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特開2024-148183管制支援装置、管制支援方法及び管制支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024148183
(43)【公開日】2024-10-18
(54)【発明の名称】管制支援装置、管制支援方法及び管制支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/00 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
G08G5/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061053
(22)【出願日】2023-04-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 潤季
(72)【発明者】
【氏名】田村 雅之
(72)【発明者】
【氏名】金子 周嶺
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA25
5H181AA26
5H181BB12
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC11
5H181EE02
5H181FF13
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】管制官が表示装置に表示されている内容を読み間違えることに起因した、意図せぬ管制指示を防止可能な構成を実現できるようにする。
【解決手段】視線取得部34は、移動体を映した表示装置における管制官が見ている視線位置を示す視線情報を取得する。視線評価部35は、管制対象の移動体に対して指示をした時点を基準とする基準期間における、表示装置の表示領域における管制対象の移動体が表示された位置と、視線情報が示す前記視線位置とから、管制対象の移動体に対する視線評価値を計算する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を映した表示装置における管制官が見ている視線位置を示す視線情報を取得する視線取得部と、
管制対象の移動体に対して指示をした時点を基準とする基準期間における、表示装置の表示領域における前記管制対象の移動体が表示された位置と、前記視線取得部によって取得された前記視線情報が示す前記視線位置とから、前記管制対象の移動体に対する視線評価値を計算する視線評価部と
を備える管制支援装置。
【請求項2】
前記基準期間は、前記管制対象の移動体に対して指示をする前の指示前期間と、前記指示をしている指示中期間と、前記指示をした後の指示後期間とを含む
請求項1に記載の管制支援装置。
【請求項3】
前記視線評価部は、
前記表示装置の表示領域を分割した複数の分割領域のうち、前記管制対象の移動体が表示された位置を含む分割領域を識別範囲とし、前記識別範囲の周囲の分割領域を視線範囲とし、前記識別範囲及び前記視線範囲以外の分割領域を外部範囲として、前記基準期間において、前記視線情報が示す前記視線位置が前記識別範囲と前記視線範囲と前記外部範囲のどの範囲にあるかを特定する範囲特定部と、
前記範囲特定部によって特定された前記範囲から前記視線評価値を計算する評価値計算部と
を備える請求項1に記載の管制支援装置。
【請求項4】
前記範囲特定部は、前記基準期間において、前記視線情報が示す前記視線位置が前記識別範囲と前記視線範囲と前記外部範囲とのそれぞれにあった割合を特定し、
前記評価値計算部は、前記割合から前記視線評価値を計算する
請求項3に記載の管制支援装置。
【請求項5】
前記基準期間は、前記管制対象の移動体に対して指示をする前の指示前期間と、前記指示をしている指示中期間と、前記指示をした後の指示後期間とを含み、
前記評価値計算部は、前記指示前期間における前記割合から計算される指示前評価値と、前記指示中期間における前記割合から計算される指示中評価値と、前記指示後期間における前記割合から計算される指示後評価値とから、前記視線評価値を計算する
請求項4に記載の管制支援装置。
【請求項6】
前記評価値計算部は、
前記指示前期間において前記視線位置が前記識別範囲にあった割合Eα1に、前記識別範囲の重みEaを乗じた値と、前記指示前期間において前記視線位置が前記視線範囲にあった割合Eβ1に、前記視線範囲の重みEbを乗じた値と、前記指示前期間において前記視線位置が前記外部範囲にあった割合Eγ1に、前記視線範囲の重みEcを乗じた値との合計値に対して、前記指示前期間の重みTaを乗じて、前記指示前評価値を計算し、
前記指示中期間において前記視線位置が前記識別範囲にあった割合Eα2に、前記識別範囲の重みEaを乗じた値と、前記指示中期間において前記視線位置が前記視線範囲にあった割合Eβ2に、前記視線範囲の重みEbを乗じた値と、前記指示中期間において前記視線位置が前記外部範囲にあった割合Eγ2に、前記視線範囲の重みEcを乗じた値との合計値に対して、前記指示中期間の重みTbを乗じて、前記指示中評価値を計算し、
前記指示後期間において前記視線位置が前記識別範囲にあった割合Eα3に、前記識別範囲の重みEaを乗じた値と、前記指示後期間において前記視線位置が前記視線範囲にあった割合Eβ3に、前記視線範囲の重みEbを乗じた値と、前記指示後期間において前記視線位置が前記外部範囲にあった割合Eγ3に、前記視線範囲の重みEcを乗じた値との合計値に対して、前記指示後期間の重みTcを乗じて、前記指示後評価値を計算する
請求項5に記載の管制支援装置。
【請求項7】
前記管制支援装置は、さらに、
前記視線評価部によって計算された前記視線評価値に基づき、前記管制対象の移動体を誤っている可能性があるか否かを判定する管制評価部
を備える請求項1に記載の管制支援装置。
【請求項8】
前記管制支援装置は、さらに、
前記管制対象の移動体に対して管制官が発話による指示をした指示音声と、前記指示音声に対して前記管制対象の移動体の操縦者が発話した復唱音声との内容の一致度を評価する音声評価部
を備え、
前記管制評価部は、前記音声評価部によって評価された前記一致度が基準値以上である場合に、前記管制対象の移動体を誤っている可能性があるか否かを判定する
請求項7に記載の管制支援装置。
【請求項9】
前記音声評価部は、前記指示音声から特定される移動体及び指示内容と、前記復唱音声から特定される移動体及び指示内容との一致度を評価する
請求項8に記載の管制支援装置。
【請求項10】
前記管制評価部は、前記視線評価値が基準値以下である場合には、前記管制対象の移動体を誤っている可能性があると判定する
請求項7に記載の管制支援装置。
【請求項11】
前記管制評価部は、前記管制対象の移動体について制限時間内に操作入力されていない場合には、操作漏れの可能性があると判定する
請求項10に記載の管制支援装置。
【請求項12】
前記管制評価部は、前記管制対象の移動体とは異なる移動体について制限時間内に操作入力された場合には、操作対象の移動体を誤っている可能性があると判定する
請求項10に記載の管制支援装置。
【請求項13】
前記管制評価部は、前記管制対象の移動体を誤っている可能性があると判定した場合には、前記管制官に対して通知する
請求項7に記載の管制支援装置。
【請求項14】
コンピュータが、移動体を映した表示装置における管制官が見ている視線位置を示す視線情報を取得し、
コンピュータが、管制対象の移動体に対して指示をした時点を基準とする基準期間における、表示装置の表示領域における前記管制対象の移動体が表示された位置と、前記視線情報が示す前記視線位置とから、前記管制対象の移動体に対する視線評価値を計算する管制支援方法。
【請求項15】
移動体を映した表示装置における管制官が見ている視線位置を示す視線情報を取得する視線取得処理と、
管制対象の移動体に対して指示をした時点を基準とする基準期間における、表示装置の表示領域における前記管制対象の移動体が表示された位置と、前記視線取得処理によって取得された前記視線情報が示す前記視線位置とから、前記管制対象の移動体に対する視線評価値を計算する視線評価処理と
を行う管制支援装置としてコンピュータを機能させる管制支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空港における管制業務を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
空港において航空機の管制業務を行う管制官は、表示装置に表示されている空域及び空港内飛行場の航空機の運航状況と外部要因とをもとに、無線通信によってパイロットに管制指示を送っている。外部要因としては、天候、他の空港及び空域の運用状態、パイロットからの要求に対する応答等がある。
この際、管制官が表示装置に表示されている内容を読み間違える又は言い間違えることにより、意図せぬ管制指示をパイロットに伝えてしまうことがある。この対策としてパイロットは指示内容を復唱確認する。しかし、管制官の認識が改善されないまま、パイロットが指示に従い、事故回避のための運航状況の乱れによる運航遅延につながる可能性がある。
【0003】
特許文献1には、訓練管制官がパイロットの援助無しに訓練を行うための管制官訓練装置についての記載がある。この管制官訓練装置は、訓練管制官の指示音声を認識し、認識した音声に基づきパイロットからの応答用の音声を生成する。また、この管制官訓練装置は、指示音声に従うと航空機間の間隔が安全確保できない間隔になってしまう場合にアラームを発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-347558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、管制官が表示装置に表示されている内容を読み間違えることに起因した、意図せぬ管制指示を防止することは難しい。
本開示は、管制官が表示装置に表示されている内容を読み間違えることに起因した、意図せぬ管制指示を防止可能な構成を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る管制支援装置は、
航空機を映した表示装置における管制官が見ている視線位置を示す視線情報を取得する視線取得部と、
管制対象の航空機に対して指示をした時点を基準とする基準期間における、表示装置の表示領域における前記管制対象の航空機が表示された位置と、前記視線取得部によって取得された前記視線情報が示す前記視線位置とから、前記管制対象の航空機に対する視線評価値を計算する視線評価部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、基準期間における管制官の視線位置と管制対象の航空機が表示された位置とから視線評価値を計算する。これにより、誤った航空機を見ているといった管制対象の航空機を十分に見ていない状態を特定することができる。これを利用することにより、表示装置に表示されている内容を読み間違えることに起因した、意図せぬ管制指示を防止可能な構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る管制支援装置10の構成図。
図2】実施の形態1に係る管制支援装置10のハードウェア構成図。
図3】TAPSを用いた管制指示の流れの説明図。
図4】実施の形態1に係る管制支援装置10の全体的な処理の流れを示すフローチャート。
図5】実施の形態1に係る管制指示処理のフローチャート。
図6】実施の形態1に係る視線処理のフローチャート。
図7】実施の形態1に係る視線特定方法の説明図。
図8】実施の形態1に係る識別範囲61と視線範囲62と外部範囲63との説明図。
図9】実施の形態1に係る範囲特定処理の説明図。
図10】実施の形態1に係る基準期間の説明図。
図11】実施の形態1に係る総合評価処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
***構成の説明***
実施の形態1では、管制対象の移動体は航空機であるとして説明する。しかし、管制対象の移動体は、航空機に限らず、ドローン、小型飛行機、船舶といった他の種別の移動体であってもよい。実施の形態1では、管制対象の移動体が航空機であるため、管制対象の航空機の操縦者をパイロットと呼ぶ。
【0010】
図1を参照して、実施の形態1に係る管制支援装置10の構成を説明する。
管制支援装置10は、機能構成要素として、管制指示処理部21と、視線処理部22と、総合評価部23とを備える。管制指示処理部21は、管制官の音声による航空機への指示を評価する。視線処理部22は、音声による航空機への指示の際の管制官の視線を評価する。総合評価部23は、管制指示を総合的に評価する。
【0011】
管制指示処理部21は、音声取得部31と、音声解析部32と、音声評価部33との機能を備える。管制指示処理部21は、無線情報41を入力とし、内部の入出力情報として、指示音声42と、復唱音声43と、音声解釈情報44とを利用する。
【0012】
視線処理部22は、視線取得部34と、視線評価部35との機能を備える。視線評価部35は、範囲特定部36と、評価値計算部37との機能を備える。視線処理部22は、視線情報45を入力とし、内部の入出力情報として、計算用パラメータ46と、視線評価値47とを利用する。また、視線処理部22は、TAPSに記憶された航空機位置情報51及び範囲情報52を利用する。TAPSは、空港管制処理システムであり、Trajectorized Airport Traffic Data Processing Systemの略である。
【0013】
総合評価部23は、管制評価部38の機能を備える。総合評価部23は、音声解釈情報44と視線評価値47とを入力とし、管制評価情報48を出力する。また、総合評価部23は、TAPSに記憶された管制指示情報53を利用する。管制評価情報48は、例えば、TAPSに書き込まれる。
【0014】
図2を参照して、実施の形態1に係る管制支援装置10のハードウェア構成を説明する。
管制支援装置10は、コンピュータである。
管制支援装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14とのハードウェアを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0015】
プロセッサ11は、プロセッシングを行うICである。ICはIntegrated Circuitの略である。プロセッサ11は、具体例としては、CPU、DSP、GPUである。CPUは、Central Processing Unitの略である。DSPは、Digital Signal Processorの略である。GPUは、Graphics Processing Unitの略である。
【0016】
メモリ12は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ12は、具体例としては、SRAM、DRAMである。SRAMは、Static Random Access Memoryの略である。DRAMは、Dynamic Random Access Memoryの略である。
【0017】
ストレージ13は、データを保管する記憶装置である。ストレージ13は、具体例としては、HDDである。HDDは、Hard Disk Driveの略である。また、ストレージ13は、SD(登録商標)メモリカード、CompactFlash(登録商標)、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク、DVDといった可搬記録媒体であってもよい。SDは、Secure Digitalの略である。DVDは、Digital Versatile Diskの略である。
【0018】
通信インタフェース14は、外部の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース14は、具体例としては、Ethernet(登録商標)、USB、HDMI(登録商標)のポートである。USBは、Universal Serial Busの略である。HDMIは、High-Definition Multimedia Interfaceの略である。
【0019】
管制支援装置10の各機能はソフトウェアにより実現される。ストレージ13には、管制支援装置10の各機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ11によりメモリ12に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。これにより、管制支援装置10の各機能構成要素の機能が実現される。
【0020】
ストレージ13には、管制支援装置10の内部の入出力情報が記憶される。なお、管制支援装置10の内部の入出力情報は、ストレージ13ではなく、管制支援装置10の外部の記憶装置に書き込まれてもよい。
【0021】
図1では、プロセッサ11は、1つだけ示されていた。しかし、プロセッサ11は、複数であってもよく、複数のプロセッサ11が、各機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
【0022】
***動作の説明***
図3から図11を参照して、実施の形態1に係る管制支援装置10の動作を説明する。
実施の形態1に係る管制支援装置10の動作手順は、実施の形態1に係る管制支援方法に相当する。また、実施の形態1に係る管制支援装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態1に係る管制支援プログラムに相当する。
【0023】
図3を参照して、TAPSを用いた管制指示の流れを説明する。
(1)管制官がTAPSの表示装置における管制対象の航空機を目視で識別する。
(2)管制対象の航空機が飛行する空域と要求する管制業務によって定められた周波数に接続し、管制官に管制指示を仰ぐ。管制官は、管制対象の航空機のパイロットに指示内容を音声で伝える。
(3)管制対象の航空機のパイロットが指示内容を復唱する。管制官は、復唱された内容により、指示内容がパイロットに正しく伝わっていることを確認する。
(4)管制官が指示内容をTAPSに入力する。
(5)管制官が他システムに指示内容が正しく反映されたことを確認する。
(6)管制官が管制対象の航空機が指示に従って移動することを確認する。
その後、(1)に戻る。
【0024】
図4を参照して、実施の形態1に係る管制支援装置10の全体的な処理の流れを説明する。
(ステップS1:管制指示処理)
管制指示処理部21は、管制対象の航空機に対して管制官が発話による指示をした指示音声42と、指示音声42に対してパイロットが発話した復唱音声43とを分析する。指示音声42は、図3における(2)の音声である。復唱音声43は、図3における(3)の音声である。これにより、管制指示処理部21は、管制官の音声による航空機への指示を評価する。
【0025】
(ステップS2:視線処理)
視線処理部22は、航空機を映した表示装置における管制官が見ている視線位置と、表示装置の表示領域における管制対象の航空機が表示された位置との間の関係を分析する。これにより、視線処理部22は、音声による航空機への指示の際の管制官の視線を評価する。
【0026】
(ステップS3:総合評価処理)
総合評価部23は、ステップS1の処理結果と、ステップS2の処理結果と、TAPSに入力された管制指示情報53とから、管制指示を総合的に評価する。総合評価部23は、必要に応じて、管制官に通知を行い、注意を喚起する。TAPSに入力された管制指示情報53は、図3における(4)で入力された指示内容である。
【0027】
図5を参照して、実施の形態1に係る管制指示処理(図4のステップS1)を説明する。
(ステップS11:音声取得処理)
音声取得部31は、無線情報41を取得する。無線情報41は、管制官と、管制対象の航空機のパイロットとの音声情報である。
図3における(2)で管制官は、管制対象の航空機の識別情報と、指示内容とを音声でパイロットに伝える。図3における(3)でパイロットは、管制官の指示内容を認識した後で、内容確認のために航空機の識別情報と指示内容とを復唱する。無線情報41には、図3における(2)で管制対象の航空機に対して管制官が発話による指示をした指示音声42と、図3における(3)で指示音声42に対してパイロットが発話した復唱音声43とが含まれる。
【0028】
(ステップS12:音声解析処理)
音声解析部32は、無線情報41から指示音声42と復唱音声43とをそれぞれ抽出する。音声解析部32は、指示音声42と復唱音声43とのそれぞれから、航空機の識別情報と、指示内容とを特定する。例えば、音声解析部32は、ニューラルネットワークを用いた学習済モデルに対して、指示音声42と復唱音声43とのそれぞれを入力することにより、航空機の識別情報と、指示内容とを特定する。
【0029】
(ステップS13:音声評価処理)
音声評価部33は、ステップS12で抽出された指示音声42と復唱音声43との内容の一致度を評価する。
具体的には、音声評価部33は、指示音声42から特定される航空機及び指示内容と、復唱音声43から特定される航空機及び指示内容との一致度を評価する。つまり、音声評価部33は、ステップS12で指示音声42から特定された航空機と、ステップS12で復唱音声43から特定された航空機とが一致しているか否かを判定する。また、音声評価部33は、ステップS12で指示音声42から特定された指示内容と、ステップS12で復唱音声43から特定された指示内容とが一致しているか否かを判定する。音声評価部33は、指示音声42と復唱音声43との間で、航空機が一致したか否かと、指示内容が一致したか否かとを示す音声解釈情報44を生成する。
【0030】
(ステップS14:注意喚起処理)
音声評価部33は、指示音声42と復唱音声43との間で、航空機と指示内容との少なくともいずれかが不一致である場合には、管制官に対して通知を行い、注意を喚起する。例えば、音声評価部33は、航空機が不一致である場合には、航空機が不一致であることを示す情報を表示装置に表示する。同様に、音声評価部33は、指示内容が不一致である場合には、指示内容が不一致であることを示す情報を表示装置に表示する。
【0031】
図6を参照して、実施の形態1に係る視線処理(図4のステップS2)を説明する。
(ステップS21:視線取得処理)
視線取得部34は、航空機を映した表示装置における管制官が見ている視線位置を示す視線情報45を取得する。図7に示すように、表示装置の付近に設置されたカメラによって管制官を撮影することにより、管制官が見ている視線位置を特定することが可能である。
具体的には、視線取得部34は、管制対象の航空機に対して指示をした時点を基準とする基準期間における視線位置の履歴を示す視線情報45を取得する。つまり、視線情報45には、基準期間における単位時間毎の視線位置が含まれる。ここで、単位時間は、例えば0.1秒といった短い時間である。
基準期間は、管制対象の航空機に対して指示をする前の指示前期間と、指示をしている指示中期間と、指示をした後の指示後期間とを含む。指示中期間は、管制官と管制対象の航空機のパイロットとが無線通信により会話している期間である。つまり、指示中期間は、管制官が指示内容を発話し、パイロットが指示内容を復唱している期間である。指示前期間は、指示中期間の前の一定時間(例えば60秒)である。指示後期間は、指示中期間の後の一定時間(例えば60秒)である。
【0032】
ステップS22及びステップS23で、視線評価部35は、管制対象の航空機に対する視線評価値を計算する。視線評価部35は、管制対象の航空機に対して指示をした時点を基準とする基準期間における、表示装置の表示領域における管制対象の航空機が表示された位置と、視線情報45が示す視線位置とから、管制対象の航空機に対する視線評価値を計算する。
【0033】
(ステップS22:範囲特定処理)
範囲特定部36は、基準期間において、ステップS21で取得された視線情報45が示す視線位置が、管制対象の航空機が表示された位置に対してどの範囲にあったかを特定する。図8及び図9を参照して具体的に説明する。
【0034】
図8に示すように、表示装置の表示領域が複数の分割領域に分割される。図8では、表示領域が格子状に複数の分割領域に分割されている。そして、管制対象の航空機が表示された位置に基づき、複数の分割領域が識別範囲61と視線範囲62と外部範囲63との3つに分類される。
識別範囲61は、管制対象の航空機が表示された位置を含む分割領域である。識別範囲61は、その範囲に視線位置があれば、管制対象の航空機を識別可能と考えられる範囲である。視線範囲62は、識別範囲の周囲の分割領域である。視線範囲62は、その範囲に視線位置があれば、管制対象の航空機が見えていると考えられる範囲である。外部範囲63は、識別範囲61及び視線範囲62以外の分割領域である。
識別範囲61には範囲重みEa、視線範囲62には範囲重みEb、外部範囲63には範囲重みEcが割り当てられており、計算用パラメータ46に設定されている。ここで、範囲重みEa>範囲重みEb>範囲重みEcである。
【0035】
図9に示すように、範囲特定部36は、航空機位置情報51及び範囲情報52を参照して、基準期間における単位時間毎に、識別範囲61と視線範囲62と外部範囲63とを設定する。航空機位置情報51は、管制対象の航空機の表示領域における座標を示す。範囲情報52は、各分割領域の座標範囲を示す。範囲特定部36は、範囲情報52を参照して、航空機位置情報51が示す座標を含む分割領域を識別範囲61に設定する。範囲特定部36は、識別範囲61の周囲の分割領域を視線範囲62に設定する。範囲特定部36は、その他の分割領域を外部範囲63に設定する。
時間の経過とともに、管制対象の航空機の表示領域における座標は変化する。そのため、どの分割領域が識別範囲61と視線範囲62と外部範囲63とになるかも変化する。
【0036】
範囲特定部36は、基準期間における単位時間毎に、視線情報45が示す視線位置が識別範囲61と視線範囲62と外部範囲63とのどの範囲にあるかを特定する。これにより、範囲特定部36は、指示前期間と指示中期間と指示後期間とのそれぞれについて、識別範囲61と視線範囲62と外部範囲63とのそれぞれに視線位置があった割合を特定する。
ここでは、指示前期間に視線位置が識別範囲61にあった割合をEα1とする。指示前期間に視線位置が視線範囲62にあった割合をEβ1とする。指示前期間に視線位置が外部範囲63にあった割合をEγ1とする。指示中期間に視線位置が識別範囲61にあった割合をEα2とする。指示中期間に視線位置が視線範囲62にあった割合をEβ2とする。指示中期間に視線位置が外部範囲63にあった割合をEγ2とする。指示後期間に視線位置が識別範囲61にあった割合をEα3とする。指示後期間に視線位置が視線範囲62にあった割合をEβ3とする。指示後期間に視線位置が外部範囲63にあった割合をEγ3とする。
【0037】
(ステップS23:評価値計算処理)
評価値計算部37は、ステップS22で特定された範囲から、視線評価値47を計算する。ここでは、評価値計算部37は、ステップS22で特定された、指示前期間と指示中期間と指示後期間とのそれぞれについての識別範囲61と視線範囲62と外部範囲63とのそれぞれに視線位置があった割合から、視線評価値47を計算する。
【0038】
具体的には、評価値計算部37は次のように視線評価値47を計算する。
指示前期間と指示中期間と指示後期間とのそれぞれに期間重みが割り当てられており、計算用パラメータ46に設定されている。ここでは、指示前期間に割り当てられた期間重みをTa、指示中期間に割り当てられた期間重みをTb、指示後期間に割り当てられた期間重みをTcとする。
そして、評価値計算部37は、数1に示すように、指示前期間についての評価値Va1と、指示中期間についての評価値Va2と、指示後期間についての評価値Va3とを計算する。数1で指示前期間は、時刻t1から時刻t2までである。指示中期間は、時刻t2から時刻t3までである。指示後期間は、時刻t3から時刻t4までである。評価値計算部37は、数2に示すように、評価値Va1と評価値Va2と評価値Va3との和を、視線評価値47(=Va)として計算する。
【数1】
【数2】
【0039】
つまり、評価値計算部37は、以下のように評価値Va1を計算する。
まず、評価値計算部37は、指示前期間において視線位置が識別範囲61にあった割合Eα1に、識別範囲61の重みEaを乗じた値v11を計算する。評価値計算部37は、指示前期間において視線位置が視線範囲62にあった割合Eβ1に、視線範囲の重みEbを乗じた値v12を計算する。評価値計算部37は、指示前期間において視線位置が外部範囲63にあった割合Eγ1に、視線範囲の重みEcを乗じた値v13を計算する。そして、評価値計算部37は、値v11と値v12と値v13との合計値に対して、指示前期間の重みである期間重みTaを乗じて、指示前期間分積分することにより、指示前評価値Va1を計算する。
【0040】
同様に、評価値計算部37は、以下のように評価値Va2を計算する。
まず、評価値計算部37は、指示中期間において視線位置が識別範囲61にあった割合Eα2に、識別範囲61の重みEaを乗じた値v21を計算する。評価値計算部37は、指示中期間において視線位置が視線範囲62にあった割合Eβ2に、視線範囲の重みEbを乗じた値v22を計算する。評価値計算部37は、指示中期間において視線位置が外部範囲63にあった割合Eγ2に、視線範囲の重みEcを乗じた値v23を計算する。そして、評価値計算部37は、値v21と値v22と値v23との合計値に対して、指示中期間の重みである期間重みTbを乗じて、指示中期間分積分することにより、指示中評価値Va2を計算する。
【0041】
同様に、評価値計算部37は、以下のように評価値Va3を計算する。
まず、評価値計算部37は、指示後期間において視線位置が識別範囲61にあった割合Eα3に、識別範囲61の重みEaを乗じた値v31を計算する。評価値計算部37は、指示後期間において視線位置が視線範囲62にあった割合Eβ3に、視線範囲の重みEbを乗じた値v32を計算する。評価値計算部37は、指示後期間において視線位置が外部範囲63にあった割合Eγ3に、視線範囲の重みEcを乗じた値v33を計算する。そして、評価値計算部37は、値v31と値v32と値v33との合計値に対して、指示後期間の重みである期間重みTcを乗じて、指示後期間分積分することにより、指示後評価値Va3を計算する。
【0042】
なお、積分を行うのは、期間の長さを評価値に反映するためである。指示中期間については、毎回期間が異なる。そのため、期間の長さに応じて適切に視線評価値47を計算するために、期間の長さ分の積分を行っている。積分を行うことに代えて、期間の長さに応じた係数を乗じるようにしてもよい。
【0043】
ここで、視線処理部22は、指示の瞬間における視線位置ではなく、指示中期間の前後を含む基準期間における視線位置を用いて、視線評価値47を計算した。
これは、管制官は、複数の航空機間の調整を行うため、複数の航空機に対して並行して指示を行うという管制官の業務の特性を考慮したためである。つまり、管制官と航空機との関係が1対1にならない可能性があるためである。例えば、ある航空機に対して指示しているときに、その航空機との関係を調整する他の航空機を見ているような場合も想定されるためである。
【0044】
このように、管制官は複数の航空機を同時に管制する。そのため、図10に示すように、指示前期間と指示中期間と指示後期間とは航空機毎に定められる。指示前期間と指示中期間と指示後期間とからなる基準期間は、航空機間で重複している場合もある。
【0045】
図11を参照して、実施の形態1に係る総合評価処理(図4のステップS3)を説明する。
(ステップS31:情報取得処理)
管制評価部38は、ステップS1で生成された音声解釈情報44と、ステップS2で計算された視線評価値47とを取得する。また、管制評価部38は、管制指示情報53を読み出す。
【0046】
(ステップS32:音声判定処理)
管制評価部38は、指示音声42と復唱音声43との間で、航空機及び指示内容が一致したことを音声解釈情報44が示しているか否かを判定する。
管制評価部38は、一致したことを音声解釈情報44が示す場合には、処理をステップS33に進める。一方、管制評価部38は、一致したことを音声解釈情報44が示していない場合には、処理を終了する。
【0047】
(ステップS33:管制評価処理)
管制評価部38は、視線評価値47と管制指示情報53との組合せに応じて、管制対象の航空機に対する管制業務を評価する。具体的には、管制評価部38は、以下の(a)から(d)の4ケースのいずれに該当するかを特定することにより、管制業務を評価する。
【0048】
(a)視線評価値47が基準値以下、かつ、指示後指定時間内に管制対象の航空機に対する操作指示が管制指示情報53に登録されていない。
(b)視線評価値47が基準値以下、かつ、指示後指定時間内に管制対象の航空機に対する操作指示が管制指示情報53に登録された。
(c)視線評価値47が基準値より高い、かつ、指示後指定時間内に管制対象の航空機に対する操作指示が管制指示情報53に登録されていない。
(d)視線評価値47が基準値より高い、かつ、指示後指定時間内に管制対象の航空機に対する操作指示が管制指示情報53に登録された。
【0049】
(a)及び(b)の場合には、視線評価値47が低く、管制対象の航空機を十分に目視していないと認められる。そのため、管制評価部38は、管制対象の航空機を誤っている可能性があると判定する。そして、管制評価部38は、管制官に対して、管制対象の航空機を誤っている可能性があることを通知する。例えば、管制評価部38は、視線の向きと管制対象の航空機の位置とが一致しないことを通知してもよい。
(c)の場合には、視線評価値47は高いものの、管制指示情報53に登録がない。そのため、管制評価部38は、操作漏れの可能性が有ると判定する。そして、管制評価部38は、管制官に対して、操作漏れの可能性が有ることを通知する。
(d)の場合には、管制業務が正常に実行されていると認められる。そのため、管制評価部38は、管制業務は正常であると判定し、通知は行わない。
【0050】
管制評価部38は、さらに(e)のケースを特定してもよい。
(e)管制対象の航空機に対する操作指示が管制指示情報53に登録されていないにも関わらず、指示後指定時間内に他の航空機に対する操作指示が管制指示情報53に登録された。
(e)の場合には、管制評価部38は、操作対象の航空機を誤っている可能性があると判定する。操作対象の航空機とは、操作指示を出した航空機である。そして、管制評価部38は、管制官に対して、操作対象の航空機を誤っている可能性があることを通知する。
【0051】
なお、以上の通知方法としては、表示装置に警告表示する等が考えられる。
【0052】
***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係る管制支援装置10は、基準期間における管制官の視線位置と管制対象の航空機が表示された位置とから視線評価値47を計算する。これにより、誤った航空機を見ているといった管制対象の航空機を十分に見ていない状態を特定することができる。これを利用することにより、表示装置に表示されている内容を読み間違えることに起因した、意図せぬ管制指示を防止可能な構成を実現することができる。
【0053】
特に、実施の形態1に係る管制支援装置10は、指示の瞬間における視線位置ではなく、指示中期間の前後を含む基準期間における視線位置を用いて、視線評価値47を計算する。これにより、管制業務の特性を考慮した適切な視線評価値47を計算することができる。
【0054】
また、実施の形態1に係る管制支援装置10は、視線評価値47だけでなく、操作指示が登録されたかも考慮して、管制業務を評価する。これにより、さらに細かく管制業務を評価することができる。
【0055】
また、実施の形態1に係る管制支援装置10は、指示音声42と復唱音声43との一致度に基づき、管制業務を評価する。これにより、より適切に管制業務を評価することができる。
【0056】
***他の構成***
<変形例1>
実施の形態1では、評価値計算部37は、数1により視線評価値47を計算した。評価値計算部37は、数1に代えて、学習済モデルを利用して視線評価値47を計算してもよい。
学習済モデルは、以下の(1)から(3)の情報を入力とし、視線評価値47を出力するモデルである。(1)基準期間における単位時間毎の視線位置を示す視線情報45。(2)基準期間における、表示装置の表示領域における管制対象の航空機が表示された位置。(3)指示前期間の時間(開始時刻及び終了時刻)と、指示中期間の時間(開始時刻及び終了時刻)と、指示後期間の時間(開始時刻及び終了時刻)。なお、基準期間には、指示前期間と指示中期間と指示後期間とが含まれる。
【0057】
<変形例2>
実施の形態1では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例2として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例2について、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0058】
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、管制支援装置10は、プロセッサ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、電子回路を備える。電子回路は、各機能構成要素と、メモリ12と、ストレージ13との機能とを実現する専用の回路である。
【0059】
電子回路としては、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、FPGAが想定される。GAは、Gate Arrayの略である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略である。
各機能構成要素を1つの電子回路で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路に分散させて実現してもよい。
【0060】
<変形例3>
変形例3として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
【0061】
プロセッサ11とメモリ12とストレージ13と電子回路とを処理回路という。つまり、各機能構成要素の機能は、処理回路により実現される。
【0062】
なお、以上の説明における「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「処理回路」に読み替えてもよい。
【0063】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
移動体を映した表示装置における管制官が見ている視線位置を示す視線情報を取得する視線取得部と、
管制対象の移動体に対して指示をした時点を基準とする基準期間における、表示装置の表示領域における前記管制対象の移動体が表示された位置と、前記視線取得部によって取得された前記視線情報が示す前記視線位置とから、前記管制対象の移動体に対する視線評価値を計算する視線評価部と
を備える管制支援装置。
(付記2)
前記基準期間は、前記管制対象の移動体に対して指示をする前の指示前期間と、前記指示をしている指示中期間と、前記指示をした後の指示後期間とを含む
付記1に記載の管制支援装置。
(付記3)
前記視線評価部は、
前記表示装置の表示領域を分割した複数の分割領域のうち、前記管制対象の移動体が表示された位置を含む分割領域を識別範囲とし、前記識別範囲の周囲の分割領域を視線範囲とし、前記識別範囲及び前記視線範囲以外の分割領域を外部範囲として、前記基準期間において、前記視線情報が示す前記視線位置が前記識別範囲と前記視線範囲と前記外部範囲のどの範囲にあるかを特定する範囲特定部と、
前記範囲特定部によって特定された前記範囲から前記視線評価値を計算する評価値計算部と
を備える付記1又は2に記載の管制支援装置。
(付記4)
前記範囲特定部は、前記基準期間において、前記視線情報が示す前記視線位置が前記識別範囲と前記視線範囲とそれぞれにあった割合を特定し、
前記評価値計算部は、前記割合から前記視線評価値を計算する
付記3に記載の管制支援装置。
(付記5)
前記基準期間は、前記管制対象の移動体に対して指示をする前の指示前期間と、前記指示をしている指示中期間と、前記指示をした後の指示後期間とを含み、
前記評価値計算部は、前記指示前期間における前記割合から計算される指示前評価値と、前記指示中期間における前記割合から計算される指示中評価値と、前記指示後期間における前記割合から計算される指示後評価値とから、前記視線評価値を計算する
付記4に記載の管制支援装置。
(付記6)
前記評価値計算部は、
前記指示前期間において前記視線位置が前記識別範囲にあった割合Eα1に、前記識別範囲の重みEaを乗じた値と、前記指示前期間において前記視線位置が前記視線範囲にあった割合Eβ1に、前記視線範囲の重みEbを乗じた値と、前記指示前期間において前記視線位置が前記外部範囲にあった割合Eγ1に、前記視線範囲の重みEcを乗じた値との合計値に対して、前記指示前期間の重みTaを乗じて、前記指示前評価値を計算し、
前記指示中期間において前記視線位置が前記識別範囲にあった割合Eα2に、前記識別範囲の重みEaを乗じた値と、前記指示中期間において前記視線位置が前記視線範囲にあった割合Eβ2に、前記視線範囲の重みEbを乗じた値と、前記指示中期間において前記視線位置が前記外部範囲にあった割合Eγ2に、前記視線範囲の重みEcを乗じた値との合計値に対して、前記指示中期間の重みTbを乗じて、前記指示中評価値を計算し、
前記指示後期間において前記視線位置が前記識別範囲にあった割合Eα3に、前記識別範囲の重みEaを乗じた値と、前記指示後期間において前記視線位置が前記視線範囲にあった割合Eβ3に、前記視線範囲の重みEbを乗じた値と、前記指示後期間において前記視線位置が前記外部範囲にあった割合Eγ3に、前記視線範囲の重みEcを乗じた値との合計値に対して、前記指示後期間の重みTcを乗じて、前記指示後評価値を計算する
付記5に記載の管制支援装置。
(付記7)
前記管制支援装置は、さらに、
前記視線評価部によって計算された前記視線評価値に基づき、前記管制対象の移動体を誤っている可能性があるか否かを判定する管制評価部
を備える付記1から6までのいずれか1項に記載の管制支援装置。
(付記8)
前記管制支援装置は、さらに、
前記管制対象の移動体に対して管制官が発話による指示をした指示音声と、前記指示音声に対して前記管制対象の移動体の操縦者が発話した復唱音声との内容の一致度を評価する音声評価部
を備え、
前記管制評価部は、前記音声評価部によって評価された前記一致度が基準値以上である場合に、前記管制対象の移動体を誤っている可能性があるか否かを判定する
付記7に記載の管制支援装置。
(付記9)
前記音声評価部は、前記指示音声から特定される移動体及び指示内容と、前記復唱音声から特定される移動体及び指示内容との一致度を評価する
付記8に記載の管制支援装置。
(付記10)
前記管制評価部は、前記視線評価値が基準値以下である場合には、前記管制対象の移動体を誤っている可能性があると判定する
付記7から9までのいずれか1項に記載の管制支援装置。
(付記11)
前記管制評価部は、前記管制対象の移動体について制限時間内に操作入力されていない場合には、前記操作漏れの可能性があると判定する
付記10に記載の管制支援装置。
(付記12)
前記管制評価部は、前記管制対象の移動体とは異なる移動体について制限時間内に操作入力された場合には、前記操作対象の移動体の誤りの可能性があると判定する
付記10又は11に記載の管制支援装置。
(付記13)
前記管制評価部は、前記管制対象の移動体を誤っている可能性があると判定した場合には、前記管制官に対して通知する
付記7から12までのいずれか1項に記載の管制支援装置。
(付記14)
コンピュータが、移動体を映した表示装置における管制官が見ている視線位置を示す視線情報を取得し、
コンピュータが、管制対象の移動体に対して指示をした時点を基準とする基準期間における、表示装置の表示領域における前記管制対象の移動体が表示された位置と、前記視線情報が示す前記視線位置とから、前記管制対象の移動体に対する視線評価値を計算する管制支援方法。
(付記15)
移動体を映した表示装置における管制官が見ている視線位置を示す視線情報を取得する視線取得処理と、
管制対象の移動体に対して指示をした時点を基準とする基準期間における、表示装置の表示領域における前記管制対象の移動体が表示された位置と、前記視線取得処理によって取得された前記視線情報が示す前記視線位置とから、前記管制対象の移動体に対する視線評価値を計算する視線評価処理と
を行う管制支援装置としてコンピュータを機能させる管制支援プログラム。
【0064】
以上、本開示の実施の形態及び変形例について説明した。これらの実施の形態及び変形例のうち、いくつかを組み合わせて実施してもよい。また、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施してもよい。なお、本開示は、以上の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 管制支援装置、11 プロセッサ、12 メモリ、13 ストレージ、14 通信インタフェース、21 管制指示処理部、22 視線処理部、23 総合評価部、31
音声取得部、32 音声解析部、33 音声評価部、34 視線取得部、35 視線評価部、36 範囲特定部、37 評価値計算部、38 管制評価部、41 無線情報、42 指示音声、43 復唱音声、44 音声解釈情報、45 視線情報、46 計算用パラメータ、47 視線評価値、48 管制評価情報、51 航空機位置情報、52 範囲情報、53 管制指示情報、61 識別範囲、62 視線範囲、63 外部範囲。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-05-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を映した表示装置における管制官が見ている視線位置を示す視線情報を取得する視線取得部と、
管制対象の移動体に対して指示をする前の指示前期間と、前記指示をしている指示中期間と、前記指示をした後の指示後期間とを含む基準期間における、表示装置の表示領域における前記管制対象の移動体が表示された位置と、前記視線取得部によって取得された前記視線情報が示す前記視線位置とから、前記管制対象の移動体に対する視線評価値を計算する視線評価部と
を備える管制支援装置。
【請求項2】
前記視線評価部は、
前記表示装置の表示領域を分割した複数の分割領域のうち、前記管制対象の移動体が表示された位置を含む分割領域を識別範囲とし、前記識別範囲の周囲の分割領域を視線範囲とし、前記識別範囲及び前記視線範囲以外の分割領域を外部範囲として、前記基準期間において、前記視線情報が示す前記視線位置が前記識別範囲と前記視線範囲と前記外部範囲のどの範囲にあるかを特定する範囲特定部と、
前記範囲特定部によって特定された前記範囲から前記視線評価値を計算する評価値計算部と
を備える請求項1に記載の管制支援装置。
【請求項3】
移動体を映した表示装置における管制官が見ている視線位置を示す視線情報を取得する視線取得部と、
管制対象の移動体に対して指示をした時点を基準とする基準期間における、表示装置の表示領域における前記管制対象の移動体が表示された位置と、前記視線取得部によって取得された前記視線情報が示す前記視線位置とから、前記管制対象の移動体に対する視線評価値を計算する視線評価部と
を備え
前記視線評価部は、
前記表示装置の表示領域を分割した複数の分割領域のうち、前記管制対象の移動体が表示された位置を含む分割領域を識別範囲とし、前記識別範囲の周囲の分割領域を視線範囲とし、前記識別範囲及び前記視線範囲以外の分割領域を外部範囲として、前記基準期間において、前記視線情報が示す前記視線位置が前記識別範囲と前記視線範囲と前記外部範囲のどの範囲にあるかを特定する範囲特定部と、
前記範囲特定部によって特定された前記範囲から前記視線評価値を計算する評価値計算部と
を備える管制支援装置。
【請求項4】
前記範囲特定部は、前記基準期間において、前記視線情報が示す前記視線位置が前記識別範囲と前記視線範囲と前記外部範囲とのそれぞれにあった割合を特定し、
前記評価値計算部は、前記割合から前記視線評価値を計算する
請求項2又は3に記載の管制支援装置。
【請求項5】
前記基準期間は、前記管制対象の移動体に対して指示をする前の指示前期間と、前記指示をしている指示中期間と、前記指示をした後の指示後期間とを含み、
前記評価値計算部は、前記指示前期間における前記割合から計算される指示前評価値と、前記指示中期間における前記割合から計算される指示中評価値と、前記指示後期間における前記割合から計算される指示後評価値とから、前記視線評価値を計算する
請求項4に記載の管制支援装置。
【請求項6】
前記評価値計算部は、
前記指示前期間において前記視線位置が前記識別範囲にあった割合Eα1に、前記識別範囲の重みEaを乗じた値と、前記指示前期間において前記視線位置が前記視線範囲にあった割合Eβ1に、前記視線範囲の重みEbを乗じた値と、前記指示前期間において前記視線位置が前記外部範囲にあった割合Eγ1に、前記視線範囲の重みEcを乗じた値との合計値に対して、前記指示前期間の重みTaを乗じて、前記指示前評価値を計算し、
前記指示中期間において前記視線位置が前記識別範囲にあった割合Eα2に、前記識別範囲の重みEaを乗じた値と、前記指示中期間において前記視線位置が前記視線範囲にあった割合Eβ2に、前記視線範囲の重みEbを乗じた値と、前記指示中期間において前記視線位置が前記外部範囲にあった割合Eγ2に、前記視線範囲の重みEcを乗じた値との合計値に対して、前記指示中期間の重みTbを乗じて、前記指示中評価値を計算し、
前記指示後期間において前記視線位置が前記識別範囲にあった割合Eα3に、前記識別範囲の重みEaを乗じた値と、前記指示後期間において前記視線位置が前記視線範囲にあった割合Eβ3に、前記視線範囲の重みEbを乗じた値と、前記指示後期間において前記視線位置が前記外部範囲にあった割合Eγ3に、前記視線範囲の重みEcを乗じた値との合計値に対して、前記指示後期間の重みTcを乗じて、前記指示後評価値を計算する
請求項5に記載の管制支援装置。
【請求項7】
前記管制支援装置は、さらに、
前記視線評価部によって計算された前記視線評価値に基づき、前記管制対象の移動体を誤っている可能性があるか否かを判定する管制評価部
を備える請求項1に記載の管制支援装置。
【請求項8】
前記管制支援装置は、さらに、
前記管制対象の移動体に対して管制官が発話による指示をした指示音声と、前記指示音声に対して前記管制対象の移動体の操縦者が発話した復唱音声との内容の一致度を評価する音声評価部
を備え、
前記管制評価部は、前記音声評価部によって評価された前記一致度が基準値以上である場合に、前記管制対象の移動体を誤っている可能性があるか否かを判定する
請求項7に記載の管制支援装置。
【請求項9】
前記音声評価部は、前記指示音声から特定される移動体及び指示内容と、前記復唱音声から特定される移動体及び指示内容との一致度を評価する
請求項8に記載の管制支援装置。
【請求項10】
前記管制評価部は、前記視線評価値が基準値以下である場合には、前記管制対象の移動体を誤っている可能性があると判定する
請求項7に記載の管制支援装置。
【請求項11】
前記管制評価部は、前記視線評価値が基準値より高く、かつ、前記管制対象の移動体について制限時間内に操作入力されていない場合には、操作漏れの可能性があると判定する
請求項10に記載の管制支援装置。
【請求項12】
前記管制評価部は、前記視線評価値の値に関わらず、前記管制対象の移動体とは異なる移動体について制限時間内に操作入力された場合には、操作対象の移動体を誤っている可能性があると判定する
請求項10に記載の管制支援装置。
【請求項13】
前記管制評価部は、前記管制対象の移動体を誤っている可能性があると判定した場合には、前記管制官に対して通知する
請求項7に記載の管制支援装置。
【請求項14】
コンピュータが、移動体を映した表示装置における管制官が見ている視線位置を示す視線情報を取得し、
コンピュータが、管制対象の移動体に対して指示をする前の指示前期間と、前記指示をしている指示中期間と、前記指示をした後の指示後期間とを含む基準期間における、表示装置の表示領域における前記管制対象の移動体が表示された位置と、前記視線情報が示す前記視線位置とから、前記管制対象の移動体に対する視線評価値を計算する管制支援方法。
【請求項15】
コンピュータが、移動体を映した表示装置における管制官が見ている視線位置を示す視線情報を取得し、
コンピュータが、管制対象の移動体に対して指示をした時点を基準とする基準期間における、表示装置の表示領域における前記管制対象の移動体が表示された位置と、前記視線情報が示す前記視線位置とから、前記管制対象の移動体に対する視線評価値を計算し、
コンピュータが、前記表示装置の表示領域を分割した複数の分割領域のうち、前記管制対象の移動体が表示された位置を含む分割領域を識別範囲とし、前記識別範囲の周囲の分割領域を視線範囲とし、前記識別範囲及び前記視線範囲以外の分割領域を外部範囲として、前記基準期間において、前記視線情報が示す前記視線位置が前記識別範囲と前記視線範囲と前記外部範囲のどの範囲にあるかを特定し、
コンピュータが、前記範囲から前記視線評価値を計算する管制支援方法。
【請求項16】
移動体を映した表示装置における管制官が見ている視線位置を示す視線情報を取得する視線取得処理と、
管制対象の移動体に対して指示をする前の指示前期間と、前記指示をしている指示中期間と、前記指示をした後の指示後期間とを含む基準期間における、表示装置の表示領域における前記管制対象の移動体が表示された位置と、前記視線取得処理によって取得された前記視線情報が示す前記視線位置とから、前記管制対象の移動体に対する視線評価値を計算する視線評価処理と
を行う管制支援装置としてコンピュータを機能させる管制支援プログラム。
【請求項17】
移動体を映した表示装置における管制官が見ている視線位置を示す視線情報を取得する視線取得処理と、
管制対象の移動体に対して指示をした時点を基準とする基準期間における、表示装置の表示領域における前記管制対象の移動体が表示された位置と、前記視線取得処理によって取得された前記視線情報が示す前記視線位置とから、前記管制対象の移動体に対する視線
評価値を計算する視線評価処理と
を行う管制支援装置としてコンピュータを機能させ
前記視線評価処理は、
前記表示装置の表示領域を分割した複数の分割領域のうち、前記管制対象の移動体が表示された位置を含む分割領域を識別範囲とし、前記識別範囲の周囲の分割領域を視線範囲とし、前記識別範囲及び前記視線範囲以外の分割領域を外部範囲として、前記基準期間において、前記視線情報が示す前記視線位置が前記識別範囲と前記視線範囲と前記外部範囲のどの範囲にあるかを特定する範囲特定処理と、
前記範囲特定処理によって特定された前記範囲から前記視線評価値を計算する評価値計算処理と
を行う管制支援プログラム。