI.結果
A.対象の特徴
【0317】
対象全員の疾患特徴および処置歴を記録する。特に、血管新生AMD診断の日付または年、試験を行う眼への以前の抗VEGF注射の回数、算出された試験前の抗VEGF注射間隔の平均、スクリーニング前4カ月の間に受けた抗VEGF注射の回数、スクリーニングでのアフリベルセプトIVT投薬の日付、およびAAV2.7m8-アフリベルセプト注射の日付を記録する。
B.安全性
【0318】
対象をIVT AAV2.7m8-アフリベルセプトの投与日および処置後、厳密にモニタリングする。
【0319】
AAV2.7m8-アフリベルセプトの安全性を、バイタルサイン、身体検査および眼検査、ECG、妊娠検査、および実験室評価を収集することによって評価する。
【0320】
AE、SAE、およびDLTの発生率、重症度、および処置との関連性を対象全員に関して評価する。
【0321】
眼内炎症の出現率、重症度、および処置との関連性を対象全員に関して評価する。
【0322】
視力を対象全員に関して、ETDRSスコア(正確に読み取られる文字の数)(Vitale
et al., (2016) JAMA Ophtalmol 134 (9): 1041-1047)として表されるBCV
Aによって評価する。
【0323】
抗VEGFによるレスキュー注射の必要性を対象全員に関してモニタリングする。
【0324】
対象の血清中の既存の抗AAV NAbレベルとAE、SAE、およびDLTの間の相関の存在を決定する。
【0325】
ステロイド予防法(局所または経口)のAE、SAE、DLT、および眼内炎症出現率および消散に対する効果を評価する。
【0326】
標準治療であるアフリベルセプトのIVT注射をレスキュー処置として使用する。
C.有効性評価
【0327】
疾患安定化を対象全員に関して評価する。網膜厚、中心領域網膜厚、液および他の解剖学的特色を試験処置の投与前および投与後に測定する(例えば、OCTイメージングによって)。
【0328】
wAMDの処置に関するAAV2.7m8-アフリベルセプトの有効性を以下の評価基準によって評価する。重要な評価時点は第24週である。BCVAおよびSD-OCTのベースライン値は、-15日目~-7日目(例えば、-14日目~-7日目)のスクリーニング来訪中、アフリベルセプト注射の前に取得された値を指す。ベースライン値を分析のための比較に使用する。
【0329】
視覚を、ETDRSスコア(正確に読み取られる文字の数)(Vitale et al., (2016) JAMA Ophtalmol 134 (9): 1041-1047)として表されるBCVAによって主に評
価する。対象が、ベースラインと比較して、ETDRSスコアの15文字未満の減少を有する場合には視覚の維持に分類する。算出されたエンドポイントには、ベースラインからの平均変化、ベースラインと比較して少なくとも15文字の増加を有したパーセント、およびベースラインと比較して15文字またはそれよりも多くの減少を有したパーセントが含まれる。
【0330】
FAを実施して、ベースラインと比較した漏出を評価するための標準の技法を使用してCNV病変を評価する。
【0331】
SD-OCTを認可された設備および標準の技法を使用して実施して、網膜厚(例えば、中心窩網膜厚または中心領域網膜厚)、黄斑体積、および液(例えば、網膜下液および網膜内液)の存在を評価し、液をベースライン値と比較する。
【0332】
第4週から第104週までの経時的な対象当たりのAAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置後に行われたアフリベルセプト注射の回数を決定する。さらに、AAV2.7m8-アフリベルセプトによる処置後の最初のアフリベルセプト注射までの時間およびアフリベルセプトによる再処置を必要としなかった対象の割合を決定する。
【0333】
第4週から第104週までの経時的なIRFを有さない対象の割合を決定する。
【0334】
第4週から第104週までの経時的なSRFを有さない対象の割合を決定する。
【0335】
ベースラインにおいてPEDを有した対象の中で第4週から第104週までの経時的なPEDを有さない対象の割合を決定する。
【0336】
本開示を明確な理解のために実例および実施例として一部の詳細に関して記載しているが、説明および実施例は本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書において引用されている全ての特許および科学文献の開示は明白にその全体が参照により組み入れられる。