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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014818
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】検出キット
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20240125BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20240125BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240125BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N1/00 101K
G01N33/48 S
G01N33/543 501A
G01N33/543 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118090
(22)【出願日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2022115338
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】柿久保 学
(72)【発明者】
【氏名】豆田 正和
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G045HA10
2G045HA14
2G052AA29
2G052AB16
2G052AD06
2G052AD26
2G052BA17
2G052DA02
2G052DA08
2G052DA09
2G052ED06
2G052GA30
2G052JA04
(57)【要約】
【課題】採取した検体中の被分析物質の有無を簡単に検出できる検出キットを提供することを目的とする。
【解決手段】液状の検体に含まれる被分析物質を検出する検出キット1であって、検体を保持可能で、且つ保持した検体を変形によって排出可能である可変吸収部6を備えた採取部3と、可変吸収部6を収容する容器本体4と、可変吸収部6から排出された検体を受け入れ、被分析物質を捕捉する捕捉ユニット8と、を備え、容器本体4は、捕捉部に連通する検体排出部21と、可変吸収部6との相対移動によって可変吸収部6を変形させることができる変形促進部7と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の検体に含まれる被分析物質を検出する検出キットであって、
前記検体を保持可能で、且つ保持した前記検体を変形によって排出可能である可変吸収部を備えた採取部と、
前記可変吸収部を収容する容器本体と、
前記可変吸収部から排出された前記検体を受け入れ、前記被分析物質を捕捉する捕捉部と、を備え、
前記容器本体は、前記捕捉部に連通する検体排出部と、前記可変吸収部との相対移動によって前記可変吸収部を変形させることができる変形促進部と、を備えている、検出キット。
【請求項2】
前記容器本体は前記可変吸収部が挿通されて移動可能な筒状であり、
前記容器本体の一方の端部には、前記検体排出部が設けられており、
前記容器本体の他方の端部には、前記可変吸収部を受け入れる導入部が設けられており、
前記変形促進部は、前記容器本体の軸線に沿って内径が変化すると共に、前記可変吸収部に干渉可能なテーパ部であり、
前記テーパ部は、前記容器本体の軸線に沿って前記検体排出部に近い程、縮径している、請求項1記載の検出キット。
【請求項3】
前記容器本体は、前記可変吸収部が挿通されて移動する筒状であり、
前記容器本体の一方の端部には、前記検体排出部が設けられており、
前記容器本体の他方の端部には、前記可変吸収部を受け入れる導入部が設けられており、
前記採取部は、前記可変吸収部を支持すると共に、前記容器本体に挿通される軸部を備え、
前記軸部は、前記可変吸収部が固定されている先端部と、前記先端部とは反対側の基端部と、を備えており、
前記基端部には、前記導入部に結合されて前記導入部を閉塞すると共に、前記可変吸収部と前記変形促進部とを接触可能に位置決めする軸固定部が設けられている、請求項1または2記載の検出キット。
【請求項4】
前記容器本体は、前記可変吸収部が挿通されて移動可能な筒状であり、
前記容器本体の一方の端部には、前記検体排出部が設けられており、
前記容器本体の他方の端部は、開放端であり、
前記可変吸収部は、前記検体排出部に面する端面部を備え、
前記採取部は、前記可変吸収部を支持すると共に、前記容器本体に挿通される軸部を備え、
前記軸部は、前記可変吸収部から露出すると共に前記可変吸収部の前記端面部に接触する先端部と、前記先端部に接続されると共に前記可変吸収部に収容される中間部とを有し、
前記先端部の径は、前記中間部の径よりも大きい、請求項1または2記載の検出キット。
【請求項5】
前記捕捉部は、前記検体排出部から排出された前記検体が接触する標識表示部と、前記容器本体に装着されると共に前記標識表示部を支持する蓋部とを備え、
前記蓋部には、前記蓋部が前記容器本体に装着されたときに前記容器本体の内部空間と外気とを連通する連通口が設けられる、請求項1または2記載の検出キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体中の被分析物質の有無を検出するための検出キットに関する。
【背景技術】
【0002】
妊娠検査やウイルス検査等に使用される検出キットが知られている(特許文献1~3参照)。この種の検出キットは、唾液や尿等の検体が供給されるデバイスを備えており、そのデバイスは、検体中の被分析物質を視認可能に捕捉する捕捉部を備えている。捕捉部は、例えば、標識試薬を備えており、標識試薬は、検体中の被分析物質に特異的に結合する結合物質を含んでいる。また、捕捉部は、被分析物質に特異的に結合する捕捉試薬が固定化された固相支持体を備えている。検体中の被分析物質は標識試薬の結合物質に結合され、さらに、捕捉試薬に結合されることで標識試薬と一緒に固相支持体上に捕捉される。つまり、固相支持体上の標識試薬は検体中に被分析物質が存在することを示し、更に標識試薬は目視にて確認可能となるので、検体中の被分析物質の有無を目視にて確認可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-214670号公報
【特許文献2】特開2006-23258号公報
【特許文献1】特開2021-39103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の検出キットでは、検体の採取や捕捉部への供給に関する配慮はなく、利便性という観点で課題があった。
【0005】
本発明は、採取した検体中の被分析物質の有無を簡単に検出できる検出キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液状の検体に含まれる被分析物質を検出する検出キットであって、検体を保持可能で、且つ保持した検体を変形によって排出可能である可変吸収部を備えた採取部と、可変吸収部を収容する容器本体と、可変吸収部から排出された検体を受け入れ、被分析物質を捕捉する捕捉部と、を備え、容器本体は、捕捉部に連通する検体排出部と、可変吸収部との相対移動によって可変吸収部を変形させることができる変形促進部と、を備えている。
【0007】
上記の検出キットでは、採取部の可変吸収部によって検体を保持することができる。検体を保持している可変吸収部は、容器本体に導入され、変形促進部との相対移動によって変形し、検体を排出する。可変吸収部から排出された検体は、検体排出部から排出されて捕捉部に供給される。検体中に被分析物質が含まれている場合、その被分析物質は捕捉部で捕捉されるので、検体中の被分析物質の有無を確認できる。つまり、この検出キットによれば、可変吸収部と変形促進部との相対移動によって検体を捕捉部に供給できるので、取り扱いが容易であり、採取した検体中の被分析物質の有無を簡単に検出できる。
【0008】
また、容器本体は可変吸収部が挿通されて移動可能な筒状であり、容器本体の一方の端部には、検体排出部が設けられており、容器本体の他方の端部には、可変吸収部を受け入れる導入部が設けられており、変形促進部は、容器本体の内周面から突出し、且つ容器本体の軸線に対して螺旋状に延在すると共に、可変吸収部に干渉可能な螺旋突出部であってもよい。可変吸収部は容器本体の導入部から挿入され、容器本体の軸線に沿って移動する。さらに可変吸収部は螺旋突出部に干渉することで圧縮変形し、検体を排出する。螺旋突出部は容器本体の軸線に対して螺旋状に延在する。したがって、可変吸収部は、容器本体の軸線方向及び軸線回りである周方向の広い範囲で螺旋突出部から干渉を受けることになり、保持している検体を効率よく排出できる。
【0009】
また、上記の容器本体は可変吸収部が挿通されて移動可能な筒状であり、容器本体の一方の端部には、検体排出部が設けられており、容器本体の他方の端部には、可変吸収部を受け入れる導入部が設けられており、変形促進部は、容器本体の内周面から突出し、且つ容器本体の軸線に沿って延在すると共に、可変吸収部に干渉可能な干渉壁部であってもよい。可変吸収部は容器本体の導入部から挿入され、容器本体の軸線に沿って移動する。さらに可変吸収部は干渉壁部に干渉することで圧縮変形し、検体を排出する。ここで、干渉壁部は容器本体の軸線に沿って延在するため、可変吸収部から排出された検体を堰き止めることなく軸線方向に沿って案内するようになる。
【0010】
また、上記の容器本体は可変吸収部が挿通されて移動可能な筒状であり、容器本体の一方の端部には、検体排出部が設けられており、容器本体の他方の端部には、可変吸収部を受け入れる導入部が設けられており、変形促進部は、容器本体の軸線に沿って内径が変化すると共に、可変吸収部に干渉可能なテーパ部であり、テーパ部は、容器本体の軸線に沿って検体排出部に近い程、縮径していてもよい。可変吸収部は容器本体の導入部から挿入され、容器本体の軸線に沿って移動する。さらに可変吸収部はテーパ部に干渉することで圧縮変形し、検体を排出する。テーパ部は検体排出部に近い程、縮径している。したがって、可変吸収部は、検体排出部に近くなる程、強く圧縮されることになり、保持している検体を効率よく、検体排出部に向けて排出できる。
【0011】
また、テーパ部は、軸線に対して螺旋状に延在すると共に、検体排出部に連通している排出溝部を備えていてもよい。テーパ部での圧縮によって可変吸収部から排出された検体は、排出溝部を通過して検体排出部に効率よく排出される。
【0012】
また、テーパ部は、軸線に沿って延在すると共に、検体排出部に連通している排出溝部を備えていてもよい。テーパ部での圧縮によって可変吸収部から排出された検体は、排出溝部を通過して検体排出部に効率よく排出される。
【0013】
また、上記の容器本体は、可変吸収部が挿通されて移動可能な筒状であり、容器本体の一方の端部には、検体排出部が設けられており、容器本体の他方の端部には、可変吸収部を受け入れる導入部が設けられており、可変吸収部は、検体排出部に面する端面部を備え、変形促進部は、検体排出部に連通する排出口を備え、且つ可変吸収部の端面部に当接可能に設けられた座部であってもよい。可変吸収部は容器本体の導入部から挿入され、容器本体の軸線に沿って移動する。可変吸収部は、端面部が座部に押し付けられることによって圧縮変形し、検体を排出する。座部には、検体排出部に連通する排出口が設けられているため、排出口を介して検体を効率よく検体排出部に送り込むことができる。
【0014】
上記の可変吸収部の端面部の外周には、テーパ状の傾斜面が設けられていてもよい。傾斜面を設けることで、座部に押し付けられる可変吸収部の変形を促すことができる。
【0015】
上記の容器本体は、可変吸収部が挿通されて移動する筒状であり、容器本体の一方の端部には、検体排出部が設けられており、容器本体の他方の端部には、可変吸収部を受け入れる導入部が設けられており、採取部は、可変吸収部を支持すると共に、容器本体に挿通される軸部を備え、軸部は、可変吸収部が固定されている先端部と、先端部とは反対側の基端部と、を備えており、基端部には、導入部に結合されて導入部を閉塞すると共に、可変吸収部と変形促進部とを接触可能に位置決めする軸固定部が設けられていてもよい。軸固定部を導入部に結合させることで、軸部に固定された可変吸収部を変形促進部に対して接触可能に位置決めできる。その結果、軸固定部を導入部に結合させて容器本体の導入部を閉塞しながら、可変吸収部を変形促進部に干渉させて圧縮変形させることができ、可変吸収部で保持された検体を簡単に排出させることができる。
【0016】
上記の容器本体は、可変吸収部が挿通されて移動可能な筒状であり、容器本体の一方の端部には、検体排出部が設けられており、可変吸収部は、検体排出部に面し、且つ変形促進部の干渉を受けて容器本体の軸線方向に変形可能である第1の端面部と、軸線方向で第1の端面部とは反対側である第2の端面部と、を備えており、採取部は、容器本体に挿通される軸部を備え、軸部は、可変吸収部が固定されている軸本体と、軸本体からは張り出し、且つ、第2の端面部に接している押圧部と、を備えていてもよい。軸部は第2の端面部に接している押圧部を備えている。可変吸収部の第1の端面部は変形促進部から押圧され、第2の端面部は押圧部から押圧される。つまり、可変吸収部は、容器本体の軸線方向の両方向から圧縮されて変形することになり、効率よく検体を排出できる。
【0017】
また、可変吸収部は、連続気泡構造及び独立気泡構造の少なくとも一方を有する樹脂発泡部を備えていてもよい。樹脂発泡部で検体を保持することができ、樹脂発泡部が圧縮されて変形することにより、検体は排出される。
【0018】
容器本体は、可変吸収部が挿通されて移動可能な筒状であり、容器本体の一方の端部には、検体排出部が設けられており、容器本体の他方の端部は、開放端であり、可変吸収部は、検体排出部に面する端面部を備え、採取部は、可変吸収部を支持すると共に、容器本体に挿通される軸部を備え、軸部は、可変吸収部から露出すると共に可変吸収部の端面部に接触する先端部と、先端部に接続されると共に可変吸収部に収容される中間部とを有し、先端部の径は、中間部の径よりも大きくてもよい。この場合、可変吸収部が変形促進部との相対移動によって変形したときなどにおいて、可変吸収部が軸部の先端から脱離することを抑制できる。
【0019】
先端部は、可変吸収部の端面部に溶着してもよい。この場合、可変吸収部が軸部の先端部に溶着されているので、軸部を軸とした可変吸収部の回転などが抑制される。これにより、可変吸収部と変形促進部との相対移動によって検体を捕捉部に良好に供給できる。
【0020】
可変吸収部は、吸収性と廃液性が高い素材とするのが望ましく、例えば、ポリウレタン発泡体でもよい。この場合、可変吸収体による検体の保持性、ならびに、可変吸収部からの検体の排出性の両方を良好に設定できる。
【0021】
可変吸収部は、容器本体の軸線方向において端面部の反対側に位置する第2の端面部をさらに備え、軸部は、中間部に接続されると共に第2の端面部上に位置する鍔部をさらに有してもよい。この場合、軸部に沿った可変吸収部の移動を良好に防止できる。
【0022】
採取部は、容器本体の他方の端部を閉塞するキャップ部をさらに備え、キャップ部は、軸部に結合される底部、及び、底部の縁から立設する筒状の壁部を含む閉塞部を有し、底部と壁部との少なくとも一方には、キャップ部が他方の端部を閉塞したときに容器本体の内部空間と外気とを連通する連通口が設けられてもよい。この場合、可変吸収部が変形促進部に向かって移動するとき、連通口を介して容器本体内の空気が抜ける。これにより、可変吸収部の変形に伴う検体の排出を良好に実施できる。
【0023】
キャップ部は、連通口を覆うフィルタをさらに備えてもよい。この場合、連通口を介した容器本体内の汚染などをフィルタによって防止できるとともに、検体の外部への流出を防止できる。
【0024】
また、上記の捕捉部は、検体排出部から排出された検体が接触する標識表示部を備えており、標識表示部は、被分析物質に特異的に結合する第一の結合物質に標識物質を結合させた標識体を備えた標識部と、被分析物質に特異的に結合し、第一の結合物質が結合した被分析物質に結合可能な第二の結合物質が固定化された固定支持体を備えた表示部と、を備えていてもよい。検体中の被分析物質は、標識部を通過する際に標識体の第一の結合物質に結合される。第一の結合物質には標識物質が結合されており、表示部に到達した被分析物質は、標識物質が結合された状態で第二の結合物質に結合される。第二の結合物質は表示部の固定支持体に固定されており、従って第二の結合物質に結合された被分析物質は、固定支持体に保持される。また、被分析物質は、標識物質と一緒に固体支持体に保持されるので目視での確認が可能になり、検体中の被分析物質の有無を容易に検出できる。
【0025】
上記の検体は標識表示部を通過可能であり、標識表示部は、検体排出部から排出される検体の流れ方向に交差するように配置されると共に、検体排出部に面する内面と、内面とは反対側の外面とを備えており、表示部は、外面に配置されていてもよい。この検出キットは、例えば、フロースルー法によって被分析物質を検出する際に使用することができる。
【0026】
上記の検体は標識表示部に浸透して拡散可能であり、標識表示部は、検体排出部から排出される検体に接触可能な上流部と、上流部よりも、検体の拡散方向の下流側に配置された下流部とを備えており、標識部は、上流部に配置されており、表示部は、上流部と下流部との間に配置されていてもよい。この検出キットは、例えば、ラテラルフロー法によって被分析物質を検出する際に使用することができる。
【0027】
上記の標識表示部は、ウイルスの膜たんぱく質を破壊可能な処理剤を備えた抽出部を備えており、抽出部は、標識部よりも検体の流れ方向の上流側に配置されていてもよい。また、処理剤は界面活性剤を含んでいてもよい。ウイルスの膜たんぱく質を破壊可能な処理剤を備えることにより、抽出溶剤を使用することなく、検体中の被分析物質を容易に検出できる。
【0028】
捕捉部は、検体排出部から排出された検体が接触する標識表示部と、容器本体に装着されると共に前記標識表示部を支持する蓋部とを備え、蓋部には、蓋部が容器本体に装着されたときに容器本体の内部空間と外気とを連通する連通口が設けられてもよい。この場合、可変吸収部が変形促進部に向かって移動するとき、連通口を介して容器本体内の空気が抜ける。これにより、可変吸収部の変形に伴う検体の排出を良好に実施できる。
【0029】
蓋部は、連通口を覆うフィルタをさらに備えてもよい。この場合、連通口を介した容器本体内の汚染などをフィルタによって防止できるとともに、検体の外部への流出を防止できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、採取した検体中の被分析物質の有無を簡単に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、第1の実施形態に係る検出キットに係り、検出本体部から採取部を取り外している状態を示している側面図である。
図2図2は、検出キットの断面図である。
図3図3は、軸部、可変吸収部及び変形促進部を拡大して示し、(a)図は第1の実施形態に係る変形促進部を示す断面図であり、(b)図は変形例に係る変形促進部を示す断面図である。
図4図4は、軸部、可変吸収部及び変形促進部を拡大して示し、(a)図は変形例に係る変形促進部を示す断面図であり、(b)図は変形例に係る変形促進部を示す断面図である。
図5図5は、軸部、可変吸収部及び変形促進部を拡大して示し、(a)図は変形例に係る可変吸収部及び変形促進部を示す断面図であり、(b)図は変形例に係る軸部及び変形促進部を示す断面図である。
図6図6は、捕捉ユニットを拡大して示す断面図である。
図7図7は、メンブレン保持部から蓋部を取り外している状態を示す断面図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る検出キットの捕捉ユニットを拡大して示す断面図である。
図9図9は、第3の実施形態に係る検出キットの捕捉ユニットを拡大して示す断面図である。
図10図10は、第4の実施形態に係る検出キットを示す断面図である。
図11図11は、第5の実施形態に係る検出キットを示す断面図である。
図12図12は、第6の実施形態に係る検出キットを示す断面図である。
図13図13は、第7の実施形態に係る検出キットの採取部を示し、(a)図は採取部を示す正面図であり、(b)図は、採取部を示す背面図である。
図14図14は、第7の実施形態に係る検出キットの採取部を示し、(a)図は採取部を示す平面図であり、(b)図は、採取部を示す底面図である。
図15図15は、第7の実施形態に係る検出キットの採取部を示す断面図である。
図16図16は、第7の実施形態の変形例に係る検出キットの採取部を示す斜視図である。
図17図17は、第8の実施形態に係る検出キットに含まれる標識表示部の蓋部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。便宜上、実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0033】
免疫反応の特異性を利用して検体中の被分析物質を検出する分析方法として免疫拡散法、酵素測定法、凝集法等種々の方法論が実用化されている。特に近年、フロースルー式検査法やラテラルフロー式検査法は、その簡便性から急速に普及している。検出キットは、フロースルー式検査法やラテラルフロー式検査法に適したデバイスであり、妊娠検査、排卵日予測検査、インフルエンザ検査、SARSコロナウイルスの抗原検査等の各種検査に使用することができる。第1の実施形態に係る検出キットは、例えば、フロースルー式検査法(フロースルー法)によって被分析物質を検出する際に使用することができる。特に、本実施形態に係る検出キットによれば、検体の採取から検体中の被分析物質の有無の確認までをワンステップ、つまり、一連の連続した簡易操作によって実現できるので有利である。
【0034】
図1及び図2に示されるように、検出キット1は、検出本体部2と、検体Sの採取部3とを備えている。使用者は、採取部3を操作して液状の検体Sを採取する。使用者は、採取した検体Sを検出本体部2に供給する。検出本体部2は、筒状の容器本体4を備える。容器本体4の一方の端部(下端部)には、検体S中の被分析物質Saを捕捉して表示する捕捉ユニット5(捕捉部)が取り付けられている。容器本体4の他方の端部(上端部)は、開放された部分(開放端)である。使用者は、採取部3を検出本体部2に装着するという簡便な操作のみで、採取された検体Sは捕捉ユニット5に供給することができる。捕捉ユニット5は、検体S中の被分析物質Saを視認可能に表示する。使用者は、目視にて検体S中の被分析物質Saの有無を確認することができる。
【0035】
採取部3は、液状の検体Sを吸収して保持可能な可変吸収部6を備えている。可変吸収部6は、略円柱状の形状を呈する。可変吸収部6は、静状態から押圧を受けることで縮小し、押圧を解くと拡大して静状態まで復帰する。可変吸収部6は、静状態、あるいは縮小状態から拡大して復帰する際に検体Sを吸収可能であり、検体Sを表面や内部等で保持する。また、検体Sを保持している状態の可変吸収部6は、押圧を受けて縮小する際に検体Sを排出する。つまり、可変吸収部6は、変形によって保持している検体Sを排出可能である。なお、可変吸収部6の形状は、本実施形態に係る略円柱状に限定されず、球状や板状であってもよく、検体Sを採取する場所の形状や寸法、更に、検体Sを採取する方法に合わせて適宜の形状を採用できる。
【0036】
可変吸収部6は、例えば、軟質多孔性材料で形成されており、可変吸収部6の構造は、スポンジ構造、バルーン構造、ハニカム構造等のいずれであってもよい。可変吸収部6は、例えば、連続気泡構造及び独立気泡構造の少なくとも一方を有する樹脂発泡体(樹脂発泡部)を備えている。樹脂発泡体の表面や内部等で検体Sを保持することができ、樹脂発泡体が圧縮されて変形することにより、検体Sは排出される。
【0037】
樹脂発泡体の具体例としては、天然ゴム発泡体、合成ゴム発泡体、メラミン樹脂発泡体等が挙げられる。合成ゴム発泡体としては、ポリウレタン発泡体、ポリスチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリエチレン発泡体等が含まれる。可変吸収部6としては、天然ゴム発泡体、合成ゴム発泡体が好ましく、天然ゴム発泡体、ポリウレタン発泡体(例えば、軟質ウレタン)がより好ましく、天然ゴム発泡体がさらに好ましい。また、可変吸収部6は、これら軟質多孔性材料を1種単独で使用して形成されたものであってもよく、2種以上を組み合わせて形成されたものであってもよい。
【0038】
採取部3は、可変吸収部6を支持する軸部31と、検出本体部2の容器本体4の上記他方の端部を閉塞するキャップ部32と、を備えている。軸部31は、可変吸収部6が固定されている先端部31aと、先端部31aとは反対側であり、キャップ部32が固定された基端部31bとを備えている。本実施形態に係る軸部31は直線状であり、検出本体部2の筒状の容器本体4に挿通可能である。
【0039】
キャップ部32は、軸部31の基端部31bに結合される閉塞部32aと、軸部31を介して可変吸収部6を操作するための摘み部32bと、摘み部32bと閉塞部32aとの間に設けられたフランジ部32cとを備えている。閉塞部32aは、軸部31に対して同軸線上に延在する円柱部であり、外周に雄ネジが形成されている。閉塞部32aは、容器本体4の開放された端部に挿入され、螺合することで結合される。また、閉塞部32aには、フランジ部32cに沿うように突出している圧入部32xが設けられている。圧入部32xを容器本体4に密着させることで、シール性が向上する。フランジ部32cは、容器本体4の端部に当接して開口を閉塞する。摘み部32bは、閉塞部32aよりも外径が大となる円柱状であり、外周には、滑り止めとなる複数の縦溝32dが設けられている。
【0040】
使用者は、採取部3を操作して検体Sの採取を行う。使用者は、キャップ部32の摘み部32bを摘み、可変吸収部6を所定位置まで搬送し、可変吸収部6で検体Sの採取を行う。使用者は、検体Sを保持した可変吸収部6を容器本体4内に挿入する。キャップ部32には、閉塞部32aが設けられており、閉塞部32aを容器本体4に螺合し、その結果、可変吸収部6は容器本体4内の所定位置で位置決めされる。その際、フランジ部32cは、容器本体4の端部に当接し、容器本体4と閉塞部32aとの間の隙間を塞ぐ。本実施形態に係るフランジ部32cの外周は円形であるが、非円形、例えば、楕円形や多角形等であっても良い。フランジ部32cの外周を非円形にすることで、採取部3を机などに置いた場合に転がり難くなる。
【0041】
検出本体部2は、容器本体4と、容器本体4に固定された捕捉ユニット5とを備えている。容器本体4は、可変吸収部6が挿通されて移動可能な筒状であり、一方の端部には、捕捉ユニット5に連通して検体Sを排出する検体排出部21が設けられている。容器本体4の他方の端部は、可変吸収部6を受け入れる導入部22が設けられている。導入部22の内周には、キャップ部32の閉塞部32aに螺合される雌ネジが形成されている。キャップ部32は、「軸固定部」の一例である。
【0042】
容器本体4は、可変吸収部6との相対移動によって可変吸収部6を変形させることができる変形促進部7を備えている。変形促進部7は、検体排出部21に近接して設けられており、容器本体4の軸線方向Dの中心と検体排出部21との間に設けられていると好ましい。変形促進部7は、可変吸収部6に接することで可変吸収部6を変形させ、可変吸収部6で保持している検体Sを排出させる。以下、変形促進部7について具体的に説明する。
【0043】
図3の(a)図は、本実施形態に係る変形促進部7を拡大して示す断面図である。図3の(a)図に示されるように、変形促進部7は、容器本体4の内周面4aから突出し、且つ容器本体4の軸線に対して螺旋状に延在する螺旋突出部71である。螺旋突出部71は、可変吸収部6に干渉可能に配置されている。可変吸収部6は容器本体4の導入部22から挿入され、容器本体4の軸線Lに沿って移動する。キャップ部32を容器本体4に装着し、閉塞部32aを容器本体4に螺合させると、可変吸収部6は螺旋突出部71に干渉を受ける位置まで達し、その位置で位置決めされる。可変吸収部6は容器本体4の軸線Lに沿って移動する際、螺旋突出部71から干渉を受けて圧縮変形する。その結果、可変吸収部6は検体Sを排出する。特に、可変吸収部6は、螺旋突出部71によって容器本体4の軸線方向D及び軸線回りである周方向の広い範囲で螺旋突出部71から干渉を受けることになり、保持している検体Sを効率よく排出できる。
【0044】
図3の(b)図は、第1の変形例に係る変形促進部7を拡大して示す断面図である。変形促進部7は、容器本体4の内周面4aから突出し、且つ容器本体4の軸線に沿って延在する干渉壁部72である。干渉壁部72は、可変吸収部6に干渉可能に配置されている。可変吸収部6は容器本体4の導入部22から挿入され、容器本体4の軸線Lに沿って移動する。キャップ部32を容器本体4に装着し、閉塞部32aを容器本体4に螺合させると、可変吸収部6は、干渉壁部72に干渉を受ける位置まで達し、その位置で位置決めされる。可変吸収部6は容器本体4の軸線Lに沿って移動する際、干渉壁部72から干渉を受けて圧縮変形する。その結果、可変吸収部6は検体Sを排出する。特に、干渉壁部72は容器本体4の軸線に沿って延在するため、可変吸収部6から排出された検体Sを堰き止めることなく軸線方向Dに沿って案内する。その結果、検体Sを効率よく検体排出部21から排出できる。
【0045】
図4の(a)図は、第2の変形例に係る変形促進部7を拡大して示す断面図である。変形促進部7は、容器本体4の軸線Lに沿って内径が変化するテーパ部73である。テーパ部73は、可変吸収部6に干渉可能に配置されている。容器本体4の内径は、可変吸収部6が挿通可能となるように可変吸収部6の外径に対応するように設けられている。
【0046】
テーパ部73は、検体排出部21に遠い側となる一方の端部と、近い側となる他方の端部とを備えている。テーパ部73は、一方の端部から他方の端部にかけて内径が漸次縮径するように設けられている。つまり、テーパ部73は、容器本体4の軸線Lに沿って検体排出部21に近い程、縮径している。なお、テーパ部73の変形例として、例えば、一方の端部と他方の端部との間に内径が最も小さくなる部分を設け、この一方の端部から中間部分にかけて内径が漸次縮径するようにし、中間部分から他方の端部にかけて内径が漸次拡径するようにしてもよい。
【0047】
可変吸収部6は容器本体4の導入部22から挿入され、容器本体4の軸線Lに沿って移動する。キャップ部32を容器本体4に装着し、閉塞部32aを容器本体4に螺合させると、可変吸収部6は、テーパ部73に干渉を受ける位置まで達し、その位置で位置決めされる。可変吸収部6は容器本体4の軸線Lに沿って移動する際、テーパ部73から干渉を受けて圧縮変形する。可変吸収部6は検体Sを排出する。特に、本実施形態に係るテーパ部73は検体排出部21に近い程、縮径している。したがって、可変吸収部6は、検体排出部21に近くなる程、強く圧縮されることになり、保持している検体Sを効率よく、検体排出部21に向けて排出できる。また、テーパ部73は、軸線Lに対して螺旋状に延在する排出溝部(螺旋溝部73a)を備えている。螺旋溝部73aは、検体排出部21に連通している。テーパ部73での圧縮によって可変吸収部6から排出された検体Sは、螺旋溝部73aを通過して検体排出部21に効率よく排出される。
【0048】
図4の(b)図は、第3の変形例に係る変形促進部7を拡大して示す断面図である。変形促進部7は、実質的に第2の変形例に係るテーパ部73と同一である。テーパ部73は、螺旋溝部73aに代えて、軸線Lに沿って延在する排出溝部73bを備えている。排出溝部73bは、検体排出部21に連通している、テーパ部73での圧縮によって可変吸収部6から排出された検体Sは、排出溝部73bを通過して検体排出部21に効率よく排出される。
【0049】
図5の(a)図は、第4の変形例に係る変形促進部7及び可変吸収部6の変形例を示す断面図である。可変吸収部6は、容器本体4の軸線方向Dにおける一端に配置された第1の端面部61と、軸線方向Dにおいて第1の端面部61の反対側に位置する第2の端面部62とを備えている。第2の端面部62は、軸線方向Dにおける可変吸収部6の他端に配置される。第1の端面部61及び第2の端面部62は、軸線方向Dに圧縮されるように変形可能である。容器本体4内に可変吸収部6を挿入し、変形促進部7の干渉を受ける位置まで移動させると、第1の端面部61は検体排出部21に面する位置まで到達する。変形促進部7は、容器本体4の内周面4aから内方に突出する環状の座部74を備えており、座部74の中央には検体排出部21に連通する排出口74aが設けられている。座部74は、可変吸収部6の第1の端面部61に当接可能に設けられている。座部74についてさらに詳しく説明する。例えば、容器本体4の軸線方向Dに直交する断面形状において、座部74に設けられた排出口74aの内径は、可変吸収部6の外径よりも小さい。その結果、座部74は可変吸収部6に干渉し、可変吸収部6を変形させることが可能である。なお、本変形例において、排出口74a及び可変吸収部6の外形は共に円形である。しかしながら、可変吸収部6からの検体Sの排出効率をより高める観点から、一方を、非円形、例えば、楕円や多角形とし、他方を円形にしてもよく、両方を非円形にしてもよい。
【0050】
可変吸収部6は容器本体4の導入部22から挿入され、容器本体4の軸線Lに沿って移動する。キャップ部32を容器本体4に装着し、閉塞部32aを容器本体4に螺合させると、可変吸収部6は、座部74に干渉を受ける位置まで達し、その位置で位置決めされる。可変吸収部6の第1の端面部61は、座部74に押し付けられることによって圧縮変形し、検体Sを排出する。座部74には、検体排出部21に連通する排出口74aが設けられているため、排出口74aを介して検体Sを効率よく検体排出部21に送り込むことができる。また、可変吸収部6の第1の端面部61の外周には、テーパ状の傾斜面61aが設けられている。傾斜面61aを設けることで、座部74に押し付けられる可変吸収部6の変形を促すことができる。
【0051】
図5の(b)図は、第2の変形例に係る変形促進部7及び軸部31の変形例を示す断面図である。上述の通り、変形促進部7はテーパ部73を備え、テーパ部73には螺旋溝部73aが設けられている。軸部31は、可変吸収部6が固定されている軸本体31mと、軸本体31mからは張り出す押圧部31nを備えている。押圧部31nは、可変吸収部6の第2の端面部62上に位置すると共に接している。キャップ部32を容器本体4に装着し、閉塞部32aを容器本体4に螺合させると、可変吸収部6はテーパ部73から干渉を受ける。ここで、可変吸収部6の第1の端面部61はテーパ部73から押圧され、第2の端面部62は押圧部31nから押圧される。つまり、可変吸収部6は、容器本体4の軸線方向Dの両方向から圧縮されて変形することになり、効率よく検体Sを排出できる。押圧部31nは、軸線方向Dに沿った可変吸収部6の基端部31b(図2などを参照)への移動を抑制する鍔部としても機能し得る。押圧部31nは、軸線方向Dから見て円形状もしくは多角形状を呈してもよいし、軸線方向Dに直交する方向に突出する複数の突起を有してもよい。
【0052】
次に、図6及び図7を参照し、捕捉ユニット5及び捕捉ユニット5が装着される装着受け部40について説明する。捕捉ユニット5は、容器本体4の端部に設けられた装着受け部40に装着される。捕捉ユニット5は、検体S中の被分析物質Saを捕捉して表示するメンブレンユニット51と、検体排出部21に対向するようにメンブレンユニット51を容器本体4に固定するメンブレン保持部52と、メンブレン保持部52に着脱自在に装着されてメンブレンユニット51を覆い、且つメンブレンユニット51を通過した検体Sを収容する蓋部53と、を備えている。メンブレンユニット51は「標識表示部」の一例である。
【0053】
メンブレンユニット51は、標識部51a(例えば、コンジュケートシート)と表示部51b(例えば、ニトロセルロースメンブレン)とを備えている。検体Sは、メンブレンユニット51を通過可能であり、メンブレンユニット51は、検体排出部21から排出される検体Sの流れ方向Fに交差するように配置される。メンブレンユニット51は、検体排出部21に面する内面51xと、内面51xとは反対側の外面51yとを備えている。表示部51bは外面51yに配置されている。標識部51aは、検体Sが通過する流れ方向Fを基準にして、表示部51bよりも上流側に配置されており、表示部51bよりも検体排出部21に近い位置に配置されている。
【0054】
標識部51aは、被分析物質Saに特異的に結合する第一の結合物質(例えば、第1の抗体)に標識物質(例えば、金コロイド)を結合させた標識体を備えている。表示部51bは、被分析物質Saに特異的に結合し、第一の結合物質が結合した被分析物質Saに結合可能な第二の結合物質(例えば、第2の抗体)が固定化された固定支持体を備えている。
【0055】
検体S中の被分析物質Saは、標識部51aを通過する際に標識体の第一の結合物質に結合される。第一の結合物質には標識物質が結合されており、表示部51bに到達した被分析物質Saは、標識物質が結合された状態で第二の結合物質に結合される。第二の結合物質は表示部51bの固定支持体に固定されている。したがって第二の結合物質に結合された被分析物質Saは、固定支持体に保持される。また、被分析物質Saは、標識体と一緒に固定支持体に保持されるので目視での確認が可能になり、検体S中の被分析物質Saの有無を容易に検出できる。
【0056】
容器本体4の端部には、メンブレン保持部52が装着される装着受け部40が設けられている。装着受け部40は、メンブレンユニット51の内面51xに当接する環状の支持壁部40aと、支持壁部40aの周縁に沿って延在する筒状の周壁部40bとを備えている。周壁部40bは、メンブレンユニット51の周面51zに沿うように配置される。周壁部40bは支持壁部40aに対して屈曲するように設けられている。周壁部40bの外周面には屈曲した角部である係止部40cが形成されている。係止部40cは、メンブレン保持部52のフック部52fに係合してメンブレン保持部52を保持する。環状の支持壁部40aの内側の開口は、検体排出部21である。
【0057】
メンブレン保持部52は、装着受け部40の周壁部40bの先端に当接する環状の基礎壁部52aを備えている。基礎壁部52aは周壁部40bに面する表面(上面)と、上面に対して反対側の表面(下面)とを備えている。メンブレン保持部52は、基礎壁部52aの上面から立設され、周壁部40bを囲むように設けられた筒状の外壁部52bと、基礎壁部52aの上面から立設され、周壁部40bに内周面に嵌合されるように設けられた筒状の内壁部52cと、を備えている。
【0058】
内壁部52cは、メンブレンユニット51の周縁に沿って閉環状にメンブレンユニット51に当接される先端部52dを備えている。先端部52dは、装着受け部40の支持壁部40aとの間でメンブレンユニット51を挟持する。その結果、内壁部52cは、支持壁部40aとの間でメンブレンユニット51を保持する。また、内壁部52cは、周壁部40bに接する。また、メンブレン保持部52は、基礎壁部52aの下面から立設された筒状の突出壁部52eを備えている。
【0059】
外壁部52bには、装着受け部40の係止部40cに係合するフック部52fが設けられている。メンブレン保持部52は、外壁部52bが周壁部40bを囲むように装着され、フック部52fが係止部40cに係合されることで装着受け部40に結合される。
【0060】
蓋部53は、メンブレン保持部52に着脱自在に装着されてメンブレンユニット51を覆う。蓋部53は、メンブレン保持部52に装着された際にメンブレンユニット51の外面51yに対向して配置される。蓋部53は、メンブレン保持部52の突出壁部52eの内周面に嵌合される筒状の装着壁部53aを備えている。装着壁部53aは、突出壁部52eに接することで、検体Sの漏出を防止する。
【0061】
装着壁部53aは、容器本体4の軸線方向Dの両方の端部を備えており、メンブレンユニット51に近い一方の端部は閉塞され、他方の端部は開放されている。装着壁部53aの一方の端部には、検体Sを保持する吸収体54(例えば、ろ紙)を収容する有底筒状部53bが設けられている。有底筒状部53bは、メンブレンユニット51を通過した検体Sを受け入れ、吸収体54で保持する。有底筒状部53bは、メンブレンユニット51を通過した検体Sを収容し、検体Sがメンブレンユニット51に逆流するのを防止して、検体Sが表示部51bを汚染するのを防止する。本実施形態に係る吸収体54とメンブレンユニット51との間には隙間が形成されている。しかしながら、吸収体54とメンブレンユニット51とを接触させることで、隙間が形成されないような形態であってもよい。隙間が生じないように吸収体54を配置することで、隙間に検体Sが残ってしまうことを防ぐことができ、隙間に残った検体Sがメンブレンユニット51に逆流してしまうことを防止できる。なお、吸収体54をメンブレンユニット51に接触させるためには様々な態様が可能であり、吸収体54の厚みを厚くしたり、吸収体54が収められる領域を底上げしたりすることが可能である。
【0062】
有底筒状部53bはメンブレン保持部52の基礎壁部52aに装着される。基礎壁部52aは環状であり、内側の開口部に有底筒状部53bが嵌合される。蓋部53は、装着壁部53aをメンブレン保持部52の突出壁部52eに嵌合し、有底筒状部53bを基礎壁部52aに嵌合することでメンブレン保持部52に装着できる。また、蓋部53は、装着壁部53aを突出壁部52eから引き抜き、有底筒状部53bを基礎壁部52aから引き抜くことでメンブレン保持部52から取り外すことができる(図7参照)。蓋部53をメンブレン保持部52から取り外すことで、メンブレンユニット51の表示部51bは露出され、視認可能となる。
【0063】
蓋部53は、装着壁部53aの他方の端部から径方向(外方)に張り出すように設けられたカバー部53cを備えている。カバー部53cは、メンブレン保持部52の基礎壁部52aに対向する環状の蓋端壁部53dと、蓋端壁部53dの周縁に沿って設けられた蓋周壁部53eとを備えている。蓋周壁部53eは、装着壁部53aを囲んで覆うように設けられている。
【0064】
次に、図8を参照し、第2の実施形態に係る検出キット1Aについて説明する。検出キット1Aは、第1の実施形態に係る検出キット1と実質的に共通の構造や部材を備えている。従って、相違点を中心に説明し、共通する構造や部材については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
検出キット1Aは、容器本体4に装着された捕捉ユニット5を備えている。捕捉ユニット5は、検体S中の被分析物質Saを捕捉して表示するメンブレンユニット51Aと、メンブレンユニット51Aを容器本体4に固定するメンブレン保持部52と、メンブレン保持部52に着脱自在に装着される蓋部53と、を備えている。メンブレンユニット51Aは「標識表示部」の一例である。
【0066】
メンブレンユニット51Aは、ウイルスの膜たんぱく質を破壊可能である処理剤を備えた抽出部51mを備えている。抽出部51mは、標識部51aよりも検体Sの流れ方向Fの上流側に配置されている。つまり、抽出部51mと表示部51bとの間に標識部51aが配置されている。被分析物質Saがウイルスなどの場合、処理剤を備えた抽出部51mを設けることで、事前に検体Sを抽出溶剤等に浸してウイルスを検出可能にする等の前処理が不要になる。処理剤は、例えば、界面活性剤、酵素、有機溶剤等である。抽出部51mを設けることで、抽出溶剤等を使用することなく、検体S中の被分析物質Saをワンステップで容易に検出できる。
【0067】
なお、検出キット1Aでは、メンブレンユニット51Aに抽出部51mを設けた例を説明したが、標識部51aよりも検体Sの流れ方向Fの上流側に配置された様々な形態であってもよい。例えば、抽出部51mを備えた可変吸収部6あるいは抽出部51mを備えた軸部31にすることも可能である。また、容器本体4に練り込む等することで抽出部51mを備えた容器本体4にすることも可能である。抽出部51mを備えた容器本体4の場合、例えば、採取した検体Sに界面活性剤などの処理剤を効率よく接触させるために、変形促進部7に抽出部51mを設けると好ましい。
【0068】
次に、図9を参照し、第3の実施形態に係る検出キット1Bについて説明する。検出キット1Bは、第1または第2の実施形態に係る検出キット1,1Aと共通の構造や部材を備えている。従って、相違点を中心に説明し、共通する構造や部材については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
検出キット1Bは、容器本体4Bに装着された捕捉ユニット5Bを備えている。捕捉ユニット5Bは、検体S中の被分析物質Saを捕捉して表示するメンブレンユニット51、メンブレンユニット51を容器本体4Bに固定するメンブレン保持部52Bと、メンブレン保持部52Bに着脱自在に装着される蓋部53と、を備えている。
【0070】
検出キット1Bには、メンブレンユニット51を蓋部53寄りに配置するための工夫が施されており、蓋部53をメンブレン保持部52Bから取り外した際に、メンブレンユニット51の視認性を向上させている。
【0071】
容器本体4Bには、捕捉ユニット5Bが装着される装着受け部40Bが設けられている。装着受け部40Bには、周壁部40bに囲まれた内側に筒状のスペーサ壁部40dが設けられている。スペーサ壁部40dは、周壁部40bに対して略同軸となるように延在しており、スペーサ壁部40dの先端は、メンブレンユニット51に当接する。スペーサ壁部40dは、メンブレン保持部52Bとの間でメンブレンユニット51を挟持する。スペーサ壁部40dで支持される結果、メンブレンユニット51は蓋部53寄りに配置される。
【0072】
次に、図10を参照し、第4の実施形態に係る検出キット1Cについて説明する。検出キット1Cは、第1~3の実施形態に係る検出キット1,1A,1Bと実質的に共通の構造や部材を備えている。従って、相違点を中心に説明し、共通する構造や部材については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
例えば、検出キット1Cは、ラテラルフロー式検査法に適用することができる。検出キット1Cは、可変吸収部6を備えた採取部3と、可変吸収部6を収容する容器本体4と、を備えている。検出キット1Cは、可変吸収部6から排出された検体Sを受け入れ、被分析物質Saを捕捉する捕捉ユニット8(捕捉部の一例)を備えている。容器本体4は、捕捉ユニット8に連通する検体排出部21と、可変吸収部6との相対移動によって可変吸収部6を変形させることができる変形促進部7と、を備えている。変形促進部7等は、上述の変形例を適宜に適用することができる。
【0074】
捕捉ユニット8は、検体S中の被分析物質Saを捕捉して表示する標識表示部81と、標識表示部81を保持して容器本体4に装着する装着ユニット82と、装着受け部40と装着ユニット82との間で挟持されたフィルター83と、を備えている。フィルター83は、容器本体4の検体排出部21と標識表示部81との間に配置されている。検体Sは、フィルター83を通過可能であり、フィルター83は、検体S中の不純物を除去する。なお、検出キット1Cにおいて、フィルター83を省略し、検体排出部21から排出された検体Sが、直接、標識表示部81に接触可能となるように配置してもよい。
【0075】
検体Sは、標識表示部81に浸透して拡散可能である。標識表示部81は、一方向に長いプレート状であり、長手方向の一方の端部は、検体排出部21から排出される検体Sに接触可能な上流部81xであり、他方の端部は、上流部81xよりも、検体Sの拡散方向の下流側に配置された下流部81yである。上流部81xには、サンプルパッド81s及び標識部81aが配置されており、下流部81yには吸収パッド81t(例えば、ろ紙)が配置されている。上流部81xと下流部81yとの間には、表示部81b(例えば、ニトロセルロースメンブレン)が配置されている。サンプルパッド81sは検体Sを吸収し、均一且つ一定の速度で検体Sを標識部81aに送る。標識部81aは、被分析物質Saに特異的に結合する第一の結合物質(例えば、第1の抗体)に標識物質(例えば、金コロイド)を結合させた標識体を備えている。なお、サンプルパッド81sは省略することも可能である。
【0076】
表示部81bには、捕捉ライン81mと制御ライン81nとが設けられている。捕捉ライン81mは、上流部81xから下流部81yに向けて所定の距離だけ離れた位置に設けられており、制御ライン81nは、捕捉ライン81mから下流部81yに向けて所定の距離だけ離れた位置に設けられている。捕捉ライン81mは、被分析物質Saに特異的に結合し、第一の結合物質が結合した被分析物質Saに結合可能な第二の結合物質(例えば、第2の抗体)が固定化された固定支持体を備えている。制御ラインは標識体を補足する結合物質が固定化された固定支持体を備えている。
【0077】
標識表示部81に供給された検体Sは、サンプルパッド81sに供給され、適宜に標識部81aに供給される。標識部81aから流出した検体Sは表示部81bの一方の端部から他方の端部に向けて毛細管現象によって拡散していく。検体S中の被分析物質Saは捕捉ライン81mで捕捉される。被分析物質Saは、標識体と一緒に捕捉ライン81mの固定支持体に保持されるので目視での確認が可能になる。捕捉ライン81mを目視にて確認することにより、検体S中の被分析物質Saの有無を容易に検出できる。なお、検体S中の被分析物質Saの有無に関わらず、補足ラインを通過した標識体は制御ラインで補足され、目視での確認が可能になる。その結果、検査の有効性を確認できる。
【0078】
装着ユニット82は、容器本体4の装着受け部40に装着されるジョイント部85と、標識表示部81を保持するホールド部86と、標識表示部81の表示部81bを視認可能となるようにホールド部86に固定される窓部87とを備えている。
【0079】
ジョイント部85は、装着受け部40との間でフィルター83を挟持するように装着受け部40に装着される。フィルター83は、検体Sの流れ方向Fに交差するように配置され、検体排出部21を覆う。フィルター83は、検体排出部21に面する内面83aと、内面83aの反対側である外面83bとを備えている。装着受け部40は、フィルター83の内面83aに当接する環状の支持壁部40aと、支持壁部40aの周縁に沿って延在する筒状の周壁部40bとを備えている。周壁部40bは、フィルター83の周面83cに沿うように配置される。
【0080】
ジョイント部85は、内筒部85aと、内筒部85aを囲むように設けられた外筒部85bとを備えている。内筒部85aの内部は、フィルター83を通過した検体Sの流路となる。内筒部85aは、周壁部40bの内周面に嵌合するように配置されており、内筒部85aの先端はフィルター83の外面83bに当接してフィルター83を支持している。外筒部85bは、装着受け部40の周壁部40bに外嵌されて結合される。
【0081】
ホールド部86は、ジョイント部85に一体に設けられており、内筒部85aの内部に連通可能となる検体受け入れ部86aを備えている。ホールド部86は、標識表示部81を囲んで保持する筐体部86bを備えている。筐体部86bは、標識表示部81を支持するベース部86cと、窓部87が設置される窓受け部86dとを備えている。窓受け部86dは、ベース部86cに固定された標識表示部81の表示部81bに対向する位置に設けられている。
【0082】
ベース部86cは、標識表示部81の形状に対応した設置領域を備えており、設置領域の一部は検体受け入れ部86aに連通している。上述の通り、標識表示部81の上流部81xには、サンプルパッド81s及び標識部81aが配置されている。標識表示部81は、上流部81xが検体受け入れ部86aに近接するように設置領域に配置される。
【0083】
窓部87は、ホールド部86の窓受け部86dに装着される。窓部87は、例えば、樹脂製の透明部材によって形成されており、窓部87を介して表示部81bを視認可能である。その結果、使用者は、表示部81bに表示された検出結果を視認可能となる。
【0084】
次に、図11を参照し、第5の実施形態に係る検出キット1Dについて説明する。検出キット1Dは、第1~4の実施形態に係る検出キット1,1A~1Cと実質的に共通の構造や部材を備えている。従って、相違点を中心に説明し、共通する構造や部材については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0085】
例えば、検出キット1Dは、ラテラルフロー式検査法に適用することができる。検出キット1Cは、可変吸収部6を備えた採取部3と、可変吸収部6を収容する容器本体4と、を備えている。検出キット1Cは、可変吸収部6から排出された検体Sを受け入れ、被分析物質Saを捕捉する捕捉ユニット8(捕捉部の一例)を備えている。容器本体4は、捕捉ユニット8に連通する検体排出部21と、可変吸収部6との相対移動によって可変吸収部6を変形させることができる変形促進部7と、を備えている。変形促進部7等は、上述の変形例を適宜に適用することができる。
【0086】
検出キット1Dは、ウイルスの膜たんぱく質を破壊可能である処理剤を備えた抽出部88を備えている。抽出部88は、標識部81aよりも検体Sの流れ方向Fの上流側に配置されている。つまり、抽出部88と表示部81bとの間に標識部81aが配置されている。抽出部88を設けることで、抽出溶剤等を使用することなく、検体S中の被分析物質Saをワンステップで容易に検出できる。なお、抽出部は、サンプルパッドやフィルター83に設けることも可能である。また、抽出部を備えた可変吸収部6あるいは抽出部を備えた軸部31にすることも可能である。また、容器本体4に練り込む等することで抽出部を備えた容器本体4にすることも可能である。抽出部を備えた容器本体4の場合、例えば、採取した検体Sに界面活性剤を効率よく接触させるために、変形促進部7に抽出部を設けると好ましい。
【0087】
次に、図12を参照し、第6の実施形態に係る検出キット1Eについて説明する。検出キット1Eは、第1~5の実施形態に係る検出キット1,1A~1Dと実質的に共通の構造や部材を備えている。従って、相違点を中心に説明し、共通する構造や部材については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
例えば、検出キット1Eは、ラテラルフロー式検査法に適用することができる。検出キット1Eは、可変吸収部6を備えた採取部3と、可変吸収部6を収容する容器本体4と、を備えている。検出キット1Eは、可変吸収部6から排出された検体Sを受け入れ、被分析物質Saを捕捉する捕捉ユニット8(捕捉部の一例)を備えている。容器本体4は、捕捉ユニット8に連通する検体排出部21と、可変吸収部6との相対移動によって可変吸収部6を変形させることができる変形促進部7と、を備えている。変形促進部7等は、上述の変形例を適宜に適用することができる。
【0089】
検出キット1Eの標識部89は、標識表示部81の上流部81xではなく、サンプルパッド81sよりも検体Sの流れ方向Fの上流側に配置されている。標識部89と表示部81bとの間にサンプルパッド81sが配置されている。サンプルパッド81sは省略することも可能である。
【0090】
フィルター83を通過した検体Sは、標識部89に到達する。標識部89は、被分析物質Saに特異的に結合する第一の結合物質(例えば、第1の抗体)に標識物質(例えば、金コロイド)を結合させた標識体を備えている。標識部89を通過した検体Sは、標識表示部81に浸透して拡散可能である。標識表示部81に供給された検体Sは、サンプルパッド81sに供給され、適宜に表示部81bに供給される。検体Sは表示部81bの一方の端部から他方の端部に向けて毛細管現象によって拡散していく。検体S中の被分析物質Saは捕捉ライン81mで捕捉される。被分析物質Saは、標識体と一緒に捕捉ライン81mの固定支持体に保持されるので目視での確認が可能になる。捕捉ライン81mを目視にて確認することにより、検体S中の被分析物質Saの有無を容易に検出できる。なお、検体S中の被分析物質Saの有無に関わらず、補足ラインを通過した標識体は制御ラインで補足され、目視での確認が可能になる。その結果、検査の有効性を確認できる。
【0091】
次に、図13の(a)図及び(b)図、図14の(a)図及び(b)図、ならびに、図15を参照し、第7の実施形態に係る検出キットの採取部3Aについて説明する。第7の実施形態に係る検出キットは、第1~6の実施形態に係る検出キット1,1A,1Bと実質的に共通の構造や部材を備えている。以下では、第7の実施形態に係る検出キットは、第1の実施形態に係る検出キット1と比較して、採取部のみ異なる。従って以下では、検出キット1との相違点を中心に説明する。第1~6の実施形態に係る検出キット1,1A,1Bの少なくともいずれかと共通する構造や部材については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
例えば、第7の実施形態に係る検出キット(不図示)に含まれる採取部3Aは、フロースルー法に適用することができる。当該検出キットは、可変吸収部6を備えた採取部3Aを少なくとも備えている。採取部3Aに含まれると共に容器本体4(図1などを参照)に挿通可能な軸部31Aは、軸本体31mと、先端部31Aaと、基端部31bとを有する。また、軸本体31mは、先端部31Aaと基端部31bとを接続する棒状部分であり、先端部31Aaに接続されると共に可変吸収部6に収容される中間部31cを有する。中間部31cは、可変吸収部6に挿入されると共に当接している。
【0093】
先端部31Aaは、可変吸収部6から露出すると共に可変吸収部6の第1の端面部61(端面部)に接触する部分である。図示しないが、採取部3Aが容器本体4に収容されるとき、先端部31Aaは、可変吸収部6よりも検体排出部21の近くに位置する。先端部31Aaの径は、中間部31cの径よりも大きく、可変吸収部6の径よりも小さい。採取部3Aが容器本体4に収容されるとき、先端部31Aaは、変形促進部7と干渉しないように設けられる。これにより、変形促進部7を利用した可変吸収部6の変形阻害と、可変吸収部6の軸部31Aからの脱離との両方を防止できる。先端部31Aaは、例えば、軸本体31mにおいて可変吸収部6から飛び出した先端部分を、所定の条件にて加熱及び押圧することによって変形した部分である。先端部31Aaにおいて第1の端面部61に接触した部分の少なくとも一部(すなわち、当該先端部分の加熱及び押圧によって第1の端面部61に接触した部分)は、可変吸収部6に溶着されることが好ましい。この場合、軸部31Aを中心とした可変吸収部6の回転が抑制可能になり、可変吸収部6からの検体Sの排出が良好に実施され得る。
【0094】
採取部3Aに含まれるキャップ部32Aは、軸部31Aの基端部31bに結合される底部91と、底部91の縁から立設する筒状の壁部92と、壁部92の先端92aに貼り付けられるフィルタ93とを有する。キャップ部32Aでは、底部91と壁部92の一部とによって閉塞部32aが画成され、壁部92の他部によって摘み部32bが画成される。底部91には、複数の開口OP1が設けられる。複数の開口OP1は、キャップ部32Aが容器本体4の他方の端部を閉塞したときに容器本体4の内部空間と外気を連通する連通口であり、軸部31Aに対して離間している。複数の開口OP1が設けられることによって、可変吸収部6が変形促進部7(図2などを参照)に向かって移動するとき、開口OP1を介して容器本体4内の空気が抜ける。これにより、可変吸収部6の変形に伴う検体Sの排出を良好に実施できる。開口OP1の数及び形状は特に限定されない。例えば、キャップ部32Aには、1つの開口OP1が設けられてもよいし、3つ以上の開口OP1が設けられてもよい。各開口OP1は、底部91に設けられるがこれに限られない。例えば、複数の開口OP1の少なくとも一部は、壁部92に設けられてもよい。このため、底部91と壁部92の少なくとも一方に複数の開口OP1が設けられればよい。
【0095】
フィルタ93は、空気を通す一方で埃などを通さないシート状部材であり、複数の開口OP1を覆う。採取部3Aが容器本体4に収容されるとき、各開口OP1は、フィルタ93によって隠される。このようにフィルタ93が壁部92の先端92aに固定されることによって、開口OP1を介した容器本体4内の汚染などを防止できる。なお、検体Sの液体成分の流出を防ぐ観点から、フィルタ94は液体を通さない性質を有してもよい。図14の(a)図では、フィルタ93は複数の開口OP1を間接的に覆っているが、これに限られない。フィルタ93が底部91に貼り付けられることによって、フィルタ93が複数の開口OP1を直接的に覆ってもよい。フィルタ93は、例えば、壁部92の先端92aに溶着することによって、先端92aに固定される。フィルタ93は、例えば、滅菌紙、PTFEフィルム(ポリテトラフルオロエチレンフィルム)等の疎水性フィルタなどである。フィルタ93は、液体を通さなくてもよい。
【0096】
次に、図16を参照し、第7の実施形態の変形例に係る検出キットの採取部について説明する。図16に示されるように、採取部3Bの軸部31Aは、軸本体31m、先端部31Aa及び基端部31bに加えて、中間部31cに接続されると共に第2の端面部62上に位置する押圧部31n(鍔部)を有する。このように軸部31Aが先端部31Aa及び押圧部31nを有することによって、軸部31Aに沿った可変吸収部6Aの移動を良好に防止できる。押圧部31nは、例えば円錐台形状を呈するが、これに限られない。例えば、押圧部31nは、円盤形状でもよいし、多角板形状でもよいし、多角錐台形状を呈してもよい。なお、当該変形例では、可変吸収部6Aは略直方体形状を有するが、これに限られない。
【0097】
次に、図17は、第8の実施形態に係る検出キット(不図示)に含まれる捕捉ユニット(不図示)の蓋部53Aについて説明する。蓋部53Aは、第1の実施形態に係る蓋部53と同様に、捕捉ユニット5(捕捉部)の標識表示部であるメンブレンユニット51(図6などを参照)を覆う部材である。蓋部53Aには、蓋部53の構成に加えて複数の開口OP2が設けられ、かつ、蓋部53Aは、蓋端壁部53dに貼り付けられるフィルタ94をさらに有する。
【0098】
複数の開口OP2は、捕捉ユニット5が容器本体4の装着受け部40(図6などを参照)に装着されたときに容器本体4の内部空間と外気を連通する連通口である。複数の開口OP2は、例えば、有底筒状部53bにおいて吸収体54が載置される部分(底)に設けられるが、これに限られない。蓋部53Aにおいて複数の開口OP2が設けられることによって、可変吸収部6が変形促進部7(図2などを参照)に向かって移動するとき、開口OP2を介して容器本体4内の空気が抜ける。これにより、可変吸収部6の変形に伴う検体Sの排出を良好に実施できる。開口OP2の数及び形状は特に限定されない。例えば、有底筒状部53bには、1つの開口OP2が設けられてもよいし、3つ以上の開口OP2が設けられてもよい。
【0099】
フィルタ94は、空気を通す一方で埃などを通さないシート状部材であり、複数の開口OP2を覆う。検体Sの液体成分の流出を防ぐ観点から、フィルタ94は液体を通さない性質を有してもよい。もしくは、図示しないが、有底筒状部53bとフィルタ94との間には吸収体が設けられてもよい。捕捉ユニット5が容器本体4に装着されるとき、各開口OP2は、フィルタ94によって隠される。このようにフィルタ94が蓋端壁部53d上に固定されることによって、開口OP2を介した容器本体4内の汚染などを防止できる。フィルタ94は、例えば、蓋端壁部53dに溶着することによって、蓋端壁部53dに固定される。フィルタ94は、例えば、滅菌紙、PTFEフィルム(ポリテトラフルオロエチレンフィルム)等の疎水性フィルタなどである。フィルタ94は、液体を通さなくてもよい。図17では、フィルタ94は複数の開口OP2を間接的に覆っているが、これに限られない。フィルタ94が有底筒状部53bの底に固定されることによって、フィルタ94が複数の開口OP2を直接的に覆ってもよい。
【0100】
次に、各実施形態に係る検出キット1,1A,1C,1D,1Eの作用、効果について説明する。使用者は、採取部3の摘み部32bを摘まんで回転させ、検出本体部2の容器本体4に対するキャップ部32の螺合を解く。次に、採取部3を検出本体部2から引き抜き、可変吸収部6を被検者の所定部位に当接させ、あるいは、被検者から取得した検体Sに浸す。その結果、可変吸収部6によって検体Sを保持することができる。検体Sは、例えば、唾液や尿等である。
【0101】
使用者は、検体Sを保持している可変吸収部6を容器本体4に導入し、変形促進部7に干渉するように相対移動させる。なお、上記の実施形態では、変形促進部7に対して可変吸収部6を移動させていたが、可変吸収部6に対して変形促進部7を移動させるようにしてもよい。例えば、容器本体4が可撓性を有する容器の場合、容器本体4を撓ませるなどすることで、可変吸収部6に対して変形促進部7を移動させることも可能である。
【0102】
可変吸収部6は、変形促進部7との相対移動によって変形し、検体Sを排出する。可変吸収部6から排出された検体Sは、検体排出部21から排出されて捕捉ユニット5,8に供給される。検体S中に被分析物質Saが含まれている場合、その被分析物質Saは捕捉ユニット5,5B,8で捕捉されるので、検体S中の被分析物質Saの有無を確認できる。つまり、上記の検出キット1,1A,1C,1D,1Eによれば、可変吸収部6と変形促進部7との相対移動によって検体Sを捕捉ユニット5,5B,8に供給できるので、取り扱いが容易であり、採取した検体S中の被分析物質Saの有無を簡単に検出できる。
【0103】
また、採取部3は、可変吸収部6を支持すると共に、容器本体4に挿通される軸部31と、軸部31の基端部31bに固定されたキャップ部32と、を備えている。キャップ部32は、容器本体4の導入部22に結合されて導入部22を閉塞する。また、キャップ部32は、容器本体4に結合されることで、可変吸収部6と変形促進部7とを接触可能に位置決めできる。その結果、キャップ部32を導入部22に結合させて容器本体4の導入部22を閉塞しながら、可変吸収部6を変形促進部7に干渉させて圧縮変形させることができ、可変吸収部6で保持された検体Sを簡単に排出させることができる。
【0104】
また、第1~第3,第7,第8の実施形態に係る検出キット1,1A,1Bは、例えば、フロースルー法によって被分析物質Saを検出する際に使用することができる。第4~第6の実施形態に係る検出キット1C,1D,1Eは、例えば、ラテラルフロー法によって被分析物質Saを検出する際に使用することができる。
【0105】
本発明に係る検出キットは、例えば以下の[1]~[24]に記載する通りであり、上記実施形態及び上記変形例に基づいてこれらを詳細に説明した。
【0106】
[1] 液状の検体に含まれる被分析物質を検出する検出キットであって、
前記検体を保持可能で、且つ保持した前記検体を変形によって排出可能である可変吸収部を備えた採取部と、
前記可変吸収部を収容する容器本体と、
前記可変吸収部から排出された前記検体を受け入れ、前記被分析物質を捕捉する捕捉部と、を備え、
前記容器本体は、前記捕捉部に連通する検体排出部と、前記可変吸収部との相対移動によって前記可変吸収部を変形させることができる変形促進部と、を備えている、検出キット。
[2] 前記容器本体は前記可変吸収部が挿通されて移動可能な筒状であり、
前記容器本体の一方の端部には、前記検体排出部が設けられており、
前記容器本体の他方の端部には、前記可変吸収部を受け入れる導入部が設けられており、
前記変形促進部は、前記容器本体の内周面から突出し、且つ前記容器本体の軸線に対して螺旋状に延在すると共に、前記可変吸収部に干渉可能な螺旋突出部である、[1]に記載の検出キット。
[3] 前記容器本体は前記可変吸収部が挿通されて移動可能な筒状であり、
前記容器本体の一方の端部には、前記検体排出部が設けられており、
前記容器本体の他方の端部には、前記可変吸収部を受け入れる導入部が設けられており、
前記変形促進部は、前記容器本体の内周面から突出し、且つ前記容器本体の軸線に沿って延在すると共に、前記可変吸収部に干渉可能な干渉壁部である、[1]に記載の検出キット。
[4] 前記容器本体は前記可変吸収部が挿通されて移動可能な筒状であり、
前記容器本体の一方の端部には、前記検体排出部が設けられており、
前記容器本体の他方の端部には、前記可変吸収部を受け入れる導入部が設けられており、
前記変形促進部は、前記容器本体の軸線に沿って内径が変化すると共に、前記可変吸収部に干渉可能なテーパ部であり、
前記テーパ部は、前記容器本体の軸線に沿って前記検体排出部に近い程、縮径している、[1]記載の検出キット。
[5] 前記テーパ部は、前記軸線に対して螺旋状に延在すると共に、前記検体排出部に連通している排出溝部を備えている、[4]記載の検出キット。
[6] 前記テーパ部は、前記軸線に沿って延在すると共に、前記検体排出部に連通している排出溝部を備えている、[4]記載の検出キット。
[7] 前記容器本体は、前記可変吸収部が挿通されて移動可能な筒状であり、
前記容器本体の一方の端部には、前記検体排出部が設けられており、
前記容器本体の他方の端部には、前記可変吸収部を受け入れる導入部が設けられており、
前記可変吸収部は、前記検体排出部に面する端面部を備え、
前記変形促進部は、前記検体排出部に連通する排出口を備え、且つ前記可変吸収部の端面部に当接可能に設けられた座部である、[1]~[6]のいずれか記載の検出キット。
[8] 前記可変吸収部の前記端面部の外周には、テーパ状の傾斜面が設けられている、[7]記載の検出キット。
[9] 前記容器本体は、前記可変吸収部が挿通されて移動する筒状であり、
前記容器本体の一方の端部には、前記検体排出部が設けられており、
前記容器本体の他方の端部には、前記可変吸収部を受け入れる導入部が設けられており、
前記採取部は、前記可変吸収部を支持すると共に、前記容器本体に挿通される軸部を備え、
前記軸部は、前記可変吸収部が固定されている先端部と、前記先端部とは反対側の基端部と、を備えており、
前記基端部には、前記導入部に結合されて前記導入部を閉塞すると共に、前記可変吸収部と前記変形促進部とを接触可能に位置決めする軸固定部が設けられている、[1]~[8]のいずれか記載の検出キット。
[10] 前記容器本体は、前記可変吸収部が挿通されて移動可能な筒状であり、
前記容器本体の一方の端部には、前記検体排出部が設けられており、
前記可変吸収部は、前記検体排出部に面し、且つ前記変形促進部の干渉を受けて前記容器本体の軸線方向に変形可能である第1の端面部と、前記軸線方向で前記第1の端面部とは反対側である第2の端面部と、を備えており、
前記採取部は、前記容器本体に挿通される軸部を備え、
前記軸部は、前記可変吸収部が固定されている軸本体と、前記軸本体からは張り出し、且つ、前記第2の端面部に接している押圧部と、を備えている、[1]~[9]のいずれか記載の検出キット。
[11] 前記可変吸収部は、連続気泡構造及び独立気泡構造の少なくとも一方を有する樹脂発泡部を備えている、[1]~[10]のいずれか記載の検出キット。
[12] 前記容器本体は、前記可変吸収部が挿通されて移動可能な筒状であり、
前記容器本体の一方の端部には、前記検体排出部が設けられており、
前記容器本体の他方の端部は、開放端であり、
前記可変吸収部は、前記検体排出部に面する端面部を備え、
前記採取部は、前記可変吸収部を支持すると共に、前記容器本体に挿通される軸部を備え、
前記軸部は、前記可変吸収部から露出すると共に前記可変吸収部の前記端面部に接触する先端部と、前記先端部に接続されると共に前記可変吸収部に収容される中間部とを有し、
前記先端部の径は、前記中間部の径よりも大きい、[1]~[11]のいずれか記載の検出キット。
[13] 前記先端部は、前記可変吸収部の前記端面部に溶着する、[12]記載の検出キット。
[14] 前記可変吸収部は、ポリウレタン発泡体である、[12]または[13]記載の検出キット。
[15] 前記可変吸収部は、前記容器本体の軸線方向において前記端面部の反対側に位置する第2の端面部をさらに備え、
前記軸部は、前記中間部に接続されると共に前記第2の端面部上に位置する鍔部をさらに有する、[12]~[14]のいずれか記載の検出キット。
[16] 前記採取部は、前記容器本体の前記他方の端部を閉塞するキャップ部をさらに備え、
前記キャップ部は、前記軸部に結合される底部、及び、前記底部の縁から立設する筒状の壁部を含む閉塞部を有し、
前記底部と前記壁部との少なくとも一方には、前記キャップ部が前記他方の端部を閉塞したときに前記容器本体の内部空間と外気とを連通する連通口が設けられる、[12]~[15]のいずれか記載の検出キット。
[17] 前記キャップ部は、前記連通口を覆うフィルタをさらに備える、[16]記載の検出キット。
[18] 前記捕捉部は、前記検体排出部から排出された前記検体が接触する標識表示部を備えており、
前記標識表示部は、
前記被分析物質に特異的に結合する第一の結合物質に標識物質を結合させた標識体を備えた標識部と、
前記被分析物質に特異的に結合し、前記第一の結合物質が結合した前記被分析物質に結合可能な第二の結合物質が固定化された固定支持体を備えた表示部と、を備えている、[1]~[17]のいずれか記載の検出キット。
[19] 前記検体は前記標識表示部を通過可能であり、
前記標識表示部は、前記検体排出部から排出される前記検体の流れ方向に交差するように配置されると共に、前記検体排出部に面する内面と、前記内面とは反対側の外面とを備えており、
前記表示部は、前記外面に配置されている、[18]記載の検出キット。
[20] 前記検体は前記標識表示部に浸透して拡散可能であり、
前記標識表示部は、前記検体排出部から排出される前記検体に接触可能な上流部と、前記上流部よりも、前記検体の拡散方向の下流側に配置された下流部とを備えており、
前記標識部は、前記上流部に配置されており、
前記表示部は、前記上流部と前記下流部との間に配置されている、[18]または[19]記載の検出キット。
[21] ウイルスの膜たんぱく質を破壊可能な処理剤を備えた抽出部を更に備え、前記抽出部は、前記標識部よりも前記検体の流れ方向の上流側に配置されている、[18]~[20]のいずれか記載の検出キット。
[22] 前記処理剤は界面活性剤を含んでいる、[21]記載の検出キット。
[23] 前記捕捉部は、前記検体排出部から排出された前記検体が接触する標識表示部と、前記容器本体に装着されると共に前記標識表示部を支持する蓋部とを備え、
前記蓋部には、前記蓋部が前記容器本体に装着されたときに前記容器本体の内部空間と外気とを連通する連通口が設けられる、[1]~[22]のいずれか記載の検出キット。
[24] 前記蓋部は、前記連通口を覆うフィルタをさらに備える、[23]記載の検出キット。
【0107】
しかし、本発明は、上記実施形態、上記変形例及び上記[1]~[24]に限定されない。本発明は上記の実施形態や変形例のみに限定して解釈されるものではなく、他の形態であってもよい。上記の実施形態と上記の変形例とは、適宜組み合わせてもよい。例えば、上記第2の実施形態に対して、上記第7の実施形態などが組み合わされてもよい。例えば、上記の各実施形態では、変形促進部は容器本体内で固定されていたが、変形促進部を容器本体内で移動可能な構造であってもよい。この場合、変形促進部に干渉可能な所定位置に可変吸収部を配置し、その状態で変形促進部を移動させることで、可変吸収部を変形させて検体を排出させるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0108】
1、1A、1B,1C,1D,1E…検出キット、3,3A,3B…採取部、4…容器本体、5,5B…捕捉ユニット(捕捉部)、6,6A…可変吸収部、7…変形促進部、8…捕捉ユニット(捕捉部)、21…検体排出部、22…導入部、31,31A…軸部、31m…軸本体、31n…押圧部(鍔部)、32…キャップ部(軸固定部)、31a,31Aa…先端部、31b…基端部、61…第1の端面部(端面部)、61a…傾斜面、62…第2の端面部、71…螺旋突出部、72…干渉壁部、73…テーパ部、73a…螺旋溝部、73b…排出溝部、74…座部、74a…排出口、51,51A…メンブレンユニット(標識表示部)、51a,89…標識部、51b…表示部、51x…内面、51y…外面、81…標識表示部、81x…上流部、81y…下流部、81a…標識部、81b…表示部、91…底部、92…壁部、92a…先端、93,94…フィルタ、D…軸線方向、F…流れ方向、L…軸線、OP1,OP2…開口(連通口)、S…検体、Sa…被分析物質。
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